(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】吐出装置及び浴室設備
(51)【国際特許分類】
B05B 1/08 20060101AFI20240222BHJP
F15D 1/08 20060101ALI20240222BHJP
E03C 1/04 20060101ALI20240222BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240222BHJP
A47K 3/20 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B05B1/08
F15D1/08 E
E03C1/04
A47K3/00 Z
A47K3/20
(21)【出願番号】P 2019135893
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529493(JP,A)
【文献】特開2010-209549(JP,A)
【文献】特開2018-051067(JP,A)
【文献】実開平07-033327(JP,U)
【文献】特開2018-161220(JP,A)
【文献】実開平06-026855(JP,U)
【文献】特開平05-200082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0087633(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
A47K 3/00-4/00
B08B 3/00-3/14
E03C 1/00-1/10
A61H 9/00
23/00-23/04
37/00
F15D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射流路が形成され、浴室設備に設けられるベースに取り付けられる装置本体と、
前記噴射流路に設けられ、
波状噴流を誘起する誘起流路と、
前記噴射流路に設けられ、前記誘起流路が誘起した
波状噴流を外部に噴射し、前記誘起流路の流路中心線とは異なる位置に自らの孔中心線が設けられる出口孔とを備え、
前記出口孔は、前記浴室設備に設けられる浴槽に向けて前方かつ下向きに前記
波状噴流を噴射
し、
前記孔中心線は、前記波状噴流の振動方向から見て、前記誘起流路の流路中心線とは異なる位置に設けられ
、
前記誘起流路の中心線方向及び前記振動方向と直交する方向を高さ方向というとき、
前記出口孔は、前記高さ方向に向き合う第1孔面及び第2孔面を備え、
前記第1孔面は、下流側に向かうに連れて、前記流路中心線に対して前記高さ方向に遠ざかるように設けられる高さ変化面を備え
、
前記高さ変化面は、前記誘起流路と前記出口孔との境界部よりも上流側には設けられない吐出装置。
【請求項2】
前記第2孔面は、前記誘起流路内から前記中心線方向に沿って流れる液体との干渉を避ける位置に設けられる請求項
1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記第2孔面は、下流側に向かうに連れて、前記高さ方向において前記第1孔面側に近づくように設けられる第2高さ変化面を備える請求項
1に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記流路中心線に対する前記孔中心線の位置を調整可能な調整機構を備える請求項1から
3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の吐出装置を備える浴室設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、噴流を噴射する吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室設備等の水回り設備に噴流を噴射する吐出装置を組み込む場合がある。近年、噴流がユーザに付与する刺激を多様化する試みがなされている。この一例として、特許文献1には、波状噴流を噴射する噴射流路を装置本体に形成した吐出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、検討を進めた結果、次の新たな認識を得るに至った。噴射流路から噴射される噴流の軌跡を噴流軌跡とし、噴射流路が噴流軌跡を射出する方向を射出方向という。所望の位置に噴流を当てるうえでは、噴流軌跡の射出方向が適切な向きとなるように、噴射流路の位置を設計する必要がある。この場合に、後述のように、装置本体の配置位置はそのままにしたうえで、噴射流路全体の位置を変えてしまうと、装置本体全体の特定方向での寸法の増大を招く。これは、波状噴流、螺旋状噴流等の運動噴流を噴射流路が噴射する場合に、おおむね共通する問題である。特許文献1の開示技術は、この観点から工夫を講じたものではなく、改良の余地があった。
