(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】アンテナ取付装置及びガイド部品
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20240222BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240222BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
B60R11/02 A
(21)【出願番号】P 2019232573
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】郷 清二
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】中村 大輔
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207338610(CN,U)
【文献】特開2016-041520(JP,A)
【文献】特開2009-017329(JP,A)
【文献】特開2006-345245(JP,A)
【文献】特開2018-131075(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0030340(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/32
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナベースを対象に固定する固定部と、
前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し、前記対象に接触可能な係止部材と、
前記アンテナベースと、前記係止部材と、の間に配置されるガイド部品と、
を備え、
前記ガイド部品は、前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部と、
前記固定部に対して前記第1壁部より外側に設けられる第2壁部と、を有し、
前記第2壁部は、互いに離間して配置された複数の前記第1壁部に対向し、
前記腕部は、前記複数の第1壁部と前記第2壁部とに挟まれる、アンテナ取付装置。
【請求項2】
前記第1壁部は、前記固定部による固定動作に応じて、前記固定部に近づく方向へ前記腕部が移動することを規制する、請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項3】
前記腕部の先端が位置する側から前記腕部の基端が位置する側に向かう方向において、前記第1壁部は、前記第2壁部よりも、突出している、請求項
1又は2に記載のアンテナ取付装置。
【請求項4】
前記第1壁部の先端面は、前記アンテナベースの前記固定部が位置する側から前記第1壁部が位置する側に向かう方向に対して、前記腕部の基端が位置する側から前記腕部の先端が位置する側に向けて斜めに傾いている、請求項1から
3までのいずれか一項に記載のアンテナ取付装置。
【請求項5】
前記ガイド部品は、前記固定部が貫通する孔
を有する
、請求項1から
4までのいずれか一項に記載のアンテナ取付装置。
【請求項6】
前記固定部には切欠きが形成されており、
前記第1壁部は、前記切欠きに入り込んでいる、請求項1から
5までのいずれか一項に記載のアンテナ取付装置。
【請求項7】
前記第1壁部は、絶縁体である、請求項1から
6までのいずれか一項に記載のアンテナ取付装置。
【請求項8】
アンテナベースを対象に固定する固定部を有するアンテナベースと、前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し前記対象に接触可能な係止部材と
、の間に配置されるガイド部品であって、
前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部
と、
前記固定部に対して前記第1壁部より外側に設けられる第2壁部と、
を備え
、
前記第2壁部は、互いに離間して配置された複数の前記第1壁部に対向し、
前記複数の第1壁部と前記第2壁部とで、前記腕部を挟む、ガイド部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ取付装置及びガイド部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、自動車のルーフにアンテナ装置が取り付けられることがある。アンテナ装置は、例えば、アンテナベースと、アンテナベースを覆うケースと、アンテナベースとケースとにより形成される空間に収容されるアンテナ部と、を備えている。アンテナ部にはアンテナエレメントや回路基板等が含まれ、アンテナベースの一方の面に配置される。また、アンテナベースは、他方の面に導電性の凸部を有している。このようなアンテナ装置は、例えば、凸部、係止部材及び取付ねじによってルーフに固定される。より具体的には、係止部材は、アンテナベースの凸部の周囲に形成された係止溝に係止部材の腕部の先端が入り込むようにアンテナベースの他方の面側に設置される。取付ねじは、アンテナベースの他方の面側から係止部材の取付基部の貫通孔を貫通し、さらにアンテナベースの凸部のねじ穴に差し込まれて仮止めされる。係止部材及び取付ねじが仮止めされたアンテナベースは、ルーフの上面側から当該凸部がルーフの取付孔を貫通するように、ルーフの上面側に設置される。そして、アンテナベースの凸部のねじ穴に仮止めされた取付ねじを増し締めすることで、係止部材の腕部が折り曲げられて、係止部材の係止爪部の先端がルーフの下面に接触する。係止爪部の先端がルーフの下面に接触することで、アンテナ取付装置がルーフに固定される。また係止爪部の先端がルーフに接触することで、アンテナベース及びルーフは、凸部、取付ねじ及び係止部材を介して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載の方法においては、アンテナ装置が取り付けられるルーフ等の対象の厚さを薄くすると、係止部材の係止爪部の先端が対象から遠く離れるようになり、係止爪部の先端が対象に向けて押し込まれる力が弱くなり得る。係止爪部の先端が対象に向けて押し込まれる力が弱くなると、アンテナ装置の対象への固定の安定性が低下し得る。
【0005】
本発明の目的の一例は、アンテナ装置を対象に安定に固定することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
アンテナベースを対象に固定する固定部と、
前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し、前記対象に接触可能な係止部材と、
前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部と、
を備えるアンテナ取付装置である。
【0007】
本発明の他の一態様は、
アンテナベースを対象に固定する固定部を有するアンテナベースと、前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し前記対象に接触可能な係止部材との間に配置されるガイド部品であって、
前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部を備えるガイド部品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、アンテナ装置を対象に安定に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るアンテナ取付装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示したアンテナベースの斜視図である。
