(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】椅子式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
A61H7/00 323T
(21)【出願番号】P 2020139614
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-336565(JP,A)
【文献】特開2011-092488(JP,A)
【文献】実開昭54-120291(JP,U)
【文献】特開2007-325774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の臀部を支持する座部と、
前記被施療者の下腿部を収容する下腿収容部と、を備え、
前記座部は、前記臀部が接する座面を有し、
前記下腿収容部は、前記被施療者の向う脛を施療する向う脛施療部を有し、
前記向う脛施療部は、施療時において、前記向う脛に接して該向う脛に沿って延び、
前記座面よりも下方且つ前記向う脛施療部よりも後方において前記座面と前記向う脛施療部が延びる方向とが成す角度は、施療時において鋭角であ
り、
施療時において、前記座面は、前方に向かうにつれて下方に傾く、椅子式マッサージ機。
【請求項2】
施療時において、前記向う脛施療部は、下方に向かうにつれて後方に延びる、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記向う脛施療部の下端部は、前後方向に移動可能である、請求項1又は請求項2に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記座面の前端部及び後端部のうちの少なくとも一方は、上下方向に移動可能である、請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記座部は、上下方向に移動可能である、請求項1~請求項
4のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記下腿収容部は、前記向う脛施療部を支持する支柱部をさらに有し、
非施療時において、前記向う脛施療部は、前記支柱部を中心とする周方向に回動可能である、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項7】
前記下腿収容部は、前記被施療者の脹脛を施療する脹脛施療部をさらに有する、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項8】
前記下腿収容部は、前記向う脛施療部と前記脹脛施療部とを連結/解除可能に連結する連結部をさらに有し、
前記連結部は、施療時において、前記向う脛施療部の左右方向における一方端部と、前記脹脛施療部の左右方向における一方端部とを連結する、請求項
7に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項9】
前記下腿収容部は、前記座部の前端部に連結され、前記座部に対して前後方向に移動可能である、請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項10】
前記被施療者の足部を支持する足支持部をさらに備え、
前記足支持部は、前記被施療者の足裏が接する足裏接触部を有し、
前記足裏接触部は、前後方向及び上下方向の少なくとも一方に移動可能であり、
並びに/又は、
前記足裏接触部の前端部及び後端部の少なくとも一方は、上下方向に移動可能である、請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の下腿部を凹部に収容し、該下腿部の側面及び脹脛を施療する脚用マッサージ器が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、脹はぎ対応部及び膝隠し部が座部の前部に設けられたマッサージ椅子が開示されている。脹はぎ対応部及び膝隠し部は、板状体であり、先端側を下方に向けた状態から、マッサージ椅子の前方に向けた状態に変位させることが可能である。脹はぎ対応部と膝隠し部との間には、マッサージ椅子に座る利用者の脚が差し入れられる。また、膝隠し部は、エアバッグの膨縮により、利用者の太ももの上部をマッサージするマッサージ手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下腿部の前側の向う脛には、足三里などの疲労回復効果を有する経穴(ツボ)が複数存在する。しかしながら、上述の脚用マッサージ器では、向う脛を効果的に施療することが難しい。また、特許文献1のマッサージ椅子では、マッサージ手段が単に向う脛に触れた状態、又は、マッサージ手段が向う脛よりも鉛直上方にある状態でマッサージされる。