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特許7441731情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20240222BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20240222BHJP
   E03F 5/22 20060101ALI20240222BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240222BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240222BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F04D15/00 D
E03F5/02
E03F5/22
F04D15/00 B
G05B23/02 301P
G09G5/00 510H
G09G5/373 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020094995
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189797
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛正
(72)【発明者】
【氏名】植田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩一
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-153491(JP,A)
【文献】特開2018-25922(JP,A)
【文献】特開平06-117886(JP,A)
【文献】特開2011-175437(JP,A)
【文献】特開2006-301910(JP,A)
【文献】特開2018-55150(JP,A)
【文献】特開2015-34513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
E03F 5/02
E03F 5/22
F04D 15/00
G09G 5/00
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ貯留槽に設けられ、前記貯留槽に貯留された水を排出するための複数の水中ポンプの運転日時、運転時間及び運転電流、並びに前記貯留槽の水位を含む運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記運転情報取得部が取得した運転情報に基づいて、前記複数の水中ポンプの運転状況を取得する運転状況取得部と、
前記複数の水中ポンプの運転状況の差異を導出する導出部と、
前記導出部が導出した前記差異または、前記運転状況に基づいて、前記水中ポンプの運転の度合を判定する判定部と、
前記差異及び前記判定部が判定した判定情報を含む一覧表と、前記運転状況及び前記判定部が判定した判定情報を含む一覧表とを含む画像情報を出力する第1出力部と
を備える情報処理装置
【請求項2】
記第1出力部が出力した前記画像情報における前記一覧表に含まれる前記判定情報の選択を受け付けた場合に、前記判定情報に係る運転状況を導出した時点を含む期間を拡大表示した、運転情報のトレンドグラフを含む画像情報を出力する第2出力部を備える
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像情報は、前記水中ポンプの使用者のコメントを入力する欄を含む
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1出力部は、期間に応じて、前記画像情報を出力する
請求項1からまでのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
記運転状況は、ポンプの運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、
駆動頻度、及び吐出量から選択される少なくとも2種を含む
請求項1からまでのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
同じ貯留槽に設けられ、前記貯留槽に貯留された水を排出するための複数の水中ポンプの運転日時、運転時間及び運転電流、並びに前記貯留槽の水位を含む運転情報を取得し、
取得した前記運転情報に基づいて、前記複数の水中ポンプの運転状況を取得し、
前記複数の水中ポンプの運転状況の差異、または、前記運転状況に基づいて、前記水中ポンプの運転の度合を判定し、
前記差異及び前記水中ポンプの運転の度合の判定にて判定した判定情報を含む一覧表と、前記運転状況及び前記判定情報を含む一覧表とを含む画像情報を出力する
情報処理方法。
【請求項7】
同じ貯留槽に設けられ、前記貯留槽に貯留された水を排出するための複数の水中ポンプの運転日時、運転時間及び運転電流、並びに前記貯留槽の水位を含む運転情報を取得し、
取得した前記運転情報に基づいて、前記複数の水中ポンプの運転状況を取得し、
前記複数の水中ポンプの運転状況の差異を導出し、
導出した前記差異または、前記運転状況に基づいて、前記水中ポンプの運転の度合を判定し、
前記差異及び前記水中ポンプの運転の度合の判定にて判定した判定情報を含む一覧表と、前記運転状況及び前記判定情報を含む一覧表とを含む画像情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の運転状況を表示する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アラーム等のイベントが発生した日時を記憶し、記憶したイベントの発生日時を時間軸の中心としてトレンドグラフを表示するプラント監視装置の発明が開示されている(例えば特許文献1等)。特許文献1のプラント監視装置によれば、アラーム発生時に関連する複数の運転情報の動向を迅速に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-102037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば汚水を貯留したマンホール等の貯留槽に設置される水中ポンプは、汚水の流入量の増加、異物混入、運転開始から停止までの時間設定の誤りや水位計の誤動作等による空気混入等により、運転の都度、非定常な稼働になることがある。異常の運転後、正常運転に復帰し、アラームが発生しない場合もあるが、水中ポンプに限らず経時的に機器の運転状況を監視し、トラブルの原因を把握する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、機器の運転状況を視認し、正常運転及び異常運転のいずれであるかを容易に判定することができる情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、複数の機器の運転状況を取得する第1取得部と、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出する導出部と、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する第1出力部とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、複数の機器の運転状況を取得し、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出し、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する。
