IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

特許7441747保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法
<>
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図1
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図2
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図3
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図4
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図5
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図6
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図7
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図8
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図9
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図10
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図11
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図12
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図13
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図14
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図15
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図16
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図17
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図18
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図19
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図20
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図21
  • 特許-保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020122951
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019229
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】宗 陽一郎
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-088045(JP,A)
【文献】特開2003-119831(JP,A)
【文献】特開2002-244707(JP,A)
【文献】特開2009-043205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機械の保全計画の策定を支援するための保全計画策定支援システムであって、
前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められており、
前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、
取得した前記点検周期情報に基づいて、次回の点検において点検すべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、
特定した点検箇所を含む保全計画参考情報を出力する参考情報出力部と
を備え
前記点検箇所特定部は、次回の点検に加えて、次々回の点検において点検すべき点検箇所を特定し、
前記参考情報出力部は、特定した点検箇所を次回の点検及び次々回の点検の別に分けて示す前記保全計画参考情報を出力する、
保全計画策定支援システム。
【請求項2】
産業用機械の保全計画の策定を支援するための保全計画策定支援システムであって、
前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められており、
前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、
取得した前記点検周期情報に基づいて、次回の点検において点検すべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、
特定した点検箇所を含む保全計画参考情報を出力する参考情報出力部と
を備え、
前記参考情報出力部は、次回の点検において点検すべき点検箇所に加えて、当該点検箇所に係る主要部位の他の点検箇所を含む前記保全計画参考情報を出力する、
保全計画策定支援システム。
【請求項3】
点検箇所毎の過去の点検結果を示す点検結果情報を取得する点検結果取得部と、
取得した点検結果情報に基づいて、前記点検周期情報で規定される点検周期を補正する点検周期補正部と
をさらに備え、
前記点検箇所特定部は、補正後の点検周期に基づいて、前記点検すべき点検箇所を特定する、
請求項1又は2に記載の保全計画策定支援システム。
【請求項4】
前記点検結果情報には、過去の点検後における各点検箇所の状態の評価値が含まれており、
前記点検周期補正部は、前記点検結果情報に含まれる各点検箇所の状態の評価値に応じて、前記点検周期情報で規定される点検周期を短縮する、
請求項に記載の保全計画策定支援システム。
