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特許7441845ボールミルおよびボールミル用の粉砕ジャー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ボールミルおよびボールミル用の粉砕ジャー
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/08 20060101AFI20240222BHJP
【FI】
B02C17/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021541279
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020050986
(87)【国際公開番号】W WO2020148366
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】202019100236.0
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019100260.3
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019102694.4
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019105373.9
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019106400.5
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019106603.2
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019135467.6
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514318781
【氏名又は名称】レッチェ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ドレクスラー ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ソンタグ バスティアン
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/042203(WO,A1)
【文献】実開平04-017838(JP,U)
【文献】中国実用新案第203886612(CN,U)
【文献】中国特許第100376327(CN,C)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/00 - 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助ディスク(5)に接続可能な、ボールミル(1)用の粉砕ジャー(4)において、前記ボールミル(1)は、前記補助ディスク(5)を介して前記粉砕ジャー(4)の底部を受けるように構成された、粉砕ジャー保持ブラケット(3)と、前記粉砕ジャー保持ブラケット(3)に対して、前記補助ディスク(5)を介して前記粉砕ジャー(4)を軸方向に緊締するための、クランプ要素(13)を有し、前記クランプ要素(13)は、周方向に互いに離隔している、複数の接続突起(20)を備え、
前記補助ディスク(5)は、前記粉砕ジャー保持ブラケット(3)に取り付けられるように構成され、前記補助ディスク(5)の底部は、前記複数の接続突起(20)と相補的に設計された複数の接続区画(21)を備え、
前記補助ディスク(5)が、前記粉砕ジャー保持ブラケット(3)に取り付けられて、前記クランプ要素(13)によって緊締されるとき、前記クランプ要素(13)の前記複数の接続突起(20)によって、前記補助ディスク(5)の前記複数の接続区画(21)が把持され、前記複数の接続突起(20)と複数の接続区画(21)が互いに係合することを特徴とする、粉砕ジャー(4)。
【請求項2】
ラボスケールのボールミル(1’)であって、中心軸(3a’)まわりに回転可能に支承される支持装置(2’)と、少なくとも一つの粉砕ジャーを受けるための少なくとも一つの粉砕ジャー保持ブラケット(4’)とを備え、
前記粉砕ジャー保持ブラケット(4’)は、前記支持装置(2’)に回転可能に支承されているとともに、前記支持装置(2’)により前記中心軸(3a’)まわりに連動するようになっており、
前記粉砕ジャー保持ブラケット(4’)は、前記支持装置(2’)に対して、オフセットされた遊星軸(21’)まわりに回転可能に支承されており、前記粉砕ジャー保持ブラケット(4’)は、前記粉砕ジャーを、前記粉砕ジャー保持ブラケット(4’)に対して、前記遊星軸(21’)に沿って緊締するための、少なくとも一つのクランプ要素(19’)を有している、ボールミル(1’)において、
前記ボールミル(1’)は、モータによりまたは手動により発生する力によって、前記クランプ要素(19’)の位置を前記遊星軸(21’)に沿って調節するために移動可能である、少なくとも一つのリフティング要素(31’)を有するリフティングデバイス(30’)を備え、前記リフティングデバイス(30’)は、前記粉砕ジャー保持ブラケット(4’)と共には回転しないことを特徴とする、ボールミル(1’)。
【請求項3】
前記リフティングデバイス(30’)が、前記リフティング要素(31’)の位置を調節するために、前記モータによりまたは手動により発生する力によって水平方向に移動する要素(34’)を有する少なくとも一つの位置調節要素(35’)を備えることを特徴とする、請求項2に記載のボールミル(1’)。
【請求項4】
前記要素(34’)は楔形であり、前記要素(34’)の傾斜面が前記リフティング要素(31’)の底部に当接し、前記要素(34’)の位置を変えることによって、前記遊星軸(21’)に沿って前記クランプ要素(19’)を移動させる、請求項3に記載のボールミル(1’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の態様は、請求項1の前段部分に記載のラボスケールのボールミル、および請求項4の前段部分に記載のボールミル用の粉砕ジャーに関する。特に本発明は、中心軸まわりに回転可能に支承される支持装置と、少なくとも一つの粉砕ジャー用の少なくとも一つの粉砕ジャー保持ブラケットであって、支持装置に対してオフセットされた遊星軸まわりに回転可能に支承されているとともに、これによって中心軸まわりに連動する、粉砕ジャー保持ブラケットと、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して軸方向に緊締したり、粉砕ジャーを軸方向に弛緩させたりするためのクランプ要素を有する緊締デバイスとを備えた、ラボスケールのボールミルに関する。
【0002】
ここに提案される実験室用ボールミルは、粉砕ステーションを一つだけ備えた遊星モノボールミルもしくは遠心モノボールミルとして構成されていても、またはほかにも複数の粉砕ステーションを備えたボールミルとして構成されていてもよく、その際粉砕ステーションが、好適には、慣性モーメントを可能な限り良好に補償するために中心軸まわりに対称に配置されている。
【背景技術】
【0003】
ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書には、実験室用ボールミルが開示される。これは、鉛直中心軸まわりに自転する支持装置を有している。支持装置のところには、複数の粉砕ステーションが、支持装置に対して、中心軸に対して平行にオフセットされたそれぞれの遊星軸まわりに回転可能に支承されており、そこでは各粉砕ステーションが、粉砕物および粉砕体、特に粉砕ボールを充填可能な最低でも一つの粉砕ジャー用のケージ状の収容装置を有している。各収容装置は、支持装置によって中心軸まわりに連動する上に、それに追加して、支持装置に対して-大抵の場合は逆向きに-それぞれの遊星軸まわりに自転する。
【0004】
ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書に説明される実験室用ボールミルは、収容装置内の粉砕ジャーを軸方向に緊締するためのクランプ要素を備えた緊締デバイス、および、クランプ要素用のモータ駆動部を有しており、モータ駆動部は、収容装置内の粉砕ジャーの緊締を自動的に実行する。この軸方向の緊締は、粉砕ジャー用の収容装置内に回転可能に支承されている、遊星軸に対して横向きに延伸するエキセンシャフトをクランプ要素として利用して遂行される。ボールミルはモータを有しており、モータは、支持装置外の機器ハウジングに対して位置を固定して取り付けられている。モータは駆動軸を駆動し、駆動軸の端部には、エキセンシャフトに連結できるようにするために、スリットが切られている。エキセンシャフトへの連結は、粉砕ステーションがある特定の着脱ポジションおよび正しい回転配向にあるときにのみ可能となっている。その後にはモータを介してエキセンシャフトを回転させることが可能になり、その際には、エキセンシャフトの軸方向に変化する高さが、皿バネを介してスプリングマウント式圧力板に伝達されて、この圧力板により、粉砕ジャーの上側の粉砕ジャーカバーが収容装置のストップ部に衝突するまで、粉砕ジャーは持ち上げられる。エキセンシャフトを回し戻すことによって、緊締を再び緩めることができる。
【0005】
公知のボールミルは、複雑な設計構造を有している。さらに、粉砕ジャーを緊締する/弛緩させるための、モータとエキセンシャフトとのカップリングが困難である点が短所となっている。エキセンシャフトは粉砕ジャー用の収容装置内に支承されているために、ボールミルの運転時にはエキセンシャフトも同様にローテートし、それによりアンバランス効果がもたらされ、それが、振動および摩耗増を招いている。収容装置はリジッドケージとして構成されているため、粉砕ジャーへのアクセスは著しく制約されている。試料回収のためには、粉砕ジャーをケージから外すことが常に要求される。したがって公知のボールミルでは操作時の使い勝手がユーザにとりあまり良くないものとなっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、高い操作快適性と同時に高度な安全性、および粉砕ジャーへのアクセシビリティを改善することによる特に快適な試料回収を可能にするボールミル、およびそのようなミル用の粉砕ジャーを提示することである。特に粉砕ジャー保持ブラケットのところでの粉砕ジャーの緊締および弛緩は、より迅速に実行可能かつより簡単であるべきである。好適には、ボールミルがシンプルな設計構造を有するべきである。それに加えて、ボールミルの運転時のアンバランスは僅かであるべきである。
【0007】
上記課題は、請求項1に記載のボールミル、または請求項4に記載の粉砕ジャーにより解決される。本発明の有利な形態は、従属請求項2および3の対象となっている。
【0008】
本発明の第1の態様は、ボールミルが好適には、粉砕ジャーを、割り当てられた粉砕ジャー保持ブラケットのところに、またはその上に、下面または底面で固定保持するための、クランプ要素を有している点にある。特に緊締デバイスおよび粉砕ジャー保持ブラケットは、下面だけで、または底面だけで、粉砕ジャーを収容、固定保持、および/または緊締するように構成されている。これにより、極めてシンプルな構造と、非常に良好なアクセシビリティとを可能にしている。
【0009】
ここに提案される粉砕ジャーは特に、割り当てられた粉砕ジャー保持ブラケットのところに、またはこれに対して、もしくはその上に、底面を固定保持または緊締するための保持区画が、粉砕ジャーの底面(だけ)に備えられることを特色としている。これにより、それ相応の長所がもたらされる。
【0010】
すなわち好適には、粉砕ジャーは、下面だけで、もしくは底面だけで、粉砕ジャー保持ブラケットのところに、もしくはこれに対して、保持される、および/または、粉砕ジャー開口部には、運転状態においても-すなわち粉砕ジャーが粉砕ジャー保持ブラケットの上に保持された状態にあるときにも-自由にアクセスできる。
【0011】
独立して実現することもできる本発明の第2の態様によれば、粉砕ジャーを、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して、軸方向および/または半径方向に緊締するために、クランプ要素は好適には軸方向の位置を調節可能であるように構成されている。これによっても同様にシンプルな構造および/または良好なアクセシビリティを可能にできる。
【0012】
同様に独立して実現することもできる本発明の第3の態様によれば、粉砕ジャーを軸方向に弛緩させる、または持ち上げるために、-すなわち粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットから取り外すために-、クランプ要素は好適には軸方向の位置を調節可能であるように構成されている。これにより非常にシンプルな、特に直感的な操作、または高い操作快適性を可能にしている。
【0013】
独立して実現することもできる本発明の第4の態様によれば、不可欠な力もしくは予荷重または軸方向への送りを引き起こす、ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書におけるモータおよびエキセンシャフトのような、アクチュエータを不要として、クランプ要素は好適には、粉砕ジャーを保持するかまたは緊締するそのポジションに、バネ力だけによって保持される。これにより、シンプルな構造と、再現可能な緊締とを可能にできる。
【0014】
好適には、軸方向の位置を調節可能であるようにクランプ要素を構成し、その際にはクランプ要素を下降させることによって、またはクランプ要素を第1の方向へと軸方向に移動させることによって、クランプ要素を介して少なくとも一つの粉砕ジャーに、軸方向の引張力を伝達できるようにすることで、粉砕ジャーを、引き下げるか、もしくは第1の方向に粉砕ジャー保持ブラケットに向かって引っ張るか、または粉砕ジャーを軸方向に緊締することが提案される。クランプ要素を持ち上げることによって、またはクランプ要素を第2の方向へと軸方向に移動させることによって、好適には、軸方向のリフト力を粉砕ジャーに伝達できるようにすることで、粉砕ジャーは粉砕ジャー保持ブラケットから上向きに持ち上げられるか、またはそれにより粉砕ジャーは軸方向に弛緩する。粉砕ジャーの弛緩後は、続いてこれをボールミルから取り出すことができる。
【0015】
よって本発明にしたがったボールミルは、クランプ要素が、具体的にはエキセンシャフトが、軸方向の押し上げる力を粉砕ジャーに伝達することによって、粉砕ジャーが、ケージ状の粉砕ジャー保持ブラケットのストップ部に向かって上向きに押し上げられて、それにより軸方向に緊締される、ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から公知のボールミルとは、根本的に相違している。公知の解決策では、その後にエキセンシャフトが回転されることによって粉砕ジャーが、下に降ろされ、それにより軸方向に弛緩する。
【0016】
本発明にしたがって備えられる緊締デバイスにより、一連の本質的な長所が可能となる。一つには、粉砕ジャーを引き下げることにより粉砕ジャーを軸方向に緊締することによって、粉砕ジャーに上から簡単にアクセスできる可能性がもたらされ、それにより快適な試料回収の可能性がもたらされる。二つには、粉砕ジャーに引張力を伝達することによって、それほど複雑でなく迅速に実行可能な粉砕ジャーの緊締および弛緩を実現することができる。
【0017】
本発明にしたがったボールミルにおいて備えられる緊締デバイスは、設計構造上少ない部品点数で簡単に実現することができる。その他の点でも、ボールミルのアンバランスを僅かに抑えて、クランプ要素が、粉砕ジャー保持ブラケットと一緒に、支持装置に対して遊星軸まわりに回転可能に支承されているとともに、これによって中心軸まわりに連動するような設計形態を選択できる。
【0018】
最後に本発明にしたがったボールミルにおいては、複数の粉砕ジャー保持ブラケットまたは複数の粉砕ステーションを簡単に実現可能であり、そこでは、慣性モーメントを可能な限り良好に補償するために、これらの粉砕ステーションが中心軸まわりに特に対称に配置されており、またそこでは、この場合各粉砕ジャー保持ブラケットに対してそれぞれ少なくとも一つのクランプ要素が割り当てられており、またこれらのクランプ要素を同期で弛緩させることができる。
【0019】
本発明にしたがった実験室用ボールミルは、ラボスケールサイズの粉砕ジャー、特にサイズが粉砕ジャー当たり100ml超、250ml超、および/もしくは最大約500mlまたはほかにもそれ以上のラボスケールサイズの粉砕ジャーに対しても、導入できるようにしてもよく、また高い粉砕性能を可能にする。
【0020】
クランプ要素を持ち上げるために、また粉砕ジャーの弛緩を自動的に実行するために、リフト駆動部が備えられていると有利である。クランプ要素を持ち上げるためのリフト力は、電気式、油圧式、またはほかにも空気圧式により発生させてもよい。リフト力のクランプ要素への伝達は、例えば(ナックルジョイント型)レバー機構、偏心レバー、および/またはスピンドルスクリューもしくはラックスクリューを用いて行われてもよい。
