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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】光レセプタクルおよび光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
G02B6/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020057415
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157059
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 悠生
(72)【発明者】
【氏名】今 亜耶乃
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0097037(US,A1)
【文献】特開2018-109656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0094175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に配置された発光素子および光伝送体の間に配置されたときに、前記発光素子および前記光伝送体を光学的に結合するための光レセプタクルであって、
前記発光素子から出射された光を入射させるための第1入射面と、
前記第1入射面で入射し、前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光伝送体に向けて出射させるための第1出射面と、
前記第1入射面で入射した光のうち、一部の光を前記第1出射面に向けて反射させ、他の一部の光を透過させるための反射透過部と、
前記反射透過部で透過した光のうち、一部の光を再度入射させるための第2入射面と、
前記第2入射面で入射し、前記光レセプタクルの内部を進行した光を検出素子に向けて出射させるための第2出射面と、
前記第2入射面で入射した光を前記第2出射面に向けて反射させるための第2反射面と、
を有し、
前記反射透過部は、
前記第1入射面で入射した光のうち、一部の光を前記第1出射面に向けて反射させるための個別反射面と、
前記第1入射面で入射した光のうち、他の一部の光を透過させるための個別透過面と、
前記個別反射面および前記個別透過面を接続するための個別接続面と、
を含み、
前記第1入射面、前記第1出射面、前記反射透過部、前記第2入射面、前記第2出射面および前記第2反射面は、一体成形されており、
前記個別透過面および前記基板に対する前記光レセプタクルの設置面のなす角度をθaとし、前記個別接続面および前記設置面のなす角度をθbとしたとき、以下の式(1)~式(3)を満たす、
光レセプタクル。
0°<θa<37° 式(1)
70°<θb≦90° 式(2)
θa+θb≧100° 式(3)
【請求項2】
前記θbは、90°未満である、請求項1に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
前記θbは、85°以上である、請求項1または請求項2に記載の光レセプタクル。
【請求項4】
前記個別透過面および前記個別接続面の交線は、前記発光素子から出射され、前記第1入射面で入射した光に対して死角の位置に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光レセプタクル。
【請求項5】
前記第2入射面は、前記反射透過部よりも前記第1出射面側に配置されている、請求項に記載の光レセプタクル。
【請求項6】
前記光伝送体から出射された光を入射させるための第3入射面と、
前記光レセプタクルの内部を進行した光を受光素子に向けて出射させるための第3出射面と、
前記第3入射面で入射した光を前記第3出射面に向けて反射させるための第3反射面と、
をさらに有する、
請求項1~のいずれか一項に記載の光レセプタクル。
【請求項7】
発光素子および検出素子を有する光電変換装置と、
前記発光素子から出射された光を光伝送体に光学的に結合させるための請求項1~5のいずれか一項に記載の光レセプタクルと、
を有する、
光モジュール。
【請求項8】
発光素子、検出素子および受光素子を有する光電変換装置と、
前記発光素子から出射された光を光伝送体に光学的に結合させるとともに前記光伝送体から出射させた光を前記受光素子に光学的に結合させるための請求項に記載の光レセプタクルと、
を有する、
光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクルおよび光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、光ファイバーや光導波路などの光伝送体を用いた光通信には、面発光レーザ(例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser))などの発光素子を備えた光モジュールが使用されている。光モジュールは、1または2以上の光電変換素子(発光素子または受光素子)と、送信用、受信用または送受信用の光レセプタクルを有する。
【0003】
光通信用の光モジュールでは、発光素子から光が適切に出射しているか否かを検出するために、発光素子から出射された光のうち、一部の光を検出光として利用することがある(例えば、特許文献1参照)。また、送信用の光モジュールでは、安全対策の観点から、光レセプタクルから出射された光の光量を減衰させる必要がある場合がある。
【0004】
特許文献1に記載の光レセプタクル(光結合部材)は、入射面である第1レンズ部と、出射面である第2レンズ部と、第1レンズ部および第2レンズ部の間の光路上に配置された反射部とを有する。反射部には、第1レンズ部で入射した光を透過させる透過面および接続面を有する透過部が配置されている。光レセプタクルは、例えば、樹脂材料により一体成形されている。