【請求項5】
前記点検結果情報には、各点検箇所の過去の作業内容が含まれており、
前記点検周期補正部は、前記点検結果情報に含まれる各点検箇所の過去の作業内容に応じて、前記点検周期情報で規定される点検周期を延長する、
請求項3又は4に記載の保全計画策定支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用機械の保全計画の策定を支援する保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の故障を防止するためのメンテナンス計画を策定する管理システムが開示されている。この管理システムでは、定期的に作業機械の稼働データを受信して稼働データベースに記録しておき、故障予測を行うための基準値データベースと稼働データベースとを比較することにより故障予測を行い、その予測結果に基づいて、どの時期にどのような整備を行えば故障を予防できるかを示すメンテナンス計画を策定している。この管理システムによれば、自動的に実施された故障予測を活用するため、メンテナンス作業に従事するサービス員の熟練度が十分ではない場合でも、適切なメンテナンス計画を策定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-259729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の管理システムは、基準値データベースと稼働データベースとを比較して故障の兆候が検出された場合には有効であるものの、そのような兆候が検出されないような場合には適切なメンテナンス計画の策定が期待できない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、点検箇所の点検周期に基づくことによって担当者の熟練度にかかわらず適切な保全計画を策定することを可能にする保全計画策定支援システム及び保全計画策定支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の保全計画策定支援システムは、産業用機械の保全計画の策定を支援するための保全計画策定支援システムであって、前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められており、前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、取得した前記点検周期情報に基づいて、次回の点検において点検すべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、特定した点検箇所を含む保全計画参考情報を出力する参考情報出力部とを備える。
【0007】
上記態様において、点検箇所毎の過去の点検結果を示す点検結果情報を取得する点検結果取得部と、取得した点検結果情報に基づいて、前記点検周期情報で規定される点検周期を補正する点検周期補正部とをさらに備え、前記点検箇所特定部は、補正後の点検周期に基づいて、前記点検すべき点検箇所を特定するようにしてもよい。
【0008】
また、上記態様において、前記点検結果情報には、過去の点検後における各点検箇所の状態の評価値が含まれており、前記点検周期補正部は、前記点検結果情報に含まれる各点検箇所の状態の評価値に応じて、前記点検周期情報で規定される点検周期を短縮するようにしてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記点検結果情報には、各点検箇所の過去の作業内容が含まれており、前記点検周期補正部は、前記点検結果情報に含まれる各点検箇所の過去の作業内容に応じて、前記点検周期情報で規定される点検周期を延長するようにしてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記点検箇所特定部は、次回の点検に加えて、次々回の点検において点検すべき点検箇所を特定し、前記参考情報出力部は、特定した点検箇所を次回の点検及び次々回の点検の別に分けて示す前記保全計画参考情報を出力するようにしてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記参考情報出力部は、次回の点検において点検すべき点検箇所に加えて、当該点検箇所に係る主要部位の他の点検箇所を含む前記保全計画参考情報を出力するようにしてもよい。
【0012】
本発明の一の態様の保全計画策定支援方法は、産業用機械の保全計画の策定を支援するための保全計画策定支援方法であって、前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められており、前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得し、取得した前記点検周期情報に基づいて、次回の点検において点検すべき点検箇所を特定し、特定した点検箇所を含む保全計画参考情報を出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、担当者の熟練度にかかわらず適切な保全計画を策定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る保全計画策定支援システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る保全業務支援システムの構成例を示すブロック図である。
図3】データベースの例を示す図である。
図4】顧客別「納入設備機械情報」管理DBの例を示す図である。
図5】納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DBの例を示す図である。
図6】ユニット別「主要部位情報」マスター管理DBの例を示す図である。
図7】ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DBの例を示す図である。
図8】点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DBの例を示す図である。
図9】状態評価項目の例を示す図である。
図10】点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DBの例を示す図である。
