(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20240222BHJP
F16K 1/18 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
F25D17/08 313
F16K1/18 B
(21)【出願番号】P 2019231398
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遵自
(72)【発明者】
【氏名】加納 奨一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特許第6578051(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0004530(US,A1)
【文献】特開2012-042142(JP,A)
【文献】米国特許第05762551(US,A)
【文献】特表2001-500605(JP,A)
【文献】特開2009-067273(JP,A)
【文献】特開2017-023133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F16K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を囲む環状の縁部を有する枠と、
モータと、
前記開口の上側に配された軸と、
前記枠の一方側に配された蒸発器室と、
前記枠の他方側に配されて、少なくとも冷蔵温度帯に設定可能な貯蔵室と、
前記モータから回動力を付与され、前記軸を中心として回動して前記縁部に当接及び離間するフラッパと、を有し、
前記フラッパが前記縁部に当接した状態で、前記縁部の内周面に付着した水が凍結し、前記フラッパ及び前記縁部を渡る氷が生成され、
該氷の存在下で前記モータを駆動させ、前記フラッパがたわんだ後、前記フラッパが前記枠から離間し、
該氷の過半の質量が前記枠に付着したまま前記フラッパが回動するように、前記枠が構成されている冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記回動の後、前記フラッパを逆向きに回動させると、前記フラッパと前記縁部とが当接することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記フラッパは、前記縁部に当接する面が平滑であることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項3に記載の冷蔵庫において、
前記フラッパは、ゴム弾性を有することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項5】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記軸は、前記縁部の一方側に配されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記枠から該氷を引き剥がすせん断力が、前記枠と該氷の付着強度よりも小さいことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記縁部の下内周面は、前記フラッパへの非当接側が当接側よりも低くなる傾斜を有することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記縁部の下内周面は、前記フラッパへの当接側が非当接側よりも低くなる傾斜を有することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記縁部の下内周面に、金属材料が設けられていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項10】
請求項1に記載の冷蔵庫において、
前記縁部の下内周面が、上内周面と比べて
前記他方側へ長く形成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項11】
請求項1に記載の冷蔵庫において、前記縁部の下内周面に、凹凸が形成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却器(蒸発器)によって熱交換された冷気を、送風手段で各貯蔵室に送風する、いわゆる冷気強制循環方式の冷蔵庫において、各貯蔵室への冷気流量を制御するために、開閉式のダンパ装置を設けることが知られている。
【0003】
