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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】気道の開通を維持する中咽頭器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20240222BHJP
   A61F 5/56 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61M16/06 D
A61F5/56
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019546859
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018020165
(87)【国際公開番号】W WO2018160660
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】62/464,702
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/516,863
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/567,358
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500429332
【氏名又は名称】ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】CASE WESTERN RESERVE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】デュラン,ドミニク・エム
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-531523(JP,A)
【文献】特表2011-529758(JP,A)
【文献】特表2013-531516(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114832(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0180798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
A61F 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤであって、前記ワイヤの第1の端部と前記ワイヤの第2の端部との間に延在し、被験者の下顎骨に平行な平面内で、前記下顎骨の対向する側の舌の表面に沿って前記第1の端部及び前記第2の端部から後方向に延在し、且つ前記被験者の舌の咽頭部の後ろで弧を形成し、前記ワイヤの前記弧の一部が、舌の前記咽頭部に接触し、前記ワイヤが睡眠中に舌の前記咽頭部が落ち込んで前記被験者の中咽頭を閉塞することを防止するとともに、舌が嚥下中に動くことを許容することに適合し、前記第1の端部と前記第2の端部が、前記ワイヤの自由端であるワイヤと、
前記ワイヤの前記第1の端部を前記被験者の前記下顎骨の少なくとも1つの前歯に近接するマウスピース上の第1のアンカーポイントにおけるアンカーに固定するように、前記ワイヤの前記第1の端部に装着されるように設けられている第1のアンカー構造と、
前記ワイヤの前記第2の端部を前記被験者の前記下顎骨の少なくとも他の1つの前歯に近接するマウスピース上の第2のアンカーポイントにおけるアンカーに固定するように、前記ワイヤの前記第2の端部に装着されるように設けられている第2のアンカー構造と、を含み、
前記第1のアンカー構造及び前記第2のアンカー構造は、それぞれ押されたり引かれたりした後に解放されると元の形状に復元する少なくとも1つの弾性装置を含み、前記少なくとも1つの弾性装置は、舌の前記ワイヤに対する重さに抵抗するように設けられ、
前記第1のアンカー構造と前記第2のアンカー構造は、それぞれ、前記ワイヤの前記第1の端と前記第2の端から離れて、前記第1のアンカーポイントと前記第2のアンカーポイントに向かって延在する、ことを特徴とする中咽頭器具。
【請求項2】
少なくとも舌の前記咽頭部に接触する前記ワイヤの前記弧の前記一部は、前記ワイヤよりも大きな断面積を有し、且つ舌の後咽頭部にさらに接触するように設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の中咽頭器具。
【請求項3】
前記第1のアンカー構造と前記第2のアンカー構造のそれぞれは、前記マウスピースの舌面と緊密に嵌合するように設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の中咽頭器具。
【請求項4】
前記ワイヤの少なくとも一部には、生体適合性材料が塗布されている、ことを特徴とする請求項1に記載の中咽頭器具。
