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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】高密度実装モジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240222BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H01L23/12 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019105416
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020198411
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】大河原 一彦
(72)【発明者】
【氏名】大井川 昇
(72)【発明者】
【氏名】東海林 悟
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-004520(JP,A)
【文献】特開平08-162566(JP,A)
【文献】特開平11-251481(JP,A)
【文献】特開2000-091487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0266824(US,A1)
【文献】特開平03-225998(JP,A)
【文献】特開平01-255294(JP,A)
【文献】特開2000-077834(JP,A)
【文献】特開平10-335795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H01L 23/12
H05K 1/18
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のランドを有するプリント基板と、
前記プリント基板に搭載され、前記複数のランドと接続される複数の接続端子を含む電子部品と、を備える高密度実装モジュールであって、
前記複数のランドは、前記プリント基板上に第1のランド、第2のランド及び第3のランドを含み、前記第1のランド及び前記第2のランドは、第1の方向に延びる直線上に互いに隣接して間隔を隔てて配置され、前記第3のランドは、前記第1の方向と直交する第2の方向に前記第1のランド及び前記第2のランドと隣接して前記第1のランド及び前記第2のランドから間隔を隔てて配置され、
前記複数のランドは、前記第1の方向で、互いに対向する向きに延伸する第1の切り欠き及び第2の切り欠きと、前記第2の方向で、互いに対向する向きに延伸する第3の切り欠き及び第4の切り欠きと、を含み、
前記第1のランドは前記第1の切り欠きを有し、前記第2のランドは前記第3の切り欠きを有し、前記第3のランドは前記第2の切り欠き及び前記第4の切り欠きを有し、
前記第1の切り欠き、前記第2の切り欠き、前記第3の切り欠き、および前記第4の切り欠きの先端近傍では、前記複数の接続端子のそれぞれの側面から前記ランドが横方向に突出する量が小さく、前記ランドが横方向に突出した部分では、その表面に薄い半田層が形成されており、
前記第1の切り欠き、前記第2の切り欠き、前記第3の切り欠き、および前記第4の切り欠きが形成されない領域では、前記複数の接続端子のそれぞれの側面から前記ランドの横方向への突出量が大きく、前記電子部品の前記複数の接続端子の各々の側面から、当該接続端子が接続されたそれぞれのランドの表面に亘って延在する半田フィレットが形成されている、高密度実装モジュール。
【請求項2】
前記複数のランドは、切り欠きが配置されない第4のランドをさらに有する、請求項1に記載の高密度実装モジュール。
【請求項3】
前記複数のランドは、切り欠きが1つだけ配置されたランド、すなわち前記第1のランド及び前記第2のランドを有する、請求項1に記載の高密度実装モジュール。
【請求項4】
前記第1の切り欠き及び前記第2の切り欠きの各々は、別々のランドに配置され、当該別々のランドは、前記第2の方向で互いに離間する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の高密度実装モジュール。
【請求項5】
前記第3の切り欠き及び前記第4の切り欠きの各々は、別々のランドに配置され、当該別々のランドは、前記第1の方向で互いに離間する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の高密度実装モジュール。
【請求項6】
