(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】注意喚起システム及び注意喚起装置
(51)【国際特許分類】
E01F 9/608 20160101AFI20240222BHJP
【FI】
E01F9/608
(21)【出願番号】P 2023215573
(22)【出願日】2023-12-21
【審査請求日】2023-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516061894
【氏名又は名称】吉兼 雅幸
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100134625
【氏名又は名称】大沼 加寿子
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 雅幸
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155577(JP,A)
【文献】特許第3914432(JP,B2)
【文献】特開2004-192097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00-11/00
E01F 13/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に
あって所定の目標地点に向かって移動している車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせ
、前記車両検出部が、前記所定の目標地点に最も近い位置の車両が前記所定の目標地点の近傍に停止していることを検出した場合に、前記注意喚起部に前記注意喚起を終了させる制御部とを備えることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項2】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせ、前記車両検出部が、前記所定距離以内の車両が全て停止していることを検出した場合に、前記注意喚起部に前記注意喚起を終了させる
制御部とを備えることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項3】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部とを備え、
前記第1領域は、境界により区分された複数の通行帯を備え、
前記制御部は、前記車両検出部が車両を検出した方向に応じて定められる、前記複数の通行帯のうち該検出した車両が通行している通行帯と対応する値を、前記所定距離として用いることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項4】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部とを備え、
前記第1領域は、車両の進行方向が互いに異なる複数の通行帯を備え、
前記制御部は、前記車両検出部が車両を検出した位置の経時変化に応じて定められる、前記複数の通行帯のうち該検出した車両が通行している通行帯と対応する値を、前記所定距離として用いることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項5】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置のうち少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部とを備え、
前記人検出部を、前記複数の注意喚起装置のうち2以上にそれぞれ備え、
それらの各注意喚起装置が備える人検出部が人を検出したタイミングの差に基づき、それらの各注意喚起装置の近傍を通行する人の進行速度を推定する進行速度推定部を備え、
前記制御部は、前記所定距離の値を、推定された前記進行速度に基づき定めることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項6】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、
前記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、
前記注意喚起装置のうち少なくとも1つに設けられた、前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
前記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部と、
周囲の明るさを検知する光検知部
とを備え、
前記制御部は、前記所定距離の値を、検知された前記周囲の明るさに応じて定めることを特徴とする注意喚起システム。
【請求項7】
交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に設置される注意喚起装置であって、
前記第1領域を通行する車両及び該車両の位置を検出する車両検出部と、
前記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、
当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、
前記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ前記人検出部が人を検出した場合に前記注意喚起部に注意喚起を行わせ
、前記車両検出部が、前記所定距離以内の車両が全て停止していることを検出した場合に、前記注意喚起部に前記注意喚起を終了させる制御部とを備えることを特徴とする注意喚起装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意喚起システム及び注意喚起装置、特に歩行者などの交通参加者に対して注意喚起を図ることが可能な注意喚起システム及び注意喚起装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩行者が歩道から車道に侵入することを防ぐために、歩道と車道との境界にガードレールを設置している(例えば、特許文献1参照)。
また、歩行者が歩道から車道に侵入することを防ぐように、歩行者に対して積極的に注意喚起を図ることが可能な標識及び注意喚起システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-69951号公報
【文献】特開2017-155577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2に記載の技術では、例えば歩道と車道の境界に並べて設置されたポールに歩行者が接近するとポールに設置された報知手段が歩行者に警報を報知する。このため、交通の状況を鑑み警報の必要性が低い場合にも警報を発してしまい、消費電力が大きくなってしまうという問題があった。また、必要以上に歩行者にしつこいイメージを与えてしまう可能性もあった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、注意喚起の必要性が高い状況を識別しつつ歩行者などの交通参加者に対して注意喚起を行える注意喚起システム及び注意喚起装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明の注意喚起システムは、交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に配列された複数の注意喚起装置と、上記第1領域を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部と、上記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、上記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、上記注意喚起装置の少なくとも1つに設けられた、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、上記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ上記人検出部が人を検出した場合に上記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部を備えるものである。
