(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20240222BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F25D21/14 L
F24F13/22 227
(21)【出願番号】P 2019183708
(22)【出願日】2019-10-04
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 英治
(72)【発明者】
【氏名】谷川 晋也
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-271122(JP,A)
【文献】特開平06-159907(JP,A)
【文献】実開昭59-045470(JP,U)
【文献】特開平07-260328(JP,A)
【文献】米国特許第04783971(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成され被冷却物を収納する収納室を備えた冷却庫本体と、
前記冷却庫本体に取り付けられ、前記収納室の前記開口を開閉する扉と、
前記冷却庫本体に設けられ、前記扉を流下する結露水を受ける溝部と、
前記冷却庫本体の外部に配された開口端を有し、前記溝部で受けられた前記結露水を前記開口端から排出するドレンパイプと、
前記冷却庫本体に着脱可能に支持され、前記開口端から排出された前記結露水を受容するドレンパンと、
前記冷却庫本体に取り付けられ、前記ドレンパンを支持するドレンパンブラケットと、を備え、
前記ドレンパンブラケットは、前記冷却庫本体の底面の下方において前後方向に延在する一対のガイドレール部を有し、前記ドレンパンの少なくとも一部を前記一対のガイドレール部に載せた状態で支持するものであって、
前記ドレンパイプの少なくとも一部は、前記冷却庫本体の外部において、前記一対のガイドレール部よりも上方で且つ前記一対のガイドレール部の前端よりも前側に配されて
おり、
前記ドレンパイプは、前記冷却庫本体の前記底面の下方において後方に延出された後方延出部を含み、
前記後方延出部の下面は、後方に延出するにつれて下方に傾斜するように傾斜し、前記ドレンパンが前記ドレンパンブラケットに取り付けられる際の案内面となる、冷却庫。
【請求項2】
前記一対のガイドレール部は、互いに対向する側に突出するように設けられ、
前記ドレンパンは、上面開放型の箱体をなすとともに前記箱体の左右の側壁の上端が外側に屈曲された一対のフランジ部を有し、前記一対のフランジ部を前記一対のガイドレール部に載せた状態で前記ドレンパンブラケットに支持されるものであって、
前記ドレンパイプにおいて、前記後方延出部の先端の下端部は斜めに切除されて前記開口端が形成されている、
請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
前面に開口が形成され被冷却物を収納する収納室を備えた冷却庫本体と、
前記冷却庫本体に取り付けられ、前記収納室の前記開口を開閉する扉と、
前記冷却庫本体に設けられ、前記扉を流下する結露水を受ける溝部と、
前記冷却庫本体の外部に配された開口端を有し、前記溝部で受けられた前記結露水を前記開口端から排出するドレンパイプと、
前記冷却庫本体に着脱可能に支持され、前記開口端から排出された前記結露水を受容するドレンパンと、
前記冷却庫本体に取り付けられ、前記ドレンパンを支持するドレンパンブラケットと、を備え、
前記ドレンパンブラケットは、前記冷却庫本体の底面の下方において前後方向に延在する一対のガイドレール部を有し、前記ドレンパンの少なくとも一部を前記一対のガイドレール部に載せた状態で支持するものであって、
前記ドレンパイプの少なくとも一部は、前記冷却庫本体の外部において、前記一対のガイドレール部よりも上方で且つ前記一対のガイドレール部の前端よりも前側に配されており、
前記収納室を冷却するための冷凍装置を収容する機械室と、
前記収納室もしくは前記機械室から導出され、ホース開口端を有するドレンホースと、をさらに備え、
前記ドレンパンブラケットは、
前記一対のガイドレール部の少なくとも一方の上側において開口する窓部と、
前記窓部の下端縁に、前記一対のガイドレール部の他方側に向けて屈曲形成された案内突出部と、をさらに有し、
前記ドレンホースは、
前記窓部に挿通され、前記案内突出部上に載置されて前記ホース開口端が前記ドレンパンの上方に配された状態で、前記ドレンパンブラケットによって支持される
、冷却庫。
【請求項4】
前記ドレンパンブラケットは、前記一対のガイドレール部のそれぞれの上方において互いに対向する側に突出する左右一対の制限突部をさらに有し、
前記ドレンパンは、少なくともその一部が前記一対の制限突部の下側に配された状態で、前記ドレンパンブラケットによって支持される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却庫では、被冷却物を収納して冷却する収納室内の庫内温度と庫外温度との差によって、収納室に取り付けられた扉表面に結露が生じることがある。また、収納室を冷却するための冷却運転に伴い、冷凍装置に接続された冷却器には着霜が生じる。こうした結露や着霜に由来するドレン水を処理するため、種々の構造を設けた冷却庫が知られている。例えば下記特許文献1に開示された冷却庫では、冷凍装置を収容する機械室の下部に第1の容器が固定され、被冷却物を収納する貯蔵室の下方に第2の容器が着脱可能に取り付けられる。結露等に由来するドレン水は、貯蔵室の底部から排出されて第2の容器へと流れ込み、着霜に由来するドレン水は、機械室の底部から排出されて第1の容器を経て第2の容器へと流れ込む。そして、機械室からの暖気を利用して第1の容器と第2の容器内のドレン水を蒸発させるとともに、第2の容器を取り外して、溜まった残留水を捨てられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の冷却庫において、第2の容器は、当該容器のフランジ部を、冷却庫の底面に設けられた支持板のフランジ部に載せることで支持されている。残留水を捨てるための容器の着脱は、支持板のフランジ部上に載置されている当該容器のフランジ部をスライドさせ、前方から抜き差しすることによって行われる。しかしながら、一旦取り外した容器を再び取り付ける際には、当該容器の差込位置を確認するため、屈んで冷却庫の下方を覗き込みながら作業を行う必要があり、作業者の負担となっていた。
