(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】医療用制御装置及び医療用観察装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20240222BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240222BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240222BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240222BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61B1/06 612
A61B1/045 610
A61B1/00 510
G02B23/26 B
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2021506191
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 JP2020000748
(87)【国際公開番号】W WO2020188969
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2019051417
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 尊正
(72)【発明者】
【氏名】出口 達也
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-235686(JP,A)
【文献】特開2017-119146(JP,A)
【文献】特表2018-500995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像装置が生成した電気信号に基づいて、撮像画像を生成する画像処理部と、
前記撮像画像の明るさの分布に応じて、照明光の光量の分布を制御する制御情報を生成する光源制御情報生成部と、
を備え
、
前記光源制御情報生成部は、
特殊光によって撮像された特殊光画像を、各画素に輝度値が付与された輝度画像に変換し、
前記輝度画像を反転して、反転後の輝度値が第3の閾値より大きい領域を白色光の投影領域とする照射画像を、前記照明光の光量の分布を示す照射分布情報として生成し、
前記画像処理部は、
前記特殊光画像と、前記照射画像に応じた光量分布の白色光によって撮像された白色光画像とを合成した合成画像を生成する、
医療用制御装置。
【請求項2】
被写体像を撮像して電気信号を生成する撮像部と、
前記撮像部が生成した前記電気信号に基づいて撮像画像を生成する画像処理部と、
前記撮像画像の明るさの分布に応じて、照明光の光量の分布を制御する制御情報を生成する光源制御情報生成部と、
光を出射する光源と、前記光源が出射した光を前記制御情報に応じて外部に投影する投影素子とを有する光源部と、
前記制御情報に基づいて前記光源部による照明光の出射を制御する光源制御部と、
を備え
、
前記光源部は、
白色光を出射する第1の光源と、前記第1の光源が出射した光を前記制御情報に応じて外部に投影する投影素子とを有する第1の光源部と、
特殊光を出射する第2の光源を有する第2の光源部と、
を備え、
前記光源制御情報生成部は、
特殊光によって撮像された特殊光画像を、各画素に輝度値が付与された輝度画像に変換し、
前記輝度画像を反転して、反転後の輝度値が第3の閾値より大きい領域を白色光の投影領域とする照射画像を、前記照明光の光量の分布を示す照射分布情報として生成し、
前記画像処理部は、
前記特殊光画像と、前記照射画像に応じた光量分布の白色光によって撮像された白色光画像とを合成した合成画像を生成する、
医療用観察装置。
【請求項3】
白色光を出射するベース光源部、
をさらに備える請求項
2に記載の医療用観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用制御装置及び医療用観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野や工業用分野において、撮像素子を用いて被写体像を撮像する内視鏡装置や、医療用顕微鏡装置などの医療装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このうち、内視鏡装置は、例えば、内視鏡と、撮像装置と、表示装置と、制御装置と、光源装置とを備える。内視鏡装置では、内視鏡に接続されるライトガイドを介して光源装置から照明光が供給され、照明光を照射して被写体像を撮像する。
【0003】
内視鏡を用いて立体構造を観察する際、その構造の表面の凹凸形状によって、近点と遠点との明るさのバランスが取れずに、部分的に明る過ぎたり、暗くなったりすることがある。特許文献1が開示する光源装置は、複数のLED光源を有し、それぞれの光源の出射光量を制制御することによって、光源装置から出射する光の光量分布を変化させている。光量の分布を制御することによって、近点と遠点との部分的な明るさの差を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一つのLED光源において制御できる光量の分布には限界があり、複雑な立体構造の画像を明確にするため、より詳細に光量の分布を調整できる技術が求められていた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、被写体に照射する照明光の光量の分布を細かく制御することができる医療用制御装置及び医療用観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる医療用制御装置は、被写体像を撮像する撮像装置が生成した電気信号に基づいて、撮像画像を生成する画像処理部と、前記撮像画像の明るさの分布に応じて、照明光の光量の分布を制御する制御情報を生成する光源制御情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本開示にかかる医療用制御装置は、上記開示において、前記光源制御情報生成部は、前記画像処理部が生成した撮像画像を変換して、該撮像画像の明るさの分布に応じて照明光の光量の分布を示す照射分布情報を生成することを特徴とする。