そのため、被施療者は、向う脛の施療強度に不満を感じる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みて、被施療者の向う脛を十分に施療できる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による椅子式マッサージ機は、被施療者の臀部を支持する座部と、前記被施療者の下腿部を収容する下腿収容部と、を備え、前記座部は、前記臀部が接する座面を有し、前記下腿収容部は、前記被施療者の向う脛を施療する向う脛施療部を有し、前記向う脛施療部は、施療時において、前記向う脛に接して該向う脛に沿って延び、前記座面よりも下方且つ前記向う脛施療部よりも後方において前記座面と前記向う脛施療部が延びる方向とが成す角度は、施療時において鋭角である構成(第1の構成)とされる。
【0008】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機は、施療時において、前記向う脛施療部は、下方に向かうにつれて後方に延びる構成(第2の構成)であってもよい。
【0009】
上記第1又は第2の構成の椅子式マッサージ機は、前記向う脛施療部の下端部は、前後方向に移動可能である構成(第3の構成)であってもよい。
【0010】
上記第1~第3のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、施療時において、前記座面は、前方に向かうにつれて下方に傾く構成(第4の構成)であってもよい。
【0011】
上記第1~第4のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、前記座面の前端部及び後端部のうちの少なくとも一方は、上下方向に移動可能である構成(第5の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第5のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、前記座部は、上下方向に移動可能である構成(第6の構成)であってもよい。
【0013】
上記第1~第6のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、前記下腿収容部は、前記向う脛施療部を支持する支柱部をさらに有し、非施療時において、前記向う脛施療部は、前記支柱部を中心とする周方向に回動可能である構成(第7の構成)であってもよい。
【0014】
上記第1~第7のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、前記下腿収容部は、前記被施療者の脹脛を施療する脹脛施療部をさらに有する構成(第8の構成)であってもよい。
【0015】
上記第8の構成の椅子式マッサージ機は、前記下腿収容部は、前記向う脛施療部と前記脹脛施療部とを連結/解除可能に連結する連結部をさらに有し、前記連結部は、施療時において、前記向う脛施療部の左右方向における一方端部と、前記脹脛施療部の左右方向における一方端部とを連結する構成(第9の構成)であってもよい。
【0016】
上記第1~第9のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、前記下腿収容部は、前記座部の前端部に連結され、前記座部に対して前後方向に移動可能である構成(第10の構成)であってもよい。
【0017】
上記第1~第10の構成のいずれかの椅子式マッサージ機は、前記被施療者の足部を支持する足支持部をさらに備え、前記足支持部は、前記被施療者の足裏が接する足裏接触部を有し、前記足裏接触部は、前後方向及び上下方向の少なくとも一方に移動可能であり、並びに/又は、前記足裏接触部の前端部及び後端部の少なくとも一方は、上下方向に移動可能である構成(第11の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被施療者の向う脛を十分に施療できる椅子式マッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】被施療者が着座した椅子式マッサージ機の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1は、椅子式マッサージ機100の構成例を示す斜視図である。
図2は、椅子式マッサージ機100の側面図である。
図3は、被施療者Uが着座した椅子式マッサージ機100の斜視図である。なお、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称する。
【0022】
なお、以下の説明において、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て前側(正面側)を「前方」といい、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て後側(背面側)を「後方」という。前方及び後方のうちの一方から他方に向かう方向を「前後方向」という。
