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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】触発機構及びステープラー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20240222BHJP
   A61B 17/115 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
A61B17/068
A61B17/115
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021535931
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2019127100
(87)【国際公開番号】W WO2020125765
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】201822152931.X
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811563035.0
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920187434.5
(32)【優先日】2019-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515172670
【氏名又は名称】天臣国▲際▼医▲療▼科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Touchstone International Medical Science Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】278 Dongping Street,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu,215123 China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】単 ▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 元▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 学▲謙▼
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206641873(CN,U)
【文献】特表2018-508278(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104224260(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108403176(CN,A)
【文献】特開2009-189832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068 - 17/072
A61B 17/115
A61B 17/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープラーに応用され、ストッパ溝が開設される作動ロッドと、触発ハンドルと、押圧ボタンと、を含む触発機構であって、
前記触発ハンドルの内部には、ピンが設置され、前記ピンの第1端は、前記触発ハンドルの第1端から突出して前記ストッパ溝に挿入されることにより、前記触発ハンドルは、前記作動ロッドに対して回転することができなく、
前記ピン及び前記押圧ボタンには、第1嵌合部及び第2嵌合部がそれぞれ設置され、前記押圧ボタンが第1方向へ移動する場合、前記第2嵌合部は、前記第1嵌合部を押圧することにより、前記ピンの第1端を前記触発ハンドルの第2端の方向へ移動させ、
前記押圧ボタンは、前記第2嵌合部に連結される2つの押圧部を含み、前記2つの押圧部は、前記ステープラーの両側のハウジングに貫装され
前記ステープラーは、固定ハンドルを含み、
前記触発機構は、バランサをさらに含み、
前記バランサは、前記押圧ボタンに固定して連結され、回転部を含み、
前記回転部は、前記固定ハンドルに回転可能に設置され、
前記第1方向は、前記バランサの前記回転部を中心とする反時計方向である、ことを特徴とする触発機構。
【請求項2】
回転部と、連結部と、を含み、前記連結部は、前記押圧ボタンに連結され、前記回転部が回転する場合、前記押圧ボタンを移動させるように駆動することを特徴とする請求項1に記載の触発機構。
【請求項3】
前記触発ハンドルの内部には、ピン溝が設置され、前記ピンは、前記ピン溝に設置され、且つ、前記ピンの第2端と前記ピン溝との間には、ピン復帰部材が設置されることにより、前記ピンを前記ピン溝により限定される方向に沿って直線移動させることを特徴とする請求項1に記載の触発機構。
【請求項4】
前記第1嵌合部は、ボスであり、前記ボスは、ストッパ部及び段差部を含み、前記第2嵌合部は、凹台であることを特徴とする請求項1に記載の触発機構。
【請求項5】
前記ステープラーのハウジングには、押圧ボタン位置制限部材が設置され、前記押圧ボタン位置制限部材は、前記押圧ボタンが第1方向に沿って移動する経路上に位置することを特徴とする請求項1に記載の触発機構。
【請求項6】
前記ストッパ溝の近位端には、前記作動ロッドの内部に窪んだ円弧溝が設置されることを特徴とする請求項1に記載の触発機構。
【請求項7】
ストッパ溝が開設される作動ロッドと、触発ハンドルと、ボタンアセンブリと、を含む触発機構であって、
前記触発ハンドルの内部には、ピンが設置され、
前記ボタンアセンブリは、押圧ロッドを含み、前記押圧ロッドの第1端は、前記触発ハンドルの内部に挿入され、
前記ピンの第1端は、前記触発ハンドルから突出して前記ストッパ溝に挿入されることにより、前記触発ハンドルは、前記作動ロッドに対して回転することができなく、
前記押圧ロッドは、さらに前記触発ハンドルの内部に挿入されることにより、前記押圧ロッドは、前記ピンの第1端を押圧して前記触発ハンドルの一端へ移動させることで前記ストッパ溝から離脱し、
前記触発ハンドルの内部には、前記ピンを収容するためのピン溝及び前記押圧ロッドを収容するための押圧ロッド用ガイド溝が設置され、前記ピン溝は、第3方向に延びており、前記押圧ロッド用ガイド溝は、第2方向に延び、前記第2方向が前記第3方向に対し垂直又は略垂直な方向であることを特徴とする触発機構。
【請求項8】
前記ピンには、第1嵌合部が設置され、前記第1嵌合部は、第1傾斜面を含み、前記押圧ロッドの第1端には、第2嵌合部が設置され、前記第2嵌合部は、第3傾斜面を含み、