【
図5】自動車のルーフにアンテナ装置が取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」等の序数詞は、特に断りのない限り、同様の名称が付された構成を単に区別するために付されたものであり、構成の特定の特徴(例えば、順番又は重要度)を意味するものではない。
【0012】
以下では、アンテナ装置を対象に固定するアンテナ取付装置について説明する。アンテナ装置は、例えば、装置本体とアンテナ取付装置とを備えている。装置本体は、例えば、アンテナベースと、アンテナベースを覆うケースと、アンテナベースとケースとにより形成される空間に収容されるアンテナ部(アンテナエレメントや回路基板等を含む)とを有する。また、アンテナ取付装置は、例えば、アンテナベースに設けられた凸部と、係止部材と、ガイド部品と、取付ねじとを有する。
図1は、実施形態に係るアンテナ取付装置10の斜視図である。
図2は、
図1に示したアンテナベース100の斜視図である。
図3は、
図1に示した係止部材200の斜視図である。
図4は、
図1に示したガイド部品300の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、アンテナ取付装置10は、例えば、アンテナベース100に設けられた凸部110、係止部材200、ガイド部品300及び取付ねじ400を備えている。後述する
図5において、アンテナ装置は、ルーフ500に取り付けられる。取付ねじ400は、雄ねじであり、ねじ軸402、ねじ頭404及び座金406を有している。座金406は、ねじ軸402のうちねじ頭404側の部分に組み込まれている。しかしながら、取付ねじ400は、座金406を有していなくてもよい。なお、本実施形態において、「ねじ」という用語は、ボルトを除外する意味で用いられるものでなく、ボルトも意味し得る。
【0014】
図1から
図4において、第1方向Xは、アンテナベース100の前後方向である。第1方向Xの正方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向)は、アンテナベース100の前方向である。第1方向Xの負方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、アンテナベース100の後方向である。後述する
図5においてアンテナ装置が自動車のルーフ500に取り付けられた場合、第1方向Xの正方向は自動車の前進方向であり、第1方向Xの負方向は自動車の後進方向である。第2方向Yは、アンテナベース100の左右方向である。第2方向Yの正方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向)は、後述する
図5においてアンテナ装置が自動車のルーフ500に取り付けられた場合において、アンテナ装置(アンテナベース100)の前方(第1方向Xの正方向)から見て、アンテナ装置(アンテナベース100)の右方向である。第2方向Yの負方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、後述する
図5においてアンテナ装置が自動車のルーフ500に取り付けられた場合において、アンテナ装置(アンテナベース100)の前方から見て、アンテナ装置(アンテナベース100)の左方向である。第3方向Zは、アンテナ装置(アンテナベース100)の高さ方向である。第3方向Zの正方向(第3方向Zを示す矢印によって示される方向)は、後述する
図5においてアンテナ装置が自動車のルーフ500に取り付けられた場合において、アンテナ装置(アンテナベース100)の上方向である。第3方向Zの負方向(第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、後述する
図5においてアンテナ装置が自動車のルーフ500に取り付けられた場合において、アンテナ装置(アンテナベース100)の下方向である。
【0015】
アンテナベース100は、アンテナベース100の前後方向(第1方向X)において、アンテナベース100の左右方向(第2方向Y)においてよりも長くなっている。アンテナベース100は、第1面102及び第2面104を有している。第1面102は、アンテナベース100がルーフ500(後述する
図5)に取り付けられた場合に下面(第3方向Zの負方向側の面)となる。第2面104は、第1面102の反対側にある。第2面104は、アンテナベース100がルーフ500(後述する
図5)に取り付けられた場合に上面(第3方向Zの正方向側の面)となる。アンテナベース100の第1面102側には、係止部材200、ガイド部品300及び取付ねじ400が設置される。アンテナベース100の第2面104側には、不図示の少なくとも1つのアンテナ(例えば、電話アンテナ、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナ(例えば、GPS(Global Positioning System)アンテナ)、ETC(Electronic Toll Collection)アンテナ等)が設置される。アンテナベース100の第2面104側に設置されたアンテナは、アンテナベース100の第2面104側に設置されるケース(不図示)によって覆われる。本実施形態では、上記少なくとも1つのアンテナを有する装置本体と、アンテナ取付装置10(アンテナベース100)と、を備える装置をアンテナ装置と称することがある。
【0016】
アンテナベース100は、凸部110を有している。凸部110は、アンテナベース100の第1面102から、アンテナベース100の第1面102に垂直な方向(第3方向Zの負方向)に突出している。凸部110は、導電性である。凸部110は、例えば金属ブロック等の導電性ブロックである。なお、アンテナベース100は、凸部110が導電性であれば、一部に絶縁性部材を含んで構成されてもよいし、アンテナベース100全体が導電性部材で構成されてもよい。
【0017】
凸部110の先端面(第3方向Zの負方向側の面)には、ねじ穴112が形成されている。このねじ穴112は、凸部110の高さ方向(第3方向Z)に伸びている。なお、凸部110は、雌ねじである。取付ねじ400は、凸部110の先端(第3方向Zの負方向側の端)から凸部110の基端(第3方向Zの正方向側の端)に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)ねじ穴112に差し込み(ねじ込み)可能になっている。取付ねじ400をねじ穴112に差し込む(ねじ込む)ことで、取付ねじ400は凸部110に取り付けられる。なお、凸部110は第1ねじ部の一例であり、取付ねじ400は第2ねじ部の一例である。本実施形態においては、上述したように取付ねじ400を凸部110のねじ穴112に差し込む(ねじ込む)ことで、第2ねじ部(取付ねじ400)は、第1ねじ部(凸部110)に締結される。また、第1ねじ部及び第2ねじ部の少なくとも一方、或いは、第1ねじ部及び第2ねじ部を総称して、固定部とも称する。固定部は、アンテナベース100を対象(後述する
図5においてルーフ500)に固定する。
【0018】
凸部110の側面(第3方向Zに直交する方向側の面)には、複数の切欠き114が形成されている。切欠き114の数(6つ)は、後述するガイド部品300の第1壁部310の数(6つ)と等しくなっている。すなわち、ガイド部品300の1つの第1壁部310に対して1つの切欠き114が設けられている。ガイド部品300がアンテナベース100に取り付けられたとき、ガイド部品300の各第1壁部310は、凸部110の各切欠き114に入り込む。すなわち、凸部110の切欠き114は、凸部110がガイド部品300の第1壁部310に干渉しないようにするため設けられている。仮に、凸部110がガイド部品300の第1壁部310に干渉しないように凸部110の幅(第3方向Zに直交する方向における長さ)を本実施形態に係る凸部110の幅より小さくすると、凸部110の強度が本実施形態に係る凸部110の強度より低下する可能性がある。これに対して、本実施形態では、切欠き114を設けることで、凸部110の幅(第3方向Zに直交する方向における長さ)をほとんど小さくする必要がなく、凸部110の強度を維持することができる。