【0005】
本開示の目的の1つは、装置本体の小型化を図りつつ、噴流軌跡の射出方向を変更する設計を実現できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本開示のある態様は吐出装置である。この吐出装置は、噴射流路が形成される装置本体と、前記噴射流路に設けられ、運動噴流を誘起する誘起流路と、前記噴射流路に設けられ、前記誘起流路が誘起した運動噴流を外部に噴射し、前記誘起流路の流路中心線とは異なる位置に自らの孔中心線が設けられる出口孔とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の吐出システムを側方から見た構成図である。
【
図2】第1実施形態の吐出装置の側面断面図である。
【
図4】運動噴流を噴射している状態を示す図である。
【
図9】第1実施形態の出口孔周りにおける液体の流れ方を示す図である。
【
図10A】第1参考形態の吐出装置の模式図である。
【
図10B】第2参考形態の吐出装置の模式図である。
【
図10C】第1実施形態の吐出装置の模式図である。
【
図11B】波状噴流の他の断面を示す断面図である。
【
図12】第2実施形態の吐出装置を
図8と同じ視点から見た図である。
【
図13】第2実施形態の出口孔周りにおける液体の流れ方を示す図である。
【
図14A】第3実施形態の可動部材が第1位置にある状態を示す図である。
【
図14B】第3実施形態の可動部材が第2位置にある状態を示す図である。
【
図15】第3実施形態の吐出装置を前方から見た模式図である。
【
図16】第4実施形態の吐出システムを側方から見た構成図である。
【
図17】第5実施形態の出口孔周りにおける液体の流れ方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の一例を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素の一部を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する構造及び形状に、言及している内容に厳密に一致する構造及び形状のみでなく、寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた構造及び形状も含む。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1を参照する。吐出装置10は水回り設備12に用いられる。本実施形態の水回り設備12は、浴室設備14であり、浴槽16を備える。浴室設備14は、この他にも、浴室壁、洗い場床等を備える。浴槽16は、吐出装置10から噴射される噴流Jを受けることができる槽体の一例となる。
【0010】
吐出装置10は、吐出システム18に用いられる。吐出システム18は、噴射対象の液体Wを貯留する貯留槽20と、貯留槽20から吐出装置10に液体Wを供給する給液路22と、給液路22の途中に設けられるポンプ24と、ポンプ24を制御する制御部26と、を備える。本実施形態の貯留槽20は、噴射対象の液体Wとして浴槽水を貯留する浴槽16である。ポンプ24は、制御部26による制御のもと、貯留槽20から吸引した液体Wを圧送することによって、給液路22を通して吐出装置10に液体Wを供給する。制御部26は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアとソフトウェアを組み合わせたコンピュータである。
【0011】
本実施形態の吐出装置10は、液体の単相流の噴流Jを噴射する。本実施形態の吐出装置10は、ポンプ24によって給液路22を循環する浴槽水を噴射する。本実施形態の噴流Jは、ユーザの身体、特に、浴槽16内において座位姿勢にあるユーザの背中等に背面側から当てることができる。これにより、ユーザにマッサージ効果を付与できる。
【0012】
図2、
図3を参照する。吐出装置10は、装置本体28を備える。装置本体28は、水回り設備12に設けられる壁状のベース30に取り付けられる。本実施形態のベース30は、浴槽16の上端開口の周縁部を構成するフランジ部である。
【0013】
装置本体28には、給液路22から液体が供給される噴射流路32が形成される。本実施形態の噴射流路32には、装置本体28に形成される中継流路34を介して給液路22から上向きに液体Wが供給される。
