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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
E04H17/16 104
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020061237
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021161622
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】水野 節
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山鹿 栄治
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-203322(JP,A)
【文献】実公昭45-013868(JP,Y1)
【文献】実開昭60-150247(JP,U)
【文献】米国特許第05595038(US,A)
【文献】特開平05-093455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00-17/26
E04F 11/18
E04B 1/00
E04F 13/08,13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に固定された複数の壁面材が上下方向に繋がる壁構造であって、
前記複数の壁面材は、最も下側の前記壁面材を除くいずれかの前記壁面材の箇所に位置する分割壁面材を有し、
上下方向に隣接する前記分割壁面材以外の前記壁面材において、前記壁面材は、前記支柱に固定される固定部と、下側の前記壁面材が係合する被係合部と、上側の前記壁面材の前記被係合部と係合する係合部と、を有し、
前記係合部は、前記支柱に固定された前記固定部の壁外側で前記被係合部と係合し、前記固定部を覆い、
前記分割壁面材は、前記支柱に固定されるベース部材と、前記ベース部材に取り付けられて前記ベース部材を壁外側から覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、上下方向に隣接する前記壁面材の縁部を壁外側から覆う覆い部を有し、前記ベース部材に取り付けられた状態で、前記覆い部により前記壁面材の縁部の壁外側への移動を規制し、前記ベース部材から取り外された状態で、前記ベース部材及び前記壁面材の縁部を壁外側に向かって開放し、
前記壁面材の縁部は、前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記覆い部による規制が解除されて、壁外側への移動が許容され、
前記ベース部材は、前記支柱に固定されて前記カバー部材により壁外側から覆われる固定壁を有し、上下方向に隣接する前記壁面材が前記支柱に固定されて、前記固定壁を覆う前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記支柱への固定が解除されて、前記支柱から取り外される壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載された壁構造において、
前記カバー部材は、前記ベース部材に取り付けられる取付部を有する第1カバーと、前記第1カバーに装着される第2カバーと、を有し、
前記第2カバーは、前記ベース部材に取り付けられた前記取付部の壁外側で前記第1カバーに装着され、前記取付部を覆う壁構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された壁構造において、
前記壁面材の縁部は、前記係合部であり、
前記覆い部は、前記分割壁面材以外の前記壁面材が前記分割壁面材の下側に隣接する状態で、下側の前記壁面材の前記係合部と当接して係合する当接部を有し、前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記係合部の前記当接部への係合を解除する壁構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された壁構造において、
前記ベース部材は、前記覆い部よりも下側に位置して壁外側に突出する下突出部を有し、
前記壁面材は、前記分割壁面材の下側に隣接する状態で、前記下突出部に載置される載置部を有する壁構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された壁構造において、
前記ベース部材は、前記カバー部材を係止して、前記ベース部材に前記カバー部材を取り付ける係止部を有する壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の壁面材が上下方向に繋がる壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の壁面材を備えた壁構造では、複数の支柱が互いに間隔をあけて設置され、複数の壁面材が支柱に固定される。複数の壁面材は、上下方向に繋げて配置されて、壁構造の壁面を形成する。また、従来、壁面材として、複数の細長いパネルを備えた目隠しバルコニーのパネル取付け構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のパネル取付け構造では、複数のパネルの施工時に、下側のパネル(壁面材)の嵌合部に上側のパネルの挿入部を嵌めて、複数のパネルを順次連結する。ところが、複数のパネルが下から上に順次取り付けられるため、複数のパネルの取り付けに伴う上下方向の施工誤差が最も上側のパネルに累積する虞がある。この場合には、例えば、支柱の高さとパネルの高さの差が大きくなることがある。これに対し、高さの差の露出を防止するために、支柱の上側の笠木の見付け幅を大きくすると、壁構造の意匠性に影響が生じる。そのため、複数のパネルの上下方向に累積する施工誤差に対処する必要がある。また、壁構造においては、パネルの交換等のために、パネルを支柱から取り外すことがあり、パネルの容易な取り外しを実現することも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭61-159540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、支柱に固定されて上下方向に繋がる複数の壁面材において、上下方向に累積する施工誤差を視認され難くするとともに、壁面材を支柱から取り外し易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、支柱に固定された複数の壁面材が上下方向に繋がる壁構造であって、
