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▶ 株式会社安川電機の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】搬送ロボットおよび搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240222BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J17/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020094537
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021190558
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大仁 健輔
(72)【発明者】
【氏名】野口 忠隆
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-028469(JP,A)
【文献】特開平04-336412(JP,A)
【文献】特開2003-259597(JP,A)
【文献】特開2017-048819(JP,A)
【文献】特開2000-260850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送するアーム部と、
前記アーム部を支持する本体部と、
前記本体部を取付対象に固定するフランジ部と
を備え、
前記フランジ部は、
前記本体部に固定される第1フランジと、
前記第1フランジに脱着可能であって前記取付対象に固定可能な第2フランジと
を備え、
前記第1フランジは、
外周側の上面に切り欠きが設けられており、
前記第2フランジは、
高さ方向の少なくとも一部が前記切り欠きに固定されること
を特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
前記取付対象は、
減圧雰囲気の搬送室における外壁であり、
前記フランジ部は、
前記第1フランジと前記第2フランジとの間に設けられる環状の第1シール部材と、
前記第2フランジと前記外壁との間に設けられる環状の第2シール部材と
を備え、
前記本体部は、
前記外壁の貫通孔から前記搬送室の室外へ突出し、
前記アーム部は、
前記搬送室の室内で前記基板を搬送すること
を特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記第1フランジおよび前記本体部は、
前記貫通孔よりも小さく、
前記第2フランジは、
前記貫通孔よりも大きいこと
を特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記第1シール部材の環状内側にあって、前記第2フランジ側から前記第2フランジを前記第1フランジへ締結する第1締結具
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記第1シール部材の環状外側にあって、前記第1フランジ側から前記第2フランジを前記第1フランジへ締結する第1締結具
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記第2シール部材の環状内側にあって、前記外壁側から前記第2フランジを前記外壁へ締結する第2締結具
を備えることを特徴とする請求項2~5のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記第2シール部材の環状外側にあって、前記第2フランジ側から前記第2フランジを前記外壁へ締結する第2締結具
を備えることを特徴とする請求項2~5のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項8】
前記第1シール部材および前記第2シール部材は、
前記第1フランジおよび前記第2フランジの少なくとも一方に設けられる溝部に固定されること
を特徴とする請求項2~7のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項9】
前記取付対象は、
前記外壁の1つである床壁であり、
前記第1フランジは、
上面に前記第1シール部材を固定する前記溝部を有し、
前記第2フランジは、
上面に前記第2シール部材を固定する前記溝部を有すること
を特徴とする請求項8に記載の搬送ロボット。
【請求項10】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の少なくとも一方は、
Oリング形状のフッ素ゴムであること
を特徴とする請求項2~9のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一つに記載の搬送ロボットと、
減圧雰囲気の搬送室と
