(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
F25D23/00 305K
(21)【出願番号】P 2019182950
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】森田 洋平
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-207905(JP,A)
【文献】特開2018-096628(JP,A)
【文献】特開2019-138559(JP,A)
【文献】特開平11-339579(JP,A)
【文献】実開平04-074283(JP,U)
【文献】特開2018-189367(JP,A)
【文献】特開2001-066044(JP,A)
【文献】特開2006-078052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面板および背面板を有している本体部と、
電装基板を有し、前記本体部の前記上面板上に配置されている電装ユニットと、
前記電装基板に接続されるハーネスを保持するハーネスホルダと
を備え、
前記ハーネスホルダは、前記電装基板とは別体で構成されており、
前記背面板の上端部は、前記上面板の後端部よりも後方に張り出しており、この後方に張り出した部分に、前記ハーネスホルダの少なくとも一部が配置されており、
前記上端部の前端側には差し込み部が設けられており、前記上面板の後端部には、前記差し込み部と係合する係合部が設けられており、
前記ハーネスホルダは、前記背面板の前記上端部に取り付けられた状態で、前記差し込み部
の先端位置よりも後方側に配置されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記ハーネスホルダの少なくとも一部は、前記後方に張り出した前記上端部上に配置され、前記ハーネスホルダのそれ以外の部分は、前記上面板の前記係合部
の形成領域の前端よりも後方に位置するように前記上面板上に配置されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記ハーネスホルダは、前記ハーネスを取り外し可能に保持するハーネス固定部を有している、請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記ハーネス固定部は、固定位置を変更可能に構成されている、請求項3に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装基板を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷蔵庫には、周囲との断熱を行うために、貯蔵空間の外周を覆うように断熱箱体が設けられている。断熱箱体は、外箱と、内箱と、これらの間に充填された発泡断熱材とで構成されている。
【0003】
また、冷蔵庫は、電装基板、電気部品などを収容する電装ユニットを備えている。電装ユニットは、例えば、冷蔵庫本体の上面などに配置される。例えば、特許文献1に開示された冷蔵庫は、冷蔵庫本体1の天面後方に設けられた空間内に電気部品7を収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、冷蔵庫本体の天面を抉るようにして電気部品を収容するための空間を形成しているため、冷蔵庫本体の天面の断熱性能が低下したり、この収容空間によって貯蔵空間が狭められたりする可能性がある。
【0006】
また、特許文献1に開示されたような構成を有する冷蔵庫では、電気部品と接続されるハーネス(配線)が電気部品の収容空間内に飛び出た状態で、冷蔵庫本体内に断熱材料を注入して発泡断熱材を形成する。つまり、冷蔵庫本体の壁面にこの収容空間を形成しないと、断熱材料の注入時には、電気部品7を収容するための箱体4からハーネスが飛び出した状態となっている。そのため、断熱材料の注入作業時にハーネスが障害となって作業性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明では、冷蔵庫本体の上面に電装基板が配置されている構成において、断熱性能の低下を抑え、且つ、製造時の作業性を向上させることのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、上面板および背面板を有している本体部と、電装基板を有し、前記本体部の前記上面板上に配置されている電装ユニットと、前記電装基板に接続されるハーネスを保持するハーネスホルダとを備えている。前記ハーネスホルダは、前記電装基板とは別体で構成されているとともに、その少なくとも一部が前記背面板の上端部に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫によれば、冷蔵庫本体の上面に電装基板が配置されている構成において、断熱性能の低下を抑えることができる。