(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】車輪用軸受装置
(51)【国際特許分類】
F16C 33/58 20060101AFI20240222BHJP
F16C 19/34 20060101ALI20240222BHJP
B60B 35/14 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16C33/58
F16C19/34
B60B35/14 V
(21)【出願番号】P 2019057107
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 茂明
(72)【発明者】
【氏名】永井 奈都子
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-168817(JP,A)
【文献】特開2017-161030(JP,A)
【文献】特開2008-223893(JP,A)
【文献】特開2005-104356(JP,A)
【文献】特開2007-327587(JP,A)
【文献】特開2005-256898(JP,A)
【文献】特開2011-240755(JP,A)
【文献】特開2009-162270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56
F16C 33/30-33/66
B60B 27/00-27/06
B60B 35/00-35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周に複列の外側軌道面と、車体側部材が取り付けられるフランジ部と、を有する外方部材と、
外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、ならびにこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備える車輪用軸受装置において、
前記外方部材には、前記フランジ部よりもインナー側にパイロット部が設けられていて、
前記パイロット部は、
前記車体側部材に嵌合される嵌合部と、
前記嵌合部のインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径する案内部とを有し、
前記案内部は、
前記嵌合部のインナー側端部からインナー側に向かって延びる第1テーパ面と、
前記第1テーパ面のインナー側端部からインナー側に向かって延びる第2テーパ面と、
前記第2テーパ面のインナー側端部に設けられる面取部とを有し、
前記第1テーパ面における前記車輪用軸受装置の回転軸に対する傾斜角αは、
前記第2テーパ面における前記回転軸に対する傾斜角βに比べて大きく、
前記案内部は、前記内輪のインナー側端面よりも、軸方向のインナー側に設けられる車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記案内部は、鍛造面を有している、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記案内部は、軸方向断面形状
が互いに屈曲して接続する複数の直線形状を有する請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輪用軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪用軸受装置の外方部材では、パイロット部(インナー側端部)が懸架装置を構成するナックルに嵌合されると共に、車体取り付けフランジ部がナックルに締結される。
【0003】
ここで、軸受剛性を高めるために、パイロット部とナックルとの嵌合すきまを小さくした車輪用軸受装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の車輪用軸受装置では、パイロット部とナックルの間にカバーが介装されている。カバーのうちパイロット部に嵌合される円筒部はベローズ状であり、複数のヒダを有している。これにより、車体取り付けフランジ部をナックルに締結する際、カバーの円筒部が圧縮されることで予圧が付与される。
【0005】
しかし、特許文献1のカバーは、防錆能を有するため、コストが増大する。また、
図9に示すように、外輪200のパイロット部Pとナックル10との嵌合すきまCを小さくし過ぎると、ナックル10の開口部10aにパイロット部Pを嵌合する際に、嵌合部2
00fで抉りが起こり易いため、パイロット部Pの挿入性が悪化し、車両組立ラインでの軸受組付性を阻害する。そこで、ナックル10とパイロット部Pとの嵌合構造においては、0コンマ数mm程度の嵌合すきまCを設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、コストを増大させずに、かつ、ナックルへの車輪用軸受装置の組付性を損なうことを防止できる好適な車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、
内周に複列の外側軌道面と、車体側部材が取り付けられるフランジ部と、を有する外方部材と、
外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、ならびにこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
