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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240222BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05C11/08
H01L21/30 562
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020020876
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021128960
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】村井 征爾
(72)【発明者】
【氏名】森岡 一夫
(72)【発明者】
【氏名】金岡 雅
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡
(72)【発明者】
【氏名】古株 由徳
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-340800(JP,A)
【文献】特開2008-251890(JP,A)
【文献】特開2000-173902(JP,A)
【文献】特開2019-169681(JP,A)
【文献】特開2008-085263(JP,A)
【文献】特開平06-216017(JP,A)
【文献】特開2003-071367(JP,A)
【文献】特開2017-076670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05C 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に積層して配置される複数の処理室と、
前記複数の処理室にそれぞれ対応して設けられ、処理液を用いて基板を処理する複数の処理部と、
前記複数の処理室にそれぞれ対応して設けられる複数の送液部を備え、
処理室には、当該処理室内の空間を下部空間と前記下部空間の上方に位置する上部空間とに区画する隔壁が設けられ、
処理部は、対応する処理室の前記上部空間に配置され、
送液部は、対応する処理室の前記下部空間に配置され、当該処理室の前記上部空間に配置された処理部に処理液を第1の流路を通して送液する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1の流路は、前記隔壁を貫通するように設けられた、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
送液部は、対応する処理部に送液される処理液を一時的に貯留するリザーバタンクを含む、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
送液部は、前記リザーバタンクの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を送液可能に構成された、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
送液部は、前記リザーバタンクに貯留された処理液を対応する処理部に送液するポンプをさらに含む、請求項3または4記載の基板処理装置。
【請求項6】
送液部は、処理液が通過するフィルタを備え、
前記リザーバタンクは、前記フィルタを通過した処理液を一時的に貯留する、請求項3~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の流路を遮光する第1の遮光部材をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
処理部は、
対応する送液部により送液された処理液を基板に吐出する吐出部と、
対応する送液部と前記吐出部との間の前記第1の流路を開閉するバルブと、
前記バルブの下流に設けられかつ前記第1の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第1の気泡センサとを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
複数の送液部にそれぞれ対応し、処理液を貯留する処理液ボトルを含む複数の処理液供給部をさらに備え、
処理液供給部は、前記処理液ボトルの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を第2の流路を通して対応する送液部に供給可能に構成された、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
処理液供給部は、前記処理液ボトルの下流に設けられかつ前記第2の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第2の気泡センサをさらに含む、請求項記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第2の流路は、処理液供給部と対応する送液部とを接続しかつ上下方向に延びる第1の流路部と、前記第1の流路部以外の第2の流路部とを含み、
前記第1の流路部の断面積は、前記第2の流路部の断面積よりも大きい、請求項または10記載の基板処理装置。
【請求項12】
処理液供給部は、非透光性材料により形成されかつ前記処理液ボトルを収容する筐体部をさらに含む、請求項11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第2の流路を遮光する第2の遮光部材をさらに備える、請求項12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
処理液を用いて基板を処理する処理部と、
処理液を第1の流路を通して前記処理部に送液する送液部と、
前記処理部および前記送液部を収容する処理室と、
処理液を貯留する処理液ボトルを含み、前記処理液ボトルに貯留された処理液を第2の流路を通して前記送液部に供給可能に構成された処理液供給部とを備え、
前記処理室には、当該処理室内の空間を下部空間と前記下部空間の上方に位置する上部空間とに区画する隔壁が設けられ、
前記処理部は、前記処理室の前記上部空間に配置され、
前記送液部は、前記処理室の前記下部空間に配置され、
前記第2の流路は、前記処理液供給部と前記送液部とを接続しかつ上下方向に延びる第1の流路部と、前記第1の流路部以外の第2の流路部とを含み、
前記第1の流路部の断面積は、前記第2の流路部の断面積よりも大きい、基板処理装置。
【請求項15】
前記第2の流路は、前記第1の流路部以外の第3の流路部をさらに含み、
