(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】熱処理装置および熱処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240222BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20240222BHJP
G05D 23/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/30 567
H01L21/30 566
H01L21/30 571
G05B11/36 J
G05D23/00 F
(21)【出願番号】P 2020091524
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 隆泰
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-521223(JP,A)
【文献】特開2005-309941(JP,A)
【文献】特開2005-309942(JP,A)
【文献】特開2005-011852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G05B 1/00-7/04、11/00-13/04
17/00-17/02、21/00-21/02
G05D 23/00-23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の基板が載置される載置面を有する1つのプレート部材と、
前記載置面の複数の領域を通して前記載置面上に載置された前記1枚の基板の複数の部分にそれぞれ熱処理を行う複数の熱処理部と、
前記複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、前記複数の設定温度と前記第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出する相対量算出部と、
前記複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出する検出部と、
前記複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、前記複数の現在温度と前記第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出する追従量算出部と、
前記複数の熱処理部の各々について前記相対量と前記追従量との差を誤差量として算出する誤差量算出部と、
前記複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて前記複数の設定温度の補正を行う補正部と、
補正後の複数の設定温度に基づいて前記複数の熱処理部の現在温度が前記複数の設定温度にそれぞれ近づくように前記複数の熱処理部のPID制御を行うPID制御部とを備え、
前記補正部は、前記PID制御において前記複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が前記複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ前記複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量の変化における微分値および前記誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出する、熱処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量と第1の係数とを乗算することにより第1の積を算出し、前記微分値と第2の係数とを乗算することにより第2の積を算出し、前記第1の積と前記第2の積とを加算することにより前記補正量を算出する、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
複数の基板が載置される複数の載置面をそれぞれ有する複数のプレート部材と、
前記複数の載置面に載置された前記複数の基板にそれぞれ熱処理を行う複数の熱処理部と、
前記複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、前記複数の設定温度と前記第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出する相対量算出部と、
前記複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出する検出部と、
前記複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、前記複数の現在温度と前記第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出する追従量算出部と、
前記複数の熱処理部の各々について前記相対量と前記追従量との差を誤差量として算出する誤差量算出部と、
前記複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて前記複数の設定温度の補正を行う補正部と、
補正後の複数の設定温度に基づいて前記複数の熱処理部の現在温度が前記複数の設定温度にそれぞれ近づくように前記複数の熱処理部のPID制御を行うPID制御部とを備え、
前記補正部は、前記PID制御において前記複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が前記複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ前記複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量の変化における微分値および前記誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出する、熱処理装置。
【請求項4】
複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、前記複数の設定温度と前記第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出するステップと、
前記複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出するステップと、
前記複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、前記複数の現在温度と前記第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出するステップと、
前記複数の熱処理部の各々について前記相対量と前記追従量との差を誤差量として算出するステップと、
前記複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて前記複数の設定温度の補正を行うステップと、
補正後の複数の設定温度に基づいて前記複数の熱処理部の現在温度が前記複数の設定温度にそれぞれ近づくように前記複数の熱処理部のPID制御を行うステップと、
前記複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップとを含み、
前記複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップは、
1つのプレート部材が有する載置面上に1枚の基板を載置することと、
前記載置面の複数の領域を通して前記載置面上に載置された前記1枚の基板の複数の部分にそれぞれ熱処理を行うこととを含み、