このダンパ装置の構成として、例えば特許文献1には、「開口部が形成されたフレームと、前記開口部を開閉するためのバッフルと、前記バッフルを駆動する駆動機構と、を有し、前記バッフルは、開閉板と、該開閉板の一方面側に保持され、厚さ方向の第1面側が前記開口部の周りに当接するシート状の弾性部材と、を備え、前記開閉板は、前記弾性部材の前記第1面とは反対側の第2面側を支持する支持面と、前記弾性部材の前記第1面側に向けて突出し、当該第1面側に重なって前記弾性部材を前記支持面との間に保持する複数の保持部と、を有する」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、枠(フレーム)に形成された開口部への弾性部材の当接及び離間によって、開口部を開閉するダンパ装置は、開口部に付着した結露水が凍結した状態でフラッパ(バッフル)を開閉すると、枠とフラッパの間に凍結した氷を挟み込む可能性があった。氷を挟み込むと、ダンパの閉状態であっても、枠とフラッパの間に隙間が生じてしまい、冷気が漏れて貯蔵室を冷やし過ぎてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、氷挟み込みのメカニズムを詳細に分析することで成されたものであり、その目的は、貯蔵室の冷え過ぎを防止した冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開口を囲む環状の縁部を有する枠と、モータと、前記開口の上側に配された軸と、前記枠の一方側に配された蒸発器室と、前記枠の他方側に配されて、少なくとも冷蔵温度帯に設定可能な貯蔵室と、前記モータから回動力を付与され、前記軸を中心として回動して前記縁部に当接及び離間するフラッパと、を有し、前記フラッパが前記縁部に当接した状態で、前記縁部の内周面に付着した水を凍結させて前記フラッパ及び前記縁部を渡る氷を生成し、該氷の存在下で前記モータを駆動させて前記フラッパを回動させると、該氷の過半の質量が前記枠に付着したまま、前記フラッパが前記枠から離間する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貯蔵室の冷え過ぎを防止した冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図3の断熱仕切壁より背面側の風路構成を示す図。
【
図6】閉状態の第1ダンパの背面斜視図(但し、上下反転させたもの)。
【
図9】パッキンの側面断面図(
図8のP-P断面図)。
【
図10】ポリエチシート製のパッキン(比較例)とシリコンゴム製のパッキン(実施形態)を圧縮した時の反発力を示すグラフ。
【
図12】氷を挟み込むメカニズムを簡易的に表した図。
【
図14】氷のせん断付着強度を測定する方法の一例を示す模式図。
【
図15】氷の引張付着強度を測定する方法の一例を示す模式図。
【
図16】ゴム弾性の特性を有するフラッパの回動時の変形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の正面図である。冷蔵庫100は、食品等を冷やす機器であり、冷蔵室R1等が設けられた筐体Mを備えている。
図1の例において冷蔵庫100の内部には、上から順に、冷蔵室R1と、左右に並ぶ製氷室R2・冷凍室R3の他、第1切替室R4と、第2切替室R5と、が設けられている。
【0012】
冷蔵室R1は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度にした冷蔵貯蔵室である。製氷室R2及び冷凍室R3は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-18℃程度にした冷凍貯蔵室である。第1切替室R4及び第2切替室R5は、操作部200によって冷凍温度帯または冷蔵温度帯に設定可能な切替貯蔵室で、例えば、平均的に4℃程度にする冷蔵モードと、平均的に-18℃程度にする冷凍モードとに切り替えられる。
【0013】
冷蔵庫100は、断熱箱体20(
図2参照)とともに冷蔵室R1を形成するフレンチ型(いわゆる観音開き型)の冷蔵室ドア11a,11bを備えている。また、冷蔵庫100は、引き出し式のドアとして、製氷室R2のドア12や、冷凍室R3のドア13の他、第1切替室R4のドア14、第2切替室R5のドア15を備えている。これらの各ドアの内部には、断熱材である発泡ウレタンが充填されている。
【0014】
図2は、
図1のII-II線矢視断面図である。なお、
図2では、空気の流れを実線矢印で示している。
図2に示す冷蔵庫100の庫内・庫外は、発泡断熱材が充填された筐体Mによって隔てられている。なお、筐体Mの背面や側面、底面などには、上記した発泡断熱材に加えて、真空断熱材21(
図3も参照)が設けられている。これらの真空断熱材21は、グラスウールやウレタン等の芯材を外包材で包んで構成されている。
【0015】
図2に示すように、冷蔵室R1と冷凍室R3とは、断熱仕切壁22aによって仕切られている(冷蔵室R1と製氷室R2も同様:
図1参照)。冷凍室R3と第1切替室R4とは、断熱仕切壁22bによって仕切られている(製氷室R2と第1切替室R4も同様:
図1参照)。第1切替室R4と第2切替室R5とは、断熱仕切壁22cによって仕切られている。また、第1切替室R4と第2蒸発器室R6とは、断熱仕切壁22dによって仕切られている(第2切替室R5と第2蒸発器室R6とも同様)。
【0016】
冷蔵室ドア11a,11bの庫内側には、複数のドアポケットJ1や複数の棚J1aが設けられている。製氷室R2には、ドア12(