を備えることを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、搬送ロボットおよび搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、減圧雰囲気化された搬送室内に配置され、搬送室に連結された処理室に対して基板を搬送する搬送ロボットが知られている。
【0003】
また、搬送室の気密性を確保するためのフランジを有する搬送ロボットを、搬送室に固定する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-017645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術には、搬送ロボットのコストダウンを図る観点からは改善の余地がある。たとえば、搬送ロボットを取り付けるために搬送室の床面を貫通する取付孔のサイズや、搬送ロボットの取り付け方は搬送室の形状や仕様に依存する。
【0006】
したがって、搬送ロボットを、様々な搬送室に対応させようとすると搬送室の形状や仕様に応じてフランジの設計変更が必要となり、搬送ロボットの製造コストが上昇する。
【0007】
実施形態の一態様は、コストダウンを図ることができる搬送ロボットおよび搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る搬送ロボットは、アーム部と、本体部と、フランジ部とを備える。アーム部は、基板を搬送する。本体部は、前記アーム部を支持する。フランジ部は、前記本体部を取付対象に固定する。また、フランジ部は、第1フランジと、第2フランジとを備える。第1フランジは、前記本体部に固定される。第2フランジは、前記第1フランジに脱着可能であって前記取付対象に固定可能である。前記第1フランジは、外周側の上面に切り欠きが設けられており、前記第2フランジは、高さ方向の少なくとも一部が前記切り欠きに固定される。
【0009】
実施形態の一態様に係る搬送システムは、上記した搬送ロボットと、減圧雰囲気の搬送室とを備える。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、コストダウンを図ることができる搬送ロボットおよび搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る搬送システムの概要を示す側面模式図である。
図2図2は、搬送ロボットの斜視図である。
図3図3は、搬送ロボットの上面模式図である。
図4A図4Aは、第1シール部材および第2シール部材の配置例を示す側面模式図である。
図4B図4Bは、第1シール部材および第2シール部材の配置例を示す上面模式図である。
図5A図5Aは、第1締結具の配置例その1を示す側面模式図である。
図5B図5Bは、第1締結具の配置例その2を示す側面模式図である。
図6A図6Aは、第2締結具の配置例その1を示す側面模式図である。
図6B図6Bは、第2締結具の配置例その2を示す側面模式図である。
図7A図7Aは、第1フランジおよび第2フランジにおける溝部の配置例その1を示す側面模式図である。
図7B図7Bは、第1フランジおよび第2フランジにおける溝部の配置例その2を示す側面模式図である。
図7C図7Cは、第1フランジおよび第2フランジにおける溝部の配置例その3を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する搬送ロボットおよび搬送システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下に示す実施形態では、「直交」、あるいは「鉛直」といった表現を用いるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0014】
まず、実施形態に係る搬送システム1の概要について図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る搬送システム1の概要を示す側面模式図である。なお、図1は、搬送システム1を側方からみた模式図に相当する。また、図1には、説明をわかりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0015】
図1に示すように、搬送システム1は、室内が減圧雰囲気の搬送室100と、基板Wを搬送する搬送ロボット10とを備える。また、搬送ロボット10は、基板Wを搬送するアーム部20と、アーム部20を支持する本体部30と、本体部30を「取付対象」に固定するフランジ部40とを備える。
【0016】
なお、図1では、搬送ロボット10の取付対象が搬送室100である場合を示したが、搬送ロボット10の取付対象は搬送室100に限られない。たとえば、取付対象を大気圧の部屋における床や壁などにすることとしてもよい。また、図1では、一例として、搬送ロボット10の本体部30が搬送室100の外壁101の貫通孔101hから搬送室100の室外へ突出し、アーム部20が搬送室100の室内で基板Wを搬送する場合を示した。しかしながら、これに限らず、搬送ロボット10の全体を搬送室100の室内に配置したり、搬送室100の室外に配置したりすることとしてもよい。
