(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】回転工具の損傷を求める方法、及び対応するデバイス
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240222BHJP
G01M 13/02 20190101ALI20240222BHJP
【FI】
G01M99/00 A
G01M13/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018236508
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-11-15
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507284031
【氏名又は名称】エタブリスマン・ジョルジュ・ルノー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ル・デュ,ニコラ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013016068(DE,A1)
【文献】特表2008-531303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 - 13/045
G01M 99/00
B25B 21/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価する方法であって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求めるステップと、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求めるステップと、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求めるステップと
を少なくとも含んでなり、
前記方法は、前記工具の連続する
複数の使用サイクル中に実施され、
前記
複数の使用サイクルの
各サイクルにおいて、
当該サイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、
当該サイクルの前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求めるステップと、
前記少なくとも1つの構成要素の全ての
サイクル
につき前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、前記回転工具及び/又は前記少なくとも1つの構成要素の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求める、ステップと
を少なくとも含み、
1つのサイクル中に少なくとも1つの前記構成要素の前記疲労損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間において、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求めるステップと、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表すステップと、
要素疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求めるステップと
を実施することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価する方法であって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求めるステップと、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求めるステップと、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求めるステップと
を少なくとも含んでなり、
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる
仕事量と等価であるとみなされ、該
仕事量は、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算されるものである、方法。
【請求項3】
前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記ステップは、前記
構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に
前記構成要素のうちの少なくとも1つを交換しなければならない所定の警告閾値と比較するステップを含み、
前記方法は、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものである、請求項1
に記載の方法、又は
請求項1を引用する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に等しい
ものである、請求項1
に記載の方法、又は
請求項1を引用する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求めるステップと、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求めるステップと
を実施することを含む、請求項1及び3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求めるステップを含み、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい、請求項3に記載の方法、又は請求項3と請求項4~7のいずれか1項とを組み合わせた方法。
【請求項9】
前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記仕事量に対応する、請求項
2を引用する請求項3に記載の方法。
【請求項10】
構成要素の使用状態が前記対応する所定の警告閾値に達するか又は越えると、該構成要素を交換するステップと、該構成要素が交換された後、該構成要素に関連した前記使用状態をリセットするステップとを含む、請求項
8に記載の方法
。
【請求項11】
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価するデバイスであって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求める手段と、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求める手段と、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求める手段と
を少なくとも備えてなり、
前記デバイスは、前記工具の連続する
複数の使用サイクル中に実施される手段を備え、
前記
複数の使用サイクルの
各サイクルにおいて、
当該サイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、
当該サイクルの前記工具及び/又は前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求める手段と、
前記少なくとも1つの構成要素の全てのサイクル
につき前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求める手段と
を少なくとも備え、
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に応じて、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求める手段と、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表す手段と、
要素疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求める手段と
を実施する手段を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価するデバイスであって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求める手段と、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報をリアルタイムで求める手段と、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求める手段と
を少なくとも備えてなり、
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる
仕事量と等価であるとみなされ、該
仕事量は、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算されるものである、デバイス。
【請求項13】
前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記手段は、前記
構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に
前記構成要素のうちの少なくとも1つを交換しなければならない所定の警告閾値と比較する手段を備え、
前記デバイスは、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出する手段を備える、請求項11又は12に記載のデバイス。
【請求項14】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている、請求項11
に記載のデバイス、又は
請求項11を引用する請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの回転のうちの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に等しい
ように構成されている、請求項11
に記載のデバイス、又は
請求項11を引用する請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求める手段と、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求める手段と
を実施するように構成されている、請求項11及び13~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記手段は、
考慮対象の前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求める手段を備え、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい、請求項13に記載のデバイス、又は請求項13と請求項14~17のいずれか1項とを組み合わせたデバイス。
【請求項19】