前記押圧ロッドが初期位置に位置する場合、前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面に密着されることを特徴とする請求項7に記載の触発機構。
【請求項9】
前記第1嵌合部は、第2傾斜面をさらに含み、前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面に対向して設置され、前記第2嵌合部は、第4傾斜面をさらに含み、前記第4傾斜面は、前記第3傾斜面に対向して設置され、
前記押圧ロッドが前記初期位置に位置する場合、前記第4傾斜面は、前記第2傾斜面に密着されることを特徴とする請求項8に記載の触発機構。
【請求項10】
前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の境界は、前記ピンの第1端の方向に向かって突起しており、前記第3傾斜面と前記第4傾斜面の境界には、キャビティーが形成され、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の境界は、前記キャビティーに入ることを特徴とする請求項9に記載の触発機構。
【請求項11】
前記ピンの第2端と前記ピン溝との間には、ピン復帰部材が設置されることにより、前記ピンを前記ピン溝により限定される方向に沿って直線移動させることを特徴とする請求項7に記載の触発機構。
【請求項12】
前記ボタンアセンブリは、連結部及びガイドロッドをさらに含み、前記ガイドロッドは、前記連結部を介して前記押圧ロッドに連結され、前記触発ハンドルの内部には、前記ガイドロッドを収容するためのボタン用ガイド溝が設置され、前記ガイドロッドの第1端は、前記ボタン用ガイド溝に挿入されることを特徴とする請求項7に記載の触発機構。
【請求項13】
前記ボタン用ガイド溝の一方側には、係止部を収容するための係止部用シュートがさらに開設され、前記ガイドロッドの第1端には、前記係止部が設置されることを特徴とする請求項12に記載の触発機構。
【請求項14】
前記ボタンアセンブリは、連結部及びボタン軸をさらに含み、前記ボタン軸は、前記連結部を介して前記押圧ロッドに連結されることを特徴とする請求項7に記載の触発機構。
【請求項15】
前記触発ハンドルの内部には、前記ボタン軸を収容するためのボタン軸取付溝が設置され、前記ボタン軸取付溝には、ボタン復帰ばねが設置されることを特徴とする請求項14に記載の触発機構。
【請求項16】
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の触発機構を含むことを特徴とするステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具技術分野に関し、特に、触発機構及びステープラーに関する。
【背景技術】
【0002】
消化管病気は、発症率の高いヒト疾患の一つである。治療過程において、通常、医師の手動操作の代わりに円形ステープラーを使用して、消化管などの生理学的組織を吻合する。線形ステープラーは、よく見られる外科手術器具であり、線形に綴じるという方式を多く使用しており、手術する時に、食道、胃、腸管などの生理学的組織に対して吻合を行う。
【0003】
線形ステープラーは、一般的には、器具ステージと、このステージに着脱可能に取り付けられるヘッド部と、を含み、ヘッド部は、穿刺器具によって体上の小切開創を通ることで、手術部位に近づいて手術を実施する。具体的に、器具ステージは、触発ハンドルを含み、着脱可能なヘッド部は、マガジンのハウジングと、マガジンのハウジングの遠位端に取り付けられるステープリングヘッド部と、を含み、マガジンのハウジングの内部には、触発アセンブリが設置され、ステープリングヘッド部は、切断及び縫合動作を実施する部分である。触発ハンドルの駆動下で、触発アセンブリは、ステープリングヘッド部を駆動して縫合切断手術を完成することができる。
【0004】
従来の線形ステープラーにおいて、そそっかしい医師又は経験不足な医師は、手術の準備が完了していない場合に触発ハンドルを誤って把持することにより、ステープラーが誤触発されて、手術の効果に影響を与え、さらに患者に損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における問題に鑑みて、ピンが作動ロッドのストッパ溝に挿入される場合、操作者は、触発ハンドルを把持してステープラーを触発することができない触発機構及びステープラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、ステープラーに適用される触発機構を提供し、前記触発機構は、ストッパ溝が開設される作動ロッドと、触発ハンドルと、押圧ボタンと、を含み、前記触発ハンドルの内部には、ピンが設置され、前記ピンの第1端は、前記触発ハンドルの第1端から突出して前記ストッパ溝に挿入されることにより、前記触発ハンドルは、前記作動ロッドに対して回転することができない。前記押圧ボタンは、第1方向に沿って移動することにより、前記ピンの第1端を押圧して前記触発ハンドルの第2端の方向へ移動させる。
【0007】
選択的に、バランサをさらに含み、前記バランサは、回転部と、連結部と、を含み、前記バランサの連結部は、前記押圧ボタンに連結され、前記バランサの回転部が回転する場合、前記押圧ボタンを移動させる。
【0008】
選択的に、前記触発ハンドルの内部には、ピン溝が設置され、前記ピンは、前記ピン溝に設置され、且つ、前記ピンの第2端と前記ピン溝との間には、ピン復帰部材が設置されることにより、前記ピンは、前記ピン溝により限定される方向に沿って直線移動する。
選択的に、前記ピン復帰部材は、圧縮ばねである。
【0009】
選択的に、前記ピン及び前記押圧ボタンには、第1嵌合部及び第2嵌合部がそれぞれ設置され、前記押圧ボタンが第1方向に沿って移動する場合、前記第1嵌合部は、前記第2嵌合部を押圧することにより、前記ピンの第1端を前記触発ハンドルの方向へ移動させる。
【0010】
選択的に、前記第1嵌合部は、ボスであり、前記ボスは、ストッパ部及び段差部を含み、前記第2嵌合部は、凹台である。
【0011】
選択的に、前記押圧ボタンは、前記第2嵌合部に連結される押圧部を含み、前記押圧部は、前記ステープラーのハウジングに貫装される。
【0012】
選択的に、前記ステープラーのハウジングには、押圧ボタン位置制限部材が設置され、前記押圧ボタン位置制限部材は、前記押圧ボタンが第1方向に沿って移動する経路上に位置する。
【0013】
選択的に、前記ストッパ溝の近位端には、前記作動ロッドの内部に窪んだ円弧溝が設置される。
【0014】
選択的に、前記触発ハンドルには、駆動部材がさらに設置され、前記ストッパ溝の近位端及び遠位端には、ラックバー及び推進ラックがそれぞれ設置され、前記駆動部材は、前記推進ラックと接触するとともに、前記作動ロッドを押して前記ステープラーの遠位端へ移動させる。
【0015】
