IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニードルスマート リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-注射器処理装置 図1
  • 特許-注射器処理装置 図2
  • 特許-注射器処理装置 図3
  • 特許-注射器処理装置 図4
  • 特許-注射器処理装置 図5
  • 特許-注射器処理装置 図6
  • 特許-注射器処理装置 図7
  • 特許-注射器処理装置 図8
  • 特許-注射器処理装置 図9
  • 特許-注射器処理装置 図10
  • 特許-注射器処理装置 図11
  • 特許-注射器処理装置 図12
  • 特許-注射器処理装置 図13
  • 特許-注射器処理装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】注射器処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61M5/32 510Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020570033
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019068278
(87)【国際公開番号】W WO2019238980
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520488610
【氏名又は名称】ニードルスマート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カービー、クリフォード イアン
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-024075(JP,A)
【文献】特表2016-525005(JP,A)
【文献】特開平07-222774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器廃棄用の注射器処理装置であって、前記注射器は本体およびそれに取り付けられた皮下注射針を備え、前記本体は前記皮下注射針の針部分を支持するハブが取り付けられた栓を備え、前記注射器処理装置は、
前記皮下注射針の前記針部分を破壊するための針破壊アセンブリであって、前記ハブとその先端との間の点で前記皮下注射針の前記針部分を固定するように適合された導電性クランプ電極と、前記皮下注射針の前記針部分の前記先端に接触するための導電性チップ電極であって、前記皮下注射針の前記針部分の軸と同軸に移動するように駆動される導電性チップ電極と、前記チップ電極が前記ハブに向かって前進するとき、前記クランプ電極と前記チップ電極との間に電圧を印加して、その結果、前記針の抵抗加熱が、前記針に前記チップ電極によって及ぼされる軸方向の圧縮と関連して発生し、前記針の先端を軟化/溶融し、それによって前記針の先端を鈍化および滅菌するための手段とを備える針破壊アセンブリを備え、
前記装置は、
前記本体を支持および保持し、前記軸に平行な軌跡に沿って前記本体を移動させるように駆動されるためのクレードルと、
前記皮下注射針の前記ハブを把持するためのハブグリップアセンブリであって、前記クレードルが前記軸に沿って駆動されるとき、前記皮下注射針の前記ハブと係合するように適合された環状グリップ部分を備える、ハブグリップアセンブリと
をさらに備え、
前記クレードルおよび前記ハブグリップアセンブリは、前記皮下注射針の前記ハブを前記本体の前記栓から分離するように相対的に移動可能である、
注射器処理装置。
【請求項2】
前記針破壊アセンブリが、前記皮下注射針の前記針部分を取り囲み、その中で前記チップ電極が移動するように配置された格納シリンダをさらに備える、請求項1に記載の注射器処理装置。
【請求項3】
前記格納シリンダの寸法は、前記皮下注射針の前記針部分に前記軸方向の圧縮力が加えられると、前記針部分がしなったり座屈したりするのを防止または抑制するものである、請求項2に記載の注射器処理装置。
【請求項4】
前記格納シリンダが加熱コイルを備える、請求項2または請求項3に記載の注射器処理装置。
【請求項5】
使用中に前記針に電流を誘導する電流を流し、それにより、前記針に結果として生じる渦電流加熱を使用して前記皮下注射針の前記針部分を加熱および/または溶融する、前記針を取り囲む誘導コイルをさらに備える、請求項2、3または4に記載の注射器処理装置。
【請求項6】
前記チップ電極と前記クランプ電極との間に印加される前記電圧が、DC電圧、AC電圧およびRF電圧を含む群のうちの任意の1つまたは複数を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項7】