前記複数の設定温度の補正を行うステップは、前記PID制御において前記複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が前記複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ前記複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量の変化における微分値および前記誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出することを含む、熱処理方法。
【請求項5】
前記複数の設定温度の補正を行うステップは、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量と第1の係数とを乗算することにより第1の積を算出し、前記微分値と第2の係数とを乗算することにより第2の積を算出し、前記第1の積と前記第2の積とを加算することにより前記補正量を算出することを含む、請求項4記載の熱処理方法。
【請求項6】
複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、前記複数の設定温度と前記第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出するステップと、
前記複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出するステップと、
前記複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、前記複数の現在温度と前記第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出するステップと、
前記複数の熱処理部の各々について前記相対量と前記追従量との差を誤差量として算出するステップと、
前記複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて前記複数の設定温度の補正を行うステップと、
補正後の複数の設定温度に基づいて前記複数の熱処理部の現在温度が前記複数の設定温度にそれぞれ近づくように前記複数の熱処理部のPID制御を行うステップと、
前記複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップとを含み、
前記複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップは、
複数のプレート部材がそれぞれ有する複数の載置面上に複数の基板を載置することと、
前記複数の載置面上に載置された複数の基板に前記複数の熱処理部を用いてそれぞれ熱処理を行うこととを含み、
前記複数の設定温度の補正を行うステップは、前記PID制御において前記複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が前記複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ前記複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、前記複数の熱処理部の各々について、前記誤差量の変化における微分値および前記誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出することを含む、熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に熱処理を行う熱処理装置および熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に熱処理を行うために、熱処理装置が用いられている。熱処理装置においては、例えば予め設定された温度に保持されたプレート部材上で基板が支持されることにより、その基板に熱処理が行われる。このとき、プレート部材の温度は、ヒータにより調整される。
【0003】
基板の熱処理時には、基板の全体の温度が均一に維持されることが望まれる。しかしながら、プレート部材およびヒータの構成によっては、一のヒータでプレート全体の温度を均一かつ正確に調整することは難しい。そこで、プレート部材の上面を複数のゾーンに分割し、分割された複数のゾーンの温度を複数のヒータでそれぞれ調整する熱処理装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された熱処理装置においては、プレート部材(ホットプレート)が備える複数のゾーンの温度が、各ゾーンに内蔵されたヒータにより個別に調整される。この調整は、PID(比例積分微分)制御により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-159326号公報
【文献】特開2005-309941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の熱処理装置においては、設定温度に保持されたプレート部材上に未処理の基板が載置されることにより、プレート部材の温度が基板の温度の影響を受けて変化する。高い精度で基板の熱処理を行うために、プレート部材上に基板が載置される際には、プレート部材の上面の各ゾーンの温度を設定温度外の温度から設定温度へ適切に戻すことが望まれる。具体的には、プレート部材の複数のゾーンの温度を均一に保ちつつ、それらの複数のゾーンの温度を設定温度へ戻すことが望まれる。
【0007】
このような課題に関して、複数の熱処理部の状態量(上記の例では、複数のヒータの温度)の関係を維持しつつ複数の熱処理部の状態量を所望の値に変更する制御方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2の制御方法では、複数の熱処理部の状態量の変化が応答速度の低い熱処理部の状態量の変化に律速される可能性がある。この場合、特許文献1に記載された熱処理装置において、特許文献2に記載された制御方法で複数のヒータの制御を行っても基板の熱処理に要する時間が長くなる。
【0008】
本発明の目的は、複数の熱処理部による基板の熱処理を高い精度かつ短時間で行うことを可能にする熱処理装置および熱処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る熱処理装置は、1枚の基板が載置される載置面を有する1つのプレート部材と、載置面の複数の領域を通して載置面上に載置された1枚の基板の複数の部分にそれぞれ熱処理を行う複数の熱処理部と、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、複数の設定温度と第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出する相対量算出部と、複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出する検出部と、複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、複数の現在温度と第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出する追従量算出部と、複数の熱処理部の各々について相対量と追従量との差を誤差量として算出する誤差量算出部と、複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて複数の設定温度の補正を行う補正部と、補正後の複数の設定温度に基づいて複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にそれぞれ近づくように複数の熱処理部のPID制御を行うPID制御部とを備え、補正部は、PID制御において複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値および誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出する。
