(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】レバー駆動プランジャ機構を有するIOLインジェクタ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2021534787
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 IB2019060792
(87)【国際公開番号】W WO2020128761
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】リウ チエン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ エフ.ザッカー
(72)【発明者】
【氏名】ビクトリア ホルダービー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153958(JP,A)
【文献】特表2013-523193(JP,A)
【文献】特開2014-050484(JP,A)
【文献】特表2015-514517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー駆動プランジャ機構を有する眼内レンズ(IOL)インジェクタであって、
インジェクタ本体であって、
前記インジェクタ本体の近位端から前記インジェクタ本体の遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアと、
前記インジェクタ本体の内壁上に配置されたレールであって、前記長手方向軸と整列して、前記ボア内に延在するレールと、を有する、インジェクタ本体と、
前記インジェクタ本体内で移動可能に結合されて、前記ボア内で整列されたプランジャと、
前記プランジャ内に配置されたトラックであって、前記レールと軸方向にスライド可能に結合するように適合されて、前記長手方向軸の周りの前記プランジャの回転を防止するように適合された、トラックと、
ユーザがアクセス可能なハンドルを含む第1の端部、及び前記インジェクタ本体に回転可能に結合された第2の端部を有するレバーと、
1つ以上の歯を有するラックであって、前記レバーに結合された、ラックと、
ナットが前記プランジャの周りを回転するが、前記インジェクタ本体に対して軸方向に移動しないように適合されている、前記インジェクタ本体に結合されたナットであって、前記ボア内に配置されており、
前記プランジャのねじ山と回転可能に結合するように適合された内面と、
外面の円周の周りに配置されて、ピニオンを形成する1つ以上の歯を有する外面であって、前記ピニオンの前記1つ以上の歯が、前記ラックの前記1つ以上の歯と噛み合うように適合されている、外面と、を有する、ナットと、を備え、
前記ハンドルに加えられた力に応じて、
前記レバーが、静止位置から回転可能に移動するように適合され、
前記ラックが、移動して、前記ナット上に配置された前記ピニオンと噛み合うように適合され、
前記ナットが、第1の回転方向に回転し、それによって前記プランジャの前記ねじ山に沿って回転可能に移動するように適合され、
前記プランジャの前記トラックが、前記インジェクタ本体の前記レールと係合し、それによって前記長手方向軸の周りの前記プランジャの回転を防止するように適合され、
それに応じて、前記プランジャが、前記ボアを通って軸方向に移動するように適合されている、眼内レンズ(IOL)インジェクタ。
【請求項2】
前記レバーに結合された第1の端部、及び前記インジェクタ本体に結合された第2の端部を有する戻りばね、を更に備え、
前記ハンドルに加えられた前記力に応じて、前記戻りばねが、前記レバーを前記静止位置に戻すように適合されている、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項3】
前記ラックの前記1つ以上の歯が、前記ピニオンの前記1つ以上の歯と係合して、前記静止位置から離れる前記レバーの前記動きに応じてのみ前記ピニオンを回転させるように適合されている、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項4】
前記ラックの前記1つ以上の歯が、1つ以上のつめを形成し、前記ピニオンの前記1つ以上の歯が、ラチェットを形成する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項5】
前記ラックの前記1つ以上の歯が、ラチェットを形成し、前記ピニオンの前記1つ以上の歯が、つめを形成する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項6】
前記インジェクタ本体が、前記ピニオンの前記1つ以上の歯に接触して、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向への前記ピニオンの回転動作を防止するように適合された歯係合隆起を更に含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項7】
前記ナットの前記内面が、前記プランジャの前記ねじ山と回転可能に係合するように適合されたねじ山を含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項8】
前記ナットの前記内面が、前記プランジャの前記ねじ山と回転可能に係合するように適合された1つ以上のねじ山係合ピンを含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項9】
前記プランジャが、前記プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、前記ナットを通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を更に含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項10】
前記プランジャの近位部分が、ユーザがアクセス可能であり、前記プランジャが、前記プランジャに加えられた軸方向の力に応じて軸方向に移動するように適合されている、請求項9に記載のIOLインジェクタ。
【請求項11】