本発明の実施例は、ステープラーに適用される触発機構をさらに提供し、前記触発機構は、ストッパ溝が開設される作動ロッドと、触発ハンドルと、ボタンアセンブリと、を含み、前記触発ハンドルの内部には、ピンが設置され、前記ボタンアセンブリは、押圧ロッドを含み、前記押圧ロッドの第1端は、前記触発ハンドルの内部に挿入され、前記ピンの第1端は、前記触発ハンドルから突出して前記ストッパ溝に挿入されることにより、前記触発ハンドルは、前記作動ロッドに対して回転することができない。前記押圧ロッドは、さらに前記触発ハンドルの内部に挿入されることにより、前記押圧ロッドは、前記ピンの第1端を押圧して前記触発ハンドルの第2端の方向へ移動させる。
【0016】
選択的に、前記ピンには、第1嵌合部が設置され、前記第1嵌合部は、第1傾斜面を含み、前記押圧ロッドの第1端には、第2嵌合部が設置され、前記第2嵌合部は、第3傾斜面を含む。前記押圧ロッドが前記初期位置に位置する場合、前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面に密着される。
【0017】
選択的に、前記第1嵌合部は、第2傾斜面をさらに含み、前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面に対向して設置され、前記第2嵌合部は、第4傾斜面をさらに含み、前記第4傾斜面は、前記第3傾斜面に対向して設置され、前記押圧ロッドが初期位置に位置する場合、前記第4傾斜面は、前記第2傾斜面に密着される。
【0018】
選択的に、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の境界は、前記ピンの第1端の方向に向かって突起しており、前記第3傾斜面と前記第4傾斜面の境界には、キャビティーが形成され、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の境界は、前記キャビティーに入る。
【0019】
選択的に、前記触発ハンドルの内部には、前記ピンを収容するためのピン溝及び前記押圧ロッドを収容するための押圧ロッド用ガイド溝が設置され、前記ピン溝は、第3方向に延びており、前記押圧ロッド用ガイド溝は、第2方向に延びている。
【0020】
選択的に、前記ボタンアセンブリは、連結部及びガイドロッドをさらに含み、前記ガイドロッドは、前記連結部を介して前記押圧ロッドに連結され、前記触発ハンドルの内部には、前記ガイドロッドを収容するためのボタン用ガイド溝が設置され、前記ガイドロッドの第1端は、前記ボタン用ガイド溝に挿入される。
【0021】
選択的に、前記ボタン用ガイド溝の一方側には、前記係止部を収容するための係止部用シュートがさらに開設され、前記ガイドロッドの第1端には、係止部が設置される。
【0022】
選択的に、前記ボタンアセンブリは、連結部及びボタン軸をさらに含み、前記ボタン軸は、前記連結部を介して前記押圧ロッドに連結される。
【0023】
選択的に、前記触発ハンドルの内部には、ボタン軸を収容するためのボタン軸取付溝が設置され、前記ボタン軸取付溝には、ボタン復帰ばねが設置される。
【0024】
選択的に、前記触発ハンドルの内部には、ピン溝が設置され、前記ピンは、前記ピン溝に設置され、且つ、前記ピンの第2端と前記ピン溝との間には、ピン復帰部材が設置されることにより、前記ピンを前記ピン溝により限定される方向に沿って直線移動させる。
【0025】
本発明の実施例は、前記触発機構を含むステープラーをさらに提供する。
【0026】
本発明により提供される触発機構及びステープラーは、以下の利点を有する。
【0027】
本発明は、ステープラーに適用される触発機構を提供し、ピンと作動ロッドとの嵌合によりステープラーの触発安全を実現し、ステープラーが閉鎖した後、医師は、組織を平坦化したりするなど、ステープリングヘッド部での組織の積み重ね状態を調整して触発可能な状態にさせる必要がある。組織が触発可能な状態に到達していない場合、ピンは、作動ロッドにおけるストッパ溝に挿入されて触発ハンドルの回転動作を制限し、触発ハンドルの駆動部材は、作動ロッドを駆動することができないので、作動ロッドを押して遠位端へ移動させることができなく、操作者は、触発ハンドルを把持してステープラーを触発することができなく、これにより、手術の準備が完了する前にステープラーが触発されることを回避する。押圧ボタンが第1方向に沿って移動する場合、触発ハンドルの回転動作を制限しないように、ピンを押圧してストッパ溝から離脱させることができ、駆動部材が作動ロッドを駆動してステープラーを触発できるまで、ハンドルを回転させることができる。
【0028】
また、本発明の一実施例において、ボタンアセンブリを押圧することによりピンの位置を切り替えることを実現し、ボタンアセンブリを触発ハンドルに設けるので、別途に設ける必要がなくなり、医師は、片手で操作することができ、ボタンアセンブリの操作が簡単になり、医師の使用への便宜を図る。
【0029】
本発明は、線形ステープラーだけでなく、他の種類のステープラーにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下、本発明の実施例に係る技術案をさらに明瞭に説明するために、実施例の記載に使用する必要がある図面に対して簡単に紹介する。なお、以下の記載における図面はただ本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者の場合、創造的な労働を付与しない前提で、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
図1】本発明の一実施例に係る触発機構とステープラー本体との嵌合構造を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例に係る触発機構が初期状態になる時の構造を示す模式図である。
図3】本発明の一実施例に係るピンと押圧ボタン及びラックバーとの嵌合を示す模式図である。
図4】本発明の一実施例に係るピンと押圧ボタン及びラックバーとの嵌合を示す模式図である。
図5】本発明の一実施例に係るピンと押圧ボタンとの嵌合を示す模式図である。
図6】本発明の一実施例に係るピンと押圧ボタンとの嵌合を示す模式図である。
図7】本発明の一実施例に係るラックバーの構造を示す模式図である。
図8】本発明の一実施例に係るラックバーの構造を示す模式図である。
図9】本発明の一実施例に係る触発ハンドルが押圧される時の触発機構の構造を示す模式図である。
図10】本発明の一実施例に係る触発ハンドルが押圧される時の触発機構の構造を示す模式図である。
図11】本発明の一実施例に係る触発機構が安全位置に位置する時の構造を示す模式図である。
図12】本発明の一実施例に係る触発機構が触発可能な位置に位置する時の構造を示す模式図である。
図13】本発明の他の実施例に係る触発機構の構造を示す模式図である。