【0014】
図4を参照する。噴射流路32は、給液路22から供給される液体Wを運動噴流Jとして噴射する。ここでの運動噴流Jとは、噴射流路32から外部に出るときの進行方向が、周期的、つまり、時間的に変化する噴流をいう。噴射流路32は、噴流の噴射方向Daを時間的に変化させることによって、運動噴流Jを噴射可能である。本実施形態の噴射流路32は、噴流の噴射方向Daを平面内で揺動させることによって、運動噴流Jとして波状噴流を放射状に噴射する。この「噴射方向Da」は、噴射流路32から外部に噴流が出るときを基準とする。「波状」とは、噴射流路32から離れるに連れて、運動噴流Jがなす噴流軌跡JTの軌跡中心Ctと直交する方向に周期的にうねる形状をいう。この「波状」には、物理的に厳密な波としての条件を満たす形状の他に、その形状に似た形状も含まれる。本実施形態の噴射流路32は、空気中において運動噴流Jを噴射する。装置本体28は、静止した状態のまま運動噴流Jを噴射する流体素子を構成する。
【0015】
図2~
図5を参照する。噴射流路32は、運動噴流Jを誘起する誘起流路36と、誘起流路36が誘起した運動噴流Jを外部に噴射する出口孔38とを備える。本明細書では、誘起流路36の流路中心線CL1を水平面に投影した線に沿った方向を前後方向Aという。この前後方向Aの両側のうち、噴射流路32の噴射方向を前側(
図2の紙面左側)といい、それとは反対側を後側(
図2の紙面右側)という。
【0016】
誘起流路36の流路中心線CL1に沿った中心線方向をX方向という。本例のX方向は前後方向Aと一致する。この流路中心線CL1は、誘起流路36の幾何学的な重心を連ねた重心線上に位置する。この「重心」とは、本実施形態の誘起流路36のように、複数の中間流路42A、42B(後述する)に分かれる箇所においては、複数の中間流路42A、42B全体の重心をいう。流路中心線CL1は、誘起流路36の下流端36aよりも下流側において、その下流端36aを通る重心線の接線方向に沿って直線状に延びるとする。
【0017】
流路中心線CL1に直交し、互いに直交するY方向及びZ方向のそれぞれを幅方向及び高さ方向という。本実施形態のY方向は、波状噴流Jの振動方向でもある。この振動方向は、流路中心線CL1に直交する平面において、噴射流路32から外部に波状噴流Jが出るときに波状噴流Jのなす波が振動する方向をいう。
【0018】
本実施形態の誘起流路36は、X方向に直交する断面において、Y方向に沿った内幅寸法Lyよりも、Z方向に沿った高さ寸法Lzが小さい矩形状をなす。誘起流路36は、X方向から見て(
図5の視点から見て)、その流路中心線CL1に対してZ方向に対称な断面形状を持つ。誘起流路36は、Z方向から見て(
図3の視点から見て)、誘起流路36の流路中心線CL1を対称軸としてY方向に対称な断面形状を持つ。本実施形態において、この条件は出口孔38も満たす。
【0019】
誘起流路36は、給液路22から液体が流入する入口流路40と、入口流路40から液体が流入する一対の中間流路42A、42Bと、一対の中間流路42A、42Bのそれぞれから流入する液体が合流する合流室44とを備える。
【0020】
誘起流路36内には、入口流路40内にて下流側に向かう液体の流れを遮る第1壁部46が設けられる。一対の中間流路42A、42Bは、第1壁部46に対して幅方向Yの両側に設けられる。一対の中間流路42A、42Bは、幅方向Yの片側に設けられる左側中間流路42A(第1中間流路)と、その反対側に設けられる右側中間流路42B(第2中間流路)とを含む。誘起流路36には、合流室44内にて下流側に向かう液体の流れを遮る第2壁部48が設けられる。第2壁部48は、誘起流路36の内部空間と装置本体28の外部空間を隔てており、出口孔38は第2壁部48をX方向に貫通している。
【0021】
出口孔38は、噴射流路32の下流側端部に形成される。出口孔38は、装置本体28の外面部に開口する。本実施形態の出口孔38は装置本体28の前面部に開口し、装置本体28は前方に運動噴流Jを噴射する。出口孔38は、誘起流路36内の液体の流れを絞る形状である。これを実現するため、本実施形態の出口孔38の内幅寸法は、噴射流路32の上流側に向かう途中で、誘起流路36の内幅寸法より小さくなるように設定される。出口孔38は、前側に向かうに連れて、X方向と直交する方向(本例ではY方向)に連続的に広がるように形成される。
【0022】
本実施形態の噴射流路32の動作を説明する。
図6、
図7を参照する。本図では、主な液体の流れ方向に矢印を付して示す。
【0023】
