(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】アクセサリアダプタ及びレンズフード
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240222BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20240222BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240222BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G03B11/04 C
G02B7/02 E
(21)【出願番号】P 2019239422
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村 教浩
(72)【発明者】
【氏名】平川 祥一朗
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-189243(JP,A)
【文献】特開2008-003344(JP,A)
【文献】特開2019-139191(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0401204(KR,Y1)
【文献】特開2017-219819(JP,A)
【文献】特開2010-072060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 11/04
G02B 7/02-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒の先端に着脱可能なリング状のアクセサリアダプタであって、
リング状のアダプタ本体と、
前記アダプタ本体における像面側に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、
前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、
前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材に当接する第二凸部と、
を有
し、
前記アダプタ本体は、像面側に前記アダプタ側係合部を有するリング状の第一部材と、対物側に前記第一凸部および前記第二凸部を有し、像面側で前記第一部材と着脱可能に連結するリング状の第二部材と、によって構成されており、
前記第一部材の対物側の端部の内側面は、ねじであり、前記第二部材の像面側の端部の外側面は、前記第一部材の前記ねじに適合する、当該ねじと呼び径が同じねじであり、前記第一部材と前記第二部材とは、ねじ込み方式により連結される、
アクセサリアダプタ。
【請求項2】
前記レンズ側係合部は、前記レンズ鏡筒の先端側の外周面の周方向に延出するレンズ側突条部であり、
前記アダプタ側係合部は、前記アダプタ本体の内周面に形成されるとともにその周方向に延在してレンズ側突条部に当接可能な第一突条部と、
レンズ側突条部に第一突条部が当接したアダプタ本体を回動させたときに、前記レンズ側突条部よりも像面側から前記レンズ側突条部に当接可能な第二突条部と、を有する、請求項1に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項3】
前記アダプタ本体は、前記第二凸部に重なる所定の位置まで回動した前記遮光部材に形成されている凹凸に係合して回動を規制する回動規制部をさらに有する、請求項1または2に記載のアクセサリアダプタ。
【請求項4】
レンズ鏡筒の先端に着脱可能なレンズフードであって、
リング状のアダプタ本体と、前記アダプタ本体に取り付けられる遮光部材と、を備え、
前記アダプタ本体における像面側に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、
前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の前記遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、
前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材に当接する第二凸部と、
を有
し、
前記アダプタ本体は、像面側に前記アダプタ側係合部を有するリング状の第一部材と、対物側に前記第一凸部および前記第二凸部を有し、像面側で前記第一部材と着脱可能に連結するリング状の第二部材と、によって構成されており、
前記第一部材の対物側の端部の内側面は、ねじであり、前記第二部材の像面側の端部の外側面は、前記第一部材の前記ねじに適合する、当該ねじと呼び径が同じねじであり、前記第一部材と前記第二部材とは、ねじ込み方式により連結される、
レンズフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリアダプタ及びレンズフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒の先端に、用途に応じたカメラアクセサリを取り付けて撮影することがある。このようなカメラアクセサリの例として、レンズ鏡筒の先端から不要な光が入り込むことを防ぐレンズフードが挙げられる(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-58786号公報
【文献】特開2013-210447号公報
【文献】特開2007-272163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンズフードが遮るべき光は、レンズの画角により異なる。特許文献1に記載されたレンズフードは、可変開口絞りにより画角の変化に応じて不要な光の入射を防止するが、開口絞りが丸穴であるため、上下左右方向において不要な光を確実に遮ることが困難である。また、特許文献2に記載されたレンズフードは、遮光部が固定されているため、画角が異なるレンズに対応することができない。特許文献3に記載されたレンズフードは、レンズに応じて交換可能となっているが、フランジが大きく突出する形状であるためレンズ毎に持ち歩くのは困難であり、携帯性が劣る。このように、従来技術には、レンズを通過する光の強さを変更するためのレンズ鏡筒用のアクセサリの便宜性を高める観点から検討の余地が残されている。
【0005】
本発明の一態様は、レンズを通過する光の強さを変更するためのレンズ鏡筒用のアクセサリの便宜性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るアクセサリアダプタは、レンズ鏡筒の先端に着脱可能なリング状のアクセサリアダプタであって、リング状のアダプタ本体と、前記アダプタ本体における像面側に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材に当接する第二凸部と、を有する。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレンズフードは、レンズ鏡筒の先端に着脱可能なレンズフードであって、リング状のアダプタ本体と、前記アダプタ本体に取り付けられる遮光部材と、を備え、前記アダプタ本体における像面側に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の前記遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材に当接する第二凸部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、例えば、レンズ鏡筒の先端に、携帯性の高いレンズフードを、レンズの画角に応じて交換可能に取り付けることができる。このように、本発明の一態様によれば、レンズを通過する光の強さを変更するためのレンズ鏡筒用のアクセサリの便宜性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板の組み立てられた構成を示す断面図である。
【
図4】
図1の遮光板の他の態様を示す正面図である。
【
図5】一実施形態に係るアクセサリアダプタ及び遮光板の構成を示す斜視図である。
【
図6】一実施形態に係るアクセサリアダプタ及び遮光板の構成を示す正面図である。
【
図7】
図6に示されるアクセサリアダプタの要部を拡大して示す図である。
【
図8】一実施形態に係るアクセサリアダプタ及び遮光板の構成を示す正面図である。
【
図9】他の形態に係るアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板の構成を示す分解斜視図である。
【
図10】
図9のアクセサリアダプタの構成を示す斜視図である。
【
図11】
図9に示すアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板の構成の他の例を示す分解斜視図である。
【
図12】
図11のアクセサリアダプタの構成を示す斜視図である。
【
図13】さらに他の形態に係るアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板の構成を示す分解斜視図である。
【
図14】
図13に示すアクセサリアダプタ、レンズ鏡筒、及び、遮光板が組み立てられた構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るアクセサリアダプタの実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する当該アクセサリアダプタは、本発明に係るアクセサリアダプタの一態様であって、本発明に係るアクセサリアダプタは以下の態様に限定されない。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、一実施形態に係るアクセサリアダプタ10、レンズ鏡筒20、及び、遮光板(遮光部材)30の構成を示す分解斜視図である。
