(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】回復時間が長い軟質ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240222BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20240222BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20240222BHJP
C08L 75/08 20060101ALI20240222BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/48 033
C08G18/28 015
C08L75/08
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2020547184
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019021430
(87)【国際公開番号】W WO2019177903
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-01
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】メン、キンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ブロードウェイ、ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】粟生 薫
(72)【発明者】
【氏名】タァン、イン
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ウィリアム ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ドネート、フィリップ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダーモディ、ダニエル エル.
(72)【発明者】
【氏名】シード、クリソファー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】デルク、ヴァン エム. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ヘルゲ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/210439(WO,A1)
【文献】特開2006-249270(JP,A)
【文献】特開平03-199223(JP,A)
【文献】特開昭62-079217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00
C08G 18/48
C08G 18/28
C08L 75/08
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタンフォームを60~110のイソシアネート指数で作製する方法であって、
A)225以下のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールまたは2つ以上のそのようなポリエーテルポリオールの混合物であって、前記ポリオールまたはポリオールの混合物が、(i)2~4の数平均ヒドロキシル官能価を有し、(ii)170未満のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み、(iii)少なくとも10重量%のオキシエチレン含有量を有し、かつ/または少なくとも40重量%のオキシエチレン単位を含む少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオールの混合物、
B)成分A)100重量部あたり1~5重量部の水、を含む、反応混合物を、
C)少なくとも1つの有機イソシアネートと、
以下、
D)イソシアネート基と水および/またはアルコールとの反応のための少なくとも1つの触媒、
E)少なくとも1つのシリコーン界面活性剤、
F)成分A)100重量部あたり1~45重量部の粘着付与剤であって、
(i)25℃で少なくとも5,000センチポアズの粘度を有し、
(ii)最大20°Cのガラス転移温度を有する、粘着付与剤、
ならびに
G)成分A)100重量部あたり0.05~10重量部の少なくとも1つのモノアルコールであって、前記モノアルコールが、少なくとも4個の炭素原子、最大300g/molの分子量、およびコーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で最大500cpsの粘度、を有することを特徴とするが、さらに、成分F)およびG)の重量比率が少なくとも20:80であり、95:5以下であることを条件とする、モノアルコール、の存在下で、反応させることを含み、
成分F)およびG)が、成分A)およびC)のいずれかと組み合わせる前に事前にブレンドされて、コーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で20,000cps以下の粘度を有するプレブレンドを
形成し、
成分G)が、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエチル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのうちの1つ以上である、方法。
【請求項2】
前記粘着付与剤が、ロジン、水素化および/またはエステル化ロジン、ポリテルペン、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、C5/C9コポリマー樹脂、水素化C5またはC9樹脂、ブタンのポリマーまたはコポリマー、エポキシ樹脂、スチレン/共役ジエンコポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、密度が0.900
g/cm
3
未満のエチレン-高級アルファオレフィンコポリマー、シリコーンオイル、セルロース系カチオン性ポリアクリルアミド、パラ-t-オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、数平均分子量が400~2000のポリエステル、ウレタンアクリレートオリゴマー、ならびに室温で液体のエチレン-プロピレン-ジエン樹脂のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘着付与剤が少なくとも1つのロジンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粘着付与剤が少なくとも1つのポリテルペンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記粘着付与剤の量が、成分A)100重量部あたり5~25重量部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粘着付与剤の量が成分A)100重量部あたり7.5~20重量部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノアルコールが、少なくとも5個の炭素原子および最大250の分子量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記モノアルコールは、ハンセン分散性パラメータが13.9~17.4
(J/cm
3
)
1/2
、ハンセン極性パラメータが1.7~9.2
(J/cm
3
)
1/2
、ハンセン水素結合パラメータが3.8~13.9
(J/cm
3
)
1/2
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