前記第2の流路において、前記第2の流路部は前記第1の流路部の上流に位置し、前記第3の流路部は前記第1の流路部の下流に位置し、
前記第1の流路部の断面積は、前記第3の流路部の断面積よりも大きい、請求項14記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置においては、基板の被処理面に処理液が供給されることにより基板の処理が行われる。例えば、特許文献1には、処理液供給装置とともに用いられる基板処理装置が記載されている。処理液供給装置は、複数の処理液供給系統を含む。各処理液供給系統において、タンクに貯留された処理液が圧送部により圧送されることにより、配管を通して基板処理装置に供給される。基板処理装置は、複数の処理液供給系統に対応する複数の処理部を含む。各処理部は、対応する処理液供給系統により供給された処理液を使用して基板を処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-93506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ポリイミド等を含む比較的高い粘度を有する溶剤が処理液として用いられることがある。しかしながら、処理液の粘度が高い場合、配管圧損が大きくなる。この場合、処理液の供給効率が低下することによりスループットが低下する。また、処理液の供給効率を維持するために、処理液の圧力を増加させると、圧送部または配管が破損する可能性が増加するとともに、処理液中に気泡が発生する可能性が増加する。そのため、適切に基板処理を行うことが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、処理液の粘度が高い場合でも適切に基板処理を行うことが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、上下に積層して配置される複数の処理室と、複数の処理室にそれぞれ対応して設けられ、処理液を用いて基板を処理する複数の処理部と、複数の処理室にそれぞれ対応して設けられる複数の送液部を備え、処理室には、当該処理室内の空間を下部空間と下部空間の上方に位置する上部空間とに区画する隔壁が設けられ、処理部は、対応する処理室の上部空間に配置され、送液部は、対応する処理室の下部空間に配置され、当該処理室の上部空間に配置された処理部に処理液を第1の流路を通して送液する。
【0007】
この基板処理装置においては、処理部および送液部が処理室に収容される。処理室内の空間は、隔壁により上部空間と下部空間とに区画される。処理部は処理室の上部空間に配置され、送液部は処理室の下部空間に配置される。処理液が送液部により第1の流路を通して処理部に送液される。送液部により処理液を用いて処理部により基板が処理される。
【0008】
この構成によれば、送液部と処理部との間の第1の流路を短くすることができる。したがって、第1の流路における圧損が低減される。この場合、送液効率がほとんど低下しないので、処理液を低い圧力で送液することが可能になる。また、処理液が低い圧力で送液されることにより、処理液中に気泡が発生する可能性が低減される。これらの結果、処理液の粘度が高い場合でも適切に基板処理を行うことができる。
また、処理室は複数設けられ、複数の処理室は、上下に積層して配置される。各処理室において、処理液の圧力を増加させることなく処理部に処理液を送液することが可能である。そのため、複数の処理室を上下に積層することにより、フットプリントを増加させることなく、複数の処理部により並列的に基板を処理することが可能となる。これにより、基板の処理効率が向上する。また、各処理部に均一な圧力で処理液を送液することが可能であるので、基板の処理精度が向上する。
【0009】
(2)第1の流路は、隔壁を貫通するように設けられてもよい。この場合、第1の流路をより短くすることができる。これにより、処理液をより高い効率で送液することが可能になる。また、処理液中に気泡が発生する可能性がより低減される。そのため、処理液の粘度が高い場合でもより適切に基板処理を行うことができる。
【0010】
(3)送液部は、対応する処理部に送液される処理液を一時的に貯留するリザーバタンクを含んでもよい。この構成によれば、処理液が高い圧力で送液部に供給される場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンクにおいて低減される。また、送液部に供給される処理液中に気泡が存在する場合でも、リザーバタンクにおいて気泡を処理液から除去することが可能となる。そのため、処理液をより適切に処理部に送液することができる。
【0011】
(4)送液部は、リザーバタンクの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を送液可能に構成されてもよい。この場合、リザーバタンクに貯留された処理液を処理部に容易に送液することができる。
【0012】
(5)送液部は、リザーバタンクに貯留された処理液を対応する処理部に送液するポンプをさらに含んでもよい。この場合、リザーバタンクに貯留された処理液を処理部に容易に送液することができる。
【0013】
(6)送液部は、処理液が通過するフィルタを備え、リザーバタンクは、フィルタを通過した処理液を一時的に貯留してもよい。この構成によれば、送液部に供給される処理液中に気泡または不純物が存在する場合でも、フィルタにより気泡または不純物を処理液から除去することが可能となる。また、処理液が高い圧力でフィルタを通過する場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンクにおいて低減される。そのため、処理液をより適切に処理部に送液することができる。
【0015】
)基板処理装置は、第1の流路を遮光する第1の遮光部材をさらに備えてもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
【0016】
処理部は、対応する送液部により送液された処理液を基板に吐出する吐出部と、対応する送液部と吐出部との間の第1の流路を開閉するバルブと、バルブの下流に設けられかつ第1の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第1の気泡センサとを含んでもよい。この構成によれば、第1の流路を流れる処理液中に気泡が発生した場合、使用者は容易にその旨を認識することができる。そのため、気泡を含む処理液が基板に吐出され続けることを防止することができる。
【0017】
)基板処理装置は、複数の送液部にそれぞれ対応し、処理液を貯留する処理液ボトルを含む複数の処理液供給部をさらに備え、処理液供給部は、処理液ボトルの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を第2の流路を通して対応する送液部に供給可能に構成されてもよい。この場合、処理液を容易に送液部に供給することができる。
