(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】移動先設定装置、移動先設定方法、移動先設定プログラム及びロボット
(51)【国際特許分類】
G05D 1/686 20240101AFI20240222BHJP
G05D 1/46 20240101ALN20240222BHJP
G05D 1/43 20240101ALN20240222BHJP
【FI】
G05D1/686
G05D1/46
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2019054594
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天本 晴之
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016359(JP,A)
【文献】特開2010-15194(JP,A)
【文献】特開2018-147337(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043258(WO,A1)
【文献】特開2012-108574(JP,A)
【文献】特開2014-119901(JP,A)
【文献】特開2014-142828(JP,A)
【文献】中村 恭之ほか,ステレオスケッチ:ステレオ視覚を持つ移動ロボットの行動獲得 ,日本ロボット学会誌 ,日本,社団法人日本ロボット学会,1997年05月,第15巻第4号,PP.53-61,【ISSN】0289-1824
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定装置であって、
前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、
前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、
前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、
同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度
を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、
前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、
を備えたことを特徴とする移動先設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動先設定装置であって、
前記隠蔽度算出手段は、前記方向毎の前記統合隠蔽度を、当該方向の近傍の方向における前記隠蔽度が高いほど高くなるように補正することを特徴とする移動先設定装置。
【請求項3】
撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定方法であって、
コンピュータを用いて、
前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得ステップと、
前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶ステップと、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定ステップと、
前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、
同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度
を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出ステップと、
前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定ステップと、
を行うことを特徴とする移動先設定方法。
【請求項4】
撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定プログラムであって、
コンピュータを、
前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、
前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、
前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、
同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度
を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、
前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、
として機能させることを特徴とする移動先設定プログラム。
【請求項5】
障害物が存在する空間において移動する撮影対象を撮影するための撮影手段及び移動手段を有する自律移動が可能なロボットであって、
前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、
前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、
前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、
前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記ロボットが撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、
同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度
を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、
前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、
を備えたことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを有するドローン等である制御体を移動させる移動先を設定する移動先設定装置、移動先設定方法、移動先設定プログラム、及び移動先を設定し当該移動先に移動して撮影対象を撮影するロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯などの目的で、カメラを搭載したドローン等により侵入者等を撮影させる技術が研究・開発されている。
【0003】