【0019】
凸部110の切欠き114の数と、後述するガイド部品300の第1壁部310の数と、の関係は、本実施形態に係る関係に限定されない。例えば、凸部110の切欠き114の数と、ガイド部品300の第1壁部310の数とは異なっていてもよい。例えば、凸部110の切欠き114の数は、ガイド部品300の第1壁部310の数より少なくてもよい。或いは、切欠き114は、凸部110の側面に形成されていなくてもよい。例えば、凸部110がガイド部品300の第1壁部310に干渉しないように、凸部110の幅(第3方向Zに直交する方向における長さ)を本実施形態における凸部110の幅より小さくしてもよい。或いは、凸部110がガイド部品300の第1壁部310に干渉しないように、第1壁部310を本実施形態における第1壁部310よりも凸部110に対して外側に配置してもよい。
【0020】
図2に示すように、アンテナベース100の第1面102のうち凸部110の周囲には、少なくとも1つのガイド凸部122及び少なくとも1つのガイド凹部124が設けられている。具体的には、本実施形態では、4つのガイド凸部122が凸部110の周囲に設けられている。また4つのガイド凸部122のうち凸部110の第1方向Xの負方向側で第2方向Yに隣り合う2つのガイド凸部122の間に1つのガイド凹部124が設けられている。さらに、4つのガイド凸部122のうち凸部110の第2方向Yの正方向側で第1方向Xに隣り合う2つのガイド凸部122の間に1つのガイド凹部124が設けられている。さらに、4つのガイド凸部122のうち凸部110の第2方向Yの負方向側で第1方向Xに隣り合う2つのガイド凸部122の間に1つのガイド凹部124が設けられている。後述するガイド部品300は、これらのガイド凸部122及びガイド凹部124に適合する(係合する)形状を有している。このため、これらのガイド凸部122及びガイド凹部124がない場合と比較して、ガイド部品300をアンテナベース100に対して簡易に位置合わせすることができる。なお、ガイド凸部122及びガイド凹部124のレイアウトは、本実施形態に係るレイアウトに限定されるものでない。また、ガイド凸部122及びガイド凹部124の少なくとも一方(例えば、双方)は、アンテナベース100に設けられていなくてもよい。
【0021】
図3に示すように、係止部材200は、取付基部210、複数の腕部220及び複数の係止爪部230を有している。取付基部210、複数の腕部220及び複数の係止爪部230は、一体として形成されている。係止部材200は、導電性である。すなわち、取付基部210、複数の腕部220及び複数の係止爪部230は、導電性である。係止部材200(取付基部210、複数の腕部220及び複数の係止爪部230)は、導電板、例えば板金等の金属板からなっている。
【0022】
図1に戻る。取付ねじ400は、取付基部210を貫通している。具体的には、取付基部210には、貫通孔212が形成されている。取付ねじ400のねじ軸402は、取付基部210に対して、複数の腕部220が位置する側(第3方向Zの正方向側)の反対側(第3方向Zの負方向側)から貫通孔212を貫通している。取付ねじ400のねじ頭404及び座金406は、取付基部210に対して、複数の腕部220が位置する側(第3方向Zの正方向側)の反対側(第3方向Zの負方向側)に位置しており、貫通孔212を貫通していない。
【0023】
複数の腕部220は、取付基部210から延伸している。各腕部220は、固定部(例えば、凸部110及び取付ねじ400)による固定動作に応じて屈曲する。取付基部210は、3つの腕部220を有している。3つの腕部220のうち2つの腕部220は、アンテナベース100の左右方向(第2方向Y)においてアンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)を挟んで互いに反対側に位置している。3つの腕部220のうち残り1つの腕部220は、アンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)に対してアンテナベース100の後側(第1方向Xの負方向側)に位置している。この場合、アンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)に対してアンテナベース100の前側(第1方向Xの正方向側)には、アンテナベース100の第2面104側に載置された基板に接続するコネクタや同軸ケーブル等を通すためのスペース(腕部220が配置されていない領域)を形成することができる。すなわち、上記スペースが形成されるように、アンテナベース100の凸部110に対して少なくとも一方の側に腕部220が配置されている。しかしながら、複数の腕部220の数及び配置は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、係止部材200は、アンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)を挟んで互いに反対側に位置する2つの腕部220のみを有していてもよい。また、アンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)に対してアンテナベース100の前側(第1方向Xの正方向側)でなく、アンテナベース100の凸部110(取付基部210の貫通孔212)に対してアンテナベース100の前側と異なる側(例えば、第1方向Xの負方向側、第2方向Yの正方向側又は第2方向Yの負方向側)に上記スペースが形成されるように、複数(例えば、2つ又は3つ)の腕部220が配置されていてもよい。
【0024】
各腕部220は、第1関節部222及び第2関節部224を含んでいる。第1関節部222は、腕部220の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)に形成された凹部を有している。腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さは、腕部220のうち第1関節部222の凹部の周辺における厚さより薄くなっている。第2関節部224は、腕部220の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)に形成された凹部を有している。腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さは、腕部220のうち第2関節部224の凹部の周辺における厚さより薄くなっている。第2関節部224は、腕部220の基端(取付基部210が位置する側の端、すなわち、第3方向Zの負方向側の端)から腕部220の先端(取付基部210が位置する側の反対側の端、すなわち、第3方向Zの正方向側の端)に向かう方向において、第1関節部222よりも、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の近くに位置している。第1関節部222に形成された凹部(薄い厚さの部分)によって、第1関節部222は、腕部220の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)側から腕部220の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)側に向けて凸状に折れ曲がり可能になっている。また第2関節部224に形成された凹部(薄い厚さの部分)によって、第2関節部224は、腕部220の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)側から腕部220の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)側に向けて凸状に折れ曲がり可能になっている。
