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特許7441605パイロテクニック式切断機能一体型接触器装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】パイロテクニック式切断機能一体型接触器装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/04 20060101AFI20240222BHJP
   H01H 39/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01H50/04 C
H01H39/00 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018238382
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2019194971
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】62/612,988
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517405998
【氏名又は名称】ギガバック リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サリバン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マクティグ ステファン マレー
(72)【発明者】
【氏名】モリンウ マイケル
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-086653(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183267(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02741994(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0229266(US,A1)
【文献】米国特許第7321281(US,B2)
【文献】特開2014-235829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/04
H01H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触器装置であって、
気密封止ハウジングと、
前記気密封止ハウジング内の内部部品と、
接触構造と、
前記気密封止ハウジング内のパイロテクニック要素と、を備え、
前記内部部品は、入力に応じて前記接触器装置の状態を閉状態と開状態との間で切替えるように構成され、
前記閉状態では前記接触器装置に電流が流れ、前記開状態では前記接触器装置を流れる電流が中断され、
前記接触構造は、外部回路との接続のために前記内部部品と電気的に接続され、
前記接触器装置は、閾値電流レベルの電流が前記内部部品を流れ、前記パイロテクニック要素が作動し、それにより前記内部部品が前記接触器装置を前記開状態に切替えるように構成され、
前記接触器装置を前記開状態に切替えることは、シャフト構造を作動させることを含み、前記シャフト構造は、前記パイロテクニック要素の作動に応じて前記気密封止ハウジングの一部分に穴を開けて、接触器装置内部の圧力を解放するように構成された先鋭部を備える、接触器装置。
【請求項2】
前記パイロテクニック要素はパイロテクニックチャージを備え、前記接触器装置は、前記パイロテクニックチャージの近くにピストン構造をさらに備える、請求項1に記載の接触器装置。
【請求項3】
前記ピストン構造は前記内部部品の近くに備えられ、前記パイロテクニックチャージの作動によって、前記ピストン構造が移動して、前記内部部品の構成を変更する、請求項2に記載の接触器装置。
【請求項4】
前記ピストン構造は、前記内部部品のうちの1つにおける一部分を少なくとも部分的に包囲する、請求項2又は3に記載の接触器装置。
【請求項5】
前記ピストン構造は、パイロテクニック要素が作動した後、前記ピストン構造が移動したときに、前記内部部品を前記開状態に保持して、前記内部部品が前記閉状態に切り替わることを防ぐのに十分な規模で構成される、請求項2~4のいずれか1項に記載の接触器装置。
【請求項6】
接触器装置であって、
気密封止ハウジングと、
前記気密封止ハウジング内の内部部品と、
前記気密封止ハウジングにおけるパイロテクニック機能と、を備え、
前記内部部品は、
固定接触子と、
1つまたはそれ以上の可動接触子と、
前記1つまたはそれ以上の可動接触子と接続されるシャフト構造と、
外部回路との接続のために前記内部部品と電気的に接続される接触構造と、を備え、
前記固定接触子は互いに電気的に分離され、前記気密封止ハウジングによって少なくとも部分的に包囲され、
前記1つまたはそれ以上の可動接触子は、前記1つまたはそれ以上の可動接触子が前記固定接触子に接触すると、前記固定接触子間に電流が流れることを可能にし、
前記パイロテクニック機能は、閾値電流レベルの電流が前記内部部品を流れると、前記パイロテクニック機能が前記シャフト構造を作動させて互いに作用し、それにより前記シャフト構造が構成を変更し、前記可動接触子が前記固定接触子から離れるように構成される、接触器装置。
【請求項7】
前記気密封止ハウジングは、内部に独立した内部コンパートメントを備える、請求項6に記載の接触器装置。
【請求項8】
前記パイロテクニック機能はパイロテクニックチャージを備え、前記接触器装置は、前記パイロテクニックチャージの近くにピストン構造をさらに備える、請求項7に記載の接触器装置。
【請求項9】
前記ピストン構造は、前記シャフト構造の近くに備えられ、前記パイロテクニックチャージの作動によって、前記独立した内部コンパートメントのほぼ内部に前記シャフト構造を押し入れる、請求項8に記載の接触器装置。
【請求項10】
