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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20240222BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F25D21/14 S
F25D21/14 L
F25D21/14 X
A47F3/04 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020062781
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162206
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博則
(72)【発明者】
【氏名】平木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】関 和芳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴芳
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-318662(JP,A)
【文献】特開平11-337246(JP,A)
【文献】特開2000-258043(JP,A)
【文献】特開2001-208461(JP,A)
【文献】特開2003-172575(JP,A)
【文献】特開2006-258327(JP,A)
【文献】特開2012-233624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する断熱箱体と、
前記貯蔵室を冷却するための冷却装置を構成する凝縮器と、前記凝縮器の空冷用の凝縮器ファンと、が少なくとも収容される機械室と、
前記機械室の底壁の下に配され、結露水及び除霜水を貯留可能な蒸発皿と、を備え、
前記底壁には、前記機械室と前記蒸発皿の内部空間とを連通するための複数の底壁連通口が設けられ、
前記機械室内には、前記凝縮器ファンの排気を前記底壁連通口を通過させて前記蒸発皿に導くためのガイド部材が設けられており、
前記底壁と前記蒸発皿の上端部との間には、前記蒸発皿に導かれた前記排気が外部に排出可能な隙間が設けられており、
前記機械室内には、前記底壁の上方に前記底壁と並行するように延在し、前記ガイド部材が取り付けられる基台が設けられ、
前記基台には、前記底壁連通口と重なるように基台連通口が設けられており、
前記底壁連通口の開口面積は、前記基台連通口の開口面積に比して大きいものとされるショーケース。
【請求項2】
複数の前記底壁連通口のうち少なくとも一つは、前記隙間と重なるように設けられている請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記凝縮器ファンからの距離が最も大きい前記底壁連通口の開口面積は、その他の前記底壁連通口の開口面積に比して大きいものとされる請求項1または請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記蒸発皿の内面又は外面の少なくとも一方には、放熱用のフィンが設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のショーケース。
【請求項5】
前記蒸発皿の材質は、銅、アルミニウム、又はこれらを主成分とする金属材料を含んでいる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のショーケース。
【請求項6】
前記凝縮器ファンは、前記排気が排出される排気口を有し、
前記ガイド部材は、前記排気口から排出される前記排気が流入され、前記排気口全体を覆う第1開口を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のショーケース。
【請求項7】
前記凝縮器ファンは、前記排気が排出される排気口を有し、
前記ガイド部材は、前記排気口から排出される前記排気が流入される第1開口を有し、