【0008】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数の機器の運転状況を取得し、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出し、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の機器の運転状況を視認し、正常運転及び異常運転のいずれであるかを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す模式図である。
図2】制御装置及びマンホールポンプ装置の構成を示す斜視図である。
図3】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】装置DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図5】運転情報DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図6】一覧表DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図7】一覧表DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図8】学習モデルの構成を説明する説明図である。
図9】端末の構成を示すブロック図である。
図10】制御装置等の構成を示すブロック図である。
図11】情報処理システムが実行する判定の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】情報処理システムが実行する一覧表の表示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13】表示画像の一例を示す模式図である。
図14】表示画像の一例を示す模式図である。
図15】表示画像の一例を示す模式図である。
図16】グラフDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図17】一覧表DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図18】情報処理システムが実行するトレンドグラフの表示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19】表示画像の一例を示す模式図である。
図20】表示画像の一例を示す模式図である。
図21】表示画像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の概要)
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の機器の運転状況を取得する第1取得部と、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出する導出部と、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する第1出力部とを備える。
【0012】
上記構成によれば、使用者は複数の機器の運転状況を確認し、複数の機器の運転状況を比較することにより、正常運転及び異常運転のいずれであるかを判定することができる。
【0013】
上述の情報処理装置において、前記差異に基づいて、前記機器の運転の度合を判定する判定部を備え、前記画像情報は、前記判定部が判定した判定情報を含んでもよい。
【0014】
ここで、運転の度合とは、正常運転及び異常運転のいずれであるかをいい、各運転につき、複数の度合を設定してもよい。
上記構成によれば、精度良く、運転の度合を判定することができる。
【0015】
上述の情報処理装置において、前記判定部は、複数の機器の運転状況が入力された場合に前記機器の運転の度合を出力する学習モデルに、前記第1取得部により取得した複数の機器の運転状況を入力して、前記機器の運転の度合を判定してもよい。
【0016】
上記構成によれば、容易に、精度良く、運転の度合を判定することができる。
【0017】
上述の情報処理装置において、複数の機器の運転状況に係る運転情報を取得する第2取得部を備え、前記第1取得部は、前記第2取得部が取得した運転情報に基づいて、前記運転状況を取得し、前記第1出力部が出力した前記判定情報の選択を受け付けた場合に、前記判定情報に係る運転状況を導出した時点を含む期間を拡大表示した、運転情報のトレンドグラフを含む画像情報を出力する第2出力部を備えてもよい。
【0018】
上記構成によれば、異常の運転が生じた場合の運転情報を確認することができる。
【0019】
上述の情報処理装置において、前記画像情報は、前記機器の使用者のコメントを入力する欄を含んでもよい。
【0020】
上記構成によれば、他の期間との比較、ルールベースによる判定と学習モデルの判定についてのコメント、運転状況に対する情報等を記憶して、参照することができる。
【0021】
上述の情報処理装置において、前記第1出力部は、期間に応じて、前記画像情報を出力してもよい。
【0022】
上記構成によれば、所望の期間の運転状況、判定情報等を取得することができる。また、定点観察して中長期的な機器の運転状況を確認することができる。
【0023】
上述の情報処理装置において、前記複数の機器は、同一貯留槽に貯留された水を排出するための複数の水中ポンプであり、前記運転状況は、ポンプの運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量から選択される少なくとも2種であってもよい。
【0024】
上述したように、水中ポンプは、汚水の流入量の増加、異物混入、運転開始から停止までの時間設定の誤りや水位計の誤動作等による空気混入等により、運転の都度、非定常な稼働になることがある。水中ポンプは交互運転されることも多い。上記構成によれば、アラームが発生しない場合においても、複数の同一の水中ポンプの運転状況の比較により運転の度合を判定でき、経時的に運転状況を監視してトラブルの原因を把握することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る情報処理方法が、複数の機器の運転状況を取得し、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出し、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する。