また、本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、電装基板とは別体で構成されているハーネスホルダを備えていることで、ハーネスホルダにハーネスを保持した状態で、断熱材料の注入作業を行うことができる。これにより、発泡断熱材の形成工程における作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の断熱箱体の上面部の構成を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す断熱箱体の外観構成を示す斜視図である。
【
図4】断熱箱体に取り付けられるハーネスホルダを示す斜視断面図である。
【
図5】ハーネスホルダが配置されている部分の断熱箱体の内部構成を示す断面図である。
【
図6】バックプレートとハーネスホルダとを分解した状態で示す平面図である。
【
図7】バックプレートにハーネスホルダが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図8】第1の実施形態にかかる冷蔵庫における断熱箱体およびハーネスホルダの構成を示す断面模式図である。
【
図9】第2の実施形態にかかる冷蔵庫における断熱箱体およびハーネスホルダの構成を示す断面模式図である。
【
図10】第3の実施形態にかかる冷蔵庫における断熱箱体およびハーネスホルダの構成を示す断面模式図である。
【
図11】第4の実施形態にかかる冷蔵庫における断熱箱体およびハーネスホルダの構成を示す断面模式図である。
【
図12】
図11に示すハーネスホルダにおいてフックの固定位置を変更した場合の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
〔第1の実施形態〕
(冷蔵庫の全体構成)
本実施形態では、冷蔵庫1を例に挙げて説明する。
図1には、本実施形態にかかる冷蔵庫1の外観を示す。冷蔵庫1は、主として、断熱箱体(本体部)50と、各種扉とで構成されている。冷蔵庫1の上段には冷蔵室が配置されている。冷蔵室の正面の開口部には、観音開き方式の冷蔵室扉(左側の冷蔵室扉11a及び右側の冷蔵室扉11b)が備えられている。
【0013】
また、冷蔵庫1には、冷蔵室以外に、第2の冷蔵室(野菜室)、冷凍室、第2の冷凍室、および製氷室などが備えられている。中段の第2の冷蔵室(野菜室)には、引き出し式の冷蔵室扉13が設けられている。下段の第1の冷凍室には、引き出し式の冷凍室扉14が設けられている。また、中段の製氷室および第2の冷凍室には、引き出し式の製氷室扉15または冷凍室扉16がそれぞれ設けられている。
【0014】
なお、冷蔵庫1における各貯蔵室の構成や配置は、上記のものに限定はされない。各貯蔵室の構成および配置は、冷蔵庫の容量、用途などに応じて適宜変更することができる。
【0015】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫1の前面(正面)とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1を構成する断熱箱体(本体部)50の各面を、上面部50a、側面部50b、背面部50c、及び底面部とする。
【0016】
冷蔵室扉には、タッチセンサ(接触検知部)91(具体的には、左側タッチセンサ91aおよび右側タッチセンサ91b)がそれぞれ設けられている。左側タッチセンサ91aは、左側の冷蔵室扉11aの右側端部(すなわち、扉が開く側の端部)の近傍に配置されている。右側タッチセンサ91bは、右側の冷蔵室扉11bの左側端部(すなわち、扉が開く側の端部)の近傍に配置されている。タッチセンサ91は、人体等が接触したことを検知する。そして、左側タッチセンサ91aに使用者の手などが触れると、左側の冷蔵室扉11aが開くように制御される。また、右側タッチセンサ91bに使用者の手などが触れると、右側の冷蔵室扉11bが開くように制御される。
【0017】
右側の冷蔵室扉11bには、表示装置80が設置されている。表示装置80は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成することができる。表示装置80には、例えば、冷蔵庫の運転情報及び制御情報、庫内在庫情報、カレンダ情報、レシピ情報、伝言情報などを表示させることができる。
【0018】
断熱箱体50の上面部50aの前方側には、上部取付部材81が設けられている。上部取付部材81内には、人検知センサ(図示せず)、スピーカ(図示せず)、およびヒンジ部(図示せず)などが設けられている。
【0019】
