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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20240222BHJP
   F21V 29/60 20150101ALI20240222BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20240222BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20240222BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240222BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V29/60
F21V29/74
F21V29/83
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019206769
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2020187995
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019090522
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509311252
【氏名又は名称】株式会社共立電照
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】船ヶ山 保幸
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174481(JP,A)
【文献】特開2010-257760(JP,A)
【文献】特開2000-251527(JP,A)
【文献】特開2015-097187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 29/74
F21V 29/83
F21V 29/60
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筐体と、前記外筐体の内側に固定される内蓋と、前記外筐体の下端部に固定される、透光性を有するカバーと、前記カバーに固定され、かつ、前記カバーの上方に搭載されるLEDを有するLED光源ユニットとを備えた照明器具であって、
前記内蓋と前記LED光源ユニットによって形成される第1閉空間の周りに、前記外筐体と前記内蓋によって形成される第2閉空間が存する二重構造なっているとともに、前記LED光源ユニットと前記カバーによって第3閉空間が形成されており、
前記第1閉空間内に前記LED光源ユニットの放熱フィンが配置され、
前記照明器具の外部から前記第1閉空間内に冷却空気を送り込むためのエア吸気口と、前記第1閉空間内に送り込まれた前記冷却空気を前記照明器具の外部に排出するためのエア排気口と、を更に備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記エア吸気口に、紙を抄く工場内に配設された送風管に一端が接続されたホースの他端が接続される、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記外筐体及び内蓋がステンレス鋼製である、請求項1又は2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。更に詳細には、本発明は、高温・多湿環境下での使用に好適な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高温・多湿環境下で使用される照明器具は、劣化が早く(1~2か月程度)、その交換に費用・時間がかかっていた。
特に、LED(発光ダイオード)は、熱や湿気に弱く、温度や湿度の上昇とともに発光効率が下がったり、素子が劣化してしまったりするという問題があった。多くの電力を消費するLED照明器具ともなると、無視できないほどの熱がLEDから放出されるため、発光効率を維持し、かつ、劣化を防止するための適切な放熱設計を施す必要がある。
具体的な放熱設計としては、例えば特許文献1で提案されているように、LED回路基板の裏側に放熱フィンを設けることが考えられる。これによれば、放熱フィンによってLED回路基板から熱が吸収され、当該放熱フィンの表面から周囲に放熱されることで、LEDが高温になることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-305455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記放熱フィンのみを用いた設計の場合、100W程度の電力を消費するLED照明器具では放熱が間に合わず、LEDの温度が無視できないほど上昇してしまうという問題があった。また、特許文献1等に開示された照明器具では、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下で使用した場合に、光源ユニットが外気の温度・湿度の影響を受けてしまい、光源ひいては当該照明器具の劣化を招いてしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下でも好適に使用することが可能な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る照明器具の構成は、