図2は、組み立てられた、アクセサリアダプタ10、レンズ鏡筒20、及び、遮光板30の構成を示す断面図である。
【0012】
(レンズ鏡筒20の構成)
レンズ鏡筒20は、カメラ本体(図示せず)に取り付けられる交換レンズである。レンズ鏡筒20の先端は、レンズ鏡筒20の対物側の端部である。レンズ鏡筒20の先端には、カメラアクセサリがアクセサリアダプタ10を介して着脱可能に取り付けられるようになっている。レンズ鏡筒20の先端側には、レンズ側突条部(レンズ側係合部)21が配置されている。また、レンズ鏡筒20の内周面における先端部には、ねじ(雌ねじ)22が形成されている。
【0013】
レンズ側突条部21は、アクセサリアダプタ10の像面側の端部11aを取り付けるためのレンズ側係合部である。レンズ側突条部21は、レンズ鏡筒20の先端側の外周面の周方向に延出するように設けられている。レンズ側突条部21は、バヨネット方式の一方の係合部であり、アクセサリアダプタ10のアダプタ側係合部12に係合する。レンズ側突条部21は、アダプタ側係合部12がレンズ側突条部21に当接した状態でレンズ側突条部21に沿って摺動するように設けられている。レンズ側突条部21には、アダプタ側係合部12の摺動範囲を規制する規制部が設けられていてもよい。例えば、レンズ側突条部21には、レンズ側突条部21から像面側に突出する凸部21aが形成されている。
【0014】
(アクセサリアダプタ10の構成)
アクセサリアダプタ10は、レンズ鏡筒20の先端に着脱可能なリング状の形状を有する。アクセサリアダプタ10は、遮光板30をレンズ鏡筒20に取り付けるためのものである。アクセサリアダプタ10は、アダプタ本体11と、アダプタ側係合部12と、第一凸部13と、第二凸部14とを有している。
【0015】
アダプタ本体11は、リング状の形状を有する。アダプタ本体11の像面側の内周面上には、アダプタ側係合部12が形成されている。アダプタ側係合部12は、アダプタ本体11をレンズ鏡筒20の先端に着脱可能に取り付けるものである。
【0016】
アダプタ側係合部12は、バヨネット方式の他方の係合部であり、レンズ側突条部21に係合する。アダプタ側係合部12は、第一突条部12a、第二突条部12b、及び凹部12cを有している。第一突条部12a及び第二突条部12bは、アダプタ本体11の内周面に形成されるとともにその周方向に延在している。第一突条部12aは、レンズ側突条部21に当接可能である。第二突条部12bは、第一突条部12aがレンズ側突条部21に当接したアダプタ本体11を回動させたときに、レンズ側突条部21よりも像面側からレンズ側突条部に当接可能である。凹部12cは、第二突条部12bの凸縁部の一部を切り欠いた構成であり、レンズ側突条部21に形成されている凸部21aが嵌合可能な形状に形成されている。
【0017】
第一凸部13は、アダプタ本体11の対物側の内周面から突出すると共に周設されている。第一凸部13は、その縁にアダプタ本体11の対物側からアダプタ本体11に侵入した遮光板30に当接する縁部を有している。第一凸部13は、アダプタ本体11の内周面において、連続して延伸して周設されていてもよいし、複数の第一凸部13が間隔を空けて周設されていてもよい。
【0018】
第二凸部14は、アダプタ本体11の対物側の内周面から突出している。第二凸部14は、アダプタ本体11の内周面における第一凸部13よりも対物側の位置に配置されている。第二凸部14は、アダプタ本体11の内周面の少なくとも2箇所の対向する位置に設けられている。
【0019】
第二凸部14は、第一凸部13から、アダプタ本体11の軸方向に遮光板30の厚さ以上の隙間を有する位置に配置されている。第二凸部14は、第一凸部13に当接した遮光板30を回動させたときに、遮光板30よりも対物側から遮光板30に当接可能である。
【0020】
(アクセサリアダプタ10の装着)
アクセサリアダプタ10は、バヨネット方式によりレンズ鏡筒20に装着することができる。詳細には、アクセサリアダプタ10の像面側の端部11aをレンズ鏡筒20の先端に向けた状態で、アクセサリアダプタ10をレンズ鏡筒20の先端に近づける。これにより、アクセサリアダプタ10がレンズ鏡筒20の外周面に被さり、アダプタ側係合部12の第一突条部12aがレンズ側突条部21に当接する。
【0021】