成分G)が、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエチル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、およびトリエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテルのうちの1つ以上から選択される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記軟質ポリウレタンフォームは、少なくとも1秒の回復時間を有し、ここで、前記回復時間は、前記軟質ポリウレタンフォームを初期の厚さの24%に圧縮し、前記圧縮された軟質ポリウレタンフォームを60秒間圧縮下で保持し、圧縮力を解放した後に、前記圧縮された軟質ポリウレタンフォームが元の厚さの95%に戻るのに必要な時間である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記軟質ポリウレタンフォームが、少なくとも2秒の回復時間を有し、ここで、前記回復時間は、前記軟質ポリウレタンフォームを初期の厚さの24%に圧縮し、前記圧縮された軟質ポリウレタンフォームを60秒間圧縮下で保持し、圧縮力を解放した後に、前記圧縮された軟質ポリウレタンフォームが元の厚さの95%に戻るのに必要な時間である、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記軟質ポリウレタンフォームが、ASTM D-3574に従って測定される少なくとも1.4L/秒の気流を示し、24~64kg/m
3の密度を有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記軟質ポリウレタンフォームが、ASTM D-3574に従って測定される多くとも30%の弾性を有する、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法に従って作製された、ポリウレタンフォーム。
【請求項15】
前記粘着付与剤が、前記ポリウレタンフォームの内面の表面積の2.5~40%を占める、請求項
14に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記粘着付与剤は、最長寸法が10nm~200μmの不連続領域の形態で、前記ポリウレタンフォームの内面に存在する、請求項
14または
15に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回復時間が長いことを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム、およびそのようなフォームを作製するための方法に関する。
【0002】
緩徐回復型軟質ポリウレタンフォームは、ポリウレタンフォーム業界で急成長している分野の代表である。これらのフォームは、弾性が低く、圧縮からの回復が緩徐であるというその特性により、弾性がはるかに高く、圧縮後ほぼすぐに回復するHR(高弾性)および「従来の」軟質ポリウレタンフォームから区別される。これらの緩徐回復型フォームは、「記憶」フォームとして市販されることがある。これらは、枕やマットレスでの使用がますます増加しており、そのような使用においては、フォームの粘弾性特性により、消費者が非常に快適であると感じる感覚が生じる。これらはまた、NVH(騒音、振動、および不快さ)を低減するための音響用途および緩徐な回復が有利である耳栓などの様々な用途においても使用される。
【0003】
これらのフォームの緩徐な回復は、少なくとも部分的にそれらのガラス転移温度に起因することが多く、このガラス転移温度は、多くの場合、使用温度に近く、典型的には約20~35℃の範囲である。例えば、寝具用途(マットレス、枕)の緩徐回復型フォームのガラス転移温度は、ほぼ室温から人間の胴体の体温までの範囲であることが多い。
【0004】
これらのフォームは、そのガラス転移温度を上回る温度からそれを下回る温度に冷却された場合、またはその逆の場合に、特性の大きな変化を呈する。ガラス転移温度が室温に近いフォームは、常時、周囲温度に応じて特性が大きく変動する傾向にある。例えば、フォームの硬度(したがって、その感知される快適性)は、季節の変化、時間帯、またはさらには室内もしくは建物内のHVACシステムの操作により一般的に発生する周囲温度の上下とともに大幅に変化し得る。やや高いガラス転移温度により、製造の観点からある特定の欠点も生まれる。ガラス転移温度が20℃以上のフォームはより低温で保管されることが多く、その温度では、フォームは、より硬くなり、切断および加工がより困難となる。
【0005】
ポリウレタンフォームの回復時間を延長するために、少なくとも2つの他の手法が提案されている。フォームの気泡ウィンドウがほとんど独立している場合、より低温のTgのフォームでも長い回復時間が達成され得る。独立気泡ウィンドウは、フォームが圧縮され、続いて減圧される際、フォームに出入りする空気の流れを抑制する。この空気圧効果によって、回復時間が長くなる。この手法の問題は、フォームが容易に呼吸せず、そのため水蒸気をすばやく放散しないことであり、このことは、そのようなフォームがマットレスに使用された場合、体が体皮温度を容易に調節することができず、不快感につながることを意味する。
【0006】
回復の長いフォームを有するフォームを生成するために提案された別の手法は、泡の内面に粘着性コーティングを適用することである。これは、完成したフォームにコーティングを適用することにより行われる。例えば、WO2017/210439は、カプセル化された相変化物質を含む水性ポリマーエマルションを、事前に形成されたポリウレタンフォームに適用することを説明している。この手法は、適用されたエマルションから残留水を除去するために、エネルギーおよび/または時間のかかる乾燥ステップを含む、追加の製造ステップを必要とする。
【0007】
粘着性コーティングを適用するための単純で安価な可能性のある方法は、コーティング物質をフォーム配合物に組み込むことである。これは、粘着性物質がフォーム配合物の他の成分と非相溶性である傾向にあり、加えて高粘度である傾向にあるため、難しい課題であることが証明されている。これらの属性の各々により、特に大規模な場合、フォームの処理が困難となる。例えば、米国特許第4,625,627号は、寸法記憶を有するスクイズ可能な発泡体の玩具を作製するための方法を説明している。ビニルまたはアクリルポリマーの水性エマルションをフォーム配合物に組み込む。この方法は困難に悩まされている。これは、小さなフォーム物体の作製に限定される。有機共溶媒が必要とされ、これは、臭気および溶媒曝露の問題を回避するために製品から除去しなければならない。ビニルまたはアクリルポリマーをフォーム配合物に持ち込むために、配合物中に大量の水が必要とされる。大量の水が使用されるため、プレポリマープロセスが必要となる。プレポリマーを個別に製造する必要があるため、プレポリマープロセスはより高価である。
【0008】
回復時間が長い軟質ポリウレタンフォームを生成するための効率的かつ効果的な方法が望まれている。本方法は、大規模なフォーム生産に適しているだろう。
【0009】
一態様における本発明は、軟質ポリウレタンフォームを作製する方法であり、本方法は、60~110のイソシアネート指数で、
A)225以下のヒドロキシル当量を有するポリエーテルポリオールまたは2つ以上のそのようなポリエーテルポリオールの混合物であって、ポリオールまたはポリオールの混合物が、(i)2~4の数平均ヒドロキシル官能価を有し、(ii)170未満のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み、(iii)少なくとも10重量%のオキシエチレン含有量を有し、かつ/または少なくとも40重量%のオキシエチレン単位を含む少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオールの混合物、
B)成分A)100重量部あたり1~5重量部の水、を含む、反応混合物と、
C)少なくとも1つの有機イソシアネートと、を、
以下、
D)イソシアネート基と水および/またはアルコールとの反応のための少なくとも1つの触媒、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤、
F)成分A)100重量部あたり1~45重量部の粘着付与剤であって、
(i)25℃で少なくとも5,000センチポアズの粘度を有し、
(ii)最大20°Cのガラス転移温度を有する、粘着付与剤、
および
G)成分A)100重量部あたり0.05~10重量部の少なくとも1つのモノアルコールであって、モノアルコールが、少なくとも4個の炭素原子、最大300g/molの分子量、およびコーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で最大500cpsの粘度、を有することを特徴とするが、さらに、成分F)およびG)の重量比率が少なくとも20:80であり、95:5以下であることを条件とする、モノアルコール、の存在下で、反応させることを含み、
成分F)およびG)は、成分A)およびC)のいずれかと組み合わせる前に事前にブレンドされて、コーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で20,000cps以下の粘度を有するプレブレンドを形成する。
【0010】
