(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】回転工具装置および工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 29/24 20060101AFI20240222BHJP
B23B 19/02 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B23B29/24 D
B23B29/24 A
B23B19/02 D
(21)【出願番号】P 2020031155
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】風間 浩明
(72)【発明者】
【氏名】大月 大輔
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-040123(JP,A)
【文献】実開昭58-121630(JP,U)
【文献】特開2019-198901(JP,A)
【文献】特開2011-000693(JP,A)
【文献】特開2006-095650(JP,A)
【文献】特開2005-088103(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209972(US,A1)
【文献】特開平05-285712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 29/24
B23B 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸により保持されたワークを加工する回転工具を保持する工具保持部と、
先端に前記工具保持部が装着可能に形成されるスピンドル軸と、
前記スピンドル軸の基端に
出力軸が直接的に連結され、前記スピンドル軸を前記工具保持部とともに軸回転させるモータと、
前記モータを支持し、
複数の前記スピンドル軸が互いに平行をなすように並べられた状態で収容され、軸回転可能に前記スピンドル軸を収容する1つの筐体と、を備え、
前記モータは、複数とされ、複数の前記スピンドル軸の各々に
前記回転工具に応じ
た仕様で設けられ、
前記回転工具の刃先は、前記主軸により保持された前記ワークの軸方向と前記回転工具の複数軸方向との相対移動により、前記ワークに接触させて加工する、
回転工具装置。
【請求項2】
加工する前記回転工具以外の前記モータは停止される、
請求項1に記載の回転工具装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の回転工具装置と、
前記ワークを軸回転可能に保持する前記主軸と、を備える、
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具装置および工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械として、特許文献1には、水平方向に複数のスピンドル軸が配置された回転工具装置が開示され、ワークの軸線に対して複数の回転工具の刃先の向きを調整して加工が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された工作機械では、回転工具装置は、スペース上の制約から複数の回転工具の駆動を1つのモータと歯車機構を組み合わせて複数のスピンドル軸を駆動している。このため、スピンドル軸にバックラッシによるずれや同時に回転する加工スピンドル軸以外のスピンドル軸での発熱や振動が伝わり、高精度な加工ができない。1つのモータとベルト機構を組み合わせる場合も同様である。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、高精度な加工を行うことができる回転工具装置および工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る回転工具装置は、
主軸により保持されたワークを加工する回転工具を保持する工具保持部と、
先端に前記工具保持部が装着可能に形成されるスピンドル軸と、
前記スピンドル軸の基端に出力軸が直接的に連結され、前記スピンドル軸を前記工具保持部とともに軸回転させるモータと、
前記モータを支持し、複数の前記スピンドル軸が互いに平行をなすように並べられた状態で収容され、軸回転可能に前記スピンドル軸を収容する1つの筐体と、を備え、
前記モータは、複数とされ、複数の前記スピンドル軸の各々に前記回転工具に応じた仕様で設けられ、
前記回転工具の刃先は、前記主軸により保持された前記ワークの軸方向と前記回転工具の複数軸方向との相対移動により、前記ワークに接触させて加工する、
回転工具装置。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る工作機械は、
回転工具装置と、
前記ワークを軸回転可能に保持する前記主軸と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度な加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略正面の部分断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る工作機械の概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る回転工具装置を拡大した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る回転工具装置および工作機械について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、鉛直方向を「Y軸方向」とし、ワークの中心線に沿った水平方向を「Z軸方向」とし、Y軸及びZ軸方向に垂直な水平方向を「X軸方向」とする。