【0009】
また、本開示にかかる医療用制御装置は、上記開示において、前記光源制御情報生成部は、前記撮像画像を、各画素に輝度値が付与された輝度画像に変換し、前記輝度値が第1の閾値よりも大きい領域の投影輝度を予め設定される基準輝度よりも小さくし、前記輝度値が、第2の閾値よりも小さい領域の投影輝度を前記基準輝度よりも大きくした照射画像を前記照射分布情報として生成することを特徴とする。
【0010】
また、本開示にかかる医療用制御装置は、上記開示において、前記光源制御情報生成部は、特殊光によって撮像された特殊光画像を、各画素に輝度値が付与された輝度画像に変換し、前記輝度画像を反転して、反転後の輝度値が第3の閾値より大きい領域を白色光の投影領域とする照射画像を前記照射分布情報として生成し、前記画像処理部は、前記特殊光画像と、前記照射画像に応じた光量分布の白色光によって撮像された白色光画像とを合成した合成画像を生成することを特徴とする。
【0011】
また、本開示にかかる医療用観察装置は、被写体像を撮像して電気信号を生成する撮像部と、前記撮像部が生成した前記電気信号に基づいて撮像画像を生成する画像処理部と、前記撮像画像の明るさの分布に応じて、照明光の光量の分布を制御する制御情報を生成する光源制御情報生成部と、光を出射する光源と、前記光源が出射した光を前記制御情報に応じて外部に投影する投影素子とを有する光源部と、前記制御情報に基づいて前記光源部による照明光の出射を制御する光源制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本開示にかかる医療用観察装置は、上記開示において、白色光を出射する第1の光源と、前記第1の光源が出射した光を前記制御情報に応じて外部に投影する投影素子とを有する第1の光源部と、特殊光を出射する第2の光源を有する第2の光源部と、を備え、前記光源制御情報生成部は、前記撮像部が前記特殊光によって撮像した特殊光画像に基づいて、前記白色光の投影領域とする前記制御情報を生成することを特徴とする。
【0013】
また、本開示にかかる医療用観察装置は、上記開示において、白色光を出射するベース光源部、をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、被写体に照射する照明光の光量の分布を細かく制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態1にかかる内視鏡装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したカメラヘッド、制御装置及び光源装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した制御装置におけるPJ制御変換部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した制御装置におけるPJ制御変換部が行う処理の概要を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、照明光の出射制御前後の画像の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3におけるPJ制御変換部が行う処理の概要を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、照明光の出射制御による画像の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、出射制御の他の例1を説明するための画像の一例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、出射制御の他の例2を説明するための画像の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、その他の実施の形態にかかる医療用観察装置を備えた手術用顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本開示にかかる医療用観察装置を備えるシステムの一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡装置について説明する。また、この実施の形態により、この開示が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる内視鏡装置1の概略構成を示す図である。内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、人等の観察対象物の内部(生体内)の被写体を観察する装置である。この内視鏡装置1は、
図1に示すように、内視鏡2と、撮像装置3と、表示装置4と、制御装置5と、光源装置6とを備え、撮像装置3と制御装置5とで、医療用観察システムを構成している。なお、本実施の形態1では、内視鏡2及び撮像装置3により、例えば硬性鏡等の内視鏡を用いた画像取得装置を構成している。
【0018】
光源装置6は、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光を供給する。なお、光源装置6と制御装置5とは、
図1に示すように別体とし相互に通信する構成としてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0019】
ライトガイド7は、一端が光源装置6に着脱自在に接続されるとともに、他端が内視鏡2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド7は、光源装置6から供給された光を一端から他端に伝達し、内視鏡2に供給する。
【0020】
撮像装置3は、内視鏡2からの被写体像を撮像して当該撮像結果を出力する。この撮像装置3は、
図1に示すように、信号伝送部である伝送ケーブル8と、カメラヘッド9とを備える。本実施の形態1では、伝送ケーブル8とカメラヘッド9とにより医療用撮像装置が構成される。撮像装置3は、撮像部に相当する。
【0021】