【0023】
また、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て上側(頭側)を「上方」といい、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て下側(脚側)を「下方」という。上方及び下方のうちの一方から他方に向かう方向を「上下方向」という。
【0024】
また、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て左側を「左方」といい、マッサージ機100に着座した被施療者Uから見て右側を「右方」という。左方及び右方のうちの一方から他方に向かう方向を「左右方向」という。
【0025】
また、被施療者Uの脚部のうち、「大腿部」は、股関節と膝との間の部分である。「脛部」は、「下腿部」であり、膝と踝との間の部分である。「向う脛」は脛の前側であり、「脹脛」は脛の後側である。「足部」は、踝よりも下側であって、踝と脚部の爪先との間の部分である。
【0026】
<1.マッサージ器>
図1及び
図2に示すように、マッサージ機100は、座部1と、柱部2と、台部3と、肘掛け部4と、下腿収容部5と、足支持部6と、制御ユニット7と、を備える。
【0027】
座部1は、マッサージ機100に着座した被施療者Uの臀部及び太腿部を支持する。座部1は、被施療者Uの臀部が接する座面10を有する。座面10は、座部1の上面であり、上下方向と交差し且つ左右方向と垂直な方向と、左右方向とに広がる。なお、左右方向から見た座面10の傾きの詳細は後に説明する。
【0028】
柱部2は、上下方向に延び、座部1を支持する。柱部2の上端部は座部1に接続され、下端部は台部3に接続される。なお、座部1は、柱部2に固定されていてもよいし、左右方向と平行な軸を中心とする周方向において、手動又は自動で回動可能であってもよい。柱部2は、手動又は自動で上下方向に伸縮可能である。つまり、座部1は、上下方向に移動可能である。こうすれば、柱部2の伸縮により、被施療者Uの体格(特に下腿部の大きさ)及び座位での姿勢などに応じて、座部1をより快適な上下方向位置に調節できる。
【0029】
台部3は、マッサージ機100が載置される床面上に配置される。台部3は、床面と平行に広がり、柱部2を支持する。
【0030】
肘掛け部4は、座部1の左右両側且つ座部1よりも上方に設けられ、被施療者Uの前腕部及び手を支持する。被施療者Uは、肘掛け部4に前腕部及び手を載せることで、バランスを保った状態で座部1に座ることができる。但し、肘掛け部4は、省略されてもよい。
【0031】
下腿収容部5は、座部1の前端部に配置される。本実施形態では、下腿収容部5の上端部が、座部1の前端部に接続される。下腿収容部5は、被施療者Uの下腿部を収容し、該下腿部を施療する。
【0032】
足支持部6は、下腿収容部5よりも下方に配置される。足支持部6は、被施療者Uの足部を支持する。足支持部6の詳細は後に説明する。
【0033】
制御ユニット7は、マッサージ機100の動作を制御する。
【0034】
このほか、マッサージ機100は、背凭れ部をさらに有していてもよい。該背凭れ部は、たとえば、座部1の後端部に取り付けられて上方に延び、被施療者Uの腰及び背中を支持する。
【0035】
<2.下腿収容部>
次に、
図1~
図4を参照して、下腿収容部5の構成を説明する。
図4は、下腿収容部5の断面斜視図である。
図4は、
図2の一点鎖線A-Aに沿う下腿収容部5及び被施療者Uの下腿部の断面を示している。
【0036】
下腿収容部5は、被施療者Uの下腿部に沿って少なくとも下方に延びる。左右方向から見て、下腿収容部5は、その上端部を中心とする周方向に回動可能である。つまり、下腿収容部5が延びる方向は、下腿収容部5の回動に応じて変化する。被施療者Uは、手動又は自動で、下腿収容部5の回動を調節できる。
【0037】
下腿収容部5は、座部1の前端部に連結され、座部1に対して前後方向に移動可能である。たとえば、座部1は前後方向に伸縮可能なフレーム(図示省略)を有し、下腿収容部5の上端部は該フレームの前端部と回動可能に連結される。被施療者Uは、手動又は自動で座部1に対して下腿収容部5を前後方向に移動させることができる。従って、被施療者Uの体格に応じて、下腿収容部5をより快適な前後方向位置に調整できる。また、マッサージ機100の施療に、下腿収容部5の前後方向における移動を採用することもできる。該移動による施療により、被施療者Uの大腿部に対して下腿部を前後方向に移動させることができるので、たとえば被施療者Uの膝関節を施療できる。
【0038】
下腿収容部5は、向う脛施療部51と、脹脛施療部52と、支柱部53と、を有する。
【0039】