前記電圧の印加および前記軸方向の圧縮力を調整するための制御/フィードバックシステムをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項8】
前記制御/フィードバックシステムが、使用中に、前記クランプ電極と前記チップ電極との間の前記針内の電流を指定されたパラメータ内に維持しながら、前記チップ電極を前記先端と接触させた状態を維持するように、前記チップ電極の前記印加電圧および変位を制御するように適合された高速フィードバック回路を備える、請求項7に記載の注射器処理装置。
【請求項9】
前記チップ電極が、前記皮下注射針の前記針部分の前記先端を前記チップ電極の中心に合わせるための形成物を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項10】
前記チップ電極および前記クレードルの一方または両方が、プーリーベルト配置、ラックアンドピニオン、ウォームスクリュー、および線形アクチュエータを含む群のうちの任意の1つまたは複数を手段として、前記皮下注射針の前記針部分の軸と同軸に移動するように駆動される、請求項1~9のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項11】
前記クレードルが、前記注射器本体を受け入れるように成形された本体を備え、前記本体の前記形状は、前記注射器本体の遠位端および近位端に係合する端部アバットメントを備え、これによって、前記クレードルに対する前記注射器の軸方向の変位を防止または抑制する、請求項1~10のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項12】
前記クレードルは、前記皮下注射針が基準線と自動的に整列するように前記クレードル構成を調節するための手段を備え、前記基準線は、前記軸と整列しているか、または前記軸と整列させることができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項13】
セントラライザであって、注射器が前記注射器処理装置に入れられるときに前記皮下注射針を案内する先細の開口部を備え、前記先細部は、前記皮下注射針の前記針部分が前記軸と整列するように構成されている、セントラライザを備える、請求項12に記載の注射器処理装置。
【請求項14】
前記クレードルは前記注射器本体を把持する調節可能なグリップ手段であって、前記調節可能なグリップ手段は前記注射器本体と係合するように移動できる2つ以上のグリップ部分を備え、前記グリップ部分は前記注射器本体の軸と前記針の軸との間の任意のオフセットに対応するためにスライド可能な支持体に取り付けられる、グリップ手段と、前記皮下注射針の前記針部分の軸が前記注射器処理装置の軸と整列すると、前記支持体を所定の位置に係止する手段とを備える、請求項12または請求項13に記載の注射器処理装置。
【請求項15】
前記クレードルが前記軸に沿って駆動されるとき、前記皮下注射針の前記ハブと係合するように適合された環状グリップ部分によって、前記ハブグリップアセンブリが前記皮下注射針の前記ハブを把持し、前記環状グリップ部分は、前記ハブが軸方向に挿入されるときに前記ハブと摩擦係合する弾性変形可能なアニュラス部を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項16】
前記クレードルおよび前記ハブグリップアセンブリが、前記ハブグリップに対する前記クレードルの軸方向変位または往復変位によって相対的に移動可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項17】
前記クレードルおよび前記ハブグリップアセンブリが、前記ハブグリップに対する前記クレードルの前記軸の周りの回転変位または揺動変位によって相対的に移動可能である、請求項1~16のいずれか一項に記載の注射器処理装置。
【請求項18】
請求項16に従属する場合、前記栓に対する前記ハブの回転/揺動が、前記栓に対する前記ハブの軸方向/往復変位と連携する、請求項17に記載の注射器処理装置。
【請求項19】
前記栓に対する前記ハブの前記回転/揺動を、前記栓に対する前記ハブの軸方向/往復変位と連携させるためのコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記相対的な力および/または前記相対的な変位を測定および/または制御するように構成される、請求項18に記載の注射器処理装置。
【請求項20】