【0005】
特許文献1に記載の光レセプタクルでは、発光素子から出射された光を第1レンズ部で入射させる。次いで、第1レンズ部で入射した光のうち、一部の光を反射部で第2レンズ部に向けて反射させている。反射部で反射された光は、第2レンズ部で光伝送体の端部に向けて出射される。一方、第1レンズ部で入射した光のうち、他の一部の光を透過面で透過させている。透過面で透過された光は、発光素子と対向して配置された検出素子に到達する。このように、特許文献1に記載の光レセプタクルでは、発光素子から出射された光のうち、一部の光を光伝送体へ向かう送信光として利用し、他の一部の光を検出素子へ向かう検出光として利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-163903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、特許文献1に記載の光レセプタクルは、樹脂材料により一体成形している。よって、特許文献1に記載の光レセプタクルでは、金型のキャビティのうち透過面および接続面の境界部分に対応する部分に溶融した樹脂が適切に入り込まず、金型の形状がうまく転写されないことがある。この場合、透過面および接続面の境界部分が意図しない形状となってしまい、入射面で入射した光のうちの一部の光は、透過面および接続面の境界部分で意図しない方向に反射して発光素子側へ向かう迷光となることがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発光素子側に向かう迷光の発生を減少させつつ、発光素子から出射された光を減衰できる光レセプタクルを提供することである。また、本発明の別の目的は、当該光レセプタクルを有する光モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光レセプタクルは、基板に配置された発光素子および光伝送体の間に配置されたときに、前記発光素子および前記光伝送体を光学的に結合するための光レセプタクルであって、前記発光素子から出射された光を入射させるための第1入射面と、前記第1入射面で入射し、前記光レセプタクルの内部を進行した光を前記光伝送体に向けて出射させるための第1出射面と、前記第1入射面で入射した光のうち、一部の光を前記第1出射面に向けて反射させ、他の一部の光を透過させるための反射透過部と、を有し、前記反射透過部は、前記第1入射面で入射した光のうち、一部の光を前記第1出射面に向けて反射させるための個別反射面と、前記第1入射面で入射した光のうち、他の一部の光を透過させるための個別透過面と、前記個別反射面および前記個別透過面を接続するための個別接続面と、を含み、前記個別透過面および前記基板に対する前記光レセプタクルの設置面のなす角度をθaとし、前記個別接続面および前記設置面のなす角度をθbとしたとき、以下の式(1)~式(3)を満たす。
0°<θa<37° 式(1)
70°<θb≦90° 式(2)
θa+θb≧100° 式(3)
【0010】
また、本発明の光モジュールは、発光素子を有する光電変換装置と、前記発光素子から出射された光を光伝送体に光学的に結合させるための本発明の光レセプタクルと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光レセプタクルは、発光素子側に向かう迷光の発生を減少させつつ、発光素子から出射された光を減衰できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る光モジュールの断面図である。
図2図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係る光レセプタクルの斜視図である。
図3図3A~Dは、本発明の実施の形態1に係る光レセプタクルの構成を示す図である。
図4図4A、Bは、本発明の実施の形態1に係る光レセプタクルの断面図である。
図5図5A、Bは、反射透過部を説明するための図である。
図6図6A~Cは、結合効率の変化のシミュレーション結果を示すグラフである。
図7図7A~Cは、実施の形態1に係る光レセプタクルにおける光路図である。
図8図8A、Bは、遮光部を説明するための図である。
図9図9A、Bは、実施の形態2に係る光レセプタクルの斜視図である。
図10図10A~Dは、実施の形態2に係る光レセプタクルの構成を示す図である。
図11図11A、Bは、実施の形態2に係る光レセプタクルの断面図である。
図12図12A~Cは、実施の形態2に係る光レセプタクルにおける光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る光レセプタクルおよび光モジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(光モジュールの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光モジュール100の断面図である。
【0015】
図1に示されるように、光モジュール100は、光電変換装置110と、光レセプタクル120とを有する。光モジュール100は、光レセプタクル120に光伝送体140が接続されて使用される。
【0016】
光電変換装置110は、基板111と、光電変換素子112とを含む。基板111には、光電変換素子112と、光レセプタクル120とが配置される。基板111には、光レセプタクル120の基板用凹部(図示省略)に対応した基板用凸部(図示省略)が形成されていてもよい。基板用凸部に基板用凹部を嵌め込むことにより、光レセプタクル120を、基板111上の光電変換素子112に対して所定の位置に配置できる。本実施の形態では、基板111の表面は、光レセプタクル120の設置面116と平行となるように配置されている。基板111の材料は、特に限定されない。基板111の例には、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板が含まれる。
