(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムおよび逆洗方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/72 20220101AFI20240222BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20240222BHJP
B01D 46/04 20060101ALI20240222BHJP
B01D 46/71 20220101ALI20240222BHJP
【FI】
B01D46/72
B01D46/42 Z
B01D46/04 103
B01D46/71
(21)【出願番号】P 2020049994
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093388
【氏名又は名称】鈴木 喜三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】榎森 正晃
(72)【発明者】
【氏名】古閑 邦彦
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-072946(JP,A)
【文献】特開2004-057840(JP,A)
【文献】特開平08-155235(JP,A)
【文献】特開平09-206536(JP,A)
【文献】特開2014-180619(JP,A)
【文献】特開2005-349246(JP,A)
【文献】特開2007-175635(JP,A)
【文献】特開平04-326916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B01D 39/00-41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するためのろ過材の逆洗システムであって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、
前記主機を構成する容器の
気体排出側の内圧を検出する主機内圧センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続されて、
逆洗用高圧気体タンク内圧センサを有する逆洗用高圧気体タンクを備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値の差信号を生成する差圧信号生成装置の出力信号を入力として前記逆洗用高圧気体タンクへの高圧気体の供給を調整するための
複数並列設置した高圧気体圧力調整弁の開閉指令信号を演算する制御装置を備え、
前記
逆洗浄用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記主機を構成する容器の内部状態に応じた当該容器の
気体排出側の内圧との差圧が規定範囲となるように高圧気体を前記逆洗用高圧気体タンクに供給することにより、前記高圧気体の前記逆洗用高圧気体タンクへの供給を適性値に維持することを特徴とするろ過材の逆洗システム。
【請求項2】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するためのろ過材の逆洗システムであって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、
前記主機を構成する容器の
気体排出側の内圧を検出する主機内圧センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続された逆洗用高圧気体タンクと、
前記逆洗用高圧気体タンクと高圧気体供給路の間に設けた差圧弁と、
前記主機と差圧弁の調整入力端を連通する比較用圧力導圧管を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と
前記主機内圧センサの検出値との差圧が規定範囲となるように高圧気体を前記逆洗用高圧気体タンクに供給して前記主機を構成する容器の内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンクへの前記高圧気体の供給を適性値に維持することを特徴とするろ過材の逆洗システム。
【請求項3】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するためのろ過材の逆洗システムであって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、
前記容器の
気体排出側の内圧を検出する主機内圧センサと、前記容器の内部温度を検出する機内温度センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続されて、逆洗用高圧気体タンク内圧センサを有する逆洗用高圧気体タンクを備え、
前記逆洗用高圧気体タンクと、当該逆洗用高圧気体タンクに高圧気体を供給する高圧気体供給路の間に設けた高圧気体供給調節弁、および前記洗浄用高圧気体タンクから高圧気体の一部を外部又は前記主機内に開放する高圧気体開放調節弁を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値、および前記機内温度センサの検出値を入力して前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁の調整を行うための弁制御信号を演算して前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁に与える制御装置を備え、
前記制御装置には、前記主機内圧力と前記機内温度に対応した最適逆洗浄用気体圧力値の範囲を設定したテーブルを有し、
前記制御装置は、前記主機内圧センサの検出値、および前記機内温度センサの検出値に対応する前記テーブルの設定値を参照して最適逆洗用高圧気体圧力を演算し、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記最適逆洗用高圧気体圧力との偏差を小さくする弁制御信号を用いて前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁を制御することで、逆洗用高圧気体の圧力と容器の圧力との差圧を適性値に確保することを特徴とするろ過材の逆洗システム。
【請求項4】
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記容器の
気体排出側の内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機については、前記高圧気体圧力調整弁を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置してなることを特徴とする請求項1に記載のろ過材の逆洗システム。
【請求項5】