【0021】
好適には、モータ式リフト駆動部のモータが、ボールミルの機器ハウジングに位置を固定して装着されていてもよく、それによりこのモータは、支持装置と一緒にローテートすることなく、ボールミルの運転時には固定されている。特にリフト駆動部のモータは、支持装置に対して側方に配置される必要はなく、例えばほかにも支持装置の下側に配置されていてもよい。その結果として、本発明にしたがったボールミルの機器ハウジングでは、横方向の寸法が低減される。
【0022】
それ以外にも、クランプ要素を持ち上げるためのリフト駆動部は、粉砕ジャーが、粉砕ジャー保持ブラケットに対して持ち上げられた、または弛緩した状態となっている、ある弛緩位置に、クランプ要素を保持するように構成されていてもよい。それにより、粉砕ジャーの着脱を迅速かつ快適に進めることができる。
【0023】
クランプ要素用のリフト駆動部は、専ら粉砕ジャーの弛緩、および任意には弛緩位置での粉砕ジャーの保持を実行し、ただし粉砕ジャー保持ブラケットのところでの粉砕ジャーの緊締は実行しないことが特に好ましい。この場合、粉砕ジャーを緊締するためにクランプ要素を介して粉砕ジャーに伝達されなければならない、軸方向の引張力は、リフト駆動部によっては提供されない。その代わりに、クランプ要素が持ち上げられる際に弾性変形されて予荷重がかかる、クランプ要素に向かって作用する少なくとも一つのバネ要素が備えられていてもよい。この場合、リフト駆動部によるクランプ要素への力伝達が終了して、リフト駆動部から伝達されるリフト力が好適には低減してゼロになると、予荷重がかかったバネ要素のバネ力によって、クランプ要素の下降が自動的に引き起こされ、その結果、粉砕ジャーの緊締が引き起こされる。この場合のクランプ要素の下降は、元の形状に回復するバネ要素を介してのみ引き起こされ、そこでは、粉砕ジャーを緊締するために必要な引張力が、好適には予荷重がかかったバネ要素の復元力またはバネ力よりも小さくなっている。当然ながら、クランプ要素を介して粉砕ジャーに伝達されるクランプ力または引張力を増大するために、複数のバネ要素が備えられていてもよい。
【0024】
しかし基本的には、粉砕ジャーの弛緩が手動で実行される、すなわちクランプ要素を持ち上げるために必要なリフト力と、任意には、粉砕ジャーが軸方向に弛緩している弛緩位置にクランプ要素を保持するために必要な保持力とが、手動で加えられる設計形態も排除されてはいない。手動の力伝達は、例えばレバー機構、特にシザーズジャッキにおいて導入されるようなナックルジョイント型レバー機構を用いて、簡単に行なうことができる。
【0025】
既述のようにクランプ要素は、好ましくは粉砕ジャー保持ブラケットのところに保持および/または支承された状態で、支持装置の自転時には粉砕ジャー保持ブラケットともども支持装置によって中心軸まわりに連動させてもよい。クランプ要素は、粉砕ジャー保持ブラケットのシャフト内に軸方向に変位可能であるように、かつ好適にはシャフトに対して回転を防いで配置されている、遊星軸に対して共軸で延伸する、ロッド状のプルアンカーとして構成されていてもよい。粉砕ジャー保持ブラケットのシャフトの側は、支持装置の太陽歯車内に回転可能に支承されていてもよい。粉砕ジャー保持ブラケットは、回転を防いでシャフトに接続されている、および、粉砕ジャーを緊締する際に、粉砕ジャーと粉砕ジャー保持皿との間の摩擦係合を利用するまたは回転が防止された接続が達成されるまで、粉砕ジャーがクランプ要素により引き締められる、粉砕ジャー保持皿を有していてもよい。特にクランプ要素を、遊星軸に沿って延伸するロッド状のプルアンカーとする構成は、本発明にしたがったボールミルが支持装置の自転時にごく僅かなアンバランスを呈することに寄与している。
【0026】
クランプ要素から粉砕ジャーに引張力を伝達できるようにするために、クランプ要素は、例えばバヨネットジョイント部を介して、形状同士の係合および/または摩擦係合を利用して、非破壊方式で粉砕ジャーに接続可能であってもよい。
【0027】
粉砕ジャーはその下面に、クランプ要素に離脱可能に接続するための接続領域または保持区画を有していてもよい。粉砕ジャーをボールミル内に装入する際に、粉砕ジャーは粉砕ジャー保持ブラケットまたはクランプ要素上に、上から被せられる、嵌め合わされる、および/または、ねじ付けられる。粉砕ジャーとクランプ要素との間にバヨネットジョイント部が設けられている場合は、バヨネット機構の接触面の位置合わせのための、被せられた状態にある粉砕ジャーを、粉砕ジャーとクランプ要素とが機械的に接続されるまで、回してもよい。そこでは接続が、好適には差込み運動および/または回転運動を介して行われる。バヨネットジョイント部は、粉砕ジャーのプルアンカーのところでの軸方向の保持だけがもたらされるように、構成されていると好適である。その後で粉砕ジャーは、差込み回転運動を介してのみ、プルアンカーに接続される。
【0028】
その代わりに、またはそれに補足して、クランプ要素と粉砕ジャーとの間の相対回転を防止するために、ほかにも摩擦係合を利用する接続部が備えられていてもよく、その場合はクランプ要素の接触面および/または粉砕ジャーの接触面に、摩擦コーティング、例えばラバーコーティングが施されていてもよい。それに補足して、粉砕ジャーとクランプ要素とがバヨネットジョイント部を介してカップリングされる場合にも、そのような摩擦係合を利用するコーティングが施されていてもよい。摩擦係合によって、バヨネット機構によるロック状態が構成された後に、粉砕ジャーのところのアンダーカット部の一部の領域のみをプルアンカーが上から把持するか、あるいは、粉砕ジャーおよびクランプ要素のところのバヨネットジョイント部の接続ジオメトリーが一部のみ重なり合うか、または一部のみ上からもしくは背後から把持するポジションに、粉砕ジャーが意図せず回し戻されて、粉砕ジャーの破損につながりかねないことがないことを請け合っている。
【0029】
別の一変形例は、位置決め用の磁石手段を備えるバヨネットジョイント部を企図する。
【0030】
ボールミルが複数の粉砕ジャー保持ブラケットを有する限りにおいて、好適には各粉砕ジャー保持ブラケットに、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して軸方向に保持または緊締するためのクランプ要素をそれぞれ備えた相応の緊締デバイスが備えられていてもよい。
【0031】
複数の、好適には全てのクランプ要素を同時に持ち上げるために、共通のリフトデバイスが備えられていてもよく、その際、好ましい一実施形態においては、リフトデバイスが、支持装置の下側かつ特にクランプ要素の下側に配置されるリフト要素を、好適にはリフト板を有していてもよい。その場合リフト要素は、持ち上げる際には、クランプ要素に向かって下から作用し、クランプ要素を持ち上げるために必要なリフト力、および任意には保持力を、クランプ要素に伝達できる。この関連で、特に専ら粉砕ジャーの弛緩、および任意には弛緩位置での粉砕ジャーの保持を自動的に実行する、全てのクランプ要素に共通のモータ駆動部が備えられていてもよい。
【0032】
モータからリフト要素への力伝達のために、カップリングデバイスが備えられていてもよく、これも支持装置の下側かつ特にリフト要素の下側に配置されていると好適である。その場合、本発明にしたがったボールミルの機器ハウジングは、横方向に僅かな寸法を有する。
【0033】
リフト要素が、回転を防いでおよび/または軸方向に昇降可能であるように、機器ハウジング内に配置されていると好都合である。
【0034】
好適にはリフト要素は、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、支持装置の回転運動から運動学的に切り離されている。この結果、本発明にしたがったボールミルの作動時のアンバランスまたは回転質量はごく僅かなものとなる。
【0035】
クランプ要素は、粉砕ジャーの緊締に追加して、安全機能も果たすことができる。この安全機能は、緊締の際に粉砕ジャーが装入されていないときには、一つまたは複数の粉砕ジャーが装入されているときと比べて、クランプ要素をさらに大幅に下降させることができるという特性からもたらすことができる。この関連で、本発明の有利な一展開構成例は、支持装置の回転運動を減速する、および/または阻止するために、クランプ要素が、粉砕ジャーに接続されていない状態では、リフトデバイスとの、特にリフト要素との、および/またはボールミルの固定式ハウジング部材との摩擦係合および/または形状同士の係合を利用する接続部が構成されるまで、下降できることを企図する。粉砕中クランプ要素と粉砕ジャーとの間の接続に不具合を来した場合も同様に、クランプ要素がこの衝突位置、または別の衝突位置をとって、アクティブな制動機能を果たしてもよい。それにより、自己監視型のフェイルセーフ設計を可能としている。それに追加して、クランプ要素が規定通りに粉砕ジャーに接続されている、クランプ要素の作動信頼性を示すポジションを監視するために、さらなる要素は不要である。それにより、コストメリットを達成することができる。
【0036】
上記で既に説明したように、粉砕ジャーは好適には、上向きには突き当たることなく、粉砕ジャー保持ブラケットのところで緊締されるようなっている。これは換言すると、粉砕ジャーを軸方向に緊締するために、粉砕ジャーまたは粉砕ジャーカバーを、粉砕ジャー保持ブラケットのストップ部に向かって押し付ける必要がないことを意味している。これにより、粉砕ジャーへの上からの自由なアクセス、ひいては快適な試料回収を保証している。
【0037】
粉砕ジャーの粉砕室は、通常通りに、粉砕ジャーに接続される粉砕ジャーカバーによって封止されていてもよい。粉砕ジャーカバーは、粉砕ジャーに例えばスクリュー締結されていてもよい。
【0038】
最後に粉砕ジャー保持ブラケットには、粉砕ジャー用の少なくとも一つの空転防止要素、例えば空回り止めピンが備えられていてもよく、それにより、粉砕ジャーをクランプ要素に形状同士の係合および/または摩擦係合を利用して接続できる粉砕ジャーポジション、または、クランプ要素に対して相対的な粉砕ジャーの特定の回転位置を可能にしている。このケースにおいては、例えば、粉砕ジャーが、嵌め合わされてクランプ要素に対して相対的に回転された後、下降させた位置に到達したとき、または、粉砕ジャーとクランプ要素とのバヨネットジョイント部の接続ジオメトリーが互いに対して突き当たってバヨネットジョイント部が構成される位置に到達したときには、空転防止要素と粉砕ジャーとの接続部が同時に構成されるように、接続ジオメトリーの設計形態が企図されていてもよい。
【0039】
本発明の第1の態様のさらなる部分態様は、ラボスケールのボールミルであって、
- クランプ要素が、粉砕ジャーを間接的に保持しているか、またはこれに作用を及ぼしている、ならびに/あるいは、
- 粉砕ジャーを、ボールミルの機器ハウジングに向かって上向きに突き当たることなく、粉砕ジャー保持ブラケットのところで、保持可能または軸方向に緊締可能である、ならびに/あるいは、
- クランプ要素を、形状同士の係合および/または摩擦係合を利用して、非破壊方式で離脱可能に粉砕ジャーに接続可能である、ならびに/あるいは、
- 粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに向かって引き下げて、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して軸方向に緊締するために、クランプ要素を下降させることによって、クランプ要素を介して軸方向の引張力を粉砕ジャーに伝達可能である、ならびに/あるいは、
- 粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットから上向きに持ち上げて、粉砕ジャーを軸方向に弛緩させるか、または粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットから取り外すために、クランプ要素を持ち上げることによって、クランプ要素を介して軸方向のリフト力を粉砕ジャーに伝達可能である、ならびに/あるいは、
- クランプ要素に対して、またはクランプ要素の上に作用する、少なくとも一つのバネ要素が備えられており、その際にバネ要素は、クランプ要素を持ち上げる際には予荷重がかかり、また下降させる際には除荷される、ならびに/あるいは、
- クランプ要素が、粉砕ジャー保持ブラケットに保持および/または支承されるとともに、支持装置が中心軸まわりに自転する際には、支持装置によって、この粉砕ジャー保持ブラケットとともに連動する、ならびに/あるいは、
- クランプ要素が、遊星軸に対して共軸で延伸する、および/または棒状の、プルアンカーとして構成されている、ならびに/あるいは、
- クランプ要素および/または粉砕ジャーを持ち上げるための、駆動部またはリフトデバイスが備えられている、ならびに/あるいは、
- リフトデバイスが、クランプ要素の下側に配置されるリフト要素を有しており、その際にリフト要素が、持ち上げる際に、または持ち上げるために、好適にはクランプ要素に向かって下から作用する、ならびに/あるいは♯、
- リフト要素が、回転を防いで、および/もしくは、軸方向に昇降可能であるように、配置されている、および/または、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、リフト要素が、支持装置の回転運動および/もしくは粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている、ならびに/あるいは、
- 支持装置の回転運動を減速するために、および/または阻止するために、クランプ要素が、これを下降させ得ることによって、リフトデバイスとの、および/またはボールミルの固定式ハウジング部材との、摩擦係合および/または形状同士の係合を利用する接続状態に入る、ならびに/あるいは、
- 少なくとも二つの粉砕ジャー保持ブラケットと、それぞれ一つの粉砕ジャーを、それぞれ一つの粉砕ジャー保持ブラケットに対して軸方向に緊締または保持するためのクランプ要素をそれぞれ有している、少なくとも二つの緊締デバイスとが備えられており、好適にはその際に、複数の、好適には全てのクランプ要素を同時に持ち上げるための、共通のリフトデバイスが備えられている、ならびに/あるいは、
- クランプ要素または緊締デバイスが、センタリングクランプを有しているか、または形成している、ならびに/あるいは、
- クランプ要素または緊締デバイスが、粉砕ジャーを、摩擦係合または形状同士の係合を利用して保持するかまたはセンタリングするための、周囲に沿って分散して配置された、または半径方向に移動可能な、複数の保持要素を有している、ならびに/あるいは、
- ボールミルが、粉砕ジャー保持ブラケットのところに、またはその上に、底面で固定保持するための、保持区画を底面に備えた、粉砕ジャーを有している、
ラボスケールのボールミルに関する。
【0040】
本発明の第1の態様のさらなる部分態様は、それ以外にも、ボールミル用の粉砕ジャーであって、
- 保持区画が、環状もしくはフランジ状に構成されている、および/または半径方向に、好適には内側に向かって突出している、ならびに/あるいは、
- 保持区画が、半径方向内側に向かって開口した凹所または外周溝を形成しているかまたは限定している、
粉砕ジャーに関する。
【0041】
それ以外にも本発明の第2の態様は、中心軸まわりに回転可能に支承された支持装置と、少なくとも一つの粉砕ジャー用の少なくとも一つの粉砕ジャー保持ブラケットとを備えたラボスケールのボールミルであって、粉砕ジャー保持ブラケットが、回転可能に支持装置のところに、および/またはその内部に支承されているとともに、これによって中心軸まわりに連動する、また好適には、粉砕ジャー保持ブラケットが、支持装置に対してオフセットされた遊星軸まわりに回転可能に支承されている、ならびに、粉砕ジャー保持ブラケットが、粉砕ジャー保持ブラケット内でおよび/または粉砕ジャー保持ブラケットのところで、もしくはこれに対して、粉砕ジャーを軸方向に緊締するための、少なくとも一つのクランプ要素を有しており、またクランプ要素が、粉砕ジャー保持ブラケットの回転時には、支持装置によって中心軸まわりに連動する、ラボスケールのボールミルに関する。粉砕ジャー保持ブラケット自体が、支持装置に対してオフセットされた遊星軸まわりに回転可能に支承されている場合には、粉砕ジャー保持ブラケットの回転時にはそれ相応にクランプ要素が粉砕ジャー保持ブラケットによって連動するか、または同様に支持装置に対してこの遊星軸まわりに回転可能に配置されている。
【0042】
以上で説明した特徴を備えた実験室用ボールミルは、ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から既に公知である。そのようなラボスケールのボールミルは、幅広い応用範囲を対象として、例えば試料の破砕および混合のために、ならびに/または機械的合金化のために、導入される。ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書には、特に遊星ボールミルおよび遠心ボールミルとして構成された実験室用ボールミルの可能性のある実施形態が説明されている。