【0017】
光電変換素子112は、発光素子113、受光素子114または検出素子115(図12参照)であり、基板111上に配置されている。光モジュール100が送信用の光モジュールである場合は、光電変換素子112は発光素子113である。また、光モジュール100が送信用の光モジュールであって、発光素子113が適切に光を発光しているかを確認することが必要な場合は、光電変換素子112は、発光素子113および検出素子115である。また、光モジュール100が受信用の光モジュールである場合は、光電変換素子112は受光素子114である。光モジュール100が送受信の光モジュールであって、発光素子113が適切に光を発光しているかを確認することが必要な場合は、光電変換素子112は発光素子113、検出素子115および受光素子114である。本実施の形態に係る光モジュール100は、発光素子113が適切に光を発光しているかを確認することが必要ない送受信用の光モジュールであるため、光電変換装置110は、光電変換素子112として、4個の発光素子113と、4個の受光素子114を有している。発光素子113は、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。受光素子114は、例えばフォトディテクタである。本実施の形態では、発光素子113の発光面と、受光素子114の受光面とは、平行となるように配置されている。
【0018】
光レセプタクル120は、光電変換素子112と対向するように基板111上に配置されている。光レセプタクル120は、光電変換素子112と光伝送体140との間に配置されたときに、光電変換素子112(発光素子113または受光素子114)と光伝送体140の端面とを光学的に結合させる。本実施の形態のように、発光素子113が適切に光を発光しているかを確認することが必要ない送受信用の光モジュール100では、光レセプタクル120は、光電変換素子112としての発光素子113から出射された光を入射させる。光レセプタクル120は、入射させた光のうち、一部の光を光伝送体140の端面に向けて出射する。また、光伝送体140の端面から出射された光を入射させ、光電変換素子112としての受光素子114の受光面に向けて出射する。
【0019】
光伝送体140の種類は、特に限定されない。光伝送体140の種類の例には、光ファイバー、光導波路が含まれる。光伝送体140は、フェルール150を介して光レセプタクル120に接続される。フェルール150には、後述する光レセプタクル120のフェルール用凸部152に対応したフェルール用凹部151が形成されている。フェルール用凹部151をフェルール用凸部152に嵌め込むことにより、光伝送体140の端面を光レセプタクル120に対して所定の位置に固定できる。本実施の形態では、光伝送体140は、光ファイバーである。また、光ファイバーは、シングルモード方式でもよいし、マルチモード方式でもよい。
【0020】
(光レセプタクルの構成)
図2A、B、図3A~Dおよび図4A、Bは、光レセプタクル120の構成を示す図である。図2Aは、光レセプタクル120を底面側から見た斜視図であり、図2Bは、光レセプタクル120を天面側から見た斜視図である。図3Aは、光レセプタクル120の平面図であり、図3Bは、底面図であり、図3Cは、正面図であり、図3Dは、背面図である。図4Aは、図3CのA-A線で示される断面図であり、図4Bは、図3CのB-B線で示される断面図である。
【0021】
図2A、B、図3A~Dおよび図4A、Bに示されるように、光レセプタクル120は、略直方体形状の部材である。光レセプタクル120は、第1入射面121と、第1出射面122と、反射透過部123と、第3入射面127と、第3出射面128と、第3反射面129とを有する。第1入射面121、第1出射面122および反射透過部123は、送信時に用いられ、第3入射面127、第3出射面128および第3反射面129は、受信時に用いられる。
【0022】
光レセプタクル120は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。光レセプタクル120の材料の例には、ウルテム(登録商標)などのポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、光レセプタクル120は、例えば射出成形により一体成形されて製造されうる。
【0023】
第1入射面121は、発光素子113から出射された光を光レセプタクル120の内部に入射させるための光学面である。第1入射面121は、発光素子113のそれぞれに対向できるように光レセプタクル120の基板111に対向する面(底面)に配置されている。第1入射面121の数は、発光素子113の数と同じ数である。すなわち、本実施の形態では、第1入射面121は、4個であり同一直線上に配置されている。
【0024】
第1入射面121の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1入射面121の形状は、発光素子113に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第1入射面121の平面視形状は、円形である。第1入射面121の中心軸は、発光素子113の発光面に対して垂直でもよいし、発光素子113の発光面に対して垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第1入射面121の中心軸は、発光素子113の発光面に対して垂直である。また、第1入射面121の中心軸は、発光素子113から出射された光の光軸(発光素子113の発光面の中心軸)と一致してもよいし、発光素子113から出射された光の光軸と一致していなくてもよい。本実施の形態では、第1入射面121の中心軸は、発光素子113から出射された光の光軸(発光素子113の発光面の中心軸)と一致している。
【0025】
