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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20240222BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240222BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F25D19/00 510C
F25D11/00 101D
F25D19/00 510Z
F25D21/14 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019195217
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067434
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓哉
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特許第3635993(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/196219(WO,A1)
【文献】特開平07-063471(JP,A)
【文献】実開平06-002090(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 11/00
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の内部を冷却するための冷却装置と、前記貯蔵庫本体の下側に配された複数の車輪と、を備えて移動可能とされた冷却貯蔵庫であって、
前記貯蔵庫本体は、前方に開口するとともに内部において複数の棚板を上下方向に並ぶ形で載置可能な貯蔵室と、前記貯蔵室の下方に設けられた機械室と、を有し、
前記冷却装置は、前記貯蔵室内における上部に配された冷却器と、前記冷却器を覆う状態で前記貯蔵室の天井面に取り付けられたハウジング部材と、前記ハウジング部材における前記冷却器の前方に設けられて前記ハウジング部材内に空気を吸引する庫内ファンと、前記機械室内に配されて少なくとも圧縮機および凝縮器を含む機械室側ユニットと、前記機械室から前記貯蔵室内に入り込んで前記冷却器と前記機械室側ユニットとを接続する冷媒管と、を有し、
前記ハウジング部材は、自身の後端と前記貯蔵室の背面との間に隙間を形成する形状とされ、その隙間を前記ハウジング部材の内部から下方に向かって空気を吹き出す吹出口として機能させるものとされ、
前記冷媒管は、前記貯蔵室内の背面の両側端部のうち一方側の側端部に沿って上下方向に延びる状態で配され、
前記貯蔵室の背面には、
断面L字形で長手状の部材であって、長手方向に沿う一方側の縁部が前記貯蔵室の背面に固定されるとともに他方側の縁部が前記貯蔵室の側面に固定され、前記冷媒管を覆って上下方向に延びる状態の冷媒管カバーと、
断面コの字形で長手状の部材であって、長手方向に沿う2本の縁部が前記貯蔵室の背面に固定され、前記冷媒管カバーから離間した位置において上下方向に延びるとともに、前方に向かって突出する突条部と、
が配され、
前記突条部は、上端が前記吹出口の下方に位置するとともに、最下段に載置される棚板より下方まで延ばされており、
前記突条部と前記冷媒管カバーは、前記貯蔵室の背面から前方への突出高が一致し、挿入された前記棚板が当接するストッパとして機能するように構成された冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記ハウジング部材は、前記冷却器から滴下する水を受けるドレンパンとして機能するものとされ、
当該冷却貯蔵庫は、そのハウジング部材内の水を排出させるべく、前記貯蔵室の背面側の壁部の内部に向かって延びる排水管を備え、
前記排水管は、前記貯蔵室の背面側の壁部の内部を上下方向に延びる本体部と、前後方向に延びて前記ハウジング部材から前記本体部の上端とを接続する接続部と、を有し、
前記突条部と前記排水管の前記接続部とは、上下方向において重ならない位置に配された請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記突条部は、前記貯蔵室内において幅方向における中央に位置する請求項1または請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵庫本体の前方側における一方側の側端部に沿って延びる軸線まわりに回動可能に設けられ、前記貯蔵室を開閉可能な扉を備え、