【0043】
特にドイツ特許出願公開第102012009987号明細書には、粉砕容器をリジッドケージ内で軸方向に緊締することによって、粉砕工程のために粉砕ステーション内で粉砕容器が取り付けられる、ラボスケールの遊星ボールミルまたは遠心ボールミルが説明される。軸方向の緊締は、粉砕ジャー用の収容装置内に回転可能に支承された、遊星軸に対して横向きに延伸するエキセンシャフトを利用して遂行される。エキセンシャフトは、軸方向に変位可能なクランプベースの下側に位置している。ケージ内の粉砕ジャーを、上側のクロスブリッジに対して、下から軸方向に緊締するために、クランプベースを、エキセンシャフトにより、予め定義された長さ寸法分、粉砕容器に対して上向きに緊締できる。例えばエキセンシャフトは、これを下側の底面部材とクランプベースとの間に支承するために使用される針状ころ軸受を利用して、緊締力をクランプベースに伝達する。クランプベースは、バネパッケージを介して圧力板をリフトアップし、圧力板の側では、装入されている粉砕容器を、まずは、粉砕ジャーカバー用のストッパーとして作用するプレッシャヨークに向かって、軸方向の隙間がシステムから取り除かれるまで移動させる。さらに緊締を進めると、粉砕ジャーと粉砕ジャーカバーとの間のシールが圧縮される。このシールが、固定された上下位置ストッパーとなるまで圧縮されると、クランプベースは、エキセンシャフトの残りのクランプストロークで皿バネを圧縮することによって、リジッドケージ内の粉砕ポットのための本来の軸方向の緊締力をもたらす。
【0044】
エキセンシャフトの位置調節または回転のためのモータ駆動部のモータは、機器ハウジングに位置を固定して装着されており、支持装置と一緒に共回りしない。エキセンシャフトを作動させるためにカップリングデバイスが備えられおり、これが、ボールミルが粉砕容器の所定の回転配向において休止状態にあるときに、モータ駆動部をエキセンシャフトに連結することによって、休止状態においてはエキセンシャフトを支持装置の外部から作動できる。それにより例えば自転する支持装置への給電線を回避することができる上に、複数の粉砕ステーションが備えられたミルであっても、必要なのは一つのモータだけとなる。
【0045】
公知の実験室用ミルのカップリング部は、モータ駆動部およびエキセンシャフトの互いに協働する複数のカップリング部材を含み、粉砕ステーションが着脱ポジションに位置するようになったときには、カップリング部材は自動的に形状同士を係合させて互いに噛み合うべきである。カップリングデバイスは、粉砕ステーションが着脱ポジションに位置するときに、エキセンシャフトに対して横断方向に延びるピンが、エキセンシャフトに対して共軸で延びる駆動軸のスリットに嵌まり込む、スリットカップリングとして構成されている。カップリング後の状態において、粉砕ポットを自動的に軸方向に緊締するか、または自動的に緊締を再び緩めるために、エキセンシャフトはモータを介して回転されてもよい。モータとしては、駆動軸のところにエキセンシャフトに伝達されるトルクを発生する、市販のギヤードモータが備えられていてもよい。
【0046】
以上で説明した公知の実験室用ミルの緊締機構では、粉砕ジャーを軸方向に緊締するために複数のクランプ要素が備えられ、これらは、粉砕ジャー保持ブラケットの部材として、支持装置のところに回転可能に支承されているとともに、支持装置を回転させるときにはこれによって中心軸まわりに連動する。エキセンシャフトは、さらなるクランプ要素としてのクランプベース、バネパッケージ、および圧力板を持ち上げたり下ろしたりするための、リフティング要素およびクランプ要素として配設されている。エキセンシャフトは、公知の実験室用ミルにおいては、モータ駆動力をさらなるクランプ要素に力転送および力伝達するために利用される。しかし緊締機構の設計形態は、機械的に複雑である。粉砕工程において粉砕容器を防護するために備えられるケージと一緒に共回りするエキセンシャフトおよび自転するさらなるクランプ要素により、多数の回転質量が備えられており、これは、アンバランス補償を困難にし、また、公知の実験室用ミルの運転時に、運転時のトラブルの原因となることがある。緊締機構の運動質量が大きいと、軸受にかかる荷重も必然的により大きくなり、それ相応にハイグレードで高価な軸受コンポーネントを採用することが要求される。
【0047】
さらに、ケージ内の粉砕ジャーを軸方向に緊締するためのクランプ力を全て、ケージの内部で受け止めなければならず、その結果ケージ構造には高い機械的荷重がかかる。構成部品にかかる荷重および材料疲労に起因して、ケージをロックしたり開放したりする関連で、問題を来すことがある。
【0048】
エキセンシャフトをモータにより作動させるために必要な、エキセンシャフトとモータ駆動部とのカップリングデバイスを介した接続部も同様に、機械的に複雑であり、より高い摩耗を受け、また、それによりハイメンテナンスタイプとなっている。この結合には、支持装置の特定の回転ポジションを正確に守ることが要求される。この回転ポジションが正確に守られない場合は、これにより、カップリングデバイスの領域内の構成部品にストレスがかかることから果てはカップリング機能の完全な阻害まで来すことがあり、その結果、粉砕容器の緊締または緊締を緩めることがもはや実行できなくなってしまう。
【0049】
さらに、複数の粉砕ステーションを備えた遊星ボールミルまたは遠心ボールミルでは、公知の緊締機構が導入されると不利である。例えば各粉砕ジャー保持ブラケットは、エキセンシャフトとさらなるクランプ要素とから形成された別体の緊締配列を有している。複数の粉砕ジャーを緊締するためには、粉砕ステーションを順番にそれぞれ着脱ポジションにもっていくことによって、それぞれの粉砕ステーションのモータ駆動部とエキセンシャフトとの間のカップリング部を構成し、引き続いてそれぞれの粉砕ステーションの粉砕ジャーを緊締することが必要である。したがって複数の粉砕ジャーの緊締には、多大な時間を要する。
【0050】
本発明のもう一つの課題は、粉砕ジャー保持ブラケット内の少なくとも一つの粉砕ジャー用の、従来技術に対してさらに改良された緊締機構および/または弛緩機構を有する、冒頭に記した種類の実験室用ボールミルであって、緊締機構および/または弛緩機構によって、モータにより、または任意にはほかにも手動により発生するクランプ力のクランプ要素への転送および伝達が、設計上簡単な方法で、高い作動信頼性で可能となり、また、緊締のために必要なクランプ力に起因して粉砕ジャー保持ブラケートの構造にかかる機械的荷重をより僅かなものとする、実験室用ボールミルを提供することである。したがって緊締機構および/または弛緩機構は、ローメンテナンスタイプであるとともに、高いクランプ力の伝達を許容すべきである。特に緊締機構および/または弛緩機構は、複数の粉砕ステーションを有する遊星ボールミルおよび遠心ボールミルにおいて、僅かな所要時間で、利用者にとり簡単かつ快適な方法で、粉砕ジャー保持ブラケット内の粉砕ジャーの緊締を引き起こす可能性をもたらすべきである。
【0051】
上記課題は、請求項5の特徴を具備したボールミルにより解決される。本発明の有利な一形態は、従属請求項6の対象となっている。
【0052】
本発明にしたがったボールミルは、本発明の第2の態様によると、リフティングデバイスを、モータにより、および/または手動により発生させるクランプ力を少なくとも一つのクランプ要素に伝達するための少なくとも一つのリフティング要素を備えた緊締機構および/または弛緩機構の部材として有しており、そこではリフティング要素が、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている。クランプ力をクランプ要素に伝達するために、複数のリフティング要素が備えられていてもかまわない。リフティング要素は、支持要素の回転時に支持装置によっては中心軸まわりに連動しない。
【0053】
本発明の意味での「リフティング要素」とは、好適には、モータによる、または手動による駆動力のクランプ要素への純然たる力転送および/または力伝達のために利用される、受動的な構成部品のことである。駆動力は、手動により加えられるか、またはモータ駆動ユニットにより加えられるものであってもかまわない。リフティング要素は、好適には実質的に粉砕ジャー保持ブラケットの下側に、さらに好適にはクランプ要素の下側に位置し、特に軸方向のリフティング力をクランプ要素に伝達するために利用される。本発明の意味での「軸方向の」リフティング力は、力のベクトルが、粉砕ジャー保持ブラケットの自転軸および/もしくはクランプ要素の自転軸に対して、最低でも実質的に平行であるか、またはこれらと共軸(同軸)である場合に存在する。しかし、リフティング要素から、最低でもほかにも水平方向もしくは半径方向の力の成分が、または任意には水平方向もしくは半径方向の力の成分だけが、クランプ要素に伝達される一実施形態も排除されてはいない。下記では本発明を単に例示的に、また最終的なものとはせずに、主として、純軸方向のリフティング力のリフティング要素からクランプ要素への伝達に関して説明する。
【0054】
リフティング要素からクランプ要素への力伝達に際しては、リフティング要素がクランプ要素に対して直接当接してもよく、この場合は力伝達が、リフティング要素とクランプ要素との互いに触れ合う接触面を介して行われる。
【0055】
なおリフティング要素は、モータ駆動部に永久接続されていてもよい。特に支持装置がボールミルの運転時に中心軸まわりに自転するときにも、モータ駆動部との接続状態が存在してもよい。
【0056】
本発明の根底にあるのは、第2の態様によると、粉砕ジャー保持ブラケット内および/または粉砕ジャー保持ブラケットのところでの粉砕ジャーの緊締および/または弛緩のために必要なクランプ力を伝達するために、支持装置に対して最低でも実質的に位置を固定したクランプ要素またはリフティング要素を採用して、これを、緊締および/または弛緩のために、ボールミルの運転時に支持装置によって連動する粉砕ジャー保持ブラケットの少なくとも一つのクランプ要素と協働させるという考え方である。ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から公知の実施形態においては、ボールミルの運転時に共回りするエキセンシャフトが、モータにより発生させるクランプ力の転送および伝達に利用される。これとは異なり本発明においては、支持装置の回転運動から運動学的に切り離されている、ボールミルの運転時には固定されている、少なくとも一つのリフティング要素が配設される。したがって本発明により、ボールミルの運転時に支持装置によって中心軸まわりに連動する構成部品点数がより少ないことを特色とする、粉砕ジャー用の緊締機構および/または弛緩機構の設計形態が許容される。回転質量が小さくなることによって、低摩耗の、またそれによりローメンテナンスタイプのシンプルな設計形態が可能になる。さらに本発明により、特に粉砕ジャー保持ブラケットによって、機械的荷重を低減して、クランプ力が受け止められる、緊締機構および/または弛緩機構の設計形態が許容される。それ以外にも緊締機構および/または弛緩機構は、モータにより発生させるクランプ力を、モータからクランプ要素にカップリング部を不要として伝達するように配設されてもよく、それにより、ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から公知のボールミルにおける、カップリングデバイスの使用に関連した短所を避けることができる。
【0057】
粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して、粉砕ジャーを軸方向および/もしくは半径方向に緊締するために、ならびに/または、粉砕ジャーを軸方向および/もしくは半径方向に弛緩させるために、粉砕ジャー保持ブラケットは、特に粉砕ジャーを下面または底面だけで固定保持するように構成されている、および/または、粉砕ジャー保持ブラケットの位置を軸方向に調節できる。これにより利用者は、粉砕ジャーを、粉砕ジャー保持ブラケットのところに、内部に、上に、および/または、粉砕ジャー保持ブラケットと一緒に、快適に取り付けることができる。ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から公知の、側方から装填可能なケージとしての粉砕ジャー保持ブラケットの形態とは対照的に、本発明によると、粉砕ジャーカバーを取り去ることによって、粉砕ジャーのより迅速な交換の可能性、および/または粉砕ジャー内部空間への迅速なアクセスの可能性が存在する。
【0058】
本発明の特にシンプルな一設計形態においては、リフティング要素を、特に粉砕ジャー保持ブラケット、粉砕ジャー、および/またはクランプ要素の縦軸または自転軸に対して、実質的に平行および/または共軸である方向だけに、好適には最低でも実質的に鉛直な方向に、上下位置を調節可能であるように案内するおよび/または支承することが企図される。この場合は好適には、リフティング要素とクランプ要素とが接触状態に入ると、リフティング要素の上下位置調節だけによって、リフティング力がクランプ要素に伝達される。これとの関連でリフティング要素は、例えば位置調節要素または作動要素を介して、軸方向に、好適には最低でも実質的に鉛直方向に上下位置を調節することができるリフトブロックとして構成されていてもよい。
【0059】
その代わりに、リフティング要素が、そのようなものとして、粉砕ジャー保持ブラケットおよび/またはクランプ要素の自転軸に対して、横向きに位置を調節可能であるように案内されているおよび/または支承されている一実施形態を企図することもできる。この実施形態においては、リフティング要素が、例えば傾斜ランプ面を備えたプッシュロッドとして構成されていてもよく、そこでは、クランプ力を伝達するためにプッシュロッドの位置調節運動が行われる際に、このランプ傾斜面がクランプ要素に対して当接する位置に移動され、位置調節運動の際には、クランプ要素が、運動方向に応じて持ち上げられるかまたは下降する。
【0060】
もう一つの代替実施形態においては、リフティング要素がほかにも、粉砕ジャー保持ブラケットおよび/またはクランプ要素の縦軸または自転軸に対して横向きに、回転可能に配置された、エキセンシャフトとして構成されていてもよく、そこでは、エキセンシャフトの偏心区画が、必要なクランプ力を伝達するために、クランプ要素との接触状態に入る。本発明は、この点では、ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書から公知の、クランプ力の伝達用であるエキセンシャフトの使用を採り入れるが、公知のボールミルとは異なり、本発明にしたがって、エキセンシャフトが支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている、エキセンシャフトの位置を固定した配置が提案される。
【0061】
最後に、本発明の意味での「リフティング要素」は、力伝達要素を好適には最低でも実質的に鉛直方向にクランプ要素に向かって移動させ、それにより持ち上げるかまたは下降させるために必要な力をクランプ要素に伝達する、アクチュエータまたはリニアモータであってもかまわない。アクチュエータまたはリニアモータは、この目的のためにクランプ要素の下側に配置されていてもよい。
【0062】
支持装置が特定の装入ポジションおよび/または取出しポジションに到達したとき、すなわち粉砕ジャー保持ブラケットが特定の装入ポジションおよび/または取出しポジションに到達したとき、すなわち支持装置が特定の回転配向に到達したときだけに、リフティング要素によって軸方向のリフティング力を伝達可能であると好都合である。好適には特定の装入ポジションおよび/または取出しポジションに到達しているのは、クランプ要素がリフティング要素の上側に共軸で位置する場合である。
【0063】
粉砕ジャー保持ブラケットのところおよび/または内部で粉砕ジャーが規定通りに緊締された状態にあるときには、リフティング要素が好適にはクランプ要素から離隔しており、それにより、一方ではクランプ要素、およびそれとともに粉砕ジャー保持ブラケットと、他方ではリフティング要素との間の、ボールミルの運転時に移動される粉砕ジャー保持ブラケットが辿る円形路の周方向での相対運動が可能となっている。このときにリフティング要素はクランプ要素から機械的に切り離されており、特にこの両方の構成部品間には、直接的実体的な接続部は存在しない。
【0064】
粉砕ジャーが装入されていないか、または規定通りには装入されていない場合は、本発明にしたがって、クランプ要素とリフティング要素との間に、形状同士の係合および/または摩擦係合を利用する接続部が構成されるように、クランプ要素がリフティング要素に対して相対的に下降可能、または下降した状態であってもよい。このときにはリフティング要素が、クランプ要素に機械的にカップリングされた状態にあり、および/またはカップリング可能であり、粉砕ジャーが規定通りには粉砕ジャー保持ブラケットのところおよび/または内部に保持されていない場合に、リフティング要素は、支持装置および/または粉砕ジャー保持ブラケットのための制動機能またはストップ機能を果たすことができる。
