(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】学習用データ生成装置、再生スケジュール学習システム、及び学習用データ生成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/765 20060101AFI20240222BHJP
G06Q 30/0242 20230101ALI20240222BHJP
H04N 5/93 20060101ALI20240222BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240222BHJP
【FI】
H04N5/765
G06Q30/0242
H04N5/93
G06N20/00 130
(21)【出願番号】P 2020028245
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】粂谷 幸司
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159468(JP,A)
【文献】特開2014-014014(JP,A)
【文献】特許第6472925(JP,B1)
【文献】特表2015-528157(JP,A)
【文献】特開2017-139010(JP,A)
【文献】特開2015-064513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76-5/775
H04N 5/91-5/956
G06Q 30/0242
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定部と、
前記人物判定部により判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定部と、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成部と、
を備え、
前記人物判定部は、前記撮像画像に基づいて、前記人物が前記表示部を見たか否か、前記人物が操作部をタッチ操作したか否か、及び、前記人物が操作部を操作して特定情報を出力させたか否かを判定する、学習用データ生成装置。
【請求項2】
前記評価値設定部は、前記人物が前記表示部を見て前記タッチ操作した場合の評価値を、前記人物が前記表示部を見て前記タッチ操作しない場合の評価値よりも高い値に設定する、
請求項1に記載の学習用データ生成装置。
【請求項3】
前記評価値設定部は、前記人物が前記表示部を見て前記特定情報を出力させる操作をした場合の評価値を、前記人物が前記表示部を見て前記特定情報を出力させる操作をしない場合の評価値よりも高い値に設定する、
請求項1に記載の学習用データ生成装置。
【請求項4】
前記特定情報は、前記コンテンツに対応する施設で利用可能な特典情報である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項5】
前記評価値設定部は、前記施設で前記コンテンツに対応する前記特定情報が利用された場合に、前記コンテンツに対する前記評価値を更新する、
請求項4に記載の学習用データ生成装置。
【請求項6】
前記人物判定部は、さらに、前記撮像画像に基づいて前記人物の性別及び年齢を判定する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置。
【請求項7】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得される前記撮像画像に基づいて、前記人物の行動、性別、及び年齢を判定する人物判定部と、
前記人物判定部により判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定部と、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成部と、
を備え、
前記評価値設定部は、前記人物判定部により判定される前記人物の性別及び年齢が、前記コンテンツに対応する対象性別及び対象年齢に一致する場合に、前記コンテンツに対する前記評価値を更新する、学習用データ生成装置。
【請求項8】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定部と、
前記人物判定部により判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定部と、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成部と、
を備え、
前記評価値設定部は、前記表示部に繰り返し表示される複数のコンテンツについて、前記評価値を設定し、
前記学習用データ生成部は、前記複数のコンテンツが表示されるごとに前記学習用データを更新する、学習用データ生成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の学習用データ生成装置と、
前記学習用データ生成装置により生成される前記学習用データを用いて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する学習装置と、
を備える再生スケジュール学習システム。
【請求項10】
前記学習装置は、任意のコンテンツに対応する再生スケジュールを推定する前記学習済みモデルを生成する、
請求項9に記載の再生スケジュール学習システム。
【請求項11】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成方法であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定ステップと、
前記人物判定ステップにより判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定ステップと、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成ステップと、
を一又は複数のプロセッサーが実行し、
前記人物判定ステップにおいて、前記撮像画像に基づいて、前記人物が前記表示部を見たか否か、前記人物が操作部をタッチ操作したか否か、及び、前記人物が操作部を操作して特定情報を出力させたか否かを判定する、学習用データ生成方法。
【請求項12】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成方法であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に基づいて、前記人物の行動、性別、及び年齢を判定する人物判定ステップと、
前記人物判定ステップにより判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定ステップと、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成ステップと、
