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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/032 20060101AFI20240222BHJP
   F25C 1/00 20060101ALI20240222BHJP
   B08B 9/08 20060101ALI20240222BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B08B9/032 321
F25C1/00 301Z
B08B9/032 326
B08B9/08
B08B3/04 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020001439
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109126
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-245882(JP,A)
【文献】国際公開第2018/228887(WO,A1)
【文献】特開2009-234160(JP,A)
【文献】特開平07-015637(JP,A)
【文献】特表平03-502676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/04
B08B 9/02
F25C 1/00
B65D 47/00
A61M 39/00
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷部と、
前記製氷部に供給される製氷水を貯留する水タンクと、
前記水タンクに洗剤を供給する洗剤供給装置と、
制御部と、を備え、
前記洗剤供給装置は、
洗剤を収容する洗剤容器と、
前記洗剤容器から前記洗剤を供給するための洗剤供給管と、
前記洗剤供給管の経路上に設けられ、前記洗剤供給管内の液体を搬送するための洗剤搬送ポンプであって正回転方向、及び逆回転方向に駆動可能な洗剤搬送ポンプと、
前記洗剤供給管と接続されて前記洗剤供給管内の液体を外部に排出するための洗剤排出管と、を備え、
前記洗剤供給管における前記洗剤排出管との接続部は、前記洗剤容器と前記洗剤搬送ポンプとの間に位置しており、
前記接続部と前記洗剤容器との間における前記洗剤供給管には、前記洗剤容器から前記洗剤搬送ポンプに向かう前記洗剤供給管内の液体の流れを許容し、前記洗剤搬送ポンプから前記洗剤容器に向かう前記洗剤供給管内の液体の流れを規制する第1逆止弁が設けられ、
前記洗剤排出管には、前記洗剤搬送ポンプから外部に向かう前記洗剤排出管内の液体の流れを許容し、外部から前記洗剤搬送ポンプに向かう前記洗剤排出管内の液体の流れを規制する第2逆止弁が設けられており、
前記制御部は、前記製氷部及び前記水タンクを洗浄する洗浄運転において、
前記洗剤搬送ポンプを前記正回転方向に駆動することで前記水タンクに対して前記洗剤を供給すると共に、前記洗剤搬送ポンプの駆動時間に基づき、前記水タンクに所定の投入量の前記洗剤が投入されたことを確認すると、前記洗剤搬送ポンプを停止して、前記水タンクへの前記洗剤の投入を終了し、
前記洗剤搬送ポンプを前記逆回転方向に駆動することで、前記洗剤供給管内の液体を前記洗剤排出管から外部に排出する製氷機
【請求項2】
前記洗剤搬送ポンプは、チューブローラ式のポンプである請求項1に記載の製氷機
【請求項3】
前記洗剤搬送ポンプは、駆動手段としてDCモータを有する請求項1または請求項2に記載の製氷機
【請求項4】
前記洗剤容器は、前記洗剤供給管の前記洗剤容器側の先端に設けられたカップリング部を接続するためのジョイント部を有し、
前記ジョイント部は、
前記カップリング部を挿入可能に前記洗剤容器内に延在し、弾性を有する容器内ホースと、
前記容器内ホースが挿入される貫通孔を有するキャップと、を具備し、
前記容器内ホースの外面は、前記貫通孔を構成する前記キャップの内面と弾性的に密着している請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製氷機
【請求項5】
前記洗剤供給装置は、前記洗剤容器及び前記洗剤搬送ポンプを収容する筐体を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製氷機
【請求項6】
前記筐体は、前記洗剤容器を収容するための箱体を有し、
前記箱体は、前記洗剤容器を着脱するための開口を有する請求項5に記載の製氷機
【請求項7】
前記洗剤供給装置は、前記洗剤容器内の前記洗剤の重量を検出するための荷重センサを前記箱体の底部に備える請求項6に記載の製氷機
【請求項8】
前記荷重センサは、荷重変化を抵抗値変化で検出する感圧センサである請求項7に記載の製氷機
【請求項9】
前記制御部は、前記洗剤搬送ポンプの前記駆動時間及び前記荷重センサの検出結果に基づき、前記水タンクに前記投入量の前記洗剤が投入されたことを確認する請求項7または請求項8に記載の製氷機。
【請求項10】
前記洗剤供給装置は、アルカリ性の第1洗剤を供給する第1洗剤供給装置と、酸性の第2洗剤を供給する第2洗剤供給装置と、を有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項11】
前記洗剤供給管の前記水タンク側の先端は、前記水タンク内に挿入されている請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項12】
前記洗剤供給管は、前記水タンク側の前記先端が前記水タンク内の所定の位置に配されるように、前記水タンクの蓋体に固定されている請求項11に記載の製氷機。
【請求項13】
前記水タンクは、
製氷水を貯留可能な本体部と、
前記本体部内の製氷水の水位がオーバーフロー水位を超えると、前記本体部内の製氷水が越流されるように前記本体部と連通し、越流した製氷水を外部に排出可能な排水部と、を有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項14】
