(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電池パックの放電プロファイルを予測するためのシステム、方法および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20240222BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240222BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240222BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240222BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240222BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240222BHJP
【FI】
H01M10/44 P ZHV
H01M10/48 P
H02J7/00 P
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027167
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518102470
【氏名又は名称】トヨタ リサーチ インスティテュート,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ケイ・ハーリング
(72)【発明者】
【氏名】ムラタハン・エイコル
(72)【発明者】
【氏名】エイブラハム・アナポルスキー
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063906(JP,A)
【文献】特表2018-524792(JP,A)
【文献】特開2014-071103(JP,A)
【文献】特表2016-529858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両電池パックの予測放電プロファイルを生成するための方法であって、
処理装置を用いて、複数の条件下で運転している車両群内の少なくとも1つの車両から、前記車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信することと、
前記処理装置を用いて、前記データを機械学習サーバに提供することと、
前記処理装置を用いて、前記データの機械学習に基づいて予測モデルを生成するように前記機械学習サーバに指示することと、
前記処理装置を用いて、前記予測モデルから前記車両電池パックの前記予測放電プロファイルを生成することと、
前記
予測放電プロファイルを外部装置に提供することとを含む、方法。
【請求項2】
前記処理装置を用いて、前記
予測放電プロファイルに1つ以上の部分空間を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電池パック内の前記単電池に関する前記データを受信することは、単電池構成データおよび動作データのうち少なくとも1つを受信することを含
み、
前記動作データを用いて、前記車両の運転条件を決定する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記データを受信することは、前記車両群内の各車両に設けられた1つ以上の車両固有センサから追加データを受信することを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の追加電池パックの放電状態をシミュレートするように構成された1つ以上の電池検査装置から診断サイクリングデータを受信することをさらに含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記電池パック内の前記単電池に関する前記データは、完全に充電されたときの前記電池パックの放電方法と、完全に充電されていないときの前記電池パックの放電方法を示す、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
車両電池パックの予測放電プロファイルを生成するように構成されたシステムであって、
車両群と、
前記車両群内の各車両に通信可能に接続された1つ以上のハードウェアプロセッサとを備え、
前記車両群内の各車両は、複数の単電池を有する電池パックを含み、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、
複数の条件下で運転している車両群内の少なくとも1つの車両から、前記車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信することと、
前記データを機械学習サーバに提供することと、
前記データの機械学習に基づいて予測モデルを生成するように前記機械学習サーバに指示することと、
前記予測モデルから前記車両電池パックの前記予測放電プロファイルを生成することと、
前記
予測放電プロファイルを外部装置に提供することとを実行するように、機械可読命令によって構成される、システム。
【請求項8】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサに通信可能に接続された電池データベースをさらに備え、
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記データ、前記予測モデルおよび前記
予測放電プロファイルを前記電池データベースに格納するように、機械可読命令によってさらに構成される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記
予測放電プロファイルに1つ以上の部分空間を生成するように、機械可読命令によってさらに構成される、請求項
7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電池パック内の前記単電池に関する前記データを受信することは、単電池構成データおよび動作データのうち少なくとも1つを受信することを含
み、
前記動作データを用いて、前記車両の運転条件を決定する、請求項
7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記データを受信することは、前記車両群内の各車両に設けられた1つ以上の車両固有センサから追加データを受信することを含む、請求項
7から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサに通信可能に結合された1つ以上の電池検査装置をさらに備え、
前記1つ以上の電池検査装置は、1つ以上の追加電池パックの放電状態をシミュレートするように構成される、請求項
7から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のハードウェアプロセッサは、前記1つ以上の電池検査装置から診断サイクリングデータを受信するように、機械可読命令によってさらに構成される、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の電池検査装置は、1つ以上のハイスループット(HT)サイクラーを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、車両電池パックの予測放電プロファイルを生成するための方法を行うように、1つ以上のプロセッサによって実行可能であり、前記方法は、
複数の条件下で運転している車両群内の少なくとも1つの車両から、前記車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信することと、
前記データを機械学習サーバに提供することと、
前記データの機械学習に基づいて予測モデルを生成するように前記機械学習サーバに指示することと、
前記予測モデルから前記車両電池パックの前記予測放電プロファイルを生成することと、
前記
予測放電プロファイルを外部装置に提供することとを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
分野
本明細書は、一般的に、電池パック特性の予測に関し、より具体的には、機械学習を用いて、様々な動作条件における特定構成の車両電池パックがどのように放電するかを予測するためのシステム、方法および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
車両(例えば、ハイブリッドのガス/電気自動車、電気自動車など)に使用される電池パックは、一般的に、一組の単電池から構成される。単電池の配置は、車両電池パックの放電に、特に特定の動作条件下で使用される車両電池パックの放電に影響を与える可能性がある。したがって、特定の電池パックが特定の動作条件下でエネルギーを放電する方法に関する情報は、車両が特定のルートを走行する前に特定のパックを適切に充電していること、特定の種類の車両に応じて特定のパックを使用していること、および/または特定の用途に応じて特定の放電設定を設定していることを保証するのに有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示の一態様は、車両電池パックの予測放電プロファイルを生成する方法に関する。この方法は、処理装置を用いて、複数の条件下で運転している車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信することを含む。データは、車両群内の少なくとも1つの車両から受信される。この方法は、処理装置を用いて、データを機械学習サーバに提供することと、処理装置を用いて、予測モデルを生成するように機械学習サーバに指示することとをさらに含む。この予測モデルは、データの機械学習に基づいている。この方法は、処理装置を用いて、予測モデルから車両電池パックの予測放電プロファイルを生成することと、放電プロファイルを外部装置に提供することとをさらに含む。
【0004】