この内方部材と前記外方部材のそれぞれの軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備える車輪用軸受装置において、
前記外方部材には、前記フランジ部よりもインナー側にパイロット部が設けられていて、
前記パイロット部は、前記車体側部材に嵌合される嵌合部と、前記嵌合部のインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径する案内部とを有するものである。
【0009】
第二の発明は、
前記案内部は、鍛造面を有しているものである。
【0010】
第三の発明は、
前記案内部は、軸方向断面形状が単一の直線形状あるいは互いに屈曲して接続する複数の直線形状を有するものである。
【0011】
第四の発明は、
前記案内部は、軸方向断面形状が単一あるいは複数の単一曲率半径の曲線形状を有するものである。
【0012】
第五の発明は、
前記案内部は、軸方向断面形状が単一あるいは複数の複合曲率を有する曲線形状の組合せを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
即ち、本発明の車輪用軸受装置によれば、コストを増大させずに、かつ、ナックルへの車輪用軸受装置の組付性を損なうことを防止できる好適な車輪用軸受装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す断面図。
【
図2】車輪用軸受装置の第一実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図3】車輪用軸受装置の第二実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図4】車輪用軸受装置の第三実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図5】車輪用軸受装置の第四実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図6】車輪用軸受装置の第五実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図7】車輪用軸受装置の第六実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図8】車輪用軸受装置の第七実施形態における外輪のパイロット部を示す拡大断面図。
【
図9】従来の車輪用軸受装置における外輪の段付きのパイロット部を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、
図1及び
図2を用いて、車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
【0016】
図1に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外輪2、ハブ輪3、内輪4、転動体5、インナー側シール部材6およびアウター側シール部材7を具備する。
【0017】
図1に示すように、外方部材である外輪2は円筒状であり、ハブ輪3と内輪4とを支持する。外輪2の内周面には、複列の外側軌道面2aが設けられている。外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2bが設けられている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材7が嵌合可能なアウター側開口部2cが設けられている。外輪2の外周面には、懸架装置の車体側部材の一例であるナックル10に取り付けるための車体取り付けフランジ部2dが一体に設けられている。
【0018】
内方部材は、ハブ輪3と内輪4とによって構成されている。ハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持する。ハブ輪3のインナー側端部には、外周面に縮径された小径段部3aが設けられている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ部3bが設けられている。車輪取り付けフランジ部3bには、ハブボルト3cが挿入されている。また、ハブ輪3の外周面のアウター側には、内側軌道面3dが設けられている。
【0019】
ハブ輪3のインナー側端部(小径段部3a)には、内輪4が圧入されている。内輪4の外周面には、内側軌道面4aが設けられている。内輪4は、ハブ輪3のインナー側端部を加締めることで固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側軌道面4aが構成されている。
【0020】
転動体である二列のボール列5は、ハブ輪3を回転自在に支持する。車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4と二列のボール列5とを備える複列アンギュラ玉軸受によって構成されている。なお、車輪用軸受装置1は、複列円錐ころ軸受で構成されていてもよい。
【0021】
図2は、車輪用軸受装置1がナックル10に嵌合された状態を示している。なお、
図2は、外輪2の車体取り付けフランジ部2dのインナー側の一部領域を拡大した図である。
【0022】
図2に示すように、外輪2のインナー側端部にパイロット部2eが設けられている。パイロット部2eは、内方部材3の回転軸L(
図1参照)を中心とする略円筒形状となっており、このパイロット部2eがナックル10の開口部10aに内嵌される。
【0023】