前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記仕事量に対応する、請求項
12を引用する請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
構成要素が交換された後、該構成要素の前記使用状態をリセットする手段のうちの1つを備える、請求項
18に記載のデバイス。
【請求項21】
プログラムがコンピュータにおいて実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実施する該プログラムのコード命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラム
を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、例えば、ドリル、ドライバ(screwdrivers:ねじ回し)等の産業用回転工具の設計及び製造の分野である。
【0002】
より具体的には、本発明は、この種の工具の保守に関し、更に詳細には、そのような工具の経時的な損傷の評価に関する。
【背景技術】
【0003】
ドライバ及びドリルは、例えば、自動車産業及び航空産業等の多くの産業分野において一般に用いられている。
【0004】
自動車産業では、ドライバは、従来から、組み立てライン上で車両又は車両構成要素(component:構成部材)を組み立てるのに用いられている。これらの組み立てラインは、いずれか1つの特定の構成要素の組み立てにそれぞれ専用化されたワークステーションによって区切られる。これらの組み立てラインは、大量生産を確保するために持続したペースで進行する。
【0005】
これらの使用状況は、
一方において、ドライバの主要な使用率(使用率は、工具の使用時間と組み立てが実施されている組み立てラインの動作時間との間の比を表す)と、
他方において、これらの工具が永続的に利用可能であることを確保し、したがって、生産停止がもたらす財政面での影響を考えて生産停止時間を制限するために、計画(method)部門又は保守部門が破損の出現を可能な限り低減する必要性と
をもたらす。
【0006】
航空産業における活動は、基本的に、胴体、主翼、尾翼、フラップ等の航空機を構成する大きな要素の構築を中心としている。
【0007】
これらの要素は、一般に、航空機の外表皮を形成する薄いシェルによって構成される。これらのシェルは、堅固なものにするためにフレーム又はリブに固定される。
【0008】
シェルをそれらのフレーム及び/又はリブにしっかりと固定するには、フレーム及び/又はリブに固定して取り付けられたシェルを維持するためにねじ又はリベットを受けることを目的とした孔を作製するように、多数の対抗穿孔(counter-drillings:カウンタドリリング)動作(シェル並びにフレーム及び/又はリブの同時穿孔)を行わければならない。
【0009】
航空産業及び自動車産業では、工具の使用率は高く、破損は許されない。
【0010】
これらの工具は、使用中、基本的に2つのタイプの機械的障害、すなわち、
疲労破壊と、
摩擦による摩耗とを受ける。
【0011】
構成要素の疲労破壊は、この構成要素に機械的ストレスを多数回周期的に印加した後に起こり、このストレスは、最大値と最小値との間で変化する。
【0012】
この現象によって、構成要素の構造に亀裂が生じ、これによって、ストレスが増減する或る特定のサイクルの数の後、これらのストレスを受けた構成要素の破壊が誘発される。
【0013】
この現象は、特に鋼鉄に関係している。この現象は、所与のサイクルの数の破損ストレス又は破壊ストレスの値を表す
図6に示すようなウェーラ(Woehler)曲線によって説明される。したがって、この曲線によって、構成要素が破壊前に所与の値のストレスを受けることができるサイクルの数を知ることが可能になる。
【0014】
ウェーラ曲線は、材料に固有であり、実験室の実験後に得られる。
【0015】
ウェーラ曲線は、最高ストレスから最低ストレスにわたる3つのゾーンを含む。すなわち、
ストレスが材料の弾性限界に近く、破壊又は破損が少数のサイクルに晒された後に発生するオリゴサイクリック(oligo-cyclic)疲労ゾーンと、
破壊が多数のサイクルに晒された後に発生する中央ゾーンと、
構成要素が耐えられるサイクルの数が無限であるストレスのレベルに対応する漸近ゾーンである。このレベルは耐久限界と呼ばれる。
【0016】
構成要素がその耐用期間中に耐えなければならない増減するストレスサイクルの数が多いほど、耐えることが可能なストレスは低くなり、また、その逆の場合は逆になる。
【0017】
ドライバ又はドリル内には、工具のモータ手段と回転端子要素との間を連結するトランスミッションのギアピニオン等の多くの構成要素が機械疲労を受ける。
【0018】
ピニオン歯は、そのような疲労に耐えなければならない。歯が受ける最小ストレスは0値である。なぜならば、この歯は、別の歯ともはや接触しないとき、ストレスをもはや被らないからである。
【0019】
ギア歯の破壊は、工具に深刻な結果をもたらす可能性がある。なぜならば、工具において破損された歯が動くと、トランスミッションの他の部分の破損を招くからである。
【0020】
構成要素が動作を行っている間に晒される機械的ストレスは、動作が例えば穿孔動作である場合、検討対象の動作の間は本質的に一定とすることができ、検討対象の動作が例えば締め付け動作である場合、可変とすることができる。工具が連続した異なる動作を実施するのに用いられるとき、構成要素が動作ごとに晒される機械的ストレスは異なる可能性がある。
【0021】
疲労ストレスは交互に起こっている可能性があり、その場合、最小値は負であり、非ゼロの絶対値にある。これは、回転屈曲を被るシャフトが受ける負荷(load:荷重)のタイプである。
【0022】
マイナ則(Miner's rule)によって、可変強度の機械的ストレスに周期的に晒される構成要素が受ける疲労損傷を追跡することが可能になる。
【0023】
マイナ則は、最大ストレス値又は最小ストレス値がサイクルごとに一定でない疲労負荷に関するものである。工具が晒される負荷はこのカテゴリに入る。
【0024】
疲労によって構成要素に引き起こされる損傷の進行を評価するために、マイナ則は、以下のことを考慮すべきであると提案している。
・所与のストレスの疲労サイクルによって生成される損傷は、構成要素の破壊に到達するために繰り返さなければならないサイクルの回数の逆数に対応する。
・多様なストレスの一連のサイクルによって生成される損傷は、これらのサイクルのそれぞれの損傷のインスタンス(instances:実例)の合計に対応し、この合計が1に等しいときに、構成要素の破壊又は破損が発生する。
【0025】
圧力の影響を受けて接触状態を保った2つの部品が、互いに相対運動すると、摩擦摩耗が発生する。摩耗は、接触している表面の摩滅の形態を取る。
【0026】
この現象は、例えば、設計によって特定の滑りを有する可能性があるギア歯のフランクに影響を与える。
【0027】
この摩擦摩耗の結果、機械装置の潤滑の質を低下させる金属粒子が生成され、その摩耗が更に悪化する。
【0028】
アーチャードの法則(Archard’s law)は、以下の式によってこの現象を記述する。
【数1】
ただし、
Q:摩耗現象によって生成されるデブリの量
Ku:実験によって求められる無次元定数
W:或る表面から別の表面に、それらの表面に対して垂直に印加される力
L:滑り距離
H:最も柔らかい表面の硬度
である。
【0029】
生産において工具が永続的に利用可能であることを確保するために、保守計画が企業の計画部門によって実施される。
【0030】
これらの部門は、破損の危険性を低減するとともに工具の使用率を最大に高めて生産性を最適化するために、最も適切な時点で工具の交換又は工具の構成要素の交換を計画するように工具の損傷を評価するプロセスを実施する。
【0031】
例えば、特許文献1は、ドライバに統合されたトルクセンサの信号の周波数スペクトルを用いることによってこの工具の損傷を調べる方法を記載している。
【0032】
スペクトルに存在する周波数ラインは、ドライバに存在する機械構成要素によって生成された振動の結果である。ラインの振幅は、関連した構成要素によって生成された振動が反射したものである。ラインの振幅の進行をモニタリングすることによって、構成要素の摩耗の状態の推移を追跡することが可能になる。
【0033】
したがって、この解決策によって、構成要素が、その後の保守動作を必要とする異常レベルの振動を生成する段階の検出が可能になる。このタイプのリソースは保守を最適化する。しかしながら、その適用は依然として複雑である。
【0034】
工具の損傷を評価する別の手法は、工具を用いて実行されるねじ締めサイクル又は穿孔サイクルの数をカウントしてこの工具の使用率を評価することにその本質がある。したがって、工具が、所定のサイクルの数を実行するように設計されている場合、この工具が実行したサイクルの数がこの所定のサイクルの数に等しくなると、この工具は交換されることになる。
【0035】
摩耗を評価するそのような解決策は、比較的効率的である。しかしながら、この解決策は、工具が受ける実際の負荷率を考慮していない。実際、同一の工具を用いて、広範囲の締め付けトルク値における種々の締め付けトルク値で連続した締め付け動作が実行される可能性がある。したがって、同一の工具が組み立て体をグリップで締めることができる最大締め付けトルクと最小締め付けトルクとの間の比は、例えば、5程度になる可能性がある。換言すれば、同一の工具は、用いられる用途に応じて、非常に異なる力を受ける可能性がある。
【0036】
加えて、所与の締め付けトルクについて、2つの異なる組み立て体が、非常に異なる締め付け角度(トルクの上昇中のねじの回転角)を必要とする可能性がある。このとき、回転角が大きいほど、トランスミッションが負荷を受ける程度は大きくなる。
【0037】
各用途に固有の締め付けトルク及び締め付け角度は、工具の疲労及び摩擦摩耗に対して直接的な影響を及ぼす。したがって、これらの2つのパラメータを考慮することなく、工具が用いられている進行中のサイクルの数をカウントすることのみによって工具の損傷を評価することは、かなり不正確、又は、最低限でも非最適である。実際、これによって、まだ損傷を受けていない工具又は構成要素の交換が行われる可能性もあるし、更に悪いことに、これによって、工具又は構成要素の損傷の十分に早期の検出が行われない可能性があり、そのため、この工具は破損し、その後、これまでの保守段階外で交換され、したがって、生産性が低下する。
【0038】
保守部門が対応可能な工具の損傷を評価する上記方法は、工具の損傷レベルの正確なイメージを与えておらず、これらの部門が、工具の保守の頻度を高めることにつながる厳格な安全係数を採用することを必要とする。
【0039】
これは、これらの工具の最適化された使用を提供せず、過剰なコスト及び生産性の低下をもたらす。
【0040】
結局、従来技術の解決策は、工具の損傷のより正確な評価を可能にするとともに生産性を改善するために更に改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
本発明は、特に、これらの種々の問題のうちの少なくとも幾つかに効率的な解決策を提供することを目的とする。