を一又は複数のプロセッサーが実行し、
前記評価値設定ステップにおいて、前記人物判定ステップにより判定される前記人物の性別及び年齢が、前記コンテンツに対応する対象性別及び対象年齢に一致する場合に、前記コンテンツに対する前記評価値を更新する、学習用データ生成
方法。
【請求項13】
コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成方法であって、
前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定ステップと、
前記人物判定ステップにより判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定ステップと、
前記コンテンツと前記評価値と前記コンテンツを前記表示部に表示した日時に関する日時情報とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成ステップと、
を一又は複数のプロセッサーが実行し、
前記評価値設定ステップにおいて、前記表示部に繰り返し表示される複数のコンテンツについて、前記評価値を設定し、
前記学習用データ生成ステップにおいて、前記複数のコンテンツが表示されるごとに前記学習用データを更新する、学習用データ生成
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを再生する再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置、再生スケジュール学習システム、及び学習用データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、公共施設等に設置され、広告などのコンテンツを表示するデジタルサイネージと称されるコンテンツ表示システムが知られている(例えば特許文献1参照)。一般的に、コンテンツ表示システムは、予め設定された再生スケジュールに基づいて前記コンテンツを繰り返し再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コンテンツの再生スケジュールは、コンテンツの管理者により作成される。例えば、管理者は、広告に関する複数のコンテンツについて、それぞれの広告の効果が最も期待できる時間帯を予測して再生スケジュールを作成する。また、管理者は、作成した再生スケジュールに基づいて実際に複数のコンテンツを再生し、広告の効果を検証して再生スケジュールを組み替える作業を行う場合もある。このように、従来のシステムでは、コンテンツの再生スケジュールを作成する管理者の作業負担が大きく、また最適な再生スケジュールを作成することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、コンテンツを再生するための最適な再生スケジュールを容易に作成することが可能な学習用データを生成する学習用データ生成装置、再生スケジュール学習システム、及び学習用データ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る学習用データ生成装置は、コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置であって、前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部により取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定部と、前記人物判定部により判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定部と、前記コンテンツと前記評価値とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る再生スケジュール学習システムは、前記学習用データ生成装置と、前記学習用データ生成装置により生成される前記学習用データを用いて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する学習装置とを備える。
【0008】
本発明の他の態様に係る学習用データ生成方法は、コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成方法であって、前記コンテンツを表示する表示部の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定ステップと、前記人物判定ステップにより判定される前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する評価値設定ステップと、前記コンテンツと前記評価値とを関連付けた前記学習用データを生成する学習用データ生成ステップと、を一又は複数のプロセッサーにより実行する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンテンツを再生するための最適な再生スケジュールを容易に作成することが可能な学習用データを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理サーバに登録されるコンテンツの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るコンテンツ表示システムにおいて生成される学習用データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理サーバにおいて作成される再生スケジュールの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るコンテンツ表示システムにおいて実行される学習用データ生成処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るコンテンツ表示システムにおいて利用される評価情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るコンテンツ表示システムにおいて算出される累積効果ポイントの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理サーバにおいて実行される再生スケジュール作成処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