前記インジェクタ本体が、IOLを収容するように構成されたIOL保管場所、及び前記IOL保管場所に対して遠位にあるIOL待機場所を更に含む、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【請求項12】
前記プランジャが、前記プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、前記ナットを通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を更に含み、
前記プランジャが、前記プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、前記IOL保管場所に近位に隣接する第1の位置から前記待機場所に近位に隣接する第2の位置まで、軸方向に移動するように適合され、
前記プランジャが、前記ハンドルに加えられた力に応じて、前記第2の位置から前記インジェクタ本体の前記遠位端まで、軸方向に移動するように適合されている、請求項11に記載のIOLインジェクタ。
【請求項13】
前記プランジャが、前記レバーの1つ以上の押し下げに応じて、前記IOL保管場所に近位に隣接する第1の位置から前記インジェクタ本体の前記遠位端まで、軸方向に移動するように適合されている、請求項11に記載のIOLインジェクタ。
【請求項14】
前記プランジャが、前記レバーの1つ以上の押し下げに応じて、
前記IOL待機場所に近位に隣接する第2の位置から前記インジェクタ本体の前記遠位端まで軸方向に移動可能である、請求項11に記載のIOLインジェクタ。
【請求項15】
前記プランジャねじ山が、前記プランジャの前記長手方向軸に沿って変化するピッチと、前記プランジャの遠位端に向かってよりも前記プランジャの近位端に向かってより長くなるピッチとの中から選択されるピッチを有する、請求項1に記載のIOLインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月19日に出願された米国特許仮出願第62/781,736号に対する優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、眼内レンズ(IOL)インジェクタのためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、最も簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過及び屈折させ、更に水晶体経由で眼の後ろの網膜上に画像を集束させることによって、視覚を提供するように機能する。集束した画像の品質は、眼のサイズ、形状、長さ、並びに角膜及び水晶体の形状及び透明度を含む、多くの要因に依存する。外傷、加齢、又は病気によって水晶体の透明度が低下すると、網膜に透過し得る光が少なくなるため、視力が低下する。眼の水晶体のこの欠陥は、医学的に白内障として知られている。この状態に対する治療は、水晶体の外科的除去及び人工レンズ(IOL)の移植である。
【0004】
多くの白内障水晶体は、水晶体超音波乳化吸引術と呼ばれる外科的技術によって除去される。この処置の間、眼の前嚢に開口部が作られ、水晶体超音波乳化吸引術の切削チップが患部の水晶体内に挿入されて超音波で振動される。切削チップを振動させることにより、水晶体が眼から吸引され得るように、水晶体を液化又は乳化する。罹患した水晶体は、いったん除去されると、IOLに置き換えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
レバー駆動プランジャ機構を有する眼内レンズ(IOL)インジェクタが記載されている。IOLインジェクタは、インジェクタ本体の近位端からインジェクタ本体の遠位端まで延在する長手方向軸を有するボアを備えるインジェクタ本体を含む。インジェクタ本体は、インジェクタ本体の内壁上に配置されたレールを含み、レールは、長手方向軸と整列して、ボア内に延在している。IOLインジェクタはまた、インジェクタ本体内で移動可能に結合されて、ボア内で整列したプランジャ、及びプランジャ内に配置されたトラックを含み、トラックは、レールと軸方向にスライド可能に結合するように適合されて、長手方向軸の周りのプランジャの回転を防止するように適合されている。IOLインジェクタはまた、ユーザがアクセス可能なハンドルを有する第1の端部、及びインジェクタ本体に回転可能に結合された第2の端部を有するレバー、1つ以上の歯を有するラック、レバーに結合されたラック、並びにナットがプランジャの周りを回転するが、インジェクタ本体に対して軸方向に移動しないように適合されている、インジェクタ本体に結合されたナットを有する。ナットは、ボア内に配置されて、プランジャのねじ山と回転可能に結合するように適合された内面と、外面の円周の周りに配置されて、ピニオンを形成する1つ以上の歯を有する外面とを有する。ピニオンの1つ以上の歯は、ラックの1つ以上の歯と噛み合うように適合されている。ハンドルに加えられた力に応じて、レバーは静止位置から回転可能に移動するように適合され、ラックは移動してナット上に配置されたピニオンと噛み合うように適合され、ナットは第1の回転方向に回転し、それによってプランジャのねじ山に沿って回転可能に移動するように適合され、プランジャのトラックは、インジェクタ本体のレールと係合し、それによって長手方向軸の周りのプランジャの回転を防止するように適合され、それに応じて、プランジャは、ボアを通って軸方向に移動するように適合されている。
【0006】
IOLインジェクタは、レバーに結合された第1の端部と、インジェクタ本体に結合された第2の端部とを有する戻りばねを含み得る。ハンドルに加えられた力に応じて、戻りばねは、レバーを静止位置に戻すように適合され得る。
【0007】
ラックの1つ以上の歯は、ピニオンの1つ以上の歯と係合して、静止位置から離れるレバーの動きに応じてのみピニオンを回転させるように適合され得る。
【0008】
ラックの1つ以上の歯は、1つ以上のつめを形成し得、ピニオンの1つ以上の歯は、ラチェットを形成し得る。
【0009】
ラックの1つ以上の歯は、ラチェットを形成し得、ピニオンの1つ以上の歯はつめを形成し得る。
【0010】