内視鏡2は、硬質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この内視鏡2の内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する観察光学系が設けられている。内視鏡2は、ライトガイド7を介して供給された光を先端から出射し、生体内に照射する。そして、生体内に照射された光(被写体像)は、内視鏡2内の観察光学系(レンズユニット91)により集光される。
【0022】
カメラヘッド9は、内視鏡2の基端に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド9は、制御装置5による制御の下、内視鏡2にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による撮像信号を出力する。なお、カメラヘッド9の詳細な構成については、後述する。内視鏡2とカメラヘッド9とは、
図1に示すように着脱自在に構成してもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0023】
伝送ケーブル8は、一端がコネクタを介して制御装置5に着脱自在に接続されるとともに、他端がコネクタを介してカメラヘッド9に着脱自在に接続される。具体的に、伝送ケーブル8は、最外層である外被の内側に複数の電気配線(図示略)が配設されたケーブルである。当該複数の電気配線は、カメラヘッド9から出力される撮像信号を制御装置5に、制御装置5から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力をカメラヘッド9にそれぞれ伝送するための電気配線である。
【0024】
表示装置4は、制御装置5による制御のもと、制御装置5により生成された画像を表示する。表示装置4は、観察時の没入感を得やすくするために、表示部が55インチ以上を有するものが好ましいが、これに限らない。
【0025】
制御装置5は、カメラヘッド9から伝送ケーブル8を経由して入力された撮像信号を処理し、表示装置4へ画像信号を出力するとともに、カメラヘッド9及び表示装置4の動作を統括的に制御する。なお、制御装置5の詳細な構成については、後述する。
【0026】
次に、撮像装置3、制御装置5及び光源装置6の構成について説明する。
図2は、カメラヘッド9、制御装置5及び光源装置6の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、カメラヘッド9及び伝送ケーブル8同士を着脱可能とするコネクタの図示を省略している。
【0027】
以下、制御装置5の構成、及びカメラヘッド9の構成の順に説明する。なお、以下では、制御装置5の構成として、本開示の要部を主に説明する。制御装置5は、
図2に示すように、信号処理部51と、画像処理部52と、通信モジュール53と、入力部54と、出力部55と、プロジェクター制御変換部(PJ制御変換部)56と、制御部57と、メモリ58とを備える。なお、制御装置5には、制御装置5及びカメラヘッド9を駆動するための電源電圧を生成し、制御装置5の各部にそれぞれ供給するとともに、伝送ケーブル8を介してカメラヘッド9に供給する電源部(図示略)などが設けられていてもよい。なお、光源装置6を制御する制御装置は、画像処理部52及びPJ制御変換部56によって構成される。
【0028】
信号処理部51は、カメラヘッド9が出力した撮像信号に対してノイズ除去や、必要に応じてA/D変換等の信号処理を行うことによって、デジタル化された撮像信号(パルス信号)を画像処理部52に出力する。
【0029】
また、信号処理部51は、撮像装置3及び制御装置5の同期信号、及びクロックを生成する。撮像装置3への同期信号(例えば、カメラヘッド9の撮像タイミングを指示する同期信号等)やクロック(例えばシリアル通信用のクロック)は、図示しないラインで撮像装置3に送られ、この同期信号やクロックをもとに、撮像装置3は駆動する。
【0030】
画像処理部52は、信号処理部51から入力される撮像信号をもとに、表示装置4が表示する表示用の画像信号を生成する。画像処理部52は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理部52は、検波処理や、補間処理、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理等の公知の画像処理を行う。画像処理部52は、生成した画像信号を表示装置4に出力するとともに、PJ制御変換部56に出力する。
【0031】
通信モジュール53は、制御部57から送信された後述する制御信号を含む制御装置5からの信号を撮像装置3に出力する。また、撮像装置3からの信号を制御装置5内の各部に出力する。つまり通信モジュール53は、撮像装置3へ出力する制御装置5の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力し、また撮像装置3から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分けて制御装置5の各部に出力する、中継デバイスである。
【0032】
入力部54は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
【0033】
出力部55は、スピーカーやプリンタ、ディスプレイ等を用いて実現され、各種情報を出力する。出力部55は、制御部57の制御のもと、アラーム音声、アラーム光の出力や、画像表示を行う。
【0034】
PJ制御変換部56は、画像処理部52が生成した画像信号を変換して、光源装置6を制御するための制御信号を生成する。
図3は、
図2に示した制御装置におけるPJ制御変換部の構成を示す図である。PJ制御変換部56は、算出部561と、比較部562と、演算部563と、システム制御部564とを備える。PJ制御変換部56は、光源制御情報生成部に相当する。
【0035】
算出部561は、画像信号を変換して、各画素位置の輝度値を算出する。算出部561は、算出した輝度値に基づいて、各画素位置に輝度値が付与された輝度画像を生成する。
【0036】