図11】作業処置内容の例を示す図である。
図12】納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DBの例を示す図である。
図13】納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DBの例を示す図である。
図14】通常モードにおけるサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図15】サブ処理Aの手順を示すフローチャートである。
図16】サブ処理Bの手順を示すフローチャートである。
図17】画面例(1)を示す図である。
図18】画面例(2)を示す図である。
図19】画面例(3)を示す図である。
図20】点検結果反映モードにおけるサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図21】サブ処理Cの手順を示すフローチャートである。
図22】サブ処理Dの手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[システムの概要]
本実施形態に係る保全計画策定支援システムは、生産財機械等の産業用機械の保全計画の策定を支援するためのシステムである。
【0017】
産業用機械は、例えば、メーカ等の生産活動におけるエネルギー動力源としてのプロセスガス圧縮機や化学プラント等の製造・生産装置などであり、一般に、非汎用で一品一様な、それ故、高額なものである。このような産業用機械の場合、その性能を長期維持するために、定期的にプラントを停止させた上で当該機械を分解・解体し、機能点検作業及び機能復旧のための補修工事作業などを行う保全業務が必須となる。
【0018】
このような産業用機械の保全業務は、対象機械そのものが一品一様であるがために複雑多岐な業務内容になる傾向・要素が強く、1回の保全業務に要する時間(リードタイム)も相当程度必要になるため、高額化を招くという特徴がある。他方、産業用機械の所有者(主に企業)側では、生産機械設備停止による生産ロス(機会損出)を最小化したい、保全費用もできるだけ最小化したいなどの要求がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、産業用機械の構成機器・部品の点検箇所毎に定めれた標準点検周期を用いることにより、生産ロス及び保全費用の最小化に寄与する保全計画の策定を支援する。以下に、本実施の形態の構成を整理して説明する。
【0020】
[システムの構成]
本実施の形態において、保全計画策定支援システムは、1台のサーバで実現されている。図1は、そのサーバ及び接続先の構成を示す模式図である。サーバ1は、データベース2にアクセス可能である。なお、データベース2は、サーバ1の内部に設けられてもよいし、サーバ1の外部に設けられ、通信ネットワークを通じてアクセスされてもよい。
【0021】
サーバ1は、社内LAN等のコンピュータネットワークを介して複数の端末3と通信可能に接続されている。端末3は、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット端末等のコンピュータであり、産業用機械の製造メーカの担当者などによって使用される。
【0022】
サーバ1は、例えばHTTPデーモンを起動しており、端末3からブラウザを介して送信された処理要求(HTTPリクエスト)を受け付けると、処理要求に応じた処理結果(HTTPレスポンス)を端末3に返答する。
【0023】
例えば、サーバ1は、ウェブページ記述言語で記述されたページデータを処理結果として端末3に送信し、端末3は、サーバ1から受信したページデータを表すページ画像を自機の表示部に出力する。
【0024】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1の制御部10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御部10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。
【0025】
制御部10は、点検周期取得部11、点検周期補正部12、点検箇所特定部13、及び参考情報出力部14を備えている。これらの機能部は、制御部10のCPUがROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行することによって実現される。
【0026】
プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0027】
[データベース]
図3は、データベース2の例を示す図である。データベース2は、顧客別「納入設備機械情報」管理DB21、納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB22、ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB23、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24、点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DB25、点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DB26、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB27、及び、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB28を含んでいる。
【0028】
各顧客に納入された産業用機械である納入設備機械は、一又は複数のユニットで構成されている。また、このユニットは、一又は複数の主要部位で構成されている。そして、その主要部位毎に、1又は複数の点検箇所が定められている。後述するように、これらの納入設備機械、ユニット、主要部位、及び点検箇所に関する各種の情報が、データベース2に格納されている。
【0029】