断熱箱体50の上面部50aの後方側には、電装ユニット60が設けられている。電装ユニット60は、カバー部材61で覆われている。カバー部材61の内部には、制御部、メモリなどを搭載した電装基板62(
図2参照)などが配置されている。
【0020】
断熱箱体50の背面側上方の左右両側の角部分には、一対の取っ手部30・30が設けられている。一対の取っ手部30・30は、左右対称の構成を有している。冷蔵庫1の前方側から見て左側に位置する取っ手部30は、把持部31aを有している。冷蔵庫1の前方側から見て右側に位置する取っ手部30は、把持部31bを有している。冷蔵庫1を運搬する際に、作業者は、各把持部31aおよび31bに手を掛けて冷蔵庫1を運搬する。
【0021】
(電装ユニットの構成)
続いて、電装ユニット60の構成について説明する。
図2には、断熱箱体50の上面部50aの構成を示す。
図2では、カバー部材61および上部取付部材81を取り外した状態を示す。
【0022】
断熱箱体50の上面部50aは、板状の上面板53で形成されている。この上面板53上に電装ユニット60は配置されている。電装ユニット60は、主として、カバー部材61、電装基板62、枠部材63、およびハーネスホルダ64などを有している。
【0023】
カバー部材61は、電装基板62などの各部品を保護するために、これらの各部品を覆うように設けられている。
【0024】
電装基板62は、制御部、メモリなどの電子部品を搭載している。電装基板62には、図示しないハーネスが接続されている。これにより、冷蔵庫1内の各種電気部品と電装基板62内の電子部品とを電気的に接続することができる。
【0025】
枠部材63は、電装基板62、ハーネスホルダ64などの電装ユニット60内の各部品を取り囲むように配置されている。枠部材63はハーネスホルダ64にネジなどで固定されて位置決めされる。
【0026】
ハーネスホルダ64は、電装基板62に接続されるハーネスを保持する。電装基板62に接続されるハーネスは、断熱箱体50の背面側から断熱箱体50の内部に入り、断熱箱体50内を通って冷蔵庫1の各箇所に引き回されている。ハーネスホルダ64は、断熱箱体50から出たハーネスを電装基板62まで仲介するように設けられている。
【0027】
ハーネスホルダ64は、断熱箱体50の背面側上方に配置されている。具体的には、ハーネスホルダ64は、断熱箱体50のバックプレート51の上端部51aに配置されている。
【0028】
(断熱箱体の背面部の構成)
続いて、断熱箱体50のより詳細な構成について説明する。断熱箱体50は、主として、外箱と、内箱と、断熱層と、真空断熱材(VIP)とを備えている。
【0029】
外箱は、断熱箱体50の外周面を形成する。すなわち、外箱は、断熱箱体50の上面部50a、側面部50b、および背面部50cなどを形成している。外箱の背面部50cは、板状のバックプレート(背面板)51で形成されている。外箱の側面部50bは、側面板52で形成されている。外箱の上面部50aは、板状の上面板53で形成されている。
【0030】
図3には、断熱箱体50の背面側の構成を示す。
図3には、冷蔵庫1の製造途中の段階における断熱箱体50を示す。発泡断熱材の形成時には、
図3に示すように、カバー部材61、電装基板62、および枠部材63などの電装ユニット60の構成部品は取り付けられていない。一方、ハーネスホルダ64は、発泡断熱材の形成時に既に取り付けられている。
【0031】
断熱箱体50の背面側(背面部50c)は、主として、バックプレート51で形成されている。
【0032】
図3に示すように、バックプレート51は、上端部51aと下端部51bとを有している。上端部51aは、平坦な背面部50cの上端部分を折り曲げて形成されている。本実施形態では、上端部51aは、前方側に向かって上方へ傾斜する傾斜面を有している(
図4など参照)。
【0033】
図3に示すように、バックプレート51の上端部51aは、上面板53の後端部よりも後方側に張り出している。この後方に張り出した部分に、ハーネスホルダ64が載置されている。すなわち、ハーネスホルダ64の大部分は、上端部51a上に配置されている。
【0034】
バックプレート51の左右両側の側端部には、断熱層を形成するための発泡断熱材料を注入する注入口55が複数個設けられている。下端部51bの下方には、圧縮機などを配置するための機械室が設けられている。
【0035】
断熱箱体50の内部には、断熱層が形成されている。断熱層は、硬質発泡ウレタン(硬質ポリウレタンフォームともいう)などで形成することができる。また、断熱箱体50の内部には、発泡断熱材で構成された断熱層の他に真空断熱材が含まれている。
【0036】
(ハーネスホルダについて)
続いて、ハーネスホルダ64のより詳細な構成について説明する。
図4には、ハーネスホルダ64が配置されている断熱箱体50の背面部分を拡大して示す。また、