本開示の別の態様は、車両電池パックの予測放電プロファイルを生成するように構成されたシステムに関する。このシステムは、車両群を備え、車両群内の各車両は、複数の単電池を有する電池パックを含み、このシステムは、車両群内の各車両に通信可能に接続された1つ以上のハードウェアプロセッサを備える。1つ以上のハードウェアプロセッサは、複数の条件下で運転している車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信するように、機械可読命令によって構成される。データは、車両群内の少なくとも1つの車両から受信される。1つ以上のハードウェアプロセッサは、データを機械学習サーバに提供し、予測モデルを生成するように機械学習サーバに指示するように、機械可読命令によってさらに構成される。予測モデルは、データの機械学習に基づいている。1つ以上のハードウェアプロセッサは、予測モデルから車両電池パックの予測放電プロファイルを生成し、放電プロファイルを外部装置に提供するように、機械可読命令によってさらに構成される。
【0005】
本開示のさらに別の態様は、命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に関する。これらの命令は、車両電池パックの予測放電プロファイルを生成するための方法を行うように、1つ以上のプロセッサによって実行可能である。この方法は、複数の条件下で運転している車両群内の各車両に設けられた電池パック内の単電池に関するデータを受信することを含む。データは、車両群内の少なくとも1つの車両から受信される。この方法は、データを機械学習サーバに提供することと、予測モデルを生成するように機械学習サーバに指示することとをさらに含む。予測モデルは、データの機械学習に基づいている。この方法は、予測モデルから車両電池パックの予測放電プロファイルを生成することと、放電プロファイルを外部装置に提供することとをさらに含む。
【0006】
本技術のこれらの特徴、他の特徴および特性、並びに関連する構造要素および部品の組み合わせの動作方法、機能および製造の効率は、添付の図面を参照して以下の説明および特許請求の範囲を考慮することによってより明らかになるであろう。以下の説明、特許請求の範囲および添付の図面は、本明細書の一部を構成する。本明細書において、同様の参照番号は、様々な図面の対応する部分を示す。しかしながら、明確に理解すべきことは、図面は、例示および説明の目的のみで提供され、本発明を制限するように意図していないことである。単数形「a」、「an」および「the」は、明細書および特許請求の範囲に使用された場合、文脈で特に明記しない限り、複数の対象を含む。
【0007】
図面に示された実施形態は、本質的に説明および例示のためであり、特許請求の範囲によって定義された主題を限定することを意図していない。以下の図面を参照して、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を理解することができる。図面において、同様の構造は、同様の参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、特定の動作条件下で電池パックの放電プロファイルを予測するための装置およびシステムの例示的なネットワークを概略的に示す図である。
【
図2】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、例示的な単電池、例示的なモジュール、および複数のモジュール内に配置された複数の単電池を有する例示的な電池パックを概略的に示す斜視図である。
【
図3A】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、特定の動作条件下で電池パックの放電プロファイルを予測する電池構成システムの例示的なハードウェア要素を概略的に示す図である。
【
図3B】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、特定の動作条件下で電池パックの放電プロファイルを予測する電池構成システムのメモリに格納された例示的なロジックを示すブロック図である。
【
図4】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、電池パックを有する車両内の例示的な車両管理モジュールの例示的なハードウェア要素を概略的に示す図である。
【
図5】本明細書に示され、記載された1つ以上の実施形態に従って、特定の動作条件下で電池パックの放電プロファイルを予測する例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本開示は、一般的に、特定の条件が特定の電池パックの放電、具体的には電気自動車(EV:electric vehicle)、およびハイブリッドのガス/電気自動車などの車両に見られる電池パックの放電に与える影響を予測するための機械学習(ML:machine learning)モデルの訓練および使用に関する。本明細書に記載の方法およびシステムは、一般的に、現在運転中の車両群内に設けられた電池パックの単電池に関するデータ、実際の条件下で単電池の放電に関するデータ、および/または模擬条件下で単電池の放電に関するデータを取得することを含む。その後、データは、機械学習サーバに提供され、機械学習サーバは、予測モデルを生成する。この予測モデルを用いて、特定の動作条件に対応する放電プロファイルを生成することができる。
【0010】
電池パック、特に電気自動車およびハイブリッドのガス/電気自動車などの車両に使用されている電池パックは、蓄積エネルギーを含む単電池の配列からなる。単電池を並列に接続することによってモジュールを形成し、複数のモジュールを直列に接続することによってパックを形成する。場合によって、単電池は、単に単電池の数を最大にするようにモジュール/電池パック内に配置される。これによって、単電池の配置が異なるため、製造された電池パックは、互いに完全に同様ではない場合がある。
【0011】
さらに、(比較的低品質の単電池および比較的高品質の単電池を含む)特定の単電池は、互いに隣接して配置されるまたは特定の方法で配置される場合、特定の条件下で最適に動作しない可能性がある。例えば、様々な単電池は、単電池固有のインピーダンス特性によって、(充電および放電を含む)動作中に様々なレベルの熱エネルギーを放出(例えば、熱を放出)する可能性がある。(比較的少量の熱を放出する2つの単電池に比べて)比較的大量の熱を放出する2つの単電池を隣接して配置する場合、放出された熱量は、単電池および/または電池パックの周囲の素子を損傷するほど高くなる可能性がある。特に車両が暑い気候で運転されている場合、放出された熱量は、電池パックが故障すること、電池パックの寿命が短くなること、放電時間が短くなること、および/または充電時間が長くなることなどを引き起こす可能性がある。したがって、特に車両が暑い気候で運転されている場合に、熱に関連する問題を回避するために、一般的に、モジュールおよびパックの全体的な温度を維持するように、高い抵抗を示す単電池を互いに離して配置する必要がある。別の例において、特に放電速度が典型的な放電速度よりも高い場合(例えば、車両がより高い速度で運転されている場合および/または坂道を登る場合など)に、モジュールまたはパックに配置されている比較的低容量の単電池にストレスを与えないように、好ましくは、モジュールまたはパックにおいて高容量の単電池を隣接して配置しない。したがって、特定の運転条件下で比較的低容量の単電池にストレスを与えないように、比較的高容量の単電池を互いに離して配置する必要がある。
【0012】
いくつかのシステムおよび方法は、単にパックレベル(例えば、電池パックの全体)で電池パックの動作を監視する。このような監視は、十分に細かくないため、機械学習およびパック内の単電池およびモジュールの構成に使用され得るモデルの生成に必要なデータを取得することができない。
【0013】
図面を参照して、
図1は、本明細書に示され、記載された実施形態に従って、特定の動作条件下で電池パックの放電プロファイルを予測するための装置およびシステムの例示的なネットワーク100を示している。
図1に示されるように、ネットワーク100は、インターネットのような広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、モバイル通信ネットワーク、公衆サービス電話網(PSTN: public service telephone network)および/または他のネットワークを含んでもよく、電池構成システム110、車両群120内の1つ以上の車両122、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140、1つ以上の機械学習サーバ150および/または1つ以上の電池検査装置160を電子的に接続するように構成されてもよい。
【0014】
本明細書により詳細に記載されたように、電池構成システム110は、一般的に、(モジュールを含む)電池パック内の単電池の配置を決定し、それに応じて単電池の配置を指示するための様々なプロセスを実行するコンピューティング装置である。
図3Aおよび3Bを参照して本明細書で説明されるように、電池構成システム110は、1つ以上のハードウェア要素を含む。
【0015】
再び
図1を参照して、車両群120は、1つ以上の車両122を含み、各車両122は、少なくとも1つの電池パックを備える。例えば、車両群120内の各車両122は、例えば、電気自動車またはガス/電気ハイブリッド自動車などであってもよい。本明細書により詳細に記載されたように、車両群120内の各車両122は、ネットワーク100内の任意の要素に通信可能に接続されることによって、電池パックに対応するデータを送信することができ、電池パックを使用するための命令を受信することができる。したがって、
図4を参照して本明細書に記載されたように、車両群120内の各車両122は、データの生成、データの通信、コマンドの受信およびコマンドの実行に使用される1つ以上のハードウェア要素を含む。
【0016】
再び