つぎに、第一突条部12aがレンズ側突条部21に当接した状態で、アダプタ本体11を所定方向に所定距離だけ回転させる。これにより、第一突条部12aがレンズ側突条部21に沿って摺動し、まず、レンズ側突条部21の像面側からレンズ側突条部21に第二突条部12bが当接する。すなわち、レンズ側突条部21は、軸方向において、第一突条部12aと第二突条部12bとの間に挟まれる。次に、アクセサリアダプタ10とレンズ鏡筒20とを周方向へ相対的に回動させると、第二突条部12bの一部がレンズ側突条部21の凸部21aを乗り越え、第二突条部12bに形成されている凹部12cとレンズ側突条部21の凸部21aとが係合する。これによって、レンズ鏡筒20に対するアダプタ本体11の回転が抑制され、レンズ側突条部21におけるアダプタ側係合部12の摺動範囲が規制される。このように、アダプタ側係合部12がレンズ側突条部21に係合してアクセサリアダプタ10がレンズ鏡筒20に外嵌し、レンズ鏡筒20に対するアクセサリアダプタ10の装着が完了する。アクセサリアダプタ10は、周方向における、凸部21a及び凹部12cによって決定される所定の位置で、レンズ鏡筒20に装着される。
【0022】
なお、アクセサリアダプタ10(アダプタ本体11)は、バヨネット方式によりレンズ鏡筒20に取り付けられた状態をロックするロック機構(図示せず)をさらに備えていてもよい。このとき、ロック機構としては、例えば、レンズ側突条部21の凸部21aとアダプタ側係合部12の凹部12cとが係合したときに、第二突条部12bをレンズ鏡筒20の径方向において進退可能とするスイッチ機構を採用することができる。当該ロック機構によれば、第二突条部12bの径方向への進退によって、第二突条部12bの凹部12cとレンズ側突条部21の凸部21aとの係合および係合の解除を制御することができる。これにより、レンズ鏡筒20に対するアクセサリアダプタ10の回転を抑制し、あるいは当該抑制を解除することができる。これにより、アクセサリアダプタ10をレンズ鏡筒20に取り付けた際に、誤ってレンズ鏡筒20からアクセサリアダプタ10が外れてしまうことを防ぐことができる。
【0023】
(遮光板30)
次に、アクセサリアダプタへの遮光板の装着について説明する。まず遮光板の構成を説明する。
【0024】
(遮光板30の構成)
遮光板30は、レンズ鏡筒20の対物側端部に取り付け可能なカメラアクセサリである。遮光板30は、略矩形の開口を有する部材であり、レンズ鏡筒のレンズに対して、開口よりも外側の光を遮断し、当該開口を通過する光のみを通過させる。このように、遮光板30は、レンズ鏡筒に入射する一部の光を遮る遮光部材である。遮光板30は、アクセサリアダプタ10を介して、レンズ鏡筒20に取り付けられる。遮光板30は、アクセサリアダプタ10の対物側の端部11bに取り付けられる。遮光板30は、板状である。
【0025】
遮光板30は、アクセサリアダプタ10の内形に沿った外形の円形状の一部を切り欠いた切り欠き部31を有する形状である。すなわち、遮光板30の平面形状の外縁は、互いに対向する位置にある円弧部と、互いに対向する位置にある切り欠き部31とを含む。円弧部は、例えば、アダプタ本体11の対物側の開口径よりわずかに小さい直径の円弧の部分である。切り欠き部31は、例えば、平面視したときに、第二凸部14に重なる部分を直線で切り欠いて形成される部分である。
【0026】
遮光板30は、レンズ鏡筒20の光路全域を均等に遮光してもよいし、部分的に遮光してもよい。
図3は、
図1の遮光板30の一態様を示す正面図であり、
図4は、
図1の遮光板30の他の態様を示す正面図である。
図3及び4に示すように、レンズ鏡筒20に入射する光の一部を遮光する遮光板30は、その一部に開口部32を有している。遮光板30の開口部32の形状や大きさを変更することで、遮る光を変更することができる。
【0027】
(遮光板30の装着)
図5は、一実施形態に係るアクセサリアダプタ10及び遮光板30の構成を示す斜視図である。
図6は、一実施形態に係るアクセサリアダプタ10及び遮光板30の構成を示す正面図である。
図7は、
図6の一部を拡大した図である。
図8は、一実施形態に係るアクセサリアダプタ10及び遮光板30の構成を示す正面図である。
【0028】
まず、
図5に示すように、遮光板30の開口面をアダプタ本体11の対物側の端部11bに向け、遮光板30の外径の切り欠き部31と第二凸部14との周方向の位置を一致させた状態で、遮光板30をアダプタ本体11に近づける。これによりアダプタ本体11の対物側からアダプタ本体11に侵入した遮光板30は、第一凸部13に当接する。
【0029】
つぎに、
図6に示すように、第一凸部13に当接した遮光板30を周方向に回動させると、遮光板30の切り欠き部31の位置が移動し、第二凸部14と遮光板30とが重なる。これにより、第二凸部14が遮光板30よりも対物側から遮光板30に当接するので、遮光板30は第一凸部13と第二凸部14との間に把持される。
【0030】
ここで、アダプタ本体11は、
図6~