第1出射面122は、第1入射面121で入射し、光レセプタクル120の内部を進行した光を光伝送体140の端面に向けて出射させるための光学面である。第1出射面122は、光伝送体140の端面と対向できるように光レセプタクル120の正面に配置されている。第1出射面122の数は、第1入射面121の数と同じである。すなわち、本実施の形態では、第1出射面122の数は、4個である。第1出射面122は、第1入射面121の配置方向と平行な同一直線状上に配置されている。
【0026】
第1出射面122の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第1出射面122の形状は、光伝送体140の端面に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第1出射面122の平面視形状は、円形である。第1出射面122の中心軸は、光伝送体140の端面に対して垂直でもよいし、光伝送体140の端面に対して垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第1出射面122の中心軸は、光伝送体140の端面に対して垂直である。また、第1出射面122の中心軸は、出射された光が入射する光伝送体140の端面の中心軸と一致してもよいし、出射された光が入射する光伝送体140の端面の中心軸と一致していなくてもよい。本実施の形態では、第1出射面122の中心軸は、出射された光が入射する光伝送体140の端面の中心軸と一致している。
【0027】
複数の第1出射面122および後述の複数の第3入射面127を挟むように一対のフェルール用凸部152、152が配置されている。フェルール用凸部152は、前述のとおり光伝送体140のフェルール150に形成されたフェルール用凹部151に嵌め込まれる。フェルール用凸部152は、フェルール用凹部151とともに、光伝送体140の端面を第1出射面122に対して適切な位置に固定する。フェルール用凸部152の形状および大きさは、前述の効果を発揮できれば、特に限定されない。本実施の形態では、フェルール用凸部152は、略円柱形状の凸部である。
【0028】
反射透過部123は、発光素子113から出射され、第1入射面121で入射した光のうち、一部の光を第1出射面122に向けて反射させるとともに、他の一部の光を透過(出射)させて、信号光を減衰させる。反射透過部123は、第1入射面121で入射した光が到達する位置に形成されていればよい。
【0029】
反射透過部123は、個別反射面131と、個別透過面132と、個別接続面133とを有する(図5参照)。個別反射面131と、個別透過面132と、個別接続面133との数は特に限定されない。本実施の形態では、個別反射面131と、個別透過面132と、個別接続面133とは、それぞれ複数である。個別反射面131と、個別透過面132と、個別接続面133との数は、それぞれ4つ以上が好ましい。また、本実施の形態では、個別反射面131と、個別透過面132と、個別接続面133とがこの順番で、個別反射面131の傾斜方向に繰り返し配置されている。
【0030】
個別反射面131は、第1入射面121で入射した光のうち、一部の光を第1出射面122に向けて反射させるための光学面である。個別反射面131は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、個別反射面131は、平面である。個別反射面131は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、光伝送体140(第1出射面122)に近づくように傾斜している。本実施の形態では、個別反射面131の傾斜角度は、個別反射面131に入射する光の光軸に対して45°である。
【0031】
個別透過面132は、第1入射面121で入射した光のうち、他の一部の光を透過させるための光学面である。個別透過面132は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、個別透過面132は、平面である。また、本実施の形態では、個別透過面132は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、光伝送体140(第1出射面122)に近づくように傾斜している。なお、個別透過面132の第1出射面122に対する傾斜角度は、個別反射面131の第1出射面122に対する傾斜角度よりも大きい。
【0032】
個別反射面131と、個別透過面132との面積比は、減衰させる光の光量により適宜設定される。具体的には、第1入射面121側から見たときの個別反射面131と個別透過面132の面積比を調整することで、個別反射面131で反射する光と、個別透過面132で透過する光との光量比を調整する。
【0033】
個別接続面133は、個別反射面131および個別透過面132を接続させる面である。個別接続面133は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、個別接続面133は、平面である。
【0034】
個別透過面132および個別接続面133の傾斜角度について、別途説明する。
【0035】
第3入射面127は、光伝送体140から出射された光を光レセプタクル120の内部に入射させるための光学面である。第3入射面127は、光伝送体140のそれぞれに対向できるように光レセプタクル120の正面に配置されている。第3入射面127の数は、光伝送体140の数と同じ数である。すなわち、本実施の形態では、第3入射面127は、4個である。第3入射面127は、第1出射面122と同じ方向に配置されている。また、本実施の形態では、第1出射面122および第3入射面127は、同一直線状に配置されている。
【0036】