【0025】
腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さと、腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さと、の関係は、例えば、腕部220の第1関節部222及び第2関節部224における折り曲げの態様に応じて調整されてもよい。例えば、腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さと、腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さと、は、実質的に等しくてもよい。この場合、例えば、腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さは、腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さの95%以上105%以下としてもよい。或いは、腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さと、腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さとは、異なっていてもよい。この場合、例えば、腕部220のうち第2関節部224の凹部における厚さは、腕部220のうち第1関節部222の凹部における厚さより薄くてもよいし、又は厚くてもよい。
【0026】
各係止爪部230は、係止部材200(取付基部210)が取付ねじ400(ねじ頭404及び座金406)によってアンテナベース100に向けて(第3方向Zの正方向)に向けて押し込まれたとき、アンテナベース100が取り付けられる対象(後述する
図5においてルーフ500)に接触する。すなわち、係止部材200(各係止爪部230)は、固定部(例えば、凸部110及び取付ねじ400)による固定動作に応じて対象(ルーフ500)に接触可能になっている。各係止爪部230は、腕部220のうち腕部220の基端(取付基部210が位置する側の端、すなわち、第3方向Zの負方向側の端)と腕部220の先端(取付基部210が位置する側の反対側の端、すなわち、第3方向Zの正方向側の端)と、の間の部分(おおよそ、中央部分)から分岐し、係止部材200が取付ねじ400によって押し込まれる方向に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)突出している。係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、腕部220の第1関節部222よりも、係止部材200が取付ねじ400によって押し込まれる方向(第3方向Zの正方向)において、先方に位置している。したがって、後述する
図5に示すように、係止部材200が取付ねじ400によってアンテナベース100に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)押し込まれて腕部220の第1関節部222が折れ曲がったとき、係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、腕部220のうち第1関節部222と第2関節部224の間の部分よりも、係止部材200が取付ねじ400によって押し込まれる方向(第3方向Zの正方向)において突出することができる。これにより、後述する
図5に示すように、腕部220のうち第1関節部222と第2関節部224の間の部分をルーフ500に接触させることなく、係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)をルーフ500に接触させることができる。
【0027】
腕部220と係止爪部230の配置は、本実施形態に係る配置に限定されない。例えば、係止爪部230は、腕部220から分岐していなくてもよい。この場合、例えば、係止爪部230は、腕部220から独立して取付基部210から延伸していてもよい。具体的には、例えば、2つの係止爪部230が腕部220の両側に配置されるようになっていてもよい。
【0028】
各係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、複数箇所(2箇所)に分岐している。係止爪部230の先端の分岐部分の数、係止爪部230の高さ及び角度の少なくも一つを調整して対象への固定力を最適化することができる。しかしながら、係止爪部230の先端は複数個所に分岐していなくてもよく、係止爪部230の先端の1箇所のみがルーフ500に接触してもよい。
【0029】
ガイド部品300は、アンテナベース100に対して係止部材200を位置合わせする。ここで、ガイド部品300は、アンテナベース100と、係止部材200との間に配置される。ガイド部品300は、孔302、複数(6つ)の第1壁部310及び複数(3つ)の第2壁部320及び複数(3つ)の壁基部330を有している。ガイド部品300(複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330)は、電気絶縁性、すなわち絶縁体である。アンテナベース100の凸部110は、ガイド部品300の孔302を貫通する。複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330は、一体として形成されている。ガイド部品300は、孔302を有するブロック、例えば、樹脂ブロック等の電気絶縁性ブロックである。すなわち、このブロックは、複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330と一体として形成されている。例えば、ガイド部品300、すなわち、複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330は、樹脂製となっている。ガイド部品300が樹脂製である場合、例えばガイド部品300が金属製である場合と比較して、ガイド部品300の加工が容易であり、ガイド部品300を低コストで製造することができる。上記ブロックが複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330と一体として形成されている場合、孔302に凸部110を貫通させて、例えばアンテナベース100の複数のガイド凸部122及び複数のガイド凹部124によってこのブロックの位置合わせを行うことで、複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330の各々の位置合わせをまとめて行うことができる。したがって、例えば複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330の各々が互いに分離可能な部材であり、複数の第1壁部310の位置合わせ、複数の第2壁部320の位置合わせ及び複数の壁基部330の位置合わせを別々に行う場合と比較して、複数の第1壁部310、複数の第2壁部320及び複数の壁基部330の位置合わせが簡易になっている。
【0030】