【0018】
10処理液供給部は、処理液ボトルの下流に設けられかつ第2の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第2の気泡センサをさらに含んでもよい。この構成によれば、第2の流路を流れる処理液中に気泡が発生した場合、使用者は容易にその旨を認識することができる。そのため、気泡を含む処理液が基板に吐出され続けることを防止することができる。
【0019】
11)第2の流路は、処理液供給部と対応する送液部とを接続しかつ上下方向に延びる第1の流路部と、第1の流路部以外の第2の流路部とを含み、第1の流路部の断面積は、第2の流路部の断面積よりも大きくてもよい。この場合、第2の流路の圧力損失を低減しつつ、第2の流路を流れる処理液中に気泡が発生しにくくすることができる。
【0020】
12処理液供給部は、非透光性材料により形成されかつ処理液ボトルを収容する筐体部をさらに含んでもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
【0021】
13)基板処理装置は、第2の流路を遮光する第2の遮光部材をさらに備えてもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
(14)第2の発明に係る基板処理装置は、処理液を用いて基板を処理する処理部と、処理液を第1の流路を通して処理部に送液する送液部と、処理部および送液部を収容する処理室と、処理液を貯留する処理液ボトルを含み、処理液ボトルに貯留された処理液を第2の流路を通して送液部に供給可能に構成された処理液供給部とを備え、処理室には、当該処理室内の空間を下部空間と下部空間の上方に位置する上部空間とに区画する隔壁が設けられ、処理部は、処理室の上部空間に配置され、送液部は、処理室の下部空間に配置され、第2の流路は、処理液供給部と送液部とを接続しかつ上下方向に延びる第1の流路部と、第1の流路部以外の第2の流路部とを含み、第1の流路部の断面積は、第2の流路部の断面積よりも大きい。
(15)第2の流路は、第1の流路部以外の第3の流路部をさらに含み、第2の流路において、第2の流路部は第1の流路部の上流に位置し、第3の流路部は第1の流路部の下流に位置し、第1の流路部の断面積は、第3の流路部の断面積よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、処理液の粘度が高い場合でも適切に基板処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成の概略を説明するための模式的ブロック図である。
図2】基板処理装置の具体例を説明するための図である。
図3】配管システムおよび塗布部の構成を示すブロック図である。
図4】制御部の構成を示す図である。
図5】制御部により実行される配管システムおよび塗布部の制御処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施の形態における配管システムの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第3の実施の形態における配管システムの構成を示すブロック図である。
図8】第3の実施の形態における制御部の構成を示す図である。
図9図8の制御部により実行される配管システムおよび塗布部の制御処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0025】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成の概略を説明するための模式的ブロック図である。図1に示すように、基板処理装置100は、例えば露光装置200に隣接するように設けられ、制御部10、搬送部20、配管システム30、塗布部40、現像部50および熱処理部60を備える。制御部10は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、搬送部20、配管システム30、塗布部40、現像部50および熱処理部60の動作を制御する。
【0026】
搬送部20は、例えば搬送ロボットを含み、処理対象の基板を塗布部40、現像部50、熱処理部60および露光装置200の間で搬送する。配管システム30は、配管を通して塗布部40に処理液を供給する。本例では、処理液は感光性膜を有するとともに、例えば1000cP~18000cP程度の高い粘度を有する。具体的には、処理液は、ネガ型またはポジ型の感光性ポリイミドおよび溶剤を含む。また、溶剤は、例えばシクロペンタノンまたはN-メチル-2-ピロリドンを含む。
【0027】
塗布部40は、配管システム30により供給された処理液を基板の表面上に塗布することにより基板の表面上に感光性膜を形成する(塗布処理)。本例では、基板処理装置100に2個の配管システム30および2個の塗布部40が設けられる。配管システム30および塗布部40の詳細については後述する。感光性膜が形成された基板には、露光装置200において露光処理が行われる。
【0028】
現像部50は、例えばスピンデベロッパを含み、露光装置200による露光処理後の基板に現像液を供給することにより基板に形成された感光成膜を現像する(現像処理)。熱処理部60は、塗布部40による塗布処理の前後、現像部50による現像処理の前後、および露光装置200による露光処理の前後に基板の熱処理を行う。
【0029】
図2は、基板処理装置100の具体例を説明するための図である。図2に示すように、本例の基板処理装置100は、インデクサブロック110、塗布ブロック120、現像ブロック130およびインターフェイスブロック140を備える。インデクサブロック110、塗布ブロック120、現像ブロック130およびインターフェイスブロック140は、この順で一方向に並ぶように配置される。露光装置200は、インターフェイスブロック140に隣接するように配置される。
【0030】
インデクサブロック110、塗布ブロック120、現像ブロック130およびインターフェイスブロック140の各々は、図示しない装置フレームを有する。各ブロックの装置フレームは、当該ブロックに設けられる各種構成要素を支持するとともに、他のブロックの装置フレームに接続可能かつ取り外し可能に構成される。以下、各ブロックに設けられる構成要素を説明する。
【0031】
インデクサブロック110には、制御部10および搬送部20が設けられる。インデクサブロック110において、搬送部20は基板Wの搬入搬出部として機能する。また、後述するように、各配管システム30は、処理液供給部31および送液部32を含む。各配管システム30の処理液供給部31は、インデクサブロック110に設けられる。
