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  • 特許-電池電圧均等化装置 図1
  • 特許-電池電圧均等化装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電池電圧均等化装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240222BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240222BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 S
H02H7/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020051201
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021151154
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 健志
【審査官】大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-017156(JP,A)
【文献】特開2011-101572(JP,A)
【文献】特開2016-178781(JP,A)
【文献】特開2003-333762(JP,A)
【文献】特開2002-142371(JP,A)
【文献】特表2013-530665(JP,A)
【文献】特開2008-271708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の電池からなる組電池の出力電圧が入力される一次側巻線、及びそれぞれの前記電池に対応する複数の二次側巻線を含むトランスと、
前記二次側巻線が出力する交流電圧を直流電圧に変換する変換回路と、
前記変換回路から前記電池への導電路を遮断可能に設けられる遮断回路と、
それぞれの前記電池の電池電圧に基づいて前記一次側巻線を通電制御することにより前記電池電圧の均等化制御を行う制御部と、を備え、
前記遮断回路は、前記導電路において直列に設けられ前記制御部により開閉制御される2つのスイッチ、互いの同極同士が接続されそれぞれの前記スイッチに並列に接続される2つのダイオード、及び2つの前記ダイオードのうち前記電池への充電電流の向きを順方向とする前記ダイオードに対して並列に接続される抵抗器を含む、電池電圧均等化装置。
【請求項2】
前記スイッチは、前記ダイオードをボディダイオードとするMOSFETである、請求項1に記載の電池電圧均等化装置。
【請求項3】
2つの前記スイッチは、制御入力端子が互いに接続されている、請求項1又は2に記載の電池電圧均等化装置。
【請求項4】
前記遮断回路は、2つの前記スイッチに接続されるフォトカプラを含み、前記フォトカプラを介して前記制御部により制御される、請求項1乃至3のいずれかに記載の電池電圧均等化装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電池電圧が平均電圧よりも高い前記電池に対応する前記遮断回路を遮断制御する、請求項1乃至4のいずれかに記載の電池電圧均等化装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電池電圧が最小の最小電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第1閾値よりも大きいことを条件として、前記最小電圧電池を除く前記電池に対応する前記遮断回路を遮断制御する、請求項1乃至4のいずれかに記載の電池電圧均等化装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記電池電圧が最大の最大電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第2閾値よりも大きいことを条件として、前記最大電圧電池に対応する前記遮断回路のみを遮断制御する、請求項1乃至4のいずれかに記載の電池電圧均等化装置。
【請求項8】
前記遮断回路は、2つの前記スイッチに直列接続される過電流保護素子を含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の電池電圧均等化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電圧均等化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直列に接続された複数の電池セルからなる組電池は、それぞれの電池セルの電池電圧が不均一になると、充放電可能な電力量が制限される等の問題が生じることが知られている。そのため、このような組電池は、例えば特許文献1に開示されるようなトランス方式のアクティブセルバランス回路により電池電圧の均等化が行われることが多い。
【0003】
より具体的には、トランス方式のアクティブセルバランス回路は、組電池の出力電圧を変換してそれぞれの電池セルに充電電圧を印加することができるトランスを導通制御することにより、電池電圧が相対的に低い電池セルを充電して電池電圧の均等化を行うことができる。
【0004】
しかし、特許文献1に係る従来技術では、それぞれの電池セルをバイパスするようにトランスの複数の二次側巻線を連続して流れる還流電流が生じ、セルバランス制御の効率が低下する。そこで、例えば特許文献2に開示されるセルバランス回路は、それぞれの電池セルと、これに対応する二次側巻線との間にスイッチを設けることにより、当該還流電流を遮断できるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-176483号公報