インジェクタ本体は、ピニオンの1つ以上の歯に接触して、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向へのピニオンの回転動作を防止するように適合された歯係合隆起を含み得る。
【0011】
ナットの内面は、プランジャのねじ山と回転可能に係合するように適合されたねじ山を含み得る。
【0012】
ナットの内面は、プランジャのねじ山と回転可能に係合するように適合された1つ以上のねじ山係合ピンを含み得る。
【0013】
プランジャは、プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、ナットを通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を含み得る。
【0014】
プランジャの近位部分は、ユーザがアクセス可能であり得、プランジャは、プランジャに加えられた軸方向の力に応じて軸方向に移動するように適合され得る。
【0015】
インジェクタ本体は、IOLを収容するように構成されたIOL保管場所、及びIOL保管場所に対して遠位にあるIOL待機場所を含み得る。
【0016】
プランジャは、プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、ナットを通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を含み得る。プランジャは、プランジャに加えられた軸方向の力に応じて、IOL保管場所に近位に隣接する第1の位置から、待機場所に近位に隣接する第2の位置まで軸方向に移動するように適合され得る。プランジャは、ハンドルに加えられた力に応じて、第2の位置からインジェクタ本体の遠位端まで軸方向に移動するように適合され得る。
【0017】
プランジャは、レバーの1つ以上の押し下げに応じて、IOL保管場所に近位に隣接する第1の位置からインジェクタ本体の遠位端まで軸方向に移動するように適合され得る。
【0018】
プランジャは、レバーの1つ以上の押し下げに応じて、第2の位置からインジェクタ本体の遠位端まで軸方向に移動可能であり得る。
【0019】
プランジャねじ山は、プランジャの長手方向軸に沿って変化するピッチを有し得る。
【0020】
プランジャねじ山は、プランジャの遠位端に向かってよりもプランジャの近位端に向かってより長いピッチを有し得る。
【0021】
IOLインジェクタは、ユーザによる片手操作に適合され得る。
【0022】
IOLインジェクタは、IOLベース、IOL光学部、又はその両方を個別に導入するように適合され得る。
【0023】
IOLインジェクタは、IOLベース及びIOL光学部を同時に導入するように適合され得る。
【0024】
本開示をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて、以下の説明を参照するが、これらの添付図面は縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、例示的なIOLインジェクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の例示的なIOLインジェクタの長手方向の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、ベース及び光学部を含む例示的なツーピースIOLを示している。
【
図4】
図4は、例示的なIOLインジェクタのノズルの斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4のIOLインジェクタのノズルの別の斜視図である。
【
図7】
図7は、内部に配置されて、待機場所に位置決めされたIOLを有する、例示的なIOLインジェクタの遠位端の図である。
【
図8A】
図8Aは、レバー駆動プランジャ機構を有する例示的なIOLインジェクタの概略図である。
【
図9A】
図9Aは、例示的なプランジャ及びプランジャ前進機構の概略図である。
【
図9B】
図9Bは、別の例示的なプランジャ及びプランジャ前進機構の概略図である。
【
図10A】
図10Aは、レバー駆動プランジャ機構を有する別の例示的なIOLインジェクタの概略図である。
【
図11】
図11は、レバー駆動プランジャ機構を有する例示的なIOLインジェクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで図面に示す実装を参照し、特定の言語を用いてそれを説明する。それでもやはり、開示の範囲について何の限定も意図していないことが理解されるであろう。説明するデバイス、機器又は方法に対する任意の代替形態及び更なる修正形態、並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうように完全に想定される。特に、1つの実装に関して説明される特徴、構成部品、及び/又はステップは、本開示の他の実装に関して説明される特徴、構成部品、及び/又はステップと組み合わされてもよいことは、完全に想定される。
【0027】
図1及び
図2は、手動でユーザが力を加えることによって作動される例示的なIOLインジェクタ10の概略図である。IOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20と、インジェクタ本体20に形成されたボア40を通って往復運動するように適合されたプランジャ30とを含む。インジェクタ本体20は、近位端50及び遠位端23を有する主本体21と、近位端22及び遠位端60を有するノズル25とを有する。ノズル25の近位端22は、主本体21の遠位端23に結合されている。ノズル25は、非圧縮IOL70を収容するように構成されたIOL保管場所80と、IOL保管場所80の遠位にあるIOL待機場所809とを有する。
【0028】
ボア40は、主本体21の近位端50又はその近位部分から、ノズル25の遠位端60まで延在している。ノズル25内のボア40の遠位部分は、それを通ってIOLが軸方向に前進し、圧縮されて、遠位端60の遠位先端27の開口部29を介して眼内に提供され得る、先細の提供チャネル31を形成する。
【0029】
プランジャ30は、インジェクタ本体20内で移動可能に結合され、ボア40内で整列されている。プランジャ30は、IOL70に接触するように適合されたプランジャ先端220を有する。