【0043】
特に、少なくとも1つの実施の形態によれば、本発明の目標は、回転工具の保守を最適化することができる技法を提供することである。
【0044】
とりわけ、本発明の目標は、少なくとも1つの実施の形態によれば、工具がその使用によって受ける損傷のレベルを評価することを可能にする回転工具の損傷を評価する技法、又は、最低限でも、従来技術の技法によって行うことができるものよりも簡単で信頼性のある方法で評価することを可能にする技法を提供することである。
【0045】
本発明の別の目標は、少なくとも1つの実施の形態によれば、工具又はその構成要素のうちの1つが受けた損傷レベルが保守動作を必要とする場合にユーザにアラートするこの種の技法を提供することである。
【0046】
本発明の別の目標は、少なくとも1つの実施の形態において、実施することが簡単及び/又は経済的であり、及び/又は、信頼性及び/又は効率性のあるこの種の技法を獲得することである。
【課題を解決するための手段】
【0047】
このために、本発明は、モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷(wear damage:損耗)を評価する方法であって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能である、方法に関する。
【0048】
そのような方法は、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報を求めるステップと、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報を求めるステップと、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求めるステップと
を少なくとも含む。
【0049】
したがって、本発明は、疲労及び/又は摩耗によって引き起こされる工具の損傷のレベルを、この工具のトランスミッションが耐えるトルクと、そのトランスミッションの回転角とを考慮することによって求める独創的な手法に依拠している。
【0050】
これによって、工具の損傷のレベルを正確かつ現実に近い方法で解析することが可能になる。そして、この工具は、保守が真に必要であると判明した場合にのみ、保守のために停止させることができる。したがって、本発明は、工具の使用率を高めるとともに生産性を高める。
【0051】
1つの可能な特徴によれば、本発明による方法は、前記工具の連続する使用サイクル中に実施され、該方法は、
前記使用サイクルのそれぞれの間に、該検討対象のサイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、該検討対象のサイクルの前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求めるステップと、
前記少なくとも1つの構成要素の全ての前記検討対象のサイクルの間の前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、前記回転工具及び/又は前記少なくとも1つの構成要素の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求めるステップと
を少なくとも含む。
【0052】
1つの可能な特徴によれば、前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記ステップは、前記少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に前記検討対象の特定の構成要素を交換しなければならない所定の警告閾値と比較するステップを含み、前記方法は、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出するステップを含む。
【0053】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間において、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求めるステップと、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表すステップと、
要素(elementary)疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求めるステップと
を実施することを含む。
【0054】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものであるステップである。
【0055】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる前記要素疲労損傷の合計に等しい
ものであるステップである。
【0056】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求めるステップと、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求めるステップと
を実施することを含む。
【0057】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる前記要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものであるステップである。
【0058】
1つの可能な特徴によれば、本発明による方法は、前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求めるステップを含み、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい。
【0059】
1つの可能な特徴によれば、前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる機械的エネルギーと等価であるとみなされ、該エネルギーは、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算される。
【0060】
1つの可能な特徴によれば、前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記エネルギーに対応する。
【0061】
1つの可能な特徴によれば、本発明による方法は、構成要素の使用状態が前記対応する所定の警告閾値に達するか又は越えると、該構成要素を交換するステップと、該構成要素が交換された後、該構成要素に関連した前記使用状態をリセットするステップとを含む。
【0062】
本発明はまた、モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価するデバイスであって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能である、デバイスに関する。
【0063】
そのようなデバイスは、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報を求める手段と、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報を求める手段と、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求める手段と
を少なくとも備える。
【0064】
1つの可能な特徴によれば、そのようなデバイスは、前記工具の連続する使用サイクル中に実施される手段を備え、該デバイスは、
前記使用サイクルのそれぞれの間に、該検討対象のサイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、該検討対象のサイクルの前記工具及び/又は前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求める手段と、
前記少なくとも1つの構成要素の全ての前記検討対象のサイクルの間の前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、前記回転工具及び/又は前記少なくとも1つの構成要素における疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求める手段と
を少なくとも備える。
【0065】
1つの可能な特徴によれば、前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記手段は、前記少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に前記検討対象の特定の構成要素を交換しなければならない所定の警告閾値と比較する手段を備え、前記デバイスは、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出する手段を備える。
【0066】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に応じて、以下の手段、すなわち、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求める手段と、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表す手段と、
要素疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求める手段と
を実施する手段を備える。
【0067】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる前記要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている。
【0068】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの回転のうちの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる前記要素疲労損傷の合計に等しい
ように構成されている。
【0069】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、以下の手段、すなわち、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求める手段と、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求める手段と
を実施するように構成されている。
【0070】
1つの可能な特徴によれば、1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記手段は、
考慮対象の前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる前記要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている。