本実施形態に係るコンテンツ表示システム2は、店舗、駅、街頭、オフィスなど様々な場所において、広告などの映像及び音声で構成されるコンテンツを表示(再生)するシステムに適用される。例えば、コンテンツ表示システム2は、デジタルサイネージシステムに好適である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るコンテンツ管理システム100の概略構成を示す図である。コンテンツ管理システム100は、コンテンツ管理サーバ1と、コンテンツ表示システム2と、POS管理サーバ3と、POS端末30とを含んでいる。コンテンツ管理サーバ1とコンテンツ表示システム2とはネットワークN1を介して通信可能に接続されている。また、コンテンツ管理サーバ1とPOS管理サーバ3とはネットワークN2を介して通信可能に接続されている。また、POS管理サーバ3とPOS端末30とはネットワークN3を介して通信可能に接続されている。ネットワークN1,N2は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網である。ネットワークN3は、有線LAN又は無線LANなどの通信網、又はHDMI(登録商標)、RS232C、I2C等の機器間通信線である。
【0014】
また、コンテンツ管理システム100には、複数のコンテンツ表示システム2が含まれてもよい。また、コンテンツ管理システム100には、複数のPOS端末30が含まれてもよい。コンテンツ管理システム100が複数のコンテンツ表示システム2を含む場合、各コンテンツ表示システム2はコンテンツ管理サーバ1に対応して異なる場所に1台ずつ配置される。またコンテンツ管理サーバ1は、例えば複数のコンテンツ表示システム2を監視及び制御し、各コンテンツ表示システム2にコンテンツ及び再生スケジュールを含むサイネージデータを配信する。コンテンツ管理サーバ1は、1台であってもよいし複数台であってもよい。また、コンテンツ管理サーバ1とPOS管理サーバ3とが一体に構成されてもよい。
【0015】
コンテンツ管理サーバ1は、コンテンツを配信及び管理する。以下、コンテンツ管理システム100の具体的な構成について説明する。以下の実施形態では、コンテンツ管理システム100の一例として、コンテンツ管理サーバ1がコンテンツ及び再生スケジュールを含むサイネージデータをコンテンツ表示システム2に配信し、コンテンツ表示システム2が再生スケジュールを基づいてコンテンツを再生する構成について説明する。
【0016】
[コンテンツ管理サーバ1]
図2に示すように、コンテンツ管理サーバ1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備える。コンテンツ管理サーバ1は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であってもよい。
【0017】
通信部14は、コンテンツ管理サーバ1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介してコンテンツ表示システム2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また、通信部14は、コンテンツ管理サーバ1を有線又は無線でネットワークN2に接続し、ネットワークN2を介してPOS管理サーバ3との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0018】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの操作部とを備えるユーザーインターフェースである。操作表示部13は、例えばコンテンツ管理サーバ1の管理者の操作を受け付ける。なお、管理者は、配信するコンテンツの管理を行う権限を有する。
【0019】
記憶部12は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部12には、制御部11に各種の処理を実行させるための再生スケジュール作成プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記再生スケジュール作成プログラムは、USB(登録商標)メモリ、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、これら記録媒体からコンテンツ管理サーバ1の記憶部12に記憶される。
【0020】
また記憶部12には、コンテンツ表示システム2に表示させるコンテンツに対応するコンテンツデータ、当該コンテンツに関するコンテンツ情報CDが記憶される。また記憶部12には、前記コンテンツの表示日時(表示開始日時、表示終了日時、再生所要時間)及び表示順などを示す再生スケジュールを生成するための学習用データLDが記憶される。また記憶部12には、前記コンテンツに関連付けて、前記コンテンツの出力先のコンテンツ表示システム2の識別情報、前記再生スケジュールを表す再生スケジュールTSなどが記憶される。
【0021】
図3には、コンテンツ情報CDの一例を示している。コンテンツ情報CDには、コンテンツごとに「コンテンツ種別」、「コンテンツファイル名」、「ターゲット性別」、「ターゲット年齢」、「最低表示時間」などの情報が登録される。「コンテンツ種別」は、コンテンツの種別を表す情報である。「コンテンツファイル名」はコンテンツデータのファイル名である。「ターゲット性別」及び「ターゲット年齢」、は、コンテンツに対応する広告のマーケティングの対象となる視聴者層(購買層)の性別及び年齢である。「最低表示時間」は、コンテンツの再生時間の下限である。「最低表示時間」には、例えば、コンテンツ表示システム2の一日の総表示時間に対する割合が登録される。「ターゲット性別」、「ターゲット年齢」、及び「最低表示時間」は、管理者により設定される。管理者は、コンテンツ情報CDを適宜更新可能である。
【0022】
図4には、学習用データLDの一例を示している。学習用データLDは、コンテンツ表示システム2において、コンテンツを再生させることにより取得される情報に基づいて生成される。学習用データLDの具体的な生成方法は後述する。コンテンツ管理サーバ1は、コンテンツ表示システム2から学習用データLDを受信すると記憶部12に記憶する。
【0023】
学習用データLDには、再生時間ごとに「ログID」、「日付」、「開始時刻」、「終了時刻」、「曜日」、「祝日別」、「効果ポイント」、「推定性別」、「推定年齢」、「コンテンツ種別」などの情報が登録される。「日付」はコンテンツの再生日であり、「開始時刻」はコンテンツの再生を開始する時刻であり、「終了時刻」はコンテンツの再生を終了する時刻である。「効果ポイント」は、コンテンツを再生したことにより得られる効果を数値化した情報(本発明の評価値の一例)である。効果ポイントの算出方法は後述する。「推定性別」はコンテンツを視聴した視聴者の推定性別であり、「推定年齢」はコンテンツを視聴した視聴者の推定年齢である。推定性別及び推定年齢は、コンテンツ表示システム2に設けられるカメラ24の撮像画像に基づいて推定される。「コンテンツ種別」には、再生したコンテンツの種別が登録される。
【0024】