【0030】
IOLインジェクタ10はまた、長手方向軸75を含む。長手方向軸75は、プランジャ30に沿って延在し、プランジャ30の長手方向軸を規定し得る。
【0031】
IOL保管場所80は、IOL保管場所80の内部へのアクセスを提供するためのドア90を含み得る。ドア90がヒンジ100の周りを旋回してIOL保管場所80を開き、例えば、IOL70の設置を可能にするように、ドア90はヒンジ100を含み得る。他の実装形態では、IOL保管場所80は、IOL70を設置するためのドアを除外し得る。そのような場合、IOL70は、IOLインジェクタ10の組み立て時に、IOL保管場所80内に組み込まれ得る。したがって、そのような場合、IOLインジェクタ10は、プリロードされたIOLインジェクタになる。そのような場合、IOL保管場所80は、ドア90ではなく、開くように構成されていないカバーを有し得る。IOL保管場所80は、粘弾性をIOL保管場所80に追加することを可能にするように適合された穴を含み得る。
【0032】
インジェクタ本体20はまた、インジェクタ本体20の近位端50に形成されたタブ110を含み得る。タブ110は、眼科医、眼科外科助手若しくは看護師、又は他の医療専門家などのユーザの指、親指、又は手によって操作されて、プランジャ30をボア40を通って前進させ得る。
【0033】
プランジャ30は、プランジャ本体200、プランジャ本体200から遠位に延在するプランジャロッド210、及びプランジャロッド210の遠位端230に形成されて、例えば、IOLインジェクタ10のIOL保管場所80に配置されたIOLと接触するように適合された、プランジャ先端220を含み得る。プランジャ30が軸方向に前進し、それによってボア40内で矢印78の方向に遠位方向に変位すると、プランジャ30のプランジャ先端220は、IOL70などのIOLと係合して前進させるように適合されている。
図1及び
図2では、IOL70は、IOL保管場所80内に配置されて示されている。プランジャ30はまた、近位端250に形成されたフランジ240を含み得、これは、ユーザの指、親指、又は手によって操作されて、プランジャ30をボア40を通って矢印78の方向に遠位方向に変位させることによって、プランジャ30をボア40を通って前進させ得る。
【0034】
いくつかの実装形態では、IOL70は、ワンピースIOLであり得る。すなわち、いくつかの実装形態では、IOL70は、
図3Aに示されるように、光学部460及び触覚部450を含み得る。触覚部450のそれぞれは、先端452を含む。いくつかの実装形態では、光学部460及び触覚部450は、単一の材料片から一体的に形成され得る。他の実装形態では、光学部460は1つの材料片から形成され得、触覚部450は別の材料片から形成され得、光学部460及び触覚部450は、眼内に提供される前に一緒に結合され得る。場合によっては、光学部460及び触覚部450は、IOLインジェクタ内に挿入されて眼内に提供される前に、互いにしっかりと固定され得る。
【0035】
他の実装形態では、IOL70は、例えば、
図3Bに示されるように、マルチピースIOLであり得る。例えば、いくつかの実装形態では、IOL70には、2つ以上の別個の構成要素が含まれる。
図3Bは、2つの取り外し可能に取り付けられた構成要素を含む例示的なIOL70である。
図3Bに示されるように、IOL70は、光学部460、及び触覚部450を含み、且つ、上部498及び下部499を有する及びベース461を含む。光学部460及びベース461は、一緒に結合されて単一のIOLになり、その後、必要に応じて、互いから分離されて別個の構成要素になるように適合されている。場合によっては、例えば、
図3Bに示されるツーピースIOL70などのマルチピースIOLの1つ以上の構成要素が、患者の眼内に別々に導入可能である。いったん眼に入ると、構成要素は完全なIOLに組み立てられ得る。例えば、
図3Bに示されるツーピースIOL70の場合、光学部460及びベース461は、眼内に別々に導入可能である。いったん導入されると、光学部460は、ベース461に結合されるように適合されている。
【0036】
時に、患者はIOLの交換を必要とする場合があり、IOLを交換する手順が、眼に損傷を与え得る。例えば、ツーピースIOLを使用する場合、交換手順には、光学部のみの交換が含まれ、それによってベースを眼内の所定の位置に維持することが可能になる。
【0037】
上記で説明したように、いくつかの実装形態では、IOL70は、ベース461及び光学部460が患者の眼内に別々に導入されるツーピースIOLであり得る。したがって、ツーピースIOLの場合、ベース461及び光学部460は、眼に挿入するための別々のIOLインジェクタ10に含まれてもよい。他の実装形態では、ツーピースIOLの2つの構成要素は、単一のIOLインジェクタを使用して眼内に別々に挿入され得る。単一ピースIOLの場合、光学部460及び触覚部450は、単一のIOLを形成し、単一のIOLインジェクタを使用して同時に眼内に挿入される。
【0038】
したがって、いくつかの実装形態では、ユーザは、例えば、上述のIOLインジェクタのIOL保管場所80などの、IOLインジェクタのIOL保管区画内にIOLをロードすることによって、ワンピースIOLをIOLインジェクタ内に配置することができる。また説明されるように、IOL保管場所80は、ドア90などのドアを介してアクセスされ得る。
【0039】
ツーピースIOLの場合、いくつかの実装形態では、ユーザは、ベース461などのベースを、例えばドアを介して、IOLインジェクタのIOL保管区画内にロードすることができる。光学部460などの光学部は、例えば、ドアを介して、別個のIOLインジェクタのIOL保管区画に導入され得る。場合によっては、IOL保管区画は、ドア90などのドアを通してアクセスされ得る。
【0040】