前記排水部の排水方向下流側に接続される排水管には、通水方向を所定の方向に規制するための逆止弁トラップが設けられている請求項13に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤供給装置、及び製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機において、所定の製氷運転時間後には洗浄運転が行われることが知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の製氷機では、ユーザが製氷機の制御パネルの「掃除」ボタンを押すと、自動脱スケール及び消毒プロセスが開始される。当該プロセスには、ユーザが脱スケールを行う洗浄剤(洗剤)を水だめ(水タンク)の主貯水槽に加えるために、当該プロセスを一次中断するステップが含まれている。洗剤が投入された後に、ユーザが制御パネルのボタン等を押すと、当該プロセスが再開される。また、特許文献1には、主貯水槽の水位が消毒水位に達すると、消毒剤槽内の消毒剤が主貯水槽内に自動投入される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6506408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製氷機によれば、ユーザは洗剤を加える作業を手動で行い、作業終了後にはボタンを押して当該プロセスを進行させる必要がある。また、消毒剤はその全量が主貯水槽に投入されるため、ユーザは投入毎に消毒剤槽に消毒剤を補充しなければならない。このため、洗浄運転の作業効率が低く、洗浄運転の頻度を増やしにくいのが実情である。
【0005】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、洗剤を作業効率よく自動供給可能な洗剤供給装置を提供することを目的とする。また、作業効率よく自動供給される洗剤を用いて洗浄運転可能な製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に記載の技術に関わる洗剤供給装置は、洗剤を収容する洗剤容器と、前記洗剤容器から前記洗剤を供給するための洗剤供給管と、前記洗剤供給管の経路上に設けられ、前記洗剤供給管内の液体を搬送するための洗剤搬送ポンプと、を備える。
【0007】
上記構成の洗剤供給装置によれば、洗剤搬送ポンプを制御することで、洗剤の供給量(投入量)を調整しつつ、被供給体(製氷機)に対して、洗剤供給管を通して洗剤容器内の洗剤を自動供給できるようになる。その結果、洗剤を作業効率よく自動供給可能となる。
【0008】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤供給管と接続されて前記洗剤供給管内の液体を外部に排出するための洗剤排出管を備える。このようにすれば、洗剤投入後に、洗剤供給管内に残留した洗剤を洗剤排出管を通じて外部に排出できるようになる。また、当該洗剤のすすぎに用いた製氷水も排出できるようになる。
【0009】
また、前記洗剤供給管における前記洗剤排出管との接続部は、前記洗剤容器と前記洗剤搬送ポンプとの間に位置しており、前記洗剤供給管には、前記接続部と前記洗剤容器との間に、前記洗剤供給管内の液体の流れを所定の方向に規制する第1逆止弁が設けられ、前記洗剤排出管には、その管内の液体の流れを所定の方向に規制する第2逆止弁が設けられている。このようにすれば、洗剤供給管内の洗剤が逆流することなく洗剤排出管を通じて外部に排出されるようになる。また万が一、周囲温度等の変化によって搬送ポンプ不使用時に洗剤が洗剤供給管に漏れ出てしまった場合でも、漏れた洗剤、及び当該洗剤のすすぎに用いた製氷水を排出できるようになる。
【0010】
また、前記洗剤搬送ポンプは、チューブローラ式のポンプである。このようにすれば、洗剤供給管内の液体の搬送方向をローラの移動方向により容易に変更可能となる。
【0011】
また、前記洗剤搬送ポンプは、駆動手段としてDCモータを有する。このようにすれば、DCモータに印加される電圧の極性変更により、洗剤供給管内の液体の搬送方向の切り替えが容易にできるようになる。
【0012】
また、前記洗剤容器は、前記洗剤供給管の先端に設けられたカップリング部を接続するためのジョイント部を有し、前記ジョイント部は、前記カップリング部が挿入可能に前記洗剤容器内に延在し、弾性を有する容器内ホースと、前記容器内ホースが挿入される貫通孔を有するキャップと、を具備し、前記容器内ホースの外面は、前記貫通孔を構成する前記キャップの内面と弾性的に密着している。このようにすれば、洗剤供給管と洗剤容器とをシール性良く接続可能となる。
【0013】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤容器及び前記洗剤搬送ポンプを収容する筐体を備える。このようにすれば、洗剤容器及び洗剤搬送ポンプを筐体内にまとめて収容できるようになり、製氷機の外装部材等に省スペースで取付可能となる。
【0014】
また、前記筐体は、前記洗剤容器を収容するための箱体を有し、前記箱体は、前記洗剤容器を着脱するための開口を有する。このようにすれば、開口を介して洗剤容器の着脱が容易になるため、洗剤の補充が容易になる。
【0015】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤容器内の前記洗剤の重量を検出するための荷重センサを、前記箱体の底部に備える。このようにすれば、洗剤容器内の洗剤の重量(残量)、ひいては製氷機に供給された洗剤の供給量を検出できるようになる。
【0016】
また、前記荷重センサは、荷重変化を抵抗値変化で検出する感圧センサである。このようにすれば、低コストに洗剤容器内の洗剤の質量を検出できるようになる。
【0017】
また、前記洗剤供給装置は、アルカリ性の第1洗剤を供給する第1洗剤供給装置と、酸性の第2洗剤を供給する第2洗剤供給装置と、を有する。このようにすれば、製氷機において、アルカリ性洗剤による洗浄と、酸性洗剤による洗浄(殺菌)とを行えるようになる。
【0018】
上記構成の洗剤供給装置を備える製氷機によれば、洗浄運転において、洗剤が作業効率よく自動供給されるようになる。
【0019】
また、前記製氷機は、製氷水を貯留するための水タンクを備え、前記洗剤供給管の先端は、前記水タンク内に挿入されている。このようにすれば、洗剤は洗剤供給管の先端から水タンク内に供給される。水タンク内の製氷水で洗剤が希釈され、希釈された洗剤によって製氷水流路を洗浄できるようになる。
【0020】
また、前記洗剤供給管は、前記先端が前記水タンク内の所定の位置に配されるように、前記水タンクの蓋体に固定されている。このようにすれば、洗剤供給管の先端を水タンクの所定の位置に固定できるようになる。
【0021】
また、前記水タンク内の製氷水の水位を検出する水位センサと、前記水位センサの検出結果に基づき、前記洗剤搬送ポンプを制御する制御部と、を備える。このようにすれば、水タンク内の水位によって、洗剤の供給の有無等を制御できるようになる。
【0022】
また、前記洗剤供給装置は、前記洗剤容器内の前記洗剤の重量を検出するための荷重センサを備え、前記制御部は、前記水位センサ及び前記荷重センサの検出結果に基づき、前記洗剤搬送ポンプを制御する。このようにすれば、荷重センサにより洗剤容器内の洗剤の重量を検出できるようになるため、洗剤容器内の洗剤の残量、及び水タンク内の水位によって、洗剤の供給量を制御できるようになる。
