(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】保全業務支援システム及び保全業務支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240222BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2020122952
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】宗 陽一郎
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-138029(JP,A)
【文献】特開2002-007600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機械の保全業務を支援するための保全業務支援システムであって、
前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められ、前記点検箇所毎に1又は複数の点検内容が定められており、
点検作業に要する時間である作業所要時間を前記点検内容毎に規定する作業所要時間情報を取得する作業所要時間取得部と、
点検作業に要する費用である作業所要費用を前記点検内容毎に規定する作業所要費用情報を取得する作業所要費用取得部と、
点検作業の候補となっていない点検内容に係る前記作業所要時間及び前記作業所要費用を含む点検計画参考情報を出力する参考情報出力部と
を備える、保全業務支援システム。
【請求項2】
前記産業用機械の点検作業について許容可能な期間を取得する許容可能期間取得部と、
取得した前記許容可能な期間、及び点検作業の候補となっている点検内容に係る前記作業所要時間に基づいて、残余期間を算出する残余期間算出部と
をさらに備え、
前記参考情報出力部は、算出した前記残余
期間を含む前記点検計画参考情報を出力する、
請求項1に記載の保全業務支援システム
【請求項3】
前記点検作業の候補となっていない点検内容を点検作業の候補とする旨の指示を受け付けた場合に、当該点検内容に係る前記作業所要時間、及び前記残余期間に基づいて、当該指示の適否を判定する第1判定部と、
前記指示が適当ではないと判定した場合に、警告情報を出力する第1警告出力部と
をさらに備える、
請求項2に記載の保全業務支援システム。
【請求項4】
前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、
取得した前記点検周期情報に基づいて、点検作業の候補となっていない点検箇所のうち点検作業の候補とすべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、
特定した点検箇所について定められている点検内容に係る前記作業所要時間、及び前記残余
期間に基づいて、点検作業の候補とすべき点検内容を特定する点検内容特定部と、
特定した点検内容を含む点検計画情報を出力する点検計画情報出力部と
をさらに備える、
請求項2又は3に記載の保全業務支援システム。
【請求項5】
前記産業用機械の点検作業について許容可能な費用を取得する許容費用取得部と、
取得した前記許容可能な費用、及び点検作業の候補となっている点検内容に係る前記作業所要費用に基づいて、残余費用を算出する残余費用算出部と
をさらに備え、
前記参考情報出力部は、算出した前記残余費用を含む前記点検計画参考情報を出力する、
請求項1に記載の保全業務支援システム
【請求項6】
前記点検作業の候補となっていない点検内容を点検作業の候補とする旨の指示を受け付けた場合に、当該点検内容に係る前記作業所要費用、及び前記残余費用に基づいて、当該指示の適否を判定する第2判定部と、
前記指示が適当ではないと判定した場合に、警告情報を出力する第2警告出力部と
をさらに備える、
請求項5に記載の保全業務支援システム。
【請求項7】
前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、
取得した前記点検周期情報に基づいて、点検作業の候補となっていない点検箇所のうち点検作業の候補とすべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、
特定した点検箇所について定められている点検内容に係る前記作業所要費用、及び前記残余費用に基づいて、点検作業の候補とすべき点検内容を特定する点検内容特定部と、
特定した点検内容を含む点検計画情報を出力する点検計画情報出力部と
をさらに備える、
請求項5又は6に記載の保全業務支援システム。
【請求項8】
点検箇所毎の過去の点検結果を示す点検結果情報を取得する点検結果取得部と、
取得した点検結果情報に基づいて、前記点検周期情報で規定される点検周期を補正する点検周期補正部と
をさらに備え、
前記点検箇所特定部は、補正後の点検周期に基づいて、前記点検作業の候補とすべき点検箇所を特定する、
請求項4又は7に記載の保全業務支援システム。
【請求項9】
産業用機械の保全業務を支援するための保全業務支援方法であって、
前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められ、前記点検箇所毎に1又は複数の点検内容が定められており、
点検作業に要する時間である作業所要時間を前記点検内容毎に規定する作業所要時間情報を取得し、
点検作業に要する費用である作業所要費用を前記点検内容毎に規定する作業所要費用情報を取得し、
点検作業の候補となっていない点検内容に係る前記作業所要時間及び前記作業所要費用を含む点検計画参考情報を出力する、
保全業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用機械の保全業務を支援する保全業務支援システム及び保全業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の故障を防止するためのメンテナンス計画を策定する管理システムが開示されている。この管理システムでは、定期的に作業機械の稼働データを受信して稼働データベースに記録しておき、故障予測を行うための基準値データベースと稼働データベースとを比較することにより故障予測を行い、その予測結果に基づいて、どの時期にどのような整備を行えば故障を予防できるかを示すメンテナンス計画を策定している。この管理システムによれば、自動的に実施された故障予測を活用するため、メンテナンス作業に従事するサービス員の熟練度が十分ではない場合でも、適切なメンテナンス計画を策定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の管理システムでは、機械の状態に基づくのみであって、産業用機械の所有者(顧客)側の要求が考慮されていないため、策定されたメンテナンス計画が顧客にとって実施困難なものになるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、産業用機械の顧客側の要求を満足する保全計画の策定を可能にする保全業務支援システム及び保全業務支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の保全業務支援システムは、産業用機械の保全業務を支援するための保全業務支援システムであって、前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められ、前記点検箇所毎に1又は複数の点検内容が定められており、点検作業に要する時間である作業所要時間を前記点検内容毎に規定する作業所要時間情報を取得する作業所要時間取得部と、点検作業に要する費用である作業所要費用を前記点検内容毎に規定する作業所要費用情報を取得する作業所要費用取得部と、点検作業の候補となっていない点検内容に係る前記作業所要時間及び前記作業所要費用を含む点検計画参考情報を出力する参考情報出力部とを備える。
【0007】
上記態様において、前記産業用機械の点検作業について許容可能な期間を取得する許容可能期間取得部と、取得した前記許容可能な期間、及び点検作業の候補となっている点検内容に係る前記作業所要時間に基づいて、残余期間を算出する残余期間算出部とをさらに備え、前記参考情報出力部は、算出した前記残余期間を含む前記点検計画参考情報を出力してもよい。
【0008】
