(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 29/00 20060101AFI20240222BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D19/00 540Z
F25D19/00 550Z
(21)【出願番号】P 2019226536
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】金山 在勇
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-186102(JP,A)
【文献】特開2001-041635(JP,A)
【文献】特開平10-148463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 29/00
F25D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体と、
前記断熱箱体の下方に設けられた機械室と、
前記機械室内に配置されている圧縮機と、
前記圧縮機の横に
固定され背面側に開口部を有するとともに前記開口部から前方に延びる収納部が形成される外装部材と、
前記開口部から挿入されて、部品載置面が左右方向に向くように縦方向に配置されている制御基板と
を備えている冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御基板と前記圧縮機との間
に位置する前記収納部は、熱伝導板を有しており、
前記制御基板は、断熱部材からなり前記圧縮機に面する側と反対の側が開口しているケースに保持された状態で前記開口部から挿入される、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記機械室内において、前記
収納部と前記断熱箱体の側壁との間には、空間が設けられて
おり、
前記空間の背面側に位置する前記外装部材には、前記制御基板と接続される配線を通すための穴が形成されている、
請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械室を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、周囲との断熱を行うために、貯蔵空間の外周を覆うように断熱箱体が設けられている。断熱箱体の背面側の下方には、冷凍サイクルを構成する圧縮機などが配置される機械室が設けられている。
【0003】
また、冷蔵庫は、圧縮機などの電気部品を制御するための制御基板を備えている。例えば、特許文献1には、冷蔵庫本体5の後方に形成した機械室6と、機械室6の近傍に設けられた制御基板8とを備えている冷蔵庫が開示されている。制御基板8には、冷蔵庫の電気部品を制御する電子制御部品が配置されている。制御基板8は、冷蔵庫本体5の下部後方で、かつ機械室6の上方の断熱壁中に形成された穴の中に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、断熱壁の一部を抉るようにして穴を形成し、この穴の内部に制御基板を配置しているため、制御基板が配置されている領域の断熱壁が薄くなり、断熱性能が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、断熱箱体を抉ることなく、圧縮機の近くに制御基板を配置することのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体の下方に設けられた機械室と、前記機械室内に配置されている圧縮機と、前記圧縮機の横に縦方向に配置されている制御基板とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫によれば、断熱箱体を抉ることなく、圧縮機の近くに制御基板を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の背面部の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の内部構成を示す断面模式図である。
【
図3】
図1に示す冷蔵庫において機械室内の基板ユニットを取り外した状態を示す平面図である。
【
図4】
図1に示す冷蔵庫の機械室内の各ユニットの配置を示す模式図である。
【
図5】
図3に示す状態の機械室に基板ユニットの外装部材を取り付けた状態を示す平面図である。
【
図6】
図5に示す状態の機械室に樹脂ケースを取り付けた状態を示す平面図である。
【
図7】
図1に示す冷蔵庫に備えられている基板ユニットの外観を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示す冷蔵庫に備えられている基板ユニットの外観を示す斜視図である。
【
図9】
図7に示す基板ユニットの各構成部品を分解した状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。
図1には、冷蔵庫1の背面側の構成を示す。また、
図2には、冷蔵庫1の内部構成を示す。なお、
図2では、圧縮機31以外の機械室30内の構成部材は、図示を省略している。
【0012】