第3入射面127の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第3入射面127の形状は、光伝送体140の端面に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第3入射面127の平面視形状は、円形である。第3入射面127の中心軸は、光伝送体140の端面に対して垂直でもよいし、光伝送体140の端面に対して垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第3入射面127の中心軸は、光伝送体140の端面に対して垂直である。また、第3入射面127の中心軸は、光伝送体140の端面から出射される光の光軸と一致してもよいし、光伝送体140の端面から出射される光の光軸と一致していなくてもよい。本実施の形態では、第3入射面127の中心軸は、光伝送体140の端面から出射される光の光軸と一致している。
【0037】
第3出射面128は、第3入射面127で入射し、光レセプタクル120の内部を進行した光を受光素子114に向けて出射させるための光学面である。第3出射面128は、受光素子114のそれぞれに対向できるように光レセプタクル120の基板111に対向する面(底面)に配置されている。第3出射面128の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第3出射面128は、4個である。4個の第3出射面128は、第1入射面121と同じ方向に配置されている。また、本実施の形態では、第3出射面128および第1入射面121は、同一直線状に配置されている。
【0038】
第3出射面128の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第3出射面128の形状は、受光素子114に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第3出射面128の平面視形状は、円形である。第3出射面128の中心軸は、受光素子114の受光面に対して垂直でもよいし、受光素子114の受光面に対して垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第3出射面128の中心軸は、受光素子114の受光面に対して垂直である。また、第3出射面128の中心軸は、受光素子114の受光面の中心軸と一致してもよいし、受光素子114の受光面の中心軸と一致していなくてもよい。本実施の形態では、第3出射面128の中心軸は、受光素子114の受光面の中心軸と一致している。
【0039】
第3反射面129は、第3入射面127で入射した光を第3出射面128に向けて出射させるための光学面である。第3反射面129は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、第3反射面129は、平面である。第3反射面129は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、光伝送体140(第1出射面122)に近づくように傾斜している。第3反射面129の傾斜角度は、特に限定されない。本実施の形態では、第3反射面129の傾斜角度は、第3反射面129に入射する光の光軸に対して45°である。
【0040】
ここで、個別透過面132および個別接続面133との関係について説明する。図5A、Bは、個別透過面132および個別接続面133との関係を説明するための図である。図5Aは、比較例に係る光レセプタクルにおける反射透過部123Aの部分拡大断面図であり、図5Bは、本実施の形態に係る光レセプタクル120における反射透過部123の部分拡大断面図である。なお、図5A、Bでは、ハッチングを省略している。
【0041】
図5Aに示されるように、比較例に係る光レセプタクルでは、個別透過面132Aが基板111に対する光レセプタクルの設置面116と平行に(第1入射面121の中心軸と垂直となるように)配置されているものとする。また、個別接続面133Aは、第1入射面121の中心軸と平行に(第1出射面122の中心軸CAと垂直となるように)配置されているものとする。また、比較例に係る光レセプタクルでは、個別透過面132Aおよび個別接続面133Aが所望の形状とならず、成形不良部分(ダレ)134Aが生じているものとする。
【0042】
第1入射面121から入射した光は、反射透過部123Aに到達する。より具体的には、第1入射面121から入射した光のうち、一部の光は、個別反射面131Aに到達して第1出射面122に向けて反射される。他の一部の光は、個別透過面132Aに到達して、光レセプタクル120の外部に出射される。なお、個別透過面132Aに到達した光のうち、一部の光は、個別透過面132Aで内部反射して、発光素子113に入射してしまうことも考えられる。発光素子113に光が入射してしまうと、出射される光の強度分布が乱れてしまう。また、他の一部の光は、成形不良部分134Aに到達する。成形不良部分134Aに到達した光は、光レセプタクル120の底面側(発光素子113側)に反射される。特に光レセプタクル120の底面側に反射された光は、迷光となり、発光素子113に入射してしまうおそれがある。
【0043】
図5Bに示されるように、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、個別透過面132および個別接続面133は、個別透過面132および基板111に対する光レセプタクル120の設置面116のなす角度をθaとし、個別接続面133および基板111に対する光レセプタクル120の設置面116のなす角度をθbとしたとき、以下の式(1)~式(3)を満たす。なお、設置面116は、発光素子113の発光面と平行となるように配置されている。
0°<θa<37° 式(1)
70°<θb≦90° 式(2)
θa+θb≧100° 式(3)
【0044】
