(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】基板取付構造および基板取付方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
H05K7/14 A
(21)【出願番号】P 2019227690
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】城 崇太
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-079189(JP,U)
【文献】国際公開第2011/089655(WO,A1)
【文献】特開2009-295738(JP,A)
【文献】実開昭60-066090(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のホルダに対し基板を取り付ける基板取付構造であって、
前記ホルダに、同一直線上に複数個、当該ホルダの平面に対し立設するように設けられる壁部と、
前記基板に、当該基板を浮かせる荷重が
作用する
一辺の、前記壁部に対応する位置に設けられる凹部と、
前記基板の、前記一辺に対応する位置で折り返されることによって前記基板を浮かせる荷重が発生するフレキシブル基板と、
前記壁部に、前記基板に向けて折り曲げるように設けられ、前記基板の浮きに対し該基板を係止する係止部と
を備え、
前記基板は、
前記凹部を前記壁部に当接させた後、前記一辺を回転中心軸として前記ホルダと平行になるまで回転したうえで固定される
、
基板取付構造。
【請求項2】
前記係止部は、前記壁部の基端側の延在方向に対し鈍角をなすように設けられる
、
請求項1に記載の基板取付構造。
【請求項3】
前記ホルダは、
当該ホルダの平面に対し立設するように複数個設けられ、前記基板が前記ホルダと平行になった場合に、前記基板に形成された位置決め孔に挿入される位置決め爪を有する
、
請求項1または2に記載の基板取付構造。
【請求項4】
前記位置決め爪は、頂点位置を前記回転中心軸に寄せた形状で立設するように設けられる
、
請求項3に記載の基板取付構造。
【請求項5】
前記位置決め爪は、前記ホルダの平面から垂直に延伸するストレート部を有し、
前記ストレート部は、前記基板が前記ホルダと平行になった場合に、少なくとも前記位置決め孔の周壁部と干渉する長さを有する
、
請求項3または4に記載の基板取付構造。
【請求項6】
板状のホルダに、同一直線上に複数個、当該ホルダの平面に対し立設するように設けられる壁部と、基板に、当該基板を浮かせる荷重が
作用する
一辺の、前記壁部に対応する位置に設けられる凹部と、
前記基板の、前記一辺に対応する位置で折り返されることによって前記基板を浮かせる荷重が発生するフレキシブル基板と、前記壁部に、前記基板に向けて折り曲げるように設けられ、前記基板の浮きに対し該基板を係止する係止部とを備える基板取付構造を用いて、前記ホルダに対し前記基板を取り付ける基板取付方法であって、
前記凹部を前記壁部に当接させた後、前記一辺を回転中心軸として前記ホルダと平行になるまで前記基板を回転させたうえで前記基板を固定すること
を含む
、基板取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板取付構造および基板取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板金等のホルダに対し位置決めを行いつつ、容易に基板をホルダへ取り付けるための基板取付構造が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ホルダに設けた突起を基板の貫通孔へ係合することで基板の位置決めを行う構造において、ホルダから突出させたガイド部に基板を当接させながらガイド部を中心軸として基板を回転させることで、位置決め突起と基板貫通孔の位置を容易に合わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、基板の浮きを抑えつつ容易に基板をホルダへ取り付けるうえで、さらなる改善の余地がある。
【0006】
たとえば、基板をホルダにねじ締結等で固定する前に、基板に対しては、鉛直上向きの荷重が負荷されることがある。かかる荷重は、基板とホルダとの間に設けられる、たとえばFPC(Flexible Printed Circuits)(以下、「フレキ」と記載する)や、板バネ、放熱シート等の反力によるものである。
【0007】