図5には、再生スケジュールTSの一例を示している。再生スケジュールTSは、学習用データLDに基づいてコンテンツ管理サーバ1の制御部11により作成される。再生スケジュールTSには、タイムテーブルと、当該タイムテーブルに割り当てられたコンテンツの情報(コンテンツファイル名)とが含まれる。
【0025】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりコンテンツ管理サーバ1を制御する。
【0026】
具体的に、制御部11は、学習用データ受信部111、再生スケジュール作成部112、データ配信部113などの各種の処理部を含む。
【0027】
なお、制御部11は、前記再生スケジュール作成プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記再生スケジュール作成プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0028】
学習用データ受信部111は、コンテンツ表示システム2において生成される学習用データLDを、コンテンツ表示システム2から受信する。学習用データ受信部111は、学習用データLDを受信すると、記憶部12に記憶する(
図4参照)。
【0029】
再生スケジュール作成部112は、学習用データLDに基づいて、コンテンツ情報CDに含まれる複数のコンテンツの再生スケジュールTS(
図5参照)を作成する。再生スケジュールTSの具体的な作成方法は後述する。
【0030】
データ配信部113は、コンテンツ情報CDに含まれる複数のコンテンツ(コンテンツデータ)と、各コンテンツの再生スケジュールTSとを含むサイネージデータSDをコンテンツ表示システム2に配信する。なお、データ配信部113は、管理者の手作業により作成された再生スケジュールTSと、再生スケジュール作成部112により作成された再生スケジュールTSとをコンテンツ表示システム2に配信することが可能である。
【0031】
[コンテンツ表示システム2]
図2に示すように、コンテンツ表示システム2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、カメラ24、プリンタ25、及び通信部26などを備える。コンテンツ表示システム2は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であってもよい。また、コンテンツ表示システム2は、例えばSTB(Set Top Box)及び表示ディスプレイにより構成されてもよい。
【0032】
通信部26は、コンテンツ表示システム2を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介してコンテンツ管理サーバ1との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0033】
プリンタ25は、電子写真方式又はインクジェット方式で画像データに基づく印刷処理を実行することが可能であり、前記画像データに基づいてシート上に画像を形成する。
【0034】
操作表示部23は、コンテンツなどの各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、ユーザ(視聴者)の操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部とを備えるインターフェースである。
【0035】
カメラ24は、例えば操作表示部23の前方の所定範囲を撮影可能に設置されており、被写体である人物(視聴者)の画像を撮像してデジタル画像データとして出力するデジタルカメラである。
【0036】
記憶部22は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部22には、制御部21に各種の処理を実行させるための学習用データ生成プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記学習用データ生成プログラムは、USB(登録商標)メモリ、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、これら記録媒体からコンテンツ表示システム2の記憶部22に記憶される。
【0037】
また記憶部22には、制御部21により生成される学習用データLD、コンテンツ管理サーバ1から配信されるサイネージデータSDなどが記憶される。
【0038】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりコンテンツ表示システム2を制御する。
【0039】
具体的に、制御部21は、サイネージデータ受信部211、コンテンツ再生部212、画像取得部213、操作取得部214、印刷処理部215、学習用データ生成部216などの各種の処理部を含む。
【0040】
なお、制御部21は、前記学習用データ生成プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記学習用データ生成プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0041】
サイネージデータ受信部211は、コンテンツ管理サーバ1から配信されるサイネージデータSDを受信する。サイネージデータSDには、コンテンツ情報CDに含まれる複数のコンテンツ(コンテンツデータ)と、各コンテンツの再生スケジュールTSとが含まれる。サイネージデータ受信部211は、受信したサイネージデータSDを記憶部22に記憶する。
【0042】
コンテンツ再生部212は、再生スケジュールTSに基づいて、前記コンテンツを操作表示部23に表示させる。なお、再生スケジュールTSには、管理者の手作業により作成される再生スケジュールTSと、コンテンツ管理サーバ1の再生スケジュール作成部112により作成される再生スケジュールTSとが含まれるため、コンテンツ再生部212は、いずれかの再生スケジュールTSに基づいてコンテンツを表示させる。
【0043】
画像取得部213は、カメラ24により撮像された、操作表示部23の前方の人物(視聴者)の撮像画像を取得する。
【0044】
操作取得部214は、操作表示部23に対する視聴者の操作に関する操作情報を取得する。例えば、視聴者がコンテンツを表示中の操作表示部23をタッチ操作した場合に、当該操作情報を取得する。
【0045】
印刷処理部215は、プリンタ25に印刷指示を出力して印刷処理を実行させる。例えば、操作取得部214が視聴者から特定情報の要求操作を取得した場合に、印刷処理部215は、特定情報を印刷する印刷処理をプリンタ25に実行させる。前記特定情報は、コンテンツに対応する施設で利用可能な特典情報であり、例えば、小売店、飲食店、娯楽施設、宿泊施設など各種施設で利用可能な割引クーポン、利用券、サービス券などである。
【0046】