図2に示すように、冷蔵庫1は、上段に第1の冷蔵室11、中段に冷凍室12、および、下段に第2の冷蔵室13などを備えている。第1の冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。冷凍室12には、冷凍室扉12aが設けられている。第2の冷蔵室13には、冷蔵室扉13aが設けられている。
【0013】
以上のように、本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、上段部、中段部、及び下段部に区分けされて、各貯蔵空間が設けられている。各貯蔵空間の間には、仕切り部59が設けられている。但し、各貯蔵空間の配置位置については、これに限定はされない。
【0014】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。
【0015】
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクル40が設けられている。冷凍サイクル40は、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機31、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器(蒸発器)32が接続されて構成されている。
【0016】
図2に示すように、圧縮機31は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室30内に配置されている。冷却器32は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室35内に配置されている。冷却室35内には、冷却器32の他に、冷却ファン33などが備えられている。冷却ファン33は、冷却室35と各貯蔵空間との間で空気を循環させるために設けられている。
【0017】
また、冷蔵庫1の内部には、制御部が設けられている。制御部は、例えば、後述する制御基板21に配置されている。この制御部が、冷凍サイクル40の運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機31を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、サイクル内を冷媒が流通する。
【0018】
具体的には、圧縮機31により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高圧の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器32に送られる。冷却器32に流入する冷媒は冷却室35内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機31に送られる。このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器32と熱交換した気流によって冷気が生成される。
【0019】
(断熱箱体の構成)
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。
図2に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱61と、内箱62と、真空断熱材51と、発泡断熱材56とを備えている。
【0020】
外箱61は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱61は、主として、上面部50a、側面部50b、背面部50c、および底面部50dで構成されている。内箱62は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱62は、貯蔵空間(例えば、第1の冷蔵室11、冷凍室12、第2の冷蔵室13)及び冷却室35との境界を形成している。
【0021】
なお、断熱箱体50の底部の背面側には、機械室30を配置するための空間が形成されている。つまり、機械室30は、断熱箱体50の外側に配置される。これは、圧縮機31が運転されることにより、機械室30内の温度が上昇するためである。
【0022】
真空断熱材51及び発泡断熱材56は、外箱61と内箱62との間の空間内に設けられている。真空断熱材51は、薄いシート状または板状の断熱材である。真空断熱材51は、例えば、冷蔵庫1の側面、上面、底面、及び、背面などにそれぞれ配置されている。発泡断熱材56は、例えば、発泡ポリウレタン(硬質ウレタンフォームともいう)などで形成することができる。
【0023】
(機械室内部の構成)
続いて、断熱箱体50の背面側下方に設けられた機械室30のより詳細な構成について、
図1などを参照しながら説明する。
図1には、機械室30の背面を覆う背面カバーを取り外した状態の断熱箱体50の背面部を示す。
図3には、
図1に示す冷蔵庫1において、機械室30内に配置されている基板ユニット20を取り外した状態を示す。
図4には、機械室30内に配置されている各構成部品(すなわち、圧縮機31、基板ユニット20、および蒸発皿70)の位置関係を模式的に示す。
【0024】
断熱箱体50の背面部50cは、主として外箱61のバックプレートで構成されている。機械室30は、背面部50cの下方に位置している。機械室30は、主に、断熱箱体50の底面部50dを形成している底板63で区画されている。