前記複数の壁面材は、最も下側の前記壁面材を除くいずれかの前記壁面材の箇所に位置する分割壁面材を有し、
上下方向に隣接する前記分割壁面材以外の前記壁面材において、前記壁面材は、前記支柱に固定される固定部と、下側の前記壁面材が係合する被係合部と、上側の前記壁面材の前記被係合部と係合する係合部と、を有し、
前記係合部は、前記支柱に固定された前記固定部の壁外側で前記被係合部と係合し、前記固定部を覆い、
前記分割壁面材は、前記支柱に固定されるベース部材と、前記ベース部材に取り付けられて前記ベース部材を壁外側から覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、上下方向に隣接する前記壁面材の縁部を壁外側から覆う覆い部を有し、前記ベース部材に取り付けられた状態で、前記覆い部により前記壁面材の縁部の壁外側への移動を規制し、前記ベース部材から取り外された状態で、前記ベース部材及び前記壁面材の縁部を壁外側に向かって開放し、
前記壁面材の縁部は、前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記覆い部による規制が解除されて、壁外側への移動が許容され、
前記ベース部材は、前記支柱に固定されて前記カバー部材により壁外側から覆われる固定壁を有し、上下方向に隣接する前記壁面材が前記支柱に固定されて、前記固定壁を覆う前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記支柱への固定が解除されて、前記支柱から取り外される壁構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支柱に固定されて上下方向に繋がる複数の壁面材において、上下方向に累積する施工誤差を視認され難くできるとともに、壁面材を支柱から取り外し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の壁体を示す正面図である。
図2】第1実施形態の壁体の縦断面図である。
図3】第1実施形態の壁体の横断面図である。
図4】第1実施形態の壁体の概略構成を示す縦断面図である。
図5】第1実施形態の壁体で上下方向に隣接する中間壁面材を示す縦断面図である。
図6】第1実施形態の壁体で上下方向に隣接する最上壁面材と分割壁面材を示す縦断面図である。
図7】第1実施形態の壁体における分割壁面材の取り外し手順を示す縦断面図である。
図8】第2実施形態の壁体の縦断面図である。
図9】第3実施形態の壁体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の壁構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の壁構造は、壁体(壁構造体)における壁構造である。以下では、屋外に設置される独立した壁体を例にとり、壁体の壁構造の複数の実施形態について説明する。壁体は、地面に立てた状態で設置されて、屋外の空間を仕切る。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の壁体1を示す正面図であり、壁体1の内部と地面GLよりも下側の部分を鎖線で示している。図2は、第1実施形態の壁体1の縦断面図であり、図3は、第1実施形態の壁体1の横断面図である。
図示のように、設置箇所に設置した壁体1において、上下となる方向が上下方向であり、壁体1を正面からみたときに(図1参照)、左右となる方向が左右方向である。また、壁体1の厚みとなる方向が壁厚方向である。壁厚方向において、壁体1の外部側が壁外側であり、壁体1の内部側が壁内側である。ここでは、上下方向は、鉛直方向であり、左右方向及び壁厚方向は、水平方向である。壁厚方向は、左右方向に直交する。壁体1及び壁体1の各部に関する方向は、壁体1を設置箇所に設置した状態での方向で特定する。
【0011】
壁体1は、自立する複数の支柱2と、複数の支柱2を繋ぐ横材3と、上下方向に並べて配置された複数の壁面材4と、上部に設けられた笠木5と、笠木5を係止する笠木ベース6と、を備えている。支柱2、横材3、壁面材4、笠木5、及び、笠木ベース6は、それぞれ押出成形により形成された形材からなる。複数の支柱2は、中空状に形成されており、複数の支柱2の長手方向(上下方向)に直交する断面形状は、同一の矩形状に形成されている。支柱2の下側部分が地中に埋設されて、支柱2が上下方向に沿って設置されている。複数の支柱2は、左右方向に順に間隔をあけて地面GLに設置されて、直線状に並べて配置されている。従って、左右方向は、複数の支柱2が並ぶ方向である。
【0012】
複数の壁面材4は、複数の支柱2に渡って配置されて、支柱2に固定されている。壁面材4は、左右方向に細長いパネル材であり、壁面材4の上下方向の寸法(幅)は、壁面材4の左右方向の寸法(長さ)よりも小さい。壁体1の壁厚方向の両側で、複数の壁面材4は、上下方向に順に隣接して配置されて、互いに接続されている。また、複数の壁面材4は、支柱2の壁外側に配置されて、上下方向に繋がり、壁体1の壁面を形成している。
【0013】
横材3は、中空状に形成されており(図2参照)、横材3の長手方向(左右方向)に直交する断面形状は、矩形状に形成されている。横材3は、固定部材7により、複数の支柱2のそれぞれに固定されて、複数の支柱2の上端部を連結している。複数の支柱2のうち(図1参照)、左右方向の両端に位置する2つの支柱2(両端の支柱2という)は、それらの間に位置する支柱2(中間の支柱2という)よりも高い。横材3は、両端の2つの支柱2の間に架け渡されて、中間の支柱2の上面に載置されている。
【0014】
図4は、第1実施形態の壁体1の概略構成を示す縦断面図である。図4では、壁面材4の数を減らして、図2に示す壁面材4の数よりも少ない数の壁面材4を示している。
図示のように、固定部材7は、壁厚方向の一方側からみてL字形状に形成されており、ビス7Aにより、横材3の下面と支柱2に固定されている。
【0015】
笠木ベース6は、横材3の上面に載置されて、ビス6Aにより、横材3に固定されている。また、笠木ベース6は、笠木5を係止する係止片6Bと、位置決め部6Cと、を有している。係止片6Bと位置決め部6Cは、上方に突出し、係止片6Bは、位置決め部6Cよりも高く突出している。2つの位置決め部6Cが笠木ベース6の壁厚方向の両側の端部に設けられて、2つの係止片6Bが2つの位置決め部6Cの間に設けられている。壁面材4は、位置決め部6Cに係合して、位置決め部6Cにより位置決めされる。
【0016】