入口流路40内に流入した液体は、一対の中間流路42A、42Bを介して合流室44内に流入する。左側中間流路42Aは、合流室44に左側内部噴流F1(第1内部噴流)を噴射する。右側中間流路42Bは、合流室44に右側内部噴流F2(第2内部噴流)を噴射する。これら噴流F1、F2は、液体のランダム性に起因する揺らぎの影響を受けて、いずれか一方が他方よりも勢いの強い支配的な流れ(以下、支配流という)となる。
図6は、左側内部噴流F1が支配流となる第1流れ状態を示す。
図7は、右側内部噴流F2が支配流となる第2流れ状態を示す。
【0024】
図6に示すように、第1流れ状態にあるとき、右側内部噴流F2は、左側内部噴流F1との衝突によって流れを阻害される。これに対して、左側内部噴流F1は、第2壁部48に衝突するまで勢いを持って流れる。この左側内部噴流F1は、合流室44内で折り返して右側内部噴流F2と合流し、右側内部噴流F2の勢いを増幅する。この結果、右側内部噴流F2が支配流となる第2流れ状態に切り替わる。
【0025】
図7に示すように、第2流れ状態にあるとき、左側内部噴流F1は、右側内部噴流F2との衝突によって流れを阻害される。これに対して、右側内部噴流F2は、第2壁部48に衝突するまで勢いを持って流れる。この右側内部噴流F2は、合流室44内で折り返して左側内部噴流F1と合流し、左側内部噴流F1の勢いを増幅する。この結果、左側内部噴流F1が支配流となる第1流れ状態に切り替わる。
【0026】
以上の結果、第1流れ状態と第2流れ状態とが周期的に切り替わる。第1流れ状態にあるとき、左側内部噴流F1は、出口孔38を通り抜ける液流F3を形成する。この液流F3は、Y方向の一方側(図中右側)かつ前側に向かう速度ベクトルを持つ。第2流れ状態にあるとき、右側内部噴流F2は、出口孔38を通り抜ける液流F4を形成する。この液流F4は、Y方向の他方側(図中左側)かつ前側に向かう速度ベクトルを持つ。これらの流れ状態が周期的に切り替わることで、出口孔38を通り抜ける液流F3、F4は、Y方向での速度ベクトルの大きさ(ベクトル量)が周期的に増減する。この結果、噴流Jの噴射方向Daが平面内で揺動することによって、前述の波状噴流Jが噴射される。
【0027】
このように波状噴流J(運動噴流J)を噴射するうえで、誘起流路36は、運動噴流Jを誘起する誘起流を内部で生成する。この「誘起流」は、本実施形態では内部噴流F1、F2である。出口孔38は、このように誘起流路36が誘起した運動噴流Jを外部に噴射する。
【0028】
図8を参照する。以上の吐出装置10において、出口孔38の孔中心線CL2は、誘起流路36の流路中心線CL1とは異なる位置に設けられる。ここでの孔中心線CL2とは、出口孔38の幾何学的な重心を通る線をいう。本実施形態では、Y方向から見たとき(
図8の視点から見たとき)、この条件を満たしている。
【0029】
孔中心線CL2は、Y方向から見たとき、流路中心線CL1と交差する位置に設けられる。孔中心線CL2は、流路中心線CL1との交点Pから前方に向かうに連れて、流路中心線CL1からZ方向の一方側に連続的に遠ざかるように設けられる。本実施形態でのZ方向の一方側は鉛直方向の下側である。本実施形態では、流路中心線CL1は直線状に設けられ、孔中心線CL2は直線状に設けられる。本実施形態では、Z方向から見たとき、流路中心線CL1と孔中心線CL2のそれぞれは直線状に設けられ、互いに重なる位置に設けられる(
図3参照)。
【0030】
誘起流路36は、Z方向に向き合う第1流路面50及び第2流路面52を備える。出口孔38は、Z方向に向き合う第1孔面54及び第2孔面56を備える。第1流路面50及び第1孔面54は、Z方向の一方側となる鉛直方向の下側に設けられ、第2流路面52及び第2孔面56は、Z方向の他方側となる鉛直方向の上側に設けられる。
【0031】
第1孔面54は、下流側に向かうに連れて、流路中心線CL1に対してZ方向に遠ざかるように設けられる第1高さ変化面58を備える。本実施形態の第1高さ変化面58は、Y方向に直交する断面において直線状をなす。第1高さ変化面58の詳細は後述する。
【0032】
第2孔面56は、誘起流路36内からX方向に沿って流れる液体Wとの干渉を避ける位置(以下、干渉回避位置という)に設けられる。第2孔面56を干渉回避位置に設けるうえで、本実施形態の第2孔面56は、第2流路面52の下流側端部52aのX方向での延長線上において流路中心線CL1と平行に設けられる。
【0033】