各第1壁部310は、凸部110の先端面(第3方向Zの負方向側の面)が位置する側(第3方向Zの負方向側)から見て、アンテナベース100の凸部110の周囲に設けられている。各第1壁部310は、アンテナベース100の凸部110の側面(第3方向Zに直交する方向側の面)と、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)と、を物理的に隔てている。すなわち、各第1壁部310の少なくとも一部は、アンテナベース100の凸部110と、係止部材200の腕部220と、の間に位置している。この場合、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が凸部110に近づく方向に向けて移動することを第1壁部310によって規制することができる。このため、第1壁部310が設けられていない場合と比較して、係止部材200の先端(第3方向Zの正方向側の端)をアンテナベース100に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)押し込む力が、腕部220の先端から第1壁部310に向かって横方向に逃げにくく、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)に伝わりやすくなっている。したがって、後述する
図5において、第1壁部310が設けられていない場合と比較して、係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)をルーフ500に向けて強い力で押し込むことができる。このため、アンテナ取付装置10をルーフ500に安定に固定することができる。さらに上述した場合、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が凸部110の側面(第3方向Zに直交する方向側の面)に接触することを第1壁部310によって防ぐことができる。すなわち、第1壁部310は、腕部220と凸部110との直接的な接触を防止する。言い換えると、取付時には腕部220と凸部110とが接触しないように取り付けられているにもかかわらず、意図せずに腕部220と凸部110とが接触してしまうことを防止できる。したがって、係止部材200の腕部220とアンテナベース100の凸部110との短絡を防止することができる。仮に、係止部材200の腕部220がアンテナベース100に短絡すると、アンテナ取付装置10にとって好ましくない現象、例えば、不要共振の発生又はグランドへの経路の変化が生じ得る。しかしながら、本実施形態によれば、このような現象の発生を抑えることができる。
【0031】
各第2壁部320は、アンテナベース100の凸部110に対して第1壁部310より外側に設けられている。また、第2壁部320は、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む空間を挟んで第1壁部310に対向している。すなわち、係止部材200の腕部220(腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端))は、各第1壁部310と各第2壁部320とに挟まれる。この場合、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が凸部110から離れる方向に向けて移動することを第2壁部320によって規制することができる。このため、第2壁部320が設けられていない場合と比較して、係止部材200の先端(第3方向Zの正方向側の端)をアンテナベース100に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)押し込む力が、腕部220の先端から第2壁部320に向かって横方向に逃げにくく、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)に伝わりやすくなっている。したがって、後述する
図5において、第2壁部320が設けられていない場合と比較して、係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)をルーフ500に向けて強い力で押し込むことができる。このため、アンテナ取付装置10をルーフ500に安定に固定することができる。
【0032】
係止部材200の腕部220の先端を第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)に入り込ませる観点から、第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)の幅(第1壁部310のうち第2壁部320に対向する面と、第2壁部320のうち第1壁部310に対向する面と、の間の距離)は、係止部材200の腕部220の先端の厚さ(腕部220の先端の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)と、腕部220の先端の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)と、の間の距離)の例えば100%以上となっている。係止部材200の腕部220の先端を第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)において保持する観点から、第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)の幅(第1壁部310のうち第2壁部320に対向する面と、第2壁部320のうち第1壁部310に対向する面と、の間の距離)は、係止部材200の腕部220の先端の厚さ(腕部220の先端の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)と、腕部220の先端の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)と、の間の距離)の例えば130%以下となっている。言い換えると、第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)の幅は、腕部220の先端の厚さの100%であることが望ましいが、腕部220の先端の厚さの130%まで許容される。
【0033】
ガイド部品300の第2壁部320の数(3つ)は、係止部材200の腕部220の数(3つ)と等しくなっている。すなわち、係止部材200の1つの腕部220に対して1つの第2壁部320が設けられている。第3方向Zから見て、各第2壁部320は、各第2壁部320に対応する各腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)に沿って延伸している。ここで、第3方向Zから見て、各第2壁部320は、各第2壁部320に対応する腕部220の先端の外側面の一部分(例えば、中央部分)のみに対して設けられていてもよい。しかしながら、例えば、第3方向Zから見て腕部220の先端の外側面の一部分(例えば、中央部分)のみに対して第2壁部320が設けられている場合と比較して、腕部220の先端を第2壁部320によって安定に支持することができるので、各第2壁部320は、各第2壁部320に対応する各腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の外側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の反対側の面)に沿って延伸していることが望ましい。
【0034】
腕部220の数と第2壁部320の数との関係は、本実施形態に係る関係に限定されない。例えば、係止部材200の1つの腕部220に対して複数の第2壁部320が設けられていてもよい。或いは、係止部材200の複数の腕部220のうち少なくとも1つの腕部220に対して、第2壁部320が設けられていなくてもよい。また、ガイド部品300は、第1壁部310を有していれば、第2壁部320を有していなくてもよい。