図14】本発明の一実施例に係る触発ハンドル及びボタンアセンブリの分解図である。
図15】本発明の一実施例に係る触発ハンドルとボタンアセンブリとの組み合わせの構造を示す模式図である。
図16】本発明の一実施例に係る触発ハンドルとボタンアセンブリとの組み合わせの側面図である。
図17図16におけるA’-A’方向に沿う断面図である。
図18】本発明の一実施例に係る作動ロッドの斜視図である。
図19】本発明の一実施例に係る作動ロッドの構造を示す模式図である。
図20】本発明の一実施例に係る触発ハンドルの構造を示す模式図である。
図21】本発明の一実施例に係る触発ハンドルの構造を示す模式図である。
図22】本発明の一実施例に係る触発ハンドルの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参考しながら、本発明の実施例に係る技術案をより明確且つ完全に説明し、なお、説明される実施例は、単に本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。
以下、図面を参照しながら、実施例を併せて本発明を詳細に説明する。
【0032】
本発明は、従来技術における技術課題を解決するために、ステープラーに適用される触発機構を提供し、前記触発機構は、ストッパ溝が開設される作動ロッドと、触発ハンドルと、押圧ボタンと、を含み、前記触発ハンドルは、第1位置を有し、前記触発ハンドルの内部には、ピンが設置され、前記ピンは、第1状態及び第2状態を有し、前記ピンが前記第1状態になり且つ前記触発ハンドルが前記第1位置に位置する場合、前記ピンの第1端は、前記触発ハンドルの第1端から突出して前記ストッパ溝に挿入され、前記触発ハンドルは、前記作動ロッドに対して回転及び復帰することができない。前記押圧ボタンが第1方向に沿って移動する場合、前記ピンの第1端を押圧して前記触発ハンドルの第2端の方向へ移動させることにより、前記ピンは、前記第1状態から前記第2状態になる。本発明の実施例は、前記触発機構を含むステープラーをさらに提供する。前記ステープラーは、線形ステープラーに限定されないが、他の種類のステープラーであってもよい。
【0033】
このため、本発明の触発機構において、ピンと作動ロッドとの嵌合によりステープラーの触発安全を実現し、ステープラーが触発可能な状態に到達していない場合、ピンは、第1状態になり、ピンは、作動ロッドにおけるストッパ溝に挿入されて、触発ハンドルの回転復帰を制限し、触発ハンドルの駆動部材は、作動ロッドと相互作用できないので、触発ハンドルを押圧しても、作動ロッドを押して遠位端へ移動させることができなく、操作者は、触発ハンドルを把持してステープラーを触発することができなく、これにより、ステープラーの誤触発を回避する。このため、ピンが第1状態になる場合、ステープラーは、安全状態になり、ステープラーを正常に触発することができない。押圧ボタンが第1方向に沿って移動する場合、触発ハンドルの回転動作を制限しないように、ピンを押圧してストッパ溝から離脱させることができる。
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施例の触発機構の構造をそれぞれ説明する。
図1~12に示すように、本発明の第1実施例に係る触発機構及びその中のアセンブリの構造を示す。この実施例において、前記触発機構は、作動ロッド5と、触発ハンドル3と、押圧ボタン8と、を含む。前記作動ロッド5には、ストッパ溝53が開設される。前記触発ハンドル3は、第1位置及び第2位置を有し、前記触発ハンドル3の内部には、ピン6が設置され、前記ピン6は、第1状態及び第2状態を有し、前記ピン6が前記第1状態になり且つ前記触発ハンドル3が前記第1位置に位置する場合、前記ピン6の第1端61は、前記触発ハンドル3の第1端31から突出して前記ストッパ溝53に挿入され、前記触発ハンドル3は、前記作動ロッド5に対して回転することができない。前記押圧ボタン8が第1方向に沿って移動する場合、前記ピン6の第1端61を押圧して前記触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動させることにより、前記ピン6は、前記第1状態から前記第2状態になる。この実施例における第1方向は、図4に示されるBの方向である。この実施例において、ピン6が第2状態になる場合、ピン6は、触発ハンドル3の第2端の方向へ後退してストッパ溝53から離脱する。
【0035】
図1に示すように、本発明の一実施例に係る触発機構とステープラー本体との嵌合の模式図である。ステープラー本体1の内部には、前記作動ロッド5が設置され、作動ロッド5の遠位端は、カッタープッシュアセンブリに連結される。作動ロッド5は、第3位置及び第4位置を有し、第3位置は、第4位置の近位端に位置し、作動ロッド5が第4位置からステープラーの遠位端へ移動し続ける場合、カッタープッシュアセンブリを押してステープラーの触発を実現することができる。ステープラー本体1には、固定ハンドル2が設置され、前記触発ハンドル3の第1端31は、ステープラー本体1に回転可能に連結され、且つ、触発ハンドル3とステープラー本体1との間には、触発ハンドル復帰構造が設置され、この触発ハンドル復帰構造は、引張ばねや、ねじりばねや、圧縮ばねなどの構造であってもよい。触発ハンドル3は、操作者によって把持される場合に、ステープラー本体1に対して図面におけるA方向に沿って回転することができる。図1に示される触発ハンドル3の位置は、第2位置であり、この時、触発機構は、初期状態になり、操作者が触発ハンドル3を把持して触発ハンドル3の第2端32を固定ハンドル2に近接させる場合、触発ハンドル3は、第1位置に入り、操作者が触発ハンドル3を離す場合、触発ハンドル3は、触発ハンドル復帰構造の作用によってA方向と逆の方向に沿って回転することができ、触発ハンドル3の第2端32は、固定ハンドル2から離れ、触発ハンドル3は、第2位置に戻る。
【0036】
本発明において、遠位端及び近位端は、操作者に対して示すものであり、ここで、遠位端とは、操作者から離れた一端を指し、近位端とは、操作者に近い一端を指す。例えば、図1の視野角から見ると、ステープラー本体1の遠位端とは、図における左側の一端を指し、近位端とは、図における右側の一端を指す。
【0037】
図2に示すように、本発明の一実施例に係る触発機構が初期状態になる時の構造を示す模式図である。この時、触発ハンドル32は、第2位置に位置し、ピン6は、第1状態になる。この実施例において、前記触発ハンドル3の内部には、ピン溝33が設置され、前記ピン6は、前記ピン溝33に設置され、前記ピン6は、ピン溝33により限定される方向のみに沿って移動することができ、且つ、前記ピン6の第2端62と前記ピン溝33との間には、ピン復帰部材7が設置される。この実施例において、前記ピン復帰部材7は、圧縮ばねであり、前記ピン6が押圧ボタン8からの触発ハンドル3の第2端32の方向を向く圧力を受ける場合、ピン6は、第1状態から前記第2状態になるとともに、前記ピン6の第2端62は、前記圧縮ばねを圧縮して変形させ、即ち、前記ピン6の第1状態は、突出状態であり、前記ピン6の第2状態は、後退状態である。押圧ボタン8が第1方向と逆の方向に沿って移動する場合、押圧ボタン8は、ピン6を押圧しなくなり、ピン6は、圧縮ばねの変形復元力の作用によって再び第1状態に戻る。
