IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業機械 図1
  • 特許-作業機械 図2
  • 特許-作業機械 図3
  • 特許-作業機械 図4
  • 特許-作業機械 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20240222BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/20 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020059021
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156067
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 礼
(72)【発明者】
【氏名】天野 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】西川 真司
(72)【発明者】
【氏名】廻谷 修一
(72)【発明者】
【氏名】楢▲崎▼ 昭広
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/168122(WO,A1)
【文献】特開2017-172223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の周辺に存在する人および物体の有無を検出する第1検出装置と、
前記作業機械を操作する操作装置の操作の有無を検出する第2検出装置と、
前記第1および第2検出装置の検出結果に基づいて、前記作業機械の動作を制御する制御装置と、を備えた作業機械であって、
前記作業機械は、前記制御装置により前記作業機械の動作の制限を行う制限制御と、前記制御装置により前記作業機械の動作を許容する許容制御と、のいずれかの制御を設定し、前記制御の設定を前記制御装置に前記作業機械のオペレータが入力する切換入力装置を備えており、
前記第1検出装置で人または物体が検出され、かつ、前記第2検出装置で前記操作装置の操作が検出された第1検出条件が成立したときに、前記制御装置は、前記切換入力装置により設定された制御を実行するものであり、
前記制限制御は、前記作業機械の動作を停止させる、または、前記作業機械の動作速度を低下させる制御であり、
前記許容制御は、前記作業機械の動作の制限を行わない制御、または、前記作業機械の動作速度を時間経過とともに減少させる速度制限制御を一定時間行った後、速度制限を解除する制御であることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記第1検出条件から、前記第1検出装置で人または物体が検出され、かつ、前記第2検出装置で前記操作装置の操作が検出された第2検出条件に移行した際に、前記制御装置は、前記作業機械が動き出さない状態にすることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第1または第2検出条件から、前記第1検出装置で人および物体が検出されず、前記第2検出装置で前記操作装置の操作が検出された第3検出条件に移行した際に、前記制御装置は、前記作業機械の動作の制限を行わない非制限制御を行うことを特徴とする請求項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の周辺に存在する人および物体を検出することにより動作の制限を行う作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、たとえば、特許文献1には、作業機械の周辺に存在する人を検出する検出装置と、検出装置の検出結果に基づき第1状態と第2状態との間で前記作業機械の状態を切り換える制御部と、を備えた作業機械が提案されている。第1状態は、作業機械の動きの制限が解除されている状態、又は、警報が停止している状態を含み、第2状態は、作業機械の動きを制限し或いは停止させている状態、又は、警報を出力させている状態を含む。制御部は、作業機械の状態を前記第2状態に切り換えた後で所定の条件が満たされた場合に作業機械の状態を前記第1状態に戻す。所定の条件は、前記作業機械の周辺での人の非検出、及び、前記作業機械が動き出さない状態が確保されていることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-197491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出装置による検出は誤検出が多く、作業中の誤検出により動作を制限、又は停止されると作業機械の作業効率が著しく低下してしまう。また、作業機械が傾斜地などで作業しているときに、誤検出により急に動作が停止すると、作業機械の不安定な姿勢を招く。