また、上記態様において、前記点検作業の候補となっていない点検内容を点検作業の候補とする旨の指示を受け付けた場合に、当該点検内容に係る前記作業所要時間、及び前記残余期間に基づいて、当該指示の適否を判定する第1判定部と、前記指示が適当ではないと判定した場合に、警告情報を出力する第1警告出力部とをさらに備えてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、取得した前記点検周期情報に基づいて、点検作業の候補となっていない点検箇所のうち点検作業の候補とすべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、特定した点検箇所について定められている点検内容に係る前記作業所要時間、及び前記残余期間に基づいて、点検作業の候補とすべき点検内容を特定する点検内容特定部と、特定した点検内容を含む点検計画情報を出力する点検計画情報出力部とをさらに備えてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記産業用機械の点検作業について許容可能な費用を取得する許容費用取得部と、取得した前記許容可能な費用、及び点検作業の候補となっている点検内容に係る前記作業所要費用に基づいて、残余費用を算出する残余費用算出部とをさらに備え、前記参考情報出力部は、算出した前記残余費用を含む前記点検計画参考情報を出力してもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記点検作業の候補となっていない点検内容を点検作業の候補とする旨の指示を受け付けた場合に、当該点検内容に係る前記作業所要費用、及び前記残余費用に基づいて、当該指示の適否を判定する第2判定部と、前記指示が適当ではないと判定した場合に、警告情報を出力する第2警告出力部とをさらに備えてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記点検箇所毎に点検周期を規定する点検周期情報を取得する点検周期取得部と、取得した前記点検周期情報に基づいて、点検作業の候補となっていない点検箇所のうち点検作業の候補とすべき点検箇所を特定する点検箇所特定部と、特定した点検箇所について定められている点検内容に係る前記作業所要費用、及び前記残余費用に基づいて、点検作業の候補とすべき点検内容を特定する点検内容特定部と、特定した点検内容を含む点検計画情報を出力する点検計画情報出力部とをさらに備えてもよい。
【0013】
また、上記態様において、点検箇所毎の過去の点検結果を示す点検結果情報を取得する点検結果取得部と、取得した点検結果情報に基づいて、前記点検周期情報で規定される点検周期を補正する点検周期補正部とをさらに備え、前記点検箇所特定部は、補正後の点検周期に基づいて、前記点検作業の候補とすべき点検箇所を特定してもよい。
【0014】
本発明の一の態様の保全業務支援方法は、産業用機械の保全業務を支援するための保全業務支援方法であって、前記産業用機械は、1又は複数の主要部位で構成される1又は複数のユニットを含み、前記主要部位毎に1又は複数の点検箇所が定められ、前記点検箇所毎に1又は複数の点検内容が定められており、点検作業に要する時間である作業所要時間を前記点検内容毎に規定する作業所要時間情報を取得し、点検作業に要する費用である作業所要費用を前記点検内容毎に規定する作業所要費用情報を取得し、点検作業の候補となっていない点検内容に係る前記作業所要時間及び前記作業所要費用を含む点検計画参考情報を出力する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、担当者の熟練度にかかわらず適切な保全計画を策定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る保全業務支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る保全業務支援システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】顧客別「納入設備機械情報」管理DBの例を示す図である。
【
図5】納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DBの例を示す図である。
【
図6】ユニット別「主要部位情報」マスター管理DBの例を示す図である。
【
図7】ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DBの例を示す図である。
【
図8】ユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DBの例を示す図である。
【
図9】点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DBの例を示す図である。
【
図11】点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DBの例を示す図である。
【
図13】納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DBの例を示す図である。
【
図14】納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DBの例を示す図である。
【
図15】納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DBの例を示す図である。
【
図16A】第1フェーズにおいてサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図16B】第1フェーズにおいてサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】第2フェーズにおいてサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図22】第2フェーズの変形例1においてサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図25】サブ処理(1)の手順を示すフローチャートである。
【
図26】サブ処理(2)の手順を示すフローチャートである。
【
図27】サブ処理(3)の手順を示すフローチャートである。
【
図28】第2フェーズの変形例2においてサーバの制御部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図29】サブ処理(4)の手順を示すフローチャートである。
【
図30】サブ処理(5)の手順を示すフローチャートである。
【
図31】サブ処理(6)の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
[システムの概要]
本実施形態に係る保全業務支援システムは、生産財機械等の産業用機械の保全業務を支援するためのシステムである。
【0019】
産業用機械は、例えば、メーカ等の生産活動におけるエネルギー動力源としてのプロセスガス圧縮機や化学プラント等の製造・生産装置などであり、一般に、非汎用で一品一様な、それ故、高額なものである。このような産業用機械の場合、その性能を長期維持するために、定期的にプラントを停止させた上で当該機械を分解・解体し、機能点検作業及び機能復旧のための補修工事作業などを行う保全業務が必須となる。
【0020】
このような産業用機械の保全業務は、対象機械そのものが一品一様であるがために複雑多岐な業務内容になる傾向・要素が強く、1回の保全業務に要する時間(リードタイム)も相当程度必要になるため、高額化を招くという特徴がある。他方、産業用機械の顧客側では、生産機械設備停止による生産ロス(機会損出)を最小化したい、保全費用もできるだけ最小化したいなどの要求がある。
【0021】
そこで、本実施の形態では、産業用機械の構成機器・部品の各点検箇所の点検内容毎に定めれた作業所要時間及び作業所要費用を用いることにより、顧客側の要求を満足する保全計画の策定を支援する。以下に、本実施の形態の構成を整理して説明する。
【0022】
[システムの構成]
本実施の形態において、保全業務支援システムは、1台のサーバで実現されている。
図1は、そのサーバ及び接続先の構成を示す模式図である。サーバ1は、データベース2にアクセス可能である。なお、データベース2は、サーバ1の内部に設けられてもよいし、サーバ1の外部に設けられ、通信ネットワークを通じてアクセスされてもよい。
【0023】
サーバ1は、社内LAN等のコンピュータネットワークを介して複数の端末3と通信可能に接続されている。端末3は、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット端末等のコンピュータであり、産業用機械の製造メーカの担当者などによって使用される。