比較部562は、輝度画像と、予め設定されている基準画像とを比較して、差分画像を生成する。基準画像は、照射するのに適した光量に対応する目標輝度値(基準輝度値)が画素位置ごとに付与された画像である。差分画像は、輝度画像と基準画像との輝度値の差分値が、画素位置ごとに付与された画像である。
【0037】
演算部563は、差分画像をもとに、光源装置6が出射する照明光の分布に相当する照射画像を生成する。演算部563は、差分画像の輝度値に対し、上限目標値を超える差分値を有する画素、及び、下限目標値を下回る差分値を有する画素を抽出する。ここで、上限目標値は、予め設定された差分値に関する値であり、照明光の光量を低減すべき差分値に基づいて設定される第1の閾値に相当する。また、下限目標値は、予め設定された差分値に関する値であり、照明光の光量を増大すべき差分値に基づいて設定される第2の閾値に相当する。
演算部563は、抽出した画素のうち、上限目標値を超えた画素について、基準画像の目標輝度値から差分値を減算する。これに対し、演算部563は、抽出した画素のうち、下限目標値を下回る画素について、基準画像の目標輝度値から差分値を加算する。
演算部563は、上述したように、得られた画像信号の輝度値が高い画素位置については目標輝度値を減算し、輝度値が低い画素位置については目標輝度値を加算することによって照射画像を生成する。照射画像は、光源装置6による照明光の光量分布を示す照射分布情報に相当する。
【0038】
システム制御部564は、演算部563が生成した照射画像を光源制御部62に出力して、光源装置6を制御する。
【0039】
制御部57は、制御装置5及びカメラヘッド9を含む各構成部の駆動制御、及び各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部57は、メモリ58に記録されている通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)を参照して制御信号を生成し、該生成した制御信号を、通信モジュール53を介して撮像装置3へ送信する。また、制御部57は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9に対して制御信号を出力する。
【0040】
メモリ58は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現され、通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)が記録されている。なお、メモリ58は、制御部57が実行する各種プログラム等が記録されていてもよい。
【0041】
なお、信号処理部51が、入力されたフレームの撮像信号を基に、各フレームの所定のAF用評価値を出力するAF処理部、及び、AF処理部からの各フレームのAF用評価値から、最も合焦位置として適したフレームまたはフォーカスレンズ位置等を選択するようなAF演算処理を行うAF演算部を有していてもよい。
【0042】
上述した信号処理部51、画像処理部52、通信モジュール53、PJ制御変換部56及び制御部57は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0043】
光源装置6は、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光を供給する光源部61と、光源部61による照明光の出射を制御する光源制御部62と、を有する。なお、光源装置6と制御装置5とは、
図1に示すように別体とし相互に通信する構成としてもよいし、一体化した構成であってもよい。
【0044】
光源部61は、プロジェクター光源を用いて構成される。プロジェクター光源は、白色光を出射する光源と、デジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device:DMD)や液晶パネルなどの投影素子と、投影光を外部に出射させる光学系とを備える。光源部61では、光源制御部62の制御のもと、投影素子の投影像を調整することができる。投影素子の調整能は、例えば液晶パネルであれば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の光をそれぞれ透過するサブ画素を一組とする画素の構成数で決まる。
【0045】
光源制御部62は、システム制御部564からの指示に基づいて、光源に白色光を出射させるとともに、投影素子による光の投影(出射)パターンを、システム制御部564から取得した照射画像となるように制御する。これにより、光源装置6から出射される照明光の明るさ(光量)の分布が、照射画像に対応した分布となる。
【0046】
次に、カメラヘッド9の構成として、本開示の要部を主に説明する。カメラヘッド9は、
図2に示すように、レンズユニット91と、撮像部92と、通信モジュール93と、カメラヘッド制御部94とを備える。
【0047】
レンズユニット91は、1または複数のレンズを用いて構成され、レンズユニット91を通過した被写体像を、撮像部92を構成する撮像素子の撮像面に結像する。当該1または複数のレンズは、光軸に沿って移動可能に構成されている。そして、レンズユニット91には、当該1または複数のレンズを移動させて、画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点位置を変化させるフォーカス機構が設けられている。なお、レンズユニット91は、内視鏡2において設けられる光学系とともに、内視鏡2に入射した観察光を撮像部92に導光する観察光学系を形成する。
【0048】
撮像部92は、カメラヘッド制御部94による制御の下、被写体を撮像する。この撮像部92は、レンズユニット91が結像した被写体像を受光して電気信号に変換する撮像素子を用いて構成されている。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。撮像素子がCCDの場合は、例えば、当該撮像素子からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)がセンサチップなどに実装される。撮像素子がCMOSの場合は、例えば、光から電気信号に変換された電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)が撮像素子に含まれる。撮像部92は、生成した電気信号を通信モジュール93に出力する。
