(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】スポーツフットウェア、ワークフットウェアまたはレジャータイム用フットウェアのためのソール
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20240222BHJP
A43B 13/26 20060101ALI20240222BHJP
A43B 13/18 20060101ALI20240222BHJP
A43B 13/16 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B13/26
A43B13/18
A43B13/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020090690
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-01-05
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522091771
【氏名又は名称】エル・ティ・ダブリュ・エイチ・ピィ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】LTWHP, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・マゾーン
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-148502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0219974(US,A1)
【文献】特開2005-218543(JP,A)
【文献】実開昭50-002555(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02610485(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00~13/42
A43B 17/00~17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツシューズ、ワークシューズまたはレジャーシューズのためのソールであって、本体を備え、前記本体は、地面と接触するように設定された、使用中に下になる面(2a)の境界を定める下層(2,13a)と、ユーザの足と接触するようにまたは使用中にインソールを下から支持するように設定された上層(3,15)とを有し、前記上層は、シート(40)またはシート(4)の最上部セクションを備え、前記シート(40)または前記シート(4)の前記最上部セクションから、複数の突出部(5)が、トリムを垂直面に対して傾斜させた状態で上向きに突き出ており
、複数の
前記突出部(5)は、拘束ベース(5a)と自由端(5b)とを有し、各自由端(5b)は、対応する前記拘束ベース(5a)よりも前記ソールの後部(R)側にあり
、複数の
前記突出部は、
前記ソールの各ゾーン、すなわち、前記ソールの前部(F)の近くであって前記後部(R)から遠位のゾーン、前記ソールの前記後部(R)の近くであって前記前部(F)から遠位のゾーン、およびシューズウエスト部(IP)におけるゾーン、に設けられ、または
前記ソールの前記前部(F)の近くであって前記後部(R)から遠位のゾーン、および、前記ソールの前記後部(R)の近くであって前記前部(F)から遠位のゾーンにのみ設けられ、または
前記ソールの前記前部(F)の近くであって前記後部(R)から遠位のゾーンにのみ設けられ、または
前記ソールの前記後部(R)の近くであって前記前部(F)から遠位のゾーンにのみ設けら
れ、
前記突出部(5)は、前記ソールの一方の側(S1)から他方の側(S2)への方向に、または、前記ソールの長手方向の広がりもしくは長さ(x-x)を横断する方向(y-y)に、湾曲傾向を有し、
前記ソールの前記前部(F)および/または前記シューズウエスト部(IP)における前記突出部(5)の各々は、前記ソールの内部部分または内側部分から外部部分または外側部分への方向に、前記ソールの前記後部(R)の方に開口する第1の凹部(C1)を規定する第1の湾曲セクション(5c)と、前記ソールの前記前部(F)の方に開口する第2の凹部(C2)を規定する第2の湾曲セクション(5d)とを備える、
ソール。
【請求項2】
前記突出部(5)は、壁またはリブ構成を有するため、単一の外縁が前記自由端(5b)を規定し、すなわち、前記突出部(5)は、複数の自由端または分岐点を持たない、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