前記複数のランドは、前記第1の方向に延伸する第5の切り欠き、及び前記第2の方向に延伸する第6の切り欠きを更に含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の高密度実装モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度実装モジュールに関し、特に、プリント基板上に電子部品を高密度に表面実装するモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器モジュールの小型化及び軽量化の進展に伴い、搭載される半導体素子や電子コンポーネント等の個々の電子部品の小型化が推進されている。この種のモジュールにおいては、搭載される部品の小型化に見合った高密度実装を実現するために、電子部品をプリント基板に表面実装する技術が採用されている。
【0003】
このように、高密度の表面実装技術が採用されたモジュールにおいて、個々の電子部品は半田リフロー技術によりプリント基板に実装され、電子部品をプリント基板に固定する機械的強度を確保することと、電子部品の各接続端子とプリント基板の導電層と間の電気的抵抗を低減することと、が両立されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-335795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の半田リフロー技術は、プリント基板の実装ランド上に、印刷法でクリーム半田を適量付着させ、電子部品を実装ランドに位置合わせして搭載した後、一旦、加熱して半田を溶融し、その後冷却することで半田を固体化させ、プリント基板上に電子部品を固定しながら電気的な接続を得るものである。
【0006】
このような、表面実装技術では、半田を溶融したときに、電子部品がその溶融した半田上で浮遊した状態であるため、冷却して固体化するまでの間に、電子部品が半田上で移動して、位置合わせして搭載された本来の位置からずれることがある。このような位置ずれを抑制する技術として、例えば、引用文献1に記載された技術が提案されている。
【0007】
一方、電子部品をプリント基板に固定する機械的強度を確保するためには、実装ランド上で電子部品の接続端子の周囲を囲む半田フィレットが十分に形成される必要がある。このためには、実装ランド上に電子部品の接続端子の周囲を囲みうる十分な体積の半田を供給する必要があり、このことは、半田が溶融したときに電子部品がより移動しやすい状況をもたらす。
【0008】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実装ランド上で電子部品の接続端子の周囲を囲む半田フィレットが十分に形成されることにより、電子部品とプリント基板が、十分な機械的な強度をもって固定されると共に、半田リフロー時に、電子部品が半田上で移動して、位置合わせして搭載した本来の位置からずれることを抑制して、良好な実装位置精度を有する高密度実装モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様の高密度実装モジュールは、複数のランドを有するプリント基板と、プリント基板に搭載され、複数のランドと接続される複数の接続端子を含む電子部品と、を備える高密度実装モジュールであって、複数のランドは、第1の方向で、互いに対向する向きに延伸する第1の切り欠き及び第2の切り欠きと、第1の方向と直交する第2の方向で、互いに対向する向きに延伸する第3の切り欠き及び第4の切り欠きと、を含み、電子部品の複数の接続端子の各々の側面から、当該接続端子が接続されたそれぞれのランドの表面に亘って延在する半田フィレットが形成されている。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、複数のランドは、切り欠きが配置されないランドを有する。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、上記第1の態様において、複数のランドは、切り欠きが1つだけ配置されたランドを有する。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、上記第1の態様において、複数のランドは、少なくとも4つのランドを有し、切り欠きが1つだけ配置された4つのランドを有する。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第4の態様にいずれか1つにおいて、第1の切り欠き及び第2の切り欠きの各々は、別々のランドに配置され、当該別々のランドは、第2の方向で互いに離間する。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第5の態様にいずれか1つにおいて、第3の切り欠き及び第4の切り欠きの各々は、別々のランドに配置され、当該別々のランドは、第1の方向で互いに離間する。
【0015】