【0071】
1つの可能な特徴によれば、そのようなデバイスは、前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求める手段を備え、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい。
【0072】
1つの可能な特徴によれば、前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる前記機械的エネルギーと等価であるとみなされ、該エネルギーは、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算される。
【0073】
1つの可能な特徴によれば、前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記エネルギーに対応する。
【0074】
1つの可能な特徴によれば、そのようなデバイスは、構成要素の前記使用状態を、その交換後に0に設定する手段を備える。
【0075】
本発明はまた、プログラムがコンピュータにおいて実行されると、ここで説明した上記の変形形態のうちのいずれか1つによる方法を実施する該プログラムのコード命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0076】
本発明はまた、本発明によるコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0077】
本発明の他の特徴及び利点は、単純な例示的で非網羅的な例として与えられる、好ましい実施形態の以下の説明及び添付図面から、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明によるドライバの長手方向断面図である。
【
図3】穿孔動作中の1つの歯への負荷を示すグラフである。
【
図4】ねじ締め動作中の1つの歯への負荷を示すグラフである。
【
図5】1つのサイクル中の6歯ギアへの負荷を示すグラフである。
【
図10】ねじ締め動作中のトルクの変化を示すグラフである。
【
図12】本発明による方法の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
1.全体構造
図1~
図10を参照して、本発明による回転工具1の一例を提示する。
【0080】
この工具は、例えば、ドライバ若しくはドリル又は別のタイプの回転工具である。ここで説明する工具は、ポータブル工具である。ただし、フレームによって保持された工具とすることもできる。
【0081】
そのような工具は、ケーシング10を備える。このケーシングの端には、当該工具がドライバである場合には、回転の際にのみ、又は、当該工具がドリルである場合には、場合によっては回転及び同一の軸に沿った並進にのみ可動となるように、端子要素(terminal element:端子素子)11が取り付けられている。
【0082】
このケーシング10は、トランスミッションTを介した運動の際に端子要素11を駆動することができるトランスミッションT及びモータ手段12を収容する。
【0083】
トランスミッションTは、本明細書では、エピサイクリックギアトレインを統合した減速ギアを備える。
【0084】
モータ手段12及びトランスミッションTは、それ自体知られており、本明細書では更に詳細には説明しない。
【0085】
端子要素11は、ねじ先端部又はドリルビット等の切削工具を保持することができる。
【0086】
本明細書におけるモータ手段は、回転子120及び固定子121が設けられた同期電気モータを含む。オートフィードドリルの場合には、2つのモータを実装することができる。一方は回転の際の端子要素の駆動用であり、他方は並進の際の端子要素の駆動用である。
【0087】
工具1は、特に、工具の出力トルク(ドライバの締め付けトルク又はドリルのドリル操作中にドリルビットに印加されるトルク)を表す少なくとも1つの情報を測定する力測定手段を備える。この測定手段は、例えば、ねじに対する締め付けトルクを制御するためにドライバにおいて一般に用いられる変形要素及び歪みゲージを有する1つ以上のセンサ13とすることができる。この測定手段は、ドリル操作中にドリルに印加されるトルクを測定するためにドリルに従来から実装されているように、単数又は複数のモータによって消費される電流を測定する、コントローラに配置された1つ以上のセンサ14とすることもできる。
【0088】
工具1は、運動、特に回転角を測定する手段を備える。この手段は、モータの電源装置の制御を可能にするとともに、ねじ締めの状況ではねじの回転角を測定するのに用いられる電気モータの角度を検知する角度センサ15とすることができる。この角度センサによって、固定子121に対する回転子120の回転角の測定が可能になる。
【0089】
工具1は、ポータブルタイプの工具であるとき、作業者がねじ締め動作又は穿孔作業を指令するために作動させることができるトリガ16を備える。代替形態又は組み合わせ形態として、この工具は、特に、フレームに取り付けられている固定された工具の場合に、それ自体既知であるコントローラ17等の遠隔操縦手段を備えることができる。
【0090】
工具1はコントローラ17を備える。このコントローラ17は、工具の内部とすることもできるし、外部とすることもできる。このコントローラによって、工具は、ねじ締めストラテジー又は穿孔ストラテジーを実施するように事前にプログラミングされた命令を受けることが可能になる。
【0091】
コントローラは、工具と統合されない場合、有線手段によって工具に接続される。
【0092】
工具が単数又は複数のケーブルによってコントローラに接続されている場合、このコントローラは、それ自体既知である方法でエネルギーを工具に供給することができる。
【0093】
無線工具の場合、この工具の電源装置は、1つ以上の電池を含むことができる。
【0094】
コントローラ17は、特に、例えば、マイクロプロセッサを装備した処理ユニット170と、ランダムアクセスメモリ171と、ねじ締め若しくは穿孔の方法又はより一般的には本発明による方法を実行するプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを収容した読み出し専用メモリ172とを備える。
【0095】
本発明による方法の実行に必要とされる手段は、工具又はコントローラ内に統合することができる。
【0096】
コントローラは、ケーブルによって工具に接続されない場合、当該コントローラが工具と通信することを可能にする無線送信/受信モジュール173を備える。
【0097】
有線通信又は無線通信を問わず、工具とコントローラとの間の通信を通じて、コントローラは、
工具内に統合された種々の測定手段(センサ)によって配信された信号を受信することができ、
コマンドを工具に送信することができる。
【0098】
コントローラは、有線手段を通じてコンピュータネットワーク等の他の設備と通信することができる。
【0099】
工具は、コントローラと通信する送信/受信モジュール18も備える。
【0100】
コントローラは、コマンド導入手段175(キーパッドやタッチ画面やマウス等)と、表示手段176(画面や表示ユニットや発光ダイオード)と、場合によっては、可聴周波数において音響信号を放出する手段177、電気供給用のコネクタ178とを管理するユーザインタフェースである入出力インタフェース174も備える。
【0101】
コントローラは、モータ手段に電力を供給する1つ以上の電力インバータ179も備える。
【0102】
2.事前のパラメータ設定
2.1.全体的な態様
本発明は、回転工具が使用の度に受ける負荷のレベルに従って当該工具の疲労損傷及び/又は摩耗を求めることを目標とする。
【0103】
作用する負荷のレベルは、モータ手段から端子要素への力の伝達シーケンスに含まれる種々の構成要素について構成要素ごとに異なる可能性があるので、工具内で均一ではない。摩耗負荷よりも高い疲労負荷を受ける構成要素もあれば、その逆の構成要素もある。工具の設計には、これらの工具の原価を削減するか又はストックされるリファレンス(references)の数を削減するために工具の幾つかの特定のゾーンについて標準的な構成要素を採用することが必要となる場合がある。他の構成要素について、設計には、工具の質量及び空間の要件を最小にするとともに、それに応じて特定の構成要素を設計するために、セキュリティ係数の低減が必要となる。
【0104】
この結果、疲労損傷及び摩耗損傷は、構成要素ごとに異なって推移する可能性がある。
【0105】
工具において負荷を受ける各構成要素における摩耗損傷及び疲労損傷を追跡することが可能であるが、最大負荷を受ける構成要素に対してのみ引き起こされた損傷の追跡に従うことによってシステムを簡略化することが可能である。
【0106】
この場合、モニタリングは、機能的部分組み立て体(例えば、ギアボックス組み立て体、エピサイクリックトレイン(epicyclic train:遊星歯車装置)部分組み立て体、アングルギアトランスミッション部分組み立て体等)に関係し、部分組み立て体の構成要素、特に最も多くの負荷を受けた構成要素の追跡は、対応する部分組み立て体が受ける損傷レベルを知ることを可能にする。保守動作は、部分組み立て体において最大負荷を受けた構成要素における損傷が所定の警告閾値に達しているとき、本質的には、その部分組み立て体全体を交換することである。
【0107】
これによって、損傷の評価に必要とされる計算能力を削減することが可能になる。
【0108】
より大きな負荷を受けた構成要素の識別と、それらの構成要素の損傷を算定するのに必要とされるデータ及びアルゴリズムの選択とは、工具を設計するときに行われる。
【0109】
従来から、産業用工具は、例えば、ねじ締め作業又は穿孔作業等の連続する労働作業を行うために実装されている。各作業は1つのサイクルを構成する。各サイクルの間、構成要素は、ストレスを数回受ける場合がある。すなわち、ストレスの数回の続行を受ける可能性がある。
【0110】
モータ手段は、トルク及び回転周波数(ねじ締め及び穿孔の場合)によって特徴付けられた回転の形と、力及び速度(穿孔の場合)によって特徴付けられた並進の動きの形とで端子要素に動力を送る。
【0111】
これらの動力値は、例えば、エピサイクリックトレイン、パラレルギアトレイン、又は角度ギアシステム等の様々な構成要素を統合することが可能な(トランスミッションラインとも呼ばれる)トランスミッションを通過する。
【0112】
損傷を生じる可能性のあるストレスに耐えるこのトランスミッションの構成要素は、基本的には、
ギア歯と、
遊星ベアリング、アングルヘッド又はモータベアリングとである。
【0113】
本来、ギア歯は、工具の動力を伝達するために周期的に係合され、したがって、周期的に負荷を受ける。
【0114】
この負荷作用は、接触点における歯システムのプロファイルに沿って移動する2つの係合する歯の間の接触力によって表される。
【0115】
力のプロファイル、すなわち、その振幅及び歯面に対するその傾斜は、
2つの歯の係合中にギア又はギアシステムによって伝達されるトルクと、
ギア装置の幾何学的配列と、
ギア装置間の潤滑とにのみ依存する。
【0116】
ベアリングは、それらに関する限り、