【文献】特開2013-223320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献1及び2に係るセルバランス回路は、電池セルに出力される充電電力を形成するため、トランスにおける複数の二次側巻線から出力される交流電力をダイオード及びコンデンサにより直流電圧に変換する変換回路が設けられる。尚、特許文献2ではコンデンサの図示が省略されている。
【0007】
しかしながら、上記した従来のセルバランス回路は、組電池に接続されることにより、電池セルからコンデンサに過大な電流が突発的に流入するサージ電流が発生してしまう。このとき、たとえ特許文献2のように電池セルと二次側巻線との間に開状態のスイッチを設けたとしても、当該スイッチを最初に閉制御したタイミングでやはりサージ電流が発生してしまう。このため、従来のセルバランス回路は、組電池との接続におけるサージ電流の発生に伴い、電池セルを劣化させてしまう虞が生じる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トランス方式のアクティブセルバランス回路に組電池を接続する場合のサージ電流を抑制する電池電圧均等化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、直列接続された複数の電池からなる組電池の出力電圧が入力される一次側巻線、及びそれぞれの前記電池に対応する複数の二次側巻線を含むトランスと、前記二次側巻線が出力する交流電圧を直流電圧に変換する変換回路と、前記変換回路から前記電池への導電路を遮断可能に設けられる遮断回路と、それぞれの前記電池の電池電圧に基づいて前記一次側巻線を通電制御することにより前記電池電圧の均等化制御を行う制御部と、を備え、前記遮断回路は、前記導電路において直列に設けられ前記制御部により開閉制御される2つのスイッチ、互いの同極同士が接続されそれぞれの前記スイッチに並列に接続される2つのダイオード、及び2つの前記ダイオードのうち前記電池への充電電流の向きを順方向とする前記ダイオードに対して並列に接続される抵抗器を含む、電池電圧均等化装置である。
【0010】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記スイッチは、前記ダイオードをボディダイオードとするMOSFETである、電池電圧均等化装置である。
【0011】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、上記した本発明の第1又は2の態様において、2つの前記スイッチは、制御入力端子が互いに接続されている、電池電圧均等化装置である。
【0012】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、上記した本発明の第1乃至3のいずれかの態様において、前記遮断回路は、2つの前記スイッチに接続されるフォトカプラを含み、前記フォトカプラを介して前記制御部により制御される、電池電圧均等化装置である。
【0013】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、上記した本発明の第1乃至4のいずれかの態様において、前記制御部は、前記電池電圧が平均電圧よりも高い前記電池に対応する前記遮断回路を遮断制御する、電池電圧均等化装置である。
【0014】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、上記した本発明の第1乃至4のいずれかの態様において、前記制御部は、前記電池電圧が最小の最小電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第1閾値よりも大きいことを条件として、前記最小電圧電池を除く前記電池に対応する前記遮断回路を遮断制御する、電池電圧均等化装置である。
【0015】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、上記した本発明の第1乃至4のいずれかの態様において、前記制御部は、前記電池電圧が最大の最大電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第2閾値よりも大きいことを条件として、前記最大電圧電池に対応する前記遮断回路のみを遮断制御する、電池電圧均等化装置である。
【0016】
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、上記した本発明の第1乃至7のいずれかの態様において、前記遮断回路は、2つの前記スイッチに直列接続される過電流保護素子を含む、電池電圧均等化装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トランス方式のアクティブセルバランス回路に組電池を接続する場合のサージ電流を抑制する電池電圧均等化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電池電圧均等化装置の回路を表す全体構成図である。
図2】遮断回路の構成を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0020】
図1は、電池電圧均等化装置1の回路を表す全体構成図である。電池電圧均等化装置1は、直列接続された複数の電池Bからなる組電池BPに接続されることにより、それぞれの電池Bの電池電圧を均等化するトランス方式のアクティブセルバランス回路である。ここで、それぞれの電池Bは、単一の電池セルからなる二次電池であってもよく、複数の電池セルが直列に接続されてそれ自体が組電池を構成する二次電池であってもよい。また、組電池BPは、本実施形態においては4つの電池Bが接続されているものとして説明するが、電池Bの接続数は任意に変更することができる。
【0021】