隣り合った連続的な突出部(5)の対は、それぞれの横断溝(TC)の境界を定め、前記突出部(5)は、弾性的に曲げやすくなっており、前記突出部(5)に圧力を加えることによって、各突出部(5)は、それぞれの前記自由端(5b)がその後ろのまたは前記後部(R)側の前記突出部に接近するように曲げられる一方、前記圧力が中断されるかまたは減少すると、前記突出部(5)は、初期位置に戻る傾向があり、それにより、それぞれの前記自由端(5b)は、前記前部(F)の方向に戻り、前方への推進力または前記ソールの前記前部(F)の方向への力がそれぞれのユーザに解放される、請求項1または2に記載のソール。
【請求項4】
突出部(5)は、対応する前記拘束ベース(5a)よりも前記前部(F)側の自由端を備えていない、請求項1~3のいずれか1項に記載のソール。
【請求項5】
静止または非変形トリムまたは状態においてそれぞれの前記使用中に下になる面(2a)が水平面に当接する前記ソールを考慮して、前記突出部(5)は、規定のまたは前記垂直面と前記ソールの一方の側(S1)から他方の側(S2)への方向とが存在する断平面において、および、規定のまたは前記垂直面と前記ソールの前部(F)から後部(R)への方向とが存在する断平面において、前記垂直面に対して傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載のソール。
【請求項6】
前記ソール(1)の前記シューズウエスト部(IP)および/または前記後部(R)における前記突出部(5)の各々は、前記ソールの内部側または内側(S1)から外部側または外側(S2)への方向に、前記ソールの前記後部(R)の方に開口する凹部を規定する第3の湾曲セクション(5e)を1つだけ備える、請求項
1に記載のソール。
【請求項7】
前記突出部(5)は、拘束ベース(5a)と自由端(5b)との間のそれぞれの広がり全体にわたって傾斜している、請求項1~
6のいずれか1項に記載のソール。
【請求項8】
前記突出部(5)の前記自由端(5b)の終端または最上部バンドまたは面(5h)は、前記前部(F)から前記後部(R)まで、上向きに向けられた第3の凹部(C3)と下向きに向けられた第4の凹部(C4)とを有する面に沿って、実質的に整列されている、請求項1~
7のいずれか1項に記載のソール。
【請求項9】
前記ソールは、窪んだゾーン(6)を規定し、前記窪んだゾーン(6)は、上向きに開口し、前記ソールの長手方向または後部-前部の広がりの50~95%にわたって、および、横方向の広がりまたは前記ソールの一方の側から他方の側までの50~95%にわたって延在し、前記突出部は、前記窪んだゾーン(6)の長手方向の広がり全体にわたって分散され、前記突出部の各々は、前記ソールの一方の側(S1)の前記窪んだゾーン(6)の境界の端縁部(4b)から前記ソールの他方の側(S2)の前記窪んだゾーン(6)の境界の前記端縁部(4b)の別のセクションまで延在している、請求項1~
8のいずれか1項に記載のソール。
【請求項10】
前記突出部(5)の側部または終端端部(5f,5g)の各々は、前記ソールのそれぞれの端縁部(4b)において埋設または拘束されることにより、前記突出部(5)の前記終端端部(5f,5g)は、このような端縁部に実質的に固定される、請求項1~
9のいずれか1項に記載のソール。
【請求項11】
空洞(14)と、前記空洞(14)のサイズに合わせて実質的に取り外し可能に収容可能なインサート(15)とを規定する外側ソールコンポーネント(13)を備え、前記インサート(15)は、前記シート(40)と、前記突出部(5)とを備える、請求項1~
10のいずれか1項に記載のソール。
【請求項12】
前記外側ソールコンポーネント(13)に作製された貫通窓(8)が設けられ、前記ソールは、窓(8)を充填するための少なくとも1つの
充填コンポーネント(19)を備え、前記少なくとも1つの充填コンポーネント(19)は、プレートセクション(19a)を含み、前記プレートセクション(19a)から、窓(8)を充填するための少なくとも1つのブロック(19b)が延在している、請求項
11に記載のソール。
【請求項13】
底部または前記使用中に下になる面(2a)に複数のリブ(9)を備え、前記複数のリブ(9)の各々は、取付ベース(9a)と、対応する前記取付ベース(9a)よりも前記ソール(1)の前記前部(F)側の自由先端(9b)とを有する、請求項1~
12のいずれか1項に記載のソール。
【請求項14】
前記リブ(9)は、弾性的に曲げやすくなっており
、前記ユーザの足によってそれに圧力を加えることによって、各リブ(9)は、それぞれの前記自由先端(9b)がその前のまたは前記前部側の前記リブ(9)に接近するかまた
は接触するように曲げられることにより、変形状態が得られる一方、前記圧力が中断されるかまたは減少すると、前記リブは、初期位置に戻る傾向があり、それにより、それぞれの前記自由先端(9b)は、前記後部(R)の方向に戻り、前方への推進力または前記ソールの前記前部(F)の方向への力がそれぞれのユーザに解放されて、静止または非変形状態が新たに得られる、請求項
13に記載のソール。
【請求項15】