回転曲げ力を受けるアングルヘッドシャフトのときは周期的な負荷、又は、
エピサイクリックトレイン遊星ベアリングのときは継続的な負荷
を受ける可能性がある。
【0117】
負荷は、周期的に作用されるとき、モータの角度センサによって測定されたトランスミッション回転角の関数として表される。例えば、エピサイクリックトレインのギア装置の歯は、モータの回転ごとに負荷を所定の回数受ける。換言すれば、歯は、回転子が所与の値の角度だけ固定子に対して回転する度に負荷を受ける。
【0118】
これらの作用負荷の振幅は、行われる作業の性質に応じて可変である。
・穿孔動作の場合には、振幅は明らかに直線的に一定である。
・ねじ締め動作の場合には、振幅は明らかに直線的に増加する。
【0119】
したがって、穿孔動作の場合、ギア装置の歯は、
図3に示すグラフに示すような負荷、すなわち、ドリルビットが所与の材料を穿孔する限り一定振幅を有する負荷を受ける。
【0120】
ねじ締め動作の場合、ギア装置の歯は、
図4に示すグラフに示すような負荷、すなわち、締め付け動作の終了まで増加する振幅を有する負荷を受ける。
【0121】
歯が定トルクの負荷を受けるということは、実際には、可変のトルク負荷の特殊なケースであり、本明細書では、以下でこの負荷を検討することにする。
【0122】
図5に示すグラフは、一例として、ねじ締め動作におけるトルクの上昇中の6歯ギア装置の歯への負荷の作用を表している。
【0123】
この場合、この装置は、例えば、1つのサイクルの過程においてトルクの上昇中に4.6回転を行うドライバの6歯アングルピニオンとすることができる。各歯は、ピニオンの回転ごとに1つの係合のみを受ける。
【0124】
したがって、以下で説明するように、各負荷作用中、歯は、要素摩耗損傷及び要素疲労損傷を受ける。
【0125】
これらの2種類の損傷は、以下のものに依存する。
・トランスミッションの設計及び潤滑、歯組み立て体の幾何学的配列等の所与の工具の固定パラメータ。
・ギア装置によって伝達されるトルクのレベル等の可変パラメータ。
【0126】
この結果、所与の工具における所与の歯の場合、摩耗損傷及び疲労損傷は、ギア装置によって伝達されるトルクのレベルにのみリアルタイムで依存する。
【0127】
工具によって生み出される作業サイクル、例えば、ねじ締め動作の場合、所与の歯がサイクル中に受けたサイクルごとの摩耗損傷及びサイクルごとの疲労損傷は、それぞれ
図4に示す負荷の作用に起因する要素損傷のインスタンスの合計に対応する。
【0128】
次に、トランスミッションのランダムな角度位置が、ねじ締め動作の開始時に与えられると、負荷の作用は、トルクの上昇の開始に対してランダムに開始する。
【0129】
この結果、簡単な手段を用いて、各ねじ締めサイクルの損傷を正確に評価することは可能でない。
【0130】
一方、
工具の損傷の評価の基礎となる多数のサイクルと、
工具が一般的にはねじの所与の用途に用いられ、同じタイプ(同じ最終トルク及び組み立て体の同じ弾性)のねじ締め動作をかなり頻繁に繰り返すということと、
を前提として、
図5の例、すなわち、負荷を6歯ギア装置に印加するトルクの増加を考えると、確率的に起こり得ることは、6つの歯の中で同一の歯が、1回目、2回目、3回目、4回目、5回目、又は6回目のいずれかでトルクの上昇開始時に負荷を受け、これが6つの全ての位置について均一に1回起こるということである。
【0131】
したがって、
図5の負荷の各作用に起因する損傷のインスタンスの合計をピニオン歯の数、すなわち、この場合は6で除算したものに対応する、疲労に関する平均損傷値及び/又は摩耗に関する平均損傷値を各サイクルに割り当てることが可能である。
【0132】
この平均損傷の評価は、1つのサイクルについては正確ではないものの、これを多数のサイクルにわたって累算又は総計することによって、全体的に正確な損傷の評価を与えることを可能にする。
【0133】
本発明者らが6つの異なる位置に沿った歯の係合を提供する選ばれた合理的な手法は、解決策の提示を容易にする。実際は、所与の歯の係合は、これらの6つの位置の間で分散した無限の不特定の位置を取る。
【0134】
この容易性は合理性の質に影響を与えず、無限の歯の係合位置を検討しても結果は同じになる。
【0135】
その上、検討対象の歯が、エピサイクリックトレインの太陽ギアによって保持されたものである場合、この歯は、そのトレイン内に存在する遊星ギアと同数の係合を受ける。この場合、歯が1回の太陽ギア回転において受ける作用負荷の回数を上記の結果に乗算しなければならない。
【0136】
次に、本発明による疲労損傷及び摩耗損傷を求める方法を詳細に説明する。
【0137】
2.2.疲労損傷
ここでは、産業用工具に対する疲労負荷にマイナ則を適用することができるものと仮定する。
【0138】
これは、ストレスの時系列分布が混合されているときに一層当てはまる。このように、ねじの締め付けは、強いストレス及び弱いストレスの双方を含む。
【0139】
所与の構成要素、特にギア装置の場合、疲労は、歯がトルクを伝達するために別のギア装置の別の歯と係合及び係脱するときにこの歯に印加される。
【0140】
ストレスは、歯のフランクが歯の底部の差し渡しと連結する箇所である歯の基部においてその最大レベルに達する。
【0141】
以下の2つのタイプの破損又は破壊が発生する可能性がある。
亀裂が歯の基部直径に沿って走り、この歯がギア装置から外れる破壊と、
亀裂が、歯の支持部から、通常エピサイクリックトレイン遊星ギアの場合にギア装置内に統合することができる内径部に向けて拡大する破壊とである。
【0142】
したがって、歯が受けるストレスは、締め付けられるねじに対してドライバが生成したトルク、又は、穿孔動作の状況ではドリルビットに対してドリルが生成したトルクに正比例する。
【0143】
測定手段によって測定されるトルクの関数としてのこのストレスの比例係数は、工具の設計中に計算される。
【0144】
この結果、伝達シーケンス内の構成要素における疲労損傷は、この構成要素が受けるストレスのレベルCiに比例し、このレベルは、トランスミッションによって伝達されるトルクに比例する。
【0145】
歯が受けるストレスのレベルCiは、工具の出力トルクを表す情報を測定する手段によって測定される、トランスミッションが受けるトルクCj(ドライバの場合には締め付けトルク、又は、ドリルの場合にはドリルビットが受けるトルク)から、以下の式に従ってその値が求められる。
【数2】
ただし、
Ci:歯が受けるストレスのレベル
K’:工具のトランスミッションの設計に依存する定数
Cj:出力トルクを表す情報を測定する手段によって測定されるトルク
である。
【0146】
定数K’は、出力トルクを表す情報を測定する手段及びトランスミッションに応じて工具の設計中に求められる。より具体的には、疲労損傷の評価を試みている構成要素が配置されているトランスミッション内の箇所と、トルクを測定するために測定手段を用いることができるトランスミッションの箇所とが分かっている場合、K’の値が求められる。
【0147】
構成要素に印加されるストレスCiから、負荷が構成要素にそれぞれ作用する際に、値Ciのストレスによってこの構成要素に作用する負荷に起因した構成要素の要素疲労損傷が求められる。
【0148】
このために、工具の設計中に求められる構成要素のウェーラ曲線が考慮される。
【0149】
この曲線は、異なるストレスレベルごとに、構成要素が破壊する前にこれらのストレスレベルのそれぞれにおいて負荷を受けていることができるサイクルの数Nciを表している。
【0150】
したがって、構成要素のウェーラ曲線を考慮すると、印加ストレスCiに起因するこの構成要素の要素疲労損傷を以下の式に従って求めることが可能になる。
【数3】
ただし、
D:負荷が作用している間の構成要素の疲労損傷
Nci:負荷Ciを受ける構成要素が破壊前に受けることができるサイクルの数
である。
【0151】
ストレスレベルが耐久性の限界未満である場合、Nciは無限大であり、負荷の作用中の損傷は0である。
【0152】
逆に、ストレスレベルが、構成要素の材料の弾性限界に近い場合、構成要素の損傷は、構成要素を交換する必要があると考えられる所定の警告閾値に急速に接近する。
【0153】
したがって、検討対象の構成要素について、1つのサイクル中のこの要素への負荷の作用によって引き起こされる要素疲労損傷を計算することができる。
【0154】
1つのサイクル中に構成要素に引き起こされる要素疲労のインスタンスから、全サイクル中に、検討対象の構成要素、この場合はギア歯が受けた疲労損傷をサイクルごとに評価することが可能である。
【0155】
このため、1つのサイクル中、所定の角度期間に従って、負荷が検討対象の構成要素に作用する度に、検討対象の構成要素に作用する負荷のレベルが求められる。これらの負荷のインスタンスのそれぞれについて、対応する要素損傷が計算される。次に、各サイクルにおいて、サイクルごとの損傷が、そのサイクル中の要素損傷のインスタンスの合計を考慮して計算される。
【0156】
検討対象の構成要素がピニオン歯であるとき、所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分のピニオンの回転に対応する。
【0157】
工具によって提供される作業サイクルの終了時に、
図5に相当するサイクルごとの疲労損傷が以下のように計算される。
【数4】
ただし、
Nci:所与の作用負荷について歯が受けるストレスの破壊前のサイクルの数
NST:検討対象の歯がギア回転ごとに負荷を受ける回数
NDは:ギア装置における歯の数
である。
【0158】
検討対象の構成要素が、回転曲げを受けるシャフトであるとき、計算は同じである。作用負荷の記録のための所定の角度期間は、検討対象のシャフトの1回転に対応し、値ND及びNSTは1に等しい。
【0159】
次に、各サイクルの終了時に、完了したばかりのサイクルを含む先行サイクルのサイクルごとの疲労損傷のインスタンスの累算として、疲労損傷が求められる。これは、検討対象の全ての作業サイクルにわたる全損傷である。
【0160】
損傷の各インスタンス、すなわち、構成要素又は部分組み立て体ごとの損傷について、越えている場合に構成要素が損傷しているとみなされる警告閾値が求められる。
【0161】
2.3.摩耗損傷
ここでは、摩耗損傷の評価を行わなければならない。摩耗損傷は、摩擦によって工具の種々の構成要素から剥離した粒子の量と等価とみなされる。
【0162】
ここで、産業用工具の摩耗において作用する負荷にアーチャードの法則を適用することができ、特に、円錐ギアの平行の歯システムのフランクの間の特定の滑りに適用することができるものと仮定する。
【0163】
図7を参照すると、ギア歯システムの特定の滑りは、2つの歯のそれらの接触点におけるフランクの間の滑りを意味する。この滑りは、歯が接触すると現れ、そして、接触点がピニオンの中心と整列されると減少して0になり、フランクがもはや接触しなくなるまで増加する。
【0164】
したがって、歯システムのフランク上の接触点の曲線横座標とこの接触点の滑りとの間に関係を確立することができる(
図8を参照)。
【0165】
歯の間の接触力のフランクに垂直な成分に関して、この成分は、
ピニオンのうちの1つと、接触力の接線成分を定める接触点とこのピニオンの中心との間の距離とによって誘発されるトルクと、