図1を参照して、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および1つ以上のモバイル装置140は、一般的に、ユーザによって使用され、(車両群内の車両がネットワーク100に直接接続されていない場合に)車両群120内の少なくとも1つの車両122から情報を送信するための装置、および/または電池構成システム110から電池パックを製造する時に単電池を電池パック(またはそのモジュール)に配置するために使用される情報(例えば、方向)を受信するための装置であってもよい。例えば、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140は、車両群120内の車両122と通信可能に接続することによって、(例えば、車両のオンボード診断(OBD:on-board diagnostics)ポートを介して)当該車両からデータを受信し、ネットワーク100を介してデータを別の装置(例えば、電池構成システム110)に送信することができる。別の例において、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140は、電気自動車の充電ステーションと一体化され得る。これによって、車両122が充電のために充電ステーションに接続されると、車両122と充電ステーション(例えば、ユーザコンピューティング装置130およびモバイル装置140の少なくとも一方)との間にデータ接続が形成され、充電ステーションを介してネットワーク100に接続されている1つ以上の他の要素にデータを送信することができる。さらに別の例において、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140は、車両修理施設および/または車両販売店などに配置されてもよい。さらに別の例において、1つ以上のユーザーコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140は、電池製造施設に配置され、電池パックを組み立てる人間に表示される命令または電池パックを組み立てるロボットに提供される命令を受信することができる。特定の目的に使用される特定の電池パックを意図している場合に、これらの命令は、特定の特性を有する単電池を選択し、これらの単電池を他の単電池または他の電池要素(例えば、センサ、または冷却装置など)に対して特定の位置または特定の関係で配置し、および/または特定の方法でこれらの単電池を曲げることなどをするようにユーザまたはロボットに指示してもよい。1つ以上のユーザコンピューティング装置130の各々は、一般的に、装置がユーザ向けの任意の機能を行うことを可能にする要素(例えば、ディスプレイ、ユーザ入力装置、メモリ、処理装置、および/または通信ポートなど)を含む任意のコンピューティング装置であってもよく、本開示によって限定されない。同様に、1つ以上のモバイル装置140の各々は、装置がユーザ向けの任意の機能を行うことを可能にする要素(例えば、ディスプレイ、ユーザ入力装置、メモリ、処理装置、および/または通信ポートなど)を含む任意のコンピューティング装置であってもよく、本開示によって限定されない。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140は、整備中の車両に通信可能に接続されている場合、本明細書に記載の予測のために使用されるデータを収集することができる。すなわち、全診断サイクルからのデータは、車両の整備中(例えば、車両が販売店、修理店などにある場合)に取得することができる。このような実施形態において、1つ以上のユーザコンピューティング装置130および/または1つ以上のモバイル装置140に関連する追加の外部ハードウェアは、例えば、車両と、1つ以上のセンサから同時にデータを受信しながら電池の充電または放電を制御するように構成されたコンピュータとの間の接続のようなデータを取得するために使用され得る。
【0018】
1つ以上の機械学習サーバ150は、一般的に、1つ以上の機械学習アルゴリズムを格納するコンピューティング装置であり、具体的に、電池内の単電池に関するデータを受信し、受信したデータからモデルを生成するように構成されている。本明細書により詳細に記載されるように、このモデルは、1つ以上の動作条件に対応する(異なる配置の単電池を有する電池パックを含む)任意の電池パックの1つ以上の放電プロファイルを予測するために、電池構成システム110によって使用可能である。1つ以上の機械学習サーバ150によって利用される機械学習アルゴリズムは、本開示によって限定されず、一般的に現在知られているか、または今後開発される任意のアルゴリズムであってもよく、特に単電池の電気特性を推定するために使用可能な予測モデルを生成するように適合されたアルゴリズムであってもよい。すなわち、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師あり学習アルゴリズムおよび強化学習アルゴリズムであってもよい。機械学習アルゴリズムの具体例は、最近傍アルゴリズム、ナイーブベイズアルゴリズム、決定木アルゴリズム、線形回帰アルゴリズム、教師ありベクターマシン、ニューラルネットワーク、クラスタリングアルゴリズム、相関ルール学習アルゴリズム、Q学習アルゴリズム、時間差アルゴリズムおよび深層敵対的ネットワークを含むが、これらに限定されない。1つの特定のアルゴリズムは、動的時間伸縮法(DTW:dynamic time warping)を利用することができる。別の特定のアルゴリズムは、QV学習アルゴリズムのような強化学習アルゴリズムを利用することができる。1つ以上の機械学習サーバ150によって使用される機械学習アルゴリズムの他の特定の例は、一般的に理解されべきであり、本開示の範囲に含まれる。
【0019】
1つ以上の電池検査装置160は、一般的に、電池を検査し、電池の検査に応じてデータを生成し、ネットワーク100を介して通信可能に接続された1つ以上の要素(例えば、電池構成システム110)にデータを提供するために使用される装置である。電池検査装置160は、一般的に、電池、または車両群に設置されていない(すなわち、車両群122内の各車両に含まれていない)電池の構成要素(例えば、モジュール、単電池など)を検査することができる。電池検査装置160は、充電、電圧、放電率、充電時間、寿命、物理特性、化学組成、クランキングアンプ(cranking amps)、および/または内部電池管理システムの機能などについて、電池またはその構成要素を検査することができる。また、電池検査装置160は、様々な放電状態をシミュレートすることができる。例えば、電池検査装置160は、EV駆動サイクルシミュレーション(例えば、連邦都市運転スケジュール(FUDS:Federal Urban Drive Schedule))および/またはハイブリッドパルス電力特性(HPPC:Hybrid Pulse Power Characterization)検査などを行うことができる。個々の単電池の検査に関する実施形態において、電池検査装置160は、電気化学、電池およびスーパーキャパシタの検査、HPCEの測定、電気化学の研究および開発、半電池の検査、ライフサイクルの検査、および/または電気化学インピーダンス分光法(EIS:electrochemical impedance spectroscopy)などのために使用され得る。いくつかの実施形態において、電池検査装置160の少なくとも1つは、ハイスループット(HT: high-throughput)サイクラーであってもよい。電池検査装置160の一例として、NHリサーチ社(カリフォルニア州アーバイン市)から入手可能な9220デュアルベイシリーズ低電圧/高電流サイクラーが挙げられる。電池検査装置160の別の例として、アービンインスツルメンツ社(テキサス州カレッジステーション市)から入手可能な様々な電池検査製品、例えば、再生電池検査(RBT:Regenerative Battery Testing)シリーズの装置が挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態において、1つ以上の電池検査装置160は、本明細書に記載されるように、電池放電を予測するために使用されるデータを取得および/または生成することができる。特定の電池パックの検査に基づいて1つ以上の電池検査装置160によって取得および/または生成され得るデータの例は、高速パルス放電後の緩和データ、診断サイクルデータおよび充電サイクルデータを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載されるように、前述したデータの各々は、1つ以上の電池検査装置160によって決定された、より高品質の特徴(例えば、EISスペクトル、C-V曲線など)に関連付けられ得る。緩和データは、1つ以上の電池検査装置160によって、モータ制御装置によって制御された意図的な高電流放電パルスとともに取得されるか、または高電流放電から(すなわち加速中に)取得され得る。充電は通常、定電流または定電力で行われるため、充電サイクルは、定電流サイクルに最も近いデータを生成することができる。
【0021】
理解すべきことは、
図1において、ユーザコンピューティング装置130は、パーソナルコンピュータとして示され、電池構成システム110および1つ以上の機械学習サーバ150は、サーバとして示されているが、これらは、非限定的な例であることである。より具体的には、いくつかの実施形態において、任意種類のコンピューティング装置(例えば、モバイルコンピューティング装置、パーソナルコンピュータ、サーバなど)は、これらの装置のいずれとしても使用することができる。また、
図1において、これらのコンピューティング装置の各々は、単一のハードウェアとして示されているが、これも単なる例である。より具体的には、電池構成システム110、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140および/または1つ以上の機械学習サーバ150の各々は、複数のコンピュータ、サーバまたはデータベースなどを表すことができる。