本発明の第7の態様によれば、上記第1の態様乃至上記第6の態様にいずれか1つにおいて、複数のランドは、第1の方向に延伸する第5の切り欠き、及び第2の方向に延伸する第6の切り欠きを更に含む。
【0016】
本発明の第8の態様の高密度実装モジュールは、複数のランドと、複数のランドのそれぞれの周縁部を覆い、複数のランドのそれぞれの領域内に包含される複数の開口を有するソルダーレジストと、を有するプリント基板と、プリント基板に搭載され、複数のランドと接続される複数の接続端子を含む電子部品と、を備える高密度実装モジュールであって、複数のランドに包含される複数の開口は、第1の方向で互いに対向し、それぞれが内向きに突出する第1の突起部及び第2の突起部と、第1の方向と直交する第2の方向で互いに対向し、それぞれが内向きに突出する第3の突起部及び第4の突起部と、を含み、電子部品の複数の接続端子の各々の側面から、当該接続端子が接続されたそれぞれのランドの表面に亘って延在する半田フィレットが形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実装ランド上で電子部品の接続端子の周囲を囲む半田フィレットが十分に形成されることにより、電子部品がプリント基板に、十分な機械的強度をもって固定されると共に、電子部品が固定される位置が、半田リフローの間に溶融した半田上を移動して、位置合わせして搭載した本来の位置からずれることを抑制して、良好な実装位置精度を有する高密度実装モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の高密度実装モジュールの第1の実施形態の平面図である。
図2】本発明の高密度実装モジュールの第1の実施形態の変形例の平面図である。
図3】本発明の高密度実装モジュールの第1の実施形態の更なる変形例の平面図である。
図4図3の線分A-A‘の断面図である。
図5図3の線分B-B‘の断面図である。
図6図3の線分C-C‘の断面図である。
図7】本発明の高密度実装モジュールの第1の実施形態の他の変形例の平面図である。
図8】本発明の高密度実装モジュールの第2の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の種々の実施形態について説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
図1に、本発明の高密度実装モジュールの第1の実施形態であるモジュール101を示す。モジュール101は、第1のランド111、第2のランド112、及び第3のランド113を有するプリント基板105を備える。そのプリント基板105には、第1のランド111、第2のランド112、及び第3のランド113の対応するそれぞれと接続される第1の接続端子151、第2の接続端子152、及び第3の接続端子153を含む電子部品150が搭載されている。
【0021】
第1のランド111には、第1の方向(X方向)に延伸する第1の切り欠き121が配置されると共に、第2のランド112には、第1の方向(X方向)と直交する第2の方向(Y方向)に延伸する第3の切り欠き123が配置されている。又、第3のランド113には、第1の方向(X方向)で第1の切り欠き121と対向する向きに延伸する第2の切り欠き122と、第2の方向(Y方向)で第3の切り欠き123と対向する向きに延伸する第4の切り欠き124と、が配置されている。
【0022】
この第1の実施形態では、半田リフローの間に、溶融した半田に浮遊した電子部品に第1の方向(X方向)の負の方向へ移動させる力が生じたとき、第1の切り欠き121が電子部品の第1の接続端子151の移動を抑制する。そして、正の方向に移動させる力が生じたときは、第2の切り欠き122が電子部品の第3の接続端子153の移動を抑制する。
【0023】
同様に、第2の方向(Y方向)の負の方向へ移動させる力が生じたとき、第3の切り欠き123が電子部品の接続端子15の移動を抑制し、正の方向に移動させる力が生じたときは、第の切り欠き12が電子部品の第3の接続端子153の移動を抑制する。
【0024】
このように、溶融した半田に浮遊する電子部品が、第1の方向(X方向)に平行移動、及び第2の方向(Y方向)に平行移動することを抑制するためには、複数のランドのいずれかに位置に、少なくとも、第1の方向(X方向)で、互いに対向する向きに延伸する2つの切り欠きと、その第1の方向(X方向)と直交する第2の方向(Y方向)の方向で、互いに対向する向きに延伸する2つの切り欠きと、を配置することが必要である。
【0025】
しかしながら、溶融した半田に浮遊した電子部品の移動は平行移動に限定されるわけではなく、例えば、第1の方向(X方向)の負の方向へ移動させる力が生じたとき、第1の切り欠き121は、電子部品の第1の接続端子151が第1の方向(X方向)の負の方向へ移動することを抑制するものの、第1の切り欠き121を中心として電子部品全体が回転しようとする動きを抑制することはできない。