上述した従来技術では、こうした場合に基板が浮き上がり、基板を固定する前に位置決め突起と基板貫通孔の係合が外れてしまうので、ねじ締結が完了するまでの間、作業者や治具によって基板を押さえておく必要があった。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、基板の浮きを抑えつつ容易に基板をホルダへ取り付けることができる基板取付構造および基板取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係る基板取付構造は、板状のホルダに対し基板を取り付ける基板取付構造であって、壁部と、凹部と、フレキシブル基板と、係止部とを備える。前記壁部は、前記ホルダに、同一直線上に複数個、当該ホルダの平面に対し立設するように設けられる。前記凹部は、前記基板に、当該基板を浮かせる荷重が作用する一辺の、前記壁部に対応する位置に設けられる。前記フレキシブル基板は、前記基板の、前記一辺に対応する位置で折り返されることによって前記基板を浮かせる荷重が発生する。前記係止部は、前記壁部に、前記基板に向けて折り曲げるように設けられ、前記基板の浮きに対し該基板を係止する。また、前記基板は、前記凹部を前記壁部に当接させた後、前記一辺を回転中心軸として前記ホルダと平行になるまで回転したうえで固定される。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、基板の浮きを抑えつつ容易に基板をホルダへ取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るホルダの構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る基板の構成例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、基板の組み付け手順を示す図(その1)である。
【
図6】
図6は、基板の組み付け手順を示す図(その2)である。
【
図7】
図7は、基板の組み付け手順を示す図(その3)である。
【
図8】
図8は、変形例に係る曲げ壁部の構成例を示す図(その1)である。
【
図9】
図9は、変形例に係る曲げ壁部の構成例を示す図(その2)である。
【
図10】
図10は、変形例に係る位置決め爪の構成例を示す図(その1)である。
【
図11】
図11は、変形例に係る位置決め爪の構成例を示す図(その2)である。
【
図12】
図12は、フレキの反力が基板を浮かせるように作用する場合の変形例を示す図(その1)である。
【
図13】
図13は、フレキの反力が基板を浮かせるように作用する場合の変形例を示す図(その2)である。
【
図14】
図14は、フレキの反力が基板を浮かせるように作用する場合の変形例を示す図(その3)である。
【
図15】
図15は、ねじ固定前の基板の自由度の説明図(その1)である。
【
図16】
図16は、ねじ固定前の基板の自由度の説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板取付構造および基板取付方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下に示す各図面には適宜、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。
【0014】
図1は、実施形態に係るホルダ10の構成例を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示すM1部の拡大図である。また、
図3は、
図1に示すM2部の拡大図である。
【0015】
図1~
図3に示すように、ホルダ10は、曲げ壁部11と、位置決め爪12と、座面13とを備える。ホルダ10は、基板20(
図4以降参照)が取り付けられ、XY平面上において基板20を支持する基板20の支持体であって、たとえば板金成形されて設けられる。
【0016】
曲げ壁部11は、基板組み付け用のガイド部材であって、X軸に平行な同一直線上の少なくとも2箇所に、XY平面に対し立設するように設けられる。
図2に示すように、曲げ壁部11は、凸部111を有する。凸部111は、基板20側(ここでは、Y軸の負方向)に向けて凸状に突き出すように、ダボや半抜き等により設けられる。凸部111は、曲げ壁部11の先端部に設けられてもよい。
【0017】
位置決め爪12は、基板位置決め用の部材であって、少なくとも2箇所に、XY平面に対し立設するように設けられる。位置決め爪12は、後述する基板20の位置決め孔22と係合する。
【0018】
座面13は、基板固定用のねじ座面であって、少なくとも3箇所に設けられる。座面13は、後述する基板20のねじ固定孔23に係合する。
【0019】
次に、基板20の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る基板の構成例を示す平面図である。