式(1)に示されるように、θaは、0°超であって、37°未満である。θaが0°超であれば、成形不良134部分に光が到達しても、光レセプタクル120の天面側に光が向かうため、底面側に向かう迷光を減少させることができる。θaが0°の場合、第1入射面121で入射し、個別透過面132に直接到達した光のうち、一部の光が内部反射して、発光素子113に再度入射してしまうおそれがある。一方、θaが37°以上の場合、第1入射面121で入射し、個別透過面132に直接到達した光が透過しないおそれがある。式(2)に示されるように、θbは、70°超であって、90°以下である。θbの上限値は、90°未満であることが好ましい。また、θbの下限値は、85°以上が好ましく、87°以上がより好ましい。言い換えると、個別透過面132および個別接続面133の交線は、発光素子113から出射され、第1入射面121で入射した光に対して死角の位置に配置されていることが好ましい。θbが式(2)の範囲内であれば、第1入射面121で入射した光を余計に減衰させることがない。また、θbが85°以上90°未満の場合には、発光素子113から出射され、第1入射面121で入射した光が交線近傍に到達することがないため、さらに迷光の発生を抑制できる。さらに、θbが87°以上90°未満の場合には、射出成形時において斜め抜きする角度が小さくなるため、製造が容易になる。また、個別透過面132を透過した光が個別接続面133に入射しづらくなる。
【0045】
式(3)に示されるように、θa+θbは、100°以上である。θa+θbが100°未満の場合には、成形性が低くなり、成形不良が生じるおそれがある。
【0046】
ここで、光伝送体140に対して、本実施の形態に係る光レセプタクル120と、比較例に係る光レセプタクルとを最大結合効率となる位置からX方向、Y方向およびZ方向に移動させた場合の、発光素子113と光伝送体140との間の結合効率の変化をシミュレーションした。ここで、「X方向」とは、発光素子113および受光素子114の配置方向(図1における紙面前後方向)を意味し、「Y方向」とは、基板111の表面と平行な面において、X方向に平行な線と、直交する方向を意味し、「Z方向」とは、X方向およびY方向に垂直な方向を意味する。
【0047】
図6A~Cは、結合効率の変化のシミュレーション結果を示すグラフである。図6Aは、光レセプタクルをX方向に移動させた場合のシミュレーション結果を示しており、図6Bは、光レセプタクルをY方向に移動させた場合のシミュレーション結果を示しており、図6Cは、光レセプタクルをZX方向に移動させた場合のシミュレーション結果を示している。図6A~Cの横軸は、光レセプタクルの移動量を示しており、縦軸は、最大結合効率を示している。図6A~Cにおける実線は、本実施の形態に係る光レセプタクル120の結果を示しており、点線は、比較例に係る光レセプタクルの結果を示している。
【0048】
なお、比較例に係る光レセプタクルにおいて、個別反射面131B、個別透過面132Bおよび個別接続面133Bの数は、それぞれ2個ずつであり、本実施の形態に係る光レセプタクル120において、個別反射面131、個別透過面132および個別接続面133の数は、それぞれ5個ずつである。また、本実施の形態の光レセプタクル120におけるθaは35°であり、θbは90°である。
【0049】
図6A~Cに示されるように、本実施の形態に係る光レセプタクル120は、比較例に係る光レセプタクルと比較して、光伝送体140と光レセプタクル120が位置ずれしても、結合効率の低下が抑制されていることがわかる。具体的には、結合効率の低下が0.50dB以下となる光レセプタクル120と光伝送体140との位置ずれ幅を「トレランス幅」と定義した場合、比較例に係る光レセプタクルでは、X方向に移動させた場合のトレランス幅は20μmであり、Y方向に移動させた場合のトレランス幅は19μmであり、Z方向に移動させた場合のトレランス幅は40μmであった。一方、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、X方向に移動させた場合のトレランス幅は22μmであり、Y方向に移動させた場合のトレランス幅は22μmであり、Z方向に移動させた場合のトレランス幅は130μmであった。
【0050】
なお、発光素子113から出射された光の光伝送体140に到達する光の量は、個別反射面131と、個別透過面132との面積比によって決まるため、個別反射面131および個別透過面132の数を増やすことで、本実施の形態に係る光レセプタクル120は、比較例に係る光レセプタクルと比較して、トレランス幅が拡げられることが考えられる。
【0051】
(光モジュールにおける光の光路)
ここで、本実施の形態に係る光モジュール100における光路について説明する。図7A~Cは、光モジュール100における光路を示す図である。図7Aは、図4Aに示される送信側の部分の断面における光路図であり、図7Bは、反射透過部123の部分拡大断面における光路図であり、図7Cは、図4Bに示される受信側の部分の断面における光路図である。
【0052】
図7A、Bに示されるように、発光素子113から出射された光は、第1入射面121で光レセプタクル120に入射する。第1入射面121で入射した光は、反射透過部123に向けて進行し、反射透過部123に到達する。反射透過部123には、個別反射面131、個別透過面132および個別接続面133があるため、反射透過部123に到達した光のうち、一部の光は、個別反射面131で第1出射面122に向かって反射され、他の一部の光は、個別透過面132を透過する。このとき、個別透過面132は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて第1出射面122に近づくように傾斜されているため、個別透過面132から出射される光は、第1出射面122側に向かって屈折する。また、成形不良部分134部分が生じた場合でも、第1入射面121で入射した光は、光レセプタクル120の天面に向けて反射される(図7Bの点線参照)。
【0053】
反射透過部123(個別反射面131)で反射した光は、第1出射面122に到達する。第1出射面122に到達した光は、第1出射面122で光伝送体140の端面に向けて出射される。
【0054】
反射透過部(個別透過面132)で透過した光は、第1出射面122側に向かって進行するため、迷光となることがない。