前記ピストン構造は、前記独立した内部コンパートメントのほぼ内部に前記シャフト構造が位置するように、前記シャフト構造を所定の位置に保持するのに十分な規模で構成される、請求項9に記載の接触器装置。
【請求項11】
前記気密封止ハウジングは、前記ピストン構造が前記パイロテクニック機能の作動によって静止位置から移動させられると、前記ピストン構造が実質的に動くことができないように、前記ピストン構造を所定の位置に保持するように構成されたピストンストップ部をさらに備える、請求項8~10のいずれか1項に記載の接触器装置。
【請求項12】
前記シャフト構造は、前記パイロテクニック機能の作動に応じて前記気密封止ハウジングの一部分に穴を開けて、接触器装置内部の圧力を解放するように構成された先鋭部を備える、請求項6~11のいずれか1項に記載の接触器装置。
【請求項13】
前記シャフト構造は翼部を備え、前記気密封止ハウジングは、前記翼部に当接して、前記シャフト構造が前記独立した内部コンパートメント内部に過移動するのを防ぐように構成されたハードストップ構造を備える、請求項7~11のいずれか1項に記載の接触器装置。
【請求項14】
前記ハードストップ構造は、前記シャフト構造が前記独立した内部コンパートメントのさらに内部に移動できるように、前記パイロテクニック機能が作動すると切除されるように構成された、請求項13に記載の接触器装置。
【請求項15】
接触器装置であって、
気密封止ハウジングと、
前記気密封止ハウジング内の内部部品と、
前記気密封止ハウジングにおけるパイロテクニック機能と、を備え、
前記内部部品は、
固定接触子と、
1つまたはそれ以上の可動接触子と、
前記1つまたはそれ以上の可動接触子と接続されるシャフト構造と、
前記シャフト構造と接続されるプランジャ構造と、
外部回路との接続のために前記内部部品と電気的に接続される接触構造と、
前記プランジャ構造の運動を制御するように構成されたソレノイドと、を備え、
前記固定接触子は互いに電気的に分離され、前記気密封止ハウジングによって少なくとも部分的に包囲され、
前記1つまたはそれ以上の可動接触子は、前記1つまたはそれ以上の可動接触子が前記固定接触子に接触すると、前記固定接触子間に電流が流れることを可能にし、
前記パイロテクニック機能は、閾値電流レベルの電流が前記内部部品を流れると、前記パイロテクニック機能が前記シャフト構造を作動させて互いに作用し、それにより前記シャフト構造が構成を変更し、前記可動接触子の前記固定接触子から離れるように構成される、接触器装置。
【請求項16】
アーク吹き消し磁石をさらに備える、請求項15に記載の接触器装置。
【請求項17】
前記接触器装置は、前記パイロテクニック機能と通信するパイロテクニックピンをさらに備え、前記パイロテクニック機能は、前記ピンが受信する電気作動信号に応じて作動するように構成される、請求項15又は16に記載の接触器装置。
【請求項18】
前記パイロテクニック機能は、第1のイニシエータチャージと、第2のガス生成チャージとを備える二重チャージ構造を備える、請求項15~17のいずれか1項に記載の接触器装置。
【請求項19】
前記第1のイニシエータチャージは、急速燃焼材料を備え、前記第2のガス生成チャージは緩慢燃焼材料を備える、請求項18に記載の接触器装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年2月6日に出願された、マレー ステファン マクティーグ他による米国出願第15/889,516号「機械式ヒューズ装置」の一部継続出願であり、米国出願第15/889,516号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
米国出願第15/889,516号は、2016年5月4日に出願された、マレー ステファン マクティーグ他による米国出願第15/146,300号「機械式ヒューズ装置」の一部継続出願であり、米国出願第15/146,300号に基づく優先権を主張するものであり、米国出願第15/146,300号は、2015年5月18日に出願された、マレー S マクティーグ他による米国仮出願第62/163,257号「機械式ヒューズ装置」に基づく優先権を主張するものである。
【0003】
さらに、米国出願第15/889,516号および本出願は、いずれも2018年1月2日に出願された、ダニエル サリバン他による米国仮出願62/612,988号「パイロテクニック式切断器一体型接触器装置」に基づく優先権を主張するものであり、米国出願第15/889,516号および米国仮出願62/612,988号それぞれの全内容を本出願に参照により援用する。
【発明の詳細な説明】
【0004】
[背景技術]
[発明分野]
本明細書では、電気機器や電気システムとともに使用する電気接触器に関する装置について記載する。また、本明細書に記載する装置は、過電流保護用のヒューズ状犠牲装置として機能するように構成された、電気式切断器にも関する。
【関連技術】
【0005】
電気回路の接続および切断は、電気回路そのものと同じくらい古く、回路に接続された電気機器への電力を、「オン」の状態と「オフ」の状態との間で切替える方法としてよく用いられている。回路の接続および切断のために一般的に用いられる装置の一例は、接触器である。接触器は、1つ以上の装置または電源に電気的に接続される。接触器は、装置へ入力される、または装置から出力される電力を制御するために、回路を中断または完成できるように構成されている。従来型の接触器のひとつが、気密封止接触器である。
【0006】
装置の通常運転中に電気回路を接続および切断する目的を果たす接触器に加えて、過電流保護を提供するために、種々の付加的装置を採用することが可能である。これらの装置は、電気系統または、装置に接続された電気機器における短絡、過負荷、および永久的な損傷を防ぐことができる。これらの装置は、回路を素早く永久的に遮断することができる切断装置を備え、当該切断装置が修理、交換、またはリセットされるまで回路が遮断されたままになるようにされている。このような切断装置のひとつが、ヒューズである。従来型のヒューズは、犠牲装置として働く低抵抗器の一種である。一般的なヒューズは、過剰な電流が流れると溶けて接続されている回路を中断する、金属線または金属帯板を備える。