笠木5は、平坦な板状の上面部5Aと、上面部5Aから下方に突出する2つの被係止片5Bと、上面部5Aの壁厚方向の両側の端部から垂下する垂下部5Cと、を有している。被係止片5Bが笠木ベース6の係止片6Bに係止されて、笠木5が笠木ベース6に係止されて取り付けられる。壁体1の壁厚方向の両側で、垂下部5Cは、壁面材4よりも壁外側の位置に配置される。笠木5は、上面部5Aと垂下部5Cにより、壁体1の左右方向の全体にわたって、壁体1の上部を覆う。
【0017】
複数の壁面材4は、最も上に位置する壁面材4(最上壁面材40)と、最も下に位置する壁面材4(最下壁面材41)と、上下方向の中間に位置する壁面材4(中間壁面材42)と、複数に分割可能な壁面材4(分割壁面材43)と、を有している。最下壁面材41の下側部分は、地面GLよりも下側に配置されて、地中に埋設されている。最下壁面材41の上側部分、最上壁面材40、中間壁面材42、及び、分割壁面材43は、地面GLよりも上側に配置される。中間壁面材42は、最上壁面材40と最下壁面材41の間に配置される壁面材4であり、かつ、分割壁面材43以外の壁面材4であり、複数の壁面材4のうち、最上壁面材40、最下壁面材41、及び、分割壁面材43を除く壁面材4の箇所に設けられる。
【0018】
分割壁面材43は、最も下側の壁面材4(最下壁面材41)よりも上側に位置するいずれかの壁面材4であり、複数の壁面材4の箇所のうち、最下壁面材41を除くいずれかの壁面材4の箇所に位置する。壁体1の壁厚方向の両側で、分割壁面材43は、上下方向に繋がる複数の壁面材4のなかに1つ又は複数設けられる。例えば、分割壁面材43は、最上壁面材40の箇所、最上壁面材40と最下壁面材41の間のいずれかの壁面材4の箇所、又は、最下壁面材41を除く壁面材4の箇所のうちの上下方向に離隔した複数箇所に設けられる。
【0019】
ここでは、1つの分割壁面材43が、最上壁面材40の下側に隣接する壁面材4の箇所に設けられており、最上壁面材40と中間壁面材42の間に位置している。分割壁面材43の上側には最上壁面材40が隣接し、分割壁面材43の下側には中間壁面材42が隣接している。分割壁面材43の下側では、複数(ここでは、2つ)の中間壁面材42が上下方向に隣接し、最も下側の中間壁面材42が最下壁面材41の上側に隣接している。
【0020】
最上壁面材40では、係止部材である笠木ベース6に上端部が係止され、下端部がビス50により支柱2に固定されている。分割壁面材43は、ビス51、52により支柱2に固定されて、上下方向に隣接する壁面材4(最上壁面材40、中間壁面材42)と繋がる。中間壁面材42では、上端部が上側に隣接する壁面材4(分割壁面材43、中間壁面材42)の下端部に係合し、下端部がビス53により支柱2に固定されている。最下壁面材41では、上端部が上側に隣接する壁面材4(中間壁面材42)の下端部に係合し、下端部がビス54により支柱2に固定されている。複数の壁面材4は、固定具であるビス50~54により、それぞれ支柱2に固定されて、壁体1の壁面に保持される。
【0021】
図5は、第1実施形態の壁体1で上下方向に隣接する中間壁面材42を示す縦断面図であり、壁体1の壁厚方向の一方側の壁面材4を省略して、壁体1の壁厚方向の他方側の壁面材4を示している。また、図5では、支柱2に固定する前の1つの中間壁面材42を示している。
図示のように、中間壁面材42は、上下方向に沿って配置された板状の壁面部42Aと、壁面部42Aの上端から突出する傾斜部42Bと、中間壁面材42の上端部に設けられた係合部42Cと、中間壁面材42の下端部に設けられた被係合部42D及び止着部42Eと、壁面部42Aから支柱2に向かって突出する保持部42Fと、を有している。
【0022】
中間壁面材42の壁面部42Aは、支柱2の壁外側に離隔して配置されて、支柱2を覆い、壁体1の壁面を構成する。傾斜部42Bは、壁面部42Aの上端から斜め上方に向かって、壁内側(支柱2側)に傾斜する上傾斜部であり、上下方向に対して、支柱2との間隔が狭くなるように傾斜して配置されている。係合部42Cは、傾斜部42Bの先端(支柱2側の端部)に連続して形成されて、上側に隣接する壁面材4の下端部に係合する。被係合部42Dは、壁面部42Aの下端から斜め下方に向かって、壁内側(支柱2側)に傾斜する下傾斜部であり、上下方向に対して、支柱2との間隔が狭くなるように傾斜して配置されている。被係合部42Dには、下側に隣接する壁面材4の上端部が係合する。
【0023】
中間壁面材42の止着部42Eは、壁外側に向かって開放された溝部であり、ビス53により、支柱2に止着されている。また、止着部42Eは、支柱2に固定される板状の固定部42Gと、固定部42Gを壁面部42Aに連結する連結部42Hと、固定部42Gの下端から壁外側に突出する下突出部42Iと、を有している。固定部42Gは、支柱2に当接して、上下方向に沿って配置され、ビス53により、支柱2に固定されている。ビス53は、固定部42Gを壁外側から貫通して、支柱2に取り付けられている。
【0024】
中間壁面材42の連結部42Hは、固定部42Gの上端から壁外側に突出して、固定部42Gと壁面部42Aの間に形成されている。壁面部42Aの下端及び被係合部42Dは、連結部42Hよりも下側に位置している。下突出部42Iは、壁厚方向に沿って配置された突片であり、連結部42H及び被係合部42Dよりも下側に位置している。連結部42Hと下突出部42Iは、上下方向に間隔をあけて、互いに対向している。固定部42Gにおいて、連結部42Hは、ビス53よりも上側の位置から壁外側に突出し、下突出部42Iは、ビス53よりも下側の位置から壁外側に突出している。ビス53は、連結部42Hと下突出部42Iの間の位置で、固定部42Gを支柱2に固定している。
【0025】
中間壁面材42の被係合部42Dは、下突出部42Iよりも上側に位置しており、固定部42Gの壁外側に配置されて、壁厚方向において固定部42Gと対向している。被係合部42Dの下端は、連結部42Hと下突出部42Iの間の上下方向における中央位置よりも上側に位置している。係合部42Cは、上下方向に沿って配置される板状の壁部であり、傾斜部42Bの先端から上方及び下方に突出する。係合部42Cの上下方向の寸法(幅)は、連結部42Hと下突出部42Iの上下方向の間隔よりも狭い。
【0026】
複数の壁面材4のうち、分割壁面材43以外の壁面材4が上下方向に隣接する2つの壁面材4(ここでは、2つの中間壁面材42)において、上側に位置する中間壁面材42(上壁面材)は、下端部に、支柱2に固定される固定部42Gと、下側に位置する中間壁面材42(下壁面材)が係合する被係合部42Dと、を有している。また、下側の中間壁面材42は、上端部に、係合部42Cを有している。上側の中間壁面材42と下側の中間壁面材42が上下方向に並べて配置されて、下側の中間壁面材42の上端部(係合部42C)が上側の中間壁面材42の下端部(被係合部42D)に係合する。係合部42Cの被係合部42Dへの係合により、上下に隣接する中間壁面材42が互いに接続される。