【0023】
また、前記洗剤搬送ポンプはチューブローラ式ポンプであり、前記チューブローラ式ポンプは、前記水位センサが所定の基準水位を検出した場合に、前記水タンクから前記洗剤供給管へ液体を搬送可能な方向に駆動される。このようにすれば、基準水位で、水タンク内の製氷水(例えば洗剤が残留した製氷水)を吸引して排出できるようになる。
【0024】
また、前記水タンクは、製氷水を貯留可能な本体部と、前記本体部内の製氷水の水位がオーバーフロー水位を超えると、前記本体部内の製氷水が越流されるように前記本体部と連通し、越流した製氷水を外部に排出可能な排水部と、を有する。このようにすれば、排水部より製氷水を外部に排出可能となるため、別途の排水流路が不要となる。また、越流する製氷水で排水部を洗浄できるようになる。
【0025】
また、前記排水部の排水方向下流側に接続される排水管には、通水方向を所定の方向に規制するための逆止弁トラップが設けられている。このようにすれば、排水管を流れる排水の逆流により、製氷水が汚染される事態を回避できるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本願明細書に記載の技術によれば、洗剤を作業効率よく自動供給可能な洗剤供給装置を提供することができる。また、作業効率よく自動供給される洗剤を用いて洗浄運転可能な製氷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る流下式製氷機について各構成部の関係を示すブロック図
図2】流下式製氷機の概略図
図3】逆止弁トラップの断面図
図4】洗剤供給装置の概略図
図5】蓋体に対する洗剤供給管の固定構造を示す断面図
図6図5の分解図
図7】洗剤容器と洗剤供給管との接続構造を示す正面図
図8】洗剤容器と洗剤供給管との接続構造を示す上面図
図9】洗剤容器と洗剤供給管との接続構造を示す側面図
図10図9のA-A線断面図
図11】カップリング部の一部及びジョイント部の正面図
図12】カップリング部の一部及びジョイント部の上面図
図13】カップリング部の一部及びジョイント部の側面図
図14図13のB‐B線断面図
図15図14の部分拡大図
図16】洗剤搬送ポンプの平面図
図17】カバーを外した状態の洗剤供給装置を示す斜視図
図18】洗剤供給装置の取付態様を示す斜視図
図19】洗剤供給装置の正面図
図20図19のC‐C線断面図
図21図19のD‐D線断面図
図22】荷重センサの斜視図
図23】他の実施形態に係る洗剤供給装置を示す概略図
図24】他の実施形態に係る水位センサを示す断面図
図25】他の実施形態に係るチューブ継手の形状を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る流下式製氷機10(製氷機の一例)について、図1から図22を参照して説明する。流下式製氷機10は、図1に示すように、製氷部20と、冷凍装置40と、製氷水流路50と、制御部80と、洗剤供給装置90と、を備えている。製氷部20は氷を製氷する。冷凍装置40は、冷媒を循環し、製氷部20(具体的には製氷板21)を冷却する。また、冷凍装置40の一部は、製氷された氷を除氷させるための高温の冷媒ガス(高温ガス)を製氷板21に供給する。製氷水流路50は、製氷水を流通させる。制御部80は、制御プログラム及び各種センサの検出結果等に基づいて、各部を制御する。洗剤供給装置90は、製氷水流路50に対して洗剤を供給する。なお、本明細書において、製氷水とは、製氷に用いられる水に限らず、洗浄に用いられる水等、製氷水流路50を流通する全ての水を含むものとする。
【0029】
冷凍装置40は、図2に示すように、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管44と、を備え、これらは冷媒管45によって連結されている。圧縮機41は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスをファン46の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化冷媒を膨張させる。蒸発管44は中空筒状をなし、対向配置された2つの製氷板21の間に挟み込まれている。蒸発管44は、膨張弁43によって膨張された液化冷媒を気化させて、製氷板21を冷却する。また、冷凍装置40は、ファン46と、ドライヤ47と、第1温度センサ48と、をさらに備える。ドライヤ47は、冷凍装置40に混入した水分を除去する。第1温度センサ48は、冷媒管45における蒸発管44の出口部分、及び凝縮器42とドライヤ47との間に設けられており、冷媒の温度を検出する。
【0030】
また、冷凍装置40は、図2に示すように、パイパス管30と、ホットガス弁31と、第2温度センサ32と、を備える。バイパス管30は、圧縮機41で圧縮された冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給する。バイパス管30は、その一方の端部が、圧縮機41と凝縮器42との間に位置する冷媒管45に接続され、もう一方の端部が、膨張弁43と製氷板21との間に位置する冷媒管45に接続されて、ホットガスの流路となる。ホットガス弁31は、バイパス管30上に設けられた電磁弁である。ホットガス弁31を開くことで、圧縮機41からホットガスが蒸発管44に供給され、蒸発管44が加熱される。これにより、製氷板21から氷が除氷される。第2温度センサ32は、後述する製氷板21のうち蒸発管44の出口側に設けられており、製氷板21の温度を検出する。
【0031】
製氷部20は、図2に示すように、複数の製氷板21と、第1散水パイプ24と、散水ガイド25と、第2散水パイプ28と、を備える。各製氷板21は、垂直姿勢(水平方向に交わる姿勢)で設けられている。対向配置された一対の製氷板21,21の間には蒸発管44が介在している。製氷板21は、蒸発管44と反対側の板面(表面)に、上下方向に沿って延びる複数の製氷面21Aを有する。複数の製氷面21Aは、水平方向に沿って並んでおり、隣り合う製氷面21Aは、上下方向に沿って延びる複数の仕切り部によって仕切られている。
【0032】
第1散水パイプ24は、蒸発管44を挟む込む一対の製氷板21,21毎に設けられている。第1散水パイプ24は、後述する第1通水管53からの製氷水を散水する。散水ガイド25は、第1散水パイプ24から散水された製氷水を各製氷面21Aに案内する。製氷面21Aに案内された製氷水のうち、凍結しなかった製氷水は、製氷面21Aに沿って製氷板21の下端まで流下し、後述する水タンク60(具体的には本体部61)内に落下する。製氷板21と本体部61との間にはスノコが介在しており、製氷板21から除氷された氷は、スノコを通じて、貯氷庫に貯えられる。