【請求項5】
前記ワイヤは、生体適合性金属、生体適合性ポリマーおよび有機材料のうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の中咽頭器具。
【請求項6】
システムであって、前記システムは、被験者の口腔内に取り外し可能に配置されるように設けられ、
前記被験者の下顎骨の少なくとも1つの歯に取り外し可能に装着されるように設けられたマウスピースと、
前記マウスピースに装着されるように設けられた中咽頭器具とを含み、
前記中咽頭器具は、
ワイヤであって、前記ワイヤの第1の端部と前記ワイヤの第2の端部との間に延在し、被験者の下顎骨に平行な平面内で、前記下顎骨の対向する側の舌の表面に沿って前記第1の端部及び前記第2の端部から後方向に延在し、且つ前記被験者の舌の咽頭部の後ろで弧を形成して前記咽頭部に接触し、前記ワイヤの前記弧の大きさ及び寸法は、前記被験者の舌の前記咽頭部が睡眠中に落ち込んで前記被験者の中咽頭を閉塞することを防止するとともに、舌が嚥下中に動くことを許容するように設定され、前記第1の端部と前記第2の端部が、前記ワイヤの自由端であるワイヤと、
アンカーシステムと、を含み、
前記アンカーシステムは、
前記ワイヤの前記第1の端部に装着され、且つ前記被験者の前記下顎骨の少なくとも1つの前歯に近接するマウスピース上のアンカーポイントにおけるアンカーに装着されるように設けられている第1のアンカー構造と、
前記ワイヤの前記第2の端部に装着され、且つ前記被験者の前記下顎骨の少なくとも他の1つの前歯に近接するマウスピース上の他のアンカーポイントにおけるアンカーに装着されるように設けられている第2のアンカー構造と、を含み、
前記第1のアンカー構造と前記第2のアンカー構造は、前記ワイヤの前記第1の端及び前記第2の端を前記マウスピースの前記アンカーポイントにおいて前記マウスピースの前記舌面と緊密に嵌合するように設けられ、且つ、前記アンカーシステムは、舌の重みによって前記ワイヤが移動することを防止するが、前記ワイヤが嚥下中に動くことを許容するようにさらに設けられている、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記アンカーシステムは、押されたり引かれたした後に解放されると元の形状に復元する少なくとも1つの弾性装置を含む、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月28日に提出された「閉塞性睡眠時無呼吸の舌保持偽体」と題した米国仮出願第62/464,702と、2017年6月8日に提出された「中咽頭保護器具」と題した米国仮出願第62/516,863との優先権を主張するものである。本出願は、2017年10月3日に提出された「閉塞性睡眠時無呼吸検出及び監視のためのシステム及び方法」と題した米国仮出願第62/567,358の優先権をさらに主張するものである。これらの一時的な出願は、あらゆる目的のためにその開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、閉塞性睡眠時無呼吸に関し、より具体的には、閉塞性睡眠時無呼吸を予防または治療するために睡眠中に気道の開通を維持する中咽頭器具に関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠時無呼吸は、睡眠中に患者が呼吸困難になる睡眠障害である。睡眠中におけるこのような呼吸困難は、夜間低酸素血症と睡眠の断片化を招いてしまい、これは、併発症(例えば、昼間の眠気)、および、心臓と神経の合併症をもたらすおそれがある。睡眠時無呼吸の最も一般的なタイプは、閉塞性睡眠時無呼吸であり、米国だけで2700万人の患者が罹患している。閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に軟組織が繰り返し落ち込んで上気道を閉塞することを特徴とする。気道閉塞は、夜間に複数回発生する可能性のある呼吸停止または低呼吸又は徐呼吸をもたらす。睡眠時無呼吸を患っている個体は、目覚めるときでも呼吸困難をほとんど意識せず、関連する不良な診断と治療につながる。実に、睡眠時無呼吸を治療する薬物療法が存在しない。持続陽圧呼吸(CPAP)治療や下顎前進装置(MAD)治療などの幾つかの機械的療法が存在するが、これらの療法がしばしば不適切に使用され、耐性が低いおよび/または効果がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、閉塞性睡眠時無呼吸に関し、より具体的には、閉塞性睡眠時無呼吸を予防または治療するために睡眠中に気道の開通を維持する中咽頭器具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本開示は、睡眠中に気道の開通を維持するように構成される中咽頭器具を含むことができる。中咽頭器具は、被験者の舌の咽頭部の落ち込みを防止することに適合する終端部を有する受動舌保持構造を含む。中咽頭器具は、受動舌保持構造に接続され、受動舌保持構造を被験者の口腔内に取り外し可能に固定するとともに、移動を許容することに適合する少なくとも1つのアンカー構造をさらに含むことができる。受動舌保持構造の寸法は、嘔吐反射を誘発することなく睡眠中に中咽頭の閉塞を終端部が防止するとともに、嚥下中に舌が動くことを許容するように設定されている。