【0005】
本明細書に開示する技術は、上記事情等を考慮して完成されたものであり、ドレン水処理の作業性を改善して、冷却庫のメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される冷却庫は、下記(1)の構成を有する。
(1) 前面に開口が形成され被冷却物を収納する収納室を備えた冷却庫本体と、前記冷却庫本体に取り付けられ前記収納室の前記開口を開閉する扉と、前記冷却庫本体に設けられ前記扉を流下する結露水を受ける溝部と、前記冷却庫本体の外部に配された開口端を有し前記溝部で受けられた前記結露水を前記開口端から排出するドレンパイプと、前記冷却庫本体に着脱可能に支持され前記開口端から排出された前記結露水を受容するドレンパンと、前記冷却庫本体に取り付けられ前記ドレンパンを支持するドレンパンブラケットと、を備え、前記ドレンパンブラケットは、前記冷却庫本体の底面の下方において前後方向に延在する一対のガイドレール部を有し、前記ドレンパンの少なくとも一部を前記一対のガイドレール部に載せた状態で支持するものであって、前記ドレンパイプの少なくとも一部は、前記冷却庫本体の外部において、前記一対のガイドレール部よりも上方で且つ前記一対のガイドレール部の前端よりも前側に配されている。
【0007】
上記構成によれば、冷却庫本体の前方から着脱されるドレンパンを取り付ける際、ドレンパイプの下端に沿って前方から後方にドレンパンを差し入れることにより、ドレンパンをドレンパンブラケットに装着できる。この際、ドレンパンの差込位置を、ドレンパイプを目印として位置決めできるため、屈んで冷却庫下方を覗き込むという作業負担が軽減される。また、ドレンパンを取り付ける際、ドレンパイプの下端がガイドとなり、ドレンパンブラケットのガイドレール部上にドレンパンの少なくとも一部(ガイドレール部によってガイドされる部分)を容易に配置できる。この結果、ドレン水処理に係る作業を行い易くなり、冷却庫のメンテナンス性を向上させることができる。
【0008】
また、本明細書によって開示される冷却庫は、下記(2)の構成を有することが好ましい。
(2) 上記(1)において、前記ドレンパイプは、前記冷却庫本体の前記底面の下方において後方に延出された後方延出部を含む。
このような構成によれば、後方延出部の下面がドレンパンの案内面となることで、ドレンパンをドレンパンブラケット上の適切な位置に取り付け易くなる。
【0009】
また、本明細書によって開示される冷却庫は、下記(3)の構成を有することが好ましい。
(3) 上記(2)において、前記一対のガイドレール部は、互いに対向する側に突出するように設けられ、前記ドレンパンは、上面開放型の箱体をなすとともに前記箱体の左右の側壁の上端が外側に屈曲された一対のフランジ部を有し、前記一対のフランジ部を前記一対のガイドレール部に載せた状態で前記ドレンパンブラケットに支持されるものであって、前記ドレンパイプにおいて前記後方延出部の先端の下端部が斜めに切除されて前記開口端が形成されている。 このような構成によれば、ドレンパンの開口縁を補強するフランジ部を、ガイドレール部上に保持させる構造として利用できる。また、ドレンパイプがドレンパンの上方に垂下するように配されていても、開口端の下側が斜めに切除されていることでドレンパンを取り外す際にドレンパンの上端が引っ掛かり難く、脱着作業をスムーズに行うことができる。
【0010】
また、本明細書によって開示される冷却庫は、下記(4)の構成を有することが好ましい。
(4) 上記(1)から(3)の何れかにおいて、前記ドレンパンブラケットは、前記一対のガイドレール部のそれぞれの上方において互いに対向する側に突出する左右一対の制限突部をさらに有し、前記ドレンパンは、少なくともその一部が前記一対の制限突部の下側に配された状態で、前記ドレンパンブラケットによって支持される。
このような構成によれば、ドレンパンのフランジ部がガイドレール部と制限突部との間に支持されることにより、ドレンパンの抜き差し時の上下動が一定範囲に制約される。よって、ドレンパンが安定した状態で脱着及び装着作業を行うことができ、ドレン水処理に係る作業性が改善される。なお、上記構成において、前記ドレンパイプを、後方延出部の下面を延長した延長面が、制限突部の前方を通過してガイドレール部の上面に到達するような態様で配設すれば、ドレンパンの上端をドレンパイプの後方延出部下面に沿わせながら挿入することにより、ドレンパンのフランジ部を、ドレンパンブラケットのガイドレール部と制限突部との間に容易に配置できる。
【0011】
また、本明細書によって開示される冷却庫は、下記(5)の構成を有することが好ましい。
(5) 上記(1)から(4)の何れかにおいて、前記収納室を冷却するための冷凍装置を収容する機械室と、前記収納室もしくは前記機械室から導出され、ホース開口端を有するドレンホースと、をさらに備え、前記ドレンパンブラケットは、前記一対のガイドレール部の少なくとも一方の上側において開口する窓部と、前記窓部の下端縁に、前記一対のガイドレール部の他方側に向けて屈曲形成された案内突出部と、をさらに有し、前記ドレンホースは、前記窓部に挿通され、前記案内突出部上に載置されて前記ホース開口端が前記ドレンパンの上方に配された状態で、前記ドレンパンブラケットによって支持される。