【0017】
ここで、搬送ロボット10は、フランジ部40を分割式としたので、製造コストの上昇を抑制しつつ、様々な形状や仕様の取付対象へ取り付けることができる。具体的には、フランジ部40は、本体部30に固定される第1フランジ41と、第1フランジ41に脱着可能な第2フランジ42とを備える。また、第2フランジ42は、取付対象(図1では搬送室100の外壁101)に固定可能である。
【0018】
したがって、搬送ロボット10によれば、第2フランジ42の形状を変更するだけで、様々な形状や仕様の取付対象に取り付けることができる。つまり、第2フランジ42は、フランジ部40の形状を取付対象に適合させる「アダプタフランジ」であるということがいえる。
【0019】
なお、図1には、アーム部20側が本体部30側よりも縮径された円筒状の第1フランジ41と、第1フランジ41の縮径された外周部分に内周が嵌る中空円筒状の第2フランジ42とを示した。そして、第1フランジ41および第2フランジ42のアーム部20側の面が面一である場合を示した。
【0020】
しかしながら、これに限らず、第1フランジ41を縮径させずに、第1フランジ41のアーム部20側の面に第2フランジ42を設けることとしてもよい。また、第1フランジ41および第2フランジ42のアーム部20側の面を揃えなくてもよい。
【0021】
なお、搬送ロボット10は、減圧雰囲気の室内の気密性を保つシール部材を備えることとしてもよいが、この点については、図4A等を用いて後述することとする。また、搬送ロボット10は、フランジ部40にシール部材を固定する溝部を備えることとしてもよいが、この点については、図7A等を用いて後述することとする。
【0022】
また、図1では記載を省略しているが、一般的に搬送室100の外側には、処理室やロードロック室が設けられる。ここで、処理室とは、減圧雰囲気にて基板Wに対する処理を行う部屋のことを指す。また、ロードロック室とは、大気圧と減圧雰囲気との間で内圧を変更可能な部屋であり、搬送室100における基板Wの出入口に相当する。
【0023】
なお、処理室が基板Wに対して行う処理としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの成膜処理や、エッチング処理などがある。また、一般的に減圧雰囲気の環境を「真空」と呼ぶ場合もある。また、搬送ロボット10は、搬送室100の外壁101に設けられる開口を介して基板Wを処理室やロードロック室との間で搬送する。
【0024】
次に、搬送ロボット10の構成例について図2を用いて説明する。図2は、搬送ロボット10の斜視図である。なお、図2は、搬送ロボット10を斜め上方からみた斜視図に相当する。また、図2には、いわゆる単腕の搬送ロボット10を示したが、搬送ロボット10を双腕としたり、3つ以上の腕を有する搬送ロボット10としたりすることとしてもよい。
【0025】
すなわち、搬送ロボット10が、第1フランジ41および第2フランジ42を有するフランジ部40を備えてさえいれば、アーム部20の構成は問わない。また、図2には、本体部30およびフランジ部40が円筒状である場合を示したが、直方体状など他の形状であってもよい。つまり、上面視における本体部30およびフランジ部40の形状は、矩形状であってもよく、多角形状であってもよい。また、円状であってもよく、楕円状であってもよい。
【0026】
図2に示すように、搬送ロボット10のアーム部20は、第1アーム11と、第2アーム12と、ハンド13とを備える。また、アーム部20は、スライド軸A0に沿ってスライドする。なお、図2に示した場合では、アーム部20は、Z軸に沿って昇降する。
【0027】
第1アーム11は、第1旋回軸A1まわりに旋回可能に基端側を本体部30によって支持される。第2アーム12は、第2旋回軸A2まわりに旋回可能に基端側を第1アーム11によって支持される。ハンド13は、第3旋回軸A3まわりに旋回可能に基端側を第2アーム12によって支持される。なお、ハンド13は、上面視において、先端側が二股に分かれたフォーク状であり、上面側で図1に示した基板Wを支持する。
【0028】
なお、第1フランジ41は、本体部30に固定されているため、搬送ロボット10に対して着脱不可であるが、第2フランジ42およびアーム部20は着脱可能である。たとえば、図1に示した搬送室100に搬送ロボット10を取り付ける場合には、第1フランジ41に第2フランジ42を取り付けた搬送ロボット10を搬送室100に固定する。そして、搬送室100に固定された本体部30に対してアーム部20を取り付ける。なお、図2には、スライド軸A0と第1旋回軸A1とが同軸である場合を示したが、両軸がシフトしていてもよい。
【0029】
次に、図1に示した搬送室100における外壁101の貫通孔101hと、搬送ロボット10における各構成要素との大小関係について図3を用いて説明する。図3は、搬送ロボット10の上面模式図である。なお、図3は、搬送室100の室内上方から搬送ロボット10をみた図に相当する。
【0030】