軸方向変位のみ、回転変位のみ、軸方向変位+回転揺動、軸方向変位+回転、および軸回転+直線変位を含む様々な方法によって前記ハブを前記栓から外そうとする論理回路をさらに備える、請求項19に記載の注射器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み注射器を安全に破壊するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器は、医療やその他の用途で広く使用されており、一般に、注射器本体と注射器本体に取り付けられた皮下注射針とを備える。注射器本体は、通常、シリンダおよびプランジャを備え、これらはシリンダの端部の開口部を通して流体を押し出すおよび/または吸引するためのピストンとして機能する。開口部は、通常、皮下注射針が密封して取り付けられる栓として形成される。一方、皮下注射針は、注射器の栓に接続するハブと、そこから突出する鋭利な先端を持つ管状の針とを備える。ハブと栓との接続は、ねじ山接続、バヨネット式接続などを介した摩擦係合によって行うことができる。
【0003】
注射器は、よく理解されている方法で、患者の循環器系に液体物質を注入したり、循環器系から液体物質を引き出したりするために使用できる。皮下注射器用の針は、通常、鋭利な端部を有する細い金属管を備え、これは、使用中に、患者の皮膚を突き刺し、多くの場合、液体薬剤の注入または、場合によっては、流体の抽出のために血管に入るように適合されている。皮下注射針は使用中に汚染されるため、使用後は安全に廃棄する必要がある。医師がうっかり「針刺し損傷」を負った場合、即ち、汚染された針で自分の皮膚を突き刺した場合、患者から医師に病気/感染症が伝染するリスクがある。
【0004】
皮下注射針を処分する様々な方法、例えば、使用済みの針/汚染された針を入れる「シャープスビン」の使用が知られている。シャープスビンは、一般に、汚染された針の先端が人と接触するのを防止または抑制する突き刺し抵抗性のある本体を備える。シャープスビンは、通常、針を本体内に入れることは可能だが、使用者が手その他の身体部分を本体内に入れることを防止または制限する閉塞した開口部を有する。
【0005】
皮下注射針破壊の他の方法は、例えば、公開済みの国際公開第2015/011443号パンフレットに開示されている。本開示では、針の鋭利な端部が装置に挿入され、その後、電流が針に流れて、その先端を軟化/溶融させる。軟化/溶融状態にある間、針の軸方向の圧縮により針の先端が鈍い玉に変形し、これにより、以前は鋭利であった先端による針刺し損傷の発生が防止される。さらにまた、この一般的なタイプの皮下注射針破壊装置には、針をその融点またはその近くまで加熱するという長所もあり、その熱によりウイルス、細菌、および汚染物質が破壊される。したがって、この一般的なタイプの装置は、針の鈍化と滅菌という二重の保護を提供する。
【0006】
前述のことから、皮下注射針を処分するための装置および方法はよく知られていることが理解されよう。しかし、一旦、「破壊」されると、針が鈍化/滅菌されたにもかかわらず、それがまだ注射器に取り付けられているため、廃棄物管理に関連する潜在的な問題が依然として存在する。
【0007】
このように、使用済み注射器の廃棄物ストリームに関連して、製造材料、即ち、針の金属、ハブのエポキシ樹脂/プラスチック、および注射器本体のプラスチックに起因してさらなる問題が存在する。これらの材料が「混ざり合っている」場合、特に、バイオハザードが関係している場合、これらの様々な構成要素のリサイクルは非常に困難である。
【0008】
したがって、針と注射器は、様々な廃棄物ストリーム(例えば、プラスチック、対金属、対非リサイクル品)を介して処置/処理することから利益を得ることができるため、注射器を取り外すこと、即ち、注射器から鈍化/滅菌された針を分離して、両者を別々に廃棄することができるようにすることが望ましい場合が多い。
【0009】
公開済みの国際公開第2015/011443号パンフレットに記載されているような針破壊装置が知られているが、注射器を取り外すことによって注射器をさらに「処理」する必要性が依然として存在し、これは、最先端技術によれば、使用者が注射器から針を手動で分離する必要がある。さらに、公開済みの国際公開第2015/011443号パンフレットに記載されているような装置は針を破壊することができるとしても、それにもかかわらず、破壊前に未処置の注射器を取り扱っている間、およびそれを針破壊装置の中へ操作している間、針刺し損傷の有限のリスクがある。
【0010】
したがって、本発明が提供することを目的とする、上記の問題の1つまたは複数に対する解決策の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2015/011443号パンフレット