向う脛施療部51は、被施療者Uの向う脛を施療する。向う脛施療部51は、前後方向と交差し且つ左右方向と垂直な方向に延びて、左右方向に広がる。なお、向う脛施療部51が延びる方向の詳細は後に説明する。
【0040】
向う脛施療部51は、エアバッグ511を有する。エアバッグ511は、被施療者Uの向う脛に沿う位置に配置された施療子であり、膨縮によって向う脛を施療する。なお、向う脛施療部51の施療子は、本実施形態の例示に限定されず、エアバッグ511以外であってもよい。たとえば、該施療子は、向う脛を押圧しつつ該向う脛に沿って上下移動するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、向う脛に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。また、向う脛施療部51は、被施療者Uの向う脛を温める温熱ヒーターをさらに有していてもよい。
【0041】
脹脛施療部52は、被施療者Uの脹脛を施療する。脹脛施療部52は、向う脛施療部51よりも後方に配置され、向う脛施療部51と前後方向に対向する。脹脛施療部52は、前後方向と交差し且つ左右方向と垂直な方向に延びて、左右方向に広がる。脹脛施療部52は、施療時において、被施療者Uの脹脛に接する。下腿収容部5が脹脛施療部52を有することで、向う脛施療部51及び脹脛施療部52で被施療者Uの下腿部を前後に挟み、該下腿部を施療できる。両者間に下腿部を保持した状態で施療できるので、施療中に下腿部が前後方向に動くことを防止できる。従って、向う脛及び脹脛を十分な強度で施療できる。但し、脹脛施療部52は省略されてもよい。
【0042】
脹脛施療部52は、エアバッグ521を有する。エアバッグ521は、被施療者Uの脹脛に沿う位置に配置された施療子であり、膨縮によって脹脛を施療する。なお、脹脛施療部52の施療子は、本実施形態の例示に限定されず、エアバッグ521以外であってもよい。たとえば、該施療子は、脹脛を押圧しつつ該脹脛に沿って上下移動するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、脹脛に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。
【0043】
また、脹脛施療部52は、被施療者Uの脹脛を温める温熱ヒーターを有してもよい。該温熱ヒーターは、上述の施療子に加えてさらに設けられてもよいし、上述の施療子に代えて設けられてもよい。
【0044】
支柱部53は、柱状であり、前後方向と交差し且つ左右方向と垂直な方向に延びる。支柱部53は、向う脛施療部51及び脹脛施療部52を支持する。具体的には、支柱部53は、向う脛施療部51の左右方向における一方端部と、脹脛施療部52の左右方向における一方端部とを支持する。たとえば、支柱部53の前端部において、左右一対の向う脛施療部51が左右方向にそれぞれ延びる。また、支柱部53の後端部において、左右一対の脹脛施療部52が左右方向にそれぞれ延びる。なお、本実施形態の例示に限定されず、向う脛施療部51及び脹脛施療部52の少なくとも一方は、左右一対でなくてもよい。たとえば、1個の向う脛施療部51が支柱部53から左方に延びてもよいし右方に延びてもよい。及び/又は、1個の脹脛施療部52が支柱部53から左方に延びてもよいし右方に延びてもよい。この際、好ましくは、左右のどちらかにおいて、脛施療部51及び脹脛施療部52が、前後方向に対向して配置される。
【0045】
なお、本実施形態では、向う脛施療部51は、支柱部53に固定されている。但し、この例示に限定されず、向う脛施療部51は、支柱部53に対して回動可能に支持されてもよい。
図5は、下腿収容部5の第1変形例を示す図である。なお、
図5において、エアバッグ511,521の図示は省略している。
図5に示すように、非施療時において、向う脛施療部51は、支柱部53を中心とする周方向に回動可能である。なお、施療時において、向う脛施療部51は、支柱部53に対して回動不能とされる。こうすれば、被施療者Uは、非施療時において容易に下腿部を下腿収容部5に収容できる。
【0046】
このほか、下腿収容部5は、向う脛施療部51と脹脛施療部52とを連結/解除可能に連結する連結部54をさらに有してもよい。
図6は、下腿収容部5の第2変形例を示す図である。なお、
図6において、エアバッグ511,521の図示は省略している。連結部54は、施療時において、向う脛施療部51の左右方向における一方端部と、脹脛施療部52の左右方向における一方端部とを連結する。
【0047】
たとえば、
図6において、連結部54は、下腿収容部5の左右方向両端部に設けられる。左右一対の連結部54は、左側連結部54Lと、右側連結部54Rと、を有する。また、左右一対の向う脛施療部51は、左側向う脛施療部51Lと、右側向う脛施療部51Rと、を有する。左右一対の脹脛施療部52は、左側脹脛施療部52Lと、右側脹脛施療部52Rと、を有する。施療時において、左側連結部54Lは、左側向う脛施療部51Lの左端部と左側脹脛施療部52Lの左端部とを連結する。右側連結部54Rは、右側向う脛施療部51Rの右端部と右側脹脛施療部52Rの右端部とを連結する。なお、非施療時において、一対の連結部54による上述の連結は解除可能である。