図3に示すように、本体部30の外径および第1フランジ41の外径は、貫通孔101hの直径よりも小さい。一方、第2フランジ42の外径は、貫通孔101hの直径よりも大きい。
【0031】
なお、上面視における本体部30、第1フランジ41、第2フランジ42および貫通孔101hの形状が矩形状等である場合には、第1フランジ41および本体部30は、貫通孔101hを通過する程度に貫通孔101hよりも小さければよい。また、第2フランジ42は、貫通孔101hを通過しない程度に貫通孔101hよりも大きければよい。
【0032】
ところで、図1に示した搬送室100に搬送ロボット10を固定する場合には、搬送室100の室内側から貫通孔101h経由で本体部30を室外へ突出させ、第2フランジ42を外壁101に当接させればよい。つまり、搬送ロボット10は、第2フランジ42を介して外壁101に支持されることになる。
【0033】
なお、図3には、第1フランジ41の外径が貫通孔101hの直径よりも小さい場合を示したが、第1フランジ41の外径を貫通孔101hの直径よりも大きくすることとしてもよい。つまり、搬送ロボット10が第2フランジ42を介して外壁101に支持されるのであれば、第1フランジ41の外径を貫通孔101hの直径よりも大きくしても構わない。
【0034】
次に、搬送ロボット10が、減圧雰囲気の室内の気密性を保つシール部材を備える場合について図4Aおよび図4Bを用いて説明する。図4Aは、第1シール部材45および第2シール部材46の配置例を示す側面模式図である。また、図4Bは、第1シール部材45および第2シール部材46の配置例を示す上面模式図である。なお、図4Aおよび図4Bでは、搬送ロボット10のアーム部20(図2等参照)の記載を省略している。
【0035】
まず、側面視におけるシール部材の断面形状について説明する。図4Aに示すように、第1シール部材45は、第1フランジ41と、第2フランジ42との間に設けられ、第1フランジ41と第2フランジ42との間から搬送室100の室内に気体が入ることを防止する。
【0036】
つまり、第1シール部材45は、第1フランジ41と第2フランジ42との間の気密性を確保する。ここで、第1シール部材45としては、Oリング形状のフッ素ゴムや、メタルOリングを用いることができる。
【0037】
また、図4Aに示したように、第2シール部材46は、第2フランジ42と、搬送ロボット10の取付対象である搬送室100の外壁101との間に設けられ、第2フランジ42と外壁101との間から搬送室100の室内に気体が入ることを防止する。
【0038】
つまり、第2シール部材46は、第2フランジ42と外壁101との間の気密性を確保する。ここで、第2シール部材46としては、第1シール部材45と同様の素材を用いることができる。なお、第1シール部材45と第2シール部材46とを異なる素材としてもよい。
【0039】
また、図4Aに示したように、搬送ロボット10の本体部30は、搬送室100における外壁101の貫通孔101hから搬送室100の室外へ突出している。なお、図4Aにおいて図示を省略したアーム部20(図1参照)は、搬送室100の室内で基板Wを搬送する。
【0040】
このように、搬送ロボット10の一部が減圧雰囲気の搬送室100の室内にあり、一部が室外にある場合には、搬送室100の気密性を保つために、図4Aに示したシール部材(第1シール部材45および第2シール部材46)を用いることが好ましい。
【0041】
次に、上面視におけるシール部材の形状について説明する。図4Bに示すように、第1シール部材45および第2シール部材46は、ともに環状である。なお、図4Bでは、各シール部材が環状に連続していることを示すために、本来なら第2フランジ42の背後に隠れる第1シール部材45および第2シール部材46を実線で示している。また、図4Bでは、アーム部20(図1参照)が接続されるシャフト等の本体部30側の機構の図示を省略している。
【0042】
また、図4Bには、円環状の第1シール部材45および第2シール部材46を示したが、本体部30やフランジ部40の上面視の形状を矩形状等とする場合には、第1シール部材45および第2シール部材46を、矩形状の環状部材とすることとしてもよい。つまり、第1シール部材45および第2シール部材46は、環状となっていれば円環状であることを要しない。
【0043】
なお、図4Bでは、搬送ロボット10における本体部30の外形(周面)が第1シール部材45の背後にある場合を示したが、第1シール部材45の内径や外径と、本体部30の外形との大小関係を限定するものではない。
【0044】
次に、第1フランジ41と第2フランジ42とを締結する締結具の配置例について図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図5Aおよび図5Bは、第1締結具51の配置例その1およびその2を示す側面模式図である。なお、本実施形態では、第1フランジ41と第2フランジ42とを締結する締結具のことを「第1締結具51」と呼ぶこととする。
【0045】