撮像部92のイメージセンサの画素数と、光源部61の投影素子の画素数とは、同じであることが好ましい。
【0049】
通信モジュール93は、制御装置5から送信された信号をカメラヘッド制御部94等のカメラヘッド9内の各部に出力する。また、通信モジュール93は、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報などを予め決められた伝送方式に応じた信号形式に変換し、伝送ケーブル8を介して当該変換した信号を制御装置5に出力する。つまり通信モジュール93は、制御装置5や伝送ケーブル8から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分けてカメラヘッド9の各部に出力し、また制御装置5や伝送ケーブル8へ出力するカメラヘッド9の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力する、中継デバイスである。
【0050】
カメラヘッド制御部94は、伝送ケーブル8を介して入力した駆動信号や、カメラヘッド9の外面に露出して設けられたスイッチ等の操作部へのユーザ操作により操作部から出力される指示信号等に応じて、カメラヘッド9全体の動作を制御する。また、カメラヘッド制御部94は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報を制御装置5に出力する。
【0051】
なお、上述した通信モジュール93及びカメラヘッド制御部94は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。ここで、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0052】
また、カメラヘッド9や伝送ケーブル8に、通信モジュール93や撮像部92により生成された撮像信号に対して信号処理を施す信号処理部を構成するようにしてもよい。さらに、カメラヘッド9内部に設けられた発振器(図示略)で生成された基準クロックに基づいて、撮像部92を駆動するための撮像用クロック、及びカメラヘッド制御部94のための制御用クロックを生成し、撮像部92及びカメラヘッド制御部94にそれぞれ出力するようにしてもよいし、伝送ケーブル8を介して制御装置5から入力した同期信号に基づいて、撮像部92及びカメラヘッド制御部94における各種処理のタイミング信号を生成し、撮像部92及びカメラヘッド制御部94にそれぞれ出力するようにしてもよい。また、カメラヘッド制御部94をカメラヘッド9ではなく伝送ケーブル8や制御装置5に設けてもよい。
【0053】
以上説明した内視鏡装置1では、撮像部92が撮像した電気信号に基づく画像が表示装置4に表示されるとともに、この表示装置4に表示される画像信号がPJ制御変換部56に入力され、光源装置6のフィードバック制御が実施される。
【0054】
図4は、
図2に示した制御装置におけるPJ制御変換部が行う処理の概要を説明するフローチャートである。まず、PJ制御変換部56は、画像信号を取得すると、照射画像の生成処理を開始する(ステップS101)。
【0055】
算出部561は、取得した画像信号をもとに、各画素位置の輝度値を算出し、各画素位置に輝度値が付与された輝度画像を生成する(ステップS102)。
【0056】
ステップS102に続くステップS103において、比較部562は、輝度画像と、予め設定されている基準画像とを比較して、差分画像を生成する。
【0057】
ステップS103に続くステップS104において、演算部563は、差分画像をもとに、光源装置6が出射する照明光の光量分布に相当する照射画像を生成する。ステップS104の処理によって、画像信号において輝度値が高い位置(領域)は光量が低減される、基準画像よりも暗い領域、輝度値が低い位置については光量が増大される、基準画像よりも明るい領域を有する照射画像が生成される。
【0058】
ステップS104に続くステップS105において、システム制御部564は、演算部563が生成した照射画像を光源制御部62に出力する。
【0059】
その後、照射画像を取得した光源制御部62は、この照射画像に応じた光量分布の照明光を被写体に照射することによって、被写体における反射光の光量が大きい部分は低光量で照射し、反射光の光量が小さい部分は高光量の照明光が照射される。
上述した照明制御は、画像信号が入力される度に実施してもよいし、数フレームごとに実施してもよい。
【0060】
図5は、照明光の出射制御前後の画像の一例を模式的に示す図である。
図5の(a)は、出射制御前の画像を示す。
図5の(b)は、出射制御後の画像を示す。
図5の(a)、(b)は、ともに同じ管腔を撮像した画像を示している。
図5の(a)に示すように、出射制御前では、管腔の近点側に位置する領域R
1、R
2において明るく白飛びし、遠点側に位置する領域R
3において暗くつぶれた画像となっている。この場合、光源制御部62の制御のもと、
図5の(a)に示す画像をもとに、近点側(領域R
1、R
2)の光量を低減し、遠点側(領域R
3)の光量を増大した照明光が出射される。この結果、
図5の(b)に示す出射制御後では、近点側の明るさが抑えられ、遠点の明るさが増大した画像が得られる。
【0061】
また、装置起動時、上述した照明制御を行うことによって、内視鏡2による照明光の照射範囲を設定し、撮像部92の撮影範囲と、照明光の照射範囲の調整を行うことができる。例えば、キャリブレーションのホワイトバランス調整の際、例えば、白板や市松模様が描写された板を撮像部92によって撮像する。この際、画像信号(各画素の輝度値)をもとに、上述した光量の分布を制御することによって、個体差による照明位置のずれや、光学系の特性に起因する照明ムラ等を調整することができる。
【0062】
上述した実施の形態1は、プロジェクター光源を備えた光源装置6を用いて、撮像した画像をフィードバックし、輝度値が高い位置については光量が低減され、輝度値が低い位置については光量が増大された照明光を照射するようにしたので、被写体に照射する照明光の光量の分布を細かく制御することができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態1は、白色光による観察を例に説明したが、励起光を用いる蛍光観察等にも適用できる。例えば、上述した照明光の光量制御によって、励起光照射範囲の調整や、励起光の光量調整を行うことができる。