【0032】
塗布ブロック120は、下部処理室121および上部処理室122を含む。下部処理室121は、当該下部処理室121内の空間を下部空間R1と上部空間R2とに区画する略水平な隔壁123を有する。下部処理室121の下部空間R1には、一方の配管システム30の送液部32が設けられる。下部処理室121の上部空間R2には、一方の塗布部40が設けられる。隔壁123には、一方の送液部32と一方の塗布部40とを接続する配管(後述する図3の配管p11)が挿通される貫通孔h1が形成される。
【0033】
上部処理室122は、下部処理室121の上方に配置され、当該上部処理室122内の空間を下部空間R3と上部空間R4とに区画する略水平な隔壁124を有する。上部処理室122の下部空間R3には、他方の配管システム30の送液部32が設けられる。上部処理室122の上部空間R4には、他方の塗布部40が設けられる。隔壁124には、他方の送液部32と他方の塗布部40とを接続する配管(後述する図3の配管p11)が挿通される貫通孔h2が形成される。
【0034】
また、塗布ブロック120には、搬送部20および熱処理部60が設けられる。図2では、塗布ブロック120における搬送部20および熱処理部60の図示が省略されている。なお、塗布ブロック120においては、熱処理部60は、搬送部20を挟んで下部処理室121および上部処理室122と対向するように配置される。
【0035】
現像ブロック130には、搬送部20、現像部50および熱処理部60が設けられる。現像ブロック130においては、現像部50と熱処理部60とは搬送部20を挟んで対向するように配置される。インターフェイスブロック140には、搬送部20が設けられる。インターフェイスブロック140において、搬送部20は現像ブロック130と露光装置200との間で基板の受け渡しを行う受渡部として機能する。
【0036】
なお、インターフェイスブロック140には、露光処理前または露光処理後の基板Wを洗浄する洗浄装置がさらに設けられてもよいし、露光処理前の基板Wの温度を調整する温調装置がさらに設けられてもよい。また、各ブロックには、制御部10からの制御指令に基づいて当該ブロックの各種構成要素の動作を制御する局所制御部がさらに設けられてもよい。
【0037】
(2)配管システムおよび塗布部の構成
図3は、配管システム30および塗布部40の構成を示すブロック図である。図3では、一方の配管システム30および一方の塗布部40の構成が示されている。しかしながら、他方の配管システム30の構成は、図3の配管システム30と同様である。また、他方の塗布部40の構成は、図3の塗布部40の構成と同様である。
【0038】
図3に示すように、配管システム30は、処理液供給部31および送液部32を含む。処理液供給部31は、処理液ボトル1、トラップタンク2、バルブv1,v2および気泡センサs2を含む。送液部32は、フィルタ3、リザーバタンク4、ポンプ5およびバルブv3~v7を含む。塗布部40は、基板保持部41、カップ42、ノズル43、バルブv8および気泡センサs1を含む。
【0039】
処理液ボトル1は、処理液を貯留するとともに、配管p1により気体供給部300に接続される。本例においては、処理液ボトル1は、非透光性材料(例えばステンレス)により形成された筐体部33に収容される。これにより、処理液がネガ型の感光性ポリイミド等を含む場合でも、処理液ボトル1に貯留された処理液が固化することが防止される。配管p1には、バルブv1が介挿される。気体供給部300は、例えば工場の用力設備であり、N(窒素)ガスまたはCDA(クリーンドライエア)等の気体を供給可能に構成される。
【0040】
処理液ボトル1とトラップタンク2とは、配管p2により接続される。処理液ボトル1の下流に位置する配管p2の部分には、気泡センサs2が設けられる。気泡センサs2は、配管p2を流れる処理液中の気泡の有無を検知する。気泡センサs2は、処理液ボトル1における処理液の貯留量の検知に用いられてもよい。
【0041】
トラップタンク2は、処理液ボトル1から供給される処理液を一時的に貯留するとともに、貯留された処理液中の気泡を外部に排出可能に構成される。トラップタンク2には、貯留される処理液の貯留量を検知するセンサが設けられてもよい。トラップタンク2の上部は、配管p3により廃液部400に接続される。配管p3には、バルブv2が介挿される。廃液部400は、例えば工場の用力設備である。
【0042】
トラップタンク2の下部には、配管p4が接続される。配管p4の下流端部には、略垂直に延びる配管p5が接続される。配管p5の下流端部と送液部32のリザーバタンク4とは、配管p6により接続される。なお、処理液供給部31と図2の上部処理室122の送液部32との接続に用いられる配管p5は比較的長く、例えば1.5mの長さを有する。配管p6には、上流から下流に向かってフィルタ3およびバルブv3がこの順で介挿される。
【0043】
フィルタ3は、例えばUPE(超高分子量ポリエチレン)フィルタであり、自己を透過する処理液中の気泡を外部に排出可能に構成される。フィルタ3の目開きは、例えば1μmである。フィルタ3の上部は、配管p7により廃液部400に接続される。配管p7にはバルブv4が介挿される。
【0044】
リザーバタンク4は、トラップタンク2から供給される処理液を一時的に貯留するとともに、貯留された処理液中の気泡を外部に排出可能に構成される。リザーバタンク4には、貯留される処理液の貯留量を検知するセンサが設けられてもよい。リザーバタンク4の上部は、配管p8により廃液部400に接続される。配管p8には、バルブv5が介挿される。また、リザーバタンク4は、配管p9により気体供給部300に接続される。配管p9には、バルブv6が介挿される。
【0045】
リザーバタンク4とポンプ5とは、配管p10により接続される。配管p10には、バルブv7が介挿される。ポンプ5は、リザーバタンク4に貯留された処理液を圧送可能に構成される。ポンプ5と塗布部40のノズル43とは、配管p11により接続される。配管p11には、バルブv8が介挿される。バルブv8の下流に位置する配管p11の部分には、気泡センサs1が設けられる。気泡センサs1は、配管p11を流れる処理液中の気泡の有無を検知する。
【0046】
基板保持部41は、例えばスピンチャックを含み、基板Wを水平姿勢で保持するとともに、保持された基板Wを垂直軸の周りで回転可能に構成される。カップ42は、基板保持部41により保持される基板Wを取り囲むように設けられ、基板保持部41により回転する基板Wから外方に飛散する処理液を受け止める。ノズル43は、基板保持部41により保持された基板Wの上方の処理位置とカップ42の外方の待機位置との間で移動可能に構成され、処理位置において送液部32から送液される処理液を基板Wの表面上に吐出する。