上向きに開口した1つ以上の溝を備え、このような溝は、ユーザの足の汗を蓄積するように設定され、
少なくとも1つの排出ゾーンまたは開口を備え、前記少なくとも1つの排出ゾーンまたは開口は
、複数の
前記溝と流体連通し、そこに蓄積された汗の排出のために前記ソールの外側に通じている、請求項1~
14のいずれか1項に記載のソール。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか1項に記載のソールと、前記ソールに拘束された甲革とを備えるシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、スポーツシューズ、希望であればランニングシューズ、またはワークシューズまたはレジャーシューズのためのソール、および1つのこのようなソールを含むシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の技術状態
個人的な楽しみのためであるがとりわけレースのために行われる活動としてのランニングは、ユーザがシューズを履いた足を曲げるステップの後に地面から足を上げるたびに優れた弾性復帰を保証するようなシューズを使用して行われる。
【0003】
WO2018167331A1という番号で公開された国際出願は、たとえば、下層と、このような層の外周から延在する側壁と、下層から上向きに突き出る一連の突出部とを有するシューズのためのソールに関する。
【0004】
各突出部は、ソールの長手方向軸を横断するように延在し、下層と接触する第1のセグメントと、第1のセグメントに対して下層から遠位であり、第1のセグメントに対して曲げられた第2のセグメントとを備える。
【0005】
各突出部の側方端部と側壁との間には、各突出部の完全な曲げを可能にする第1の間隙があり、2つの隣接する突出部の間には、これらの突出部がユーザの足のサポートによって曲げられたときに第2のセグメントが隣接する突出部に当接するように第2の間隙がある。
【0006】
また、ソールの前部部分では、第2のセグメントはソールの前端の方に向けられるように傾斜しているのに対して、後部部分では、第2のセグメントはソールの後部部分の方に向けられるように傾斜している。
【0007】
1つのこのような解決策が、特に突出部の形状との関係で、優れた前方への推進力をユーザに保証しない、ということを確認することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的
本発明の1つの目的は、スポーツシューズ、希望であればランニングシューズ、またはワークシューズまたはレジャーシューズのための新たなソールを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、使用中に最適な前方への推進力を保証する上記の新たなソールを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、各ユーザの足に人間工学的に適合されることができるソールを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、上記に加えて、優れた汗の通りを保証するソールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に従って、請求項1に係るソールが提供される。
従属項は、本発明の好ましいまたは有利な実施形態について言及する。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、同封の図面に例示的に示されているソールの実施形態の説明からより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図9】本発明に係る別のソール実施形態の斜視図である。
【
図10】本発明に係る別のソール実施形態の斜視図である。
【
図12】
図9のソールの、一方の側からの図である。
【
図13】
図9のソールの、他方の側からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
同封の図面のセットにおいて、同等の構成要素または部分は、同一の参照番号で示されている。
【0016】
発明の実施形態
図1~
図8を参照して、スポーツシューズ、希望であればランニングシューズ、またはワークシューズまたはレジャーシューズのための本発明に係るソール1が示されており、このようなソールは、本体を備え、本体は、地面と接触するように設定された、使用中に下になる面2aの境界を定める下層2と、ユーザの足と接触するようにまたは使用中にインソール(図には図示せず)を下から支持するように設定された上層3とを有する。
【0017】
本体は、単一のシート4でできていてもよく、または、オーバープリントまたは接着剤またはのりまたはその他の好適な方法によって互いに重ね合わせられて拘束された複数のシートでできていてもよい。本体が単一のシート4でできている場合、下層2および上層は一体になっている。