【0007】
このような注意喚起システムにおいて、上記制御部は、上記車両検出部が、所定距離以内にあって所定の目標地点に向かって移動している車両を検出し、かついずれかの注意喚起装置に設けられた上記人検出部が人を検出した場合に、上記注意喚起部に注意喚起を行わせるとなおよい。
さらに、上記制御部は、上記車両検出部が、上記所定の目標地点に最も近い位置の車両が上記所定の目標地点の近傍に停止していることを検出した場合に、上記注意喚起部に上記注意喚起を終了させるとなおよい。
【0008】
あるいは、上記の各注意喚起システムにおいて、上記人検出部及び上記注意喚起部が、複数の上記注意喚起装置にそれぞれ設けられ、上記制御部が、上記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かついずれかの注意喚起装置に設けられた上記人検出部が人を検出した場合に、該注意喚起装置に設けられた上記注意喚起部に注意喚起を行わせるとよい。
あるいは、上記制御部が、上記車両検出部が、上記所定距離以内の車両が全て停止していることを検出した場合に、上記注意喚起部に上記注意喚起を終了させてもなおよい。
【0009】
あるいは、上記第1領域が、境界により区分された複数の通行帯を備え、上記制御部は、上記車両検出部が車両を検出した方向に応じて定められる、上記複数の通行帯のうち該検出した車両が通行している通行帯と対応する値を、上記所定距離として用いるとなおよい。
あるいは、上記第1領域が、車両の進行方向が互いに異なる複数の通行帯を備え、上記制御部は、上記車両検出部が車両を検出した位置の経時変化に応じて定められる、上記複数の通行帯のうち該検出した車両が通行している通行帯と対応する値を、上記所定距離として用いるとなおよい。
【0010】
あるいは、上記人検出部を、上記複数の注意喚起装置のうち2以上にそれぞれ設け、それらの各注意喚起装置が備える人検出部が人を検出したタイミングの差に基づき、それらの各注意喚起装置の近傍を通行する人の進行方向を推定する進行方向推定部を設け、上記制御部は、上記進行方向が特定の方向であると推定される場合には、上記車両検出部による車両の検出状態及び上記人検出部による人の検出状態によらず、上記注意喚起部に注意喚起を行わせないとなおよい。
【0011】
あるいは、上記人検出部を、上記複数の注意喚起装置のうち2以上にそれぞれ設け、それらの各注意喚起装置が備える人検出部が人を検出したタイミングの差に基づき、それらの各注意喚起装置の近傍を通行する人の進行速度を推定する進行速度推定部を設け、上記制御部は、上記所定距離の値を、推定された上記進行速度に基づき定めるとなおよい。
あるいは、周囲の明るさを検知する光検知部を設け、上記制御部は、上記所定距離の値を、検知された上記周囲の明るさに応じて定めるとなおよい。
【0012】
あるいは、上記注意喚起部が、上記注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起すると同時に、上記第1領域を通行する車両に対しても注意を喚起してもなおよい。
あるいは、上記注意喚起部は、上記注意喚起装置を、隣接する注意喚起装置との間を人が通り抜けることを妨げるように変形させることで上記注意喚起を行う手段であってもなおよい。
【0013】
また、本発明の注意喚起装置は、交通路における車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域との境界付近に設置される注意喚起装置であって、上記第1領域を通行する車両及び該車両の位置を検出する車両検出部と、上記第2領域の当該注意喚起装置近傍を通行する人を検出する人検出部と、当該注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部と、上記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ上記人検出部が人を検出した場合に上記注意喚起部に注意喚起を行わせる制御部とを備えるものである。
【0014】
このような注意喚起装置において、上記制御部は、上記車両検出部が上記所定距離以内に車両を検出しなくなるか、または上記人検出部が人を検出しなくなった場合に、上記注意喚起部に上記注意喚起を終了させるとなおよい。
あるいは、上記制御部は、上記車両検出部が、上記所定距離以内の車両が全て停止していることを検出した場合に、上記注意喚起部に上記注意喚起を終了させるとなおよい。
【0015】
以上のような本発明は、装置及びシステムの発明として実施する他、方法、制御用のプログラム、プログラムを記憶させた媒体など、任意の態様で実施可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、注意喚起の必要性が高い状況を識別しつつ歩行者などの交通参加者に対して注意喚起を行える注意喚起システム及び注意喚起装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態である注意喚起システムを、歩道と車道の境界付近に配置した状態を示す図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、
図1に示した注意喚起システムを構成する注意喚起装置の、それぞれ異なる側から見た側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した注意喚起装置の腕部の動きを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した注意喚起装置の電子的なハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、複数の注意喚起装置の役割分担について説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図1に示した注意喚起装置のプロセッサが実行する処理のフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1変形例の注意喚起装置のプロセッサが実行する、
図6と対応する処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、注意喚起装置に設ける注意喚起部の別の例を示す、
図3と対応する図である。
【
図9】
図9は、注意喚起装置に設ける注意喚起部のさらに別の例を示す図である。
【
図10】
図10は、注意喚起装置に設ける注意喚起部のさらに別の例を示す図である。
【
図11】
図11は、注意喚起装置に設ける注意喚起部のさらに別の例を示す図である。
【
図12】