前記扉の背面には、上下方向に延びるとともに後方に向かって突出する扉側突条部が形成された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車輪を備えて移動可能な冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、貯蔵庫本体と、貯蔵庫本体の内部に設けられた冷却装置と、貯蔵庫本体の下側に配された複数の車輪と、を備えて移動可能とされた冷却貯蔵庫が記載されている。下記特許文献1に記載の冷却貯蔵庫(収納庫)は、貯蔵庫本体が有する貯蔵室(収納室)内に、食品や飲料品等の貯蔵品を収容した棚板(トレイ)を収納できるようになっている。そして、下記特許文献1に記載の収納庫は、トレイが載置される棚受が、収納室の内壁側から内側に向かうにつれて所要高低差で段々に低くなるように設けられてトレイが水平に載置される複数の設置部と、各設置部における収納室の内壁側に設けられて各設置部に載置されるトレイの幅方向への移動を規制する規制部と、下段側の設置部の後端に立設されて各設置部に載置される各トレイの後方への移動を規制するストッパと、から構成されており、幅寸法が異なるトレイを、その移動を規制した状態で載置することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3635993号公報
【文献】特許第3670170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された冷却貯蔵庫のように、複数の車輪を備えて移動可能な構成の冷却貯蔵庫においては、当該冷却貯蔵庫の移動によって、貯蔵室内に載置された棚板が変動しやすい。棚板が変動してしまうと、上記特許文献1にも記載されているように、棚板上の貯蔵品が転倒するなどして、内容物がこぼれたり、貯蔵室内部に勢い良く接触して貯蔵室内部が損傷したりする虞がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、移動可能な冷却貯蔵庫において貯蔵室内に載置した棚板の変動を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の冷却貯蔵庫は、
貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の内部を冷却するための冷却装置と、前記貯蔵庫本体の下側に配された複数の車輪と、を備えて移動可能とされた冷却貯蔵庫であって、
前記貯蔵庫本体は、前方に開口するとともに内部において複数の棚板を上下方向に並ぶ形で載置可能な貯蔵室と、前記貯蔵室の下方に設けられた機械室と、を有し、
前記冷却装置は、前記貯蔵室内における上部に配された冷却器と、前記機械室内に配されて少なくとも圧縮機および凝縮器を含む機械室側ユニットと、前記機械室から前記貯蔵室内に入り込んで前記冷却器と前記機械室側ユニットとを接続する冷媒管と、を有し、
前記冷媒管は、前記貯蔵室内の背面の両側端部のうち一方側の側端部に沿って上下方向に延びる状態で配され、
前記貯蔵室の背面には、
前記冷媒管を覆って上下方向に延びる状態の冷媒管カバーと、
前記冷媒管カバーから離間した位置において上下方向に延びるとともに、前方に向かって突出する突条部と、
が配され、
前記突条部と前記冷媒管カバーは、前記貯蔵室の背面から前方への突出高が一致するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
例えば、突条部が存在しない構成の冷却貯蔵庫においては、棚板の後端を、冷媒管カバーによって幅方向における一端のみで支持することになってしまう。そして、棚板の幅が小さいと、棚板の幅方向における他端側が後方に入り込んでしまう事態、換言すれば、冷媒管カバーを支点として棚板が回転するような事態となる。それに対して、この構成の冷却貯蔵庫は、貯蔵室内に載置された棚板の後端を、冷媒管カバーと突条部との2点で支持することができるため、上記のような水平面上で回転する棚板の変動を抑えることができる。
【0008】