図4に示すように、基板20は、凹部21と、位置決め孔22と、ねじ固定孔23とを備える。
【0020】
凹部21は、ホルダ10の曲げ壁部11と係合する凹状の部位である(図中のM3部参照)。凹部21および曲げ壁部11は、基板20がホルダ10へ組み付けられた状態で、基板20の重心CGから、基板20を浮かせる荷重が最も大きく作用する作用点PLへ直線を引いた時に、かかる直線と交差する基板20の一辺に設けられる。
【0021】
位置決め孔22は、ホルダ10の位置決め爪12と係合する位置に、位置決め爪12と係合する形状に形成される。ねじ固定孔23は、ホルダ10の座面13と係合する位置に形成される。
【0022】
次に、基板20のホルダ10への組み付け手順について説明する。
図5~
図7は、基板20の組み付け手順を示す図(その1)~(その3)である。なお、
図6は、凸部111と位置決め爪12と座面13の中心を通る略断面図となっている。
【0023】
ホルダ10へ基板20を組み付けるに際しては、
図5および
図6に示すように、まず基板20の凹部21を曲げ壁部11へ合わせ、凸部111の下へ挿し込む(図中の矢印a1参照)。
【0024】
そして、凸部111と凹部21との接点を支点に回転させることで(図中の矢印a2参照)、位置決め孔22へ位置決め爪12を挿入させる。なお、ここで基板20に対し、Z軸の正方向に荷重が負荷されていても、基板20は、凸部111の下に挿し込まれて凸部111により支持されているので、基板20は浮くことがない。
【0025】
そして、
図7に示すように、ねじ固定孔23へねじが挿入されてねじ締結されることで、基板20がホルダ10に対し完全固定されることとなる。
【0026】
ところで、これまでは、曲げ壁部11に凸部111を設けることとしたが、凸部111を設けることなく、曲げ壁部の先端を曲げることによっても、凸部111と同等の基板20の浮き防止機能を実現することができる。次に、かかる変形例について説明する。
【0027】
図8および
図9は、変形例に係る曲げ壁部11Aの構成例を示す図(その1)および(その2)である。なお、
図8は
図2に、
図9は
図6に、それぞれ対応している。
【0028】
図8および
図9に示すように、変形例に係る曲げ壁部11Aは、先端に曲げ部111Aを有する。
図9に示すように、曲げ部111Aは、曲げ部111Aの先端を基板20側に向けて折り曲げるように設けられる。このとき、曲げ部111Aは、曲げ壁部11の基端側の延在方向(ここでは、Z軸の正方向)に対し、鈍角をなすように設けられる。
【0029】
このように、鈍角をなすように曲げ部111Aを設けることにより、基板20を挿入する際に(図中の矢印a1参照)、挿入角度の自由度を増やす、言い換えれば挿入角度を大きくすることができ、作業者の作業性を向上させることができる。
【0030】
また、これまでは、
図9に示すように、位置決め爪12の頂点位置Pが、位置決め爪12の中心軸上にある場合について例示してきたが、かかる頂点位置Pを組み付け時の基板20の回転中心側、言い換えれば曲げ壁部11,11A側へ寄せてもよい。次に、かかる変化例について説明する。
【0031】
図10および
図11は、変形例に係る位置決め爪12Aの構成例を示す図(その1)および(その2)である。なお、
図10は、
図9に対応している。
図11は、
図10の位置決め爪12A付近の拡大図となっている。
【0032】
図10に示すように、変形例に係る位置決め爪12Aは、頂点位置Pを組み付け時の基板20の回転中心側に寄せて設けられる。これにより、基板20の位置決め孔22の周壁部と位置決め爪12Aの先端部とのクリアランスを拡げることができ、基板20を回転させて位置決め孔22へ位置決め爪12Aを挿入させる際の作業者の作業性を向上させることができる。
【0033】
なお、
図11に示すように、位置決め爪12Aは、頂点位置Pを含む先端部121Aと、Z軸に平行に延伸するストレート部122Aとを有している。先端部121Aは、位置決め孔22の回転軌跡に応じて、Rの付いた形状であることが好ましい。これにより、位置決め爪12Aを挿入するのに、位置決め孔22へ位置決め爪12Aを呼び込みやすくすることができる。
【0034】
また、同図に示すように、ストレート部122Aのホルダ10上面からの長さLは、座面13の高さhよりも大きいことが好ましい。これにより、位置決め孔22の周壁部とストレート部122Aとを干渉させ、基板20のXY平面方向への移動を規制することができる。なお、図示は略しているが、位置決め爪12も同様に先端部121とストレート部122とを有しており、前述の長さLと高さhの関係も同様となる。
【0035】
次に、フレキ30が180度折り返されて基板20下部に配線される場合の例について説明する。
図12~