図8に示すように、第二凸部14に重なる所定の位置まで回動した遮光板30に形成されている凹凸33に係合して回動を規制する回動規制部15をさらに有している。したがって、第一凸部13に当接した遮光板30を回動させると、凹凸33が回動規制部15に突き当たり係合する。凹凸33と回動規制部15とが係合すると、遮光板30はそれ以上回動しないため、アダプタ本体11に対する遮光板30の周方向の位置が固定される。このように、アダプタ本体11に対する遮光板30の装着が完了する。
【0031】
(主要な作用効果)
このように、アクセサリアダプタ10をバヨネット方式によりレンズ鏡筒20に装着するため、アクセサリアダプタ10を装着する際のアクセサリアダプタ10の回動後の位置を、一意に固定することができる。したがって、アクセサリアダプタ10を簡単にかつ短時間でレンズ鏡筒20に装着することができる。また、アクセサリアダプタ10をバヨネット方式によってレンズ鏡筒20にから取り外すので、レンズ鏡筒20に装着するアクセサリアダプタを他のアクセサリアダプタと簡単にかつ短時間で交換することができる。さらに、アクセサリアダプタ10を繰り返しレンズ鏡筒20から脱着させる場合であっても、アクセサリアダプタ10をレンズ鏡筒20に装着する位置を、容易に固定することができる。また、バヨネット方式のレンズ側突条部21を備えた他のレンズ鏡筒にもアクセサリアダプタ10を装着することができるので、レンズ鏡筒20を含む複数のレンズ鏡筒間でアクセサリアダプタ10を共有することができる。
【0032】
アクセサリアダプタ10をレンズ鏡筒20に装着する前に、遮光板30を予めアクセサリアダプタ10に装着しておけば、遮光板30付きのアクセサリアダプタ10をバヨネット方式によって簡単にレンズ鏡筒20に装着することができる。これにより、遮光板30を簡単にレンズ鏡筒20に装着することができる。また、遮光板30付きのアクセサリアダプタ10を、バヨネット方式により簡単にかつ素早く取り外すこともできる。これにより、レンズ鏡筒20に間接的に装着した遮光板30を、簡単にかつ素早く他のカメラアクセサリに交換することもできる。
【0033】
レンズフードが遮るべき光は、レンズの画角により異なる。したがって、レンズに応じてレンズフードを交換する必要がある。遮光板30は、開口部32の形状や大きさを変更するのみで遮る光を変更することができるので、レンズの画角に応じて開口した開口部32を有する遮光板30をレンズ鏡筒20に取り付ければよい。また、遮光板30は板状であるため、レンズ毎に複数持ち歩く場合でも嵩張らず、携帯性が高い。
【0034】
レンズの画角に応じてレンズフードの方向が決まっているような場合には、レンズフードの向きを確認しながらレンズ鏡筒に正しい向きで取り付ける必要がある。アダプタ本体11は回動規制部15を有しているので、凹凸33が回動規制部15に突き当たるまで回動させるのみで遮光板30が位置決めされるので、正しい位置へ正しい向きで取り付けることが容易である。また、凹凸33と回動規制部15とが係合するので、正しく取り付けた後に遮光板30の位置がずれることを防止できる。
【0035】
アクセサリアダプタ10は、リング状の形状を有し、レンズ鏡筒20に係合する。このため、アクセサリアダプタ10の周方向からレンズ鏡筒20への光が遮られる。また、アクサセリアダプタ10は、対物側の開口部を覆うように遮光板30が装着される。したがって、遮光板30を通過する光のみが実質的にレンズに作用する。このように、アクセサリアダプタ10は、レンズに対して光学的な効果をもたらす板状のアクセサリに好適である。
【0036】
当該アクセサリは、レンズ鏡筒20に入射する光の一部または全部を遮光する遮光部材であればよい。前述の遮光板30以外の当該遮光部材の例には、NDフィルタが含まれる。なお、遮光板30の外形を有する板状部材をアクセサリアダプタ10に装着すると、当該アクセサリアダプタ10は、レンズ鏡筒20を対物側で覆うキャップとして機能する。本発明の実施形態に適用されるアクセサリは、このような、光を実質的に遮断する単なる板状部材であってもよい。
【0037】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態は、アクセサリアダプタが、レンズ鏡筒とその内周面側で着脱可能に係合する以外は、前述の実施形態1と同様である。
【0038】
図9は、他の形態に係るアクセサリアダプタ110、レンズ鏡筒20、及び、遮光板30の構成を示す分解斜視図である。
図10は、
図9のアクセサリアダプタ110の構成を示す斜視図である。アクセサリアダプタ110は、アダプタ本体111、第一凸部113と、第二凸部114と、嵌合部115、及び、ねじ山116を有している。なお、第一凸部113及び第二凸部114の構成は、実施形態1の第一凸部13及び第二凸部14と同じである。また、アダプタ本体111の対物側の端部111bに取り付けられる遮光板30についても、実施形態1の遮光板30と同じである。
【0039】