【0038】
図3図6に示すように、この実施例において、触発機構は、バランサ9をさらに含み、前記バランサ9は、回転部91及び連結部92を含み、前記バランサ9の連結部92は、前記押圧ボタン8に固定して連結され、前記回転部91は、前記固定ハンドル2に回転可能に設置され、前記回転部91が第1方向に沿って回転する場合、前記押圧ボタン8を第1方向に沿って移動させる。前記バランサ9は、ステープラー本体1のハウジングに回転可能に固定されてもよく、例えば、ステープラー本体1のハウジングの内側には、対応する回転軸が設置され、バランサ9は、回転軸の外部に外嵌されるが、本発明は、これに限定されない。バランサ9は、他の固定方式を使用してもよい。
【0039】
このため、この実施例は、バランサ9、押圧ボタン8及びピン6の嵌合によって、押圧ボタン8を移動させることによりピン6の状態を変更することができる。押圧ボタン8の移動は、常にバランサ9を中心とし、且つ、押圧ボタン8は、ステープラー本体1に対してバランサ9の軸方向に変位しないことにより、触発機構全体の構造の安定性を向上させるとともに、操作者の使用への便宜を図る。
【0040】
図3図6に示すように、この実施例において、前記ピン6及び前記押圧ボタン8には、互いに嵌合する第1嵌合部63及び第2嵌合部81がそれぞれ設置され、前記押圧ボタン8が第1方向に沿って移動する場合、前記第1嵌合部63は、前記第2嵌合部81を押圧することにより、前記ピン6の第1端61を前記触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動させる。
【0041】
この実施例において、前記第1嵌合部63は、ボスであり、前記ボスは、ストッパ部631及び段差部632を含み、前記第2嵌合部81は、前記ストッパ部631と嵌合する凹台である。図4の視野角から見ると、ストッパ部631は、段差部632の上方に位置し、第2嵌合部81と直接に嵌合する。他の代替的な実施形態において、前記第1嵌合部63と第2嵌合部81の両方をボスとして設置したり、前記第1嵌合部63をその他の形状のボスとして設置し、前記第2嵌合部81を凹台として設置したり、前記第1嵌合部63を凹台として設置し、前記第2嵌合部81をボスとして設置したりすることもできる。バランサ9が第1方向に沿って回転する場合、押圧ボタン8を第1方向に沿って移動させ、押圧ボタン8の凹台でピン6のボスを押圧して、斜め下方向に向かって圧縮ばね7を圧縮することにより、ピン6の第1端61は、触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動し、ピン6は、第1状態から第2状態になることができる。
【0042】
前記押圧ボタン8は、前記第2嵌合部81に連結される押圧部82を含み、前記押圧部82は、前記ステープラーのハウジングに貫装され、且つ、前記ハウジングから突出する。この実施例において、前記押圧部82は、2つであり、それぞれ前記ステープラー本体1の両側のハウジングに貫装される。さらに、前記ステープラーのハウジングには、押圧ボタン位置制限部材11がさらに設置され、前記押圧ボタン位置制限部材11は、前記押圧ボタン8が第1方向に沿って移動する経路上に位置し、押圧ボタン8が第1方向に移動する位置を制限するためものである。押圧部82に1つの指位置821をそれぞれ設けることもでき、これにより、操作者がハウジングの左右両側から操作できることが便利になる。
【0043】
図7及び図9に示すように、前記ストッパ溝53の近位端には、前記作動ロッド5の内部に窪んだ円弧溝52が設置されてもよく、前記ピン6が前記第1状態になり且つ前記触発ハンドル3が前記第2位置から前記第1位置まで回転する場合、前記円弧溝52は、前記ピン6の第1端61と嵌合するとともに、前記ピン6の第1端61が前記ストッパ溝53に入るようにガイドする。
【0044】
この実施例において、前記触発ハンドル3には、駆動部材4がさらに設置され、作動ロッド5の下方には、ラックバー51及び推進ラック54がさらに設置され、前記ラックバー51は、前記推進ラック54の近位端に位置し、且つ、前記ラックバー51と推進ラック54との間には、平滑部58がさらに設置され、ラックバー51及び推進ラック54は、それぞれ触発ハンドル3の駆動部材4に嵌合されてもよい。初期状態で、前記作動ロッド5は、前記第3位置に位置し、前記触発ハンドル3が前記第2位置から前記第1位置へ回転する場合、前記駆動部材4は、前記推進ラック54と接触するとともに、前記ステープラーの遠位端へ移動して前記第4位置に入るように前記作動ロッド5を駆動する。前記作動ロッド5が前記第4位置に位置し且つ前記触発ハンドル3が前記第2位置から前記第1位置へ回転する場合、前記駆動部材4は、前記ラックバー51の領域に入るとともに、さらに前記作動ロッド5を押して前記ステープラーの遠位端へ移動させることにより、カッタープッシュアセンブリを押してステープラーを触発することができる。
【0045】
以下、図9図12を参照しながら、この実施例の触発機構の様々な状態での構造を具体的に説明する。
【0046】
初期位置に位置する場合、図2に示すように、ピン6の第1端61は、触発ハンドル3から突出し、且つ、ラックバー51の領域に位置し、前記駆動部材4は、平滑部58に位置する。
【0047】
ステープラーが閉鎖する場合、図9及び図10に示すように、触発ハンドル3が把持されると、触発ハンドル3は、第2位置から第1位置への回転の過程における2つの位置に位置する。この過程において、作動ロッド5は、第3位置から第4位置に入り、図9に示すように、触発ハンドル3が少し把持される状態であり、この時、ピン6は、第1状態になるが、既に円弧溝52により少し圧縮されており、ピン6の第1端61は、依然として触発ハンドル3から突出する。図10に示すように、触発ハンドル3が最大に把持される状態であり、この時、ピン6は、依然として第1状態になり、且つ、既に円弧溝52の最遠端に到達した。即ち、触発ハンドル3が第2位置から第1位置へ回転する場合、ピン6の第1端61は、円弧溝52によりガイドされてストッパ溝53の位置に徐々に近接する。この時、触発ハンドル3を把持し続けると、図11に示すように、触発ハンドル3は、駆動部材4が推進ラック54と接触するまで、第1位置へ回転し、触発ハンドル3を押圧し続けると、触発ハンドル3は、駆動部材4により推進ラック54を有する作動ロッド5を押してステープラーの遠位端へ移動させることができ、これにより、作動ロッド5が押されて図におけるC方向に沿って移動して第4位置に入る。ピン6は、ストッパ溝53に入る。