図1参照)と一体に引き出される製氷室容器(図示せず)が設置されている。冷凍室R3には、ドア13と一体に引き出される冷凍室容器J3が設置されている。第1切替室R4には、ドア14と一体に引き出される複数の第1切替室容器J4が設置されている。第2切替室R5には、ドア15と一体に引き出される複数の第1切替室容器J5が設置されている。
【0017】
断熱仕切壁22aの上側には、冷蔵室R1の温度帯よりも低めに設定されたチルド室R1aが設けられている。そして、後記する第1蒸発器EV1や第1送風機Fa1の他、断熱仕切壁22aの内部に設けられたヒータ(不図示)によって、チルド室R1aの温度を所定に変化させるようになっている。
【0018】
第1蒸発器EV1は、冷蔵室R1を冷やすためのクロスフィンチューブ式の熱交換器であり、冷蔵室R1の背面側の蒸発器室R1bに設けられている。第1蒸発器EV1は、圧縮機30と、複数の凝縮器31と、キャピラリチューブ(不図示)とによって、冷凍サイクルを構成している。第1蒸発器EV1との熱交換で低温になった空気は、第1蒸発器EV1の上側の第1送風機Fa1によって、吹出風路ha及び吹出口hbを順次に介して、冷蔵室R1に導かれる。このように冷蔵室R1に導かれた空気は、戻り口hcを介して、再び第1蒸発器EV1に導かれる。
【0019】
また、第1蒸発器EV1の下側には、この第1蒸発器EV1から滴り落ちる水を受ける桶23aが設けられている。この桶23aの表面には、ヒータ24aが設置されている。そして、桶23aに溜まった水が凍結した場合でも、ヒータ24aに通電することで、氷を融解させるようになっている。なお、上記した融解に伴う水は、排水管(不図示)を介して、圧縮機30の上側の蒸発皿25に流れ落ちる。
【0020】
第2蒸発器EV2は、製氷室R2,冷凍室R3,第1切替室R4,第2切替室R5を冷やすためのクロスフィンチューブ式の熱交換器であり、第2切替室R5の背面側の蒸発器室R6に設けられている。第2蒸発器EV2は、圧縮機30と、機械室凝縮器(不図示)と、筐体Mの外周に設けられる凝縮器31と、キャピラリチューブ(不図示)とによって、冷凍サイクルを構成している。
【0021】
また、第2蒸発器EV2の下側には、この第2蒸発器EV2から滴り落ちる水を受ける桶23bが設けられている。この桶23bの上方には、ヒータ24bが設置されている。ヒータ24bは、例えば50W~200Wの電気ヒータで、本実施形態では150Wのとしている。第2蒸発器EV2の除霜時に発生した除霜水(融解水)は桶23bから排水管(不図示)を介して圧縮機30の上側の蒸発皿25に流れ落ちる。
【0022】
冷蔵庫100は、第1切替室5及び第2切替室6への送風量を制御あるいは送風を遮断する手段として、第1ダンパ101,第2ダンパ102(
図3参照)を備えている。第1ダンパ101は第1切替室R4の背部に実装され、第2ダンパ102は第2切替室R5の背部に実装されている。
【0023】
冷蔵庫100の筐体Mの上面に設置されたカバー26内には、庫外空気の温度・湿度を検出する温湿度センサ27が設置されている。また、冷蔵庫100の各貯蔵室には温度を検出する温度センサ(不図示)が設置されている。また、冷蔵庫100の上部の背面側には、制御基板28が設置されている。
【0024】
制御基板28は、各センサの出力値や操作部200(
図1参照)の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機30や第1送風機Fa1、第2送風機Fa2、第1ダンパ101、及び第2ダンパ102の制御を行っている。なお、
図2の残りの風路構成については、後記する。
【0025】
図3は、
図2のII-II線矢視断面図である。
図4は、
図3の断熱仕切壁22dより背面側の風路構成を示している図である。なお、
図3と
図4では、空気の流れを実線矢印で示している。
【0026】
第2蒸発器EV2と熱交換して低温になった空気は、第2蒸発器EV2の上方に設けた第2送風機Fa2を駆動することにより、第1ダンパ101,第2ダンパ102の開閉状態に依らず第2ファン吐出風路50,冷凍室風路51,冷凍室吐出口52を介して製氷室2R及び冷凍室3Rに導かれ、製氷室2Rの製氷皿(不図示)内の水,容器2b内の氷,冷凍室3R内の容器3bに収納された食品等を冷却する。製氷室2R及び冷凍室3Rを冷却した空気は、冷凍室戻り口53より冷凍室戻り風路54を介して、第2蒸発器室R6に戻り、再び第2蒸発器EV2と熱交換する。
【0027】
第1ダンパ101が開放状態に制御されている場合は、第2ファンFa2により昇圧された空気は、第2ファン吐出風路50,第1ダンパ101,第1切替室吐出口55を介して、第1切替室R4に送られて、第1切替室容器4b内の食品を冷却する。第1切替室R4を冷却した空気は、第1切替室戻り口56から冷凍室戻り風路54を流れて、第2蒸発器室R6に戻り、再び第2蒸発器EV2と熱交換する。
【0028】
第2ダンパ102が開放状態に制御されている場合は、第2ファンFa2により昇圧された空気は、第2ファン吐出風路50,第2切替室風路57,第2ダンパ102,第2切替室吐出口58を介して、第2切替室R5に設けた第2切替室容器5b内に送られて、第2切替室容器5b内の食品を冷却する。第2切替室R5を冷却した空気は、第2切替室戻り口59,第2切替室戻り風路60(