具体的には、オペレータの操作中に、作業機械の動作が停止動作に移行すると、操作時の慣性により作業機械の挙動が乱れ、操作性を悪化させ、作業効率を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、検出装置による誤検出があった場合であっても、作業効率の低下を招くことなく、作業を行うことができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、本発明に係る作業機械は、作業機械の周辺に存在する人および物体の有無を検出する第1検出装置と、前記作業機械を操作する操作装置の操作の有無を検出する第2検出装置と、前記第1および第2検出装置の検出結果に基づいて、前記作業機械の動作を制御する制御装置と、を備えた作業機械であって、前記作業機械は、前記制御装置により前記作業機械の動作の制限を行う制限制御と、前記制御装置により前記作業機械の動作を許容する許容制御と、のいずれかの制御に設定し、前記制御の設定を前記制御装置に入力する切換入力装置を備えており、前記第1検出装置で人または物体が検出され、かつ、前記第2検出装置で前記操作装置の操作が検出された第1検出条件が成立したときに、前記制御装置は、前記切換入力装置により設定された制御を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1検出装置で人または物体の検出がされ、かつ、第2検出装置で作業機械の操作の検出がされた第1検出条件が成立したときに、制御装置により、制限制御と許容制御のいずれかの制御を行うことができる。特に、切換入力装置により、制限制御が行われており、第1検出装置で人または物体の検出される誤検出があった場合には、切換入力装置で、許容制御に切り換えることにより、作業機械の動作が停止することがないので、作業機械の作業効率が著しく低下してしまうことを抑えることができる。さらに、許容制御の際には、作業機械の動作を許容するため、誤検出により第1検出条件になったとしても、作業機械が急に停止することがないため、操作時の作業機械の慣性により操作性が悪化することがなく、安定して作業機械で作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る作業機械の模式図である。
図2図1に示す作業機械のブロック図である。
図3図1に示す作業機械の制御判定のフロー図である。
図4図2に示す第2検出装置により、操作・非操作を判定する方法の例を表すテーブル図である。
図5図2に示す制御状態の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係るいくつかの実施形態の作業機械を説明する。本発明の実施形態に係る作業機械5として油圧ショベルを例示して説明する。なお、本発明に係る作業機械は、油圧ショベルに限定されるものではなく、ブルドーザ、ホイールローダ、締固め機械、トラック等の作業機械の全般であり、油圧ショベルに限定されるものではない。
【0010】
1.作業機械5について
まず、図1および図2を参照して、作業機械5について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る作業機械5の側面図であり、図2は、図1に示す作業機械5のブロック図である。
【0011】
図1に示すように、油圧ショベルである作業機械5は、クローラ式の下部走行体51と、下部走行体51上に旋回可能に設けられた上部旋回体52と、上部旋回体52に取り付けられた多関節式のフロント作業機53とを備えている。
【0012】
下部走行体51の前端部にアイドラ51aが設けられ、後端部に走行用油圧モータ61(図2参照)により駆動されるスプロケット51bが設けられる。このアイドラ51aとスプロケット51bとには、リンク(リンクアッセンブリ)51cが架け渡されており、アイドラ51aとスプロケット51bの間には、リンク51cを支持するローラ51dが設けられている。リンク51cには、地面に設置するシュープレート51eが取り付けられている。下部走行体51のスプロケット51bには、減速機等(図示せず)を介して走行用油圧モータ61が連結されている。走行用油圧モータ61の駆動により、下部走行体51のスプロケット51bを回転させ、作業機械5が移動可能となる。
【0013】
上部旋回体52の前方の左右一方側にはキャビン54が設けられ、キャビン54の右側の上部旋回体52の前方の中央部には上下方向に回動して掘削等の作業を行うフロント作業機53が設けられている。上部旋回体52の後部には機体の重量のバランスを保つカウンタウェイト56が設けられている。下部走行体51と上部旋回体52との間には、減速機等(図示せず)を介して、旋回用油圧モータ62(図2参照)が連結されている。旋回用油圧モータ62の駆動により、下部走行体51に対して、上部旋回体52を旋回させることができる。
【0014】
フロント作業機53は、上部旋回体52に枢動自在に取り付けられたブーム53Aと、ブーム53Aの先端に枢動自在に取り付けられたアーム53Bと、アーム53Bに枢動自在に取り付けられたバケット53Cと、を備えている。
【0015】