いくつかの実装形態では、IOLは、例えば、製造中、又はそうでなければエンドユーザに配布される前に、IOLインジェクタの保管区画内にプリロードされ得る。したがって、ワンピースIOLの場合、ワンピースIOLは、エンドユーザが受け取る前に、IOLインジェクタを保管区画内にプリロードされ得る。ツーピースIOLの場合、ベースは、1つのIOLインジェクタの保管区画内にプリロードされ得、一方、光学部は、別のIOLインジェクタのIOL保管区画内にプリロードされ得る。本明細書で使用される「プリロードされた」という用語は、ワンピース又はマルチピース構成(例えば、ツーピース構成を含む)のいずれかのIOLが、ユーザによってではなく、むしろ、IOLが以前にIOLインジェクタに設置されており、ユーザがIOLインジェクタを受け取った時点ですでにIOLインジェクタ内に含まれていることによって、IOLインジェクタ内にロードされていることを意味する。IOLインジェクタは、ユーザが受け取ったときに滅菌パッケージ内にパッケージされ得る。
【0041】
本開示を読むと当業者によって理解されるように、IOLインジェクタにプリロードされたIOLは、ユーザによって実行されるIOLインジェクタへのIOLの手動設置及び折り畳みの場合よりも有利である。例えば、IOLを手動で設置して折り畳むと、誤差が生じる可能性が高くなり、それによってすでに複雑な手順中に不要な二次操作又は修正が発生し得る。例えば、IOLを手動で設置して折り畳むことにより、人為的ミスや不十分な滅菌技術などによるIOLの汚染の可能性も招き得る。IOLの汚染により、患者に対する無菌環境を損ない、感染又は他の患者への危害のリスクをもたらし得る。
【0042】
図4~
図7は、例示的なノズル25の詳細を示している。場合によっては、ノズル25は、先細の外面を有する。さらに、ノズル25は、開口部29に向かって先細になる先細の提供チャネル31を形成するボア40の一部を含み得る。遠位先端27は、IOL70を移植できるように、眼内への挿入に適合されている。IOL70は、遠位先端27に形成された開口部29から眼内に排出される。
図5Bに示されるように、先細の提供チャネル31及び遠位先端27は、幅W1を有する楕円形の断面120を有し得る。加えて、遠位先端27は、傾斜先端130を含み得る。IOL保管場所80、提供チャネル31、及び開口部29は、提供通路を規定し得る。提供通路のサイズは、その長さに沿って変化し得る。例えば、場合によっては、提供通路の幅W1、高さH1、又はその両方が、提供通路の長さに沿って変化し得る。提供通路のサイズの変化は、IOLが提供通路を通って前進するときに、IOLの圧縮に寄与し得る。
【0043】
場合によっては、インジェクタ本体20は、挿入深度ガード140を含み得る。挿入深度ガード140は、眼の外側表面に隣接するように適合されたフランジ面150を形成し得る。その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/049,315号明細書に記載されているように、挿入深度ガード140は、眼の表面に隣接し、それによって遠位先端27が眼内に延在することが可能な量を制限する。
【0044】
図6及び
図7は、例示的なノズル25の一部の詳細図である。ノズル25は、先細の部分62及び挿入深度ガード140を含み得る。遠位先端27は、圧縮された又は部分的に圧縮されたIOL70の待機場所809の視覚的表示を提供する境界1900を含み得る。本明細書で使用される「待機場所」という用語は、ノズル25の遠位端60に隣接する場所を指す。例えば、待機場所809は、遠位端60から2~10mmの場所であり得る。例えば、
図6に示される例では、境界1900は、ノズル25の全部又は一部を取り囲む狭い隆起又はラインである。場合によっては、境界1900は、先細の部分62と挿入深度ガード140との間に配置され得る。インジェクタ本体20の少なくとも一部は、ユーザがインジェクタ本体20内のIOLを見ることを可能にする透明又は半透明の材料から形成され得る。特に、インジェクタ本体20のノズル25は、プランジャ30によってそれを通って移動するときのIOLの観察を可能にするために、透明な材料から形成され得る。
【0045】
図7は、IOL70がノズル25の待機場所809に配置された、IOLインジェクタ10の遠位端60の図を示している。
図7に示されるように、IOL70の待機場所809は、IOL70の光学部の遠位端が境界1900と実質的に整列する場所として規定され得る。触覚部450又はその一部は、境界1900を超えて延在し得る。
【0046】
眼の組織及び構造の感度及び繊細さのため、許容可能なピーク速度と加えられた作動力を用いて、ユーザが患者の眼にIOLを提供することができることが重要である。
【0047】
通常、既存のIOLインジェクタによってIOLを圧縮及び前進させる機構は、プランジャをIOLインジェクタを通って前進させるために必要となる力に大幅な変動を伴う。例えば、既存のIOLインジェクタの作動中、IOLがノズル内で完全に圧縮されると、通常、IOLの前進に対する抵抗がピークとなり、その後、IOLがノズルの出口にあるときに圧力が解放される。場合によっては、これにより、IOLが制御しにくい方法で高速で排出されてしまう可能性がある。一部の既存のIOLインジェクタに関連するIOL前進抵抗力のピーク及びトラフが、IOLインジェクタ及びIOL提供のユーザ制御を低下させる可能性がある。IOLを提供する際の課題には、例えば、IOLインジェクタのユーザ作動によって加えられる力のメカニズム及び大きさを適切且つ再現可能であるように確実にすることが含まれる。また、直感的に使用でき、全ての範囲のスキル及び技術のユーザが利用することができるIOLインジェクタとすることが望ましい。
【0048】
本明細書に記載される様々な実装形態では、本開示は、上述の問題を解決するように適合されたレバー駆動プランジャ機構に関する。本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構の利点には、ユーザに一貫した作動力体験を提供すること、突然のIOL排出を防止すること、ユーザにより高い信頼性及び快適性を提供すること、及び安全性を改善することが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
図8A~
図11は、本開示のレバー駆動プランジャ機構の様々な例示的な実装形態を有するIOLインジェクタの概略図である。
【0050】
本開示のレバー駆動プランジャ機構を有するIOLインジェクタ10は、インジェクタ本体20を有し、インジェクタ本体20は、主本体21、及び主本体21の遠位端23に結合されたノズル25を含み得、ボア40は、主本体21の近位端50からノズル25の遠位端60まで延在する長手方向軸75を有する。