上記構成において、前記冷却装置は、前記冷却器を覆う状態で前記貯蔵室の天井面に取り付けられたハウジング部材と、前記ハウジング部材における前記冷却器の前方に設けられて前記ハウジング部材内に空気を吸引する庫内ファンと、を備え、前記ハウジング部材は、自身の後端と前記貯蔵室の背面との間に隙間を形成する形状とされ、その隙間を前記ハウジング部材の内部から下方に向かって空気を吹き出す吹出口として機能させるものとされ、前記突条部は、中空状とされ、最下段に載置される棚板より下方まで延ばされた構成とすることができる。
【0009】
この構成の冷却貯蔵庫は、貯蔵室内の空気の循環路が、貯蔵室の上部において前側から吸い込んで後側から吹き出す構成のものに限定し、吹き出された冷気の一部を、突条部を利用して、貯蔵室の底面に、換言すれば、最下段に載置される棚板の下側に供給することができる。したがって、この構成の冷却貯蔵庫は、突条部が、棚板のストッパだけでなく、エアダクトとしても機能させることができ、貯蔵室内の冷却を効率的に行うことができる。
【0010】
また、上記構成において、前記突条部は、前記貯蔵室内において幅方向における中央に位置する構成とすることができる。
【0011】
この構成の冷却貯蔵庫は、突条部の内部から貯蔵室の底面に対して冷気を吹き出す際に、幅方向における中央に吹き付けることができ、左右均等に冷気を流すことができるため、貯蔵室内の冷却をより効率的に、ムラなく行うことができる。
【0012】
また、上記構成において、前記ハウジング部材は、前記冷却器から滴下する水を受けるドレンパンとして機能するものとされ、当該冷却貯蔵庫は、そのハウジング部材内の水を排出させるべく、前記貯蔵室の背面側の壁部の内部に向かって延びる排水管を備え、前記突条部と前記排水管とは、上下方向において重ならない位置に配された構成とすることができる。
【0013】
この構成の冷却貯蔵庫は、ハウジング部材の内部から冷気を吹き出す前に、その冷気が排水管に当たることになるが、その排水管が突条部から幅方向にずれた位置に配されているため、冷気を確実に突条部の内部に送ることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記貯蔵庫本体の前方側における一方側の側端部に沿って延びる軸線まわりに回動可能に設けられ、前記貯蔵室を開閉可能な扉を備え、前記扉の背面には、上下方向に延びるとともに後方に向かって突出する扉側突条部が形成された構成とすることができる。
【0015】
この構成の冷却貯蔵庫は、扉側突条部の存在によって、棚板の扉本体への接触を防止することができるとともに、棚板の前方側への移動可能な量を小さくすることができる。また、この構成の冷却貯蔵庫は、棚板の貯蔵室内への挿入が不十分で、前方にとび出していた場合であっても、扉を閉める際に、扉側突条部が棚板に当接して棚板を貯蔵室内に向かって押し込むことができる。棚板を貯蔵室内に押し込むことで、棚板と扉本体との間に隙間を確保することができ、棚板と扉との間の冷気の循環路を確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動可能な冷却貯蔵庫において貯蔵室内に載置した棚板の変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態である冷却貯蔵庫の斜視図
図2】本実施形態の冷却貯蔵庫の正面図(扉を開いた状態)
図3】本実施形態の冷却貯蔵庫の側面断面図(図2におけるA-A断面)
図4図3に示した機械室の平面図(図3におけるC-C断面)
図5】貯蔵室の天井面を下方からの視点で示す図(図3におけるD-D断面)
図6】本実施形態の冷却貯蔵庫の側面断面図(図2におけるB-B断面)
図7】貯蔵室内を上方からの視点で示す図(図6におけるE-E断面)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態である冷却貯蔵庫10を図1から図7によって説明する。本実施形態の冷却貯蔵庫10は、図1に示すように、複数のキャスタ(車輪)11を有する台車部12と、その台車部12上に立設する縦長の貯蔵庫本体13と、扉14と、を備えており、容易に移動させることが可能なものとなっている。貯蔵庫本体13は、図2および図3に示すように、前方に開口する貯蔵室15と、その貯蔵室15の下方に配された機械室16と、を有している。なお、貯蔵室15は、貯蔵庫本体13におけるその貯蔵室15を形成する各壁部および扉14の内部に断熱材が充填されて、断熱性を有するものとなっているが、各断面図において断熱材の図示を省略している。