【0022】
図2は、モジュール210内に配置された複数の単電池220を含む電池パック200の斜視図を示している。また、
図2は、例示的な単電池220、および複数の単電池220を含むモジュール210をさらに示している。
図2に示された電池パック200は、車両群120内の車両122(
図1)のような車両に見られるパックの一例である。すなわち、電池パック200は、車両内の様々な車両要素(特に電気自動車の要素および/またはガス電気ハイブリッド自動車の要素など)に電力を供給するために使用されるエネルギー貯蔵装置であってもよい。
図2に示された電池パック200は、1つ以上の電池検査装置160(
図1)によって検査されるパックの一例であってもよい。
【0023】
再び
図2を参照して、いくつかの実施形態において、電池パック200は、設置される車両に対応する形状および/またはサイズに構成されてもよく、複数の単電池220および/またはモジュール210を収納するように構成されてもよい。電池パック200は、カバーを含むことができる。当該カバーは、1つ以上のセンサを有するパックセンサハードウェア230および/または1つ以上の電池管理システム(BMS:battery management system)ハードウェア要素240(これらに限定されない)のような、様々な他の要素と共に単電池220および/またはモジュール210が収納される内部を規定する。
【0024】
電池パック200のモジュール210内の単電池220の各々は、一般的に、外部要素、例えば車両の構成要素に提供される電気エネルギーを貯蔵するために使用される電池単電池であってもよい。したがって、単電池220の各々は、正端子222および負端子224を含む複数の端子を備えることができる。単電池220は、本開示によって限定されず、現在知られているまたは今後開発される任意種類の電池であってもよい。単電池の例として、鉛蓄電池、ニッケル水素(NiMH:nickel metal hydride)電池、リチウムイオン(Liイオン)電池などを含むが、これらに限定されない。
【0025】
単電池220の各々は、任意のサイズおよび/または形状を有してもよく、および/または任意のサイズまたは形状に形成されてもよい。したがって、本開示は、特定のサイズおよび形状に限定されない。また、電池パック200内のモジュール210は、異なるサイズおよび形状を有する複数の単電池220を含むことができる。すなわち、モジュール210は、第1のサイズおよび/または形状を有する1つ以上の第1の単電池220と、第1のサイズおよび/または形状とは異なる第2のサイズおよび/または形状を有する1つ以上の第2の単電池220とを含むことができる。異なる形状の単電池220を様々な配置でモジュール210に配置することによって、様々な方法でモジュール210を構成することができる。例えば、電池パック200内のモジュール210の位置に基づいて、特定の形状に適合するように(例えば、特定の形状を有する空間および/または特定の形状を有する部品の間に適合するように)モジュール210を形成することができ、モジュール210に収納される単電池220の数を最大化するおよび/またはモジュール210のエネルギー貯蔵容量を最大化するように、様々なサイズを有する単電池220をモジュール210に配置することができる。また、本明細書により詳細に記載されたように、電池構成システム110(
図1)から受信した指示に基づいて、特定の単電池220および/または特定の配列の単電池220を用いて、モジュール210を形成することができ、モジュール210に入れることができる。したがって、理解すべきことは、モジュール210および単電池220の形状およびサイズは、本開示によって限定されないことである。
【0026】
いくつかの実施形態において、各モジュール210は、モジュールBMS装置212をさらに含むことができる。モジュールBMS装置212は、一般的に、モジュール210に配置され、モジュール210および/または単電池220の電気出力の管理、モジュール210および/または単電池220の充電の管理、モジュール210および/または単電池220の充放電に関するデータの収集、収集されたデータの送信などを行うように構成された電池管理システムであってもよい。
【0027】
電池パック200内に配置されたパックセンサハードウェア230は、一般的に、電池パック200、電池パック内のモジュール210、モジュール内の単電池220、および/または単電池内の1つ以上の他の要素の1つ以上の特性を検知することができる。例えば、パックセンサハードウェア230は、電池パック200全体または電池パック200の様々な部分の内部温度を検知する(例えば、電池パック200内の「ホットスポット」を特定する)ように構成された温度センサを含むことができる。すなわち、電池パック200内部の全体に温度センサを分散して配置することによって、電池パック200内の特定の領域の温度を検知することができる。別の例において、パックセンサハードウェア230は、例えば、電圧およびインピーダンスなどを含むがこれらに限定されない、電池パック200内のモジュール210および/または単電池220の1つ以上の電気特性を検出するように構成された電気メータを含むことができる。別の例において、パックセンサハードウェア230は、電池パック200内の各単電池220の圧力を監視する1つ以上の圧力モニタを含んでもよい。さらに別の例において、パックセンサハードウェア230は、1つ以上の超音波電気化学インピーダンス分光(EIS)装置を含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、電池単位またはモジュール単位の検知を達成できるように、パックセンサハードウェア230は、各モジュール210のモジュールBMS装置212と一体化されてもよい。いくつかの実施形態において、パックセンサハードウェア230は、BMSハードウェア要素240と一体化されてもよい。パックセンサハードウェア230は、検出された特性に対応するデータを送信するための1つ以上の装置に通信可能に接続されてもよい。これによって、本明細書に記載されたように、データを使用することができる。例えば、パックセンサハードウェア230は、BMSハードウェア要素240に通信可能に接続され、BMSハードウェア要素240は、電池構成システム110(
図1)に限定されないが、電池構成システム110のような1つ以上の外部装置にデータを提供することができる。
【0029】
再び
図2を参照して、BMSハードウェア要素240は、一般的に、電池パック200のモジュール210および単電池220を管理するように構成され、現在知られているまたは今後開発される要素を含む任意の電子システム要素である。したがって、BMSハードウェア要素240は、一般的に、電池パック200の動作の維持、電池パック200(ならびに電池パック内のモジュール210および単電池220)の状態の監視、二次データの計算、計算したデータの送信および/またはパックセンサハードウェア230からデータの受信、電池パック200の内部動作環境の維持、電池パック200の認証、および/または電池パック200のバランスの調整を行うように具体的に構成された要素を含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、BMSハードウェア要素240は、パックセンサハードウェア230と連携して、電池パック200、モジュール210および/または単電池220の様々な電池動作パラメータを監視および/または制御することができる。例えば、BMSハードウェア要素240は、電圧(例えば、総電圧、特定のモジュール210の電圧、特定の単電池220の電圧、単電池の最小電圧、単電池の最大電圧、および/または周期的タップの電圧など)、温度(例えば、平均温度、冷媒の取込温度、冷媒の出力温度、冷媒の流量、各モジュール210の温度、および/または各単電池220の温度など)、充電状態(SOC:state of charge)または放電深度(DOD:depth of discharge)、健康状態(SOH:state of health)、電力状態(SOP:state of power)(例えば、電池パック200、モジュール210および/または単電池220の入出力電流)および/または(例えば、エネルギーなどの回復を示す)充電パラメータを監視および/または制御することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、BMSハードウェア要素240は、充電電流制限値(CCL:charge current limit)としての最大充電電流、放電電流制限値(DCL:discharge current limit)としての最大放電電流、最後の充電または充電サイクルから提供したエネルギー(例えば、kWh)、モジュール210および/または単電池220の内部インピーダンス、開回路電圧、提供または格納した電荷(クーロンカウンターなど)、初回使用から提供したエネルギー総量、初回使用からの合計動作時間、および/またはサイクルの合計数などを含むがこれらに限定されない様々な値を計算することができる。
【0032】
実施形態において、BMSハードウェア要素240は、中央コントローラを含み、中央コントローラは、電池パック200内部の様々な他のハードウェア、例えばモジュール210および/または単電池220に関連するハードウェア(例えば、モジュールBMS装置212)と通信することができ、および/または電池パック200の外部要素、例えば
図1に示されている様々な要素と通信することができる。再び
図2を参照して、中央コントローラは、シリアル接続、CANバス、DCバス(例えば、電力線を介したシリアルバス)を介して通信することができ、および/またはワイヤレスに通信することができる。
【0033】