前記容器の内圧の変動幅が大きい主機については、前記差圧弁を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置してなることを特徴とする請求項2に記載のろ過材の逆洗システム。
【請求項6】
前記
逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記
主機内圧センサの内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機については、前記差圧弁を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置してなることを特徴とする請求項2に記載のろ過材の逆洗システム。
【請求項7】
前記
主機内圧センサの内圧の変動幅が大きい主機については、前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置してなることを特徴とする請求項3に記載のろ過材の逆洗システム。
【請求項8】
前記
逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記
主機内圧センサの内圧との差圧変動許容幅が狭い主機については、前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置してなることを特徴とする請求項3に記載のろ過材の逆洗システム。
【請求項9】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するための洗浄を行うろ過材の逆洗方法であって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、前記主機を構成する容器の
気体排出側の内圧を検出する主機内圧センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続されて、内圧センサを有する逆洗用高圧気体タンクとを備え、
前記
逆洗用高圧気体タンクの内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値の差信号を生成する差圧信号生成装置の出力信号を入力として前記逆洗用高圧気体タンクへの高圧気体の供給を調整するための
複数並列設置した高圧気体圧力調整弁の開閉指令信号を演算する制御装置を備え、
前記制御装置に、予め前記逆洗用高圧気体タンクの内圧と前記容器の内圧との差圧の許容値を設定し、
前記制御装置は、前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値との差圧が前記許容値の範囲内に納まるよう弁開閉指令信号を生成し、
前記逆洗用高圧気体タンクへの高圧気体の供給を調整するための高圧気体圧力調整弁を前記弁開閉指令信号で制御することにより、逆洗用高圧気体の圧力と容器の圧力との差圧を適性値に維持して前記ろ過材の洗浄を行うことを特徴とするろ過材の逆洗方法。
【請求項10】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するための洗浄を行うろ過材の逆洗方法であって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、前記主機を構成する容器の内圧を検出する主機内圧センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続された逆洗用高圧気体タンクと、前記逆洗用高圧気体タンクと高圧気体供給路の間に設けた差圧弁と、前記主機と前記差圧弁の調整入力端を連通する比較用圧力導圧管を備え、
前記逆洗用高圧気体タンクの内圧センサの検出値と前記主機を構成する
容器における気体排出側の内圧センサの検出値との差圧が規定範囲となるように高圧気体を前記逆洗用高圧気体タンクに供給して前記主機を構成する容器の内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンクへの前記高圧気体の供給を適性値に維持することを特徴とするろ過材の逆洗方法。
【請求項11】
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材を内装した容器からなる主機を有する固気分離装置の前記ろ過材の目詰まりを防止するためのろ過材の逆洗方法であって、
前記主機を構成する容器に内装された前記ろ過材への含塵気体の導入側とは反対側から高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズルと、前記容器の
気体排出側の内圧を検出する主機内圧センサと、前記容器の内部温度を検出する機内温度センサを有し、
前記高圧気体噴射ノズルとは高圧気体弁を介して接続されて、逆洗用高圧気体タンク内圧センサを有する逆洗用高圧気体タンクを備え、
前記逆洗用高圧気体タンクと、当該逆洗用高圧気体タンクに高圧気体を供給する高圧気体供給路の間に設けた高圧気体供給調節弁、および前記洗浄用高圧気体タンクから高圧気体の一部を外部又は前記主機内に開放する高圧気体開放調節弁を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値、および前記機内温度センサの検出値を入力して前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁の調整を行う弁制御信号を演算して前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁に与える制御装置を備え、
前記制御装置に、前記主機内圧力と前記機内温度に対応した最適逆洗浄用気体圧力値の範囲を設定したテーブルを有し、
前記制御装置は、前記主機内圧センサの検出値、および前記機内温度センサの検出値に対応する前記テーブルの設定値を参照して最適逆洗用高圧気体圧力を演算し、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサの検出値と前記最適逆洗用高圧気体圧力との偏差を小さくする弁制御信号を用いて前記高圧気体供給調節弁と前記高圧気体開放調節弁を制御することで、逆洗用高圧気体の圧力と容器の圧力との差圧を適性値に維持することを特徴とするろ過材の逆洗方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はろ過材を用いた固気分離技術に係り、特に処理対象である含塵気体から固体を分離除去するために用いるろ過材に捕集された固体(主として粉体、以下固体)を取り除く“逆洗”を行うための逆洗システムおよび逆洗方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所謂、逆洗は固気分離装置の主機を構成する容器内で処理対象である含塵気体の通過路に設けた濾材(フィルタ)に捕集された固体を取り除く処理である。すなわち、容器内に設置したろ過材の二次側(クリーン側)から一次側(ダスティー側)の領域に向けて前記含塵気体の通過方向とは逆方向に高圧気体を噴射させることでろ過材に捕集されている固体を除去するものである。
【0003】