【0064】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。実施の形態2では、上述した内視鏡装置1に対して、光源装置6に代えて光源装置6Aを備える。実施の形態2において、光源装置6Aの構成以外は上述した実施の形態1の内視鏡装置1と同じであるため、説明を省略する。
【0065】
光源装置6Aは、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光を供給する光源部61Aと、光源部61Aによる照明光の出射を制御する光源制御部62と、を有する。
【0066】
光源部61Aは、プロジェクター光源部611と、ベース光源部612とを備える。
プロジェクター光源部611は、プロジェクター光源を用いて構成される。プロジェクター光源は、白色光を出射する光源と、DMDや液晶パネルなどの投影素子と、投影光を外部に出射させる光学系とを有する。プロジェクター光源部611では、上述した光源部61と同様に、光源制御部62の制御のもと、投影素子の投影像を調整することができる。
ベース光源部612は、白色光を出射する光源と、この白色光を外部に出射させる光学系とを有する。ベース光源部612は、例えば、光源の特性に応じた分布であって、光軸を中心として、光軸から遠ざかるにつれて光量が連続的に低下する、所謂ガウシアン分布や、トップハット型の強度分布の白色光を出射する。
【0067】
光源制御部62は、システム制御部564からの指示に基づいて、光源に白色光を出射させるとともに、プロジェクター光源部611の投影素子の光の投影パターンを、システム制御部564から取得した照射画像となるように制御する。これにより、光源装置6から出射される照明光の明るさ(光量)の分布が、照射画像に対応した分布となる。
また、光源制御部62は、ベース光源部612のみから白色光を出射させて、通常の白色光による照明を行うことができる。
さらに、ベース光源部612から白色光を出射させるとともに、プロジェクター光源部611から光量を増大させたい部分のみ白色光を出射させて、ベース光源部612の分布に対して、光量を補間するようにしてもよい。
【0068】
上述した実施の形態2は、プロジェクター光源部611を備えた光源装置6Aを用いて、撮像した画像をフィードバックし、輝度値が高い位置については光量が低減され、輝度値が低い位置については光量が増大された照明光を照射するようにしたので、被写体に照射する照明光の光量の分布を細かく制御することができる。さらに、実施の形態2では、ベース光源部612を設けて、通常(例えば、ガウシアン型の光量分布)の白色光を照射するようにしたので、照射パターンの制御が不要な際には、ベース光源部612から白色光を出射することができる。
【0069】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3について説明する。
図7は、実施の形態3にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。実施の形態3では、上述した内視鏡装置1に対して、光源装置6に代えて光源装置6Bを備える。実施の形態2において、光源装置6Bの構成以外は上述した実施の形態1の内視鏡装置1と同じであるため、説明を省略する。
【0070】
光源装置6Bは、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光を供給する光源部61Bと、光源部61Bによる照明光の出射を制御する光源制御部62と、を有する。
【0071】
光源部61Bは、プロジェクター光源部613を備える。
プロジェクター光源部613は、白色光源部613aと、特殊光光源部613bとを有する。白色光源部613a及び特殊光光源部613bは、ともにプロジェクター光源を用いて構成される。
白色光源部613aは、白色光を出射する第1の光源と、DMDや液晶パネルなどの投影素子と、投影光を外部に出射させる光学系とを有する。
特殊光光源部613bは、特殊光観察に対応すると特殊光(例えば励起光)を出射する第2の光源と、DMDや液晶パネルなどの投影素子と、投影光を外部に出射させる光学系とを有する。なお、特殊光光源部613bは、第2の光源のみの構成としてもよい。
プロジェクター光源部613では、光源制御部62の制御のもと、投影素子の投影像を調整することができる。
【0072】
ここで、特殊光としては、以下のいずれかの特殊光観察に対応する波長帯域の光に相当する。
特殊光観察としては、
波長415nm及び540nmを中心波長とする狭帯域の照明光を照射して、各波長の光のヘモグロビンに対する吸収の差を利用して粘膜表層とそれより深い層との血管の状態を観察するNBI、
血中内で波長805nm付近の近赤外光に吸収ピークを持つインドシアニングリーン(Indocyanine green:ICG)という薬剤を造影剤として静脈注射し、中心波長が805nm近傍にある励起光を照射して、ICGからの蛍光を観察し、血流の有無を診断するIRI、
蛍光剤を被検体内に予め投与しておき、励起光を照射することによって、被検体から発せられる蛍光像を観察し、その蛍光像の有無や、形状を観察することにより腫瘍部分を診断するAFI、
アミノレブリン酸(5-ALA)の溶解液を患者に服用させると体内の正常組織では、血液原料(ヘム)に代謝されるが、癌細胞では、代謝されずに、その中間産物のPpIXという物質として蓄積され、このPpIXに青色光(中心波長410nm)を照射すると赤色(ピーク波長630nm)に蛍光発光するという性質を利用して、癌細胞と正常細胞を区別しやすい画像を得るPDD、
が挙げられる。
【0073】
ここで、実施の形態3におけるPJ制御変換部56の制御について説明する。
図8は、実施の形態3における制御装置が行う処理の概要を説明するフローチャートである。例えば、AFIによって蛍光像を観察する場合、PJ制御変換部56では、まず、特殊光光源部613bに励起光を照射させて、蛍光画像の画像信号を取得する(ステップS201)。この際、励起光は、撮像領域全体に照射される。