図4に示すように、顧客別「納入設備機械情報」管理DB21は、顧客別に納入設備機械に関する情報を管理するためのデータベースであり、「顧客ID」、「顧客名称」、「機械No」、及び「機械種別情報」を含んでいる。
【0030】
図5に示すように、納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB22は、納入機械設備別にユニット構成に関する情報を管理するためのデータベースであり、「顧客ID」、「機械No」、「ユニットID」、「ユニット名称」、及び「稼働開始時期情報」を含んでいる。
【0031】
図6に示すように、ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB23は、ユニット別に主要部位に関する情報を管理するためのデータベースであり、「ユニットID」、「主要部位ID」、及び「主要部位名称」を含んでいる。
【0032】
図7に示すように、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24は、各ユニットの主要部位別に点検箇所に関する情報を管理するためのデータベースであり、「主要部位ID」、「点検箇所ID」、「点検箇所名称」、及び「標準点検周期」を含んでいる。なお、標準点検周期は、設備機械の初期納入時に設計仕様に基づいて各点検箇所について定められた点検周期である。この標準点検周期は、納入後の機能拡張によって変更される場合がある。
【0033】
図8に示すように、点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DB25は、点検箇所別に評価項目に関する情報を管理するためのデータベースであり、「点検箇所ID」、「状態評価項目ID」、「状態評価項目名称」、及び「標準点検周期マイナス影響度」を含んでいる。
【0034】
上記の状態評価項目は、点検箇所毎に設定された、分解時の状態評価指標である。各状態評価項目について、点検箇所の標準点検周期への影響度合値(標準点検周期マイナス影響度)が設定されている。本実施の形態の場合、この影響度合値は、保全計画における点検周期を標準点検周期よりも短縮するためのものである。
【0035】
図9には、上記の状態評価項目の例が示されている。本実施の形態では、図9に示すように、5つの状態評価項目が設定されており、各状態評価項目について標準点検周期マイナス影響度が0乃至1の範囲で設定されている。図9に示す例では、点検時の状態が良い方から順に、ID1から5までの状態評価項目が設定されており、ID1の状態評価項目の標準点検周期マイナス影響度が最も小さく、ID5の状態評価項目の標準点検周期マイナス影響度が最も大きくなっている。標準点検周期マイナス影響度の値が大きいほど、すなわち点検時の状態が良くないほど、点検周期がより短縮されることになる。
【0036】
図10に示すように、点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DB26は、点検箇所別に処置内容に関する情報を管理するためのデータベースであり、「点検箇所ID」、「作業処置内容ID」、「作業処置内容名称」、及び「標準点検周期プラス影響度」を含んでいる。
【0037】
上記の作業処置内容は、点検箇所ごとに設定された、分解後の組立作業内容である。各作業所内容について、点検箇所の標準点検周期への影響度合値(標準点検周期プラス影響度)が設定されている。本実施の形態の場合、この影響度合値は、保全計画における点検周期を標準点検周期よりも延長するためのものである。
【0038】
図11には、上記の作業処置内容の例が示されている。本実施の形態では、図11に示すように、5つの作業処置内容が設定されており、各作業処置内容について標準点検周期プラス影響度が0乃至1の範囲で設定されている。図11に示す例では、復旧の態様が軽微な方から順に、ID1からID5までの作業処置内容が設定されており、ID1の作業処置内容の標準点検周期プラス影響度が最も小さく、ID5の状態評価項目の標準点検周期プラス影響度が最も大きくなっている。標準点検周期プラス影響度の値が大きいほど、すなわち復旧の態様が重大であるほど、点検周期がより延長されることになる。
【0039】
図12に示すように、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB27は、各納入設備機械のユニット別に点検記録に関する情報を管理するためのデータベースであり、「工事実施年月」、「機械No」、「ユニットID」、「主要部位ID」、「点検箇所ID」、「状態評価結果」、「作業処置内容」、及び「作業時備忘録」を含んでいる。
【0040】
図13に示すように、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB28は、各納入設備機械のユニット別に点検計画(保全計画)に関する情報を管理するためのデータベースであり、「工事実施計画年月」、「機械No」、「ユニットID」、「主要部位ID」、及び「点検箇所ID」を含んでいる。
【0041】
[システムの動作]
次に、上述したように構成された保全計画策定支援システム(サーバ1)の動作について説明する。サーバ1は、(1)通常モード及び(2)点検結果反映モードの2つのモードで動作する。このうち、通常モードでは、データベース2で規定された標準点検周期を補正することなくそのまま用いて、点検すべき点検箇所が特定される。他方、点検結果反映モードでは、過去の点検結果に基づいて標準点検周期が補正された上で、点検すべき点検箇所が特定される。以下、各モードに分けて説明する。
【0042】
[(1)通常モードにおける動作]
図14は、通常モードにおけるサーバ1の制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、この処理に先立って、担当者による操作によって端末3がサーバ1にアクセスしているものとする。これにより、サーバ1は端末3からのリクエストを受付可能な状態にある。
【0043】
図14に示すように、制御部10はまず、端末3によって選択された顧客を特定した上で、顧客別「納入設備機械情報」管理DB21を検索することにより、顧客情報(顧客ID及び顧客名称)及びその顧客に納入されている設備機械の機械情報(機械No及び機械種別情報)を取得し、その取得した情報を端末3側に送信する(S101)。