【0010】
その熱処理装置においては、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値が第1の基準値として算出され、複数の設定温度と第1の基準値との差が複数の相対量としてそれぞれ算出される。また、複数の熱処理部の複数の現在温度がそれぞれ検出され、複数の現在温度の代表値が第2の基準値として算出される。また、複数の現在温度と第2の基準値との差が複数の追従量としてそれぞれ算出される。また、複数の熱処理部の各々について、相対量と追従量との差が誤差量として算出される。さらに、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値と誤差量とに基づいて設定温度の補正が行われる。補正後の設定温度に基づいて熱処理部のPID制御が行われる。
【0011】
ここで、複数の熱処理部の各々について算出された微分値は、当該熱処理部の現在温度が設定温度に近づくときの温度変化の速度であって、複数の熱処理部の複数の現在温度が均一な速度で複数の設定温度に近づくために各熱処理部において調整されるべき温度変化の速度を表す。上記の構成によれば、複数の補正量が複数の微分値に基づいて算出されるので、複数の現在温度が均一な速度で複数の設定温度に近づくようにPID制御が行われる。それにより、熱処理の開始後、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度に到達して安定化するまでの復帰時間が短くなる。
【0012】
また、複数の熱処理部の各々について算出された誤差量は、複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係を複数の設定温度の相対的な関係に一致させるために各熱処理部において調整されるべき温度を表す。上記の構成によれば、複数の補正量が複数の誤差量に基づいて算出されるので、複数の現在温度の相対的な関係が、複数の設定温度の相対的な関係で維持されるようにPID制御が行われる。
【0013】
これらの結果、複数の熱処理部の温度が複数の設定温度から外れる場合でも、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度の相対的な関係で維持されつつ迅速に複数の設定温度に近づく。したがって、複数の熱処理部による基板の熱処理を高い精度かつ短時間で行うことが可能になる。
また、熱処理装置は、1枚の基板が載置される載置面を有する1つのプレート部材をさらに含み、複数の熱処理部は、載置面の複数の領域を通して載置面上に載置された1枚の基板の複数の部分にそれぞれ熱処理を行う。これにより、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にない状態であっても、複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係に維持される。したがって、高い精度で基板の熱処理を行うことができる。
【0014】
(2)補正部は、複数の熱処理部の各々について、誤差量と第1の係数とを乗算することにより第1の積を算出し、微分値と第2の係数とを乗算することにより第2の積を算出し、第1の積と第2の積とを加算することにより補正量を算出してもよい。
【0015】
この場合、複数の熱処理部について、複数の現在温度が複数の設定温度の相対的な関係で維持されつつ迅速に複数の設定温度に近づくように、PID制御を行うことが可能になる。
【0016】
(3)第2の発明に係る熱処理装置は、複数の基板が載置される複数の載置面をそれぞれ有する複数のプレート部材と、複数の載置面に載置された複数の基板にそれぞれ熱処理を行う複数の熱処理部と、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、複数の設定温度と第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出する相対量算出部と、複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出する検出部と、複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、複数の現在温度と第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出する追従量算出部と、複数の熱処理部の各々について相対量と追従量との差を誤差量として算出する誤差量算出部と、複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて複数の設定温度の補正を行う補正部と、補正後の複数の設定温度に基づいて複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にそれぞれ近づくように複数の熱処理部のPID制御を行うPID制御部とを備え、補正部は、PID制御において複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値および誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出する。
【0018】
(4)第3の発明に係る熱処理方法は、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、複数の設定温度と第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出するステップと、複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出するステップと、複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、複数の現在温度と第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出するステップと、複数の熱処理部の各々について相対量と追従量との差を誤差量として算出するステップと、複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて複数の設定温度の補正を行うステップと、補正後の複数の設定温度に基づいて複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にそれぞれ近づくように複数の熱処理部のPID制御を行うステップと、複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップとを含み、複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップは、1つのプレート部材が有する載置面上に1枚の基板を載置することと、載置面の複数の領域を通して載置面上に載置された1枚の基板の複数の部分にそれぞれ熱処理を行うこととを含み、複数の設定温度の補正を行うステップは、PID制御において複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値および誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出することを含む。
【0019】
その熱処理方法においては、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値が第1の基準値として算出され、複数の設定温度と第1の基準値との差が複数の相対量としてそれぞれ算出される。また、複数の熱処理部の複数の現在温度がそれぞれ検出され、複数の現在温度の代表値が第2の基準値として算出される。また、複数の現在温度と第2の基準値との差が複数の追従量としてそれぞれ算出される。また、複数の熱処理部の各々について、相対量と追従量との差が誤差量として算出される。さらに、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値と誤差量とに基づいて設定温度の補正が行われる。補正後の設定温度に基づいて熱処理部のPID制御が行われる。
