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  • 特許-転写装置および転写方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】転写装置および転写方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240222BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020098963
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021192418
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-073892(JP,A)
【文献】特開2003-209082(JP,A)
【文献】特開2016-154199(JP,A)
【文献】特開2016-178244(JP,A)
【文献】特開2020-068326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の一方の面に貼付された第1接着シートを当該被着体の外縁からはみ出る大きさに切断し、当該第1接着シートを、前記被着体に貼付された内側シートと、当該内側シートの外側に位置する外側シートとに分断するシート切断手段と、
前記被着体の外縁からはみ出る大きさの第2接着シートを介して、当該第2接着シートの外縁からはみ出る大きさの第3接着シートを前記被着体の他方の面に貼付するシート貼付手段と、
前記内側シートに剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープに張力を付与して前記被着体から前記内側シートを剥離するシート剥離手段とを備え、
前記シート切断手段は、前記第2接着シートの外縁からはみ出る大きさに前記第1接着シートを切断し、
前記シート剥離手段は、前記被着体の外縁からはみ出た前記内側シートの内側シートはみ出し部が前記第2接着シートに接触しないように、前記第2接着シートの外縁からはみ出た前記第3接着シートの第3シートはみ出し部と、前記剥離用テープとで前記内側シートはみ出し部を挟み込み、当該剥離用テープを前記内側シートに押圧して貼付することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
被着体の一方の面に貼付された第1接着シートを当該被着体の外縁からはみ出る大きさに切断し、当該第1接着シートを、前記被着体に貼付された内側シートと、当該内側シートの外側に位置する外側シートとに分断するシート切断工程と、
前記被着体の外縁からはみ出る大きさの第2接着シートを介して、当該第2接着シートの外縁からはみ出る大きさの第3接着シートを前記被着体の他方の面に貼付するシート貼付工程と、
前記内側シートに剥離用テープを貼付し、当該剥離用テープに張力を付与して前記被着体から前記内側シートを剥離するシート剥離工程とを実施し、
前記シート切断工程では、前記第2接着シートの外縁からはみ出る大きさに前記第1接着シートを切断し、
前記シート剥離工程では、前記被着体の外縁からはみ出た前記内側シートの内側シートはみ出し部が前記第2接着シートに接触しないように、前記第2接着シートの外縁からはみ出た前記第3接着シートの第3シートはみ出し部と、前記剥離用テープとで前記内側シートはみ出し部を挟み込み、当該剥離用テープを前記内側シートに押圧して貼付することを特徴とする転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置および転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の面に第1接着シートが貼付された被着体の他方の面に第2接着シートを貼付し、当該被着体から第1接着シートを剥離する転写装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-162870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような基板転写装置1(転写装置)では、粘着テープT1(第1接着シート)と粘着テープT2(第2接着シート)との接着を回避してウエハW(被着体)から第1接着シートを剥離するという目的を達成するために、はみ出している部分の長さが被着体の厚み以下になるように第1接着シートを精密に切断したり、被着体の外縁を損傷させないように当該被着体の外縁に沿って第1接着シートを精密に切断したりしなければならず、緻密な動作制御が要求され、装置が煩雑化するという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、装置が煩雑化することを防止することができる転写装置および転写方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、内側シートはみ出し部が第2接着シートに接触しないように、第3シートはみ出し部と剥離用テープとで内側シートはみ出し部を挟み込み、当該剥離用テープを内側シートに押圧して貼付するので、緻密な動作制御が不要となり、装置が煩雑化することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る転写装置の説明図。