【0026】
同様に、第2の切り欠き122、第3の切り欠き123、及び第4の切り欠き124についても、第1の切り欠き121と同様に、それぞれの切り欠きが対応する方向への電子部品の接続端子の平行移動は抑制できるが、各々の切り欠きを中心として電子部品全体が回転しようとする動きは抑制することはできない。
【0027】
この回転しようとする動きに関しては、複数の切り欠きを組み合わせて、位置ずれを抑制することができる。例えば、第1の切り欠き121を中心として時計回りに回転しようとする動きについては、第2の切り欠き122及び第4の切り欠き124により第3の接続端子153の動きが抑制され防止される。反時計回りに回転しようとする動きについては、第3の切り欠き123及び第4の切り欠き124により、第の接続端子15及び第3の接続端子153のそれぞれの動きが抑制され防止される。
【0028】
又、第2の切り欠き122を中心とする動きでは、時計回りの回転は第1の切り欠き121により第1の接続端子151の動きが、反時計回りの回転は、第3の切り欠き123及び第4の切り欠き124により、第1の接続端子151及び第の接続端子15のそれぞれの動きが抑制される。
【0029】
図1では、第1の方向(X方向)に延伸する第1の切り欠き121が配置された第1のランド111は、第1の切り欠き121と対向する向きの第2の切り欠き122が配置された第3のランド113と、第1の切り欠き121及び第2の切り欠き122が延伸する第1の方向(X方向)と直交する第2の方向(Y方向)で互いに離間している。
【0030】
又、第2の方向(Y方向)に延伸する第3の切り欠き123が配置された第2のランド112は、第3の切り欠き123と対向する向きの第4の切り欠き124が配置された第3のランド113と、第3の切り欠き123及び第4の切り欠き124が延伸する第2の方向(X方向)と直交する第1の方向(Y方向)で互いに離間している。
【0031】
電子部品が平行移動する方向だけではなく、回転方向の位置ずれの抑制も考慮すると、少なくとも、互いに対向する向きに延伸する2つの切り欠きは、それぞれ互いに離間するランドに分散して配置されることが、より好ましい。
【0032】
図2に、本発明の第1の実施形態のモジュール101の変形例を示す。この変形例では、図1に記載のモジュール101において、第2のランド112に配置されていた第3の切り欠き123が、第1のランド111に配置されている。この第3の切り欠き123が延伸する方向及び向きは、図1に記載の第3の切り欠き123が延伸する方向及び向きと同一である。この変形例では、第2のランド112には切り欠きが配置されていない。
【0033】
この変形例においても、第2の方向(X方向)に延伸する第3の切り欠き123が配置された第1のランド111は、第3の切り欠き123と対向する向きの第4の切り欠き124が配置された第3のランド113とは、第3の切り欠き123及び第4の切り欠き124が延伸する第2の方向(X方向)と直交する第1の方向(Y方向)で互いに離間している。
【0034】
図3に、本発明の第1の実施形態のモジュール101の更なる変形例を示す。この更なる変形例では、図1に記載のモジュール101に加えて、第2のランド112の第1の方向(X方向)に延伸する第5の切り欠き125、第3のランド113の第1の方向(X方向)に延伸する第6の切り欠き126、及び第1のランド111の第2の方向(Y方向)に延伸する第7の切り欠き127が追加されている。
【0035】
第5の切り欠き125及び第6の切り欠き126は、第1の方向(X方向)で互いに対向する向きに延伸し、第7の切り欠き127は、第4の切り欠き124と第2の方向(Y方向)で互いに対向する向きに延伸する。
【0036】
この更なる変形例では、第1の方向(X方向)の負の方向は、第1の切り欠き121により第1の接続端子151の移動を抑制すると共に、第6の切り欠き126により第3の接続端子153の移動も抑制する。そして、第1の方向(X方向)の正の方向については、第2の切り欠き122及び第5の切り欠き125が第3の接続端子153及び第2の接続端子152のそれぞれの移動を抑制する。
【0037】
第2の方向(Y方向)の負の方向については、第3の切り欠き123及び第7の切り欠き127が第2の接続端子152及び第1の接続端子151のそれぞれの移動を抑制する。第2の方向(Y方向)の正の方向については、第4の切り欠き124で電子部品の移動を抑制し、ここは、図1に記載のモジュール101と同様である。
【0038】