学習用データ生成部216は、コンテンツの再生スケジュールTSを作成するための学習用データLDを生成する。例えば、学習用データ生成部216は、画像取得部213により取得される撮像画像に基づいて学習用データLDを生成する。学習用データLDの具体的な生成方法は後述する。学習用データ生成部216は、生成した学習用データLDを記憶部22に記憶する。また、学習用データ生成部216は、生成した学習用データLDをコンテンツ管理サーバ1に送信する。なお、学習用データ生成部216は、学習用データLDにコンテンツ表示システム2の識別情報(機器情報、位置情報など)を付与して、コンテンツ管理サーバ1に送信する。
【0047】
[POS管理サーバ3]
図2に示すように、POS管理サーバ3は、制御部31、記憶部32、操作表示部33、通信部34などを備える。
【0048】
通信部34は、POS管理サーバ3を有線又は無線でネットワークN2に接続し、ネットワークN2を介してコンテンツ管理サーバ1との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また、通信部34は、POS管理サーバ3を有線又は無線でネットワークN3に接続し、ネットワークN3を介してPOS端末30との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0049】
操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、ユーザ(店舗管理者)の操作を受け付けるタッチパネルなどの操作部とを備えるインターフェースである。
【0050】
記憶部32は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部32には、制御部31に各種の処理を実行させるための制御プログラムが記憶されている。例えば、前記制御プログラムは、USB(登録商標)メモリ、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、これら記録媒体からPOS管理サーバ3の記憶部32に記憶される。
【0051】
また記憶部32には、各POS端末30から取得する購買情報などのPOSデータが記憶される。
【0052】
制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりPOS管理サーバ3を制御する。
【0053】
[学習用データLDの生成方法]
以下、
図6を参照しつつ、コンテンツ表示システム2の制御部21によって実行される学習用データ生成処理の手順の一例について説明する。前記学習用データ生成処理の一部は、コンテンツ管理サーバ1の制御部11によって実行されてもよい。
【0054】
なお、本発明は、前記学習用データ生成処理に含まれる一又は複数のステップを実行する学習用データ生成方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記学習用データ生成処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記学習用データ生成処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21によって前記学習用データ生成処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、複数のプロセッサーによって前記学習用データ生成処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
【0055】
先ずステップS21において、制御部21は、コンテンツ管理サーバ1からサイネージデータSDが配信されたか否かを判定する。コンテンツ管理サーバ1からサイネージデータSDが配信された場合(S21:Yes)、処理はステップS22に移行し、コンテンツ管理サーバ1からサイネージデータSDが配信されていない場合(S21:No)、処理はステップS23に移行する。
【0056】
ステップS22において、制御部21は、コンテンツ管理サーバ1からサイネージデータSDを受信する。制御部21は、受信したサイネージデータSDを記憶部22に記憶する。なお、制御部21は、コンテンツ管理サーバ1からサイネージデータSDを受信するごとに記憶部22にサイネージデータSDを記憶する。このため、記憶部22には、最新のサイネージデータSDが記憶されている。
【0057】
ステップS23において、制御部21は、記憶部22に記憶されているサイネージデータSDに基づいて、コンテンツを再生する。例えば、制御部21は、サイネージデータSDに含まれる再生スケジュールTSに基づいて、複数のコンテンツを順に再生する。
【0058】
ステップS24において、制御部21は、再生コンテンツに対応する学習用データLDの記録を開始する。具体的には、制御部21は、カメラ24により撮像される人物(視聴者)の撮像画像を取得し、撮像画像に基づいて人物の行動を判定し、以下のステップS241~S245の処理に応じた情報を学習用データLDとして記録する。
【0059】
ステップS241では、制御部21は、前記撮像画像を解析して、視聴者がコンテンツを表示中の表示画面を一瞬見たか否かを判定する。視聴者が表示画面を一瞬見たと判定された場合(S241:Yes)、処理はステップS25に移行し、視聴者が表示画面を一瞬見たと判定されなかった場合(S241:No)、処理はステップS242に移行する。
【0060】
ステップS25において、制御部21は、効果ポイントを更新する。具体的には、制御部21は、評価情報P1を参照して効果ポイントを更新する。
図7には、評価情報P1の一例を示している。評価情報P1は予め記憶部22に記憶される。
【0061】
評価情報P1には、視聴者の行動内容と、当該行動内容に対応する効果ポイントとが関連付けられて登録される。効果ポイントは、視聴者の行動がコンテンツに対する関心度が高いと判断される行動である程、高いポイントが設定される。すなわち、前記効果ポイント(評価値)は、コンテンツに対する視聴者の関心度に相当する。例えば、表示画面にコンテンツが表示されているにもかかわらず、視聴者が表示画面を見ずに通り過ぎる場合には、視聴者はコンテンツに対する興味はないと判断できるため、「反応なし」の行動に対する効果ポイントとして「0」が設定される。また例えば、表示画面にコンテンツが表示されているときに視聴者が表示画面をタッチ操作(クーポンを要求する操作など)する場合には、視聴者はコンテンツに対する興味があると判断できるため、このような行動に対する効果ポイントには高い値が設定される。
【0062】
例えば、2019年1月1日の10:00~10:01の時間帯に、制御部21が「男性向け化粧品」のコンテンツを再生した場合において、視聴者(通行人)が表示画面を見ずに通り過ぎた場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「反応なし」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「0」(