逆洗はろ過材の目詰まり発生を検知した場合は随時に、あるいは処理対象である含塵気体の特性を考慮して定期的に実施される。なお、ろ過材にはリジッドな濾材や織布状濾材など、多様な素材と形状のものがある。バッグ(袋)型フィルタを用いたものでは、逆洗用高圧気体の吹込みによるろ過材の急激な動きで付着した固体を払い落とす効果を有するものもある。いずれの形式のろ過材でも、逆洗は処理対象である含塵気流の流通方向とは逆方向に高圧の気体を吹き込んでろ過材の表面(特に一次側)に付着した固体を除去するものである。
【0004】
この種の逆洗技術に関連する公知技術としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等を挙げることができる。特許文献1は、逆洗用空気のバッファタンク圧力と機内圧力(ろ過材収容容器の内圧)に相当するとみられる排出管圧力を制御装置に取り込み、含塵ガス(含塵気体)と排出ガスとの差圧を用いて逆洗用弁を調節するようにしたろ過装置の逆洗方法および逆洗装置を開示する。
【0005】
特許文献2は、フィルタの前後(一次側と二次側)の圧力と温度、並びに逆洗空気の圧力、温度および流量を用いてフィルタの圧損係数を算出し、設定圧損係数との比較で逆洗機構を作動させるようにした集塵装置におけるフィルタの逆洗方法を開示する。
【0006】
特許文献3は、フィルタの流通抵抗に応じてフィルタへの空気噴出量を変更するバッグ式集塵機を開示する。
【0007】
特許文献4には、ガス溜め空間の上流側に低応答速度弁で逆洗空気を溜め、下流側の高応答速度弁で短時間で空気を噴出させるようにした高温ガス除塵機の逆洗装置および方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3702254号公報
【文献】特開平09-206536号公報
【文献】特開2007-175635号公報
【文献】特許第3128261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術の何れも、後述する特許請求の範囲の記載で特定される本発明を想起にする内容を開示しない。すなわち、先行技術はろ過材の圧損に応じて逆洗したり(特許文献1~3)、機内圧力を考慮せずに逆洗したり(特許文献4)するのに対し、本発明は、機内圧力を所定差圧分だけ上回る逆洗用高圧気体をつくり、主機を構成するろ過材設置容器の状況(内圧、又は内圧と温度)変化があっても変わらないろ過材表面の洗浄効果を維持して、なお且つ当該容器に収納されるろ過材への衝撃を緩和するために、噴出させる逆洗用高圧気体の流速または噴出量を適性に調節する(最適化する)点に特徴を有するもので、このような技術思想は前記した先行技術文献の何れの開示内容からも予測できるものではない。
【0010】
ろ過材を収容して固気を分離する固気分離装置の主機を構成する容器の内圧、あるいは内圧と温度等の状態が変化すると逆洗用高圧気体の当該主機内での体積が変化する。このような状態変化を考慮することなしに前記先行技術に開示されたような技術手段のみを採用した固気分離装置では、その容器に収容したろ過材に捕集された固体の払い落とし不完全によってろ過材の目詰まりが生じて固気分離効率の低下を招き、あるいはろ過材の破損などの不具合発生の原因となる。
【0011】
本発明の目的は、上記した従来技術における不具合などを回避し、固気分離装置の主機を構成する容器の状態に応じて、逆洗用高圧気体の流速または噴出量を常に適性値に調整する最適化処理を施すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図1は本発明の原理を説明する図であり、同図(a)は第1の手段、(b)は第2の手段を示す。図中の実線矢印は計装信号を、白抜線矢印は空気の流れを表す。先ず、同図(a)に示した第1手段は固気分離装置の主機であるろ過材を収容する容器の内圧100と逆洗用高圧気体タンクの内圧200の圧力差を制御装置300で演算する。この演算出力で逆洗用高圧気体圧力の圧力調整弁400を調整して逆洗用高圧気体タンクの内圧を調整する。この調整で、主機を構成する容器のろ過材に噴射する逆洗用高圧気体の圧力を規定値の範囲に維持する。なお、以下では容器の内圧を主機の内圧と記す場合もある。
【0013】
図1の(b)は第2の手段を示し、固気分離装置の主機であるろ過材を収容する容器100の内圧(高圧気体)と逆洗用高圧気体タンク200の内圧(高圧気体)を差圧弁500に導入し、両者の差圧で高圧気体を供給する圧力調節が行われて逆洗用高圧気体のタンク200の内圧を調整する。これにより、ろ過材に噴出する逆洗用高圧気体の圧力を規定値の範囲に維持する。
【0014】
上記の原理を用いて本発明の目的を達成するため、本発明は下記に要約する代表的な具体的構成としたことを特徴とする。なお、ここでは、本発明の理解を容易にするため、発明の構成要件に後述する実施例の参照符号を付して記述するが、本発明がこれら符号を付した構成に限定解釈されるべきでないことは言うまでもない。
【0015】
(1)本発明に係るろ過材2の逆洗システムの構成:
(1-1)本システムは、処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するためのろ過材2の逆洗を行うシステムであって、
前記主機1を構成する容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材2に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、
前記主機1を構成する前記容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続されて、内圧センサ12を有する逆洗用高圧気体タンク11を備え、
前記タンク内圧センサ12の検出値と前記主機内圧センサ3の検出値の差信号を生成する差圧信号生成装置13の出力信号を入力として前記逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の供給を調整するための高圧気体圧力調整弁16の開閉指令信号を演算する制御装置14を備え、
前記タンク内圧センサ12の検出値と前記主機1を構成する容器1Aの内部状態に応じた前記容器1Aの内圧との差圧が規定範囲となるように高圧空気を前記逆洗用高圧気体タンク11に供給して前記高圧気体の前記逆洗用高圧気体タンク11への供給を適性値に維持する。
【0016】
(1-2)本システムは、処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するためのろ過材2の逆洗を行うシステムであって、
前記主機1を構成する前記容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材2に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、
前記主機1を構成する容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続された逆洗用高圧気体タンク11と、