例えば、自律移動ロボットにおいて、撮影機能を備えた自律移動ロボットの経路探索手段が、侵入者等の位置である目標対象物位置、飛行空間の障害物の構造等を表した空間情報を参照して、目標対象物位置の周囲に設定した複数の移動候補位置のうち目標対象物位置への直線上に障害物が無い移動候補位置を移動目標位置に設定し、移動目標位置への経路を設定する技術が開示されている(特許文献1)。すなわち、撮影対象の現在位置に基づいて、障害物によるオクルージョンを生じさせずに撮影対象を撮影可能な位置を自律移動ロボットの移動先に設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によって決定した移動先では、追尾を開始した途端に、撮影対象の近傍に存在する断続的な障害物(連なった樹木、連なった電柱、並んで駐車中の車両等)によってオクルージョンが発生することがある。そのため、そのオクルージョンにより撮影対象を撮影できない期間が生じたり、そのオクルージョンを回避するための方向転換によって制御体ないし自律移動ロボットの機体が不安定になる期間が生じたりする問題があった。
【0006】
図7は、監視空間を真上から見た模式図である。
図7は、現時刻をtとしてそれぞれ時刻t-2,t-1,t,t+1における侵入者の位置である撮影対象位置900~903、それぞれ侵入者の移動方向に沿って連なって配置されている樹木910~916、現ロボット位置920、ロボットの移動先930,931を示している。また、現ロボット位置920から移動先930への経路940、移動先930から移動先931への経路941、移動先931から先の経路942を示している。なお、
図7では、経路940~942の矢印は図示の都合上その一部が欠けて示されているが本来連続して繋がっている。
【0007】
撮影対象位置902、903の周囲に示された点線の円は、撮影対象位置902、903のそれぞれを中心とする予め設定された離間距離を示す。点線の円周上に示した各点は、ロボットの移動先の候補地点を示す。移動先930、931は、複数の候補地点から選択される。
【0008】
従来技術では、現在時刻tにおける撮影対象位置902に対するオクルージョンが生じる候補位置以外の中からロボットの待機位置に最も近い候補位置が移動先930に選ばれる。続く時刻t+1に侵入者は図面左側の撮影対象位置903に移動し、その後も左へ移動し続ける。このとき、ドローンは、侵入者を追尾して当該移動先930から左へ向かい、経路941,942を移動する。この追尾中、樹木914~916によって断続的にオクルージョンが生じ、侵入者の写っていない画像が断続的に撮影されることになる。
【0009】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、撮影対象の周囲に断続的な障害物が存在しても撮影対象を撮影できない期間や機体が不安定になる期間を生じにくい移動先を設定する移動先設定装置、移動先設定方法、移動先設定プログラム、当該移動先に制御体を移動させて撮影させる撮影システム、及び当該移動先に移動して撮影するロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定装置であって、前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、
を備えたことを特徴とする移動先設定装置である。
【0012】
また、前記隠蔽度算出手段は、前記方向毎の前記統合隠蔽度を、当該方向の近傍の方向における前記隠蔽度が高いほど高くなるように補正することが好適である。
【0013】
本発明の別の態様は、撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定方法であって、コンピュータを用いて、前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得ステップと、前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶ステップと、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定ステップと、前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出ステップと、前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定ステップと、を行うことを特徴とする移動先設定方法である。
【0014】
本発明の別の態様は、撮影手段及び移動手段を有する制御体を、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を前記撮影手段により撮影させるために、前記移動手段により移動させる移動先を設定する移動先設定プログラムであって、コンピュータを、前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて前記移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記制御体が撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、として機能させることを特徴とする移動先設定プログラムである。
【0015】
本発明の別の態様は、障害物が存在する空間において移動する撮影対象を撮影するための撮影手段及び移動手段を有する自律移動が可能なロボットであって、前記撮影対象の位置である撮影対象位置を複数の時点について取得する対象位置取得手段と、前記空間における前記障害物の領域を記憶している空間情報記憶手段と、前記複数の時点のそれぞれにおいて、前記撮影対象位置を中心とする複数の方向に、前記撮影対象位置から所定距離以上離間させて移動先の候補となる候補地点を設定する候補地点設定手段と、前記複数の時点における前記候補地点と前記障害物の領域と前記撮影対象位置とを参照して、前記候補地点に移動した前記ロボットが撮影した場合に前記撮影対象が前記障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す隠蔽度を前記複数の時点それぞれについて前記方向毎に算出し、同一の方向について算出した各時点の前記隠蔽度を統合して前記方向毎の統合隠蔽度を算出する隠蔽度算出手段と、前記統合隠蔽度が所定の基準を下回る方向の前記候補地点のうち最新の時点における前記候補地点から前記移動先を決定する移動先決定手段と、を備えたことを特徴とするロボットである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮影対象の近傍に断続的な障害物が存在しても、撮影対象を撮影できない期間や機体が不安定になる期間を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における撮影システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における自律移動ロボットの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態における移動先設定処理を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施の形態における方向別の隠蔽度Sの補正処理を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態における移動先設定方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態における移動先設定方法を示すフローチャートである。