図4では、ハーネスホルダ64のフック73部分の断面構成を示す。
図5は、ハーネスホルダ64が配置されている部分の断熱箱体50の内部構成を示す。
図6は、断熱箱体50のバックプレート51と、バックプレート51に取り付けられるハーネスホルダ64とを分解した状態で示す。
図7は、
図6に示すバックプレート51とハーネスホルダ64とが組み付けられた状態を示す。
図8は、本実施形態にかかる冷蔵庫1におけるハーネスホルダ64の形状を模式的に示す。
【0037】
ハーネスホルダ64は、非導電性(絶縁性)を有し、適度な可撓性を有する樹脂材料で形成されている。ハーネスホルダ64は、主として、土台部71、ハーネス挿通部72、フック(ハーネス固定部)73、乗り上げ部74、および段差形成部75などを有している。
【0038】
土台部71は、ハーネスホルダ64の土台を形成している。土台部71は、バックプレート51の上端部51a上に配置される。本実施形態では、上端部51aが傾斜面を有しているため、土台部71における上端部51aとの接触面は、上端部51aの形状に合わせて傾斜した形状を有している。なお、別の実施形態では、上端部51aは、水平面を有していてもよい。この場合には、土台部71は、水平面を有している。
【0039】
乗り上げ部74および段差形成部75は、土台部71の前方側に位置しており、ハーネスホルダ64の土台の一部(前方部分)を形成している。乗り上げ部74と段差形成部75とで、土台部71に対して一段高い段差が形成される。
図5に示すように、ハーネスホルダ64が断熱箱体50に取り付けられた状態で、乗り上げ部74は上面板53上に配置され、段差形成部75には上面板53の後端部が当接する。
【0040】
ハーネス挿通部72には、束状になった複数本のハーネスが配置される。断熱箱体50内を通るハーネスは、ハーネス挿通部72を通って断熱箱体50の外側へ出る。ハーネス挿通部72は、バックプレート51の上端部51aに形成された切れ込み部51h(
図6参照)に対応するように配置されている。これにより、ハーネスホルダ64がバックプレート51に取り付けられた状態で、ハーネス挿通部72の形成位置は、断熱箱体50の内部と連通する(
図7参照)。
【0041】
フック73は、ハーネスを取り外し可能に保持する。冷蔵庫1において、フック73は、断熱箱体50の上端部51aから出た複数本のハーネスを保持しつつ、電装基板62へと誘導する。また、断熱箱体50の発泡断熱材形成時には、フック73は、断熱箱体50の上端部51aから出た複数本のハーネスが動かないように固定するために用いられる。これにより、断熱材料の注入作業時にハーネスが障害となって作業性が低下することを抑制することができる。
【0042】
フック73は、フック部73aと、押さえ部73bとを有している。フック部73aは、乗り上げ部74の前端部(土台部の前方端部)から上方に延びる鉤状の部材である。押さえ部73bは、土台部71の後方端部から上方に延びる略棒状の部材である。
図4などに示すように、フック部73aの先端部と押さえ部73bの先端部とは、互いに近接するように形成されている。これにより、フック部73aと押さえ部73bとで、略環状の形状を形成することができる。この略環状の部分にハーネスを配置することで、フック部73aと押さえ部73bとでハーネスを抱え込むように保持することができる。
【0043】
可撓性を有する樹脂材料で形成されているフック部73aおよび押さえ部73bは、適度な柔軟性を有している。そのため、フック部73aの先端部と押さえ部73bの先端部との間に形成される隙間の大きさを変更することができる。これにより、この隙間からフック73内へハーネスを入れ込んだり、フック73からハーネスを取り外したりすることができる。
【0044】
なお、フック73の形状はこれに限定はされず、複数本のハーネスを取り外し可能に保持することのできる形状であればよい。
【0045】
(断熱箱体に対するハーネスホルダの配置位置について)
続いて、断熱箱体50のバックプレート51および上面板53と、ハーネスホルダ64との位置関係について説明する。
図8には、断熱箱体50上にハーネスホルダ64が設置された状態を模式的に示す。
【0046】
先ず、断熱箱体50の背面上方の構成について説明する。断熱箱体50の背面上方は、バックプレート51と上面板53とで形成されている。バックプレート51の上端部51aには、前方側に、段差部51fおよび差し込み部51gが設けられている(
図6および
図8など参照)。また、上面板53の後方側の端部には、上面板53を形成する金属板の一部を折り返して形成された折り返し部(係合部)53aが形成されている。
図8に示すように、上面板53の折り返し部53aには、バックプレート51の上端部51aの先端側に設けられた差し込み部51gが差し込まれる。これにより、バックプレート51と上面板53とが係合する。