図2参照)を流れて、第2蒸発器室R6に戻り、再び第2蒸発器EV2と熱交換する。
【0029】
図5は、閉状態の第1ダンパ101の正面斜視図である。
図6は、閉状態の第1ダンパ101の背面斜視図(但し、上下反転させたもの)である。
図7は、開状態の第1ダンパ101の側面断面図である。
【0030】
第1ダンパ101は、開口Oを囲む環状の縁部を有する枠321と、駆動部であるモータ323と、開口Oの上側に配された軸324と、モータ323から回動力を付与され軸324を中心として回動して縁部に当接及び離間するフラッパ322と、を備える。ここで、フラッパ322は、フラッパ本体80と、このフラッパ本体80に装着されるパッキン90と、を有する。なお、枠321はABS樹脂で形成され、パッキン90はシリコンゴムで形成されている。このような構成により、第1ダンパ101が開状態の時には開口Oが開放され、第1ダンパ101が閉状態の時には開口Oが閉塞される。
【0031】
開口O、枠321、フラッパ322及びパッキン90は、軸324のモータ323からの延在方向(左右方向)が長手方向となる形状である。軸324は、モータ323に接続する第1の端部から長手方向に延在しており、さらに短手方向である上下方向に延在してフラッパ322に第2の端部が接続している。
【0032】
フラッパ322は、モータ323の駆動による回転力を軸324を介して受けることで回動し、開口Oを開閉する部材である。フラッパ322は、長手方向の端側(左端側)で軸324の第2の端部に接続している。本実施形態では、このうち短手方向の一方側(下側)で第2の端部に接続している。
【0033】
フラッパ322は、背面において、左右方向の左端側と右端側それぞれに、短手方向に延在するリブ326を有している。フラッパ322が受けるモータ323からの回動力は軸324を介して伝わるため、フラッパ322のうち、軸324に近い側(左側)は比較的強い力で枠321に当接し得るが、遠い側(右側)は比較的弱い力で当接し得る。このため、少なくとも遠い側に凸部としてのリブ326を配することで、回動力(当接力)が遠い側にも伝達しやすいようにできる。本実施形態では近い側にもリブ326を配している。
【0034】
軸324について、モータ323と反対側には、軸押さえ329が配されていて、軸324の第3の端部が軸押さえ329に接続している。これにより軸324の支持を強固にできる。第1の端部と第3の端部とは同一直線上に位置している。また、フラッパ322の長手方向のうち、軸324が在る側と反対側(本実施形態では、軸324から遠い側のリブ326と略同じ位置)には、軸324の回動に従動する従動軸328と、従動軸328を押える従動軸押え329とが配されている。本実施形態では、従動軸328が円筒形状の凹、従動軸押え329が平板のリブから円筒の凸が出ている形状となっており、従動軸328の凹と従動軸押え329の凸によって、軸324に対して、開閉方向以外の動きを制限できる。凹凸は逆に設置しても良い。
【0035】
第1ダンパ101には、枠321の周面、好ましくは全周にヒータH1が設けられている。このヒータH1は、例えば直径3mmのリード線で構成されたヒータ線HEと、このヒータ線HEを覆うアルミシートASと、によって構成されている。アルミシートASは、ヒータ線HEからの熱を枠321の全体に広げるものであり、アルミ箔によって構成されている。
【0036】
フラッパ本体80は、パッキン90と係合しており、パッキン90と係合する係合部としてのツメ327を有する。そしてパッキン90は、ツメ327に対応する箇所に係合部としての、後記する孔93を有する。ツメ327は、本実施形態ではフラッパ322外周のうち上下及び左右側に設けられており、上側と下側とは個数が異なる。これにより、パッキン90の装着向きを組立者が誤ってしまうことを抑制できる。
【0037】
図8は、パッキン90の正面斜視図、
図9は、パッキン90の側面断面図(
図8のP-P断面図)である。
【0038】
本実施形態のパッキン90は、開口Oの閉塞時に枠321に当接する閉塞補助部91と、閉塞補助部91を挟んで枠321と反対側に位置する主面部921を有する受け面92と、孔93と、孔93を挟んで受け面92と前後方向で反対側に位置する返し面94と、を備える。
【0039】
閉塞補助部91は、受け面92等と同一材料で形成されており、弾性変形が可能である。受け面92は、開口Oの開放時には閉塞補助部91との間に空隙を有して離間している。モータ323の駆動によってパッキン90が枠321に近づくと、閉塞補助部91が枠321に当接することで開口Oが概ね閉塞される。閉塞補助部91は薄いヒレ状に形成されており、受け面92との間に空隙を有しているため容易に変形し、モータ323のトルクに対する抵抗を殆ど発揮しない。さらにモータ323が駆動すると、閉塞補助部91は枠321で押さえられているため閉塞補助部91と受け面92とが相対的に近づいていって接触し、枠321と受け面92とで閉塞補助部91を押えつける。これにより、比較的小さいモータトルクであっても閉塞補助部91の当接及び変形によって開口Oの閉塞を効果的に行える。