【0051】
例えば、
図8A~
図8Dに示されるように、いくつかの実装形態では、IOLインジェクタ10は、インジェクタ本体の内壁1203上に配置され、長手方向軸75と整列して、ボア40内に延在する1つ以上のレール1301を含むレバー駆動プランジャ機構を有する。
【0052】
典型的には、レバー駆動プランジャ機構は、ボア40の向かい合う両側面内など、インジェクタ本体の内壁1203の向かい合う両側面などの両側面上に配置された2つのレール1301を含み得る。レール1301は、典型的には、互いに平行であり、長手方向軸75と整列し得る。レール1301は、本体21の近位端50からノズル25の遠位端60、又はその一部まで延在し得る。
【0053】
レバー駆動プランジャ機構はまた、プランジャ30を含む。プランジャ30は、近位端及び遠位端230を有するプランジャロッド210、プランジャ本体200の遠位端に結合されたプランジャロッド210の近位端、及びプランジャロッド210の遠位端230に形成され、IOL70に接触して、本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構の作動に応じてIOL70を軸方向に移動させるように適合されたプランジャ先端220を有し得る。
【0054】
レバー駆動プランジャ機構は、プランジャ本体200内などの、プランジャ30内に配置された1つ以上のトラック1302を有する。例えば
図11に示されるように、1つ以上のトラック1302は、インジェクタ本体の内壁1203上に配置された1つ以上のレール1301とスライド可能に結合するように適合され、それによって、例えば
図11の矢印76の方向に示されるように、長手方向軸75の周りのプランジャ30の回転を防止するように適合されている。典型的には、プランジャ30は、プランジャ本体200の向かい合う両側面など、プランジャ30の向かい合う両側面上に配置された一対のトラック1302を有し得る。トラック1302は、典型的には、互いに平行であり、長手方向軸75と整列し得る。トラック1302は、プランジャ30の近位端からプランジャ30の遠位端、又はその一部まで延在し得る。
【0055】
プランジャ30はまた、プランジャ本体200内などの、プランジャ30内に配置されたねじ山1を有するねじ部分を有する。当業者によって理解されるように、本明細書で使用される「ねじ山」という用語は、「スクリュースレッド」としても知られており、一般に、長手方向軸の周りに巻き付けられた傾斜面を指す。通常、ねじ山は、回転動作と線形動作又は力の間で変換するために使用されるらせん構造である。ねじ山は通常、らせんの形態で円柱に巻き付けられた隆起である。本明細書に記載される実装形態では、プランジャ30のねじ部分は、プランジャ30の長手方向軸の周りに巻き付けられたねじ山1を有する。
【0056】
レバー駆動プランジャ機構は、例えば
図8Aの矢印74の方向に示されるような、レバー2の押し下げに応じて、例えば
図8Aの矢印78の方向に示されるように、プランジャ30を軸方向に前進させるように適合されている。例えば、
図8A~
図8Dに示されるように、レバー駆動プランジャ機構は、第1の端部及び第2の端部4を有するレバー2を含む。レバー2の第1の端部は、ユーザがアクセス可能なハンドル3、及びインジェクタ本体20に回転可能に結合された第2の端部4を含む。レバー駆動プランジャ機構はまた、1つ以上の歯6を有する弧状ラック5などのラック5を有する。ラック5はレバー2に結合されている。特に、ラック5は、ハンドル3を押し下げると、レバー2が弧状ラック5の弧に対応する弧を通って回転するように適合されるように、レバーに結合された弧状ラック5であり得る。
【0057】
レバー駆動プランジャ機構はまた、ナット7がインジェクタ本体20の長手方向軸75の周りを回転するが、インジェクタ本体20に対して軸方向に移動しないように適合された、インジェクタ本体20に結合されたナット7を含む。ナット7のさらなる詳細は、
図9Aに示されている。ナット7はボア40内に配置され、ナット7は、プランジャ30のねじ山1と回転可能に結合するように適合された内面8を有する。例えば、ナット7の内面8は、プランジャ30のねじ山1と回転可能に結合するように適合されたねじ山を含み得る。いくつかの実装形態では、ナット7の内面8は、例えば、
図9Aに示されて、本明細書で説明されているように、1つ以上のねじ山1係合ピン17などの、プランジャ30のねじ山1と回転可能に係合するように適合されたねじ山の一部のみを含み得る。
【0058】
ナット7はまた、ナット7の外面9の円周の周りに配置された1つ以上の歯11を有する外面9を有する。したがって、ナット7の外面の周りに配置された1つ以上の歯11は、ピニオン12の歯11を形成する。ピニオン12の1つ以上の歯11は、ラック5の1つ以上の歯6と回転可能に噛み合うように適合されている。
【0059】
したがって、本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構は、
図8Aの矢印74の方向などへの、ユーザの指、親指、又は手によるハンドル3の押し下げなど、ハンドル3に加えられた力に応じて、レバー2が静止位置から回転可能に移動するように適合されている。それに応じて、ラック5は、移動して、ナット7上に配置されたピニオン12と噛み合うように適合されている。それに応じて、ナット7は、第1の回転方向に回転し、それによってプランジャ30のねじ山1に沿って回転可能に移動するように適合されている。プランジャ30のトラック1302は、インジェクタ本体のレール1301と係合し、それによって長手方向軸75の周りのプランジャ30の回転を防止するように適合されている。それに応じて、プランジャ30は、ボア40を通ってインジェクタ本体20の遠位端60に向かって軸方向に移動するように適合され、それによってボア40内に配置されたIOL70を患者の眼に提供するように適合されている。
【0060】