【0047】
図8に示すように、上面板53の後端部から一段下方にバックプレート51の上端部51aが位置する。また、バックプレート51の上端部51aは、上面板53の後端部から後方に張り出している。この後方に張り出した部分に、ハーネスホルダ64の土台部71が配置される。また、ハーネスホルダ64の前方部分(すなわち、乗り上げ部74)は、上面板53上に配置される。
【0048】
本実施形態では、ハーネスホルダ64の大部分(例えば、断熱箱体50との接触部分の全面積の50~90%以上)が上端部51a上に位置し、ハーネスホルダ64のそれ以外の部分が上面板53上に位置している。すなわち、ハーネスホルダ64は、その大部分が上面板53の後端部よりも後方側に配置されている。これにより、上面板53上にハーネス保持部を設ける必要がなくなり、上面板53の後端部を抉らなくてもよくなるため、断熱箱体50の上面部50aの断熱層が薄くならず、断熱性能を向上できる。また、上面板53の後端部を、前方から連続する平坦面とすることができるため、上面板53の内側に配置される真空断熱材の配置領域を後端部まで延伸することができる。
【0049】
例えば、
図7に示すように、バックプレート51にハーネスホルダ64を取り付けた状態で、ハーネスホルダ64は、バックプレート51の差し込み部51gの先端位置よりも後方側に位置していることが好ましい。これにより、バックプレート51の差し込み部51gの先端がハーネスホルダ64によって覆われず視認しやすくなる。そのため、バックプレート51の差し込み部51gを上面板53の折り返し部53aに差し込む際の作業性が向上する。
【0050】
また、冷蔵庫1の製造時において、ハーネスホルダ64を取り付けた組み品状態でバックプレート51を保管する場合は、断熱箱体50の背面部50cとなる面が保管場所の床面と接触して傷が付かないように、差し込み部51gを下にして保管することが好ましい。この保管状態では、ハーネスホルダ64は差し込み部51gよりも上方に位置するため、ハーネスホルダ64が保管場所の床面と接触して傷が付くことを防止できる。
【0051】
また、
図8に示すように、ハーネスホルダ64は、上面板53の折り返し部53aの形成領域よりも後方側に配置されていることが好ましい。
【0052】
断熱箱体50の発泡断熱材形成時、断熱箱体50の周囲を発泡治具で押さえることで、発泡圧による断熱箱体50の変形を防止する。しかし、樹脂材料で形成されているハーネスホルダ64の周囲は、発泡治具で押さえ付けることができない。発泡治具による押さえがないと、発泡断熱材の形成過程において断熱箱体50の表面が盛り上がってしまう可能性がある。
【0053】
折り返し部53aとここに差し込まれる差し込み部51gとで形成されている上面板53とバックプレート51との組み付け箇所は、他の部分よりも強度が高い。そのため、この領域内にハーネスホルダ64を収めるような形状とすることで、ハーネスホルダ64の取り付け箇所周辺に発泡治具が設けられていない場合であっても、発泡断熱材形成時にハーネスホルダ64周辺の断熱箱体50の表面の変形を抑えることができる。
【0054】
発泡断熱材が形成されたら、発泡治具を外した断熱箱体50に、電装基板62を取り付ける。ハーネスホルダ64には枠部材63と係合するネジ穴などが設けられており、まず、ハーネスホルダ64に対して枠部材63をネジなどで固定する。これにより、
図2に示すように、断熱箱体50の上面部50aの上に電装ユニット60の配置部が形成される。枠部材63内に電装基板62を設置し、ハーネスホルダ64に支持されていたハーネスをフック73から一旦取り外して電装基板62上のコネクタと結線した後に、余ったハーネスを再びフック73に保持させる。その後、カバー部材61を、電装基板62、枠部材63、およびハーネスホルダ64を覆うように固定する。
【0055】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、断熱箱体50と、電装ユニット60と、ハーネスホルダ64とを備えている。断熱箱体50は、上面板53およびバックプレート51を有している。電装ユニット60は、電装基板62を有し、断熱箱体50の上面板53上に配置されている。ハーネスホルダ64は、電装基板62に接続されるハーネスを保持する。ハーネスホルダ64は、電装基板62とは別体で構成されているとともに、その少なくとも一部がバックプレート51の上端部51aに配置されている。
【0056】
冷蔵庫1は、電装基板62とは別体で構成されているハーネスホルダ64を備えていることで、電装基板62を取り付けない状態で、断熱箱体50から外側へ飛び出したハーネスをハーネスホルダ64に収容することができる。これにより、ハーネスホルダ64にハーネスを保持した状態で、断熱材料の注入作業を行うことができるため、発泡断熱材の形成工程における作業性が向上する。