【0011】
工作機械1は、
図1及び
図2に示すように、例えばワークを加工するNC(Numerical Control)旋盤として構成される。工作機械1は、工作機械1全体の台であるベッドSと、主軸ユニット10と、Z軸移動機構20と、工具機構30と、回転工具装置50と、工作機械1を制御する制御部90と、を備える。
【0012】
(主軸ユニット10)
主軸ユニット10は、
図1及び
図2に示すように、ワークの前面(+Z側に向く面)及び側面を加工するための機構である。主軸ユニット10は、ワークを回転可能に保持する主軸11と、主軸11を回転可能に支持する主軸台12と、を備える。主軸11は、ワークを保持するチャックを先端に備える。主軸台12は、チャックで保持したワークを回転させる主軸回転用モータを内蔵する(図示せず)。主軸ユニット10は、主軸台12をZ軸方向に移動させるZ軸移動機構20を備える。
【0013】
Z軸移動機構20は、
図1に示すように、ベッドS上にZ軸方向に沿ってレール21が取り付けられ、主軸台12がレール21に沿って移動可能とされる。Z軸移動機構20は、Z軸用モータ21bによりボールねじ21aを回転させることで、ナット12a(
図2参照)とともに主軸台12をZ軸方向に移動させる。これにより、主軸11がベッドSに対してZ軸方向に移動する。
【0014】
(工具機構30)
工具機構30は、
図1及び
図2に示すように、主軸ユニット10により把持されたワークに対して工具ユニット31,32の工具31a,32aをX軸方向及びY軸方向に移動させる機構である。
【0015】
工具機構30は、ベッドSに固定された固定台41と、工具ユニット31,32と、工具ユニット31,32をX軸方向に移動させるX軸移動機構33と、工具ユニット31,32を高さ方向に沿うY軸方向に移動させるY軸移動機構34と、固定台41に固定されるガイドブッシュ装置80と、を備える。
【0016】
固定台41は、
図1及び
図2に示すように、主軸11の中心軸Aに沿う方向に貫通する空洞部41aを有する。
固定台41には、X軸移動機構33と、X軸移動機構33を介してY軸移動機構34とが設けられる。X軸移動機構33及びY軸移動機構34は、Z軸移動機構20と同様に、モータ、ボールねじ及びナットにより構成される。
【0017】
工具ユニット31,32は、
図2及び
図3に示すように、Y軸移動機構34の
図3における左右箇所に配置されて構成される。工具ユニット31,32は、主軸11が把持するワークをX軸方向において両側から挟み込むように位置する。工具ユニット31,32には、複数の工具31a,32aと、複数の工具31a,32aをX軸方向に沿うように保持する刃物台31b,32bと、を備える。刃物台31b、32bには、複数の工具31a,32aがY軸方向に櫛状に並べられて設けられている。それぞれの工具31a,32aは、例えばバイトなどで構成される。
【0018】
Z軸移動機構20、X軸移動機構33又はY軸移動機構34は、制御部90による制御のもと、工具31a,32aを主軸11により回転されるワークの軸線(Z軸方向)に対して交わる方向を向くように移動させることによりワークの加工を行う。
【0019】
固定台41の空洞部41aには、ガイドブッシュ装置80が配置される。ガイドブッシュ装置80は、主軸11の移動に伴いワークの保持および移動を補助する。ガイドブッシュ装置80は、加工するワークに合わせて適宜変更することができる。
【0020】
(回転工具装置50)
回転工具装置50は、
図1、
図3及び
図4に示すように、工具ユニット31の下方のY軸移動機構34に設けられ、自身が回転する回転工具51によってワークを加工する。回転工具51は、例えばドリル、タップ、フライスなどで構成される。
【0021】
回転工具装置50は、主軸11により保持されたワークを加工する回転工具51を保持する工具保持部52と、先端53aに工具保持部52が装着可能に形成されるスピンドル軸53と、スピンドル軸53の基端53bに直接的に連結され、スピンドル軸53を工具保持部52とともに軸回転させる工具回転用モータ(モータ)54と、工具回転用モータ54を支持し、回転工具51の刃先が主軸11により保持された主軸11の中心軸(ワークの軸線)Aに交わる方向を向くように、軸回転可能にスピンドル軸53を収容する筐体55と、を備える。
【0022】
回転工具装置50は、Y軸移動機構34の工具ユニット31の下方に筐体55が固定される。筐体55には、スピンドル軸53がX軸方向に沿う水平方向に平行に配置され、複数本(図示例では、2本)のスピンドル軸53がY軸方向(上下方向)に並べられている。これにより、筐体55に取り付けた回転工具51の刃先は、主軸11の中心軸Aと直交する方向(X軸方向)を向くように配置される。
【0023】
各スピンドル軸53は、筐体55に回転可能に支持されている。筐体55には、X軸方向に間隔をあけて複数の軸受55aが設けられている。各スピンドル軸53は、複数の軸受55aによりスピンドル軸53の中心軸の振れ、加工にともなう回転荷重やスラスト荷重が支持される。
【0024】
各スピンドル軸53の先端53aには、工具保持部52が着脱可能に取り付けられており、工具保持部52に回転工具51が固定される。工具保持部52及び回転工具51は、1つの工具ユニットを構成する。複数の種類の工具ユニットのうちからいずれかが選択的にスピンドル軸53の先端53aに装着される。