【0020】
ここで、複数の熱処理部の各々について算出された微分値は、当該熱処理部の現在温度が設定温度に近づくときの温度変化の速度であって、複数の熱処理部の複数の現在温度が均一な速度で複数の設定温度に近づくために各熱処理部において調整されるべき温度変化の速度を表す。上記の構成によれば、複数の補正量が複数の微分値に基づいて算出されるので、複数の現在温度が均一な速度で複数の設定温度に近づくようにPID制御が行われる。それにより、熱処理の開始後、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度に到達して安定化するまでの復帰時間が短くなる。
【0021】
また、複数の熱処理部の各々について算出された誤差量は、複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係を複数の設定温度の相対的な関係に一致させるために各熱処理部において調整されるべき温度を表す。上記の構成によれば、複数の補正量が複数の誤差量に基づいて算出されるので、複数の現在温度の相対的な関係が、複数の設定温度の相対的な関係で維持されるようにPID制御が行われる。
【0022】
これらの結果、複数の熱処理部の温度が複数の設定温度から外れる場合でも、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度の相対的な関係で維持されつつ迅速に複数の設定温度に近づく。したがって、複数の熱処理部による基板の熱処理を高い精度かつ短時間で行うことが可能になる。
また、複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップは、1つのプレート部材が有する載置面上に基板を載置することと、載置面の複数の領域を通して載置面上に載置された1枚の基板の複数の部分に熱処理を行うこととを含む。これにより、複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にない状態であっても、複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係に維持される。したがって、高い精度で基板の熱処理を行うことができる。
【0023】
(5)複数の設定温度の補正を行うステップは、複数の熱処理部の各々について、誤差量と第1の係数とを乗算することにより第1の積を算出し、微分値と第2の係数とを乗算することにより第2の積を算出し、第1の積と第2の積とを加算することにより補正量を算出することを含んでもよい。
【0024】
この場合、複数の熱処理部について、複数の現在温度が複数の設定温度の相対的な関係で維持されつつ迅速に複数の設定温度に近づくように、PID制御を行うことが可能になる。
【0025】
(6)第4の発明に係る熱処理方法は、複数の熱処理部にそれぞれ設定された複数の設定温度の代表値を第1の基準値として算出し、複数の設定温度と第1の基準値との差を複数の相対量としてそれぞれ算出するステップと、複数の熱処理部の現在の温度を複数の現在温度としてそれぞれ検出するステップと、複数の現在温度の代表値を第2の基準値として算出し、複数の現在温度と第2の基準値との差を複数の追従量としてそれぞれ算出するステップと、複数の熱処理部の各々について相対量と追従量との差を誤差量として算出するステップと、複数の熱処理部について複数の誤差量に基づいて複数の設定温度の補正を行うステップと、補正後の複数の設定温度に基づいて複数の熱処理部の現在温度が複数の設定温度にそれぞれ近づくように複数の熱処理部のPID制御を行うステップと、複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップとを含み、複数の熱処理部を用いて基板に熱処理を行うステップは、複数のプレート部材がそれぞれ有する複数の載置面上に複数の基板を載置することと、複数の載置面上に載置された複数の基板に複数の熱処理部を用いてそれぞれ熱処理を行うこととを含み、複数の設定温度の補正を行うステップは、PID制御において複数の熱処理部の現在温度の相対的な関係が複数の設定温度の相対的な関係で維持されかつ複数の熱処理部の現在温度の変化が互いに近づくように、複数の熱処理部の各々について、誤差量の変化における微分値および誤差量から当該熱処理部の設定温度の補正に用いる補正量を算出することを含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の熱処理部による基板の熱処理を高い精度かつ短時間で行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1のヒータ制御部の構成および動作を説明するための図である。
【
図3】
図2の温度調整フィルタ部の構成および動作の詳細を説明するための図である。
【
図4】前件部1のメンバシップ関数の一例を示す図である。
【
図5】前件部2のメンバシップ関数の一例を示す図である。
【
図6】後件部1および後件部2のメンバシップ関数の一例を示す図である。
【
図7】第1のシミュレーション結果を示す図である。
【
図8】第2のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】第3のシミュレーション結果を示す図である。
【
図10】
図1の熱処理装置を備える基板処理装置の一例を示す模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態に係る熱処理装置および熱処理方法について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。以下の説明においては、熱処理装置の一例として基板に加熱処理を行う熱処理装置を説明する。
【0030】
1.熱処理装置の構成の概略
図1は、本発明の一実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、熱処理装置100は、熱処理プレート10、能動冷却プレート20、受動冷却プレート30、昇降装置40、制御装置50、操作部90およびヒータ駆動部d1~d6を含む。
【0031】
熱処理プレート10は、扁平な円柱形状を有する金属製の伝熱プレートであり、平坦な上面および下面を有する。熱処理プレート10の上面は、加熱処理の対象となる基板Wを載置可能に構成され、その基板Wの外径よりも大きい外径を有する。熱処理プレート10の上面には、基板Wの下面を支持する複数のプロキシミティボール等が設けられている。
図1では、熱処理プレート10上に載置される基板Wが二点鎖線で示される。
【0032】
熱処理プレート10の上面は、複数(本例では6個)のゾーンに分割されている。熱処理プレート10には、複数のゾーンにそれぞれ対応する複数(本例では6個)のヒータh1~h6および複数(本例では6個)の温度センサs1~s6が設けられている。複数の温度センサs1~s6の各々は、対応するゾーンの温度を検出し、検出した温度に対応する検出信号を後述する温度取得部55へ出力する。
【0033】
複数のヒータh1~h6は、例えばマイカヒータまたはペルチェ素子等で構成され、複数のヒータ駆動部d1~d6にそれぞれ接続されている。複数のヒータ駆動部d1~d6は、後述するヒータ制御部52により制御され、複数のゾーンの温度が基板Wの加熱処理を行うために予め設定された複数の温度(設定温度)で保持されるように複数のヒータh1~h6をそれぞれ駆動する。
【0034】
