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特許7441693ゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット
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  • 特許-ゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/62 20060101AFI20240222BHJP
   C03B 23/023 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E06B3/62 Z
C03B23/023
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020052921
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151936
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599093524
【氏名又は名称】旭ビルウォール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 滋人
(72)【発明者】
【氏名】伊勢谷 三郎
(72)【発明者】
【氏名】和久井 智
(72)【発明者】
【氏名】島田 大
(72)【発明者】
【氏名】野田 紗緒里
(72)【発明者】
【氏名】松田 耕史
(72)【発明者】
【氏名】東 克彦
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121804(JP,A)
【文献】特開2002-357060(JP,A)
【文献】特開2008-150923(JP,A)
【文献】実開平02-085714(JP,U)
【文献】実開平03-123091(JP,U)
【文献】実開昭59-173892(JP,U)
【文献】米国特許第5373672(US,A)
【文献】中国実用新案第205276586(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/62
C03B 23/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドベンド工法によりねじれあるいは曲げられるべきガラス板と、
該ガラス板の少なくとも一辺に沿って配されていて前記ガラス板の周縁を挟持しているゴム製のゴム枠と、
該ゴム枠を覆って保持して建物躯体に取り付けられるべき枠ホルダとを備え、
前記ゴム枠は、横断面視にて円弧形状の外周面を有し、前記枠ホルダは、前記ゴム枠の外周面の円弧形状に沿った内周面を有し、前記ゴム枠は前記枠ホルダ内で回動できることを特徴とするゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の周縁を保持する枠としてゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス板をサッシ(枠体)ごと、あるいはガラス板のみを少しずつねじり(曲げ)ながら現場にて建物躯体に取り付けるコールドベンド工法が知られている。特に、ガラス板のみを曲げるものとしては、例えば特許文献1のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-121804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガラス板の枠として例えばアルミ製のアルミ枠を使用して、この枠付きのガラス板をコールドベンドガラスとした場合、アルミ枠はこれに追従して変形することが困難である。すなわち、ガラスはある程度の応力に耐えることができるのでねじれたり曲がったりするが、アルミ枠はアルミからなる金属製であるため、このねじれや曲げに追従することができず、アルミホルダが先に割れたり破損してしまったりする。ここで、単純にガラス板の枠の材質として弾性材料からなる例えばゴムを利用したとしても、コールドベンドガラスに追従するような最適な形状等については検討されていない。
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、弾性材料からなるゴム枠でガラス板の周縁が保持されている状態でガラス板がコールドベンド工法によりねじれたり曲げられてコールドベンドガラスになったとしても、このねじれや曲げに最適に追従することができるゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、コールドベンド工法によりねじれあるいは曲げられるべきガラス板と、該ガラス板の少なくとも一辺に沿って配されていて前記ガラス板の周縁を挟持しているゴム製のゴム枠と、該ゴム枠を覆って保持して建物躯体に取り付けられるべき枠ホルダとを備え、前記ゴム枠は、横断面視にて円弧形状の外周面を有し、前記枠ホルダは、前記ゴム枠の外周面の円弧形状に沿った内周面を有し、前記ゴム枠は前記枠ホルダ内で回動できることを特徴とするゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ゴム枠の外周面に対応させて枠ホルダの内周面をともに横断面視にて円の外周形状として形成することで、ゴム枠の外周面が枠ホルダの内周面に摺動してゴム枠が枠ホルダ内で回動可能となる。このため、コールドベンド工法によりガラス板がねじられ(ひねられ)たり曲げられたりしてもゴム枠の弾性力によりゴム枠もねじられたり曲げられたりするので、コールドベンドガラスの形状に追従することができる。コールドベンド工法を行うのに最適なガラス板の枠を使用してコールドベンド工法を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニットの概略外観図である。