粘着付与剤の添加は、高い気流を維持しながらフォームの回復時間を増加させるか、またはいくつかの実施形態では、回復時間を増加させるかもしくは増加させずに、気流を増加させることが見出された。この効果は、ポリウレタンフォームが、16℃以下などの、やや低いガラス転移温度を有する場合でも見られる。
【0011】
したがって、本フォームは、本フォームが、人間の使用者の体の体熱および/または蒸発する水蒸気にさらされる寝具および他の快適用途の優れた候補となる、非常に望ましい一連の触覚特性を有する。本フォームまたは本フォームを含有する物品は、そのような用途では、人間の使用者の体重の少なくとも一部を支えてもよい。
【0012】
16℃以下のガラス転移温度を有するフォームの回復時間および/または気流を増加させる能力は、通常の使用温度範囲にわたって、そのようなフォームの特性がかなり一定のままである傾向にあるため、非常に重要である。
【0013】
本発明はまた、フォームが、倉庫の温度の通常の季節変動および日変動を通して柔らかいままであり、切断および他の方法で加工するのが容易であるため、フォームを下流製品に組み立てるために切断しなければならないフォーム製造業者に顕著な有益性も提供する。
【0014】
成分F)およびG)のブレンドは、予想外に低い粘度を有することが見出された。したがって、本発明の別の驚くべき重要な利点は、成分F)およびG)のプレブレンドを形成することにより、成分F)をそれだけでは容易に処理できない産業用フォーム生産設備において容易に加工される低粘度材料を得ることである。さらに、成分F)およびG)のブレンドは、優れた貯蔵安定性を呈する。この後者の特性により、成分F)およびG)のプレブレンドを製造し、その後、フォーム形成プロセスで使用する前に長期間保存することができるようになる。
【0015】
成分A)は、225以下のヒドロキシル価を有する単一のポリエーテルポリオール、または225以下のヒドロキシル価を有する2つ以上のポリエーテルポリオールの混合物であってもよい。成分A)の平均ヒドロキシル価は、160未満または150未満であってもよい。いくつかの実施形態では、成分A)の平均ヒドロキシル価は、少なくとも80または少なくとも100である。成分A)のヒドロキシル価は、ASTM D4274-16などの滴定法を使用して測定されてもよく、あるいは、1つ超のポリオールが成分A)に存在する場合、成分A)の個々の構成成分の測定されたヒドロキシル価から計算され得る。
【0016】
成分A)は、2~4の平均公称ヒドロキシル官能価を有する。成分A)の平均公称ヒドロキシル官能価は、2~3.5または2~3.0であってもよい。ポリエーテルポリオールの公称官能価は、ポリエーテルアルコールの作製に使用される開始剤(複数可)のオキシアルキル化可能な基の数平均に等しい。周知のように、ポリエーテルの実際の官能価は、公称官能価よりもいくらか低くなる傾向にある。1分子あたりのヒドロキシル基の数は、数平均分子量をヒドロキシル当量で割ることによって決定され得る。
【0017】
成分A)を構成する個々のポリエーテルポリオールは、成分A)の平均公称官能価が上記の範囲内にある場合、4超の官能価を有してもよい。
【0018】
成分A)は、(成分Aの総重量に基づいて)少なくとも10重量%のオキシエチレン含有量を有し、かつ/または(そのようなポリエーテルポリオールの重量に基づいて)少なくとも40重量%のオキシエチレン含有量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む。いくつかの実施形態では、成分A)のオキシエチレン含有量は、成分Aの総重量に基づいて、75重量%ほど、50重量%ほど、30重量%ほど、または20重量%ほどであり得る。
【0019】
成分A)は、110~225(約510~約250のヒドロキシル当量に対応する)、特に140~205(約400~275のヒドロキシル当量)のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール(A-1)を含有してもよく、50重量%未満のオキシエチレン単位を含有する。このポリエーテルポリオール(A-1)は、例えば、2~4の公称官能価を有してもよい。このポリエーテルポリオール(A-1)は、プロピレンオキシドのホモポリマー、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムおよび/もしくはブロックコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、そのオキシエチレン含有量は、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%であってもよく、49重量%まで高く、35重量%まで高く、または25重量%まで高くあってもよい。
【0020】
成分A)は、ヒドロキシル価が110未満、例えば、28~100、30~75、または30~60であり、50重量%未満のオキシエチレン単位を含油する、少なくとも1つのポリエーテルポリオール(A-2)を含有してもよい。このポリエーテルポリオール(A-2)は、例えば、2~4の公称官能価を有してもよい。このポリエーテルポリオール(A-2)は、プロピレンオキシドのホモポリマー、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムおよび/もしくはブロックコポリマーであってもよい。コポリマーの場合、そのオキシエチレン含有量は、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%であってもよく、49重量%まで高く、35重量%まで高く、または25重量%まで高くあってもよい。
【0021】
成分A)は、20~225のヒドロキシル価、および50重量%超のオキシエチレン含有量を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオール(A-3)を含有してもよい。そのオキシエチレン含有量は、例えば、少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%であってもよく、100重量%まで高く、または90重量%まで高くあってもよい。このポリエーテルポリオール(A-3)は、例えば、2~4の公称官能価を有してもよい。このポリエーテルポリオールは、エチレンオキシドのホモポリマー、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムおよび/もしくはブロックコポリマーであり得る。ポリエーテルポリオール(A-3)のヒドロキシル基の少なくとも50%または少なくとも75%は、第一級ヒドロキシルによるものであってもよい。
【0022】
成分A)(またはその任意の構成成分)は、分散ポリマー粒子を含有してもよい。これらの分散ポリマー粒子は、成分A)の重量にカウントされる。分散ポリマー粒子は、例えば、ポリ尿素、ポリウレタン、および/もしくはポリヒドラジド、または1つ以上のビニルモノマーのポリマーであってもよい。有用なビニルモノマーには、例えば、ポリオレフィン(エチレンのポリマーおよびコポリマーなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルのポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、アクリロニトリルのホモポリマーまたはコポリマーなどが含まれる。いくつかの実施形態では、分散粒子は、スチレン-アクリロニトリルコポリマー粒子である。
【0023】
いくつかの実施形態では、成分A)は、ポリエーテルポリオールA-1)、A-2)、およびA-3)のうちのいずれか2つ以上の混合物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態における分散ポリマー粒子は、100nm~25μm、より典型的には250nm~10μmの粒径を有する。好ましくは、分散ポリマー粒子の少なくとも90体積%が、これらの範囲内のサイズを有する。粒子サイズは、同等の体積を有する球の直径として採用される。粒子サイズの測定は、Beckman-Coulter LX13320レーザー回折粒子サイズ分析器などの機器を使用して、レーザー回折法により得ることができる。
【0025】
分散ポリマー粒子は、例えば、成分A)の総重量の少なくとも1パーセント、少なくとも2パーセント、または少なくとも3パーセントを構成してもよく、例えば、その総重量の最大60%、最大50%、最大40%、最大30%、最大20%、または最大10%を構成してもよい。
【0026】