図9を参照する。本発明者は、実験的な検討を進めたところ、次の知見を得た。第1孔面54が第1高さ変化面58を備え、第2孔面56を干渉回避位置に設ける場合、誘起流路36から流出した波状噴流Jには、第1高さ変化面58に近づける力Fa、Fbが付与される。詳しくは、波状噴流Jの第1孔面54側の第1部分J1には、第1高さ変化面58に引き寄せる力Faが付与される。これにより、波状噴流Jの第1部分J1は、その流れ方向を第1孔面54側に曲げつつ、第1孔面54に沿って流れようとする。これと同時に、波状噴流Jの第2孔面56側の第2部分J2にも、第1孔面54側に近づくような力Fbが付与される。これにより、波状噴流Jの第2部分J2も、その流れ方向を第1孔面54側に曲げつつ、第1孔面54に沿って流れようとする。
【0034】
これらが相まって、噴射流路32は、全体として、流路中心線CL1に沿ったX方向ではなく、出口孔38の孔中心線CL2に近い方向を射出方向Dbとして、噴流軌跡JTを射出できる。この条件は、流路中心線CL1と孔中心線CL2を異なる位置に設けることで達成される。本図では、説明の便宜から、実際よりも噴流軌跡JTを誇張して示す。
【0035】
以上のメカニズムを得られる理由は明らかではない。本発明者は、波状噴流Jの第1部分J1に付与される力Faの一因はコアンダ効果と推察している。この他に、波状噴流Jの第2部分J2に付与される力Fbの一因は、その第1部分J1の位置の変化に伴い増加する表面張力と推察している。
【0036】
以上のコアンダ効果を得る観点から、誘起流路36の第1流路面50上をX方向に沿って流れる液体の第1高さ変化面58での剥離を避けられるとよい。この観点から、第1高さ変化面58は、平面状をなすと好ましく、凸曲面状をなすと更に好ましい。別の観点からいうと、第1高さ変化面58は、Y方向に直交する断面において、直線状をなすと好ましく、凸円弧状をなすと更に好ましい。
【0037】
誘起流路36内での流れに対する影響を抑える観点から、第1高さ変化面58は、Z方向から見て、第1孔面54と重なる位置にのみ設けられると好ましい。別の観点からいうと、第1高さ変化面58の上流端58aは、誘起流路36と出口孔38の境界部60から下流側に設けられると好ましい。本実施形態の第1高さ変化面58は、第1孔面54のX方向の全範囲に設けられる。この他に、第1高さ変化面58は、第1孔面54のX方向の一部の範囲に設けられてもよい。
【0038】
以上のコアンダ効果を有効に得る観点から、第1高さ変化面58は、Z方向から見て、X方向において第1孔面54と重なる範囲が広いほど好ましい。この観点から、第1高さ変化面58の上流端58aは、誘起流路36と出口孔38の境界部60に設けられると好ましい。
【0039】
以上の吐出装置10の効果を説明する。
図10A、
図10Bを参照する。
図10A、
図10Bの参考形態の吐出装置10は、実施形態の吐出装置10と異なり、誘起流路36の流路中心線CL1と出口孔38の孔中心線CL2とが同軸上に設けられる。
図10Bの噴流軌跡JTの射出方向Dbは、
図10Aの噴流軌跡JTと比べて、前方に向かって下向きに設けられる。この構造のもとでは、装置本体28の配置位置をそのままにしたうえで、噴流軌跡JTの射出方向Dbを変更する場合に、噴射流路32全体の位置を変える必要がある。これに伴い、装置本体28全体の特定方向での寸法Laの増大を招く。噴射流路32は、他の方向よりもX方向に長い形状であり、その形状を一因として、この問題は顕在化する。この「特定方向」とは、本実施形態では、
図10Aの例でいう噴射流路32の高さ方向(Z方向)をいう。
【0040】
(A)
図10Cを参照する。本実施形態の出口孔38の孔中心線CL2は、誘起流路36の流路中心線CL1と異なる位置に設けられる。
図10Aの構造における装置本体28の配置位置をそのままにしたうえで、噴流軌跡JTの射出方向Dbを変更する場合を考える。この場合に、本実施形態によれば、誘起流路36の位置をそのままにしたうえで、出口孔38の配置位置を変えるだけで足りる。よって、噴流軌跡JTの射出方向DbをX方向とは異なる方向に変更した場合でも、装置本体28全体の特定方向(Z方向)の寸法Laの増大を抑えることができる。つまり、装置本体28の特定方向(Z方向)の小型化を図りつつ、噴流軌跡JTの射出方向Dbを変更する設計を実現できる。
【0041】
仮に、第2孔面56が、下流側に向かうに連れて、Z方向において第1孔面54側に近づくように設けられる場合を考える。これは、例えば、後述の第2実施形態の構造を想定している(
図12参照)。この場合、誘起流路36内から噴射される噴流Jが第2孔面56と当たることによって、その流れが乱れてしまう。これに伴い、波状噴流Jは、
図11Aに示すように、その第2孔面56との衝突箇所が波状噴流Jの振動方向(Y方向)に広がってしまう(範囲Sa参照)。ひいては、波状噴流Jの美観を損ねかねない。
【0042】