【0047】
上記の配管p1~p11のうち、処理液が流れる配管p2,p4~p6,p10,p11は、ホックチューブ等の遮光部材34により被覆される。これにより、処理液がネガ型の感光性ポリイミド等を含む場合でも、配管p2,p4~p6,p10,p11を流れる処理液が固化することが防止される。
【0048】
配管システム30において、下方から上方に流れる処理液には、気泡が発生しにくい。そこで、本例では、略垂直に延びる配管p5は、他の配管よりも断面積が大きく形成される。具体的には、配管p5の外径および内径は、それぞれ12mmおよび10mmである。一方、配管p2,p4,p6,p10,p11の各々の外径および内径は、それぞれ10mmおよび8mmである。この場合、配管システム30における配管の圧力損失を低減しつつ、配管を流れる処理液中に気泡が発生しにくくすることができる。
【0049】
(3)配管システムおよび塗布部の動作
初期状態では、バルブv1~v8は閉止されている。また、基板保持部41は停止状態にあり、ノズル43は待機位置にある。まず、塗布処理の前に、リザーバタンク4に処理液が充填される。具体的には、バルブv1が開放される。この場合、気体供給部300から配管p1を通して処理液ボトル1内に気体が供給される。これにより、処理液ボトル1内の処理液が加圧され、配管p2を通してトラップタンク2に充填される。
【0050】
また、バルブv3がさらに開放される。これにより、トラップタンク2内の処理液が、配管p4~p6およびフィルタ3を通してリザーバタンク4に充填される。配管p2を流れる処理液中に気泡が発生したことが気泡センサs2により検知された場合には、バルブv2,v4,v6が開放される。この場合、気泡を含む処理液が配管p3、配管p7または配管p9を通して廃液部400に排出される。
【0051】
塗布処理時には、基板Wが基板保持部41により保持される。この状態で、基板保持部41が回転されるとともに、ノズル43が処理位置に移動される。また、バルブv5,v7,v8が開放される。この場合、気体供給部300から配管p8を通してリザーバタンク4内に気体が供給される。これにより、リザーバタンク4内の処理液が加圧される。
【0052】
また、リザーバタンク4内の処理液は、ポンプ5により下流方向に吸引される。この場合、リザーバタンク4内の処理液は、配管p10,p11を通してノズル43から回転する基板Wの表面の略中央部に吐出される。吐出された処理液が基板Wの表面上で広がることにより、基板Wの表面上に感光性膜が形成される。基板Wの塗布処理の終了後、当該基板Wが基板保持部41から搬出され、次の処理対象の基板Wについて上記と同様の塗布処理が行われる。
【0053】
配管p11を流れる処理液中に気泡が発生したことが気泡センサs1により検知された場合には、警報が出力されてもよい。警報として、基板処理装置100が表示装置を有する場合には、所定の文字列が表示装置に表示されてもよい。基板処理装置100が音声出力装置を有する場合には、所定の音声(ブザー等の警告音を含む。)が音声出力装置から出力されてもよい。基板処理装置100がランプ等の表示灯を有する場合には、表示灯が点灯、消灯または点滅されてもよい。
【0054】
警報が出力された場合、使用者は、気泡を含む処理液が基板Wに吐出されたことを容易に認識することができる。そのため、使用者は、塗布処理を停止させる等の処理を行うことにより、気泡を含む処理液が基板Wに吐出され続けることを防止することができる。これにより、不良になる基板Wの数を最少にし、歩留まりを向上させることができる。配管p11を流れる処理液中に気泡が発生したことが気泡センサs1により検知された場合には、図1の制御部10が自動的にバルブv8を閉止することにより塗布処理を停止させてもよい。
【0055】
なお、塗布処理中にはリザーバタンク4に処理液が充填されないので、塗布処理が継続されることにより、リザーバタンク4内の処理液の貯留量が次第に減少する。そこで、リザーバタンク4内の処理液の貯留量が所定の下限値まで減少した場合には、バルブv5が閉止される。この場合、塗布処理が停止され、トラップタンク2内の処理液が再度リザーバタンク4に充填される。リザーバタンク4内の処理液の貯留量が所定の上限値まで増加した場合には、バルブv5が開放される。これにより、塗布処理を再開することができる。
【0056】
(4)配管システムおよび塗布部の制御
図4は、制御部10の構成を示す図である。図5は、制御部10により実行される配管システム30および塗布部40の制御処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図4に示すように、制御部10は、機能部として、充填部11、気泡排出部12、塗布制御部13および警告部14を含む。制御部10のCPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部10の機能部が実現される。制御部10の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0057】
以下、図4の制御部10および図5のフローチャートを用いて制御処理を説明する。まず、充填部11は、バルブv1,v3を開放することによりリザーバタンク4に所定量の処理液を貯留する(ステップS1)。ステップS1の終了後、充填部11は、バルブv1,v3を閉止してもよい。
【0058】
また、気泡排出部12は、気泡センサs2により気泡が検知されたか否かを判定する(ステップS2)。気泡が検知されない場合、気泡排出部12はステップS4に進む。気泡が検知された場合、気泡排出部12は、バルブv2,v4,v6を所定時間だけ開放することにより気泡を排出し(ステップS3)、ステップS4に進む。ステップS2,S3は、ステップS1と同時に実行されてもよい。
【0059】
ステップS4で、塗布制御部13は、基板保持部41、ノズル43およびバルブv5,v7,v8を制御することにより塗布処理を実行する(ステップS4)。具体的には、基板保持部41が基板Wを保持した状態で回転され、ノズル43が待機位置から処理位置に移動される。また、バルブv5,v7,v8が開放されることにより、ノズル43から回転する基板Wの表面の略中央部に処理液が吐出される。
【0060】
また、警告部14は、気泡センサs1により気泡が検知されたか否かを判定する(ステップS5)。気泡が検知された場合、警告部14は、警報を出力する(ステップS6)。さらに、警告部14は、バルブv8を閉止することにより塗布処理を停止し(ステップS7)、制御処理を終了する。ステップS7で、警告部14は、バルブv5,v7をさらに閉止してもよい。
【0061】