図12は、注意喚起装置に設ける注意喚起部のさらに別の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態である注意喚起装置の側面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示した注意喚起装置を、歩道と車道の境界付近に配置した状態を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の変形例について説明するため、注意喚起装置とその周辺の交通の状況の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態:
図1から
図6〕
まず、この発明の第1実施形態である注意喚起システム1について説明する。
図1は、この注意喚起システム1を、歩道と車道の境界付近に配置した状態を示す図である。
【0019】
注意喚起システム1は、一例として
図1に示すように交通路である道路の車道10と歩道20との境界付近に配列された複数の注意喚起装置100を備える。
車道10は車両が通行する第1領域に該当し、
図1の例ではセンターライン11で区切られた車線10A、10Bが設けられた片側1車線の道路である。また、車道10を歩行者が横断するための横断歩道12が設けられている。この道路は左側通行であり、各車線10A、10Bの横断歩道12の手前には停止線13A、13Bが設けられている。
【0020】
歩道20は歩行者が通行する第2領域に該当する。
図1の例では、5本の柱状の注意喚起装置100が、歩道20内の、車道10との境界に近い位置に直線状に配列されている。図で最も右側の注意喚起装置100は、図で手前側から見て横断歩道12のすぐ手前に配置されている。
【0021】
図1の例では、図で手前側の歩道20を手前側から奥側に歩いていく歩行者が、横断歩道12の手前で車道10に進入することを抑止する目的でこのような配置としている。例えば手前側に、多数の人が利用する建物や施設の出口があり、出口から出てきた人が横断歩道12の手前で道路を横断しようとする傾向があるため、これを抑止する等である。
【0022】
すなわち、5本の注意喚起装置100は、歩道20の予め定められた部分20Aから予め定められた別の部分20Bに至るまでの領域の境界の少なくとも一部に設置されている。部分20Aは、例えば、工場、事務所、商店、学校、公園、マンションなどの、人が出入りする建物や施設の出入口につながる部分である。そして、部分20Bは、横断歩道12の入口に当たる部分である。
建物や施設の出入口の前方には車道10が存在し、出入口から出た歩行者は歩道20をしばらく歩行して横断歩道12を横断しなければならず、部分20Aと部分20Bとは少し離れた位置にある。
【0023】
このような状況下において、部分20Aから部分20Bに至るまでの歩道20の、車道10との境界に複数本の注意喚起装置100が設置されている。このため、注意喚起装置100は、まずその存在そのものによって、歩行者に歩道20と車道10との境界の存在を明確に認識させることができる。ひいては、歩行者はこれら注意喚起装置100で区画された領域を歩行するように注意喚起される。さらに、歩行者が横断歩道12以外の部分で車道10を横断する、車道10に飛び出るなどの行為を抑制することができる。
また、注意喚起装置100の配置間隔を比較的密にすれば、車道10を走る自動車、バイク、自転車等の車両が歩道20に進入することも抑制または阻止することができる。
【0024】
さらに、注意喚起システム1は、各注意喚起装置100により、歩道20を歩く歩行者及び、車道10を走る自動車、バイク、自転車等の車両を検出し、その有無に応じて積極的に歩行者及び車両に対して注意を喚起することで、歩行者が安全に歩道20を通行し、横断歩道12を渡ることができるようにしている。
この点が注意喚起システム1の特徴の1つであり、次に、
図2Aから
図5も参照して、この点に関連する注意喚起システム1及び注意喚起装置100の構成についてより詳細に説明する。
【0025】
図2A及び
図2Bは、注意喚起システム1を構成する注意喚起装置100の、それぞれ異なる側から見た側面図であり、
図2Aは、注意喚起装置100の配列方向の、
図1の手前側から見た図である。
図2Bは、歩道20側(
図2Aの矢印A側)から見た図である。
図3は、注意喚起装置100の腕部111の動きを模式的に示す図である。
図3には、注意喚起装置100の本体部110と腕部111のみを示している。
図4は、注意喚起装置100の電子的なハードウェアの構成を示すブロック図である。
図5は、複数の注意喚起装置100の役割分担について説明するための図である。
【0026】
注意喚起装置100は、
図2A及び
図2Bに示すように、柱状の本体部110に、ミリ波レーダー101、人感センサ102、ランプ103、腕部111を備える構成である。
本体部110は、頂部が半球状となっている円柱状の外形を有し、基部112を介してアンカー等により地面に固定される。本体部110の材質は、ポリ塩化ビニル、ABSなどの合成樹脂、アルミニウム、鉄などの金属板からなるものの表面に樹脂を被覆させたもの、金属などの硬質な材料など、任意である。樹脂等の柔らかい材質で構成した方が、歩行者が接触した場合の安全性の観点からは好ましい。
【0027】
また、本体部110は、注意を喚起するために、赤色、橙色、黄色などの目立ち易い色としたり、さらに視認性を高めるために、赤色地に白、黒地に黄色の縞模様としたりするとよい。また、夜間視認性を高めるために、外面に反射シートなどが貼り付けられていてもよい。
本体部110の高さは、歩行者が容易に跨ぐことができず、且つ歩行者に圧迫感を与えない程度、例えば0.4mから1.2m程度とするとよい。
【0028】
ミリ波レーダー101は、車道10を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部であり、本体部110の車道10側の内部に設置される。
図2Aに表れるのは、ミリ波レーダー101の外装部である。ミリ波レーダー101は、車道10の各車線を、横断歩道12に向かって通行する車両を検出できるように配置する。横断歩道12を通り過ぎた車両を検出することは必須ではない。
【0029】
1台で視野範囲が十分でない場合、車線10Aを横断歩道12に向かって
図1の奥側から手前側へ通行する車両を検出するための第1ミリ波レーダーと、車線10Bを横断歩道12に向かって
図1の手前から奥側へ通行する車両を検出するための第2ミリ波レーダーとを設けることも考えられる。
【0030】
また、車両検出部は、上記のように車道10を通行する車両及びその位置を検出できるものであれば、ミリ波レーダー以外の手段で構成してもよい。一例として、ライダー(LiDAR)、画像解析機能付きの光学カメラ等で構成することが考えられる。道路上に設ける距離測定用のマーカーを合わせて用いてもよい。検出の便宜のため、車両検出部の全部又は一部を、本体部110の外部に設ける構成も採用可能である。この場合、外部に設けた車両検出部から本体部110側の後述する制御部120へ、検出処理に必要なデータを送信可能とするとよい。データ伝送手段は、有線無線を問わずに任意のものを採用可能である。
【0031】
人感センサ102は、注意喚起装置100の歩道20側近傍を通行する人を検出する人検出部であり、本体部110の歩道20側の内部に設置される。
図2A及び
図2Bに表れるのは、人感センサ102の外装である。人感センサ102は、例えば注意喚起装置100から歩道20の幅程度以内の距離にいる人を検出できるように配置する。ただし、人と人以外の動物や物体を精度よく識別できることは必須ではない。