【0018】
当然のことながら、ソール1は、前部Fと、後部Rと、2つの側部S1,S2、すなわち内側または内部側S1および外側または外部側S2とを備える。
【0019】
そして、上層3は、それぞれのシートまたはシート4の最上部セクションを備え、その使用中に上になる面4aから、複数の突出部5が、トリムを垂直面または下になる面2aから上になる面4aへの方向に対して傾斜させた状態で上向きに突き出ている。
【0020】
突出部5は、拘束ベース5aと自由端5bとを有し、各自由端5bは、対応する拘束ベース5aよりもソール1の後部R側にある。実質的には、突出部5は後方に傾斜しており、または自由端が後方に傾斜している。すなわち、拘束ベース5aから自由端5bまでの通路における各突出部5は、後部の方向に延在し、連続的なまたは一定の態様で後部の方向にのみ延在している。
【0021】
突出部5は、壁またはリブ構成を有するため、単一の外縁が自由端5bを規定し、すなわち、突出部は、自由端または分岐点を持たない。
【0022】
突出部5は、ソールの各ゾーン、すなわち、ソールの前部Fの近くであって後部Rから遠位のゾーン、ソールの後部Rの近くであって前部Fから遠位のゾーン、およびシューズウエスト部IPにおけるゾーン、に設けられてもよく、または
ソールの前部Fの近くであって後部Rから遠位のゾーン、および、ソール1の後部Rの近くであって前部Fから遠位のゾーンにのみ設けられてもよく、または
ソールの前部(F)の近くであって後部(R)から遠位のゾーンにのみ設けられてもよく、または
ソールの後部(R)の近くであって前部(F)から遠位のゾーンにのみ設けられてもよい。
【0023】
好ましくは、突出部5は、ソール1の前部Fの近くであって後部Rから遠位のゾーン、および、ソール1の後部Rの近くであって前部Fから遠位のゾーンの両方のゾーンに設けられ、希望であればシューズウエスト部IPにおけるゾーンにも設けられる。
【0024】
希望であれば、隣接するまたは隣り合った連続的な突出部5の対は、たとえば約1~20mmのそれぞれの横断溝TCの境界を定める。横断溝TCは、好ましくは、横方向の広がり全体にわたって、または突出部5の一方の側から他方の側まで境界を定められている。すなわち、隣接するまたは隣り合った連続的な突出部の対は、少なくとも静止トリムにおいて、その横方向の広がり全体にわたって接触しない。
【0025】
また、突出部5は、弾性的に曲げやすくなっており、特にユーザの足によってそれに圧力を加えることによって、各突出部5は、それぞれの自由端5bがその後ろのまたは後部R側の突出部5に接近するかまたは希望であれば接触するように曲げられることにより、変形状態またはトリムが得られる一方、圧力が中断されるかまたは減少すると、たとえばユーザがランニングまたはウォーキング中にソールまたはそれぞれのシューズと係合した状態で足を上げると、突出部は、初期位置に戻る傾向があり、それにより、それぞれの自由端5bは、前部Fの方向に戻り、前方への推進力またはソールの前部Fの方向への力がそれぞれのユーザに解放されて、静止または非変形トリムまたは状態が新たに得られる。
【0026】
好ましくは、対応する拘束ベース5aよりも前部F側の自由端5bを有する突出部5は設けられない。明らかに、このように配置された突出部5も設けられてもよいが、その割合は突出部5の総数の5~10%未満である。
【0027】
その代わりに、このように構築された自由端を1つまたは複数の突出部5が有する場合には、このような1つまたは複数の突出部5は、曲げるステップの後に、それに対する圧力が中断された時点で後方への推進力または後部Rの方向への力を提供し、これは明らかに望ましくない。
【0028】
突出部5は、垂直面に対して傾斜を有することができる。
このような事項に関して、静止または非変形トリムまたは状態においてそれぞれの使用中に下になる面2aが水平面に当接するソールを考慮して、突出部5は、規定のまたは垂直面と前部Fから後部Rへの方向(
図5を参照)とが存在する断平面において、および希望であれば、規定のまたは垂直面と一方の側S1から他方の側S2への方向(
図4を参照)とが存在する断平面においても、垂直面に対して傾斜し得る。
【0029】
より特定的には、規定のまたは垂直面と一方の側S1から他方の側S2への方向とが存在する断平面においては、突出部5は、5°~45°だけ垂直面に対して傾斜し得る。
【0030】
規定のまたは垂直面と前部Fから後部Rへの方向(
図5を参照)とが存在する断平面においては、突出部5は、その代わりに、5°~30°だけ垂直面に対して傾斜し得て、自由端5bは、対応する拘束ベース5aよりも後部R側である。
【0031】
各突出部5の上記の平面における垂直面に対する傾斜は、好ましくは上記の間隔にとどまりながら、一方の側S1と他方の側S2とで異なっていてもよい。
【0032】
さらに、各突出部5の傾斜は、他の突出部5の傾斜とは異なっていてもよい。