【0040】
パッキン90の受け面92は、フラッパ322の形状に沿った形状である。このため、ここではパッキン90の受け面92の説明によって、フラッパ322の説明も併せて行う。パッキン90の受け面92は、上下端側にそれぞれ配された主面部921と、中央側に配されて前方(開口O側)に突出した突出部922と、これらを接続する接続部923と、を有する。
【0041】
主面部921は、枠321とともに閉塞補助部91を押し潰していく部分である。突出部922は、開口Oを閉塞した状態では、開口Oの縁よりも前方に位置することになる部分である。閉塞補助部91の根元は受け面92に位置し、好ましくは接続部923に位置する。
【0042】
このような受け面92(フラッパ322)の構造にすると、受け面92(フラッパ322)が立体的になることから、剛性を確保しやすく、強度を向上できる。
【0043】
また、閉塞補助部91又は接続部923が、枠321の縁部に接触するとともに、縁部の前後両側に受け面92(後側に主面部921、前側に突出部922)を配することができるから、開口Oの閉塞を立体的に行うことができるので、より密閉性の高い閉塞を行うことができる。この点、フラッパ322を回動させるモータ323は、フラッパ322の開閉動作において通常、厳密に回動角度が設定できるような高価なモータを利用しない。すなわち、開閉動作におけるフラッパ322に加えられるトルク量や回動角度量が一定ではない。本実施形態もそのようなモータ(開閉動作ごとにトルク量や回動角度量が変動し得るモータ)を利用している。このような条件下でも本実施形態のようなフラッパ322形状であれば、閉塞補助部91が接続部923から好ましくは前方に向けて延在しているため、広い回動角度範囲で閉塞補助部91や接続部923が枠321の縁部に接触できることから、安定した閉塞が可能である。
【0044】
なお、孔93は、パッキン90の非貫通孔にしてもよいが、パッキン90に付着した水が孔93内部で凍結することを抑制すべく貫通孔であることが好ましい。また、閉塞補助部91は、根元から先端側に向かうにつれて一旦前方(開口O側)に向かい、その後先端側に向かうにつれて後方に向かう、反り返り形状となっている。
【0045】
図10は、ポリエチシート製のパッキン(比較例)とシリコンゴム製のパッキン90(実施形態)を圧縮した時の反発力を示すグラフである。横軸は、閉塞補助部91を枠321と受け面92とで挟んで接触し始めた自然状態を0とし、この自然状態から潰した距離をとったものである。縦軸は、横軸の距離にする場合に必要な圧縮力である。この
図10によれば、パッキン90の材料として、ポリエチシートよりも柔らかく変形の大きいシリコンゴムを用いることで、小さいトルクで密閉性を確保できることが分かる。
【0046】
図11は、
図2における第1ダンパ101の周囲を拡大した図である。
図11では、第1ダンパ101が閉状態となっている。また、第1ダンパ101は、略垂直に設置されており、開口Oを囲む縁部が鉛直方向に位置している。
【0047】
フラッパ322は、第2蒸発器EV2側に開閉するように構成されている。具体的には、モータ323及び軸324が、開口Oを囲む枠321の縁部に対して、後側(第2蒸発器室R6側)に配されている。このように構成することで、第1ダンパ101が閉状態ときに、第2蒸発器室R6側にある第2ファンFa2を稼働しても、発生圧力によりフラッパ322が前側に開いて空気流が第1切替室R4側に漏れるのを抑制できる。なお、第1ダンパ101を開状態のときは、モータ323からのトルクがフラッパ322に加えられているため、フラッパ322が発生圧力により前側に押されても閉じることはない。
【0048】
第1切替室R4が冷蔵温度帯に設定されている場合、第1ダンパ101は閉状態を保持する時間が長くなる。このような運転条件では、第1ダンパ101の第2蒸発器EV2側(
図11中の右側)は低温低湿に保持され、第1ダンパ101の第1切替室R4側は高温高湿に保持される。ゆえに、第1ダンパ101のフラッパ322が低温になることで、第1切替室R4の空気が冷やされて、第1切替室R4側のフラッパ322表面に霜が付着・成長する。
【0049】
第1ダンパ101のフラッパ322表面で成長した霜は、除霜運転時にヒータH1によって加熱されて、水に相変化し、第1切替室R4の下方へと排水される。しかしながら、枠321の縁部の下内周面に水が滞留して凍結することがあった。本実施形態は、この凍結した氷が、第1ダンパ101の開閉動作を通じて、枠321とフラッパ322との間に挟み込み、第1ダンパ101の閉状態時に漏れが生じしてしまう可能性のあることを新たに見つけたため、その対処法を提案するものである。
【0050】
図12は、氷401を挟み込むメカニズムを簡易的に表した図である。
図12では、メカニズムを説明するにあたり、枠321やフラッパ322などを簡易的な形状で表している。
【0051】