分散ポリマー粒子は、成分A)に含まれる少なくとも1つのポリオール中の粒子の分散液の形態で提供されてもよい。分散ポリマー粒子の少なくとも一部は、好ましくは、そのような分散液の連続相を形成するベースポリオール分子の少なくとも一部にグラフト化される。そのような分散液は、ポリオール内でその場でポリマー粒子を重合することによって、および/またはポリマーを予備形成し、先に形成されたポリマーをポリオールに分散させることによって、製造され得る。
【0027】
ポリオール中でのポリマー粒子の分散液の形成方法は、例えば、WO 2012/154831、US 4,305,857、WO 94/20558、WO 2012/154820、USP 4,513,124、USP 4,588,830、USP 4,640,935、USP 5,854,386、USP 6,613,827、およびWO 2009/155427に記載されている。
【0028】
水(B)の量は、成分A)100重量部あたり、1~4.5、または1.75~3.5重量部であってもよい。この量は、反応混合物の他の成分と共に持ち込まれるものを含む、すべての供給源からの水を含む。
【0029】
有機ポリイソシアネート化合物(C)は、例えば、最大300のイソシアネート当量を有してもよい。イソシアネート当量は、最大250、または最大175であってもよく、いくつかの実施形態では、50~175である。有機ポリイソシアネート化合物の混合物が使用される場合、混合物に関しては、これらの当量が適用され、そのような混合物中の個々の有機ポリイソシアネートは、これらの範囲より上、これらの範囲内、またはこれらの範囲より下のイソシアネート当量を有してもよい。
【0030】
有用な有機ポリイソシアネートの例としては、m-フェニレンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1,3-および/または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス異性体および/またはトランス異性体を含む)、メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4-4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、ならびに4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートが挙げられる。好ましくは、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、PMDI、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、またはこれらの混合物である。ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、およびこれらの混合物は、総称的にMDIと呼ばれ、すべて使用することができる。PMDIとMDIとの混合物である「ポリマーMDI」は、70重量%以下のMDI、特に50~70重量%のMDIを含有するポリマーMDIが、特に使用され得る。トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、およびそれらの混合物は、総称してTDIと呼ばれ、すべて使用することができる。ポリマーMDIが特に好ましい。
【0031】
フォームは、60~110のイソシアネート指数で形成される。「イソシアネート指数」は、反応に提供される有機イソシアネートの量の尺度であり、反応混合物に提供されるイソシアネート反応性基の当量の数に対するイソシアネート基の当量の数の比の100倍に等しい。この計算では、1モルの水は、2等量のイソシアネート反応性基を有すると見なされる。イソシアネート指数は、少なくとも70、少なくとも85、または少なくとも90であってもよく、最大105、最大100、最大95、または最大90であってもよい。
【0032】
触媒(複数可)(D)は、水-イソシアネート反応およびアルコール-イソシアネート反応のいずれかまたは両方に触媒作用を及ぼす。適切な触媒としては、例えば、第三級アミン、環状アミジン、第三級ホスフィン、様々な金属キレート、酸性金属塩、強塩基、様々な金属アルコレートおよびフェノレート、ならびに有機酸の金属塩が挙げられる。金属含有触媒の例は、スズ、ビスマス、コバルト、および亜鉛の塩である。最も重要な触媒は、第三級アミン触媒、環状アミジン、亜鉛触媒、およびスズ触媒である。第三級アミン触媒の例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジメチルピペラジン、1,4-ジアゾビシクロ-2,2,2-オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、およびアルキル基が4~18個の炭素原子を含有するジメチルアルキルアミンが挙げられる。これらの第三級アミン触媒の混合物が、多くの場合に使用される。
【0033】
DMEA(ジメチルエタノールアミン)、DMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)などの反応性アミン触媒またはアミン開始ポリオールが使用されてもよい。
【0034】
スズ触媒には、塩化第二スズ、塩化第一スズ、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、スズリシノレート、およびRがアルキルまたはアリールであり、nが0~4であるなどの、式SnRn(OR)4-nの他のスズ化合物などが含まれる。カルボン酸スズのカルボン酸基は、6~18個の炭素原子を有してもよい。亜鉛触媒およびスズ触媒は、仮に使用されたとして、1つ以上の第三級アミン触媒と共に使用され得る。
【0035】
触媒は、典型的には、少量で使用され、各触媒は、例えば、成分A)100重量部あたり約0.0015~約5重量部の量で用いられる。亜鉛触媒およびスズ触媒は、一般的に、この範囲内、例えば、成分A)100重量部あたり0.0015~0.25部の非常に少量で使用される。
【0036】
泡安定化界面活性剤(E)は、ポリマーが硬化するまで、発泡プロセス中に発泡剤によって形成された気泡を安定化させることに役立つ。ポリウレタンフォームを作製するために通常使用されるような多種多様なシリコーン界面活性剤は、本発明のポリマーポリオールまたは分散液を用いてフォームを作製する際に使用することができる。そのようなシリコーン界面活性剤の例は、商品名Tegostab(商標)(Evonik Industries AG)、Niax(商標)(Momentive Performance Materials)、およびDabco(商標)(Air Products and Chemicals)で市販されている。
【0037】
成分A100重量部あたり0.01~5重量部の界面活性剤が使用され得る。好ましい量は、成分A)100重量部あたり少なくとも0.5重量部であり、好ましい上限量は、成分A100重量部あたり最大2.5部である。
【0038】
成分(F)は、粘着付与剤であり、この粘着付与剤は、
(i)粘度が、25℃で、少なくとも5,000センチポアズ、好ましくは少なくとも10,000cpsまたは少なくとも25,000cpsであり、かつ
(ii)ガラス転移温度が、高くとも20℃、好ましくは高くとも0℃または高くとも-10℃である。
【0039】
粘着付与剤は、好ましくは、1気圧で100℃を超過する沸点である。
【0040】
室温で固体である場合、粘着付与剤はまた、好ましくは、高くとも35℃の環球軟化温度を有する。粘着付与剤はまた、好ましくは、成分A)と非相溶性であるか、または少なくとも部分的に非相溶性である。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、泡形成反応の条件下で、水、アルコール、アミノ基、またはイソシアネートに対して反応性ではない。
【0041】
成分A)との相溶性は、粘着性付与剤をポリオールまたはポリオールの混合物と、高速実験室用混合器を使用して、1,000rpm(1分あたりの回転数)で、フォームを作製に使用される相対比率で、30秒間混合し、次いで混合物を静止させることによって評価される。混合機は、80mmの直径を有するピッチブレードタービンインペラーを有する。カップの直径は100mm、容量は1000mL、容器内の材料(ポリオールまたは混合物、および粘着付与剤)の総量は300グラムである。視覚的に均質混合物の形成によって、粘着付与剤が成分A)と相溶性であることが示される。逆に、粘着付与剤が別個の相(液滴もしくは粒子などの分散相であってもよく、またはさらに全体的な相分離に起因する別個の層であってもよい)を形成する不均質な混合物の形成によって、粘着付与剤が成分A)と少なくとも部分的に非相溶性であることが示される。顕微鏡で見える分散液滴または粒子を含有する不透明な混合物もまた、ポリオールまたはポリオールの混合物と少なくとも部分的に非相溶性であることを立証する。