【
図7】従来技術における課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における撮影システム1の一実施の形態を示す概略構成図である。撮影システム1は、障害物が存在する所定の空間(監視空間)を移動する撮影対象を撮影するシステムである。撮影システム1は、撮影手段及び移動手段を有して、当該撮影手段及び当該移動手段を制御する制御体(ロボット等)を含み、撮影対象の近傍に移動先を設定し、制御体を移動手段によって当該移動先に移動させ、制御体の撮影手段によって撮影対象を撮影する。撮影システム1は上記移動先を設定する移動先設定装置を含む。
【0020】
撮影システム1は、監視空間に侵入物(人間や車両等)が侵入したことを検出した場合、カメラを搭載した自律移動ロボット6が、侵入物の近傍に移動先を設定し、当該移動先に移動して侵入物を撮影する。監視空間は、例えば、複数の建物と植林とを含んだ施設の敷地であり、自律移動ロボット6を移動させて監視する範囲として予め定められる。
【0021】
撮影システム1は、侵入物センサ2、監視センタ装置4、管理装置5及び自律移動ロボット6を有している。本実施の形態の説明に用いない構成については省略する。侵入物センサ2と管理装置5の間は所定の閉域網を介して通信可能であり、侵入物センサ2及び管理装置5はそれぞれ当該各閉域網に有線接続又は無線接続される。管理装置5と自律移動ロボット6の間は所定の閉域網を介して通信可能であり、管理装置5及び自律移動ロボット6はそれぞれ当該各閉域網に無線接続される。上記各閉域網のプロトコルは、全て共通でも、一部共通でも、それぞれ異なっていてもよい。
【0022】
監視センタ装置4と管理装置5の間は所定の広域網を介して通信可能であり、監視センタ装置4及び管理装置5はそれぞれ当該広域網に有線接続又は無線接続される。広域網はインターネット、携帯電話網等である。
【0023】
侵入物センサ2は、監視空間内の1又は複数の所定位置に設置されて、監視空間に現れた侵入物を所定時間間隔で検出する。侵入物センサ2は、侵入物を検出するための不図示のセンサ部と、管理装置5と通信するための不図示の通信部を備える。センサ部は、例えばレーザセンサ、マイクロ波センサ、赤外線センサ、超音波センサなどを用いることができる。侵入物センサ2は、侵入物を検出するたびにその侵入物の位置(侵入物位置)を侵入物センサ2の識別符号とともに管理装置5に送信する。
【0024】
監視センタ装置4は、監視空間から離れた遠隔地の監視センタに設置され、遠隔地から監視空間を監視する。監視センタ装置4は、サーバコンピュータ及び監視員端末を有している。サーバコンピュータと監視員端末はLAN等の閉域網で接続される。監視センタ装置4は、自律移動ロボット6等に対する監視員の指示を管理装置5に送信する。また、監視センタ装置4は、自律移動ロボット6が生成した情報等を管理装置5から受信して表示することにより監視員に伝達する。当該指示は、例えば、自律移動ロボット6が待機所から移動先まで移動した後に待機所まで帰還することを指示するための帰還指示である。サーバコンピュータは管理装置5及び監視員端末と通信するための不図示の通信部を備える。監視員端末は、サーバコンピュータと通信するための不図示の通信部、監視員から指示を受け付けるためのキーボードやマウス等である不図示の入力部、情報を表示するための液晶ディスプレイ等である不図示の表示部を備える。
【0025】
管理装置5は、監視空間内の所定位置に設置され、制御装置(コントローラ)として機能する。例えば、管理装置5は、侵入物センサ2から侵入物位置を受信し、受信した各情報を自律移動ロボット6に送信する。また、監視センタ装置4から指示を受信して当該指示を自律移動ロボット6に送信するとともに、自律移動ロボット6から受信した情報を監視センタ装置4に送信する。管理装置5は、侵入物センサ2、監視センタ装置4及び自律移動ロボット6と通信するための不図示の通信部を備える。
【0026】
管理装置5は、受信する侵入物位置が侵入物センサ2のローカル座標系の値である場合は当該値を監視空間のグローバル座標系の値に変換する座標変換手段を備えてもよい。その場合の座標変換手段は、グローバル座標系における各侵入物センサ2の設置条件を予め記憶する不図示の記憶部と、変換を行う不図示の演算部によって実現される。
【0027】
なお、ローカル座標系は、侵入物センサ2や自律移動ロボット6等の各構成が個々に侵入物等の物体の位置を特定するための座標系である。これに対して、グローバル座標系は、撮影システム1において侵入物等の物体の位置を特定するための座標系である。例えば、自律移動ロボット6からしてみれば侵入物が正面にいると認識しても、自律移動ロボット6の向きによって正面が示す方向が特定できない。上記座標変換手段は、自律移動ロボット6のローカル座標系における座標値を、この座標値及び検出されている自律移動ロボット6の向きを考慮してグローバル座標系における座標値に変換する。
【0028】
自律移動ロボット6は、ロボットであり、本発明における制御体に相当する。例えば、自律移動ロボット6は、クワッドロータを有するドローンである。自律移動ロボット6は、侵入物位置や帰還指示を受信すると適宜移動先を定めて、障害物を回避しながら当該移動先まで移動する。平時は監視空間内に設置された待機所にて待機し、侵入物センサ2が侵入物を検出すると侵入物位置の近傍まで自律移動して撮影を行う。また、移動中に監視センタ装置4又は管理装置5からの帰還指示を受信すると、待機所まで自律移動して待機状態に戻る。
【0029】
ここで、「追従移動」というのは算出された経路に沿って移動することをいう。「追尾」というのは対象(撮影対象)の移動に応じて移動先(経路の終端)を更新しながら追従移動することをいう。「自律移動」というのは自身で判断して移動することをいう。例えば、自律移動ロボット6は侵入物位置や帰還指示を受信すると、その後は管理装置5等外部からの指示や制御を受けなくても自律移動する。また、自律移動ロボット6は、移動先や経路を自機で定め、経路に沿って移動している途中で風の影響を受けて経路から外れた場合には経路まで戻って移動を継続するよう移動制御を行いながら移動する。この移動は「追従移動」であり「自律移動」でもある。そして、自律移動ロボット6は、新たな侵入物位置を受信するたびに移動先を更新ながら移動する。この移動は「追尾」であり「自律移動」でもある。
【0030】
図2は、本実施の形態における自律移動ロボット6の概略構成図である。本実施の形態における自律移動ロボット6は、通信部60、ロボット位置・姿勢センサ61、障害物センサ62、カメラ63、記憶部65、モータ66等が制御線にて制御部64に接続されるとともに、モータ66とロータ67とが制御線にて接続されて構成される。
【0031】