パイロット部2eは、その外周面に嵌合部2fと、案内部2gとを有する。嵌合部2fは、車体取り付けフランジ部2dのインナー側に設けられ、軸方向に平行な円筒面である。嵌合部2fは、ナックル10の開口部10aに嵌合される面である。
【0024】
案内部2gは、嵌合部2fのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径する屈曲面である。嵌合部2fがナックル10の開口部10aに嵌合される際に、案内部2gは、開口部10aを嵌合部2fに案内する。案内部2gは、第1テーパ面2hと、第2テーパ面2iと、面取部2jと、を備える。
【0025】
第1テーパ面2hは、嵌合部2fのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径するように回転軸Lに対する所定の傾斜角αで傾斜する傾斜面である。第2テーパ面2iは、第1テーパ面2hのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径する傾斜面である。第2テーパ面2iは、第1テーパ面2hよりも緩斜面であり、回転軸Lに対する所定の傾斜角βで傾斜している。軸方向断面視において、傾斜角αと傾斜角βの関係がα>βであり、第1テーパ面2hが第2テーパ面2iよりも急斜面である。例えば、傾斜角αは30°±5°であり、傾斜角βは5°±3°であることが好ましい。第1テーパ面2hと第2テーパ面2iとの境界部分は、軸方向断面視R形状に形成させることが好ましい。
【0026】
面取部2jは、第2テーパ面2iのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径するテーパ面である。面取部2jは、パイロット部2eのインナー側端部において外周縁角部を、C面取り又はR面取りした部分(
図2に示す本実施形態では、C面取り)である。なお、C面取りとは、例えば、交差する面部分(角部)を45度でカットする加工である。R面取りとは、交差する面部分(角部)を丸形状にする加工である。なお、C面取り又はR面取りは省略してもよい。
【0027】
このように、車輪用軸受装置1の外輪2は、ナックル10に嵌合される嵌合部2fとナックル10の開口部10aを案内する案内部2gとを有するパイロット部2eを備えている。これにより、ナックル10の開口部10aにパイロット部2eを嵌合する際に、案内部2gによってナックル10の開口部10aのアウター側端部がスムーズに嵌合部2fに案内されるため、ナックル10に対するパイロット部2eの挿入性が良好となる。よって、軸受剛性向上のために、ナックル10とパイロット部2eの嵌合部2fとの嵌合すきまを小さくした場合であっても、ナックル10への車輪用軸受装置1の組付性を損なうのを防止することができる。
【0028】
車輪用軸受装置1において、ナックル10の開口部10aの内周面とパイロット部2eの嵌合部2fとの嵌合すきまを小さくすれば、軸受に荷重が負荷されたときに、嵌合部2fと開口部10aとが早期に接触し、この部分で荷重を受けることができる。また、車両の旋回時に大きなモーメント荷重が負荷された場合においても、外輪2の変形を抑制して軸受剛性の向上、ひいては、軸受剛性の線形性の維持にも役立つ。したがって、車輪用軸受装置1において、ナックル10への組付性向上と軸受剛性向上の両立を図ることができる。また、案内部2gはパイロット部2eの一部であるため、従来のような防錆性を有するカバーを用いる必要がなく、コストの増大を防止することができる。
【0029】
次に、図を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の変形例として第二実施形態から第七実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明では、各実施形態において追加、変更した部位について主に説明を行い、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部品や部位には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
次に、
図3を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第二実施形態である車輪用軸受装置1Aのパイロット部2kについて説明する。
【0031】
パイロット部2kでは、軸方向断面視において、第1テーパ面2nの傾斜角α1と第2テーパ面2oの傾斜角β1の関係がα1<β1であり、第1テーパ面2nが第2テーパ面2oよりも緩斜面である。第1テーパ面2nと第2テーパ面2oとの境界部分は、径方向外側に向かって凸形状である。これにより、第一実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
【0032】
次に、
図4を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第三実施形態である車輪用軸受装置1Bのパイロット部2qについて説明する。
【0033】
パイロット部2qでは、軸方向断面視において、第1テーパ面2sの傾斜角αと第2テーパ面2tの傾斜角βの関係がα>βであり、第1テーパ面2sが第2テーパ面2tよりも急斜面である。本実施形態に係る第1テーパ面2sのインナー側端部とナックル10の開口部10aの内周面との径方向間隔H1は、第一実施形態に係る第1テーパ面2hとナックル10との径方向間隔よりも大きい。第2テーパ面2tのインナー側端部とナックル10の開口部10aの内周面との径方向間隔H2は、第一実施形態に係る第2テーパ面2iとナックル10との径方向間隔よりも大きい。