【0035】
各第2壁部320は、物理的に互いに離間した複数(2つ)の第1壁部310と対向している。すなわち、1つの第2壁部320に対して複数(2つ)の第1壁部310が設けられている。第3方向Zから見て、各第2壁部320に対応して設けられた複数(2つ)の第1壁部310は、これら複数(2つ)の第1壁部310に対応する各腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)に沿って並んでいる。より具体的には、2つの第1壁部310は、これら2つの第1壁部310に対応する第2壁部320の両側部分に対向している。仮に、1つの第1壁部310が各腕部220の先端の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)に沿って延伸し、かつ第1壁部310と凸部110との間の距離が小さい場合において、凸部110が第1壁部310に干渉しないように凸部110の幅(第3方向Zに直交する方向における長さ)を本実施形態に係る凸部110の幅より小さくすると、凸部110の強度が本実施形態に係る凸部110の強度より低下する可能性がある。これに対して本実施形態では、複数の第1壁部310を各腕部220の先端の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)に沿って並べることで、各第1壁部310と凸部110との間の距離が小さくても凸部110の幅(第3方向Zに直交する方向における長さ)をほとんど小さくする必要がなく、凸部110の強度を維持することができる。また、本実施形態においては、第3方向Zから見て腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)の一部分(例えば、中央部分)のみに対して1つのみの第1壁部310が設けられている場合と比較して、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)を複数の第1壁部310によって安定に支持することができる。
【0036】
第1壁部310及び第2壁部320の関係は、本実施形態に係る関係に限定されない。例えば、1つの第2壁部320が1つの第1壁部310と対向していてもよい。この場合、第3方向Zから見て、各第1壁部310は、各第1壁部310に対応する各腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)の内側面(第3方向Zから見て貫通孔212が位置する側の面)に沿って延伸していてもよい。或いは、1つの第2壁部320が3つ以上の第1壁部310と対向していてもよい。
【0037】
壁基部330は、第1壁部310の基端(第3方向Zの正方向側の端)と第2壁部320の基端(第3方向Zの正方向側の端)との間に設けられている。第1壁部310及び第2壁部320は、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む凹部(空間又は隙間)の両内側面を画定している。また壁基部330は、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む凹部(空間又は隙間)の底面を画定している。係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が壁基部330に接触する場合、壁基部330の第3方向Zにおける位置に応じて、係止部材200の第3方向Zにおける位置を調整することができる。さらに、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)とアンテナベース100とを壁基部330によって物理的に隔てることができ、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)がアンテナベース100に接触すること、すなわち、腕部220とアンテナベース100との短絡を防ぐことができる。しかしながら、壁基部330は設けられていなくてもよい。例えば、アンテナベース100が絶縁部材を含んで形成される場合に、アンテナベース100の絶縁性部材で構成された部位と腕部220とが接触するのであれば、壁基部330は設けられていなくてもよい。或いは、アンテナベース100の導電性部材で構成された部位と腕部220とが安定的に接触するのであれば、壁基部330は設けられていなくてもよい。
【0038】
図5は、自動車のルーフ500にアンテナ取付装置10が取り付けられた状態を示す断面図である。
【0039】
図5における第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは、
図1から
図4における第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zとそれぞれ同様である。
図5において、第2方向Yを示す点付き白丸は、第2方向Yの正方向(
図5の紙面の奥から手前に向かう方向)を示している。
図5は、第3方向Zから見た場合の凸部110のねじ穴112の中心、取付基部210の貫通孔212の中心及び取付ねじ400の中心を、第2方向Yに垂直な方向に沿って通る断面を示している。
【0040】
図1から
図4を参照しつつ、
図5を用いて、アンテナ装置をルーフ500に取り付ける(固定する)方法の一例を説明する。この例では、アンテナ装置は、自動車のルーフ500に取り付けられている。ルーフ500は、上面502及び下面504を有している。ルーフ500には、取付孔510が形成されている。取付孔510は、上面502及び下面504の間でルーフ500を貫通している。しかしながら、アンテナ装置が取り付けられる対象は、自動車のルーフに限定されるものでない。アンテナ装置は、自動車のルーフを含め、例えば、導電性の部材や金属部材、より具体的には例えば、導電性を有する板金に取り付け可能である。
【0041】
まず、アンテナ装置をルーフ500に取り付ける(固定する)際には、アンテナ装置(アンテナベース100)をルーフ500に取り付ける(固定する)前に、アンテナベース100にガイド部品300と、係止部材200と、取付ねじ400とが組み付けられる。例えば以下のようにして、アンテナベース100にガイド部品300と、係止部材200と、取付ねじ400とが組み付けられる。
【0042】
まず、アンテナベース100の凸部110がガイド部品300の孔302を貫通するように、アンテナベース100の第1面102側からガイド部品300をアンテナベース100に取り付ける。
【0043】
次いで、係止部材200の各腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)がガイド部品300の第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)に入り込むように、アンテナベース100の第1面102側から係止部材200をガイド部品300に取り付ける。
【0044】
第1壁部310の先端面(第3方向Zの正方向側の面)は、アンテナベース100の凸部110が位置する側から第1壁部310が位置する側に向かう方向(
図5において第1方向Xの負方向)に対して、係止部材200の腕部220の基端(第3方向Zの負方向側の端)が位置する側から係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が位置する側に向けて(第3方向Zの正方向に向けて)斜めに傾いている。この場合、例えば、第1壁部310の先端面が、アンテナベース100の凸部110が位置する側から第1壁部310が位置する側に向かう方向(