通信部60は、管理装置5との間で通信するための通信モジュールである。通信部60は、侵入物センサ2が検出した侵入物位置を受信して制御部64に出力する。また、通信部60は、監視センタ装置4又は管理装置5からの指示を受信して制御部64に出力する。また、通信部60は、ロボット位置・姿勢センサ61によって取得された情報、カメラ63によって撮影された画像等の情報を制御部64から受信して管理装置5に送信する。
【0032】
ロボット位置・姿勢センサ61は、自律移動ロボット6の現在位置(現ロボット位置)及び姿勢(現ロボット姿勢)を取得するためのセンサである。例えば、ロボット位置・姿勢センサ61は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の航法衛星(人工衛星)から送信される電波(航法信号)を受信する受信機、方位を計測する電子コンパス及び角速度を計測するジャイロセンサで実現される。受信機は、複数の航法衛星から送信される航法信号を受信して制御部64に出力するとともに、電子コンパス及びジャイロセンサによる計測信号を制御部64に出力する。なお、現ロボット位置を取得するために受信機に代えてレーザスキャナ及び気圧センサを用いるなど、他の既知のセンサを用いてもよい。
【0033】
障害物センサ62は、自律移動ロボット6の周囲に存在する障害物を検出するためのセンサである。障害物センサ62は、例えば、マイクロ波センサ、レーザセンサ、超音波センサ等とすることができる。マイクロ波センサで実現する場合、障害物センサ62は、自律移動ロボット6の周囲にマイクロ波を送信して障害物からの反射波を受信し、反射波信号を制御部64に出力する。
【0034】
カメラ63は、自律移動ロボット6の周囲を所定時間間隔で撮影して画像を制御部64に出力する撮影手段である。
【0035】
制御部64は、CPU等を備えたコンピュータにより実現される。制御部64は、記憶部65からプログラムやデータを読み出し、プログラムに従って、対象位置取得手段640、ロボット位置・姿勢取得手段641、経路算出手段642、障害物領域算出手段643及び移動制御手段644等として機能する。経路算出手段642には、候補地点設定手段642a、隠蔽度算出手段642b及び経路探索手段642cが含まれる。
【0036】
記憶部65は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の情報記憶装置により実現される。記憶部65は、各種プログラムや各種データを記憶し、制御部64との間でこれらの情報を入出力する。記憶部65は、空間情報記憶手段650、位置・姿勢情報記憶手段651及び経路記憶手段653等として機能する。
【0037】
更に、自律移動ロボット6には、4つのロータ67と、その回転軸がそれぞれ対応するロータ67に連結された4つのモータ66からなる4つのユニットが搭載される。各モータ66は、制御部64に接続されて制御部64から回転速度が指示される。4つのロータ67が独立して回転することにより自律移動ロボット6に任意方向の加速度を発生させる。ロータ67及びロータ67は自律移動ロボット6の移動手段である。
【0038】
空間情報記憶手段650は、監視空間の3次元構造等を表した空間情報を記憶する。空間情報は、撮影システム1の管理者等によって予め設定され、少なくとも監視空間において自律移動ロボット6の移動の障害及び自律移動ロボット6による撮影の障害となり得る障害物の位置を含む。障害物は、例えば建物や樹木等である。具体的には、監視空間を例えば自律移動ロボット6よりも小さく予め定められた立方体である複数のボクセルに区分し、各ボクセルを、監視空間のグローバル座標系における当該ボクセルの位置(三次元座標)と、当該ボクセルが表す領域に移動の障害となる障害物が含まれるか否かを区別するための符号(移動障害属性)と、及び当該ボクセルの領域が撮影の障害となる度合いを表す数値(撮影障害属性)とを含むボクセル情報により管理する。
【0039】
例えば、障害物を含むボクセルの移動障害属性は1、障害物を含まないボクセルの移動障害属性は0とすることができる。また、例えば、障害物を含まないボクセルの撮影障害属性は0、一般的な壁や屋根等の遮光性を有する障害物を含むボクセルの撮影障害属性は100とし、ガラス窓、ネット、フェンス等の透光性を有する障害物を含むボクセルにはその撮影の障害となる程度を表す0~100の間の撮影障害属性が付与される。
【0040】
また、空間情報記憶手段650は、緯度・経度・高度を監視空間のグローバル座標系の位置に変換する変換規則、方位をグローバル座標系の方向に変換する変換規則を記憶する。例えば、グローバル座標系の原点の緯度・経度・高度、グローバル座標系のX軸・Y軸に対応する方位、グローバル座標系の単位長さに対応する緯度・経度・高度の変位量を記憶する。
【0041】
位置・姿勢情報記憶手段651は、侵入物位置に基づく撮影対象の位置(撮影対象位置)の情報を記憶する。位置・姿勢情報記憶手段651は、例えば、撮影対象位置を予め定められた回数(例えば3回)だけ循環記憶する。また、現ロボット位置及び現ロボット姿勢を循環記憶する。
【0042】
経路記憶手段653は、監視空間において自律移動ロボット6が移動する予定である経路を記憶する。当該経路の終端は自律移動ロボット6の移動先である。すなわち、経路記憶手段653は、経路の一部として移動先を記憶する手段でもある。
【0043】
対象位置取得手段640は、通信部60が侵入物位置を受信するたびに当該侵入物位置に基づく撮影対象の位置(撮影対象位置)を位置・姿勢情報記憶手段651に追加記憶させる。具体的には、対象位置取得手段640は、侵入物位置に予め設定されたオフセット値を加算して撮影対象位置を算出する。例えば、侵入物が人の場合は撮影対象をその顔とすることができ、侵入物が車両の場合は撮影対象をそのナンバープレートとすることが好適である。そして、例えば、侵入物センサ2が検出する侵入物位置が侵入物の接地位置である場合、対象位置取得手段640は、侵入物が人であれば侵入物位置に高さ150cmを加算し、侵入物が車両であれば侵入物位置に高さ50cmを加算する。
【0044】
また、対象位置取得手段640は、位置・姿勢情報記憶手段651から複数時点の撮影対象位置を読み出して経路算出手段642に出力する。具体的には、最新の撮影対象位置を時刻tの位置とすると、時刻t-2,t-1,tの3時点の撮影対象位置を経路算出手段642に出力する。
【0045】
ロボット位置・姿勢取得手段641は、ロボット位置・姿勢センサ61の出力から監視空間における現ロボット位置及び現ロボット姿勢を算出し、位置・姿勢情報記憶手段651に記憶させる。例えば、ロボット位置・姿勢センサ61が航法信号を出力する場合、ロボット位置・姿勢取得手段641は、航法信号を解析して当該航法信号から緯度・経度・高度を抽出し、空間情報記憶手段650に記憶されている変換規則を用いて緯度・経度・高度を監視空間のグローバル座標系の位置に変換する。また、例えば、ロボット位置・姿勢センサ61が電子コンパス及びジャイロセンサの計測信号を出力する場合、ロボット位置・姿勢取得手段641は、計測信号を解析して当該計測信号から方位及びロボット位置・姿勢センサ61のローカル座標系における姿勢変化量を抽出するとともに、位置・姿勢情報記憶手段651からグローバル座標系での値である現ロボット姿勢(この時点では一時点過去の姿勢)を読み出す。方位は、電子コンパスの計測信号をグローバル座標系における方位へ変換し、他のセンサから算出される方位と融合させて算出させてもよい。そして、ロボット位置・姿勢取得手段641は、予め設定された自律移動ロボット6の主軸方向に対するロボット位置・姿勢センサ61の主軸方向の相対方向を用いて姿勢変化量を自律移動ロボット6のローカル座標系に変換し、変換した姿勢変化量を加えて現ロボット姿勢を更新する。