前記逆洗用高圧気体タンク11と高圧気体供給路15の間に設けた差圧弁18と、
前記主機1と前記差圧弁18の調整入力端を連通する比較用圧力導圧管17を備え、
前記タンク内圧センサ12の検出値と前記主機1を構成する容器1Aの内圧との差圧が規定範囲となるように高圧気体を前記逆洗用高圧気体タンク11に供給して前記主機1を構成する前記容器1Aの内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンク11への前記高圧気体の供給を適性値に維持する。
【0017】
(1-3)本システムは、処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するためのろ過材2の逆洗を行うシステムであって、
前記主機1を構成する容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、
前容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3と、前記容器1Aの内部温度を検出する機内温度センサ19を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続されて、逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12を有する逆洗用高圧気体タンク11を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク11と、当該逆洗用高圧気体タンク11に高圧気体を供給する高圧気体供給路15の間に設けた高圧気体供給調節弁20、および前記洗浄用高圧気体タンク11から高圧気体の一部を外部又は前記主機内に開放する高圧気体開放調節弁21を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12の検出値と前記主機内圧センサ3の検出値、および前記機内温度センサ19の検出値を入力して前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21の調整を行う弁制御信号を演算して前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21に与える制御装置14を備え、
前記制御装置14には、前記主機内圧力と前記機内温度に対応した最適逆洗浄用気体圧力値の範囲が設定されたテーブルを有し、
前記制御装置14は、前記主機内圧センサ3の検出値(P2)、および前記機内温度センサ19の検出値に対応する前記テーブルの設定値を参照して最適逆洗用高圧気体圧力(P3)を演算し、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12(P1)の検出値と前記最適逆洗用高圧気体圧力(P3)との偏差を小さくする弁制御信号を用いて前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21を制御することで、逆洗用高圧気体の圧力と容器1Aの圧力との差圧を適性値に維持する。
【0018】
(1-4)前記(1-1)において、前記容器1Aの内圧の変動幅が大きい主機1については、前記高圧気体圧力調整弁16を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置する。
【0019】
(1-5)前記(1-1)において、前記タンク内圧センサ12の検出値と前記容器1Aの内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機1については、前記高圧気体圧力調整弁16を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置する。
【0020】
(1-6)前記(1-2)において、前記容器1Aの内圧の変動幅が大きい主機1については、前記差圧弁18を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置する。
【0021】
(1-7)前記(1-2)において、前記タンク内圧センサ12の検出値と前記容器1Aの内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機1については、前記差圧弁18を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置する。
【0022】
(1-8)前記(1-3)において、前記容器1Aの内圧の変動幅が大きい主機1については、前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置する。
【0023】
(1-9)前記(1-3)において、前記タンク内圧センサ12の検出値と前記容器1Aの内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機1については、前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置する。
【0024】
(2)本発明に係るろ過材2の逆洗方法の構成:
(2-1)
処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するための洗浄を行うろ過材2の逆洗を行う方法であって、
前記主機1を構成する容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、前記主機1を構成する容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続されて、内圧センサ12を有する逆洗用高圧気体タンク11とを備え、
前記タンク内圧センサの検出値と前記主機内圧センサの検出値の差信号を生成する差圧信号生成装置の出力信号を入力として前記逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の供給を調整するための高圧気体圧力調整弁16の開閉指令信号を演算する制御装置14を備え、
前記制御装置14に、予め前記逆洗用高圧気体タンク11の内圧(P1)と前記容器1Aの内圧(P2)との差圧の許容値を設定し、
前記制御装置14は、前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12の検出値(P1)と前記主機内圧センサ3の検出値(P2)との差圧(ΔP=P1-P2)が前記許容値の範囲内に納まるよう弁開閉指令信号を生成し、
前記逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の供給を調整するための高圧気体圧力調整弁16を前記弁開閉指令信号で制御することにより、逆洗用高圧気体の圧力と容器1Aの圧力との差圧を適性値に維持して前記ろ過材2の洗浄を行う。
【0025】
(2-2)処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するための洗浄を行うろ過材2の逆洗を行う方法であって、