(1)外筐体と、前記外筐体の内側に固定される内蓋と、前記外筐体の下端部に固定される、透光性を有するカバーと、前記カバーに固定され、かつ、前記カバーの上方に搭載されるLEDを有するLED光源ユニットとを備えた照明器具であって、
前記内蓋と前記LED光源ユニットによって形成される第1閉空間の周りに、前記外筐体と前記内蓋によって形成される第2閉空間が存する二重構造なっているとともに、前記LED光源ユニットと前記カバーによって第3閉空間が形成されており、
前記第1閉空間内に前記LED光源ユニットの放熱フィンが配置され、
前記照明器具の外部から前記第1閉空間内に冷却空気を送り込むためのエア吸気口と、前記第1閉空間内に送り込まれた前記冷却空気を前記照明器具の外部に排出するためのエア排気口と、を更に備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の照明器具の上記(1)の構成によれば、外気の温度・湿度が、LED光源ユニットが存する、内蓋とカバーによって形成される閉空間(第1閉空間と第3閉空間)内に伝わることを防止して、LEDひいては当該照明器具の劣化を抑えることが可能となる。
また、前記第1閉空間内に前記LED光源ユニットの放熱フィンが配置され、前記照明器具の外部から前記第1閉空間内に冷却空気を送り込むためのエア吸気口と、前記第1閉空間内に送り込まれた冷却空気を前記照明器具の外部に排出するためのエア排気口と、を更に備えていることにより、前記第1閉空間内に前記エア吸気口を介して送り込まれた冷却空気は、前記第1閉空間内で循環して前記エア排気口から外部に排出される間に、前記LED光源ユニット、特に前記放熱フィンに効率良く当たる。このため、効率の良い放熱が可能となる。その結果、前記LEDの温度上昇を回避して、前記LEDの発光効率を向上させ、かつ、長寿命化を図ることが可能となる。
【0008】
本発明の照明器具の上記(1)の構成においては、以下の(2)から()のような構成にすることが好ましい。
【0009】
(2)前記エア吸気口に、紙を抄く工場内に配設された送風管に一端が接続されたホースの他端が接続される。
【0011】
(3)前記外筐体及び内蓋がステンレス鋼製である。
【0012】
上記(3)の好ましい構成によれば、ステンレス鋼はその熱伝導率が低いため、外気の温度・湿度が、LED光源ユニットが存する、内蓋とカバーによって形成される閉空間(第1閉空間と第3閉空間)内に伝わることを更に防止して、LEDひいては当該照明器具の劣化を確実に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下でも好適に使用することが可能な照明器具を提供することができる。すなわち、本発明によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下においても、長時間交換せずに使用できる照明器具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1における照明器具を斜め上方から見た斜視図
図2】本発明の実施形態1における照明器具を斜め下方から見た斜視図
図3】本発明の実施形態1における照明器具を示す、一部破断した正面図
図4】本発明の実施形態1における照明器具を示す右側面図
図5】本発明の実施形態1における照明器具を斜め下方から見た分解斜視図
図6】本発明の実施形態1における照明器具の設置状態を示す右側面図
図7】本発明の実施形態1における照明器具の放熱試験の結果を示す図
図8】本発明の実施形態2における照明器具を斜め上方から見た斜視図
図9】本発明の実施形態2における照明器具を示す、一部破断した正面図
図10】本発明の実施形態2における照明器具の冷却空気の流れを示す、一部破断した正面図
図11】本発明の実施形態2における照明器具の放熱試験の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好適な実施形態を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
(実施形態1)
[照明器具の構成]
まず、本発明の実施形態1における照明器具の構成について、図1から図5を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態1における照明器具を斜め上方から見た斜視図、図2は、当該照明器具を斜め下方から見た斜視図、図3は、当該照明器具を示す、一部破断した正面図、図4は、当該照明器具を示す右側面図、図5は、当該照明器具を斜め下方から見た分解斜視図である。背面図は、正面図と同一に表れる。
【0020】
図1から図5に示すように、本実施形態の照明器具25は、外筐体2と、外筐体2の内側に固定される内蓋3と、外筐体2の下端部に固定されるカバー4と、カバー4の上面に固定される光源ユニット5とを備えている。
【0021】
外筐体2は、四角錐台状の上部筐体2aと、上部筐体2aと一体に形成された直方体状の下部筐体2bとからなっている。下部筐体2bの4つの側板には、それぞれ、内蓋3を取り付けるための2つの第1貫通孔8と、カバー4を取り付けるための1つの第2貫通孔9とが形成されている。
【0022】