【0024】
サーバ1は、例えばHTTPデーモンを起動しており、端末3からブラウザを介して送信された処理要求(HTTPリクエスト)を受け付けると、処理要求に応じた処理結果(HTTPレスポンス)を端末3に返答する。
【0025】
例えば、サーバ1は、ウェブページ記述言語で記述されたページデータを処理結果として端末3に送信し、端末3は、サーバ1から受信したページデータを表すページ画像を自機の表示部に出力する。
【0026】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1の制御部10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御部10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。
【0027】
制御部10は、作業所要時間取得部11、作業所要費用取得部12、残余期間算出部13、残余費用算出部14、及び参考情報出力部15を備えている。これらの機能部は、制御部10のCPUがROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行することによって実現される。
【0028】
プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0029】
[データベース]
図3は、データベース2の例を示す図である。データベース2は、顧客別「納入設備機械情報」管理DB201、納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB202、ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB203、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204、ユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205、点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DB206、点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DB207、納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209、及び、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210を含んでいる。
【0030】
各顧客に納入された産業用機械である納入設備機械は、一又は複数のユニットで構成されている。また、このユニットは、一又は複数の主要部位で構成されている。そして、その主要部位毎に、1又は複数の点検箇所が定められており、その点検箇所毎に、1又は複数の点検内容が定められている。後述するように、これらの納入設備機械、ユニット、主要部位、点検箇所、及び点検内容に関する各種の情報が、データベース2に格納されている。
【0031】
図4に示すように、顧客別「納入設備機械情報」管理DB201は、顧客別に納入設備機械に関する情報を管理するためのデータベースであり、「顧客ID」、「顧客名称」、「機械No」、及び「機械種別情報」を含んでいる。
【0032】
図5に示すように、納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB202は、納入機械設備別にユニット構成に関する情報を管理するためのデータベースであり、「顧客ID」、「機械No」、「ユニットID」、「ユニット名称」、及び「稼働開始時期情報」を含んでいる。
【0033】
図6に示すように、ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB203は、ユニット別に主要部位に関する情報を管理するためのデータベースであり、「ユニットID」、「主要部位ID」、及び「主要部位名称」を含んでいる。
【0034】
図7に示すように、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204は、各ユニットの主要部位別に点検箇所に関する情報を管理するためのデータベースであり、「主要部位ID」、「点検箇所ID」、「点検箇所名称」、及び「標準点検周期」を含んでいる。なお、標準点検周期は、設備機械の初期納入時に設計仕様に基づいて各点検箇所について定められた点検周期である。この標準点検周期は、納入後の機能拡張によって変更される場合がある。
【0035】
図8に示すように、ユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205は、点検箇所別に点検作業の内容(以下、「点検内容」という)に関する情報を管理するためのデータベースであり、「点検箇所ID」、「点検内容ID」、「点検内容名称」、「標準作業所要時間」及び「標準作業所要費用」を含んでいる。なお、標準作業所要時間は、各点検内容の作業に要する時間であり、標準作業所要費用は、その作業に要する費用である。
【0036】
上記の点検内容としては、例えば、各点検箇所の分解、エレメント点検・交換、及び目視による点検・清掃などが挙げられる。後述するように、担当者が各点検内容を選択することによって、点検計画が作成される。
【0037】
図9に示すように、点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DB206は、点検内容別に評価項目に関する情報を管理するためのデータベースであり、「点検箇所ID」、「点検内容ID」、「状態評価項目ID」、「状態評価項目名称」、及び「標準点検周期マイナス影響度」を含んでいる。
【0038】
上記の状態評価項目は、点検内容毎に設定された、分解時の状態評価指標である。各状態評価項目について、点検箇所の標準点検周期への影響度合値(標準点検周期マイナス影響度)が設定されている。本実施の形態の場合、この影響度合値は、保全計画における点検周期を標準点検周期よりも短縮するためのものである。
【0039】
図10には、上記の状態評価項目の例が示されている。本実施の形態では、
図10に示すように、5つの状態評価項目が設定されており、各状態評価項目について標準点検周期マイナス影響度が0乃至1の範囲で設定されている。
図10に示す例では、点検時の状態が良い方から順に、ID1から5までの状態評価項目が設定されており、ID1の状態評価項目の標準点検周期マイナス影響度が最も小さく、ID5の状態評価項目の標準点検周期マイナス影響度が最も大きくなっている。標準点検周期マイナス影響度の値が大きいほど、すなわち点検時の状態が良くないほど、点検周期がより短縮されることになる。
【0040】
図11に示すように、点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DB207は、点検内容別に処置内容に関する情報を管理するためのデータベースであり、「点検箇所ID」、「点検内容ID」、「作業処置内容ID」、「作業処置内容名称」、及び「標準点検周期プラス影響度」を含んでいる。
【0041】
上記の作業処置内容は、点検内容毎に設定された、分解後の組立作業内容である。各作業所内容について、点検箇所の標準点検周期への影響度合値(標準点検周期プラス影響度)が設定されている。本実施の形態の場合、この影響度合値は、保全計画における点検周期を標準点検周期よりも延長するためのものである。
【0042】
図12には、上記の作業処置内容の例が示されている。本実施の形態では、
図12に示すように、5つの作業処置内容が設定されており、各作業処置内容について標準点検周期プラス影響度が0乃至1の範囲で設定されている。
図12に示す例では、復旧の態様が軽微な方から順に、ID1からID5までの作業処置内容が設定されており、ID1の作業処置内容の標準点検周期プラス影響度が最も小さく、ID5の状態評価項目の標準点検周期プラス影響度が最も大きくなっている。標準点検周期プラス影響度の値が大きいほど、すなわち復旧の態様が重大であるほど、点検周期がより延長されることになる。
【0043】
図13に示すように、納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB208は、納入設備機械別に点検整備工事に関する情報を管理するためのデータベースであり、「工事オーダー番号」、「機械No」、「点検整備工事・開始日」、「客先プラント停止可能日数」、「客先予算」、「計画時・総作業時間」、及び「計画時・総費用」を含んでいる。