【0026】
上記構成によれば、使用者が複数の機器の運転状況を比較することにより、正常運転及び異常運転のいずれであるかを確認することができる。
【0027】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、情報複数の機器の運転状況を取得し、取得した前記複数の機器の運転状況の差異を導出し、前記運転状況及び前記差異を含む画像情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0028】
上記構成によれば、使用者が複数の機器の運転状況を比較することにより、正常運転及び異常運転のいずれであるかを確認することができる。
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る情報処理システム100の構成の一例を示す模式図である。情報処理システム100においては、情報管理会社の情報処理装置1、使用者の端末2、及びマンホールポンプ装置4の制御装置3がインターネット等のネットワークNを介して接続されている。マンホールポンプ装置4は機器としての2個の水中ポンプ(以下、ポンプという)41を備える。制御装置3は、ポンプ41の駆動の制御を行う。情報処理装置1、端末2、及び制御装置3は夫々ネットワークNを介して情報の送受信を行う。
情報処理装置1は、例えばサーバコンピュータである。情報処理装置1は、制御装置3からポンプ41の運転情報を取得し、運転情報に基づいて導出した運転状況及び判定結果の一覧表を端末2へ送信する。
【0030】
運転状況とは、ポンプ41の運転情報を解析して得られるポンプ41の運転の状況に関する情報であり、例えばポンプ41の運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量等が挙げられる。
【0031】
端末2は、表示機能を備える情報端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。端末2の使用者は、例えばマンホールポンプ装置4の管理者(例えば地方自治体の担当者、設備維持管理者等)であり、使用者は端末2を用いてポンプ41の運転状況を監視する。各使用者は、例えば担当する地方自治体のエリア内に設置されている複数のマンホールポンプ装置4を管理している。
【0032】
図2は、制御装置3及びマンホールポンプ装置4の構成を示す斜視図である。制御装置3は、例えばマンホールポンプ装置4の近傍に設けられた制御盤300の内部に設置されている。制御装置3は、ポンプ41、及び水位計42,46夫々と電気的に接続されており、ポンプ41の運転時間及び運転電流に関する情報、並びにマンホールポンプ装置4の水位に関する情報を含む運転情報を取得する。また、制御装置3は、例えば、ポンプ41の吐出圧力を測定する圧力計(不図示)、吐出量を測定する流量計(不図示)等の測定機器と電気的に接続されており、ポンプ41の吐出圧力や吐出量を含む運転情報を取得してもよい。制御装置3は、取得した運転情報を情報処理装置1へ送信する。
【0033】
マンホールポンプ装置4は、流入管43から流入した汚水を貯留する貯留槽44と、貯留槽44に貯留された汚水を吐出管45に向けて圧送する2台の前記ポンプ41,41と、貯留槽44に貯留された汚水の水位を計測する前記水位計42,46とを備えている。
【0034】
ポンプ41は、ポンプ本体411と、ポンプ本体411の上部に配置されたモータ等の駆動装置412とを備えている。通常は、2台のポンプ41,41が交互に運転され、例えば異常高水位が発生した場合は汚水の圧送量を増やすために2台のポンプ41,41が同時に運転される。制御装置3は、各ポンプ41における駆動装置412の駆動が開始した時から停止するまでの運転時間、運転電流、及び貯留槽44の水位を検出する。なお、マンホールポンプ装置4に設置されるポンプ41は2台に限定されるものではない。マンホールポンプ装置4に設置されるポンプ41は1台であってもよく、又は3台以上のポンプ41が設置されていてもよい。また、ポンプ41、または、貯留槽44内の圧送配管には、噴出機構となる槽内撹拌装置JV(不図示)を設けてもよい。槽内撹拌装置JVにより、ポンプ41の噴出水で貯留槽44内に強力な撹拌渦を作り出し、沈殿物の堆積、油脂類の固着、スカムの発生を抑制し、省メンテナンス化を実現できる。
【0035】
水位計42は、例えば気泡式や投込圧力式等の水位計である。気泡式の水位計42は、貯留槽44の底部に設置された空気吐出部421、空気ポンプ(不図示)、空気ポンプと空気吐出部421とを接続するエアチューブ422、圧力センサ、及びコントローラ(不図示)を有する。水位計42は、貯留槽44に貯留される汚水の水位を検出する。さらに、貯留槽44内には、予備の水位計として、貯留槽44内における異常高水位を検出するための水位計46が設置されている。水位計46は、所定の水位を検知できるものであればよく、例えばフロート式水位計であってもよい。水位計42,46により検出された水位の情報は、制御装置3に送信される。
【0036】
制御装置3は、水位計42,46から検出された水位を受信する。貯留槽44内の水位が所定の駆動水位以上となった場合、制御装置3は一方のポンプ41の駆動装置412を駆動させる。ポンプ41の駆動により、貯留槽44内の汚水が吐出管45へ送られ、貯留槽44の水位が下降する。貯留槽44内の水位が所定の停止水位となった場合、制御装置3は、ポンプ41の駆動装置412を停止させる。これにより、ポンプ41による汚水の排水が終了する。その後、流入管43を介して外部から流入する汚水が再び貯留槽44に貯留され、水位が上昇すると、制御装置3は他方のポンプ41の駆動装置412を駆動させる。他方のポンプ41における同様の処理により、貯留槽44内の汚水が排出され水位が停止水位以下となった場合、制御装置3は、他方のポンプ41の駆動装置412を停止させる。マンホールポンプ装置4ではこのような一連の処理が繰り返される。また、制御装置3には、駆動装置412と電気的に接続された保護装置(例えば、3Eリレー等)があり、保護装置により駆動装置412の異常を検出(例えば、過負荷検出、欠相検出、逆運転検出等)することができる。また、ポンプ41には、駆動装置412内に水が浸水した場合、それを検出するための保護装置(例えば、電極式浸水検知器、フロート式浸水検知器等)が組み込まれており、駆動装置412の浸水を検出した際には、制御装置3が受信できるようにできる。ポンプ41の保護装置を制御装置3と電気的に接続することで、ポンプ41の異常を把握することができる。代表例として前記保護装置を記載したが、機器の異常を検出できるものであれば、これに限定されない 。
【0037】
なお、情報処理システム100の適用対象となる機器は、マンホールポンプ装置4のポンプ41に限定されるものではない。ポンプ41は、その他揚水装置に設けられるものであってもよい。また、機器は水を送出するポンプ41に限定されるものではなく、例えばルーツブロワ、ターボブロワ等の散気装置に空気を送る送風機であってもよい。また、汚水貯留槽内を攪拌させるための撹拌機であってもよい。