【発明の概要】
【0012】
本発明の様々な態様は、添付の1つまたは複数の独立請求項に記載されている。本発明の任意のまたは好ましい特徴は、添付の従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明の一態様によれば、注射器廃棄用の注射器処理装置が設けられ、注射器は本体と該本体に取り付けられた皮下注射針とを備え、本体は皮下注射針の針部分を支持するハブが取り付けられた栓を備える。注射器処理装置は、皮下注射針の針部分を破壊するための針破壊アセンブリであって、ハブとその先端との間の点で皮下注射針の針部分を固定するように適合された導電性クランプ電極と、皮下注射針の針部分の先端に接触するための導電性チップ電極とを備え、該チップ電極は皮下注射針の針部分の軸と同軸に移動するように駆動される針破壊アセンブリと、チップ電極がハブに向かって前進するときクランプ電極とチップ電極との間に電圧を印加し、その結果、チップ電極が針に加える軸方向の圧縮と関連して針の抵抗加熱が発生し、針の先端を軟化/溶融し、それによって針の先端を鈍化および滅菌するための手段とを備える。注射器処理装置は、本体を支持および保持し、前記軸に平行な軌跡に沿って本体を移動させるように駆動されるためのクレードルと、クレードルが前記軸に沿って駆動されるとき、皮下注射針のハブと係合するように適合された環状グリップ部分を備える皮下注射針のハブを把持するためのハブグリップアセンブリとをさらに備え、クレードルおよびハブグリップアセンブリは、皮下注射針のハブを本体の栓から分離するように相対的に移動可能である。
【0014】
クレードルとハブグリップアセンブリを相対的に移動可能にすることにより、注射器からの皮下注射針の取り外しを自動化することが可能である。特定の実施形態では、皮下注射針と注射器の栓との間の摩擦係合を克服するように、および/または注射器の栓から皮下注射針を捩じって外すように、および/または皮下注射針と注射器の栓との間のバヨネット式接続を外すように、相対的な動きを調整するコントローラが設けられる。
【0015】
適切には、針破壊アセンブリは、皮下注射針の針部分を取り囲み、その中でチップ電極が移動するように配置された格納シリンダをさらに備える。格納シリンダは、軸方向の圧縮力が加えられたとき、皮下注射針の針部分が曲がったり座屈したりするのを適切に防止または抑制する。
【0016】
格納シリンダは、格納シリンダまたはその中に配置された針を予熱するための加熱コイルをさらに備えてもよい。これは、電圧および軸方向の圧縮を加える前に、格納シリンダ内および/または皮下注射針の針部分のボア内の水分または液体を追い出すのに役立つ可能性がある。加熱圧縮プロセス中に水分が存在すると、蒸気の液滴が形成される可能性があり、針の先端での鈍い金属玉の形成に悪影響を与える可能性がある。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、針を取り囲む誘導コイルが設けられ、これは、使用中に針に電流を誘導する電流を流す。結果として生じる針の渦電流加熱は、抵抗加熱/オーム加熱を介して溶融プロセスを助けるために使用できる。
【0018】
チップ電極とクランプ電極との間に印加される電圧は、DC電圧、AC電圧、およびRF電圧またはその他の適切な電圧などの任意の適切なタイプであり得る。電圧の印加と軸方向の圧縮力を調整するために、制御/フィードバックシステムが適切に設けられる。針の先端が溶融すると、それはチップ電極から後退する傾向があり、それによって回路が破断し、および/または回路抵抗が増加する。このように、(クランプ電極とチップ電極との間)の針内の電流を指定されたパラメータ内に維持しながら、チップ電極と先端との接触を維持するようにチップ電極の印加電圧と変位を制御する高速フィードバック回路が適切に設けられる。
【0019】
チップ電極は、凹部のような形成物を適切に備えており、これにより皮下注射針の針部分の先端がチップ電極の中心に合う。
【0020】
チップ電極は、皮下注射針の針部分の軸と同軸に移動するように駆動され、これは、プーリーベルト配置、ラックアンドピニオン、ウォームスクリュー、線形アクチュエータ、または任意の適切な手段によって行うことができる。
【0021】
クレードルは、注射器本体を支持および保持し、前記軸と平行な軌跡に沿って本体を移動させるように駆動される。クレードルの移動は、プーリーベルト配置、ラックアンドピニオン、ウォームスクリュー、および/または線形アクチュエータなどの適切な手段を介して行うことができる。
【0022】
一実施形態では、クレードルは、注射器本体を受け入れるように形作られた本体を備える。その形状は、注射器本体の遠位端および近位端と係合する端部アバットメントを適切に備え、それにより、クレードルに対する注射器の軸方向の変位を防止または抑制する。