能動冷却プレート20は、熱処理プレート10よりも下方の位置で、熱処理プレート10の下面から所定距離、離れるように配置されている。能動冷却プレート20は、熱処理プレート10に向く上面を有する。能動冷却プレート20の上面には、高い熱伝導率を有する熱伝導シート(図示せず)が設けられている。
【0035】
能動冷却プレート20には、冷却機構21が設けられている。冷却機構21は、例えば能動冷却プレート20内に形成される冷却水通路またはペルチェ素子等で構成される。冷却機構21には、冷却駆動部22が接続されている。冷却駆動部22は、能動冷却プレート20の上面の温度が熱処理プレート10の温度よりも低くなるように冷却機構21を駆動する。
【0036】
受動冷却プレート30は、熱処理プレート10と能動冷却プレート20との間の空間で、昇降装置40により昇降可能に支持されている(
図1の白抜きの矢印参照)。受動冷却プレート30は、金属製の円板状部材であり、上面および下面を有する。受動冷却プレート30の上面は熱処理プレート10の下面に対向し、受動冷却プレート30の下面は能動冷却プレート20の上面に対向する。受動冷却プレート30の上面には、高い熱伝導率を有する熱伝導シート(図示せず)が設けられている。
【0037】
昇降装置40は、例えばエアシリンダで構成される。昇降装置40には、昇降駆動部41が接続されている。昇降駆動部41は、例えば受動冷却プレート30が能動冷却プレート20に接するように昇降装置40を駆動する。この場合、受動冷却プレート30が能動冷却プレート20により冷却される。また、昇降駆動部41は、例えば受動冷却プレート30が熱処理プレート10に接するように昇降装置40を駆動する。この場合、熱処理プレート10が受動冷却プレート30により冷却される。
【0038】
制御装置50は、機能部として、ヒータ制御部52、冷却制御部53、昇降制御部54および温度取得部55を有する。制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)により構成される。CPUがROMまたは他の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、上記の各機能部が実現される。なお、制御装置50の機能的な構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0039】
温度取得部55は、複数の温度センサs1~s6から出力される検出信号に基づいて熱処理プレート10の複数のゾーンの温度をそれぞれ取得する。具体的には、温度取得部55は、複数の温度センサs1~s6から出力される検出信号を一定周期でサンプリングする。ヒータ制御部52は、複数のゾーンの各々について、後述する操作部90から入力される設定温度と温度取得部55により取得された現在の温度(以下、現在温度と呼ぶ。)とに基づいて、当該ゾーンに対応するヒータ駆動部を制御する。ヒータ制御部52の詳細は後述する。
【0040】
操作部90は、例えば図示しない表示部に一体的に設けられるタッチパネルであり、表示部に表示される設定画面において処理レシピの内容を入力することが可能に構成される。また、操作部90は、熱処理プレート10の複数のゾーンにそれぞれ対応する設定温度を入力可能に構成される。なお、操作部90は、タッチパネルに代えて、またはタッチパネルに加えて、キーボードおよびマウス等を含んでもよい。
【0041】
なお、熱処理装置100には、熱処理プレート10と熱処理装置100の外部装置(例えば後述する
図10の基板搬送装置450)との間で基板Wの受け渡しを行うための受け渡し機構(図示せず)がさらに設けられている。
【0042】
2.ヒータ制御部52の構成および動作
以下の説明においては、熱処理プレート10の複数のゾーンを区別する場合、ヒータh1により加熱されるゾーンを第1のゾーンと呼び、ヒータh2により加熱されるゾーンを第2のゾーンと呼び、ヒータh3により加熱されるゾーンを第3のゾーンと呼ぶ。また、ヒータh4により加熱されるゾーンを第4のゾーンと呼び、ヒータh5により加熱されるゾーンを第5のゾーンと呼び、ヒータh6により加熱されるゾーンを第6のゾーンと呼ぶ。
【0043】
図2は、
図1のヒータ制御部52の構成および動作を説明するための図である。
図2に示すように、ヒータ制御部52は、温度調整フィルタ部60および複数(本例では6個)のPID(比例積分微分)制御部c1~c6を含む。温度調整フィルタ部60には、例えば
図1の操作部90から第1~第6のゾーンの設定温度SV1~SV6が与えられる。また、温度調整フィルタ部60には、
図1の温度取得部55から第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6が与えられる。
【0044】
温度調整フィルタ部60は、複数の設定温度SV1~SV6および現在温度PV1~PV6に基づいて、複数の設定温度SV1~SV6をそれぞれ補正する。温度調整フィルタ部60による補正後の複数の設定温度を、それぞれ補正済設定温度SP1~SP6と呼ぶ。温度調整フィルタ部60の構成および動作の詳細については後述する。
【0045】
PID制御部c1には、補正済設定温度SP1と現在温度PV1と差が偏差DV1として与えられる。PID制御部c1は、偏差DV1に基づいて第1のゾーンの現在温度PV1が設定温度SV1に近づくようにヒータh1のPIV制御を行う。PID制御部c2には、補正済設定温度SP2と現在温度PV2との差が偏差DV2として与えられる。PID制御部c2は、偏差DV2に基づいて第2のゾーンの現在温度PV2が設定温度SV2に近づくようにヒータh2のPIV制御を行う。
【0046】
PID制御部c3,c4,c5,c6にも、PID制御部c1,c2と同様に、偏差DV3,DV4,DV5,DV6がそれぞれ与えられる。PID制御部c3~c6は、偏差DV3~DV6に基づいて第3~第6のゾーンの現在温度PV3~PV6が設定温度SV3~SV6にそれぞれ近づくようにヒータh3~h6のPIV制御をそれぞれ行う。
【0047】
3.温度調整フィルタ部60
図3は、
図2の温度調整フィルタ部60の構成および動作の詳細を説明するための図である。
図3に示すように、温度調整フィルタ部60は、相対量算出部61、追従量算出部62、誤差量算出部63および複数(本例では6個)のファジィ制御部f1~f6を含む。ファジィ制御部f1~f6は、第1~第6のゾーンにそれぞれ対応する。以下の説明においては、第1~第6のゾーンの番号を表す変数として適宜iを用いる。すなわち、以下の説明では、i=1,2,3,4,5,6である。
【0048】
相対量算出部61は、複数の設定温度SV[i]の代表値を第1の基準値SVmとして算出する。第1の基準値SVmは、例えば下記式(1)に示すように、加重平均の式により定義することができる。式(1)において、w1[i]は重みである。w1[i]は、例えば共通の値に設定されてもよい。
【0049】
SVm=Σ(SV[i]×w1[i])/Σ(w1[i]) …(1)
また、相対量算出部61は、下記式(2)に示すように、設定温度SV[i]と第1の基準値SVmとの差を複数の相対量SR[i]としてそれぞれ算出する。
【0050】
SR[i]=SV[i]-SVm …(2)
追従量算出部62は、複数の現在温度PV[i]の代表値を第2の基準値PVmとして算出する。第2の基準値PVmは、例えば下記式(3)に示すように、加重平均の式により定義することができる。式(3)において、w2[i]は重みである。w2[i]は、例えば共通の値に設定されてもよい。
【0051】
PVm=Σ(PV[i]×w2[i])/Σ(w2[i]) …(3)
また、追従量算出部62は、下記式(4)に示すように、現在温度PV[i]と第2の基準値PVmとの差を複数の追従量PF[i]としてそれぞれ算出する。
【0052】
PF[i]=PV[i]-PVm …(4)