【0027】
下側の中間壁面材42を支柱2に固定するときには、中間壁面材42を、上端部が下端部よりも壁内側(支柱2側)に位置するように傾斜させる。その状態で、下側の中間壁面材42の係合部42Cを、上側の中間壁面材42の壁外側から被係合部42Dと下突出部42Iの間に挿入し(矢印S1参照)、被係合部42Dの下側を通って、被係合部42Dの壁内側に配置する。続いて、中間壁面材42の下端部を壁内側に移動して、係合部42Cを中心に、中間壁面材42を壁内側に回転させる(矢印S2参照)。これにより、中間壁面材42の固定部42Gを支柱2に当接させる。
【0028】
下側の中間壁面材42の係合部42Cは、上側の中間壁面材42の溝状の止着部42Eに収容され、止着部42Eの連結部42Hと下突出部42Iの間に配置される。止着部42E内で、係合部42Cは、上下方向に沿って配置されて、下突出部42Iに載置される。また、係合部42Cは、壁外側に位置する被係合部42Dに壁内側から当接して、被係合部42Dに係合する。その状態で、ビス53により、下側の中間壁面材42の固定部42Gを支柱2に固定する。これにより、中間壁面材42が支柱2に固定される。
【0029】
上側の中間壁面材42の被係合部42Dにより、下側の中間壁面材42の係合部42C及び下側の中間壁面材42の壁外側への移動が規制されて、下側の中間壁面材42の係合部42Cが保持される。下側の中間壁面材42の係合部42Cは、支柱2に固定された上側の中間壁面材42の固定部42G及びビス53に対して壁外側に配置されて、固定部42G及びビス53の壁外側で、上側の中間壁面材42の被係合部42Dと係合する。係合部42Cは、固定部42G及びビス53を壁外側から覆い、上側の中間壁面材42の被係合部42Dと下突出部42Iの間の箇所を塞ぐ。また、下側の中間壁面材42の壁面部42Aは、上側の中間壁面材42の下突出部42Iに対して壁外側に配置されて、下突出部42Iを覆う。
【0030】
中間壁面材42の保持部42Fは、支柱2に当接して、支柱2と壁面部42Aの間隔を保持する。保持部42Fは、壁面部42Aから受ける壁内側の力で支柱2に押し付けられるとともに、壁面部42Aを壁外側に押す。これにより、下側の中間壁面材42の係合部42Cは、上側の中間壁面材42の被係合部42Dに押し付けられて、被係合部42Dに確実に当接して係合する。また、中間壁面材42は、安定した状態で、支柱2に固定される。
【0031】
最下壁面材41の上下方向の寸法(幅)は、中間壁面材42の上下方向の寸法よりも小さい(図4参照)。最下壁面材41は、上下方向の寸法を除いて、中間壁面材42と同一に構成されており、中間壁面材42の各部42A~42Iと同じ各部を有している。最下壁面材41と中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの壁面材4である。最下壁面材41は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42のうちの下側の中間壁面材42と同様に、上側に隣接する中間壁面材42に係合して、ビス54により、支柱2に固定される。最下壁面材41と中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42と同様に、互いに係合する。
【0032】
図6は、第1実施形態の壁体1で上下方向に隣接する最上壁面材40と分割壁面材43を示す縦断面図であり、壁体1の壁厚方向の一方側の壁面材4と笠木5を省略して、壁体1の壁厚方向の他方側の壁面材4を示している。また、図6では、支柱2に固定する前の最上壁面材40と分割壁面材43(分解した分割壁面材43)を示している。
図示のように、最上壁面材40は、壁面部40A、傾斜部40B、係合部40C、被係合部40D、止着部40E、及び、保持部40Fを有している。最上壁面材40の止着部40Eは、固定部40G、連結部40H、下突出部40Iを有している。
【0033】
最上壁面材40の係合部40Cは、中間壁面材42の係合部42Cとは相違しており、最上壁面材40は、係合部40Cを除いて、中間壁面材42と同一に構成されている。即ち、最上壁面材40の各部40A、40B、40D~40Iは、それぞれと同じ名称の中間壁面材42の各部42A、42B、42D~42Iと同一に構成されている。そのため、最上壁面材40の各部40A、40B、40D~40Iについては、中間壁面材42の各部42A、42B、42D~42Iと同じ事項の説明を省略する。
【0034】
最上壁面材40の傾斜部40Bの突出方向の寸法は、中間壁面材42の傾斜部42Bの突出方向の寸法よりも大きい。最上壁面材40の係合部40Cは、下向きのフック部であり、傾斜部40Bの先端から壁内側に突出する。係合部40Cは、最上壁面材40の上端部に設けられて、笠木ベース6の位置決め部6Cに上側から載置される(矢印S3参照)。その状態で、係合部40Cは、位置決め部6Cの上端部に引っ掛けられて、位置決め部6Cに係合する。位置決め部6Cは、支柱2の上側に設けられており、位置決め部6Cと係合部40Cは、笠木5の下側に配置される。
【0035】
位置決め部6Cにより、係合部40C及び最上壁面材40の壁外側への移動が規制されて、最上壁面材40の係合部40Cが保持される。最上壁面材40が位置決め部6Cにより位置決めされて、最上壁面材40の固定部40Gが支柱2に当接する。位置決め部6Cにより、最上壁面材40の上下方向の位置が位置決めされるとともに、最上壁面材40の壁厚方向の位置が位置決めされる。ビス50により、固定部40Gが支柱2に固定されて、止着部40Eが支柱2に止着される。これにより、最上壁面材40が支柱2に固定される。
【0036】
最上壁面材40の壁面部40Aと傾斜部40Bは、支柱2、横材3、及び、笠木ベース6の壁外側に離隔して配置されて、支柱2、横材3、及び、笠木ベース6を覆う。最上壁面材40の保持部40Fは、支柱2に当接して、支柱2と壁面部40Aの間隔を保持する。保持部40Fは、壁面部40Aから受ける壁内側の力で支柱2に押し付けられるとともに、壁面部40A及び係合部40Cを壁外側に押す。これにより、係合部40Cは、笠木ベース6の位置決め部6Cに押し付けられて、位置決め部6Cに確実に当接して係合する。また、最上壁面材40は、安定した状態で、支柱2に固定される。
【0037】