このような構成によれば、例えば冷却器への着霜に由来するドレン水を排水するドレンホースを、ドレンパンブラケットの窓部から案内突出部に沿わせて挿入・引出することで、ドレンパン上に容易に配置できる。そして、挿入したドレンホースを案内突出部上に載置することで、ドレンホースに局所的な力がかかることが回避される。なお、例えば案内突出部を、上記(4)の制限突部の一部とすれば、簡易な構成によって上記の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書によって開示される技術によれば、ドレン水処理に係る作業を行い易くし、冷却庫のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】側面パネルを取り外した機械室の様子を示す側面図
【
図5】溝部とドレンパイプとの接続状態を示す部分拡大断面図
【
図7】ドレンパンブラケットによるドレンパン及びドレンホースの保持態様を示す部分拡大断面図
【
図8】ドレンパンを脱着する際の様子を示す部分拡大側面図
【
図9】ドレンパンを装着する際の様子を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、一実施形態に係る冷却庫について、
図1から
図9を参照しつつ説明する。本実施形態では、ショーケースとして用いられる横型の冷却庫1について例示する。なお、以下の説明では、
図1における紙面手前側を前側もしくは正面側(紙面奥側を後側もしくは奥側)、上側を上側(下側を下側)とし、左右については正面視を基準として
図1における紙面左側を左側(右側を右側)とする。なお、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0015】
[冷却庫の概略構成]
図1等に示すように、本実施形態に係る冷却庫1は、前面開口型で横長の断熱箱体からなる冷却庫本体10と、冷却庫本体10の正面視左側に並んで設けられた機械室20とを備え、冷却庫本体10の底面四隅に取り付けられた4本の脚11によって支持されている。冷却庫本体10の外殻体は、例えばステンレス鋼板からなる内箱と外箱とを組み合わせ、これらの間に発泡ウレタン樹脂等の発泡樹脂からなる断熱材を発泡充填して形成される。冷却庫本体10の内部には、前面に開口13Aを有し、被冷却物を収納して冷却する収納室13が設けられる。冷却庫本体10の前面には、一対の扉15,15が引き違い形式に装着され、収納室13の開口13Aを開閉可能とされている。
【0016】
図2に示すように、機械室20は、前面に開閉可能な前面パネル21を備えた箱形に形成されている。機械室20の右側上部には、
図3に示すように、機械室20の右側面に隔壁パネル23が張設されることにより、収納室13と連通した断熱性の冷却器室30が張り出し形成されている。本実施形態に係る隔壁パネル23は、同図に表されているように、上側において左寄りに配される略鉛直な上側鉛直面23Aと、下側において右寄りに配される略鉛直な下側鉛直面23Bと、両鉛直面23A,23Bを接続する右下がりの傾斜面23Cとを含むものとされている。
【0017】
図2及び
図4等に示すように、機械室20の下部から左側部に亘るスペースには、圧縮機41及び凝縮器42等からなる冷凍装置40が収容される。圧縮機41は、機械室20の底壁25上の前後方向中央部に載置され、隔壁パネル23の下側鉛直面23Bの左方で傾斜面23Cの下方に配される。凝縮器42は、機械室20の右側面に沿って上方に立ち上がるように配されており、
図3に表されているように、取付部材27によって隔壁パネル23の上側鉛直面23Aに取り付けられている。また、機械室20の前端寄りの位置には、
図2に示すように、凝縮器ファン43が設置されている。機械室20前面に張られた前面パネル21の下部領域、すなわち凝縮器ファン43の前方領域には、外気の吸気口21Aが形成され、前面パネル21の上部の左側領域、すなわち凝縮器42の前方領域には、排熱の排気口21Bが形成されている。なお、側面パネルの上部位置と、下部の奥側位置にも排気口が形成され、さらに背面パネルにも排気口が形成されている。
【0018】
図3に示すように、機械室20の右側上部に設けられた冷却器室30内には、冷却器44と冷却ファン45とが装備されている。冷却器室30の右側面には、収納室13内の庫内空気を吸引して冷却器44の下方に導くためのダクト46が設けられており、ダクト46の上部位置に、冷却ファン45が取り付けられている。
【0019】
[冷却運転]
冷却運転は、圧縮機41、凝縮器ファン43、冷却ファン45が駆動されることによって行われる。冷却ファン45が駆動されると、収納室13内の庫内空気が冷却器室30に吸い込まれ、冷却器44内を流通する。この間に熱交換によって冷気が生成され、生成された冷気が収納室13に吹き出されるといった循環流が生じることで、収納室13内が冷却される。この間、庫内温度が予め定められた庫内設定温度よりも低くなると、圧縮機41と冷却ファン45の駆動が停止され、逆に庫内温度が庫内設定温度よりも高くなると、圧縮機41と冷却ファン45が駆動されるといったことが繰り返され、収納室13内がほぼ庫内設定温度に維持されるようになっている。また、凝縮器ファン43が運転されると、前面パネル21の吸気口21Aから外気が吸引されて、同外気により、凝縮器42さらには圧縮機41が冷却される。冷却に伴う排熱は、前面パネル21の排気口21B等から外部に排出されるようになっている。
【0020】
[結露水排出構造]
冷却庫1では、冷却運転によって収納室13内が冷却されるのに伴い、扉15に結露が生じる。本実施形態に係る冷却庫1の扉15は、
図2等に示すように2枚が引き違い式に取り付けられており、収納室13前面の開口を閉止した状態で内部を視認できるよう、
図5等に示すように矩形のガラス板15Aの縁部を枠材15Bで把持した構成とされている。収納室13内が冷却されると、収納室13内の温度や湿度と、外気の温度や湿度との相違により、扉15のガラス板15A等の表面に結露が生じる。冷却庫1は結露水を排出するための構造を備えており、結露水は、この結露水排出構造を通過して、冷却庫本体10の外側の底面10Aに取り付けられた庫外のドレンパン54(