ブーム53Aは、ブーム53Aと上部旋回体52との間に取り付けられた油圧式のブームシリンダ53aにより作動する。アーム53Bは、ブーム53Aとアーム53Bの間に取り付けられた油圧式のアームシリンダ53bにより作動する。バケット53Cは、アーム53Bとバケット53Cとの間に取り付けられた油圧式のバケットシリンダ53cにより作動する。以下、ブーム53A、アーム53B、およびバケット53Cの少なくとも1つの動作を、フロント作業機53のフロント動作と称する。
【0016】
図2に示すように、本実施形態では、作業機械5は、エンジン65と、エンジン65に連結された作動ポンプ64と、作動ポンプ64に接続されたコントロールバルブ63と、をさらに備えている。作動ポンプ64は、エンジン65の出力により駆動し、作動油タンク(図示せず)から供給される作動油の圧力を昇圧する装置である。作動ポンプ64により昇圧された作動油がコントロールバルブ63に流れるように、作動ポンプ64は、コントロールバルブ63に接続されている。
【0017】
制御装置7は、コントロールバルブ63、作動ポンプ64、およびエンジン65に電気的に接続されている。コントロールバルブ63は、オペレータによる操作装置68の操作に起因した指令により、制御装置7を介して、下部走行体51の走行動作、上部旋回体52の旋回動作、およびフロント作業機53によるフロント動作に要する作動油(圧油)を分配し、これらの動作を制御する。
【0018】
具体的には、制御装置7からの制御信号により、コントロールバルブ63の切換方向、開閉のタイミング、および弁開度が制御される。また、制御装置7からの制御信号により、作動ポンプ64の作動油の吐出量が制御される。さらに、制御装置7からエンジン65への制御信号により、エンジン65の駆動開始および駆動停止、エンジン65の回転数が制御される。このようにして、作業機械5のアクチュエータである、ブームシリンダ53a、アームシリンダ53b、バケットシリンダ53c、走行用油圧モータ61、および旋回用油圧モータ62に対して、作動油の供給方向と、供給開始および供給停止と、作動油の供給流量とが制御される。
【0019】
なお、本実施形態では、操作装置68は、オペレータが操作する不図示の操作レバーとゲートロックレバー69を含み、オペレータが操作する機器であり、操作装置68による操作量に応じて、制御装置7が上述した制御信号を生成し、作業機械5を動作させることができる。制御装置7は、例えば入力装置(図示せず)から入力とさらに制御プログラムに基づいて、作業機械5を自動制御することも可能である。
【0020】
ここで、操作装置68のうち、ゲートロックレバー69は、キャビン54の内部に設置され、オペレータが操作するものである。本実施形態では、ゲートロックレバー69は上下に動かすことができ、ゲートロックレバー69を下げた状態(ロック解除)で、オペレータが操作レバー(図示しない)を操作すると、作業機械5の走行動作、旋回動作、およびフロント動作の実施が可能となる。ゲートロックレバー69を上げた状態(ロック)にすると、オペレータが操作レバーを操作しても、作業機械5の走行動作、旋回動作、およびフロント動作を実施できない。
【0021】
本実施形態では、作業機械5は、図2に示すように、第1検出装置41、第2検出装置42、切換入力装置43、および出力装置44をさらに備えている。第1検出装置41は、作業機械の周辺に存在する人および物体の有無を検出する装置であり、物体とは、動物等も含むものである。
【0022】
第1検出装置41は、撮像装置、超音波センサ、赤外線センサ、または電磁波による人および物体を検出するセンサなど、作業機械5の周辺に存在する人および物体を検出することができるのであれば、特にその構成は限定されるものではない。第1検出装置41は、人または障害物の有無の検出結果を、制御装置7に送信する。
【0023】
第2検出装置42は、操作装置68の操作の有無を検出する装置である。第2検出装置42は、オペレータによる操作レバーの把持または操作を検出する装置であってもよい。この他にも、第2検出装置42は、エンジン65の稼働、または、作動ポンプ64、油圧式のブームシリンダ53a、およびアームシリンダ53b、バケットシリンダ53c等の油圧アクチュエータの作動を直接検出するセンサであってもよく、オペレータによる操作装置68の操作の有無を検出することができるのであれば、特に限定されるものではない。第2検出装置42は、オペレータによる操作装置68の操作の有無の検出結果を、制御装置7に送信する。
【0024】
切換入力装置43は、制御装置7により作業機械5の動作の制限を行う制限制御と、制御装置7により作業機械5の動作を許容する許容制御と、のいずれか一方の制御に設定し、制御の設定を制御装置7に入力する装置である。
【0025】
切換入力装置43は、スイッチやタッチパネル上のボタン、または物理的なボタンなど、制限制御と許容制御のいずれかの制御に設定し、この設定に制御装置7に入力することができるのであれば、その形態は特に限定されるものではない。切換入力装置43により、制御条件が、制限制御と許容制御とのいずれか一方に設定され、この設定された制御条件が入力された制御装置7は、この設定条件に応じて作業機械5を制御する。