外筐体2の左右側面には、それぞれアングル取付板2c,2dが固着されており、当該アングル取付板2c,2dには、吊り下げアングル10の両端部がそれぞれ枢着ピン11を介して傾動可能に枢着されている。また、アングル取付板2c,2dには、それぞれ、枢着ピン11の下方に位置して弧状の貫通孔12が形成されている。ここで、貫通孔12の軌跡は、枢着ピン11の中心を中心とする円の円周の一部である。また、吊り下げアングル10の両端部には、枢着ピン11の下方に位置してボルト孔(図示せず)が形成されている。これにより、吊り下げアングル10を鉛直状態(図6の二点鎖線を参照)から傾斜させた後(図6の実線及び矢印Aを参照)、貫通孔12を通してボルト孔(図示せず)にボルト13を螺合することで、吊り下げアングル10を任意の傾斜角度で固定することができる。
吊り下げアングル10には、ボルト孔10aが形成されている。これにより、吊り下げアングル10をボルト(図示せず)によって天井等14に固定することで、照明器具25を天井等14に吊り下げ設置することができる(図6を参照)。
【0023】
外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11及びボルト13は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製である。
【0024】
内蓋3は、外筐体2と同様に、四角錐台状の上部蓋体3aと、上部蓋体3aと一体に形成された直方体状の下部蓋体3bとからなっており、下部蓋体3bの下端部外周には、フランジ部3cが形成されている。また、フランジ部3cの4つの側板には、外筐体2に取り付けるための2つの第1ネジ孔15がそれぞれ螺設されている。
【0025】
内蓋3は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製である。
【0026】
カバー4は、矩形状のフレーム16と、フレーム16の内側に気密状態で配置された透光板17とを備えている。フレーム16の4つの側板には、外筐体2に取り付けるための1つの第2ネジ孔18がそれぞれ螺設されている。また、フレーム16の4つのコーナー部には、光源ユニット5を取り付けるための2つの第3ネジ孔(図示せず)がそれぞれ螺設されている。
【0027】
フレーム16は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製であり、透光板17は、透明なポリカーボネート製である。
【0028】
光源ユニット5は、四角錐台状のユニット本体19と、ユニット本体19の天板の下面に接着された2つのLED回路基板20と、ユニット本体19の天板の上面に設けられた複数の放熱フィン21とを備えている(LED光源ユニット)。ここで、LED回路基板20には、複数のLED(光源)22が搭載されている。
また、ユニット本体19の下端部外周には、フランジ部19aが形成されており、当該フランジ部19aの4つのコーナー部には、カバー4に取り付けるための2つの第3貫通孔23がそれぞれ形成されている。
【0029】
ユニット本体19及び放熱フィン21は、熱伝導性が良好で放熱性に優れたアルミニウム(Al)製である。
【0030】
[照明器具の組立方法]
次に、本発明の実施形態1における照明器具の組立方法について説明する。
【0031】
まず、フレーム16の第3ネジ孔(図示せず)にフランジ部19aの第3貫通孔23を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、カバー4に光源ユニット5を固定する。
次いで、フランジ部3cの第1ネジ孔15に外筐体2の第1貫通孔8を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、外筐体2の内側に内蓋3を固定する。このとき、上部蓋体3aの天板が上部筐体2aの天板に当接した状態となる。
最後に、フレーム16の第2ネジ孔18に外筐体2の第2貫通孔9を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、外筐体2の下端部にカバー4を固定する。
以上により、照明器具25の組立が完了する。組み立てられた照明器具25は、内蓋3と光源ユニット5によって形成される第1閉空間の周りに、外筐体2と内蓋3によって形成される第2閉空間が存する二重構造となっている(図3を参照)。これにより、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを防止して、LED22ひいては照明器具1の劣化を抑えることが可能となる。また、上記したように、外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11、ボルト13、内蓋3及びフレーム16は、熱伝導率の低いステンレス鋼(SUS)製であるため、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを更に防止して、LED22ひいては当該照明器具1の劣化を確実に抑えることが可能となる。
なお、各部材の接続部にシリコーンゴム等のシール材を介在させれば、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを更に確実に防止することが可能となる。
【0032】
[照明器具の設置方法]
次に、本発明の実施形態1における照明器具の設置方法について、図6をも参照しながら説明する。