図14は、フレキ30の反力が基板20を浮かせるように作用する場合の変形例を示す図(その1)~(その3)である。
【0036】
図12に示すように、フレキ30が180度折り返されて基板20下部に配線される場合を考える。かかる場合、折り返されたフレキ30の反力が、基板20を浮かせるように作用することとなる。
【0037】
こうした場合、同図に示すように、フレキ30へ予め折り目fを入れておくとよい。同図の例では、谷折りの折り目fを入れておくこととなる。このように折り目fを入れておき、蝶番のように働かせることで、組み付け時に基板20を回転させる際に基板20の回転軌跡を安定させられるとともに、フレキ30からの反力そのものも減少させることができ、作業者の作業性を向上させることができる。
【0038】
図13に示すように、折り目fは、回転中心軸axCとなる基板20の一辺の近傍に、回転中心軸axCと平行に設けられる。なお、ここに言う基板20の一辺の近傍とは、一例を挙げれば、
図14に示すように、たとえば曲げ壁部11,11Aへ向けて挿し込まれる基板20下面の延長線上のいずれかの位置である。これにより、たとえば基板20を挿し込んだ時にフレキ30をいち早く谷折りすることができ、フレキ30の反力を軽減して、基板20の回転軌跡を安定させるのに資することができる。
【0039】
(効果)
次に、これまで説明してきた実施形態に係る基板取付構造の効果について説明する。実施形態に係る基板取付構造によれば、下記の(1)~(10)の効果が期待できる。
【0040】
(1)フレキ30の反力や、基板20およびホルダ10の間の導通部品(板バネ等)からの反力、基板20およびホルダ10の間の放熱シートの反力等を基板20が受ける構造において、ねじ固定前のホルダ10からの基板20の浮きを防止することができる。
【0041】
(2)基板20の固定作業において、作業者の手や冶具による基板20の保持が不要となる。
【0042】
(3)基板20の重心CGに対し、浮き要因荷重の発生位置に近い基板20の一辺側へ、曲げ壁部11,11Aおよび浮き防止構造(凸部111,曲げ部111A)を設けることで、浮き要因荷重によるモーメントを抑止でき、より効果的に浮きを抑えることができる。
【0043】
(4)曲げ壁部11,11Aや位置決め爪12,12A、座面13はホルダ10と一体成形できるので、浮き防止のために専用の別部品を用いる必要がない。
【0044】
(5)凸部111をダボや半抜きで形成する場合、ホルダ10が厚肉板金であっても形成が可能であり、ホルダ10の強度の確保と両立することができる。
【0045】
(6)スライド移動をせず、回転軌跡により基板20をホルダ10に組み付けるため、基板20の実装部品がホルダ10の凹凸形状に接触することによる破損を防止できる。
【0046】
(7)ねじ固定前の基板20の自由度を最小限に規制できる。具体的に
図15および
図16を用いて説明する。
図15および
図16は、ねじ固定前の基板20の自由度の説明図(その1)および(その2)である。
【0047】
図15に示すように、Z軸の正方向への移動(矢印a3参照)、および、Y軸方向からZ軸方向への回転移動(矢印a4参照)については、凸部111あるいは曲げ部111Aによって係止されることで抑止できる。
【0048】
また、Y軸の正負方向への移動(矢印a5参照)については、位置決め爪12,12Aで抑止できる。また、Z軸の負方向への移動(矢印a6参照)については、座面13により抑止できる。
【0049】
また、Z軸方向からY軸方向への回転移動(矢印a7参照)については、前述の回転中心軸axCまわりの回転、すなわち、組み付け時の回転軌跡に沿った回転のみが可能である。組み付け時の回転軌跡よりも小さな回転半径の移動は、位置決め爪12,12Aのストレート部122,122Aと、位置決め孔22の周壁部とが干渉することで抑止できる。
【0050】
また、
図16に示すように、X軸方向からY軸方向への回転移動、および、Y軸方向からX軸方向への回転移動(矢印a8,a9参照)については、少なくとも2箇所の位置決め爪12,12Aにより抑止できる。したがって、ねじ固定前の基板20の自由度は、組み付け時の回転軌跡と同一の軌跡でしか基板20が外れないように、最小限に規制できる。
【0051】
(8)曲げ部111Aを90°ではなく鈍角にすることによって、組み付け時の基板20の挿入角度を大きくすることができ、作業者の作業性を向上させることができる。
【0052】
(9)位置決め爪12Aの頂点位置Pを回転中心軸axCに寄せて設けることで、基板20の位置決め孔22の周縁部と位置決め爪12Aの先端部とのクリアランスを拡げることができ、基板20を回転させて位置決め孔22へ位置決め爪12Aを挿入させる際の作業者の作業性を向上させることができる。
【0053】