【0044】
上記の客先プラント停止可能日数は、点検整備工事について顧客が許容可能な期間の一例であって、点検整備工事を実施するために、設備機械が設置されているプラントを停止することが可能な期間である。また、上記の客先予算は、点検整備工事についての顧客の予算、すなわち顧客が許容可能な費用である。
【0045】
図14に示すように、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209は、各納入設備機械のユニット別に点検計画(保全計画)に関する情報を管理するためのデータベースであり、「工事オーダー番号」、「機械No」、「ユニットID」、「主要部位ID」、「点検箇所ID」、及び「点検内容ID」を含んでいる。
【0046】
図15に示すように、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210は、各納入設備機械のユニット別に点検記録に関する情報を管理するためのデータベースであり、「工事オーダー番号」、「点検整備工事実施年月」、「機械No」、「ユニットID」、「主要部位ID」、「点検箇所ID」、「点検内容ID」、「状態評価結果」、「作業処置内容」、及び「作業時備忘録」を含んでいる。
【0047】
[システムの動作]
次に、上述したように構成された保全業務支援システム(サーバ1)の動作について説明する。
本システムを利用した保全業務(点検整備)の流れは、第1フェーズ及び第2フェーズの2つのフェーズに分けられる。
【0048】
第1フェーズは、顧客側の設備保全担当者、又はその設備保全担当者から業務依頼を受けた保全工事請負業者担当者が、顧客の要求仕様(点検整備のためにプラントを停止可能な日数及び点検整備に費やすことができる費用を含む)に基づいて、策定済みの点検計画を見直して、今回の点検整備工事で実施する範囲・内容を確定させるフェーズである。また、第2フェーズは、点検整備遂行者が、第1フェーズで確定された点検整備工事の実施範囲・内容を適宜修正しながら点検整備作業を実施するフェーズである。
【0049】
サーバ1の制御部10は、第1フェーズ及び第2フェーズのそれぞれにおいて、所定の処理を実行する。以下、各フェーズに分けて、サーバ1の動作について説明する。
【0050】
[第1フェーズ]
第1フェーズにおいて、サーバ1の制御部10は、今回の点検整備工事を実施する範囲・内容の確定を支援するための処理を実行する。
図16A及び
図16Bは、その処理手順を示すフローチャートである。
【0051】
図16Aに示すように、制御部10はまず、設備保全担当者又は保全工事請負業者担当者によって選択された顧客を特定した上で、顧客別「納入設備機械情報」管理DB201を検索することにより、顧客情報(顧客ID及び顧客名称)及びその顧客に納入されている設備機械の機械情報(機械No及び機械種別情報)を取得し、その取得した情報を端末3側に送信する(S101)。
【0052】
端末3では、サーバ1から受信した情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図17は、その際に表示される画面の一例である画面例(1)を示す図である。この画面例(1)には、顧客及び設備機械を特定するための機械種別表示欄41、工事オーダー番号を特定するための工事オーダー番号表示欄42、顧客要求を特定するための顧客要求表示欄43、点検整備工事の範囲を特定するための点検整備工事範囲表示欄44、後述する残余期間を表示するための残余期間表示欄45、同じく残余費用を表示するための残余費用表示欄46、検索の実行を指示するための検索実行ボタン47、及び工事内容の作成を指示するための工事内容作成ボタン48が設けられている。
【0053】
ステップS101が実行された後に端末3にて表示される画面例(1)の場合、点検整備工事範囲表示欄44では、すべての点検部位(主要部位)が工事実施対象の範囲外である旨が表示される。また、残余期間表示欄45及び残余費用表示欄46は空欄となっている。
【0054】
端末3では、設備保全担当者又は保全工事請負業者担当者によって、機械種別表示欄41から保全対象となる設備機械が選択され、今回の工事に割り当てられている工事オーダー番号が入力された上で、検索実行ボタン47が押下される。
【0055】
制御部10は、上述した入力を受け付けると(S102)、顧客ID及び保全対象の設備機械の機械Noをキーにして納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB202を検索し、保全対象の設備機械のユニット構成情報を抽出する(S103)。
【0056】
次に、制御部10は、抽出したユニット構成情報に含まれるユニットIDをキーにしてユニット別「主要部位情報」マスター管理DB203を検索し、保全対象の設備機械のユニット毎の主要部位情報を抽出する(S104)。
【0057】
次に、制御部10は、機械Noをキーにして納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210を検索し、点検整備工事対象の設備機械のユニット/点検部位/点検箇所毎の点検記録情報のうちの最新のものを抽出する(S105)。この最新点検記録情報には、工事実施年月P1が含まれている。
【0058】
次に、制御部10は、工事オーダー番号をキーにして納入設備機械別「点検整備工事案件情報」管理DB208を検索し、今回の工事の工事案件詳細情報を抽出する(S106)。この工事案件詳細情報には、点検整備工事・開始日P2、客先プラント停止可能日数T1、及び客先予算C1が含まれている。これらの点検整備工事・開始日P2、客先プラント停止可能日数T1、及び客先予算C1は、顧客側の要求に相当する。
【0059】
次に、制御部10は、工事オーダー番号をキーにして納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209を検索し、既に策定されている点検計画(以下、「現計画」という)の内容を示す今回工事実施対象範囲情報及び今回工事実施内容情報を抽出する(S107)。この今回工事実施対象範囲情報には、ユニット情報P3、及び主要部位情報P4が含まれている。また、今回工事実施内容情報には、点検箇所ID、及び点検内容IDが含まれている。第1フェーズでは、この現計画の見直しが図られることになる。
【0060】
次に、制御部10は、今回工事実施内容情報に含まれている点検箇所ID及び点検内容IDをキーにしてユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205を検索し、点検箇所/点検内容毎の標準作業所要時間及び標準作業所要費用を抽出(作業所要時間取得部11及び作業所要費用取得12としての処理に相当)した上で、現在の点検計画における総作業時間(Hr)T2及び総作業費用(千円)C2を算出する(S108)。ここで、総作業時間T2は、現計画にしたがった場合に実施される点検内容毎の標準作業所要時間の合計である。また、総作業費用C2は、同じく点検内容毎の標準作業所要費用の合計である。
【0061】
次に、制御部10は、上記のようにして得られた客先プラント停止可能日数T1、客先予算C1、総作業時間T2、及び総作業費用C2に基づき、下記式(1)及び(2)を用いて、残余期間(プラント停止可能日数-総作業時間)T、及び残余費用(客先予算-総作業費用)Cを算出する(S109)。これは、残余期間算出部13及び残余費用算出部14としての処理に相当する。
T=T1×(1日の労働時間)-T2(単位:Hr) …式(1)
C=C1-C2(単位:千円) …式(2)
【0062】
次に、制御部10は、上記のようにして得られた工事実施年月P1、点検整備工事・開始日P2、ユニット情報P3、主要部位情報P4、残余期間T、及び残余費用Cによって生成される画面情報を端末3側に送信する(S110)。
【0063】
端末3では、サーバ1から受信した画面情報に基づいて、
図17に示す画面例(1)が表示される。この場合、点検整備工事範囲表示欄44には、ユニット情報P3及び主要部位情報P4によって特定される情報が表示される。また、残余期間表示欄45及び残余費用表示欄46には、残余期間T及び残余費用Cがそれぞれ表示される。
【0064】
端末3では、顧客側の設備保全担当者又は保全工事請負業者担当者によって、顧客要求表示欄43に、点検整備工事・開始日P2、客先プラント停止可能日数T1、及び客先予算C1が入力され、さらに、点検整備工事範囲表示欄44において各点検部位を工事実施対象範囲内に入れるか否かが選択されることにより今回工事実施対象範囲情報が入力され、工事内容作成ボタン48が押下される。