ステップS5で気泡が検知されない場合、充填部11は、リザーバタンク4内の処理液の貯留量が下限値まで減少したか否かを判定する(ステップS8)。処理液の貯留量が下限値まで減少していない場合、充填部11はステップS4に戻る。これにより、次の基板Wについて塗布処理が続行される。
【0062】
処理液の貯留量が下限値まで減少した場合、塗布制御部13は、バルブv5を閉止することにより塗布処理を停止する(ステップS9)。ステップS9で、塗布制御部13は、バルブv7,v8をさらに閉止してもよい。その後、塗布制御部13はステップS1に戻る。これにより、リザーバタンク4に処理液が補充される。その結果、次の基板Wについて塗布処理を続行することが可能になる。
【0063】
(5)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、塗布部40および送液部32が下部処理室121および上部処理室122の各々に収容される。下部処理室121内の空間は、隔壁123により下部空間R1と上部空間R2とに区画される。上部処理室122内の空間は、隔壁124により下部空間R3と上部空間R4とに区画される。送液部32は下部空間R1,R3の各々に配置され、塗布部40は上部空間R2,R4の各々に配置される。処理液が送液部32により配管p11を通して塗布部40に送液される。送液部32により処理液を用いて塗布部40により基板Wが処理される。
【0064】
この構成によれば、送液部32と塗布部40との間の配管p11を短くすることができる。したがって、配管p11における圧損が低減される。この場合、送液効率がほとんど低下しないので、処理液を低い圧力で送液することが可能になる。また、処理液が低い圧力で送液されることにより、処理液中に気泡が発生する可能性が低減される。これらの結果、処理液の粘度が高い場合でも適切に基板処理を行うことができる。
【0065】
また、下部処理室121および上部処理室122を上下に積層した場合でも、下部処理室121および上部処理室122の各々において、処理液の圧力を増加させることなく塗布部40に処理液を送液することが可能である。そのため、フットプリントを増加させることなく、複数の塗布部40により並列的に基板Wを処理することが可能となる。これにより、基板Wの処理効率が向上する。また、各塗布部40に均一な圧力で処理液を送液することが可能であるので、基板Wの処理精度が向上する。
【0066】
送液部32にはリザーバタンク4が設けられるので、処理液供給部31により処理液が高い圧力で送液部32に供給される場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンク4において低減される。また、送液部32に供給される処理液中に気泡が存在する場合でも、リザーバタンク4において気泡を処理液から除去することが可能となる。そのため、処理液をより適切に塗布部40に送液することができる。
【0067】
また、リザーバタンク4は、ポンプ5の直近に配置されるので、リザーバタンク4とポンプ5とを接続する配管p10の負担が低減される。さらに、リザーバタンク4は、内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を送液可能に構成されるので、ポンプ5の負担が低減される。
【0068】
また、送液部32には処理液が通過するフィルタ3が設けられ、フィルタ3を通過した処理液が一時的にリザーバタンク4に貯留される。この構成によれば、処理液供給部31により送液部32に供給される処理液中に気泡または不純物が存在する場合でも、フィルタ3により気泡または不純物を処理液から除去することが可能となる。また、処理液が高い圧力でフィルタ3を通過する場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンク4において低減される。そのため、処理液をより適切に塗布部40に送液することができる。
【0069】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板処理装置100について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態における配管システム30の構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施の形態においては、配管システム30の送液部32は、ポンプ5およびバルブv7を含まない。したがって、本実施の形態では、基板処理装置100に配管p10は設けられず、リザーバタンク4と塗布部40のノズル43とが配管p11により接続される。
【0070】
このように、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、送液部32がポンプ5を含まない場合でも、気体供給部300からリザーバタンク4に気体が供給されることにより、塗布部40に処理液を送液することができる。
【0071】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置100について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100と異なる点を説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態における配管システム30の構成を示すブロック図である。図7に示すように、本実施の形態においては、配管システム30の送液部32は、リザーバタンク4およびバルブv3,v5,v6を含まない。したがって、本実施の形態では、基板処理装置100に配管p10は設けられず、配管p5の下流端部とポンプ5とが配管p6により接続される。
【0072】
図8は、第3の実施の形態における制御部10の構成を示す図である。図9は、図8の制御部10により実行される配管システム30および塗布部40の制御処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施の形態においては、制御部10は充填部11を含まない。以下、図8の制御部10および図9のフローチャートを用いて本実施の形態における制御処理を説明する。
【0073】
まず、塗布制御部13は、基板保持部41、ノズル43およびバルブv1,v7,v8を制御することにより塗布処理を実行する(ステップS11)。具体的には、基板保持部41が基板Wを保持した状態で回転され、ノズル43が待機位置から処理位置に移動される。また、バルブv1,v7,v8が開放されることにより、ノズル43から回転する基板Wの表面の略中央部に処理液が吐出される。
【0074】