【0065】
モータおよび/または手動による駆動力をリフティング要素に力転送するために、また、リフティング要素の位置を調節するために、特にこれを持ち上げるために、リフティングデバイスは少なくとも一つの位置調節要素を有していてもよい。そこでは位置調節要素も、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている。特に好ましくは、この位置調節要素の、粉砕ジャー保持ブラケットおよび/またはクランプ要素の縦軸または自転軸に対して横向きの位置調節運動によって、リフティング要素の位置調節運動をもたらすことができる。これとの関連で、位置調節要素はスピンドルまたはプッシュロッドとして構成されていてもよく、その場合は駆動モータのモータ駆動力が、任意にはモータカップリング部を介して、スピンドルまたはプッシュロッドに伝達され、スピンドルまたはプッシュロッドが軸方向に位置を調節されることによって、リフティング要素の位置が調節され、好適には持ち上げられる。それにより、高いクランプ力をシンプルな設計で伝達できるようにしている。
【0066】
位置調節要素としては、ほかにもリフティング要素に対して回転可能に配置される、リフティング要素に向かって作用する、エキセンシャフトが備えられていてもよく、そこでは、リフティング要素を、エキセンシャフトの偏心区画を介して、持ち上げることができる。
【0067】
最後に位置調節要素として、ほかにもレバーを備えることによって、クランプ力を伝達するために、より小さな力を加えることで、最低一つのリフティング要素の位置を調節できる、特にこれを持ち上げることができる。
【0068】
位置調節要素は、モータ駆動部に、特にカップリング部を不要として、永久的に、すなわち特に支持装置の回転時またはボールミルの運転時に、機械的に接続されていてもよい。ほかにも、位置調節要素をモータ駆動部に剛結式、弾性的、可動式または離脱可能に接続するために、カップリングデバイスが備えられていてもかまわない。モータ駆動部は、好適には自転する構成部品から側方に離隔して、および/または粉砕ジャー保持ブラケットの鉛直方向下側に、配置されていてもよい。駆動部はさらに、位置を固定して配置されており、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されていると好適である。基本的にはほかにも、位置調節ツールまたは位置調節用グリップを介して、位置調節要素を手動により作動させることも可能である。
【0069】
さらに、位置調節要素とリフティング要素との運動を連成するために、少なくとも一つのカップリング要素が備えられていると好都合であり、その際にはカップリング要素の位置調節要素に対する相対的な位置を、位置調節要素のローテーションにより調節できるようにすると好適である。カップリング要素は、例えば傾斜ランプ面および/または湾曲ランプ面を備えた楔形に構成されていてもよい。これらのランプ面は、位置調節要素が並進運動を行う際にはリフティング要素との接触状態に入り、それによりリフティング要素の持ち上げをもたらすことができる。摺動接触または転動接触によって、摩擦力を低減することができ、位置調節要素とリフティング要素との、カップリング要素を介した、力をそれほど消費しない運動連成が可能になる。ほかにも、カップリング要素の低摩耗コーティングおよび/または硬化処理を施したランプ面により、運動の連成が容易になる。リフティング要素のところにも、相応のランプ面が備えられていてもよい。リフティング要素が、リフティング要素のリフト運動の際にランプ面に沿って上方または下方に転動する少なくとも一つのロールを介して、カップリング要素のところの傾斜ランプ面または湾曲ランプ面に対して当接できるようにすると、特に好ましい。
【0070】
カップリング要素は、別体の構成部品であると好適である。しかし、位置調節要素が、ダイレクトにすなわち直接、リフティング要素に対して作用または当接し、また、例えば、位置調節要素の調節運動の際にリフティング要素との協働接触状態に入りクランプ力を伝達するためにリフティング要素を例えば持ち上げる傾斜ランプ面を位置調節要素が備える、一実施形態も排除されてはいない。
【0071】
しかしカップリング要素は、位置調節要素の上に位置を調節可能であるように案内されていると好適である。位置調節要素は、これとの関連では、雄ネジが切られたスピンドルとして構成されていてもよく、またカップリング要素は、スピンドルのネジ区画用のネジ孔を有していてもよい。そこでは、カップリング要素の位置を直線方向だけに調節可能である場合には、スピンドルスクリューが自転する際にネジピッチに従属して、スピンドルの自転軸に沿ったカップリング要素の位置調節運動を来す。
【0072】
カップリング要素も同様に、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている。
【0073】
リフティングデバイスにはさらに、少なくとも一つのリフトハウジングが含まれてもよく、そこではリフティング要素がリフトハウジング内に、好適には上下位置を調節可能であるように、さらに好適には側方に隙間を伴うように案内されている、および/または支承されている。リフトハウジングは、リフティング要素用のリセスを有していてもよく、リフティング要素は、好適には軸方向に上下位置を調節可能であるようにリセス内に収容されている。リフティング要素がリセス内にルースに、すなわち密着しないように収容されて設けられていると好都合である。それによりリフティング要素が引っ掛かって動かなくなる怖れのない、リセス内におけるリフティング要素のリフト運動を可能にしている。
【0074】
リフトハウジングも同様に、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されていると好都合である。その場合はリフティングデバイスの部材であるリフトハウジングが、支持装置の回転運動の際にこれによって中心軸まわりに連動することはない。
【0075】
構成部品の荷重、特に支持装置および/または粉砕ジャー保持ブラケットの軸受の構成部品にかかる荷重を小さく抑えるために、リフトハウジングには、粉砕ジャー保持ブラケット用の支台を構成するための、少なくとも一つの支台区画または支持区画が備えられていてもよい。粉砕ジャー保持ブラケットは、この目的のために、リフトハウジングのところに支台区画に対応する保持区画を有していてもよい。支台が構成されるためには、その前提として、支台区画が保持区画との接触状態に入ることが必要である。特にリフティング要素とクランプ要素とが接触状態に入る前に既に、ほかにもそれと同時に、またはほかにもその後に初めて、支台が構成されてもよい。しかしながらクランプ要素の持ち上げは、粉砕ジャー保持ブラケットのところの保持区画が、リフトハウジングのところの支台区画に対して当接した後に初めて行われるようにすると好適である。
【0076】
特に粉砕ジャー保持ブラケット用の支台により、クランプ力の伝達時にリフトハウジングが粉砕ジャー保持ブラケットのところに保持されていること、および、リフティング要素からクランプ要素に伝達される押付け力と、支台のところの反作用力とが、実質的に補償し合うことを請け合っている。その際にリフトハウジングは実質的にミルの底面を介しては支持されていないために、支持装置および粉砕ジャー保持ブラケットの軸受手段を介しての、緊締力または弛緩力の伝達は、実質的に不要となる。特にリフティング要素を持ち上げる際には、位置調節要素によって受け止めなければならない鉛直方向の力は、実質的に存在しない。
【0077】
粉砕ジャー保持ブラケットのところの保持区画は、支台を構成するために、リフトハウジングのところの支台区画を、下側および/または背後から把持してもよい。その代わりに、リフトハウジングのところの支台区画が、粉砕ジャー保持ブラケットのところの対応する保持区画を、下側および/または背後から把持することが可能である。粉砕ジャー保持ブラケットのところの支台区画は、特に有利なことにも、粉砕ジャー保持ブラケットの遊星シャフトの下側の端部のところに、例えば半径方向外側に向かって突出した段部として、構成されていてもよい。遊星シャフト内には、アンカー状またはピストン状のクランプ要素が、軸方向の位置または上下位置を調節可能であるように案内されていてもよい。リフトハウジングのところには、凹所が備えられていてもよく、そこには半径方向内側に向かって突出する、リフトハウジングのところの支台区画を形成する、突起が構成されている。
【0078】
支台を構成するか、または、リフトハウジングのところの支台区画と、粉砕ジャー保持ブラケットのところの、特に粉砕ジャー保持ブラケットの遊星シャフトのところの保持区画とが、接触状態に入ることを実現するために、リフトハウジングは、支台を構成するために粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に位置を調節可能、特に上下位置を調節可能であってもよい。支台の構成が、粉砕ジャーを装入する/取出す際に予定される支持装置の特定の回転配向の到達に結び付けられていると好都合である。なお、リフトハウジングの上下位置調節が行われる場合には、位置調節手段および任意には位置調節手段に接続された駆動部に、それ相応の上下位置調節機能が備えられると好適である。
【0079】
支持装置が中心軸まわりに回転する際には、または本発明にしたがったボールミルの運転時には、粉砕ジャー保持ブラケットが支持装置によって連動し、リフトハウジングに沿って自由に通過するように、および/または、一部がリフトハウジング内を通過するように、緊締機構および/または弛緩機構の設計形態が企図されていてもよい。
【0080】
クランプ要素が上下位置の調節を可能として内部に案内されていてもよい、遊星軸ブロックの一方の下側の端部のところに、保持区画が構成されている場合は、遊星軸ブロックは、一方の、リフトハウジングと対向している下側の端部により、リフトハウジング内の相応のリセスの中に嵌まり込むことができ、支持装置が回転運動を行う際には、このリセスを周期的に通り抜けることができる。この目的のために、リセスは、支持装置の周方向の両側で開口するように構成されていてもよく、そうすることによって、遊星軸ブロックの下側の端部がリフトハウジングを通り抜ける際に、構成部品が衝突し得ない。それに相応して、一方では粉砕ジャー保持ブラケットのところの、他方ではリフトハウジングのところの、保持ジオメトリーおよび支台ジオメトリーを設計する必要がある。粉砕ジャー保持ブラケット、特に粉砕ジャー保持ブラケットの軸ブロックと、リフトハウジングとの間の衝突を確実に排除できるようにするためには、例えばリフトハウジングのところに、専らリセスの幅の一部にわたり、および/またはリセスの周囲の長さの一部にわたり延伸している、さらに好適には向かい合って配置されている、支台区画が構成されていてもよい。
【0081】
本発明の好ましい一実施形態においては、リフトハウジングが、好適には専ら粉砕ジャー保持ブラケットおよび/または粉砕ジャー保持ブラケットの軸ブロックに対して相対的に上下位置を調節可能であるように配置されていても、また、粉砕ジャー保持ブラケットの自転軸に対して横向きの、および/またはクランプ要素の自転軸に対して横向きの、または支持装置の自転軸に対して横向きの方向に位置を固定して配置されていてもよい。
【0082】
リフティング要素への力伝達のためにカップリング要素が備えられている場合は、カップリング要素が、リフトハウジング内および/またはリフトハウジングのところに、位置を調節可能であるように案内されていても、また、好適には、リフトハウジングに対する相対的な位置調節運動の際に、粉砕ジャー保持ブラケットの自転軸に対して、および/またはクランプ要素の自転軸に対して横向きの方向に移動されてもよい。
【0083】
リフトハウジング内における、および/またはリフトハウジングに沿った、カップリング要素の案内は、ロールを介して行われてもよい。摺動接触も可能である。位置調節運動の際にリフトハウジング内でカップリング要素が引っ掛かって動かなくなるのを確実に排除できるようにするために、リフトハウジングはカップリング要素用の相応のガイド凹所を有しており、カップリング要素はその内部に、隙間を伴いながら、好適にはルースに密着することなく案内されている。さらに特に、リフトハウジングのところの、および/またはカップリング要素のところの、相応の案内ジオメトリーにより、リフトハウジング内でカップリング要素が回転を防いで案内されることを保証している。その場合は、スピンドルを介してカップリング要素を作動させる際に、専らカップリング要素のリフトハウジングに対する相対的な位置調節運動がスピンドルの長手方向において行われる。
【0084】
カップリング要素は、リフトハウジングと一緒に持ち上げ可能であるかまたは下降可能であると好適である。リフトハウジングの持ち上げまたは下降は、カップリング要素の位置調節運動またはカップリング要素の位置調節要素に対する相対運動により引き起こされると好適である。
【0085】
位置調節要素として例えばスピンドルスクリューが備えられており、ネジ孔が設けられた、スピンドルスクリューが貫通する、カップリング要素が、専らある方向に変位可能または位置調節可能であるようにリフトハウジング内で案内されている場合は、カップリング要素が運動する際にスピンドルスクリューが回転することによって、スピンドル軸に沿って、強制案内による、カップリング要素の、ひいてはリフトハウジングの、持ち上げまたは下降をもたらすことができる。
【0086】
例えばリフティングデバイスは、カップリング要素用の、好ましくは位置が固定された支持要素を有していてもよく、カップリング要素はその上に載置され、また、カップリング要素は、位置調節要素を使って、支持要素に対して相対的に位置を調節される。支持要素は、カップリング要素のために少なくとも二つの異なる高さレベルを提供でき、そこではカップリング要素が、位置調節要素を用いて位置調節され、また、位置調節の際に、リフトハウジングと一緒に、第1の高さレベルから第2の高さレベルへと誘導される。この場合は、位置調節要素を用いたカップリング要素の位置調節運動の際には自動的に、カップリング要素および位置調節要素の上下位置、ひいてはリフトハウジングの上下位置も変更される。
【0087】
本発明にしたがって備えられる、支持装置の回転運動および/または粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されているリフティング要素を有するリフティングデバイスを通して、リフティングデバイスは複数のクランプ要素を同期で持ち上げるおよび/または下降させるように構成されていてもよい。この目的のために、位置調節要素を備えていてもよく、その位置調節の結果、複数のリフティング要素が作動され、特に持ち上げられ、それに伴い複数の粉砕ステーションのクランプ要素が同期で持ち上げられるおよび/または下降することになる。例えばスピンドルスクリューを備えていてもよく、その周囲には、二つのカップリング要素が軸方向に運動可能であるように案内されている。各カップリング要素は、リフティング要素と協働し、その際にはスピンドルの位置調整運動により、すなわちスピンドルの自転軸まわりの自転により、カップリング要素が同時にリフティング要素との接触状態に入り、それを受けて、リフティング要素の側では、二つの粉砕ジャー保持ブラケットのクランプ要素との接触状態に入り、クランプ要素を作動させる、特に持ち上げることができる。位置調節要素がスピンドルスクリューとして構成されており、かつカップリング要素が、スピンドルスクリューの周囲に、軸線方向に位置を調節可能であるように案内されている場合には、カップリング要素がネジ孔を、またそれに相応してスピンドルスクリューが回旋方向を異にする雄ネジ区画を有していてもよく、それにより、スピンドルスクリューが回転運動を行う際には、両方のカップリング要素の逆方向への位置調節運動がもたらされる。例えば、左ネジが切られた雄ネジ区画と、右ネジが切られた雄ネジ区画とを有するスピンドルが、位置調節要素として、それ相応に回旋の向きが異なる雌ネジ孔を有しているカップリング要素と一緒に使用されてもよい。その場合は両方のカップリング要素を用いて簡単に、同時に二つのリフティング要素を位置調節する、特に持ち上げるかまたは下降させることが可能となり、二つのリフティング要素の側では、二つの粉砕ステーションのクランプ要素に対して作用を及ぼす。
【0088】
本発明にしたがったミルの好ましい一実施形態は、少なくとも二つの粉砕ジャー保持ブラケットと、それぞれ一つの粉砕ジャー保持ブラケットのところで、もしくはこれに対して、および/もしくはそれぞれ一つの粉砕ジャー保持ブラケット内で、それぞれ一つの粉砕ジャーを軸方向に保持もしくは緊締するための、ならびに/または軸方向に弛緩させるための、クランプ要素をそれぞれ備えた、少なくとも二つの緊締デバイスとを有しており、特にそこでは、複数の、好適には全てのクランプ要素を、同時に、および/もしくは同期で、持ち上げる、および/もしくは下降させるための、共通のリフティングデバイスが備えられている。但し、複数の位置調節要素を備え得ることによって、複数のカップリング要素の位置を、任意には互いから独立して調節できることは排除されていない。ほかにもネジ山は、同じ回旋方向に構成されたものであってもよく、それにより両方のカップリング要素は、位置調節要素の位置調節運動の際には同じ方向に位置を調節される。