また、モジュール210および/または単電池220を(例えば、無抵抗の調節装置などを介して)負荷に接続し、比較的多く充電されたモジュール210および/または単電池220からのエネルギーを比較的少なく充電されたモジュール210および/または単電池に移し、比較的多く充電されたモジュール210および/または単電池220を損傷しないが、比較的少なく充電されたモジュール210および/または単電池220をさらに充電することができるように充電電流を低減し、および/またはモジュール充電などを行う結果、最も充電されたモジュール210および/または単電池220からエネルギーを消費することによって電池パック200の使用(例えば、電池パック200の充電および/または電池パックの放電など)を最適化するために、BMSハードウェア要素240を使用することもできる。
【0034】
BMSハードウェア要素240のトポロジは、一般的に理解されるものであり、本開示によって限定されない。すなわち、BMSハードウェア要素240のトポロジは、単一のコントローラが全てのモジュール210および単電池220に接続される集中型トポロジ、またはBMSボード(例えば、モジュールBMS装置212)が各モジュール210および/または単電池に設置される分散型トポロジ、またはBMSハードウェア要素240が複数のコントローラを含み、各々のコントローラが電池パック200内の全てのモジュール210および単電池220のうち一部を処理するモジュール型トポロジであってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、電池パック200は、例えば、単電池220に蓄積された電気を伝送するおよび/または(例えば、BMSハードウェア要素240からの)データを送信するための1つ以上のポートをさらに含むことができる。例えば、
図2に示すように、電池パック200は、電気ポート204、データポート206、および/または補助ポート208を含むことができる。
【0036】
電気ポート204は、一般的に、モジュール210および単電池220を含むがこれらに限定されない電池パック200内の様々な要素への電気接続を提供する。電気ポート204は、外部装置に電気的に接続されると、電池パック200と外部装置との間に電流を流すことを可能にする。したがって、電気ポート204は、車両および/または電池検査装置の1つ以上の要素に電気的に接続するような形状、サイズおよび配置にすることができる。
【0037】
データポート206は、一般的に、電池パック200内の要素と1つ以上の外部要素との間のデータ接続を提供する。すなわち、電池パック200内の様々な要素(例えば、BMSハードウェア要素240、各モジュールBMS装置212、および/またはパックセンサハードウェア230など)によって収集および/または生成されたデータは、データポート206を介して、電池パック200から、例えば
図1を参照して示され説明された様々な要素を含むがこれらに限定されない外部要素に送信されてもよい。すなわち、
図1を参照して、データは、データポート206を介して、電池構成システム110、車両群120内の車両122の他の要素、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140、1つ以上の機械学習サーバ150および/または1つ以上の電池検査装置160に送信されてもよい。いくつかの実施形態において、電池パック200内の要素からのデータは、1つの装置によって別の装置に送信されてもよい。例えば、データポート206は、車両のCANバス(または他の類似するローカルインターフェイス)に通信可能に接続されてもよい。これによって、電池パック200内の要素からのデータは、車両のCANバスを介して送信され、車両のCANバスと別の要素(例えば、車両のOBDポートなどのアクセスポートを介してCANバスに接続されたユーザコンピューティング装置130またはモバイル装置)との間の接続を介して取得される。その後、このデータは、ネットワーク100を介して、さらに別の要素、例えば電池構成システム110に中継されてもよい。別の例において、データポート206は、1つ以上の電池検査装置160に通信可能に接続されてもよい。これによって、電池パック200内の要素からのデータは、1つ以上の電池検査装置160に送信される。
【0038】
補助ポート208は、一般的に、任意種類の通信接続または電気接続を形成するための任意種類のポートであってもよい。いくつかの実施形態において、補助ポート208を用いて、通信接続および電気接続の両方(例えば、電力線を介したシリアル通信)を形成することができる。
【0039】
したがって、本明細書に記載の目的のために一般的に使用される電池パックの種類を理解できるであろう。しかしながら、
図2を参照して説明した電池パックは、単に例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく、現在知られているまたは今後開発される他の電池パックを使用することもできることを理解すべきである。
【0040】
図3Aは、本明細書に記載の機能を電池構成システム110に与える、
図1の電池構成システム110の例示的な内部要素を示す。
図3Aに示すように、電池構成システム110は、処理装置310、非一時的なメモリ要素320、ネットワークインターフェイスハードウェア340、入力/出力(I/O:input/output)ハードウェア330、および/またはデータ記憶要素350を含むことができる。バスなどのローカルインターフェイス300は、様々な要素を相互接続することができる。
【0041】
コンピュータ処理ユニット(CPU:computer processing unit)などの処理装置310は、計算およびロジック演算を行うことによってプログラムを実行する電池構成システム110の中央処理ユニットであってもよい。処理装置310は、単独でまたは他の要素と組み合わせて、例示的な処理装置、コンピューティング装置、プロセッサ、またはそれらの組み合わせである。処理装置310は、(例えば、データ記憶要素350および/またはメモリ要素320からの)命令を受信および実行するように構成された任意の処理要素を含むことができる。
【0042】
メモリ要素320は、揮発性および/または不揮発性のコンピュータ可読媒体として構成することができ、したがって、(SRAM、DRAMおよび/または他の種類のランダムアクセスメモリを含む)ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、フラッシュメモリ、レジスタ、コンパクトディスク(CD:compact discs)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile discs)および/または他の種類の記憶要素を含むことができる。メモリ要素320は、処理装置310によって実行されると、様々なプロセス、例えば
図5を参照して本明細書に説明されたプロセスを処理装置310に実行させる1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。
【0043】
図3Aおよび3Bを参照して、メモリ要素420に格納されたプログラミング命令は、複数のソフトウェアロジックモジュールとして具現化されてもよく、各ロジックモジュールは、1つ以上のタスクを実行させるためのプログラミング命令を提供する。
図3Bに示された例示的なロジックモジュールは、動作ロジック380、センサロジック382、データ受信ロジック384、データ提供ロジック386、機械学習通信ロジック388、放電プロファイルロジック390、電池構成ロジック392、および/または電池分類ロジックを含むが、これらに限定されない。一例として、
図3Bに示されたロジックモジュールの各々は、コンピュータプログラム、ファームウェア、またはハードウェアとして具現化されてもよい。
【0044】
動作ロジック380は、電池構成システム110の要素を管理するためのオペレーティングシステムおよび/または他のソフトウェアを含むことができる。センサロジック382は、例えば、車両(例えば、車両群120(
図1)内の1つの車両)に設けられたセンサおよび/または電池パック200(
図2)に設けられたセンサのような1つ以上のセンサの動作を指示するための1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。
図1および3Bを参照して、データ受信ロジック384は、一般的に、電池構成システム110外部の1つ以上の要素から送信されるデータを受信するためのプログラミング命令を含むことができる。当該データは、例えば、車両群120内の任意の車両122、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140、1つ以上の電池検査装置160、および/または電池パック200(
図2)によって送信されるデータである。再び
図1および3Bを参照して、データ提供ロジック386は、一般的に、電池構成システム110外部の1つ以上の要素にデータを送信するためのプログラミング命令を含むことができる。当該データは、例えば、車両群120内の任意の車両122、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140、1つ以上の電池検査装置160、および/または電池パック200(
図2)へのデータである。再び
図1および3Bを参照して、機械学習通信ロジック388は、一般的に、1つ以上の機械学習サーバ150と通信するためのプログラミング命令含むことができる。当該命令は、例えば、1つ以上の機械学習サーバ150にデータを送信するための命令、1つ以上の機械学習サーバ150に命令を送信するための命令、1つ以上の機械学習サーバ150からデータまたは情報を受信するための命令、および/または1つ以上の機械学習サーバ150の動作を指示するための命令である。
【0045】