この点、本実施形態の第2孔面56は、干渉回避位置に設けられる。よって、誘起流路36内を流れる液体が第2孔面56と衝突することによって、その流れが乱れる事態を避けられる。これに伴い、
図11Bに示すように、波状噴流Jの美観を保つことができる。この効果は、本願発明者の実験的な検討によって得られたものである。
図11Bは、理想的な形状の波状噴流Jの断面を示す。
【0043】
(B)本実施形態の噴射流路32は、このようなの第2孔面56を備えつつ、第1孔面54が第1高さ変化面58を備える。よって、このような第2孔面56を設けた場合でも、前述のように、X方向とは異なる方向を射出方向Dbとして噴流軌跡JTを射出できる。つまり、本実施形態によれば、波状噴流Jの美観を保ちつつ、X方向とは異なる方向に噴流軌跡JTを射出する設計を実現できる。
【0044】
(第2実施形態)
図12を参照する。本実施形態は、第1実施形態と比べて、出口孔38の形状が異なる。詳しくは、出口孔38の第2孔面56は、下流側に向かうに連れて、Z方向において第1孔面54側に近づくように設けられる第2高さ変化面62を備える。
【0045】
本実施形態の第2高さ変化面62は平面状をなす。誘起流路36内での流れに対する影響を抑える観点から、第2高さ変化面62は、Z方向から見て、第2孔面56と重なる位置にのみ設けられる。別の観点からいうと、第2高さ変化面62の上流端62aは、誘起流路36と出口孔38の境界部60から下流側に設けられる。本実施形態の第2高さ変化面62は、第2孔面56のX方向の全範囲に設けられる。この他に、第2高さ変化面62は、第2孔面56のX方向の一部の範囲に設けられてもよい。
【0046】
図13を参照する。第2孔面56が第2高さ変化面62を備える場合、誘起流路36内からX方向に沿って流れる液体を第2高さ変化面62に当てることができる。これに伴い、誘起流路36から流出した波状噴流Jの第2部分J2には、その流れ方向を第1孔面54側に曲げるような力Fcが付与される。波状噴流Jの第1部分J1には、前述のように、第1高さ変化面58に引き寄せる力Faが付与される。この力Faの一因も、前述と同様、コアンダ効果と推察される。
【0047】
これらが相まって、噴射流路32は、全体として、流路中心線CL1に沿ったX方向ではなく、出口孔38の孔中心線CL2に近い方向を射出方向Dbとして、噴流軌跡JTを射出できる。
【0048】
このように、本実施形態の構造のもとでは、誘起流路36内から流出する波状噴流Jを第2高さ変化面62に当てることで、その流れ方向を変える力Fcを安定して付与できる。ひいては、噴流軌跡JTの射出方向Dbを、流路中心線CL1に沿ったX方向から安定して変更できる。
【0049】
この他に、本実施形態の吐出装置10は、前述の(A)で説明した効果を得られる。
【0050】
(第3実施形態)
図14A、
図14B、
図15を参照する。
図14A、
図14Bは、第3実施形態の吐出装置10を
図8と同じ視点から見た図でもある。本実施形態は、第1実施形態と比べて、吐出装置10が調整機構64を備える点において異なる。調整機構64は、誘起流路36の流路中心線CL1に対する出口孔38の孔中心線CL2の位置を調整可能である。これを実現するため、調整機構64は、装置本体28の一部位を構成するととともに装置本体28の本体部28aに移動可能に支持される可動部材66と、可動部材66を駆動する動力源68とを備える。
【0051】
本実施形態の可動部材66は板材であり、装置本体28の本体部28aに形成される収納部28bに収納される。本実施形態の可動部材66は、噴射流路32の出口孔38の第1孔面54を形成している。可動部材66は、第1位置P1と第2位置P2の間を移動可能である。可動部材66の第1孔面54は、第1位置P1にあるとき、Y方向に直交する断面において、X方向に沿って直線状に延びるように設けられる。可動部材66の第1孔面54は、第2位置P2にあるとき、Y方向に直交する断面において、前述の第1高さ変化面58を形成するように設けられる。つまり、可動部材66の第1孔面54は、下流側に向かうに連れて、流路中心線CL1に対してZ方向に遠ざかるように設けられる。
【0052】
このように可動部材66は、第1位置P1と第2位置P2との間を移動することによって、出口孔38の形状を変更可能である。本実施形態では、Y方向に直交する断面において、Z方向に傾動することによって、第1位置P1と第2位置P2の間を移動可能である。
【0053】
可動部材66が第1位置P1に配置されるとき、出口孔38の孔中心線CL2は流路中心線CL1と同軸に設けられる。このとき、噴流軌跡JTの射出方向DbはX方向に沿った方向となる。