【0046】
経路算出手段642は、撮影対象位置が更新されると、対象位置取得手段640から撮影対象位置を取得し、撮影対象位置の近傍を移動先とする経路を算出して、算出した経路を経路記憶手段653に記憶させる。算出される経路は、自律移動ロボット6が移動する経路である。経路算出手段642は、位置・姿勢情報記憶手段651から現ロボット位置を読み出し、現ロボット位置から移動先までの経路を算出する。また、対象位置取得手段640から入力される撮影対象位置は現時点の撮影対象位置を含む複数時点の撮影対象位置である。経路算出手段642は、空間情報記憶手段650から空間情報を読み出し、複数時点の撮影対象位置と障害物の位置関係からオクルージョンの影響を受けにくい撮影方向の移動先を設定して、経路を算出する。
【0047】
経路を算出するために、経路算出手段642は、候補地点設定手段642a、隠蔽度算出手段642b及び経路探索手段642cを備える。以下、
図3を参照しながらこれらの手段について説明する。
【0048】
図3は、監視空間を真上から見た模式図である。
図3は、現時刻をtとしてそれぞれ時刻t-2,t-1,t,t+1における侵入者の位置である撮影対象位置100~103、それぞれ侵入者の移動方向に沿って連なって配置されている樹木110~116、現ロボット位置150、自律移動ロボット6の移動先140,141を示している。
【0049】
また、現ロボット位置150から移動先140への経路160、移動先140から移動先141への経路161、移動先141から先の経路162を示している。なお、
図3では、経路160~162の矢印は図示の都合上その一部が欠けて示されているが本来連続して繋がっている。
【0050】
撮影対象位置100~103の周囲に示された点線の円は、撮影対象位置100~103のそれぞれを中心とする予め設定された離間距離を示す。点線の円周上に示した各点は、自律移動ロボット6の移動先の候補地点を示す。移動先140,141は、複数の候補地点から選択される。各候補地点から延びる矢印は、当該候補地点から撮影対象位置100~103へ向かう視線を示す。各視線において実線の視線はオクルージョン無し、点線の視線はオクルージョン有りを示している。なお、候補地点120~126は、
図3に示した複数の候補地点の一部を示している。また、網掛け領域130は、移動先として選択すべきではないとされた候補地点群を示している。
【0051】
本実施の形態では、候補地点設定手段642aは、複数時点t-2,t-1,tの撮影対象位置100~102の各々の周囲に複数の候補地点を設定し、撮影対象位置100~102と候補地点の組み合わせを隠蔽度算出手段642bに出力する。
【0052】
具体的には、まず、候補地点設定手段642aは、撮影対象位置100~102のそれぞれを中心とする予め設定された離間距離(例えば3m)を半径とした円状の位置で、かつ、予め設定された離間高度(例えば3m)の領域に、予め定めた角度間隔で複数個ずつ候補地点を設定する。ちなみに、離間距離及び離間高度は追従移動中の自律移動ロボット6と撮影対象の維持すべき位置関係として適宜定められるものである。本実施形態では、例えば、侵入者から攻撃を受けないようにするために維持すべき位置関係として定められている。
【0053】
また、候補地点の角度間隔は、例えば水平面で5°として各撮影対象位置100~102に対して72個ずつの候補地点とすることができる。ただし、
図3では、図示のスペースの都合上、各撮影対象位置100~102に対して角度間隔22.5°で候補地点を16個ずつ設定した例を示している。候補地点設定手段642aは、各候補地点に、監視空間のグローバル座標系における座標と方向を付与する。候補地点の方向は、設定の元となった撮影対象位置から当該候補地点に向かう方向とする。
【0054】
なお、離間距離及び離間高度はそれぞれある程度の幅を持たせた設定としてもよい。離間高度のみに幅を持たせた場合、候補地点は球の一部をなす曲面上に設置されることとなる。また、離間距離及び離間高度の両方に幅を持たせた場合、候補地点は円柱の一部をなす曲面上などに設置することができる。それらの場合、候補地点の角度間隔は水平面で5°、鉛直面で5°等に設定されることなり、候補地点の方向は二次元の角度パラメータで表される。
【0055】
以上のように、候補地点設定手段642aは、複数時点の撮影対象位置それぞれについて、当該時点の撮影対象位置を中心とする複数の方向に、当該時点の撮影対象位置から所定距離以上離間させて移動先の候補地点を設定する。
【0056】
隠蔽度算出手段642bは、方向毎に当該方向の候補地点での隠蔽度を算出し、算出した隠蔽度を経路探索手段642cに出力する。ここで、ある地点での隠蔽度は、撮影手段であるカメラ63を当該地点から対応する撮影対象位置100~102のいずれかに位置する撮影対象に向けた場合に撮影対象が障害物によって隠蔽される可能性の高さを表す指標、であると定義する。
【0057】
具体的には、隠蔽度算出手段642bは、候補地点設定手段642aから入力された撮影対象位置100~102、各撮影対象位置100~102に対応する候補地点の情報及び空間情報記憶手段650に予め記憶された空間情報を参照し、各時刻t-2,t-1,tの撮影対象位置100~102と当該時刻t-2,t-1,tの各候補地点とを結ぶ線分を導出する。次に、隠蔽度算出手段642bは、各候補地点についての線分が通過するボクセルを特定し、特定したボクセルに付与されている撮影障害属性のうちの最大値を、当該候補地点についての隠蔽度として算出する。
図3の例では、候補地点120,121,122,123,124,125,126での隠蔽度が100、それ以外の隠蔽度が0と算出される。
【0058】
なお、隠蔽度として最大値に代えて平均値を用いてもよい。最大値を用いて全方向の隠蔽度が同値となった場合、平均値が小さな方向を優先して選択することで、より優良な撮影方向となり得る。
【0059】
そして、隠蔽度算出手段642bは、処理対象としている各時刻t-2,t-1,t,の撮影対象位置100~102に亘って方向毎に隠蔽度の最大値を求めて方向別の隠蔽度とする。
図3の例では、網掛け領域130で示した方向の隠蔽度が100、それ以外の方向の隠蔽度が0と算出される。なお、最大値の選択に変えて、総和の算出としてもよいし、平均値の算出としてもよい。
【0060】
ここで、障害物が撮影対象の近傍に断続的に存在していても撮影対象の移動速度が小さい場合や障害物の配置間隔が長い場合、サンプル不足によってオクルージョンが生じ得る方向の隠蔽度が十分に高く算出されないことがある。これを防止するために、隠蔽度算出手段642bが隠蔽度の補正を行うものとすることができる。