図5において第1方向Xの負方向)に平行である場合又はアンテナベース100の凸部110が位置する側から第1壁部310が位置する側に向かう方向(
図5において第1方向Xの負方向)に対して本実施形態のそれとは逆側に傾いている場合と比較して、腕部220の先端を第1壁部310と第2壁部320との間の空間(隙間)に向けて案内しやすくなる。
【0045】
次いで、アンテナベース100の第1面102側から取付ねじ400のねじ軸402を係止部材200の取付基部210の貫通孔212に貫通させて、さらに取付ねじ400のねじ軸402をアンテナベース100の凸部110のねじ穴112にねじ込んで仮止めする。
【0046】
このようにして、アンテナベース100にガイド部品300と、係止部材200と、取付ねじ400とが組み付けられる。次に、例えば以下のようにして、ガイド部品300と、係止部材200と、取付ねじ400とが組み付けられたアンテナベース100(アンテナ装置)がルーフ500に取り付けられる。
【0047】
まず、アンテナベース100の凸部110が、ガイド部品300と、係止部材200と、取付ねじ400とともに、ルーフ500の取付孔510を貫通するように、ルーフ500の上面502側にアンテナベース100を設置する。この場合、アンテナベース100の凸部110は、アンテナベース100が取り付けられる対象(ルーフ500)側に突出し、対象(ルーフ500)に設けられた取付孔510に挿入される。またこの場合、係止部材200の各腕部220は、アンテナベース100の凸部110の周囲に位置するようになる。
【0048】
次いで、仮止めされた取付ねじ400を増し締めする。このように取付ねじ400のねじ軸402を凸部110のねじ穴112にねじ込むことで、取付ねじ400は、上方(第3方向Zの正方向)に向けて進行する。取付ねじ400が上方(第3方向Zの正方向)に向けて進行することで、係止部材200の取付基部210は、取付ねじ400のねじ頭404及び座金406によって上方(第3方向Zの正方向)に向けて押し込まれる。これにより、係止部材200の腕部220の基端(第3方向Zの負方向側の端)は、上方向(第3方向Zの正方向)の力を取付基部210(ねじ頭404及び座金406)から受ける。同時に、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、下方向(第3方向Zの負方向)の力をガイド部品300(壁基部330)から受ける。
図5に示すように、これらの力によって、係止部材200の腕部220の第1関節部222は、アンテナベース100の凸部110が位置する側から離れる側に向けて凸状に折れ曲がる。また、係止部材200の腕部220の第2関節部224は、ガイド部品300の第2壁部320に沿って折れ曲がる。
【0049】
係止部材200の腕部220の第1関節部222及び第2関節部224が折れ曲がることで、係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、腕部220のうち第1関節部222と第2関節部224との間の部分よりも、上方(第3方向Zの正方向)に向けて突出する。これによって、係止部材200の係止爪部230の先端(第3方向Zの正方向側の端)は、ルーフ500の上面502に接触する。このようにして、アンテナベース100及びルーフ500は、凸部110、取付ねじ400及び係止部材200を介して電気的に接続されるようになる。ここで、第1壁部310が設けられない場合、腕部220の先端が凸部110に近づく方向に向けて移動することにより、第1関節部222が折れ曲がった後に第2関節部224が折れ曲がる。この場合、第2関節部224が曲がり切らない場合が起こり得る。しかしながら、本実施形態では、第1壁部310が設けられることにより、第1関節部222と第2関節部224とがほぼ同時に折れ曲がるようになる。この結果、第2関節部224がしっかりと折れ曲がる。
【0050】
係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が位置する側から係止部材200の腕部220の基端(第3方向Zの負方向側の端)が位置する側に向かう方向(第3方向Zの負方向)において、第1壁部310の先端(第3方向Zの負方向側の端)は、第2壁部320の先端(第3方向Zの負方向側の端)よりも、突出している。ここで、第1壁部310の突出部位の長さは、腕部220の先端部分から第2関節部224までの長さと同じ以上の長さであることが望ましい。この場合、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が位置する側から係止部材200の腕部220の基端(第3方向Zの負方向側の端)が位置する側に向かう方向(第3方向Zの負方向)において、第1壁部310の先端が第2壁部320の先端と揃っている場合又は第2壁部320の先端が第1壁部310の先端よりも突出している場合と比較して、腕部220のうち第2関節部224が第2壁部320に沿って折り曲げられるとき、腕部220のうち腕部220の第2関節部224と腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)との間の部分が、凸部110に向けて移動すること(凸部110の外側面に接触すること)を第1壁部310によって規制することができる。しかしながら、係止部材200の腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が位置する側から係止部材200の腕部220の基端(第3方向Zの負方向側の端)が位置する側に向かう方向(第3方向Zの負方向)において、第1壁部310の先端は第2壁部320の先端と揃っていてもよいし、又は第2壁部320の先端が第1壁部310の先端よりも突出していてもよい。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0052】
例えば、本実施形態では、係止部材200のすべての腕部220(3つの腕部220)に対して、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む空間(隙間)が第1壁部310及び第2壁部320によって形成されている。しかしながら、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む空間(隙間)は、係止部材200のすべての腕部220に対して形成されていなくてもよく、係止部材200のすべての腕部220のうちの少なくとも1つの腕部220に対して形成されていてもよい。例えば、本実施形態の3つの腕部220のうち第2方向Yに並んでいる2つの腕部220に対しては、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む空間(隙間)が形成されている一方で、本実施形態の3つの腕部220のうち残りの1つの腕部220に対しては、腕部220の先端(第3方向Zの正方向側の端)が入り込む空間(隙間)が形成されていないようにしてもよい。
【0053】