【0025】
各スピンドル軸53の基端53bには、
図4に示すように、工具回転用モータ54のモータ出力軸54aが連結用カップリング54bを介して直接的に連結されている。スピンドル軸53の基端53bは、スピンドル軸53の本体部よりも小径の円柱状をなす。モータ出力軸54aは、スピンドル軸53の基端53bと同一径の円柱状をなす。連結用カップリング54bは、円筒状をなす。連結用カップリング54bの一端側の内部には、スピンドル軸53の基端53bが固定され、連結用カップリング54bの他端側の内部には、モータ出力軸54aが固定される。すなわち、工具回転用モータ54は、スピンドル軸53の本数に応じて同数用意され、歯車機構やベルト機構などの駆動力伝達機構を介せずに連結用カップリング54bのみを介して直接スピンドル軸53を駆動する。これにより、工具保持部52とともに、装着された回転工具51を独立した別々の工具回転用モータ54で軸回転させる。
【0026】
工具回転用モータ54は、筐体55への取り付けスペースなどを確保するため小型なモータが好ましく、同期電動機や誘導電動機などの交流電動機や直流電動機が回転工具51に応じて用いられる。
また、各スピンドル軸53にそれぞれ独立した工具回転用モータ54を設けることから、それぞれが異なる仕様のモータであっても良く、使用する回転工具51に応じて回転数や出力が異なるものを適宜選択して設ける。工具回転用モータ54は、例えば回転数が5000rpmのものと、高速回転用の20000rpmのものとで構成することもできる。
【0027】
このような回転工具装置50では、回転工具51を軸回転する工具回転用モータ54を各スピンドル軸53に独立したモータとしてダイレクトに連結しているので、各工具回転用モータ54をコンパクトのものにでき、回転工具装置50自体もコンパクトにすることができる。また、歯車機構やベルト機構などの駆動力伝達機構を使用しないので、バックラッシュや振動の伝達を抑えることができ、高精度な加工ができる。また、加工に用いる回転工具51以外の回転工具51を停止したままにでき、振動や発熱の影響もなく、高精度の加工ができる。また、1台のモータで複数の回転工具51を駆動する場合には、歯車機構やベルトとプーリによるベルト機構で回転数などが規制され回転数の変更が不可能に近くなるのに対し、回転工具51に応じた回転工具用モータ54を用いることで回転数の選択が可能であり、加工可能な範囲を拡大することもできる。
【0028】
回転工具装置50は、上記のように、Y軸移動機構34に筐体55を固定することで、X軸方向及びY軸方向に移動可能に構成したが、さらに、Y軸移動機構34に対して筐体55を、例えば、鉛直軸回りに回転させる回転軸を備えた回転位置調整部(図示しない)を設けるようにすることもできる。これにより、回転工具51の向きを主軸11の中心軸(ワークの軸線)A及び回転工具51の延びる方向(スピンドル軸53の中心軸の方向)に交わる方向(例えば、Y軸に平行な鉛直軸方向)の回転軸を中心に筐体55を回転することが可能となり、回転工具51の刃先を、X軸及びZ軸で形成される水平面上で回転させて向きを調整することができる。これにより、回転工具装置50により加工可能となる範囲を拡大することができる。
【0029】
(制御部90)
制御部90は、工作機械1全体を制御するものであり、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)と、を備える。なお、制御部90は、
図1などに模式的に示した。
【0030】
制御部90は、図示しない操作部から供給されたNC(Numerical Control)プログラムに従って各部を数値制御する。制御部90は、数値制御によって主軸11、Z軸移動機構20、工具機構30、X軸移動機構33、Y軸移動機構34および回転工具装置50を制御する。
【0031】
次に、工作機械1によるワークの加工の一例について説明する。
工具機構30による加工では、制御部90による数値制御により、
図1及び
図2に示すように、主軸11を介してワークを把持しつつ軸回転させた状態で、工具機構30を介して工具31a,32aの刃先をワークに接触させ、Z軸移動機構20を介してワークをZ軸方向に送る。これにより、ワークの加工が行われる。
【0032】
回転工具装置50による加工では、制御部90による数値制御により、
図1及び
図2に示すように、主軸11を介してワークを把持しつつ軸回転させた状態、あるいは主軸11を固定した状態で、回転工具装置50の加工に用いる回転工具51のみの工具回転用モータ54を回転させ、回転工具51の刃先をワークに接触させ、Z軸移動機構20、X軸移動機構33及びY軸移動機構34によりワークのZ軸方向の送り、回転工具51のX軸方向及びY軸方向の移動を組み合わせる。これにより、回転工具51によるワークの加工が行われる。
回転工具装置50による加工では、回転工具51としては、ドリル、タップ、フライスなどが使用される。
【0033】
これらの工具機構30による加工と回転工具装置50による加工は、第1の加工とこれに続く第2の加工として組わせて行われたり、それぞれが独立した加工として行われる。加工が完了すると、ワークを図示しないシュートに落下させて、加工済みのワークを工作機械1から排出する。このようにして工作機械1によるワークの加工が行われる。