【0044】
端末3では、サーバ1から受信した機械情報の中から保全対象となる設備機械の機械情報の機械Noが選択される。制御部10は、顧客ID及び選択された機械Noをキーにして納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB22を検索し、保全対象の設備機械のユニット構成情報を抽出する(S102)。このユニット構成情報には、ユニット毎の稼働開始時期情報(稼働開始年月)Xが含まれている。
【0045】
次に、制御部10は、抽出したユニット構成情報に含まれるユニットIDをキーにしてユニット別「主要部位情報」マスター管理DB23を検索し、保全対象の設備機械のユニット構成情報毎の主要部位情報を抽出する(S103)。
【0046】
次に、制御部10は、抽出した主要部位情報に含まれる主要部位IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24を検索し、保全対象の設備機械のユニット/主要部位毎の点検箇所情報を抽出する(S104)。この点検箇所情報には、点検箇所毎の標準点検周期(月数)Yが含まれている。なお、このステップS104の処理は、点検周期取得部11としての処理に相当する。
【0047】
次に、制御部10は、選択された機械Noをキーにして納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB27を検索し、保全対象の設備機械のユニット/点検部位/点検箇所毎の最新の点検記録情報を抽出する(S105)。この点検記録情報には、工事実施年月Zが含まれている。
【0048】
次に、制御部10は、サブ処理Aを実行して、保全対象の設備機械のユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])を算出する(S106)。以下、このサブ処理Aの内容について、図15を参照しながら説明する。
【0049】
サブ処理Aにおいて、制御部10はまず、点検箇所について最新の点検記録情報が存在するか否かを判定する(S201)。ここで存在すると判定した場合(S201でYES)、制御部10は、下記の式(1)によって次回点検時期候補T(l[n,m])を算出する(S202)。他方、存在しないと判定した場合(S201でNO)、制御部10は、下記の式(2)によって次回点検時期候補T(l[n,m])を算出する(S203)。
T(l[n,m])=Z(l[n,m])+Y(l[n,m]) …式(1)
T(l[n,m])=X(n)+Y(l[n,m]) …式(2)
但し、nはユニット、mはユニットnの主要部位、l[n,m]はユニットnの主要部位mの点検箇所を示している。また、XはステップS102で抽出された稼働開始年月Xであり、YはステップS104で抽出された標準点検周期Yであり、ZはステップS105で抽出された工事実施年月Zである。
【0050】
図14に戻り、制御部10は、算出したユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])の中から、最も直近のものT1及び2番目に直近のものT2を抽出する(S107)。
【0051】
次に、制御部10は、サブ処理Bを実行して、時点T1及びT2で点検実施する点検箇所を、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24から抽出する(S108)。以下、このサブ処理Bの内容について、図16を参照しながら説明する。
【0052】
サブ処理Bにおいて、制御部10はまず、サブ処理Aによって算出された、ユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])を取得し(S301)、それが時点T1と同一であるか否かを判定する(S302)。
【0053】
ステップS302において同一であると判定した場合(S302でYES)、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24を検索し、その点検箇所を次回点検項目に設定する(S303)。このステップS303の処理は、点検箇所特定部13としての処理に相当する。なお、ステップS302において同一ではないと判定された場合(S302でNO)、ステップS303の処理は実行されない。
【0054】
次に、制御部10は、すべてのユニット/主要部位の点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S304)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S304でNO)はステップS301に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S304でYES)はステップS305へ進む。
【0055】
制御部10は、ステップS301と同様にユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])を取得した上で(S305)、それが時点T2と同一であるか否かを判定する(S306)。
【0056】
ステップS306において同一であると判定した場合(S306でYES)、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24を検索し、その点検箇所を次々回点検項目に設定する(S307)。このステップS307の処理は、点検箇所特定部13としての処理に相当する。なお、ステップS306において同一ではないと判定された場合(S306でNO)、ステップS307の処理は実行されない。
【0057】
次に、制御部10は、すべてのユニット/主要部位の点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S308)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S308でNO)はステップS305に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S308でYES)は、サブ処理Bを終了する。
【0058】