したがって、理論に限定されないが、いくつかの実装形態では、本開示のレバー駆動プランジャ機構は、ラック5及びピニオン12の回転動作を、(1)プランジャ30のねじ山1と接触するナット7の回転力と、(2)ナット7が長手方向軸75の周りを回転できるが、インジェクタ本体20に対して軸方向に移動しないように、インジェクタ本体20のねじ山1に結合されているナット7と、(3)インジェクタ本体の内壁1203上に配置されたレール1301と軸方向にスライド可能に結合されるように適合され、それによって長手方向軸75の周りのプランジャ30の回転を防止するように適合されている、プランジャ30内に配置されたトラック1302との組み合わせによって、プランジャ30の軸方向の線形動作に変換するように適合されていることが理解されよう。
【0061】
いくつかの実装形態では、例えば、
図8Aに示されるように、IOLインジェクタ10は、レバー2に結合された第1の端部14、及びインジェクタ本体20に結合された第2の端部15を有する戻りばね13を含み得、ハンドル3に加えられた力に応じて、戻りばね13はレバー3を静止位置に戻すように適合されている。したがって、戻りばね13は、矢印74の回転方向と反対の回転方向にレバー2を回転させるように適合され得る。いくつかの実装形態では、戻りばねは、
図8Aに示されるようなねじりばねであり得る。他の実装形態では、ばねは、例えば、本開示を読むと当業者によって識別可能な、とりわけ、圧縮ばね、又は引張ばねであり得る。
【0062】
いくつかの実装形態では、ラック5の1つ以上の歯6は、例えば矢印74の方向に示されるような、ユーザによるハンドル3の押し下げに応じてなど、静止位置から離れるレバー2の動きに応じてのみラック5がピニオン12を回転させるように、ピニオン12の1つ以上の歯11と係合するように適合され得る。歯6/11の形状は、矢印74の方向になど、1つの回転方向にのみ係合するプロファイルを有するように適合され得る。したがって、歯6/11の係合は、ラック5及びピニオン12が、プランジャ30がインジェクタ本体20の遠位端60に向かって軸方向に移動する結果となるような方法でのみ移動するように適合され得る。対照的に、戻りばね13によるレバーの動きに応じてなど、矢印74の方向と反対の方向へのラック5の動きにより、歯6/11が互いにスリップして係合しない結果となり得る。したがって、戻りばね13は、歯6/11が互いに係合することなく、レバー2を静止位置に戻し得る。
【0063】
したがって、当業者によって理解されるように、いくつかの実装形態では、ラック5の1つ以上の歯6は1つ以上のつめを形成し得、ピニオン12の1つ以上の歯11はラチェットを形成し得る。他の実装形態では、ラック5の1つ以上の歯6はラチェットを形成し得、ピニオン12の1つ以上の歯11はつめを形成し得る。
【0064】
例えば
図9Bに示されるようないくつかの実装形態では、インジェクタ本体20は、ピニオン12の1つ以上の歯11に接触して、第1の回転方向と反対の第2の回転方向へのピニオンの回転動作を防止するように適合された歯係合隆起16を含み得る。したがって、上述のラチェットと同様に、歯係合隆起16はまた、プランジャ30がインジェクタ本体20の遠位端60に向かって軸方向に移動する結果となるような方法でのみピニオン12の回転を可能にし得る。
【0065】
いくつかの実装形態では、ナット7の内面8は、プランジャ30のねじ山1と回転可能に係合するように適合された1つ以上のねじ山係合ピン17を含み得る。例えば、
図9A~
図9Bは、一対のねじ山係合ピン17を概略的な形態で示している。ピン17の寸法は、プランジャ30上に配置されたねじ山1の寸法内にフィットするようなサイズであり得る。
【0066】
いくつかの実装形態では、プランジャ30は、プランジャ30に加えられた軸方向の力に応じて、ナット7を通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を含み得る。したがって、いくつかの実装形態では、プランジャ30の一部は、例えば、トラック1302のレール1302とのスライド可能な結合によって、プランジャ30のねじ山1がナット7に係合することなく、プランジャ30がボア40の一部を通って軸方向にスライドできるように適合され得る。
【0067】
いくつかの実装形態では、プランジャ30の近位部分は、例えば、プランジャ30の近位部分がインジェクタ本体20の近位端50を通って延在するように、ユーザがアクセス可能であり得る。したがって、プランジャ30は、プランジャ30に加えられる軸方向の力に応じて、プランジャ本体200の近位部分までなど、インジェクタ本体20の遠位端60に向かって軸方向にスライド可能に移動するように適合され得る。
【0068】
上述のように、いくつかの実装形態では、インジェクタ本体20のノズル25などのインジェクタ本体20は、IOL70を収容するように構成されたIOL保管場所80、及びIOL保管場所80の遠位にあるIOL待機場所809を含み得る。
【0069】
いくつかの実装形態では、本明細書に記載されるIOLインジェクタ10は、プランジャ30が、プランジャに加えられた軸方向の力に応じてナット7を通ってスライド可能に移動するように適合されたねじ山のない部分を更に含み、プランジャ30を軸方向にスライドさせることによって、IOL70がIOL保管場所80からIOL待機場所809まで軸方向に移動可能であり得、次いで、IOL70をIOL待機場所809から軸方向に前進させて、本明細書に記載のレバー駆動プランジャ前進機構を作動させることによって、IOL70を患者の黄褐色の眼に提供するように構成され得る。したがって、いくつかの実装形態では、ユーザによってプランジャ本体200に加えられる軸方向の力など、プランジャ30に加えられる軸方向の力に応じて、プランジャ先端220がIOL保管場所80に近位に隣接する第1の位置から、待機場所809に近位に隣接する第2の位置まで移動するように、プランジャ30は、軸方向に移動するように適合され得る。プランジャ30は、続いて、ハンドル3に加えられた力に応じて、第2の位置からインジェクタ本体の遠位端60に向かって軸方向に移動するように適合され得る。したがって、ねじ山1は、プランジャ先端220が待機場所809に近位に隣接する第2の位置にあるときにねじ山1がナット7と係合するように、プランジャ本体200内の軸方向位置に配置され得る。プランジャ30は、レバー2の1つ以上の押し下げに応じて、次いで第2の位置からインジェクタ本体の遠位端60まで軸方向に移動可能であり得るように適合され得る。
【0070】