【0006】
別の態様では、本開示は、睡眠中に気道の開通を保持できる中咽頭システムを含むことができる。当該システムは、中咽頭器具を含むことができ、この中咽頭器具の寸法は、嘔吐反射を誘発することなく睡眠中に被験者の舌の咽頭部が中咽頭を閉塞することをその終端部が防止するとともに、嚥下中に舌が動くことを許容するように設定されている。当該システムは、アンカーシステムをさらに含むことができ、当該アンカーシステムは、中咽頭器具の一部を所定の解剖位置に固定するように中咽頭器具と緊密に嵌合するように設けられている。
【0007】
別の態様では、本開示は、睡眠中に気道の開通を保持するように設けられている中咽頭装具を被験者の口内に装着する方法を含むことができる。被験者の口腔の画像を撮影することができる。これらの画像に基づいて、中咽頭器具を製造することができる。製造の後に、中咽頭器具を被験者の口腔に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面を参照しながら以下の説明を読む場合に、本開示の上記および他の特徴は、本開示に係る当業者にとって明らかになるであろう。
図1】舌が中咽頭に落ち込むことを制限するシステムを示す模式図である。
図2】本開示の一態様による、閉塞性睡眠時無呼吸を予防または治療するために睡眠中に気道の開通を保持するように設けられる中咽頭器具の一例を示す模式図である。
図3図1の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図4図1の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図5図1の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図6図1の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図7図1の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図8】本開示の別の態様による、閉塞性睡眠時無呼吸を予防または治療するために睡眠中に気道の開通を維持するための中咽頭器具の例を示す模式図である。
図9図8の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図10図8の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図11図8の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図12図8の中咽頭器具の異なる例を示す模式図である。
図13図8におけるマウスガード(mouthguard)に装着された中咽頭器具を示す写真である。
図14】本発明の別の態様による、中咽頭器具を被験者の口腔内に装着する方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
I.定義
本明細書で用いられる技術用語は、特に断りがない限り、当業者に一般的に理解される意味と同義である。
【0010】
本開示の文脈において、単数形の「1」、「1つ」、および「当該」は、特に明記しない限り、複数形を含んでもよい。
【0011】
本明細書で使用される用語「含む」および/または「包含」は、前記特徴、ステップ、操作、要素および/または部品の存在を特定することができるが,一つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、部品および/またはグループの存在を除外するものではない。
【0012】
本明細書で使用される用語「および/または」は、関連して列挙された項目の1つ、または1つ以上の組み合わせのうちのいずれか、またはそれらの組み合わせのすべて、を含んでいる。
【0013】
なお、一方の要素が、「他方の要素上にある」、「他方の要素に装着されている」、「他方の要素に接続されている」、「他方の要素に結合されている」、「他方の要素に接触している」などと呼ばれる場合、他方の要素に直接的に位置する可能性があり、または他方の要素に直接的に装着されている可能性があり、または他方の要素に直接的に接続されている可能性があり、または他方の要素に直接的に結合されている可能性があり、または他方の要素に直接的に接触している可能性があり、または介在要素が存在している可能性もあると理解されるべきである。逆に、一方の要素が、例えば「他方の要素に直接的に結合されている」または「他方の要素に直接的に接触している」と呼ばれる場合、介在要素が存在しない。また、別の特徴に「隣接」して配置された構造または特徴に対する引用が、隣接する特徴を覆うまたは隣接する特徴の下に位置する部分を有し得ることも、当業者には理解されるところである。