また、例えば、本実施形態において、ガイド部品300は、アンテナベース100から分離可能な部品となっている。しかしながら、ガイド部品300は、アンテナベース100と一体となっていてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、取付ねじ400が雄ねじであり、凸部110が雌ねじである(第1ねじ部(凸部110)が雌ねじであり、第2ねじ部(取付ねじ400)が第1ねじ部と締結される雄ねじである)ものとして説明したが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、凸部110が雄ねじであり、取付ねじ400に代えてナットが用いられてもよい。この場合、ナットは雌ねじであり凸部110と締結される。すなわち、第1ねじ部(凸部110)が雄ねじであり、第2ねじ部(ナット)が第1ねじ部と締結される雌ねじであってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、第2ねじ部(取付ねじ400)が取付基部210を貫通するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1ねじ部が取付基部210を貫通してもよい。或いは、第1ねじ部及び第2ねじ部の双方が取付基部210を貫通してもよい。すなわち、第1ねじ部及び第2ねじ部の少なくとも一方が取付基部210を貫通してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、ガイド部品300は、電気絶縁性であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、アンテナベース100と、係止部材200と、ガイド部品300とが安定的に導通状態を確保できるのであれば、ガイド部品300は導電性であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、係止部材200は、導電性であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、取付基部210のうち取付ねじ400との接触部位と係止爪部230とが導通状態を確保できていれば、腕部220の先端が絶縁性部材で形成されてもよい。或いは、係止部材200において、取付基部210のうち取付ねじ400との接触部位及び係止爪部230以外の部分が絶縁皮膜で覆われてもよい。
【0058】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
アンテナベースを対象に固定する固定部と、
前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し、前記対象に接触可能な係止部材と、
前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部と、
を備えるアンテナ取付装置である。
態様1によれば、腕部の先端が固定部に近づく方向に向けて移動することを第1壁部によって規制することができる。このため、第1壁部が設けられていない場合と比較して、係止部材の先端をアンテナベースに向けて押し込む力が、腕部の先端から第1壁部に向かって横方向に逃げにくく、腕部の先端に伝わりやすくなっている。したがって、第1壁部が設けられていない場合と比較して、係止爪部の先端を対象に向けて強い力で押し込むことができる。このため、アンテナ装置を対象に安定に固定することができる。
(態様2)
前記第1壁部は、前記固定部による固定動作に応じて、前記固定部に近づく方向へ前記腕部が移動することを規制する、態様1に記載のアンテナ取付装置である。
態様2によれば、態様1と同様にして、アンテナ装置を対象に安定に固定することができる。
(態様3)
前記固定部に対して前記第1壁部より外側に設けられ、前記第1壁部に対向する第2壁部をさらに備え、
前記腕部は、前記第1壁部と前記第2壁部とに挟まれる、態様1又は2に記載のアンテナ取付装置である。
態様3によれば、腕部の先端が固定部から離れる方に向けて移動することを第2壁部によって規制することができる。このため、第2壁部が設けられていない場合と比較して、係止部材の先端をアンテナベースに向けて押し込む力が、腕部の先端から第2壁部に向かって横方向に逃げにくく、腕部の先端に伝わりやすくなっている。したがって、第2壁部が設けられていない場合と比較して、係止爪部の先端を対象に向けて強い力で押し込むことができる。このため、アンテナ装置を対象に安定に固定することができる。
(態様4)
前記腕部の先端が位置する側から前記腕部の基端が位置する側に向かう方向において、前記第1壁部は、前記第2壁部よりも、突出している、態様3に記載のアンテナ取付装置である。
態様4によれば、係止部材の腕部の先端が位置する側から係止部材の腕部の基端が位置する側に向かう方向において、第1壁部の先端が第2壁部の先端と揃っている場合又は第2壁部の先端が第1壁部の先端よりも突出している場合と比較して、腕部のうち第2関節部が第2壁部に沿って折り曲げられるとき、腕部のうち腕部の第2関節部と腕部の先端との間の部分が、固定部に向けて移動すること(固定部の外側面に接触すること)を第1壁部によって規制することができる。
(態様5)
前記第2壁部は、互いに離間して配置された複数の前記第1壁部に対向している、態様3又は4に記載のアンテナ取付装置である。
態様5によれば、複数の第1壁部を腕部の先端の内側面に沿って並べることで、各第1壁部と固定部との間の距離が小さくても固定部の幅をほとんど小さくする必要がなく、固定部の強度を維持することができる。また、腕部220の先端の内側面の一部分のみに対して1つのみの第1壁部が設けられている場合と比較して、腕部の先端を複数の第1壁部310によって安定に支持することができる。
(態様6)
前記第1壁部の先端面は、前記アンテナベースの前記固定部が位置する側から前記第1壁部が位置する側に向かう方向に対して、前記腕部の基端が位置する側から前記腕部の先端が位置する側に向けて斜めに傾いている、態様1から5までのいずれか一に記載のアンテナ取付装置である。
態様6によれば、例えば、第1壁部の先端面が、アンテナベースの固定部が位置する側から第1壁部が位置する側に向かう方向に平行である場合又はアンテナベースの固定部が位置する側から第1壁部が位置する側に向かう方向に対して態様5のそれとは逆側に傾いている場合と比較して、腕部の先端を第1壁部と第2壁部との間の空間(隙間)に向けて案内しやすくなる。
(態様7)
前記第1壁部と、前記固定部が貫通する孔とを有するブロックをさらに備える、態様1から6までのいずれか一に記載のアンテナ取付装置である。
態様7によれば、孔に固定部を貫通させて、ブロックの位置合わせを行うことで、第1壁部の位置合わせを行うことができる。
(態様8)
前記固定部には切欠きが形成されており、
前記第1壁部は、前記切欠きに入り込んでいる、態様1から7までのいずれか一に記載のアンテナ取付装置である。
態様8によれば、切欠きを設けることで、固定部の幅をほとんど小さくする必要がなく、固定部の強度を維持することができる。
(態様9)
前記第1壁部は、絶縁体である、態様1から8までのいずれか一に記載のアンテナ取付装置である。
態様9によれば、例えば第1壁部が金属製である場合と比較して、第1壁部の加工が容易であり、第1壁部を低コストで製造することができる。
(態様10)
アンテナベースを対象に固定する固定部を有するアンテナベースと、前記固定部の周囲に位置し前記固定部による固定動作に応じて屈曲する腕部を有し前記対象に接触可能な係止部材との間に配置されるガイド部品であって、
前記固定部と前記腕部との間に少なくとも一部が位置する第1壁部を備えるガイド部品である。
態様10によれば、態様1と同様にして、アンテナ装置を対象に安定に固定することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 アンテナ取付装置
100 アンテナベース
102 第1面
104 第2面
110 凸部
112 ねじ穴
114 切欠き
122 ガイド凸部
124 ガイド凹部
200 係止部材
210 取付基部
212 貫通孔
220 腕部
222 第1関節部
224 第2関節部
230 係止爪部
300 ガイド部品
302 孔
310 第1壁部
320 第2壁部
330 壁基部
400 取付ねじ
402 ねじ軸
404 ねじ頭
406 座金
500 ルーフ
502 上面
504 下面
510 取付孔
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向