【0048】
こうすれば、向う脛施療部51及び脹脛施療部52間が、施療時に離れ難くなる。従って、向う脛施療部51は、向う脛を十分な強度で施療できる。さらに、脹脛施療部52は、脹脛を十分な強度で施療できる。また、非施療時には連結部54の連結を解除できる。従って、被施療者Uは、連結部54に妨げられることなく、下腿部を下腿収容部5に収容できる。
【0049】
<3.座面及び向う脛施療部の傾き>
次に、
図1~
図3を再び参照して、座面10及び向う脛施療部51の左右方向から見た傾きを説明する。向う脛施療部51は、施療時において、被施療者Uの向う脛に接して該向う脛に沿って延びる。座面10よりも下方且つ向う脛施療部51よりも後方において、座面10と向う脛施療部が延びる方向とは、角度θを成す(たとえば
図2参照)。この角度θは、施療時において鋭角である。なお、角度θは、左右方向と平行な軸を中心とし且つ左方から見て時計回りの周方向において、座面10から下方を経由して向う脛施療部51に至るまでの最小の角度である。こうすれば、被施療者Uの少なくとも下腿部の自重によって、被施療者Uの向う脛が向う脛施療部51に押し付けられる。そのため、たとえば、向う脛施療部51が押圧により向う脛を施療しても、上記の自重によって向う脛が後方に移動することを抑制又は防止できる。従って、向う脛施療部51の施療を効率良く向う脛に作用させることができる。よって、マッサージ機100は、被施療者Uの向う脛を十分に施療できる。なお、非施療時であれば、上述の角度θは鋭角でなくてもよい。
【0050】
<3-1.向う脛施療部の傾き>
好ましくは、施療時において、向う脛施療部51は、下方に向かうにつれて後方に延びる。つまり、施療時において、下腿収容部5は、下方に向かうにつれて後方に延びる。こうすれば、たとえば上述のような座面10の傾きが小さい場合、或いは、左右方向から見て座面10が前方に向かうにつれて下方に傾いていない場合でも、被施療者Uの少なくとも下腿部の自重によって、被施療者Uの向う脛を向う脛施療部51に向かって十分に押し付けることができる。従って、向う脛施療部51による向う脛の施療強度をより強くすることができる。さらに、向う脛施療部51の下端部は、その上端部よりも後方にあり、座部1の前端部よりも後方にすることもできる。従って、マッサージ機100の前方に要するスペースをより少なくできる。よって、たとえば向う脛施療部が下方に向かうにつれて前方に延びる構成と比べて、本実施形態のマッサージ機100は、省スペースで向う脛を施療できる。
【0051】
但し、この例示に限定されず、座面10よりも下方且つ向う脛施療部51よりも後方において座面10と向う脛施療部51が延びる方向とが成す角度θが鋭角であれば、施療時において、下腿収容部5及び向う脛施療部51は、上下方向に延びてもよいし、下方に向かうにつれて前方に延びてもよい。
【0052】
また、下腿収容部5の回動により、向う脛施療部51は、左右方向と平行な軸を中心として、周方向に回動可能である。言い換えると、向う脛施療部51の下端部は、前後方向に移動可能である。こうすれば、被施療者Uは、向う脛施療部51の姿勢を任意に調整して、向う脛の施療を快適に受けることができる。
【0053】
なお、非施療時であれば、下腿収容部5及び向う脛施療部51は、下方に向かうにつれて前方に延びてもよい。たとえば、下腿収容部5の回動により、下腿収容部5(及び向う脛施療部51)の下端部をその上端部よりも前方に移動させてもよい。こうすれば、たとえば施療前に、下腿部を下腿収容部5に収納し易くなるので、被施療者Uはマッサージ機100を使用し易くなる。
【0054】
<3-2.座面の傾き>
また、好ましくは
図1及び
図2に示すように、座面10は、施療時において、前方に向かうにつれて下方に傾く。こうすれば、座部1に座る被施療者Uの自重の一部が座面10に沿って前方に作用するため、被施療者Uの向う脛を向う脛施療部51に向かって十分に押し付けることができる。従って、向う脛施療部51による向う脛の施療強度をより強くすることができ。さらに、施療時に、座部1に座る被施療者Uがバランスをとって姿勢を維持することで、被施療者Uの背筋及び腹筋に負荷が掛かる。この負荷を維持することで、被施療者Uの背筋及び腹筋のフィットネス効果を期待できる。但し、上述の例示に限定されず、座面10よりも下方且つ向う脛施療部51よりも後方において座面10と向う脛施療部51が延びる方向とが成す角度θが鋭角であれば、施療時において、座部1の少なくとも座面10は、上下方向と平行であってもよいし、前方に向かうにつれて上方に傾いていてもよい。
【0055】