最上壁面材40の下側に中間壁面材42が隣接するときには、最上壁面材40と中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの壁面材4である。中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42のうちの下側の中間壁面材42と同様に、上側に隣接する最上壁面材40に係合して、ビス53により、支柱2に固定される。最上壁面材40と中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42と同様に、互いに係合する。これに対し、ここでは、最上壁面材40の下側に分割壁面材43が隣接して、最上壁面材40と分割壁面材43が上下方向に隣接している。
【0038】
分割壁面材43は、壁内側の部材と壁外側の部材を含む少なくとも2つの部材に分割されている。ここでは、分割壁面材43は、支柱2に沿って配置される壁内側のベース部材10と、壁外側の分割可能なカバー部材20と、を有している。また、カバー部材20は、分割可能なカバー体であり、ベース部材10に取り付けられる第1カバー21と、第1カバー21に装着される第2カバー30と、を有している。そのため、分割壁面材43は、3つの部材に分割される。ベース部材10は、ビス51、52により、支柱2に壁外側から着脱可能に固定され、カバー部材20は、ビス51により、ベース部材10に壁外側から着脱可能に取り付けられる。カバー部材20は、ベース部材10の壁外側に配置されて、ベース部材10を壁外側から覆う。
【0039】
ベース部材10は、支柱2に固定される板状の固定壁11と、カバー部材20を係止する係止部12と、ベース部材10の下端部に設けられた溝状の収容部13、を有している。固定壁11は、ベース部材10の上端部を含む上側部分であり、上下方向に隣接する壁面材4(ここでは、上側の最上壁面材40と下側の中間壁面材42)の間に配置される(矢印S4参照)。固定壁11の上端部(ベース部材10の上端部)が上側に隣接する最上壁面材40の下面に当接して、ベース部材10及び固定壁11が最上壁面材40よりも下側に配置される。ベース部材10の固定壁11は、支柱2に壁外側から当接して、ビス51、52により、支柱2に固定される。
【0040】
ベース部材10の係止部12は、壁外側に突出する上向きのフック部であり、収容部13の一部を構成している。ベース部材10の収容部13は、壁外側に向かって開放された溝部であり、支柱2と対向する板状の対向部14と、対向部14の下端から壁外側に突出する下突出部15と、を有している。対向部14は、収容部13の壁内側壁部であり、支柱2に当接して、上下方向に沿って配置されている。係止部12は、収容部13の上壁部であり、対向部14の上端から壁外側に突出している。下突出部15は、壁厚方向に沿って配置された突片であり、係止部12よりも下側に位置している。係止部12と下突出部15は、上下方向に間隔をあけて、互いに対向している。
【0041】
カバー部材20は、ベース部材10の固定壁11、係止部12、及び、収容部13(対向部14)の上側部分の壁外側に配置されて、ベース部材10の固定壁11、係止部12、及び、収容部13(対向部14)の上側部分を壁外側から覆う。カバー部材20の第1カバー21は、ベース部材10を覆うカバー本体であり、ビス51により、ベース部材10に壁外側から着脱可能に取り付けられて、ベース部材10の壁外側に配置される(矢印S5参照)。カバー部材20の第2カバー30は、第1カバー21の上側部分及びベース部材10の上端部を覆う補助カバーであり、第1カバー21に壁外側から着脱可能に装着される(矢印S6参照)。
【0042】
第1カバー21は、上下方向に沿って配置された板状の壁面部22と、壁面部22から壁内側に突出する被係止部23と、ベース部材10に取り付けられる板状の取付部24と、第2カバー30が装着される装着部25と、を有している。壁面部22は、ベース部材10の壁外側で、ベース部材10の固定壁11、係止部12、及び、収容部13(対向部14)の上側部分を覆う。被係止部23は、壁内側に突出する下向きのフック部であり、ベース部材10の係止部12に上側から載置される。その状態で、被係止部23は、係止部12に引っ掛けられて、係止部12に係止される。
【0043】
ベース部材10の係止部12は、被係止部23を介して、第1カバー21を係止して、ベース部材10に第1カバー21を取り付ける。第1カバー21の取付部24と装着部25は、第1カバー21の上端部に設けられている。取付部24は、壁面部22よりも壁内側に位置し、ベース部材10の固定壁11に当接して、ビス51により、ベース部材10の固定壁11に壁外側から着脱可能に取り付けられている。装着部25は、壁外側に突出する弾性変形可能な一対の被係合片からなり、取付部24の壁外側に形成されている。
【0044】
第2カバー30は、上下方向に沿って配置された板状の壁面部31と、壁面部31から壁内側に突出する一対の係合片32と、を有している。第2カバー30は、ベース部材10に取り付けられた第1カバー21の取付部24及びビス51の壁外側で第1カバー21に装着されて、壁面部31により、取付部24及びビス51を壁外側から覆う。一対の係合片32は、装着部25の一対の被係合片に係合して、装着部25に取り付けられる。これにより、第2カバー30は、装着部25に装着されて、第1カバー21に保持される。第2カバー30の壁面部31は、第1カバー21の取付部24と装着部25の壁外側に配置されて、第1カバー21の取付部24と装着部25を覆う。第1カバー21の壁面部22と第2カバー30の壁面部31は、上下方向に並べて配置されて、ベース部材10を覆い、壁体1の壁面を構成する。
【0045】
壁体1を施工するときには、地面GLを掘削して(図1図2参照)、溝状の基礎穴Hを形成し、複数の支柱2を左右方向に並べて基礎穴Hに設置する。また、横材3を複数の支柱2に固定し、笠木ベース6を横材3に固定する(図6参照)。次に、壁体1の壁厚方向の一方側と他方側のそれぞれで、最上壁面材40の係合部40Cを位置決め部6Cに係合して、ビス50により、最上壁面材40を支柱2に固定する。続いて、分割壁面材43のベース部材10を、最上壁面材40の下側に隣接させて、ビス52により、支柱2に固定する。ビス52は、ベース部材10の固定壁11を壁外側から貫通して、支柱2に取り付けられる。
【0046】
第1カバー21の被係止部23をベース部材10の係止部12に係止して、カバー部材20の第1カバー21をベース部材10に壁外側から当接させる。その状態で、ビス51により、第1カバー21の取付部24をベース部材10の固定壁11に取り付ける。ビス51は、第1カバー21の取付部24及びベース部材10の固定壁11を壁外側から貫通して、支柱2に取り付けられる。ビス51により、第1カバー21の取付部24が固定壁11に取り付けられるとともに、ベース部材10の固定壁11が支柱2に固定される。続いて、第2カバー30を第1カバー21の装着部25に装着する。これにより、分割壁面材43が支柱2に固定される。続いて、中間壁面材42を分割壁面材43の下側に隣接させて配置する。