【0038】
情報処理システム100の構成及び詳細な処理内容について以下に説明する。
図3は、情報処理装置1の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、装置全体を制御する制御部10、記憶部11、及び通信部12を備える。情報処理装置1は、1又は複数のサーバで構成することができる。情報処理装置1は複数台で分散処理してもよい。1台の大型コンピュータに仮想的に生成される複数のサーバコンピュータ(インスタンス)の内の1つであってもよい。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成することができる。制御部10はGPU(Graphics Processing Unit)を含んで構成してもよい。制御部10は、後述するプログラムを読み出して、各種の処理を実行する。
【0039】
通信部12は、ネットワークNを介して、端末2及び制御装置3との間で通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行う。具体的には、通信部12は、制御装置3が送信したポンプ41の運転情報を受信する。通信部12は、制御部10が運転情報に基づいて導出した運転状況及び判定結果の一覧を含む画像情報を端末2へ送信する。
通信部12により、マンホールポンプ装置4の位置情報(例えば、住所、GPS情報等)に基づく、設置場所付近の気象情報(例えば、降水量、降雨予測量、気温、湿度、落雷等)を気象サーバ等から取得してもよい。気象情報は、降水等による流入管43への雨水流入等、マンホールポンプ装置4の運転状況を判断する上で参照することができる。
【0040】
記憶部11は大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリを含む。制御部10が処理を実行するために必要なプログラム、後述する運転状況の一覧表の表示を行うプログラム111と、学習モデル112と、装置DB113と、運転情報DB114と、一覧表DB115とを記憶している。なお記憶部11は、複数の記憶装置により構成されてもよく、情報処理装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。
【0041】
記憶部11に記憶されるプログラム111及び学習モデル112は、プログラム111及び学習モデル112を読み取り可能に記録した記録媒体50により提供されてもよい。記録媒体50は、例えば、USBメモリ、SDカード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬型のメモリである。記録媒体50に記録されるプログラム111及び学習モデル112は、図に示していない読取装置を用いて記録媒体50から読み取られ、記憶部11にインストールされる。また、記憶部11に記憶されるプログラム111及び学習モデル112は、通信部12を介した通信により提供されてもよい。
【0042】
図4は、装置DB113のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。装置DB113は、マンホールポンプ装置4の情報を格納するデータベースである。装置DB113は、例えば、複数の使用者夫々の使用者IDに関連付けて、マンホールポンプ装置4の装置ID、ポンプ41のID、位置情報(例えば道路上のマンホールポンプ装置4の設置場所の緯度及び経度)を記憶している。位置情報は、設置場所の住所でもよい。図4においては、IDNo.1の使用者の装置情報を示している。装置DB113の内容は、使用者のマンホールポンプ装置4の管理サービスへの加入時等に取得される。装置DB113に記憶される内容は図4の内容に限定されない。
【0043】
図5は、運転情報DB114のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。運転情報DB114は、ポンプ41の運転情報を格納するデータベースである。運転情報DB114には、ポンプ41毎に、運転情報が記憶されている。図5は、IDNo.101-1のポンプ41の運転情報を記憶している。運転情報DB114は、日時列、運転時間列、運転電流列、及び水位列を記憶している。日時列はポンプ41の運転の開始日時及び停止日時を記憶している。運転時間列は、運転の停止日時と開始日時との差に基づく運転時間を記憶している。運転電流列は、運転時間中において所定間隔(例えば1秒~1分間隔)で取得した運転電流の時系列データを記憶している。運転電流列は、ポンプ41の駆動開始日時および停止日時に関わらず、所定の間隔で連続して計測したものから、日時列で該当する期間の情報を抽出して記憶してもよい。水位列は、運転時間中において所定間隔(例えば1秒~1分間隔)で取得した水位の時系列データを記憶している。水位列は、ポンプ41の駆動開始日時および停止日時に関わらず、所定の間隔で連続して計測したものから、日時列で該当する期間の情報を抽出して記憶してもよい。
運転情報DB114は、ポンプ41の保護装置から得られる運転情報(例えば、過負荷、欠相、モータ浸水検知等)、又は気象サーバから取得する降水量を記憶してもよい。
【0044】
情報処理装置1は、ポンプ41の運転時間、運転電流及び水位の情報を含む運転情報を制御装置3から取得する。運転情報DB114に記憶される各運転情報は、制御部10が各制御装置3から運転情報を取得する都度、制御部10によって記憶される。運転情報DB114に記憶される内容は図5に示す例に限定されない。
【0045】
図6及び図7に、一覧表DB115のレコードレイアウトの一例を示す。一覧表DB115は、例えば各マンホールポンプ装置4につき、7日分毎の一覧表を記憶している。図6及び図7においては、一例として、IDNo.ABC101のマンホールポンプ装置4の、**月**日から**日までの7日間の一覧表を示している。図6及び図7中、「No.1ポンプ」はIDNo.101-1のポンプ41であり、「No.2ポンプ」はIDNo.101-2のポンプ41である。一覧表DB115は、No.列と、大項目列と、項目列と、結果列と、判定列と、コメント列とを記憶している。No.列は大項目毎のNo.を記憶している。大項目としては、運転回数の差、平均運転時間の差、交互運転、運転電流の変化量、吐出量、駆動頻度、エアロックの疑い、空運転の疑い、オートカットの疑い、JV動作、論理異常、運転水位幅見直し、同時運転回数、汚水流入量、及び水位レベル等が挙げられる。
【0046】
大項目「運転回数の差」の項目「7日間合計の差」においては、7日間のポンプ41夫々の合計運転回数、夫々の合計運転回数の差を結果列に記憶している。「運転回数」は、運転情報DB114に記憶されている、運転時間の記憶回数に相当する。項目「最大差発生日」においては、一日の合計運転回数の最大差が発生した日を記憶し、その日における各ポンプ41の合計運転回数、夫々の合計運転回数の差を結果列に記憶している。