前記第1開口の開口面積は、前記排気口の開口面積の1/2以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や飲料品等を外部から視認可能な状態で冷蔵するショーケースが知られている。ショーケースでは一般に、被冷却物を貯蔵する貯蔵室にはガラス製の扉が取り付けられており、庫内温度と庫外温度との差によって、扉の表面に結露が生じることがある。また、冷却運転に伴い、冷凍装置(冷却装置)を構成する冷却器には着霜が生じるため、これを取り除くために除霜運転が行われる。そこでショーケースでは、結露や除霜によって発生するドレン水(結露水及び除霜水)を処理するために、種々の構造を設けることが知られており、その一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の冷蔵庫には、冷凍装置の構成部品等が収容される機械室の下にトレー状の蒸発皿(庫外ドレンパン)が引き出し可能に設けられており、蒸発皿にドレン水が貯留されるように構成されている。蒸発皿に貯留されたドレン水は、機械室からの暖気を利用して蒸発されたり、引き出して廃棄されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3689251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸発皿内のドレン水は、庫外温度の変化等により蒸発されにくいことがあり、その場合には蒸発に要する時間が長引いたり、蒸発皿を引き出して廃棄する回数が増えてしまうのが実情である。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、蒸発皿内のドレン水の蒸発を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に記載の技術に関わるショーケースは、貯蔵室を有する断熱箱体と、前記貯蔵室を冷却するための冷却装置を構成する凝縮器と、前記凝縮器の空冷用の凝縮器ファンと、が少なくとも収容される機械室と、前記機械室の底壁の下に配され、結露水及び除霜水を貯留可能な蒸発皿と、を備え、前記底壁には、前記機械室と前記蒸発皿の内部空間とを連通するための複数の底壁連通口が設けられ、前記機械室内には、前記凝縮器ファンの排気を前記底壁連通口を通過させて前記蒸発皿に導くためのガイド部材が設けられており、前記底壁と前記蒸発皿の上端部との間には、前記蒸発皿に導かれた前記排気が外部に排出可能な隙間が設けられている。
【0008】
このようにすれば、ガイド部材により、凝縮器ファンからの排気が蒸発皿に導かれるようになる。また、蒸発皿に導かれた排気が外部へ排出可能な隙間が設けられているため、排気は蒸発皿を通過して外部に排出されるようになる。このような排気(空気)の流れが形成されることで、蒸発皿に貯留したドレン水の蒸発を促進することができる。さらに、凝縮器ファンの排気は、高温となる凝縮器を通過した空気であることから暖気となっている。このため、機械室内の凝縮器ファンからの暖気が、上記したように蒸発皿を通過して隙間から外部に排出されるようになることで、機械室内の温度を低下できるようになる。その結果、凝縮器における凝縮温度が低下し、冷却能力を向上できる。
【0009】
また、複数の前記底壁連通口のうち少なくとも一つは、前記隙間と重なるように設けられている。このようにすれば、隙間と底壁連通口とが重なる部分では、隙間が拡大したような効果を生じることとなり、蒸発皿を通過して外部に排出される空気の流れをより形成しやすくなる。その結果、蒸発皿に貯留したドレン水の蒸発をより促進できるようになる。
【0010】
また、前記凝縮器ファンからの距離が最も大きい前記底壁連通口の開口面積は、その他の前記底壁連通口の開口面積に比して大きいものとされる。凝縮器ファンからの距離が最も大きい底壁連通口は、蒸発皿の空気が流出される流出口となる。流出口となるボトムパネル連通口の開口面積を大きくすることで、蒸発皿内の空気を効率的に流動させることができるようになる。その結果、蒸発皿に貯留したドレン水の蒸発をより促進できるようになる。
【0011】
また、前記機械室内には、前記底壁の上方に前記底壁と並行するように延在し、前記ガイド部材が取り付けられる基台が設けられ、前記基台には、前記底壁連通口と重なるように基台連通口が設けられており、前記底壁連通口の開口面積は、前記基台連通口の開口面積に比して大きいものとされる。このようにすれば、基台連通口を通過した空気が、底壁連通口を通過しやすくなり蒸発皿に向かう流れを形成しやすくなる。その結果、蒸発皿に貯留したドレン水の蒸発をより促進できるようになる。
【0012】
また、前記蒸発皿の内面又は外面の少なくとも一方には、放熱用のフィンが設けられている。このようにすれば、蒸発皿の放熱性を向上して低温化できるため、蒸発皿を通過する空気の温度を下げやすくなる。その結果、蒸発皿を通過して機械室内に戻る空気の温度が低下され、機械室内の温度を低下しやすくなり、ひいては冷却能力を向上できるようになる。