【0061】
具体的には、隠蔽度算出手段642bは、方向毎の隠蔽度を、当該方向の近傍の方向における隠蔽度が高いほど高く補正する。隠蔽度算出手段642bは、各候補地点iの方向をθiとしその隠蔽度をSiとすると、方向θi毎に、平均値が当該方向θiであり最大高さがSiであり予め定めた分散σθ
2を有する正規分布N(θi)を導出し、当該方向θi以外の方向θkの隠蔽度SkにN(θi)を加算する。ただし加算後の隠蔽度が最大値100を超える場合は100に補正する。
【0062】
図4は、
図3の例で算出された方向θ毎の隠蔽度Sに対する補正例を示す模式図である。ただし、
図4では、180°方向から315°方向のみを例示している。
【0063】
上述したように、補正前の隠蔽度Sは、180°から247.5°方向で100、270°方向から315°方向で0である(
図4のグラフ200)。隠蔽度算出手段642bは、方向θ毎に補正前の隠蔽度Sを平均値とした正規分布を導出し、当該正規分布における値を近傍の方向θの補正前の隠蔽度Sに加算して補正後の隠蔽度Sを算出する(
図4のグラフ201)。例えば、方向θが180°について、180°を平均値とし高さが100の正規分布を導出し、当該正規分布における202.5°での値を202.5°の隠蔽度Sに加算し、当該正規分布における225°での値を225°の隠蔽度Sに加算し、・・・というように180°以外の隠蔽度Sに加算する。ここでは、正規分布の分散を、平均値から45°離れた方向で高さがほぼ0になるよう調整している。同様に、隠蔽度算出手段642bは、方向θが202.5°について、202.5°を平均値とし高さが100の正規分布を導出し、当該正規分布における225°での値を225°の隠蔽度Sに加算し、当該正規分布における247.5°での値を247.5°の隠蔽度Sに加算し、・・・というように202.5°以外の隠蔽度Sに加算する。さらに、隠蔽度算出手段642bは、同様の処理を他の方向についても行い、高さが100を超えた隠蔽度Sを100に修正する。
図3の例では、補正前に0であった270°方向の隠蔽度が20を下回らなくなり、270°方向が優良撮影方向として検出されなくなる。
【0064】
なお、正規分布関数に代えて他の分布関数やステップ関数を用いるなど、方向が離れるほど加算値が小さくなる他の関数を適宜用いて補正を実現してもよい。
【0065】
以上のように、隠蔽度算出手段642bは、候補地点と障害物の領域と撮影対象位置とを参照して、複数の時点それぞれの候補地点に移動した制御体が撮影した場合に当該時点の撮影対象が障害物によって隠蔽される可能性の高さを方向毎に統合して、方向毎の隠蔽度Sを算出する。また、好適には、隠蔽度算出手段642bは、方向毎の隠蔽度Sを、当該方向の近傍の方向における隠蔽度Sが高いほど高く補正する。
【0066】
経路探索手段642cは、現ロボット位置150を始端とし、最新時点の候補地点のうち隠蔽度Sが予め定めた基準を下回る方向に設定された候補地点を終端とする経路の中で、障害物を回避しての移動距離が最短と推定される経路を算出する。上記最新時点は、対象位置取得手段640から入力された複数時点の撮影対象位置における最新時点であり、本実施形態においては現時刻tとなる。
【0067】
具体的には、経路探索手段642cは、まず、現時点についての候補地点の中から経路の終端すなわち移動先を決定する。そのために、経路探索手段642cは、隠蔽度算出手段642bから入力された各方向の隠蔽度Sを予め定めた基準(閾値)と比較して、基準未満の隠蔽度Sが算出された方向を優良撮影方向として検出する。例えば、基準は20とすることができ、
図3の例では網掛け領域130で示した方向以外が優良撮影方向となる。
【0068】
優良撮影方向が検出されると、経路探索手段642cは、現時点の各候補地点のうちの空間情報における移動障害属性が1であるボクセルに含まれず、且つ優良撮影方向に設定された候補地点P
iそれぞれに対して数式(1)~(5)を用いて評価値V
iを算出する。
【数1】
【0069】
ここで、rは現ロボット位置、Piは優良撮影方向の候補地点、Sは候補地点Piの方向についての隠蔽度である。また、NpはPiの総数である。α,β,σL,σSは、r―Pi間の距離や隠蔽度Sに応じて減衰する値を調整するためのパラメータであり、事前の実験等を通じて調整された値を予め設定しておく。Aiはr―Pi間の距離に関する評価値であり、LiはAiを正規化した評価値である。AiやLiはr―Pi間の距離が遠いほど低く、近いほど高い値となる。また、Aiはr―Pi間の距離に関する評価値であり、LiはAiを正規化した評価値である。BiやОiは隠蔽度Sが高いほど低く、低いほど高い値となる。ViはLiとОiの両方の特性を有する。
【0070】
そして、経路探索手段642cは、評価値V
iが最大の候補地点を移動先に決定する。ただし評価値V
iの算出対象外となった候補地点は移動先決定の対象外とする。
図3の例では移動先140に決定される。
【0071】
一方、優良撮影方向が検出されない場合、すなわち優良撮影方向が存在しない場合には、経路探索手段642cは、r―Pi間の距離のみに基づいて移動先を決定する。すなわち、経路探索手段642cは、現時点における候補地点のうちの空間情報における移動障害属性が1であるボクセルに含まれない候補地点のそれぞれについて、上記数式(2)の評価値Liを算出し、評価値Liが最大の候補地点を移動先に決定する。
【0072】
移動先を決定した経路探索手段642cは、空間情報において移動障害属性が0であるボクセルからなる空間に、例えばA*経路探索法を適用して現ロボット位置から当該移動先に至る経路を算出する。
【0073】
A*経路探索法を適用する場合、経路探索手段642cは、各ボクセルの中心位置をノードとし、移動先に対応するボクセルのノード(以下「スタートノード」という)から現ロボット位置に対応するボクセルのノード(以下「ゴールノード」という)に至る総コスト値が最も小さくなる経路を探索する。より具体的に説明すると、経路探索手段642cは、まずスタートノードを注目ノードに設定し、その注目ノードに隣接する1又は複数のノードを評価ノードとして設定する。評価ノードを設定する際、ボクセルの属性を参照し、移動障害属性が付与されているボクセル及び当該ボクセルに隣接するボクセルに対応するノードを除外し、障害物に衝突する経路が生成されないようにする。そして、各評価ノードに至る総コスト値を求め、その中から最小の総コスト値となる評価ノードを次の注目ノードとして選出する。次の注目ノードを選出すると、経路探索手段642cは、その注目ノードに隣接する1又は複数のノードであってそれまでに評価ノードとして設定されておらず、且つ移動障害属性が付与されていないボクセルに対応するノードであり、且つ移動障害属性が付与されたボクセルに隣接していないボクセルに対応するノードを評価ノードとする。そして、経路探索手段642cは、各評価ノードに至る総コスト値を求め、その中から最小の総コスト値となる評価ノードを次の注目ノードとして選出する。以上の処理をゴールノードが注目ノードとして選出されるまで繰り返し行う。