【0047】
大項目「平均運転時間の差」の項目「7日間の平均運転時間の差」においては、各ポンプ41の7日間の平均運転時間、夫々の平均運転時間の差を結果列に記憶している。項目「最大差発生日」においては、一日の平均運転時間の最大差が発生した日を記憶し、その日における各ポンプ41の平均運転時間、夫々の平均運転時間の差を結果列に記憶している。
【0048】
大項目「交互運転」の項目「7日間において、交互運転していない回数」においては、各ポンプ41の運転回数の差異を記憶し、項目「最大差発生日」においては、運転回数の最大差異が発生した日を記憶し、その日における運転回数の差異を結果列に記憶している。交互運転していない回数は、一日の運転回数の差異を記憶する以外に、ポンプ41が運転、停止し、次に水位が上昇したときに同じポンプが運転した回数をカウントしてもよい。このように構成した場合、例えば、一方のポンプが続けて5回運転され、次に他方のポンプが続けて5回運転された場合でも、交互運転していない回数を正しくカウントすることができる。
【0049】
大項目「運転電流の変化量」及び「吐出量」においては、項目列に各ポンプ41の基準値を記憶し、結果列に各ポンプ41の7日間の平均値、最大値(日付)、及び最小値(日付)を記憶している。運転電流の変化量は単位時間当たりの変化量であり、吐出量は、1分当たりの水の吐出量(m3 )である。
【0050】
大項目「駆動頻度」においては、項目列に各ポンプ41の基準回数を記憶し、結果列に各ポンプ41の7日間の平均値、及び最大値(日時)を記憶している。駆動頻度は時間当たりの運転回数である。なお、駆動頻度の基準回数は、流入量やポンプ41の能力を考慮して、マンホールポンプ4毎、水中ポンプ41毎に異なる値を設定しても良いし、所定の適用範囲内で同じ値を設定してもよい。
【0051】
大項目「エアロックの疑い」及び「空運転の疑い」においては、結果列に、各ポンプ41の7日間の回数の平均値、最大発生日時におけるエアロック又は空運転の時間を記憶している。「エアロック」は、ポンプ41を駆動させる前にポンプ本体411の中に入った空気が抜け切らずに、駆動を開始したことでポンプ41が揚水できない状態を含む。「空運転」は、ポンプ41を駆動させた後に、何らかの理由で空気を吸い込み揚水できなくなった状態を含む。
【0052】
大項目「オートカットの疑い」においては、結果列に、各ポンプ41の7日間のオートカットの作動回数の平均値、最大発生日時における作動回数を記憶している。「オートカット」とは、駆動装置412に内蔵された保護装置であって、ポンプ41のモータに過電流が生じた場合、又はモータが異常に過熱した場合に、モータへの電気回路を遮断してモータの駆動を停止させる。
大項目が運転電流の変化量、吐出量、駆動頻度、エアロックの疑い、空運転の疑い、及びオートカットの疑いである場合、結果列に各ポンプ41の差異を記憶してもよい。
【0053】
大項目「JV動作」については、結果列に、各ポンプ41の槽内撹拌装置JVの動作時間(運転時間)の週平均値の差異、並びに運転時間差が最大及び最小である場合の日付及び運転時間差を記憶している。
大項目「論理異常」の項目「基準最低水位からの停止時間」及び「異常高水位復帰からポンプ停止するまでの時間」においては、結果列に最長時間(日付)及び最短時間(日付)を記憶している。項目「基準起動水位以下にて異常高水位発生」、「基準起動水位+1m以上にて、異常高水位発生しない」、及び「運転信号不検知(運転電流検知)」においては、結果列に、週合計回数及び最終発生日時を記憶している。
【0054】
大項目「運転水位幅見直し」においては、結果列に、平均運転時間と、時間当たりの駆動回数とを記憶している。
大項目「同時運転回数」においては、**月**日から**日までの7日間の同時運転回数を、一昨年、昨年、及び今年について、結果列に記憶している。
大項目「汚水流入量」においては、週平均流入量及び最大流入量を結果列に記憶している。
大項目「水位レベル」においては、結果列に起動水位及び停止水位を記憶している。
【0055】
制御部10は、運転情報DB114に記憶した運転情報に基づいて、各項目に係る運転状況を導出し、結果を結果列に記憶する。制御部10は、運転情報を入力した場合に運転状況を出力する学習モデルを生成し、該学習モデルに基づいて運転状況を導出してもよい。
【0056】
判定列は、各ポンプ41の運転状況の比較に基づいて、異常運転が生じたポンプ41に対し、「正常」、「観察」及び「注意」のいずれかの判定情報を記憶している。異常の度合は、「注意」の方が「観察」より大きい。
【0057】
制御部10は、各ポンプ41の運転状況の結果の差異、平均値、最大値、又は最小値等を用い、運転状況の結果と判定情報との関係のルールベースに基づいて、取得した運転状況の結果に対応する判定情報を導出する。即ち各項目の運転状況の結果の基準値(閾値)又は判定式等に基づき、判定情報を導出する。運転状況の結果に対し段階的に複数の閾値を設けておき、得られた結果の値と閾値とに基づいて、「正常」、「観察」及び「注意」のいずれであるかを導出してもよい。No.1の運転回数の差の場合、例えば各ポンプ41夫々の合計運転回数の差が第1閾値以上であるとき、「観察」と判定し、前記差が第2閾値以上であるとき、「注意」と判定する。No.2の平均運転時間の差の場合、例えば各ポンプ41夫々の平均運転時間の差が第1閾値以上であるとき、「観察」と判定し、前記差が第2閾値以上であるとき、「注意」と判定する。No.4の運転電流の変化量の場合、例えばポンプ41の7日間の平均値の基準値Aに対し、該ポンプ41の平均値Xが、(A+a)≦X<(A+b)、又は(A-b)<X≦(A-a)であるとき、「観察」と判定し、X≧(A+b)、又はX≦(A-b)であるとき、「注意」と判定する。No.6の駆動頻度の場合、例えばポンプ41の基準回数Bに対し、該ポンプ41の駆動頻度Yが(B+c)≦Y<(B+d)、又は(B-d)<Y≦(B-c)であるとき、「観察」と判定し、Y≧(B+d)、又はY≦(B-d)であるとき、「注意」と判定する。No.7のエアロックの疑いの場合、例えば最大発生日時におけるエアロックの時間が第1閾値以上であるとき、「観察」と判定し、前記差が第2閾値以上であるとき、「注意」と判定する。No.8の空運転の疑いの場合、例えば最大発生日時における空運転の時間が第1閾値以上であるとき、「観察」と判定し、前記差が第2閾値以上であるとき、「注意」と判定する。
項目毎に判定情報を導出するのではなく、複数の項目の運転状況の結果を組み合わせて、判定情報を導出してもよい。
【0058】
また、制御部10は、運転状況を学習モデル112に入力して、判定情報を取得する。
判定列は、ルールベースによる判定情報と、学習モデル112による判定情報との両方を記憶してもよい。
【0059】
コメント列は、使用者により受け付けたコメントを記憶している。例えば他の期間との比較、ルールベースによる判定と学習モデルの判定についてのコメント、該当No.の運転状況に対する情報を記憶することができる。
一覧表は一週間毎に記憶する場合に限定されない。例えば24時間毎、48時間毎、2週間毎等に記憶してもよい。