【0033】
第2散水パイプ28は、一対の製氷板21,21の間に設けられている。第2散水パイプ28は、後述する給水管51を通って供給される水道管からの製氷水を、製氷面21Aと反対側の面(裏面、蒸発管44側の面)に散水する。散水された製氷水は、製氷板21の裏面に沿って流下し、水タンク60(具体的には本体部61)内に落下する。
【0034】
製氷水流路50は、製氷水を流通させる。製氷水流路50は、図2に示すように、給水管51と、給水バルブ52と、水タンク60と、送水ポンプ(ポンプモータ)65と、第1通水管53と、を有し、その流路上には製氷部20が含まれている。給水管51は、水源(水道管)からの製氷水を製氷部20の第2散水パイプ28に給水する。給水バルブ52は、給水管51上に設けられ、水道管からの製氷水の通水の有無を切り替える。
【0035】
水タンク60は、図2に示すように、製氷板21から落下した製氷水を貯留可能となるように、製氷板21の下方に設けられている。水タンク60は、本体部61と、排水部62と、蓋体63と、水位センサ(超音波センサ)64と、を有する。本体部61は、上方に開口された略箱形をなし、その内部空間に製氷水を貯留する。排水部62はオーバーフローパイプであり、本体部61の外周部に上下に配されている。排水部62の一端部は、本体部61の上部と連通し、他端部が後述する第2排水管55に接続されている。本体部61内の製氷水の水位が高くなり排水部62と連通する水位になる(オーバーフロー水位を超える)と、本体部61内の製氷水が溢れ出て排水部62に越流する。蓋体63は、本体部61の一部(製氷板21の直下となる領域を少なくとも除く部分)及び排水部62の上部を覆っている。水位センサ64は、距離センサであって、蓋体63に配され、本体部61内の製氷水の水位を検出する。水位センサ64として超音波センサを用いることで、水位がリニアに検出される。
【0036】
本体部61内の水位については、所定の基準水位(具体的には、図2に示す第1基準水位61a、第2基準水位61b、第3基準水位61c、及び第4基準水位61d)があらかじめ設定されているものとされる。第1基準水位61aは、製氷運転を開始するために必要な最低水位である。第2基準水位61bは、第1基準水位61aより低く、製氷運転を終了して、除氷運転に移行する水位である。第3基準水位61cは、第1基準水位61aより高く、排水部62のオーバーフロー水位と同一である。第4基準水位61dは、本体部61の底面(送水ポンプ65の吸引のための窪み部分を除く底面)の高さと同一である。
【0037】
送水ポンプ65は、図2に示すように、その底部の吸引口が本体部61の底部側に位置するように、本体部61内に配されている。送水ポンプ65は、回転速度を変えることが可能なポンプモータを備え、ポンプモータの駆動により本体部61内の製氷水を吸引し、第1通水管53に吐出する。第1通水管53は、送水ポンプ65と第1散水パイプ24とを接続するように上下に延びている。ポンプモータは、具体的にはDCモータ(DCブラシレスモータ)とされ、その回転速度を変更することで、第1通水管53への水の供給量を調整可能となっている。送水ポンプ65により製氷水を汲み上げることで、水タンク60と製氷部20との間で製氷水を循環可能となっている。具体的には、本体部61内の製氷水は、第1通水管53、第1散水パイプ24、散水ガイド25、製氷板21(製氷面21A)、本体部61と循環される。
【0038】
また、製氷水流路50は、図2に示すように、第1排水管54と、第2排水管55と、排水バルブ56と、逆止弁トラップ57と、第2通水管58と、循環バルブ59と、を有する。第1排水管54は、第1通水管53の中間部と第2排水管55とを接続して、第1通水管53内の製氷水を第2排水管55に排出する。第2排水管55は、水タンク60(具体的にはオーバーフローパイプである排水部62)と連通するように、排水部62の下部に接続され、製氷水を外部に排出する。排水バルブ56は、第1排水管54に設けられる。排水バルブ56を開いた状態で送水ポンプ65を駆動すると、本体部61内の製氷水を第1排水管54に流入させ、第2排水管55を通って外部に排出できるようになる。
【0039】
流下式製氷機10では、製氷水に含まれる不純物は製氷面21Aで凍結し難く、本体部61に回収されることから、不純物が極めて少ない状態の氷を製氷することができる。言い換えると、製氷運転後は、本体部61内の製氷水は、不純物濃度が高い濃縮水となっている。排水バルブ56を有する製氷水流路50により、このような濃縮水を容易に機外に排出可能となる。
【0040】
逆止弁トラップ57は、図2に示すように、第2排水管55において、第1排水管54との接続部より排水方向の下流側に設けられる。逆止弁トラップ57は、図3に示すように、ゴム製の弁57Aを有し、弁57Aが管内の流路に密着することで通水方向を所定の方向(図2及び図3の場合、右から左)に規制している。これにより、排水の逆流により、水タンク60内の製氷水が汚染される事態を回避できる。また、弁57Aにより空気の逆流を遮断可能となるため、外部からの異臭、細菌等の流入も防止できる。
【0041】
第2通水管58は、図2に示すように、第1排水管54と給水管51とを接続する。循環バルブ59は、第2給水管58に設けられる。循環バルブ59を開いた状態で送水ポンプ65を駆動すると、本体部61内の製氷水は、第1通水管53、第2通水管58、給水管51、第2散水パイプ28、製氷板21(裏面)、本体部61と循環される。第2通水管58及び循環バルブ59を有する製氷水流路50により、製氷板21,21間(製氷板21の底面)を洗浄可能となる。
【0042】
次に、洗剤供給装置90について説明する。洗剤供給装置90は、図4に示すように、第1洗剤供給装置90aと、第2洗剤供給装置90bと、を有し、これらは図17及び図18に示すように、筐体100に収容されている。第1洗剤供給装置90aは、アルカリ性の第1洗剤WL1を水タンク60の本体部61に供給する。第2洗剤供給装置90bは、酸性の第2洗剤WL2を水タンク60の本体部61に供給する。流下式製氷機10は、第1洗剤供給装置90aから供給されるアルカリ性洗剤による洗浄(洗浄工程)と、第2洗剤供給装置90bから供給される酸性洗剤による洗浄(殺菌工程)とを行うことができる。続いて、洗剤供給装置90の各部について詳しく説明する。
【0043】