【0034】
本実施形態でも、第一実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。さらに、車輪用軸受装置1Bは、第一実施形態の車輪用軸受装置1と比べて、径方向間隔H1、H2が大きいため、ナックル10の開口部10aに対するパイロット部2qの位置決めがし易く、案内部2rによりナックル10の開口部10aのアウター側端部がよりスムーズに嵌合部2fに案内される。以上のように、第一実施形態の車輪用軸受装置1、第二実施形態の車輪用軸受装置1A、及び第三実施形態の車輪用軸受装置1Bは、案内部として複数のテーパ面(傾斜面)がアウター側からインナー側に連設することで構成される複合的な傾斜面を有する。
【0035】
次に、
図5を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第四実施形態である車輪用軸受装置1Cのパイロット部2vについて説明する。
【0036】
パイロット部2vでは、案内部2wは、嵌合部2fのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて漸次縮径する円弧状に湾曲する湾曲面である。案内部2wは、嵌合部2fのインナー側端部からパイロット部2vのインナー側端部まで延設される。案内部2wは、径方向外側に向かって凸形状である。これにより、第一実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
【0037】
次に、
図6を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第五実施形態である車輪用軸受装置1Dのパイロット部2xについて説明する。
【0038】
パイロット部2xは、パイロット部2vの変形例である。本実施形態では、案内部2yは、径方向内側に向かって凸形状である。これにより、第四実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。以上のように、第四実施形態の車輪用軸受装置1C、及び第五実施形態の車輪用軸受装置1Dは、案内部として単一で軸方向断面視R形状の凸部及び凹部を有するものである。
【0039】
次に、
図7を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第六実施形態である車輪用軸受装置1Eのパイロット部
2zについて説明する。
【0040】
本実施形態に係るパイロット部2zでは、案内部2Aは、嵌合部2fのインナー側端部からインナー側に向かうにつれて径方向内側に傾斜している。案内部2Aは、漸次縮径するように所定の傾斜角γからなるテーパ面である。案内部2Aは、嵌合部2fのインナー側端部からパイロット部2zのインナー側端部まで延びている。これにより、第一実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。
【0041】
次に、
図8を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第七実施形態である車輪用軸受装置1Fのパイロット部
2Bについて説明する。
【0042】
本実施形態に係るパイロット部2Bは、第六実施形態に係るパイロット部2zの変形例である。嵌合部2fと案内部2Aとの境界部分(パイロット部2Bの軸方向中央部)には、凹状の溝部Dが設けられている。溝部Dは、上記境界部分を径方向内側に凹ませることでなる。溝部Dには、弾性部材(ここでは、Oリング)20が嵌め込まれている。
【0043】
本実施形態でも、第一実施形態に係る車輪用軸受装置と同様の作用効果を奏する。また、パイロット部2BのOリング20が嵌め込まれる溝部Dが設けられていることにより、当該Oリング20がナックル10の開口部10aの内周面に弾性接触することで砂塵等の侵入を防止することができる。以上のように、第六実施形態の車輪用軸受装置1E、及び第七実施形態の車輪用軸受装置1Fは、案内部として単一のテーパ面(傾斜面)を有する。
【0044】
また、本実施形態に係る案内部2g、2m、2r、2w、2y、2Aは、機械加工(旋削等)で仕上げるのではなく、未加工の鍛造面にて構成されることが好ましい。これにより、加工工程を省くことができるため、外輪2を安価に作製することができる。
【0045】
また、上述した、車輪用軸受装置1C、1Dは、各案内部2w、2yが軸方向断面形状において単一(一つ)の単一曲率半径(車輪用軸受装置1Cでは曲率半径R1、車輪用軸受装置1Dでは曲率半径R2)の曲線形状を有する。また、単一曲率半径の曲線が複数連設するように構成してもよい。また、本実施形態の案内部の他に、案内部が軸方向断面形状において単一あるいは複数の複合曲率を有する曲線形状の組合せを有するように案内部を構成してもよい。
【0046】
なお、パイロット部における案内部の軸方向断面形状としては、直線形状と曲線形状とを複合的に組み合わせて構成してもよい。
【0047】
また、上述の実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2a 外側軌道面
2c アウター側開口部
2d 車体取り付けフランジ部
2e パイロット部
2f 嵌合部
2g 案内部
3 ハブ輪
3a 小径段部
4 内輪
4a 内側軌道面
5 ボール列
10 ナックル(車体側部材)