【0014】
本明細書において、説明の便宜上、図面に示す1つの要素又は特徴と他の要素又は特徴との関係を説明するために、例えば、「……下方にある」、「……下にある」、「……より低い」、「…上方にある」、「……上にある」などの空間相対用語を用いることができる。また、空間相対用語には、図中に示した方向の他に、使用または操作におけるデバイスの異なる配向が含まれてもよい。例えば、図中のデバイスが反転されると、他の要素の「下方」または「下」に記載される要素が、他の要素または特徴の「上方」にあるように配向される。
【0015】
また、ここでは、「第1」、「第2」等の用語を用いて各種の要素を記述することができるが、これらの要素は、これらの用語に限定されるものではない。これらの用語は、一方の要素と他方の要素とを区別するためだけに用いられるものである。したがって、本開示の教示を逸脱しない限り、以下で説明する「第1」の要素は、「第2」の要素と呼ばれてもよい。また、特に明記しない限り、操作手順(または動作/ステップ)は、特許請求の範囲または図面に示した順序に限定されるものではない。
【0016】
本明細書で使用される「閉塞性睡眠時無呼吸」とは、被験者の気道の完全または一部の閉塞による睡眠障害を意味し、被験者が呼吸を努力しているにもかかわらず、睡眠中の繰り返しの低呼吸や無呼吸の発作を招いてしまう。閉塞は、軟組織が落ち込んで被験者の上気道の中咽頭に入ることによって引き起こされるおそれがある。
【0017】
本明細書で使用される「下顎骨」とは、被験者の下顎を意味することができる。なお、下顎骨は、頭蓋骨内で唯一の移動可能な骨格である。
【0018】
本明細書で使用される「口」とは、包囲構造又は口腔内の構造を意味することができる。口は、複数の歯と舌とを含んでもよい。
【0019】
本明細書で使用される「口腔」とは、口部の腔を意味することができ、上顎骨と下顎骨と頬とによって画定される。
【0020】
本明細書で使用される用語「舌」は、被験者の口腔における肉質筋肉器官を指すことができる。舌は、前口部と後咽頭部で構成されることができる。後咽頭部は、舌の後ろ三分の一であってもよく、該舌は、中咽頭の一部である。
【0021】
本明細書で使用される用語「中咽頭」は、口の後方の喉の一部を指すことができる。中咽頭は、口腔が終了する箇所から始まり、舌の後咽頭部を含むものである。
【0022】
本明細書で使用される「アーチ状」とは、略屈曲した形状を意味する。アーチ状としては、例えば、円弧状、弓形状などが挙げられる。しかしながら、いくつかの例では、アーチ状は、1つ以上の屈曲部分、線形部分、または他の曲線配置を含んでいてもよく、一般的な曲率が存在していればよい。
【0023】
本明細書で使用される「スプリング」とは、押したり引いたりできるが、解放すると元の形状に復元する弾性装置を指すことができる。いくつかの例では、スプリングは、少なくとも一部が螺旋状に成形されていてもよい。スプリングの例示的な使用例としては、一定の張力をかけたり、動きを吸収したりすることが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される「器具」とは、特定のタスクを実行するように設定された装置を指すことができる。用語「デバイス」は、用語「器具」と互換的に使用することができる。
【0025】
本明細書で使用される「防止」とは、何らかの事情が発生したり、出現したりすることを防止することを意味することができる。例えば、いびきの被験者が装着した場合には、中咽頭器具は、被験者に閉塞性睡眠時無呼吸が発生することを防止することができる。
【0026】
本明細書で使用される用語「治療」とは、医学障害を治療または治癒することを指すことができる。一例として、閉塞性睡眠時無呼吸を有する被験者に装着されると、中咽頭器具は、舌や他の軟組織が中咽頭に入ることを防止して閉塞性睡眠時無呼吸を治療することができる。
【0027】
本明細書で使用される用語「ワイヤ」は、金属、ポリマー、複合材料又は他の材料構造を指すことができる。場合によっては、材料構造の断面積が、一定であってもよい。他の例では、材料構造の断面積が、ワイヤの少なくとも一部からワイヤの他の一部にかけて可変であってもよい。ワイヤの横断面は、円形、屈曲、矩形、線形、扁平、曲線、星形または他の任意の形状であってもよい。
【0028】
本明細書で使用する用語「被験者」と「患者」は、互換的に使用でき、かつ任意の温血生物を指し,ヒト、豚、ラット、マウス、犬、猫、ヤギ、綿羊、馬、サル、猿、ウサギ、ウシ等を含むが、それらに限定されない。
【0029】
II.概要