図14に戻り、制御部10は、上述したようにして抽出された点検箇所に関する情報を含む保全計画参考情報を端末3側に送信する(S109)。このステップS109の処理は、参考情報出力部14としての処理に相当する。なお、この保全計画参考情報には、上記の抽出された点検箇所に係る主要部位の他の点検箇所、すなわち当該主要部位の点検箇所のうちでサブ処理Bによって抽出されなかった点検箇所に関する情報も含まれている。
【0059】
端末3では、サーバ1から受信した保全計画参考情報が表示部に表示される。担当者は、その保全計画参考情報を参考にして点検計画を確定し、端末3に対してその点検計画の登録を指示する。端末3はその指示をサーバ1に対して送信する。これを受けたサーバ1の制御部10は、その指示にしたがって、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB28に点検計画情報を保存する(S110)。
【0060】
以下、上記の保全計画参考情報が端末3の表示部に表示されるときの画面例について説明する。端末3の表示部には、図17乃至図19に示される画面例(1)乃至(3)の順に画面が表示される。
【0061】
図17に示す画面例(1)には、顧客及び設備機械を特定するための機械種別表示欄41、動作モードを選択するためのモード表示欄42、保全対象の設備機械を構成するユニットを表示するためのユニット表示欄43、次回計画の有無を表示するための次回計画表示欄44、及び次々回計画の有無を表示するための次々回計画表示欄45が設けられている。
【0062】
機械種別表示欄41は、顧客別「納入設備機械情報」管理DB21などに基づいて作成される。この機械種別表示欄41によって特定された設備機械を構成するユニットのユニット名称がユニット表示欄43に表示される。また、それらの各ユニットの次回計画の有無が次回計画表示欄44に、同じく次々回計画の有無が次々回計画表示欄45に、それぞれ表示される。ここで、上記のサブ処理BにおけるステップS303によって次回点検項目に設定されたユニットは次回計画有りとされ、同じくステップS307によって次々回点検項目に設定されたユニットは次々回計画有りとされる。なお、画面例(1)では、黒丸の有無によって計画の有無が示されている。
【0063】
担当者は、画面例(1)を参照して、次回計画表示欄44及び次々回計画表示欄45にて計画有りとされているものの中から所望のものを選択する。この選択が受け付けられると、図18に示す画面例(2)が表示される。ここでは、ユニットAについての次回計画が選択されたものとして説明を続ける。
【0064】
図18に示すように、画面例(2)には、画面例(1)のユニット表示欄43の代わりに、選択されたユニット(ここではユニットA)を構成する主要部位の主要部位名称を表示するための主要部位表示欄46が設けられている。そして、次回計画表示欄44及び次々回計画表示欄45には、それらの主要部位についての計画の有無が表示される。ここで、上記のサブ処理BにおけるステップS303によって次回点検項目に設定された主要部位は次回計画有りとされ、同じくステップS307によって次々回点検項目に設定された主要部位は次々回計画有りとされる。
【0065】
担当者は、画面例(2)を参照して、次回計画表示欄44及び次々回計画表示欄45にて計画有りとされているものの中から所望のものを選択する。この選択が受け付けられると、図19に示す画面例(3)が表示される。ここでは、ユニットAの主要部位マル6が選択されたものとして説明を続ける。
【0066】
図19に示すように、画面例(3)には、選択された主要部位の点検箇所のうち、点検作業の候補となっている点検箇所に関する情報を表示するための点検候補表示欄47、及び点検作業の候補となっていない点検箇所に関する情報を表示するための点検非候補表示欄48が設けられている。これらの点検候補表示欄47及び48は、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB27などに基づいて作成される。
【0067】
また、画面例(3)には、前回の点検計画を参照するための前回計画参照ボタン49、及び次回の点検計画を登録するための点検計画登録ボタン50が設けられている。
【0068】
点検候補表示欄47には、点検作業の候補となっている点検箇所の点検箇所名称、前回実施された点検内容、その実施時期、そのときの状態評価結果及び処置内容、並びに備忘録が表示されている。また、点検非候補表示欄48には、点検作業の候補となっていない点検箇所についての同様の情報が表示されている。
【0069】
担当者は、画面例(3)を参照して、点検候補表示欄47に表示されている点検箇所に関する情報を確認する。ここには、制御部10によって標準点検周期に基づいて点検すべきとされた点検箇所、すなわち次回の点検計画にて点検する必要性が高いと想定される点検箇所が示されている。担当者は、特段の支障がない限り、この点検箇所を次回の点検計画における点検対象に設定する。この設定は、点検計画登録ボタン50が押下されることによって行われる。
【0070】
また、担当者は、画面例(3)を参照して、点検非候補表示欄48に表示されている点検箇所に関する情報も併せて確認する。ここには、標準点検周期を基にした場合には点検すべきとされていない点検箇所ではあるものの、点検すべきとされた点検箇所と同一の主要部位のものが示されている。担当者は、作業の効率性などに基づいて、点検非候補表示欄48に表示されている点検箇所を、点検候補表示欄47に表示されている点検箇所と合わせて点検すべきか否かを判断する。その際、点検候補表示欄47に表示されている各種の情報が参考情報として活用される。その結果、合わせて検討すべきと判断した場合、担当者は、点検非候補表示欄48に表示されている点検箇所も次回の点検計画における点検対象に設定する。この設定は、点検計画登録ボタン50が押下されることによって行われる。
【0071】
なお、担当者は、必要に応じて、画面例(3)における前回計画参照ボタン49を押下する。この場合、前回の点検計画の内容を示す情報が表示部に表示される。当該情報は、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB28などに基づいて作成される。担当者は、その前回の点検計画の内容も参考にした上で、画面例(3)に表示される点検箇所を次回の点検計画における点検対象に設定するか否かを判断する。