【0019】
扉14は、貯蔵庫本体13に取り付けられて、貯蔵室15を開閉可能とされている。詳しく言えば、扉14は、貯蔵庫本体13に対し、右側の側端部に設けられたヒンジ14Aを介して回動可能に取り付けられており、使用者は、扉14の左側に設けられたハンドル17を利用して、扉14を開閉させることが可能とされている。また、以下の説明では、扉14側を前側(正面側)、扉14とは反対側を後側(背面側)とするとともに、正面視(冷却貯蔵庫10を前側から視た状態、図2に示す状態)における左右方向が冷却貯蔵庫10の左右方向として説明する。
【0020】
図2および図3に示すように、貯蔵室15内には、左右の側壁面15A,15Bの各々に、前後2本ずつの棚柱20が固定されている。そして、左右の側壁面15A,15Bの各々において、前後の棚柱20に渡すようにしてトレイガイド21が着脱可能とされており、食材等を載せたトレイ(棚板)22を、前方から挿入し、左右で一対をなすトレイガイド21上に載置することが可能とされている。なお、貯蔵室15内には、複数対のトレイガイド21を取り付けることが可能とされており、複数のトレイ22を上下方向に並ぶ形で載置することが可能となっている。
【0021】
本冷却貯蔵庫10は、貯蔵庫本体13の内部(貯蔵室15)を冷却するための冷却装置30を備えている。機械室16には、図3に示すように、その冷却装置30の一部(機械室側ユニット)30Aが設けられている。機械室側ユニット30Aは、凝縮器31と、凝縮器ファン32と、圧縮機33と、を備える。機械室側ユニット30Aは、機械室16の右側に配されており、前方から凝縮器31,凝縮器ファン32,圧縮機33の順で設けられている。そして、この機械室側ユニット30Aから後方に向かって冷媒管34A,34Bが延び出しており、後に詳しく説明するが、それら冷媒管34A,34Bによって、貯蔵室15内に配された冷却器(蒸発器)35と循環接続されている。なお、冷媒管34Aは、圧縮機33が凝縮器31を介して冷却器35側に冷媒を吐出する吐出側冷媒管であり、冷媒管34Bは、圧縮機33が冷却器35側から冷媒を吸入する吸入側冷媒管である。つまり、冷却装置30が作動することで、冷却器35が冷気を生成し、貯蔵室15を冷却することが可能な構成となっている。
【0022】
なお、機械室16内における台車部12の上面には、前後方向にスライド可能なスライダ36が設けられており、上記の凝縮器31,凝縮器ファン32,圧縮機33は、そのスライダ36上に固定されている。そして、機械室16の前方には、図1から図4に示すように、脱着可能なフロントパネル16Aが取り付けられている。つまり、フロントパネル16Aを取り外して、スライダ36を前方に移動させることで、機械室側ユニット30Aのメンテナンス等を行うことが可能とされている。
【0023】
また、機械室16には、機械室側ユニット30Aの左側(機械室16の左側)で、フロントパネル16Aのすぐ後方に、本冷却貯蔵庫10が備える各機器類の動作を制御するための電装箱40が設けられている。その電装箱40の後方には、概して直方体形状の空間を区画するための区画部材41が設けられており、その区画部材41によって区画された空間に、本冷却貯蔵庫10の庫内排水を溜めるドレンタンク42が設けられている。なお、この区画部材41によって区画された空間は、後方に開口しており、ドレンタンク42は、後方側から容易に取り出せるようになっている。
【0024】
次に、説明を留保した冷却器35、および、その冷却器35と機械室側ユニット30Aとの接続構造について詳しく説明する。冷却器35は、図3に示すように、貯蔵庫本体13における貯蔵室15の天井面15Cに固定されている。そして、上述した冷媒管34A,34Bは、機械室16における後端部において屈曲し、上方に向かって延び、冷却器35と接続されている。詳しく言えば、冷媒管34A,34Bは、機械室16から貯蔵室15内に入り込んで、貯蔵室15の背面15Dにおける右側の側端部に沿って延設されているのである。なお、それら冷媒管34A,34Bは、図2および図5に示すように、貯蔵室15内の右奥の角部に沿って取り付けられた冷媒管カバー50によって覆われている。
【0025】