【0065】
なお、点検整備工事・開始日P2、客先プラント停止可能日数T1、及び客先予算C1については、現計画のものと同じであれば入力は不要であり、異なる場合(例えば、想定していた予算が変更になった場合など)にのみ入力されればよい。入力があった場合、サーバ1側では、上記の式(1)及び式(2)にしたがって、残余期間T及び残余費用Cが再計算される。
【0066】
制御部10は、上記の入力を受け付けると(S111)、今回工事の実施対象範囲とされているユニット情報P3及び主要部位情報P4に基づいて、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204、ユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205、及び納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210を検索し、その結果に基づいて、今回の工事において点検可能な点検内容を特定する(S112)。
【0067】
ステップS112において、制御部10は、今回工事の実施対象範囲とされている主要部位のすべての点検箇所について設定されている点検内容を、今回の工事において点検可能な点検内容として特定する。これにより、現計画においては実施対象の範囲外となっている点検内容、すなわち現計画においては点検作業の候補となっていない点検内容も、点検可能な点検内容として特定されることになる。
【0068】
次に、制御部10は、特定した点検内容を含む点検計画参考情報を端末3側に送信する(S113)。これは、参考情報出力部15としての処理に相当する。
【0069】
端末3では、サーバ1から受信した点検計画参考情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図18は、その際に表示される画面の一例である画面例(2)を示す図である。この画面例(2)には、ユニットを特定するためのユニット表示欄51、点検部位(主要部位)を特定するための点検部位表示欄52、今回点検工事において点検作業の候補となっている点検箇所を特定するための点検作業候補群表示欄53、点検作業の候補となっていない点検箇所を特定するための点検作業非候補群表示欄54、及び点検内容の登録を指示するための点検内容登録ボタン55が設けられている。また、画面例(2)には、画面例(1)と同様の機械種別表示欄41、残余期間表示欄45、及び残余費用表示欄46が設けられている。
【0070】
点検作業非候補群表示欄54には、点検作業の候補となっている点検箇所(点検作業候補群表示欄53に表示されている点検箇所)に係る主要部位の他の点検箇所が表示される。そのため、当該点検箇所は、点検作業の候補となっている点検箇所と併せて点検することが可能であり、今回工事の実施対象範囲に含めてもよいものといえる。
【0071】
点検作業候補群表示欄53及び点検作業非候補群表示欄54には、各点検部位の点検箇所毎に、点検内容、その点検内容の標準作業所要費用(標準コスト)及び標準作業所要時間、並びに備忘録の内容が表示されている。
【0072】
設備保全担当者又は保全工事請負業者担当者は、画面例(2)を参照して、現計画の見直しを図る。例えば、残余期間及び残余費用が十分にあることが確認できる場合、当該担当者は、点検作業非候補表示欄54に表示されている各点検内容のうち、作業を実施することが適当と考えられるものを選択する。このようにして特定の点検内容が選択された後、点検内容登録ボタン55が押下される。
【0073】
制御部10は、上述した点検部位/点検箇所毎の点検内容の選択を受け付けると、その内容にしたがって、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209に、データを追加する(S114)。具体的には、選択された点検内容を特定する点検内容IDが納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209に保存される。
【0074】
次に、制御部10は、追加された点検部位の点検箇所ID及び点検内容IDをキーにしてユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205を検索し、点検箇所/点検内容毎の「標準作業所要時間」及び「標準作業所要費用」を抽出した上で、追加された分の総作業時間(Hr)T3及び総作業費用(千円)C3を算出する(S115)。
【0075】
次に、制御部10は、上記のようにして得られた客先プラント停止可能日数T1、客先予算C1、総作業時間T2、総作業費用C2、並びに、追加分の総作業時間T3及び総作業費用C3に基づき、下記式(3)及び(4)を用いて、残余期間T及び残余費用Cを算出する(S116)。
T=T1×(1日の労働時間)-(T2+T3)(単位:Hr) …式(3)
C=C1-(C2+C3)(単位:千円) …式(4)
【0076】
次に、制御部10は、残余期間T<0及び残余費用C<0の何れかが成立するか否かを判定する(S117)。ここで、何れかが成立する場合、顧客側の要求が満たされないことになる。そのため、ステップS117において何れかが成立すると判定した場合(S117でYES)、制御部10は、直近で点検内容登録を実行した点検箇所の点検内容を見直すように端末3側にアラート(警告情報)を送信する(S118)。これにより、点検整備工事の実施に必要なプラント停止日数が客先プラント停止可能日数を超えたり、その実施に必要な費用が客先予算を超えたりすることが防止される。
【0077】
ステップS118が実行された場合、端末3では、点検内容登録作業が再度実施される。この場合、制御部10は、ステップS114に戻り、それ以降の処理を実行する。
【0078】
他方、ステップS117において、残余期間T及び残余費用Cの何れもが0未満ではないと判定した場合(S117でNO)、制御部10は、今回工事の実施対象範囲のユニット/点検部位において、少なくとも1つ以上の点検箇所で少なくとも1つ以上の点検内容が設定されているか否かを判定する(S119)。
【0079】
ステップS118で1つも点検内容が設定されていないと判定した場合(S119でNO)、制御部10は、ステップS112に戻り、それ以降の処理を実行する。他方、1つ以上の点検内容が設定されていると判定した場合(S119でYES)、制御部10は、設定されている点検内容の標準作業所要時間及び標準作業所要費用を用いて計画時・総作業時間及び計画時・総費用を算出し、工事オーダー番号及び機械Noをキーにして納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB208にデータを登録する(S120)。
【0080】
以上の処理によって、顧客側の要求を満足した上で、現計画の見直しが図られ、今回の点検整備工事で実施する範囲・内容が確定する。次に、このようにして第1フェーズで確定された実施範囲・内容に沿って、保全業務の遂行者が点検整備作業を実施する第2フェーズに移る。
【0081】
[第2フェーズ]
第2フェーズにおいて、サーバ1の制御部10は、点検整備遂行者による今回の点検整備工事の実施を支援するための処理を実行する。
図19は、その処理手順を示すフローチャートである。
【0082】
図19に示すように、制御部10はまず、点検整備遂行者によって選択された顧客を特定した上で、顧客別「納入設備機械情報」管理DB201を検索することにより、顧客情報(顧客ID及び顧客名称)及びその顧客に納入されている設備機械の機械情報(機械No及び機械種別情報)を取得し、その取得した情報を端末3側に送信する(S201)。
【0083】
端末3では、サーバ1から受信した機械情報の中から保全対象となる設備機械の機械情報の機械Noが選択される。制御部10は、選択された機械Noをキーにして納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB208を検索し、直近工事の工事オーダー番号、点検整備工事・開始日、及び客先プラント停止可能日数を抽出する(S202)。
【0084】
次に、制御部10は、工事オーダー番号及び機械Noをキーにして、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209を検索し、今回工事実施詳細情報を抽出し、その結果を端末3側に送信する(S203)。この工事実施詳細情報には、ユニット情報P1、主要部位情報P2、点検箇所情報P3、及び点検内容情報P4が含まれている。