【0072】
[(2)点検結果反映モードにおける動作]
次に、点検結果反映モードにおけるシステム1の動作について説明する。上述したとおり、点検結果反映モードでは、過去の点検結果に基づいて標準点検周期が補正された上で、点検すべき点検箇所が特定される。
【0073】
図20は、点検結果反映モードにおけるサーバ1の制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートである。図20に示すステップS401乃至S407は、図14に示す通常モードにおける処理手順のステップS101乃至S407と同一であるため、説明を省略する。以下、ステップS408以降の処理について説明する。
【0074】
制御部10は、サブ処理Cを実行して、保全対象の設備機械のユニット/主要部位の点検箇所毎の補正後次回点検時期候補T’(l[n,m])を算出する(S408)。以下、このサブ処理Cの内容について、図21を参照しながら説明する。
【0075】
サブ処理Cにおいて、制御部10はまず、点検箇所について最新の点検記録情報が存在するか否かを判定する(S501)。ここで存在すると判定した場合(S501でYES)、制御部10は、最新の点検記録情報の状態評価結果(状態評価項目ID)で点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DB25を検索し、標準点検周期マイナス影響度αを取得する(S502)。
【0076】
次に、制御部10は、最新の点検記録情報の作業処置内容(作業処置内容ID)で点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DB26を検索し、標準点検周期プラス影響度βを取得する(S503)。
【0077】
次に、制御部10は、点検箇所毎の標準点検周期(月数)Yの標準点検周期(日数換算値)Y'を下記式(3)によって算出し、2つの標準点検周期影響度α,βを用いて補正後標準点検周期(日数換算値)Y''を下記式(4)によって算出した上で、逆月換算した補正後標準点検周期(月換算値)Y'''を下記式(5)によって算出する(S504)。このステップS504の処理は、点検周期補正部12としての処理に相当する。
Y'=Y×30 …式(3)
Y''=Y'×(1-α+β) …式(4)
Y'''=(Y''÷30)の整数値 …式(5)
【0078】
なお、式(4)において、β-α>σ(>0)の場合は、β-α=σに補正される。この補正は、標準点検周期の補正によって点検周期を必要以上に延長させないようにするための処理である。例えば、過去に交換による復旧を行っていたとしても、点検周期が2倍になるということはないものの、上記の式(4)をそのまま用いると点検周期が2倍になることもあり得る。上記のσを導入すると、点検周期の延長の上限を設定することが可能になる。
【0079】
次に、制御部10は、下記の式(6)によって補正後次回点検時期候補T'(l[n,m])を算出する(S505)。
T'(l[n,m])=Z(l[n,m])+Y'''(l[n,m]) …式(6)
【0080】
また、ステップS501において最新の点検記録情報ないと判定された場合(S501でNO)、制御部10は、下記の式(7)によって補正後次回点検時期候補T'(l[n,m])を算出する(S506)。
T'(l[n,m])=X(n)+Y(l[n,m]) …式(7)
【0081】
図20に戻り、制御部10は、算出したユニット/主要部位の点検箇所毎の補正後次回点検時期候補T'(l[n,m])の中から、最も直近のものT1'及び2番目に直近のものT2'を抽出する(S409)。
【0082】
次に、制御部10は、サブ処理Dを実行して、時点T1'及びT2'で点検実施する点検箇所を、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24から抽出する(S410)。以下、このサブ処理Dの内容について、図22を参照しながら説明する。
【0083】
サブ処理Dにおいて、制御部10はまず、サブ処理Aによって算出された、ユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])を取得する(S601)。次に、制御部10は、時点T'1が時点T1よりも先であるか否かを判定する(S602)。
【0084】
ステップS602において先ではないと判定した場合(S602でNO)、制御部10は、取得したT(l[n,m])が時点T'1と同一であるか否かを判定する(S603)。同一であると判定した場合(S603でYES)、制御部10は、後述するステップS605へ進む。
【0085】
また、ステップS602において時点T'1が時点T1よりも先であると判定した場合(S602でYES)、制御部10は、T(l[n,m])が時点T'1と同一又はそれよりも後であって、且つ時点T1と同一又はそれよりも先であるか否かを判定する(S604)。当該条件を満足すると判定した場合(S604でYES)、制御部10は、後述するステップS605へ進む。
【0086】
ステップS605において、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24を検索し、その点検箇所を次回点検項目に設定する(S605)。このステップS605の処理は、点検箇所特定部13としての処理に相当する。なお、ステップS603又はS604でNOと判定された場合、ステップS605の処理は実行されない。
【0087】
次に、制御部10は、すべてのユニット/主要部位の点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S606)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S606でNO)はステップS601に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S606でYES)はステップS607へ進む。
【0088】