【0055】
このように、第1入射面121で入射した光は、個別透過面132で透過した分だけ減衰されて、光伝送体140に向かって進行する。
【0056】
図7Cに示されるように、光伝送体140から出射された光は、第3入射面127で光レセプタクル120の内部に入射する。光レセプタクル120の内部に入射した光は、第3反射面129に向けて進行し、第3反射面129に到達する。第3反射面129に到達した光は、第3出射面128に向かって内部反射する。第3出射面128に到達した光は、受光素子114に向けて出射される。
【0057】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光レセプタクル120は、個別透過面132および個別接続面133が0°<θa<37°、70°<θb≦90°およびθa+θb≧100°を満たすように配置されているため、発光素子113側に向かう迷光の発生を減少させつつ、発光素子から出射された光を減衰できる。
【0058】
なお、本実施の形態では、送受信用の光モジュール100について説明したが、送信用の光モジュールであってもよい。この場合、光レセプタクルは、第3入射面127、第3出射面128および第3反射面129を有さない。
【0059】
なお、本実施の形態1に係る光レセプタクル120は、個別透過面132から出射された光を遮光するための遮光部160を有していてもよい。図8A、Bは、遮光部160を説明するための図である。
【0060】
図8Aに示されるように、個別透過面132から出射された光が光レセプタクル120に再度到達する場合には、遮光部160は、光が到達する領域に配置されていてもよい。この場合、遮光部160は、例えば光を吸収する光吸収膜や当該領域に形成されたシボ面である。
【0061】
図8Bに示されるように、個別透過面132から出射された光が光レセプタクル120に再度到達しない場合には、遮光部160は、光レセプタクル120に光が到達する領域に形成されていてもよい。この場合、遮光部は、例えば反射透過部123を保護するためのカバーやフィルムである。この場合、遮光部160は、個別透過面132から出射された光を吸収する材料で構成されていることが好ましい。
【0062】
[実施の形態2]
(光モジュールの構成)
実施の形態2に係る光モジュール200は、発光素子113から光が適切に出射されているかを検出するための検出光を検出するように構成されている。本実施の形態に係る光モジュール200は、光レセプタクル220の構成が実施の形態1に係る光モジュール100と異なる。そこで、実施の形態1に係る光モジュール100と同じの構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、特徴部分について説明する。
【0063】
実施の形態2に係る光モジュール200は、光電変換装置210と、光レセプタクル220とを有する(図12参照)。
【0064】
本実施の形態に係る光電変換装置210は、基板111と、光電変換素子112とを含む。本実施の形態では、光モジュール100が送受信の光モジュール100であって、発光素子113が適切に光を発光しているかを確認することが必要であるため、光電変換素子112は発光素子113、検出素子115および受光素子114である。検出素子115は、例えばフォトディテクタである。検出素子115の数は、発光素子113の数と同じである。本実施の形態では、4個の発光素子113が配置されているため、検出素子115の数も4個である。また、4個の検出素子115は、4個の発光素子113の配列方向と平行な同一直線上に配列されている。
【0065】
(光レセプタクルの構成)
図9A、B、図10A~Dおよび図11A、Bは、光レセプタクル220の構成を示す図である。図9Aは、光レセプタクル220を底面側から見た斜視図であり、図9Bは、光レセプタクル220を天面側から見た斜視図である。図10Aは、光レセプタクル120の平面図であり、図10Bは、底面図であり、図10Cは、正面図であり、図10Dは、背面図である。図11Aは、図10CのA-A線で示される断面図であり、図1Bは、図10CのB-B線で示される断面図である。
【0066】
光レセプタクル220は、第1入射面121と、第1出射面122と、反射透過部123と、第2入射面224と、第2出射面225と、第2反射面226と、第3入射面127と、第3出射面128と、第3反射面129とを有する。本実施の形態の光レセプタクル220の材料は、実施の形態1における光レセプタクル120の材料と同じである。また、本実施の形態では、少なくとも第1入射面121と、第1出射面122と、反射透過部123と、第2入射面224と、第2出射面225と、第2反射面226とが一体成形されている。
【0067】
第2入射面224は、反射透過部123の個別透過面132で透過(出射)した光のうち、少なくとも一部の光を再度、光レセプタクル220の内部に入射させるための光学面である。第2入射面224は、反射透過部123よりも第1出射面122側に配置されていることが好ましい。第2入射面224の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、第2入射面224の形状は、平面である。
【0068】
第2出射面225は、光レセプタクル220の内部を進行した光を検出素子115に向けて出射させるための光学面である。第2出射面225は、検出素子115のそれぞれに対向できるように光レセプタクル220の基板111に対向する面(底面)に配置されている。第2出射面225の数は、特に限定されない。本実施の形態では、第2出射面225は、4個である。第2出射面225は、第1入射面121および第3出射面128と平行な同一直線状上に配列されている。
【0069】