第1洗剤供給装置90aは、図4に示すように、第1洗剤容器91aと、第1洗剤供給管92aと、第1洗剤搬送ポンプ94aと、第1洗剤排出管95aと、を有する。第1洗剤容器91aは、ポリプロピレン等の耐アルカリ性材料からなる袋状の収容体であって、その内部空間に第1洗剤WL1を収容する。第1洗剤WL1は、濃縮洗剤であり、所定の濃度に希釈して使用する。第1洗剤供給管92aは、第1洗剤容器91aと水タンク60とを接続する。第1洗剤供給管92aの水タンク60側の先端92a1は、図4に示すように、水タンク60の本体部61の内部空間に挿入されている。第1洗剤供給管92aは、先端92a1が第1基準水位61aより高く、第3基準水位61cより低い位置となるように、蓋体63に固定されている。
【0044】
次に、第1洗剤供給管92aを蓋体63に対して固定する構造について説明する。第1洗剤供給管92aの蓋体63との接続部分には、図5に示すように、断面L字状のチューブ継手202aが設けられている。チューブ継手202aの両端部は、外面がタケノコ状(断面凹凸状)に形成されており、当該外面が、弾性を有する軟質材料からなる第1洗剤供給管92aのタケノコ状の内面に嵌合して密着している。また、チューブ継手202aの一方の端部と第1洗剤供給管92aとの嵌合部分は、クランプ203aにより締め付け固定されている。
【0045】
蓋体63には、図6に示すように、蓋体63を上下方向に貫通する穴204aが形成されている。穴204aの上部204a1は、全周に亘ってテーパー状に面取り形成されている。テーパー状の上部204a1により、第1洗剤供給管92aの先端92a1が穴204aにスムースに挿入可能となる。また、蓋体63において穴204aの上側には、穴204aと内部空洞が連通するリング206aが設けられている。第1洗剤供給管92aがリング206aを通って穴204aに挿入されることで、第1洗剤供給管92aが蓋体63に対して垂直に回転自在に保持されるようになる。また、リング206aの上面がチューブ継手202aに設けられた規制部202a1に当接することで、第1洗剤供給管92aの挿入長(ひいては先端92a1の上下方向の位置)を調整可能となる。第1洗剤供給管92aは、チューブ継手202aとの嵌合部分の一部92a3の外径が穴204aの直径より大きく構成されている。当該部分92a3が穴204aを構成する蓋体63に引っ掛かることにより、第1洗剤供給管92aが穴204aから抜け出ないように蓋体63に固定されている。
【0046】
一方、第1洗剤供給管92aの第1洗剤容器91a側の先端は、図4に示すように、第1洗剤容器91aの内部空間と連通している。より詳しくは、第1洗剤供給管92aは、図7から図9に示すように、ジョイント部98a及びカップリング部99aを介して、第1洗剤容器91aと接続されている。第1洗剤供給管92aは、カップリング部99a、及びジョイント部98aにより回転自在かつシール性良く第1洗剤容器91aと連通されている。ジョイント部98aは、第1洗剤容器91aの袋状の上部に設けられている。ジョイント部98aは、容器内ホース98a1と、キャップ98a2と、ナット98a3と、を有する。容器内ホース98a1は、弾性を有する軟質材料からなるホースであって、第1洗剤容器91a内に上下に延在している。キャップ98a2は、容器内ホース98a1の上側の端部を固定する。ナット98a3は、キャップ98a2の外周側に設けられ、キャップ98a2を締め付けて固定する。
【0047】
カップリング部99aは、図7から図15に示すように、第1洗剤供給管92aの第1洗剤容器91a側の先端に設けられている。カップリング部99aは、カップリングボディー99a1と、カップリングインサート99a2と、着脱可能な連結部99a3と、を有する。カップリングインサート99a2は、容器内ホース98a1の上側の端部に挿入されている。カップリングインサート99a2の外面は、図14及び図15に示すように、タケノコ状に形成されており、容器内ホース98a1の上側の端部のタケノコ状の内面と嵌合している。連結部99a3がカップリングボディー99a1に接続されると、第1洗剤供給管92aとカップリングインサート99a2の内部空間が連通するように構成されている。なお、第1洗剤WL1の補充又は交換時に第1洗剤供給管92a内からの液漏れと、第1洗剤容器91a内からの液漏れを防止するために、連結部99a3及びカップリングボディー99a1の内部にはバルブ機構が設けてある。このバルブ機構は、連結時に開弁、外した際には閉弁する構造である。
【0048】
キャップ98a2は、図14及び図15に示すように、容器内ホース98a1が上下に挿通される貫通孔を有し、貫通孔を構成する内面がテーパー状をなす上部98a21と、内面の直径(内径)に段差が生じている段差部98a22と、を有する。容器内ホース98a1は、テーパー状の上部98a21によりスムースに貫通孔に挿入される。また、容器内ホース98a1のタケノコ状の外面には、段差部98a22と係合するように、突起部98a11が形成されている。段差部98a22に対して容器内ホース98a1の突起部98a11が引っ掛かると共に、カップリングインサート99a2のタケノコ状の外面が容器内ホース98a1のタケノコ状の内面と嵌合することにより、容器内ホース98a1がキャップ98a2内に圧縮挿入されて弾性復元力にて密着されつつ、キャップ98a2から抜け出ないようになっている。
【0049】
第1洗剤搬送ポンプ94aは、図4に示すように、第1洗剤供給管92aの経路上に設けられている。第1洗剤搬送ポンプ94aは、チューブローラ式のポンプであって、図16に示すように、複数のローラ94a1と、両端が第1洗剤供給管92aと連通するチューブ94a2と、駆動手段であるDCモータ(DCブラシモータ)と、を有する。第1洗剤搬送ポンプ94aは、ローラ94a1により、弾性を有するチューブ94a2を押しつぶして、その管内の液体(第1洗剤WL1等)を押し出して搬送する。また、第1洗剤搬送ポンプ94aは、DCモータに印加される電圧の極性を切り替えることで、回転方向が正回転(図2図4、及び図16における時計回り)、又は逆回転回り(図2図4、及び図16における反時計回り)に変更可能となっている。
【0050】
第1洗剤搬送ポンプ94aが正回転する場合、図4の実矢線で示すように、第1洗剤容器91a内の第1洗剤WL1は、第1洗剤搬送ポンプ94aにより吸引され、第1洗剤供給管92aを通って、水タンク60の本体部61内に投入される。第1洗剤WL1は、本体部61内の製氷水で希釈され、第1洗剤WLが希釈された製氷水によって製氷水流路を洗浄できるようになる。第1洗剤WL1の投入量(供給量)は、水位センサ64により本体部61内の水量を検出し、制御部80により所望の希釈度に応じた投入量が設定可能である。なお、第1洗剤搬送ポンプ94aが正回転し、第1洗剤供給管92aの先端92a1が製氷水に浸されていない場合には、第1洗剤WL1を本体部61内の製氷水に触れさせずに投入可能となる。
【0051】