接触点におけるフランクに対する法線の方向と、
フランク間の摩擦係数と
に起因する。
【0166】
この垂直成分の振幅は、接触点が歯面上をシフトすると増加する。フランクに沿ったこの垂直力のプロファイルは、検討対象のギア装置の幾何学的配列と、検討対象の負荷の作用中に伝達されるトルクとに依存する。
【0167】
図9を参照すると、負荷の作用中の歯の特定の滑りに適用されるアーチャードの法則は、以下のように摩耗量qを表すことができる。
【数5】
ただし、
w:接触点において一方の歯から他方の歯に印加される力
dl:歯面上の滑りの増分距離
Ku:実験によって求められた定数
H:最も柔らかい表面の硬度
である。
【0168】
所与の歯に関する限り、以下の項
【数6】
は、負荷が作用するときに歯によって伝達されるトルクにのみ依存し、したがって、以下の形で表すことができる。
【数7】
ただし、
Kc:トランスミッションの設計に依存し、工具の設計中に計算可能な定数である。この定数は、トランスミッション及びその構成要素の幾何学的配列の関数として求められる。
Cj:負荷が作用しているときに歯によって伝達されるトルクである。
qは、所与の作用負荷を受ける所与の歯の摩耗量である。したがって、qはこの作用負荷のトルクにのみ依存し、以下のように表すことができる。
【数8】
又は
【数9】
ただし、
【数10】
である。
【0169】
疲労損傷の場合と同様に、工具の作業サイクル中に、検討対象の構成要素に作用する各負荷について、構成要素がこの負荷作用中に晒されるストレスによって引き起こされる要素損傷は、この負荷作用中に測定されたトルクCjと定数Kとの積に等しいものとして求められる。
【0170】
このために、検討対象の構成要素がピニオン歯であるとき、1つの歯に対応する角度分のピニオンの回転に対応する所定の角度期間に従ってトランスミッションによって伝達されるトルクの測定が行われる。
【0171】
工具によって提供される作業サイクルの終了時に、
図5に相当する摩耗に関するサイクルごとの平均損傷を以下のように表すことができる。
【数11】
ただし、
NST:検討対象の歯がギア回転ごとに負荷を受ける回数
ND:ギア装置における歯数
である。
【0172】
次に、各サイクルの終了時に、完了したばかりのサイクルを含む先行サイクルのサイクルごとの摩耗損傷の場合の累算として、ピニオン歯の摩耗損傷が求められる。これは、検討対象の全ての作業サイクルにおける全損傷である。
【0173】
損傷の各インスタンス、すなわち、構成要素又は部分組み立て体ごとの損傷について、越えている場合に構成要素が損傷しているとみなされる警告閾値が求められる。
【0174】
上記のように、ピニオン歯の摩耗損傷が計算される。
【0175】
ベアリングの摩耗損傷の評価について、摩耗はねじ締め動作全体を通して継続的にもたらされるので、手法は、損傷の以前のインスタンスの評価と異なる。角度期間に従って作用する負荷はない。
【0176】
ねじ締め動作中のベアリングの摩耗損傷は以下のように計算される。アーチャードの法則を前提とすると、ベアリングの摩耗損傷は以下のものに比例する。
それ自体、工具のトルク測定手段によって測定されたトルクに比例するベアリングに対する垂直負荷と、
それ自体、工具の角度測定手段によって測定された角度に比例する遊星ギアのそのベアリング軸に対する回転角とである。
【0177】
1つの作業サイクルについて、ベアリングの摩耗損傷は、以下のように計算することができる。
【数12】
ただし、
C:工具トルク測定手段によって測定されたトルク
dα:工具の角度測定手段によって測定された角度増分
Ku:実験によって求められる定数
H:最も柔らかい表面の硬度
K’’:トランスミッション及びその構成要素の幾何学的配列の関数として計算によって工具の設計中に事前に求められた定数
である。
以下の式が与えられる。
【数13】
ただし、
【数14】
である。或いは、デジタル計算方法の枠組みでは、以下の式が与えられる。
【数15】
ただし、
Δα:角度増分
である。
【0178】
損傷の上記インスタンスの場合と同様に、ベアリングにおけるサイクルごとの摩耗損傷は、以前のサイクルの摩耗損傷に加算されて、ベアリングの全摩耗損傷が取得される。
【0179】
損傷の各インスタンスについて、越えている場合に構成要素が損傷しているとみなされる警告閾値が求められる。
【0180】
2.4.工具の設計から得られるデータ
工具の設計の間、この工具の使用中に損傷を追跡することが所望される単数又は複数の構成要素が選択される。
【0181】
構成要素が影響を受けやすい損傷の性質に応じて、摩耗及び/又は摩擦によるこの構成要素の損傷が追跡される。
【0182】
疲労損傷が追跡されるこれらの構成要素のそれぞれについて、以下のことが、工具の設計中に求められることになる。
・トルク読み取り値からの角度期間である。
ピニオン歯の場合、この角度期間は、1つの歯の値のピニオンの1つの回転に対応する、工具の角度測定手段において測定された角度期間となる。
回転曲げを受けるシャフトの場合、この角度期間は、1回のシャフト回転に等しい回転に対応する、工具の角度測定手段によって測定された角度期間となる。
・構成要素がピニオンである場合には、歯数NDである。構成要素が回転曲げを受けるシャフトである場合には、NDは1に等しい。
・構成要素がピニオンである場合には、歯及びピニオン回転ごとの作用する負荷の回数NSTである。構成要素が回転曲げを受けるシャフトである場合には、NSTは1に等しい。
・トルクをストレスに変換する構成要素の定数K’である。
・構成要素のウェーラ曲線(種々のストレス値Ciについて、構成要素が破壊前にストレスCiを受けるサイクルの数Nciを関連付ける値の表)である。
・越えている場合に構成要素が使用されないものとみなされる警告閾値である。
【0183】
摩耗による損傷が追跡される各ピニオン歯について、以下のことが、工具の設計中に求められることになる。
・トルクの読み取りの角度期間である。これは、1つの歯の値のピニオンの1つの回転に対応する、工具の角度測定手段において測定された角度期間となる。
・構成要素がピニオンである場合に歯数NDである。
・構成要素がピニオンである場合に、歯及びピニオン回転ごとの作用する負荷の回数NSTである。
・構成要素のトルク/摩耗損傷変換定数Kである。
・越えている場合に構成要素が使用されないものとみなされる警告閾値である。
【0184】
摩耗損傷が追跡される各ベアリングについて、以下のことが、工具の設計中に求められることになる。
・摩耗定数K’’’である。
【0185】
これらのデータは、事前パラメータ設定ステップと呼ばれるステップの間に工具のメモリに記録される。
【0186】
3.方法の実施
次に
図11を参照して、回転工具が受けた損傷を評価する本発明による方法の一例を提示する。回転工具は、この場合はドライバである。本方法は、ドリル又は他の任意のタイプの回転工具に適用することができる。
【0187】
この例では、ドライバの2つの部分組み立て体、すなわち、そのアングルヘッド19及びエピサイクリックトレイン20への損傷の追跡が確保される。
【0188】
より具体的には、これらの部分組み立て体のそれぞれについて、ここでは、疲労負荷を最も受ける構成要素及び摩耗負荷を最も受ける構成要素を追跡することが選ばれている。これらの構成要素のうちの一方のみを追跡するように決定することができる。なぜならば、部分組み立て体の中には、これらのタイプの損傷のいずれかの影響も受けやすい構成要素を有しないものがあるからである。
【0189】
検討対象の部分組み立て体の数及びタイプが例として与えられる。1つの部分組み立て体のみ又は3つ以上の部分組み立て体を検討対象とすることができる。アングルヘッドギア装置並びにエピサイクリックトレインの太陽ギア及び遊星ギア以外の部分組み立て体、例えば、リング及びその摩耗、出力アングルシャフト及びその疲労等を検討することができる。
【0190】
【0191】
上記1を参照すると、疲労の影響を最も受けやすいアングルヘッドの構成要素19は、摩耗の影響も受けやすい。これは、アングルヘッド19の入力ピニオンAである。
【0192】
疲労の影響を最も受けやすいエピサイクリックトレイン20の構成要素は遊星ギアBである一方、摩耗の影響を最も受けやすい構成要素は太陽ギアCである。
【0193】
疲労を追跡される構成要素のそれぞれについて、以下の要素が工具のメモリに事前に記録される。
トルク読み取りの角度期間としてαa(ピニオンA用)及びαb(遊星ギアB用)と、
歯数NDとしてXa(ピニオンA用)及びXb(遊星ギアB用)と、
歯及びピニオン回転ごとに作用する負荷の回数NSTとしてYa(ピニオンA用)及びYb(遊星ギアB用)と、
トルク/歪み変換定数K’としてK’a(ピニオンA用)及びK’b(遊星ギアB用)と、
構成要素のウェーラ曲線(種々のストレス値Ciについて、構成要素が破壊前にストレスCiを受けるサイクルの数Nciを関連付ける値の表)として、Wa(ピニオンA用)及びWb(遊星ギアB用)と、
越えている場合に構成要素が使用されないものとみなされる警告閾値として、ALa(ピニオンA用)及びALb(遊星ギアB用)と
である。
【0194】
摩耗を追跡される構成要素のそれぞれについて、以下のことが工具のメモリに事前に記録される。
トルクの読み取りの角度期間として、αa(ピニオンA用)及びαc(太陽ギアC用)と、
歯数NDとして、Xa(ピニオンA用)及びXc(太陽ギアC用)と、
歯及びピニオンの回転ごとに作用する負荷の回数NSTとして、Ya(ピニオンA用)及びYc(太陽ギアC用)と、
構成要素のトルク/摩耗損傷変換定数Kとして、Ka(ピニオンA用)及びKc(太陽ギアC用)と、
越えている場合に構成要素が使用されないものとみなされる警告閾値として、AUa(ピニオンA用)及びAUc(太陽ギアC用)と
である。
【0195】
ドライバの損傷を評価する方法は、複数の連続するねじ締めサイクルを実行するのに用いられるこのドライバの耐用期間を通して実施される。ねじ締めサイクルは、ねじ又はナットの締め付けに対応する。
【0196】
各ねじ締めサイクル中、以下のものが、力を測定する手段(この場合はトルクセンサ13)及び動きを測定する手段(この場合は角度センサ15)をそれぞれ用いてリアルタイムで測定される。
トランスミッションの回転角であって、この場合は所定の周期性に従うモータの固定子121に対する回転子120の回転角を表す少なくとも1つの情報(ステップ30)と、
上記ステップにおいて測定された角度値のそれぞれに対応するトランスミッションが受けるトルクCjを表す少なくとも1つの情報(ステップ31)と
である。
【0197】
回転子120が、損傷が追跡されている構成要素に作用する負荷の角度期間に対応する角度αだけ回転するごとに(ステップ32)、この時点において測定されたトルクCjが工具のメモリに記録される(ステップ33)。
【0198】
疲労を追跡される構成要素について、コントローラは、負荷の各作用時に、構成要素、この場合は歯のうちの1つが受けたストレスCiを、測定されたトルクCから、以下の式を適用することによって求める(ステップ341)。
【数16】
【0199】