【0060】
図8は、学習モデル112の構成を説明する説明図である。学習モデル112は、機械学習により生成された学習モデルであり、運転状況の入力に応じて判定情報を示すデータを出力する。学習モデル112は予め、情報処理装置1又は外部装置において生成され学習される。制御部10は、サポートベクターマシン(SVM:support vector machine)、決定木、クラスタリング等の機械学習手法を用いて、境界線を定め、判定情報の種類を特定するようにしてもよい。
【0061】
学習モデル112に入力される入力情報は、運転状況である。運転状況は、ポンプ41の運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、吐出量、及び駆動頻度から選択される少なくとも2種を含むことが好ましい。運転回数、運転時間の場合、入力情報として、各ポンプ41の運転回数、運転時間でもよく、各ポンプ41の差異でもよい。運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量の場合、各ポンプ41の平均値、最大値、又は最小値でもよく、各ポンプ41の差異でもよい。
【0062】
学習モデル112は、これら運転状況に応じた判定情報を出力する。判定情報は、例えば「正常」、「観察」、又は「注意」である。
【0063】
学習モデル112は、運転状況が入力されると、運転状況に応じた判定情報を識別する。具体的には、学習モデル112は、運転状況に含まれる特徴量と判定情報毎の特徴量とに基づいて、判定情報を特定する。制御部10は、運転状況を含む入力情報に、既知の判定情報が付与された情報群を訓練データとして取得する。制御部10は、過去に計測された大量の訓練データを用いて、運転状況に応じた判定情報を識別するよう学習モデル112の学習を行う。制御部10で訓練データをもとに学習モデル112の学習を行う例を示したが、学習モデル112の生成は制御部10に限定されず、外部の情報処理装置で学習したモデルを用いてもよい。
【0064】
なお、学習モデル112は図8に示した例に限定されるものではない。学習モデル112は、ニューラルネットワーク等、他のアルゴリズムによって学習されたモデルであってよい。ニューラルネットワークとしては多層のニューラルネットワーク(深層学習)を用いることができ、例えば畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)を用いることができる。この場合、訓練データの入力データとして、ポンプ41の運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量から選択される少なくとも2種を用い、又はこれらの運転状況の結果を用い、出力データとして正常、観察、注意等の判定情報のラベルを付与すればよい。制御部10は、すでに計測済みの大量の訓練データを用いて、バックプロパゲーション等により、学習モデル112のパラメータのチューニングを行う。
【0065】
図9は、端末2の構成を示すブロック図である。端末2は、制御部20、記憶部21、通信部22、表示部23、及び操作部24を備える。
【0066】
制御部20は、CPU又はGPU等のプロセッサと、メモリ等を含む。制御部20は、プロセッサ、メモリ、記憶部21、及び通信部22を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。制御部20は、記憶部21に記憶されているプログラム211に基づき、各構成部を制御して処理を実行する。
【0067】
記憶部21は、例えばハードディスク又はSSD等の不揮発性メモリを含む。記憶部21は、プログラム211を含む制御部20が参照するプログラム及びデータを記憶する。通信部22は、ネットワークNを介した情報処理装置1との通信を実現する通信インタフェースである。
【0068】
表示部23は、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを含む。制御部20は、表示部23に、制御部20からの指示に従って運転状況の一覧表を含む各種の画像を表示する。操作部24は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、例えば物理ボタン、マウス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を含む。操作部24は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作内容に応じた制御信号を制御部20へ送出する。
【0069】
図10は、制御装置3等の構成を示すブロック図である。制御装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32及び入出力部33を備える。
【0070】
制御部30は、一又は複数のCPU、GPU等を用いたプロセッサであり、内蔵するROM又はRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。記憶部31は、制御部30が参照する情報を記憶する記憶装置である。通信部32は、ネットワークNを介した情報処理装置1との通信を実現する通信インタフェースである。制御部30は、通信部32を介してマンホールポンプ装置4から取得した運転情報を情報処理装置1へ送信する。
【0071】
入出力部33は、マンホールポンプ装置4のポンプ41、水位計42,46、図示しないポンプ41の保護装置、駆動装置412の保護装置、駆動装置412の運転電流計と接続される入出力インタフェースである。制御部30は、入出力部33を介して水位計42又は水位計46から水位を示す信号を取得する。制御部30は、入出力部33を介してポンプ41の駆動装置412へ駆動の制御信号を出力する。制御部30は、駆動装置412の駆動が開始した時点から停止する時点までの運転時間において、ポンプ41の駆動装置412における運転電流を検出する。
【0072】
図11は、情報処理システム100が実行する判定の処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部10は、制御装置3から運転情報が送信されると以下の処理を開始する。
【0073】
情報処理装置1の制御部10は、制御装置3から運転情報を取得し(S11)、運転情報DB114に記憶する。この場合において制御部10は、運転情報とポンプ41の識別情報とを関連付けて取得してよい。運転情報には、ポンプ41の運転時間、運転時間中におけるポンプ41の運転電流、及び運転時間中における水位が含まれる。なお、運転情報は、例えばポンプ41が1回の運転を停止する度に制御装置3から送信されてもよく、定期的なタイミング(例えば1日1回)で複数回の運転情報が一括して送信されてもよく、制御装置3内の運転情報が更新される都度送信されてもよい。
【0074】
制御部10は、例えば7日間の運転情報の解析処理を実行し、運転情報に基づく運転状況を導出する(S12)。具体的には、制御部10は、運転時間、運転電流及び水位を含む運転情報に基づいて、上述の各項目に係る運転状況の結果を導出する。