【0047】
分割壁面材43の下側で、中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42(図5参照)のうちの下側の中間壁面材42と同様に、上側に隣接する分割壁面材43に係合して、ビス53により、支柱2に固定される。分割壁面材43と中間壁面材42は、上下方向に隣接する2つの中間壁面材42と同様に、互いに係合する。分割壁面材43と中間壁面材42が上下方向に並べて配置されて、下側の中間壁面材42の上端部(係合部42C)が上側の分割壁面材43の下端部に係合する。これにより、上下に隣接する分割壁面材43と中間壁面材42が互いに接続される。
【0048】
中間壁面材42を配置するときには、中間壁面材42を、上端部が下端部よりも壁内側(支柱2側)に位置するように傾斜させる。その状態で、中間壁面材42の係合部42Cを、分割壁面材43の壁外側からカバー部材20の第1カバー21とベース部材10の下突出部15の間に挿入し、第1カバー21の下側を通って、第1カバー21の壁内側に配置する。続いて、中間壁面材42の下端部を壁内側に移動して、係合部42Cを中心に、中間壁面材42を壁内側に回転させる。これにより、中間壁面材42の固定部42Gを支柱2に当接させる。
【0049】
ビス53により、中間壁面材42の固定部42Gを支柱2に固定して、中間壁面材42を支柱2に固定する。次に、複数の中間壁面材42を上側から下側に向かって順に支柱2に固定した後、最下壁面材41を支柱2に固定する。このように、複数の壁面材4は、上方から下方に向かって順に支柱2に設置されて、互いに接続される。壁体1の壁厚方向の両側で、複数の壁面材4により、壁体1の壁面を形成する。その状態で、地面GLの基礎穴Hを埋めて(図4参照)、最下壁面材41の下側部分を地中に埋める。続いて、笠木5を笠木ベース6に係止して壁体1の上部に取り付ける。
【0050】
中間壁面材42の係合部42Cは(図6参照)、上側の分割壁面材43の収容部13に収容され、係止部12と下突出部15の間に配置される。係合部42Cの上下方向の寸法(幅)は、係止部12と下突出部15の上下方向の間隔よりも狭く、係合部42Cは、収容部13内で上下方向に沿って配置される。係合部42Cは、分割壁面材43の下側の壁面材4(ここでは、中間壁面材42)に設けられた載置部である。中間壁面材42が分割壁面材43の下側に隣接する状態で、中間壁面材42の係合部42C(載置部)は、ベース部材10の下突出部15の上に載置される。
【0051】
分割壁面材43のカバー部材20は、カバー部材20がベース部材10に取り付けられた状態で、上下方向に隣接する壁面材4の縁部40J、42Jを壁外側から覆う覆い部26、33(下覆い部26、上覆い部33)を有している。カバー部材20の覆い部26、33は、規制部であり、壁面材4の縁部40J、42Jの壁外側への移動を規制する。また、カバー部材20がベース部材10から取り外された状態で、カバー部材20は、ベース部材10及び壁面材4の縁部40J、42Jを壁外側に向かって開放する。これにより、覆い部26、33による壁面材4の縁部40J、42Jの規制が解除されて、壁面材4の縁部40J、42Jの壁外側への移動が許容される。
【0052】
上側の上覆い部33は、第2カバー30の上縁部に形成されて、カバー部材20の上縁部に設けられている。下側の下覆い部26は、第1カバー21の下縁部に形成されて、カバー部材20の下縁部に設けられている。縁部40J、42Jのうち、一方の縁部40Jは、分割壁面材43の上側に隣接する最上壁面材40の下縁部であり、他方の縁部42Jは、分割壁面材43の下側に隣接する中間壁面材42の上縁部である。
【0053】
分割壁面材43の上下方向の両側に壁面材4(ここでは、最上壁面材40、中間壁面材42)が隣接するときには、カバー部材20は、上覆い部33により、上側の最上壁面材40の下縁部40Jを覆い、下覆い部26により、下側の中間壁面材42の上縁部42Jを覆う。最上壁面材40の下縁部40Jは、固定部40Gの下側部分と下突出部40Iであり、中間壁面材42の上縁部42Jは、係合部42Cの上側部分である。カバー部材20の上覆い部33は、最上壁面材40の壁面部40Aの下側で、最上壁面材40の下縁部40J及びビス50の壁外側に配置されて、下縁部40J及びビス50を覆う。カバー部材20の下覆い部26は、中間壁面材42の壁面部42Aの上側で、中間壁面材42の上縁部42Jの壁外側に配置される。
【0054】
中間壁面材42の上縁部42Jは、分割壁面材43の下側に隣接する中間壁面材42の係合部42Cである。カバー部材20の下覆い部26は、中間壁面材42の係合部42C(上縁部42J)と当接する当接部27を有している。当接部27は、下覆い部26の下端部に設けられており、下覆い部26及び当接部27は、ベース部材10の係止部12よりも下側に位置している。ベース部材10の下突出部15は、下覆い部26、当接部27、及び、中間壁面材42の係合部42Cよりも下側に位置して、壁外側に突出する。当接部27は、壁面材40、42の被係合部40D、42Dに相当する部分であり、被係合部40D、42Dと同様に構成されている。当接部27は、斜め下方に向かって、壁内側(支柱2側)に傾斜して、上下方向に対して、支柱2との間隔が狭くなるように傾斜して配置されている。
【0055】
カバー部材20の当接部27は、ベース部材10の下突出部15よりも上側に位置しており、対向部14の壁外側に配置されて、壁厚方向において対向部14と対向している。当接部27の下端は、係止部12と下突出部15の間の上下方向における中央位置よりも上側に位置している。分割壁面材43以外の壁面材4(ここでは、中間壁面材42)が分割壁面材43の下側に隣接する状態で、当接部27は、下側の中間壁面材42の係合部42Cの壁外側に配置されて、係合部42Cと当接する。中間壁面材42の係合部42Cは、当接部27に壁内側から当接して、当接部27に係合する。
【0056】
カバー部材20の当接部27により、中間壁面材42の係合部42C及び中間壁面材42の壁外側への移動が規制されて、中間壁面材42の係合部42Cが保持される。中間壁面材42の係合部42Cは、支柱2に固定されたベース部材10の対向部14に対して壁外側に配置されて、対向部14の壁外側で、当接部27と係合する。係合部42Cは、対向部14を壁外側から覆い、分割壁面材43の当接部27と下突出部15の間の箇所を塞ぐ。また、中間壁面材42の壁面部42Aは、分割壁面材43の下突出部15に対して壁外側に配置されて、下突出部15を覆う。カバー部材20がベース部材10から取り外された状態で、カバー部材20の下覆い部26は、係合部42Cの当接部27への係合を解除して、係合部42Cを開放する。