図1等参照)に排水されるようになっている。
【0021】
結露水排出構造について説明する。冷却庫本体10の収納室13前面の開口13Aの下縁には、
図2及び
図5等に示すように、当該開口13Aの幅方向に亘ってレール部材16が取り付けられ、扉15の下縁を支持している。
図5に示すように、レール部材16の上面には、上方に突出して開口13Aの左右方向に延在する突条部16Bが形成されている。この突条部16Bに、扉15の枠材15Bの下縁に形成されたレール把持部15BLが嵌め込まれることで、扉15が突条部16Bに沿って摺動自在に支持される。なお、枠材15Bの上縁には、上方に開口するガラス把持部15BUが形成されており、このガラス把持部15BUにガラス板15Aが嵌め込まれ保持されている。突条部16Bは、前後に2本が並んで設けられており、一対の扉15,15の各1枚が、各突条部16B上に支持される。これにより、2枚の扉15が前後にシフトした状態ですれ違い可能に装着される。本実施形態では、2本の突条部16Bの間に形成された溝部16Aが、扉15の外表面を流下する結露水を受容する結露水受として機能するようになっている。なお、2本の突条部16Bは、レール部材16の左右端部には形成されておらず、2本の突条部16Bの間に形成された溝部16Aは、前側の突条部16Bより前方の溝部、並びに、後側の突条部16Bより後方の溝部と連通されている。よって、前後に配された一対の扉15,15の表面を流下した結露水は、レール部材16の左右端部において溝部16Aに流れるようになっている。溝部16Aの底には溝排水孔16Cが穿孔されており、溝部16Aに流れた水は、この溝排水孔16Cから下方に流出する。
【0022】
図5に示すように、溝排水孔16Cには、ドレンパイプ52が接続される。本実施形態に係るドレンパイプ52は、何れも硬質樹脂(ABS樹脂等)製の、略I字型の第1ドレン管52-1と、略L字型の第2ドレン管52-2からなる。溝排水孔16Cに、第1ドレン管52-1が下方向に延びるように取り付けられ、この第1ドレン管52-1の下端に、第2ドレン管52-2が接続されて、ドレンパイプ52は、全体として略L字型をなすように配設されており、このうち第2ドレン管52-2が、冷却庫本体10の外部、詳しくは底面10Aの下方に配されている。ドレンパイプ52のうち、第1ドレン管52-1及び第2ドレン管52-2の一部を含み、下方に延出する部分を、下方延出部52Cとする(
図8等参照)。他方、開口端52Bを有する第2ドレン管52-2の一部を含み、冷却庫本体10の下方において略後方に向けて延出するように配される部分は、後方延出部52Dとされる(
図8等参照)。既述したように、下方延出部52Cを構成する第1ドレン管52-1は、収納室13前面の開口13Aの下縁部に設けられた溝排水孔16Cに取り付けられている。よって、ドレンパイプ52は、
図2及び
図4等に表されているように、冷却庫本体10の底面10Aにおけるごく前寄りの位置から下方に導出され、略後方に延出するように配される。そして、ドレンパイプ52の開口端52Bの下方に、上面開放型の箱体からなるドレンパン54が保持される。なお、ドレンパイプ52及びドレンパン54の詳しい形状及び配置については後述する。
【0023】
[結露水の排出]
上記のような結露水排出構造により、冷却庫1において、結露水は冷却庫本体10の下方に取り付けられたドレンパン54に排水されるようになっている。すなわち、冷却運転時によって扉15の外表面を流下した結露水は、溝部16Aで受けられ、溝排水孔16Cから第1ドレン管52-1及び第2ドレン管52-2を通って、開口端52Bからドレンパン54に排水される。
【0024】
[除霜水排出構造]
冷却庫1ではまた、冷却運転が行われるのに伴い、冷却器44に着霜が生じる。そこで、冷却運転の途中で適宜に除霜運転が行われるようになっている。除霜運転は、例えば、圧縮機41と冷却ファン45とを停止した状態で、冷却器44に取り付けられた図示しないヒータを加熱することによって行われ、オールデイタイマ等を利用して定期的に実行されるように設定できる。除霜運転が行われると、冷却運転中に冷却器44に付着した霜が溶融され、除霜水が生じる。冷却庫1は除霜水を排出するための構造を備えており、除霜水は、この除霜水排出構造を通過して、冷却庫本体10の底面10Aに取り付けられた庫外のドレンパン54(
図1等参照)に排水されるようになっている。
【0025】
除霜水排出構造について説明する。
図3に示すように、本実施形態では、冷却器室30の内面が、冷却器44から滴下した除霜水を受容する除霜水受31として機能する。除霜水受31の底部からは、ドレン管33が下向きに突設されている。ドレン管33は、冷却器室30の内装板と同じ硬質樹脂製で、冷却器室30と一体成形されている。このドレン管33の下端は、機械室20の隔壁パネル23を貫通するように設けられた第一継手管34に接続される。第一継手管34は、硬質樹脂製で略L字型をなし、上端が傾斜面23Cの右上方に位置する一方、下端は、傾斜面23Cの左下方、すなわち凝縮器42の下方で圧縮機41の上方から機械室20内に突出するように配される。そして、第一継手管34の下端には、機内ドレンホース35が接続される。機内ドレンホース35は、軟質の合成樹脂材(ポリエチレン等)からなり、若干のカーブを有する形状に形成されている。詳しくは、
図4等に示すように、機内ドレンホース35は、機械室20内において、傾斜面23Cの奥寄りの位置から突出された第一継手管34の下端から、前方に延出されて圧縮機41の上方で凝縮器ファン43の後方を通過し、圧縮機41の前側を下降して、後述する第二継手管36に至るように配設されることが好ましい。このようにすれば、圧縮機41からの排熱や、凝縮器ファン43からの送風により、機内ドレンホース35への結露を効率的に抑制できる。
【0026】