前記主機1を構成する容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から当該ろ過材2に向けて高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、前記主機1を構成する容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続された逆洗用高圧気体タンク11と、前記逆洗用高圧気体タンク11と高圧気体供給路15の間に設けた差圧弁18と、前記主機1と前記差圧弁18の調整入力端を連通する比較用圧力導圧管17を備え、
前記タンク内圧センサ12の検出値と前記主機1を構成する容器1Aの内圧との差圧が規定範囲となるように高圧気体を前記逆洗用高圧気体タンク11に供給して、前記主機1を構成する前記容器1Aの内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンク11への前記高圧気体の供給を適性値に維持する。
【0026】
(2-3)処理対象として通過する含塵気体から固体を分離除去するろ過材2を内装した容器1Aからなる主機1を有する固気分離装置の前記ろ過材2の目詰まりを防止するためのろ過材の逆洗を行う方法であって、
前記主機1を構成する容器1Aに内装された前記ろ過材2への含塵気体の導入側とは反対側から高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7と、前記容器1Aの内圧を検出する主機内圧センサ3と、前記容器1Aの内部温度を検出する機内温度センサ19を有し、
前記高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続されて、逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12を有する逆洗用高圧気体タンク11を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク11と、当該逆洗用高圧気体タンク11に高圧気体を供給する高圧気体供給路15の間に設けた高圧気体供給調節弁20、および前記洗浄用高圧気体タンク11から高圧気体の一部を外部又は前記主機内に開放する高圧気体開放調節弁21を備え、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12の検出値と前記主機内圧センサ3の検出値、および前記機内温度センサ19の検出値を入力して前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21の調整を行う弁制御信号を演算して前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21に与える制御装置14を備え、
前記制御装置14に、前記主機内圧力と前記機内温度に対応した最適逆洗浄用気体圧力値の範囲を設定したテーブルを有し、
前記制御装置14は、前記主機内圧センサ3の検出値(P2)、および前記機内温度センサ19の検出値に対応する前記テーブルの設定値を参照して最適逆洗用高圧気体圧力(P3)を演算し、
前記逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12(P1)の検出値と前記最適逆洗用高圧気体圧力(P3)との偏差を小さくする弁制御信号を用いて前記高圧気体供給調節弁20と前記高圧気体開放調節弁21を制御することで、逆洗用高圧気体の圧力と容器1Aの圧力との差圧を適性値に維持する。
【0027】
なお、前記したように、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、また、後述する実施の形態で既述される構成に限定されるものでもなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変形が可能である。
【0028】
なお、前記内部状態の検出指標には、上記した機内の圧力と温度並びに逆洗用高圧気体タンク内圧以外に、含塵気体を構成する気体の種類、含塵気体に含まれる固体の種類、固体の濃度、ろ過材の差圧等があり、本発明では、これらの指標を得る各種のセンサあるいは判断入力手段と検出指標の判断入力部を内蔵させた制御装置を設置し、制御装置に少なくともこれらの指標のうち1つを関数として演算させて、前記タンク内圧センサ12の検出値と前記主機1を構成する容器1Aの内部状態(機内の圧力と温度並びに逆洗用高圧気体タンク内圧)に応じた前記容器1Aの内圧との差圧が規定範囲となるように高圧空気を前記逆洗用高圧気体タンク11に供給するよりも適切に、機内へ逆洗用高圧気体の供給を行うよう制御するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0029】
固気分離装置の主機を構成するろ過材を収容した容器(以下、機内とも称する)の状態(内圧や温度など)が変化すると、逆洗用高圧気体の機内での体積が変りろ過材に対する逆洗用高圧気体の噴出強度(噴出流速または逆洗用気体の積算体積を意味する噴出量)が変化する。その結果、ろ過材の洗浄不足やろ過材の破損などの不具合をもたらす。
【0030】
上記本発明によれば、逆洗用の高圧気体の圧力を機内の状態に応じて逆洗用高圧気体の圧力と容器の圧力との差圧を適性値に維持することで、ろ過材に捕集された固体を十分に除去でき、差圧不足による固体の残留、過度な差圧が印加されることによるろ過材の破損を回避してメンテナンスコストの低減を実現できると共に、高い効率で固気分離を可能とした固気分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例1を説明する模式図
【
図3】本発明の実施例1に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の許容範囲の一例の説明図
【
図4】本発明の実施例1に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図
【
図5】高圧気体圧力調整弁の設置数の違いによる制御効果の説明図
【
図6】逆洗用高圧気体圧力と機内圧力の差(差圧ΔP)の変動許容幅が大きいとき(a)と小さいとき(b)の制御効果を説明する図
【
図7】本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例2を説明する模式図
【
図8】本発明の実施例2に係る差圧弁の二次側(逆洗用高圧気体圧力)の特性を説明する図
【
図9】本発明の実施例2に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図
【
図10】本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例3を説明する模式図
【