【0042】
粘着付与剤の粘度は、Brookfield(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)またはAR 2000(TA Instruments)などの粘度計を使用して25℃で測定される。
【0043】
粘着付与剤のガラス転移温度は、動的機械分析により測定されたとおりであり、ピークタンデルタ値の温度として取得される。
【0044】
粘着付与剤は、例えば、ロジン、水素化および/またはエステル化ロジン、ポリテルペン、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、C5/C9コポリマー樹脂、水素化C5またはC9樹脂、ブテンのポリマーまたはコポリマー(イソブチレンを含む)(INEOSのH-50、H-100、H-300、H-1200、およびH-1500ポリブテンなど)、エポキシ樹脂、スチレン/ブタジエンコポリマーなどのスチレン/共役ジエンコポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、0.900g/cc未満の密度を有するエチレン-高級アルファオレフィンコポリマー(エチレン-プロピレンおよびエチレン-オクテンコポリマーを含む)、シリコーンオイル、キサンタンガム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース化合物、カチオン性ポリアクリルアミド、パラ-t-オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、例えばWO2001060939A1に記載されているものを含む、400~2000の分子量を有するポリエステル、ウレタンアクリレートオリゴマー、Lion ElastomersのTrilene(登録商標)65およびTrilene(登録商標)67エラストマーなどの室温で液体であるエチレン-プロピレン-ジエン樹脂などであってもよい。
【0045】
「ロジン」とは、精油の除去後、様々な植物種、主にマツなどの針葉樹から滲出する含油樹脂の樹脂構成成分を指す。「ロジン」として、例えば、ウッドロジン、ガムロジン、およびトール油ロジンが挙げられる。ロジンの主な成分は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、およびサンダラコピマル酸のうちの1つ以上を含む、2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する、20個の炭素の三環式脂肪族カルボン酸である。
【0046】
水素化ロジンは、構成成分であるカルボン酸の少なくとも一部の炭素-炭素二重結合の1つ以上が水素化されている、上記のロジンである。
【0047】
エステル化ロジンは、構成成分であるカルボン酸のカルボン酸基の一部または全部が、典型的には、1つ以上のアルコール基を有するアルコール化合物との反応によってエステル基に変換された上記のロジンである。エステル化ロジンは、好ましくは、成分A)、B)、およびC)のいずれとも反応しない。ロジンのエステル化に使用されるアルコールは、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、またはt-ブチルエステルなどのアルカノールエステルであってもよい。エステル化ロジンは、ポリエステルエステルであってもよく、カルボン酸基の一部または全部を、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチオールエタンなどの最大6個の炭素原子を有するポリオールと反応させることによって形成されてもよい。
【0048】
ポリテルペンは、α-ピネン、β-ピネン、およびd-リモネンのうちの1つ以上のポリマーであってもよい。
【0049】
C5脂肪族樹脂は、C5ピペリレンを重合することによって生成される。「C5ピペリレン」とは、ナフサクラッカーから得られる不飽和脂肪族5炭素原子化合物の混合流を指す。C5ピペリレンは、典型的には、シス/トランス1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、およびジシクロペンタジエンのうちの1つ以上を含有する。
【0050】
C9芳香族樹脂は、C9芳香族炭化水素を重合することによって生成される。「C9芳香族炭化水素」とは、脂肪族炭素-炭素二重結合と、ナフサクラッカーから得られる、インデン、メチルインデン、スチレン、α-メチルスチレン、およびビニルトルエンなどの8~10個の炭素原子と、を有する芳香族化合物の混合流を指す。C9芳香族炭化水素は、前述されていないある割合の他の脂肪族C9化合物を含有してもよい。
【0051】
C5/C9コポリマー樹脂は、C5ピペリレンとC9芳香族炭化水素とのコポリマーである。
【0052】
ポリエステル粘着付与剤の例としては、400~2000の分子量を有するジエチレングリコール/無水フタル酸ポリエステル、および400~2000の分子量を有するヘキサメチレングリコール/無水フタル酸ポリエステルが挙げられる。ポリエステル粘着付与剤は、140℃で5000cpsを超過する粘度を有してもよい。そのようなポリエステル粘着付与剤の例としては、Stepanpo(登録商標)PD56およびStepanpo(登録商標)PH 56としてStepan Chemical Companyから販売されているものが挙げられる。
【0053】
鉱油などの材料を粘着付与剤中に存在させて、その軟化温度を前述の範囲に低下させることができる。加えて、粘着付与剤は、50℃を超える環球軟化温度を有する有機ポリマーとのブレンドの形態で提供されてもよい。そのようなブレンドは、2~99%の粘着付与剤を含有してもよい。
【0054】
粘着付与剤の量は、成分A)100重量部あたり1~45重量部である。粘着付与剤の量は、成分A)100重量部あたり、少なくとも2.5重量部、少なくとも5重量部、少なくとも7.5重量部、または少なくとも10重量部であってもよい。これは、成分A100重量部あたり、最大30重量部、最大25重量部、最大20重量部、または最大15重量部であってもよい。
【0055】
成分G)は、少なくとも1つのモノアルコール(モノール(monol))であり、このモノアルコールは、少なくとも4つの炭素原子、最大300g/molの分子量、およびコーンプレート粘度計を使用して測定して25℃で最大500cpsの粘度を有することを特徴とする。モノアルコールは、好ましくは、少なくとも5個の炭素原子を含有し、最大275、最大250、または最大200の分子量を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、モノアルコールは、ハンセン分散性パラメータが13.9~17.4(J/cc)1/2、ハンセン極性パラメータが1.7~9.2(J/cc)1/2、ハンセン水素結合パラメータが3.8~13.9(J/cc)1/2である。ハンセンパラメータは、www.hansen-solubility.com/downloadsから入手可能なHSPiP 5.1.03ソフトウェアを使用して計算することができる。
【0057】
モノアルコールは、さらに、1標準気圧で少なくとも100℃、好ましくは少なくとも125℃、もしくは少なくとも150℃の沸点、および/または3kPa以下、好ましくは0.25kPa以下の20℃での蒸気圧を有してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、モノアルコールは、少なくとも4個の炭素原子の少なくとも1つのヒドロカルビル基を含む。ヒドロカルビル基は、直鎖または分岐鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキル、アリール、アルキル置換アリールなどであってもよい。ある特定の実施形態では、モノアルコールは、芳香族基および脂肪族不飽和を欠いている。
【0059】
いくつかの実施形態では、成分G)は、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、および2-エチル-1-ヘキサノールなどのアルカノール、またはシクロヘキサノールなどの脂環式アルコールであるか、またはそれを含む。他の実施形態では、成分G)は、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノフェニルエーテルなどのグリコールエーテルであるか、またはそれを含む。これらの中でも、脂肪族グリコールエーテルが好ましい。
【0060】