また、この更なる変形例では、電子部品全体が斜め方向に移動しようとする動きも同様に抑制する構成となっている。例えば、第1の方向(X方向)が正で第2の方向(Y方向)も正の斜め方向(正/正の方向)の動きは、第2の切り欠き122及び第4の切り欠き124が第3の接続端子153の動きを抑制して防止する。
【0039】
同様に、正/負の方向の動きは、第3の切り欠き123及び第5の切り欠き125が第2の接続端子152の動きを抑制、負/正の方向の動きは、第4の切り欠き124及び第6の切り欠き126が第3の接続端子153の動きを抑制、負/負の方向の動きは、第1の切り欠き121及び第7の切り欠き127が第1の接続端子151の動きを抑制し、電子部品の移動を防止できる。
【0040】
このように、第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)の平行移動を抑制すると共に、4つの斜め方向の位置ずれを抑制することができれば、任意の点を中心として電子部品が回転する移動もすべて抑制できる。この更なる変形例では、全てに方向に対して、同等に位置ずれを抑制する効果がある。
【0041】
図4図5、及び図6は、それぞれ、図3に記載した第3のランド113の線分A-A´、線分B-B´の断面図、及び第2のランド112の線分C-C´の部分の断面図である。図4及び図5ではプリント基板105上に第3のランド113が配置され、第3のランド113上には、電子部品150の第3の接続端子153が半田付けされている。
【0042】
ここで、線分A-A´は、第2の切り欠き122及び第6の切り欠き126が配置された部分であるので、第3の接続端子153の端部から第3のランド113が横方向に突出する量が小さい。又、溶融時の半田を保持できるのは、導電層である第3のランド113上に限定されるため、第3の接続端子153の端部の横方向への、溶融した半田の回り込みは微量であり、半田フィレットは形成されることなく、第3のランド113の表面に薄い半田層160が形成される。
【0043】
一方、電子部品150が半田リフロー工程で位置ずれを生じる現象は、溶融した半田上を浮遊して移動することに起因する。従って、第3の接続端子153の端部の横方向へ溶融した半田の回り込みがなければ、第3の接続端子153が横方向、すなわち、図4のA方向及びA´方向に移動することはできない。故に、切り欠きを配置した部分では、半田リフロー時に電子部品が切り欠きに近づく方向へ移動することが抑制される。
【0044】
図5は、切り欠きが形成されない部分の第3のランド113の断面図であり、第3のランド113の両端部は、第3の接続端子153から横方向に大きく突出している。従って、第3の接続端子153の端部の横方向への、溶融した半田の回り込みは十分であり、第3の接続端子153の両端側面から第3のランド113の表面に渡って、半田フィレット165が形成される。
【0045】
このように、第3の接続端子153の両端からの第3のランド113の横方向の突き出し量を十分に確保することにより、半田フィレット165が形成され、第3の接続端子153と第3のランド113とを固定する機械的な強度、すなわち、電子部品150をプリント基板105に固定する機械的強度を確保することができる。
【0046】
図6に、片側に第5の切り欠き125が配置された第2のランド112に第2の接続端子152が配置された線分C-C´の断面図を示す。上記第3のランド113と同様に、第5の切り欠き125の近傍では半田フィレットは形成されず、切り欠きが無い部分では第2の接続端子152の側面から第2のランド112に渡って延在する十分な半田フィレット165が形成される。
【0047】
以上説明したとおり、ランドに切り欠けを配置した部分では、半田リフロー時の電子部品150の移動を抑制することができる。又、切り欠けが配置されたランドであっても、切り欠けの近傍以外では、十分な強度で電子部品を保持する半田フィレットを形成することができる。
【0048】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、実装ランド上で電子部品の接続端子の周囲を囲む半田フィレットが十分に形成されることにより、電子部品がプリント基板に、十分な機械的な強度をもって固定されると共に、電子部品が固定される位置が、半田リフローの間に溶融した半田上を移動して、位置合わせして搭載した本来の位置からずれることを抑制して、良好な実装位置精度を有する高密度実装モジュールを提供することができる。
【0049】
図7は、第1の実施形態の他の変形例を示す平面図である。この、他の変形例では、少なくても4つのランド211、212、213、214を含み、最低限必要な4つの切り欠き221、222、223、224を、ランド211、212、213、214のそれぞれに1つずつ分散して配置されている。4つ以上の接続端子を備える電子部品の場合は、切り欠きは、互いに離間した位置に分散して配置することが、より好ましい。
【0050】