本明細書により詳細に記載されたように、放電プロファイルロジック390は、一般的に、1つ以上の機械学習サーバ150から受信した予測モデルに基づいて、特定の種類の運転条件に対応する特定の種類の電池パックの放電プロファイルを決定するための1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。また、本明細書により詳細に記載されたように、放電プロファイルロジック390は、各放電プロファイルに1つ以上の部分空間を生成するための1つ以上のプログラミング命令をさらに含むことができる。本明細書により詳細に記載されたように、電池構成ロジック392は、一般的に、電池パック200内の単電池220および/またはモジュール210の構成を決定するための1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。本明細書により詳細に記載されたように、電池分類ロジック394は、一般的に、単電池220の1つ以上の特性に基づいて、単電池220を分類するための1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。
【0046】
再び
図3Aを参照して、入力/出力ハードウェア330は、ローカルインターフェイス300と本明細書に記載されていない電池構成システム110の1つ以上の他の要素との間に情報を通信することができる。いくつかの実施形態において、入力/出力ハードウェア330は、ローカルユーザインターフェイス要素および/または1つ以上のリモートユーザインターフェイス要素を含む1つ以上のユーザインターフェイス要素に使用することができる。
【0047】
ネットワークインターフェイスハードウェア340は、任意の有線または無線ネットワークハードウェアを含むことができる。任意の有線または無線ネットワークハードウェアは、例えば、モデム、LANポート、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi(登録商標):wireless fidelity)カード、WiMaxカード、モバイル通信ハードウェア、および/または他のネットワークおよび/または装置と通信するための他のハードウェアである。例えば、ネットワークインターフェイスハードウェア340を用いて、
図1を参照して本明細書に記載された様々な他の要素間の通信を促進することができる。
【0048】
データ記憶要素350は、一般的に任意の記憶媒体であり、受信および/または生成されたデータを記憶するための1つ以上のデータリポジトリを含むことができる。データ記憶要素350は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)、メモリ、および/またはリムーバブル記憶装置を含むがこれらに限定されない任意の物理記憶媒体であってもよい。データ記憶要素350は、ローカル装置として示されているが、理解すべきことは、データ記憶要素350は、例えば、サーバコンピューティング装置、クラウドベース記憶装置などのリモート記憶装置であってもよいことである。データ記憶要素350に格納され得る例示的なデータは、機械学習モデルデータ352、放電プロファイルデータ354、および/またはパック構成データ356を含むが、これらに限定されない。機械学習モデルデータ352は、一般的に、1つ以上の機械学習サーバ150(
図1)によって生成されたデータおよび/または機械学習モデルを生成するために使用されたデータを含む。再び
図3Aを参照して、本明細書に記載されたように、放電プロファイルデータ354は、一般的に、特定の動作条件が与えられた場合、特定の構成の電池パックの予測放電に関連して生成されたデータである。本明細書に記載されたように、放電プロファイルデータ354は、特定の放電プロファイル内の部分空間に関するデータをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、放電プロファイルデータは、放電プロファイルロジック390(
図3B)による演算によって生成されてもよい。再び
図3Aを参照して、パック構成データは、一般的に、1つ以上の機械学習サーバ150(
図1)から受信された情報、および/または電池構成ロジック392および/または電池分類ロジック394(
図3B)による演算によって生成されたデータなどに基づいた電池パック200(
図2)の特定の構成に関する情報を含む。
【0049】
理解すべきことは、
図3Aおよび3Bに示された要素は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図していないことである。より具体的には、
図3Aおよび3Bの要素は、電池構成システム110の内部に配置されているものとして示されているが、これは、非限定的な例である。いくつかの実施形態において、1つ以上の要素は、電池構成システム110の外部に配置されてもよい。
【0050】
図4は、様々な実施形態に従って、車両群120(
図1)内の車両122に設けられた車両電池管理モジュール400の例示的な内部要素を示す。車両電池管理モジュール400は、一般的に、
図2に示される電池パック200に配置されたBMSハードウェア要素240とは別体であるが、BMSハードウェア要素240と連携して本明細書に記載の機能を提供する。
図4に示すように、車両電池管理モジュール400は、処理装置410、非一時的なメモリ要素420、車両センサハードウェア430、パックセンサハードウェア230、ネットワークインターフェイスハードウェア450、入力/出力(I/O)ハードウェア460および/またはデータ記憶要素470を含むことができる。ローカルインターフェイス402、例えばバス(例えば、車両CANバス)は、様々な要素を相互接続することができる。
【0051】
コンピュータ処理ユニット(CPU)などの処理装置410は、計算およびロジック演算を行うことによってプログラムを実行する車両電池管理モジュール400の中央処理装置であってもよい。処理装置410は、単独でまたは他の要素と組み合わせて、例示的な処理装置、コンピューティング装置、プロセッサ、またはそれらの組み合わせである。処理装置410は、(例えば、データ記憶要素470および/またはメモリ要素420からの)命令を受信および実行するように構成された任意の処理要素を含むことができる。
【0052】
メモリ要素420は、揮発性および/または不揮発性のコンピュータ可読媒体として構成することができ、したがって、(SRAM、DRAMおよび/または他の種類のランダムアクセスメモリを含む)ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、レジスタ、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)および/または他の種類の記憶要素を含むことができる。メモリ要素420は、処理装置410によって実行されると、処理装置410に様々なプロセス、例えば
図5を参照して本明細書に記載されたプロセスを実行させる1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。
【0053】
再び
図4を参照して、メモリ要素420に格納されたプログラミング命令は、複数のソフトウェアロジックモジュールとして具現化されてもよく、各ロジックモジュールは、1つ以上のタスクを実行させるためのプログラミング命令を提供する。
図4に示された例示的なロジックモジュールは、動作ロジック422および/またはセンサロジック424を含むが、これらに限定されない。一例として、
図4に示されたロジックモジュールの各々は、コンピュータプログラム、ファームウェア、またはハードウェアとして具現化されてもよい。動作ロジック422は、車両電池管理モジュール400の要素を管理するためのオペレーティングシステムおよび/または他のソフトウェアを含むことができる。センサロジック424は、車両122および/または電池パック200(
図2)の1つ以上の特性を検知するように車両センサハードウェア430および/またはパックセンサハードウェア230に指示し、検知された1つ以上の特性に対応するデータを送信することを含むがこれらに限定されない、車両センサハードウェア430および/またはパックセンサハードウェア230の動作を指示するための1つ以上のプログラミング命令を含むことができる。
【0054】
再び
図4を参照して、車両センサハードウェア430は、一般的に、1つ以上のハードウェア要素を含み、1つ以上のハードウェア要素は、1つ以上の車両特性、特に特定の動作条件下の電池パック200(
図2)の機能を決定するためにおよび/または本明細書に記載された様々なプロセスを実行するために使用できる情報を提供するための特性を検知することができる。ハードウェア要素の例として、(ビデオカメラおよび静止カメラを含む)カメラ、光学センサ、測距システム、飛行時間(TOF:time-of-flight)センサ、近接センサ、温度センサ、圧力センサ、全地球測位衛星(GPS:global positioning satellite)要素、電気センサ(例えば、電圧センサおよび/またはインピーダンスセンサなど)、加速度計、ジャイロスコープ、および/または速度センサなどを含むが、これらに限定されない。他のセンサ、特に電池の機能、車両の機能、車両が運転している地形などに関する情報を取得するために使用されるセンサも、本開示の範囲から逸脱することなく含まれる。いくつかの実施形態において、車両センサハードウェア430は、検知された情報を受信し、検知された情報に対応する信号および/またはデータを本明細書に記載の1つ以上の要素に送信することができる。例えば、車両センサハードウェア430は、本明細書により詳細に記載されたように、車両の加速度情報および/または速度情報を受信し、1つ以上の信号および/またはデータを生成し、処理装置410に送信することができる。処理装置410は、データを処理して他の要素に送信する。
【0055】
ネットワークインターフェイスハードウェア450は、任意の有線または無線ネットワークハードウェア、例えば、モデム、LANポート、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi(登録商標))カード、WiMaxカード、モバイル通信ハードウェア、および/または他のネットワークおよび/または装置と通信するための他のハードウェアを含むことができる。例えば、ネットワークインターフェイスハードウェア450を用いて、
図1を参照して本明細書に記載された様々な他の要素間の通信を促進することができる。
【0056】