図4に示すように、機械室20の底壁25には、圧縮機41よりも前側の前端部に、底壁25を貫通する略L字型の第二継手管36が取り付けられている。第二継手管36も、第一継手管34と同じく硬質樹脂製で略L字型をなす。機械室20内に配された第二継手管36の上端に、機内ドレンホース35が接続され、機械室20の下方に突出された下端に、機外ドレンホース37が接続される。このように、機内ドレンホース35と機外ドレンホース37の接続部分を、機械室20に収容された圧縮機41等の機械の前側に配置すれば、ホースの交換や清掃等のメンテナンスを容易に行うことができ、好ましい。機外ドレンホース37は、機内ドレンホース35と同じく軟質の合成樹脂からなり、若干のカーブを有する形状に形成されている。機外ドレンホース37は、
図4等に示すように、機械室20の底壁25前寄りの位置から導出され、冷却庫本体10の下方において下流側のホース開口端37Bがドレンパン54上方に至る(
図6等参照)ように配設される。なお、ドレンパンブラケット53の詳しい形状及び配置、並びに、機外ドレンホース37の配設態様については後述する。
【0027】
[除霜水の排出]
上記のような除霜水排出構造により、冷却庫1において、除霜水は冷却庫本体10の下方に取り付けられたドレンパン54に排水されるようになっている。すなわち、除霜運転時等に冷却器44から滴下した除霜水は、除霜水受31で受けられ、ドレン管33から第一継手管34を経て機内ドレンホース35内を流下する。そして、第二継手管36及び機外ドレンホース37を通って、ドレンパン54に排水される。
【0028】
[ドレン水貯留構造]
結露水及び除霜水を含むドレン水は、上記したように冷却庫本体10もしくは機械室20から排出され、ドレンパン54内に排水され溜められる。以下、主に
図6から
図9を参照しつつ、冷却庫本体10の底面10Aに取り付けられたドレンパンブラケット53と、ドレンパンブラケット53によって冷却庫本体10の下方に支持されたドレンパン54と、を含むドレン水貯留構造について説明する。なお、
図8の部分拡大側面図では、説明の便宜上、左側の前後の脚11、第二継手管36、機外ドレンホース37、及び後述する左ドレンパンブラケット53-Lの図示を省略している。
【0029】
ドレンパンブラケット53について、説明する。本実施形態に係るドレンパンブラケット53は、
図1等に示すように、冷却庫本体10の底面10Aにおいての左寄りの位置に取り付けられる左ドレンパンブラケット53-Lと、底面10Aの左右中央寄りの位置に取り付けられる右ドレンパンブラケット53-Rと、の左右一対の2つの部材からなる。以下、左右のドレンパンブラケット53-L,53-Rを区別するときは左ドレンパンブラケット53-Lもしくは右ドレンパンブラケット53-Rと記載し、両部材を区別しない又は総称する場合は、ドレンパンブラケット53と記載する。
【0030】
ドレンパンブラケット53は、例えばステンレス鋼等からなる板材を、所定の形状に型抜きし曲げ加工を施すことによって、形成される。本実施形態に係るドレンパンブラケット53は、全体として略矩形長手状の外形をなし、長手方向が冷却庫本体10の前後方向に延在するように、底面10Aに取り付けられる。以下、各ドレンパンブラケット53の形状について、これらが底面10Aに取り付けられた際の前後上下を基準として説明する。なお、左ドレンパンブラケット53-Lと右ドレンパンブラケット53-Rは、左右対称な形状とすることができる。
【0031】
ドレンパンブラケット53は、
図4、
図8及び
図9等に表されているように、前後に配される長手方向については中央部からやや前端寄り、上下方向に配される短手方向については上端側に偏在にした位置に、窓部53Bが開口形成されている。そして、ドレンパンブラケット53の下縁は、
図6から
図9等に表されているように、その略全長に亘って左側もしくは右側(一対のドレンパンブラケット53,53のうち他方のドレンパンブラケット53と対向する側)に折り曲げられて、ガイドレール部53Aが形成されている。また、同じく
図6から
図9等に表されているように、窓部53Bの下縁もガイドレール部53Aと同じ側に折り曲げられて、制限突部53Cが形成されている。ドレンパンブラケット53の前縁には、
図6及び
図8等に表されているように、制限突部53Cよりも上方の前側を閉塞するように折り曲げられた前タブ部53Dが形成されている。さらに、ドレンパンブラケット53の後縁は、同じく
図6から
図8等に表されているように、ガイドレール部53Aよりも上方の後側を閉塞するように折り曲げられた後タブ部53Eが形成されている。また、ドレンパンブラケット53の上縁には、
図7に表されているように、ガイドレール部53A等とは反対側に折り曲げられた取付縁部53Fが設けられており、この取付縁部53FをネジN等の締結具により冷却庫本体10の底面10Aに固定することで、ドレンパンブラケット53は冷却庫本体10の下方に垂下するように取り付けられる。
【0032】
次に、ドレンパン54について、説明する。本実施形態に係るドレンパン54は、底壁から前壁、後壁、左側壁、右側壁が立ち上げられた、上面開放型の略矩形状の箱型をなす。ドレンパン54は、例えば軽量で強度に優れた硬質樹脂製とすることができる。強度及び剛性を向上させるため、底壁には、箱体底全面への水の拡がりを妨げない態様で、上方に突出する複数の補強リブが適宜設けられていてもよい。ドレンパン54を構成する箱体のうち、少なくとも左右の側壁には、その上端が外側に屈曲された態様のフランジ部54Aが形成されている。本実施形態では、
図6から
図9等に示すように、左右の側壁のみならず、前壁及び後壁も上端が外側に屈曲された態様とされており、ドレンパン54の上端部には、開放面とされた上面を周回するようにフランジ部54Aが設けられている。
【0033】
ドレンパン54は、
図6から
図9等に示すように、フランジ部54Aのうち両側壁上端に形成された左右一対のフランジ部54A,54Aを、既述したドレンパンブラケット53の一対のガイドレール部53A,53A上面に載せ、一対の制限突部53C,53Cの下方に配した状態で、ドレンパンブラケット53に支持される。よって、ドレンパン54は、左右のフランジ部54Aをガイドレール部53Aにそれぞれ沿わせながら前後方向に摺動可能とされており、必要に応じて、ドレンパンブラケット53の前方に抜き差しできるようになっている。