【0013】
また、前記蒸発皿の材質は、銅、アルミニウム、又はこれらを主成分とする金属材料を含んでいる。このようにすれば、蒸発皿の放熱性を向上して低温化できるため、蒸発皿を通過する空気の温度を下げやすくなる。その結果、蒸発皿を通過して機械室内に戻る空気の温度が低下され、機械室内の温度を低下しやすくなり、ひいては冷却能力を向上できるようになる。
【0014】
また、前記凝縮器ファンは、前記排気が排出される排気口を有し、前記ガイド部材は、前記排気口から排出される前記排気が流入され、前記排気口全体を覆う第1開口を有する。このようにすれば、凝縮器ファンの排気口からの排気の全量が、第1開口からガイド部材に流入するようになる。その結果、凝縮器ファンの排気を蒸発皿に導きやすくなるため、蒸発性能を最大化できるようになる。
【0015】
また、前記凝縮器ファンは、前記排気が排出される排気口を有し、前記ガイド部材は、前記排気口から排出される前記排気が流入される第1開口を有し、前記第1開口の開口面積は、前記排気口の開口面積の1/2以下である。このようにすれば、凝縮器ファンの排気のうち、ガイド部材に流入される流入量を好適に調整できるようになる。その結果、凝縮器を冷却する能力を維持しつつ、ドレン水の蒸発性能を向上できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本願明細書に記載の技術によれば、蒸発皿内のドレン水の蒸発を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るショーケースの正面図
図2図1のA-A線断面図
図3図1のB-B線断面図
図4図1のC-C線断面図
図5】機械室付近を拡大して示す断面斜視図
図6図2の機械室付近を拡大して示す断面図
図7図6のガイド部材付近を拡大して示す断面図
図8図5のD-D線で切断し、凝縮器ファン付近を拡大して示す断面図
図9】蒸発皿の斜視図
図10】ボトムパネルの上面図
図11】第2実施形態に係るボトムパネルの上面図
図12】第3実施形態に係る蒸発皿の横断面図
図13】第4実施形態に係るガイド部材を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るショーケース10として、縦型の冷蔵貯蔵庫について図1から図10を参照して説明する。各図の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向とする。
【0019】
ショーケース10は、図1に示すように、全体として縦長の箱状をなし、食料品や飲料品等の被冷却物を冷蔵状態で収容しつつ陳列する。ショーケース10は、断熱箱体11と、一対のスライド扉14A,14Bと、機械室15と、を備える。断熱箱体11は、外部に対して断熱性を有し、正面視で矩形状をなす開口部30が前面側に設けられている。一対のスライド扉14A,14Bは、開口部30を開閉可能に断熱箱体11の前面に配されており、所定のスライド方向(左右方向)に摺動する。機械室15は、断熱箱体11の下方に配されている。
【0020】
断熱箱体11は、ステンレス等の熱良導性金属板が箱状に組み立てられた外箱と内箱との間に、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材が発泡充填された構造をなしている。 断熱箱体11の内部空間は、図2及び図3に示すように、その大部分が被冷却物を貯蔵するための貯蔵室13となっている。貯蔵室13には、複数の棚柱に差し渡される形で支持された棚13Aが、上下方向に複数個並ぶように設けられている。また、貯蔵室13を構成する断熱箱体11の下壁11Aには、図4に示すように、貯蔵室13内に発生した結露水(ドレン水)を排出するための貯蔵室排水口11A1が形成されている。貯蔵室排水口11A1には、図3に示すように、下側から第1ドレンホース31が接続されており、貯蔵室排水口11A1から排出されたドレン水は、第1ドレンホース31を通って機械室15の下方に配された蒸発皿(庫外ドレンパン)90に貯留される。蒸発皿90については、詳しく後述する。
【0021】
スライド扉14A,14Bは、前後方向にずれる形で配されており、スライド扉14A,14Bが開口部30を全て覆う閉位置(以下、単に閉位置と記す)にあるとき、左右方向の左側に位置するスライド扉をスライド扉14A、右側に位置するスライド扉をスライド扉14Bとする。スライド扉14A,14Bの構成は左右対称で基本的に同じであるため、以下においては、右側のスライド扉14Bについて主に説明する。