【0033】
図6は、本発明の実施形態1における照明器具の設置状態を示す右側面図である。左側面図は、右側面図と同一に表れる。
【0034】
図6に示すように、まず、天井等14の形状(傾きなど)に合わせて、吊り下げアングル10を鉛直状態(図6の二点鎖線を参照)から所定角度だけ傾斜させた後(図6の実線及び矢印Aを参照)、貫通孔12を通してボルト孔(図示せず)にボルト13を螺合することにより、吊り下げアングル10を任意の傾斜角度で固定する。
次いで、吊り下げアングル10をボルト(図示せず)によって天井等14に固定することにより、照明器具25を天井等14に吊り下げ設置する。このとき、照明器具25は、透光板17が鉛直下方を向いた状態となる。
【0035】
以上説明した照明器具25は、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下での使用に好適である。好適である理由については、後述する。
【0036】
[照明器具の作用効果]
次に、本発明の実施形態1における照明器具の作用効果について、図7をも参照しながら説明する。
【0037】
図7は、本発明の実施形態1における照明器具の放熱試験の結果を示す図である。
【0038】
上記したように、本実施形態の照明器具25は、内蓋3と光源ユニット5によって形成される第1閉空間の周りに、外筐体2と内蓋3によって形成される第2閉空間が存する二重構造となっている(図3を参照)。このため、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下における外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを防止して、LED22ひいては当該照明器具1の劣化を抑えることが可能となる。また、外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11、ボルト13、内蓋3及びフレーム16は、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製であるため、高温・多湿環境下における使用に好適である。
このように、本実施形態の照明器具25の構成によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下でも好適に使用することが可能な照明器具を提供することができる。すなわち、本実施形態の照明器具25の構成によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下においても、長時間交換せずに使用できる照明器具を提供することが可能となる。
【0039】
図7に、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下における照明器具25の放熱試験の結果を示す。図7中、TAは外気温度、TsはLED22の表面温度、「本体温度」は照明器具25の周囲の温度をそれぞれ示している。
照明器具25を上記のように構成したことにより、外気温度(TA)80℃において、電源投入(図7の時間軸「16:47:08」)後、LED22の表面温度、放熱フィン21の温度、照明器具25の周囲の測定温度は、徐々に上昇し、3時間20分経過後に(図7の時間軸「20:07:08」)、それぞれ、78.0℃、76.0℃、69.0℃に安定している。
この結果、本実施形態の照明器具25は、外気の温度・湿度の影響を受けず、また、十分な放熱特性を有し、LED22の寿命劣化が防止されると言える。
【0040】
なお、本実施形態においては、光源ユニットがLED光源ユニット5である場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。光源ユニットとして、白熱電球や通常の蛍光灯を搭載した光源ユニットを用いた場合であっても、LED光源ユニット5を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【0041】
(実施形態2)
[照明器具の構成]
次に、本発明の実施形態2における照明器具の構成について、上記実施形態1で参照した図2図4図5、及び、図8図9を参照しながら説明する。
【0042】
図8は、本発明の実施形態2における照明器具を斜め上方から見た斜視図、図9は、当該照明器具を示す、一部破断した正面図である。背面図は、正面図と同一に表れる。
【0043】
図2図4図5図8図9に示すように、本実施形態の照明器具1は、外筐体2と、外筐体2の内側に固定される内蓋3と、外筐体2の下端部に固定されるカバー4と、カバー4の上面に固定される光源ユニット5とを備えている。
【0044】
外筐体2は、四角錐台状の上部筐体2aと、上部筐体2aと一体に形成された直方体状の下部筐体2bとからなっている。上部筐体2aの天板には、冷却空気を内蓋3の内部に送り込むためのエア吸気口6と、内蓋3の内部に送り込まれた冷却空気を外部に排出するためのエア排気口7とが設けられている。下部筐体2bの4つの側板には、それぞれ、内蓋3を取り付けるための2つの第1貫通孔8と、カバー4を取り付けるための1つの第2貫通孔9とが形成されている。
【0045】