【0089】
それ以外にも、本発明の第2の態様のさらなる部分態様は、ラボスケールのボールミルであって、
- 位置調節要素が、支持装置の回転運動および/もしくは粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている、ならびに/または、
- 位置調節要素とリフティング要素との運動を連成するために、少なくとも一つのカップリング要素が備えられており、その際に好適には、カップリング要素の位置調節要素に対する相対的な位置が、位置調節要素のローテーションにより調節され、また、カップリング要素が、支持装置の回転運動および/もしくは粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている、ならびに/または、
- リフティングデバイスが少なくとも一つのリフトハウジングを有しており、また、リフティング要素がリフトハウジング内に、好適には上下位置を調節可能であるように、さらに好適には側方に隙間を伴うように、案内されている、および/もしくは支承されている、ならびに/または、
- リフトハウジングが、支持装置の回転運動および/もしくは粉砕ジャー保持ブラケットの回転運動から運動学的に切り離されている、ならびに/または、
- リフトハウジングのところに、粉砕ジャー保持ブラケット用の支台を構成するために、少なくとも一つの支台区画が(備えられている、ならびに/または、
- カップリング要素が、リフトハウジング内および/もしくはリフトハウジングのところに、好適には、粉砕ジャー保持ブラケットおよび/もしくはクランプ要素の遊星軸に対して横向きの方向に、リフトハウジングに対して相対的に位置を調節可能であるように、案内されている、ならびに/または、
- カップリング要素を、リフトハウジングと一緒に持ち上げることができるかまたは下降させることができ、その際に、好適には持ち上げもしくは下降が、カップリング要素の位置調整要素に対する相対的な位置調節運動により引き起こされる、ならびに/または、
- リフティングデバイス(30’)が、複数のクランプ要素(19’)を同期で持ち上げるおよび/または下降させるように構成されている、
ラボスケールのボールミルに関する。
【0090】
最後に本発明の第3の態様は、ラボスケールのボールミル、特に遠心ボールミルおよび/または遊星ボールミルの形態をとる、ラボスケールのボールミルであって、粉砕ジャーカバーを用いて封止可能な少なくとも一つの粉砕ジャー用の、少なくとも一つの粉砕ジャー保持ブラケットと、粉砕ジャー保持ブラケットのところで、もしくはこれに対して、粉砕ジャーを軸方向に保持するかもしくは軸方向に緊締するための、および/または、粉砕ジャーを軸方向に弛緩させるための、少なくとも一つのクランプ要素と、好適には、中心軸まわりに回転可能に支承された支持装置とを備えており、その際粉砕ジャー保持ブラケットが、支持装置に対してオフセットされた遊星軸まわりに回転可能に支承されているとともに、これによって中心軸まわりに連動する、ラボスケールのボールミルに関する。それ以外にも本発明は、前記請求項のいずれか1項に記載の実験室用ミル用の粉砕ジャーに関する。
【0091】
本発明にしたがった実験室用ボールミルは、粉砕ステーションを一つだけ備えた遊星モノボールミルもしくは遠心モノボールミルとして構成されていても、またはほかにも複数の粉砕ステーションを備えたボールミルとして構成されていてもよく、その際粉砕ステーションが、好適には、慣性モーメントを可能な限り良好に補償するために中心軸まわりに対称に配置されている。
【0092】
ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書には、実験室用ボールミルが開示される。これは、鉛直中心軸まわりに自転する支持装置を有している。支持装置のところには、複数の粉砕ステーションが、支持装置に対して、中心軸に対して平行にオフセットされたそれぞれの遊星軸まわりに回転可能に支承されており、そこでは各粉砕ステーションが、粉砕物および粉砕体、特に粉砕ボールを充填可能な最低でも一つの粉砕ジャー用のケージ状の収容装置を有している。各収容装置は、支持装置によって中心軸まわりに連動する上に、それに追加して、支持装置に対して-大抵の場合は逆方向に-それぞれの遊星軸まわりに自転する。
【0093】
ドイツ特許出願公開第102012009987号明細書に説明される実験室用ボールミルは、収容装置内の粉砕ジャーを軸方向に緊締するためのクランプ要素を備えた緊締デバイス、および、収容装置内の粉砕ジャーの緊締を自動的に実行する、クランプ要素用のモータ駆動部を有している。軸方向の緊締は、粉砕ジャー用の収容装置内に回転可能に支承された、遊星軸に対して横向きに延伸する偏心軸ブロックをクランプ要素として利用して遂行される。ボールミルは、支持装置外の機器ハウジングに対して位置を固定して取り付けられたモータを有している。モータは駆動軸ブロックを駆動するが、駆動軸ブロックの端部には、偏心軸ブロックに連結できるようにするために、スリットが切られている。偏心軸ブロックへの連結は、粉砕ステーションが特定の着脱ポジションおよび正しい回転配向にあるときにのみ可能となっている。その後にはモータを介して偏心軸ブロックを回転させることが可能になり、その際には、偏心軸ブロックの軸方向に変化する高さが、皿バネを介してスプリングマウント式圧力板に伝達され、この圧力板により、粉砕ジャーの上側の粉砕ジャーカバーが収容装置のストップ部に衝突するまで、粉砕ジャーは持ち上げられる。偏心軸ブロックを回し戻すことによって、緊締を再び緩めることができる。
【0094】
公知のボールミルは、複雑な設計構造を有している。さらに、粉砕ジャーを緊締する/弛緩させるための、モータと偏心軸ブロックとのカップリングが困難である点が短所となっている。偏心軸ブロックは粉砕ジャー用の収容装置内に支承されているために、ボールミルの運転時には偏心軸ブロックも同様にローテートし、それによりアンバランス効果がもたらされ、それが、振動および摩耗増を招いている。収容装置はリジッドケージとして構成されているため、粉砕ジャーへのアクセスは著しく制約されている。試料回収のためには、粉砕ジャーをケージから外すことが常に要求される。したがって公知のボールミルでは操作時の使い勝手がユーザにとりあまり良くないものとなっている。
【0095】
それ以外にも本発明の課題は、高い操作快適性と同時に、高度な安全性およびボールミルへのアクセシビリティを改善することによる特に快適な試料回収を可能にするボールミル、およびそのようなミル用の粉砕ジャーを提示することである。特に粉砕ジャー保持ブラケットのところでの粉砕ジャーの緊締および弛緩は、より迅速に実行可能かつより簡単であるべきである。好適には、ボールミルがシンプルな設計構造を有するべきである。それに加えて、ボールミルの運転時のアンバランスは僅かであるべきである。
【0096】
上記課題は、請求項7に記載のボールミル、または請求項10に記載の粉砕ジャーにより解決される。本発明の有利な形態は、従属請求項8および9の対象となっている。
【0097】
上記課題を解決するために、第3の態様によれば、冒頭に記した種類のボールミルにおいて、本発明にしたがって、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、粉砕ジャーのための緊締力および/または保持力が、粉砕ジャーの外筒面だけに、および/または底面だけに付勢されるようにすることが提案される。本発明のもう一つの態様は、粉砕ジャーが緊締された状態における、緊締状態を維持したままでの、粉砕ジャーカバーへの上からの自由なアクセシビリティに関し、そこでは、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、粉砕ジャーカバーに上から緊締力が付勢されることがないように、緊締デバイスが構成されている。
【0098】
本発明にしたがった粉砕ジャーは、前記の課題を解決するために、ボールミルの粉砕ジャー保持ブラケットのところのストップ部用の、少なくとも一つの外筒面の保持手段を有している。
【0099】
下記では、「粉砕ジャー」という用語を、粉砕器の粉砕ジャーが粉砕ジャー保持ブラケットのところでダイレクトに緊締または保持される粉砕器、および、粉砕ジャーが、別体の構成部品である粉砕ジャーアダプターを介して、粉砕ジャー保持ブラケットのところで緊締または保持されるような粉砕器について、等しく使用するものとする。
【0100】
したがって、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して、粉砕ジャーを軸方向に緊締または保持するためのクランプ力および/または保持力は、専ら外筒面の領域内におよび/または粉砕ジャーの底面を介して加えられるが、粉砕ジャーカバーを介しては加えられない。それにより、緊締された状態にあるときに、粉砕ジャーカバーに、カバー側から、すなわち上から、緊締デバイスに束縛されずにアクセスすることができる。それにより、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときにも、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットから取り外す必要なく、快適な試料回収が可能である。粉砕ジャーカバーは、それ自体として従来技術から公知の挟持手段および/またはスクリュー手段を介して、粉砕ジャーに離脱可能に接続されていてもよい。
【0101】
緊締デバイスは、粉砕ジャー保持ブラケットのところでもしくはこれに対して、粉砕ジャーを保持もしくは軸方向に緊締するために、および/または粉砕ジャーを軸方向に弛緩させるために、利用されるものであり、したがって、それ自体として従来技術から公知の挟持手段および/またはスクリュー手段を用いて行うことができる、粉砕ジャーに対する粉砕ジャーカバーの緊締とは異なる。
【0102】
粉砕ジャーを軸方向に保持もしくは軸方向に緊締するために、および/または粉砕ジャーを軸方向に弛緩させるために、クランプ要素は、粉砕ジャーに緊締力を外筒面から、および/または下面もしくは底面から伝達するように構成されている。
【0103】
本発明のシンプルな一設計形態においては、粉砕ジャー保持ブラケットのところで、もしくはこれに対して、粉砕ジャーを軸方向および/もしくは半径方向に緊締するために、ならびに/または、粉砕ジャーを軸方向および/もしくは半径方向に弛緩させるために、クランプ要素が軸方向の位置を調節可能として構成されていることが企図される。そこではクランプ要素の位置調節が、粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に行われる。
【0104】
好ましい一実施形態においては、クランプ要素が、粉砕ジャーを緊締するために、持ち上げられるか、または押し上げられ、また粉砕ジャーを弛緩させるために、それ相応に下降するか、または引き下ろされる。しかし、クランプ要素が、粉砕ジャーを緊締するために、下降するか、または引き下ろされ、また粉砕ジャーを弛緩させるために、それ相応に持ち上げられるか、または押し上げられるような設計形態が排除されてはいない。
【0105】
クランプ要素には、少なくとも一つのバネ要素を介して、バネ荷重がかかっていてもよい。好適には、粉砕ジャーの緊締に必要なクランプ力は、バネ要素だけを介して加えられる。この場合は粉砕ジャーを弛緩させるために、クランプ要素を、バネ要素のバネ力に抗って、粉砕ジャー保持ブラケットが緊締された状態にある、第1の位置から、粉砕ジャーを弛緩させた状態にある、第2の位置へと移動させることが必要となる。このために必要な位置調節力は、モータ駆動部を用いて、またはほかにも手動により、発生させてもよい。それとは逆に、別の一形態において、粉砕ジャーの緊締に必要なクランプ力が、モータ駆動部を介して加えられるようにすることも可能である。クランプ要素が、モータ駆動部からのクランプ要素への力伝達が行われない、モータから解放された状態となった後には、クランプ要素を次に、少なくとも一つのバネ要素を介して、粉砕ジャーが弛緩された状態となる位置に移動することができる。
【0106】
粉砕ジャー保持ブラケットが、粉砕ジャーの外周部に構成された、少なくとも一つの突出した粉砕ジャーの保持手段のための支台として、少なくとも一つのストップ部を有していると好都合であり、その場合は粉砕ジャーが、緊締力が伝達される際には、ストップ部と保持手段とを介して、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して、軸方向に、また好適には周方向に、緊締または保持される。
【0107】
クランプ要素から粉砕ジャーに緊締力が伝達されると、次にそれを受けて、保持突起が粉砕ジャーと一緒に位置を軸方向に調節されてストップ部に対して押し付けられる。ストップ部と保持突起とが相補的なジオメトリーを有することによって、クランプ要素を用いて粉砕ジャーが弛緩した状態から緊締された状態へと移行されるときには、粉砕ジャーの自動的な心出しをもたらすことができる。
【0108】
ストップ部は、好ましくは粉砕ジャー保持ブラケットの外周部の領域内に備えられていてもよい。粉砕ジャー保持ブラケットは、さらに好ましくは複数のストップ部を、粉砕ジャーのところの複数の保持突起のための支台として有していてもよく、その場合はストップ部間に、粉砕ジャーのための特に円形の装入領域が形成される。この場合は簡単に、粉砕ジャー保持ブラケットのストップ部間の装入領域の中に粉砕ジャーを上から装入し、続いて緊締することができる。
【0109】
粉砕ジャーカバーへの容易なアクセシビリティを高い操作快適性で達成するために、粉砕ジャー保持ブラケットのところのストップ部は、粉砕ジャー保持ブラケット内または粉砕ジャー保持ブラケットのところに保持された粉砕ジャーに関して、その高さの下半分の領域内に、好適には粉砕ジャーの高さの下三分の一の領域内に、特に粉砕ジャーの底面付近の領域内に備えられていてもよい。粉砕ジャーはそれに相応して、高さの下半分の領域内に、好適には粉砕ジャーの高さの下三分の一の領域内に、特に底面付近の領域内に、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときにはストップ部と協働する少なくとも一つの保持突起を保持手段として有している。その場合はストップ部の上側の領域内で、粉砕ジャーに上から、および好適には外筒面から自由にアクセス可能であり、その際には、粉砕ジャー緊締および/または緊締デバイスの部材によって邪魔されることなく、粉砕ジャーのこの領域内に手でアクセスできる。
【0110】
それ以外にも粉砕ジャー保持ブラケットは、粉砕ジャー保持ブラケットの周方向への粉砕ジャーの回転運動を制限する、少なくとももう一つのストップ部を有していてもよい。そのために、もう一つのストップ部は、好適には粉砕ジャーの外周部のところの保持手段と協働する。保持手段は、粉砕ジャー保持ブラケット内に粉砕ジャーを装入した後、および/または、粉砕ジャー保持ブラケットの上に保持ジャーを被せた後に、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に回転することによって、もう一つのストップ部に対して当接するように移動されてもよい。それにより、粉砕ジャーが、弛緩した状態において粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に回転されることによって、あるポジションに簡単に移動されることが可能になり、続いてこのポジションにおいて、緊締力が伝達されることによって、粉砕ジャーが、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して緊締されるとともに、好適には、緊締の際の粉砕ジャーの軸方向の運動に基づいて、自動的に粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に心出しされる。
【0111】
粉砕ジャー保持ブラケットのところのストップ部、および粉砕ジャーのところの保持手段は、相補的なジオメトリーを有しており、それにより、粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、ストップ部および保持手段を介して、粉砕ジャーと粉砕ジャー保持ブラケットとの間の、軸方向に、好適には周方向に作用する、形状同士の係合による接続状態を達成することができる。それにより粉砕ジャーが、緊締された状態にあるときには、粉砕ジャー保持ブラケットに確実に取り付けられていることを保証している。
【0112】