【0026】
なお、本実施形態では、作業機械5の電源を起動した際には、切換入力装置43は、制限制御に設定されており、作業機械5の電源を起動後、オペレータは、必要に応じて、切換入力装置43で許容制御に切り換え設定する操作を行う。なお、切換入力装置43で許容制御に設定された後、作業機械5の動作中にオペレータの操作により、制限制御に設定してもよい。
【0027】
本実施形態では、制御装置7は、CPUなどの演算装置およびRAM等の内部メモリで構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUに実行させて各種機能を実現する。
【0028】
制御装置7は、第1検出装置41、第2検出装置42、および切換入力装置43の出力結果に基づいて、制御装置7による作業機械5の制御を決定するものである。制御装置7は、第1検出装置41、第2検出装置42、および切換入力装置43の出力信号を受け、制御装置7に対応するソフトウェアプログラムを実行する。その実行結果に応じて、制御装置7は、出力装置44に各種情報を出力させ、油圧アクチュエータ等に制御指令を出力して作業機械5の駆動制御を実行させる。
【0029】
制御装置7は、第1検出装置41で人または物体が検出され(検出有り)であり、かつ、第2検出装置42で操作装置68の操作が検出された(検出有りとなる)第1検出条件が成立したときに、制御装置7は、切換入力装置43により設定された制御を実行する。
【0030】
本実施形態では、作業機械5の電源を起動した際には、切換入力装置43は、制限制御に設定されているため、第1検出条件が成立した際には、作業機械5が人または障害物に接触することを回避するため、制御装置7より作業機械5の動作が制限される。
【0031】
ここでいう、作業機械5による制限制御は、図5に示す、第1状態IIの制御を行うことであり、たとえば、エンジン65の回転数を低下させる、または、作業機械5の油圧アクチュエータの油圧又は流量を制限する制御のような車体制御を行う状態である。これにより、作業機械5の動作を停止させる、または、作業機械5の動作速度を低下させることができる。
【0032】
許容制御は、図5に示す、第1状態Iの制御を行うことであり、たとえば、エンジン65の回転数を低下させる、または、作業機械5の油圧アクチュエータの油圧又は流量を制限する、または、動作の制限を行わない通常動作を行うように制御する車体制御を行う状態であり、制御装置7により作業機械5の動作を許容する制御である。切換入力装置43により、制限制御が行われており、第1検出装置41で人または物体の検出が有りの誤検出が繰り返しあった場合には、オペレータが、切換入力装置43で、許容制御に切り換える。これにより、作業機械5の動作が停止することがないので、作業機械5の作業効率が著しく低下してしまうことを抑えることができる。さらに、許容制御の際には、作業機械5の動作を許容するため、誤検出により、第1検出条件になったとしても、作業機械が急に停止することがないため、操作時の作業機械5の慣性により作業機械5の挙動が乱れて、操作性が悪化することなく、安定して作業機械5で作業を行うことができる。
【0033】
本実施形態では、許容制御は、作業機械5の動作の制限を行わない制御、作業機械5の動作速度を時間経過とともに減少させる速度制限制御、または、作業機械5の動作速度を時間経過とともに減少させる速度制限制御を一定時間行った後、速度制限を解除する制御、のいずれか1つの制御である。この制御は、第1検出条件が継続している状態で、実行されていてもよい。なお、ここで、速度制限制御は、上述した制限制御により、作業機械5が制限される速度よりも遅い速度で、作業機械5の速度が制限される。
【0034】
許容制御により作業機械5を制御すると、制限制御に比べて、第1検出装置41で人または物体が検出された(検出有り)となったとしても、制限制御による作業機械5の動作制限に比べて、作業機械5が急減速または急停止することはない。
【0035】
たとえば、オペレータは、傾斜地などの作業領域に、人および物体が無いと判断し、作業機械5を動作させた場合に、誤検出により、作業機械5が制限制御されると、作業機械5の挙動が乱れて操作性が悪化するおそれがある。しかしながら、オペレータが、切換入力装置43により許容制御に設定しておけば、このような状態を回避することができる。また、許容制御の1つとして、作業機械5の動作速度を時間経過とともに減少させる速度制限制御を一定時間行った後、速度制限を解除する許容制御を行えば、人または物体を誤検出が持続していたとしても、その後、作業機械5の動作に制限を受けることがないので、通常の制御(作業機械5の通常の動作)に、速やかに復帰することができる。
【0036】