図2などに示すように、底板63は、その後方部分が上方にせり上がっている。底板63の最も後方側は、水平方向に略平坦な形状となっており、この部分が機械室30の天井部63aを形成している。
【0025】
底板63は、機械室30を区画するための領域として、天井部63aおよび立ち上がり部63cを有している(
図2参照)。天井部63aは、機械室30の上面(天井)を形成している。立ち上がり部63cは、機械室30の前面を形成している。また、機械室30の側面は、外箱61の側面部50bによって形成されている。
【0026】
機械室30内には、主として、圧縮機31、基板ユニット20、および蒸発皿70などが配置されている。圧縮機31は、背面から見て機械室30内のやや右側(正面から見た場合は、左側)に配置されている。基板ユニット20は、圧縮機31の横に配置されている。
図1に示す例では、基板ユニット20は、圧縮機31の左側(正面から見た場合は、圧縮機31の右側)に配置されている。但し別の例では、圧縮機31の右側(正面から見た場合は、圧縮機31の左側)に基板ユニット20が配置されていてもよい。
【0027】
基板ユニット20内には、制御基板21が配置されている。
図4に示すように、制御基板21は、縦方向(水平面に直交する方向)に配置されている。より具体的には、制御基板21は、機械室30の側壁を形成している断熱箱体50の側面部50bと略平行に配置されている。
【0028】
また、機械室30内において、基板ユニット20が配置されている空間20Aの前方側には、各種配線を含むハーネス38が配置されている(
図3参照)。ハーネス38は、断熱箱体50内の各電気部品、圧縮機31などの機械室30内の各電気部品、制御基板21、および電源ユニット(図示せず)などに接続されている。
【0029】
蒸発皿70は、圧縮機31の上方に配置されている。蒸発皿70には、冷却室35内で発生した結露水が排出される。冷却室35内で発生する結露水には、例えば、冷却器32を除霜したときに発生する除霜水などが含まれる。
図4に示すように、蒸発皿70の底面部70dには、上方へ湾曲した凹部71が形成されている。この凹部71は、圧縮機31の上方部分(頭部)の形状に沿った形状に成型されている。
【0030】
蒸発皿70は、概略的には、長方形の箱型の形状を有している。蒸発皿70の外形は、主として、前面部(図示せず)、側面部70b、背面部70c、および底面部70dで構成されている。各面部の名称は、蒸発皿70を冷蔵庫1に取り付けた状態での位置に基づいて規定されている。これらの各面部を有していることで、上方に配置された排水管(図示せず)から排出された結露水を貯めることができる。
【0031】
蒸発皿70の外面側には、圧縮機31で発生した熱を排出するための排熱用の溝72が設けられている。この溝72は、底面部70dから背面部70cにかけて形成されている。
【0032】
蒸発皿70の背面部70cには、上方へ延びる支持部73が設けられている。支持部73の個数は特に限定はされないが、本実施形態では、2個の支持部73が設けられている。
図3に示すように、支持部73の上端部は、断熱箱体50の背面部50cに対して支持固定されている。
【0033】
(基板ユニットの構成)
続いて、基板ユニット20の詳しい構成について説明する。
図5および
図6には、機械室30内を拡大した状態を示す。
図5では、基板ユニット20を構成する外装部材(すなわち、筐体22および保持部材23)を取り付けた状態を示す。
【0034】
図7および
図8には、基板ユニット20の外観を示す。
図7では、基板ユニット20をカバー25側から見たときの外観を示す。
図8では、基板ユニット20を筐体22側から見たときの外観を示す。
図9には、基板ユニット20を構成する各部品を分解した状態を示す。
【0035】
基板ユニット20は、主な構成として、制御基板21、筐体(熱伝導板)22、保持部材23、樹脂ケース24、およびカバー25を有している。
【0036】
制御基板21は、例えば、電子回路、コイルなどの各種電子部品を備えている。制御基板21は、略平板状の形状を有している。後述するように、制御基板21は、箱状の樹脂ケース24内に配置されている。制御基板21は、縦方向(すなわち、水平面に直交する方向)に配置されている。より具体的には、
図4に示すように、略平板状の制御基板21は、機械室30の側壁を形成している断熱箱体50の側面部50bと略平行に配置されている。
【0037】
筐体22は、熱伝導性の高い材料で形成されている板(例えば、金属板)を所定形状に成型して形成されている。筐体22は、制御基板21を搭載した樹脂ケース24を内部に収容する。筐体22は、主として、第1側壁22a、第2側壁22b、第3側壁22c、上面部22d、および下面部22eなどで構成されている。
【0038】
第1側壁22aは、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、圧縮機31および蒸発皿70と隣接する位置に設けられている。すなわち、第1側壁22aは、圧縮機31と制御基板21との間に配置されている(
図4参照)。
【0039】