本開示は、全体的に閉塞性睡眠時無呼吸の予防または治療に関する。予防または治療は、軟組織(例えば舌)が中咽頭に入ることによる睡眠中の気道閉塞を防止するための中咽頭器具、機械装置の助けを借りることで達成することができる。睡眠時無呼吸を患っている患者では、睡眠中に舌の筋肉が弛んで、舌が吸気中に発生した負圧によって中咽頭に引き込み可能である。中咽頭器具は、舌が睡眠中に後ろに移動して中咽頭に入ることを防止して、気道の開通を保持するものである。
【0030】
中咽頭器具は、舌が後ろに移動することを防止可能な受動舌保持構造と、受動舌保持構造を被験者の口内に取り外し可能に固定するとともに移動を許容することに適合する少なくとも1つのアンカー構造と、を含むことができる。受動舌保持構造は、嘔吐反射を誘発することなく睡眠中に空気を通過させるとともに、舌が嚥下中に動くことを許容するように設定することができる。例えば、受動舌保持構造は、下顎骨に平行な平面内に保持されるように設定されてもよい。ところが、受動舌保持構造は、舌の表面に位置決めされてもよい。
【0031】
III.システム
本開示の一態様は、閉塞性睡眠時無呼吸を予防又は治療するために、睡眠中に気道の開通を保持する中咽頭器具を含むことができる。中咽頭器具は、システムの一部であってもよく、図1に示すように、中咽頭器具の受動舌保持構造12を被験者の口内(例えば、フック、マウスピース、リテーナまたは歯冠)に固定するために、歯科装置(例えば、マウスピース148)を含む。しかしながら、中咽頭器具は、必ずしも歯科装置を要せず、代わりに少なくとも一部が中咽頭器具内に位置する装置、例えば、スプリング、リングまたはフックによって、アンカーされてもよい。中咽頭器具は、例えば、1つ以上の磁性体、液圧装置、静電装置などの他のアンカー器具を含んでもよい。
【0032】
中咽頭器具は、機械設計を採用するものであり、睡眠中に気道閉塞を防止するように設けられる。機械設計は、軟組織の不所望な落ち込みが中咽頭に入ることを防止することによって、気道の開通を保持する。場合によっては、軟組織は、舌であってもよい。睡眠中に舌の筋肉が弛緩するので、舌組織が吸気中に発生した負圧により中咽頭に引き込まれて気道を閉塞する。機械装置は、舌が吸気中に後ろに移動して中咽頭に入って気道を閉塞することを防止することができる。なお、中咽頭における舌の後ろに位置することが可能な中咽頭器具について常に説明するが、中咽頭器具の他の配置位置、例えば、鼻咽頭における軟口蓋の後ろなどを利用してもよいことに留意すべきである。中咽頭器具は、必ずしも舌の後ろに位置する必要はなく、代わりに舌の咽頭部の落ち込みの防止に適合した任意の箇所に位置することができる。
【0033】
図2には、機械装置の一例が示されており、それが本文において中咽頭器具1として示されて記述されており、中咽頭器具1は、受動舌保持構造12と、受動舌保持構造12を被験者の口内に保持するアンカー構造14とを含む。中咽頭器具1は、舌部が喉に落ち込むことを防止するために、下顎骨の舌面に沿って、および/または舌の上面の上方においてアンカーポイント(図に示された歯、若しくは例えば、歯茎の一部、舌または他の所望なアンカーポイント)から延在し、かつ、最終的に被験者の舌の咽頭部の少なくとも一部の後ろに位置することができる。
【0034】
いくつかの例では、受動舌保持構造12は、下顎骨に平行な平面内に保持されてもよい。他の例では、受動舌保持構造12は、舌の表面に延在してもよい。他の例では、受動舌保持構造は、舌の咽頭部が喉に落ち込むことを防止するために受動舌保持構造12の少なくとも一部が被験者の咽頭部の少なくとも一部の後ろに延在するものであれば、舌の上方、下方または周囲のいずれかに設けられてもよい。しかしながら、受動舌保持構造12は、必ずしも舌の後ろにあることを要せず、代わりに舌の咽頭部の落ち込みを防止することに適合する任意の位置に設けられてもよい。
【0035】
図1の中咽頭器具1並びに図3および図4における中咽頭器具3および4は、複数の設計を経て考慮されたものである。受動舌保持構造12は、舌が嚥下のために動くことを許容しながら、舌が後ろに移動して中咽頭に入ることを防止しなければならない。しかしながら、受動舌保持構造12の少なくとも一部は、舌の動きを許容しなければならないが、受動舌保持構造12が上向きまたは下向きに移動して口腔または中咽頭に入ることを防止しなければならない。また、受動舌保持構造12の当該部分は、嘔吐反射を発生させず、かつ、大量の唾液(例えば、中咽頭器具1、3または4がない場合よりも一般的に生じる唾液が多い)を発生させないようにしなければならない。
【0036】