図5Aは、第2フランジ42側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合に対応しており、図5Bは、第1フランジ41側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合に対応している。なお、図5Aおよび図5Bでは、図1等に示した搬送室100や、アーム部20の記載を省略している。
【0046】
まず、第2フランジ42側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合について説明する。図5Aに示すように、第1締結具51は、第1シール部材45の「環状内側」にあり、第2フランジ42側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する。ここで、「環状内側」とは、円環状である第1シール部材45の内径側を指す。
【0047】
なお、第1締結具51としては、たとえば、ボルトやネジを用いることができる。また、第2フランジ42には第1締結具51が貫通する貫通孔が、第1フランジ41には第1締結具51を貫通させずに締結する非貫通孔が、それぞれ設けられる。
【0048】
このように、第2フランジ42側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合には、第1締結具51は、第1シール部材45の環状内側に設けられる。このようにすることで、第2フランジ42の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる。また、第1フランジ41と第2フランジ42との間を通過する気体の流れは、第1シール部材45で止めることができる。なお、第1フランジ41の非貫通孔は、そもそも貫通していないので気体の流れは生じない。
【0049】
次に、第1フランジ41側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合について説明する。図5Bに示すように、第1締結具51は、第1シール部材45の「環状外側」にあり、第1フランジ41側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する。
【0050】
ここで、「環状外側」とは、円環状である第1シール部材45の外径側を指す。なお、第2フランジ42には第1締結具51を貫通させずに締結する非貫通孔が、第1フランジ41には第1締結具51を貫通させる貫通孔が、それぞれ設けられる。
【0051】
このように、第1フランジ41側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する場合には、第1締結具51は、第1シール部材45の環状外側に設けられる。このようにすることで、第1フランジ41の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる。また、第1フランジ41と第2フランジ42との間を通過する気体の流れは、第1シール部材45で止めることができる。なお、第2フランジ42の非貫通孔は、そもそも貫通していないので気体の流れは生じない。
【0052】
また、図5Aおよび図5Bに示したように、第1フランジ41や第2フランジ42の端面にザグリ等を設けることで、第1締結具51の頭部が第1フランジ41や第2フランジ42の端面から突出しないようにしている。なお、第1締結具51の頭部が第1フランジ41や第2フランジ42の端面から突出するようにしてもよい。
【0053】
また、第1締結具51は、上面視における第1フランジ41や第2フランジ42の同一円周上に、たとえば、等間隔で複数設けられる。たとえば、中心角の60度ごとに6つの第1締結具51を設けることとしてもよいし、90度ごとに4つの第1締結具51を設けることとしてもよい。
【0054】
次に、第2フランジ42と、取付対象である搬送室100の外壁101とを締結する締結具の配置例について図6Aおよび図6Bを用いて説明する。図6Aおよび図6Bは、第2締結具52の配置例その1およびその2を示す側面模式図である。なお、本実施形態では、第2フランジ42と取付対象とを締結する締結具のことを「第2締結具52」と呼ぶこととする。
【0055】
図6Aは、外壁101側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合に対応しており、図6Bは、第2フランジ42側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合に対応している。なお、図6Aおよび図6Bでは、図1等に示したアーム部20の記載を省略している。また、図6Aおよび図6Bでは、図5Aに示した第1締結具51の配置との組み合わせを示しているが、図5Bに示した第1締結具51の配置と組み合わせることとしてもよい。
【0056】
まず、外壁101側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合について説明する。図6Aに示すように、第2締結具52は、第2シール部材46の「環状内側」にあり、外壁101側から第2フランジ42を外壁101へ締結する。ここで、「環状内側」とは、円環状である第2シール部材46の内径側を指す。