図2】転写装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、当該所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1の手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」が紙面に直交する手前方向であってY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明の転写装置EAは、被着体WKの一方の面WK1に貼付された第1接着シートAS1を当該被着体WKの外縁からはみ出る大きさに切断し、当該第1接着シートAS1を被着体WKに貼付された内側シートAS1Aと、当該内側シートAS1Aの外側に位置する外側シートAS1Bとに分断するシート切断手段10と、第2フレーム部材としての第2リングフレームRF2を被着体WKの近傍に配置する移送手段20と、被着体WKの外縁からはみ出る大きさの第2接着シートAS2を介して、当該第2接着シートAS2の外縁からはみ出る大きさの第3接着シートAS3を被着体WKの他方の面WK2に貼付するシート貼付手段30と、第3接着シートAS3が貼付された被着体WKを天地反転させる反転手段40と、内側シートAS1Aに剥離用テープPTを貼付し、当該剥離用テープPTに張力を付与して被着体WKから内側シートAS1Aを剥離するシート剥離手段50とを備え、被着体WKを搬送する被着体搬送手段60の近傍に配置されている。
本実施形態では、転写装置EAに供給される被着体WKは、第1接着シートAS1を介して第1フレーム部材としての第1リングフレームRF1に支持され、第1一体物UP1を形成している。
【0011】
シート切断手段10は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム11Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット11と、ブラケット12Aを介して多関節ロボット11の先端アーム11Aに支持される切断部材としての切断刃12とを備え、第2接着シートAS2の外縁からはみ出る大きさに第1接着シートAS1を切断するようになっている。
【0012】
移送手段20は、シート切断手段10と共有する多関節ロボット11と、フレーム21を介して多関節ロボット11の先端アーム11Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸引力が付与される吸着パッド22(保持手段)とを備えている。
【0013】
シート貼付手段30は、第3接着シートAS3に第2接着シートAS2が積層された積層シートLSが帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを支持する支持ローラ31と、原反RSを案内するガイドローラ32と、剥離縁33Aで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから積層シートLSを剥離する剥離手段としての剥離板33と、積層シートLSを被着体WKに押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ34と、駆動機器としての回動モータ35Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ35Bとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ35と、図示しない駆動機器の出力軸に支持され、転写装置EAの自動運転が行われている間、ピンチローラ35Bとの間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ36とを備えている。
【0014】
反転手段40は、駆動機器としての直動モータ41と、その出力軸41Aに支持されたフレーム42と、当該フレーム42の左右両端にそれぞれ支持された前方に延びるアーム43と、各アーム43の前方に支持された駆動機器としての回動モータ44と、その出力軸44Aにそれぞれ支持され、一対のチャックアーム45Aを有する駆動機器としてのチャックモータ45(保持手段)とを備えている。
【0015】