図10は、アクセサリアダプタ110を像面側から見た斜視図である。嵌合部115は、アダプタ本体111の像面側の端部111aに設けられている。嵌合部115は、アダプタ本体111から像面側に突出している。そして、嵌合部115の外周面には、ねじ22に螺合するねじ山116が形成されている。すなわち、嵌合部115の外周面が、ねじ22に適合する雄ねじである。ねじ22およびねじ山116の呼び径は同じである。これにより、アクセサリアダプタ110をレンズ鏡筒20へねじ込むことによりレンズ鏡筒20に装着することができる。このように、本実施形態では、アクセサリアダプタ110は、レンズ鏡筒20に対してその内周面側で係合する。
【0040】
(変形例)
嵌合部115は、レンズ鏡筒20に装着可能であれば、ねじ山を有していなくてもよい。例えば、嵌合部115は、レンズ鏡筒20の先端に嵌め込み可能であってもよい。この形態において、嵌合部115は、適度な弾性を有していてもよく、例えば樹脂発泡体で構成されていてもよい。アクセサリアダプタ110の変形例に係る構成を
図11及び12に示す。
図11は、
図9に示すアクセサリアダプタ110、レンズ鏡筒20、及び、遮光板30の構成の他の例を示す分解斜視図である。
図12は、
図11のアクセサリアダプタ110の構成を示す斜視図である。
【0041】
アクセサリアダプタ110をレンズ鏡筒20に取り付けると、嵌合部115は、レンズ鏡筒20の先端に嵌めこまれる。レンズ鏡筒20の先端の内側の側面はねじ(雌ねじ)22である。嵌合部115は、一部を切り欠いた円筒形状の部分を有しており、当該円筒形状の外径はレンズ鏡筒20の先端の内径に一致する。したがって、アクセサリアダプタ110をレンズ鏡筒20に取り付けた場合に、嵌合部115の外周面とねじ22とが噛み合う。このように、嵌合部115がレンズ鏡筒20の先端に内嵌し、レンズ鏡筒20に対するアクセサリアダプタ110の装着が完了する。
【0042】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態は、アクセサリアダプタが、像面側の第一部材と対物側の第二部材とに分離可能に構成されている以外は、前述の実施形態1と同様である。
【0043】
図13は、さらに他の形態に係るアクセサリアダプタ120、レンズ鏡筒20、及び、遮光板30の構成を示す分解斜視図である。
図14は、
図13に示すアクセサリアダプタ120、レンズ鏡筒20、及び、遮光板30が組み立てられた構成を示す断面図である。アクセサリアダプタ120は、像面側の第一部材121aと、対物側の第二部材121bと、アダプタ側係合部122と、第一凸部123と、第二凸部124と、テーパー部126とを有している。なお、第一凸部123及び第二凸部124の構成は、実施形態1の第一凸部13及び第二凸部14と同じである。また、アクセサリアダプタ120の対物側に取り付けられる遮光板30についても、実施形態1の遮光板30と同じである。
【0044】
第一部材121aは、像面側のアダプタ本体であり、レンズ鏡筒20のレンズ側突条部21に着脱可能なアダプタ側係合部122を有するリング状の部材である。第二部材121bは、対物側のアダプタ本体であり、遮光板30に当接する第一凸部123及び第二凸部124を有するリング状の部材である。第二部材121bは、第一部材121aの像面側に着脱可能に連結される。
【0045】
第一部材121aの対物側の端部の内側面は、ねじ(雌ねじ)である。第二部材121bの像面側の端部の外側面は、第一部材121aのねじ(雌ねじ)に適合するねじ(雄ねじ)である(両ねじは互いに呼び径が同じである)。すなわち、第一部材121aの内側面及び第二部材121bの外側面には、ねじ山が形成されている。これにより、第一部材121aと第二部材121bとは、ねじ込み方式により連結される。
【0046】
テーパー部126は、第一部材121aの対物側の端部の外周面に設けられている。テーパー部126は、第一部材121aの外周面から内周面に向かって凹むと共に、外周面の周方向に沿って延伸している。テーパー部126は、第一部材121aの外周面の全体に亘って環状に設けられている。テーパー部126は、キャップなどの各種のカメラアクセサリを、かぶせ方式によってアクセサリアダプタ120に装着するために用いられる。
【0047】
アクセサリアダプタ120は、第一部材121aがバヨネット方式によりレンズ鏡筒20に取り付けられ、第二部材121bに遮光板30が取り付けられることにより、遮光板30をレンズ鏡筒20に装着する。したがって、第一部材121aをレンズ鏡筒20に取り付けた状態で、遮光板30を取り付けた第二部材121bのみをレンズ鏡筒20から取り外したり、取り付けたりすることで、遮光板30をレンズ鏡筒20に装着することもできる。また、第一部材121aに取り付けることが可能な他の第二部材を用いることもできるので、より多様なカメラアクセサリをカメラ鏡筒に装着することが可能であり、汎用性が高まる。
【0048】