粉砕ジャー保持ブラケットおよび粉砕ジャーは、相補的な係止手段を有していてもよく、そこでは好適には係止手段が、粉砕ジャーが粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的な特定の回転ポジションに到達すると、スナップイン式接続部を構成するように、さらに好適には、スナップイン式接続部を、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して粉砕ジャーを緊締する前に構成するように、構成されている。例えば粉砕ジャー保持ブラケットのところには、粉砕ジャーが特定の回転ポジションに到達すると、粉砕ジャーの外周部のところの開口部または凹部にスナップイン式に嵌まり込む、少なくとも一つのスラストボールが、好適には粉砕ジャーと向き合う側面に備えられていてもよい。それにより、粉砕ジャーがまだ弛緩した状態にある、すなわち粉砕ジャーに緊締力がまだ伝達されていない場合に、粉砕ジャーの特定の回転ポジションを簡単に見つけ得る。粉砕ジャー保持ブラケットと粉砕ジャーとの間のスナップイン式接続部および/または形状同士の係合を利用した接続部により、緊締の前に、粉砕ジャーが、粉砕ジャー保持ブラケットに対する相対的な特定の回転ポジションから意図せず移動されないことを、簡単に保証することができる。
【0113】
本発明の設計上シンプルな一形態においては、粉砕ジャー保持ブラケットに、粉砕ジャー保持ブラケットの外周部のところに配置される少なくとも一つの耳金を備え、その際にはストップ部が耳金に一体化されていることが企図される。このために耳金には凹所が設けられていてもよく、その場合は、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケット内に装入した後に、および/または、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットの上に被せた後に、粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に回転させることによって、粉砕ジャーのところの突出している保持手段を、この凹所の中に回し入れることができる。続いて粉砕ジャーを粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的に持ち上げるか、または下降させることによって、その後には保持手段を耳金内のストップ部に対して緊締することができる。
【0114】
本発明にしたがったミルの、粉砕運転の間の粉砕ジャーのミルからの脱落防止性を向上させるために、また、ミルの運転前に、粉砕ジャーが規定通りに粉砕ジャー保持ブラケット内および/または上に装入もしくは被せられていることを請け合うために、粉砕ジャーと運動を連成することができる、好適には粉砕ジャーに備えられた保持手段を用いて、持ち上げることができる、および/または下降させることができる、軸方向に位置を調節可能なスライダーが備えられていてもよく、そこではスライダーが、粉砕ジャーが装入されていないとき、または規定通りには装入されていないときには、機械的ストッパーを形成することによって、粉砕ジャー保持ブラケットの回転を排除している。それにより、粉砕ジャー保持ブラケット用の支持装置が回転し、それに伴い実験室用ミルが規定通りに運転されなくなる事態が効果的に防止される。
【0115】
本発明の第3の態様のさらなる部分態様は、ラボスケール用のボールミルであって、
- 粉砕ジャー保持ブラケットが、複数のストップ部を粉砕ジャーのための支台として有しており、その際にはストップ部間に、粉砕ジャーのための装入領域が形成される、ならびに/または、
- 粉砕ジャーには、専ら粉砕ジャーの高さの下半分の領域内に、好適には粉砕ジャーの高さの下三分の一の領域内に、さらに好適には底面付近の領域内に、緊締力および/もしくは保持力が付勢される、ならびに/または、
- 粉砕ジャー保持ブラケットは、粉砕ジャー保持ブラケットの外周部に配置される少なくとも一つの耳金を有しており、その際にはストップ部が耳金に一体化されている、ならびに/または、
- 粉砕ジャー保持ブラケットおよび粉砕ジャーが、相補的な係止手段を有しており、また好適には、粉砕ジャーが粉砕ジャー保持ブラケットに対して相対的な特定の回転ポジションに到達すると、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して粉砕ジャーを緊締する前に、スナップイン式接続部を構成するように、係止手段は配設されている、ならびに/または、
- 少なくとも一つの係止手段が耳金に一体化されている、ならびに/または、
- 粉砕ジャーと運動を連成することができる、好適には粉砕ジャーのところの保持手段を介して、持ち上げることができる、および/もしくは下降させることができる、軸方向の位置を調節可能なスライダーが備えられており、その際にはスライダーにより、粉砕ジャーが装入されていないか、もしくは規定通りには装入されていない場合に、機械的ストッパーが形成されることによって、粉砕ジャー保持ブラケットの回転が排除されている、
ラボスケールのボールミルに関する。
【0116】
本発明の上記の態様は、例え明示的な言及が逐一なされていないとしても、段落書式に関係なく、随意互いに組み合わせることが可能である。
【0117】
本発明の前記の態様および以下の説明から明らかにされる本発明の態様は、互いから独立して実現可能であるが、随意組み合わせて実現することもできる。
【0118】
本発明のさらなる長所、特徴、特性および態様は、特許請求の範囲、および以下の好ましい実施例の図面に基づく説明から明らかにされる。
【0119】
以下では、本発明を実施例に基づき図を参照しながらより詳細に解説するが、実施例の特徴は互いに組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】第1実施例にしたがった向かい合って配置される二つの粉砕ステーションが備えられた、本発明にしたがったボールミルの概略的な断面図である。
図2】粉砕ステーションのところで粉砕ジャーを軸方向に緊締したり弛緩させたりするためのクランプ要素の側面図である。
図3図2からのクランプ要素の透視図である。
図4図2からのクランプ要素の端面図である。
図5図2からのクランプ要素に接続するための接合ジオメトリーを有している、粉砕ジャーに接続可能な補助ディスクの断面図である。
図6図5からの補助ディスクを上から見た上面図である。
図7】第2実施例にしたがった本発明にしたがった粉砕ジャーが備えられた、本発明にしたがったボールミルの概略的な断面図である。
図8】二つの粉砕ジャー保持ブラケットが備えられた、本発明にしたがったボールミルの透視図である。
図9図8からのボールミルの上面図である。
図10図8からのボールミルを、図2からの切断線III-IIIに沿って切り取ったときの部分断面図であり、そこには緊締された状態にある粉砕ジャー保持ブラケットが図示されている。
図11図8からのボールミルの、粉砕ジャー保持ブラケットが弛緩した状態にあるときの、右側の粉砕ジャー保持ブラケット、およびこの粉砕ジャー保持ブラケット用のリフティングデバイスの一部を示す、部分断面図である。
図12図8からのボールミルを、図9からの切断線V-Vに沿って切り取ったときの断面図である。
図13図12からの細部VIの拡大図である。
図14】ボールミル用の配列の透視図であり、そこでは配列に、粉砕ジャー保持ブラケットと、粉砕ジャー保持ブラケットのところでまたはこれに対して、図17図19に示される粉砕ジャーアダプターを軸方向に保持するか、または軸方向に緊締するように、および粉砕ジャーを軸方向に弛緩させるように、構成された、緊締デバイスとが含まれる。
図15図14の配列を上から見た上面図である。
図16図15からの線III-IIIに沿って切り取ったときの断面図であり、そこには配列に接続された、示されない粉砕ジャー用の粉砕ジャーアダプターが図示されている。
図17】粉砕ジャー保持ブラケットと緊締デバイスとから成る図14に示す配列を、図14からの矢印IVの向きに見た側面図であり、そこには配列に接続された、示されない粉砕ジャー用の粉砕ジャーアダプターが図示されている。
図18図17からの配列を、図15からの切断線V-Vに沿って切り取ったときの断面図である。
図19図17に示される配列を、図18からの切断面VIに沿って切り取ったときの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図においては、同一部品または類似部品に対して同じ符合が使用され、その際には例え簡略化の理由から説明の繰り返しが省略されていたとしても、同等の特性および長所が達成される。
【0122】
図1から図7には、ここに提案される本発明の第1の態様にしたがったボールミルが示される。
【0123】
図1には概略的な断面図に、ここに提案される、一つまたは複数の、特に二つの、好適には同じ設計仕様の粉砕ステーション2が備えられた、第1実施例にしたがったボールミル1が示される。
【0124】
ボールミル1は、実験室用ミルまたは遊星ボールミルとして実施されていると好適である。
【0125】
以下では、二つの粉砕ステーション2が備えられたボールミル1を例にとり、本発明を解説する。しかし、ボールミル1の特徴の説明は、二つの粉砕ステーション2が備えられたボールミル1に限定されるものではなく、三つ以上の粉砕ステーション2が備えられた実験室用ボールミルについて、またはほかにも遊星モノボールミルについて等しく当てはまる。粉砕ステーション2は好適には同じ構造を有しているために、下記ではボールミル1または粉砕ステーション2の特徴および構成要素について、主に専ら図1の左側に図示される粉砕ステーション2を例にとり説明するものとする。
【0126】
粉砕ステーション2は、粉砕ジャー4用の粉砕ジャー保持ブラケット3を有している。
【0127】
粉砕ジャー4は、任意選択により、好適には複数のスクリュー6を介して、補助ディスクもしくはエンドピースもしくは底面要素5を備えているか、または、補助ディスクもしくはエンドピースもしくは底面要素5に固定式に接続されている。粉砕ジャー4と、補助ディスクまたは底面要素5は、基本的にはまた一体式に構成されていてもかまわない。それに対応して、補助ディスクもしくは底面要素5または粉砕ジャー4のいずれかが、端面または粉砕ジャー端部を形成するが、粉砕ジャー4は、運転状態にあるときには-すなわち図1に示されるような運転状態にあるときには-、この端面または端部により、粉砕ジャー保持ブラケット3の上に嵌め合わされているか、または保持されている。
【0128】
粉砕ジャー保持ブラケット3は、支持装置7に対してまたは支持装置7のところに、鉛直遊星軸Y1まわりに回転可能に支承されている。
【0129】
支持装置7は、好適には中央軸受シャフト9の中心軸Y2まわりに回転可能である、特に軸受9aを介して回転可能に支承されている、太陽歯車8を有している。
【0130】
粉砕ジャー保持ブラケット3は、好適にはシャフト10または軸受または転がり軸受10aを介して、特に太陽歯車8のところまたはその内部に回転可能に支承されている。
【0131】
好適には支持装置7または太陽歯車8は、不図示の電気駆動モータにより、または好適には単に示唆されるベルトドライブ11aを介して駆動される。支持装置7または太陽歯車8が自転する際には、粉砕ジャー保持ブラケット3が中心軸Y2まわりに連動する。
【0132】
粉砕ステーション2またはシャフト9の(回転)駆動は、ベルト滑車11cおよび11dにより示唆されるように、回転カップリング部またはベルトカップリング部11bを介して行われると好適である。
【0133】
両方の粉砕ステーション2は、中心軸Y2を間に挟んで対向しているため、これらの慣性モーメントは補償し合う。
【0134】
粉砕ジャー保持ブラケット3は好適には、粉砕ジャー4を保持するための粉砕ジャー保持皿12を有している。
【0135】
粉砕ジャー4を粉砕ジャー保持皿12もしくは粉砕ジャー保持ブラケット3に対して軸方向に保持もしくは緊締するために、および/または…を軸方向に弛緩させるために、クランプ要素13もしくは緊締デバイス14が備えられている。特に、緊締デバイス14はクランプ要素13を有する。
【0136】
クランプ要素13は、好適には遊星軸Y1に対して共軸で延伸しており、そこではクランプ要素13の縦軸と遊星軸Y1とが一致している。
【0137】
クランプ要素13は、粉砕ジャー保持ブラケット3のシャフト10に回転を防いで接続されているが、図1において矢印または昇降運動Hにより図式的に示されるように、シャフト10の周囲またはその内部に、軸方向に運動可能であるように案内されていると好適である。
【0138】
クランプ要素13を、図1に示される保持位置または緊締位置へと(軸方向に)下降させることによって、軸方向の保持力または引張力を、クランプ要素13および任意選択による補助ディスク5を介して、粉砕ジャー4に伝達することができる。保持力または引張力により、結果として粉砕ジャー4は、(補助ディスク5を介してまたはこれを用いて)粉砕ジャー保持ブラケット3の粉砕ジャー保持皿12に対して下向きに保持されるか、または引き下げられることになり、したがって粉砕ジャー4は、特に底面側または下面側だけで、粉砕ジャー保持ブラケット3に対してまたは粉砕ジャー保持ブラケット3のところに、保持されるか、または軸方向に緊締される。
【0139】
図1に図示されるような-組付け状態または運転状態においては、粉砕ジャー4、または、存在する場合は補助ディスク5が、底面または下面により、特に接触面および心出し面16により、粉砕ジャー保持ブラケット3または粉砕ジャー保持皿12の上に、特に好ましくはそれにより形成された接触面および心出し面15の上に、嵌まり合っている。
【0140】
特に粉砕ジャー保持ブラケット3と粉砕ジャー4、または接触面および心出し面15、16は、粉砕ジャー保持ブラケット3上においてまたは遊星軸Y1もしくはシャフト10に対して、粉砕ジャー4の半径方向のセンタリングが行われるように、および/または、好適には形状同士の係合による連れ回りもしくは回転カップリングが行われるように、互いに対して適合化されている、および/または相補形に構成されている。但しその代わりに、またはそれに追加して、センタリングまたは回転カップリングが、ほかにもクランプ要素13または緊締デバイス14を、粉砕ジャー4またはその補助ディスク5のところで、軸方向に保持するかまたは緊締する、および/または係合させることによって、行われるようにしてもよい。加えて、その代わりに、またはそれに追加して、所望されるポジショニング、センタリング、および/または回転カップリングのために、一方では粉砕ジャー4またはその補助ディスク5と、他方では粉砕ジャー保持ブラケット3またはその粉砕ジャー保持皿12との間に、ピンまたは空回り止め要素26などの、一つまたは複数の係合要素も嵌め込まれるようにしてもよい。
【0141】
粉砕ジャー4を弛緩させるために、またはこれを粉砕ジャー保持ブラケット3から取り外すために、クランプ要素13は持ち上げられる。その場合は例えば粉砕ジャー4を回すことによって、クランプ要素13または緊締デバイス14の係合から離脱させてもよい。
【0142】
クランプ要素13を持ち上げることにより、好適には軸方向のリフト力がクランプ要素13を介して粉砕ジャー4に伝達され、それにより粉砕ジャー4は(存在する場合は補助ディスク5とともに)粉砕ジャー保持ブラケット3の粉砕ジャー保持皿12から持ち上げられる、および/または、粉砕ジャー4は軸方向に取り外されるか、または弛緩する。
【0143】
好適には粉砕ジャー4の弛緩時には、力が下からクランプ要素13に向かって作用して、クランプ要素13を、粉砕ジャー保持皿12および補助ディスク5の接触面および心出し面15、16に対して相対的に持ち上げる。
【0144】
任意選択によるホルダまたはポット17は、ここでは、クランプ要素13に軸方向の予荷重をかけるための、または、クランプ要素13を下向きに、もしくは保持ポジションもしくは緊締ポジションへと、移動させるための、一つまたは複数のバネ、特に皿バネ18を収容または固定保持または支承するために利用される。
【0145】
クランプ要素13は、ホルダまたはポット17に特に固定式に接続されていると好適であり、それによりクランプ要素13とホルダまたはポット17との間の軸方向の相対運動は不可能となっている。
【0146】
皿バネ18の代わりに、ほかにも位置エネルギーを貯蔵するためのその他の手段、例えばガス圧スプリングが備えられてもかまわない。
【0147】
図示の例においては、バネ18とシャフト10との間に、任意選択によるスリーブ19が配置されている。
【0148】
皿バネパッケージは、半径方向で内側に位置して、好適には図1に示される下側の、太陽歯車8内のシャフト10を軸受している転がり軸受10aの内輪に対して当接している。すなわちバネ18は、好適には、粉砕ジャー保持ブラケット3、シャフト10、およびクランプ要素13、ならびにポットおよび/またはベルト滑車11cと一緒に自転できる。
【0149】
クランプ要素13が持ち上げられる際には、皿バネ18に予荷重がかかるか、または、荷重がさらに増大される。粉砕ジャー4が(補助ディスク5とともに)十分に高く持ち上げられ、その結果、粉砕ジャー4が、補助ディスク5とともに粉砕ジャー保持皿12に対して相対的に回転できるか、または、粉砕ジャー保持皿12および/もしくはクランプ要素13によって回転させ得るか、もしくは緊締デバイス14によって緩められ得る場合には、粉砕ジャー4を補助ディスク5とともにボールミル1から取り出すことができ、また、選択により新しい粉砕ジャー4をボールミル1に装入することができる。