シート剥離手段50は、巻回された感熱接着性の剥離用テープPTを回転可能に支持するテープ支持手段51と、テープ支持手段51に支持された剥離用テープPTを当該テープ支持手段51とで挟み込み、当該剥離用テープPTに繰出力を付与する繰出手段52と、剥離用テープPTのリード端部を保持するリード保持手段53と、リード保持手段53が剥離用テープPTを保持することを補助する保持補助手段54と、剥離用テープPTを内側シートAS1Aに押圧して貼付する剥離用テープ貼付手段55と、剥離用テープPTを切断する切断手段56と、剥離用テープPTに張力を付与する張力付与手段57とを備え、被着体WKの外縁からはみ出た内側シートAS1Aの内側シートはみ出し部AS1Cが第2接着シートAS2に接触しないように、第2接着シートAS2の外縁からはみ出た第3接着シートAS3の第3シートはみ出し部AS3Aと、剥離用テープPTとで内側シートはみ出し部AS1Cを挟み込み、当該剥離用テープPTを内側シートAS1Aに押圧して貼付するようになっている。
【0016】
テープ支持手段51は、軸51Aを中心に回動可能な回動アーム51Bと、その自由端側に支持され、巻回された剥離用テープPTを支持する支持ローラ51Cと、支持ローラ51Cを繰出手段52方向に付勢する付勢手段としてのばね51Dとを備えている。
繰出手段52は、駆動機器としての回動モータ52Aと、その図示しない出力軸に支持され、支持ローラ51Cに支持された剥離用テープPTに回転力を付与する繰出ローラ52Bとを備えている。
リード保持手段53は、駆動機器としての直動モータ53Aの出力軸53Bに支持された収容手段53Cと、収容手段53Cの底面である吸着面53Dに形成された吸引孔53Eを介して吸着保持が可能な減圧ポンプや真空エジェクタ等の支持手段としての吸引手段53F(保持手段)とを備えている。
保持補助手段54は、駆動機器としての直動モータ54Aと、その出力軸54Bに支持され、剥離用テープPTを吸着面53Dに当接させる補助ローラ54Cとを備えている。
剥離用テープ貼付手段55は、収容手段53C内に収容された駆動機器としてのリニアモータ55Aと、そのスライダ55Bに支持され、剥離用テープPTを内側シートAS1Aに押圧する押圧部材55Cと、押圧部材55Cの内部に設けられたコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段55Dとを備えている。
切断手段56は、収容手段53C内に収容された駆動機器としてのリニアモータ56Aと、そのスライダ56Bに支持され、剥離用テープPTを切断可能な切断刃56Cとを備えている。
張力付与手段57は、駆動機器としてのリニアモータ57Aと、そのスライダ57Bに支持された剥離ローラ57Cとを備えている。
【0017】
被着体搬送手段60は、駆動機器としてのリニアモータ61と、リニアモータ61の第1スライダ61Aに支持された第1支持テーブル62と、リニアモータ61の第2スライダ61Bに支持された第2支持テーブル63とを備えている。
第1支持テーブル62には、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能とされた内側支持面62A(保持手段)と、内側支持面62Aの外側に形成され、上方から見下した平面視において環状とされた凹溝62Bと、凹溝62Bの外側に形成され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能とされた外側支持面62C(保持手段)とが設けられている。
第2支持テーブル63には、その上面に減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能とされた保持部63A(保持手段)と、保持部63Aの内側で平面視環状に設けられ、内側シートAS1Aにおける被着体WKからはみ出した内側シートはみ出し部AS1Cを、保持部63Aの吸着保持力よりも強い吸着保持力で保持する強保持部63B(保持手段)とが設けられている。
【0018】
次に、転写装置EAの動作について説明する。
先ず、図1中実線で示す初期位置に各部材が配置された転写装置EAに対し、当該転写装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように原反RSおよび剥離用テープPTをセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、シート剥離手段50が吸引手段53Fを駆動し、吸着面53Dでの剥離用テープPTの吸着保持を開始するとともに、シート貼付手段30が回動モータ35Aを駆動し、原反RSを繰り出して先頭の積層シートLSの繰出方向先端部が剥離板33の剥離縁33Aで所定長さ剥離されると、回動モータ35Aの駆動を停止する。次いで、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、図1中実線で示すように第1支持テーブル62上に第1一体物UP1を載置すると、被着体搬送手段60が図示しない減圧手段を駆動し、内側、外側支持面62A、62Cでの第1一体物UP1の吸着保持を開始する。