【0057】
なお、第2締結具52としては、第1締結具51と同様に、ボルトやネジを用いることができる。また、外壁101には第2締結具52が貫通する貫通孔が、第2フランジ42には第2締結具52を貫通させずに締結する非貫通孔が、それぞれ設けられる。
【0058】
このように、外壁101側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合には、第2締結具52は、第2シール部材46の環状内側に設けられる。このようにすることで、外壁101の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる。また、第2フランジ42と外壁101との間を通過する気体の流れは、第2シール部材46で止めることができる。なお、第2フランジ42の非貫通孔は、そもそも貫通していないので気体の流れは生じない。
【0059】
次に、第2フランジ42側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合について説明する。図6Bに示すように、第2締結具52は、第2シール部材46の「環状外側」にあり、第2フランジ42側から第2フランジ42を外壁101へ締結する。
【0060】
ここで、「環状外側」とは、円環状である第2シール部材46の外径側を指す。なお、第2フランジ42には第2締結具52を貫通させる貫通孔が、外壁101には第2締結具52を貫通させずに締結する非貫通孔が、それぞれ設けられる。
【0061】
このように、第2フランジ42側から第2フランジ42を外壁101へ締結する場合には、第2締結具52は、第2シール部材46の環状外側に設けられる。このようにすることで、第2フランジ42の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる。また、第2フランジ42と外壁101との間を通過する気体の流れは、第2シール部材46で止めることができる。なお、外壁101の非貫通孔は、貫通していないのでそもそも気体の流れは生じない。
【0062】
なお、図6Aおよび図6Bでは、第2締結具52を模式的に示した点については図5Aおよび図5Bと同様である。また、上面視の第1フランジ41や第2フランジ42における第2締結具52の配置についても、図5Aおよび図5Bを用いて説明した内容と同様である。
【0063】
次に、図6Aに示した第1シール部材45および第2シール部材46を固定する溝部を、第1フランジ41や第2フランジ42に設ける場合について図7A図7Cを用いて説明する。図7A図7Cは、第1フランジ41および第2フランジ42における溝部の配置例その1~その3を示す側面模式図である。
【0064】
なお、図7Aは、図6Aに示した第1シール部材45および第2シール部材46に対応する溝部の配置例である。また、図7Bおよび図7Cは、第1フランジ41および第2フランジ42の配置変更を含めた溝部の配置に関するバリエーションである。
【0065】
図7Aに示すように、第1シール部材45は、第1フランジ41に設けられる溝部41gに固定される。また、第2シール部材46は、第2フランジ42に設けられる溝部42gに固定される。ここで、溝部41gおよび溝部42gは、断面視において表面側が底面側よりも狭まった台形状であり、第1シール部材45や第2シール部材46を押し込むことで、各シール部材を第1フランジ41および第2フランジ42が保持することができる。したがって、搬送ロボット10の組立作業や設置作業の効率性を向上させることができる。
【0066】
図7Aに示したように、第1シール部材45および第2シール部材46は、第1締結具51や第2締結具52によって第1フランジ41、第2フランジ42および外壁101が締結されることで、各溝部(溝部41gおよび溝部42g)の形状にならって変形する。そして、第1フランジ41と第2フランジ42との間の気密性、第2フランジ42と外壁101との間の気密性をそれぞれ保持する。
【0067】
なお、第2シール部材46は、搬送室100の外壁101によってではなく、第2フランジ42の溝部42gによって保持されるので、搬送室100の仕様に左右されずに第2フランジ42と外壁101との間の気密性を確保することができる。
【0068】
次に、第1フランジ41および第2フランジ42の配置変更を含めた溝部の配置に関するバリエーションについて説明する。図7Bに示したのは、第1フランジ41と、外壁101との間に第2フランジ42を配置した場合である。具体的には、図7Aに示した場合とは異なり、第2フランジ42は、第1フランジ41の下面側に配置される。また、第2フランジ42は、搬送室100の床壁に対応する外壁101の室内面101siに当接する。
【0069】