【0007】
社会の発展とともに、電気系統や電気機器における種々のイノベーションはますますありふれたものになってきている。このようなイノベーションの一例が、昨今の電気自動車の進歩である。いずれは電気自動車が省エネルギーの標準となって、在来の石油燃料で動く車両に取って代わるかもしれない。このように高価で日常的に使用される電気機器にとっては、装置の故障や永久的な損傷を防ぐために、過電流保護は特に適切である。さらに、過電流保護によって、電気火災などの安全上の問題を防ぐこともできる。
【0008】
従来の接触器および従来の切断装置を使用するうえでの問題のひとつに、回路設計上、接触器と切断装置との両方が必要な場合、例えば、通常運転用のスイッチと過電流保護要素との両方を提供するために、少なくとも2つの別々の装置を使用しなければならないという問題がある。特に、電気自動車などの高価な最新の電気機器では、複数の装置を収容するために貴重なスペースが追加で必要となるうえに、複数の装置を当該電気機器へ繋がる回路に接続するために、設計のさらなる検討が必要となる。
[発明の概要]
本明細書では、接続する回路を中断または完結させるように構成された接触器について記載する。当該回路は、接続された回路を永久的に遮断することにより過電流保護を提供し、当該切断要素が修理、交換、またはリセットされるまで回路が遮断されたままにするように構成された、少なくとも1つの切断要素を備える。切断要素がパイロテクニック機能を備える実施形態もある。このパイロテクニック機能が作動すると、結果として起きる爆発は、接触器の内部機能間の配向に移動または変更を生じさせる十分な力を発生させ、その結果、永久的な回路遮断が生じる。
【0009】
一実施形態において、接触器装置はハウジングと、ハウジング内の内部部品とを備え、当該内部部品は入力に応じて接触器装置の状態を閉状態から開状態へ、またはその反対へと変更するように構成される。閉状態では当該装置に電流を流すことができ、開状態では当該装置を流れる電流が中断される。接触器装置はさらに、外部回路およびパイロテクニック要素へ接続するために当該内部部品に電気的に接続された接触構造を備える。当該接触器装置は、閾値電流レベルの電流が当該内部部品を流れると、当該パイロテクニック機能が作動するように構成されている。これにより、当該内部部品は、接触器装置を開状態に移行させるように構成されている。
【0010】
別の実施形態では、接触器装置はハウジングと内部部品とを備え、当該内部部品は、電気的に互いに隔離され少なくとも部分的にハウジングに包囲された複数の固定接触子と、1つまたは1つ以上の可動接触子であって、当該可動接触子が固定接触子に接触しているときに固定接触子間に電流が流れることを可能にする可動接触子と、可動接触子に接続されたシャフト構造と、外部回路との接続のために内部部品に電気的に接続される複数の接触構造とを備える。接触器装置はパイロテクニック機能をさらに備え、当該パイロテクニック機能は、閾値電流レベルの電流が内部部品を流れると作動して、シャフト構造と相互作用するように構成され、それによりシャフト構造が構成を変更し、それにより可動接触子が固定接触子から離れるように構成されている。
【0011】
さらに別の実施形態では、接触器装置は、ハウジングと内部部品とを備える。当該内部部品は、電気的に互いに隔離され少なくとも部分的にハウジングに包囲された複数の固定接触子と、当該可動接触子が固定接触子に接触しているときに固定接触子間に電流が流れることを可能にする1つまたは1つ以上の可動接触子と、可動接触子に接続されたシャフト構造と、シャフト構造に接続されたプランジャ構造と、外部回路との接続のために内部部品に電気的に接続される複数の接触構造と、プランジャ構造の動作を制御するように構成されたソレノイドとを備える。接触器装置はパイロテクニック機能をさらに備え、当該パイロテクニック機能は、閾値電流レベルの電流が内部部品を流れると作動して、シャフト構造と相互作用するように構成され、それによりシャフト構造が構成を変更し、それにより可動接触子が固定接触子から離れるように構成されている。
【0012】
本発明の、上述のおよびその他のさらなる特徴や利点は、以下に述べる詳細な説明および添付の図面の参照により、当業者に明白なものとなるであろう。なお、図面では、類似する参照番号は図中の対応する部分を示す
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の特徴を備える接触器の実施形態の正面断面図であり、装置内に電気が流れることを可能にする「閉」配向の状態を示す。
図2図2は、図1に示す接触器装置の実施形態の正面断面図であり、装置内に電気が流れることを防ぐ「開」または「切断」配向の状態を示す。
図3図3は、図1に示す接触器装置の実施形態の異なる配向を示す正面断面図であり、切断要素が「トリガ」された状態を示す。
図4図4は、図1に示す接触器装置の実施形態の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の種々の実施形態を詳細に説明する。以下に説明する実施形態では、内部部品を収納するハウジングを備える接触器装置であって、当該内部部品は、当該装置の状態を、装置を電流が流れることができる状態と、装置を電流が流れることができない状態とを切替えるよう構成されている接触器装置について明記する。
【0015】