【0019】
その後、シート切断手段10が多関節ロボット11を駆動し、図1中二点鎖線で示すように、被着体WKの外縁から所定間隔離れた位置で切断刃12を第1接着シートAS1に突き刺し、当該切断刃12を凹溝62Bに沿って1周させた後、切断刃12を初期位置に復帰させる。これにより、第1接着シートAS1が内側シートAS1Aと外側シートAS1Bとに分断される。次に、移送手段20が多関節ロボット11を駆動し、先端アーム11Aで保持していた切断刃12を切り離して当該先端アーム11Aで吸着パッド22を保持した後、当該吸着パッド22を第1リングフレームRF1の上面に当接させ、図示しない減圧手段を駆動し、吸着パッド22での第1リングフレームRF1の吸着保持を開始する。そして、被着体搬送手段60が図示しない減圧手段の駆動を停止し、外側支持面62Cでの第1一体物UP1の吸着保持を解除すると、移送手段20が多関節ロボット11を駆動し、外側シートAS1Bが貼付された第1リングフレームRF1を図示しない所定の回収位置に搬送した後、図示しない減圧手段の駆動を停止し、吸着パッド22での第1リングフレームRF1の吸着保持を解除する。次いで、移送手段20が多関節ロボット11を駆動し、フレームストッカ部STに集積されている最上部の第2リングフレームRF2の上面に吸着パッド22を当接させた後、図示しない減圧手段を駆動し、吸着パッド22での第2リングフレームRF2の吸着保持を開始する。その後、移送手段20が多関節ロボット11を駆動し、第2リングフレームRF2を外側支持面62C上に載置すると、被着体搬送手段60が図示しない減圧手段を駆動し、外側支持面62Cでの第2リングフレームRF2の吸着保持を開始する。次に、移送手段20が図示しない減圧手段の駆動を停止し、吸着パッド22での第2リングフレームRF2の吸着保持を解除した後、多関節ロボット11を駆動し、吸着パッド22を初期位置に復帰させ、先端アーム11Aで保持していた吸着パッド22を切り離して当該先端アーム11Aで切断刃12を保持する。
【0020】
そして、被着体搬送手段60がリニアモータ61を駆動し、第1支持テーブル62を右方へ移動させ、第1支持テーブル62がシート貼付手段30に対する所定の位置に到達すると、シート貼付手段30が回動モータ35Aを駆動し、第1支持テーブル62の移動速度に合わせて原反RSを繰り出す。これにより、積層シートLSが剥離シートRLから剥離され、図1中二点鎖線で示すように、第3接着シートAS3が第2リングフレームRF2の上面に、第2接着シートAS2が被着体WKの他方の面WK2に押圧ローラ34によって押圧されて貼付される。次いで、先頭の積層シートLS全体が第2リングフレームRF2および被着体WKに貼付されて第2一体物UP2が形成され、当該先頭の積層シートLSに続く次の積層シートLSの繰出方向先端部が剥離板33の剥離縁33Aで所定長さ剥離されると、シート貼付手段30が回動モータ35Aの駆動を停止する。
【0021】
その後も第1支持テーブル62の右方への移動が続行され、図1中二点鎖線で示すように、当該第1支持テーブル62が反転手段40の直下に到達すると、被着体搬送手段60がリニアモータ61の駆動を停止する。その後、反転手段40が直動モータ41を駆動し、図1中二点鎖線で示すように、フレーム42を下降させた後、各チャックモータ45を駆動し、各チャックアーム45Aで第2リングフレームRF2を把持する。次に、被着体搬送手段60が図示しない減圧手段の駆動を停止し、内側、外側支持面62A、62Cでの第2一体物UP2の吸着保持を解除すると、反転手段40が直動モータ41および回動モータ44を駆動し、第2一体物UP2を所定高さにまで持ち上げた後、当該第2一体物UP2を天地反転させる。そして、被着体搬送手段60がリニアモータ61を駆動し、第1支持テーブル62を初期位置に復帰させるとともに、第2支持テーブル63を反転手段40の直下に移動させた後、反転手段40が直動モータ41を駆動し、第2接着シートAS2が第2支持テーブル63側となるようにして、第2一体物UP2を第2支持テーブル63上に載置する。次いで、被着体搬送手段60が図示しない減圧手段を駆動し、保持部63Aおよび強保持部63Bでの第2一体物UP2の吸着保持を開始すると、反転手段40が直動モータ41およびチャックモータ45を駆動し、フレーム42およびチャックアーム45Aを初期位置に復帰させる。
【0022】