制御部10は、ステップS301と同様にユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T(l[n,m])を取得した上で(S607)、時点T'2が時点T2よりも先であるか否かを判定する(S608)。
【0089】
ステップS608において先ではないと判定した場合(S608でNO)、制御部10は、取得したT(l[n,m])が時点T'2と同一であるか否かを判定する(S609)。同一であると判定した場合(S609でYES)、制御部10は、後述するステップS611へ進む。
【0090】
また、ステップS608において時点T'2が時点T2よりも先であると判定した場合(S608でYES)、制御部10は、T(l[n,m])が時点T'2と同一又はそれよりも後であって、且つ時点T2と同一又はそれよりも先であるか否かを判定する(S610)。当該条件を満足すると判定した場合(S610でYES)、制御部10は、後述するステップS611へ進む。
【0091】
ステップS611において、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB24を検索し、その点検箇所を次々回点検項目に設定する(S611)。このステップS611の処理は、点検箇所特定部13としての処理に相当する。なお、ステップS609又はS610でNOと判定された場合、ステップS611の処理は実行されない。
【0092】
次に、制御部10は、すべてのユニット/主要部位の点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S612)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S612でNO)はステップS607に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S612でYES)は、サブ処理Dを終了する。
【0093】
図20に戻り、制御部10は、上述したようにして抽出された点検箇所に関する情報を含む保全計画参考情報を端末3側に送信する(S411)。このステップS411の処理は、参考情報出力部14としての処理に相当する。なお、通常モードの場合と同様に、この保全計画参考情報には、上記の抽出された点検箇所に係る主要部位の他の点検箇所、すなわち当該主要部位の点検箇所のうちでサブ処理Dによって抽出されなかった点検箇所に関する情報も含まれている。
【0094】
端末3では、サーバ1から受信した保全計画参考情報が表示部に表示される。担当者は、その保全計画参考情報を参考にして点検計画を確定し、端末3に対してその点検計画の登録を指示する。端末3はその指示をサーバ1に対して送信する。これを受けたサーバ1の制御部10は、その指示にしたがって、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB28に点検計画情報を保存する(S412)。
【0095】
この点検結果反映モードにおいても、通常モードの場合と同様に、保全計画参考情報が端末3の表示部に表示される。すなわち、図17乃至図19に示される画面例(1)乃至(3)と同様の画面が表示部に表示されることになる。但し、画面例(1)及び(2)のモード表示欄42には点検結果反映モードが選択される旨が示される。
【0096】
以上のように、本実施の形態では、点検箇所の標準点検周期に基づいて点検すべき点検箇所が自動的に特定される。これにより、担当者の熟練度が低い場合であっても、適切な保全計画の策定が可能になる。
【0097】
また、点検結果反映モードにおいては、過去の点検結果に応じて適宜補正された標準点検周期に基づいて点検箇所が特定されるため、より適切な保全計画の策定が可能になる。
【0098】
なお、何れのモードにおいても、次回の点検候補のみではなく、次々回の点検候補も提示される。これにより、担当者は、次々回の点検計画において候補となっている点検箇所については次回の点検計画の点検対象から外すなど、次々回の点検候補も考慮した上で適切な保全計画を策定することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施の形態では、単一のコンピュータによってサーバ1の機能が実現されているが、例えば複数のコンピュータによる分散システムによってサーバ1の機能が実現されてもよい。
【0100】
また、上記の実施の形態では、標準点検周期マイナス影響度及びプラス影響度を用いて標準点検周期の補正を行っているが、何れか一方のみを用いてその補正を行うようにしてもよい。
【0101】
また、上記の実施の形態では、状態評価項目を用いて標準点検周期マイナス影響度を設定し、作業処置内容を用いて標準点検周期プラス影響度を設定しているが、これに限定されるわけではない。点検箇所毎の過去の点検結果に関するその他の情報(作業に要した時間、作業の難易度など)を用いて、標準点検周期マイナス影響度及び/又はプラス影響度が設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 保全計画策定支援システム(サーバ)
10 制御部
11 点検周期取得部
13 点検周期補正部
13 点検箇所特定部
14 参考情報出力部
2 データベース
21 顧客別「納入設備機械情報」管理DB
22 納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB
23 ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB
24 ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB
25 点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DB
26 点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DB
27 納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB
28 納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB
3 端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22