【0032】
また、人感センサ102が止まっている人を検出できることは必須ではない。しかし、横断歩道12に最も近い位置の注意喚起装置100に設ける人感センサ102は、止まっている人も検知できることが好ましい。横断歩道12の手前で、安全確認のため止まっている人も検知できることが好ましいためである。このため、比較的広い範囲を対象に人の動きを検知するセンサと、特定の狭い範囲を対象に止まっている人でも検知するセンサとを併用してもよい。
【0033】
人感センサ102としては、車両が発する音や光が検出の障害にならないよう、赤外線により人を検出するセンサが好ましい。しかし、その他の方式のセンサを用いることも排除されない。人が発する赤外線等を検知する方式の他、光源から発せられる赤外線を検出器で検出できたか否かにより、光路を遮る物体の有無を検出する方式も採用可能である。
人検出部として、人感センサの名称で呼ばれるセンサでなく、より一般的な物体検知センサを用いることも考えられる。また、検出の便宜のため、人検出部の全部又は一部を、本体部110の外部に設ける構成も採用可能である。この場合、車両検出部の場合と同様、人検出部から本体部110側の制御部120へ、検出処理に必要なデータを送信可能とするとよい。
【0034】
ランプ103は、光の点灯や点滅等により注意喚起装置100近傍を歩行する歩行者に注意を喚起する注意喚起部である。ランプ103も、本体部110の内部に設置され、
図2A及び
図2Bに表れるのはその外装である。ランプ103は、固定された発光ダイオード(LED)等の光源を備えてもよいし、回転灯であってもよい。また、ランプ103は、歩行者だけでなく車道を通行する車両にも注意を喚起するように構成するとよい。例えば、本体部110全周に光を出力するようにするとよい。ランプ103の色は、赤や黄色など、危険や注意を示す色とすることが好ましい。
【0035】
腕部111は、注意喚起装置100を、隣接する注意喚起装置100との間を人が通り抜けることを妨げるように変形させることで注意喚起装置100近傍を歩行する歩行者に注意を喚起する注意喚起部である。また、腕部111は、
図3に矢印Bで示すように、実線で示す位置と仮想線で示す位置との間を任意に回動可能である。
【0036】
腕部111は、
図1及び
図3に示すように、注意喚起を行わない状態では実線で示すように概ね本体部110に沿う向きであり、短手方向の半分ほどが、本体部110に設けられた溝113に収容される。注意喚起を行う場合には、本体部110に内蔵されたアクチュエータ104(
図4参照)により、本体部110から張り出したブラケット114に設けられた回動軸115を中心に回転され、腕部111は仮想線で示すように概ね地面と平行な向きまで立ち上がる。この時には腕部111の先端は隣接する注意喚起装置100の側を向く。
【0037】
各注意喚起装置100の腕部111が同様な動作をすることで、注意喚起時には、各腕部111により隣接する注意喚起装置100との間の隙間を少なくとも部分的に塞ぎ、人が通過することを抑止できる。または、注意喚起装置100の間を通過してはならないことを積極的に注意喚起できる。注意喚起を行う場合に、腕部111を周期的に上下動させるようにしてもよい。
【0038】
なお、腕部111は、注意喚起装置100の間を通り抜けてはならないことを歩行者に伝えることができる程度の存在感を持てばよく、人の通過を物理的に阻止できるような頑丈なものでなくてよい。例えば、軽量のプラスチックや、空気により膨らまされた風船であってもよい。後者の場合、空気を供給するポンプを本体部110内に設けるとよい。省エネや歩行者が誤接触した場合の安全性の観点からは、このような軽量で軟質の腕部111が好ましい。
【0039】
また、
図4に示すように、注意喚起装置100は、以上説明した各部の他、入出力部105、電源部106及び制御部120を備える。
入出力部105は、外部装置との間でデータの入出力を行うためのインタフェースである。入出力は、有線無線を問わず、任意の方式で行うことができる。外部装置としては、他の注意喚起装置100、外部に設けた車両検出部や人検出部、注意喚起装置100に対し操作や設定を行うためのリモートコントローラ等が考えられる。入出力部105が、人間からの操作を直接受け付けたり動作状態を表示したりするための、操作部や表示器等のインタフェースを含んでいてもよい。
【0040】
電源部106は、注意喚起装置100の各部に電源を供給する機能を備え、蓄電池を備えている。蓄電池は、注意喚起装置100に交換可能に取り付けられる一次電池でもよいし、
図2A及び
図2Bには示していないが、注意喚起装置100の外面に設置された太陽電池パネルで生成した電力で充電される二次電池であってもよい。
【0041】
制御部120は、システムバス123に接続されたプロセッサ121及びメモリ122に加え、以上のミリ波レーダー101、人感センサ102、ランプ103、アクチュエータ104、入出力部105、電源部106をそれぞれシステムバス123に接続してプロセッサ121から制御可能とするためのインタフェース(I/F)131~136を備える。
【0042】
プロセッサ121は、メモリ122に記憶されたプログラムを実行することで、後述する
図6等の処理を実行し、注意喚起装置100各部の動作を制御する機能を実現する。メモリ122は、そのプログラムや、制御に必要な各種データを記憶する。入出力部105を介してプログラムやデータを更新することも可能である。
なお、注意喚起システム1を構成する全ての注意喚起装置100に、車両検知部と人検知部の双方を設けることは必須ではない。
【0043】
図5に模式的に示すように、一部の注意喚起装置100(
図5の例では注意喚起装置100a)にのみ車両検知部であるミリ波レーダー101を設けてもよい。この場合、当該注意喚起装置100aが他の注意喚起装置100b~100xに車両の検出結果を伝送し、伝送先の注意喚起装置においては当該伝送された検出結果を注意喚起要否の判断に用いることが考えられる。
車線10Aを横断歩道12に向かって
図1の奥側から手前側へ通行する車両を検出するための第1ミリ波レーダーと、車線10Bを横断歩道12に向かって
図1の手前から奥側へ通行する車両を検出するための第2ミリ波レーダーとを、別々の注意喚起装置100に設けることも考えられる。
【0044】
人感センサ102については、注意喚起装置100の近傍を通行する人を検知するためのものであるので、各注意喚起装置100a~100xにそれぞれ設けることが好ましい。しかし、例えば1つおきや2つおきの注意喚起装置にのみ人感センサ102を設け、当該注意喚起装置が、共有範囲として予め定めた他の注意喚起装置へ人の検出結果を伝送して、伝送先の注意喚起装置においては当該伝送された検出結果を注意喚起要否の判断に用いることが考えられる。
【0045】
また、後に変形例として説明するように、複数の注意喚起装置100a~100xに設けた人感センサ102における人の検出状態に基づき人の移動方向や移動速度を推定しようとする場合、各注意喚起装置100a~100xは、人感センサ102の検出結果を、上述のミリ波レーダー101の検出結果の場合と同様に他の注意喚起装置に伝送するとよい。
図5では各注意喚起装置100a~100xを直列的に接続する伝送路を矢印で示しているが、接続形態がこれに限られないことはもちろんである。
【0046】
次に、以上説明してきた注意喚起装置100においてプロセッサ121が実行する注意喚起実行のための処理について説明する。
図6はこの処理のフローチャートである。
プロセッサ121は、注意喚起装置100が起動されると、
図6に示す処理を開始する。