【0057】
図7は、第1実施形態の壁体1における分割壁面材43の取り外し手順を示す縦断面図である。
図示のように、分割壁面材43の取り外し時には、第2カバー30を第1カバー21から取り外す(図7A参照)。次に、ビス51を外して、第1カバー21をベース部材10から取り外す。これにより、カバー部材20をベース部材10から取り外す。続いて、ビス52を外して、ベース部材10の支柱2への固定を解除する(図7B参照)。その状態で、ベース部材10の上端部を壁外側に移動することで、ベース部材10を、収容部13を中心に壁外側に回転して、上端部が下端部よりも壁外側に位置するように傾斜させる。
【0058】
ベース部材10の傾斜に伴い、分割壁面材43の下側の中間壁面材42が壁外側に向かって弾性変形して、ベース部材10の収容部13が中間壁面材42の係合部42Cから外れる。ベース部材10を壁外側に移動して、分割壁面材43の全体を支柱2から取り外す。続いて、最上壁面材40を取り外す時には、笠木5を笠木ベース6から取り外し、ビス50を外す。その状態で、最上壁面材40の係合部40Cを笠木ベース6の位置決め部6Cから外して、最上壁面材40を支柱2から取り外す。なお、最上壁面材40は、ベース部材10を支柱2に固定した状態でも、支柱2から取り外すことができる。
【0059】
以上説明した壁体1の壁構造では、複数の壁面材4を上方から下方に向かって順に支柱2に固定して、複数の壁面材4の施工誤差を、視野に入り難い壁体1の下端部に累積する。そのため、複数の壁面材4の上下方向に累積する施工誤差を視認され難くすることができる。壁体1の上部側で、壁面材4を精度よく配置することもできる。また、分割壁面材43の上下方向に隣接する壁面材4を支柱2に固定した状態で、分割壁面材43を支柱2から取り外すことができる。このように、壁体1の壁面材4を支柱2から取り外し易くすることができる。従って、壁面材4を容易に交換することができる。
【0060】
分割壁面材43のカバー部材20では、第2カバー30により第1カバー21の取付部24を覆っており、第2カバー30により、第1カバー21の取付部24を遮蔽することができる。これにより、分割壁面材43の意匠性を確保しつつ、カバー部材20をベース部材10に容易に取り付けることができる。ベース部材10の係止部12にカバー部材20の第1カバー21を係止することで、カバー部材20の第1カバー21をベース部材10に壁外側から簡単に取り付けることができる。
【0061】
カバー部材20の下覆い部26の当接部27と中間壁面材42の係合部42Cとの係合により、分割壁面材43に下側の中間壁面材42を容易に接続して、分割壁面材43の下側に中間壁面材42を簡単に配置することができる。載置部である係合部42Cをベース部材10の下突出部15に載置することで、分割壁面材43に対して、下側の中間壁面材42を位置決めすることができる。また、分割壁面材43の下側に中間壁面材42を配置するときに、中間壁面材42を分割壁面材43の下突出部15に引っ掛けることができ、中間壁面材42を容易に配置することができる。
【0062】
次に、他の実施形態の壁体1の壁構造について説明する。以下の実施形態に関し、第1実施形態と同じ事項の説明は省略し、第1実施形態の構成に相当する構成には、第1実施形態の構成と同じ名称を用いる。
【0063】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の壁体1の縦断面図であり、壁面材4の取り外し手順を示している。
図示のように、分割壁面材43は、最下壁面材41の上側、及び、中間壁面材42の下側に隣接する壁面材4の箇所に設けられており、最下壁面材41と中間壁面材42の間に位置している(図8A参照)。最下壁面材41は、分割壁面材43の下側に隣接し、中間壁面材42は、分割壁面材43の上側に隣接している。分割壁面材43の上側では、複数(ここでは、2つ)の中間壁面材42が上下方向に隣接し、最も上側の中間壁面材42が最上壁面材40の下側に隣接している。
【0064】
分割壁面材43の上側に隣接する中間壁面材42では、中間壁面材42の下側の縁部(下縁部42K)がカバー部材20の上覆い部33により覆われている。中間壁面材42の下縁部42Kは、最上壁面材40の下縁部40Jに相当する部分であり、最上壁面材40の下縁部40Jと同様に構成されている。
【0065】
壁面材4の取り外し時には、分割壁面材43のカバー部材20(第1カバー21、第2カバー30)を分割壁面材43のベース部材10から取り外す(図8B参照)。カバー部材20を取り外すことで、ベース部材10、及び、分割壁面材43の上下方向に隣接する壁面材4の縁部が壁外側に向かって開放される。分割壁面材43の上側に隣接する中間壁面材42では、中間壁面材42の下縁部42Kが壁外側に向かって開放されて、下縁部42Kの壁外側への移動が可能になる。
【0066】
分割壁面材43の上側の中間壁面材42では、ビス53を外して、中間壁面材42の支柱2への固定を解除する(図8C参照)。その状態で、中間壁面材42の下端部を壁外側に移動することで、中間壁面材42を、係合部42Cを中心に壁外側に回転して、下端部が上端部よりも壁外側に位置するように傾斜させる。続いて、中間壁面材42を、上側に隣接する中間壁面材42から外して、支柱2から取り外す。このように、ベース部材10を支柱2に固定した状態で、分割壁面材43よりも上側に位置する複数の中間壁面材42を支柱2から順に取り外す(図8D参照)。
【0067】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態の壁体1の縦断面図であり、図6と同様に、上下方向に隣接する最上壁面材40と分割壁面材43を示している。
図示のように、分割壁面材43は、ベース部材10と、1つのカバー部材60と、を有しており、2つの部材に分割される。ベース部材10は、第1実施形態のベース部材10と同様の構成(固定壁11、係止部12、収容部13、対向部14、及び、下突出部15)に加えて、上下の係止部16、17を有している。従って、ベース部材10は、上下方向に間隔をあけて設けられた複数の係止部12、16、17(第1係止部12、第2係止部16、第3係止部17)を有している。係止部12、16、17は、固定壁11から壁外側に突出する係止片である。
【0068】