【0034】
ここで改めて、ドレンパン54に結露水を排水するドレンパイプ52の形状及び配置について、説明する。ドレンパイプ52は、
図5、
図8及び
図9等に示すように、冷却庫本体10の底面10Aのごく前寄りの位置、少なくともドレンパンブラケット53のガイドレール部53A,53Aの前端よりも前側から導出される。よって、ドレンパイプ52のうち、冷却庫本体10の外部に配された下方延出部52Cの少なくとも一部は、一対のガイドレール部53A,53Aよりも上方において、一対のガイドレール部53A,53Aの前端よりも前方に位置している。また、ドレンパイプ52のうち、後方に延出する後方延出部52Dは、
図8及び
図9等に表されているように、やや後下がりとなる態様で延出されていることが好ましい。開口端52Bの下縁は、既述したドレンパンブラケット53の制限突部53Cの前方に位置し、
図9等に表されているように、後方延出部52Dの下面を延長面Pが、制限突部53Cよりも前方を通過してガイドレール部53Aの上面に到達するような形状及び配置とされていることが好ましい。また、開口端52Bの下端部は、
図5、
図8及び
図9等に表されているように、斜めに切除されている。
【0035】
ドレンパン54に除霜水を排水する機外ドレンホース37の配設態様について、説明する。機外ドレンホース37は、
図2及び
図4等に示すように、機械室20の底壁25の前寄りの位置から導出された第二継手管36に接続される。そして、
図4、
図6及び
図7等に示すように、左ドレンパンブラケット53-Lの窓部53Bに挿通されて、その一部を窓部53B下縁に形成された制限突部53C上に載せた状態で、ホース開口端37Bがドレンパン54の上方に位置するように保持される。この際、制限突部53C上における機外ドレンホース37の保持位置を調整すること等により、
図4等に示すように、機外ドレンホース37のうち、第二継手管36との接続部分よりも下流側でドレンパンブラケット53への挿通部分よりも上流側の一部をU字型にたるませて、排水トラップ37Aを形成することが好ましい。このようにすれば、排水トラップ37Aに常に水が溜まるようにして、害虫の侵入や匂いを抑制できる。このような排水トラップ37Aが形成されている場合、第二継手管36等を経て機外ドレンホース37に到達した除霜水等のドレン水は、排水トラップ37Aに溜まった水を入れ替えながら、ドレンパン54に排水される。
【0036】
[ドレン水処理作業]
ドレンパイプ52及び機外ドレンホース37から排水されドレンパン54内に溜められたドレン水は、適宜に排水施設に捨てる等して処理する必要がある。上記したような本実施形態に係るドレン水貯留構造は、ドレン水の処理に際して必要となるドレンパン54の装着及び脱着の作業を容易に行えるものとなっている。
【0037】
ドレンパン54を脱着する際には、例えば前側のフランジ部54Aを掴んでドレンパン54を少し前方に引き出し、左右の両側部を支えながら、左右のドレンパンブラケット53-L,53-Rに形成された一対のガイドレール部53A,53Aに沿って左右一対のフランジ部54A,54Aを摺動させて、取り外すことができる。この際、溜まったドレン水が揺れることでドレンパン54に種々の方向への力が働き、ドレンパン54が不安定になり、場合によっては傾いてドレン水が零れるといった事態に至ることがあるため、引き出す作業を慎重に行う必要がある。この点、本実施形態に係るドレン水貯留構造では、
図6及び
図7等に表されているように、ドレンパン54のフランジ部54Aが、ドレンパンブラケット53のガイドレール部53Aの上方で且つ制限突部53Cの下方に配されるため、
図8に表されているように、ドレンパン54の上下の傾きが制限される。よって、ドレンパン54を比較的安定した状態に維持しながら引き出すことができ、脱着作業を容易に行うことができる。また、
図9等に表されているように、ドレンパン54の上方前側に配されるドレンパイプ52の開口端52Bの先端は、下部が斜めに切除されているため、ドレンパイプ52の開口端52Bに引っ掛けることなく、ドレンパン54を引き出すことができるようになっている。
【0038】
ドレンパン54の装着する際には、ドレン水を廃棄した空のドレンパン54を後方に向けてやや傾けながら、ドレンパン54を左右のドレンパンブラケット53-L,53-Rの間に挿入し、フランジ部54Aをガイドレール部53A上に載せて摺動させながら押し込んで取り付けることができる。この際、左右のドレンパンブラケット53-L,53-Rは冷却庫本体10の底面10Aに取り付けられているため、これらの位置を確認してドレンパン54を挿入しようとすると、屈んで冷却庫本体10の下方を覗き込む必要がある。この点、本実施形態に係るドレン水貯留構造では、
図1及び
図6、並びに、
図4、
図8及び
図9に表されているように、ドレンパイプ52がドレンパン54差込位置の前側から導出されている。よって、ドレンパイプ52を目印としてドレンパン54を挿入でき、屈んで覗き込むという作業負担が軽減される。場合によっては、ドレンパン54の後壁に形成されたフランジ部54Aの適当な位置に、ドレンパイプ52と位置合わせできるような位置決めマークを付しておいてもよい。また、
図9に表されているように、ドレンパイプ52は、その後方延出部52Dの下面を延長した延長面Pが、制限突部53Cの前からガイドレール部53A上に到達するような態様とされている。よって、ドレンパン54の上端をドレンパイプ52の下面に沿わせて押し込めば、後方延出部52Dの下面が案内面となって、フランジ部54Aをガイドレール部53Aと制限突部53Cとの間に容易に配置できる。この際、
図6等に表されているように、ドレンパンブラケット53の前側には前タブ部53Dが設けられているため、ドレンパン54が上方にずれたとしても、制限突部53Cの上方にはドレンパン54のフランジ部54Aが挿入されることがないようになっている。また、