また、気泡排出部12は、気泡センサs2により気泡が検知されたか否かを判定する(ステップS12)。気泡が検知されない場合、気泡排出部12はステップS14に進む。気泡が検知された場合、気泡排出部12は、バルブv2,v4を所定時間だけ開放することにより気泡を排出し(ステップS13)、ステップS14に進む。ステップS12,S13は、ステップS11と同時に実行されてもよい。
【0075】
ステップS14で、警告部14は、気泡センサs1により気泡が検知されたか否かを判定する(ステップS14)。気泡が検知されない場合、塗布制御部13はステップS11に戻る。これにより、次の基板Wについて塗布処理が続行される。気泡が検知された場合、警告部14は、警報を出力する(ステップS15)。また、警告部14は、バルブv8を閉止することにより塗布処理を停止し(ステップS16)、制御処理を終了する。ステップS16で、警告部14は、バルブv1,v7をさらに閉止してもよい。
【0076】
このように、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、送液部32がリザーバタンク4を含まない場合でも塗布部40に処理液を送液することができる。なお、本実施の形態においては、送液部32はリザーバタンク4を含まないが、実施の形態はこれに限定されない。送液部32はリザーバタンク4を含んでもよい。当該リザーバタンク4は処理液を圧送可能に構成されなくてもよいので、リザーバタンク4に図3の配管p8が接続されなくてもよい。
【0077】
また、本実施の形態において、気泡センサs2により気泡が検知された場合、バルブv2,v4が開放されることにより気泡が排出されるが、実施の形態はこれに限定されない。気泡センサs2により気泡が検知された場合には、気泡センサs1により気泡が検知された場合と同様に、警告が出力されてもよいし、バルブv8が閉止されることにより塗布処理が停止されてもよい。
【0078】
[4]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、処理液供給部31はインデクサブロック110に設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。処理液供給部31は、他のブロックに設けられてもよいし、下部空間R1,R3が十分に広い場合には下部空間R1,R3に設けられてもよい。あるいは、処理液供給部31が設けられたブロックが基板処理装置100に増設されてもよい。
【0079】
(2)上記実施の形態において、基板処理装置100には、塗布部40および送液部32を含む処理室が2個設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。処理室は1個設けられてもよいし、3個以上設けられてもよい。処理室が複数設けられる場合には、複数の処理室は上下に積層して配置されてもよい。
【0080】
(3)上記実施の形態において、配管p11は隔壁123または隔壁124を貫通するように設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。配管p11がわずかに長くなってもよい場合には、配管p11は、隔壁123または隔壁124を貫通せずに迂回するように設けられてもよい。
【0081】
(4)上記実施の形態において、上下方向に延びる配管p5の断面積は他の配管の断面積よりも大きいが、実施の形態はこれに限定されない。処理液供給部31と送液部32との高低差が小さい場合には、配管p5の断面積は、他の配管の断面積よりも大きくなくてもよく、他の配管の断面積と略等しくてもよい。
【0082】
(5)上記実施の形態において、送液部32はフィルタ3を含むが、実施の形態はこれに限定されない。処理液供給部31により供給される処理液の圧力が比較的小さい場合には、送液部32はフィルタ3を含まなくてもよい。
【0083】
(6)上記実施の形態において、気泡センサs1により処理液中に気泡が発生したことが検知された場合には、警報の出力および塗布処理の自動停止の両方が実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。気泡センサs1により処理液中に気泡が発生したことが検知された場合には、警報の出力および塗布処理の自動停止の一方のみが実行されてもよい。第3の実施の形態において、気泡センサs2により処理液中に気泡が発生したことが検知された場合でも同様である。
【0084】
(7)上記実施の形態において、基板処理装置100は気泡センサs1,s2を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板処理装置100は、気泡センサs1,s2の一方または両方を含まなくてもよい。
【0085】
(8)上記実施の形態において、処理液ボトル1は非透光性材料により形成された筐体部33に収容されるが、実施の形態はこれに限定されない。処理液が感光性を有しない場合、または処理液がポジ型の感光性を有する場合等には、処理液ボトル1は筐体部33に収容されなくてもよい。
【0086】
(9)上記実施の形態において、処理液が流れる配管p2,p4~p6,p10,p11の全体が遮光部材34により被覆されるが、実施の形態はこれに限定されない。配管p2,p4~p6,p10,p11の一部のみが遮光部材34により被覆されてもよい。例えば、第1の流路に対応する配管p10,p11のみが遮光部材34により被覆されてもよいし、第2の流路に対応する配管p2,p4~p6のみが遮光部材34により被覆されてもよい。また、処理液が感光性を有しない場合、または処理液がポジ型の感光性を有する場合等には、配管p2,p4~p6,p10,p11は遮光部材34により被覆されなくてもよい。
【0087】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明する。上記実施の形態においては、基板Wの例であり、塗布部40が処理部の例であり、送液部32が送液部の例である。下部処理室121または上部処理室122が処理室の例であり、下部空間R1,R3が下部空間の例であり、上部空間R2,R4が上部空間の例であり、隔壁123,124が隔壁の例である。基板処理装置が基板処理装置100の例であり、リザーバタンク4がリザーバタンクの例であり、ポンプ5がポンプの例であり、フィルタ3がフィルタの例であり、遮光部材34が第1または第2の遮光部材の例である。
【0088】
ノズル43が吐出部の例であり、バルブv8がバルブの例であり、気泡センサs1,s2がそれぞれ第1および第2の気泡センサの例であり、処理液ボトル1が処理液ボトルの例であり、処理液供給部31が処理液供給部の例である。配管p10,p11が第1の流路の例であり、配管p2,p4~p6が第2の流路の例であり、配管p5が第1の流路部の例であり、配管p2,p4,p6が第2の流路部の例であり、筐体部33が筐体部の例である。
[6]参考形態