【0023】
特定の用途では、皮下注射針は注射器本体の中心線と同軸ではなく、これにより、注射器処理装置の様々な部分の必要とされる軸方向の整列を維持することが困難になる可能性がある。したがって、特定の実施形態では、皮下注射針が基準線と自動的に整列するようにクレードル構成を調節するための手段が設けられ、この基準線を注射器処理装置の軸と整列させることができる。
【0024】
一実施形態では、注射器が注射器処理装置内に入れられるときに皮下注射針を「捕捉」する先細の開口部を備えるセントラライザが設けられる。先細部は、皮下注射針の針部分をセントラライザの軸と整列させ、それによって、例えば重力によって保持されるように適切に構成されている。(注射器が取り付けられている)皮下注射針の針部分をセントラライザによって一時的に保持すると、クレードルの調節可能なグリップ手段を使用して、構成が効果的に固定される前に注射器本体を把持することができる。これで、セントラライザを取り外すことができ、皮下注射針の針部分の整列がクレードルの基準に対して固定され、これにより、注射器処理装置の軸と簡単に位置合わせできるため、装置は正しく設定され整列される。
【0025】
ハブグリップアセンブリは、クレードルが前記軸に沿って駆動されるときに皮下注射針のハブと係合するように適合された環状グリップ部分を介して、皮下注射針のハブを把持する。環状グリップ部分は、例えば、ハブが軸方向に挿入されるときにハブと摩擦係合する弾性材料から製造された、弾性変形可能なアニュラス部を適切に備える。
【0026】
クレードルとハブグリップアセンブリは、皮下注射針のハブを本体の栓から分離するように相対的に移動可能である。これは、ハブグリップに対するクレードルの軸方向の変位によるものであり得る。この構成は、摩擦係合するハブを注射器の栓から外すために使用できる。この場合、ハブとハブグリップとの摩擦係合を、ハブと注射器の栓との摩擦係合よりも大きくする必要がある。
【0027】
しかしながら、特定の実施形態では、ハブグリップは、例えば、電気モータによって駆動されるリングギアを使用して環状ハブグリップを駆動することによって、前記軸の周りを回転するように構成することができる。このような手段によって、ハブは、注射器の栓に対して(前記軸の周りで)回転することができる。ハブを栓に対して回転/揺動させることで、ハブを栓から分離するのに十分であることがよくある。
【0028】
特定の実施形態では、栓に対するハブの回転/揺動は、栓に対するハブの軸方向変位と連携している。発生する力および/または変位を測定および/または制御するコントローラをこの目的に使用してもよい。相対的回転および相対的軸方向変位の連携的使用を利用して、ねじ山付きハブを栓から外し、および/またはバヨネット接続ハブを栓から外せることが理解されよう。
【0029】
制御システムは、軸方向変位(摩擦嵌合ハブ)、軸方向変位+回転揺動(密着摩擦嵌合ハブ)、軸方向変位+回転(ねじ嵌合ハブ)、軸回転+直線変位(バヨネット接続ハブ)、などの様々な方法によって、ハブを栓から外そうとする論理回路を備えることができる。力と変位を測定することにより、各方法が機能したかどうかを評価してから、機能しなかった場合は別の方法に進むように制御システムを構成することができる。
【0030】
本発明による注射器破壊装置は、添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による装置の第1の実施形態の概略側面図である。
図2図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図3図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図4図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図5図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図6図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図7図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図8図7に示されているフィーチャの部分的な斜視図である。
図9図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図10図1に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図11】セントラライザを備える本発明の代替の実施形態を示す。