【0150】
示される実施形態においては、クランプ要素13を好適には、バヨネットジョイント部を介して差し込み運動と回転運動とを組み合わせることによって、補助ディスク5または粉砕ジャー4に接続できる。それに対応して補助ディスク5または粉砕ジャー4は、下面に、クランプ要素13に離脱自在に接続するためのまたは緊締デバイス14が係合もしくは把持するための接続領域または接続区画21を有しているのが好ましい。クランプ要素13および補助ディスク5の好ましい接続ジオメトリーは、図2図6に詳しく示されている。
【0151】
図2図4には、プルアンカーとして構成されると好適であるクランプ要素13が示される。クランプ要素13は、粉砕ジャー4と対向するその端部のところに、周方向に互いから離隔している、ここでは好適には三つの半径方向の接続突起20を備えた、最低一つの係合区画または第1接続ジオメトリーを有している。粉砕ジャー4のところ、または補助ディスク5のところには、それに合わせて、特に一つまたは複数の好適には相補形の接続突起または接続区画21の形態をとる、接続領域が備えられており、接続時には、これらの接続突起または接続区画21が、クランプ要素13またはクランプ要素13の接続突起20と協働する、特に軸方向に形状同士の係合により保持するために、クランプ要素13または緊締デバイス14によって軸方向に上から把持される。
【0152】
ボールミル1または緊締デバイス14は好適には、クランプ要素13を軸方向に移動させるかまたは持ち上げるための、または粉砕ジャー4の弛緩もしくは粉砕ジャー保持ブラケット3からの取外しを自動的に実行するかもしくは引き起こすための、リフトデバイス22を有している。特にリフトデバイス22は、クランプ要素13に例えばリフト要素23を利用して軸方向の力(リフト力)を作用させることができ、図1には、下降した状態にあるときの、または緊締されているかもしくは粉砕ジャー4を保持する状態にあるときのクランプ要素13だけが図示されている。
【0153】
粉砕ジャー4とクランプ要素3との接続は、粉砕ジャー4を(補助ディスク5とともに)粉砕ジャー保持皿12の上面のところの接触面および心出し面15の上に被せることによって行われ、その際には粉砕ジャー4が補助ディスク5とともに、バヨネットジョイント部を構成するために(接続突起20、21の位置を軸方向に合わせるか、または接続突起20、21が軸方向に重なり合うようにするために)被せたままの状態で、粉砕ジャー保持皿12に対して相対的に回される。好適にはそのために、粉砕ジャー4は補助ディスク5とともに粉砕ジャー保持皿12から-特にクランプ要素13を用いて-上向きに持ち上げられ、軸方向に弛緩された状態になければならない。
【0154】
引き続いてクランプ要素13が降下するか、またはクランプ要素13に対して作用する、クランプ要素13を持ち上げるためのリフト力が撤回されることにより、皿バネ18または緊締デバイス14は、粉砕ジャー4を補助ディスク4およびクランプ要素13を介して(補助ディスク5とクランプ要素13との間に形成されたバヨネットジョイント部に基づいて)粉砕ジャー保持皿12の接触面および心出し面15の上で、すなわち粉砕ジャー保持ブラケット3のところで、固定するか、保持するか、または緊締する。粉砕ジャー4の取出しプロセスは、それに相応して、逆の順序で展開される。
【0155】
一つ、複数または全てのクランプ要素13を(同時に)持ち上げるために、リフトデバイス22が備えられており、これは、クランプ要素13の下側に配置された、模範的にはリフト板として構成されたリフト要素23を有していると好適である。リフト要素23を持ち上げることによって、全てのクランプ要素13を持ち上げるために十分なリフト力を同期で伝達して、複数の粉砕ジャー4、特に全ての粉砕ジャー4を同期で同時に弛緩させることが可能である。粉砕ジャー4のポジションに依存しない弛緩の実現は、このようにして簡単に可能である。
【0156】
リフト要素23またはクランプ要素13を持ち上げるかまたはリフトデバイス22のために、電気式、油圧式、および/またはほかにも空気圧式の駆動部が備えられていてもよい。駆動部は、そこでは一つ、複数または全ての粉砕ジャー4の弛緩を自動的に実行するために利用され、好適には、クランプ要素13を、粉砕ジャー4が軸方向に弛緩された状態にある弛緩位置に保持するように構成されている。それにより粉砕ジャー4の着脱を簡単かつ快適に行うことができる。粉砕ジャー4は同時に装入された状態で開放することが可能であり、そのため粉砕の任意の時点に、快適に試料回収することができる。このために粉砕ジャー4を取り出す必要はない。
【0157】
電動モータなどの駆動要素を有する駆動部は、リフト要素23の下側に配置されていてもよい。
【0158】
しかし基本的には、リフト力を手動により発生させることも可能である。
【0159】
粉砕ジャー4を弛緩させるためのリフト力をリフト要素23に伝達するために、リフトデバイス22が位置を固定して配置される場合は、多数の異なるメカニズムを利用することができる。例えば駆動部のリフト力は、ナックルジョイント型レバー機構、偏心レバーが備えられたカップリング、またはスピンドルスクリューもしくはラックスクリューを用いて、リフト要素23に伝達されてもよい。
【0160】
リフト要素23は、粉砕ジャー4が弛緩した状態にあるときだけに、クランプ要素13に接続されていると好適である。それとは逆に粉砕ジャー4が緊締された状態にある場合は、リフト力をクランプ要素13に作用させるこのメカニズムが、ボールミル1の構成部品の自転から完全に切り離されていると好適である。自転する構成部品を少なくすることによって、ボールミル1の運転時のアンバランスまたは回転質量は大幅に低減される。
【0161】
粉砕ジャー保持ブラケット3のところで粉砕ジャー4を緊締するために必要な引張力は、好適には皿バネ18を介してのみ発生し、クランプ要素13に伝達される。このときに、クランプ要素13を持ち上げるためにおよび粉砕ジャー4を軸方向に弛緩させるために備えられた駆動部は、粉砕ジャー4の緊締のために必要な引張力またはクランプ力には寄与しない。
【0162】
すなわち上記で既に解説したように、駆動部は、好適には粉砕ジャー4の緊締には関与しない。
【0163】
なお、リフト要素23は、好適にはクランプ要素13から半径方向に突き出すことがないように、いずれにせよ好適には太陽歯車8から半径方向に突き出すことがないように、延伸している。その結果として、ボールミル1の省スペース型構造を生じている。それ以外にも、リフト力を発生させるための駆動部の駆動コンポーネントは、リフト要素23の側方にではなく、下側に配置されていると好適である。これもまた、ボールミル1の横方向への小さな設計サイズに寄与している。
【0164】
粉砕ステーション2へのアクセシビリティは、利用者にとり極めて良好なものとなっている。露出する構成部品が少ないために、ボールミル1の構成部品の清掃も簡単になる。
【0165】
粉砕ジャー4は、これを運転するために、粉砕ジャーカバー24により封止されると好適であり、粉砕ジャーカバー24はスクリュー締結されると好適である。粉砕ジャーカバー24には、一つまたは複数のバルブ25が備えられていると好適である。
【0166】
クランプ要素13は、粉砕ジャー4の緊締とならび、安全機能も果たしてもよい。これについては、設計上の可能性として、クランプ要素13が、粉砕ジャー4が装入されていないときには、緊締時に一つまたは複数の粉砕ジャー4が装入されているときと比べて、皿バネ18によってさらに大幅に引き下ろされるようにしてもよい。本発明の意味での「装入する」とは、それぞれの粉砕ジャー4を(補助ディスク5とともに)粉砕ジャー保持皿12の接触面および心出し面15の上に被せることである、との解釈を許すものである。すなわち、少なくとも一つの粉砕ジャー4、またはほかにも複数の粉砕ジャー4が装入されていないときには、それぞれのクランプ要素13をさらに下降させることが可能となっており、その結果、クランプ要素13が、リフトデバイス22との、特にリフト要素23との、および/またはボールミル1の固定式ハウジング部材との、摩擦係合および/または形状同士の係合を利用する接続状態に入り、それにより回転運動を機械的に阻害することによって、ボールミル1が動き出してしまうことを抑止できる。このときには、皿バネ18の予荷重により、この安定化要素13が、アクティブな制動機能を果たすことができる。それにより、ミル1の運転を開始する要件として、粉砕ジャー4が両方とも常にボールミル1に装入されて緊締された状態にあることを請け合うことができる。このようにして、クランプ要素13の作動信頼性を示すポジションを監視するために、さらなるセンサまたは要素が必要となることなく、粉砕ジャー4の確実な緊締状態を検出することができる。なお、粉砕中クランプ要素13と粉砕ジャー4との間のバヨネットジョイント部に不具合を来した場合も同様に、クランプ要素13が著しく下降したポジションをとり、リフトデバイス22、特にリフト要素23との摩擦係合および/形状同士の係合を利用する接触状態に入る設計を有する一実施形態が実現されるようにしてもよい。
【0167】
図示され説明された、クランプ要素13を用いて粉砕ジャー4を粉砕ジャー保持ブラケット3に対して引っ張るか、または保持することにより行われる、粉砕ジャー4の粉砕ジャー保持ブラケット3に対する緊締により、好適には、粉砕ジャーが装入されていない場合および/またはクランプ要素13と粉砕ジャー4との間の接続に不具合を来した場合には、機械の状態を問わずにボールミル1が自動的に安全な運転状態に移行されるポジションをクランプ要素13に取らせる、自己監視型のフェイルセーフ設計が可能となる。
【0168】
粉砕中に粉砕ジャー4が意図せず空転するのを防止するために、図1の右側に図式的に示唆されるように、空回り止めピンまたは空転防止要素26が備えられていてもよい。そのような空転防止機能は、粉砕ジャー4とクランプ要素13との間の接続部が不動の安定性を示すようにするために有利である。なお、一つまたは複数の空回り止めピンまたは空転防止要素26を利用することによって、荷重が大きいときにもトルクを確実に粉砕ジャー4に伝達することができる。
【0169】
設計上の可能性として、粉砕ジャー保持皿12またはクランプ要素13に対して相対的に正しい回転姿勢での粉砕ジャー4の位置決めが簡単に行われるように、または粉砕ジャー4を軸方向に完全に被せることができるのは、例えばバヨネットジョイント部が成立したときだけであるように、空回り止めピン26が配置されるようにしてもよい。結論として、例えば補助ディスク5の下面のところに備えられていてもよい空回り止めピン26は、クランプ要素13に対して相対的な粉砕ジャー4の回転ポジションにより、接続突起20、21の実質的に完全に重なり合いがもたらされる場合に限り、粉砕ジャー保持皿12内の相応の孔の中に下降できる。
【0170】
下記では、ここに提案されるボールミル1およびここに提案される粉砕ジャー4の第2実施例を、図7の概略的な断面図に基づきより詳しく解説するが、これについても、これまでの詳細な説明および注釈が、特にそれに対応してまたは補足として、当てはまる。
【0171】
図7には、一方の粉砕ステーション2のみの領域内のボールミル1が示され、そこでは太陽歯車8などのそれ以外の部品は、図を見易くするために省略されている。
【0172】
第2実施例においては、図示されるように、粉砕ジャー4が、-第1実施例の場合と同様に-粉砕ジャー保持ブラケット3、緊締デバイス14またはクランプ要素13によって、好適には(少なくとも実質的に)下面または底面だけで、特に粉砕ジャー保持ブラケット3もしくはその粉砕ジャー保持皿12に対して、または、粉砕ジャー保持ブラケット3もしくはその粉砕ジャー保持皿12のところに、保持または緊締される。
【0173】
粉砕ジャー4は、緊締された状態または保持状態にあるときには、形状同士の係合を利用して軸方向および/または半径方向に保持されると好適である。しかしながら基本的には、特に軸方向については、粉砕ジャー保持ブラケット3から粉砕ジャー4が持ち上げられるかまたは引き抜かれるのを防止するために、摩擦係合を利用する固定保持だけとすることも可能であり、これについては後ほどさらに詳しく立ち入るものとする。
【0174】
クランプ要素13または緊締デバイス14は、好適には粉砕ジャー4を保持またはセンタリングするための、最低一つの半径方向に移動可能な保持要素27を有している。
【0175】
図示の例においては、好適には複数の保持要素27が備えられ、特に周囲にわたって(均等に)分散している。これは特に、所望のセンタリングおよび/または、クランピングもしくは保持を周囲にわたって分散して行うために役立つ。このようにして特に、センタリングクランプを形成することができる。
【0176】
もっとも下記では常に、主に保持要素27の構成についてのみ詳しく立ち入るものとするが、それ以外の保持要素27についても、この説明が好適には役立つ。しかしながら基本的には、必要に応じて構成が異なる保持要素27を採用することも可能である。
【0177】
保持状態においては、保持要素27が、半径方向、特に外側に向かって移動された状態、または予荷重を受けた状態となっており、それにより、好適には凹所もしくは溝もしくは外周溝28に嵌まり込む、および/または、保持区画もしくは接続区画21を背後から把持するか、または上から把持する、および/または、粉砕ジャー4の壁面29に(または、補助ディスク5またはその類により形成された粉砕ジャー4の底面要素またはエンドピースに)半径方向に当接するか、もしくは壁面29を半径方向に押し付ける。
【0178】
保持要素27の壁面29が、凹所もしくは溝28を取り囲んでいる、および/または限定していると好適である。
【0179】
凹所または外周溝28は、半径方向内側に向かって開口していると好適である。
【0180】
保持区画または接続区画21は、凹所または溝28を、軸方向におよび/または下に向かって限定していると好適である。
【0181】
保持区画または接続区画21は、環状またはフランジ状に構成されている、および/または半径方向に、特に内側に向かって突出していると好適である。
【0182】
保持区画または接続区画21は、特に一つまたは複数の保持要素27用の、その代わりに第1実施例にしたがったクランプ要素13の接続突起20用の、軸方向ストッパーおよび/または好適には環状に延びる肩部を形成すると好適である。
【0183】
クランプ要素13または緊締デバイス14または最低一つの保持要素27が、粉砕ジャー4のところを、または補助ディスク5もしくはその類により形成される粉砕ジャー4の底面要素もしくは端部のところを、特に下端部の壁面もしくは外周壁29のところを把持すると、および/あるいは内側から凹所または外周溝28の中に嵌まり込むと、好適である。
【0184】
しかしながら基本的には、粉砕ジャー4が、その代わりにまたはそれに追加して、その下面または底面の端部の領域内で、保持状態にあるときには半径方向外側および/または軸方向下側から保持または緊締されるようにすることも可能である。
【0185】
粉砕ジャー4の保持または緊締は、常に粉砕ジャー内部空間を限定している粉砕ジャー底面4aの軸方向下側で行われると好適である。
【0186】
特に、収容部もしくは溝28、壁面29、および/または接続区画21は、粉砕ジャー4の下側のまたは粉砕ジャー開口部とは反対側に位置する端部の領域内に配置されている。
【0187】
粉砕ジャー保持ブラケット3または粉砕ジャー保持皿12は、粉砕ジャー4またはその下側の端部もしくは壁面29のための、特に円錐形状の収容部または溝12aを形成すると好適である。
【0188】
第2実施例においては、緊締デバイス14またはクランプ要素13が好適には、クランプ要素13の粉砕ジャー側の端部のところに配置または構成されたヘッド13aを有している。ヘッド13aは、そこではスクリュー13cを介してクランプ要素13に圧力嵌めにより接続されている。
【0189】
クランプ要素13またはヘッド13aは、クランプ要素13が軸方向に下降する際には、最低一つの保持要素27を半径方向に、ここでは外側に向かって移動させるか、またはこれに予荷重をかけるために、傾斜面として利用されるか、または保持要素27に作用する、半径方向面に対して傾斜した接触面13bを有していると好適である。
【0190】
最低一つの保持要素27は、好適には滑り面12bを介して、粉砕ジャー保持ブラケット3または粉砕ジャー保持皿12に軸方向に支持されているために、クランプ要素13が軸方向に下降する際には-すなわちヘッド13aが粉砕ジャー保持皿12に近づくように軸方向に移動される際には-保持要素27が半径方向に-好適には外側に向かって-移動される。係合運動または緊締運動は、粉砕ジャー保持ブラケット3または粉砕ジャー保持皿12に対する粉砕ジャー4またはその保持区画21の所望される軸方向の緊締をもたらすために、好適にはまたは任意選択により、純半径方向に行われるのではなく、面12bおよび13bの傾斜が対称であるのかそれとも非対称であるのかに応じて、ほかにもそれに追加して、半径方向面に対して斜めの方向にも、特に斜め下向きにも行われるようにしてもよい。