【0057】
本実施形態にかかる冷蔵庫1は、ハーネスホルダ64の少なくとも一部をバックプレート51の上端部51a上に配置している。そのため、断熱箱体50の上方部分にハーネスを配置するための空間を設けることなく、断熱箱体50の上面上に電装基板を配置することができる。これにより、冷蔵庫本体の上面に電装基板が配置されている構成において、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0058】
また、ハーネスホルダ64の少なくとも一部をバックプレート51の上端部51a上に配置することで、上面板53側へハーネスホルダ64が乗り上げる面積を小さくすることができる。これにより、上面板53の内側に配置される真空断熱材の配置領域をより大きく確保することができる。したがって、断熱性能を向上させることができる。
【0059】
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態にかかる冷蔵庫1では、ハーネスホルダの構成が、第1の実施形態とは異なっている。ハーネスホルダ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0060】
図9には、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1における断熱箱体(本体部)50と、断熱箱体50の背面部に配置されるハーネスホルダ164を示す。断熱箱体50の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0061】
ハーネスホルダ164は、電装基板62に接続されるハーネスを保持する。ハーネスホルダ164は、断熱箱体50のバックプレート51の上端部51aに配置されている。本実施形態では、ハーネスホルダ64は、その全体が上面板53の後端部53bよりも後方側に配置されている。
【0062】
ハーネスホルダ164は、主として、土台部71、ハーネス挿通部72、およびフック(ハーネス固定部)73などを有している。
【0063】
土台部71は、ハーネスホルダ64の土台を形成している。土台部71は、バックプレート51の上端部51a上に配置される。本実施形態では、上端部51aは傾斜面を有しているため、土台部71における上端部51aとの接触面は、上端部51aの形状に合わせて傾斜した形状を有している。
【0064】
ハーネス挿通部72には、束状になった複数本のハーネスが配置される。ハーネス挿通部72は、第1の実施形態と同様の構成を有している。
【0065】
フック73は、ハーネスを取り外し可能に保持する。第1の実施形態と同様に、フック73は、フック部173aと、押さえ部73bとを有している。第1の実施形態では、フック部73aは、乗り上げ部74の前端部から鉤状に突出している。これに対して、本実施形態では、フック部173aは、土台部71の前方端部から上方に向かって鉤状に突出している。押さえ部73bは、第1の実施形態と同様に土台部71の後方端部から上方に延びる略棒状の部材である。
【0066】
図9に示すように、フック部173aの先端部と押さえ部73bの先端部とは、互いに近接するように形成されている。これにより、フック部173aと押さえ部73bとで、略環状の形状を形成することができる。この略環状の部分にハーネスを配置することで、フック部173aと押さえ部73bとでハーネスを抱え込むように保持することができる。
【0067】
以上のように、本実施形態では、ハーネスホルダ164の全体が、バックプレート51の上端部51a上に位置している。すなわち、ハーネスホルダ64は、その全体が上面板53の後端部53bよりも後方側の領域に位置している。
【0068】
これにより、土台部分に段差を形成する必要がないため、ハーネスホルダ164の形状を単純化することができる。また、この構成によれば、断熱箱体50の発泡断熱材形成時に、断熱箱体50の上面部50aの全体を発泡治具で押さえることができる。したがって、保持するハーネスの分量(断面積)が比較的小さい場合には、本実施形態の構成が有用である。
【0069】
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態にかかる冷蔵庫1では、断熱箱体の背面部およびハーネスホルダの構成が第1の実施形態とは異なっている。これ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0070】
図10には、第3の実施形態にかかる冷蔵庫1における断熱箱体(本体部)50と、断熱箱体50の背面部に配置されるハーネスホルダ264を示す。
【0071】