誤差量算出部63は、相対量SR[i]から追従量PF[i]を減算することにより相対量SR[i]と追従量PF[i]との差(SRi-PFi)を誤差量DV’[i]として算出し、ファジィ制御部f[i]に与える。ファジィ制御部f[i]は、誤差量DV’[i]に基づいて対応する設定温度SV[i]を補正する。
【0053】
具体的には、各ファジィ制御部f[i]は、下記式(5)で示すように、誤差量DV’[i]と誤差量DV’[i]の変化における微分値とを用いて、対応する設定温度SV[i]の補正に用いる補正量C[i]を算出する。式(5)において、G1[i]およびG2[i]は予め定められた補正ゲインであり、nは例えば現在温度PV[i]のサンプリング回数を表す自然数である。
【0054】
C[i]=G1[i]×DV’[i](n)+G2[i]×(DV’[i](n)-DV’[i](n-1)) …(5)
式(5)は、ファジィ推論を用いて導出されたものである。この導出方法については後述する。さらに、ファジィ制御部f[i]は、下記式(6)で示すように、上記式(5)により算出された補正量C[i]を設定温度SV[i]に加算することにより、補正済設定温度SP[i]を算出する。
【0055】
SP[i]=SV[i]+C[i] …(6)
このようにして、ファジィ制御部f[i]において、補正済設定温度SP[i]が算出され、出力される。
【0056】
4.ファジィ推論を用いた補正量C[i]の導出方法
高温(設定温度SV1~SV6)で保持された
図1の熱処理プレート10上に低温の基板Wが載置されると、第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6が設定温度SV1~SV6から低下する。そのため、熱処理プレート10上に基板Wが載置された直後には、第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6を設定温度SV1~SV6まで上昇させる必要がある。
【0057】
設定温度SV1~SV6は、1枚の基板Wの全体に均一な熱処理を行うために例えば共通の値に設定される。この場合、一時的に低下した第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6を設定温度SV1~SV6まで上昇させる間に、現在温度PV1~PV6の間に大きなばらつきが生じると、そのばらつきにより基板Wの熱処理の精度が低下する。また、一時的に低下した第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6を設定温度SV1~SV6まで上昇させる期間が長いと、熱処理装置100における基板Wの熱処理のスループットが低下する。
【0058】
そこで、本発明者は、ファジィ推論を用いた補正量C[i]の導出方法を案出した。具体的には、本発明者は、複数のゾーンの昇温中の温度のばらつきを低減するために、前件部1として誤差量DV’[i]を用いたメンバシップ関数を定義した。
【0059】
図4は、前件部1のメンバシップ関数の一例を示す図である。
図4において、P1は誤差量DV’[i]が高いという度合いを示す適合度であり、N1は誤差量DV’[i]が低いという度合いを示す適合度である。ここで、
図4の横軸に示されるE1を誤差量DV’[i]とすると、適合度P1,N1は、下記式(7),(8)でそれぞれ表される。式(7),(8)において、T1は任意の定数である。
【0060】
P1={1/(2×T1)}×E1+0.5 …(7)
N1={-1/(2×T1)}×E1+0.5 …(8)
上記式(7),(8)によれば、下記式(9)が成り立つ。
【0061】
P1+N1=1 …(9)
また、本発明者は、熱処理の開始後、現在温度PV[i]が設定温度SV[i]まで上昇する期間を短くするために、前件部2として誤差量DV’[i]の変化の微分値d(DV’[i])/dtを用いたメンバシップ関数を定義した。微分値d(DV’[i])/dtは、式(5)の(DV’[i](n)-DV’[i](n-1))に相当し、ヒータh[i]の現在温度PV[i]が設定温度SV[i]に近づくときの温度変化の速度を表す。
【0062】
図5は、前件部2のメンバシップ関数の一例を示す図である。
図5において、P2は微分値d(DV’[i])/dtが高いという度合いを示す適合度であり、N2は微分値d(DV’[i])/dtが低いという度合いを示す適合度である。ここで、
図5の横軸に示されるE2を微分値d(DV’[i])/dtとすると、適合度P2,N2は、下記式(10),(11)でそれぞれ表される。式(10),(11)において、T2は任意の定数である。
【0063】
P2={1/(2×T2)}×E2+0.5 …(10)
N2={-1/(2×T2)}×E2+0.5 …(11)
上記式(10),(11)によれば、下記式(12)が成り立つ。
【0064】
P2+N2=1 …(12)
さらに、本発明者は、前件部1および前件部2にそれぞれ対応するファジィ推論の後件部1および後件部2のメンバシップ関数を定義した。以下の説明では、前件部1および前件部2の番号を表す変数として適宜jを用いる。すなわち、以下の説明では、j=1,2である。
【0065】
図6は、後件部1および後件部2のメンバシップ関数の一例を示す図である。
図6においては、w[j]は前件部[j]の適合度P[j]であり、w’ [j]は前件部[j]の適合度N[j]である。ここで、
図6の横軸に示されるU[j]は、前件部[j]の適合度P[j],N[j]に対する推論結果であり、前件部[j]の適合度P[j],N[j]に対応する補正量を表すものとする。この場合、適合度w[j],w’ [j]は、下記式(13),(14)でそれぞれ表される。式(13),(14)において、m[j]は任意の定数である。
【0066】
w[j]={1/(2×m[j])}×U[j]+0.5 …(13)
w’ [j]={1/(2×m[j])}×U[j]+0.5 …(14)
上記式(13),(14)によれば、下記式(15)が成り立つ。
【0067】
w[j]+w’ [j]=1 …(15)
また、上記式(9),(12),(15)によれば、前件部[j]の適合度P[i],N[i]に関して下記式(16),(17)が成り立つ。式(16)において、U1(P1)は適合度P1に対応する補正量であり、U2(N1)は適合度N1に対応する補正量である。式(17)において、U2(P2)は適合度P2に対応する補正量であり、U2(N2)は適合度N2に対応する補正量である。
【0068】
U1(P1)=U2(N1)=(m1/T1)×E1 …(16)
U2(P2)=U2(N2)=(m2/T2)×E2 …(17)
この場合、下記式(18)が成立する。
【0069】
w[j]=w’[j] …(18)
ここで、本発明者は、前件部1および前件部2に基づいて、最終的に求められるべき補正量C[i]を下記式(19)で定義した。式(19)において、G1[i]およびG2[i]は、上述のように予め定められた補正ゲインである。
【0070】
C[i]=G1[i]×U1+G2[i]×U2 …(19)
この場合、式(19)は、式(16),(17)を用いて下記式(20)で表すことができる。
【0071】
C[i]=G1[i]×{(m1/T1)×E1}+G2[i]×{(m2/T2)×E2} …(20)
また、式(20)においては、m1,T1,m2,T2は任意の定数である。そこで、G1[i]×(m1/T1)をG1とし、G2[i]×(m2/T2)をG2とすると、式(20)は、下記式(21)で表すことができる。
【0072】
C[i]=G1[i]×E1+G2[i]×E2 …(21)
式(21)について、E1を誤差量DV’とし、E2を微分値d(DV’[i])/dtとする。この場合、補正量C[i]は、下記式(22)で表すことができる。下記式(22)は、上記式(5)と同義である
C[i]=G1[i]×DV’[i]+G2[i]×d(DV’[i])/dt …(22)
上記式(5),(22)において、補正ゲインであるG1[i]およびG2[i]は、熱処理プレート10の各ゾーンおよび各ヒータの構造を考慮して、例えば実験またはシミュレーションを行うことにより定めることができる。