第2側壁22bは、第1側壁22aと対向する位置に設けられており、第1側壁22aと略平行な面部を有している。また、第2側壁22bは屈曲した形状を有しており、これにより、空間22Sが形成される。この空間22Sは、基板ユニット20を機械室30内に取り付けたときに、機械室30の前方側に位置する。そのため、この空間22Sは、ハーネス38(
図3参照)を配置する空間として利用することができる。
【0040】
図8に示すように、第2側壁22bには、制御基板21と接続される配線を通すための穴22gが形成されている。ハーネス38内の複数の配線は、空間22Sにおいて分岐し、その一部が穴22gから基板ユニット20内へ配される。
【0041】
第3側壁22cは、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、機械室30の前面側に位置する。上面部22dは、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、機械室30の上面側に位置する。下面部22eは、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、機械室30の底面側に位置する。
【0042】
第3側壁22c、上面部22d、および下面部22eは、第1側壁22aと第2側壁22bとを連結している。これらの各部分は何れも熱伝導性が高いため、第1側壁22aと第2側壁22bとの間の熱伝達が促進される。そのため、例えば、圧縮機31に近い第1側壁22aに伝わった圧縮機31の熱を、第3側壁22c、上面部22d、および下面部22eの何れかを介して、第2側壁22bへ効率よく伝達させることができる。
【0043】
また、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で筐体22の背面側には、側壁が設けられておらず、開口した状態となっている。すなわち、筐体22は、機械室30の背面側に開口した開口部22Fを有している。
【0044】
樹脂ケース24は、側方に開口した略直方体の箱型の形状を有している。樹脂ケース24は、開口部24Fを有している。この開口部24Fは、樹脂ケース24が機械室30内に取り付けられた状態で、圧縮機31に面する側と反対の側に向いている(
図6参照)。本実施形態では、樹脂ケース24は、金属と比較して熱伝導性の低い(すなわち、断熱性の高い)材料で形成されている。また、樹脂ケース24は、電気絶縁性の高い材料で形成されている。樹脂ケース24の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコンなどが挙げられる。
【0045】
樹脂ケース24が比較的熱伝導性の低い材料で形成されていることで、樹脂ケース24は断熱部材として機能する。これにより、制御基板21における圧縮機31と面している側は、制御基板21と筐体22(具体的には、第1側壁22a)との間に、断熱性の高い樹脂ケース24が配置されることとなり、圧縮機31で発生した熱を制御基板21へ伝わりにくくすることができる。
【0046】
また、樹脂ケース24が電気絶縁性の高い材料で形成されていることで、樹脂ケース24によって絶縁距離を確保することができる。本実施形態では、樹脂ケース24を内部に収容する筐体22は金属板で形成されているが、制御基板21が樹脂ケース24に収容されていることで、制御基板21と筐体22との絶縁距離を確保することができる。
【0047】
保持部材23は、筐体22の開口部22Fを覆うように取り付けられる。これにより、筐体22は、保持部材23によって保持される。保持部材23は、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、筐体22よりも背面側に位置する。また、保持部材23は、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、空間22Sの背面側に位置する。
【0048】
保持部材23は、例えば、樹脂材料で形成されている。保持部材23には、略長方形状の開口部23Fが設けられている。これにより、筐体22の開口部22Fの一部は、開口部23Fを介して背面側に開口した状態となる(
図5参照)。
【0049】
カバー25は、保持部材23の背面側を覆うように取り付けられる。カバー25の材質は特に限定はされないが、例えば、熱伝導性の比較的高い材料(例えば、金属材料)で形成することができる。一例では、カバー25は、筐体22を形成している金属板と同じ金属板を成型加工して形成することができる。カバー25は、基板ユニット20が機械室30内に取り付けられた状態で、機械室30の背面側に位置する。
【0050】
以上のように、基板ユニット20の外形は、筐体22、保持部材23、およびカバー25で形成されている。これらの各部材で形成された閉空間の内部に、制御基板21および樹脂ケース24が配置される。
【0051】
基板ユニット20を機械室30内に取り付ける際には、先ず、筐体22と保持部材23との組立体を機械室30内の空間20A(
図3参照)内に設置する。
図5には、このときの機械室30内の構成を示す。制御基板21を搭載した樹脂ケース24は、開口部23Fおよび22Fから筐体22内へ挿入される。
【0052】
図6には、樹脂ケース24が取り付けられた状態の基板ユニット20を示す。樹脂ケース24は、圧縮機31とは反対側に開口部24Fを有しているため、制御基板21で発生した熱を、図中矢印方向へ熱を逃がすことができる。制御基板21で発生した熱は、筐体22の第2側壁22bや背面を覆う金属製のカバー25を伝達し、基板ユニット20の外側へ排出される。