図11】本発明の実施例3に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の目標値を段階的に算出するための参照テーブルの一例を説明する図
【
図12】本発明の実施例3に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の目標値を連続的に算出するための3次元参照テーブルの一例を説明する図
【
図13】本発明の実施例3に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、固気分離装置の主機を構成するろ過材収容容器の状態に応じて、逆洗用高圧気体の噴出強度である流速または逆洗用気体の積算体積を意味する噴出量を常に適性値に調整する最適化処理を施すことにある。以下、本発明の実施の形態を実施例の図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0033】
図2は、本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例1を説明する模式図である。この固気分離装置1は、含塵気体の導入口4と固体排出口5および気体排出口6の内部にろ過材2を設置した容器1Aと逆洗用高圧気体タンク11および制御装置14を備える。
容器1Aの内部に設置されるろ過材2は、含塵気体の導入口4から導入される含塵気体から固体を捕集する。固体が除去された気体は気体排出口6から排出される。すなわち、ろ過材2の含塵気体流入側である一次側に固体が捕集され、二次側に気体が通過する。
【0034】
容器1Aの内部で、ろ過材2の二次側には逆洗用の高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7が設けてある。この高圧気体噴射ノズル7は逆洗用弁8を通して逆洗用高圧気体タンク11に接続されている。逆洗用高圧気体タンク11には高圧気体圧力調整弁16(本実施例では二つの圧力調節弁16a、16b)を介して高圧気体供給路(管)15を通して高圧気体が供給される。高圧気体は、典型的には空気であるが、可燃性が高い含塵気体である場合は窒素ガスを用いる場合もある。
【0035】
容器1Aには、その内圧を検出する主機内圧センサ3が設置されている。また、逆洗用高圧気体タンク11にもその内圧を検出する逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12が設置されている。なお、圧力調整弁は、必要に応じて複数個(2、3、・・・n)設置するが、
図2には2個のみ図示してある。
逆洗用高圧気体タンク内圧センサ12の検出信号P1(逆洗用高圧気体タンクの内圧)は差圧信号生成装置13の一方の入力に接続される。
主機内圧センサ3の検出信号P2は差圧信号生成装置13の他方の入力に接続される。
【0036】
差圧信号生成装置13は、検出信号P1と検出信号P2の差圧(ΔP=P1-P2)信号を生成し、これを制御装置14に入力する。制御装置14は後述する
図3のテーブルを参照して高圧気体噴射ノズル7に与える逆洗用高圧気体の圧力を許容範囲内となるように上記差圧信号に基づいて弁開閉指令信号を生成する。この弁開閉指令信号は、
図3のテーブルに基づいて生成される段階的な制御信号として高圧気体圧力調整弁16に与えられる。高圧気体圧力調整弁16は、高圧気体供給路15を通して逆洗用高圧気体タンク11に供給される高圧気体の供給を制御する。
【0037】
図3は、本発明の実施例1に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の許容範囲の一例の説明図である。この図は制御装置のメモリに登録されている参照テーブルの一例である。同図では、主機内(容器1A内)の温度を一定とし、ΔP=P1-P2=200kPaが適性差圧として、
ΔPの許容幅を±100kPa、
高圧気体供給元圧力=600kPa(G)、
P2の変動幅を0kPa~200kPa(G)、
圧力調節弁16aの圧力調整値を200kPa(G)、
圧力調節弁16bの圧力調整値を400kPa(G)、
とする。
【0038】
そして、主機内圧力が0kPa(G)~100kPa(G)の時は圧力調節弁16a1を開、開閉弁16a2を開とする。
主機内圧力が100kPa(G)~200kPa(G)の時は圧力調節弁16b1を開、開閉弁16b2を開とする。
圧力調節弁16a1、16b1は例えば減圧弁、開閉弁16a2、16b2は電磁弁が好適である。なお、逆洗用高圧気体タンク11と高圧気体噴射ノズル7を繋ぐ高圧気体弁8も電磁弁が好適である。
【0039】
図4は、本発明の実施例1に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図である。
図4中に破線で示す処理手順は
図2の制御装置14が実行する。制御装置は演算装置(CPU)、メモリ(RAM、ROM)、データ入出力に必要なインターフェース等を備えた情報処理装置であり、通称パソコンと称するものやPLC(プログラマブルコントローラ)等を用いることができる。メモリには入力したデータに基づいて所要の制御信号を生成するプログラムが格納されている。
【0040】
固気分離装置が作動を開始(START)すると、制御装置14は内圧センサ3と12の検出データを取り込む(ステップ1、以下S-1のように表記)。逆洗用高圧空気タンクの内圧をP1(
図4では逆洗気体圧力と表記)、主機1の容器1Aの内圧(
図4では機内圧力と表記)をP2とする。
【0041】
制御装置14のメモリ(ROMまたはRAM)には、予め前記
図3で説明したテーブルのデータに基づいた複数の圧力範囲が設定されている。本実施例での設定例は次のとおりである。
設定1:0~αkPa
設定2:α~βkPa
設定3:β~γkPa
・ ・kPa
・ ・kPa
・ ・kPa
設定n:Ψ~ωkPa
【0042】
取り込んだ容器1Aの内圧P2が設定値1の場合は(S-2)が選択され、以降は次のフローとなる。制御装置14は、開閉弁1(
図2の圧力調節弁16aの電磁弁16a2)の開指令信号を出力する(S-3)→開閉弁開16a2(S-4)→圧力調節弁16a1で設定された圧力が逆洗用高圧気体タンク11に供給(S-5)→逆洗用高圧気体タンク11は適性範囲内の逆洗用の高圧気体圧力に維持される(S-6)。
【0043】
取り込んだ容器1Aの内圧P2が設定値2の場合は(S-7)が選択され、以降は次のフローとなる。制御装置14は、開閉弁2(
図2の圧力調節弁16bの電磁弁16b2)の開指令信号を出力する(S-8)→開閉弁開16b2(S-9)→圧力調節弁16b1で設定された圧力が逆洗用高圧気体タンク11に供給(S-10)→逆洗用高圧気体タンク11は適性範囲内の逆洗用の高圧気体圧力に維持される(S-6)。
【0044】
取り込んだ容器1Aの内圧P2が設定値nの場合は(S-11)が選択され、以降は次のフローとなる。制御装置14は、開閉弁n(
図2には図示を省略したが、圧力調節弁16nの電磁弁16n2)の開指令信号を出力する(S-12)→開閉弁開16n2(S-13)→圧力調節弁16n1で設定された圧力が逆洗用高圧気体タンク11に供給(S-14)→逆洗用高圧気体タンク11は適性範囲内の逆洗用の高圧気体圧力に維持される(S-6)。