カバー部材60は、第1実施形態のカバー部材20と同様に、ベース部材10に壁外側から着脱可能に取り付けられて、ベース部材10の壁外側に配置される。また、カバー部材60は、下方向に沿って配置された板状の壁面部61と、壁面部61から壁内側に突出する複数の被係止部62~64(第1被係止部62、第2被係止部63、第3被係止部64)と、上下の覆い部65、66(下覆い部65、上覆い部66)と、下覆い部65の下端部に設けられた当接部67と、を有している。壁面部61は、第1実施形態のカバー部材20の壁面部22、31と同様に、ベース部材10を覆い、壁体1の壁面を構成する。
【0069】
複数の被係止部62~64のうち、第1被係止部62は、最も下側に位置し、第3被係止部64は、最も上側に位置する。第2被係止部63は、第1被係止部62と第3被係止部64の間に位置する。第1被係止部62は、ベース部材10の第1係止部12に上側から載置されて、第1係止部12に係止される。第2被係止部63は、第2係止部16に嵌合して係止され、第3被係止部64は、第3係止部17に嵌合して係止される。ベース部材10の複数の係止部12、16、17は、カバー部材60を係止して、ベース部材10にカバー部材60を取り付ける。これにより、カバー部材60をベース部材10に壁外側から簡単に取り付けることができる。
【0070】
なお、分割壁面材43は、最下壁面材41以外のいずれの壁面材4の箇所に設けてもよい。分割壁面材43を最上壁面材40の箇所に設けるときには、分割壁面材43は、カバー部材20、60の下覆い部26、65により、下側の壁面材4の縁部を覆う。また、他の構造体(例えば、屋根構造体)と組み合わされた壁体に壁構造を設けてもよい。例えば、屋根構造体を壁体の上側に設けたときには、分割壁面材43を最上壁面材40の箇所に設ける。分割壁面材43を支柱2から取り外すことで、屋根構造体の部材(例えば、軒天)を簡単に取り外すことができ、屋根構造体のメンテナンスを容易に行うことができる。壁体1の壁厚方向の一方側のみに、複数の壁面材4を設けてもよい。
【0071】
以上のとおり、壁構造は、支柱に固定された複数の壁面材が上下方向に繋がる壁構造であって、
前記複数の壁面材は、最も下側の前記壁面材を除くいずれかの前記壁面材の箇所に位置する分割壁面材を有し、
上下方向に隣接する前記分割壁面材以外の前記壁面材において、前記壁面材は、前記支柱に固定される固定部と、下側の前記壁面材が係合する被係合部と、上側の前記壁面材の前記被係合部と係合する係合部と、を有し、
前記係合部は、前記支柱に固定された前記固定部の壁外側で前記被係合部と係合し、前記固定部を覆い、
前記分割壁面材は、前記支柱に固定されるベース部材と、前記ベース部材に取り付けられて前記ベース部材を壁外側から覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、上下方向に隣接する前記壁面材の縁部を壁外側から覆う覆い部を有し、前記ベース部材から取り外された状態で、前記ベース部材及び前記壁面材の縁部を壁外側に向かって開放する壁構造である。
従って、支柱に固定されて上下方向に繋がる複数の壁面材において、上下方向に累積する施工誤差を視認され難くできるとともに、壁面材を支柱から取り外し易くすることができる。
【0072】
前記カバー部材は、前記ベース部材に取り付けられる取付部を有する第1カバーと、前記第1カバーに装着される第2カバーと、を有し、
前記第2カバーは、前記ベース部材に取り付けられた前記取付部の壁外側で前記第1カバーに装着され、前記取付部を覆う。
第2カバーにより、第1カバーの取付部を遮蔽することができる。これにより、分割壁面材の意匠性を確保しつつ、カバー部材をベース部材に容易に取り付けることができる。
【0073】
前記壁面材の縁部は、前記係合部であり、
前記覆い部は、前記分割壁面材以外の前記壁面材が前記分割壁面材の下側に隣接する状態で、下側の前記壁面材の前記係合部と当接して係合する当接部を有し、前記カバー部材が前記ベース部材から取り外された状態で、前記係合部の前記当接部への係合を解除する。
当接部と係合部の係合により、分割壁面材に下側の壁面材を容易に接続して、分割壁面材の下側に壁面材を簡単に配置することができる。
【0074】
前記ベース部材は、前記覆い部よりも下側に位置して壁外側に突出する下突出部を有し、
前記壁面材は、前記分割壁面材の下側に隣接する状態で、前記下突出部に載置される載置部を有する。
載置部を下突出部に載置することで、分割壁面材に対して、下側の壁面材を位置決めすることができる。また、分割壁面材の下側に壁面材を配置するときに、壁面材を分割壁面材の下突出部に引っ掛けることができ、壁面材を容易に配置することができる。
【0075】
前記ベース部材は、前記カバー部材を係止して、前記ベース部材に前記カバー部材を取り付ける係止部を有する。
係止部にカバー部材を係止することで、カバー部材をベース部材に壁外側から簡単に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・壁体、2・・・支柱、3・・・横材、4・・・壁面材、5・・・笠木、5A・・・上面部、5B・・・被係止片、5C・・・垂下部、6・・・笠木ベース、6A・・・ビス、6B・・・係止片、6C・・・位置決め部、7・・・固定部材、7A・・・ビス、10・・・ベース部材、11・・・固定壁、12・・・係止部、13・・・収容部、14・・・対向部、15・・・下突出部、16・・・係止部、17・・・係止部、20・・・カバー部材、21・・・第1カバー、22・・・壁面部、23・・・被係止部、24・・・取付部、25・・・装着部、26・・・下覆い部、27・・・当接部、30・・・第2カバー、31・・・壁面部、32・・・係合片、33・・・上覆い部、40・・・最上壁面材、40A・・・壁面部、40B・・・傾斜部、40C・・・係合部、40D・・・被係合部、40E・・・止着部、40F・・・保持部、40G・・・固定部、40H・・・連結部、40I・・・下突出部、40J・・・下縁部、41・・・最下壁面材、42・・・中間壁面材、42A・・・壁面部、42B・・・傾斜部、42C・・・係合部、42D・・・被係合部、42E・・・止着部、42F・・・保持部、42G・・・固定部、42H・・・連結部、42I・・・下突出部、42J・・・上縁部、42K・・・下縁部、43・・・分割壁面材、50・・・ビス、51・・・ビス、52・・・ビス、53・・・ビス、54・・・ビス、60・・・カバー部材、61・・・壁面部、62・・・被係止部、63・・・被係止部、64・・・被係止部、65・・・下覆い部、66・・・上覆い部、67・・・当接部、GL・・・地面、H・・・基礎穴。
図1
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図9