【0022】
スライド扉14Bは、図1に示すように、扉本体80Bと、扉枠体81Bと、を備える。扉本体80Bは、ガラス、アクリル等の透明板からなり、正面視で矩形状をなしている。使用者は、透明な扉本体80Bから貯蔵室13内の状態を視認可能となっている。扉枠体81Bは、上下方向に延びる一対の扉側枠と、左右方向に延びる一対の扉横枠と、を有し、これらが枠状に組み立てられている。一方の扉側枠(右側枠)の前面には、取手部83Bが設けられており、利用者は取手部83Bに手を掛けてスライド扉14Bをスライド移動させる。
【0023】
断熱箱体11の開口部30を取り囲む開口縁部には、図1に示すように、スライド扉14A,14Bをスライド可能に保持するためのガイドフレーム40(枠状部材の一例)が取り付けられている。ガイドフレーム40は、開口縁部の上部、下部、右部、左部にそれぞれ配される上レール41と、下レール42と、右サイドフレーム43と、左サイドフレーム44と、を有し、これらが全体として矩形の枠状をなしている。下レール42には、図4に示すように、スライド扉14A,14B、及びガイドフレーム40に発生した結露水(ドレン水)を排水するための下レール排水口42Aが形成されている。下レール排水口42Aには、図3に示すように、下側から第2ドレンホース32が接続されており、ドレン水は第2ドレンホース32を通って蒸発皿90に貯留される。
【0024】
機械室15には、図1から図3に示すように、貯蔵室13を冷却するための冷却装置18の一部、及びショーケース10の各部に電力を供給するための電源等が収容されている。機械室15は、箱体の内部空間であり、上方が断熱箱体11の下壁11Aに、前方がフロントパネル15Aに、後方がリアパネル15Bに、左方が左サイドパネル15Cに、右方が右サイドパネル15Dに、下方がボトムパネル50(底壁の一例)に、それぞれ覆われている。フロントパネル15Aには、外気を機械室15内に流入可能な複数の通気口15A1が形成されている。ボトムパネル50は、全体として矩形の板状をなし、機械室15と蒸発皿90の内部空間とを連通するための複数のボトムパネル連通口50A(底壁連通口の一例)が形成されている(図10)。ボトムパネル50の外底面の四隅には、設置床面に載置される複数の脚部12が設けられている。
【0025】
冷却装置18は、図2及び図3に示すように、圧縮機16と、凝縮器17と、凝縮器ファン19と、冷却器21と、を備える。圧縮機16は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器17は、圧縮機16で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン19の送風により冷却して液化させる。冷却器21は、凝縮器17からの液冷媒を気化させて、冷却器21を通過する空気を熱交換により冷却することで冷気を生成する。圧縮機16、凝縮器17、及び凝縮器ファン19は、機械室15に収容されている。冷却器21は、断熱箱体11の内部における天井部分(後述する冷却器室20)に配されている。圧縮機16、凝縮器17、及び冷却器21は、上下に延びる冷媒管28により連結されており、冷媒を所定の循環方向に循環させて、既知の冷凍サイクルを形成している。
【0026】
断熱箱体11の内部における天井部分には、図2及び図3に示すように、庫内ドレンパンを兼ねたエアダクト23が張設されている。エアダクト23の上側には、冷却器室20が形成されている。エアダクト23の前側(スライド扉14A,14B側)には空気の吸込口25が、後側には吹出口26が設けられている。冷却器室20には、冷却器21が収容されると共に、吸込口25に対向する形で庫内ファン24が配されている。
【0027】
冷却運転は、圧縮機16、凝縮器ファン19及び庫内ファン24が駆動されることで行われる。冷却運転において、貯蔵室13内の空気は吸込口25から冷却器室20内に吸い込まれ、冷却器21を通過する過程で熱交換されて冷気となる。冷気は、図2の矢線W1で示すように、吹出口26から貯蔵室13内に吹き出されて、断熱箱体11の後側の壁面に沿って下降し、底側の壁面に沿って後側から前側に流れて、スライド扉14A,14Bに沿って上昇し、吸込口25に循環する。このようにして貯蔵室13が冷却される。
【0028】
また、所定の冷却運転時間毎には除霜運転が行われる。除霜運転は、冷却運転と共に冷却器21に付着して成長する霜を融解する。除霜運転は、圧縮機16を停止しつつ庫内ファン24を駆動して行われる。除霜運転により冷却器21に付着した霜が融解され、除霜水(ドレン水)が生じる。除霜運転により発生するドレン水は、エアダクト23で受けられたのち、図3に示す第3ドレンホース33を通って蒸発皿90に貯留される。