図12図11に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図13図11に示される装置の動作を示すシーケンスである。
図14図11に示される装置の動作を示すシーケンスである。
【0032】
本発明による注射器廃棄装置10は、注射器14を受け取り、保持するように適合されたクレードル12を備える。注射器14は、本体16および内部プランジャ18を有し、本体16は、皮下注射針24のハブ22が固定されている栓20を有する。皮下注射針24はまた、グラウトまたは接着剤を使用してハブ22に取り付けられた針部分26を備える。
【0033】
装置10は、注射器14を入れることができる開口部(図示せず)を有し、そこに注射器14がクレードル12内に落下する28。クレードル12は、注射器14の本体16のフランジ32と係合する後部アバットメント30と、注射器本体16の前面36と係合する前面アバットメント34とを有する。
【0034】
図2に示されるように、挿入されると、注射器14はクレードル12内に存在し、クレードル12によって保持される。図示の実施形態では、クレードル12は、ラック42およびピニオン44による配置を含む線形アクチュエータ40に取り付けられているが、他のタイプの線形アクチュエータ44、例えば、プーリーシステムおよび/またはウォームスクリューは本発明の範囲内である。とにかく、線形アクチュエータ40により、クレードル12、したがって注射器14を、図面の図3に示される位置まで前進させることが可能になる。
【0035】
図面の図1に戻ると、装置10は、ハブ係合部50を備え、このハブ係合部50は、先細の貫通孔54を備えたアニュラス部52を有し、このアニュラス部52は、図3に示すように、ここに挿入されたときにハブ22と摩擦係合する。ゴム製アニュラス部52は、モータ58によって駆動されるピニオンギア56と噛み合う環状リングギア54内に含まれている。ハブグリップ部分50の動作について、以下でより詳細に説明する。
【0036】
装置10はまた、金属製の1組のクランプ電極60を備え、図1に示すように分離して針26がその間を通過できるようにすることができ、または、図面の図4および図5に示すように、針26を挟んで固定して電気的接触を形成するように、互いに向かって移動させることができる。
【0037】
装置10はまた、同じく金属製のチップ電極62を備え、使用中にチップ電極62の中心を針26の先端に合わせるのに役立つ皿形の端部64を有する。
【0038】
図示の実施形態では、チップ電極62はまた、ラック68およびピニオン70による配置を含む線形アクチュエータ26に取り付けられているが、他の線形アクチュエータ、例えば、プーリーベルトシステムおよび/またはウォームスクリューを同様に使用してもよい。
【0039】
ここで図3に戻ると、クレードル12は、ハブ22がゴム製アニュラス部52内で摩擦係合し、針26はチップ電極62を後退させた状態で格納シリンダ72に突出するように前進している。誘導コイルおよび/または加熱コイル73が、格納シリンダ72を取り囲んでいる。
【0040】
ここで、図面の図4を参照すると、クランプ電極60は、針24をそれらの間で固定するように一緒に動いている。次に、電流が針24を流れるように、クランプ電極60とチップ電極62との間に電圧74が印加される。抵抗加熱/オーム加熱により、針24は加熱されるにつれて軟化し、同時に、チップ電極の線形アクチュエータ66は、針24の軸に沿って、ハブ22に向かってチップ電極を押すように駆動される。
【0041】
最終結果は、図面の図5に示されており、チップ電極62が完全に前進して、針24の先端が鈍化されて溶融した丸い玉74になっている。針の先端74を加熱/溶融するプロセスは、関与する温度が細菌、ウイルスおよび他の病原体が生き残ることができる温度よりも高いので、針の先端を滅菌するのに役立ち、と同時に先端を鈍くすることによって「針刺し」損傷のリスクを削減する。
【0042】
図6に示されるように、針24が鈍化および滅菌されると、電圧74を取り外し、クランプ電極60を離し、必要に応じてチップ電極62を後退させることができる。この時点で、ハブ22はアニュラス部52によって依然として把持されている。
【0043】
図面の図7および図8を参照すると、ハブグリップアセンブリ50は、モータ58を駆動することによって操作され、ピニオンギア56、したがってリングギア54を回転させ、それによって針24の長手方向軸と同軸である軸76の周りでハブを回転させることが分かる。同時に、クレードルの線形アクチュエータ40は、クレードル12、したがって注射器14の本体16がゆっくりと後退するように駆動され、注射器24の固定された向きに対するハブ22の回転によってねじが緩められ、即ちハブ22が解放され、ひいては針24が本体16から解放される。