上述した2つの状態は、受信可能な種々の形態の入力に応じて切り替えられ得る。入力には例えば、使用者が接触器装置を作動させる「スイッチング」機能を実行させるためにボタンを押す等する、手動入力がある。そのほかにも、例えば自動入力もあり得る。自動入力には例えば、センサや、プロセッサによって実行される、非一過性の記録媒体に保存されたコンピュータコマンド一式があり、例えば、電流センサ、電圧センサ、または温度センサ等の、切断装置と通信しているセンサによって検知されたタイミング情報またはシステム情報に応じて、内部部品に状態を切り替えさせる。内部部品は、この入力に応じて、例えばソレノイドまたは手動機構を作動させる等して、本明細書に記載のように作動し、2つの状態間を移行するように構成を変更することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明の特徴を備える接触器装置の内部部品は、電気的に互いに隔離された複数の固定接触子と、当該固定接触子に電気的に接触するように構成され、固定接触子間に電流が流れることを可能にする1つまたは1つ以上の可動接触子とを備える。また、いくつかの実施形態では、可動接触子がシャフト構造と接続されて、使用者による入力によりシャフトの動作が制御され、それに伴って可動接触子が制御され、装置に電気が流れないように可動接触子を選択的に固定接触子から離すことができる。同様に、可動接触子は、装置に電気が流れるように選択的に固定接触子と接触するように設けられることができる。
【0017】
上述した通常運転に加えて、本発明の特徴を備える装置は、例えばヒューズまたはサーキットブレーカと同様の方法で過電流保護として機能するパイロテクニック式切断機能を備えることもでき、結果として、例えば犠牲装置として機能する等、装置が永久に操作不可能となる。接続されている高価な電気機器に永久的な損害を与え得る危険なレベルの電流を意味する、または電気火災を引き起こすような危険なレベルの電流を意味する、十分なレベルの電流が装置に流れることをきっかけとして、装置内のパイロテクニックチャージが作動する。その結果として起きるパイロテクニック爆発により、内部部品を相互に作用させるのに十分な力が発生し、可動接触子が固定接触子から永久的に離されることになる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の特徴を備える装置は、パイロテクニックチャージの近くまたは周りに設けることができるピストン構造を備えることができる。パイロテクニックチャージが作動すると、結果として生じる力がピストン構造を押してパイロテクニックチャージから遠ざけ、ピストン構造を可動接触子のアセンブリ上へと動かし、可動接触子を押して固定接触子から遠ざける。
【0019】
本明細書中では、好ましい実施形態および実施例は、本発明における限定としてではなく、一例として見なされるべきである。明細書中で使われる表現である「発明」、「装置」、「本発明」、または「本装置」とは、本明細書中に記載された実施形態および実施形態に相当するもののうちのいずれかを指す。さらに、本明細書中では「発明」、「装置」、「本発明」、または「本装置」の種々の特徴に関する言及があるが、言及された特徴が請求項に記載の実施形態または方法のすべてに含まれなければならないという意味ではない。
【0020】
また、要素または特徴が別の要素または特徴の「上に(on)」ある、または「隣接して(adjacent)」いると言及されている場合は、その要素または特徴は別の要素または特徴の上に直接あっても、直接隣接していてもよいし、介在する要素が存在していてもよいと理解される。要素が別の要素に「取り付けられる(attached)」、「接続される(connected)」、または「接続される(coupled)」と言及されている場合は、その要素は別の要素に直接取り付けられても、直接接続されてもよいし、介在する要素が存在していてもよいと理解される。反対に、要素が別の要素に「直接取り付けられる(directly attached)」、「直接接続される(directly connected)」、または「直接接続される(directly coupled)」と言及されている場合は、介在する要素はないものと理解される。
【0021】
本明細書では、ある特徴と別の特徴との関係性を説明するために「外に(outer)」、「上に(above)」、「下の(lower)」、「下に(below)」、「水平な(horizontal)」、「垂直な(vertical)」などの相対する表現および同様の表現が用いられることもある。これらの表現は図面に描写されている位置関係に加えて、異なる位置関係を包含することを意図するものと理解される。
【0022】
本明細書では、種々の要素や部品を説明するために、第1の、第2のなどの表現を用いることもあるが、これらの表現によって要素や部品が限定されるべきではない。これらの表現はある要素または部品と別の要素または部品とを区別するためだけの目的で用いられる。したがって、後述する第1の要素または部品は、第2の要素または部品と呼ばれても、本発明の開示内容から離れることはない。
【0023】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけに用いられるものであり、本発明を限定するために用いられるものではない。本発明における単数の表現「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、文章から明確に複数を除外する意図が読める場合を除き、複数の表現も含まれる。さらに、本明細書中で用いられる「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」という表現は、記載される特徴、整数、工程、作業、要素、および/または部品の存在を述べるものであるが、1つまたは複数の別の特徴、整数、工程、作業、要素、部品、および/またはこれらの群の存在あるいは追加を除外するものではないと理解される。
【0024】
本発明の実施形態を、本発明の理想的な実施形態の概要を解説する種々の図面および図解を参照して説明する。したがって、例えば製造技術および/または許容誤差などから生じる、図示する形状からの変形が想定される。本発明の実施形態は、本明細書において図示される部分の特定の形状に限定して解釈されるべきではなく、例えば製造時に生じる形状のずれを包含するものである。
【0025】