図6及び
図7等に表されているように、後タブ部53Eが設けられていることで、ドレンパン54の後方への移動が所定の位置で停止され、過度な押し込みが防止されるようになっている。
【0039】
なお、機外ドレンホース37は、左ドレンパンブラケット53-Lの制限突部53C上に載置されているため、そのままでもドレンパン54を脱着/装着する際に邪魔になることはない。除霜水排出構造のメンテナンス等のために機外ドレンホース37を左ドレンパンブラケット53-Lから取り外す必要があった場合は、
図7等に示すように、制限突部53Cに沿ってホース開口端37Bを容易に窓部53Bに再挿入でき、機外ドレンホース37の一部を制限突部53C上に載置した所定の形状で配設できる。
【0040】
[本実施形態に係る構成と効果]
以上記載したように、本実施形態に係る冷却庫1は、下記(1)の構成を有する。
(1) 前面に開口13Aが形成され被冷却物を収納する収納室13を備えた冷却庫本体10と、冷却庫本体10に取り付けられ収納室13の開口13Aを開閉する扉15と、冷却庫本体10に設けられ扉15を流下する結露水を受ける溝部16Aと、冷却庫本体10の外部に配された開口端52Bを有し溝部16Aで受けられた前記結露水を開口端52Bから排出するドレンパイプ52と、冷却庫本体10に着脱可能に支持され開口端52Bから排出された前記結露水を受容するドレンパン54と、冷却庫本体10に取り付けられドレンパン54を支持するドレンパンブラケット53と、を備え、ドレンパンブラケット53は、冷却庫本体10の底面10Aの下方において前後方向に延在する一対のガイドレール部53A,53Aを有し、ドレンパン54の少なくとも一部を一対のガイドレール部53A,53Aに載せた状態で支持するものであって、ドレンパイプ52の少なくとも一部は、冷却庫本体10の外部において、一対のガイドレール部53A,53Aよりも上方で且つ一対のガイドレール部53A,53Aの前端よりも前側に配されている。
【0041】
上記(1)の構成によれば、冷却庫本体10の前方から着脱されるドレンパン54を取り付ける際、結露水排出用のドレンパイプ52の下端に沿って前方から後方にドレンパンを差し入れることにより、ドレンパンをドレンパンブラケットに装着できる。この際、ドレンパイプ52を目印として、ドレンパン54の差込位置を決めることができる。よって、屈んで冷却庫本体10の下方を覗き込むという作業負担が軽減される。また、ドレンパン54を取り付ける際、ドレンパイプ52の下端(例えば、後方延出部52D下面)がガイドとなって、ドレンパン54のフランジ部54A(ドレンパン54のうちガイドレール部53Aによってガイドされる部分)を、容易にドレンパンブラケット53のガイドレール部53A上に配置できる。この結果、ドレン水処理に係る作業を行い易くなり、冷却庫1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0042】
また、本明細書によって開示される冷却庫は、下記(2)の構成を有していてもよい。
(2) 上記(1)において、ドレンパイプ52は、冷却庫本体10の底面10Aの下方において後方に延出された後方延出部52Dを含む。
このような構成によれば、後方延出部52Dの下面がドレンパン54の案内面となることで、ドレンパン54をドレンパンブラケット53上の適切な位置に取り付け易くなる。
【0043】
また、本実施形態に係る冷却庫1は、下記(3)の構成を有していてもよい。
(3) 上記(2)において、一対のガイドレール部53A,53Aは、互いに対向する側に突出するように設けられ、ドレンパン54は、上面開放型の箱体をなすとともに前記箱体の左右の側壁の上端が外側に屈曲された一対のフランジ部54A,54Aを有し、一対のフランジ部54A,54Aを一対のガイドレール部53A,53Aに載せた状態でドレンパンブラケット53に支持されるものであって、ドレンパイプ52において後方延出部52Dの先端の下端部が斜めに切除されて開口端52Bが形成されている。
このような構成によれば、ドレンパンの開口縁を補強するフランジ部を、ガイドレール部上に保持させる構造として利用できる。また、ドレンパイプがドレンパンの上方に垂下するように配されていても、開口端の下側が斜めに切除されていることでドレンパンを取り外す際にドレンパンの上端が引っ掛かり難く、脱着作業をスムーズに行うことができる。
【0044】
また、本実施形態に係る冷却庫1は、下記(4)の構成を有していてもよい。
(4) 上記(1)から(3)の何れかにおいて、ドレンパンブラケット53は、一対のガイドレール部53A,53Aのそれぞれの上方において互いに対向する側に突出する左右一対の制限突部53C,53Cをさらに有し、ドレンパン54は、フランジ部54Aが一対の制限突部53C,53Cの下側に配された状態で、ドレンパンブラケット53によって支持される。
このような構成によれば、ドレンパン54のフランジ部54Aがガイドレール部53Aと制限突部53Cとの間に支持されることにより、ドレンパン54の抜き差し時の上下動が一定範囲に制約される。よって、ドレンパン54が安定した状態で脱着及び装着作業を行うことができ、ドレン水処理に係る作業性が改善される。なお、(4)の構成において、ドレンパイプ52を、後方延出部52Dの下面を延長した延長面Pが、制限突部53Cの前方を通過してガイドレール部53Aの上面に到達するような態様で配設すれば、ドレンパン54の上端をドレンパイプ52の後方延出部52D下面に沿わせながら挿入することにより、ドレンパン54のフランジ部54Aを、ドレンパンブラケット53のガイドレール部53Aと制限突部53Cとの間に容易に配置できる。
【0045】
また、本実施形態に係る冷却庫1は、下記(5)の構成を有していてもよい。