コントローラのメモリに記録されたウェーラ関数を考慮して、コントローラは、次に、このストレス値Ciの破壊サイクルの数又は破損サイクルの数Nciを求め(ステップ342)、次に、対応する要素疲労損傷1/Nciを求める(ステップ343)。
【0200】
このように、コントローラは、疲労を追跡される構成要素に対する負荷の各作用時に、対応する要素損傷を求めて記録する(ステップ34)。
【0201】
各サイクルの終了時に、コントローラは、以下の式を適用することによってサイクルの疲労損傷を求める(ステップ35)。
【数17】
【0202】
換言すれば、コントローラは、サイクル中に記録された要素疲労損傷のインスタンスの合計を計算し、この合計にNST/NDを乗算する。
【0203】
ここで、検討対象の構成要素はピニオンであるので、NST及びNDは1と異なる。検討対象の構成要素がシャフトである場合、NST及びNDは1に等しい。
【0204】
摩耗を追跡され周期的な負荷の作用を受けるピニオンについて、コントローラは、各負荷作用時に、この測定されたトルクの値Cjから、対応する要素損傷Cj・Kを求めて記録する(ステップ36)。
【0205】
各サイクルの終了時に、コントローラは、以下の式を適用することによって、サイクルにおける摩耗損傷を求めて記録する(ステップ37)。
【数18】
ただし、
NST:検討対象の歯がギア回転ごとに負荷を受ける回数
ND:ギア装置の歯数
である。
【0206】
摩耗を追跡される構成要素がベアリングであるとき、本方法は、トランスミッションの角度の測定(ステップ30)及びトランスミッションのトルクの測定(ステップ31)を通じてサイクルごとのベアリングの摩耗損傷を求めるステップ44と、そして、ベアリングの全摩耗損傷を求めるステップ(ステップ45)とを含む。
【0207】
したがって、n回の負荷作用を含むサイクルの場合、構成要素Aについて、以下のデータが取得される。
【0208】
【0209】
したがって、n’回の負荷作用に対応するサイクルの場合、構成要素Bについて、以下のデータが取得される。
【0210】
【0211】
したがって、n’’回の負荷作用を含むサイクルの場合、構成要素Cについて、以下のデータが取得される。
【0212】
【0213】
各サイクルの終了時に、
最後のサイクルにおける疲労損傷を、先行サイクルにおける損傷のインスタンスの合計に加算することによって、疲労を追跡される各構成要素の全疲労損傷が計算される(ステップ38)。
最後のサイクルにおける摩耗損傷を、先行サイクルにおける摩耗損傷のインスタンスの合計に加算することによって、摩耗を追跡される各ピニオンの全摩耗損傷が計算される(ステップ39)。
最後のサイクルにおける摩耗損傷を、先行サイクルにおける摩耗損傷のインスタンスの合計に加算することによって、摩耗を追跡されるベアリングの全摩耗損傷が計算される。
【0214】
【0215】
各サイクルの終了時に、
疲労を追跡される各構成要素の全疲労損傷が、対応する警告閾値と比較される。
摩耗を追跡される各構成要素の全摩耗損傷が、対応する警告閾値と比較される。
【0216】
警告閾値のうちの1つに達すると直ちに(ステップ40)、警告メッセージが送出される(ステップ41)。警告メッセージは、視覚メッセージ及び/又は音響メッセージとすることができる。この警告メッセージは、保守部門が対応する部分組み立て体又は構成要素を交換することができる(ステップ42)ように、警告閾値に達した構成要素を示している。
【0217】
損傷を受けた部分組み立て体が交換された後、この組み立て体の単数又は複数の構成要素の全摩耗損傷及び/又は全疲労損傷が、工具のメモリにおいて0にリセットされる(ステップ43)。
【0218】
そして、本方法は、繰り返される。
【0219】
ここで説明した本方法の上記例は、ねじ締め動作の状況において実施される。本方法の例は、穿孔動作等の状況においても実施することができる。
【0220】
(変形形態)
ドライバ又はドリルのタイプの産業用工具は、設計されているときに種々の検査によって動作確認を受ける。これらの検査のうちの1つは、工具のプロトタイプを用いた通常の作業サイクルの繰り返しからなる。ドライバの場合、検査は、ねじの配置と最大トルクとの間の一定角度分のねじの回転を必要とする組み立て体をねじで締めるためのドライバの最大トルク値で行われるねじ締め動作とすることができる。この検査は、ドライバが、破壊がなくかつその締め付け精度に劣化がなく、所定の回数の締め付け動作を実行することが可能であったときに動作確認される。
【0221】
この検査中にドライバが生成する仕事量(quantity of work)E
Tは、以下の式によって計算することができる。
【数19】
ただし、
NT:耐久性検査のねじ締め動作の回数
Δα:角度増分
Cj:構成要素によって伝達されるトルク
である。或いは、以下の式によって計算することもできる。
【数20】
ただし、
Cmax:工具の設計上の最大トルク
α
test:0N・m~Cmaxにおける耐久性検査から得られる組み立て体角度である。
【0222】
疲労損傷又は摩耗損傷は、耐久性検査の間、この仕事量に比例して増加し、検査の終了時に、ボーダーライン基準値に達する。
【0223】
図12は、この原理を用いた上記方法の一変形形態を示している。
【0224】
この変形形態によれば、以下のものが、力を測定する手段(この場合はトルクセンサ13)及び動きを測定する手段(この場合は角度センサ15)をそれぞれ用いてリアルタイムで測定される。
トランスミッションの回転角であって、この場合はモータの固定子121に対する回転子120の回転角を表す少なくとも1つの情報(ステップ30)と、
トランスミッションが受けるトルクCjを表す少なくとも1つの情報(ステップ31)とである。
【0225】
生産におけるドライバの使用中、各ねじ締めサイクルにおいてドライバが生成する仕事量は、以下のように計算される(ステップ50)。
【数21】
【0226】
次に、ドライバが生成する計算された全仕事量E
Vが、以下のように計算される(ステップ51)。
【数22】
【0227】
この値を、耐久性検査中に生成されたエネルギーETと比較して、疲労及び摩耗の双方の観点からその使用状態を評価することができる(ステップ52)。
【0228】
これは、ドライバが、耐久性検査と同様に、ドライバの最大値に近いトルクレベルで用いられる場合に当てはまる。このドライバの最大値に近いトルクレベルがない場合には、仕事量は疲労損傷に比例しない。
【0229】
生産の際に組み立て体に用いられる角度は、この角度に関する限り、耐久性検査においては、ねじ締め動作に用いられる角度と異なることができ、疲労損傷はこの角度に比例する。
【0230】
警告閾値のうちの1つに達すると直ちに(ステップ52)、警告メッセージが発行される(ステップ41)。警告メッセージは、視覚メッセージ及び/又は音響メッセージとすることができる。この警告メッセージは、保守部門が対応する部分組み立て体又は構成要素を交換することができる(ステップ42)ように、警告閾値に達した構成要素を示している。
【0231】
損傷を受けた部分組み立て体が交換された後、この組み立て体の単数又は複数の構成要素の全使用状態が、工具のメモリにおいて0にリセットされる(ステップ53)。
【0232】
変形形態では、疲労損傷又は摩耗損傷のインスタンスは、疲労による使用状態(又は使用率)又は摩耗による使用状態の計算を引き起こす可能性がある。この使用状態は、損傷と、越えている場合に検討対象の構成要素を交換しなければならない対応する所定の警告閾値との間のパーセンテージ比に等しい。
【0233】
工具によって提供される作業を考慮することにその本質がある変形形態では、使用状態は、以下のように計算することができる。
【数23】
【0234】
この場合、この使用状態の値が100に近づくと、警告信号が送出される。
【0235】
本発明は、ねじ締め動作又は穿孔動作等の工具によって実行される各ジョブによって誘発される使用率の増加の評価を更に可能にし、それらを総計して、工具の状態を表す全使用率を形成することができる。
【0236】
損傷の全インスタンスの計算後、作用負荷のトルク値を含む表は、次の作業サイクルによる損傷の評価によって消去され、損傷の全インスタンスのみが、警告閾値との比較及び必要に応じた警告の生成のために保存される。
【0237】
定トルクでの作業サイクル(例えば、穿孔)の損傷のインスタンスの評価は、可変トルクでの作業サイクル(例えば、ねじ締め動作)の損傷のインスタンスの評価と同一である。
【0238】
ウェーラ曲線は、ストレスと破損前のサイクルの数とを関連付ける点の表の形で記録することができる。特定のストレスの破壊前のサイクルの数は、ストレス値をフレーム化した表の2つの点の間を補間することによって識別することができる。
【0239】
この方法において利用される単位は、以下のとおりである。
・トルク:N・m
・ストレス:Mpa
・作用負荷の角度期間、すなわち角度:度
・破壊前のサイクルの数:無次元
・疲労損傷:無次元
・摩耗損傷:mm3
・エネルギー:J
【0240】
種々の大きさが、以下のように計算される。
・角度期間
これは、角度測定手段(モータ角度センサ)のレベルで測定され、ピニオン歯の場合、1回のピニオン回転を当該ピニオン歯の数によって除算したしたものを得るために、これは、角度測定手段のレベルにおける回転角に対応する。
・作用負荷の角度
これは、1つの角度期間の値分の連続回転の後に角度測定手段において測定された絶対角である。
・トルク/ストレス変換定数K’
一方において、変形不能で固定された設計によって、ドライバにおいて伝達されるトルク値は、工具内のトルク測定手段によって測定されたトルクに比例して推移する。
他方において、或る歯が別の歯と係合したときに受ける最大ストレスは、ピニオンによって伝達されるトルクに比例する。トルクと歪みとの間のこの比例は、有限要素計算ソフトウェアプログラムによって評価することができる。
したがって、このことから、工具のトルク測定手段によって測定されたトルクと、歯が受ける最大歪みとの間の比例定数K’を推論することが可能である。
・ウェーラ曲線
この曲線は、構成要素を構成するために選ばれた材料に固有であり、実際の検査所の構成要素に対する疲労検査によって信頼性のあるものとすることができる。
・トルク/摩耗損傷変換定数K
この定数は、検査所の検査によって評価することができる。所与のピニオンの場合、これらの検査は、定トルク負荷の下で、このピニオンを、工具内の隣接するものとともに回転させ、寸法測定又は質量減少測定のいずれかによって、摩滅する材料の量を周期的に測定することをその本質とすることができる。
そして、質量の減少分を検査中の歯の係合数によって除算することで、定数Kを推論することができ、検査レベルに相当するピニオンのレベルで伝達されるトルク値について、工具のトルク測定手段のレベルにおいて測定可能なトルクに関係付けることができる。
【0241】