再び
図4を参照して、入力/出力ハードウェア460は、ローカルインターフェイス402と本明細書に記載されていない車両122の1つ以上の他の要素との間に情報を通信することができる。例えば、車両122に配置され、車両電池管理モジュール400の一部ではない1つ以上の車両要素は、入力/出力ハードウェア460を介して、車両電池管理モジュール400の様々な要素と通信することができる。いくつかの実施形態において、センサハードウェア430は、車両電池管理モジュール400の外部に配置され、入力/出力ハードウェア460を介して車両電池管理モジュール400の様々な要素と通信する(例えば、信号および/またはデータを送信する)ことができる。
【0057】
データ記憶要素470は、一般的に任意の記憶媒体であり、受信および/または生成されたデータを記憶するための1つ以上のデータリポジトリを含むことができる。データ記憶要素470は、ハードディスクドライブ(HDD)、メモリ、および/またはリムーバブル記憶装置を含むがこれらに限定されない任意の物理記憶媒体であってもよい。データ記憶要素470は、ローカル装置として示されているが、理解すべきことは、データ記憶要素470は、例えば、サーバコンピューティング装置、クラウドベース記憶装置などのリモート記憶装置であってもよいことである。データ記憶要素470に格納され得る例示的なデータは、センサデータ472および/または他のデータを含むが、これらに限定されない。センサデータ472は、一般的に、車両センサハードウェア430および/またはパックセンサハードウェア230から取得されるデータを含むことができる。センサデータ472に含まれるデータの非限定的な例は、車両運転データ(例えば、加速度計データ、ジャイロスコープデータ、速度データ、および/またはGPSデータなど)、車両122が運転している環境に関する画像データ、および電池動作データ(例えば、温度データ、電圧データ、および/またはインピーダンスデータなど)を含むことができる。
【0058】
理解されるべきことは、
図4に示された要素は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図していないことである。より具体的には、
図4の要素は、車両122の車両電池管理モジュール400の内部に配置されているものとして示されているが、これは、非限定的な例である。いくつかの実施形態において、1つ以上の要素は、車両電池管理モジュール400および/または車両122の外部に配置されてもよい。
【0059】
上述したように、
図1~4を参照して説明した様々な要素を用いて、1つ以上のプロセスを実行することができ、および/または特別に構成された電池パックの特定の動作条件下の放電プロファイルを予測する機能を提供することができる。様々なプロセスの一例は、
図5を参照して以下に説明される。
図5を参照して説明される様々なプロセスは、一般的に、
図1~4に示された要素のうち1つ以上によって実行することができる。
図5は、様々な実施形態に従って、特別に構成された電池パックの特定の動作条件下の放電プロファイルを予測するための例示的な方法を示している。
図5を参照して説明された様々なステップは、単に例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くのステップ、より少ないステップまたは代替的なステップも考えられる。
【0060】
一般的に
図1~4を参照しながら、ブロック502において、1つ以上の電池パック200の電池構成データを受信することができる。すなわち、電池構成システム110は、各電池パック200(例えば、BMSハードウェア要素240)から、電池パック200内のモジュール210における様々な単電池220の配置に関するデータを受信することができる。電池構成データは、一般的に、モジュール210における特定の単電池220の配置、電池パック200における特定のモジュール210の配置、モジュール210内の各単電池220の容量、各モジュール210の容量、モジュール210内の各単電池220の出力、および/または各モジュール210の出力などに関する情報を含む。
【0061】
電池構成データは、一般的に、(例えば、車両122と電池構成システム110との間のデータ接続を介して)電池パック200を含む車両122から、(例えば、車両122が車両122に設けられたOBDポートを介してユーザコンピューティング装置130またはモバイルコンピューティング装置に接続される場合に)少なくとも1つ以上のモコンピューティング装置130および/または少なくとも1つ以上のモバイル装置140から直接に受信されてもよい。例えば、車両122が一定のデータ接続を有する(または一定のデータ接続を提供するモバイル機器140に接続される)場合、当該車両に設けられた電池パック200からのデータは、ブロック502に従って連続的に送信されてもよく、特定の間隔(例えば、毎時、毎日、毎週、または毎月)で送信されてもよい。別の例において、車両がユーザコンピューティング装置130またはモバイル装置140を設置した専門技術店または他の場所にあるときに、データは、車両122から送信され、ユーザコンピューティング装置130またはモバイル装置140は、車両からデータを取得して電池構成システム110に転送する。さらに別の例において、ユーザコンピューティング装置130またはモバイルコンピューティング装置が充電ステーションにある場合、充電のために車両を充電ステーションに接続するときに、データは、車両122から電池構成システム110に転送されてもよい。
【0062】
ブロック504において、動作データを受信することができる。すなわち、電池構成システム110は、各電池パック200(例えば、BMSハードウェア要素240)から、電池パック200が使用される(例えば、充電および放電される)ときに様々な単電池220の動作に関するデータを受信することができる。したがって、動作データは、各々の単電池220、各々のモジュール210の様々な電気特性を監視するように構成された様々なセンサ(例えば、パックセンサハードウェア230、モジュールBMS装置212など)からのデータを含む。動作データは、例えば、電池パック200内の各モジュール210および/または各単電池220の電圧情報、電池パック200内の各モジュール210および/または各単電池220のインピーダンス情報、各モジュール210および/または各単電池220の動作温度を含む電池パック200の動作温度、特定の運転条件で各モジュール210および/または各単電池220を放電するのに必要な時間、および/または特定の運転条件で各モジュール210および/または各単電池220を充電するのに必要な時間を含むことができる。いくつかの実施形態において、車両122の運転条件を決定できるように、各々の車両センサハードウェア430から動作データを取得することができる。例えば、車両センサハードウェア430から受信したデータは、車両122の環境温度、車両122が走行している地形の種類、車両122が交通渋滞内にあるか否か、車両122が走行している道路の傾斜、車両122の運転速度、車両122の加速度および/または減速度などを示すことができる。
【0063】
動作データは、一般的に、(例えば、車両122と電池構成システム110との間のデータ接続を介して)電池パック200を含む車両122から、(例えば、車両122が車両122のOBDポートを介してユーザコンピューティング装置130またはモバイルコンピューティング装置に接続される場合に)少なくとも1つ以上のモコンピューティング装置130および/または少なくとも1つ以上のモバイル装置140から直接に受信されてもよい。例えば、車両122が一定のデータ接続を有する(または一定のデータ接続を提供するモバイル機器140に接続される)場合、当該車両に設けられた電池パック200からのデータは、ブロック502に従って連続的に送信されてもよく、特定の間隔(例えば、毎時、毎日、毎週、または毎月)で送信されてもよい。別の例において、車両がユーザコンピューティング装置130またはモバイル装置140を設置した専門技術店または他の場所にあるときに、データは、車両122から送信されてもよい。ユーザコンピューティング装置130またはモバイル装置140は、車両からデータを取得して電池構成システム110に中継する。さらに別の例において、ユーザコンピューティング装置130またはモバイルコンピューティング装置が充電ステーションである場合、充電のために車両を充電ステーションに接続するときに、データは、車両122から電池構成システム110に解放されてもよい。
【0064】
理解されるべきことは、いくつかの実施形態において、ブロック502における電池構成データの受信およびブロック504における動作データの受信は、実質的に同時に実行されてもよいことである。すなわち、いくつかの実施形態において、電池構成システム110によって受信されたデータストリームは、電池構成データと動作データの両方を含むことができる。
【0065】
ブロック506において、動作データから、車両122の運転条件を決定することができる。例えば、1つ以上のセンサからのデータを用いて、1つ以上の区域の運転条件、各区域の地形、各区域の交通量、各区域における車両の環境温度、車両122の運転時間、車両122の運転速度(または平均速度)、電池パック200およびその構成要素の温度、および/または様々な車両要素の動作温度を決定することができる。
【0066】