【0085】
端末3では、サーバ1から受信した情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図20は、その際に表示される画面の一例である画面例(3)を示す図である。この画面例(3)には、点検作業の開始を指示するための作業開始ボタン61が設けられている。また、画面例(3)には、画面例(1)と同様の機械種別表示欄41、工事オーダー番号表示欄42、顧客要求表示欄43、及び点検整備工事範囲表示欄44が設けられている。
【0086】
点検整備遂行者は、画面例(3)によって点検計画を確認した後、作業開始ボタン61を押下する。これを受け付けた制御部10は、今回工事実施対象の点検箇所ID及び点検内容IDをキーにして、点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DB206、及び点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DB207を検索し、点検内容毎の、状態評価項目情報及び作業処置内容情報を抽出し、その結果を端末3側に送信する(S204)。
【0087】
端末3では、サーバ1から受信した情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図21は、その際に表示される画面の一例である画面例(4)を示す図である。この画面例(4)には、今回工事での点検内容を点検箇所毎に特定する点検内容表示欄62、及び点検作業の結果の保存を指示するための作業結果保存ボタン62が設けられている。また、画面例(4)には、画面例(2)と同様の機械種別表示欄41、ユニット表示欄51、及び点検部位表示欄52が設けられている。
【0088】
点検整備遂行者は、画面例(4)に表示されている点検箇所毎の各点検内容を実施した後、点検内容毎に、点検時状態評価及び作業処置内容を入力する。この入力は、点検内容表示欄62に表示されている一覧の中から該当するものを選択することによって行われる。また、点検整備遂行者は、必要に応じて、点検内容表示欄62中の所見欄にコメントを入力する。その後、点検整備遂行者は、作業結果保存ボタン63を押下する。
【0089】
制御部10は、上述した点検時状態評価、作業処置内容、及びコメントの入力を受け付けると(S205)、その入力情報に基づいて、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210に点検整備作業記録を保存する(S206)。
【0090】
次に、制御部10は、今回工事実施対象範囲の点検箇所のすべてについて結果が保存されたか否かを判定し(S207)、まだ結果が保存されていない点検箇所があると判定した場合(S207でNO)、その点検箇所を抽出し(S208)、ステップS204に戻る。他方、すべての点検箇所について結果が保存されていると判定した場合(S207でYES)、制御部10は処理を終了する。
【0091】
以上の処理によって、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210に点検整備作業記録が蓄積されることになる。
【0092】
上記のように、第2フェーズでは、第1フェーズで確定された点検計画にしたがって点検整備遂行者が点検作業を実施する。熟練度が高い点検整備遂行者の場合、その実施の過程で、今回点検作業と併せて点検実施しておいた方が良い点検箇所/点検内容を検討し、それを実施することがある。これにより、効率的な保全業務を実現することが可能になる。しかし、熟練度が十分ではない点検整備遂行者の場合、このような検討を行うことは困難である。そこで、本システムでは、当該検討を可能にするための支援が行われる。以下、その場合のサーバ1の動作について説明する。
【0093】
[第2フェーズの変形例1]
図22は、第2フェーズの変形例1においてサーバ1の制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図22に示すように、制御部10はまず、ステップS201の場合と同様に、顧客情報(顧客ID及び顧客名称)及びその顧客に納入されている設備機械の機械情報(機械No及び機械種別情報)を取得し、その取得した情報を端末3側に送信する(S301)。
【0094】
端末3では、サーバ1から受信した機械情報の中から保全対象となる設備機械の機械情報の機械Noが選択される。制御部10は、選択された機械Noをキーにして納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB208を検索し、直近工事の工事オーダー番号、点検整備工事・開始日、客先プラント停止可能日数、計画時・総作業時間、計画時・総費用を抽出し、抽出したデータをもとに、残余期間(プラント停止可能日数(Hr換算)-総作業時間)A及び残余費用(客先予算-総作業費用)Bを算出する(S302)。
【0095】
次に、制御部10は、工事オーダー番号及び機械Noをキーにして、納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB209を検索し、今回工事実施詳細情報を抽出し、その結果を端末3側に送信する(S303)。この工事実施詳細情報には、ユニット情報P1、主要部位情報P2、点検箇所情報P3、及び点検内容情報P4が含まれている。
【0096】
端末3では、サーバ1から受信した情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図23は、その際に表示される画面の一例である画面例(5)を示す図である。この画面例(5)は、
図20に示す画面例(3)と同様であるが、残余期間表示欄45及び残余費用表示欄46が設けられている点が異なっている。
【0097】
点検整備遂行者は、画面例(5)を確認した後、端末3を用いて作業開始ボタン61を押下する。これを受け付けた制御部10は、作業開始ボタン61が押下された時間Tを一時的に記録する(S304)。
【0098】
次に、制御部10は、今回工事実施対象の点検箇所ID及び点検内容IDをキーにして、点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DB206、及び点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DB207を検索し、点検内容毎の、状態評価項目情報及び作業処置内容情報を抽出し、その結果を示す点検計画情報を端末3側に送信する(S305)。
【0099】
端末3では、サーバ1から受信した点検計画情報に基づいて、所定の画面の表示が行われる。
図24は、その際に表示される画面の一例である画面例(6)を示す図である。この画面例(6)は、
図21に示す画面例(4)と同様であるが、残余期間表示欄45及び残余費用表示欄46が設けられている点、並びに今回工事の際に併せて点検しておいた方がよい点検内容を点検箇所毎に特定する追加点検内容表示欄64が設けられている点が異なっている。
【0100】
画面例(6)において追加点検内容表示欄64に表示される情報以外の情報については、ステップS305によってサーバ1から端末3に送信される。他方、追加点検内容表示欄64に表示される情報については、以下のステップS306によってサーバ1から端末3に送信される。
【0101】
制御部10は、サブ処理(1)を実行して、納入時設計仕様に基づいて規定された点検周期を基に点検整備作業を実施すべき時期にある点検箇所・点検内容を抽出し、その結果を示す点検計画情報を端末3側に送信する(S306)。以下、このサブ処理(1)の内容について、
図25を参照しながら説明する。
【0102】
サブ処理(1)において、制御部10はまず、現在点検作業中のユニットのIDをキーにして納入機械装置別「ユニット構成情報」管理DB202を検索し、現在点検作業中のユニットの稼働開始時期情報(稼働開始年月)Xを抽出する(S401)。
【0103】
次に、制御部10は、現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所のIDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204を検索し、点検箇所毎の標準点検周期(月数)Yを抽出する(S402)。なお、以後、現在点検作業中の点検箇所は処理対象から除かれる。
【0104】
次に、制御部10は、機械Noをキーにして納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210を検索し、現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所の最新の工事実施年月Zを抽出する(S403)。