成分G)の量は、成分F)の量と併せて、成分F)対成分G)の重量比が少なくとも20:80であるが95:5以下であるように選択される。したがって、成分G)は、成分A)100重量部あたりわずか0.05重量部の量で存在してもよい。成分F)対成分G)の比は、成分G)の量が成分A)100重量部あたり10重量部以下であることを条件として、好ましくは、少なくとも50:50、または少なくとも60:40であり、好ましくは、93:7以下である。
【0061】
成分G)の好ましい量は、いずれの場合にも成分A)100重量部あたり、少なくとも0.5重量部、または少なくとも1重量部、最大7.5重量部、最大6重量部、または最大5重量部である。
【0062】
成分F)およびG)は、成分A)およびC)のいずれかと組み合わせる前にプレブレンドに形成されて、コーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で20,000cps以下の粘度を有するプレブレンドを形成する。プレブレンドは、好ましくは、粘度が、25℃で、10,000cps以下、8,000cps以下、または5,000cps以下であるが、成分F)のそれ自体での粘度の50%以下(好ましくは20%以下または10%以下)である。
【0063】
プレブレンドは、成分F)を、その軟化温度(室温で固体の場合)に、好ましくは40~100℃の温度に加熱して、その粘度を下げ、成分G)との混合を容易にすることにより、簡便に調製される。次に、成分F)およびG)を組み合わせ、混合して、プレブレンドを形成する。プレブレンドは、ポリイソシアネート(複数可)および成分A)を除いて、フォーム配合物の任意の他の原料をさらに含んでもよい。具体的には、以下に記載される任意選択の成分H)の一部または全部がプレブレンドに含まれてもよい。
【0064】
任意選択の成分H)は、225超、例えば、225~1870、または500~1700のヒドロキシル価を有する1つ以上の低当量ポリオールである。そのようなポリオールは、1分子あたり2~6個のヒドロキシル基を有してもよい。そのようなポリオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、マンニトール、スクロース、ソルビトールなど、ならびに上記のうちのいずれかのアルコキシレートがある。使用される場合、これらのポリオールは、例えば、成分A)100重量部あたり、少なくとも0.1重量部、または少なくとも0.25重量部、かつ成分A)100重量部あたり、5部以下、2.5部重量以下、1重量部以下、または0.5重量部以下の量で存在してもよい。
【0065】
反応混合物は、300を超える分子量を有する1つ以上のポリエーテルモノールを含有する。ポリエーテルモノールは、プロピレンオキシドのホモポリマー、エチレンオキシドのホモポリマー、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのランダムおよび/もしくはブロックコポリマーなどのポリエーテルであってもよい。ポリエーテルモノールは、好ましくは、3個超の炭素原子を有するヒドロカルビル基を含有しない。
【0066】
フォーム配合物中に補助発泡剤を含めることが望ましいことがある。そのような補助発泡剤としては、様々な低沸点クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、炭化水素などの物理的(吸熱性)発泡剤、ならびに、ポリウレタン形成反応の条件下で分解または反応する化学的(発熱性)発泡剤(水以外)が挙げられる。さらに、二酸化炭素、空気、窒素、またはアルゴンなどのガスを泡立てプロセスにおける補助発泡剤として使用してもよい。二酸化炭素もまた、液体としてまたは超臨界流体として使用することができる。
【0067】
上記の成分に加えて、フォーム配合物は、気泡開放剤;メラミンおよび炭酸カルシウムなどの充填剤;二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、およびカーボンブラックなどの顔料および/もしくは着色剤;ガラス繊維、炭素繊維、フレーク状ガラス、マイカ、タルクなどの強化剤;殺生物剤;防腐剤;酸化防止剤;難燃剤;可塑剤;パラフィン油;植物もしくは動物性油脂;エポキシ化植物油および/もしくは動物脂肪;ワックス粒子;ゲル粒子などの様々な他の任意選択の原料を含有してもよい。
【0068】
適切な難燃剤は固体であっても液体であってもよい。これらは、例えば、1つ以上の非ハロゲン化難燃剤、および/または1つ以上のハロゲン化難燃剤を含む。例示的な難燃剤としては、メラミンまたは様々なメラミン誘導体、ハロゲンを含んでも含まなくてもよいリン化合物、ハロゲンを含んでも含まなくてもよいアルミニウム含有化合物、ハロゲンを含んでも含まなくてもよい様々な窒素含有化合物、塩素化化合物、様々な臭素化化合物、膨張性グラファイト、様々なホウ素化合物、およびポリウレアが挙げられる。いくつかの実施形態では、難燃剤は、メラミンもしくはメラミン誘導体、および/または1つ以上のハロゲン化リン化合物である。
【0069】
軟質フォームは、成分F)およびG)のプレブレンドを、成分A)および成分C)、ならびにプレブレンドに存在しないあらゆる残りの原料と組み合わせて、反応し硬化してフォームを形成する反応混合物を形成することによって作製される。プレブレンドに存在しない成分(ポリイソシアネート以外)は、プレブレンドに個別に添加するか、またはプレブレンドと混合する前に様々なサブコンビネーションに形成することができる。あるいは、これらのいずれかまたはすべては、プレブレンドとポリイソシアネートとを、例えば、それらのうちの1つ以上を別個の流れとして反応混合物に供給することによって組み合わせるのと同時に、反応混合物に供給し得る。
【0070】
反応混合物は、好ましくは、プレブレンドを、これらの成分の均質混合物を創出するミックスヘッドまたは他の装置を使用して他の原料と組み合わせることによって形成される。
【0071】
次いで、反応混合物は発泡され、そして硬化される。本発明のプロセスは、特別な発泡条件を必要とせず、したがって、軟質ポリウレタンフォームを作製するための当該技術分野において記載されている発泡条件および装置が完全に適切である。一般に、イソシアネート化合物は、室温(22℃)であっても水およびポリオールと自然に反応する。必要な場合、熱を反応混合物に適用して、硬化反応を加速させることができる。これは、原料を合わせる前に原料の一部または全部を加熱することによって、反応混合物に熱を適用することによって、またはそれぞれの一部の組み合わせによって行うことができる。反応混合物が、安定なフォームを形成するために十分に膨張および硬化するまで、硬化を続ける。成分G)は、イソシアネート反応性であり、ポリイソシアネート基と少なくとも部分的に反応して、反応混合物が硬化するときに形成するポリウレタンポリマーに組み込まれた状態となる。
【0072】
いくつかの実施形態では、硬化ステップは密閉型内で実施される。そのようなプロセスにおいて、反応混合物は、型それ自体の中で形成されるか、または型の外側で形成され、次に型の中へ射出されてそこで硬化するかのいずれかである。したがって、反応混合物が硬化するときのその膨張は、成形部品の寸法および形状と同様に、型の内面によって制限される。
【0073】
他の実施形態では、硬化ステップは、フリーライズ(またはスラブストック)プロセスの中で行われる。フリーライズプロセスにおいては、反応混合物は、フォームの膨張にわずかな抵抗しか与えない大気または軽量表面(フィルムなど)に対して少なくとも一方向(通常は垂直方向)での膨張が生じるように、開放容器に注ぎ込まれる。フリーライズプロセスにおいて、反応混合物は、その自重による場合を除いて、本質的に拘束されずに少なくとも一方向に膨張する。フリーライズプロセスは、反応混合物を形成し、それをトラフ内またはコンベア上に分配することによって実施してもよく、そこで反応混合物は膨張および硬化する。本発明は、反応混合物がトラフまたは他の反応ゾーンに連続的に分配され、そこで反応混合物が上昇および膨張する、連続フリーライズプロセスにおいて特に有益である。そのような場合、反応混合物は容易に加工する傾向があることが判明した。
【0074】
例示的な実施形態によれば、フォーム製品は、可変圧力発泡(VPF)法を使用して真空下で生成してもよい。
【0075】
軟質ポリウレタンフォームは、いくつかの実施形態では、ISO3886によって測定して、24~150kg/m3、好ましくは24~100kg/m3、より好ましくは24~95kg/m3のフォーム密度を有することを特徴とする。
【0076】
軟質ポリウレタンフォームは、好ましくは、ASTM D-3574に従って測定して、50%未満、30%未満、20%未満、12%未満、または8%未満の弾性を有する。
【0077】