【0045】
制御装置14は、以上説明した手順で高圧気体噴射ノズル7からろ過材2が設置された容器1Aに高圧気体を噴射することで、ろ過材に捕集された固体を十分に除去し、かつ当該ろ過材へのダメージを回避することができる。
なお、逆洗用弁8は逆洗時に開放され、固気分離操作中は閉止される開閉弁である。
【0046】
なお、前記容器1Aの内圧の変動幅が大きい主機1については、前記高圧気体圧力調整弁16を当該変動幅の大きさに応じて複数並列設置できる。
図5は高圧気体圧力調整弁の設置数の違いによる制御効果の説明図で、斜め破線は変動許容幅を示す。
図3の実施例では逆洗用高圧気体圧力を2つの高圧気体圧力調整弁16により、ろ過式固気分離装置機内圧力の0~200kPaGに応じて2段階に分けている。
図5のαで示したのが2つの高圧気体圧力調整弁を用いた場合での機内圧力P2と逆洗用高圧気体タンク内圧P1の圧力変化の関係である。これに対し、
図5のβに示したように、例えば、ろ過式固気分離装置機内圧力が0~300kPaGである場合、3つの高圧気体圧力調整弁16を使ってろ過式固気分離装置機内圧力を3段階に分け、これに応じて逆洗用高圧気体圧力を変化させるようにすれば、2段階の場合よりも、ろ過式固気分離装置機内圧力に応じた逆洗用高圧気体圧力の緩慢な変化や急激な変化を抑制して、ろ過材での固体の残留や過度な差圧によるろ過材への衝撃をなくす効果が期待できる。
【0047】
すなわち、βで示した3段階制御での機内圧力変化(P2a、P2c)での逆洗用高圧気体タンク内圧変化(P1a→P1c、P1c→P1e)は、αで示した2段階制御での機内圧力変化(P2b)での圧力変化(P1b→P1d)よりも小さく、機内圧力変化に応じて変動許容幅以内に逆洗用高圧気体タンク内圧を制御し易い。そして、3段階制御での逆洗用高圧気体タンク内圧変化が2段階制御での逆洗用高圧気体タンク内圧変化よりも小さく、急激な機内圧力変化が緩和される。
【0048】
また、前記タンク内圧センサ12の検出値と前記容器1Aの内圧との差圧の変動許容幅が狭い主機1については、前記高圧気体圧力調整弁16を当該変動許容幅の程度に応じて複数並列設置できる。
図6は逆洗用高圧気体圧力と機内圧力の差(差圧ΔP)の変動許容幅が大きいときを同図(a)に、小さい時を同図(b)に示す。
図6の(a)と(b)の比較から、差圧ΔPの変動許容幅が狭いと、一層ろ過式固気分離装置機内圧力に応じて逆洗用高圧気体圧力を追従させる必要があるので、差圧の変動許容幅に応じた数の前記高圧気体圧力調整弁16を使用する。
【0049】
実施例1によれば、ろ過材に捕集された固体を十分に除去でき、差圧不足による固体の残留、過度な差圧が印加されることによるろ過材の破損を回避してメンテナンスコストの低減を実現できると共に、高い効率で固気分離を可能とした固気分離装置を提供することができる。
【実施例2】
【0050】
図7は、本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例2を説明する模式図である。本実施例の固気分離装置は、その主機1を構成する容器1Aの構成および高圧気体噴射ノズル7に逆洗用弁8を介して逆洗用高圧気体タンク11を接続した構成は前記した実施例1と同じである。実施例2では、高圧気体供給路15と逆洗用高圧気体タンク11の間に差圧弁18を設けている。
【0051】
差圧弁は、所謂三方弁であり、その調整入力に容器1Aに一端を開口した比較用圧力導圧管17の他端を接続して構成した点が特徴である。すなわち、主機1を構成する容器1Aに内装されたろ過材2への含塵気体の導入側(含塵気体導入口4)とは反対側から高圧気体を噴射する高圧気体噴射ノズル7を有し、高圧気体噴射ノズル7とは高圧気体弁8を介して接続された逆洗用高圧気体タンク11と、逆洗用高圧気体タンク11と高圧気体供給路15の間に三方弁である差圧弁18を設けてあって、差圧弁18は、差圧弁二次側圧力が比較用圧力導管によって導かれた圧力+αになるように自動的に調整される。
【0052】
そして、主機1と差圧弁18の調整入力端を連通する比較用圧力導圧管17を備えて、三方弁である差圧弁18は前記逆洗用高圧気体タンク11の逆洗用高圧気体と主機1を構成する容器1Aの内圧との差圧が規定範囲となるように、高圧気体供給路15から高圧気体を逆洗用高圧気体タンク11に供給する構成とした。
【0053】
この構成により、容器1Aの内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の供給が最適化され、逆洗用高圧気体の圧力と容器1Aの圧力との差圧を適性値に確保することができる。具体的には、逆洗用高圧気体タンク11の内圧P1と容器1Aの内圧P2の差圧ΔPが一定になるようにする。
【0054】
図8は、本発明の実施例2に係る差圧弁の二次側(逆洗用高圧気体圧力側)の特性を説明する図である。逆洗操作の一例を挙げれば以下のようになる。
前提条件:
機内温度(容器1Aの内部温度)を一定として、ΔP=P1-P2=200kPaが適性とする。
高圧気体供給元圧力が600kPaとする。
機内圧力(容器1Aの内圧)の変動幅は、0kPa(G)~200kPa(G)とする。
差圧弁の上記α値は200kPaとする。
差圧弁二次側圧力=逆洗用高圧気体圧力(P1)である。
図8における特性直線は、P1=P2+200kPaを示す。
【0055】
図9は、本発明の実施例2に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図である。
図9において、逆洗処理が開始(START)すると、比較用圧力導圧管17により差圧弁18に機内圧力(容器1Aの内圧)が取り込まれる(S-21)。差圧弁18の機能により、逆洗用高圧気体圧力P1が(P2+α)になるように機械的に決定される(S-22)。αの値は差圧弁のバネを調整することで任意に変更が可能である。
【0056】
逆洗用高圧気体タンクは機内圧力(P2+α)に維持される(S-23)。逆洗気体噴射ノズル7からは逆洗用高圧気体タンク11から(P2+α)の圧力の逆洗用高圧気体がろ過材2の二次側に噴射されて逆洗浄が実行される。
【0057】
この構成により、容器1Aの内部状態に応じて逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の供給が最適化され、逆洗用高圧気体の圧力を適性値に維持することができる。
【実施例3】
【0058】
図10は、本発明に係る固気分離装置におけるろ過材の逆洗システムの実施例3を説明する模式図である。同図に付した参照符号で、前記
図2と同一符号は同一部分を示す。本実施例では、固気分離装置の主機1を構成する容器1Aには、その内部温度を検出する機内温度センサ19を備えている。
また、逆洗用高圧気体タンク11に高圧気体を供給する高圧気体供給路15と直列に第1の圧力調節弁20が挿入されている。さらに、第1の圧力調節弁20と逆洗用高圧気体タンク11の途中に、高圧気体供給路15を側路する第2の圧力調節弁21が設置されている。なお、圧力調節弁20、21に流量調節弁を使用して、結果的に圧力調節の目的を達するようにしてもよい。