図7参照)とを学習用データLD(
図4参照)に登録する。一方、視聴者が表示画面を一瞬見た場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「画面を一瞬見た」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「5」とを学習用データLDに登録する。
【0063】
ステップS242では、制御部21は、前記撮像画像を解析して、視聴者がコンテンツを表示中の表示画面を一定時間見たか否かを判定する。視聴者が表示画面を一定時間見たと判定された場合(S242:Yes)、処理はステップS26に移行し、視聴者が表示画面を一定時間見たと判定されなかった場合(S242:No)、処理はステップS243に移行する。
【0064】
ステップS26において、制御部21は、効果ポイントを更新する。例えば、視聴者が表示画面を一定時間見た場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「画面の前で止まって一定時間見た」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「10」(
図7参照)とを学習用データLDに登録する。
【0065】
ステップS243では、制御部21は、前記撮像画像を解析して、視聴者がコンテンツを表示中の表示画面をタッチ操作したか否かを判定する。視聴者が表示画面をタッチ操作したと判定された場合(S243:Yes)、処理はステップS27に移行し、視聴者が表示画面をタッチ操作したと判定されなかった場合(S243:No)、処理はステップS244に移行する。
【0066】
ステップS27において、制御部21は、効果ポイントを更新する。例えば、視聴者が表示画面をタッチ操作した場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「タッチパネルを操作した」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「20」(
図7参照)とを学習用データLDに登録する。また、例えば、視聴者が表示画面を一定時間見た後に続けてタッチ操作した場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「画面の前で止まって一定時間見た」と判定し、かつ「タッチパネルを操作した」と判定する。この場合、制御部21は、前者の行動に対応する効果ポイント「10」に後者の行動に対応する効果ポイント「20」を加算した効果ポイント「30」に更新する。このように、制御部21は、人物が操作表示部23を見てタッチ操作した場合の効果ポイントを、人物が操作表示部23を見てタッチ操作しない場合の効果ポイントよりも高い値に設定する。
【0067】
ステップS244では、制御部21は、前記撮像画像を解析して、視聴者がコンテンツを表示中に表示画面においてクーポンの要求操作を行ったか否かを判定する。視聴者がクーポンの要求操作を行ったと判定された場合(S244:Yes)、処理はステップS28に移行し、視聴者がクーポンの要求操作を行っていないと判定された場合(S244:No)、処理はステップS245に移行する。
【0068】
前記クーポンは、例えばコンテンツに対応する広告に含まれる商品の割引情報である。視聴者は、前記クーポンを取得することにより前記商品を割引価格で購入することが可能となる。例えば、視聴者は、表示中のコンテンツに含まれる商品の購入を希望する場合に、表示画面においてクーポンを要求する操作を行う。制御部21は、当該操作情報を取得すると、前記商品の割引クーポンをプリンタ25から出力させる。視聴者は、前記クーポンを取得すると、前記商品を販売する店舗を訪問して前記クーポンを使用して前記商品を購入する。店舗のPOS端末30は、購入情報をPOS管理サーバ3に送信する。またPOS管理サーバ3は、前記購入情報をコンテンツ管理サーバ1に送信する。前記購入情報には、前記クーポンが使用されたことを示す情報(使用履歴情報)が含まれる。
【0069】
ステップS28において、制御部21は、効果ポイントを更新する。例えば、視聴者が表示画面においてクーポンの要求操作を行った場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「クーポンを出力した」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「50」(
図7参照)とを学習用データLDに登録する。また、例えば、視聴者が表示画面を一定時間見た後に続けてタッチ操作をしてクーポンを出力した場合には、制御部21は、各行動内容に応じた効果ポイントを加算して「80」に更新する。このように、制御部21は、人物が操作表示部23を見てクーポンを出力させる操作をした場合の効果ポイントを、人物が操作表示部23を見てクーポンを出力させる操作をしない場合の効果ポイントよりも高い値に設定する。
【0070】
ここで、視聴者が前記クーポンを使用して前記コンテンツに対応する商品を購入した場合には、前記コンテンツに対する視聴者の関心度はさらに高いと判断できる。そこで、制御部21は、前記クーポンが使用されたことを示す情報(使用履歴情報)をコンテンツ管理サーバ1から受信すると、効果ポイントを更新する。例えば、前記効果ポイント「80」に、行動内容「クーポンを使って購買した」に対応する効果ポイント「50」を加算して「130」に更新する。このように、制御部21は、施設でコンテンツに対応するクーポンが利用された場合に、前記コンテンツに対する効果ポイントを更新する。
【0071】
ステップS245では、制御部21は、前記撮像画像を解析して、視聴者がコンテンツを表示中に表示画面において二次元コードを表示させる操作を行ったか否かを判定する。視聴者が二次元コードを表示させる操作を行ったと判定された場合(S245:Yes)、処理はステップS29に移行し、視聴者が二次元コードを表示させる操作を行っていないと判定された場合(S245:No)、処理はステップS30に移行する。
【0072】
前記二次元コードは、前記クーポンの電子データに対応する。例えば、視聴者は、表示画面に表示された二次元コードを視聴者の携帯端末により読み取ることにより、クーポン情報を取得することが可能となる。視聴者は、携帯端末にクーポン情報を表示させてPOS端末30に読み取らせることによりクーポンを使用することが可能である。なお、POS端末30は、クーポン情報を読み取る読み取り機(例えばバーコードリーダー)を備えてもよい(
図1参照)。
【0073】
ステップS29において、制御部21は、効果ポイントを更新する。例えば、視聴者が表示画面において二次元コードを表示させる操作を行った場合には、制御部21は、当該コンテンツに対する行動内容を「画面の二次元コードを読み取った」と判定する。この場合、制御部21は、前記コンテンツに関するログ情報と、効果ポイント「50」(