その後、被着体搬送手段60がリニアモータ61を駆動し、第2支持テーブル63を右方向に移動させ、図1中二点鎖線で示すように、被着体WKの左端部が押圧部材55Cの直下に位置すると、リニアモータ61の駆動を停止する。次に、シート剥離手段50が直動モータ54Aを駆動し、図1中二点鎖線で示すように、補助ローラ54Cを収容手段53Cの下方から退避させた後、回動モータ52Aおよび直動モータ53Aを駆動し、剥離用テープPTを繰り出しながら収容手段53Cを内側シートAS1Aの直上所定位置まで下降させる。そして、シート剥離手段50がリニアモータ55Aを駆動し、図2(A)に示すように、押圧部材55Cを下降させ、内側シートはみ出し部AS1Cが第2接着シートAS2に接触しないように、第3シートはみ出し部AS3Aと剥離用テープPTとで内側シートはみ出し部AS1Cを挟み込んだ後、加熱手段55Dを駆動し、剥離用テープPTを加熱して当該剥離用テープPTを内側シートAS1Aに接着させる。
【0023】
次いで、シート剥離手段50が吸引手段53Fの駆動を停止し、吸着面53Dでの剥離用テープPTの吸着保持を解除した後、直動モータ53Aおよびリニアモータ55Aを駆動し、収容手段53Cおよび押圧部材55Cを初期位置に復帰させる。その後、シート剥離手段50がリニアモータ57Aを駆動し、図2(B)に示すように、剥離ローラ57Cを右方向に移動させ、剥離用テープPTに張力を付与して被着体WKから内側シートAS1Aを剥離する。この際、第2支持テーブル63に強保持部63Bが設けられていることで、内側シートはみ出し部AS1Cと第3シートはみ出し部AS3Aとが接着していたとしても、第3接着シートAS3が内側シートAS1Aと共に起き上がり、被着体WKを持ち上げて破損させることはない。次に、被着体WKから内側シートAS1A全体が剥離され第3一体物UP3が形成されると、シート剥離手段50がリニアモータ57Aの駆動を停止した後、直動モータ54Aおよび吸引手段53Fを駆動し、図2(C)に示すように、補助ローラ54Cを初期位置に復帰させるとともに、吸着面53Dでの剥離用テープPTの吸着保持を開始する。そして、シート剥離手段50がリニアモータ56Aを駆動し、図2(C)に示すように、切断刃56Cを昇降させて剥離用テープPTを切断し、作業者または図示しない移送手段が内側シートAS1Aを回収すると、シート剥離手段50がリニアモータ57Aを駆動し、剥離ローラ57Cを初期位置に復帰させる。次いで、被着体搬送手段60がリニアモータ61を駆動し、第2支持テーブル63を初期位置に復帰させて図示しない減圧手段の駆動を停止し、保持部63Aおよび強保持部63Bでの第3一体物UP3の吸着保持を解除すると、作業者または図示しない搬送手段が第2支持テーブル63上の第3一体物UP3を次工程に搬送し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0024】
以上のような実施形態によれば、内側シートはみ出し部AS1Cが第2接着シートAS2に接触しないように、第3シートはみ出し部AS3Aと剥離用テープPTとで内側シートはみ出し部AS1Cを挟み込み、当該剥離用テープPTを内側シートAS1Aに押圧して貼付するので、緻密な動作制御が不要となり、装置が煩雑化することを防止することができる。
【0025】
本発明における手段及び工程は、それら手段及び工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、シート貼付手段は、被着体の外縁からはみ出る大きさの第2接着シートを介して、当該第2接着シートの外縁からはみ出る大きさの第3接着シートを前記被着体の他方の面に貼付可能なものであれば、どんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0026】
シート切断手段10は、第1接着シートAS1の貼付面側から当該第1接着シートAS1を切断してもよいし、第1接着シートAS1の非貼付面側から当該第1接着シートAS1を切断してもよいし、切断刃12を移動させる駆動機器(上記の実施形態では多関節ロボット11)を、移送手段20で吸着パッド22を移動させる駆動機器と共有させることなく、他の駆動機器で切断刃12を移動させてもよいし、切断刃12が多関節ロボット11に対して着脱できなくてもよいし、ブラケット12Aを介することなく多関節ロボット11が直接切断刃12を支持する構成でもよい。
【0027】
移送手段20は、吸着パッド22を移動させる駆動機器(上記の実施形態では多関節ロボット11)を、シート切断手段10で切断刃12を移動させる駆動機器と共有させることなく、他の駆動機器で吸着パッド22を移動させてもよいし、吸着パッド22が多関節ロボット11に対して着脱できなくてもよいし、フレーム21を介することなく多関節ロボット11が直接切吸着パッド22を支持する構成でもよいし、第1リングフレームRF1および外側シートAS1Bのうち少なくとも一方を第1支持テーブル62上から除去しなくてもよいし、外側シートAS1Bまたは外側シートAS1Bが貼付された第1リングフレームRF1を他の装置や人手等で所定の回収位置に搬送したり、第2リングフレームRF2を他の装置や人手等で第1支持テーブル62上に載置したりする場合や、第2リングフレームRF2を第1支持テーブル62上に載置しない場合、本発明の転写装置EAに備わっていなくてもよい。