【0075】
制御部10は、「正常」、「観察」、又は「注意」のいずれであるかを判定する(S13)。運転状況が運転回数、運転時間、交互運転の回数の場合、各ポンプ41の運転状況の結果の差異を導出し、運転状況が運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量の場合、各ポンプ41の運転状況の平均値、最大値、又は最小値を導出し、上述したように、運転状況の結果と判定情報との関係のルールベースに基づいて、取得した運転状況に対応する判定情報を導出する。
又は、制御部10は、導出した運転状況を学習モデル112に入力して、出力される判定情報を取得する。学習モデル112を用いる場合、ポンプの運転回数、運転時間、交互運転の回数、運転電流の変化量、駆動頻度、及び吐出量から選択される少なくとも2種を入力してもよい。
制御部10は判定情報を一覧表DB115に記憶し(S14)、処理を終了する。
なお、7日間の運転情報に基づいて、運転状況を導出する場合に限定されない。
【0076】
図12は、情報処理システム100が実行する一覧表の表示の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、端末2の記憶部21に記憶してあるプログラム211に従って制御部20によって実行されると共に、情報処理装置1の記憶部11に記憶してあるプログラム111に従って制御部10によって実行される。
【0077】
端末2の制御部20は、マンホールポンプ装置4の使用者の操作部24の操作により、一覧表を取得するマンホールポンプ装置4のIDNo.及び期間の入力を受け付ける(S201)。
制御部20は、一覧表の表示の指示を受け付ける(S202)。
【0078】
図13に表示画像の一例を示す。図14は、Top画面(不図示)で、「カルテ」を選択し、「カルテ」の表示画像25が表示されている状態を示す。
表示画像25は、上部の中央にマンホールポンプ装置4のIDNo.を入力するID入力欄251を有し、ID入力欄251の下側に、期間を入力する期間入力欄252を有する。表示画像25は、上部右側に、一覧表表示ボタン253を有する。表示画像25は、これらの入力バーの下側に、一覧表を表示する表示部分254を有する。
使用者は操作部24によりマンホールポンプ装置4のIDNo.及び日時を入力し、一覧表表示ボタン253をクリックする。図13においては、装置のIDNo.が「ABC101」であり、日時が「2020年4月4日」から「2020年4月10日」までである場合を示す。
【0079】
制御部20は、IDNo.、期間、及び一覧表の表示の指示を情報処理装置1へ送信する(S203)。
制御部10は、IDNo.、期間、及び一覧表の表示の指示を受信する(S101)。
【0080】
制御部10は、IDNo.及び期間に対応する一覧表を一覧表DB115から読み出し、必要に応じ期間に対応して一覧表DB115に記憶された一覧表を編集し、一覧表の画像情報を端末2へ送信する(S102)。例えば一覧表DB115に7日間毎に一覧表を記憶しており、受け付けた期間が一カ月である場合、対応する4週間分の一覧表に基づいて、一カ月分の一覧表を編集する。
制御部20は、一覧表の画像情報を受信する(S204)。
制御部20は、表示部23に、一覧表を表示する(S205)。制御部20は、例えば図14に示すように、図14の表示画像25の表示部分254に、図6の一覧表を重畳して表示する。使用者は、判定列の判定結果により、ポンプ41の運転が正常及び異常のいずれであったかを視認することができる。また、使用者は、一覧表により各ポンプ41の運転状況を確認し、各ポンプ41の運転状況を比較して、ポンプ41の運転が正常及び異常のいずれであったかを自ら判定することができる。
図7の一覧表は使用者がスクロールすることにより、表示される。
【0081】
制御部20は、コメントを受け付ける(S206)。制御部20は、コメントを受け付けなかった場合、処理を終了する。
制御部20は、コメントを情報処理装置1へ送信する(S207)。
制御部10は、コメントを受信する(S103)。コメントとしては、上述のように使用者が自ら判定した場合における、制御部10の判定の当否等が挙げられる。
制御部10は、一覧表DB115にコメントを追加し(S104)、処理を終了する。
【0082】
図15に表示画像の一例を示す。図15に示すように、図14の表示部分254をスクロールすることにより、判定情報が「観察」又は「注意」である異常状態の一覧表を表示するようにしてもよい。一覧表は「トラブルシューティング」のボタンを有する。記憶部11には、異常状態に応じて、正常な状態に戻すためのトラブルシューティングを記憶してある。トラブルシューティングには、例えば異常内容に対する、原因、解決させるまでの手順等を情報を含む。使用者が「トラブルシューティング」のボタンをクリックした場合、情報処理装置1から端末2へトラブルシューティングが送信され、制御部20により、トラブルシューティングを表示部分254に表示する。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、使用者は各ポンプ41の運転状況を比較することにより、ポンプ41の運転が正常及び異常のいずれであったかを確認することができる。期間を指定することにより、1週間、1ヶ月間等の各ポンプ41の運転状況を比較することができる。同一日の運転状況を月別に取得し、又は同一月日の運転状況を年度別に取得し、定点観察して中長期的な機器の運転状況を確認することも可能である。
【0084】
なお、上述の図12におけるフローチャートの処理において、情報処理装置1の制御部10と端末2の制御部20とが分担して実行する例を説明したが、これら制御部10及び制御部20の分担は一例であり、図11の例に限定されるものではない。情報処理装置1の制御部10により実行される処理の一部又は全部は、端末2の制御部20で実行されてもよく、又は、制御装置3の制御部30で実行されてもよい。
【0085】
また、一覧表を表示部23に表示する場合に、異常の判定がされた運転状況の項目をハイライト表示してもよい。そして、例えば一のポンプ41に「観察」又は「注意」の異常が生じているとき、赤でハイライト表示し、他のポンプ41に「観察」又は「注意」の異常が生じているとき、青でハイライト表示してもよい。さらに、「観察」又は「注意」の度合で色分けしてハイライト表示を行ってもよい。
さらに、一覧表を表示部23に表示する場合に限定されず、紙媒体に出力してもよい。
【0086】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る情報処理装置1は、記憶部11にグラフDB116を記憶している。