外筐体2の左右側面には、それぞれアングル取付板2c,2dが固着されており、当該アングル取付板2c,2dには、吊り下げアングル10の両端部がそれぞれ枢着ピン11を介して傾動可能に枢着されている。また、アングル取付板2c,2dには、それぞれ、枢着ピン11の下方に位置して弧状の貫通孔12が形成されている。ここで、貫通孔12の軌跡は、枢着ピン11の中心を中心とする円の円周の一部である。また、吊り下げアングル10の両端部には、枢着ピン11の下方に位置してボルト孔(図示せず)が形成されている。これにより、吊り下げアングル10を鉛直状態(上記実施形態1で参照した図6の二点鎖線を参照)から傾斜させた後(図6の実線及び矢印Aを参照)、貫通孔12を通してボルト孔(図示せず)にボルト13を螺合することで、吊り下げアングル10を任意の傾斜角度で固定することができる。
吊り下げアングル10には、ボルト孔10aが形成されている。これにより、吊り下げアングル10をボルト(図示せず)によって天井等14に固定することで、照明器具1を天井等14に吊り下げ設置することができる(図6を参照)。
【0046】
外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11及びボルト13は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製である。
【0047】
内蓋3は、外筐体2と同様に、四角錐台状の上部蓋体3aと、上部蓋体3aと一体に形成された直方体状の下部蓋体3bとからなっており、下部蓋体3bの下端部外周には、フランジ部3cが形成されている。上部蓋体3aの天板には、エア吸気口6及びエア排気口7等の下端部が貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。また、フランジ部3cの4つの側板には、外筐体2に取り付けるための2つの第1ネジ孔15がそれぞれ螺設されている。
【0048】
内蓋3は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製である。
【0049】
カバー4は、矩形状のフレーム16と、フレーム16の内側に気密状態で配置された透光板17とを備えている。フレーム16の4つの側板には、外筐体2に取り付けるための1つの第2ネジ孔18がそれぞれ螺設されている。また、フレーム16の4つのコーナー部には、光源ユニット5を取り付けるための2つの第3ネジ孔(図示せず)がそれぞれ螺設されている。
【0050】
フレーム16は、熱伝導率が低く、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製であり、透光板17は、透明なポリカーボネート製である。
【0051】
光源ユニット5は、四角錐台状のユニット本体19と、ユニット本体19の天板の下面に接着された2つのLED回路基板20と、ユニット本体19の天板の上面に設けられた複数の放熱フィン21とを備えている(LED光源ユニット)。ここで、LED回路基板20には、複数のLED(光源)22が搭載されている。
また、ユニット本体19の下端部外周には、フランジ部19aが形成されており、当該フランジ部19aの4つのコーナー部には、カバー4に取り付けるための2つの第3貫通孔23がそれぞれ形成されている。
【0052】
ユニット本体19及び放熱フィン21は、熱伝導性が良好で放熱性に優れたアルミニウム(Al)製である。
【0053】
[照明器具の組立方法]
次に、本発明の一実施形態における照明器具の組立方法について説明する。
【0054】
まず、フレーム16の第3ネジ孔(図示せず)にフランジ部19aの第3貫通孔23を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、カバー4に光源ユニット5を固定する。
次いで、フランジ部3cの第1ネジ孔15に外筐体2の第1貫通孔8を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、外筐体2の内側に内蓋3を固定する。このとき、上部蓋体3aの天板に形成された貫通孔(図示せず)を、エア吸気口6及びエア排気口7等の下端部が貫通し、上部蓋体3aの天板が上部筐体2aの天板に当接した状態となる。
最後に、フレーム16の第2ネジ孔18に外筐体2の第2貫通孔9を一致させて、ネジ(図示せず)を螺合することにより、外筐体2の下端部にカバー4を固定する。
以上により、照明器具1の組立が完了する。組み立てられた照明器具1は、内蓋3と光源ユニット5によって形成される第1閉空間の周りに、外筐体2と内蓋3によって形成される第2閉空間が存する二重構造となっている(図9図10を参照)。これにより、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを防止して、LED22ひいては照明器具1の劣化を抑えることが可能となる。また、上記したように、外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11、ボルト13、内蓋3及びフレーム16は、熱伝導率の低いステンレス鋼(SUS)製であるため、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを更に防止して、LED22ひいては当該照明器具1の劣化を確実に抑えることが可能となる。
なお、各部材の接続部にシリコーンゴム等のシール材を介在させれば、外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを更に確実に防止することが可能となる。
【0055】