(10)フレキ30に折り目を設け、蝶番のように働かせることで、組み付け時の基板20の回転軌跡を安定させることができる。また、これにより、回転軌跡がずれてしまうことによるフレキ30への引張荷重あるいはねじれ荷重の発生を抑制でき、フレキ30の断線リスクを低減させることができる。また、フレキ30の反力そのものを減少させられるので、作業者の作業性を向上させることができる。
【0054】
上述してきたように、本実施形態に係る基板取付構造は、板状のホルダ10に対し基板20を取り付ける基板取付構造であって、ホルダ10は、曲げ壁部11,11A(「壁部」の一例に相当)を備える。曲げ壁部11,11A、同一直線上に複数個、ホルダ10の平面に対し立設するように設けられる。基板20は、凹部21を備える。凹部21は、基板20を浮かせる荷重が最も大きく作用する作用点PL寄りの一辺の、曲げ壁部11,11Aに対応する位置に設けられる。また、基板20は、凹部21を曲げ壁部11,11Aに当接させた後、上記一辺を回転中心軸axCとしてホルダ10と平行になるまで回転したうえで固定される。
【0055】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、基板の浮きを抑えつつ容易に基板をホルダへ取り付けることができる。
【0056】
また、曲げ壁部11,11Aは、基板20の浮きに対し基板20を係止する凸部111または曲げ部111A(「係止部」の一例に相当)を有する。
【0057】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(1)~(4)に記載した効果を奏することができる。
【0058】
また、凸部111は、基板20に向けて凸状に突き出すように設けられる。
【0059】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(1)~(5)に記載した効果を奏することができる。
【0060】
また、曲げ部111Aは、基板20に向けて折り曲げるように設けられる。
【0061】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(1)~(4)に記載した効果を奏することができる。
【0062】
また、曲げ部111Aは、曲げ壁部11Aの基端側の延在方向に対し鈍角をなすように設けられる。
【0063】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(8)に記載した効果を奏することができる。
【0064】
また、ホルダ10は、当該ホルダ10の平面に対し立設するように複数個設けられ、基板20がホルダ10と平行になった場合に、基板20に形成された位置決め孔22に挿入される位置決め爪12を有する。
【0065】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(6)および(7)に記載した効果を奏することができる。
【0066】
また、位置決め爪12Aは、頂点位置Pを回転中心軸axC寄りに寄せた形状で立設するように設けられる。
【0067】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(9)に記載した効果を奏することができる。
【0068】
また、位置決め爪12,12Aは、ホルダ10の平面から垂直に延伸するストレート部122Aを有し、ストレート部122Aは、基板20がホルダ10と平行になった場合に、少なくとも位置決め孔22の周壁部と干渉する長さを有する。
【0069】
したがって、実施形態に係る基板取付構造によれば、上記(7)に記載した効果を奏することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態では、フレキ30をFPCとしたが、FFC(Flexible Flat Cable)であってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では説明していないが、曲げ壁部11,11Aと当接する基板20の一辺に対し、垂直な基板20の辺に平行な壁部をホルダ10に設けることとしてもよい。これにより、基板20の回転軌跡の安定化に資するとともに、基板20がホルダ10と平行になった場合に、基板20のX軸の正負方向への移動を、より強度に抑止することができる。
【0072】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 ホルダ
11,11A 曲げ壁部
12,12A 位置決め爪
13 座面
20 基板
21 凹部
22 位置決め孔
23 ねじ固定孔
30 フレキ
111 凸部
111A 曲げ部
121,121A 先端部
122,122A ストレート部
CG 重心
P 頂点位置
axC 回転中心軸
f 折り目