もちろん、構成要素の損傷は、この構成要素が受けた損傷を表す。構成要素が部分組み立て体の一部であるとき、この損傷は、この部分組み立て体の損傷(この部分組み立て体が受けた損傷)を表す。この損傷は、構成要素が属する工具の損傷(工具が受けた損傷)も表す。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~26の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価する方法であって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報を求めるステップと、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報を求めるステップと、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求めるステップと
を少なくとも含むことを特徴とする、方法。
(請求項2)
前記方法は、前記工具の連続する使用サイクル中に実施され、該方法は、
前記使用サイクルのそれぞれの間に、検討対象のサイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、該検討対象のサイクルの前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求めるステップと、
前記少なくとも1つの構成要素の全ての前記検討対象のサイクルの間の前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、前記回転工具及び/又は前記少なくとも1つの構成要素の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求めるステップと
を少なくとも含む、請求項1に記載の方法。
(請求項3)
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記ステップは、前記少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に前記検討対象の特定の構成要素を交換しなければならない所定の警告閾値と比較するステップを含み、
前記方法は、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
(請求項4)
1つのサイクル中に少なくとも1つの前記構成要素の前記疲労損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間において、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求めるステップと、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表すステップと、
要素疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求めるステップと
を実施することを含む、請求項2又は3に記載の方法。
(請求項5)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものである、請求項4に記載の方法。
(請求項6)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に等しい
ものである、請求項4に記載の方法。
(請求項7)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記ステップは、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求めるステップと、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求めるステップと
を実施することを含む、請求項2又は3に記載の方法。
(請求項8)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記ステップは、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ものである、請求項7に記載の方法。
(請求項9)
前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求めるステップを含み、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
(請求項10)
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる機械的エネルギーと等価であるとみなされ、該エネルギーは、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
(請求項11)
前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記エネルギーに対応する、請求項10に記載の方法。
(請求項12)
構成要素の使用状態が前記対応する所定の警告閾値に達するか又は越えると、該構成要素を交換するステップと、該構成要素が交換された後、該構成要素に関連した前記使用状態をリセットするステップとを含む、請求項3~11のいずれか1項に記載の方法。
(請求項13)
モータ手段と、複数の構成要素を備えるトランスミッションと、端子要素とを備える回転工具の疲労損傷及び/又は摩耗損傷を評価するデバイスであって、前記端子要素は、前記トランスミッションを介して前記モータ手段による回転及び/又は並進の駆動を受けることが可能であり、
前記トランスミッションが受けるトルクを表す少なくとも1つの情報を求める手段と、
前記トランスミッションの回転角を表す少なくとも1つの情報を求める手段と、
前記構成要素のうちの少なくとも1つの疲労損傷及び/又は摩耗損傷を、前記トルク及び前記回転角の関数として求める手段と
を少なくとも備えることを特徴とする、デバイス。
(請求項14)
前記工具の連続する使用サイクル中に実施される手段を備え、前記デバイスは、
前記使用サイクルのそれぞれの間に、該検討対象のサイクル中の前記トルク及び前記回転角の関数として、該検討対象のサイクルの前記工具及び/又は前記構成要素のうちの少なくとも1つの、サイクルごとの少なくとも1つの疲労損傷及び/又はサイクルごとの摩耗損傷を求める手段と、
前記少なくとも1つの構成要素の全ての前記検討対象のサイクルの間の前記サイクルごとの疲労損傷の累算及び/又は前記サイクルごとの摩耗損傷の累算にそれぞれ対応する、疲労損傷及び/又は摩耗損傷を求める手段と
を少なくとも備える、請求項13に記載のデバイス。
(請求項15)
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を求める前記手段は、前記少なくとも1つの疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷を、越えている場合に前記検討対象の特定の構成要素を交換しなければならない所定の警告閾値と比較する手段を備え、
前記デバイスは、前記構成要素のうちの1つの前記損傷のうちの1つが、対応する前記所定の警告閾値に達すると直ちに警告を送出する手段を備える、請求項13又は14に記載のデバイス。
(請求項16)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの前記疲労損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に応じて、
前記構成要素が受けるストレスCiの値を求める手段と、
前記構成要素が作製されている材料に固有の所定の数学法則を考慮して、該構成要素によって実行することができる破壊前のサイクルの数NCiを前記ストレスCiから求め、該構成要素が晒される前記ストレスCiを、該構成要素が破壊する前に該ストレスに晒される該構成要素によって実行することが可能な前記サイクルの数NCiの関数として表す手段と、
要素疲労損傷を1/NCiに等しいものとして求める手段と
を実施する手段を備える、請求項14又は15に記載のデバイス。
(請求項17)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
(請求項18)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの疲労損傷を求める前記手段は、
考慮される前記構成要素は、回転曲げを受けるシャフトであり、
前記所定の角度期間は、前記シャフトの回転のうちの1回転に対応し、
前記サイクルごとの疲労損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素疲労損傷の合計に等しい
ように構成されている、請求項16に記載のデバイス。
(請求項19)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つの摩耗損傷を求める前記手段は、該サイクル中又は該サイクル後の所定の角度期間に従って、
前記構成要素によって伝達される前記トルクCjの値を求める手段と、
要素摩耗損傷を、前記トルクCjと所定の定数との積に等しいものとして求める手段と
を実施するように構成されている、請求項14又は15に記載のデバイス。
(請求項20)
1つのサイクル中に前記構成要素のうちの少なくとも1つのサイクルごとの摩耗損傷を求める前記手段は、
考慮対象の前記構成要素はピニオン歯であり、
前記所定の角度期間は、1つの歯に対応する角度分の前記ピニオンの回転に対応し、
前記サイクルごとの摩耗損傷は、前記角度期間に基づく前記サイクル中に求められる要素摩耗損傷の合計に、前記歯がピニオン回転ごとに負荷を受ける回数を乗算し、前記ピニオンの前記歯の数によって除算したものに等しい
ように構成されている、請求項19に記載のデバイス。
(請求項21)
前記工具若しくは前記構成要素の疲労による少なくとも1つの使用状態、及び/又は、前記工具若しくは前記構成要素の摩耗による1つの使用状態を求める手段を備え、前記疲労による使用状態及び/又は前記摩耗による使用状態は、前記疲労損傷と、越えている場合に前記構成要素を交換しなければならない前記疲労の所定の警告閾値との間、及び/又は、前記摩耗損傷と前記摩耗の所定の警告閾値との間のパーセント比に等しい、請求項13~20のいずれか1項に記載のデバイス。
(請求項22)
前記疲労損傷及び/又は前記摩耗損傷は、前記工具の耐用期間の間に前記端子要素を駆動して動作させる前記工具によって与えられる機械的エネルギーと等価であるとみなされ、該エネルギーは、少なくとも1つの構成要素について、該構成要素の回転角の関数としての該構成要素によって伝達される前記トルクの積分によって計算される、請求項13~15のいずれか1項に記載のデバイス。
(請求項23)
前記所定の警告閾値は、その技術的な動作確認中に行われる耐久性検査に準拠した前記工具によって与えられる前記エネルギーに対応する、請求項22に記載のデバイス。
(請求項24)
構成要素が交換された後、該構成要素の前記使用状態をリセットする手段のうちの1つを備える、請求項15~23のいずれか1項に記載のデバイス。
(請求項25)
プログラムがコンピュータにおいて実行されると、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実施する該プログラムのコード命令を含むコンピュータプログラム。
(請求項26)
請求項25に記載のコンピュータプログラム製品を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。