【0044】
結果は、図面の図9に示され、注射器本体16が皮下注射針24のハブ22から完全に分離されていることが分かる。ハブ22をアニュラス部52から外すために、チップ電極62は、その駆動機構66を使用して再び前進させて、ハブ22をゴム製アニュラス部52から軸方向に変位させ、それによってハブ22を解放することができる。図10を参照すると、処理後に、皮下注射針24がハブグリップアセンブリ52から外れて落ちてくるので、それを捕らえるために針廃棄物容器80が設けられている。また、図10に示されているように、注射器14の残りの部分が別の廃棄物容器86に落下できる84ように、クレードル12が反転されている。
【0045】
前述の説明から、注射器14/針24を安全に破壊および取り外すことができ、その部分は別個の廃棄物ストリーム80、86に分離されることが理解されよう。クレードルが設けられているため、一旦、使用されれば、オペレータが注射器24/針24を保持する必要はない、すなわち、使用者の介入がそれ以上なく、単に装置10に落されるだけで、破壊プロセスが自動的に進行する。
【0046】
本発明による注射器処理装置のさらなる実施形態100は、使用中に注射器を落すことができる6開口部104を備えた外側ハウジング102を備える。同一のフィーチャを識別するために、図11図14では、図1図8で使用されたものと同一の参照符号を使用しており、したがって、本明細書において不必要な繰返しを避けている。
【0047】
図面の図11図14に示される実施形態100と、図面の図1図10に示される実施形態との間の主な違いは、「自己中心合わせ式」クレードル110の追加である。自己中心合わせ式クレードル110は、アクチュエータ116、この場合はラック118およびピニオン120による装置によって移動するように駆動される、一対の調節可能なグリップ114を運ぶ主クレードル部分112を備える。調節可能なグリップ114は、(図面に示されるように)プレート122が左右に移動することを可能にするスロット付き開口部124を有するプレート122に取り付けられている。マウント126は、スロット付き開口部124内に配置され、前述のようにプレート122が(図示されるように)左右に移動することを可能にし、係止リング128によりマウント126に対するプレート122の位置を係止することが可能になる。
【0048】
図面の図12に示されるように、注射器14が開口部104を介して装置100に落下すると、針24は先細のセントラライザ部分132によって案内され、その結果、針24はセントラライザ部分132の間の空間136に落下する。これにより、針とチップ電極64の軸とが整列する。この位置に入ると、調節可能なグリップ部分114は、注射器14の本体16の側面と係合するように、注射器14に向かって駆動される142。
【0049】
(図面に示されるように)右側のグリップ部分114は、(この例では)最初に本体16および注射器14に接触し、その時点で、図12の矢印150によって示されるように、プレート122は、右にスライドする150ことが理解されよう。最終的に、第2のグリップ部分114は、注射器14の本体16の反対側に係合し、注射器14は、グリップ部分114の間に固定される。この時点で、係止リング128は、そのマウント126に対してプレート122を係止するように締め付けることができ、ここで、プレート122は、針24を装置100の軸140に中心合わせされた状態で軸方向に移動させる152ことができる。
【0050】
この構成は図13に示され、これにより、グリップ部分114は注射器14の本体16と係合し、プレート122は針24が軸140と整列するように移動した150。
【0051】
ここで図面の図14を参照すると、セントラライザ部分132が離れて行き、これにより、例えばラック42およびピニオン44のアクチュエータ装置40を使用して、プレート122を(図面において)下向きに駆動する154ことが可能になる。プレート122は、ハブ22が前述の方法で環状ハブグリップ52に係合するまで下向きに駆動する154ことができ、針破壊手順および針/注射器分離手順は、上記の図1~10を参照して前述した方法で進めることができる。
【0052】
本発明は、本発明の単なる例示である前述の実施形態の詳細に限定されないことが理解されよう。例えば、線形アクチュエータはラックアンドピニオン装置であると説明されているが、プーリーベルト式配置、線形アクチュエータ、またはウォームスクリューでも同様に使用できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14