【0105】
次に、制御部10は、サブ処理(2)を実行して、現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所の次回点検時期候補T[n]を算出する(S404)。以下、このサブ処理(2)の内容について、
図26を参照しながら説明する。
【0106】
サブ処理(2)において、制御部10はまず、点検箇所について最新の点検記録情報が存在するか否かを判定する(S501)。ここで存在すると判定した場合(S501でYES)、制御部10は、下記の式(5)によって次回点検時期候補T[n]を算出する(S502)。他方、存在しないと判定した場合(S501でNO)、制御部10は、下記の式(6)によって次回点検時期候補T[n]を算出する(S503)。
T[n] = Z + Y[n] …式(5)
T[n] = X[n] + Y[n] …式(6)
但し、nは、現在点検作業中のユニット/主要部位の点検箇所数(現在点検作業中の点検箇所は除く)を示している。また、XはステップS401で抽出された稼働開始年月Xであり、YはステップS402で抽出された標準点検周期Yであり、ZはステップS403で抽出された工事実施年月Zである。
【0107】
図23に戻り、制御部10は、算出した現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所の次回点検時期候補T[n]の中から、最も直近のものT1を抽出する(S405)。
【0108】
次に、制御部10は、サブ処理(3)を実行して、時点T1で追加点検実施する点検箇所の候補に関する追加点検箇所候補情報を、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204及びユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205から抽出する(S406)。以下、このサブ処理(3)の内容について、
図27を参照しながら説明する。
【0109】
サブ処理(3)において、制御部10はまず、サブ処理(1)によって算出された、ユニット/主要部位の点検箇所毎の次回点検時期候補T[n]を取得し(S601)、それが時点T1と同一であるか否かを判定する(S602)。
【0110】
ステップS602において同一であると判定した場合(S602でYES)、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204及びユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205を検索し、その点検箇所を追加点検実施の候補として設定するために、追加点検箇所候補情報を抽出する(S603)。この追加点検箇所候補情報には、点検箇所ID、点検箇所名称、点検内容ID、点検内容名称、標準作業所要時間、及び標準作業所要時間が含まれる。なお、ステップS302において同一ではないと判定された場合(S602でNO)、ステップS603の処理は実行されない。
【0111】
次に、制御部10は、現在点検作業中のユニット/主要部位のすべての点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S604)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S604でNO)はステップS601に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S604でYES)はステップS407へ進む
【0112】
図25に戻り、制御部10は、抽出した追加点検箇所候補情報をソートする(S407)。この場合、制御部10は、標準作業所要時間が少ない順にソートし、標準作業所要時間が同一のものについては標準作業所要費用が少ない順にソートする。但し、これは例示にすぎず、例えばまず標準作業所要費用が少ない順にソートし、標準作業所要費用が同一のものについては標準作業所要時間が少ない順にソートするようにしても構わない。
【0113】
次に、制御部10は、ソート後の点検箇所/点検内容候補レコード数をmとして、先頭レコードから順に、追加作業実施後の残余時間A’及び追加作業実施後の残余費用B’を、下記の式(7)及び式(8)を用いて算出する(S208)。
A’=(A-T1)-点検箇所・標準作業所要時間[m] …式(7)
B’=B-点検箇所・標準作業所要費用[m] …式(8)
但し、Aは残余期間(プラント停止可能日数(Hr換算)-総作業時間)であり、Bは残余費用(客先予算-総作業費用)である。
【0114】
次に、制御部10は、A’>0且つB’>0であるか否かを判定する(S409)。この条件が成立すると判定した場合(S409でYES)、制御部10は、mを1インクリメントし(S410)、ステップS408に戻る。他方、成立しないと判定した場合(S409でNO)、制御部10は、その時点における1個前の点検箇所・点検内容までを、追加点検実施する作業内容として確定する(S411)。これにより、顧客側の要求を超えて追加点検実施が行われることを防止することができる。
【0115】
図22に戻り、制御部10は、上記のサブ処理(1)によって確定された追加点検実施すべき点検箇所・点検内容を示す点検計画情報を端末3側に送信する(S306)。この点検計画情報を受けた端末3は、
図24に示す画面例(6)の追加点検内容表示欄64に、追加点検実施する作業内容を表示する。
【0116】
点検整備遂行者は、画面例(6)の点検内容表示欄62及び追加点検内容表示欄64に表示されている点検箇所毎の各点検内容を実施した後、点検内容毎に、点検時状態評価及び作業処置内容を入力する。この入力は、点検内容表示欄62及び追加点検内容表示欄64に表示されている一覧の中から該当するものを選択することによって行われる。また、点検整備遂行者は、必要に応じて、点検内容表示欄62及び追加点検内容表示欄64中の所見欄にコメントを入力する。その後、点検整備遂行者は、作業結果保存ボタン63を押下する。
【0117】
制御部10は、上述した点検時状態評価、作業処置内容、及び所見の入力を受け付けると(S307)、その入力情報に基づいて、納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB210に点検整備作業記録を保存する(S308)。
【0118】
次に、制御部10は、今回工事実施対象範囲の点検箇所(追加点検内容のものも含む)のすべてについて結果が保存されたか否かを判定し(S309)、まだ結果が保存されていない点検箇所があると判定した場合(S309でNO)、その点検箇所を抽出し(S310)、ステップS305に戻る。他方、すべての点検箇所について結果が保存されていると判定した場合(S309でYES)、制御部10は処理を終了する。
【0119】
以上の処理によって、顧客の要求を満足した上で、追加で点検作業を実施すべき点検内容が自動的に抽出されて提案されることになるため、点検整備遂行者の熟練度が十分ではない場合であっても、効率の良い保全業務を実施することが可能になる。
【0120】
なお、上記の第2フェーズの変形例1では、標準点検周期を用いて追加の点検内容が確定されているが、この標準点検周期は適宜補正をした方が望ましい場合がある。以下では、過去の点検結果に基づいて標準点検周期が補正された上で、追加の点検内容を確定させる処理について説明する。
【0121】
[第2フェーズの変形例2]
図28は、第2フェーズの変形例2においてサーバ1の制御部10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、
図28に示すステップS701乃至S710のうちステップS706以外の処理については、
図22に示すステップS301乃至S305及びS307乃至S310と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下、ステップS706について詳述する。
【0122】
制御部10は、サブ処理(4)を実行して、納入時設計仕様に基づいて規定された点検周期を基に点検整備作業を実施すべき時期にある点検箇所・点検内容を抽出し、その結果を示す点検計画情報を端末3側に送信する(S706)。以下、このサブ処理(4)の内容について、
図29を参照しながら説明する。
【0123】