【0053】
また、基板ユニット20は、上面視で文字「L」を左右反転した形状を有しており、機械室30内の側壁に隣接する側において、保持部材23の前方には空間22Sが設けられている。すなわち、空間22Sは、第2側壁22bと機械室30の側壁との間に設けられている。この空間22Sは、ハーネス38を配置するための空間として利用することができる。また、空間22Sを設けることで、機械室30の前面側に位置する筐体22の第3側壁22cの面積を小さくすることができる。これにより、機械室30の前面を形成している底板63の立ち上がり部63cに対向する筐体22の面積を小さくでき、筐体22からの放熱が断熱箱体50内に熱伝達することを抑制する。
【0054】
一方で、機械室30の背面側に位置するカバー25の面積は大きくすることができるので、カバー25によって筐体22から機械室30の背面側へ十分に放熱させることできる。
【0055】
また、本実施形態の基板ユニット20では、上述の通り、制御基板21を搭載した樹脂ケース24が、筐体22内へ挿抜可能に取り付けられている。したがって、冷蔵庫1の製造工程において、組立段階や断熱箱体の形成段階では、制御基板21を搭載した樹脂ケース24を筐体22に取り付けず、冷蔵庫1の組立の最終工程で、制御基板21を搭載した樹脂ケース24を筐体22に取り付けることができる。これにより、熱や振動がかかりやすい製造工程中は制御基板21を搭載した樹脂ケース24を外しておけるので、制御基板21に搭載したマイコンなどの精密部品が製造中に故障してしまうことを防止できる。さらに、冷蔵庫1の使用中に、制御基板21の点検や交換が必要となった場合に、カバー25を取り外すことで、制御基板21を樹脂ケース24ごと取り外すことが容易に可能であるため、制御基板21を損傷させずにメンテナンスを実施することが容易にできる。
【0056】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、断熱箱体50を備えている。断熱箱体50の下方には、機械室30が設けられている。機械室30内には、圧縮機31および基板ユニット20が配置されている。基板ユニット20内には、制御基板21が配置されている。制御基板21は、圧縮機31の横に縦方向(水平面に直交する方向)に配置されている。
【0057】
この構成によれば、機械室30内の圧縮機31の横に制御基板21を配置することで、断熱箱体50を抉ることなく、圧縮機31の近くに制御基板21を配置することができる。これにより、断熱箱体の一部が薄壁化することを回避することができ、断熱性能の低下を抑制することができる。また、制御基板21を縦方向に配置することで、機械室30内の圧縮機31の横の空き領域を利用して、制御基板21を配置することができる。
【0058】
また、本実施形態では、制御基板21の周囲の構成(すなわち、基板ユニット20の構成)を工夫することで、機械室30内に制御基板21を配置する構成において、圧縮機31で発生する熱の制御基板21への影響を小さくしている。
【0059】
具体的には、制御基板21の周囲を金属製の筐体22で覆っている。この筐体22は、第1側壁22a、第2側壁22b、第3側壁22c、上面部22d、および下面部22eなどを有しており、圧縮機31から第1側壁22aに伝わった熱を、制御基板21を間に挟んで第1側壁22aとは反対側に位置する第2側壁22bへ伝えることができる。すなわち、第1側壁22aおよび第2側壁22bと、これらを連結する第3側壁22c、上面部22d、および下面部22eとを有する筐体22は、制御基板21を間に挟んで、圧縮機31の反対側にまで延びている熱伝導板としての役割を果たす。
【0060】
また、制御基板21は、樹脂ケース24内に配置されている。この樹脂ケース24の一部は、制御基板21と筐体22の第1側壁22aとの間に配置され、断熱部材としての役割を果たす。
【0061】
この構成により、圧縮機31で発生した熱が制御基板21に伝わることを抑えつつ、筐体22に伝わった圧縮機31の熱を、機械室30の側壁の方へ逃がすことができる。
【0062】
なお、制御基板21に、交流を直流に変換する回路またはコイル、もしくは、直流を交流に変換するスイッチング素子などを搭載すると、制御基板21も発熱しやすくなる。そのため、樹脂ケース24は、機械室30内の側壁側に開口した開口部24Fを有している。これにより、制御基板21で発生した熱を、例えば、
図6中の矢印で示すように、機械室30の側壁の方へ逃がすことができる。
【0063】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、基板ユニットの構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0064】
上述した第1の実施形態では、制御基板21を間に挟んで、圧縮機31に隣接する側からその反対側にまで延びている熱伝導板としての役割を、筐体22が果たしている。但し、別の実施態様では、熱伝導板は、筐体の形状を有していなくてもよい。
【0065】