上記の冷却器35および冷媒管34A,34Bの冷却器35への接続部は、ハウジング部材51によって覆われている。ハウジング部材51は、天井面15Cに取り付けられた金属製のスペーサ51Aと、スペーサ51Aの下側に取り付けられた樹脂製のエアダクト51Bとからなる。ハウジング部材51と貯蔵室15の天井面15Cとの間に、冷却器室52が形成される。そのハウジング部材51のエアダクト51Bには、冷却器35の前方に、庫内ファン53が設けられており、その庫内ファン53の駆動により、貯蔵室15内の空気が冷却器室52内に吸引される。また、ハウジング部材51のエアダクト51Bは、図5および図6に示すように、後端と、貯蔵室15の背面15Dとの間に隙間54が形成されており、庫内ファン53から吸引されて冷却器35を通過する間に熱交換されて生成された冷気が、その隙間54から下方に吹き出される。つまり、その隙間54が、冷却器室52の吹出口となっている。以上のような構成から、圧縮機33、凝縮器ファン32および庫内ファン53が駆動されると、冷却器室52から貯蔵室15内に、冷気が循環供給される構成となっている。
【0026】
なお、ハウジング部材51のエアダクト51Bは、ドレンパンとしても機能する。ハウジング部材51のエアダクト51Bは、図3に示すように、底面が後方に向かうにつれて下降傾斜する形状のものとされており、エアダクト51Bの底面に滴下した水は、後方に向かって流れるようになっている。そのエアダクト51Bの後端には、ドレンホース(排水管)60が設けられている。ドレンホース60は、貯蔵庫本体13の背面15D側の壁部の内部を通って機械室16にまで延ばされている。さらに、ドレンホース60は、区画部材41を貫通し、先端がドレンタンク42上に位置させられており、冷却器室52において出た排水がドレンタンク42に溜まるようになっている。尚、冷却運転によって冷却器35に生じた着霜は、本実施形態では、適宜冷却運転を止めることによって融解させる構成としている。除霜の方法は、このようなオフサイクルデフロストに限定されるものではなく、冷却器35に除霜ヒータを付設し、これに通電して融解させる構成としてもよい。また、電源コードを抜き電力供給を停止した状態で冷却貯蔵庫10を移動させる際にも、冷却運転が止まることによって着霜が融解し、除霜水が生じる場合がある。
【0027】
次に、本実施形態の特徴について、詳しく説明する。本冷却貯蔵庫10は、図2に示すように、貯蔵室15の背面15Dに、上下方向に延びるとともに前方に向かって突出する突条部としてのストッパ部材70が固定されている。このストッパ部材70は、図7に示すように、背面15Dから前方への突出高Hが、冷媒管カバー50の突出高と一致するものとなっている。例えば、このストッパ部材70が存在しない場合には、トレイ22の後端を、冷媒管カバー50によって幅方向における一端(右側端部)のみで支持することになってしまう。そして、トレイ22が一対のトレイガイド21に載置された状態において幅方向に余裕があると、トレイ22の幅方向における他端側(左側)が後方に入り込んでしまうような事態、換言すれば、冷媒管カバー50を支点としてトレイ22が回転するような事態となる。それに対して、本冷却貯蔵庫10は、図7に示すように、トレイ22の後端を、冷媒管カバー50とストッパ部材70との2点で支持することができるため、上記のような水平面上で回転するトレイ22の変動を抑えることができる。
【0028】
上記ストッパ部材70は、図2に示すように、ハウジング部材51のエアダクト51Bの後端(吹出口54)の近傍から、最下段のトレイガイド21とほぼ同じ高さまで延びている。つまり、ストッパ部材70は、その最下段のトレイガイド21に載置されたトレイ22より下方にまで延びるものとなっている。また、ストッパ部材70は、図7に示すように、断面が概してコの字状の部材とされている。それにより、ストッパ部材70と貯蔵室15の背面15Dとによって、中空部Sが形成されている。そして、図6に示すように、中空部Sの上側の開口S1が、吹出口54の真下に位置しているため、吹出口54から吹き出された冷気が流入することになる。つまり、この中空部Sは、最下段のトレイ22の下側に、換言すれば、貯蔵室15の底面15Eに、吹出口54から吹き出された冷気の一部を供給するエアダクトとして機能するものとなっている。したがって、本冷却貯蔵庫10は、トレイ22のストッパであるストッパ部材70を、エアダクトとしても機能させることができ、貯蔵室15内の冷却を効率的に行うことができる。
【0029】