冷蔵庫100の冷却運転中、フラッパ322の第1切替室R4側の表面には、霜400が繰り返し生成される(
図12(a)参照)。
【0052】
フラッパ322の表面に成長した霜400は、除霜運転により加熱され、溶けて排水されるが、枠321の縁部の下内周面に、除霜後の排水の一部が滞留する場合があった。そして、冷蔵庫100が冷却運転になると氷401が生成される(
図12(b)参照)。生成された氷401は、枠321の縁部に付着しつつ、フラッパ322にも付着する。
【0053】
さらに、第1切替室R4を冷却する場合には、軸324にトルクを加えて、フラッパ322を後側へ回動して第1ダンパ101を開状態にし、第1切替室R4へ冷気を供給する。このとき、フラッパ322と氷401の界面においては、フラッパ322から氷401を引き剥がそうとする引張力F1が加わる(
図12(c)参照)。この引張力F1が、フラッパ322と氷401間の付着強度より大きくなれば、氷401がフラッパ322から離間することになる。一方、枠321と氷401の界面には、枠321から氷401を引き剥がそうとするせん断力F2が加わる(
図12(c)参照)。このせん断力F2が、枠321と氷401間の付着強度より大きくなれば、氷401が枠321から離間することになる。
【0054】
ここで、
図12の形状のように、縁部の下内周面が水平となる場合、上記引張力F1と上記せん断力F2は同じ大きさの力と見做せる。このため、フラッパ322と氷401間の付着強度が、枠321と氷401間の付着強度よりも大きい場合、軸324にトルクを加えていくと、せん断力F2が、枠321と氷401間の付着強度を上回るようになる。すると、氷401が枠321から離間し、フラッパ322に氷401が付着したまま、フラッパ322が枠321から離間し始める。氷401が枠321から剥がれる瞬間は、フラッパ322が弾性変形する(たわむ)ことで、氷401を略水平方向に移動させる(
図12(d)参照)。
【0055】
その後、弾性変形したフラッパ322は元の形状に戻る(
図12(e)参照)。さらに、第1ダンパ101の閉状態にするためフラッパ322を逆向きに回動させると、フラッパ322は枠321に向かって移動する(
図12(e)参照)。このとき、氷401の下端が枠321の縁部の下内周面にある初期位置へ戻るための回転軌道は、枠321の後側に接触するため、初期位置へ戻ることができず、フラッパ322と枠321の間に氷401を挟み込んでしまう(
図12(f)参照)。
【0056】
以上のように、氷401がフラッパ322側に付着すると、回転軌道の関係で、氷401は元の位置に戻ることができず、枠321とフラッパ322の間に氷401が挟まり、隙間が生成されることで冷気が第1切替室R4に漏れる、ことがあった。特に、第1切替室R4が冷蔵温度帯に設定されている場合、漏れた冷気量に応じて第1切替室R4内をヒータ(不図示)で加熱する必要があり、これにより消費電力量が増加する恐れがある。
【0057】
また、本実施形態では、上記のようにフラッパ322が、独立気泡材料ではなくシリコンゴムを用いて形成されているため、フラッパ322の表面(少なくとも縁部に当接する面)が平滑となっている。なお、本明細書における「平滑」とは、凹凸が全くないものだけを意味する訳ではなく、独立気泡材料の表面よりも小さな凹凸であれば、凹凸が僅かに存在しているものも含む。このように、フラッパ322の表面が平滑であると、フラッパ322と氷401との接触面積が(独立気泡材料よりも)大きくなる。すると、フラッパ322に氷401が付着しやすくなり、結果として、フラッパ322と枠321の間に氷を挟み込むリスクが高くなる。
【0058】
そこで、本実施形態では、枠321の縁部の下内周面を工夫することで、縁部と氷401の界面に作用するせん断力F2を小さくした。これにより、枠321と氷401間の付着強度が、フラッパ322と氷401間の接着強度と比べて小さい場合でも、氷401がフラッパ322から離間し易くした。
【0059】
図13は、引張力F1と、せん断力F2と、を示した図である。本実施形態では、枠321の縁部の下内周面に角度θの傾斜を設けることで、せん断力F2を小さくし、氷401を枠321側に残すようにしている。
【0060】
一般的に、枠321に用いられるような樹脂材料(本実施形態ではABS樹脂)においては、せん断方向の付着強度よりも、引張方向の付着強度が10倍ほど大きいことが知られている。ゆえに、引張・圧縮方向に力を逃がすことで、せん断方向に加わる力をF1からF1cosθに低減でき、これにより、氷401を枠321側に残し、氷401の挟み込みが抑制でき密閉性が向上する。本実施形態では、枠321側に氷401を残すために、傾斜角度θを45°としている。
【0061】
なお、氷401を枠321側に残すためには、フラッパ322と氷401の引張付着強度をσFlap[Pa]、枠321と氷401のせん断付着強度をτFrame[Pa]、枠321の縁部の下内周面の傾斜角度をθ[°]としたときに、以下の(式1)の関係が成立するようにすればよい。
【0062】
【0063】