【0047】
そして、人感センサ102が人を検出しており(S11でYes)、ミリ波レーダー101が、走行方向で見て横断歩道12の手前の所定距離以内に車両を検出しており(S12とS13でYes)、かつ、当該所定距離以内に動いている車両がある場合(S14でNo)、ランプ103を発光させてランプ103による注意喚起を開始すると共に、腕部111を
図1及び
図3に破線で示す位置に上げて腕部111による注意喚起も開始する。
【0048】
なお、ステップS11からS14の判断に用いる人感センサ102及び/又はミリ波レーダー101の検出結果は、他の注意喚起装置100から伝送されたものであってもよい。また、検出結果の伝送は、これらの判断が行える程度の情報について行えば足りる。
また、ステップS13及びS14における所定距離は、例えば、車道10を標準的な速さで走行する自動車が、標準的な歩行速度の歩行者が横断歩道12を渡り切る前に停止線13A又は13Bに到達すると考えられる程度の距離に、一定程度のマージンを持たせた値とするとよい。
【0049】
例えば、横断歩道12の長さが8メートルであると、時速4kmで歩く歩行者が渡り切るために7.2秒を要する。車道を走る自動車の標準的な速度が時速50kmの場合、この7.2秒で100m進むので、一例としてこれに50%のマージンを加算し、所定距離を150mとすることが考えられる。
【0050】
なお、実際には注意喚起装置100は停止線13A、13Bからやや離れた位置に配置されるため、所定距離は停止線13A、13Bまでの距離を勘案した値に設定するとよい。
従って、ステップS12からS14の判断は、実質的に、所定の目標地点である横断歩道12あるいはその手前の停止線13A、13Bに(停止せずに)近づいてくる車両が所定距離以内にあるか否かを判断していることになる。
【0051】
以上のステップS11からS14までの処理により、注意喚起装置100は、近傍の歩道20に歩行者がおり、かつ車道10を車両が接近してくるという、注意喚起の必要性が高い状況を識別して、歩行者に対して注意喚起を行うことができる。従って、横断歩道12を渡ろうとする歩行者に、左右をよく確認して渡ることを促せるし、横断歩道12の手前で渡ろうとする行為も抑止することができる。ランプ103の光により、歩道20側にこの旨のメッセージを表示してもよい。
【0052】
また、ランプ103の点灯は、車道10を走る車両からも視認できるので、車両に対しても、横断歩道の付近に歩行者がいることを容易に注意喚起して、横断歩道12の手前での一時停止や、スピードを落としての状況確認を促すことができる。ランプ103の光により、車道10側にこの旨のメッセージを表示してもよい。
【0053】
仮に、歩行者が近くにいることだけ、または車両が接近してくることだけをトリガに注意喚起を行うとすると、事故の危険性が極めて低い場合も含めて頻繁に注意喚起を行うこととなり、注意喚起が日常化して却って注意を引けなくなることも考えられる。しかし、ここで説明したように、歩行者が近くにおり、かつ車両が所定距離以内にいる場合、特にその車両が移動して近づいてくる状況といった、事故の危険性がある場合を識別して注意喚起を行うことで、注意喚起の効果を高めることが期待できる。さらに、腕部111の駆動といった比較的消費エネルギーの大きい注意喚起手段を用いる場合には、このように注意喚起の回数を絞ることで省エネルギーの効果も大きく、電池や発電用太陽光パネル等の低容量化を通じてコストやサイズの低減も図れる。
【0054】
図6の処理において、ステップS15の後、プロセッサ121は、注意喚起システム1を構成する他の注意喚起装置100に対して、入出力部105を介して注意喚起信号を送出し(S16)、ステップS11に戻る。この注意喚起信号は、人感センサ102やミリ波レーダー101の検出状態によらず、強制的に注意喚起を実行させるための信号である。
【0055】
すなわち、
図6の処理においてプロセッサ121は、ステップS11からS13のいずれかでNo、またはステップS14でYesであり、人感センサ102及びミリ波レーダー101の検出状態からは注意喚起が不要な状態であると判断した場合、ステップS17で、他の注意喚起装置100から注意喚起信号を受信しているか否か判断する。
そして、YesであればステップS15の場合と同様にランプ103及び腕部111による注意喚起を開始する(S18)。Noであれば注意喚起を停止する(S19)。すなわち、ランプ103を消灯すると共に腕部111を
図1及び
図3に実線で示す位置に下げる。
【0056】
従って、注意喚起装置100が注意喚起信号を受信している場合、強制的に注意喚起を実行することになる。このことで、少なくとも1つの注意喚起装置100において人感センサ102及びミリ波レーダー101の検出状態が注意喚起を行う条件を満たしている限り、全ての注意喚起装置100がほぼ同時に注意喚起を行うことになる。
【0057】
例えば、歩行者が
図1で一番手前の注意喚起装置100の近傍にいる場合、一番奥の注意喚起装置100が備える人感センサ102は、視野角や距離が検出条件に合わずにその歩行者を検出しない(できない)可能性がある。しかし、注意喚起信号を用いることで、一番手前の注意喚起装置100が歩行者を検出し、車両についてもステップS12からS14の条件を満たせば、注意喚起システム1を構成する全ての注意喚起装置100に、注意喚起を行わせることができる。従って、各人感センサ102の検出距離をさほど大きくしなくても、実質的に歩道20の広範囲にわたる歩行者の検出に応じた注意喚起を行うことができる。特に腕部111による注意喚起は、1つの注意喚起装置100だけでなく複数の注意喚起装置100が連動して行うことで、その効果を高めることができる。
【0058】
他方、人感センサ102の検出距離を長くしてしまうと、歩行者が車道10からかなり離れた位置におり、車道10を走る車両と衝突する可能性が低い場合にも注意喚起を行ってしまい、注意喚起の頻度が高くなりすぎることが考えられるが、注意喚起信号を用いることでこのような不都合を防止できる。
また、注意喚起信号を受信していない場合のステップS19の処理は、注意喚起の条件が満たされない場合に注意喚起を行わないようにするための処理、並びに、注意喚起を開始した後で注意喚起の条件が満たされなくなった場合に注意喚起を終了するための処理である。
【0059】
後者の処理が行われるのは、典型的には、歩行者が注意喚起装置100の近くにいる状態で車道10の車線10Aを走る自動車が近づいてきたために注意喚起を開始したが、その自動車が停止線13Aの手前で停止し、他に動いている車両を検出しないため、所定距離以内の全ての車両が停止していると判断して注意喚起を停止するようなケースである。
【0060】
この状態では、歩行者は安全に横断歩道12を渡れるため、注意喚起の必要性が低くなったと判断できる。
しかし、例えばこの状態で逆方向の車線10Bには未だ接近中の車両を検出している場合には、注意喚起が必要な状態が継続しており、注意喚起は終了させない。
このように、注意喚起システム1においては、各注意喚起装置100のプロセッサ121が
図6の処理を実行することで、車両及び歩行者の検出状態に応じて、注意喚起の必要性が高い状況を適切に識別して注意喚起を行うことができる。
【0061】
〔第1実施形態の第1変形例:
図7〕
次に、以上説明した第1実施形態に適用可能な第1変形例について説明する。この第1変形例は、プロセッサ121が
図6の処理に代えて
図7の処理を行う点が第1実施形態と異なるのみであるので、この点のみ説明する。
第1変形例の注意喚起システム1において、各注意喚起装置100が備えるプロセッサ121は、注意喚起装置100が起動されると、