制御装置7は、第1検出条件から、第1検出装置41で人または物体が検出され(検出有り)であり、かつ、第2検出装置42で操作装置68の操作が検出されなかった(検出無し)第2検出条件に移行した際に、第1状態Iまたは第1状態IIから、作業機械5は第2状態に移行して作業機械5の動作を禁止する。これにより、第1状態Iまたは第1状態IIから、作業機械5は第2状態に移行する。第2状態は、図5に示す、作業機械5が動き出さない状態であり、具体的には、エンジン65が停止している状態、または、作業機械5の油圧アクチュエータが作動しない状態である。
【0037】
さらに、第1または第2検出条件から、第1検出装置41で人および物体が検出されず(検出無し)であり、かつ、第2検出装置42で操作装置68の操作が検出された(検出有りとなる)第3検出条件に移行した際には、制御装置7は、作業機械5の動作禁止(操作禁止)および制限を解除する。すなわち、この場合には、作業機械5の動作の制限を行わない非制限制御を行う。これにより、作業機械5に動作制限せず、オペレータの操作に応じた、通常制御を行うことができる。図5に示す、第3状態であり、作業機械5により通常動作(通常作業)が行える状態である。
【0038】
出力装置44は、各種情報を出力する装置であり、例えば、各種画像情報を表示する車載ディスプレイ、各種音声情報を音声出力する車載スピーカ、警報ブザー、警報ランプ等を含む。本実施形態では、出力装置44は、制御装置7からの制御指令に応じて各種情報を出力する。たとえば、第1検出装置41により、人または物体を検出した場合には、警報ランプを点灯させてもよく、制御装置7による制御、または、第1状態I、II、第2状態、または第3状態をディスプレイに出力してもよい。
【0039】
図3は、制御装置7にて行われる制御判定のフロー図である。ステップS101では、作業機械5が第1状態または第3状態であるか判定する。作業機械5が、第1状態または第3状態である場合には、ステップS102へ進む。そうでない場合には、ステップS109へ進む。ステップS102では、作業機械5の第1検出装置41が、人または物体を検出したか判定する。第1検出装置41が、人または物体を検出している場合には、ステップS103へ進む。そうでない場合には、ステップS105へ進む。ステップS105の場合には、作業機械5の周囲に人および物体が存在しないので、第3状態に移行し、作業機械5の動作の制限を行わず、通常の制御を行う。
【0040】
一方、ステップS103では、第2検出装置42により作業機械5が操作・非操作のいずれの状態であるかを検出する。作業機械5が操作されている場合(操作有りの場合)には、ステップS104へ進む。そうでない場合(操作無しの場合)は、ステップS108へ進む。ステップS108では、作業機械5による操作は無く、作業機械5の周辺に人または物体を検出している。したがって、この場合には、第2状態に移行し、作業機械5の動作を禁止する。
【0041】
一方、ステップS104では、第1検出装置41で人または物体の検出が有り、かつ、第2検出装置42で作業機械5の操作の検出が有りの第1検出条件であるので、第1状態において、切換入力装置43の設定が、制御装置7に入力される。
【0042】
ここで、作業機械5の第1状態の内容が第1状態Iである場合には、ステップS106へ進む。そうでない場合には、ステップS107へ進む。ステップS106では、作業機械5を第1状態Iへ移行させ、第1状態Iに応じた許容制御を行う。一方、ステップS107では、作業機械5を第1状態IIに移行させ、第1状態に応じた制限制御を行う。
【0043】
ステップS101に戻り、作業機械5が第1状態または第3状態でない場合には、第2状態であるため、ステップS109に進む。ステップS109では、作業機械5の第1検出装置41が、人または物体を検出しているか判定する。第1検出装置41が人または物体を検出している場合には、ステップS108へ進み、第2状態を維持し、そうでない場合には、ステップS110へ進む。
【0044】
ステップS110では、第2検出装置42により作業機械5が操作・非操作のいずれの状態であるかを検出する。作業機械5が操作されている場合(操作有りの場合)には、ステップS111へ進む。作業機械5の周辺に人および物体を検出しておらず、作業機械5による操作があるため、ステップS111では、作業機械5は、第3状態に移行し、制御装置7により通常の制御を行う。一方、ステップS110で、作業機械5が操作されていない場合は、ステップS108へ進み、第2状態を維持する。
【0045】
図4は、作業機械5の操作・非操作を判定する方法の例を表すテーブル図である。操作・非操作をそれぞれ操作フラグの1と0とするとき、油圧アクチュエータの操作圧が、ある圧力Pi以下であれば、操作フラグは0となり、油圧アクチュエータの操作圧が、ある圧力Piを超えると、操作フラグは1となる。具体的には、ある圧力Piを、ブームシリンダ53a、アームシリンダ53b、バケットシリンダ53cが動き出す圧力としても良い。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0047】
5:作業機械、7:制御装置、41:第1検出装置、42:第2検出装置、43:切換入力装置
図1
図2
図3
図4
図5