【0028】
シート貼付手段30は、剥離シートRLに仮着された帯状接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込が形成されることで、その切込で仕切られた所定の領域が積層シートLSとされた原反を繰り出してもよいし、帯状接着シート基材が剥離シートRLに仮着された原反を採用し、帯状接着シート基材に閉ループ状または短寸幅方向全体の切込を切断手段で形成し、その切込で仕切られた所定の領域を積層シートLSとしてもよいし、帯状接着シート基材を被着体WKに貼付する構成でもよいし、積層シートLSを剥離シートRLから剥離する際、原反RSに所定の張力が付与されるように回動モータ35Aのトルク制御を行ってもよいし、支持ローラ31やガイドローラ32等の各ローラの代わりに板状部材やシャフト部材等で原反RSや剥離シートRLを支持したり案内したりしてもよいし、原反RSを巻回することなく例えばファンフォールド折りにして支持してもよいし、駆動機器としての直動モータの出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能な保持部材で積層シートLSを保持し、当該保持部材で保持した積層シートを被着体WKに押圧して貼付する構成の押圧手段を採用してもよいし、剥離シートRLをファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだり、無造作に集積したりして剥離シートRLを回収する回収手段を採用してもよいし、回収手段を採用しなくてもよいし、第1支持テーブル62を移動させずにまたは移動させつつ、自身が移動して被着体WKに積層シートLSを貼付してもよいし、剥離シートRLが仮着されていない積層シートLSを繰り出して被着体WKに貼付してもよいし、被着体WKに第2接着シートAS2を貼付し、第3接着シートを第1支持テーブル62に貼付する構成としたり、第3接着シートAS3を何にも貼付しない構成としたりしてもよいし、被着体WKに第2接着シートAS2を貼付する第1のシート貼付手段と、当該第2シート貼付手段で被着体WKに貼付された第2接着シートAS2に第3接着シートAS3を貼付する第2のシート貼付手段とを備えた構成でもよい。
【0029】
反転手段40は、第2一体物UP2における第2リングフレームRF2、第2接着シートAS2、第3接着シートAS3、内側シートAS1Aおよび被着体WKのうち少なくとも1つを保持し、当該第2一体物UP2を天地反転させる構成としてもよいし、第2一体物UP2を上昇させることなく、例えば、第1支持テーブル62を第2一体物UP2の下方から退避させておき、当該第2一体物UP2を天地反転させてもよいし、第1支持テーブル62または第2支持テーブル63に支持されている構成としてもよいし、回動モータ44を1体または3体以上としてもよいし、チャックモータ45を1体または3体以上としてもよいし、シート貼付手段30で第2一体物UP2が形成された状態のまま、例えば、第1支持テーブル62に支持された第2一体物UP2の下方から、シート剥離手段50が内側シートAS1Aを剥離できる構成である場合、本発明の転写装置EAに備わっていなくてもよい。
【0030】
シート剥離手段50は、内側シートAS1Aにおける内側シートはみ出し部AS1Cの外縁部よりも被着体WKに近付いた位置で、第3シートはみ出し部AS3Aと剥離用テープPTとで内側シートはみ出し部AS1Cを挟み込んでもよいし、枚葉の剥離用テープPTを内側シートAS1Aに貼付する構成でもよいし、支持ローラ51Cを繰出手段52方向に付勢することなく、繰出ローラ52Bとで剥離用テープPTを挟み込むピンチローラを採用し、当該剥離用テープPTを繰り出してもよいし、繰出手段52の駆動、リニアモータ61の駆動およびリニアモータ57Aの駆動のうち、少なくとも1つの駆動で、剥離用テープPTに張力を付与して被着体WKから内側シートAS1Aを剥離してもよいし、収容手段53Cを内側シートAS1Aの直上所定位置まで下降させた際、吸着面53Dで吸着保持している剥離用テープPTのリード端部を内側シートAS1Aに当接させてもよいし、収容手段53Cがなくてもよいし、保持補助手段54を採用せずに、内側シートAS1A剥離後の剥離用テープPTをリード保持手段53のみで保持する構成としてもよいし、保持補助手段54が補助ローラ54Cに代えてまたは併用して、棒状部材、板状部材、エアの吹き付け等で剥離用テープPTを吸着面53Dに当接させる構成を採用してもよいし、加熱手段55Dを採用することなく、または、加熱手段55Dを採用して感圧接着性の剥離用テープPTを内側シートAS1Aに貼付する構成でもよいし、押圧部材55Cの代わりに、気体を吹き付けて剥離用テープPTを内側シートAS1Aに貼付する