第1の要素が2つまたはそれ以上の別の要素の「間にある(between)」、「挟まれている(sandwiched)」、または「間に挟まれている(sandwiched between)」と言及されるときは、第1の要素は2つまたはそれ以上の別の要素の間に直接存在することもできるし、介在する要素を介して存在できると理解される。例えば、もし第1の要素が第2の要素と第3の要素との「間にある(between)」または「間に挟まれている(sandwiched between)」ならば、第1の要素は第2の要素と第3の要素との間に介在する要素を有さずに直接存在することもできるし、または第1の要素は1つまたはそれ以上の追加要素と隣り合って、共に第2の要素と第3の要素との間に存在することもできる。
【0026】
図1は、過電流が生じた場合に犠牲切断装置として機能することができる一体型パイロテクニック式切断部品を備える接触器装置100の一実施例の断面図である。図1では、接触器装置を通る電気の流れが可能になる「閉」回路状態にある接触器装置100を示す。図1はさらに、接触器装置が「閉」配置および「開」配置の切替え動作をするために正常に機能できるようにする、非トリガメカニカル配向、つまり「セット」メカニカル配向状態にある、接触器装置100のパイロテクニック式切断装置部分を示す。接触器装置100の切断装置部分は「トリガ」配向をも有する。トリガ配向では回路が遮断されて、接触器装置が交換されるか、または修理されてリセットされるまで、装置を通る電気の流れが永久的に不能になる。「閉」および「開」接触器モード、ならびに、「セット」および「トリガ」切断モード両方の、より詳細な説明を以下に記す。
【0027】
図1に示す接触器装置100は、本体102(ハウジング102とも呼ぶ)と、接触器装置の内部部品を、例えば電気系統または電気装置などの外部回路と電気的に接続するように構成された、2つまたはそれ以上の固定接触構造104,106(図示は2つ)とを備える。本体102は、本開示の接触器装置100の構造および機能を支持し得る、あらゆる適切な材料を備えることもできるが、固定接触子104,106および装置の内部部品を通る電気の流れを妨げることなく接触器装置100を構造的に支持することができる頑丈な材料が好ましい。いくつかの実施形態では、本体102は耐久性プラスチックまたは耐久性ポリマーを備える。本体102は、以下に詳細に説明する接触器装置100の種々の内部部品を、少なくとも部分的に包囲する。
【0028】
本体102は、上述した種々の内部部品を収容するのに適した、すべての正多角形または正多角形以外の多角形を含む、あらゆる形状で構成され得る。本体102は、連続的な構造であっても、例えば、基体である「カップ」と上面である「ヘッダ」部分とをエポキシ材料で密封したものなどの、連結された複数の部品のパーツを有してもよい。本体の構成例には、米国特許第7,321,281号、7,944,333号、8,446,240号、9,013,254号に記載の構成を含み、これらの特許は全て本願の譲受人であるギガヴァック インコーポレーテッドに譲渡されたものであり、これらの特許の全内容は参照により本願に援用される。
【0029】
固定接触子104,106は、本体102に収容される接触器装置100の種々の内部部品が、外部の電気系統または電気装置と電気的に接続することができるように構成され、それにより接触器装置100は、本明細書に記載のように、電気回路を遮断または完成するためのスイッチとして機能できる。固定接触子104,106は、接触器装置の内部部品に電気接触を提供するのに適した、例えば、当該技術分野において周知の種々の金属および金属製材料、或いは、あらゆる電気接触材料または電気接触構造などの、あらゆる導電性材料を備えることができる。固定接触子104,106は、単一の連続的な接触構造(図示のとおり)を備えることができ、または、複数の電気的に接続された構造を備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、固定接触子104,106は、2つの部分を備えることができる。本明細書に記載のように、2つの部分のうちの第1の部分は本体102から延出し、本体102の内部にあり、本体内部の別の部品と相互に作用するように構成された第2の部分と、電気的に接続できる。
【0030】
本体102は、接触器装置100の種々の内部部品を収容する本体102の内部空間が気密封止されるように構成され得る。この気密封止された構成は、電気的負性ガスの使用と併用すると、隣接する導電性要素間の電気アークの軽減または防止を促進することができ、いくつかの実施形態では、空間的に離間する接触子間の電気的分離を促進する。いくつかの実施形態では、本体102は真空状態であり得る。本体102は、電気機器を気密封止するあらゆる周知の方法を使って気密封止することができる。気密封止機器の例には、米国特許第7,321,281号、7,944,333号、8,446,240号、9,013,254号に記載のものを含み、これらの特許は全て本願の譲受人であるギガヴァック インコーポレーテッドに譲渡されたものであり、これらの特許の全内容は参照により本願に援用される。
【0031】
いくつかの実施形態では、本体102には少なくとも部分的に、例えば、六フッ化硫黄、または窒素と六フッ化硫黄との混合物などの、電気的負性ガスが充填され得る。いくつかの実施形態では、本体102は、ハウジングに導入されるガスに対する通気性が低いか、または通気性がほぼない材料で構成される。いくつかの実施形態では、本体は、機器の性能を向上させる種々の気体、液体、または固体から構成され得る。
過電流保護に用いられる接触器装置100のパイロテクニック式切断部品について説明する前に、まず接触器装置100が通常のスイッチとして使用されている際に利用される接触器部品について説明する。本体102内部の別の部品のいずれとも相互作用していないとき、固定接触子104,106は、互いの間を電気が自由に流れることができないように、互いに電気的に分離されている。固定接触子104,106は、電気的分離のあらゆる周知の構造または方法によって、互いに電気的に分離され得る。
【0032】