軟質ポリウレタンフォームは、好ましくは、ASTM D-3574に従って測定して、5~80ニュートン、特に5~50ニュートンの押込み力たわみ(IFD)(25%たわみ)を呈する。
【0078】
軟質ポリウレタンフォームは、例えば、-55~35℃のガラス転移温度を有してもよい。いくつかの実施形態では、ガラス転移温度は、高くとも20℃または高くとも16℃である。フォームのガラス転移温度は、TA InstrumentsのRSA-G2 Solids Analyzerなどの固体分析器を使用した動的機械分析によって測定され得る。ガラス転移温度は、タンデルタ曲線のピークで取得される。このデバイスを使用した適切な試験条件は次のとおりである:円柱状試料寸法が10mm厚さ、20mm直径、圧縮モードが周波数1Hz、歪みが0.1%、プリロードが15.0g、加熱速度が3℃/分。
【0079】
本軟質ポリウレタンフォームは、回復時間が、例えば、少なくとも0.5秒、少なくとも1秒、少なくとも1.5秒、少なくとも2秒、または少なくとも2.5秒、最大50秒、最大40秒、最大20秒、または最大10秒である。回復時間は、フォームを圧縮することによって測定される。4インチ×4インチ×2インチ(10.16cm×10.16cm×5.04cm)のサイズを有する、表皮が取り除かれた試験片は、初期の厚さの24%に圧縮され、60秒間圧縮が保持される。次いで、圧縮力が解放され、フォームが元の厚さの95%に戻るのに必要な時間が、回復時間として測定される。回復時間測定を実施するための適切な装置は、RESIMAT 150粘弾性フォーム試験装置(Format Messtechnik GmbH,Germany)である。
【0080】
粘着付与剤をフォーム配合物に含めることによって、粘着付与剤なしで作製された他の同様のフォームと比較して、フォームの回復時間が増加することが見出された。回復時間は、粘着付与剤を含まないが他の点では同様のフォームと比較して、例えば、少なくとも1秒または少なくとも2秒増加し得る。
【0081】
軟質ポリウレタンフォームは、(気泡を機械的に開放した後)、ASTM D-3574に従って測定して、少なくとも0.24、少なくとも0.47、少なくとも0.67、少なくとも0.95、または少なくとも1.4リットル/秒の気流を呈してもよい。気流は、例えば、最大10、最大6、または最大4リットル/秒ほど高くなってもよい。
【0082】
軟質ポリウレタンフォームは、点火源として木の集まり(クリブと呼ばれる)を使用する英国規格燃焼性試験(BS 5852-点火源5)のような1つ以上のFR(難燃性)基準を満たし得る。
【0083】
回復時間の増加は、フォームの内面上に連続または不連続の粘着性層を形成する粘着付与剤に起因するものと考えられている。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、フォームの内面上に不連続な領域または「島」を形成する。これらの島は、例えば、10nm~200μmの最長寸法を有し、例えば、フォームの内面積の少なくとも1%、少なくとも2.5%、または少なくとも5%、最大75%、最大50%、最大40%、最大33%、または最大25%を占めてもよい。フォームが圧縮されると、内面が接触するようになり、粘着付与剤によって付与される粘着性によって、接触する内面は、フォームの弾性回復によって克服されるまで一時的に一緒に接着する。一時的な接着は、回復時間の増加を引き起こすと考えられている。
【0084】
ポリウレタンフォームの内面上の粘着付与剤の存在は、適切な解像度を有する顕微鏡法を使用して確認され得る。走査型電子顕微鏡検査は、粘着付与剤によって占められた領域を視覚化するのに適切である。エネルギー分散型X線分光法(EDS)などの方法は、粘着付与剤とフォームとの化学的相違に起因して、領域をそれぞれ粘着付与剤およびフォームへ表面割り当てするのに有用である。
【0085】
本発明のフォームは、枕、マットレス、背もたれ(ベッドヘッドボード用、座席用など)、自動車用アームレスト、家庭用および/または車両シート用シートクッション、包装材、保護用クッション材などのクッション用途において有用である。それは、音および/または振動(すなわち、NVH)の減衰手段として、またはその構成要素として使用され得る。例えば、それは、耳栓用の騒音、振動、および/または耳障りな音の低減のための音響用途、ならびに以前の緩徐回復型ポリウレタンフォームが有用である他の用途において有用である。それは、フォーム圧縮後の緩徐な回復が望まれる他の用途において有用である。一般的には、本発明の緩徐回復型フォームは、従来製法の緩徐回復型フォームと同じ用途および同じ様式で使用され得る。
【0086】
以下の実施例は、本発明を例解するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示がない限り重量による。すべての分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる数平均である。
【0087】
以下の実施例において、
ポリオールAは、分子量1000の公称3官能性のポリエーテルポリオールである。これは、約0%の重合されたエチレンオキシド、91%の重合されたプロピレンオキシド、および9%の開始剤残留物を含有する。
【0088】
ポリオールBは、61%のエチレンオキシドと、30%のプロピレンオキシドと、9%の開始剤残留物との、分子量1000の公称3官能性のランダムコポリマーである。
【0089】
ポリオールCは、11%のエチレンオキシドと89%のプロピレンオキシドとの、分子量3100の公称3官能性のランダムコポリマーである。
【0090】
PMDIは、イソシアネート含有量が32.8%、イソシアネート官能価が2.2~2.3であるポリマーMDI製品である。
【0091】
界面活性剤Aは、Momentive Perforamance MaterialsによってNiax(登録商標)L-618界面活性剤として販売されているシリコーン界面活性剤である。
【0092】
触媒は、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルと、トリエチレンジアミンと、オクタン酸第一スズとの混合物である。
【0093】
実施例1~4および比較試料A~C
これらの実験で使用する粘着付与剤は、Kraton CorporationからSylvares(登録商標)TR A25Lとして販売されているポリテルペン樹脂である。この製品は、その製造業者の報告によると、軟化温度が22~28℃、ガラス転移温度が-20℃である。固体であるため、25℃でのその粘度は測定には高すぎる。本製品の50℃での粘度は、その製造業者の報告によると、4450cpsである。このポリテルペン樹脂は、これらの実施例に記載されているポリオールA~Cの混合物と非相溶性である。これは、発泡反応の条件下で、ポリオール混合物、水、およびポリイソシアネートに対して不活性である。
【0094】
粘着付与剤といくつかの希釈剤(5つのモノールおよび1つのポリエステルポリオール)の各々とのプレブレンドを、2500rpmで1分間作動するFlecktac高速ミキサーで原料を組み合わせることにより作製する。いずれの場合も、粘着付与剤と希釈剤との割合を変えて、粘度が25℃で10,000cps未満のプレブレンドを生成する。追加のプレブレンドを、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテルを様々な濃度で使用して作製する。モノール希釈剤の粘着付与剤および希釈剤の量、ならびにハンセンパラメータを表1に示す。
【表1】
【0095】
軟質ポリウレタンフォームを、プレブレンドA~Fの各々を使用して作製する。フォーム配合を表2に示す。(ポリオールA~C100部あたりの粘着付与剤およびモノールの量は、表2の下部に個別に示す。)触媒およびポリイソシアネートを除くすべての成分を、高速ピンミキサーを使用して2400rpmで15分間、室温で混合する。次に、触媒を添加し、2400rpmで15秒間混合し、続いてポリイソシアネートを添加し、3000rpmで3秒間混合する。得られた反応混合物を、38cm×38cm×24cmの箱に注ぎ入れ、そこで反応させ、上昇させ、硬化させて、軟質ポリウレタンフォームを生成する。フォームを一晩硬化させる。
【表2】
【0096】
フォーム特性を測定するには、最初にフォームスキンを取り除き、試料を24時間調整する。フォーム密度、IFD、圧縮永久ひずみ、引張、引裂抵抗、気流、および弾性を、ASTM規格D3574に従って試験する。回復時間を前述のように測定する。結果を表3に示す。
【表3】
【0097】
比較試料Aは、粘着付与剤を有しないベースラインを表す。回復時間は2秒である。これは、実施例1~4において、それぞれ、2.5秒、6.1秒、5.9秒、および40秒に増加する。
【0098】