ブロック508において、1つ以上の電池検査装置160から診断サイクリングデータおよび/または他のデータを取得する。すなわち、1つ以上の電池検査装置160は、検査されている電池パック200に負荷を与える場合に1つ以上の運転パターンをシミュレートし、シミュレートした1つ以上の運転パターンに対応する電池パック200の放電に関するデータを収集し、収集したデータを電池構成システム110に送信する。いくつかの実施形態において、1つ以上の電池検査装置160は、通常1つの単電池を完全にサイクルするために必要とする時間を複数の単電池をサイクルすることに変換する。これによって、車両122が電池パック200内の単電池をサイクルすることに比べて、学習周期に必要な合計時間が短縮される。したがって、車両群120内の各車両122から生成されるデータ量に比べて、1つ以上の電池検査装置160は、複数の動作条件に対応する電池パック放電に関する著しく多くのデータを生成することができる。例えば、1つ以上の電池検査装置160は、全べての時間を費やして単電池をサイクルする代わりに、車両を診断するための全てのサイクリング条件を調査し、特定の単電池に対して単一のサイクルまたは複数のサイクルを行う代わりに、複数の単電池を実質的に同時に検査する。いくつかの実施形態において、1つ以上の電池検査装置160は、ブロック502で受信した電池構成データおよびブロック504で受信した動作データに基づいて、1つ以上の運転パターンをシミュレートすることができる。
【0067】
理解されるべきことは、「診断サイクリング」という用語は、一般的に、特定の標準的な方法で特定の電池パック200の意図的なサイクリングを意味しており、同一の電池パック200が車両122を駆動する場合に経験する動的なサイクリングを意味していないことである。すなわち、実際の条件、例えばブロック504で受信した動作データをもたらした条件下で、電池パック200から放電された電流もしくは電力または電池パック200に充電された電流もしくは電力は、時間と共に変化する。結果として、電池パック200は、各サイクルにおいて完全に充電および/または完全に放電されない場合がある。対照的に、診断サイクリングの場合、電池パック200は、全てのサイクルにおいて、完全に充電され且つ完全に放電される。
【0068】
ブロック510において、取得した全てのデータを1つ以上の機械学習サーバ150に提供することができる。すなわち、ブロック502で受信した電池構成データ、ブロック504で受信した動作データ、ブロック506で決定した運転条件に関するデータ、およびブロック508で1つ以上の電池検査装置160から受信した診断サイクリングデータは、1つ以上の機械学習サーバ150に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、データは、ネットワーク100を介して、様々な装置(例えば、車両122、1つ以上のユーザコンピューティング装置130、1つ以上のモバイル装置140、および/または1つ以上の電池検査装置160)から1つ以上の機械学習サーバ150に直接に送信されてもよい。他の実施形態において、データは、電池構成システム110によって収集され、ネットワーク100を介して1つ以上の機械学習サーバ150に送信されてもよい。
【0069】
1つ以上の機械学習サーバ150がデータを受信すると、ブロック512において、電池構成システム110は、予測モデルを生成するように1つ以上の機械学習サーバ150に指示することができる。すなわち、電池構成システム110は、(例えば、ネットワーク100を介して)1つ以上の機械学習サーバ150に信号を送信し、受信したデータ(例えば、電池構成データ、動作データ、運転条件に関連するデータ、および/または1つ以上の電池検査装置160からのデータ(例えば、電池構成データおよび/または別のデータ))を予測モデルに入力するようにおよび/またはデータから予測モデルを生成するように機械学習サーバ150に指示することができる。予測モデルは、一般的に、現在知られているまたは今後開発される任意の機械学習モデル、具体的には、特定の用途に対して電池パックの最適な構成を決定するために使用される情報を提供するモデルであってもよい。機械学習モデルの一般的な例として、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)モデル、長短期記憶(LSTM:long short-term memory)モデル、ニューラルネットワーク(NN:neural network)モデル、動的時間伸縮法(DTW)モデルなどを含むが、これらに限定されない。具体的な例として、本明細書に記載のように、記述子ベースのモデルおよびLFTMモデルを含むが、これらに限定されない。
【0070】
Q-Vベースの早期予測戦略の様々な機械学習実装を使用することができる。例えば、1つ以上の電池検査装置160は、動的/確率的(運転誘発の)放電プロファイルに従い、早期故障を表すデータの特徴を発見することができる。別の例において、概ねnサイクル(例えば、100、500、1000)ごとにモジュール210の放電診断サイクルとその間の充填を完了し、その間の運転誘発の放電/充電プロファイルを用いることにより、早期予測法(または任意の将来のQ-Vベースの特徴設計機械学習法)を使用することができる。さらに別の例において、nサイクルごと(例えば、モジュールの100サイクルごと)の充電ステップ中に制御されている診断を完了し、その間に運転誘発の充電/放電を完了する。
【0071】
データから、既知の地形において交通量(例えば、混雑時の交通量)がある場合および同一の地形において交通量がない場合に特定の電池パックがどのように放電するかを判断することができる。また、データは、満充電されているとき(例えば、100%に充電されているとき)および満充電されていないとき(例えば、約30%または約50%に充電されているとき)に電池パック200がどのように放電するかを示すことができる。各々の状況において、電池にとって異なる負荷が検出されると、電池パック200には、異なる要件、例えば異なる電流、異なる運転条件、および/または異なる温度が課される。
【0072】
データは、数多くの車両122/電池パック200から収集され、各々の車両および/または電池パックは、(例えば、各車両122の異なる運転手、車両122の運転場所、異なる運転条件、異なるシミュレーション条件などによって)特定の運転特性を有するため、機械学習アルゴリズムを用いて、所定セットの運転特性/車両特性に基づいて、放電を予測することができる。
【0073】
以下で説明するように、予測モデルは、更なる使用のために、電池構成システム110に送信することができる。いくつかの実施形態において、予測モデルを電池データベースなどに記憶し、その後、電池構成システム110による更新および使用、および/または車両群120内の車両122による利用のために取り出すことができる。例えば、予測モデルは、機械学習モデルデータ352の一部として、電池構成システム110のデータ記憶要素350に記憶されてもよい。
【0074】
ブロック514において、電池構成システム110は、1つ以上の機械学習サーバ150から、予測モデルを受信する(またはデータストレージから予測モデルを取得する)ことができる。ブロック516において、電池構成システム110は、1つ以上の動作条件に各々対応する予測モデルに基づいて、1つ以上の予測放電プロファイルを生成することができる。例えば、平面街路上で車両122を10分間運転した場合に対して典型的なプロファイルを確立することができ、高速道路上で車両122を20分間運転した別の場合に対して別の典型的なプロファイルを確立することができる。各々のプロファイルに対応する電池パック200の放電に関するデータは、取得され、1つ以上の機械学習サーバ150に提供される。1つ以上の機械学習サーバ150は、予測モデルを更新することができ、他の任意の条件下で電池パック200の放電を予測するすることができる。
【0075】
ブロック518において、各放電プロファイルに1つ以上の部分空間を生成することができる。予測する異なる電池パック200または異なるサイクルから関連情報(例えば、故障までのサイクル、容量、フェードなど)を比較または抽出するために、各部分空間は、動的時間伸縮法(DTW)、ECWおよび/または距離などを用いる主成分から作成される。したがって、特定の運転プロファイルを異なるビンに分類することができる。
【0076】
ブロック520において、各放電プロファイル(およびその部分空間)は、1つ以上の外部装置に提供される。例えば、1つ以上の放電プロファイルは、さらなる使用のために電池構成システム110に提供されてもよく、さらなる使用のために1つ以上の機械学習サーバ150に提供されてもよく、および/またはさらなる使用のために1つ以上の電池検査装置160に提供されてもよい。別の例において、1つ以上の放電プロファイルは、例えばデータ記憶要素350などの記憶装置に記憶されてもよい。さらに別の例において、1つ以上の放電プロファイルは、外部コンピュータ装置、例えば、1つ以上の放電プロファイルを用いて、特定の方法で特定の用途に適するように電池パックを構成するためのコンピュータ製造装置に送信されてもよい。1つ以上の放電プロファイル(およびその部分空間)を1つ以上の電池検査装置160に送信する実施形態において、特定の運転プロファイルまたはその部分空間が与えられた場合、特定の電池パックの応答を確認するために、電池パック200に対して追加の制御検査を実行することができる。
【0077】
理解されるべきことは、本明細書に記載のシステムおよび方法は、機械学習モデルを訓練および使用して、電池パックが電気自動車またはガス電気ハイブリッドに使用されるときに、特定の条件が特定の電池パックの放電に与える影響を予測することである。方法およびシステムは、一般的に、現在運転中の車両群に設置された電池パック内の単電池に関するデータ、実際の条件下で単電池の放電に関するデータ、および/またはシミュレートされた条件下で単電池の放電に関するデータを取得することを含む。その後、データは、機械学習サーバに提供され、機械学習サーバは、予測モデルを生成する。この予測モデルを用いて、特定の動作条件に対応する放電プロファイルを生成することができる。
【0078】
本明細書において特定の実施形態を図示し説明してきたが、理解すべきことは、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、他の様々な変更および修正を行うことができることである。また、本明細書において、特許請求される主題の様々な態様を説明してきたが、これらの態様を組み合わせて利用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲に含まれる全ての変更および修正を網羅するものとする。