【0054】
可動部材66が第2位置P2に配置されるとき、出口孔38の孔中心線CL2は、第1実施形態と同様、誘起流路36の流路中心線CL1とは異なる位置に設けられる。このとき、噴射流路32は、全体として、出口孔38の孔中心線CL2に近い方向を射出方向Dbとして、噴流軌跡JTを射出できる。
【0055】
動力源68は、例えば、モータ、アクチュエータ等である。動力源68は、制御部26による制御のもと、可動部材66が第1位置P1と第2位置P2の間を移動するように駆動する。
【0056】
本実施形態によれば、調整機構64によって、ユーザの好みに応じて、噴流軌跡JTの射出方向Dbを調整できる。
【0057】
この他に、本実施形態の吐出装置10は、前述の(A)、(B)で説明した効果を得られる。
【0058】
(第4実施形態)
図16を参照する。本実施形態の装置本体28には、第1実施形態の噴射流路32の他に、吐出流路70が形成される。吐出流路70は、給液路22から供給される液体Wを吐出流Fdとして吐き出す。吐出流路70は、装置本体28の前面部に開口し、前向きに吐出流Fdを吐き出す。吐出流路70は、噴射流路32よりも上方に設けられ、運動噴流Jよりも上方を通るように吐出流Fdを吐き出す。吐出流Fdは、例えば、膜状流、ミスト流等である。吐出流路70は、ユーザの首に当たるように吐出流Fdを吐き出す。本実施形態の噴射流路32は、ユーザの首よりも下方において、ユーザの肩に当たるように運動噴流Jを吐き出す。
【0059】
本実施形態においても、前述の(A)、(B)で説明した効果を得られる。特に、本実施形態によれば、誘起流路36の流路中心線CL1と出口孔38の孔中心線CL2を同軸上に設ける場合と比べ、噴流軌跡JTの射出方向Dbを下向きにできる。このため、この場合と比べ、吐出流Fdよりも鉛直方向に離れた位置において運動噴流Jを当てることができる。これに伴い、この場合と比べ、装置本体28の特定方向(Z方向)の小型化を図りつつ、上下に離れた箇所において運動噴流J及び吐出流Fdを当てることができる。
【0060】
(第5実施形態)
図17を参照する。
図9において、Z方向の一方側は鉛直方向の下側である例を説明した。本実施形態において、Z方向の一方側は鉛直方向の上側である。孔中心線CL2は、交点Pから前方に向かうにつれて、流路中心線CL1から、Z方向の一方側としての鉛直方向の上側に遠ざかるように設けられる。
【0061】
図9において、第1孔面54は、Z方向の一方側となる鉛直方向の下側に設けられ、第2孔面56は、Z方向の他方側となる鉛直方向の上側に設けられる例を説明した。本実施形態は、
図9の例と比べ、第1孔面54はZ方向の一方側としての鉛直方向の上側に設けられ、第2孔面56はZ方向の他方側としての鉛直方向の下側に設けられる点が相違する。
図9の例と同様、第1高さ変化面58は第1孔面54に設けられ、第2孔面56は干渉回避位置に設けられる。
【0062】
この場合、
図9の例と同様、誘起流路36から流出した波状噴流Jには、第1高さ変化面58に近づける力Fa、Fbが付与される。これは、本発明者が実験的な検討を進めることで得られた知見である。詳しくは、波状噴流Jの第1孔面54側の第1部分J1には、第1高さ変化面58に引き寄せる力Faが付与される。これと同時に、波状噴流Jの第2孔面56側の第2部分J2にも、第1孔面54側に近づくような力Fbが付与される。本発明者は、
図9の例と同様、力Faの一因はコアンダ効果と推察し、力Fbの一因は表面張力と推察している。
【0063】
これらが相まって、
図9の例と同様、噴射流路32は、全体として、流路中心線CL1に沿ったX方向ではなく、出口孔38の孔中心線CL2に近い方向を射出方向Dbとして、噴流軌跡JTを射出できる。本実施形態の波状噴流Jには、鉛直方向の上向きの力Fa、Fbの他に、下向きの重力が付与される。これに起因して、
図9の例と比べて、噴流軌跡JTの射出方向Dbが出口孔38の孔中心線CL2に近づく度合いは小さくなる。しかしながら、流路中心線CL1と孔中心線CL2とを同軸上に設ける場合と比べ、ある程度は、噴流軌跡JTの射出方向Dbを出口孔38の孔中心線CL2に近づけられる。
【0064】
本実施形態においても、前述の(A)、(B)で説明した効果を得られる。
【0065】
各構成要素の他の変形例を説明する。
【0066】
水回り設備12の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチン設備、洗面設備等でもよい。水回り設備12の槽体の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチンシンク、手洗シンク等のシンクでもよい。