【0073】
5.シミュレーション
本発明者は、
図1の複数のヒータh1~h6の制御方法の違いによる第1~第6のゾーンの温度変化の差異を確認するために、第1、第2および第3のシミュレーションを行った。
【0074】
(1)シミュレーション方法
第1のシミュレーションでは、基板Wの熱処理が開始されてから一定期間の間、ヒータh1~h6のPID制御をそれぞれ独立して行った場合の第1~第6のゾーンの温度変化を取得した。第1のシミュレーションの制御方法は、
図2のヒータ制御部52から温度調整フィルタ部60が取り除かれた構成により行われる比較例1の制御方法である。
【0075】
第2のシミュレーションでは、基板Wの熱処理が開始されてから一定期間の間、複数の設定温度SV1~SV6について下記式(23)に基づく補正を行いつつヒータh1~h6のPID制御を行った場合の第1~第6のゾーンの温度変化を取得した。第2のシミュレーションの制御方法は、特許文献2に記載された制御方法に相当する比較例2の制御方法である。式(23)において、B[i]は任意の定数である。
【0076】
SP[i]=SVm+B[i]×(SV[i]-SVm)+(1-B[i])×(PV[i]-PVm) …(23)
第3のシミュレーションでは、基板Wの熱処理が開始されてから一定期間の間、
図2のヒータ制御部52によりヒータh1~h6が制御された場合の第1~第6のゾーンの温度変化を取得した。第3のシミュレーションの制御方法は、本発明に係る実施例の制御方法である。
【0077】
なお、第1~第3のシミュレーションにおいては、第1~第6のゾーンの設定温度SV1~SV6を共に100℃に設定した。
【0078】
(2)シミュレーション結果および評価
図7は第1のシミュレーション結果を示す図であり、
図8は第2のシミュレーション結果を示す図であり、
図9は第3のシミュレーション結果を示す図である。
図7~
図9では、縦軸が温度を表し、横軸が時間を表す。第1~第6のゾーンの温度変化が互いに異なる種類の線で示される。
【0079】
また、
図7~
図9において、横軸に示される時点t1は、基板Wの熱処理の開始時点、すなわち熱処理プレート10上に基板Wが載置された時点を表す。時点t2は、時点t1の経過後、第1~第6のゾーンの温度が設定温度SV1~SV6(本例では100℃)を基準とする微小な一定範囲内に安定して保持された時点を表す。以下の説明では、時点t1から時点t2までの時間を復帰時間と呼ぶ。
【0080】
本発明者は、第1~第3のシミュレーション結果から、比較例1、比較例2および実施例の制御方法に対応する復帰時間を求めた。その結果、比較例1、比較例2および実施例の制御方法に対応する復帰時間は、それぞれ20.59sec、19.74secおよび19.31secであった。
【0081】
また、本発明者は、第1~第3のシミュレーション結果から、復帰期間中の第1~第6のゾーンの温度変化のばらつきの程度を評価するために、差分最大値および差分平均値を求めた。第1~第3のシミュレーションにおける温度変化の取得は、ヒータh1~h6の現在温度PV1~PV6を微小周期でサンプリングすることにより行った。差分最大値は、復帰期間において現在温度PV1~PV6のサンプリング毎に現在温度PV1~PV6の最大値および最小値の差分を算出した場合の全ての差分の最大値である。差分平均値は、復帰期間において現在温度PV1~PV6のサンプリング毎に現在温度PV1~PV6の最大値および最小値の差分を算出した場合の全ての差分の平均値である。
【0082】
その結果、比較例1の制御方法に対応する差分最大値および差分平均値は、それぞれ0.50および0.17であった。比較例2の制御方法に対応する差分最大値および差分平均値は、それぞれ0.30および0.11であった。実施例の制御方法に対応する差分最大値および差分平均値は、それぞれ0.30および0.09であった。
【0083】
上記の第1~第3のシミュレーション結果に対応して求められた復帰時間、差分最大値および差分平均値の一覧を下記表1に示す。
【0084】
【0085】
表1に示されるように、実施例に係る復帰時間は、比較例1,2に係る復帰時間に比べて短い。したがって、実施例の制御方法を用いる場合には、比較例1および比較例2の制御方法を用いる場合に比べて基板Wの熱処理が時点t1から短時間で安定することがわかる。
【0086】
また、表1に示されるように、比較例2および実施例に係る差分最大値は比較例1に係る差分最大値に比べて小さい。さらに、実施例に係る差分平均値は比較例1,2に係る差分平均値に比べて小さい。これらの結果、実施例の制御方法を用いる場合には、比較例1および比較例2の制御方法を用いる場合に比べて復帰時間中に基板Wの複数の部分に施される熱処理の程度が均一に保たれることがわかる。
【0087】
6.効果
図1の熱処理装置100においては、第1~第6のゾーンにそれぞれ設定された設定温度SV1~SV6の代表値が第1の基準値SVmとして算出される。設定温度SV1~SV6と第1の基準値SVmとの差が相対量SR1~SR6としてそれぞれ算出される。第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6がそれぞれ検出され、現在温度PV1~PV6の代表値が第2の基準値PVmとして算出される。現在温度PV1~PV6と第2の基準値PVmとの差が追従量PF1~PF6としてそれぞれ算出される。
【0088】
また、第1~第6のゾーンの各々について、相対量SR1~SR6と追従量PF1~PF6との差が誤差量DV’1~DV’6として算出される。さらに、第1~第6のゾーンの各々について、誤差量DV’1~DV’6の変化における微分値d(DV’1)/dt~d(DV’6)/dtと誤差量DV’1~DV’6とに基づいて設定温度SV1~SV6の補正が行われる。補正済設定温度SP1~SP6に基づいてヒータh1~h6のPID制御がそれぞれ行われる。
【0089】
ここで、微分値d(DV’1)/dt~d(DV’6)/dtの各々は、各ゾーンの現在温度が設定温度に近づくときの温度変化の速度を表す。また、微分値d(DV’1)/dt~d(DV’6)/dtの各々は、第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6が均一な速度で設定温度SV1~SV6にそれぞれ近づくために各ゾーンにおいて調整されるべき温度変化の速度を表す。
【0090】
上記の構成によれば、補正量C1~C6が微分値d(DV’1)/dt~d(DV’6)/dtに基づいて算出されるので、現在温度PV1~PV6が均一な速度で設定温度SV1~SV6に近づくようにPID制御が行われる。それにより、熱処理の開始後、第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6が設定温度SV1~SV6に到達して安定化するまでの復帰時間が短くなる。
【0091】
また、誤差量DV’1~DV’6の各々は、第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6の相対的な関係を設定温度SV1~SV6の相対的な関係に一致させるために各ゾーンにおいて調整されるべき温度を表す。上記の構成によれば、補正量C1~C6が誤差量DV’1~誤差量DV’6に基づいて算出されるので、現在温度PV1~PV6の相対的な関係が、設定温度SV1~SV6の相対的な関係で維持されるようにPID制御が行われる。
【0092】
これらの結果、第1~第6のゾーンの温度が複数の設定温度SV1~SV6から外れる場合でも、現在温度PV1~PV6が複数の設定温度SV1~SV6の相対的な関係で維持されつつ迅速に複数の設定温度SV1~SV6に近づく。したがって、第1~第6のゾーンによる基板Wの熱処理を高い精度かつ短時間で行うことが可能になる。
【0093】
7.