【0074】
算出部561は、蛍光画像の画像信号をもとに、各画素位置の輝度値を算出する。算出部561は、算出結果に基づいて、各画素位置に輝度値が付与された輝度画像を生成する(ステップS202)。
【0075】
その後、比較部562が、輝度画像の輝度値を反転させた反転画像を生成する(ステップS203)。演算部563は、例えば、輝度値の上限値から輝度画像の輝度値を減算することによって反転画像を生成する。
【0076】
その後、演算部563は、反転画像において閾値より大きい輝度値を有する画素を抽出し、抽出した画素によって形成される領域を白色光照射領域とする照射画像を生成する(ステップS204)。この際の閾値は、例えば、低輝度のノイズに相当する輝度値を反転させた値以上かつ上限値未満の値に設定される第3の閾値に相当する。
【0077】
システム制御部564は、演算部563が生成した照射画像を光源制御部62に出力する(ステップS205)。これにより、光源装置6において、照射画像に対応する光量分布、具体的には蛍光像の存在領域に照明光が照射されない光量分布の照明光(白色光)が照射される。
【0078】
信号処理部が白色光による白色光画像を取得して、信号処理部51及び画像処理部52によって処理が施される(ステップS206)。
【0079】
その後、画像処理部52が、白色光画像と、蛍光画像とを合成することによって、合成画像が生成される(ステップS207)。この際、合成する蛍光画像は、蛍光検出領域に輝度値に応じて色を付与し、その他の領域には色が付されていない透明の画像である。
これにより、励起光によって励起された蛍光画像と、蛍光画像の周囲を構成し、白色光の反射光によって表現される背景(白色光画像)とによって構成される画像を得ることができる。この際、蛍光画像については、視認性を向上するために、任意の色に着色してもよい。
【0080】
図9は、照明光の出射制御前後の画像の一例を模式的に示す図である。
図9の(a)は、蛍光画像の一例を示す。
図9の(b)は、白色光画像の一例を示す。
図9の(c)は、合成画像の一例を示す。
図9の(a)、(b)は、ともに同じ被写体を撮像した画像を示している。
【0081】
算出部561は、
図9の(a)に示す蛍光画像G
Lを取得すると、この蛍光画像G
Lを用いて、輝度値を付与した輝度画像を生成する。これにより、蛍光検出領域R
Lにおいて輝度値が付与された輝度画像が生成される。
【0082】
一方、輝度画像に基づいて生成された照射画像に応じて白色光が出射され、この白色光によって白色光画像G
Wが生成される(
図9の(b)参照)。この白色光画像G
Wは、上述した蛍光検出領域R
Lに対応する領域には白色光が照射されていない。
【0083】
画像処理部52は、蛍光画像G
Lと白色光画像G
Wとを合成して、合成画像G
Sを生成する(
図9の(c)参照)。この合成画像G
Sは、上述した白色光画像G
W上で対応する蛍光検出領域R
Lに、予め設定された色(ここでは蛍光部位を識別する色)を付与した画像となる。
【0084】
上述した実施の形態3は、白色光源部613a及び特殊光光源部613bを備えた光源装置6Bを用いて、撮像した蛍光画像をフィードバックし、蛍光検出領域を除く領域を白色光照射領域に設定して白色光を照射するようにしたので、被写体に照射する照明光の種別の分布を細かく制御することができる。実施の形態3によれば、蛍光部位に白色光の成分が重畳されていない、蛍光のみの情報で表現された合成画像を得ることができる。
【0085】
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4について説明する。
図10は、実施の形態4にかかる内視鏡装置の光源装置の構成を示す図である。実施の形態4では、上述した内視鏡装置1に対して、光源装置6に代えて光源装置6Cを備える。光源装置6Cは、実施の形態2にかかる光源装置6Aのプロジェクター光源部611を、実施の形態3にかかるプロジェクター光源部613に代えた構成である、実施の形態4において、光源装置6Cの構成以外は上述した実施の形態1の内視鏡装置1と同じであるため、説明を省略する。
【0086】
光源装置6Cは、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色光を供給する光源部61Cと、光源部61Cによる照明光の出射を制御する光源制御部62と、を有する。
【0087】
光源部61Cは、プロジェクター光源部613と、ベース光源部612とを備える。各光源部の構成は、実施の形態2、3と同じであるため、省略する。
【0088】
光源制御部62は、システム制御部564からの指示に基づいて、プロジェクター光源部613に、励起光及び白色光を設定された照射画像(励起光照射画像及び白色光照射画像)のパターンで出射させる。
また、光源制御部62は、ベース光源部612のみから白色光を出射させて、通常の白色光による照明を行うことができる。
さらに、ベース光源部612から白色光を出射させるとともに、プロジェクター光源部613から光量を増大させたい部分のみ白色光を出射させて、ベース光源部612の分布に対して、光量を補間するようにしてもよい。
【0089】
上述した実施の形態4は、実施の形態3と同様に、白色光源部613a及び特殊光光源部613bを備えた光源装置6Cを用いて、撮像した蛍光画像をフィードバックし、蛍光検出領域を除く領域を白色光照射領域に設定して白色光を照射するようにしたので、被写体に照射する照明光の種別の分布を細かく制御することができる。実施の形態4によれば、蛍光部位に白色光の成分が重畳されていない、蛍光のみの情報で表現された合成画像を得ることができる。さらに、実施の形態4では、ベース光源部612を設けて、通常(例えば、ガウシアン型の光量分布)の白色光を照射するようにしたので、照射パターンの制御が不要な際には、ベース光源部612から白色光を出射することができる。
【0090】
なお、実施の形態4において、特殊光光源部613bを、ベース光源部612に設けるようにしてもよい。
【0091】
(その他の実施の形態)
続いて、その他の実施の形態について説明する。
図11は、出射制御の他の例1を説明するための画像の一例を模式的に示す図である。
図12は、出射制御の他の例2を説明するための画像の一例を模式的に示す図である。