【0074】
なお、経路の探索方法は、A*経路探索法に限定されるものでなく、ダイクストラ法等
の他の経路探索方法を適用してもよい。
【0075】
障害物領域算出手段643は、障害物センサ62の出力から、自律移動ロボット6の周囲の障害物領域を算出し、移動制御手段644に出力する。この障害物領域は、基本的に、空間情報記憶手段650に記憶されていない動的な障害物に関する情報である。例えば、障害物センサ62が反射波信号を出力する場合、障害物領域算出手段643は、障害物領域算出手段643は反射波信号を解析して障害物センサ62から障害物までの距離(障害物距離)及び障害物センサ62の主軸方向に対する障害物の存在方向(障害物方向)を算出する。さらに、障害物領域算出手段643は、位置・姿勢情報記憶手段651からグローバル座標系での値である現在位置及び現在姿勢を読み出す。そして、障害物領域算出手段643は、現在位置、現在姿勢及びローカル座標系の値として予め設定された自律移動ロボット6の主軸方向に対する障害物センサ62の主軸方向の相対方向を用いて、障害物センサ62のローカル座標系での値である障害物距離及び障害物方向をグローバル座標系における障害物領域の情報に変換する。
【0076】
移動制御手段644は、経路記憶手段653に記憶されている経路、及びロボット位置・姿勢取得手段641に記憶されている現ロボット位置であって逐次更新される現ロボット位置を参照し、経路に自律移動ロボット6を追従移動させる。すなわち、移動制御手段644は、現ロボット位置と経路を比較して現ロボット位置よりも移動先に近く現ロボット位置から所定距離以内である経路上の近傍点を設定して、予め定めた加速度制限値以下の加速度で近傍点に移動するために要する4つのモータ66の回転速度を導出し、各モータ66に導出した回転速度を指示する、という制御を経路の終端に到達するまで逐次的に繰り返す。上記所定距離には障害物センサ62の有効距離以下の距離が予め設定される。
【0077】
追従移動は、空間情報記憶手段650に記憶されていない動的な障害物の回避を含む。すなわち、移動制御手段644は、障害物領域算出手段643から入力される障害物領域の情報及び空間情報記憶手段650に記憶されている空間情報をも参照し、障害物領域算出手段643から障害物領域の情報が入力された場合に、上述した経路上の近傍点への移動を一時的に中止し、現ロボット位置からの距離が上記所定距離以下、且つ当該障害物領域を含まず、且つ移動障害属性が付与されていないボクセルを抽出して当該ボクセルの中心点への移動を行う。そして、障害物領域の情報が入力されなくなると、上述した経路上の近傍点への移動を再開する。
【0078】
以下、
図5及び
図6のフローチャートを参照して、撮影システム1における移動先設定方法について説明する。位置・姿勢情報記憶手段651に記憶されている撮影対象位置が更新されると、制御部64は、経路算出手段642として動作し、
図5及び
図6のフローチャートの処理を開始する。
【0079】
まず、経路算出手段642は、位置・姿勢情報記憶手段651に記憶されている現ロボット位置を取得する(ステップS1)。また、経路算出手段642は、位置・姿勢情報記憶手段651から複数時点の撮影対象位置を読み出す(ステップS2)。
【0080】
経路算出手段642の候補地点設定手段642aは、各時点の撮影対象位置を順次注目位置に設定して、撮影対象位置毎に候補地点を設定する。すなわち、候補地点設定手段642aは、各撮影対象位置を注目位置に順次設定し(ステップS3)、注目位置の周囲に所定の離間距離、離間高度及び角度間隔で複数方向の候補地点を設定する(ステップS4)。候補地点設定手段642aは、各候補地点の座標と方向を注目位置の座標とともに経路算出手段642の隠蔽度算出手段642bに入力する。
【0081】
経路算出手段642の隠蔽度算出手段642bは、設定された各候補地点を順次注目地点に設定し(ステップS5)、候補地点毎に隠蔽度Sを設定する(ステップS6)。すなわち、隠蔽度算出手段642bは、まず、空間情報記憶手段650から空間情報を読み出すとともに、注目地点と注目位置とを結ぶ線分を導出し、空間情報から線分が通過するボクセルの撮影障害属性を抽出する。そして、隠蔽度算出手段642bは、抽出した撮影障害属性の最大値を注目地点の隠蔽度Sとして算出する。算出された隠蔽度Sは、注目地点の方向と対応付けて記憶部65に一時記憶される。隠蔽度算出手段642bは、全ての候補地点に対して隠蔽度Sを算出する処理を終えたか確認する(ステップS7)。未処理の候補地点がある場合、ステップS5に処理を戻して次の候補地点に対する処理を続ける。全ての候補地点に対する処理を終えた場合、候補位置に対するループ処理を終わらせてステップS8に処理を進める。
【0082】
候補地点設定手段642aは、全ての時点の撮影対象位置に対して候補地点の設定及び隠蔽度Sの設定の処理を終えたか否かを確認する(ステップS8)。未処理の撮影対象位置がある場合、ステップS3に処理を戻して次の撮影対象位置に対する処理を続ける。全ての撮影対象位置に対する処理を終えた場合、撮影対象位置に対するループ処理を終わらせてステップS9に処理を進める。
【0083】
隠蔽度算出手段642bは、一時記憶させていた候補地点毎の隠蔽度Sから方向毎に最大値を選択して方向別の隠蔽度Sを求める(ステップS9)。さらに、隠蔽度算出手段642bは、各方向を中心とし当該方向の隠蔽度をその中心の高さとする正規分布を他の方向の隠蔽度に加算することで方向別の隠蔽度を補正する(ステップS10)。補正後の隠蔽度Sは経路算出手段642に出力される。なお、ステップS6で一時記憶させた情報は消去してもよい。また、最も古い時点の情報だけを消去し、残りを次回のステップS6での処理で再利用してもよい。
【0084】
経路算出手段642は、方向別の隠蔽度Sを最新時点の候補位置及び現ロボット位置とともに与えて経路探索を実行する。まず、経路算出手段642の経路探索手段642cは、方向別の隠蔽度Sを基準と比較して、隠蔽度が基準を下回る優良撮影方向を検出する(ステップS11)。次に、経路探索手段642cは、最新時点の候補地点の中から移動可能且つ優良撮影方向であるものを抽出する(ステップS12)。候補地点が移動可能であるかは空間情報から当該候補地点を含むボクセルの移動障害属性を抽出して判定する。
【0085】
続いて、経路探索手段642cは、ステップS12において優該当する候補地点が抽出されたか否かを確認する(ステップS13)。該当する候補地点が抽出された場合、経路探索手段642cは、抽出した候補地点毎の座標と当該候補地点の方向の隠蔽度を上記数式(1)~(5)に代入して評価値Vを算出する(ステップS14)。
【0086】
該当する候補地点が抽出されなかった場合(すなわち、優良撮影方向が検出されなかった場合、または優良撮影方向の候補地点がいずれも移動不能であった場合)、経路探索手段642cは、最新時点の候補地点の中から移動可能である候補地点を抽出する(ステップS15)。経路探索手段642cは、移動可能である候補地点が抽出されたか否かを確認する(ステップS16)。移動可能である候補地点が抽出された場合、抽出された候補地点毎の座標を上記数式(2)に代入して評価値Lを算出する(ステップS17)。抽出されなかった場合、経路の算出を保留してステップS1に処理を戻す。なお、処理を戻す際、一時的に離間距離を一定値だけ増加させる変更を行ってもよい。