電池電圧均等化装置1は、全体構成として、トランスT、均等化用スイッチSWe、複数の変換回路2、複数の遮断回路3、計測部4、及び制御部5を備える。
【0022】
トランスTは、組電池BPの出力電圧が入力される一次側巻線T1、及びそれぞれの電池Bに対応する複数の二次側巻線T2を含む。トランスTは、組電池BPとの間に設けられる均等化用スイッチSWeにより通電制御が行われることで、組電池BPの出力電圧が交流電力に変換されて一次側巻線T1に入力される。また、トランスTは、一次側巻線T1に入力された電圧を、それぞれの電池Bを充電するための充電電圧に変換して二次側巻線T2に出力する。
【0023】
均等化用スイッチSWeは、本実施形態においては、Nチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、ドレインが一次側巻線T1の一端に接続され、ソースが組電池BPの負側に接続されると共に、ゲートが後述する制御部5に接続されている。そして、均等化用スイッチSWeは、制御部5により連続的にON/OFF制御されることにより、上記のようにトランスTを通電制御することができる。
【0024】
トランスTのそれぞれの二次側巻線T2は、変換回路2、及び遮断回路3を介して対応する電池Bに接続される。電池電圧均等化装置1は、1つの二次側巻線T2から1つの電池Bまでの各充電経路の構成が共通であるため、ここではその中の一つについて説明することとする。
【0025】
変換回路2は、ダイオードD及びコンデンサCを含む整流・平滑回路であり、二次側巻線T2が出力する交流電圧を直流電圧に変換して個々の電池Bを充電するための充電電圧を形成する。
【0026】
遮断回路3は、詳細を後述するように、変換回路2から電池Bへの導電路を遮断可能に設けられ、セルバランス制御において充電される電池Bを選択できるよう構成されている。
【0027】
計測部4は、複数の電池Bのそれぞれの電池電圧を計測するセンサであり、当該電池電圧を制御部5に出力する。
【0028】
制御部5は、例えば公知のマイコン制御回路からなり、計測部4を介して取得した複数の電池Bの電池電圧に基づいて充電対象の電池Bを特定し、当該充電対象の電池Bに対応する遮断回路3を接続状態に制御すると共に、その他の電池Bに対応する遮断回路3を遮断状態に制御して均等化用スイッチSWeをON/OFF制御することで、充電対象の電池Bを優先的に充電する。
【0029】
ここで、制御部5は、それぞれの電池電圧のばらつき方を判断し、1又は複数の電池Bを充電対象として特定してもよい。例えば、制御部5は、全ての電池Bの平均電圧を算出し、電池電圧が平均電圧よりも低い電池Bを充電対象として特定することができる。この場合、制御部5は、電池電圧が平均電圧よりも高い電池Bに対応する遮断回路3を遮断制御し、均等化用スイッチSWeをPWM制御する。これにより、組電池BPは、充電対象の電池Bが充電されることにより、電池電圧が均等化される。
【0030】
また、制御部5は、全ての電池Bのうち電池電圧が最小の最小電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第1閾値TH1よりも大きいことを条件として、最小電圧電池を除く電池Bに対応する遮断回路3を遮断制御してもよい。ここで、第1閾値TH1とは、全ての電池Bのうち突出して電池電圧が低い1つの電池Bが存在するか否かを判定するために予め任意に設定される電圧差の閾値である。そのため、制御部5は、極端に電池電圧が低い電池Bがある場合には、その1つの電池Bを充電対象として特定して優先的に充電することができる。
【0031】
更に、制御部5は、全ての電池Bのうち電池電圧が最大の最大電圧電池と平均電圧との電圧差が所定の第2閾値TH2よりも大きいことを条件として、最大電圧電池に対応する遮断回路3のみを遮断制御してもよい。ここで、第2閾値TH2とは、全ての電池Bのうち突出して電池電圧が高い1つの電池Bが存在するか否かを判定するために予め任意に設定される電圧差の閾値である。そのため、制御部5は、極端に電池電圧が高い電池Bがある場合には、その最大電圧電池以外の電池Bを全て充電対象として特定し、組電池BPを全体的に満遍なく充電しながら電池電圧を均等化することができる。
【0032】
このように、制御部5は、充電対象以外の電池Bに対応する遮断回路3を遮断制御することにより、それぞれの電池Bをバイパスするように複数の二次側巻線T2を連続して流れる還流電流を抑制しつつ、必要に応じて充電対象の電池Bを選択することができる。
【0033】
次に、遮断回路3の具体的な回路構成について説明する。図2は、遮断回路3の構成を表す回路図である。遮断回路3は、本実施形態においては、変換回路2の高電圧側の出力端と電池Bの正極との間に「2つのスイッチ」としての第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2が直列に接続されている。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、Pチャネル型のMOSFETであり、接続点Pにおいて両者のソースが互いに接続され、接続点Qにおいて両者の「制御入力端子」としてのゲートが互いに接続されている。
【0034】
また、遮断回路3は、本実施形態においては、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に対してそれぞれ並列に第1ボディダイオードDb1及び第2ボディダイオードDb2が接続されている。より具体的には、第1ボディダイオードDb1は、アノード及びカソードが第1スイッチSW1のドレイン及びソースにそれぞれ接続されている。同様に、第2ボディダイオードDb2は、アノード及びカソードが第2スイッチSW2のドレイン及びソースにそれぞれ接続されている。つまり、第1ボディダイオードDb1及び第2ボディダイオードDb2は、同極同士、すなわちここでは互いのカソード同士が接続されている。