(1)参考形態に係る基板処理装置は、処理液を用いて基板を処理する処理部と、処理液を第1の流路を通して処理部に送液する送液部と、処理部および送液部を収容する処理室とを備え、処理室には、当該処理室内の空間を下部空間と下部空間の上方に位置する上部空間とに区画する隔壁が設けられ、処理部は、処理室の上部空間に配置され、送液部は、処理室の下部空間に配置される。
この基板処理装置においては、処理部および送液部が処理室に収容される。処理室内の空間は、隔壁により上部空間と下部空間とに区画される。処理部は処理室の上部空間に配置され、送液部は処理室の下部空間に配置される。処理液が送液部により第1の流路を通して処理部に送液される。送液部により処理液を用いて処理部により基板が処理される。
この構成によれば、送液部と処理部との間の第1の流路を短くすることができる。したがって、第1の流路における圧損が低減される。この場合、送液効率がほとんど低下しないので、処理液を低い圧力で送液することが可能になる。また、処理液が低い圧力で送液されることにより、処理液中に気泡が発生する可能性が低減される。これらの結果、処理液の粘度が高い場合でも適切に基板処理を行うことができる。
(2)第1の流路は、隔壁を貫通するように設けられてもよい。この場合、第1の流路をより短くすることができる。これにより、処理液をより高い効率で送液することが可能になる。また、処理液中に気泡が発生する可能性がより低減される。そのため、処理液の粘度が高い場合でもより適切に基板処理を行うことができる。
(3)送液部は、処理部に送液される処理液を一時的に貯留するリザーバタンクを含んでもよい。この構成によれば、処理液が高い圧力で送液部に供給される場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンクにおいて低減される。また、送液部に供給される処理液中に気泡が存在する場合でも、リザーバタンクにおいて気泡を処理液から除去することが可能となる。そのため、処理液をより適切に処理部に送液することができる。
(4)送液部は、リザーバタンクの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を送液可能に構成されてもよい。この場合、リザーバタンクに貯留された処理液を処理部に容易に送液することができる。
(5)送液部は、リザーバタンクに貯留された処理液を処理部に送液するポンプをさらに含んでもよい。この場合、リザーバタンクに貯留された処理液を処理部に容易に送液することができる。
(6)送液部は、処理液が通過するフィルタを備え、リザーバタンクは、フィルタを通過した処理液を一時的に貯留してもよい。この構成によれば、送液部に供給される処理液中に気泡または不純物が存在する場合でも、フィルタにより気泡または不純物を処理液から除去することが可能となる。また、処理液が高い圧力でフィルタを通過する場合でも、当該処理液の圧力がリザーバタンクにおいて低減される。そのため、処理液をより適切に処理部に送液することができる。
(7)処理室は複数設けられ、複数の処理室は、上下に積層して配置されてもよい。各処理室において、処理液の圧力を増加させることなく処理部に処理液を送液することが可能である。そのため、複数の処理室を上下に積層することにより、フットプリントを増加させることなく、複数の処理部により並列的に基板を処理することが可能となる。これにより、基板の処理効率が向上する。また、各処理部に均一な圧力で処理液を送液することが可能であるので、基板の処理精度が向上する。
(8)基板処理装置は、第1の流路を遮光する第1の遮光部材をさらに備えてもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
(9)処理部は、送液部により送液された処理液を基板に吐出する吐出部と、送液部と吐出部との間の第1の流路を開閉するバルブと、バルブの下流に設けられかつ第1の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第1の気泡センサとを含んでもよい。この構成によれば、第1の流路を流れる処理液中に気泡が発生した場合、使用者は容易にその旨を認識することができる。そのため、気泡を含む処理液が基板に吐出され続けることを防止することができる。
(10)基板処理装置は、処理液を貯留する処理液ボトルを含む処理液供給部をさらに備え、処理液供給部は、処理液ボトルの内部に気体が供給されることにより貯留された処理液を第2の流路を通して送液部に供給可能に構成されてもよい。この場合、処理液を容易に送液部に供給することができる。
(11)処理液供給部は、処理液ボトルの下流に設けられかつ第2の流路を流れる処理液中の気泡の有無を検知する第2の気泡センサをさらに含んでもよい。この構成によれば、第2の流路を流れる処理液中に気泡が発生した場合、使用者は容易にその旨を認識することができる。そのため、気泡を含む処理液が基板に吐出され続けることを防止することができる。
(12)第2の流路は、処理液供給部と送液部とを接続しかつ上下方向に延びる第1の流路部と、第1の流路部以外の第2の流路部とを含み、第1の流路部の断面積は、第2の流路部の断面積よりも大きくてもよい。この場合、第2の流路の圧力損失を低減しつつ、第2の流路を流れる処理液中に気泡が発生しにくくすることができる。
(13)処理液供給部は、非透光性材料により形成されかつ処理液ボトルを収容する筐体部をさらに含んでもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
(14)基板処理装置は、第2の流路を遮光する第2の遮光部材をさらに備えてもよい。この構成によれば、処理液がネガ型の感光性を有する場合でも、処理液が固化することを容易に防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…処理液ボトル,2…トラップタンク,3…フィルタ,4…リザーバタンク,5…ポンプ,10…制御部,11…充填部,12…気泡排出部,13…塗布制御部,14…警告部,20…搬送部,30…配管システム,31…処理液供給部,32…送液部,33…筐体部,34…遮光部材,40…塗布部,41…基板保持部,42…カップ,43…ノズル,50…現像部,60…熱処理部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,120…塗布ブロック,121…下部処理室,122…上部処理室,130…現像ブロック,140…インターフェイスブロック,200…露光装置,300…気体供給部,400…廃液部,h1,h2…貫通孔,p1~p11…配管,R1,R3…下部空間,R2,R4…上部空間,s1,s2…気泡センサ,v1~v8…バルブ,W…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9