これにより、フラッパ322が枠321の縁部に当接した状態で、縁部の内周面に付着した水を凍結させてフラッパ322及び縁部を渡る氷401を生成し、この氷401の存在下でモータ323を駆動させてフラッパ322を回動(第1の回動)させると、氷401の80%~90%(少なくとも過半)の質量が枠321に付着したまま、フラッパ322が枠321から離間する。また、この第1の回動の後、フラッパ322を逆向きに回動(第2の回動)させると、フラッパ322と縁部とが当接する。つまり、フラッパ322の開閉に伴う氷401の挟み込みが抑制され、第1ダンパ101の閉状態において、枠321とフラッパ322の間に隙間が生じ難く、冷気漏れによる第1切替室R4の冷やし過ぎを防ぐことが可能となる。
【0064】
また、フラッパ322のパッキンが、シリコンゴムのようにゴム弾性の特性を有する材料の場合、フラッパ322と氷401の界面では、
図16に示すように、第1の回動の最初は引張力のみが作用するが、次第にパッキンが変形し、せん断力が作用するようになる。そして、このせん断力が、フラッパ322と氷401のせん断付着強度より大きくなれば、氷401がフラッパ322から離間する。このように、ゴム弾性の特性を有する材料でフラッパ322を形成すれば、氷401を枠321側に残し易くできる。
【0065】
ここで、フラッパ322と氷401の引張付着強度と、枠321と氷401のせん断付着強度は、以下に示す方法により、簡易的に測定が可能である。
【0066】
図14は、氷401のせん断付着強度を測定する方法の一例を示す模式図である。ここでは、
図14に示すデジタルフォースメータ415を用いてサンプル(本実施形態ではABS樹脂)と氷401のせん断剥離力を測定し、(式2)から枠321と氷401のせん断付着強度τ
Frameを求める。
【0067】
【0068】
ここで、FFrame
peakは枠321と氷401のせん断剥離力(N)で、Aiceは枠321と氷401の接触面積(m2)である。具体的には、枠321の材料(本実施形態ではABS)でできた平板411の上に容器412を置き、容器412内で氷401を生成する。容器412の下端には、例えばリングボルト413が備えられており、リングボルト413に糸414を取り付け、糸414のもう一方の端部をデジタルフォースメータ415に取付ける。その後、デジタルフォースメータ415を略水平に引張ることで、枠321と氷401のせん断剥離力を測定可能である。
【0069】
なお、上記の測定は、氷401が溶けない0℃以下の状態で実施するのが望ましい。また、
図13ではデジタルフォースメータ415を用いたが、より高精度に測定する場合には、ロードセルを用いても構わない。
【0070】
図15は、氷の引張付着強度を測定する方法の一例を示す模式図である。ここでは、
図15に示すデジタルフォースメータ415を用いてサンプル(本実施形態ではシリコンゴム)と氷401のせん断剥離力を測定し、(式3)からフラッパ322と氷401の引張付着強度τ
Frameを求める。
【0071】
【0072】
ここで、Fflap
peakはフラッパ322と氷401の引張剥離力(N)で、Aiceはフラッパ322と氷401の接触面積(m2)である。具体的には、フラッパ322の材料(本実施形態ではシリコンゴム)でできた平板411の上に容器412を置き、容器412内で氷401を生成する。容器412の上部には、例えばリングボルト413が備えられており、リングボルト413に糸414を取り付け、糸414のもう一方の端部をデジタルフォースメータ415に取付ける。その後、デジタルフォースメータ415を略垂直に引張ることで、フラッパ322と氷401の引張剥離力を測定可能である。
【0073】
なお、上記の測定は、氷401が溶けない0℃以下の状態で実施することが望ましい。また、
図15ではデジタルフォースメータ415を用いたが、より高精度に測定する場合には、ロードセルを用いても構わない。
【0074】
また、
図14及び
図15に示すように力を測定して、測定結果がばらつく場合には、測定値の中で、枠321と氷401のせん断剥離力F
Frame
peakの最低値と、フラッパ322と氷401の引張剥離力F
flap
peakの最大値を用いて、(式1)を満たすように第1ダンパ101を構成することで、氷401が枠321側に残る確率を高めることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、枠321の縁部の下内周面が、前側(貯蔵室側)が後側(蒸発器室側)よりも低くなる傾斜を有しているため、冷気を吐出する下流側の開口面積が広がり風路抵抗を小さくできるだけでなく、縁部の下内周面に残る水すなわち凍結する氷を少なくできる利点がある。
【0076】
また、本実施形態では、枠321の縁部が鉛直方向に位置しており、縁部とフラッパ322との当接面が鉛直方向となっているが、縁部や当接面が鉛直方向に対して傾斜した状態で第1ダンパ101を配置しても良い。例えば、縁部の上側が前方へ傾斜するような状態で第1ダンパ101を配置すると、縁部の下内周面に残る水が減らせるだけでなく、第1ダンパ101が閉状態のときにフラッパ322の重力により密閉度を向上させる効果も期待できる。