【0067】
浴室設備14は、少なくとも浴槽16を備えていればよく、浴室壁、洗い場床等はなくともよい。
【0068】
吐出システム18の貯留槽20は、浴槽16に限定されず、例えば、浴槽16とは別に設けられてもよい。給液路22には、水回り設備12が設置される建物の外部に設けられる上水道等の給水設備から水を供給してもよい。この場合、吐出システム18は、給水設備から給水圧をかけた状態の水が給液路22に供給されるため、ポンプ24を備えなくともよい。
【0069】
吐出装置10の具体例は特に限定されず、例えば、シャワー装置、水栓装置として用いられてもよい。
【0070】
吐出装置10は、ユーザの身体に当たるように噴流Jを噴射できればよく、その噴流Jがユーザに当たる位置は特に限定されない。たとえば、吐出装置10は、ユーザの身体に側面側から当たるように噴流Jを噴射してもよい。
【0071】
装置本体28が取り付けられるベース30は、実施形態とは異なり、浴槽16以外を対象としてもよい。
【0072】
噴射対象の液体Wの具体例は、浴槽水に限定されない。液体Wは、例えば、液体洗剤等でもよい。
【0073】
運動噴流Jの具体例は波状噴流に限定されない。運動噴流Jは、例えば、噴流の噴射方向を旋回中心周りに旋回させることによって放射状に噴射される螺旋状噴流でもよい。この場合、螺旋状噴流を誘起する誘起流路36は、その流路中心線CL1に直交する断面が円形状をなしてもよい。
【0074】
誘起流路36による波状噴流Jの誘起メカニズムは、特に限定されない。誘起流路36は、例えば、誘起流としてカルマン渦を生成して波状噴流を誘起してもよいし、コアンダ効果を利用して波状噴流を誘起してもよい。
【0075】
高さ変化面58、62の形状は特に限定されない。高さ変化面58、62は、例えば、凸曲面状、凹曲面状、平面状等をなしてもよい。この他にも、高さ変化面58、62は、例えば、Y方向に直交する断面において、凸円弧状、凹円弧状、直線状等をなしてもよい。
【0076】
一対の孔面54、56は、鉛直方向とは無関係に、Z方向(高さ方向)に向き合っていればよい。
図17の例において、
図12の例のように、第2孔面56に第2高さ変化面62を設けてもよい。
【0077】
図9、
図17の例のように、第2孔面56を干渉回避位置に設ける場合を考える。この場合、流路中心線CL1よりも孔中心線CL2に近づけた方向を射出方向Dbとして、噴流軌跡JTを射出できるという条件を満たすのであれば、第2孔面56の具体的な形状は特に限定されない。この条件を満たす構造は、例えば、実験、解析等により求めればよい。この一例として、第2孔面56は、下流側に向かうに連れて、流路中心線CL1からZ方向に遠ざかるように設けてもよい。この構造は、例えば、Y方向から見たとき、流路中心線CL1に対して第1高さ変化面58のなす角度よりも、流路中心線CL1に対して第2孔面56のなす角度が小さい場合を想定している。
【0078】
高さ変化面58、62の上流端58a、62aは、誘起流路36と出口孔38の境界部60よりも上流側に設けられてもよい。
【0079】
調整機構64の具体例は特に限定されない。例えば、可動部材66は、実施形態とは異なり、出口孔38の第1孔面54及び第2孔面56の両方の形状を変更可能でもよいし、出口孔38全体の形状を変更可能でもよい。
【0080】
可動部材66は、例えば、撓み変形可能な板状の弾性体でもよい。この場合、可動部材66は、その撓み変形の有無によって、前述の第1位置P1と第2位置P2の間を移動可能としてもよい。この他にも、可動部材66は、膨張及び収縮する袋体でもよい。この場合、可動部材66は、膨張することによって第1位置P1に配置され、収縮することによって第2位置P2に配置されてもよい。この場合、動力源68はポンプとなる。
【0081】
以上、実施形態及び変形例を説明した。実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0082】
以上の構成要素の任意の組み合わせも、実施形態及び変形例を抽象化した技術的思想の態様として有効である。たとえば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形例に対して実施形態及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…吐出装置、12…水回り設備、28…装置本体、32…噴射流路、36…誘起流路、38…出口孔、54…第1孔面、56…第2孔面、58…第1高さ変化面、62…第2高さ変化面、64…調整機構。