一方では、受動舌保持構造12は、主として細ワイヤ(金属、ポリマー、有機材料等からなる)で構成され、この細ワイヤは、舌の撓みを防止するのに十分な硬さを有することが必要である。例えば、ワイヤの厚さおよび/または断面積は、一定でなくてもよい。また、金属ワイヤは、円形状、屈曲状、矩形状、直線状、扁平状、曲線状またはその他の形状の断面を有してもよい。ワイヤは、患者の口内の刺激を最小化するために、生体適合性を有するものであってもよい。また、ワイヤは、被験者の睡眠中にワイヤの一部が変位しないように、耐久性および/または安定性を有するものであってもよい。場合によっては、ワイヤは、金属および/またはポリマーから構成されてもよく、この金属および/またはポリマー自体が、生体適合性を有するものまたは生体適合性材料を塗布したものである。一例として、ワイヤは、舌および頬に面する平坦な方向を有し、長さを通る少なくとも1つの揺動部(wiggle)を有するものであって、帯状の形態を有するものであってもよい(これによって図3に示すスプリングに対する需要がなくなる)。受動舌保持構造12は、終端部16を含むことができ、終端部16は、同一のワイヤ、または異なる生体適合性を有する材料で構成されてもよい。例えば、終端部がアーチ状であってもよい。
【0037】
他方では、終端部16は、被験者の舌の全部または少なくとも一部を拘束することに適合できる。受動舌保持構造12の寸法は、嘔吐反射を誘発することなく、舌の後咽頭部が睡眠中に被験者の中咽頭を閉塞することを終端部16が防止するとともに、嚥下中に舌が動くことを許容することができるように設定されている。いくつかの例では、終端部16は、少なくとも円形の部分を含んでもよい。他の例では、終端部16は、1つ以上の屈曲を有してもよい。
【0038】
図4に示すように、終端部16は、舌の後咽頭部に接触するように設けられる接合構造42を含むことができる。いくつかの例では、接合構造42は、舌が中咽頭を閉塞することを防止するために、受動舌保持構造12の残りの部分よりも大きくなってもよい。例えば、接合構造42は、受動舌保持構造12のワイヤと同じまたは異なる生体適合性材料で作製された1つ以上のコイル、受動舌保持構造12に装着された同じまたは異なるワイヤの付加部分、および/またはワイヤと同じまたは異なる1枚の材料という形態であってもよい。接合構造42は、舌が吸気中に後ろへ中咽頭に移動して気道を閉塞することを防止するとともに、嘔吐反射を発生させず、かつ過剰な唾液を発生させないように、追加的な部分を提供することができる。
【0039】
アンカー構造14は、受動舌保持構造12を被験者の歯のうちの少なくとも1つまたは被験者の下顎骨の一部に取り外し可能に固定することに適合することができる。例えば、アンカー構造14は、中咽頭器具1を1つ以上の歯および/または下顎骨部の一部に固定するための1つ以上のリングを含んでもよい。別の例では、アンカー構造14は、被験者の口の一部に接続される往復磁性部材に装着されるように設けられる磁性体を含んでもよい。場合によっては、図3の中咽頭器具3に示すように、アンカー構造14は、1つ以上のスプリング32を含んでもよい。1つ以上のスプリング32は、嚥下のために舌の動きを許容するように設けられてもよい。分けて示されているが、いくつかの例では、1つ以上のスプリング32と接合構造42は、本開示の中咽頭器具の他の例において併用されてもよいと理解されるべきである。
【0040】
図5は、中咽頭器具5の代替構成を示しており、当該構成において、受動舌保持構造12がアンカー構造14に周回または屈曲して戻って、受動舌保持構造の強度を増加させる。言い換えると、中咽頭器具5は、アンカーポイントから下顎骨の舌面に沿って延在し、被験者の舌の後咽頭部の少なくとも一部の後ろにおいて被験者の舌の後咽頭部に接触し、次いで下顎骨の舌面に沿って戻る方向へ延在し、再びアンカーポイントに接触してもよい。いくつかの例では、受動舌保持構造12は、下顎骨に平行な平面内に保持されてもよい。他の例では、受動舌保持構造12の一部は、舌の上面を越えてもよい。
【0041】
図1の中咽頭器具5は、図5における中咽頭器具5と、図6および7における中咽頭器具6および7とを含む。図6および図7では、いくつかの設計要因を考慮する必要がある。受動舌保持構造12は、舌が後ろに移動して中咽頭に入ることを防止しつつ、嚥下のために舌の動きを許容しなければならない。しかしながら、受動舌保持構造12の少なくとも一部は、受動舌保持構造12が舌の動きによって上向きまたは下向きに口腔または中咽頭に入ることを生じさせないように、装着されなければならない。例えば、受動舌保持構造12の一部が、被験者の下部の鋭い歯のうち1つ以上のものに揃えられてもよい。また、受動舌保持構造12の当該部分は、嘔吐反射を発生させず、かつ、大量の唾液(例えば、中咽頭器具5、6または7がない場合よりも一般的に生じる唾液が多い)を発生させないようにしなければならない。
【0042】
図5の中咽頭器具5では、舌が中咽頭を閉塞しないとともに嘔吐反射を防止し、過剰な唾液の形成を防止して嚥下のために舌の動きを許容するように、受動舌保持構造12の厚さ、断面形状および/または剛性をよく制御して舌を保持する必要がある。
【0043】
図6には、中咽頭器具6の他の例が示されており、2つ以上のスプリング32aおよび32bを含むことができる。2つ以上のスプリング32aおよび32bは、嚥下のために舌のより大きい動きを許容可能であり、受動舌保持構造12をアンカー構造14により堅固に装着することができる。図7は、接合構造42を備えることが可能な中咽頭器具7の他の例を示している。なお、2つ以上のスプリング32aおよび32bと接合構造42を分けて示しているが、2つ以上のスプリング32aと接合構造42を同一の中咽頭器具に併用してもよいと理解されるべきである。ただし、一例として、スプリング32a、32bに対する需要をなくすために、受動舌保持構造12は、舌および頬に面する平坦な方向を有し、長さを通る少なくとも1つの揺動部を有するものであって、帯状の形態を有するものであってもよい。