実施例4は、好ましいハンソン溶解性パラメータを有しないモノールを使用する場合の影響を示す。このモノールは、希釈剤としては性能が低いため(以下に示すとおり)、他の実施例および試料の場合と同じ量の粘着付与剤を持ち込むには、大量のモノールが必要となる。得られるフォームの回復時間は40秒であり、これは好ましいものよりも長い。加えて、圧縮永久ひずみが高くなる。
【0099】
比較試料Bは、モノールが多すぎる場合の影響を示す。フォームは崩壊し、特性を有意義に測定することができない。
【0100】
比較試料Cは、モノールではなく、低分子量ポリエステルジオールを粘着付与剤の希釈剤として使用する場合の影響を示す。回復時間は180秒より長く、フォームは、概してこわばっていて硬い。
【0101】
追加のプレブレンドの粘度低減効果
追加のプレブレンドを、プレブレンドA~Fと類似の方法で作製する。いずれの場合も、粘着付与剤の割合は91.16:9.84である。粘着付与剤は、プレブレンドA~Fで使用したポリテルペン樹脂である。プレブレンドの各々の粘度は、TA InstrumentsのAR2000コーンプレート粘度計を使用して決定する。コーンプレートの直径は25mm、剪断速度は10ラド/秒、周波数スイープは0.01~100ラド/秒の範囲である。結果を表4に示す。
【表4】
【0102】
表4に示す結果は、本明細書に記載の好ましいハンセン溶解性パラメータを有するモノールの驚くべき有効性を実証している。濃度10%未満では、これらは粘着付与剤の粘度を20倍以上低下させる。モノールのハンセンパラメータが指定範囲外の場合、エチレングリコールモノフェニルエーテルの場合のように、モノールの粘度低下剤としての効果ははるかに低くなる。その場合、望ましい低粘度を達成するためには、より多くのモノールが必要となり、上記の表2および3に示すように、非常に大量のモノールを使用することなく有効量の粘着付与剤をフォーム配合物に組み込むことは困難となる。
【0103】
芳香族基を含有するモノールは、希釈剤として、一般に、事実上完全に脂肪族であるものよりも効果的ではなく、あまり好ましくない。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
軟質ポリウレタンフォームを作製する方法であって、60~110のイソシアネート指数で、
A)225以下のヒドロキシル当量を有するポリエーテルポリオールまたは2つ以上のそのようなポリエーテルポリオールの混合物であって、前記ポリオールまたはポリオールの混合物が、(i)2~4の数平均ヒドロキシル官能価を有し、(ii)170未満のヒドロキシル価を有する少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含み、(iii)少なくとも10重量%のオキシエチレン含有量を有し、かつ/または少なくとも40重量%のオキシエチレン単位を含む少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む、ポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオールの混合物、
B)成分A)100重量部あたり1~5重量部の水、を含む、反応混合物を、
C)少なくとも1つの有機イソシアネートと、
以下、
D)イソシアネート基と水および/またはアルコールとの前記反応のための少なくとも1つの触媒、
E)少なくとも1つの泡安定化界面活性剤、
F)成分A)100重量部あたり1~45重量部の粘着付与剤であって、
(i)25℃で少なくとも5,000センチポアズの粘度を有し、
(ii)最大20°Cのガラス転移温度を有する、粘着付与剤、
ならびに
G)成分A)100重量部あたり0.05~10重量部の少なくとも1つのモノアルコールであって、前記モノアルコールが、少なくとも4個の炭素原子、最大300g/molの分子量、およびコーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で最大500cpsの粘度、を有することを特徴とするが、さらに、成分F)およびG)の重量比率が少なくとも20:80であり、95:5以下であることを条件とする、モノアルコール、の存在下で、反応させることを含み、
成分F)およびG)が、成分A)およびC)のいずれかと組み合わせる前に事前にブレンドされて、コーンプレート粘度計を使用して測定して、25℃で20,000cps以下の粘度を有するプレブレンドを形成する、方法。
項2.
前記粘着付与剤が、ロジン、水素化および/またはエステル化ロジン、ポリテルペン、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、C5/C9コポリマー樹脂、水素化C5またはC9樹脂、ブタンのポリマーまたはコポリマー、エポキシ樹脂、スチレン/共役ジエンコポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、密度が0.900g/cc未満のエチレン-高級アルファオレフィンコポリマー、シリコーンオイル、セルロース系カチオン性ポリアクリルアミド、パラ-t-オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、数平均分子量が400~2000のポリエステル、ウレタンアクリレートオリゴマー、ならびに室温で液体のエチレン-プロピレン-ジエン樹脂のうちの1つ以上を含む、項1に記載の方法。
項3.
前記粘着付与剤が少なくとも1つのロジンを含む、項2に記載の方法。
項4.
前記粘着付与剤が少なくとも1つのポリテルペンを含む、項2に記載の方法。
項5.
前記粘着付与剤の量が、成分A)100重量部あたり5~25重量部である、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記粘着付与剤の量が成分A)100重量部あたり7.5~20重量部である、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
項7.
前記モノアルコールが、少なくとも5個の炭素原子および最大250の分子量を有する、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
前記モノアルコールは、ハンセン分散性パラメータが13.9~17.4(J/cc)1/2、ハンセン極性パラメータが1.7~9.2(J/cc)1/2、ハンセン水素結合パラメータが3.8~13.9(J/cc)1/2である、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
成分G)が、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエチル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノフェニルエーテルのうちの1つ以上である、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項10.
成分G)が、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエチル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、およびトリエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテルのうちの1つ以上から選択される、項9に記載の方法。
項11.
前記軟質ポリウレタンフォームは、少なくとも1秒の回復時間を有する、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
項12.
前記軟質ポリウレタンフォームが、少なくとも2秒の回復時間を有する、項1~11のいずれか一項に記載の方法。
項13.
前記軟質ポリウレタンフォームが、少なくとも1.4L/秒の気流を呈し、24~64kg/m3の密度を有する、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
項14.
前記軟質ポリウレタンフォームが、多くとも30%の弾性を有する、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
項15.
項1~14のいずれか一項に記載の方法に従って作製された、ポリウレタンフォーム。
項16.
前記粘着付与剤が、前記ポリウレタンフォームの内面の表面積の2.5~40%を占める、項15に記載の軟質ポリウレタンフォーム。
項17.
前記粘着付与剤は、最長寸法が10nm~200μmの不連続領域の形態で、前記ポリウレタンフォームの内面に存在する、項15または16に記載の軟質ポリウレタンフォーム。