【0029】
次に、機械室15内の構成について詳しく説明する。図5に示すように、機械室15を構成する底壁であるボトムパネル50の上方には、ボトムパネル50と間隔をあけて並行するように延在する基台51が設けられている。基台51は、矩形の板状をなす板状部52と、板状部52のフロントパネル15A側の端部(辺部)、リアパネル15B側の端部(辺部)からそれぞれ下方に立ち下がる立ち下がり部53、54と、を有する。板状部52の平面サイズは、ボトムパネル50に比して小さく形成されている。フロントパネル15A側の立ち下がり部53、54の下端はそれぞれ、ボトムパネル50と所定の隙間だけ離れている。リアパネル15B側の立ち下がり部54の下端は、ボトムパネル50と所定の隙間G1だけ離れており、フロントパネル15A側の立ち下がり部53の下端は、隙間G1に比して十分小さい隙間だけボトムパネル50と離れている。また、板状部52には平面に視てボトムパネル連通口50Aと重なるように複数の基台連通口52Aが形成されている。基台連通口52Aとボトムパネル連通口50Aとの大きさは、ボトムパネル連通口50Aの開口面積が、基台連通口52Aの開口面積より大きくなるように形成されている。
【0030】
板状部52の上方には、図5及び図6に示すように、前側(フロントパネル15A側)から順に、凝縮器17、凝縮器ファン19、ガイド部材70、及び圧縮機16が並んで配されている。凝縮器17は、フロントパネル15Aの通気口15A1に対向するように板状部52上に配されている。凝縮器ファン19は、板状部52に対して垂直に立設するように板状部52上に取り付けられている。凝縮器ファン19は、電力供給を受けて回転駆動する回転軸19Aと、回転軸19Aに接続されたファン本体19Bと、ファン本体19Bを外周側から覆うカバー19Cと、を有する。カバー19Cの後側(ガイド部材70側)には、ファン本体19Bの回転によって、吸い込まれた空気(排気)が排出される円状の排気口19C1が形成されている(図8)。ファン本体19Bが回転すると、図6の矢線W3,W5で示すように、外気が通気口15A1から吸い込まれて、凝縮器17内を通過することで、凝縮器17が空冷される。外気は、少なくとも外気温(ショーケース10の設置環境温度)より高温である凝縮器17を通過する過程で暖められるため、凝縮器ファン19の排気口19C1から吹き出される排気は、暖気となる。
【0031】
ガイド部材70は、図5から図7に示すように、凝縮器ファン19と圧縮機16との間に設けられており、板状部52にネジ止め固定されている。ガイド部材70は、排気口19C1の下部を圧縮機16側から覆うような形状をなし、断面逆L字状をなしている。ガイド部材70は、排気口19C1と対向配置される第1開口71と、基台連通口52A(ひいては、ボトムパネル連通口50A及び蒸発皿90)と対向配置される第2開口72と、を有する。第1開口71の開口面積は、図8に示すように、凝縮器ファン19の排気口19C1の開口面積の1/2以下となるように形成されている。
【0032】
ガイド部材70は、図6及び図7の矢線W5で示すように、排気口19C1から吹き出された排気の一部を第1開口71から流入し、下方の第2開口72から流出させる。そして、第2開口72から流出した排気は、基台連通口52A、ボトムパネル連通口50Aを通って、ボトムパネル50の下に配された蒸発皿90に導かれる。このように、ガイド部材70は、凝縮器ファン19の排気を蒸発皿90に導くものとなっている。
【0033】
次に、蒸発皿90について詳しく説明する。蒸発皿90は、図9に示すように、浅い矩形のトレー状をなしている。蒸発皿90は、ドレン水による耐腐食性に優れた樹脂材料を主成分とし、放熱性を高める目的で銅、アルミニウム、又はこれらを主成分とする金属材料を含んでいても構わない。さらには、蒸発皿90を当該金属材料のみから構成すると、より一層放熱性を高めることができる。蒸発皿90の前面には、使用者が手をかけて蒸発皿90を前後方向に引き出したり押し込んだりするための持ち手91が形成されている。蒸発皿90の内部空間は、ドレン水を貯留可能な貯留部92となっている。蒸発皿90の内面には、貯留部92を分割する仕切壁93が複数形成されており、これにより蒸発皿90を引き出してショーケース10から取り外した際に、傾き等により貯留部92内のドレン水が溢れ出てしまう事態を防止できるようになっている。