図1に示すように、接触器装置100が「閉」状態であるとき、電気的に分離されていた固定接触子104,106両方に可動接触子108が接触し、可動接触子108は、例えば、第1の固定接触子104から可動接触子108へ、次いで第2の固定接触構造106へ、またはその逆方向へと、装置に電気信号が流れることを可能にするブリッジとして機能する。したがって、接触器装置100は電気回路、電気系統、または電気機器に接続され、可動接触子が固定接触子と電気的に接触している間、回路を完結させることができる。
【0033】
可動接触子108は、固定接触子104,106との関係において、本明細書に記載したすべての材料を含む、あらゆる適切な導電性材料から構成され得る。固定接触子104,106と同様に、可動接触子108も、電気的に分離された固定接触子104,106間の接触ブリッジとして機能して、接触器装置100に電気が流れることを可能にするために、単一の連続的な構造(図示のとおり)を備えることができ、または、互いに電気的に接続された複数の構成部品を備えることができる。
【0034】
可動接触子108は、固定接触子104,106と電気的に接触または非接触するように移動可能に構成され得る。固定接触子104,106は可動接触子108と接触していないときには互いに電気的に分離されているため、上記の構成により、可動接触子が固定接触子104,106と電気的に接触しているときは回路を「閉」つまり完結させ、可動接触子108が固定接触子104,106と電気的に非接触であるときは回路を「開」にする、つまり、遮断する。図1に示す実施形態を含むいくつかの実施形態では、可動接触子108は、接触器装置100内において所定の距離を移動するように構成されたシャフト構造110と、物理的に接続している。可動接触子108がシャフト110とともに移動できるように、シャフト110は、可動接触子108と物理的に接続する内部可動部品としての機能に適したあらゆる材料または形状で構成され得る。
【0035】
本明細書に記載のように、シャフト110の運動は可動接触子108の運動を制御し、それにより固定接触子104,106に対する可動接触子108の位置が制御され、それにより、接触器装置100を通る電気の流れが制御される。シャフトの運動は、電気的および電子的な、磁性的および電磁性的な、ならびに手動的な構成を含む種々の構成によって制御され得るが、これらに限定はされない。可動接触子に接続されたシャフトを制御する手動的構成の例は、本願の譲受人であるギガヴァック インコーポレーテッドに付与された米国特許第9,013,254号に記載されており、当該特許の全内容は参照により本願に援用される。例示された手動制御機能には、磁性的構成、ダイヤフラム的構成、およびベローズ(bellowed configuration)構成を含む。
【0036】
図1に示す実施形態において、シャフト110の運動は電磁性的構成の使用によって制御される。プランジャ構造111は、シャフト110の一部分に接続されているか、または、シャフト110を少なくとも部分的に包囲する。本体102には、ソレノイド112も収容される。多くの異なるソレノイドが使用され得るが、適切なソレノイドの一例としては、低電圧で、且つ比較的強い力で作動するソレノイドが挙げられる。ほかに多くのソレノイドが使用可能だが、適切なソレノイドの一例は、ビクロン インコーポレーテッドから市販されている、型番SD1564 N1200のソレノイドである。図に示す実施形態においては、プランジャ構造111は、ソレノイド112によって運動し、制御される金属材料で構成され得る。プランジャ構造111の運動は、接続されているシャフト110の運動を制御し、それにより、接続されている可動接触子108の運動が制御される。
【0037】
シャフト110の移動距離は、種々の機能を利用して制御される。種々の機能とは、例えば、移動/過移動距離を制御するバネや、シャフト110の移動距離を妨害または制限することが可能な本体102の種々の部分などが挙げられる。図1に示す実施形態では、シャフト110の移動距離は、ハードストップ113によって部分的に制御される。ハードストップ113は、シャフト110の翼部114に当接するように構成され、シャフト110が固定接触子104,106から十分な距離を移動すると、シャフト110の移動距離を制限する。ハードストップ113は、シャフト110の運動または移動距離を制限するためにシャフト110と接する面を提供するのに適した、あらゆる材料または形状で構成され得る。図1に示す実施形態では、ハードストップ113はプラスチック材で構成される。詳細は後述するが、いつくかの実施形態では、ハードストップ113は、パイロテクニック式切断要素がトリガされると破断または切除されるように構成される。
【0038】
以上、接触器装置110の基本的なスイッチ機能を説明したが、ここからはパイロテクニック式切断要素について説明する。接触器装置100は、パイロテクニックチャージ202およびピストン構造204など、過電流保護として機能できるいくつかの要素を備えることができる。ピストン構造204は、例えば図に示すシャフト110などの、1つまたはそれ以上の内部部品の近く、または少なくともその一部分の周りに配置され得る。そうすると、ピストンの静止位置からの運動によって内部部品の構成が、例えば、本明細書に記載のようにシャフト100に対して押し付ける、またはそうでなければシャフト100を移動させるなどして変化し、装置を通る電気の流れを中断することができる。パイロテクニックチャージ202は、装置に接続された電気機器の永久的な損傷、または電気火災などの安全上の問題を防ぐために、電流が所定の閾値レベルを超えると作動するように構成され得る。
【0039】