【0087】
なお、ステップS13及びステップS15で得られた候補地点が移動可能であるか否かの判定結果は次回のステップS13及びステップS15の処理で再利用するために記憶部65に一時記憶させてもよい。
【0088】
経路探索手段642cは、ステップS14又はステップS17で算出された評価値の中から最大値を検索し、最大値が算出された候補地点を移動先に決定する(ステップS18)。そして、経路探索手段642cは、空間情報記憶手段650から空間情報を読み出し、空間情報と現ロボット位置と決定した移動先とを基に、現ロボット位置から移動先への経路を探索し、探索結果として得られた経路を経路記憶手段653に記憶させる(ステップS19)。こうして経路が更新されると、移動制御手段644は、自律移動ロボット6を当該経路に追従移動させる。
【0089】
[変形例]
以下、上記説明した実施の形態の変形例について説明する。
【0090】
上記実施形態においては、侵入物センサ2が実際に検出した侵入物位置に基づく撮影対象位置(時刻t-2,t-1,tにおける撮影対象位置)のみを用いて優良撮影方向を求める例を示した。別の実施形態においては、サンプル不足を防止するために、対象位置取得手段640が撮影対象位置を内挿または/及び外挿してもよい。例えば、対象位置取得手段640は、時刻t-2,t-1,tにおける撮影対象位置から時刻t-2とt-1の間の撮影対象位置及び時刻t-1とtの間の撮影対象位置を線形補間することにより撮影対象位置を内挿することができる。また例えば対象位置取得手段640は、時刻t-2,t-1,tにおける撮影対象位置から時刻t+1の撮影対象位置を線形予測することにより撮影対象位置を外挿することができる。
【0091】
その場合、候補地点設定手段642a及び隠蔽度算出手段642bは内挿・外挿されたものを含めた撮影対象位置を用いて処理を行う。
【0092】
また、上記実施形態及びその変形例においては、空間情報はボクセルの属性として移動障害属性と撮影障害属性が付与される例を示した。別の実施形態においては、これらを分けず、ボクセルの属性として近似的に障害物の有無のみが付与されてもよい。その場合、各手段は、障害物有りの属性を有するボクセルを移動の障害となるボクセルでもあり属性と撮影の障害でもあるボクセルとして処理し、障害物無しの属性を有するボクセルを移動の障害とならないボクセルでもあり属性と撮影の障害とならないボクセルでもあるとして処理すればよい。
【0093】
また、上記実施形態及びその変形例においては、移動先決定手段としての機能を含んだ経路探索手段642cが、移動先を1つ決定してから、当該移動先に対する最良の経路を探索する処理例を示した。別の実施形態においては、経路探索手段642cが、優良撮影方向である複数の候補地点のそれぞれを終端とする経路の中から最良の経路を探索し、結果的に最良の経路の終端として移動先を決定する処理とすることもできる。
【0094】
また、上記実施形態及びその変形例においては、経路算出手段642が複数時点の撮影対象位置に基づいて優良撮影方向を検出する例を示した。別の実施形態において、経路算出手段642は1時点の撮影対象位置に基づいて優良撮影方向を検出してもよい。ただし、その場合、方向別の隠蔽度を補正する処理は必須となる。
【0095】
また、上記実施形態及びその変形例においては、監視空間を空中とする例を示したが、監視空間は陸上、水上又は水中であってもよい。したがって、監視空間を移動する制御体は、飛行する制御体に限らず、例えば、走行する制御体、歩行する制御体又は航行する制御体であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態及びその変形例においては、自律移動ロボット6が対象位置取得手段640を備える例を示したが、管理装置5が対象位置取得手段640を備えてもよい。その場合、管理装置5も位置・姿勢情報記憶手段651と同様に侵入物位置を予め定められた回数だけ循環記憶する手段を備える。
【0097】
さらには、上記実施形態及びその変形例においては、自律移動ロボット6が備えると例示した経路算出手段642を監視センタ装置4または管理装置5が備えてもよい。その場合、監視センタ装置4または管理装置5も経路算出手段642とともに空間情報記憶手段650を備え、侵入物の位置に代えて経路が自律移動ロボット6に送信される。この構成は通信回線のリアルタイム性が高い場合に有用である。
【0098】
また、制御体として自律移動するロボットを例示したが、監視センタ装置4または管理装置5から経路追従のための制御信号を受信して移動する制御体とすることもできる。この構成は、制御体から監視センタ装置4または管理装置5に障害物領域の情報を送信するとともに、監視センタ装置4または管理装置5に移動制御手段644を備えさせて当該移動制御手段644から制御体に制御信号を送信するよう変形することで実現できる。
【0099】
以上に述べたように、撮影システム1は、撮影対象位置の周囲の複数の方向に候補地点を設定して方向ごとの隠蔽度を算出し、隠蔽度が基準を下回る優良撮影方向の候補地点を移動先に設定して撮影対象を追尾する。これによって、撮影対象の近傍に断続的な障害物があっても、当該障害物によって撮影対象を撮影できない期間を生じにくくすることができ、また、当該障害物による隠蔽を回避するための方向転換によって制御体ないしロボットの機体が不安定になる期間を生じにくくすることができる。さらに、撮影システム1は、複数時点の撮影対象位置についての候補地点に関する隠蔽度を方向ごとに統合して優良撮影方向を判定し、または/および、方向ごとの隠蔽度を、当該方向の近傍の方向における隠蔽度が高いほど高くなるように補正して優良撮影方向を判定する。これによって、上記期間を生じにくくする効果を、より高めることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 撮影システム、2 侵入物センサ、4 監視センタ装置、5 管理装置、6 自律移動ロボット、60 通信部、61 ロボット位置・姿勢センサ、62 障害物センサ、63 カメラ、64 制御部、65 記憶部、66 モータ、67 ロータ、100~103 撮影対象位置、110~116 樹木、120~126 候補地点、130 移動先として選択すべきではないとされた領域、140,141 移動先、150 現ロボット位置、160~162 経路、200 補正前の方向別の隠蔽度Sを示すグラフ、201 補正後の方向別の隠蔽度Sを示すグラフ、640 対象位置取得手段、641 ロボット位置・姿勢取得手段、642 経路算出手段、642a 候補地点設定手段、642b 隠蔽度算出手段、642c 経路探索手段、643 障害物領域算出手段、644 移動制御手段、650 空間情報記憶手段、651 位置・姿勢情報記憶手段、653 経路記憶手段、900~903 撮影対象位置、910~916 樹木、920 現ロボット位置、930,931 移動先、940~942 経路。