図7に示す処理を開始する。
【0062】
図7の処理は、ステップS16、S17及びS18の処理がない点が、
図6の処理と異なるのみである。従って、注意喚起装置100は注意喚起信号を送出せず、注意喚起信号により強制的に注意喚起を実行することもない。各注意喚起装置100は、自身が参照するミリ波レーダー101及び人感センサ102の検出結果に応じて、個別に注意喚起を行うことになる。
【0063】
このため、例えば
図1で一番手前の注意喚起装置100の近傍に歩行者がいる状態で車道20を走る車両が近づいてきたとすると、その状態で歩行者を人感センサ102により検出できる、例えば手前側2つの注意喚起装置100のみが注意喚起を行う。奥側3つの注意喚起装置100は視野角や距離が検出条件に合わずに歩行者を検出しない(できない)とすると、それら3つの注意喚起装置では、ステップS11の判断がNoとなるため注意喚起を行わない。
【0064】
そしてその後、歩行者が横断歩道12の方向へ移動すると、より横断歩道12寄りの注意喚起装置100が歩行者を検出し、
図1で手前側の注意喚起装置100は歩行者を検出しなくなると考えられる。そうすると、それに連れて、より横断歩道12寄りの注意喚起装置100のみが注意喚起を行うようになる。
【0065】
すなわち、歩行者の移動に連れて、歩行者の近傍にある注意喚起装置100のみが注意喚起を行うため、第1実施形態の場合と比べ、車両側から見ると、歩行者がどの位置にいるのかが把握しやすくなる。例えば、ランプ103の点灯位置が横断歩道12に近づく向きに動いていれば、横断歩道12を渡ろうとしている歩行者が近くにいる可能性を認識することができる。逆に、ランプ103の点灯位置が横断歩道12から遠ざかる向きに動いていれば、歩行者が近くにいるものの、横断歩道12を渡ろうとしている可能性が低いことを認識できる。特に視界の悪い夜間においては、このように車両側から歩行者の存在と動きを認識できるようにすることで、交通の安全性への寄与が大きい。
また、以上のような注意喚起によれば、歩行者側から見ても、自身の動きに応じて注意喚起がなされていることを把握しやすくすることができる。
【0066】
なお、歩行者を検出した注意喚起装置100だけでなく、例えばその両隣等、歩行者を検出した注意喚起装置100に対応して予め又は所定の規則に基づき定められた1又は複数の特定の注意喚起装置100も、同時に注意喚起を行うようにすることも考えられる。この場合、注意喚起を行わせる注意喚起装置のみに対して注意喚起信号を送出すると共に、
図6の処理と同様に、注意喚起信号の受信に応じた注意喚起を行うようにすればよい。
【0067】
〔注意喚起部の別の構成例:
図8から
図12〕
次に、以上説明した第1実施形態に適用可能なその他の変形例として、注意喚起部の別の構成例について説明する。
第1実施形態の注意喚起装置100では、注意喚起部としてランプ103と腕部111を設けたが、他の構成も採用可能である。
図8から
図12に、注意喚起装置近傍を通行する人に対して注意を喚起するために腕部111に代えて設けることが考えられる、種々の注意喚起部の例を示す。これらの図は、注意喚起部の動作に注目して注意喚起装置の構成を示すものであり、その他の構成の図示は省略している。ランプ103に当たる構成は、設けても設けなくてもよい。
【0068】
図8に示す注意喚起装置140においては、ポール状の本体部141の中間部の両側に、側方に向って伸縮可能な伸縮体142を設けている。これら伸縮体142は、ゴムなどの伸縮可能な素材からなり、本体部141に内蔵された空気ポンプなどによって、収縮可能に構成されている。伸縮体142は、伸長したときに、2点鎖線で示すように隣接する他の注意喚起装置140との隙間を少なくとも部分的に塞ぐように、横方向に向って伸びる。このことで注意喚起を行うとともに、歩行者が隣接する注意喚起装置140の間を通り抜けることを心理的に抑制することができる。
なお、伸縮体142は、矢印Cで示すように周期的に伸縮して、歩行者が隣接する注意喚起装置140の間を通り抜けることを抑制してもよい。また、本体部141に伸縮体142を1本のみ設けてもよい。
【0069】
図9に示す注意喚起装置150においては、ポール状の本体部151の頂部に膨張可能な膨張体152を設けている。この膨張体152は、樹脂などの柔軟な素材からなり、本体部151に内蔵された空気ポンプなどによって膨張可能に構成されている。膨張体152は、2点鎖線で示すように、概ね球状に膨張し、隣接する他の注意喚起装置150との隙間を狭め、少なくとも部分的に塞ぐ。このことで注意喚起を行うとともに、歩行者が隣接する注意喚起装置150の間を通り抜けることを心理的に抑制することができる。
なお、膨張体152は、矢印Dで示すように周期的に膨張、縮小を繰り返し、歩行者が隣接する注意喚起装置150の間を通り抜けることを抑制してもよい。
【0070】
図10に示す注意喚起装置160においては、
図2の注意喚起装置100の基部112に当たる本体部161の上側に、ベローズ体162を設けている。ベローズ体162は、樹脂などの柔軟な素材で構成され、本体部161に内蔵された空気ポンプなどによって伸長可能に構成されている。ベローズ体162は、2点鎖線で示すように伸長することで、注意喚起を行うとともに歩行者が注意喚起装置160の上を通り抜けることを抑制する。
【0071】
なお、ベローズ体162は、矢印Eで示すように周期的に膨張、縮小を繰り返し、歩行者が注意喚起装置160の上を通り抜けることを抑制してもよい。
注意喚起部を
図10に示す構成とする場合、ミリ波レーダー101や人感センサ102は、変形しない本体部161に設けるとよい。このため、本体部161にはある程度の高さを持たせることが好ましい。
【0072】
図11に示す注意喚起装置170においては、
図2の注意喚起装置100の基部112に当たる本体部171の上側に、膨張体172を設けている。膨張体172は、樹脂などの柔軟な素材で構成され、本体部171に内蔵された空気ポンプなどによって膨張可能に構成されている。膨張体172は、2点鎖線で示すように上方に向けて膨張することで、注意喚起を行うとともに歩行者が注意喚起装置170の上を通り抜けることを抑制する。
【0073】
なお、膨張体172は、矢印Fで示すように周期的に膨張、縮小を繰り返し、歩行者が注意喚起装置170の上を通り抜けることを抑制してもよい。
注意喚起部を
図11に示す構成とする場合にも、ミリ波レーダー101や人感センサ102は、変形しない本体部171に設けるとよい。このため、本体部171にはある程度の高さを持たせることが好ましい。
【0074】
図12に示す注意喚起装置180においては、複数の注意喚起装置180の各本体部181に跨るように、上下動可能なバー182を設けている。バー182は、樹脂などの柔軟な素材からなり、少なくとも1つの注意喚起装置180の本体部181に内蔵された空気ポンプ、アクチュエータなどによって上下に移動させることができる。バー182が、2点鎖線で示すように上方に位置するとき、注意喚起を行うとともに歩行者が隣接する注意喚起装置180の間を通り抜けることを抑制することができる。
【0075】
なお、バー182は、矢印Gで示すように周期的に上下動を繰り返して、歩行者が隣接する注意喚起装置180の間を通り抜けることを抑制してもよい。
以上の注意喚起装置160~180において、特に本体部161、171、181、ベローズ体162、膨張体172、バー182に、注意喚起装置100のランプ103に相当する光源を設け、光による注意喚起を合わせて行えるようにしてもよい。
【0076】
〔第2実施形態:
図13及び
図14〕
次に、この発明の第2実施形態である注意喚起装置200について説明する。
この注意喚起装置200は、ハードウェアとしては腕部111を備えていない点が第1実施形態における注意喚起装置100と大きく異なるが、その他の点では注意喚起装置100と共通である。
【0077】
図13に、注意喚起装置200の、
図2Aと対応する側面図を示す。
注意喚起装置200は、
図13に示すように、柱状の本体部210に、ミリ波レーダー201、人感センサ202、およびランプ203を備える構成である。本体部210は、基部212を介してアンカー等により地面に固定される。これらの各部の構成及び機能は、第1実施形態で説明した注意喚起装置100における対応する構成と同様である。
【0078】
図14に、この注意喚起システム1を、歩道と車道の境界付近に配置した状態を示す。
図14において、
図1と対応する部分には同じ符号を用いている。
注意喚起装置200は、例えば横断歩道12の近傍の、車道20と歩道10の境界付近に配置して用いることが考えられる。
図14の例では、注意喚起装置200を他の注意喚起装置と組み合わせず単独で運用することを想定している。横断歩道12の近傍に配置しているのは、この付近において歩行者に接近する車両の存在を報知し、また接近する車両に対して歩行者の存在を報知することが、交通の安全確保のために特に有用と考えられるためである。
【0079】
注意喚起装置200が備える制御部の構成は、第1実施形態において
図4に示した制御部120と同様である。そして、プロセッサが実行する処理は
図7に示した処理と概ね同様であり、ステップS15及びS19で腕部に関する処理を行わない点が異なるのみである。
注意喚起装置200は、以上の処理を行うことで、第1実施形態の注意喚起装置100の場合と同様、近傍の歩道20に歩行者がおり、かつ車道10を車両が接近してくるという、注意喚起の必要性が高い状況を識別して、歩行者に対して注意喚起を行うことができる。また、当該車両が横断歩道12の前で停止し、他に車両を検出しない場合には、注意喚起を終了することができる。
【0080】
このように柱状の注意喚起装置200を単独で用いる場合、歩行者の進行を抑止する効果は腕部110等の物理的な抑止手段を用いる場合に比べて小さいが、ランプ203による注意喚起の効果は、歩道20を通行する歩行者に対しても車道10を通行する車両に対しても、第1実施形態における注意喚起装置100の場合と同様に得ることができる。
【0081】
〔その他の変形例〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、システムや装置各部の具体的な構造、形状、数量、材質、配置、使用目的、処理の手順等は、上述の各実施形態で説明したものに限られない。
例えば、注意喚起システム1の設置目的、注意喚起装置100の数、配列方向、配置位置等が、
図1や
図14に示したものに限られないことはもちろんである。
【0082】
注意喚起システム1や注意喚起装置200を横断歩道12の付近に設置することも必須ではない。注意喚起システム1や注意喚起装置200を道路に配置すること自体、必須ではない。道路以外の交通路であっても、車両が通行する第1領域と歩行者が通行する第2領域とがあり、歩行者が第2領域から第1領域に進入することを抑止することが有用なケースにおいては、第1領域と第2領域の境界付近に注意喚起システム1や注意喚起装置200を配置し、運用することで、上述の実施形態で説明したものと同様な効果が得られる。
また、注意喚起部の注意喚起方法として、光や形状変化の他、警告音やメッセージを用いることも考えられる。メッセージは、音声によるものでも、ディスプレイによる表示でも、地面等への投影により形成されるものでもよい。
【0083】
また、
図6のステップS13及びS14で用いる所定距離につき、例えば予め設定された所定距離よりも遠方で検出した車両が、その時間当たりの距離変化量から、明らかに標準的な速度よりも遅い速度で移動していることが検出できた場合、当該検出した速度に基づき所定距離を計算し直し、その値をステップS13及びS14の判断に用いることも考えられる。このことで、自転車や原動機付き自転車等の、比較的速度の遅い車両が接近してくる場合に、必要以上に遠方にいる時点から注意喚起を行ってしまうことを防止できる。
【0084】
逆に、明らかに標準的な速度よりも速い速度で移動していることが検出できた場合も、同様に所定距離を計算し直してもよい。このことで、スピード違反の車両が接近してくる場合に、より遠方にいる時点から注意喚起を開始し、事故防止を図ることができる。
また、
図6の説明中で例示した、所定距離の見積もりに用いる歩行者の移動距離として、横断歩道12の長さに、各注意喚起装置100の位置から横断歩道12までの距離を加えた値を用いてもよい。この場合、横断歩道12から遠い位置にある注意喚起装置100ほど、ステップS13及びS14の処理に用いる所定距離の値が大きくなる。このことで、横断歩道12から多少離れた位置に注意喚起装置100がある場合でも、歩行者が横断歩道12に到達する時点で車両が近くにいると見積もられる場合を識別して注意喚起を行うことができる。
【0085】
また、注意喚起装置100が、車線10Aを走る車両と車線10Bを走る車両を、ミリ波レーダー101が当該車両を検出した方向や当該車両を検出した位置の変化方向に基づき区別するようにしてもよい。そして、
図6及び
図7のステップS13及びS14の処理における所定距離として、車線と対応する所定距離を適用してもよい。
【0086】
図15を用いてこの点について説明する。
図15は、注意喚起装置とその周辺の交通の状況の例を模式的に示す平面図である。
図15の例では、
図1に示したものと同様な配置を示しており、注意喚起システムを構成する5つの注意喚起装置に、横断歩道12から近い順に100a~100eの符号を付している。センターライン11が、第1通行帯である車線10Aと第2通行帯である車線10Bとを区分する境界に該当する。車線10Aと車線10Bとでは、車両が進行すべき方向が互いに異なる。
【0087】
ここで、注意喚起装置100aがミリ波レーダー101を備えているとすると、車線10Aを横断歩道12に向かって走行する車両40a、40bは、概ね符号xで示す角度範囲の方向に検出される。また、車線Bを横断歩道12に向かって走行する車両40cは、概ね符号yで示す角度範囲の方向に検出される。
【0088】
従って、注意喚起装置100aは、横断歩道12に向かって走行する車両を検出した方向により、その検出した車両がどちらの車線を通行しているかを識別することができる。ここで、車線10Aを通行する車両であっても横断歩道12を通り過ぎた後では角度範囲yの方向に検出され得るし、車線10Bを通行する車両であっても横断歩道12を通り過ぎた後では角度範囲xの方向に検出され得る。しかし、横断歩道12から遠ざかるように走行する車両は車線の判別において無視して差し支えない。
【0089】
また、ミリ波レーダー101の視野角が広く、角度範囲xと角度範囲yの双方を含む範囲について車両及びその位置を検出できる場合、車両を検出した位置の経時変化に基づき、その検出した車両がどちらの車線を通行しているかを識別することができる。例えば、車両を検出した位置が図で右側から左側に向かって変化している場合にはその車両は車線10Aを走行していると判断できるし、逆に左側から右側に向かって変化している場合にはその車両は車線10Aを走行していると判断できる。
【0090】
次に、
図6及び
図7のステップS13及びS14の処理における所定距離について説明する。