接触器装置100は、種々のセンサ機能であって、装置を流れる電流が危険なレベルに達したことを検知することができ、この閾値レベルが検知されるとパイロテクニックチャージをトリガすることができる、種々のセンサ機能を備え得る。いくつかの実施形態では、接触器装置100は、装置を流れる電流のレベルを検知するように構成された、専用の電流センサを備え得る。電流センサは、電流が閾値に達すると、パイロテクニックチャージを直接的または非直接的に作動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、電流センサは、閾値電流レベルが検知されたときにパイロテクニックチャージを作動するために、検知された電流に比例した信号を送信することができる。いくつかの実施形態では、電流センサはホール効果センサ、変圧器または電流クランプメータ、抵抗器、光ファイバー電流センサ、あるいは干渉計を備え得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、パイロテクニックチャージは、最新の車両で使用されているものと同様に、電気パルスによって作動され、複数の要素を検知するように構成されたエアバッグシステムによって駆動されるように構成されている。いくつかの実施形態では、接触器装置100は、1つまたはそれ以上のパイロテクニックピン203を備え得る。パイロテクニックピン203は、作動信号を受信すると、パイロテクニックチャージ202をトリガするように構成され得る。いくつかの実施形態では、パイロテクニックチャージは、すでに電流の監視をしている別の機能と接続されることができる。この別の機能は、例えば、バッテリ管理部品であり、閾値電流レベルが検知されるとパイロテクニックチャージを作動させる信号を送信するように構成され得る。
【0041】
パイロテクニックチャージ202は、単一のチャージ構造とすることも、複数のチャージ構造とすることもできる。いくつかの実施形態では、パイロテクニックチャージ202は二重チャージ構造を備え、まず第1にイニシエータチャージを備え、そして第2にガス生成チャージを備える。本明細書に記載のように、接触器装置100の回路を永久的に遮断するようにピストン構造204を運動させるのに十分な力を供給するのに十分なものであれば、多くの異なる型式のパイロテクニックチャージを利用することができる。いくつかの実施形態では、パイロテクニックチャージ202は、イニシエータチャージおよびガス生成チャージの両方としての利用に適しているという利点を持つ、ジルコニウム・過塩素酸カリウムを含む。いくつかの実施形態では、イニシエータチャージは、ジルコニウム・過塩素酸カリウム、ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム、チタン・過塩素酸カリウム、ジルコニウム水素化物・過塩素酸カリウム、またはチタン水素化物・過塩素酸カリウムなどの急速燃焼材料を備える。いくつかの実施形態では、ガス生成チャージは、ホウ素・硝酸カリウム、つまり黒色火薬、などの緩慢燃焼材料を備える。
【0042】
パイロテクニックチャージ202が作動されると、作動の結果として生じる力が、ピストン構造204を、パイロテクニックチャージ202の近くまたは周辺の静止位置から遠ざけるように動かし、それによりピストン構造204がシャフト110を押して、シャフトが固定接触子104,106から遠ざかるように動かされる。また、作動の結果として生じる力は、ハードストップ113を破断または切除するのにも十分であり、シャフト110は、例えば、独立して設けられた本体102の内部コンパートメント206の内部に押し込まれるなどして、固定接触子104,106からさらに遠ざけられる。ピストン構造204は、例えば、シャフト110が、独立した本体102の内部コンパートメント206のほぼ内部にあるように保持するなど、シャフト110を固定接触子104,106からより離れた位置で保持して、電気が接触器装置を流れることができないような位置または構成で内部部品を保持するのに十分な規模(例えば、形状、寸法、空間的配向、またはほかの構成など)で構成され得る。これにより、シャフト110に接続された可動接触子108は、固定接触子104,106から空間的なギャップを一層大きく設けて離され、装置の構成を電気が装置を流れることができない「トリガ」または永久的な「開」構成にする。いくつかの実施形態では、ピストン構造204は、ひとたびパイロテクニック機能202の作動によって移動すると、容易に動けないように本体102の一部分と相互作用する位置に置かれるのに十分な規模で構成される。
【0043】
固定接触子104,106と可動接触子108との間に急速に形成される大きな空間的ギャップに加えて、さらなる構造も利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電気アークをより制御するために、1つまたはそれ以上のアーク吹き消し磁石208(図示では2つ)を利用することができる。電流の流れを中断する主たる方法が、本明細書に記載のように、接触子を急速に開放して大きな空隙を形成することである一方で、例えばガス生成チャージを使うなどして、アークに向けて二次的なガス吹付けを行うことで、付加的に得られる性能もあり得る。
【0044】
図1に示す実施形態を含むいくつかの実施形態では、パイロテクニックチャージ202の作動によって急速に蓄積したガスにより生じる危険を防止するのに役立つ、別の任意の設計上の特徴を含み得る。これらの実施形態では、本体102は、パイロテクニックチャージ202が作動すると、ピストン構造204が本体102の一部分に穴を開けるのに十分な力でシャフト110を動かすように構成され得る。これにより、急速に蓄積したガスを放出できる。これは、いくつかの実施形態では、本体102の一部分に、パイロテクニック式切断サイクルの間に、例えばシャフト110の先鋭部210によって、穴を開けられる膜を備え、本体102の接続通気部212からのガスの放出を可能にすることで達成される。当該膜は、高温対応フィルター膜であってもよい。高温ガスはこうして本体102から排出され得る。圧力の解放によって電気アークが冷却され、接触器ハウジングの破裂を防止するとともに、性能を向上させる可能性がある。
【0045】
図2および図3に、通常のスイッチ運転中に接触器装置100に流れる電気の回路を遮断することと、装置が「トリガ」状態にあるときに接触器装置100に流れる電気の回路を永久的に遮断することの違いが最適に示されている。図2および図3には、図1の接触器装置100を異なる配向で示す。図1と同様に、図2および図3は、本体102、固定接触子104,106、可動接触子108、シャフト110、プランジャ構造111、ソレノイド112、ハードストップ113、シャフト110の翼部114、パイロテクニックチャージ202、パイロピン203、ピストン構造204、本体102の独立コンパートメント206、アーク吹き消し磁石208、シャフト110の先鋭部210、および本体102の通気部212を示す。