第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱と、内箱と、断熱層と、真空断熱材(VIP)とを備えている。外箱の背面部50cは、板状のバックプレート(背面板)251で形成されている。外箱の上面部50aは、板状の上面板253で形成されている。
【0072】
バックプレート251は、上端部251aを有している。上端部251aは、背面部50cの上端部分を折り曲げて形成されている。本実施形態では、上端部251aは、略水平な平坦面を有している。また、上端部251aの先端部は、水平な上端部251aから略直角に折れ曲がった形状を有している。この先端部は、上面板253の折り返し部253aに差し込まれる差し込み部251gとなっている。
【0073】
上面板253の後方側の端部には、上面板253を形成する金属板の一部を折り返して形成された折り返し部(係合部)253aが形成されている。
図10に示すように、上面板253の折り返し部253aには、バックプレート251の上端部251aの先端側に設けられた差し込み部251gが差し込まれる。
【0074】
図10に示すように、バックプレート251の上端部251aは、上面板253の後端部から後方に張り出している。この後方に張り出した部分に、ハーネスホルダ264の土台部71が配置される。また、ハーネスホルダ264の前方部分(すなわち、乗り上げ部74)は、上面板253上に配置される。
【0075】
ハーネスホルダ264は、主として、土台部71、ハーネス挿通部72、フック(ハーネス固定部)73、乗り上げ部74、および段差形成部75などを有している。
【0076】
土台部71は、ハーネスホルダ264の土台を形成している。土台部71は、バックプレート251の上端部251a上に配置される。本実施形態では、上端部251aは水平面を有しているため、土台部71における上端部51aとの接触面は、上端部51aの形状に合わせて水平な形状を有している。
【0077】
乗り上げ部74および段差形成部75は、土台部71の前方側に位置しており、ハーネスホルダ264の土台の一部(前方部分)を形成している。乗り上げ部74および段差形成部75は、第1の実施形態と同様の構成を有している。ハーネス挿通部72およびフック73も、第1の実施形態と同様の構成を有している。
【0078】
〔第4の実施形態〕
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態にかかる冷蔵庫1では、ハーネスホルダの構成が、第1の実施形態とは異なっている。ハーネスホルダ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0079】
図11には、第4の実施形態にかかる冷蔵庫1における断熱箱体(本体部)50と、断熱箱体50の背面部に配置されるハーネスホルダ364を示す。断熱箱体50の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0080】
ハーネスホルダ364は、電装基板62に接続されるハーネスを保持する。ハーネスホルダ364は、断熱箱体50のバックプレート51の上端部51aに配置されている。
【0081】
ハーネスホルダ364は、主として、土台部71、ハーネス挿通部72、フック(ハーネス固定部)373、乗り上げ部74、および段差形成部75などを有している。土台部71、ハーネス挿通部72、乗り上げ部74、および段差形成部75の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0082】
フック373は、ハーネスを取り外し可能に保持する。本実施形態では、フック373は、固定位置を変更可能に構成されている。
【0083】
フック373は、フック部373aと、押さえ部373bとを有している。フック部373aは、乗り上げ部74の前端部(土台部の前方端部)から上方に延びる鉤状の部材である。押さえ部373bは、土台部71の後方端部から上方に延びる略棒状の部材である。
図11に示すように、フック部373aの先端部周辺には、第1の引っ掛け部375aおよび第2の引っ掛け部375bという2つの引っ掛け部が設けられている。第1の引っ掛け部375aは先端部に位置し、第2の引っ掛け部375bは先端部からやや離れた箇所に位置している。また、押さえ部373bの先端には、鉤状の係止部376が設けられている。
【0084】
係止部376は、第1の引っ掛け部375aまたは第2の引っ掛け部375bと係合する。これにより、フック部73aと押さえ部73bとで、略環状の形状を形成することができる。この略環状の部分にハーネスを配置することで、フック部73aと押さえ部73bとでハーネスを抱え込むように保持することができる。
【0085】
図11は、フック部373aの第1の引っ掛け部375aと、押さえ部373bの係止部376とが係合した状態を示す。また、