一方、第1洗剤搬送ポンプ94aが逆回転し、第1洗剤供給管92aの先端92a1が製氷水に浸されている場合には、図4の白抜き矢線で示すように、本体部61内の製氷水を第1洗剤供給管92a内に吸引して、当該管内を洗浄できる。また、第1洗剤搬送ポンプ94aが逆回転し、第1洗剤供給管92aの先端92a1が製氷水に浸されていない場合には、第1洗剤WL1が本体部61内に滴下するのを防止できる。さらに、第1洗剤搬送ポンプ94aの不使用時には、第1洗剤供給管92a内の液体の流通が停止され、第1洗剤容器91a内の洗剤の漏出を防止できるようになる。
【0052】
第1洗剤排出管95aは、図4に示すように、第1洗剤供給管92aと水タンク60の排水部62とを連通させる。第1洗剤排出管95aは、第1洗剤供給管92aの管内の液体(第1洗剤WL1等)を外部に排出するための流路となる。第1洗剤供給管92aにおいて、第1洗剤排出管95aとの接続部92a2は、第1洗剤容器91aと第1洗剤搬送ポンプ94aとの間に位置する。また、第1洗剤供給管92aにおいて、接続部92a2と第1洗剤容器91aとの間には、第1逆止弁96aが設けられている。第1逆止弁96aは、第1洗剤供給管92a内の液体の流れを所定の方向に規制する。具体的には、第1洗剤供給管92aにおいて、第1洗剤容器91aから第1洗剤搬送ポンプ94aに向かう流れを許容し、第1洗剤搬送ポンプ94aから第1洗剤容器91aに向かう流れを規制する。また、第1洗剤排出管95aには、図4に示すように、第2逆止弁97aが設けられている。第2逆止弁97aは、第1洗剤排出管95a内の液体の流れを所定の方向に規制する。具体的には、第1洗剤排出管95aにおいて、第1洗剤搬送ポンプ94aから第2排水管55に向かう流れを許容し、第2排水管55から第1洗剤搬送ポンプ94aに向かう流れを規制する。
【0053】
このような構成によれば、第1洗剤搬送ポンプ94aが逆回転し、第1洗剤供給管92aの先端92a1が製氷水に浸されている場合には、図4の白抜き矢線で示すように、本体部61内の製氷水は、第1洗剤搬送ポンプ94aにより吸引され、第1洗剤供給管92aから分岐する第1洗剤排出管95aを通って、排水部62に排出される。また万が一、第1洗剤搬送ポンプ94a不使用時に、周囲温度等の変化によって第1洗剤容器91a内の洗剤が第1洗剤供給管92aに漏れ出てしまった場合でも、漏れた洗剤、及び当該洗剤のすすぎに用いた製氷水を外部に排出できるようになる。また、第1洗剤排出管95a、第1逆止弁96a、及び第2逆止弁97aを設けることで、第1洗剤供給管92a内の洗剤が第1洗剤容器91aに逆流することがなくなる。さらに、第1洗剤排出管95aのうち、排水方向において下流側の端部を図4に示すように排水部62内に設けることで、排水が排水部62を通るようになるため、排水部62も洗浄可能となる。
【0054】
第2洗剤供給装置90bは、第1洗剤供給装置90aの構成と同様であり、図4に示すように、第2洗剤容器91bと、第2洗剤供給管92bと、第2洗剤搬送ポンプ94bと、第2洗剤排出管95bと、を有する。第2洗剤供給装置90bの各部の構成、作用及び効果はそれぞれ、対応する第1洗剤供給装置90aの各部と同様である。
【0055】
筐体100は、図17から図21に示すように、その内部空間に、洗剤容器91(第1洗剤容器91a、及び第1洗剤供給管92a)と、洗剤搬送ポンプ94(第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94b)と、荷重センサ106(第1荷重センサ106a、及び第2荷重センサ106b)を収容する。筐体100は、図18に示すように、流下式製氷機10の主要部(製氷部20等)を収容可能な外装部材10Aの側方に、吊り下げて取り付けられる。これにより、洗剤供給装置90を省スペースで取り付けられるようになると共に、容易に着脱可能となるため、例えばオプションとして後付けすることもできるようになる。
【0056】
筐体100は、図17に示すように、壁体101と、カバー体102と、第1箱体103と、第2箱体104と、底部収容庫105と、を有する。壁体101は、正面方向及び上方に開口された箱型をなす。カバー体102は、壁体101の開口を覆うように側面視でL字状をなす。壁体101とカバー体102とはネジ止め接続されて、内部空間に収容される収容体を保護する。第1箱体103は、正面方向及び上方に開口された箱型をなし、図20及び図21に示すように、壁体101に対してヒンジ101aにより吊り下げ固定され壁体101内に配されている。第1箱体103は、内部空間に第1洗剤容器91aを収容する。第1箱体103は、正面方向及び上方に開口されているため、第1洗剤容器91aの着脱が容易に行えるものとなっている。その結果、第1洗剤容器91aへの第1洗剤WL1の補充が容易となる。
【0057】
また、第1箱体103の側壁間には、図17に示すように、正面方向の開口の一部を覆うように、識別テープ103aが装着されている。識別テープ103aにより、第1洗剤容器91aが第1箱体103から落下する事態等を回避できると共に、識別テープ103aの色等により、収容される洗剤の種類を容易に識別可能となっている。第2箱体104は、第1箱体103と同様の構成を有し、識別テープ104aが設けられており、第2洗剤容器91bを収容する。壁体101内において、第1箱体103と、第2箱体104とは水平方向に並んで配列されている。
【0058】
底部収容庫105は、図17に示すように、壁体101の底部に配される箱体であって、内部空間に第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bを収容する。
【0059】
筐体100において、図20及び図21に示すように、第1箱体103及び第2箱体104の背面側であって、第1箱体103及び第2箱体104と、壁体101との間には、各種配管(第1洗剤供給管92a、第2洗剤供給管92b等)の一部が収容されている。壁体101を構成する一方の側壁には、図19に示すように、収容された各種配管とそれぞれ接続される複数のジョイント101bが設けられている。
【0060】
第1荷重センサ106aは、図20に示すように、第1箱体103の底部に設けられ、第1箱体103に加わる荷重を検出する。第1荷重センサ106aにより、第1洗剤容器91a内の第1洗剤WL1の重量(残量)を検出できるようになるため、第1洗剤WL1の本体部61への投入量を確認できるようになる。これにより、例えば第1洗剤WLを本体部61内に投入中に、第1洗剤容器91a内の第1洗剤WL1の残量が不足した場合、ユーザが第1洗剤容器91aに対して第1洗剤WL1を補充すれば、残りの分の投入量を追投入可能となる。第1荷重センサ106aは、図22に示すように、薄いフィルム状の感圧センサであって、検知部106a1と、配線部106a2と、を有し、検知部106a1に荷重が加わると、配線部106a2間の電気抵抗が増大する。感圧センサを用いることで、低コストで重量変化を検出できるようになる。