【0046】
図2では、接触器装置100は「開」状態であり、シャフト110は、シャフト110に接続された可動接触子108が切断用空間ギャップ302によって固定接触子104,106から離れるように移動されている。図2に示すように、接触器装置100はまだ「セット」位置にあり、パイロテクニック機能は作動していない。切断用空間ギャップ302によって、可動接触子108は、装置を通る電気の流れを中断するために、互いに電気的に分離されている固定接触子104,106から十分な距離を空けている。対照的に、図3では、接触器装置100はパイロテクニックチャージ202が作動してトリガ状態にあり、ピストン構造204によって、シャフト110および可動接触子108を固定接触子104,106から一層遠ざかる方向に移動させる。これにより、固定接触子104,106と可動接触子108との間に、より大きな回路遮断用空間ギャップ350が急速に形成される。
【0047】
パイロテクニックチャージ202の作動の結果として生じる力、および、これに起因するピストン構造204およびシャフト110の急な運動は、ハードストップ113を破断または切除するのに十分である。図3では、ハードストップ113は、本体113に接続する初期位置から移動するところが示されている。ハードストップ113は、回路の「閉」状態と「開」状態との間の装置の通常運転中に、シャフト110のストップとして機能するように、本体102と接続または一体化する頑丈な材料によって構成され得る。しかしながら、パイロテクニック式切断機能の作動中には、ハードストップ113を意図的にストップ構造として「機能しない」ように設計し、シャフト110が本体の独立コンパートメント206内へと移動できるように、破断または切除可能なようにすることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ピストン構造204は、パイロテクニックチャージ202が作動したあと、本体102のピストンストップ部352と相互作用できるように構成されることができる。例えば、ピストンストップ部352がピストン構造204の位置と影響し合うことによって、例えば、ピストンストップ部352の一部分がピストン構造204の別の一部分と接触または結合するように構成されることによって、相互作用できる。いくつかの実施形態では、ピストン構造204は、パイロテクニックチャージ202の作動によって移動されるまで、ピストンストップ部352と接触する位置に置かれない。これにより、パイロテクニックチャージ202が作動され、ピストン構造204が静止位置から動かされると、ピストン構造204は、ピストンストップ部352と可動接触子108との間に保持される。図3に示すように、この構成により、ピストン構造204は、可動接触子108に対して保持または固定される位置に置かれる。ピストン構造204は可動接触子108を所定の位置に保持し、固定接触子104,106と可動接触子108とが逆戻りして互いに接触し、接触器装置100が操作不能になることがないように、回路遮断用空間ギャップ350を維持するのに役立つ。
【0049】
いくつかの実施形態では、本体102のピストンストップ部352に代えて、またはこれに加えて、本体102の独立コンパートメント206が、パイロテクニックチャージ202の作動によって独立コンパートメント206内に移動されたシャフト110の一部分と相互作用できるように、例えば寸法および形状などの、十分な規模を備え得る。いくつかの実施形態では、独立コンパートメントは、切除されたハードストップ113と、またはパイロテクニックチャージ202の作動によって独立コンパートメント206内に移動させられたシャフト110に接続された別の構造と、相互作用するように構成され得る。上述したシャフト110の一部分、またはシャフト110に接続された構造は、装置の通常運転中には独立コンパートメント206内に位置していなかったが、過電流保護運転中のパイロテクニックサイクルの間に、独立コンパートメント206内に移動させられる。独立コンパートメント206は、シャフト110に接続された可動接触子108が逆戻りして固定接触子104,106と接触することがないように、シャフト110を所定の位置に保持するのに十分な寸法、形状、または付加的な特徴を備え、付加的な特徴とは、例えば、シャフト110が有する、またはシャフト110に接続された構造が有する対応する特徴と、相互作用または結合するように構成された特徴などである。
【0050】
図4に、装置の外観の特徴を最適に示す。図4は、本体102と、本体102から延在して、本体の内部部品と外部の電気機器または電気系統との外部接続を可能にする固定接触子104,106とを備える接触器装置100を示す。さらに図4には、内部のソレノイド(図1ないし図3のソレノイド112)に電力を供給するように構成されたリードワイヤ400、および、例えばパイロテクニックピンなどの、内部のパイロテクニックチャージと相互作用するためのセンサ機能または作動機能を収容するように構成され得る、任意のパイロテニック機能コンパートメント402を示す。
【0051】
本発明を、その好適な構成をいくつか参照して詳細に説明したが、構成の別の変形も可能である。本発明の実施形態は、様々な図面に示す互換性のある特徴のあらゆる組み合わせによって構成されてもよく、これらの実施形態は明確に図示および議論したものに限定されるべきではない。したがって、本発明の趣旨および範囲は、上述したものに限定されるべきではない。
【0052】
上述したものは、本発明の趣旨および範囲に収まる全ての変形例および代替構成を含むことを意図するものであり、本開示の内容は全て、明示的にまたは非明示的に請求の範囲に記載されていないとしても、公に提供するよう意図されたものではない。
図1
図2
図3
図4