【0048】
この時、作動ロッド5が第4位置まで押されるので、触発ハンドル3が第2位置に戻る場合、駆動部材4の位置は、ラックバー51の位置に対向し、操作者が触発ハンドル3を押圧し続けて第2位置から第1位置へ回転させる場合、駆動部材4は、さらにラックバー51を押してステープラーの遠位端へ移動させ、即ち、ステープラーを触発することができる。しかしながら、手術の準備が完了する前に、操作者が触発ハンドル3を誤って押圧する場合、ステープラーの誤触発を招く。このため、図11の状態で、ピン6の第1端61は、ストッパ溝53に挿入されており、ストッパ溝53は、ピン6の回転移動を制限し、即ち、触発ハンドル3の回転及び復帰移動を制限し、触発ハンドル3は、図11における第1位置から第2位置に戻ることができなく、操作者は、再び触発ハンドル3を押圧することができなく、手術の準備が完了する前の誤触発を回避する。
【0049】
図11の状態で、押圧ボタン8を押し下げる場合、押圧ボタン8は、バランサ9の回転部91を中心として第1方向に沿って回転移動し、ピン6の第1端61を触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動させ、ピン6の第1端は、作動ロッド5のストッパ溝53から離脱し、ストッパ溝53は、触発ハンドル3の回転を制限しなくなる。この時、操作者が触発ハンドル3を離す場合、触発ハンドル3は、触発ハンドル復帰構造の復帰作用によって第2位置に戻ることができ、図12の状態になる。触発ハンドル3が復帰した後、押圧ボタン8を離すことができ、ピン6は、再び第1状態になる。
【0050】
図12に示すように、この実施例に係る触発機構が触発可能な位置に位置する時の構造を示す模式図である。この時、作動ロッド5は、第4位置に位置し、触発ハンドル3の駆動部材4は、ラックバー51と嵌合する。触発ハンドル3を把持して触発ハンドル3をA方向に沿って第2位置から第1位置に回転させる場合、駆動部材4は、ラックバー51により作動ロッド5を押してステープラーの遠位端へ移動させ、ステープラーの触発を実現する。ピン6の第1端61が触発ハンドル3の回転に過大な抵抗を与えないように、ラックバー51とピン6の第1端61との嵌合部分にラックバー溝511をさらに開設することができ、これにより、ピン6の第1端61は、ラックバー溝511に沿ってラックバーの遠位端へ移動する。
【0051】
本発明の他の実施例は、ステープラーに適用される触発機構を提供し、前記触発機構は、作動ロッドと、触発ハンドルと、ボタンアセンブリと、を含み、触発ハンドルに安全ピンが設置されることにより、触発ハンドルが把持された場合、ピンが作動ロッドのストッパ溝に挿入され、触発ハンドルが回転できなくなり、この時、ステープラーが安全状態になり、手術の準備が完了していない場合にステープラーが誤触発されることを回避する。ボタンアセンブリは、触発ハンドルの固定ハンドルから離れた一方側に設置され、且つ、ボタンアセンブリとピンとの嵌合によって、ピンの状態を切り替えることができる。医師が手術の準備を完了させた場合、触発ハンドルの方向へボタンアセンブリを押すことができ、ボタンアセンブリがピンを押圧してさらに触発ハンドルの内部に挿入させることにより、ストッパ溝から離脱させ、触発ハンドルを正常に回転させて使用することができ、この時、ステープラーは、触発可能な状態になり、ステープラーを正常に触発することができる。
【0052】
本発明の別の実施例は、上記の触発機構を含むステープラーを提供し、触発ハンドルの安全ピンと作動ロッドのストッパ溝との嵌合によって、手術の準備が完了していない場合にステープラーが誤触発されることを回避するとともに、触発ハンドルに設置されるボタンアセンブリによりピン状態を切り替えることを実現し、ボタンアセンブリを押し下げる場合、ステープラーを正常に触発することを実現することができる。本発明は、線形ステープラーだけでなく、例えば円弧型ステープラーなどの他の種類のステープラーにも適用可能である。
【0053】
以下、図13~22を参照しながら、本発明の別の実施例に係る触発機構の構造をさらに説明する。ここで、図13は、この実施例の触発機構とステープラーとの嵌合構造を示す。本実施例において、この時、触発ハンドルは、把持されておらず、且つ、ボタンアセンブリは、初期位置に位置する。作動ロッド5は、ステープラー本体1に設置され、ステープラー本体1の一方側には、固定ハンドル2及び触発ハンドル3が設置される。図13~19に示すように、作動ロッド5には、ストッパ溝53が設置され、触発ハンドル3の内部には、ピン6が設置される。ピン6がストッパ溝53に挿入されていない場合、触発ハンドル3は、固定ハンドル2に対して回転して固定ハンドル2に対して近接又は離間させることができ、初期状態になる時、触発ハンドル3は、固定ハンドル2から離れ、触発ハンドル3が把持された場合、固定ハンドル2に近接する。前記ピン6は、第1状態及び第2状態を有する。前記ピン6が第1状態になる場合、前記ピン6の第1端は、前記ストッパ溝53に挿入され、触発ハンドル3は、作動ロッド5に対して回転することができないので、触発ハンドル3及び作動ロッド5の相対的な位置に対する制限を実現し、この時、ステープラーは、安全状態になる。前記ピン6が第2状態になる場合、前記ピン6の第1端は、前記ストッパ溝53から離脱して前記触発ハンドル3の回転動作を阻止しなく、この時、ステープラーは、触発可能な状態になる。前記触発ハンドル3の一方側には、ピン6の状態を切り替えるためのボタンアセンブリ10が設置され、ボタンアセンブリ10は、好ましくは、触発ハンドル3の固定ハンドル2から離れた一方側に設置され、医師の操作への便宜を図る。前記ボタンアセンブリ10は、押圧ロッド71を含み、前記押圧ロッド71の第1端は、前記触発ハンドル3の内部に挿入され、前記ボタンアセンブリ10が初期位置に位置し且つ前記触発ハンドル3が把持された場合、前記ピン6の第1端は、前記ストッパ溝53に挿入され、この時、触発ハンドル3を離すと、触発ハンドル3は、ピン6の作用によって初期位置に戻ることができない。触発ハンドル3の方向へボタンアセンブリ10を押圧する場合、ボタンアセンブリ10全体は、初期位置から前記触発ハンドル3へ移動することにより、前記押圧ロッド71は、さらに前記触発ハンドル3の内部に入り、前記押圧ロッド71は、前記ピン6を押圧してピン6の第1端61を前記触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動させ、これにより、前記ピン6は、前記第1状態から前記第2状態になり、即ち、前記ピン6の第1端は、前記ストッパ溝53から離脱するとともに、触発ハンドル3は、復帰構造の作用によって初期位置に戻る。
【0054】