【0061】
第2荷重センサ106bは、図21に示すように、第2箱体104の底部に設けられ、第2箱体104に係る荷重を検出する。第2荷重センサ106bは、第1荷重センサ106aと同様の構成を有する。第1荷重センサ106a、及び第2荷重センサ106bにより、洗剤毎に重量(残量)を検出できるようになり、ひいては洗剤毎に水タンク60に対して適正量の洗剤を投入できるようになる。
【0062】
制御部80は、コントローラIC(CPUを含む)を主体に構成されている。制御部80は、ROMやRAM等の記憶部に記録された制御プログラムを実行することで、使用者による操作、及び各センサ(水位センサ64、第1温度センサ48、第2温度センサ32、第1荷重センサ106a、第2荷重センサ106b)の検出結果に基づいて、各機器(冷凍装置40、送水ポンプ65、給水バルブ52、排水バルブ56、循環バルブ59、第1洗剤搬送ポンプ94a、第2洗剤搬送ポンプ94b)の動作を制御する。また、記憶部には、製氷機の動作に係る各設定値が記憶可能となっている。
【0063】
次に、上記した流下式製氷機10の運転方法について説明する。流下式製氷機10は、製氷運転、除氷運転、排水運転、及び洗浄運転を制御部80により自動的に切り替えて実行する。製氷運転、洗浄運転、及び排水運転の順番、回数、及び組み合わせは制御プログラムにより適宜設定可能であるが、以下ではその一例を説明する。
【0064】
最初に、製氷運転について説明する。製氷運転が開始されると、水位センサ64で水タンク60の本体部61内の水位が検出される。その水位が第1基準水位61a未満の場合、本体部61内に製氷水が補充される。また、送水ポンプ65が駆動される。製氷運転中は、第2温度センサ32により製氷板21の流下水温度を検出し、必要に応じて、制御部80により送水ポンプ65の回転速度を変更して製氷水の冷却効率を調整する。また、製氷面21Aに氷が成長するにつれて、本体部61内の水位が降下するため、水位の降下を水位センサ64によりリアルタイムに検出して、制御部80により送水ポンプ65の回転速度を調整する。水位センサ64により第2基準水位61bが検出されると、所定の時間が設定されたタイマを起動し、タイマの設定時間が終了すると、製氷完了と判断し、排水運転、及び除氷運転に移行する。
【0065】
排水運転について説明する。製氷運転において製氷完了後、制御部80は、排水バルブ56を開いた状態で送水ポンプ65を駆動させる。これにより、本体部61内の製氷水は、第1排水管54、排水部62、第2排水管55を順に通って外部に排出される。水位センサ64により第4基準水位61dが検出されると、所定の時間(例えば数分間)を経過後に、送水ポンプ65が停止されて、排水完了となる。
【0066】
除氷運転について説明する。製氷運転において製氷完了後、制御部80は、ホットガス弁を開いて製氷板21を温める。また、排水運転の完了と共に、制御部80は、給水バルブ52を開き、第2散水パイプ28により製氷板21,21間に製氷水を流すことで、製氷板21を温める。これにより、製氷面21Aに付着した氷を溶かして脱氷させる。第2温度センサ32によりあらかじめ設定した脱氷温度(例えば9℃)が検出されると、除氷運転を終了する。より詳しくは、脱氷温度を検出後に、所定の時間が設定されたタイマを起動し、タイマの設定時間が終了すると、除氷完了と判断し、再び製氷運転に移行する。なお、除氷運転において、第2散水パイプ28から製氷板21を流下した水は本体部61内に回収されて、水位センサ64により第1基準水位61aが検出されると満水とされる。本体部61内の製氷水は、次回の製氷運転に用いられる。
【0067】
次に、洗浄運転について説明する。洗浄運転は、製氷運転が所定の回数、又は所定の時間実行されると、製氷完了後に自動的に実行される。最初に、第1洗剤供給装置90aを用いた洗浄工程について説明する。洗浄工程では、本体部61内の水位が第3基準水位61c未満の場合、給水バルブ52を開いて、本体部61内に製氷水が補充される。これにより、水タンク60において第1基準水位61aの水面ライン付近も洗浄できるようになる。また、循環バルブ59を開いて送水ポンプ65を駆動し、さらに第1洗剤搬送ポンプ94aを正回転で駆動して、第1洗剤WL1を第1洗剤供給管92aから本体部61内に投入する。その後、既述したように、製氷水が製氷板21の製氷面21A(表面)を流下する循環路(本体部61内、第1通水管53、第1散水パイプ24、散水ガイド25、製氷面21A、本体部61内と循環される製氷水流路50)、及び製氷水が製氷板21の裏面を流下する循環路(本体部61内、第1通水管53、第2通水管58、給水管51、第2散水パイプ28、製氷板21の裏面、本体部61内と循環される製氷水流路50)について、製氷水をそれぞれ循環させ、これらの各循環路をアルカリ性洗剤により洗剤洗浄する。循環洗浄は所定の時間行われ、送水ポンプ65の回転速度を変更したり、送水ポンプ65の駆動と停止を繰り返したりすることで、洗浄効果が高められる。例えば、送水ポンプ65の高速回転駆動と中速回転駆動を間欠的に切り替えたり、送水ポンプ65を数十分停止した後に、再度駆動したりすることで、汚れの除去効果が高まる。
【0068】
制御部80は、第1洗剤搬送ポンプ94aの駆動時間及び第1荷重センサ106aの検出結果から所定の投入量の第1洗剤WL1が投入されたことを確認し、第1洗剤搬送ポンプ94aを停止させ、投入を終了させる。なお、第1洗剤WL1の所定の投入量は、例えば本体部61の容量(水量)の5%程度と設定される。洗浄工程終了後は、排水運転を行う。
【0069】
次に、第2洗剤供給装置90bを用いた殺菌工程について説明する。殺菌工程は、第2洗剤搬送ポンプ94bを正回転で駆動して、第2洗剤WL2を第2洗剤供給管92bから本体部61内に投入する点で、上記した洗浄工程と異なる。それ以外については洗浄工程と同様に行われるため、重複する説明は省略する。殺菌工程により、製氷水が製氷板21の製氷面21A(表面)を流下する循環路、及び製氷水が製氷板21の裏面を流下する循環路が酸性洗剤により殺菌洗浄される。
【0070】
制御部80は、第2洗剤搬送ポンプ94bの駆動時間及び第2荷重センサ106bの検出結果から所定の投入量の投入が確認されると、第2洗剤搬送ポンプ94bを停止させ、投入を終了させる。なお、第2洗剤WL2の所定の投入量は、例えば本体部61の容量(水量)の3%程度と設定される。殺菌工程終了後は、排水運転を行う。
【0071】