図2】本発明に係るゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニットの概略詳細図である。
図3】ゴム枠と枠ホルダとの関連を示す概略断面図である。
図4】ゴム枠と枠ホルダとの関連を示す概略断面図である。
図5】ゴム枠と枠ホルダとの関連を示す概略断面図である。
図6】ガラス板がコールドベンドガラスになった際の概略外観図である。
図7】ガラス板が別のコールドベンドガラスになった際の概略外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び図2に示すように、本発明に係るゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット1は、コールドベンド工法によりねじられあるいは曲げられるべきガラス板2と、このガラス板2の少なくとも一辺に沿って配されているゴム製のゴム枠3とを備えている。ゴム枠3としては弾性材料であればどのようなものを用いてもよい(弾性係数が0.1MPa~10MPa)が、例えば軟質フッ素ゴムが利用される。ゴム枠3は、ガラス板2の周縁を直接挟持している。したがって、ゴム枠3にはガラス板2の周縁を包み込んで覆うような凹形状を有し、この凹み部分にガラス板2が嵌め込まれている。
【0010】
図の例では、ゴム枠3はガラス板2の左右側辺に対して鉛直方向に延びて配されている。本発明に用いるガラス板2としてはコールドベンド工法が適用されるガラス板であればどのようなものでもよく、図で示すようなペアガラスの他、単板ガラスや合わせガラスも適用可能である。図ではガラス板2としてペアガラスを示しているので、空気層を介した2枚の単板ガラスが配され、ペアガラスの周囲にはスペーサ(不図示)及びシール材(不図示)が配されている。また、コールドベンドガラスユニット1は、さらにゴム枠3を覆う枠ホルダ4を備えている。この枠ホルダ4は、ゴム枠3を保持して建物躯体5に取り付けられるべきものである(図では建物躯体5の例としてH鋼を示している)。
【0011】
さらに、図3図5に示すように、ゴム枠3は、横断面視(長手方向に対して直交する方向から見て)にて円弧形状の外周面3aを有している。一方で、枠ホルダ4は、ゴム枠3の外周面3aの円弧形状に沿った内周面4aを有している。よって、外周面3aと内周面4aとは同心円且つ略同径(内周面4aの方が外周面3aよりも若干大きい径)の円周に沿うような円弧形状を有している。これら外周面3aと内周面4aとは互いに摺動可能であり、したがってゴム枠3は枠ホルダ4内で回動できるということになる。図でいえば、図4の状態がガラス板2が建物躯体5に対して平行な状態であり、コールドベンド工法によってガラス板2が曲げられてガラス板2が建物躯体5に対して外側にねじられた例が図3であり、建物躯体に対して内側(建物躯体5側)にねじられた例が図5である。
【0012】
以上のような構成により、ゴム枠3は弾性を有するので、ガラス板2がコールドベンド工法によりコールドベンドガラスになったとしても、そのねじれ(ひねり)に対してゴム枠3自体もねじれるので、これを許容するように追従することができる。さらに、ゴム枠3が枠ホルダ4内で回動することにより、コールドベンド工法によりガラス板2がねじられ(ひねられ)たり曲げられたりした際にゴム枠3に変形による負荷を与えることを抑制することができる。これは、ゴム枠3自体の弾性力を利用した追従性能と相俟って、ゴム枠3自体を回動させてさらに追従性能を向上させてコールドベンド工法に対応するようなさらなる工夫点といえる。
【0013】
このようにすることで、図6に示すように、ガラス板2がねじられたり曲げられたりしてコールドベンドガラスになったとしても、ゴム枠3自体のねじれ及び回動により、ガラス板2の変形に追従しながらゴム枠3に無理な力が働くことも防止できる。なお、枠ホルダ4はボルト9により建物躯体5に確実に固定されている。また、ガラス板2の外側面と枠ホルダ4との間には、塵埃等の侵入を防止するためのシール材10が形成されている。さらに、この例が示すようなガラス板2を並べて建物の外壁を形成するような場合には、塵埃等の侵入を防止するために隣り合うガラス板2の周縁を保持している枠ホルダ4の間にシール材11が配される。
【0014】
図7を参照すれば明らかなように、建物躯体5に対して外側に向けてガラス板2を曲げるようなコールドベンド工法を行う場合もある。このような場合でも、ゴム枠3の弾性力によりゴム枠3が変形し、無理なくこれに追従することができる。本発明は、コールドベンド工法によりガラス板2がねじれた場合はゴム枠3がねじれたり回動したりすることでこれに追従し、曲げられた場合はゴム枠3が曲がることでこれに追従することを実現するものである。このように本発明は、コールドベンド工法を用いたコールドベンドガラスによりカーテンウォールや様々な建築物を施工する際に大変有用な技術である。
【符号の説明】
【0015】
1:ゴム枠を用いたコールドベンドガラスユニット、2:ガラス板、3:ゴム枠、3a:ゴム枠の外周面、4:枠ホルダ、4a:枠ホルダの内周面、5:建物躯体、9:ボルト、10:シール材、11:シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7