図1の熱処理装置100を備える基板処理装置
図10は、
図1の熱処理装置100を備える基板処理装置の一例を示す模式的ブロック図である。
図10に示すように、基板処理装置400は、露光装置500に隣接して設けられ、制御部410、塗布処理部420、現像処理部430、熱処理部440および基板搬送装置450を備える。熱処理部440は、基板Wに加熱処理を行う複数の
図1の熱処理装置100と、基板Wに冷却処理のみを行う複数のクーリングプレート(図示せず)とを含む。
【0094】
制御部410は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、塗布処理部420、現像処理部430、熱処理部440および基板搬送装置450の動作を制御する。
【0095】
基板搬送装置450は、基板処理装置400による基板Wの処理時に、基板Wを塗布処理部420、現像処理部430、熱処理部440および露光装置500の間で搬送する。
【0096】
塗布処理部420は、未処理の基板Wの一面上にレジスト膜を形成する(塗布処理)。レジスト膜が形成された塗布処理後の基板Wには、露光装置500において露光処理が行われる。現像処理部430は、露光装置500による露光処理後の基板Wに現像液を供給することにより、基板Wの現像処理を行う。熱処理部440は、塗布処理部420による塗布処理、現像処理部430による現像処理、および露光装置500による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。それにより、基板処理装置400における各種処理後の基板Wには、微細なパターンを有するレジスト膜が形成される。
【0097】
なお、塗布処理部420は、基板Wに反射防止膜を形成してもよい。この場合、熱処理部440には、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行うための処理ユニットが設けられてもよい。また、塗布処理部420は、基板W上に形成されたレジスト膜を保護するためのレジストカバー膜を基板Wに形成してもよい。
【0098】
上記のように、熱処理装置100においては、第1~第6のゾーンによる基板Wの熱処理を高い精度かつ短時間で行うことが可能である。したがって、
図10の基板処理装置400によれば、多数の基板Wを高い精度で効率よく処理することが可能になる。
【0099】
8.他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、ヒータ制御部52により制御される複数のヒータh1~h6が一の熱処理プレート10に設定された第1~第6のゾーンを加熱するが、本発明はこれに限定されない。
【0100】
複数のヒータh1~h6の各々は、一の熱処理プレートの全体を加熱するように構成されてもよい。この場合、熱処理装置100が複数の基板Wを同時に熱処理可能な複数(例えば6個)の熱処理プレート10を設けるとともに、複数の熱処理プレート10にそれぞれヒータh1~h6を設ける。それにより、複数の熱処理プレート10を用いて複数の基板Wに均一な処理を行うことが可能になる。
【0101】
(2)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、相対量SR1~SR6を算出するための代表値である第1の基準値SVmが加重平均の式により定義されるが、本発明はこれに限定されない。第1の基準値SVmは、相対量SR1~SR6の中央値であってもよいし、相対量SR1~SR6の最小値または最大値であってもよい。
【0102】
(3)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、第2の基準値PVmは加重平均の式により定義されるが、本発明はこれに限定されない。第2の基準値PVmは、追従量PF1~PF6の中央値であってもよいし、追従量PF1~PF6の最小値または最大値であってもよい。
【0103】
(4)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、補正量C[i]は、誤差量DV’[i]を用いた前件部1から算出される値と、微分値d(DV’[i])/dtを用いた前件部2から算出される値とを加算することにより算出されるが、本発明はこれに限定されない。補正量C[i]は、上記の前件部1,2から算出される値に加えて、他の要素を考慮した新たな前件部から算出される値を用いることにより算出されてもよい。
【0104】
(5)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、設定温度SV1~SV6は、1枚の基板Wの全体に均一な熱処理を行うために共通の値に設定されるが、本発明はこれに限定されない。設定温度SV1~SV6は、少なくとも一部の設定温度が他の設定温度とは異なる温度に設定されてもよい。
【0105】
(6)上記実施の形態に係る熱処理装置100においては、熱処理プレート10の上面が6個のゾーンに分割されているが、本発明はこれに限定されない。熱処理プレート10の上面は、複数のゾーンに分割されていればよく、2個のゾーンに分割されてもよいし、8個のゾーンに分割されてもよい。この場合、熱処理プレート10には、分割されたゾーンをそれぞれ加熱するためのヒータが設けられる。
【0106】
(7)上記実施の形態においては、熱処理装置100は、基板Wに対して加熱処理を行うが、熱処理装置100は基板Wに対して冷却処理のみを行うように構成されてもよい。この場合、
図1の熱処理プレート10には、例えばヒータh1~h6に代えて熱処理プレート10の上面の温度を低下させるための冷却機構21が設けられる。
【0107】
基板Wに冷却処理が行われる場合、熱処理プレート10は、初期状態で基板Wよりも低い設定温度で保持される。そのため、冷却処理の開始時に熱処理プレート10上に基板Wが載置されると、熱処理プレート10の温度は基板Wの熱を受けて設定温度から上昇する。
【0108】
冷却機構21がペルチェ素子で構成される場合、ペルチェ素子を上記実施の形態の例と同様に制御することにより熱処理プレート10上の第1~第6のゾーンの現在温度PV1~PV6を調整することができる。
【0109】
(8)上記実施の形態においては、熱処理プレート10を加熱する構成および冷却する構成を有する熱処理装置100について説明したが、本発明はこれに限定されない。熱処理装置100は、熱処理プレート10を冷却する構成(上記の例では、能動冷却プレート20、受動冷却プレート30および昇降装置40)を有さなくてもよい。
【0110】
9.請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、熱処理装置100が熱処理装置の例であり、熱処理プレート10の第1~第6のゾーンおよびヒータh1~h6が複数の熱処理部の例であり、相対量算出部61が相対量算出部の例であり、温度センサs1~s6が検出部の例であり、追従量算出部62が追従量算出部の例であり、誤差量算出部63が誤差量算出部の例であり、ファジィ制御部f1~f6が補正部の例であり、PID制御部c1~c6がPID制御部の例である。
【0111】
また、設定温度SV1~SV6が複数の設定温度の例であり、第1の基準値SVmが第1の基準値の例であり、相対量SR1~SR6が複数の相対量の例であり、現在温度PV1~PV6が複数の現在温度の例であり、第2の基準値PVmが第2の基準値の例であり、追従量PF1~PF6が複数の追従量の例であり、誤差量DV’[i]が誤差量の例であり、微分値d(DV’ [i])/dtが微分値の例であり、補正量C[i]が補正量の例である。
【0112】
また、補正ゲインG1[i](G11~G16)が第1の係数の例であり、式(22)におけるG1[i]×DV’[i]が第1の積の例であり、補正ゲインG2[i](G21~G26)が第2の係数の例であり、式(22)におけるG2[i]×d(DV’[i])/dtが第2の積の例であり、熱処理プレート10がプレート部材の例であり、熱処理プレート10の上面の第1~第6のゾーンが載置面の複数の領域の例である。
【0113】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0114】
10…熱処理プレート,h1~h6…ヒータ,20…能動冷却プレート,21…冷却機構,22…冷却駆動部,30…受動冷却プレート,40…昇降装置,41…昇降駆動部,50…制御装置,52…ヒータ制御部,53…冷却制御部,54…昇降制御部,55…温度取得部,60…温度調整フィルタ部,61…相対量算出部,62…追従量算出部,63…誤差量算出部,90…操作部,100…熱処理装置,400…基板処理装置,410…制御部,420…塗布処理部,430…現像処理部,440…熱処理部,450…基板搬送装置,500…露光装置,c1~c6…PID制御部,d1~d6…ヒータ駆動部,f1~f6…ファジィ制御部,s1~s6…温度センサ,W…基板