(5) 上記(1)から(4)の何れかにおいて、収納室13を冷却するための冷凍装置40を収容する機械室20と、収納室13もしくは機械室20から導出され、ホース開口端37Bを有する機外ドレンホース(ドレンホースの一例)37と、をさらに備え、ドレンパンブラケット53は、一対のガイドレール部53A,53Aの少なくとも一方の上側において開口する窓部53Bと、窓部53Bの下端縁に、一対のガイドレール部53A,53Aの他方側に向けて屈曲形成された制限突部(案内突出部の一例)53Cと、をさらに有し、機外ドレンホース37は、窓部53Bに挿通され、制限突部53C上に載置されてホース開口端37Bがドレンパン54の上方に配された状態で、ドレンパンブラケット53によって支持される。
このような構成によれば、例えば冷却器44への着霜に由来するドレン水を排水する機外ドレンホース37を、ドレンパンブラケット53の窓部53Bから制限突部53Cに沿わせて挿入・引出することで、ドレンパン54上に容易に配置できる。そして、挿入した機外ドレンホース37の一部を制限突部53C上に載置することで、機外ドレンホース37に局所的な力がかかることを回避しつつ配設できる。なお、本実施形態に係る冷却庫1では、制限突部53Cの一部が、機外ドレンホース37を案内して保持する案内突出部を兼ねる構成としており、簡易な構成によって上記効果が得られるものとなっている。
【0046】
<その他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)上記実施形態では、ドレンパイプ52が第1ドレン管52-1及び第2ドレン管52-2からなり、開口端52Bを有する第2ドレン管52-2が、第1ドレン管52-1を介してレール部材16の溝部16Aに連通されている構成について記載したが、これに限定されない。ドレンパイプは、溝部と連通されて、溝部で受容した結露水を開口端から排出可能に構成されていればよい。ここで「連通され」とは、溝部からの液体の流通が可能なように接続されていることをいう。ドレンパイプは、溝部に直接接続されていてもよく、液体を流通可能な他の部材が間に介在していても構わない。また、ドレンパイプは、複数の部材から構成されていてもよく、溝部に一体形成されていてもよい。ドレンパイプは、1つの部材で構成されていても、3つ以上の部材で構成されていてもよく、ドレンパイプとレール部材が一体成型されていても構わない。
【0048】
(2)上記実施形態では、冷却庫が引き違い式(スライド式)の扉を備えるものとし、扉をスライドさせるためのレール部材の溝部で受容した結露水を排水するドレンパイプを備えるものとしたが、これに限定されない。扉の下縁に結露水を受容する溝部を備え、ここから排水するドレンパイプを有するものであればよく、扉が揺動開閉式に装着された冷却庫にも、本技術は適用できる。
【0049】
(3)上記実施形態では、冷却庫下方に取り付けられるドレンパンが、扉への結露及び冷却器への着霜に起因する結露水もしくは除霜水を含むドレン水を受容するものとしたが、これに限定されない。例えば収納室内等に生じた庫内排水を冷却庫本体の下面から導出したパイプ等によってドレンパンに排水したり、庫内排水を機械室内に通した排水ホースに合流させてドレンパンに排水したりする形式のドレン水排出構造を備えた冷却庫にも、本技術は適用できる。
【0050】
(4)上記実施形態では、ドレンパンブラケットが左右一対の部材からなる場合について記載したが、これに限定されない。一対のガイドレール部を有するものであれば、例えば平面視で略Uの字型の外形をなす1つの部材であってもよい。また、一対の部材からなる場合であっても、左右のドレンパンブラケットは必ずしも左右対称な形状である必要はない。例えば上記実施形態において、左ドレンパンブラケット53-Lが機外ドレンホース37を挿通させる窓部53Bを有する一方、右ドレンパンブラケット53-Rには窓部が形成されていなくてもよい。
【0051】
(5)上記実施形態では、ドレンパン54の上端に形成されたフランジ部54Aが、ドレンパンブラケット53のガイドレール部53A上に配置される場合について記載したが、これに限定されない。ガイドレール部53Aが、ドレンパン54の底面を支持し、ドレンパン54全体がガイドレール部53A上に配置されるように構成してもよい。
【0052】
(6)上記実施形態において、第一継手管34及び第二継手管36は、径が異なる2種類の管部材からなる2段構造になっていてもよい。例えば、下側接続部の下端部周縁に取付部が設けられており、取付部が隔壁パネル23もしくは底壁25に形成された孔の周縁部に固定されることで、第一継手管34もしくは第二継手管36を所定位置に固定する。そして、第一継手管34もしくは第二継手管36の下流側の端部に、孔を貫通したエルボと同エルボに嵌め込まれて一体とした機内ドレンホース35もしくは機外ドレンホース37を接続してもよい。
【0053】
(7)冷却庫は、上記実施形態に記載したものに限定されず、例えば機械室を上側もしく下側に設けた構成の縦型の冷却庫にも、本技術は適用可能である。冷却庫は、冷蔵庫であってもよいし、冷凍庫であってもよい。さらには、急速冷却庫や蓄冷剤庫等のように常時収納室内に被冷却物を収納していない冷却庫にも、本技術は適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…冷却庫、10…冷却庫本体、10A…底面、13…収納室、13A…開口、15…扉、16…レール部材、16A…溝部、16B…突条部、16C…溝排水孔、20…機械室、25…底壁、30…冷却器室、31…除霜水受、35…機内ドレンホース、37…機外ドレンホース(ドレンホースの一例)、37A…排水トラップ、37B…ホース開口端、40…冷凍装置、44…冷却器、52…ドレンパイプ、52-1…第1ドレン管、52-2…第2ドレン管、52B…開口端、52C…下方延出部、52D…後方延出部、53…ドレンパンブラケット、53-L…左ドレンパンブラケット、53-R…右ドレンパンブラケット、53A…ガイドレール部、53B…窓部、53C…制限突部(一部が案内突出部を兼ねる)、53D…前タブ部、53E…後タブ部、54…ドレンパン、54A…フランジ部、P…延長面