【0034】
蒸発皿90は、図1に示すように、ボトムパネル50の下であって複数の脚部12の間に、前側から引き出し可能に配されている。ボトムパネル50の外底面(機械室15と反対側の面)には、断面L字状の支持板58が一対突設されており、蒸発皿90は、一対の支持板58の間に挿入されて各支持板58に載置されることで、位置決めしつつ収容される。蒸発皿90は、図10に示すように、その貯留部92が複数のボトムパネル連通口50Aと重なる位置に位置決めされる。また、蒸発皿90は、図7に示すように、その上端部90Aとボトムパネル50との間に、隙間G2が設けられるように上下方向に位置決めされている。このようにすることで、隙間G2を介して貯留部92が外部と連通するようになり、貯留部92に流入した排気W5の一部が図7の矢線W6で示すように、隙間G2を通って外部に流出可能となる。
【0035】
上記した構成によれば、凝縮器ファン19からの排気の一部は、図6及び図7の矢線W5に示すように、ガイド部材70により、ボトムパネル連通口50Aを通って、蒸発皿90に導かれるようになる。また、ボトムパネル50と、蒸発皿90の上端部90Aとの間には、蒸発皿90の貯留部92に導かれた排気が外部へ排出可能な隙間G2が生じており、これにより蒸発皿90を通過して外部に排出される空気の流れ(図5及び図7の矢線W6)が形成されるようになる。この空気の流れにより、貯留部92に貯留したドレン水の蒸発を促進することができる。
【0036】
また、凝縮器ファン19は、高温となる凝縮器17を空冷するため、その排気は暖気となっている。このため、凝縮器ファン19からの暖気が、上記したように蒸発皿90を通過して隙間G2から外部に排出されるようになることで、機械室15内の温度を低下しやすくなる。その結果、凝縮器17における凝縮温度が低下し、冷却能力を向上できる。
【0037】
また、ガイド部材70が取り付けられる基台51には、ボトムパネル連通口50Aと重なるように基台連通口52Aが設けられており、ボトムパネル連通口50Aの開口面積は、基台連通口52Aの開口面積より大きいものとされる。このようにすれば、基台連通口52Aを通過した空気が、ボトムパネル連通口50Aを通過しやすくなり、貯留部92に向かう流れを形成しやすくなる。仮に、ボトムパネル連通口50Aの開口面積が、基台連通口52Aの開口面積以下の場合、基台連通口52Aを通過した空気は、ボトムパネル連通口50Aを通過しにくくなり、例えば、図5の矢線W7で示すように、基台51(立ち下がり部54の下端)とボトムパネル50との隙間G1を通過して、機械室15内に戻りやすくなってしまう。
【0038】
また、蒸発皿90の材質は、銅、アルミニウム、又はこれらを主成分とする金属材料を含んでおり、これらの材料は放熱性の高い特徴を有している。このようにすれば、暖気である排気が流入される蒸発皿90が高温化してしまう事態を抑制でき、蒸発皿90を通過する空気の温度を下げやすくなる。その結果、蒸発皿90を通過して機械室15内に戻る空気の温度が低くなるため、機械室15内の温度を低下しやすくなり、ひいては冷却能力を向上可能となる。
【0039】
また、ガイド部材70の第1開口71の開口面積は、図8に示すように、凝縮器ファン19の排気口19C1の開口面積の1/2以下となるように形成されている。本来、凝縮器ファン19の排気の流れは、凝縮器17を冷却するための気流であるため、ガイド部材70を設けると、その排気抵抗(風路抵抗)が増大し、凝縮器17を冷却する能力が低下してしまう可能性がある。そこで、第1開口71の開口面積を、排気口19C1の開口面積の1/2以下にすることで、凝縮器ファン19の排気のうち、第1開口71からガイド部材70に流入される流入量を好適に調整できるようになる。その結果、凝縮器17の冷却能力を維持しつつ、蒸発皿90内のドレン水の蒸発性能を向上できるようになる。
【0040】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るショーケースについて、図11を参照して説明する。本実施形態では、ボトムパネル150のボトムパネル連通口150Aが第1実施形態と異なる。なお、上記した第1実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0041】