【0077】
≪第2実施形態≫
次に本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫について、
図17を用いて説明する。第2実施形態は、第1ダンパ101の開口Oの形態が、第1実施形態と異なっている。なお、その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。
【0078】
図17は、実施形態2に係る第1ダンパ101の側断面図である。
図17では、構成の特徴を説明するにあたり簡易的な形状で表している。本実施形態では、第1実施形態と同様に開口Oに傾斜を設けているが、その傾斜の向きが第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、枠321の縁部の下内周面が、後側(蒸発器室側)が前側(貯蔵室側)より低くなる傾斜を有している。これにより、枠321と氷401の付着強度が高まり、氷401が枠321側に残り易くなる。また、仮にフラッパ322に氷401が付着したまま回動したとしても、氷401は元の位置に戻ることが可能なため、氷401の挟み込みが生じる可能性を低減できる。
【0079】
≪第3実施形態≫
次に本発明の第3実施形態に係る冷蔵庫について、
図18を用いて説明する。第3実施形態は、第1ダンパ101の開口Oの形態が、第1実施形態と異なっている。なお、その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。
【0080】
図18は、実施形態3に係る第1ダンパ101の側断面図である。
図18では、構成の特徴を説明するにあたり簡易的な形状で表している。本実施形態では、枠321の縁部の下内周面に、金属材料(例えばアルミ)が別ピース部材420として設けられている。一般的に、金属は、氷の付着強度が樹脂に対して約100倍になることが知られている。ゆえに、本実施形態のような構成とすることで、枠321と氷401の付着強度が高まり、氷401が枠321側に残り易くなるため、氷401の挟み込みが生じる可能性を低減できる。また、枠321の全体ではなく一部のみをアルミとすることで、氷401の付着強度を高めつつ、その周囲は熱伝導率を下げて着霜を抑えることができる。なお、本実施形態では、縁部の下内周面にアルミの別ピース部材420を設けたが、縁部の下内周面にアルミを蒸着して形成しても構わない。また、アルミ以外の金属材料としても同様な効果が得られる。
【0081】
≪第4実施形態≫
次に本発明の第4実施形態に係る冷蔵庫について、
図19を用いて説明する。第4実施形態は、第1ダンパ101の開口Oの形態が、第1実施形態と異なっている。なお、その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。
【0082】
図19は、実施形態4に係る第1ダンパ101の側断面図である。
図19では、構成の特徴を説明するにあたり簡易的な形状で表している。本実施形態では、枠321の縁部の下内周面が、上内周面と比べて水平方向前方へ長く形成されている。このように構成することで、枠321と氷401の接触面積が、フラッパ322と氷401の接触面積よりも大きくなる。これにより、氷401が枠321側に残り易くなり、氷401の挟み込みが生じる可能性を低減できる。なお、本実施形態では、縁部の内周面のうち下側のみを水平方向前方に長くしているが、内周面の全周を水平方向前方に長くしても同様な効果が得られる。
【0083】
≪第5実施形態≫
次に本発明の第5実施形態に係る冷蔵庫について、
図20を用いて説明する。第5実施形態は、第1ダンパ101の開口Oの形態が、第1実施形態と異なっている。なお、その他の構成は同様であり、重複する説明は省略する。
【0084】
図20は、実施形態5に係る第1ダンパ101の側断面図である。
図20では、構成の特徴を説明するにあたり簡易的な形状で表している。本実施形態では、枠321の縁部の下内周面に、凹凸が設けられている。このように構成することで、枠321と氷401のせん断付着強度を高めることができるため、氷401が枠321側に残り易くなり、氷401の挟み込みが生じる可能性を低減できる。
【0085】
各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、上記の実施形態では、第1ダンパ101について説明したが、第2ダンパ102についても同様の構成を採用することが可能である。
さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0086】
80 フラッパ本体
90 パッキン
91 閉塞補助部
92 受け面
921 主面部
922 突出部
923 接続部
93 孔
94 返し面
101 第1ダンパ
102 第2ダンパ
321 枠
322 フラッパ
323 モータ
324 軸
400 霜
401 氷
411 平板
412 容器
413 リングボルト
414 糸
415 デジタルフォースメータ
420 別ピース部材