構成を採用してもよいし、剥離用テープ貼付手段55および切断手段56の少なくとも一方が収容手段53Cに収容されていなくてもよいし、剥離用テープPTを切断しなくてもよいし、切断手段56を採用せずに他の装置や人手で剥離用テープPTを切断してもよいし、リニアモータ57Aおよび剥離ローラ57Cを採用することなく、例えば、テープ支持手段51、繰出手段52、リード保持手段53等の剥離用テープ保持部材を移動させずにまたは移動させつつ、第2支持テーブル63を移動させたり、第2支持テーブル63移動させずに剥離用テープ保持部材を移動させたり、第2一体物UP2を支持した他の装置を剥離用テープ保持部材に対して相対移動させたりすることで、剥離用テープPTに張力を付与して被着体WKから内側シートAS1Aを剥離してもよいし、第3接着シートAS3から内側シートAS1Aを強制的に剥離する強制剥離手段を備えていてもよく、このような強制剥離手段は、例えば、剥離時に振動を付与して剥離したり、内側シートはみ出し部AS1Cを吸着保持して剥離したり、エアやヘラ等で引き剥がしたりするもの等が例示できる。
【0031】
被着体搬送手段60は、第1支持テーブル62を移動させる駆動機器と、第2支持テーブル63を移動させる駆動機器とが別々でもよいし、第2支持テーブル63を採用することなく、第1支持テーブル62が第2支持テーブル63と同等の動作を行うようにしてもよいし、第1支持テーブル62および第2支持テーブル63の少なくとも一方を前後方向に移動させる駆動機器を採用し、各手段の作業領域内で被着体WKを左右方向にも移動できるようにしてもよいし、第1支持テーブル62に形成された凹溝62Bの平面視形状が三角や四角等の多角形の環状、円環状、楕円環状等どのような環状形状でもよいし、第1支持テーブル62に凹溝62Bが形成されていなくてもよいし、内側支持面62Aおよび外側支持面62Cに保持力を付与する系統を1系統としたり、それらに保持力を付与する系統をそれぞれ1系統ずつ設けて計2系統としたりしてもよいし、保持部63Aおよび強保持部63Bに保持力を付与する系統を1系統としたり、それらに保持力を付与する系統をそれぞれに1系統ずつ設けて計2系統としたりしてもよいし、内側シートAS1Aにおける被着体WKが貼付されていない領域に対応した一部または全部(環状)に強保持部63Bが形成されていてもよいし、本発明の転写装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよく、本発明の転写装置EAに備わっていていない場合、他の装置で被着体WKを搬送してもよいし、被着体WKを搬送することなく、シート貼付手段30やシート剥離手段50等の他の手段が移動してもよいし、本発明の転写装置EAに備わっている場合、被着体WKを搬送し、且つ、シート貼付手段30やシート剥離手段50等の他の手段を移動させてもよい。
【0032】
転写装置EAに供給される被着体WKは、第1リングフレームRF1に支持されることなく、第1接着シートAS1のみが貼付されていてもよい。
第1、第2フレーム部材は、環状の第1、第2リングフレームRF1、RF2以外に、例えば、環状でない部材でもよい。
【0033】
本発明における第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3、剥離用テープPTおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3、剥離用テープPTおよび被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3および剥離用テープPTは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3が採用された場合は、当該第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3を加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3および剥離用テープPTは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、第1、第2、第3接着シートAS1、AS2、AS3は、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0034】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
EA…転写装置
10…シート切断手段
30…シート貼付手段
50…シート剥離手段
AS1…第1接着シート
AS1A…内側シート
AS1B…外側シート
AS1C…内側シートはみ出し部
AS2…第2接着シート
AS3…第3接着シート
AS3A…第3シートはみ出し部
PT…剥離用テープ
WK…被着体
WK1…一方の面
WK2…他方の面
図1
図2