[照明器具の設置方法]
次に、本発明の実施形態2における照明器具の設置方法について、上記実施形態1で参照した図6をも参照しながら説明する。
【0056】
図6に示すように、まず、天井等14の形状(傾きなど)に合わせて、吊り下げアングル10を鉛直状態(図6の二点鎖線を参照)から所定角度だけ傾斜させた後(図6の実線及び矢印Aを参照)、貫通孔12を通してボルト孔(図示せず)にボルト13を螺合することにより、吊り下げアングル10を任意の傾斜角度で固定する。
次いで、吊り下げアングル10をボルト(図示せず)によって天井等14に固定することにより、照明器具1を天井等14に吊り下げ設置する。このとき、照明器具1は、透光板17が鉛直下方を向いた状態となる。
【0057】
以上説明した照明器具1は、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下での使用に好適である。好適である理由については、後述する。
【0058】
[照明器具の作用効果]
次に、本発明の一実施形態における照明器具の作用効果について、図10図11をも参照しながら説明する。
【0059】
図10は、本発明の実施形態2における照明器具の冷却空気の流れを示す、一部破断した正面図、図11は、当該照明器具の放熱試験の結果を示す図である。
【0060】
本実施形態の照明器具1を、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下で使用する場合には、図10に示すように、工場内に配設された送風管に一端が接続されたホース24の他端がエア吸気口6に接続される。
【0061】
上記したように、本実施形態の照明器具1は、内蓋3と光源ユニット5によって形成される第1閉空間の周りに、外筐体2と内蓋3によって形成される第2閉空間が存する二重構造となっている(図10を参照)。このため、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下における外気の温度・湿度が、光源ユニット5が存する第1閉空間内に伝わることを防止して、LED22ひいては当該照明器具1の劣化を抑えることが可能となる。また、外筐体2、アングル取付板2c,2d、吊り下げアングル10、枢着ピン11、ボルト13、内蓋3及びフレーム16は、錆びにくいステンレス鋼(SUS)製であるため、高温・多湿環境下における使用に好適である。
また、図10に示すように、光源ユニット5が存する第1閉空間内にエア吸気口6を介して送り込まれた冷却空気(図10の矢印⇒を参照)は、前記第1閉空間内で循環してエア排気口7から外部に排出される間に、放熱フィン21に効率良く当たる。このため、効率の良い放熱が可能となる。その結果、LED22の温度上昇を回避して、LED22の発光効率を向上させ、かつ、長寿命化を図ることが可能となる。なお、エア排気口7からは常に冷却空気が排出されることとなるので、エア排気口7を通して外気が第1閉空間内に入って来ることはない。
このように、本実施形態の照明器具1の構成によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下でも好適に使用することが可能な照明器具を提供することができる。すなわち、本実施形態の照明器具1の構成によれば、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下においても、長時間交換せずに使用できる照明器具を提供することが可能となる。
【0062】
図11に、例えば、紙を抄く工場ライン等の高温・多湿環境下における照明器具1の放熱試験の結果を示す。図11中、TAは外気温度、TsはLED22の表面温度、「本体温度」は照明器具1の周囲の温度をそれぞれ示している。
照明器具1を上記のように構成したことにより、外気温度(TA)が80℃において、電源投入(図11の時間軸「9:05:13」)後、LED22の表面、照明器具1の周囲の測定温度は、徐々に上昇し、2時間48分経過後に(図11の時間軸「11:53:13」)、それぞれ、80.0℃、67.0℃に安定している。
この結果、本実施形態の照明器具1は、外気の温度・湿度の影響を受けず、また、十分な放熱特性を有し、LED22の寿命劣化が防止されると言える。
【0063】
なお、本実施形態においては、光源ユニットがLED光源ユニット5である場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成に限定されるものではない。光源ユニットとして、白熱電球や通常の蛍光灯を搭載した光源ユニットを用いた場合であっても、LED光源ユニット5を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1,25 照明器具
2 外筐体
2a 上部筐体
2b 下部筐体
2c,2d アングル取付板
3 内蓋
3a 上部蓋体
3b 下部蓋体
3c,19a フランジ部
4 カバー
5 光源ユニット
6 エア吸気口
7 エア排気口
8 第1貫通孔
9 第2貫通孔
10 吊り下げアングル
10a ボルト孔
11 枢着ピン
12 弧状の貫通孔
13 ボルト
14 天井等
15 第1ネジ孔
16 フレーム
17 透光板
18 第2ネジ孔
19 ユニット本体
20 LED回路基板
21 放熱フィン
22 LED(発光ダイオード)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11