本実施形態では、座部1全体が前方に向かうにつれて下方に傾いている。なお、座部1全体の傾きは、固定であってもよいし、手動又は自動で調整可能であってもよい。
【0056】
但し、本実施形態の例示に限定されず、たとえば、座面10のみが上述のように傾いていてもよい。
図7は、座部1の変形例を示す側面図である。
図7では、座部1を左方から見ている。
図7において、座部1は、エアバッグ11を有する。エアバッグ11は、膨張により座面10の後端部を上方に移動させ、収縮により座面10の後端部を下方に移動させる。エアバッグ11の膨縮を調節することにより、座面10の上述のような傾きを調節できる。
【0057】
なお、
図7では、座面10の後端部が、上下方向に移動する。但し、この例示に限定されず、後端部に代えて、座面10の前端部が上下方向に移動してもよい。或いは、座面10の前端部及び後端部の上下方向位置が個別に調節可能であってもよい。たとえば、前端部が下方に移動するとともに、後端部が上方に移動することで、座面10が上述のように傾いてもよい。つまり、座面10の前端部及び後端部のうちの少なくとも一方が、上下方向に移動可能であればよい。座面10の上記少なくとも一方の上下方向位置を変化させることで、左右方向から見た座面10の傾きを調節できる。たとえば、施療時に、座面10を前方に向かうにつれて下方に傾かせることができる。また、非施療時などに、座面10を水平にして、被施療者Uが座部1に座り易くすることもできる。
【0058】
<4.足支持部>
次に、
図1~
図3を参照して、足支持部6の構成を説明する。足支持部6は、被施療者Uの足裏が接する足裏接触部61を有する。より具体的には、足裏接触部61は、足支持部6の傾斜面60上に配置される。傾斜面60は、前方及び上方を向いて斜めに配置され、前方に向かうにつれて下方に傾いている。
【0059】
好ましくは、足裏接触部61は、前後方向及び上下方向に移動可能である。たとえば、被施療者Uは、足支持部6全体を手動又は自動で前後方向及び上下方向に移動させることができる。或いは、足支持部6のうちの傾斜面60及び足裏接触部61を含む部分が手動又は自動で部分的に前後方向及び上下方向に移動可能であってもよい。なお、足裏接触部61の移動方向は、前後方向及び上下方向のどちらかであってもよい。
【0060】
また、好ましくは、足裏接触部61の左右方向から見た傾きも手動又は自動で変更可能である。たとえば、被施療者Uは、足裏接触部61の左右方向から見た傾きは、足裏接触部61の前端部及び後端部の少なくともいずれかを上下方向に移動させることにより調節できる。或いは、傾斜面60が左右方向と平行な軸に対して周方向に回動可能であってもよい。
【0061】
つまり、足裏接触部61は、前後方向及び上下方向の少なくとも一方に移動可能であってもよい。並びに/又は、足裏接触部61の前端部及び後端部の少なくとも一方は、上下方向に移動可能であってもよい。こうすれば、足裏接触部61の位置及び又は傾きを被施療者Uの姿勢(特に下腿部の姿勢)に合わせて最適に調整できる。たとえば、被施療者Uの下腿部の大きさは、体格などに応じて個人差がある。また、前述のごとく、下腿収容部5の前後方向位置及び/又は鉛直方向に対する傾きは変更可能である。上述の構成によれば、これらに合わせて、足裏接触部61の前後方向位置、上下方向位置、傾きをより快適な設定に調節することができる。
【0062】
なお、上述のような足裏接触部61の移動と左右方向から見た傾きの調節とは、下腿収容部5の回動、前後方向の移動などの動作と連動して実施されてもよいし、下腿収容部5の該動作とは独立して実施されてもよい。
【0063】
また、好ましくは、足支持部6は、被施療者Uの足裏を施療する施療子を有する。該施療子は、足裏接触部61に設けられる。該施療子は、膨縮によって足裏を施療するエアバッグであってもよい。或いは、該施療子は、爪先から踵に沿って移動しながら足裏を押圧するローラー型であってもよいし、揉み玉であってもよいし、足裏に振動を伝えるバイブレーション型であってもよい。
【0064】
また、好ましくは、足支持部6は、被施療者Uの足裏を温める温熱ヒーターを有する。該温熱ヒーターは、上述の施療子に加えて足裏接触部61に設けられてもよいし、上述の施療子に代えて足裏接触部61に設けられてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0066】
100・・・(椅子式)マッサージ機、1・・・座部、10・・・座面、11・・・エアバッグ、2・・・柱部、3・・・台部、4・・・肘掛け部、5・・・下腿収容部、51・・・向う脛施療部、51L・・・左側向う脛施療部、51R・・・右側向う脛施療部、511・・・エアバッグ、52・・・脹脛施療部、52L・・・左側脹脛施療部、52R・・・右側脹脛施療部、521・・・エアバッグ、53・・・支柱部、54・・・連結部、54L・・・左側連結部、54R・・・右側連結部、6・・・足支持部、60・・・傾斜面、61・・・足裏接触部、7・・・制御ユニット