図14~17に示すように、前記触発ハンドル3の内部には、前記ピン6を収容するためのピン溝33及び前記押圧ロッド71を収容するための押圧ロッド用ガイド溝34が設置され、前記ピン溝33は、第3方向に延びており、前記押圧ロッド用ガイド溝34は、第2方向83に延びており、且つ、前記ピン溝33が前記押圧ロッド用ガイド溝34と交差するように設置される。図17に示すように、前記第3方向は、前記触発ハンドル3の長手方向に略沿う方向である。前記第2方向は、第3方向85に対して垂直又は略垂直な方向である。ピン溝33と押圧ロッド用ガイド溝34との交差位置は、ピン6の第1嵌合部63と押圧ロッド71の第2嵌合部72との嵌合位置であり、押圧ロッド71とピン6は、2つの溝の交差位置で互いに交錯していることにより、押圧ロッド71が圧力をピン6へ伝達することを実現することができる。ピン6は、ピン溝33の方向のみに沿って直線移動することができ、第1状態と第2状態との間で切り替える。押圧ロッド71は、押圧ロッド用ガイド溝34の延出方向のみに沿って移動することができる。
【0055】
この実施例において、前記ピン6には、第1嵌合部63が設置され、前記第1嵌合部63は、第1傾斜面531を含み、前記押圧ロッド71の第1端には、第2嵌合部72が設置され、前記第2嵌合部72は、第3傾斜面721を含む。前記押圧ロッド71が初期位置に位置する場合、前記第3傾斜面721は、前記第1傾斜面531に密着され、前記押圧ロッド71が初期位置からさらに前記触発ハンドル3の内部に入る場合、前記第1傾斜面531は、前記第3傾斜面721に沿ってスライドすることにより、前記ピン6の第1端61を前記触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動させる。図5の視野角から見ると、第1傾斜面531は、右側辺から左側辺に向かって上向きに傾斜しており、第3傾斜面721は、その傾斜方向が第1傾斜面531と一致し、右側辺から左側辺に向かって上向きに傾斜している。押圧ロッド71が右から左に向かってさらに触発ハンドル3の内部に入る場合、第3傾斜面721の作用によって、第1傾斜面531に下向きの圧力を与え、第1嵌合部63は、ピン6全体を触発ハンドル3の第2端32へ移動させる。
【0056】
さらに、前記第1嵌合部63は、第2傾斜面532をさらに含むことができ、前記第2傾斜面532は、前記第1傾斜面531に対向して設置され、前記第2嵌合部72は、第4傾斜面722をさらに含むことができ、前記第4傾斜面722は、前記第3傾斜面731に対向して設置される。前記押圧ロッド71が前記初期位置に位置する場合、前記第4傾斜面722は、前記第2傾斜面532に密着される。図5の視野角から見ると、第2傾斜面532は、左側辺から左側辺に向かって上向きに傾斜しており、第4傾斜面722は、その傾斜方向が第2傾斜面532と一致し、左側辺から右側辺に向かって上向きに傾斜している。
【0057】
図17に示すように、前記第1傾斜面531と前記第2傾斜面532の境界81は、前記ピン6の第1端61の方向に突起し、前記第3傾斜面721と前記第4傾斜面722の境界81には、キャビティー723が形成され、前記押圧ロッド71が初期位置に位置する場合、前記第1傾斜面531と前記第2傾斜面532の境界は、前記キャビティー723に入ることにより、ボタンアセンブリ10が押圧されていない場合に第1嵌合部63と第2嵌合部72が相対的に移動することを回避し、これにより、ボタンアセンブリ10が押圧されていない場合における押圧ロッド71の前記初期位置での安定性を確保する。
図14~17に示すように、押圧の過程におけるボタンアセンブリ10のガイド作用をより良好に実現するとともに押圧ロッド71が初期位置に位置する場合にボタンアセンブリ10が触発ハンドル3から離脱することを回避するために、前記ボタンアセンブリ10は、連結部76及びガイドロッド73をさらに含むことができる。前記ガイドロッド73は、前記連結部76を介して前記押圧ロッド71に連結され、前記触発ハンドル3の内部には、前記ガイドロッド73を収容するためのボタン用ガイド溝35が設置され、前記ガイドロッド73の第1端は、前記ボタン用ガイド溝35に挿入される。この実施例において、前記ガイドロッド73は、2つであり、前記ボタン用ガイド溝35も2つであり、且つ、前記ガイドロッド73は、弾性ガイドロッドである。前記ガイドロッド73が初期状態になる場合、2つのガイドロッド73が開いた後の距離は、2つのボタン用ガイド溝35の間の距離よりも大きい。取付時、2つのガイドロッド73を中間に向かって圧縮することにより、2つのガイドロッド73は、中間に向かって一定の弾性変形が生じて、2つのボタン用ガイド溝35に挿入され、挿入後、ガイドロッド73の弾性復元力の作用によって、ガイドロッド73をボタン用ガイド溝35に保持することができる。ガイドロッド73の安定性をさらに向上させるとともにガイドロッド73が不用意にボタン用ガイド溝35から離脱するために、前記ガイドロッド73の第1端には、係止部731がさらに設置され、且つ、前記ボタン用ガイド溝35の側面には、係止部用シュート341が設置され、ガイドロッド73がボタン用ガイド溝35に挿入される場合、係止部731は、係止部用シュート341に嵌め込まれ、これにより、係止部731の移動を限定する。このため、ガイドロッド73は、ボタン用ガイド溝35の延出方向のみに沿って直線移動することができ、且つ、係止部731のボタン用ガイド溝35に対する係止作用によって、押圧ロッド71が初期位置に位置する場合にも、ボタンアセンブリ10は、触発ハンドル3から離脱することができない。
【0058】
ボタンアセンブリ10が押圧された後の自動復帰を実現するために、前記ボタンアセンブリ10は、連結部76及びボタン軸74をさらに含むことができ、前記ボタン軸74は、前記連結部76を介して前記押圧ロッド71に連結され、前記触発ハンドル3の内部には、前記ボタン軸74を収容するためのボタン軸用ガイド溝36が設置され、前記ボタン軸用ガイド溝36には、ボタン復帰ばね75が設置され、前記押圧ロッド71がさらに前記触発ハンドル3の内部に入るように前記ボタンアセンブリ10が初期位置から前記触発ハンドル3へ移動する場合、前記ボタン復帰ばね75は、変形する。ボタンアセンブリ10への外力が排除された後、ボタン復帰ばね75の変形復帰作用によってボタンアセンブリ10を押して触発ハンドル3から離れた方向へ移動させることにより、ボタンアセンブリ10は、初期位置に戻る。ボタン軸用ガイド溝36には、軸スリーブ37がさらに設置されてもよく、前記ボタン軸74は、前記軸スリーブ37に貫装され、これにより、前記ボタンアセンブリ10が前記ボタン軸用ガイド溝36で移動する過程において、前記ボタンアセンブリ10がより順調に移動するようにする。
【0059】
さらに、ピン6の自動復帰を実現するために、前記ピン6の第2端62と前記ピン溝33との間には、ピン復帰部材が設置されてもよい。このピン復帰部材は、ピン復帰ばね7であってもよい。