また、ストッパ部材70は、貯蔵室15内において幅方向における中央に位置している。つまり、中空部Sの下側の開口S2が、貯蔵室15の底面15Eにおける後端側の幅方向中央に対向しており、その箇所に冷気を吹き付けることができる。そのため、最下段のトレイ22の下側に供給した冷気を左右均等に流すことができ、貯蔵室15内の冷却をより効率的に、ムラなく行うことができる。
【0030】
上述したように、吹出口54のすぐ内側には、ドレンホース60が横断している。図5に示したように、そのドレンホース60とストッパ部材70とが、上下方向において重ならない位置に、換言すれば、幅方向(左右方向)にずれた位置に配されている。ハウジング部材51内において吹出口54に向かう冷気は、ドレンホース60に当たることになるが、そのドレンホース60がストッパ部材70の上方に位置していないため、ストッパ部材70の内部(中空部S)に冷気を確実に送り込むことができる。
【0031】
本冷却貯蔵庫10は、また、図2および図7に示すように、扉14の内面に、上下方向に延びるとともに、扉14の閉状態において後方に向かって突出する扉側突条部としての扉側ストッパ部材80が取り付けられている。この扉側ストッパ部材80は、図6に示すように、最下段のトレイガイド21から最上段のトレイガイド21より上方まで延びており、扉14が閉状態にある場合に、どの高さに載置されたトレイ22に対しても前方側に位置するものとなる。つまり、扉側ストッパ部材80は、トレイ22の扉14の内面への接触を防止することができるとともに、本冷却貯蔵庫10を移動させるような場合において、貯蔵室15内に載置されたトレイ22の前方側への移動可能な量を小さくすることができる。
【0032】
また、本冷却貯蔵庫10は、トレイ22の貯蔵室15内への挿入が不十分で、前方にとび出していた場合であっても、扉14を閉める際に、扉側ストッパ部材80がトレイ22に当接してそのトレイ22を貯蔵室15内に向かって(後方に向かって)押し込むことができる。それにより、トレイ22の前端と扉14との間に隙間を確保すること、つまり、貯蔵室15内における底面15E側から上方に向かう空気の流れを確保することができ、貯蔵室15内の冷却を効率的に行うことができる。さらに言えば、扉側ストッパ部材80は、中空状とされているため、その上方に向かう空気の流れを妨げることがなく、貯蔵室15内の冷却をより効率的に行うことができる。さらにまた、扉側ストッパ部材80は、図7に示すように、扉14における左右方向における中央に、換言すれば、貯蔵室15内の左右方向における中央に位置している。そのため、貯蔵室15の前方側において上方に向かう空気の流れも左右均等にすることができ、貯蔵室15内の冷却をより効率的に、ムラなく行うことができる。
【0033】
以上のように、本冷却貯蔵庫10は、移動可能な構成のものであるが、貯蔵室15内に載置したトレイ22の変動を抑えることができるため、トレイ22上の貯蔵物の転倒等を抑えることができる。また、本冷却貯蔵庫10は、トレイ22の変動を抑えるべく、貯蔵室15内に向かって突出する部分(突条部,扉側突条部)が設けられているが、貯蔵室15内の冷気の流れは十分に確保しており、貯蔵物の冷却を効率的に行うことができるようになっている。
【0034】
<他の実施形態>
上記実施形態の冷却貯蔵庫10においては、突条部として機能するストッパ部材70が、貯蔵室15内において幅方向における中央に設けられていたが、その位置に限定されず、冷媒管カバー50から幅方向に離間した位置に設けられればよい。例えば、突条部を、貯蔵室15の背面15Dの両側端部のうち冷媒管カバー50が設けられた一方側(右側)と反対の他方側(左側)に設けることで、それた冷媒管カバー50と突条部とによって、トレイ22の幅方向における両端を支持することができ、トレイ22の回転する変動を確実に抑えることができる。
【符号の説明】
【0035】
10…冷却貯蔵庫、11…キャスタ〔車輪〕、13…貯蔵庫本体、14…扉、15…貯蔵室、15A,15B…側壁面、15C…天井面、15D…背面、15E…底面、20…棚柱、21…トレイガイド、22…トレイ〔棚板〕、30…冷却装置、30A…機械室側ユニット、31…凝縮器、32…凝縮器ファン、33…圧縮機、34A…吐出側冷媒管、34B…吸入側冷媒管、35…冷却器、42…ドレンタンク、50…冷媒管カバー、51…ハウジング部材、53…庫内ファン、54…隙間〔吹出口〕、60…ドレンホース〔排水管〕、70…ストッパ部材〔突条部〕、S…中空部、80…扉側ストッパ部材〔扉側突条部〕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7