<第2の実施形態>
図8は、本発明の高密度実装モジュールの第2の実施形態を示す平面図である。この更なる変形例は、図1に示した第1の実施形態の半田の構造を、オーバーレジスト構造により実現するものである。
【0051】
モジュール101は、第1のランド341、第2のランド342、及び第3のランド343を有するプリント基板105を備える。そのプリント基板105には、第1のランド341、第2のランド342、及び第3のランド343の対応するそれぞれと接続される第1の接続端子151、第2の接続端子152、及び第3の接続端子153を含む電子部品150が搭載されている。
【0052】
プリント基板105の表面は、ソルダーレジストで覆われている。このソルダーレジストには、第1のランド341の周縁部を覆い、第1のランド341が配置された領域に包含される第1の開口311が配置され、この第1の開口311には、第1の方向(X方向)で内向きに突出する第1の突起部321が配置されている。加えて、第2のランド342の周縁部を覆い、第2のランド342が配置された領域に包含される第2の開口312も配置され、この第2の開口312には第1の方向(X方向)と直交する第2の方向(Y方向)で内向きに突出する第3の突起部323が配置されている。
【0053】
更に、このソルダーレジストには、第3のランド343の周縁部を覆い、第3のランド343が配置された領域に包含される第3の開口313が配置され、この第3の開口313には、第1の方向(X方向)で第1の突起部321と対向する向きに突出する第2の突起部322と、第2の方向(Y方向)で第3の突起部323と対向する向きに突出する第4の突起部324と、が配置されている。
【0054】
この第2の実施形態では、ソルダーレジストの第1の開口311、第2の開口312、及び第3の開口313の部分に露出した、第1のランド341、第2のランド342、及び第3のランド343のそれぞれの表面に選択的にクリーム半田を印刷し、半田リフローを行うことができる。このとき、各々の開口311~313の内向きに突出したそれぞれの突起部321~324にはクリーム半田は形成されない。
【0055】
なお、リフロー工程において半田が溶融される間、それぞれのランド341~343上で溶融された半田は、ソルダーレジストの開口内だけで流動するので、リフロー後の半田の平面形状は、それぞれの開口311~313と同一の平面形状になる。従って、第2の実施形態では、ソルダーレジストの開口部の形状を所望のものとすることにより、リフロー後の半田の平面形状を設計することが可能である。
【0056】
第2の実施形態においても、図1に示した第1の実施形態と同じ半田の平面形状とすることにより、半田リフローを行う間に、溶融した半田に浮遊した電子部品の移動を規制することができる。例えば、第1の方向(X方向)の負の方向へ移動させる力が生じたとき、第1の突起部321が電子部品の第1の接続端子151の移動を抑制する。そして、正の方向に移動させる力が生じたときは、第2の突起部322が電子部品の第3の接続端子153の移動を抑制する。
【0057】
又、第2の方向(Y方向)の負の方向へ移動させる力が生じたとき、第3の突起部323が電子部品の接続端子151の移動を抑制し、正の方向に移動させる力が生じたときは、第2の突起部322が電子部品の第3の接続端子153の移動を抑制することも、図1に示した第1の実施形態と同様に実現することができる。
【0058】
それゆえ、オーバーレジスト構造においても、ソルダーレジストの開口部に内向きの突起部を設けることで、半田の平面形状を設計することにより、切り欠きを設けたランドを配置する場合と同様な効果を奏することができる。
【0059】
このように、第2の実施形態によれば、実装ランド上で電子部品の接続端子の周囲を囲む半田フィレットが十分に形成されることにより、電子部品がプリント基板に、十分な機械的な強度をもって固定されると共に、電子部品が固定される位置が、半田リフローの間に溶融した半田上を移動して、位置合わせして搭載した本来の位置からずれることを抑制して、良好な実装位置精度を有する高密度実装モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
101 モジュール
105 プリント基板
111~113 第1~第3のランド
121~126 第1~第6の切り欠き
150 電子部品
151~153 第1~第3の接続端子
165 半田フィレット
301 モジュール
305 プリント基板
311~313 第1~第3の開口
321~324 第1~第4の突起部
341~343 第1~第3のランド
351~353 第1~第3接続端子
350 電子部品
X 第1の方向
Y 第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8