車両が車線10Bを走行している場合、例えば停止線13Bから手前150m以内に車両を検出した場合にステップS13がYesになるようにするためには、所定距離として概ね150mの値を使えばよい。停止線13Bと注意喚起装置100aとでは、車両の進行方向の位置がほぼ同じであり、車道10を横断する方向の位置の差も、150m遠方であれば無視できる程度であるためである。
【0091】
しかし、車両が車線10Aを通行している場合には、同様に停止線13Aから手前150m以内に車両を検出した場合にステップS13がYesになるようにするためには、所定距離として150mより大きい値を使う必要がある。停止線13Aと注意喚起装置100aとでは、車両の進行方向の位置が大きく異なるためである。例えばこの差が10mであれば、所定距離は150mに10mを加えて160mとすべきである。
【0092】
このように、所定距離の値を、検出した車両が通行している車線に応じて異なる値とすることで、より正確に、注意喚起を行う必要性が高い状況を識別することができる。この効果は、注意喚起装置100eのように、停止線13A、13Bや横断歩道12等の、距離測定の基準となる位置から離れた位置に注意喚起装置100e(又はミリ波レーダ101のような車両検出部)が配置されている場合に特に大きい。
各車線と対応する所定距離や、車線毎の所定距離の補正量を予めメモリ122に記憶させておくとよい。
【0093】
また、さらに別の変形として、
図6及び
図7のステップS14において、車線毎に、停止線13A、13B(所定の目標地点)の手前側にあって最も近い位置の車両が停止線13A、13Bの近傍に停止していれば、Yesと判断するようにしてもよい。この場合、その後ろ側に移動する車両があっても、停止している車両の手前で停止すると考えられ、歩行者に危険を及ぼす可能性が極めて低いと想定されるので、注意喚起を終了して差し支えないと考えられるためである。例えば、
図15に示すように車線10Aを通行する車両40aが停止線13Aの手前すぐの位置で停止している場合、後ろから別の車両40bが走行してきても、車両40aの後ろで停止すると考えられる等である。
【0094】
また、さらに別の変形として、各注意喚起装置100a~100eが備える人感センサ102が人を検出したタイミングの差に基づき、歩道20を通行する人の進行方向や進行速度を推定し、その結果を注意喚起の有無に反映させることも考えられる。
ここで、各注意喚起装置100a~100eが備える人感センサ102が人を検出可能な範囲がそれぞれ概ね
図15に破線102a~102eであるとする。そうすると、各注意喚起装置100a~100eの近傍を矢印51aで示す向きに横断歩道12に向けて進行する歩行者50aは、注意喚起装置100e~100aにこの順で少しずつずれたタイミングで検出されることになる。逆に、矢印51bで示す向きに横断歩道12から遠ざかるように進行する歩行者50bは、注意喚起装置100a~100eにこの順で少しずつずれたタイミングで検出されることになる。
【0095】
従って、注意喚起装置100a~100eが人を検出したタイミングの差に基づき、当該人が進行する方向を推定することができる。この推定は、所要のプログラムを実行することで進行方向推定部として機能するプロセッサ121が行うことができる。自身以外の全ての注意喚起装置から検出タイミングを集めなくても、自身との位置関係がわかる他の少なくとも1つの注意喚起装置における検出タイミングの情報があれば、進行方向を推定可能である。
【0096】
この進行方向の情報は、例えば、人が横断歩道12に向かって進行している場合には
図6又は
図7に示した処理による注意喚起を行い、逆に横断歩道12から離れるように進行している場合には、車道20を渡る可能性が低く必要性が比較的小さいため車両や人の検出状態によらず注意喚起は行わない、といった形で注意喚起の処理に反映することが考えられる。
【0097】
また、少なくとも2つの注意喚起装置100が人を検出したタイミングの差の値で、それらの注意喚起装置100の間の距離(より正確には、それらの注意喚起装置100が備える人感センサ102の検出可能範囲のずれ量)を除することで、当該人が進行する速度を推定することもできる。この推定は、所要のプログラムを実行することで進行速度推定部として機能するプロセッサ121が行うことができる。
例えば、第1実施形態で説明したようなステップS13及びS14で用いる所定距離の値を、この推定した速度に基づき定めるとよい。このことで、歩行者の速度が遅い場合には車両がより遠くにいる場合でも事故の危険があるため注意喚起をする、といった歩行者の速度に応じた注意喚起が可能となる。
【0098】
また、さらに別の変形として、注意喚起装置100又は注意喚起装置200に、周囲の明るさを検知する光検知部を設け、ステップS13及びS14で用いる所定距離の値を、検知された周囲の明るさに応じて定めることも考えられる。例えば、周囲が暗い場合には事故の危険性が高まるため、所定距離を大きくして、車両がより遠くにいる場合でも注意喚起を行うことが考えられる。
【0099】
また、さらに別の変形として、ステップS13とS14で、所定距離として異なる値を用いてもよい。
また、さらに別の変形として、車両検知部も人検知部も備えず、他の注意喚起装置100から送出される注意喚起信号に応じた注意喚起のみを行う注意喚起装置が、注意喚起システム1に含まれていてもよい。
【0100】
また、以上説明してきた実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であり、また、一部のみを取り出して実施することができることも、もちろんである。
【符号の説明】
【0101】
1…注意喚起システム、10…車道、10A,10B…車線、11…センターライン、12…横断歩道、13A,13B…停止線、20…歩道、20A,20B…歩道の部分、40a~40c…車両、50a,50b…歩行者、51a,51b…歩行者の進行方向を示す矢印、100,100a~100e,100x,140,150,160,170,180,200…注意喚起装置、101,201…ミリ波レーダー(車両検出部)、102,202…人感センサ(人検出部)、102a~102e…人感センサの検出可能範囲、103,203…ランプ、104…アクチュエータ、105…入出力部、106…電源部、110,141,151,161,171,181,210…本体部、111…腕部、112,212…基部、113…溝、114…ブラケット、115…回動軸、120…制御部、121…プロセッサ、122…メモリ、123…システムバス、131~136…インタフェース、142…伸縮体、152,172…膨張体、162…ベローズ体、182…バー、x,y…車線と対応する角度範囲
【要約】
【課題】注意喚起の必要性が高い状況を識別しつつ歩行者などの交通参加者に対して注意喚起を行えるようにする。
【解決手段】 道路において、車両が通行する車道10と歩行者が通行する歩道20との境界付近に複数の注意喚起装置100を配列して注意喚起システム1を構成し、車道10を通行する車両及びその位置を検出する車両検出部を設け、注意喚起装置100の少なくとも1つに、歩道20の当該注意喚起装置100近傍を通行する人を検出する人検出部を設け、注意喚起装置100の少なくとも1つに、当該注意喚起装置100近傍を通行する人に対して注意を喚起する注意喚起部を設け、上記車両検出部が所定距離以内に車両を検出し、かつ上記人検出部が人を検出した場合に、上記注意喚起部に注意喚起を行わせるようにした。この注意喚起は、各注意喚起装置100の腕部110を隣接する注意喚起装置100に向けて広げて行うことが考えられる。
【選択図】
図1