なお、アクセサリアダプタ120は、第二部材121bに遮光板30を取り付けた上で、さらに、テーパー部126に、かぶせ方式のレンズフードを装着することもできる。すなわち、異なる2つのカメラアクセサリを、レンズ鏡筒2に一度に装着することができる。これにより、カメラのユーザは、2つの異なるカメラアクセサリを併用することができるので、カメラを用いた撮影の幅を広げることができる。
【0049】
〔レンズフード〕
上述した各実施形態に記載された遮光部材をアクセサリアダプタに取り付けることにより、レンズフードが構成される。この場合の遮光部材は、前述した矩形の開口を有する遮光部材のように、レンズよりも対物側に、光線を遮断する所定の枠を形成する部材であればよい。本実施形態に係るレンズフードでは、前述した板状の遮光部材に応じて所望の光学的効果が得られる。このため、板状の遮光部材を変更することにより、レンズに対する種々の光学的効果を発現させることができる。したがって、従来の略ラッパ状のレンズフードを複数有する場合に比べて、その便宜性をより一層高めることができる。
【0050】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るアクセサリアダプタは、レンズ鏡筒の先端に着脱可能なリング状のアクセサリアダプタであって、リング状のアダプタ本体と、前記アダプタ本体における像面側上に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材にする第二凸部と、を有する。
【0051】
この構成によれば、携帯性の高い板状のアクセサリを交換可能に取り付けることができる。よって、この構成によれば、レンズを通過する光の強さを変更するためのレンズ鏡筒用のアクセサリの便宜性を高めることができる。
【0052】
本発明の態様2に係るアクセサリアダプタは、前記態様1において、前記レンズ側係合部は、前記レンズ鏡筒の先端側の外周面の周方向に延出するレンズ側突条部であり、前記アダプタ側係合部は、前記アダプタ本体の内周面に形成されるとともにその周方向に延在してレンズ側突条部に当接可能な第一突条部と、ンズ側突条部に第一突条部が当接したアダプタ本体を回動させたときに、前記レンズ側突条部よりも像面側から前記レンズ側突条部に当接可能な第二突条部と、を有してもよい。
【0053】
この構成は、アダプタアクセサリの回動方向における向きを容易かつ確実に決める観点からより一層効果的である。
【0054】
本発明の態様3に係るアクセサリアダプタは、前記態様1又は2において、前記アダプタ本体は、前記第二凸部に重なる所定の位置まで回動した前記遮光部材に形成されている凹凸に係合して回動を規制する回動規制部をさらに有してもよい。
【0055】
この構成は、アクセサリである遮光部材の、アダプタアクセサリに対する向きを容易かつ確実に決める観点からより一層効果的である。
【0056】
本発明の態様4に係るアクセサリアダプタは、前記態様1~3のいずれかにおいて、前記アダプタ本体は、像面側に前記アダプタ側係合部を有するリング状の第一部材と、対物側に前記第一凸部および前記第二凸部を有し、像面側で前記第一部材と着脱可能に連結するリング状の第二部材と、によって構成されていてもよい。
【0057】
この構成は、多様なアクセサリに対応可能とし、アクセサリアダプタの汎用性を高める観点からより一層効果的である。
【0058】
本発明の態様1に係るレンズフードは、レンズ鏡筒の先端に着脱可能なレンズフードであって、リング状のアダプタ本体と、前記アダプタ本体に取り付けられる遮光部材と、を備え、前記アダプタ本体における像面側に形成されているアダプタ側係合部であって、レンズ鏡筒の先端側に配置されているレンズ側係合部に着脱可能なアダプタ側係合部と、前記アダプタ本体の内周面から突出するとともに周設されており、前記アダプタ本体の対物側から前記アダプタ本体に進入した板状の前記遮光部材に、その縁部で当接する第一凸部と、前記アダプタ本体の内周面における前記第一凸部よりも対物側の位置であって前記第一凸部から前記遮光部材の厚さ以上の隙間を有する位置で前記内周面から突出しており、前記第一凸部に当接した前記遮光部材を回動させたときに対物側から前記遮光部材に当接する第二凸部と、を有する。
【0059】
この構成によれば、携帯性の高い板状の遮光部材を交換可能に取り付けたレンズフードを提供することができる。よって、この構成によれば、レンズを通過する光の強さを変更するためのレンズフードの便宜性を高めることができる。
【0060】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10、110、120 アクセサリアダプタ
11、111 アダプタ本体
12、122 アダプタ側係合部
13、113、123 第一凸部
14、114、124 第二凸部
20 レンズ鏡筒
21 レンズ側突条部(レンズ側係合部)
30 遮光板(遮光部材)