図7参照)とを学習用データLDに登録する。また、例えば、視聴者が表示画面を一定時間見た後に続けてタッチ操作をして二次元コードを読み取った場合には、制御部21は、各行動内容に応じた効果ポイントを加算して「80」に更新する。
【0074】
このように、制御部21は、コンテンツを表示させつつ、当該コンテンツに対する視聴者の行動内容を判定して、当該行動内容に対応する効果ポイントを設定する。具体的には、制御部21は、前記撮像画像に基づいて、人物が操作表示部23を見たか否か、人物が操作表示部23をタッチ操作したか否か、及び、人物が操作表示部23を操作して特定情報を出力させたか否かを判定し、判定結果に応じた効果ポイントを設定する。そして、制御部21は、コンテンツと効果ポイントとを互いに関連付けた学習用データLDを生成する。
図4は、このようにして生成された学習用データLDの一例を示す図である。
【0075】
ステップS30において、制御部21は、生成した学習用データLDをコンテンツ管理サーバ1に送信する。その後、処理はステップS21に戻り、上述の処理を繰り返す。すなわち、制御部21は、操作表示部23に繰り返し表示される複数のコンテンツについて、効果ポイントを設定し、前記複数のコンテンツが表示されるごとに学習用データLDを更新する。
【0076】
上述の処理では、制御部21は、複数のコンテンツを再生スケジュールTSに応じて再生しながら、各コンテンツの効果ポイントを算出しているが、他の方法として、制御部21は、コンテンツごとに所定時間を継続して再生しながら、当該コンテンツの単位時間当たりの効果ポイントを算出してもよい。例えば、制御部21は、コンテンツ管理サーバ1から「男性向けクリアランスセール」のサイネージデータSDを受信した場合に、コンテンツ表示システム2の稼働時間「月曜日の9:00~23:00」の間、継続して「男性向けクリアランスセール」のコンテンツを再生する。そして、制御部21は、当該コンテンツに対する視聴者の行動内容を判定して、効果ポイントを算出する。具体的には、制御部21は、1時間ごとに累積効果ポイントを算出する。例えば、「9:00~10:00」の間に視聴者が前記コンテンツに対して行った各行動の効果ポイントを加算して当該時間帯の累積効果ポイントを算出する。
図8には、前記コンテンツに対応する累積効果ポイントを示すグラフである。
図8に示すグラフによれば、前記コンテンツは、「13:00~14:00」と「18:00~19:00」の時間帯で効果ポイントが高いことが分かる。制御部21は、コンテンツごとに前記累積効果ポイントを算出する。そして、制御部21は、コンテンツと累積効果ポイントとを互いに関連付けた学習用データLDを生成し、生成した学習用データLDをコンテンツ管理サーバ1に送信する。
【0077】
ここで、前記学習用データ生成処理を実行する制御部21は、本発明の学習用データ生成装置の一例である。すなわち、制御部21は、コンテンツの再生スケジュールを作成するための学習用データを生成する学習用データ生成装置として機能する。そして、制御部21は、前記コンテンツを表示する表示部(操作表示部23)の前方の人物を撮像した撮像画像を取得する画像取得部(画像取得部213)、前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定する人物判定部、前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する効果ポイント(評価値)を算出する評価値設定部、前記コンテンツと前記効果ポイントとを関連付けた学習用データLDを生成する学習用データ生成部(学習用データ生成部216)として機能する。
【0078】
[再生スケジュールTSの作成方法]
以下、
図9を参照しつつ、コンテンツ管理サーバ1の制御部11によって実行される再生スケジュール作成処理の手順の一例について説明する。
【0079】
なお、本発明は、前記再生スケジュール作成処理に含まれる一又は複数のステップを実行する再生スケジュール作成方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記再生スケジュール作成処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。また、前記再生スケジュール作成処理における各ステップは、同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11によって前記再生スケジュール作成処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態では、複数のプロセッサーによって前記再生スケジュール作成処理における各ステップが分散して実行されてもよい。
【0080】
先ずステップS11において、制御部11は、コンテンツ表示システム2から学習用データLDが送信されたか否かを判定する。コンテンツ表示システム2から学習用データLDが送信された場合(S11:Yes)、処理はステップS12に移行し、コンテンツ表示システム2から学習用データLDが送信されていない場合(S11:No)、処理はステップS13に移行する。
【0081】
ステップS12において、制御部11は、コンテンツ表示システム2から学習用データLDを受信する。制御部21は、受信した学習用データLDを記憶部12に記憶する(
図4参照)。なお、制御部11は、コンテンツ表示システム2から学習用データLDを受信するごとに記憶部12に学習用データLDを記憶する。このため、記憶部12には、最新の学習用データLDが記憶されている。
【0082】
ステップS13において、制御部11は、POS管理サーバ3から前記購入情報を受信したか否かを判定する。前記制御部11が前記購入情報を受信した場合(S13:Yes)、処理はステップS14に移行し、前記制御部11が前記購入情報を受信しない場合(S13:No)、処理はステップS15に移行する。
【0083】
ステップS14において、制御部11は、効果ポイントを更新する。例えば、視聴者が表示画面を一定時間見た後にタッチ操作をしてクーポンを出力した場合、学習用データLDには、効果ポイントとして「80」が登録されている。その後、視聴者がクーポンを使って購買した場合に、制御部11は、POS管理サーバ3から前記購入情報を受信する。この場合に、制御部11は、学習用データLDの効果ポイント「80」を「130」に更新する。また、制御部11は、前記購入情報をコンテンツ表示システム2に送信する。コンテンツ表示システム2では、制御部21が前記購入情報を受信して記憶部22の学習用データLDの効果ポイントを「130」に更新する。
【0084】