第2出射面225の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、第2出射面225の形状は、検出素子115に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第2出射面225の平面視形状は、円形である。第2出射面225の中心軸は、検出素子115の受光面に対して垂直でもよいし、検出素子115の受光面に対して垂直でなくてもよい。本実施の形態では、第2出射面225の中心軸は、検出素子115の受光面に対して垂直である。また、第2出射面225の中心軸は、検出素子115の受光面の中心軸と一致してもよいし、検出素子115の受光面の中心軸と一致していなくてもよい。本実施の形態では、第2出射面225の中心軸は、検出素子115の受光面の中心軸と一致している。
【0070】
第2反射面226は、第2入射面224で入射した光を第2出射面225に向けて内部反射させるための光学面である。第2反射面226は、平面でもよいし、曲面でもよい。本実施の形態では、第2反射面226は、平面である。本実施の形態では、第2反射面226は、光レセプタクル220の底面から天面に向かうにつれて基板111の表面と平行となるように形成されている。
【0071】
なお、本実施の形態でも、個別透過面132および個別接続面133は、個別透過面132および基板111に対する光レセプタクル120の設置面116のなす角度をθaとし、個別接続面133および基板111に対する光レセプタクル120の設置面116のなす角度をθbとしたとき、以下の式(1)~式(3)を満たす。
0°<θa<37° 式(1)
70°<θb≦90° 式(2)
θa+θb≧100° 式(3)
【0072】
(光モジュールにおける光の光路)
ここで、本実施の形態に係る光モジュール200における光路について説明する。図2A~Cは、光モジュール200の光路を示す図である。図12Aは、図11Aに示される送信側の部分の断面における光路図であり、図12Bは、反射透過部123の部分拡大断面における光路図であり、図12Cは、図11Bに示される受信側の部分の断面における光路図である。
【0073】
図12A、Bに示されるように、発光素子113から出射された光は、第1入射面121で光レセプタクル220に入射する。第1入射面121で入射した光は、反射透過部123に向けて進行し、反射透過部123に到達する。反射透過部123には、個別反射面131、個別透過面232および個別接続面133があるため、反射透過部123に到達した光のうち、一部の光は、個別反射面131で第1出射面122に向かって反射され、他の一部の光は、個別透過面232を透過する。このとき、個別透過面232は、光レセプタクル220の底面から天面に向かうにつれて第1出射面122に近づくように傾斜されているため、個別透過面232から出射される光は、第1出射面122側に向かって屈折する。また、成形不良部分134が生じた場合でも、第1入射面121で入射した光は、光レセプタクル220の天面に向けて反射される(図12Bの点線参照)。
【0074】
反射透過部123(個別反射面131)で反射した光は、第1出射面122に到達する。第1出射面122に到達した光は、第1出射面122で光伝送体140の端面に向けて出射される。
【0075】
反射透過部(個別透過面232)で透過(出射)した光は、第2入射面224に向かって進行する。第2入射面224に到達した光のうちは、少なくとも一部の光は、再度光レセプタクル220の内部に入射する。第2入射面224で光レセプタクル220の内部に入射した光は、第2反射面226に向かって進行する。第2反射面226に到達した光は、第2出射面225に向けて内部反射される。第2出射面225に到達した光は、検出素子115に向けて出射される。
【0076】
図12Cに示されるように、光伝送体140から出射された光は、第3入射面127で光レセプタクル220に入射する。第3入射面127で入射した光は、第3反射面129に向かって進行する。第3反射面129に到達した光は、第3出射面128に向けて内部反射される。第3出射面128に到達した光は、受光素子114に向けて出射される。
【0077】
このように、第1入射面121で入射した光は、個別透過面232で透過した分だけ減衰されて、光伝送体140に向かって進行する。
【0078】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光モジュール200は、実施の形態1に係る光モジュール100の効果に加え、発光素子113から光が適切に出射しているか否かを検出できる。
【0079】
なお、本実施の形態でも、光モジュール200は、送信用の光モジュールであってもよい。この場合、光レセプタクル220は、第3入射面127、第3出射面128および第3反射面129を有さない。
【0080】
なお、本実施の形態では、発光素子113から出射された光のうち、一部の光を検出光として利用するため、遮光部を設ける必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る光レセプタクルおよび光モジュールは、光伝送体を用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0082】
100、200 光モジュール
110、210 光電変換装置
111 基板
112 光電変換素子
113 発光素子
114 受光素子
115 検出素子
116 設置面
120、220 光レセプタクル
121 第1入射面
122 第1出射面
123 反射透過部
123A 反射透過部
127 第3入射面
128 第3出射面
129 第3反射面
131 個別反射面
131A 個別反射面
132、232 個別透過面
132A 個別透過面
133 個別接続面
133A 個別接続面
134、134A 成形不良部分
140 光伝送体
150 フェルール
151 フェルール用凹部
152 フェルール用凸部
160 遮光部
224 第2入射面
225 第2出射面
226 第2反射面
CA 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12