【0035】
ここで、「2つのダイオード」としての第1ボディダイオードDb1及び第2ボディダイオードDb2は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2とは別体のダイオード素子として設けられてもよいが、各MOSFETのボディダイオードであることにより、部品点数の削減に寄与することができる。
【0036】
また、遮断回路3は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2に直列接続されるフューズFを含む。フューズFは、本実施形態においては、第2スイッチSW2と電池Bとの間に設けられ、例えば二次側巻線T2から電池Bへの意図しない過電流が流れないよう「過電流保護素子」として機能し、当該過電流から電池Bを保護する。尚、フューズFは電池電圧均等化装置1において必須の構成ではない。
【0037】
更に、遮断回路3は、接続点Pと接続点Qとの間に第1抵抗R1が設けられ、接続点Qと電池Bの負極との間には第2抵抗R2を介してフォトカプラPCの受光素子が設けられている。尚、第1抵抗R1及び第2抵抗R2は、電流制限用抵抗である。フォトカプラPCは、図示しない発光素子が制御部5に接続されていることにより、制御部5からの制御信号によりON/OFF制御される。これにより、制御部5は、フォトカプラPCを介して絶縁を図りながら接続点Qの電位を制御し、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を同時に開閉制御することができる。
【0038】
ここで、制御部5は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のそれぞれのゲートに制御信号を直接送信するよう構成してもよいが、本実施形態のように両者を纏めて制御できるよう構成することにより、制御信号の信号出力端子及び信号線を削減できるほか、両者の制御タイミングを同期させる機構も不要となる。
【0039】
そして、遮断回路3は、第1ボディダイオードDb1及び第2ボディダイオードDb2のうち、電池Bへの充電電流の向きを順方向とするダイオードに対して並列に接続される「抵抗器」としてのサージ抑制抵抗Rssを含む。すなわち、サージ抑制抵抗Rssは、本実施形態においては第1ボディダイオードDb1に対して並列に接続されている。ここで、仮に第1ボディダイオードDb1及び第2ボディダイオードDb2が互いのアノード同士を接続するように設けられている場合には、サージ抑制抵抗Rssは、第2ボディダイオードDb2に対して並列に接続されることになる。
【0040】
続いて、遮断回路3の動作原理について説明する。まず、二次側巻線T2と電池Bとの間にスイッチを備えない従来技術においては、セルバランス回路に組電池BPが接続されたタイミングで、それぞれの電池Bの正極から変換回路2のコンデンサCにサージ電流が流れ込み、電池Bを劣化させてしまう虞が生じる。また、二次側巻線T2と電池Bとの間にスイッチを備える従来技術においても、組電池BPを接続した後、当該スイッチを初めに閉制御したタイミングでサージ電流が発生し、同じく電池Bを劣化させてしまう虞が生じる。
【0041】
これに対し、図2に示す構成の遮断回路3を備える電池電圧均等化装置1は、組電池BPが接続された場合に、それぞれの電池Bの正極から出力される電流が、第2ボディダイオードDb2、接続点P、サージ抑制抵抗Rssを順に介してコンデンサCに流入する。このため、電池BからコンデンサCに流れる当該電流は、サージ抑制抵抗Rssにより低減されているため、電池Bの劣化を抑制することができる。また、電池電圧均等化装置1は、フューズFのような過電流保護素子が設けられる場合であっても、上記のサージ電流が抑制されることで、当該サージ電流が過電流となり誤動作する虞を低減することができる。
【0042】
さらに、電池電圧均等化装置1は、組電池BPに対する均等化制御において充電対象の電池Bを充電する場合、その電池Bに対応する遮断回路3を接続状態に制御する。このとき、二次側巻線T2から変換回路2を介して出力される充電電流は、同時に閉状態に制御された第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を介して電池Bに供給されるため、サージ抑制抵抗Rssによる影響を受けることなく電池Bを充電することができる。
【0043】
以上のように、電池電圧均等化装置1は、トランス方式のアクティブセルバランス回路において、トランスTからそれぞれの電池Bへの導電路を遮断回路3により断接制御することで充電対象の電池Bのみを充電できるよう構成されている。その上で、電池電圧均等化装置1は、組電池BPが接続された場合に電池BからコンデンサCに流れる電流の経路上にサージ抑制抵抗Rssを設けていることにより、当該電流の大きさを低減することができる。従って、電池電圧均等化装置1によれば、組電池BPを接続する場合のサージ電流を抑制することができる。
【0044】
以上で実施形態の説明を終えるが、電池電圧均等化装置1は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば上記の遮断回路3における第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、変換回路2の高電圧側の出力端と電池Bの正極との間に設けられる構成として例示したが、変換回路2の低電圧側の出力端と電池Bの負極との間に設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 電池電圧均等化装置
2 変換回路
3 遮断回路
4 計測部
5 制御部
T トランス
B 電池
BP 組電池
SW1 第1スイッチ
Db1 第1ボディダイオード
SW2 第2スイッチ
Db2 第2ボディダイオード
Rss サージ抑制抵抗
図1
図2