例えば、算出部561が算出した輝度値等を用いて、比較部562が、エッジ検出等によって処置具T
Sを識別し、処置具T
Sの輪郭を抽出する(
図11参照)。演算部563は、抽出された処置具T
Sの内部を照明光の非照射領域に設定した照射画像を生成する。これにより、処置具には照明光が照射されず、処置具からの反射光による白飛びを抑制した画像を得ることができる。
また、例えば、算出部561が算出した輝度値等を用いて、比較部562が、エッジ検出や輝度値の大小関係、領域の色情報と、予め記憶されている臓器の情報とを比較して臓器を検出し、臓器が存在する領域R
11を抽出する(
図12参照)。演算部563は、抽出された、臓器が存在する領域R
11と、臓器が非存在の領域R
12とに分けた照射画像を生成する。光源制御部62では、領域R
11と領域R
12とで異なる波長帯域の光を出射させる。例えば、領域R
12に対応する領域を白色光で照射し、領域R
11に対応する領域を、白色光とは異なる波長帯域の光(例えば青色や緑色)で照射する。この場合、投影素子は、液晶パネルであることが好ましい。また、領域R
11に照射する照明光は、臓器が明確に発色される波長帯域の光であることが好ましい。これにより、臓器を識別しやすい画像を得ることができる。
このほか、画像から出血領域を抽出して、該出血領域における照明光を、画像上で、血を識別しやすい、又は、出血部分の組織を識別しやすい発色となる波長帯域の光を照射するように制御してもよい。
また、画像から細菌を抽出して、該細菌存在領域における照明光を、画像上で、細菌を識別しやすい発色となる波長帯域の光を照射するように制御してもよい。
また、光線力学的治療法(photodynamic therapy:PDT)において、治療範囲を設定し、該治療範囲だけに光を照射するように制御してもよい。
【0092】
また、上述した実施の形態1~4では、硬性の内視鏡を例に説明したが、軟性の内視鏡に適用してもよいし、所定の視野領域を拡大して撮像し、撮像した画像を表示する機能を有する手術用顕微鏡システム(医療用画像取得システム)にも適用できる。
図13は、その他の実施の形態にかかる医療用観察装置を備えた医療用観察システムである手術用顕微鏡システムの全体構成を模式的に示す図である。
【0093】
手術用顕微鏡システム100は、被写体を観察するための画像を撮像することによって取得する医療用撮像装置である顕微鏡装置110と、顕微鏡装置110が撮像した画像を表示する表示装置111とを備える。なお、表示装置111を顕微鏡装置110と一体に構成することも可能である。
【0094】
顕微鏡装置110は、被写体の微小部位を拡大して撮像する顕微鏡部112と、顕微鏡部312の基端部に接続し、顕微鏡部312を回動可能に支持するアームを含む支持部113と、支持部v13の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部114と、を有する。ベース部114は、手術用顕微鏡システム100の動作を制御する制御部114aと、顕微鏡装置110から被写体に照射する照明光を生成する光源部115とを有する。なお、制御部114aは、上述した信号処理部51、画像処理部52、PJ制御変換部56などの機能を有している。また、ベース部114は、床面上に移動可能に設けるのではなく、天井や壁面等に固定して支持部113を支持する構成としてもよい。
【0095】
顕微鏡部112は、例えば、円柱状をなして、その内部に上述した撮像部92を有する。顕微鏡部112の側面には、顕微鏡装置110の動作指示の入力を受け付けるスイッチが設けられている。顕微鏡部112の下端部の開口面には、内部を保護するカバーガラスが設けられている(図示せず)。
【0096】
光源部115は、上述した実施の形態1~4のいずれかの光源装置と同じ構成を備える。
【0097】
術者等のユーザは、顕微鏡部112を把持した状態で各種スイッチを操作しながら、顕微鏡部112を移動したり、ズーム操作を行ったり、照明光を切り替えたりする。なお、顕微鏡部112の形状はユーザが把持して視野方向を変更しやすいように、観察方向に細長く延びる形状であれば好ましい。このため、顕微鏡部112の形状は、円柱状以外の形状であってもよく、例えば多角柱状であってもよい。
【0098】
制御部114aでは、実施の形態1等と同様にして、PJ制御変換部56が、取得した画像信号に基づいて照明光の光量分布を制御する。
【0099】
以上説明したように、手術用顕微鏡システム100においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態では、制御装置5が信号処理などを行うものとして説明したが、カメラヘッド9側で行うものであってもよい。
【0101】
なお、上述した実施の形態では、PJ制御変換部56が、照射分布情報である照射画像を生成して、該照射画像によって光源装置6を制御する例を説明したが、照明光の光量の分布を示す情報、例えば、画素の座標とその光量値とが関係付いた情報を照射分布情報として光源装置6を制御するようにしてもよい。
【0102】
また、上述した実施の形態では、PJ制御変換部56が制御装置5に設けられる例を説明したが、PJ制御変換部56を光源装置6に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本開示にかかる医療用制御装置及び医療用観察装置は、被写体に照射する照明光の光量の分布を細かく制御するのに有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 内視鏡装置
2 内視鏡
3 撮像装置
4 表示装置
5 制御装置
6 光源装置
7 ライトガイド
8 伝送ケーブル
9 カメラヘッド
51 信号処理部
52 画像処理部
53 通信モジュール
54 入力部
55 出力部
56 プロジェクター制御変換部(PJ制御変換部)
57 制御部
58 メモリ
61、61A~61C 光源部
62 光源制御部
91 レンズユニット
92 撮像部
93 通信モジュール
94 カメラヘッド制御部
100 手術用顕微鏡システム
561 算出部
562 比較部
563 演算部
564 システム制御部
611、613 プロジェクター光源部
612 ベース光源部