また、突出部5は、有利なことに、拘束ベース5aと自由端5bとの間のそれぞれの広がり全体にわたって、および、それぞれの横方向の広がり全体にわたってまたは一方の側S1から他方の側S2へ、傾斜している。
【0033】
希望であれば、突出部5は、一方の側S1から他方の側S2への方向に、または、ソール1の長手方向の広がりもしくは長さを横断する方向に、湾曲傾向を有する。
【0034】
このような事項に関して、ソールの前部Fおよび/またはシューズウエスト部IPにおける突出部5の各々は、ソール1の内部部分または内側部分S1から外部部分または外側部分S2への方向に、ソールの後部Rの方に開口する第1の凹部C1を規定する第1の湾曲セクション5cと、ソール1の前部Fの方に開口する第2の凹部C2を規定する第2の湾曲セクション5dとを備える。
【0035】
その代わりに、ソール1のシューズウエスト部IPおよび/または後部Rにおける突出部5の各々は、ソールの内部側または内側S1から外部側または外側S2の方向に、ソールの後部Rの方に開口する第3の凹部C3を規定する第3の湾曲セクション5eを1つだけ備え得る。
【0036】
このような事項に関して、突出部5が湾曲傾向を有する場合、突出部5が対応する拘束ベース5aよりもソール1の後部R側の自由端5bを有する条件は、突出部の各横断セクション、すなわち自由端5bがそれぞれの拘束ベース5aよりも、すなわちこのような自由端5bが延在する拘束ベース5aよりも後部R側であるというものである。
【0037】
このような局面を参照して、内側S1における突出部5の第1の側部5fの自由端5bは、外側S2における突出部5の第2の側部5gの自由端5bの拘束ベース5aよりも前部側であり得るが、内側S1における突出部5の第1の側部5fの自由端5bは、このような第1の側部5fの自由端5bの拘束ベース5aよりも後部側であり、同じことが自由端5bおよび外側S2における突出部5の第2の側部5gの拘束ベースにも当てはまる。
【0038】
実質的に、各横断セクションについて、突出部5は、拘束ベース5aよりもソール1の後部R側の自由端5bを有するが、これは、突出部5のセクションの自由端5bおよび同一の突出部5の別のセクションの拘束ベース5aに必ずしも当てはまらない。
【0039】
そして、突出部5の高さに関して、これは約1mm~3cmであってもよい。
当然のことながら、突出部5は、互いに異なる高さを有していてもよく、たとえば前部Fおよび/またはシューズウエスト部IPにおいては高さが低くてもよく、たとえば1~20mmであってもよく、後部Rにおいては高さが高くてもよく、たとえば10~30mmであってもよい。当然のことながら、リブ5の高さも一方の端部5fと他方の端部5fとで異なっていてもよい。
【0040】
好ましくは、各突出部5は、他方もしくは第2の側部またはソール1の外部部分もしくは外側部分における終端端部5gよりもソールの前部側の第1の側部または終端端部5fを内部部分または内側部分に有する。このような事項に関して、第1の終端端部5fは、約10mm~3cmだけ第2の終端端部5gよりも前部F側であってもよい。
【0041】
このような距離または差は、突出部5の位置に従ってさまざまであってもよく、前部Fまたはシューズウエスト部IPにおける突出部5ではより大きくてもよく、たとえば1~3cmであってもよく、その代わりに後部Rにおける突出部5ではより小さくてもよく、たとえば10mm~1cmであってもよい。
【0042】
突出部5は、2mm~1cmの厚みを有し得る。
明らかに、突出部5の厚みは、拘束ベース5aから自由端5bまで一定であってもよく、またはテーパ状になっていてもよく、そのため、自由端5bは、それぞれのベース5aよりも薄い。
【0043】
有利なことに、突出部5の自由端5bの終端または最上部バンドまたは面5hは、前部Fから後部Rまで、上向きに向けられた第4の凹部C4と下向きに向けられた第5の凹部C5とを有する面4eに沿って、実質的に整列されている。
【0044】
このような特徴により、ユーザの足またはインソールの当接面4eは、適切な快適さを保証する。
【0045】
突出部5は、ソール1の長手方向の広がりまたは後部R-前部Fの広がりの50~95%、希望であれば60~80%にわたって、および、横方向の広がりまたはソールの一方の側S1から他方の側S2までの50~95%、希望であれば60~85%にわたって分散されている。
【0046】
このような事項に関して、ソール1またはさらにはそれぞれのシートもしくはシート4のそれぞれの最上部セクションは、窪んだゾーン6を規定することができ、窪んだゾーン6は、上向きに開口し、ソール1の長手方向の広がりまたは後部R-前部Fの広がりの50~95%にわたって、および、横方向の広がりまたはソールの一方の側S1から他方の側S2までの50~95%にわたって延在する。窪んだゾーン6の底部は、使用中に上になる面4aによって規定されることができる。
【0047】