【0044】
図8は、中咽頭装置10の代替構成を示し、当該構成において、受動舌保持構造12が、舌の咽頭部の落ち込みを防止することに適合する部分(終端部16)を含む。受動舌保持構造12は、両側アンカー構造14aと14bとの間に延在している。アンカー構造14aおよび14bは、受動舌保持構造12を被験者の下顎の両側の1つ以上の歯に装着することができる。しかしながら、アンカー構造14aおよび14bの少なくとも1つは、被験者の下顎自体の一部に装着されてもよい。代わりに、アンカー構造14aおよび14bの少なくとも1つは、被験者の舌の一部に装着されてもよい。
【0045】
いくつかの例では、受動舌保持構造12は、下顎骨に平行な平面内に保持されてもよい。他の例では、受動舌保持構造12の一部は、舌の頂部に延在してもよい。さらなる例では、舌保持構造は、受動舌保持構造12の一部が被験者の舌の咽頭部の落ち込みを防止するものであれば、任意の構成で舌の上方、下方または周囲に延在してもよい。
【0046】
図8の中咽頭器具10および図9~12における中咽頭器具30~70は、複数の設計を経て考慮されたものである。受動舌保持構造12は、舌が嚥下のために動くことを許容するとともに、舌が後ろに移動して中咽頭に入ることを防止しなければならない。しかしながら、受動舌保持構造12の少なくとも一部は、舌の動きによって受動舌保持構造12を上向きまたは下向きに口腔又は中咽頭に進入させることを防止しなければならない。例えば、受動舌保持構造12の一部が、被験者の下部の鋭い歯のうち1つ以上のものに揃えられてもよい。しかし、受動舌保持構造12は、必ずしも被験者の下部の鋭い歯に揃える必要はない。また、受動舌保持構造12の一部は、嘔吐反射を発生させず、かつ、舌の咽頭部が落ち込んで中咽頭に入ることを防止する際に、大量の唾液(例えば、中咽頭器具30~70がない場合よりも一般的に生じる唾液が多い)を発生させないようにしなければならない。例えば、受動舌保持構造12は、細く硬いワイヤであってもよく、その例は、中咽頭器具1について説明した例と類似する。
【0047】
一方では、アンカー構造14aおよび14b(図8)のそれぞれは、受動舌保持構造12を被験者の少なくとも2つの歯および/または被験者の下顎骨部に取り外し可能に固定することに適合することができる。例えば、アンカー構造14aおよび14bのそれぞれは、中咽頭器具10を2つ以上の歯、歯茎部、舌部、および/または下顎骨部に固定するための1つ以上のリングを含んでもよい。別の例では、アンカー構造14aおよび14bは、被験者の口の一部に接続される往復磁性部材に装着されるように設けられる磁性体を含んでもよい。いくつかの例では、図9に示される中咽頭装置30は、アンカー構造14aおよび14bから延在する1つ以上のスプリング32aおよび32bを含んでもよい。1つのスプリング32aまたは32bがアンカー構造14aおよび14bの一部として示されているが、2つ以上のスプリングがアンカー構造14aおよび14bのそれぞれに接続されることによって、嚥下のための舌のより大きな動きを許容し、受動舌保持構造12をアンカー構造14aおよび14bにより強固に装着することができる。
【0048】
他方では、終端部16は、被験者の舌の後咽頭部に接触することに適合できる。受動舌保持構造12の寸法は、嘔吐反射を誘発することなく、舌の後咽頭部が睡眠中に被験者の中咽頭を閉塞することを終端部16が防止するとともに、嚥下中に舌が動くことを許容するように設定されている。図10の中咽頭器具40に示すように、終端部16は、舌の後咽頭部と接触するように設けられている接合構造42を有してもよい。いくつかの例では、接合構造42は、舌による中咽頭の閉塞を防止するために、受動舌保持構造12の残りの部分よりも大きい断面積を有してもよい。例えば、接合構造42は、図11に示す1つ以上のコイル62の形態であってもよい。接合構造42は、受動舌保持構造12のワイヤと同じまたは異なる生体適合性材料で作製されたものであってもよい。他の例として、接合構造42は、受動舌保持構造12に装着された同じまたは異なるワイヤの付加部分であってもよい。別の例では、接合構造42は、図12に示す1枚の材料72を含んでもよく、それが当該ワイヤと同じまたは異なる。接合構造42は、舌が吸気中に後ろへ中咽頭に移動して気道を閉塞することを防止するとともに、嘔吐反射を発生させず、かつ過剰な唾液を発生させないように、装着された表面領域を提供することができる。いくつかの例では、接合構造42は、中咽頭器具におけるスプリング32aおよび32bと組み合わせて用いられてもよい。
【0049】