【0060】
図18及び図19に示すように、前記ストッパ溝53の近位端には、前記作動ロッド5の内部に窪んだ円弧溝52が設置され、前記触発ハンドル3が把持される過程において、前記触発ハンドル3が初期位置から固定ハンドル2に近い位置へ回転する場合、前記円弧溝52は、前記ピン6の第1端61と嵌合するとともに、前記ピン6の第1端61が前記ストッパ溝53に入るようにガイドし、ピン6の第1端61が作動ロッド5と接触する時の干渉を回避し、ピン6の第1端61が作動ロッド5に沿って移動する平滑性を向上させる。
【0061】
本発明において、遠位端及び近位端は、操作者に対して示すものであり、ここで、遠位端とは、操作者から離れた一端を指し、近位端とは、操作者に近い一端を指す。例えば、図13の視野角から見ると、ステープラー本体1の遠位端とは、図における左側の一端を指し、近位端とは、図における右側の一端を指す。図19の視野角から見ると、作動ロッド5の遠位端とは、図における左側の一端を指し、近位端とは、図における右側の一端を指す。
【0062】
さらに、作動ロッド5は、ストッパ溝53の遠位端に推進ラック54が設置されてもよく、推進ラック54は、触発ハンドル3に設置される係止爪と嵌合することができ、具体的な嵌合方式については後述する。作動ロッド5は、ストッパ溝53の近位端の位置からラックバー51がさらに設置され、ラックバー51は、触発ハンドル3に設置される係止爪と嵌合することができ、具体的な嵌合方式については後述する。ラックバー51の中間部には、ラックバー溝511が設置されてもよく、ラックバー溝511によりピン6の第1端61に対する退避を実現し、退避方式については後述する。
【0063】
以下、図13図20及び図21を参照しながら、ピン6が第1状態になる時の触発機構の状態をさらに説明する。図13は、ステープラーが初期状態になる時の構造を示す。ピン6及び触発ハンドル3は、両方とも初期状態になり、この時、触発ハンドル3の第2端32は、固定ハンドル2から離れる。図13の状態で、この時、作動ロッド5は、作動ロッドの初期位置に位置する。この時、触発ハンドル3を把持することにより触発ハンドル3を固定ハンドル2の方向へ回転させて固定ハンドル2に近接させる場合、図20に示される状態になる。本実施例において、この時、触発ハンドルが把持されており、且つ、ボタンアセンブリが初期位置に位置する。この時、触発ハンドル3の係止爪は、作動ロッド5の推進ラック54と接触して推進ラック54をステープラーの遠位端へ押し、推進ラック54は、作動ロッド5を押してステープラーの遠位端へ移動させ、即ち、作動ロッド5は、図20におけるB方向に沿って移動し、この時、作動ロッド5は、作動ロッド5の初期位置からステープラーの遠位端へ一定の距離だけ移動する。この時、ピン復帰ばね7の作用によって、ピン6の第1端61は、円弧溝52によりガイドされて作動ロッド5のストッパ溝53に挿入され、第1状態になる。この時、触発ハンドル3を離しても、触発ハンドル3は、ピン6及びストッパ溝53の位置制限作用によって、再び回転して初期位置に戻ることができない。この時、ステープラーを触発することができなく、安全状態になる。
【0064】
医師が手術の準備を完了させた後、図21に示すように、本実施例において、この時、触発ハンドルが把持されており、且つ、ボタンアセンブリが押圧されている。図21におけるC方向に沿ってボタンアセンブリ10を押し下げる場合、押圧ロッド71は、さらに触発ハンドル3に入る。圧力の作用によって、ピン6は、第1状態から第2状態になるように触発ハンドル3の第2端32の方向へ移動し、ピン6の第1端61は、ストッパ溝53から離脱し、図21に示される状態になる。この時、触発ハンドル3は、触発ハンドル3の復帰構造(例えば、復帰ばね)の作用によって、再び回転して図22に示される初期位置に戻ることができ、この時、触発の過程において、触発ハンドルは、初期状態に戻り、且つ、ボタンアセンブリは、初期位置に位置する。触発ハンドル3が初期位置に戻った後、係止爪の位置は、作動ロッド5のラックバー51の位置に対応する。この時、ボタンアセンブリ10を離すと、ボタンアセンブリ10は、ボタン復帰ばね75の作用によって初期位置に戻り、ピン復帰ばね7の作用によって、ピン6の第1端61は、触発ハンドル3の第2端32から離れた方向へ移動して再び前記触発ハンドル3の第1端31から延出する。医師が再び触発ハンドル3を把持して触発ハンドル3を前記固定ハンドル2に近接させる方向へ回転させる場合、ピン6の第1端61は、ラックバー溝511と接触し、ラックバー溝511は、ピン6の第1端61の移動に対する退避を実現する。再び触発ハンドル3を把持することにより、触発ハンドル3の係止爪は、ラックバー51と接触するとともに、ラックバー51を押して作動ロッド5をステープラーの遠位端の方向へ移動させ、これにより、ステープラーを触発する。
【0065】
本発明により提供される触発機構及びステープラーは、以下の利点を有する。
【0066】
本発明は、ステープラーに適用される触発機構を提供し、ピンと作動ロッドとの嵌合によりステープラーの触発安全を実現し、ステープラーが閉鎖した後、医師は、組織を平坦化したりするなど、ステープリングヘッド部での組織の積み重ね状態を調整して触発可能な状態にさせる必要がある。組織が触発可能な状態に到達していない場合、ピンは、作動ロッドにおけるストッパ溝に挿入されて触発ハンドルの回転動作を制限し、触発ハンドルの駆動部材は、作動ロッドを駆動することができないので、作動ロッドを押して遠位端へ移動させることができなく、操作者は、触発ハンドルを把持してステープラーを触発することができなく、これにより、手術の準備が完了する前にステープラーが触発されることを回避する。押圧ボタンが第2方向に沿って移動する場合、触発ハンドルの回転動作を制限しないように、ピンを押圧してストッパ溝から離脱させることができ、駆動部材が作動ロッドを駆動してステープラーを触発できるまで、ハンドルを回転させることができる。また、本発明の一実施例において、ボタンアセンブリを押圧することによりピンの位置を切り替えることを実現し、ボタンアセンブリを触発ハンドルに設けるので、別途に設ける必要がなくなり、医師は、片手で操作することができ、ボタンアセンブリの操作が簡単になり、医師の使用への便宜を図る。本発明は、線形ステープラーだけでなく、他の種類のステープラーにも適用可能である。
【0067】
以上、具体的な好ましい実施形態を組み合わせて本発明をさらに詳細的に説明し、本発明の具体的な実施はこれらの説明のみに限定されると認定することができない。当業者にとって、本発明の構想から逸脱しない範囲において種々の単純な推論又は置換を行うこともでき、それらのすべては、本発明の保護範囲内のものに該当すると、見なされるべきである。
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