図12は、フック部373aの第2の引っ掛け部375bと、押さえ部373bの係止部376とが係合した状態を示す。
【0086】
図11に示す係合状態の方が
図12に示す係合状態と比べて、環状形状の内部の面積が大きい。したがって、束ねたハーネスの分量(断面積)がより大きい場合(例えば、断熱箱体50の発泡断熱材形成時)には、
図11に示す係合状態とすることが好ましい。また、束ねたハーネスの分量(断面積)がより小さい場合(例えば、冷蔵庫1の完成時(すなわち、断熱箱体50の出口から延びたハーネスを電装基板62に結線した後に余ったハーネスを収容するとき))には、
図12に示す係合状態とすることが好ましい。
【0087】
以上のように、フック373の固定位置が変更可能に構成されていることで、ハーネスの本数およびハーネスの束の太さ、あるいは、ハーネスの配置状態により適合したフックの形状を実現することができる。これにより、ハーネスをより安定した状態で保持することができる。
【0088】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、本体部(例えば、断熱箱体50)と、電装ユニット(例えば、電装ユニット60)と、ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ64,164,264,364)を備えている。前記本体部は、上面板(例えば、上面板53,253)および背面板(例えば、バックプレート51,251)を有している。前記電装ユニットは、電装基板(例えば、電装基板62)を有し、前記本体部の前記上面板上に配置されている。前記ハーネスホルダは、前記電装基板に接続されるハーネスを保持する。前記ハーネスホルダは、前記電装基板とは別体で構成されているとともに、その少なくとも一部が前記背面板の上端部(例えば、上端部51a,251a)に配置されている。
【0089】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記背面板(例えば、バックプレート51,251)の前記上端部(例えば、上端部51a,251a)は、前記上面板(例えば、上面板53,253)の後端部よりも後方に張り出しており、この後方に張り出した部分に、前記ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ64,164,264,364)が配置されていてもよい。
【0090】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ64,164,364)は、前記背面板(例えば、バックプレート51)の前記上端部(例えば、上端部51a)の前端部(例えば、差し込み部51g)よりも後方側に配置されていてもよい。
【0091】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記上面板(例えば、上面板53)の後端部には、前記背面板の前記上端部と係合する係合部(例えば、折り返し部53a)が設けられており、前記ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ64,164,364)は、前記係合部よりも後方側に配置されていてもよい。
【0092】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ164)は、前記上面板(例えば、上面板53)の後端部(例えば、後端部53b)よりも後方側に配置されていてもよい。
【0093】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記ハーネスホルダ(例えば、ハーネスホルダ64,164,264,364)は、前記ハーネスを取り外し可能に保持するハーネス固定部(例えば、フック73,373)を有していてもよい。
【0094】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記ハーネス固定部(例えば、フック373)は、固定位置を変更可能に構成されていてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 :冷蔵庫
50 :断熱箱体(本体部)
51 :バックプレート(背面板)
51a :(バックプレートの)上端部
51g :(バックプレートの)差し込み部(背面板の上端部の前端部)
53 :上面板
53a :(上面板の)折り返し部(係合部)
53b :(上面板の)後端部
60 :電装ユニット
62 :電装基板
64 :ハーネスホルダ
73 :フック(ハーネス固定部)
164 :ハーネスホルダ
264 :ハーネスホルダ
364 :ハーネスホルダ
373 :フック(ハーネス固定部)