一例として、図に示すように、受動舌保持構造12は、ストレートである必要はない。逆に、受動舌保持構造12は、尾側(caudally)に僅かに屈曲してもよい。また、1つ以上のスプリング32a、32bの使用は、凹溝に滑り込ませた2つの接地磁性体で代用することも可能である。また、舌に1つ以上の磁性体が埋め込まれていれば、当該装置は、舌の後部に接触する必要はない。
【0050】
いくつかの例では、本文において図1図12について示されるように、中咽頭装具の受動舌保持構造12は、アンカー構造14または構造を含む歯科器具と緊密に嵌合してもよい。他の例では、本文において図1~12について記述される中咽頭装置は、中咽頭装置の一部が所定の解剖学的位置に固定されるように、歯科器具のアンカーシステムと緊密に嵌合して、閉塞性睡眠時無呼吸を防止するシステムを形成してもよい。歯科器具は、例えば、マウスピース、リテーナ、歯冠などであってもよい。歯科器具は、被験者の口の少なくとも一部(例えば、下顎骨の少なくとも一部)に適合し得る。また、場合によっては、歯科器具は、被験者の口から取り外し可能である。
【0051】
図13は、睡眠時無呼吸を防止するためのシステム例(図1のシステムと類似)を示している。有利的に、図13に示すシステムは、舌が中咽頭に入ることを防止できるため、閉塞性睡眠時無呼吸や過度のいびき(通常、閉塞睡眠時無呼吸の前兆と考えられる)を患っている患者にとって望ましいものである。図13に示すシステムは、所定の間隙を、ワイヤと歯との間の最大距離の約5~10%にすることができる。
【0052】
図13に示すように、当該システムは、下顎に用いられるマウスピース148、ワイヤ146、2つのスプリング142、スプリングの端部でのアンカーシステム、およびワイヤを保持するためのアンカーシステムおよびリング144を含むことができる。当該システムの付加的な特徴は、スプリング142を保持するためのチューブおよび/または下顎内に配置されたワイヤ146、舌がよりよく接合することを可能にする他の部品、および/またはスプリングを取り外すためのスプリング仕掛けの伸縮システムを含むことが可能となる。使用中において、当該システムは、通常のマウスピースのように、夜間に被験者の口に置くことができる。当該システムは、被験者の口に装設され、下歯にしっかりと装設される。当該システムは、睡眠中に同時に舌筋が筋張力に欠けて弛緩することによるいかなる閉塞を防止することができる。舌の中咽頭に入る自然な動きは、舌の重量に抵抗するスプリング142によって防止することができる。したがって、いくつかの例では、スプリング仕様は、被験者がいつでも生成された唾液を嚥下できるように、被験者の舌の質量に合わせて調整することができる。当該システムは、朝に取り外して、義歯に類似した方法で洗浄することができる。
【0053】
IV.方法
本開示の別の態様は、被験者の口腔に中咽頭器具(例えば、図1~12に示すような任意の中咽頭器具)を装設する方法100(図13)を含むことができる。方法100は、特定の被験者の中咽頭器具を個性化するために用いることができる。102では、被験者の口腔内の1つ以上の画像を撮影できる。複数の異なる方向に画像を撮影してもよい。X線、CTまたはMRIを含む、口腔の視覚化を可能にする任意のタイプの2次元または3次元のイメージングモダリティを使用して画像を撮影することができる。例示的なイメージングモダリティは、コーンビームCTイメージングモダリティであってもよい。104では、画像に基づいて中咽頭器具を製造することができる。マウスピースは、例えば、被験者の口腔内の1つ以上の画像に基づくアクリルまたは3Dプリントなどの標準的な歯科慣例を用いて製造することができる。例えば、3Dプリントは、コーンビームCT画像に基づくものであってもよい。画像から、ワイヤと歯との間の最大距離と、対応する隙間とを含む寸法を収集することができる。106では、被験者の口腔内に中咽頭器具(またはシステム)を装設することができる。この時に、中咽頭器具(またはシステム)に対して任意の必要な変更を行うことができる。
【0054】
なお、中咽頭器具(またはシステム)は、特定の被験者に特化して構築される必要はない。いくつかの例において、中咽頭器具(またはシステム)は、何らかの平均的な口および/または舌の寸法(例えば、特定の被験者群の解剖学的平均値)に基づいて寸法設定を行ってもよい。個性化は、方法100のステップ106と同様に行うことができる。しかし、他の例では、個性化は、被験者が自宅において、個人の快適度に基づいて中咽頭器具(またはシステム)の1つ以上の特徴を調整することにより行われてもよい。
【0055】
上記の説明から、当業者であれば、改善、変形、および修正を認識するであろう。これらの修正、変更および修正は、本発明の技術的範囲に属するものであり、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
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