ステップS15において、制御部11は、管理者から終了操作を受け付けたか否かを判定する。制御部11が終了操作を受け付けた場合(S15:Yes)、処理は終了し、制御部11が終了操作を受け付けない場合(S15:No)、処理はステップS16に移行する。
【0085】
ステップS16において、制御部11は、再生スケジュールTSの作成コマンドを実行するか否かを判定する。例えば、管理者の作成指示を受け付けた場合に、制御部11は、再生スケジュールTSの作成コマンドを実行する。前記作成コマンドを実行しない場合(S16:No)、処理はステップS11に移行する。
【0086】
ステップS17において、管理者は、再生スケジュールTSに割り当てるコンテンツを入力する操作を行い、制御部11は、当該操作を受け付ける。例えば、管理者は、
図3に示すように、コンテンツ情報CDに所望のコンテンツを入力(登録)する。
【0087】
ステップS18において、制御部11は、再生スケジュールTSを作成する。具体的には、制御部11は、学習用データLDに基づいて、コンテンツ情報CDに登録されたコンテンツをタイムテーブルに割り当てる。例えば、制御部11は、学習用データLDに基づいて、各コンテンツの効果ポイントが高くなるように、各コンテンツをタイムテーブルに割り当てる。
【0088】
ここで、制御部11は、学習用データLDを用いて再生スケジュールTSを生成する。具体的には、制御部11は、学習用データLDを用いて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する。例えば、制御部11は、任意のコンテンツに対応する再生スケジュールを推定する学習済みモデルを生成する。
【0089】
なお、機械学習には、教師ありデータを用いる教師あり学習(Supervised Learning)、教師なしデータを用いる教師なし学習(Unsupervised Learning)、強化学習(Reinforcement Learning)などのアルゴリズムがあり、さらに、これらの手法を実現するうえで、特徴量そのものの抽出を学習する、「深層学習(ディープラーニング:Deep Learning)」と呼ばれる手法が用いられる。本実施形態では、制御部11は、上述した各種のアルゴリズムに基づく学習モデルを有している。なお、本実施形態では、効果ポイントが関連付けられたコンテンツは教師ありデータに相当し、効果ポイントが関連付けられていないコンテンツは教師なしデータに相当する。制御部11は、これら教師ありデータ及び教師なしデータを入力データとして機械学習を行って、再生スケジュールを推定することが可能である。
【0090】
具体的には、前記学習済みモデルは、例えば任意のコンテンツの情報(コンテンツ種別、ターゲット性別、ターゲット年齢、最低表示時間など)及び当該コンテンツに関連付けられた効果ポイントが入力されると、当該コンテンツを再生する最適なスケジュール(表示開始時刻、表示終了時刻など)を推定する。
【0091】
制御部11は、生成した前記学習済みモデルを用いて再生スケジュールTSを作成する。すなわち、前記学習済みモデルを生成する制御部11は、本発明の学習装置の一例である。すなわち、制御部11は、前記学習用データ生成装置(制御部21)により生成される学習用データLDを用いて機械学習を行うことにより学習済みモデルを生成する学習装置として機能する。なお、前記学習済みモデルは、外部の機器に記憶されてもよい。これにより、当該機器は、コンテンツの再生スケジュールTSの作成装置(学習装置)として機能する。また、前記学習済みモデルは、インターネットなどの通信網を介して前記機器にダウンロード可能であってもよい。
【0092】
例えば、「男性向けクリアランスセール」のコンテンツについて、制御部11は、
図4及び
図8に示す学習用データLDにより、「13:00~14:00」と「18:00~19:00」の時間帯で効果ポイントが高いと判定した場合、当該コンテンツをタイムテーブルの「13:00~14:00」と「18:00~19:00」に割り当てる(
図5参照)。制御部11は、学習用データLDが更新されるごとに、前記コンテンツの最適な表示時間帯を推定してタイムテーブルに割り当てる。
【0093】
また、制御部11は、最低表示時間(
図3参照)を考慮してコンテンツをタイムテーブルに割り当てる。すなわち、最低表示時間は、学習用データLDに含まれるり。これにより、用意された各コンテンツは、最低表示時間が確保されつつ、最適な表示時間帯に割り当てられる。
【0094】
制御部11は、上記のようにして複数のコンテンツを前記タイムテーブルに割り当てて再生スケジュールTS(
図5参照)を作成すると、ステップS19において、複数のコンテンツ及び再生スケジュールTSを含むサイネージデータSDをコンテンツ表示システム2に配信する。その後、処理はステップS11に戻り、制御部11は、上述の処理を繰り返す。
【0095】
以上のように、本実施形態に係るコンテンツ管理システム100は、コンテンツを表示する操作表示部23の前方の人物を撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像に基づいて前記人物の行動を判定し、前記人物の行動に基づいて前記コンテンツに対する評価値を設定する。また、コンテンツ管理システム100は、前記コンテンツと前記評価値とを関連付けた学習用データLDを生成する。そして、コンテンツ管理システム100は、学習用データLDを用いて、コンテンツの最適な再生スケジュールTSを作成する。これにより、管理者の作業負担を軽減するとともに、広告の効果が得られる最適な再生スケジュールTSを容易に作成することが可能となる。
【0096】
本発明は上述の実施形態に限定されない。他の実施形態として、コンテンツ表示システム2の制御部21は、撮像画像に基づいて視聴者の性別及び年齢を判定し、判定した性別及び年齢が、コンテンツに対応するターゲット性別(対象性別)及びターゲット年齢(対象年齢)に一致する場合に、前記コンテンツに対する効果ポイントを更新してもよい。具体的には、制御部21は、推定した性別及び年齢がターゲット性別及びターゲット年齢に一致する場合には、視聴者の行動に基づいて設定した効果ポイント(
図4参照)に1以上の係数を乗算した値に更新する。すなわち、制御部21は、各コンテンツの効果ポイントに、視聴者の性別及び年齢に応じた重み付けを行ってもよい。これにより、コンテンツのターゲット層に合致する最適な再生スケジュールTSを作成することが可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1 :コンテンツ管理サーバ
2 :コンテンツ表示システム
3 :POS管理サーバ
100 :コンテンツ管理システム
111 :学習用データ受信部
112 :再生スケジュール作成部
113 :データ配信部
211 :サイネージデータ受信部
212 :コンテンツ再生部
213 :画像取得部
214 :操作取得部
215 :印刷処理部
216 :学習用データ生成部