続いて、第1洗剤供給管92a及び第2洗剤供給管92bのすすぎを行うリンス工程について説明する。洗浄運転において殺菌工程、及び殺菌工程終了後の排水運転が終了すると、リンス工程が開始される。制御部80は、給水バルブ52を開いて本体部61内に製氷水を供給し続ける。これにより、製氷水は本体部61内から溢れ、排水部62に越流し続けるようになる。水位センサ64により第3基準水位61cが検出されると制御部80は第1洗剤搬送ポンプ94aを逆回転駆動させる。これにより、水タンク60(本体部61)内の製氷水が第1洗剤供給管92aを通って第1洗剤排出管95aに流入し、第2排水管55に排出される。その結果、第1洗剤供給管92aを製氷水ですすぎ、第1洗剤供給管92a内に残留している第1洗剤WL1を外部に排出できるようになる。第1洗剤搬送ポンプ94aの逆回転駆動が所定の時間行われると、第1洗剤搬送ポンプ94aが停止され、次に、第2洗剤搬送ポンプ94bが逆回転駆動される。これにより、水タンク60(本体部61)内の製氷水が第2洗剤供給管92bを通って第2洗剤排出管95bに流入し、第2排水管55に排出される。その結果、第2洗剤供給管92bを製氷水ですすぎ、第2洗剤供給管92b内に残留している第2洗剤WL2を外部に排出できるようになる。第2洗剤搬送ポンプ94bの逆回転駆動が所定の時間行われると、第2洗剤搬送ポンプ94bが停止され、給水バルブ52を閉じて本体部61内への給水を終了する。
【0072】
すすぎ終了後は、排水運転を行う。なお、排水の過程において、水位センサ64により第1基準水位61aが検出されると、第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bが逆回転駆動される。これにより、第1洗剤供給管92a、第2洗剤供給管92b、第1洗剤排出管95a、第2洗剤排出管95b、チューブ94a2、94b2内の製氷水を水抜きすることができる。水位センサ64により第4基準水位61dが検出されると、所定の時間(例えば数分間)を経過後に、送水ポンプ65、第1洗剤搬送ポンプ94a、及び第2洗剤搬送ポンプ94bが停止される。リンス工程は、以上の動作を複数回繰り返して終了となる。洗浄運転の終了時には、第1洗剤供給管92a、第2洗剤供給管92b、第1洗剤排出管95a、第2洗剤排出管95b、チューブ94a2、94b2内の製氷水は水抜き状態となっている。
【0073】
上記した構成の洗剤供給装置90は、第1洗剤WL1を収容する第1洗剤容器91aと、第1洗剤容器91aから第1洗剤WL1を供給するための第1洗剤供給管92aと、第1洗剤供給管92aの経路上に設けられ、第1洗剤供給管92a内の液体を搬送するための第1洗剤搬送ポンプ94aと、を備える。このようにすれば、第1洗剤搬送ポンプ94aが制御されることで、第1洗剤WL1の供給量(投入量)を調整しつつ、被供給体(水タンク60)に対して洗剤を自動供給できるようになる。その結果、洗剤を作業効率よく自動供給可能となる。また、流下式製氷機10は、洗剤供給装置90により作業効率よく自動供給される第1洗剤WL1を用いて洗浄運転が可能となる。
【0074】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0075】
(1)第1洗剤排出管95aのうち、排水方向において下流側の端部は、図23に示すように、排水部62を介さずに第2排水管55に接続されていても構わない。
【0076】
(2)水位センサ64は、超音波センサ以外の水位センサであっても構わない。例えば、水タンク60の側壁内面に電極や静電容量を複数設けたり、また例えば、図24に示すように、赤外線距離センサ164の反射光を水面に浮かべたフロート164Aで反射させて水位変動をリニア水位検知する構造を用いたりして、当該水位を検出しても構わない。
【0077】
(3)製氷板21の数は、図示された数に限らず、1枚以上あればよく、仕様に合わせて適宜変更可能である。
【0078】
(4)水タンク60の形状は、製氷水を貯留可能な他の形状であっても構わない。また、水タンク60において、排水部62は本体部61の角部以外に配されていても構わない。
【0079】
(5)逆止弁トラップ57は、排水方向において第2排水管55より下流側の別の排水管に設けられても構わず、水平方向と交わる方向に延在する配管に設けられていても構わない。また、水平方向、水平方向と交わる方向に延在するいずれの配管に対しても兼用可能に構成されていても構わない。
【0080】
(6)第1洗剤搬送ポンプ94a、第2洗剤搬送ポンプ94bは、DCブラシレスモータを駆動手段として用いても構わない。モータの回転速度を変更することで、チューブ94a2,94b2の管内の液体の搬送速度を調整可能となる。
【0081】
(7)第1荷重センサ106a、第2荷重センサ106bは、荷重変化を抵抗値変化で検出する感圧センサ以外荷重センサであっても構わない。
【0082】
(8)チューブ継手202aの外面のタケノコ状の形状、及びこれと嵌合する第1洗剤供給管92aの内面のタケノコ状の形状は、例えば図25で示されるような他の形状であっても構わない。
【0083】
(9)第1洗剤WL1、及び第2洗剤WL2の投入量は、それぞれ第1洗剤搬送ポンプ94a、第2洗剤搬送ポンプ94bの駆動時間のみ、又は第1荷重センサ106a、第2荷重センサ106bの検出結果のみに基づいて制御されても構わない。
【0084】
(10)流下式製氷機10は、製氷運転、除氷運転、排水運転、及び洗浄運転を使用者の操作により手動で切り替えて実行しても構わない。
【0085】
(11)本明細書に記載の技術は、水タンクを有する他の方式の製氷機(例えばオーガ式製氷機、ドラム式製氷機、貯水式製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
10:流下式製氷機(製氷機)、57:逆止弁トラップ、60:水タンク、61:本体部、62:排水部、63:蓋体、64、164:水位センサ、80:制御部、90:洗剤供給装置、90a,90b:第1、第2洗剤供給装置(洗剤供給装置)、91a,91b:第1、第2洗剤容器(洗剤容器)、92a,92b:第1、第2洗剤供給管(洗剤供給管)、94a,94b:第1、第2洗剤搬送ポンプ(洗剤搬送ポンプ)、95a,95b:第1、第2洗剤排出管(洗剤排出管)、96a,96b:第1逆止弁、97a,97b:第2逆止弁、97a,97b:第2逆止弁、98a,98b:ジョイント部、98a1:容器内ホース、98a2:キャップ、99a,99b:カップリング部、100:筐体、103,104:第1、第2箱体(箱体)、106a,106b:第1、第2荷重センサ(荷重センサ)、WL1,WL2:第1、第2洗剤(洗剤)
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