図16は、グラフDB116のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。グラフDB116は、マンホールポンプ装置4毎に、一日単位で、各ポンプ41の運転時間,水位,及び各ポンプ41の運転電流のトレンドグラフを上下に配置した画像情報を記憶している。画像情報とはトレンドグラフの画像そのものでもよく、画像を端末2の表示部23に表示するためのデータでもよい。図16においては、IDNo.ABC101のマンホールポンプ装置4のトレンドグラフを記憶している。グラフDB116は、日付列と、トレンドグラフ列とを記憶している。日付列は日付を記憶している。トレンドグラフ列は日付に対応するトレンドグラフを記憶している。運転時間のトレンドグラフの横軸は時間(時)である。運転時間のトレンドグラフは、駆動信号がオンになると、縦軸のプラス方向に立ち上がり、オフになると、マイナス方向に下がり、オフとオンの時間差が運転時間である矩形波状をなす。水位のトレンドグラフの横軸は時間(時)であり、縦軸は水位(m)である。運転電流のトレンドグラフの横軸は時間(時)であり、縦軸は電流(A)である。これらのトレンドグラフは、運転情報DB114に記憶された運転情報に基づいている。そして、これらのトレンドグラフにおいて、「観察」と判断された運転状況に対応する運転情報の期間の背景は緑色に着色し、「注意」と判断された運転状況に対応する運転情報の期間を黄色に着色し、色分けしてある。トレンドグラフは、運転情報の期間の背景を色分けする場合に限定されず、該期間に対応する運転情報のグラフの色や線種を変えてもよい。トレンドグラフは一日毎に記憶する場合に限定されない。例えば12時間毎、48時間毎に記憶してもよい。
【0087】
図17に、実施形態2に係る一覧表DB115のレコードレイアウトの一例を示す。実施形態2に係る一覧表DB115においては、No.4~9の大項目に対し、図6及び図7の一覧表の列に加えて、リンク先列を有する。
リンク先列は、判定が「観察」又は「異常」である運転状況に対応する、リンク先の、グラフDB116のトレンドグラフの時間軸の日時、分秒等を記憶している。
【0088】
図18は、情報処理システム100が実行するトレンドグラフの表示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
端末2の制御部20は、マンホールポンプ装置4の使用者の操作部24の操作により、一覧表を取得するマンホールポンプ装置4のIDNo.及び期間の入力を受け付ける(S211)。
制御部20は、一覧表の表示の指示を受け付ける(S212)。
【0089】
制御部20は、IDNo.、期間、及び一覧表の表示の指示を情報処理装置1へ送信する(S213)。
制御部10は、IDNo.、期間、及び一覧表の表示の指示を受信する(S111)。
【0090】
制御部10は、IDNo.及び期間に対応する一覧表を一覧表DB115から読み出し、必要に応じ受け付けた期間に基づいて一覧表を編集し、取得した一覧表の画像情報を端末2へ送信する(S112)。
【0091】
制御部20は、一覧表の画像情報を受信する(S214)。
制御部20は、表示部23に、一覧表を表示する(S215)。
図19に表示画像25の一例を示す。
使用者が表示画像25の一覧表のリンク先を指定してある判定をクリックした場合、制御部10が一覧表DB115からリンク先のトレンドグラフの時間軸の日時、分秒を取得し、グラフDB116から対応する日時、分秒のトレンドグラフ部分を取得し、横軸の時間を拡大表示したトレンドグラフ、即ち前記時間軸の日時、分秒を中心とした所定の時間幅(例えば1時間)のトレンドグラフを生成し、表示部23に表示するように構成されている。例えば図19のNo.7の大項目の判定の「観察」をクリックした場合、最大発生日時における「観察」のトレンドグラフを拡大表示し、No.8の大項目の判定の「注意」をクリックした場合、最大発生日時における「注意」のトレンドグラフを拡大表示する。
【0092】
制御部20は、運転状況の選択、即ちリンク先を指定してある判定の選択を受け付ける(S216)。制御部20は、運転状況の選択を受け付けなかった場合、処理を終了する。
制御部20は、選択された運転状況のリンクを情報処理装置1へ送信する(S217)。
制御部10は、運転状況のリンクを受信する(S113)。
制御部10は、受信した運転状況の情報に基づき、一覧表DB115からリンク先のトレンドグラフの時間軸の日時、分秒を取得し、グラフDB116から対応する日時、分秒のトレンドグラフ部分を取得し、横軸の時間を拡大表示したトレンドグラフを生成し、該トレンドグラフの画像情報を端末2へ送信する(S114)。
制御部20は、トレンドグラフの画像情報を受信する(S218)。
制御部20は、表示部23にトレンドグラフを表示し(S219)、処理を終了する。
【0093】
図20に表示画像25の一例を示す。図20には、2020年4月4日から10日の間で、最大の時間を示した、2020年4月4日の14:23:02から14:35:54の一のポンプ41の運転時間、水位、及び運転電流のトレンドグラフが示されている。「注意」と判断された運転状況に対応する運転情報の期間を黄色に着色してある。使用者は、異常運転が生じた場合の運転情報を容易に確認することができる。
【0094】
図21に表示画像25の他の例を示す。図15に示すように、表示部分254をスクロールすることにより、判定情報が「観察」又は「注意」である異常状態の一覧表を表示する場合に、「観察」又は「注意」はリンク先を指定してあり、クリックした場合、上記と同様に、グラフDB116からリンク先のトレンドグラフの画像を取得し、制御部10により該運転状況を含む運転情報の期間のトレンドグラフを拡大表示する。
【0095】
本実施形態によれば、異常の運転が生じた場合の運転情報を確認することができる。また、表示されている複数のマンホールポンプ装置4の間に上流側(送水側)と下流側(受水側)の関係がある場合、マンホールポンプ装置4のポンプ41に異常があるとき、マンホールポンプ装置4の流入管43に接続される上流側のマンホールポンプ装置4のポンプ41、またはマンホールポンプ装置4の吐出管45に接続される下流側のマンホールポンプ装置4のポンプ41の運転状況を具体的に把握することができ、配管路を含む系統全体での異常発生場所の特定も可能となる。さらに、マンホールポンプ装置4間の上流、下流の関係が分かるように表示することで、何れかのマンホールポンプ装置4に異常があるとき、配管路を含む系統全体での異常発生場所の特定がさらに容易になる。
【0096】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。例えばマンホールポンプ装置4のポンプ41の数は2個である場合に限定されない。
【符号の説明】
【0097】
100 情報処理システム
1 情報処理装置
10 制御部(第1取得部、導出部、第1出力部、判定部、第2取得部、第2出力部)
11、21、31 記憶部
111、211 プログラム
112 学習モデル
113 装置DB
114 履歴DB
115 一覧表DB
116 グラフDB
12、22、32 通信部
2 端末
20、30 制御部
23 表示部
24 操作部
3 制御装置
4 マンホールポンプ装置
41 水中ポンプ(機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21