【0059】
実施例3では、逆洗用高圧気体タンク11の圧力を検出する高圧気体タンク内圧センサ11の検出出力P1、容器1Aの内圧センサ(主機内圧センサ)3の検出出力P2、および機内温度センサ19の検出出力Tを制御装置14に取り込んで弁制御信号を演算している。制御装置14のメモリには入力データとテーブルを参照して所要の弁制御信号を生成するプログラムが格納されている。
【0060】
図11は、本発明の実施例3に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の目標値を段階的に算出するための参照テーブル(ルックアップテーブル)の一例で、事前の実験や理論式などから作成して制御装置14のメモリに格納しておく。
この参照テーブルは、横軸に機内圧力(kPa)を、縦軸に機内温度T℃)をとり、横軸と縦軸の交わるマス目:セルの数値を逆洗用高圧気体圧力の目標値としたデータである。
【0061】
制御装置14は、入力された機内圧力および機内温度の近似値を上記のテーブルに当てはめ、選択されたセルの値を逆洗用高圧気体の目標値とする演算を行う。例えば、機内圧力P2が28kPa、機内温度Tが105℃のときは、
図11の参照テーブルの30kPaと100℃の交わるセルの194kPaを逆洗用高圧気体の圧力の目標値とする。これにより、段階的に目標値を得ることができ、この目標値に基づいた弁制御信号を第1の圧力調節弁20と第2の圧力調節弁21とに与えて高圧気体の供給と解放を制御して逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の調整を行う。
【0062】
図12は、本発明の実施例3に係るろ過式逆洗用高圧気体圧力の目標値を連続的に算出するための3次元参照テーブルの一例を説明する図である。この参照テーブルは、逆洗用高圧気体タンク11の内圧P1を用いて上記テーブルの中間値を補完して3次元のグラフとしたものである。この3次元の参照テーブルを用いることで、連続的な目標値を得ることができる。この目標値に基づいた弁制御信号を第1の圧力調節弁20と第2の圧力調節弁21とに与えて高圧気体の供給と解放を連続的に制御して逆洗用高圧気体タンク11への高圧気体の調整を行う。
【0063】
図13は、本発明の実施例3に係るろ過式逆洗の処理手順を説明する流れ図である。
図4と同様に、図中に破線で示す処理手順は
図10の制御装置14が実行する。制御装置は演算装置(CPU)、メモリ(RAM、ROM)、データ入出力に必要なインターフェース等を備えた情報処理装置であり、
図2と同様の情報処理装置である。メモリには入力したデータに基づいて所要の制御信号を生成するプログラムが格納されている。
【0064】
固気分離装置が作動を開始(START)すると、制御装置14は圧力センサ3と12の検出データ(P1、P2)、および機内温度センサ19の検出データ(T)を取り込む(S-31)。制御装置14は最適逆洗用高圧気体圧力(P3)を演算する(S-32)。
【0065】
演算の結果が、P3>P1の場合(S-33)は圧力調節弁20を開けて圧力調節弁21を閉め、逆洗用高圧気体圧力(P3)を上げる(S-34)。これにより、逆洗用高圧気体タンクは最適逆洗用高圧気体圧力に維持される(S-35)。
【0066】
演算の結果が、P3<P1の場合(S-36)は圧力調節弁21を開けて圧力調節弁20を閉め、逆洗用高圧気体圧力(P3)を下げる(S-37)。これにより、逆洗用高圧気体タンクは最適逆洗用高圧気体圧力に維持される(S-35)。
【0067】
逆洗用高圧気体タンクにおける最適逆洗用高圧気体圧力を制御するために、圧力調節弁20のみならず、開閉動作が逆になる圧力調節弁21を設けることで、逆洗用高圧気体圧力(P1)と機内圧力(P2)との差圧(ΔP)が最適逆洗用高圧気体圧力(P3)を上回る場合にも、速やかに目標とする最適洗浄用高圧気体圧力に近づけることができる。
【0068】
なお、上記の例は、機内温度とその圧力の2種類の状態を制御装置に入力するようにしたものであるが、機内の圧力と温度並びに逆洗用高圧気体タンク内圧の他に、分離する気体の種類や分離する固体の種類、その濃度、ろ過材の差圧など、逆洗の効果に影響するあらゆる条件のうちの少なくとも1つの検出データを制御装置に取り込み、取り込んだ検出データから最適な逆洗用高圧気体の圧力(逆洗用高圧気体タンクの内圧)を演算するようにすることもできる。
【0069】
上記した実施例は、予め行った実験を基にして逆洗用高圧気体の目標圧力演算のためのテーブルを作成し、そのテーブルに基づいて目標値を求めるようにするものであるが、計測データから論理式を求め、その論理式に基づいて目標値を算出するようにしてもよい。
【0070】
本実施例では、圧力調節弁として供給用(第1の圧力調節弁20)と逃し用(第2の圧力調節弁21)の2台を用いているものとして説明したが、機内の状況に応じて当該弁の大きさを変え、または機内の状況に応じて逆洗用気体の種類を切換える、あるいは温度の異なる逆洗用気体に切換える、等のために3台以上の圧力調節弁を用いたシステムとすることもできる。なお、逆洗用気体の種類の切換は、例えば窒素等の不活性ガスがあげられるが、粘性の低いガスを用いることで、少ないガス流量で逆洗時の噴出流速または噴出量を確保できることになる。また、固気分離装置が設置されている施設で排熱があって熱交換した空気を用いれば、逆洗用気体の粘性を低くでき、同様に、少ないガス流量で逆洗時の噴出流速または噴出量を確保できる。
【0071】
また、逃し用の第2の圧力調節弁21は、逆洗用高圧気体噴射ノズル7や圧力計など各所ノズルのパージ用に逆洗用高圧気体タンクから常時少量の高圧気体を消費するよう転用できるものとする。
【0072】
実施例3によれば、逆洗用高圧気体圧力と機内圧力との差圧が最適逆洗用高圧気体圧力を上回る場合にも、速やかに目標とする最適洗浄用高圧気体圧力に近づけることができることから、ろ過材に捕集された固体を十分に除去でき、差圧不足による固体の残留、過度な差圧が印加されることによるろ過材の破損を回避してメンテナンスコストの低減を実現できると共に、高い効率で固気分離を可能とした固気分離装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1・・固気分離装置の主機
1A・・容器
2・・ろ過材
3・・主機内圧センサ
4・・含塵気体導入口
5・・固体排出口
6・・気体排出口
7・・高圧気体噴射ノズル
8・・高圧気体弁
11・・逆洗用高圧気体タンク
12・・逆洗用高圧気体タンク内圧センサ
13・・逆洗用高圧気体タンク内圧と主機内圧との差圧信号生成装置
14・・制御装置
15・・高圧気体供給路
16・・高圧気体圧力調整弁
16a・・圧力調節弁
16b・・圧力調節弁
17・・比較用圧力導圧管
18・・差圧弁
19・・機内温度センサ
20・・高圧気体供給調節弁、圧力調節弁
21・・高圧気体開放調節弁、圧力調節弁