この場合、図7Bに示したように、第1シール部材45に対応する溝部および第2シール部材46に対応する溝部の双方を第2フランジ42に設けることができる。具体的には、第2フランジ42の上面側には、第1シール部材45に対応する溝部42g1が、下面側には、第2シール部材46に対応する溝部42g2が、それぞれ設けられている。
【0070】
ここで、図7Bに示した場合では、第1締結具51は、第1シール部材45の環状外側にあり、第1フランジ41側から第2フランジ42を第1フランジ41へ締結する。つまり、第1締結具51と第1シール部材45との位置関係は、図5Bに示した場合と同様であるが、第1締結具51の向きが逆向きとなっている。
【0071】
このように、第1フランジ41の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる点は、図7Aに示した場合と同様である。また、第1フランジ41と第2フランジ42との間を通過する気体の流れは、第1シール部材45で止めることができる。なお、外壁101の貫通孔を経由する気体の流れが第2シール部材46で止められる点は、図7Aに示した場合と同様である。
【0072】
図7Bに示したように、各溝部を第2フランジ42のみに設けることとしてもよい。つまり、第1シール部材45および第2シール部材46が、第1フランジ41および第2フランジ42の少なくとも一方に設けられる溝部に固定されることとしてもよい。これにより、第1フランジ41および第2フランジ42の少なくとも一方の加工作業を削減することができ、搬送ロボット10全体としてのコストダウンを図ることができる。
【0073】
図7Cに示したのは、第2フランジ42を外壁101の室外面101soに配置した場合である。なお、第1フランジ41と第2フランジ42との位置関係は図7Aに示した場合と同様である。
【0074】
この場合、図7Cに示したように、第1シール部材45に対応する溝部41gを第1フランジ41の上面側に、また、第2シール部材46に対応する溝部42gについても第2フランジ42の上面側に、それぞれ設けることができる。
【0075】
つまり、搬送ロボット10の取付対象は、搬送室100の外壁101の1つである床壁であり、第1フランジ41は、上面に第1シール部材45を固定する溝部41gを有する。また、第2フランジ42は、上面に第2シール部材46を固定する溝部42gを有する。
【0076】
このように、各溝部を第1フランジ41および第2フランジ42の上面にそれぞれ設けることで、第1シール部材45や第2シール部材46がより脱落しにくいので、搬送ロボット10の組立作業や設置作業の効率性をさらに向上させることができる。
【0077】
ここで、図7Cに示した場合では、第2締結具52は、第2シール部材46の環状外側にあり、第2フランジ42側から第2フランジ42を外壁101へ締結する。つまり、第2締結具52と第2シール部材46との位置関係は、図7Aに示した場合とは内外が逆になっている。また、第2締結具52の向きは、第2フランジ42から外壁101へ向かっているので、図7Aに示した場合と逆向きとなっている。なお、両図面では、いずれもZ軸正方向を向いているので図面上の向きは同じである。
【0078】
このように、第2フランジ42の貫通孔を経由して搬送室100の室内と室外とが連通する事態を防止することができる。また、第1フランジ41と第2フランジ42との間を通過する気体の流れは、第1シール部材45で止めることができ、第2フランジ42と外壁101との間を通過する気体の流れは、第2シール部材46で止めることができる。
【0079】
上述してきたように、実施形態に係る搬送ロボット10は、アーム部20と、本体部30と、フランジ部40とを備える。アーム部20は、基板Wを搬送する。本体部30は、アーム部20を支持する。フランジ部40は、本体部30を取付対象に固定する。また、フランジ部40は、第1フランジ41と、第2フランジ42とを備える。第1フランジ41は、本体部30に固定される。第2フランジ42は、第1フランジ41に脱着可能であって取付対象に固定可能である。
【0080】
このように、実施形態に係る搬送ロボットでは、フランジ部を分割式とし、取付対象の形状や仕様に合わせる場合には、第2フランジの設計変更のみで対応可能とした。したがって、非分割式のフランジ部とする場合よりも小さなコストで、様々な形状や仕様の取付対象に取り付けることができる搬送ロボットとすることができる。
【0081】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 搬送システム
10 搬送ロボット
11 第1アーム
12 第2アーム
13 ハンド
20 アーム部
30 本体部
40 フランジ部
41 第1フランジ
41g 溝部
42 第2フランジ
42g 溝部
45 第1シール部材
46 第2シール部材
51 第1締結具
52 第2締結具
100 搬送室
101 外壁
101si 室内面
101so 室外面
101h 貫通孔
A0 スライド軸
A1 第1旋回軸
A2 第2旋回軸
A3 第3旋回軸
W 基板
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C