サブ処理(4)において、制御部10は、サブ処理(1)のステップS401乃至S405と同様の処理を実行した後(S801乃至S805)、サブ処理(5)を実行して、現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所の補正後次回点検時期候補T’[n]を算出する(S806)。以下、このサブ処理(5)の内容について、
図30を参照しながら説明する。
【0124】
サブ処理(5)において、制御部10はまず、点検箇所について最新の点検記録情報が存在するか否かを判定する(S901)。ここで存在すると判定した場合(S901でYES)、制御部10は、最新の点検記録情報の状態評価結果(状態評価項目ID)をキーにして、点検箇所別「評価項目情報」マスター管理DB206を検索し、標準点検周期マイナス影響度αを取得する(S902)。
【0125】
次に、制御部10は、最新の点検記録情報の作業処置内容(作業処置内容ID)をキーにして、点検箇所別「処置内容情報」マスター管理DB207を検索し、標準点検周期プラス影響度βを取得する(S903)。
【0126】
次に、制御部10は、点検箇所毎の標準点検周期(月数)Yの標準点検周期(日数換算値)Y'を下記式(9)によって算出し、2つの標準点検周期影響度α,βを用いて補正後標準点検周期(日数換算値)Y''を下記式(11)によって算出した上で、逆月換算した補正後標準点検周期(月換算値)Y'''を下記式(12)によって算出する(S904)。
Y'=Y×30 …式(9)
Y''=Y'×(1-α+β) …式(10)
Y'''=(Y''÷30)の整数値 …式(11)
【0127】
なお、式(10)において、β-α>σ(>0)の場合は、β-α=σに補正される。この補正は、標準点検周期の補正によって点検周期を必要以上に延長させないようにするための処理である。例えば、過去に交換による復旧を行っていたとしても、点検周期が2倍になるということはないものの、上記の式(10)をそのまま用いると点検周期が2倍になることもあり得る。上記のσを導入すると、点検周期の延長の上限を設定することが可能になる。
【0128】
次に、制御部10は、下記の式(12)によって補正後次回点検時期候補T'[n]を算出する(S905)。
T'[n] = Z[n] + Y'''[n] …式(12)
但し、nは、現在点検作業中のユニット/主要部位の点検箇所数(現在点検作業中の点検箇所を除く)である。
【0129】
また、ステップS501において最新の点検記録情報ないと判定された場合(S901でNO)、制御部10は、下記の式(13)によって補正後次回点検時期候補T'[n]を算出する(S906)。
T'[n])= X[n] + Y[n] …式(13)
【0130】
図29に戻り、制御部10は、算出した現在点検作業中のユニット/主要部位の全点検箇所の補正後次回点検時期候補T'[n]の中から、最も直近のものT1'を抽出する(S807)。
【0131】
次に、制御部10は、サブ処理(6)を実行して、時点T1及びT1'で追加点検実施する点検箇所の候補に関する追加点検箇所候補情報を、ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204及びユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB205から抽出する(S808)。以下、このサブ処理(6)の内容について、
図31を参照しながら説明する。
【0132】
サブ処理(6)において、制御部10はまず、サブ処理(5)によって算出された、ユニット/主要部位の点検箇所毎の補正後次回点検時期候補T'を取得する(S1001)。次に、制御部10は、時点T'1が時点T1よりも先であるか否かを判定する(S1002)。
【0133】
ステップS1002において先ではないと判定した場合(S1002でNO)、制御部10は、T[n]が時点T'1と同一であるか否かを判定する(S1003)。同一であると判定した場合(S1003でYES)、制御部10は、後述するステップS1005へ進む。
【0134】
また、ステップS1002において時点T'1が時点T1よりも先であると判定した場合(S1002でYES)、制御部10は、T[n]が時点T'1と同一又はそれよりも後であって、且つ時点T1と同一又はそれよりも先であるか否かを判定する(S1004)。当該条件を満足すると判定した場合(S1004でYES)、制御部10は、後述するステップS1005へ進む。
【0135】
ステップS1005において、制御部10は、点検箇所IDをキーにしてユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB204及びユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理205を検索し、その点検箇所を追加点検実施の候補として設定するために、追加点検箇所候補情報を抽出する(S1005)。この追加点検箇所候補情報には、点検箇所ID、点検箇所名称、点検内容ID、点検内容名称、標準作業所要時間、及び標準作業所要時間が含まれる。なお、ステップS1003又はS1004でNOと判定された場合、ステップS1005の処理は実行されない。
【0136】
次に、制御部10は、すべてのユニット/主要部位の点検箇所について処理を行ったか否かを判定し(S1006)、まだ処理していない点検箇所があると判定した場合(S1006でNO)はステップS1001に戻る一方、すべての点検箇所について処理済みであると判定した場合(S1006でYES)はステップS809へ進む。
【0137】
図29に戻り、制御部10は、抽出した追加点検箇所項情報をソートする(S809)。このステップS809及びそれ以降のステップS810乃至S813については、上述したステップS407乃至S411と同様であるので、説明を省略する。
【0138】
図28に戻り、制御部10は、上記のサブ処理(6)によって確定された追加点検実施すべき点検箇所・点検内容を示す点検計画情報を端末3側に送信する(S706)。これ以降のステップS707乃至S710は、上述したステップS307乃至S310と同様である。
【0139】
以上の処理によって、過去の点検結果に応じて適宜補正された標準点検周期に基づいて追加点検の点検箇所・点検内容が特定されることになる。これによって、追加点検すべき点検箇所・点検内容を精度良く抽出することが可能になる。
【0140】
また、第2フェーズの変形例2では、過去の点検結果に応じて適宜補正された標準点検周期に基づいて点検箇所が特定されるため、追加点検すべき点検箇所・点検をより精度良く抽出することができる。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。例えば、上記の実施の形態では、単一のコンピュータによってサーバ1の機能が実現されているが、例えば複数のコンピュータによる分散システムによってサーバ1の機能が実現されてもよい。
【0142】
また、上記の実施の形態では、顧客側の要求として、時間的な要素及び費用的な要素の両方を満足するための処理を実行しているが、何れか一方のみを満足するようにしてもよい。
【0143】
また、上記の実施の形態では、標準点検周期マイナス影響度及びプラス影響度を用いて標準点検周期の補正を行っているが、何れか一方のみを用いてその補正を行うようにしてもよい。
【0144】
また、上記の実施の形態では、状態評価項目を用いて標準点検周期マイナス影響度を設定し、作業処置内容を用いて標準点検周期プラス影響度を設定しているが、これに限定されるわけではない。点検箇所毎の過去の点検結果に関するその他の情報(作業に要した時間、作業の難易度など)を用いて、標準点検周期マイナス影響度及び/又はプラス影響度が設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 サーバ
10 制御部
11 作業所要時間取得部
12 作業所要費用取得部
13 残余期間算出部
14 残余費用算出部
15 参考情報出力部
2 データベース
201 顧客別「納入設備機械情報」管理DB
202 納入設備機械別「ユニット構成情報」管理DB
203 ユニット別「主要部位情報」マスター管理DB
204 ユニット/主要部位別「点検箇所情報」マスター管理DB
205 ユニット/主要部位/点検箇所別「点検内容情報」マスター管理DB
206 点検箇所/点検内容別「評価項目情報」マスター管理DB
207 点検箇所/点検内容別「処置内容情報」マスター管理DB
208 納入設備機械別「点検整備工事案件詳細情報」管理DB
209 納入設備機械/ユニット別「点検計画情報」管理DB
210 納入設備機械/ユニット別「点検記録情報」管理DB
3 端末