いくつかの実装形態では、プランジャ30は、ねじ山のない部分を欠いていてもよい。プランジャねじ山1は、プランジャ本体200の近位端からプランジャ本体200の遠位端までなど、プランジャ30の近位端からプランジャ30の遠位端まで延在し得る。したがって、いくつかの実装形態では、プランジャ30は、レバー2の1つ以上の押し下げに応じて、IOL保管場所80に近位に隣接する第1の位置からインジェクタ本体の遠位端60まで軸方向に移動するように適合され得る。
【0071】
本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構は、プランジャ30がボア40又はその一部を通って軸方向に前進して、ハンドル3の1、2、3、4、5回、又はそれ以上の押圧などの、ハンドル3の1回以上の押圧に応じて、患者の眼にIOL70を提供できるように適合され得る。例えば、ラック5及びピニオン12は、歯6/11の数が1:1~1:5の比率を有するように適合され得る。したがって、いくつかの実装形態では、レバー駆動プランジャ機構は、ラック5及び/又はピニオン12の歯数6/11のギア比率を適合させることによって、機械的利点及び/又は軸方向の力の低減を提供するように適合され得る。
【0072】
あるいは、又は加えて、いくつかの実装形態では、ねじ山1のピッチは、プランジャ30が、ハンドル3の1、2、3、4、5回、又はそれ以上の押圧などの、ハンドル3の1回以上の押圧に応じて、ボア40を通って軸方向に完全に又は部分的に移動するように適合され得る。
【0073】
当業者によって理解されるように、本明細書で使用される「ピッチ」という用語は、1つのねじ山の頂上から次のねじ山までの距離を指し、ここで、ねじ山の側面は頂上と根元を接続する側面である。ねじ山の角度は、軸平面断面で測定された側面間の角度である。ねじ山のピッチは、同じ軸平面内の隣接する表面上の対応するポイント間で、その軸に平行に測定された距離である。
【0074】
いくつかの実装形態では、プランジャねじ山1は、プランジャ30の長手方向軸に沿って変化するピッチを有し得る。
【0075】
特に、いくつかの実装形態では、プランジャねじ山1は、プランジャ30の遠位端に向かってよりもプランジャ30の近位端250に向かってより長いピッチを有し得る。プランジャ30の遠位端におけるより狭いピッチにより、プランジャ30がインジェクタ本体20の遠位端60に向かって移動するにつれて、ハンドル3の押圧に応じて、軸方向のより遅い移動をもたらし得る。したがって、いくつかの実装形態では、ねじ山1は、インジェクタ本体20の遠位部分を通ってIOLインジェクタ10から出て患者の眼内に入るIOL70の最終的な前進の間に、プランジャ30の軸方向の動きが減速されるように、適合され得る。例えば、可変ピッチねじ山は、プランジャ30の遠位端において、5~10mm又は約5~10mmのピッチを有し得、プランジャ30の近位端において、15~30mm又は約15~30mmのピッチを有し得る。
【0076】
いくつかの実装形態では、プランジャねじ山1は可変ピッチを有し得、ナット7の内面8は、可変ピッチプランジャねじ山1と共に移動するように適合された1つ以上のピン17を含み得る。
【0077】
いくつかの実装形態では、IOLインジェクタ10は、ユーザによる片手操作に適合され得る。レバー駆動プランジャ機構を有するIOLインジェクタ10は、例えば、親指がインジェクタ本体20の側面に接触し、中指がインジェクタ本体20の反対側に接触するように、三脚グリップに保持されるように適合され得、レバー2のハンドル3は、ユーザの人差し指によって押し下げられるように適合されている。これは、IOL70を眼内に提供している間、ユーザがIOLインジェクタ10をしっかりと保持するためのより安定性を提供し得る。
図10A~
図10Bは、ハンドル3がインジェクタ本体20の真上に配置されるように適合された、IOLインジェクタ10の別の実装形態を示している。いくつかの実装形態では、ハンドル3をインジェクタ本体20の上方に位置決めすることにより、本開示のレバー駆動プランジャ機構を有するIOLインジェクタ10の両手利き使用が可能になり得る。
【0078】
いくつかの実装形態では、本開示のレバー駆動プランジャ機構は、IOLベース461、IOL光学部460、又はその両方を別々に導入するように適合され得る。いくつかの実装形態では、本開示のレバー駆動プランジャ機構は、IOLベース461、及びIOL光学部460を同時に導入するように適合され得る。
【0079】
本開示に従って適合され得るIOLインジェクタの非限定的な例には、米国特許第7,156,854号明細書及び米国特許出願公開第2016/0256316号明細書に記載されているものが含まれ、それぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構の利点には、以下を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載されるレバー駆動プランジャ機構は、スムーズ且つ制御された方法でIOL用の軸方向前進動作を生成するための解決策を提供する。レバー駆動プランジャ機構は、レバー駆動ギアシステムを使用してプランジャを一方向に前方に駆動する、機械的利点を提供するように適合され得る。待機場所へのIOLの最初の移動は、プランジャ30をスライドさせることによって達成され得る。レバー駆動プランジャ機構を使用してIOLを眼内に提供するために、IOLインジェクタは、ペンシルグリップとしても知られている三脚グリップに保持されてもよく、ユーザが人差し指でレバーを押すことにより、通常のシリンジタイプグリップよりも使用する筋肉が少なくなる。
【0081】
上記で開示された主題は、制限ではなく例示として考えられるべきであり、添付された特許請求の範囲は、本開示の真の思想及び範囲内にある全てのそのような修正、強化、及び他の実施を包含するように意図される。したがって、法律によって許容される最大範囲まで、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物の最も広範な許容可能な解釈によって判断されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限され、又は限定されるべきではない。