窪んだゾーン6は、突出部5の高さに実質的に対応し、このような高さに応じて前部Fから後部Rまでおよび一方の側から他方の側まで可変である深さを有し得る。
【0048】
窪んだゾーン6が設けられる場合、突出部5は、窪んだゾーン6の長手方向の広がり全体にわたって分散され、突出部5の各々は、ソールの一方の側S1の窪んだゾーン6の境界のシートまたはシート4のそれぞれの最上部セクションの端縁部4bの一方のセクションからソールの他方の側S2の窪んだゾーン6の境界の端縁部4bの別のセクションまで延在している。
【0049】
このような場合、突出部5の各々は、窪んだゾーン6の境界の端縁部4bのそれぞれのセクションにおいて埋設または拘束され得ることにより、突出部5の側部または終端端部5f,5gは、端縁部4bのこのようなセクションに実質的に固定される。
【0050】
このような場合、端縁部4bは、明らかに環状であり、または、いずれの場合でも明らかに不規則な形状のループとして閉じた面上に延在している。
【0051】
そして、ソールは、ソールの前部F、後部Rおよび/または側部S1,S2における端縁部4bから上向きに延在する隆起端縁7を備え得る。
【0052】
窪んだゾーン6が存在する場合、当接面4eは、周囲ゾーン4cに沿って端縁部4bから内部または中間ゾーン4d内に規定され、中間ゾーン4dは、全部または一部が周囲ゾーン4c、突出部5、またはさらにはその自由端5bの終端または最上部バンドまたは面5hによって取り囲まれている。したがって、当接面4eの中間ゾーン4dは、離散的であって非連続的であろう。
【0053】
周囲ゾーン4cは、存在する場合、当接面4eの周囲全体にわたって延在するように環状であり、または開口した湾曲セクションでもある。
【0054】
このような事項に関して、依然として窪んだゾーン6が存在する場合には、突出部5の自由端5bの終端または最上部バンドまたは面5hは、端縁部4bによって規定される周囲ゾーン4cとも実質的に整列される。
【0055】
一方または両方の側S1,S2に、好ましくは外部側または外側S2のみに、1つ以上の窓8を設けることができ、1つ以上の窓8においては、突出部などの断面を見ることができて突出部5の形状を視覚的に思い起こさせる。
【0056】
希望であれば、ソール1は、底部または使用中に下になる面2aに、突出部5の構成と同様の構成を備えたリブ9を有する。
【0057】
このようなリブ9は、特にそれぞれの高さとの関係で、突出部5のように可撓性である場合もあれば、そうでない場合もある。
【0058】
リブ9が設けられる場合、これらは、取付ベース9aと自由先端9bとを有し、各自由先端9bは、対応する取付ベース9aよりもソール1の前部F側にある。実質的に、リブ9は、前方に傾斜している。
【0059】
さらに、リブ9は、壁またはリブ構成を有するため、単一の外縁が自由先端9bを規定し、すなわち、リブは、複数の自由端または分岐点を持たない。
【0060】
リブ9は、ソールの前部Fの近くであって後部Rから遠位のゾーン、および、ソール1の後部Rの近くであって前部リブFから遠位のゾーンに設けられ得る。
【0061】
希望であれば、隣接するまたは隣り合った連続的なリブ9の対は、たとえば約1~20mmのそれぞれの横断空間TGの境界を定める。横断空間TGは、好ましくは、横方向の広がり全体にわたって、またはリブ9の一方の側から他方の側まで境界が定められ、すなわち、隣接するまたは隣り合った連続的なリブの対は、少なくとも静止トリムにおいて、横方向の広がり全体にわたって接触しない。
【0062】
また、リブ9は、弾性的に曲げやすくなっており、特にユーザの足によってそれに圧力を加えることによって、各リブ9は、それぞれの自由先端9bがその前のまたは前部側のリブ9に接近するかまたは希望であれば接触するように曲げられることにより、変形状態が得られる一方、圧力が中断されるかまたは減少すると、たとえばユーザがランニングまたはウォーキング中にソールまたはそれぞれのシューズと係合した状態で足を上げると、リブ9は、初期位置に戻る傾向があり、それにより、それぞれの自由先端9bは、後部Rの方向に戻り、前方への推進力またはソールの前部Fの方向への力がそれぞれのユーザの方に解放されて、静止または非変形状態が新たに得られる。
【0063】
好ましくは、対応する取付ベース9aよりも後部R側の自由端を有するリブ9は設けられない。明らかに、このように配置されたリブ9も設けられてもよいが、その割合はリブの総数の5~10%未満である。
【0064】
リブ9の一部は、ソール1の側部S1,S2にも延在し得る。
その他に、突出部5を参照して上記したことは、設けられる場合にはリブ9にも適用可能である。
【0065】
希望であれば、ソール1は、シート4または重ね合わせられたシートの底部に拘束、たとえばのり付けまたは成形された1つ以上の接地部10,11を備え得る。
【0066】
このような接地部10,11、たとえば前部Fにおける一方の部分10および後部Rにおける別の部分11は、使用中に下になる面2aの上にのり付けまたは成形され得る。このような部分10,11は、たとえば、シート4または重ね合わせられたシートの底部の、たとえば実質的に平滑なセクションの上に拘束されてもよい。