本実施形態にかかる冷蔵庫1では、複数の金属板を組み合わせることによって、制御基板21を間に挟んで、圧縮機31に隣接する側からその反対側にまで延びている熱伝導板が形成されている。これらの各金属板は、保持部材23によって支持される。
【0066】
また、第1の実施形態と同様に、制御基板21は、樹脂ケース24内に配置されている。これにより、樹脂ケース24は、制御基板21と金属板との間に設けられた断熱部材としての役割を果たす。
【0067】
この構成によれば、圧縮機31で発生した熱が、制御基板21に直接伝わることを回避しつつ、圧縮機31で発生した熱を、複数の金属板を介して機械室30の側壁の方へ伝えることができる。これにより、圧縮機31で発生した熱を、側壁の方へ効率よく逃がすことができる。
【0068】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、基板ユニットの構成が第1の実施形態および第2の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0069】
上述した第1の実施形態では、圧縮機31と隣接する側の熱伝導板(具体的には、第1側壁22a)と制御基板21との間に配置される断熱部材としての役割を、樹脂ケース24が果たしている。但し、断熱部材は樹脂ケース24のような箱状の形状のものに限定はされない。
【0070】
本実施形態にかかる冷蔵庫1では、圧縮機31と隣接する側の熱伝導板(具体的には、第1側壁22a)と制御基板21との間に、板状の断熱部材が配置される。この板状の断熱部材の材料としては、例えば、発泡性樹脂材料で形成された発泡プラスチック系断熱材、グラスウールなどの繊維系断熱材などの従来公知の断熱材料を用いることができる。また、樹脂ケース24と同様に、断熱部材は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコンなどの材料で形成されていてもよい。
【0071】
この構成によれば、圧縮機31で発生した熱が、制御基板21に直接伝わることを回避することができる。したがって、機械室30内に制御基板21を配置した構成において、圧縮機31で発生した熱の制御基板21への影響を小さくすることができる。
【0072】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、断熱箱体(例えば、断熱箱体50)と、前記断熱箱体の下方に設けられた機械室(例えば、機械室30)と、前記機械室内に配置されている圧縮機(例えば、圧縮機31)と、前記圧縮機の横に縦方向に配置されている制御基板(例えば、制御基板21)とを備えている。
【0073】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記制御基板(例えば、制御基板21)と前記圧縮機(例えば、圧縮機31)との間には、熱伝導板(例えば、筐体22)が配置されており、前記熱伝導板は、前記制御基板を間に挟んで、前記圧縮機の反対側にまで延びていてもよい。
【0074】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記制御基板(例えば、制御基板21)における前記圧縮機(例えば、圧縮機31)と面している側には、前記制御基板と前記熱伝導板(例えば、筐体22の第1側壁22a)との間に断熱部材(例えば、樹脂ケース24)が配置されていてもよい。
【0075】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記断熱部材は、前記制御基板(例えば、制御基板21)を収容するケース(例えば、樹脂ケース24)であってもよい。
【0076】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)において、前記ケース(例えば、樹脂ケース24)は、前記圧縮機(例えば、圧縮機31)に面する側と反対の側が開口していてもよい。例えば、第1の実施形態で説明した樹脂ケース24は、開口部24Fを有している。
【0077】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、前記機械室(例えば、機械室30)内において、前記熱伝導板(例えば、筐体22の第2側壁22b)と前記断熱箱体(例えば、断熱箱体50)の側壁(例えば、側面部50b)との間には、空間(例えば、空間22S)が設けられていてもよい。
【0078】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)は、前記機械室(例えば、機械室30)内において、前記空間(例えば、空間22S)の背面側には、前記熱伝導板(例えば、筐体22)を保持する保持部材(例えば、保持部材23)が設けられていてもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 :冷蔵庫
20 :基板ユニット
21 :制御基板
22 :筐体(熱伝導板)
22a :第1側壁
22b :第2側壁
22c :第3側壁
22d :上面部
22e :下面部
22F :開口部
22S :空間
23 :保持部材
24 :樹脂ケース(断熱部材、ケース)
24F :開口部
30 :機械室
31 :圧縮機
32 :冷却器(蒸発器)
40 :冷凍サイクル
50 :断熱箱体
50b :(断熱箱体の)側面部(断熱箱体の側壁)
70 :蒸発皿