【0034】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)回転工具装置50は、主軸11により保持されたワークを加工する回転工具51を保持する工具保持部52と、先端53aに工具保持部52が装着可能に形成されるスピンドル軸53と、スピンドル軸53の基端53bに直接的に連結され、スピンドル軸53を工具保持部52とともに軸回転させる工具回転用モータ(モータ)54と、工具回転用モータ54を支持し、回転工具51の刃先が主軸11により保持された主軸11の中心軸(ワークの軸線)Aに交わる方向を向くように、軸回転可能にスピンドル軸53を収容する筐体55と、を備える。
この構成によれば、回転工具51が先端53aに保持されるスピンドル軸53の基端53bに工具回転用モータ54を直接的に連結することにより、歯車機構やベルト機構を介して回転工具51を軸回転する場合に生じるバックラッシュ、振動及び発熱などの影響を抑えて回転工具51で加工することができる。これにより、高精度の加工を行うことができ、主軸11の回転と同期させて行うポリゴン加工やギア加工などの加工も高精度に行うことができる。また、歯車機構やベルト機構を使用しないことから回転工具装置50をコンパクトにすることができる。
【0035】
(2)複数のスピンドル軸53は、1つの筐体55に互いに平行をなすように並べられた状態で収容され、工具回転用モータ54は、複数とされ、複数のスピンドル軸53の各々に設けられる。
この構成によれば、各スピンドル軸53を独立した別々の工具回転用モータ54で駆動することで、加工に用いる回転工具51以外の工具回転用モータ54を停止しておくことができ、加工する回転工具51以外からの振動や発熱の影響がなく、高精度に加工することができる。また、回転工具51に応じて工具回転用モータ54を小型のモータにすることができ、回転工具装置50をコンパクトにすることができる。また、工具回転用モータ54を回転工具51に応じて異なる仕様のものとすることができ、適切な仕様のもので高精度の加工を行うことができる。
【0036】
(3)工作機械1は、回転工具装置50と、ワークを軸回転可能に保持する主軸11と、を備える。
この構成によれば、回転工具51が先端53aに保持されるスピンドル軸53の基端53bに工具回転用モータ54を直接的に連結することで、歯車機構やベルト機構を介して回転工具51を軸回転する場合に生じるバックラッシュ、振動及び発熱などの影響を抑えて回転工具51で加工することができる。これにより、高精度の加工を行うことができ、主軸11の回転と同期させて行うポリゴン加工やギア加工などの加工も高精度に行うことができる。また、歯車機構やベルト機構を使用しないことから回転工具装置50をコンパクトにでき、工作機械1もコンパクトにすることができる。これにより、精度の高いワークの加工を実現することができる。
【0037】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0038】
(変形例)
上記実施形態においては、工作機械1は、主軸11により保持されたワークを回転工具装置50の回転工具51で加工するように構成したが、主軸11に加えて主軸11と対向して第2主軸を設けるようにしても良い。これにより、主軸11によりワークの前面を加工するのに加えて第2主軸にワークを受け渡すことによりワークの背面を回転工具装置50で加工することができる。
【0039】
上記実施形態においては、工作機械1は、ガイドブッシュ装置80を設けて主軸11の移動に伴いワークの保持及び移動を補助するようにしたが、主軸11が移動せずワークを支持する必要がない場合には、ガイドブッシュ装置80に代えてガイドブッシュレス用カバーを備えてもよい。ガイドブッシュレス用カバーは、固定台41の空洞部41aに配置され、ワークとは接触しないように設けられる。
このように、工作機械1にガイドブッシュレス用カバーが設けられた場合であっても、上記実施形態と同様に回転工具装置50で加工が行われ、同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
上記実施形態においては、工作機械1は、回転工具装置50とともに工具ユニット31,32を含む工具機構30を備えていたが、工具機構30に代えて、又は工具機構30とともに、工具ユニットの一例であるタレット装置を備えていてもよい。回転軸回りに回転するタレットに複数の工具を交換可能に設け、タレットを回転して複数の工具を選択して加工する。このように、工作機械1にタレット装置が設けられた場合であっても、上記実施形態と同様に回転工具装置50で加工が行われ、同様の作用効果を奏することができる。
【0041】
上記実施形態における工作機械1は、少なくとも回転工具装置50を備えれば良く、工具機構30の一方または両方を省略してもよい。
【0042】
上記実施形態において、工作機械1を作業者が操作部から行っている作業の少なくとも一部は、作業者の代わりに、制御部90による制御のもと作業ロボットが行ってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…工作機械、10…主軸ユニット、11…主軸、12…主軸台、12a…ナット、20…Z軸移動機構、21…レール、21a…ボールねじ、21b…Z軸用モータ、30…工具機構、31,32…工具ユニット、31a,32a…工具、31b、32b…刃物台、33…X軸移動機構、34…Y軸移動機構、41…固定台、41a…空洞部、50…回転工具装置、51…回転工具、52…工具保持部、53…スピンドル軸、53a…先端、53b…基端、54…回転工具用モータ、54a…モータ出力軸、54b…連結用カップリング、55…筐体、55a…軸受、80…ガイドブッシュ装置、90…制御部、A…主軸の中心軸(ワークの軸線)、S…ベッド