【0067】
ソール1は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ゴム、発泡もしくはコンパクト熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TR)、ポリ塩化ビニル(PVC)および/または同様のポリマーによって構成される群から選択される材料でできていてもよい。
【0068】
ソール1は、設けられる場合には接地部10,11は別として、たとえば一体になっていてもよい。
【0069】
ここで
図9~
図15を参照して、本発明に係る別の実施形態が示されており、この実施形態では、ソールは、空洞14を規定する外側ソールコンポーネント13と、空洞14のサイズに合わせて実質的に収容可能なインサート15とを備え、このようなインサート15は、上記のように、シート40と、そこから実質的に突き出る突出部5とを備える。
【0070】
このような場合、下層は外側ソールコンポーネントによって規定され、上層はインサート15によって規定される。
【0071】
希望であれば、インサート15は、希望であればのりまたは別の好適な方法によって空洞14内に固定することができるとしても、空洞14に取り外し可能に収容される。
【0072】
シート40は、ベース壁40aを有し得て、ベース壁40aの端縁から、環状壁40bが上向きに突き出ている。
【0073】
このような場合、突出部5の各々は、好ましくは、環状壁40bの中に固定、埋設またはいずれの場合でも拘束された第1の側部または終端端部5fと第2の側部または終端端部5gとを有し得る。
【0074】
インサート15は、空洞14内に拘束、たとえばのり付けされ得る。
実質的に、インサート15は、
図1~
図8を参照しながら上記した窪んだゾーンのように実現可能である。
【0075】
インサート15は、空洞14におけるインサートの正確な位置決めのために、それぞれの突出または下流部分17のサイズに合わせて係合可能な1つ以上の窪んだゾーンまたは浮き出し部16を備え得る。
【0076】
詳細に外側ソール13に関して、これは、下層13aと、下層13aから上向きに突き出る周囲部13bとを有し得る。
【0077】
さらに、周囲部13bに作製された貫通窓8が設けられ得て、このような場合、ソールは、窓8を充填するための1つ以上のコンポーネント19を備え得る。
【0078】
充填コンポーネント19は、プレートセクション19aを有し得て、プレートセクション19aから、窓8を充填するためのブロック19bが延在している。
【0079】
充填コンポーネント19は、インサート15の間、より特定的にはインサート15のセクションと外側ソールコンポーネント13またはそれぞれの周囲部13bとの間に収容されて圧縮されることができる。
【0080】
充填コンポーネント19は、透明であってもよい。
充填コンポーネント19は、窓8の底部を隠すことなく汚れが窓8に侵入することを防ぐ働きをする。
【0081】
ソール1は、希望であれば実質的にU字型に構成されたヒール部20も備え得て、このようなヒール部20は、外側ソールコンポーネント13、より特定的には外側ソールコンポーネント13の上部後方セクションに拘束、たとえばのり付けまたは他の手段で固定され得る。
【0082】
外側ソールコンポーネント13およびインサートは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ゴム、発泡もしくはコンパクト熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ゴム(TR)、ポリ塩化ビニル(PVC)および/または同様のポリマーによって構成される群から選択される材料でできていてもよい。
【0083】
本発明に係るソールは、一体になっていてもよく、または好適に拘束される複数の部品でできていてもよい。
【0084】
さらに、本発明に係るソールでは、上向きに開口する1つ以上の溝も設けられてもよく、このような溝は、ユーザの足の汗を蓄積するように設定され、少なくとも1つの排出ゾーンまたは開口は、そこに蓄積された汗の排出のために複数の溝と流体連通してソール1の外側に至るように設けられることができる。溝は、実際にはシート4の中に窪んでいる。
【0085】
複数の溝は、少なくとも部分的にソール1の後部Rから前部Fへの方向に延在する少なくとも2つの主要長手方向溝と、少なくとも2つの第1の横断溝または終端横断溝とを備え得て、少なくとも2つの第1の横断溝または終端横断溝は、少なくとも部分的に実質的にソール1の一方の側S1から他方の側S2への方向に延在しており、希望であれば、それらの各々が、2つの主要長手方向溝のうちの一方の主要長手方向溝の一端からまたは一端に近接して、2つの主要長手方向溝のうちの別の主要長手方向溝の一端までまたは一端に近接して、遮断または延在している。