複数のボトムパネル連通口150Aは、図11に示すように、大きさ(開口面積)が均一でなく、凝縮器ファン19からの距離が最も大きいボトムパネル連通口150A1(図では5つ)の開口面積が、凝縮器ファン19からの距離が小さい他のボトムパネル連通口150A2,150A3に比べて大きく形成されている。ボトムパネル連通口150A1は、凝縮器ファン19からの距離が最も大きく、蒸発皿90の貯留部92の空気が流出される流出口となる。このため、流出口となるボトムパネル連通口150A1の開口面積を大きくすることで、貯留部92の空気を効率的に流動させることができるようになる。
【0042】
また、ボトムパネル連通口150A1は、図11に示すように、蒸発皿90の上端部90Aを跨ぐように形成されており、上端部90Aの一部と重なっている。このようにすることで、ボトムパネル50と、蒸発皿90の上端部90Aとの間に生じる隙間G2と、ボトムパネル連通口150A1とが上下方向に重なるようになる。これにより、隙間G2を拡大するような効果を奏することができる。これにより、蒸発皿90の位置を設置床面に近づけることなく、隙間G2を拡大する効果を得られるようになるため、蒸発皿90と設置床面との距離の制約が厳しい場合であっても、隙間G2を通過して外部に排出される空気の流れを形成しやすくなる。その結果、貯留部92に貯留したドレン水の蒸発を促進しやすくなる。
【0043】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るショーケースについて、図12を参照して説明する。本実施形態では、蒸発皿190が第1実施形態及び第2実施形態と異なる。なお、上記した第1実施形態及び第2実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0044】
蒸発皿190は、図12に示すように、貯留部92を分割する仕切壁193が放射状に形成されており、放熱用のフィンとしても機能するものとなっている。また、蒸発皿190の外側面には、板状のフィン94が多数形成されている。このようにすれば、蒸発皿190の放熱性をより向上することができる。その結果、蒸発皿190を通過して機械室15内に戻る空気の温度が低くなるため、機械室15内の温度を低下しやすくなり、ひいては冷却能力を向上可能となる。
【0045】
<第4実施形態>
第4実施形態に係るショーケースについて、図13を参照して説明する。本実施形態では、ガイド部材170が第1実施形態から第3実施形態と異なる。なお、上記した第1実施形態から第3実施形態と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0046】
ガイド部材170は、図13に示すように、凝縮器ファン19全体を圧縮機16側から覆うと共に、複数のボトムパネル連通口50Aを上方から覆うような形状及び大きさをなしている。ガイド部材170の第1開口171は、排出口19C1から排出される排気の全量が流入されるように、少なくとも排気口19C1全体を覆うように形成されている。また、ガイド部材170の第2開口172は、ガイド部材170に流入した排気の全量が蒸発皿90に向かうように、ボトムパネル連通口50Aの全てを覆っている。このようにすれば、凝縮器ファン19の排気の全量を蒸発皿90に導くことができるようになるため、蒸発性能を最大化できるようになる。
【0047】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)図示におけるボトムパネル連通口50A,150A、及び基台連通口52Aの数や形状は一例であり、適宜変更可能である。
【0049】
(2)蒸発皿90,190は、少なくとも貯留部92を有していればよく、図示の形状に限られない。
【0050】
(3)ガイド部材70は、曲線部を有するような他の形状であっても構わない。
【0051】
(4)本明細書に記載の技術は、縦型冷蔵庫以外のショーケース、庫内が0℃未満に保持される冷凍ショーケース、庫内が高温に保持される温蔵ショーケースに適用しても構わない。
【符号の説明】
【0052】
10:ショーケース、11:断熱箱体、13:貯蔵室、15:機械室、18:冷凍装置、17:凝縮器、19:凝縮器ファン、19C1:排気口、50,150:ボトムパネル(底壁)、50A,150A, 150A1, 150A2, 150A3:ボトムパネル連通口、51:基台、52A:基台連通口、70,170:ガイド部材、71,171:第1開口、72,172:第2開口、90,190:蒸発皿、94:フィン、193:仕切壁(フィン)
図1
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図11
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図13