【0086】
このような場合、主要長手方向溝は、少なくとも一方の端部を他方の前部の近くに、またその逆に、有するという意味で、少なくとも部分的にソール1の後部Rから前部Fへの方向に延在しているが、後部R-前部Fの方向に平行な広がりと必ずしも直線的ではなく、後部R-前部Fの方向に対して全部または一部が湾曲または傾斜していてもよい。
【0087】
複数の溝は、少なくとも2つの第2の横断溝または中間横断溝も含み、少なくとも2つの第2の横断溝または中間横断溝は、ソール1の一方の側から他方の側への方向に実質的に延在しており、希望であれば、それらの各々が、特に2つの主要長手方向溝のうちの一方の主要長手方向溝の中間部分またはセクションから、2つの主要長手方向溝のうちの別の主要長手方向溝の中間部分またはセクションまで、2つ以上の主要長手方向溝を遮断するか、またはそれらの間に延在している。
【0088】
横断溝は、少なくとも一方の端部を他方の一方の側の近くに、またその逆に、有するという意味で、少なくとも部分的にソールの一方の側から他方の側への方向に延在しているが、一方の側から他方の側への方向に平行な広がりと必ずしも直線的ではなく、一方の側から他方の側への方向に対して全部または一部が湾曲または傾斜していてもよい。
【0089】
第3の主要長手方向溝も設けられる場合には、横断溝は、好ましくは、第1の主要長手方向溝から別のまたは第2の主要長手方向溝までの通路におけるこのような溝と交差するかまたは交わる。
【0090】
好ましくは、溝は、溝によって境界を定められて互いに分離される最上部コンポーネントの島状部または突起を備えた構造を構成するように互いに連通している。
【0091】
このような事項に関して、全ての溝は、設けられる場合には、溝によって互いに分離される島状部または突起を備えた構造を構成するように互いに流体連通している。
【0092】
このような局面に関連して、全ての溝は、単一の溝群に属するように互いに流体連通していてもよく、または、2つ以上の溝群が設けられて、各群の溝は全て、互いに流体連通しているが、他の群の溝とは流体連通していない。各溝群に対して少なくとも1つのゾーンまたは排出開口が設けられ、すなわち、ソールは、各群と流体連通する少なくとも1つの排出開口を備え、または少なくとも1つの排出開口の境界を定める。このような手段により、溝に浸透または収集された汗は、スポーツ活動をしている間に、排出開口に至る1つまたは複数の溝群に流入または流れ込むことができる。
【0093】
溝は、一定のまたは可変の幅および高さを有することができ、たとえばU字型もしくはV字型断面または別の好適な構成を有することができる。
【0094】
上記のまたは各々の排出開口に対して、これは、溝と流体連通することができ、ソール1の後部Rまたはシューズウエスト部または前部Fにおいて境界を定められる。
【0095】
有利なことに、各々がソール1のそれぞれの側部S1,S2に至る少なくとも2つの開口が設けられる。より特定的には、ソール1の外側に至る少なくとも1つの開口が設けられ、ソール1の内側に至る少なくとも1つの開口が設けられる。
【0096】
ソール1は、開口またはそれぞれの開口を閉鎖またはさらには被覆するための少なくとも1つのフィルタリング膜も備えていてもよい。
【0097】
また、本発明の目的を構成するのは、上記のソールと、ソールに拘束された甲革とを備えるシューズである。
【0098】
確認できるように、本発明に係るソールにより、第1のステップ中はユーザによって圧縮され、その後のステップ中は前方への推進力をユーザ自身に返すであろう突出部、設けられる場合にはリブの形状に起因して、それぞれのユーザにとって最適な前方への推進力を得ることが可能である。
【0099】
また、突出部の構成は、各ユーザの足に人間工学的に適合されるようなものであるため、快適さおよび効率が保証される。
【0100】
また、本発明に係るソールは、圧力に応じて押しつぶされる、すなわち実際にセルフモデリングであるので、さまざまな解剖学的構造により容易に適合される。
【0101】
このような事項に関して、ソールの前部またはシューズウエスト部における突出部の各々が、ソールの内部部分または内側部分から外部部分または外側部分への方向に、第1の湾曲セクションと第2の湾曲セクションとを備える場合、ソールの前部部分は、ユーザの足の中足骨頭の傾向を追従し、横揺れ時に足について行くことによって可撓性を保証する。
【0102】
1つの材料からなる外部要素と、外部要素の材料とは異なる材料からなるインサートとを有することが可能であり、それにより、ソールは、一体になっているかまたは2つ以上の部品で構成されることができる。
【0103】
汗の通路が存在するであろう溝も設けられてもよい。
溝は、ソールの弾性を実現することも可能にするであろう。
【0104】
本発明の変形および変更は、特許請求の範囲によって規定される保護範囲の範囲内で可能である。