【0191】
半径方向面に対する保持要素27の係合運動または緊締運動の傾斜角は、2°または5°を上回ると好適である、および/または10°または15°を下回ると好適である。
【0192】
保持要素27は、図示の例においては好適には、断面形状が最低でも実質的に三角形または台形に構成されており、そこでは面、特に外側の面27aにより、特に好適には環状である壁面29に対応する外周面が好適には実質的に形成される。しかしながら、これをそれ以外の形状とすることも可能である。
【0193】
保持要素27は、粉砕ジャー4またはそのエンドピースのところを半径方向および/または軸方向に、選択により点状または線状に把持するか、または粉砕ジャー4に作用を及ぼすようにしてもよい。
【0194】
図示の例においては、保持要素27が、好適には単にまたは実質的には単に下側の端部もしくはストップ部27bにより、粉砕ジャー4もしくはその接続区画21のところを把持している、および/または、収容部もしくは溝28の中に嵌まり込んでいる。
【0195】
しかしながら保持要素27は、その代わりにまたはそれに追加して、その外周面または外側の面27aによっても、粉砕ジャー4もしくはその壁面29のところを把持してこれに影響を与える、粉砕ジャー4もしくはその壁面29のところに当接する、および/またはこれに押し付けられてもよい。これについて、そこでは任意には、一方では緊締デバイス14または一つもしくは複数の保持要素27保持要素27と、他方では粉砕ジャー4またはその壁面29との間に、軸方向の摩擦係合部だけが、軸方向に作られるようにしてもよい。その場合は保持要素27またはその外側の面27aが、例えば点状または線状にだけ、壁面29のところに当接してもよい。
【0196】
その代わりにまたはそれに追加して、例えば壁面29が凹面に構成されて、保持要素27がそれに相応した形状に仕立てられる、例えば球状の仕様とされる場合は、この保持要素27が、ほかにも半径方向に、壁面29またはそこに形成された凹部の中に嵌まり込むことによって、-任意にはそれに追加して-粉砕ジャー4の軸方向への形状同士の係合を利用した固定保持または固定がもたらされるようにしてもよい。
【0197】
保持区画21により形成される保持要素27またはそのストップ部27b用の軸方向の載置面または肩部は、半径方向面に対して、特に自由端に向かって、または保持要素27の係合運動もしくは緊締運動の傾斜とは逆向きに、若干傾斜していると好適である。
【0198】
クランプデバイス14または最低一つの保持要素27が、復元デバイスまたは復元要素30を有していると好適であり、それにより、緊締を緩める際には、またはクランプ要素13/ヘッド13aを軸方向に持ち上げる際には、保持要素27または複数の保持要素27を、再び初期位置に戻るように移動させる-すなわちここでは半径方向内側に向かって移動させる-ことによって、粉砕ジャー4またはその保持区画21が解放されて、その結果、粉砕ジャー4を粉砕ジャー保持ブラケット3から(軸方向に)取り去るかまたは持ち上げることができるようになる。
【0199】
復元デバイスまたは復元要素30として、バネまたは弾性テープまたはその類などの弾性要素が備えられていると好適であり、それにより、全ての保持要素27に半径方向内側に向かって予荷重をかけることによって、クランプ要素13またはヘッド13aが持ち上げられる際には、所望の復元をもたらすことができる。図示の例においては、クランプ要素13が、例えば保持要素27の貫通孔を貫通して延びるとともに、全周にわたり延伸している。しかしながら、それ以外の設計形態上の解決策も可能である。
【0200】
ヘッド13aと粉砕ジャー保持皿との間には、シール31が、特にリングシールまたは成形シールとして、好適には周囲を取り巻くように配置されていると好適である。シール31は、例えば粉砕ジャー保持皿12の環状溝12cの中に配置または保持されていてもよい。しかしながら、それ以外の設計上の解決策も可能である。
【0201】
クランプ要素13は、そのヘッド13aにより、好適には上側の軸受要素32aおよび/または下側の軸受要素32bを介して、軸方向に変位可能または運動可能であるように、シャフト10またはこれに接続された粉砕ジャー保持皿12内に案内されているか、または支承されている。しかしながら、それ以外の設計上の解決策も可能である。
【0202】
クランプ要素13は、第2実施例においては、シャフト10に強制的には回転連結されていない。
【0203】
シャフト10は好適には、粉砕ジャー保持皿12を所望されるように回転可能に保持するために、スクリュー12cを介して、粉砕ジャー保持皿12に固定式に接続または締結されている。
【0204】
第2実施例においては、復元バネまたはバネパッケージ、ここでは皿バネ18から成るパッケージが、好適にはクランプ要素13を取り囲むように、特に一方ではクランプ要素13の軸方向ストッパーとしての肩部13dと、他方ではシャフト10または粉砕ジャー保持皿12の第2の軸方向ストッパーとしてのストップ部との間に配置または挟持されている。しかしながら、それ以外の設計上の解決策も可能である。
【0205】
皿バネ18は、好適にはシャフト10または粉砕ジャー保持ブラケット3内に配置されている。
【0206】
クランプ要素13またはクランプデバイス14が特に緊締されているか、または下降した状態にあるときにも、復元バネまたはバネパッケージには予荷重がかかっていると好適である。
【0207】
粉砕ステーション2またはシャフト10は、好適には軸受10aを利用して遊星軸Y1まわりに回転可能に支承されている。
【0208】
支持装置7または(図7には図示されない)太陽歯車8の回転時に、粉砕ステーション2または粉砕ジャー保持ブラケット3、またそれに伴い粉砕ジャー4が遊星軸Y1まわりに自転するように、粉砕ステーション2、粉砕ジャー保持ブラケット3、またはシャフト10は、係合部10b、または図示されないベルト滑車もしくはその類を介して、特に中央軸受シャフト9に回転連結されていると好適である。
【0209】
第2実施例においては、リフト装置22が好適には、モータまたは駆動部33および/またはアクチュエータ要素34を有しており、アクチュエータ要素34は、特に好ましくは、斜面またはその他の歯車装置を介してクランプ要素13を軸方向に移動させるかまたは持ち上げるためのリフト要素23に作用する。しかしながら必要な場合には、アクチュエータ要素34がまた、リフト要素23の代わりにクランプ要素13にダイレクトに(軸方向に)作用するようにしてもよい。それ以外にも、他の設計上の解決策も可能である。
【0210】
粉砕ステーション2または粉砕ジャー保持ブラケット3またはシャフト10は、クランプ要素13が軸方向に移動される際に、特に持ち上げられる際に、粉砕ジャー保持ブラケット3またはシャフト10を軸方向に支持するかまたは保持固定することを可能にするためにまたは請け合うために、リフトデバイス22またはリフトデバイス22の保持デバイス35用の、係合可能性10cおよび/またはストップ部10dを有していると好適である。
【0211】
既述のように第2実施例においては、粉砕ジャー4に補助ディスク5のような別体の底面要素が装着されていないか、または図示されていない。しかしながら、粉砕ジャー保持ブラケット3もしくは粉砕ジャー保持皿12のためのおよび/またはクランプデバイス14のための係合可能性を形成するおよび/または適合化するために、適切なエンドピースもしくは底面要素、または適切なインサートが粉砕ジャー4に配置されているか、または取り付けられていてもよい。この取り付けは、例えば挟持および/またはスクリュー締結により行われてもよい。そのようなエンドピースまたは底面要素によって、新しいクランプシステムに適合化するために、既存の粉砕ジャー4に追加装備を導入することも可能になる。
【0212】
規定通りの解決策の特に好ましい一態様は、粉砕ジャー4を、好適にはネジ山を使用しないでおよび/または形状同士の係合を利用して、粉砕ジャー保持ブラケットのところにまたは粉砕ジャー底面12のところに、軸方向に保持できるかもしくは固定できる、および/または緊締できることにある。
【0213】
緊締デバイス14が、迅速挟持デバイスとして構成されていると、および/または、底面もしくは下面だけで粉砕ジャー4の凹所もしくは凹部の中に嵌まり込むようにすると特に好ましく、その場合は粉砕ジャー4の下面または底面が、任意選択により、補助ディスク5またはその類のようなエンドピースまたは底面要素により形成されていてもよい。
【0214】
付言しておくと、図示の例においては緊締デバイス14が、好適には、クランプ要素13およびそのヘッド13a、一つもしくは複数もしくは全ての保持要素27、バネ式復元部もしくは皿バネ18、ならびに/またはリフトデバイス22を含み得る。
【0215】
態様の細部および様々な実施例の特徴は、随意互いに組み合わせて、しかしまた互いから独立して実現されてもかまわない。
【0216】
図8から図13には、ここに提案される、本発明の第2の態様にしたがったボールミルが示される。
【0217】
図8図13には、ラボスケールのボールミル1’が示されており、これは支持装置2’を有し、支持装置2’は中心軸ブロック3’まわりに回転可能に支承されており、ミル1’の運転時には中心軸3a’まわりに自転する。ボールミル1’は、模範例として選択された実施形態においては二つの粉砕ジャー保持ブラケット4’を有しており、そこでは各粉砕ジャー保持ブラケット4’が、ボールミル1’の粉砕運転のために、示されない粉砕ジャーをこれにセットすることができるように構成されている。粉砕ジャーの容量は、例えば100mlから500mlまでの間であってもよい。
【0218】
各粉砕ジャー保持ブラケット4’は、支持装置2’のところに回転可能に支承されており、支持装置2’が中心軸3a’まわりに回転するときには、これによって連動する。それ以外にも各粉砕ジャー保持ブラケット4’は遊星軸ブロック5を有しており、また支持装置2に対して回転可能に支承されている。
【0219】
両方の粉砕ジャー保持ブラケット4’は、中心軸3a’を間に挟んで対向することによって、これらの慣性モーメントは補償し合うか、または、中心軸3a’まわりにローテーションする際にこれらの質量によりアンバランスの発生を可能な限り僅かなものとしている。しかしながら、下記で複数の粉砕ステーションが備えられたボールミル1’の例をとり説明する特徴は、備えられる粉砕ステーションが一つだけである、またはほかにも三つ以上の粉砕ステーションが備えられている実験室用ボールミルにおいても、同様に具現できるものである。
【0220】
駆動モータ6’は、Vベルト7’を利用して、ベルトプーリー8’を介して支持装置2’を中心軸3a’まわりに自転させ、それにより粉砕ジャー保持ブラケット4’は、支持装置2’のカバープレート9’とともに中心軸3a’まわりの円軌道上を周回する。カバープレート9’は、図10および図11には示されていない。
【0221】
それに追加して、ベルトプーリー8’のベルトドライブに対してカップリングされている歯付きベルトドライブ10’を介して、粉砕ジャー保持ブラケット4’の、中心軸3a’に対して偏心で支承された遊星軸21’まわりの回転運動がもたらされるようにしている。したがって粉砕ステーションは、中心軸または太陽軸3a’まわりに周回すると同時に、それに追加して、粉砕ステーション自体の遊星軸21’まわりにも自転する。回転方向は、逆向きであってもかまわない。
【0222】
中心軸ブロック3’は、ベースプレート11’に剛結されており、ベースプレートの側では、ハウジング底板12’に取り付けられている。支持装置2’は、玉軸受13’、14’を用いて、位置を固定された中心軸ブロック3’の周囲に回転可能に支承されている。
【0223】
カップリングされたベルトドライブ10’には歯付きベルト滑車15’、16’が含まれており、それにより、二つのさらなる歯付きベルト17’、18’を用いて粉砕ジャー保持ブラケット4を駆動して自転させる。
【0224】
特に図10および図11から明らかであるように、各粉砕ジャー保持ブラケット4’は粉砕ジャー収容部20’のところで粉砕ジャーを軸方向に緊締するための、ピストン状のクランプ要素19’を有している。クランプ要素19’は、遊星軸ブロック5’内に軸方向への変位を可能として収容されている。粉砕ジャー保持ブラケット4’が自転する際には、遊星軸ブロック5’がそれらの遊星軸21まわりに自転し、そこでは遊星軸ブロック5’が、玉軸受22’、23’を利用して、一方ではベルトプーリー8’のブロック状に補強された軸受領域24’のところにおよびベルトプーリー8’に固定して接続されたディスク状の軸受ブロック25’のところに、回転可能に支承されている。
【0225】
粉砕ジャー保持ブラケット4’のところでの粉砕ジャーの緊締および弛緩は、下記に説明されるように行われる。図10には緊締された状態にある粉砕ジャー保持ブラケット4’が示されており、この状態においては、粉砕ジャーの粉砕ジャー底面が粉砕ジャー収容部20’の上に規定通りに被せられているときには、挟持ブロック26’が、圧力板27’を用いて半径方向外側に向かって粉砕ジャー底面のところの相応の保持突起内へと押し込まれることによって、粉砕ジャーは粉砕ジャー収容部20’のところにセットされている。圧力板27’は、クランプ要素19’に軸方向に固定接続されており、そこではクランプ要素19’にバネ荷重がかかっている。二つの皿バネ28’が、鉛直方向下向きに、粉砕ジャー収容部20’から遠ざかるように、クランプ要素19’を、またそれにより圧力板27’を押しやり、それにより、粉砕ジャーが粉砕ジャー収容部20’の上に被せられるときには、外側に向かってはみ出している挟持ブロック26’を介して、粉砕ジャーの緊締がもたらされるようにしている。粉砕ジャーが弛緩するためには、または、粉砕ジャーを粉砕ジャー収容部20’から取り去ることができるようにするためには、クランプ要素19を皿バネ28’のバネ力に抗って鉛直方向上向きに持ち上げる必要があり、それにより圧力板27’も一緒に持ち上げられて、挟持ブロック26がもう一つのバネ手段29’を介して半径方向内側に向かって引っ張られる。それにより挟持ブロック26’は、粉砕ジャー底面のところの溝形の収容部から外に出ることによって、粉砕ジャーは解放された状態となり、これを圧力板27’から取り去ることができる。
【0226】
図11には、模範例として、弛緩状態にある粉砕ジャー収容部4’が示され、このときにはクランプ要素19’が、またそれに伴い圧力板27’が持ち上げられた状態となっており、また、挟持ブロック26’が半径方向内側に向かって引っ張られた状態となっている。
【0227】
クランプ要素19’を緊締された状態からこの弛緩した状態へと持ち上げるために必要なリフティング力を加えるために、ボールミル1’はリフティングデバイス30’を有している。下記では図8図13に図示されているクランプ要素19’の緊締および弛緩機構を例にとり、リフティングデバイス30’およびクランプ要素19’への力伝達の原理について、ならびに、粉砕ジャー収容部20’のところでの粉砕ジャー底面を介した粉砕ジャーの、挟持ブロック26’を介在して図示され説明される挟持方法について、説明する。当然ながら図示され説明されるクランプおよび弛緩機構は、粉砕ジャー保持ブラケットのクランプ要素へのクランプ力またはリフティング力の伝達について解説するために、例示的に選択されたものである。下記で説明されるリフティングデバイス30’は、粉砕ジャー保持ブラケットの少なくとも一つのクランプ要素に軸方向および/または鉛直方向のクランプ力を伝達するために、必要な場合には図示の実施例とは設計形態を異にする粉砕ジャー保持ブラケット4’においてクランプ要素を持ち上げるためにも導入できる。
【0228】
リフティングデバイス30’は、リフトハウジング32’内にクランプ要素19’に対して共軸で変位可能であるように案内されたリフティング要素31’を有している。リフティング要素31’は、リフトハウジングのリセス内に、自由に当接するようにまたはルースな状態で位置しており、クランプ要素19’の軸方向に自由に移動できる。
【0229】
リフティング要素31’は、二つのロール33’を介して、カップリング要素34’として利用されるリフトウェッジに対して当接している。ロール33’は、保持ピン33a’を介して接続されている。リフティング要素31’は、両ロール33’間の真ん中に、リフティング要素31’内の孔を利用して、保持ピン33a’の周囲に保持されている。
【0230】
リフトウェッジは、リフティング要素31’の運動を、両側部のスピンドルスクリューとして構成された位置調節要素35’の運動と連成する。カップリング要素34’は、雌ネジが切られた貫通孔を有しており、リフトハウジング32’内に、位置調節要素35’の軸方向に変位可能であるように案内され、また、隣接して位置する二つのロール対36’の上に載置されている。各ロール対36’は、軸受ピン37’を介してリフトハウジング32’に支承されている。これは特に図13から明らかであり、この図には断面図でカップリング要素34’の底面領域内の側方突起38’が示されており、これらの側方突起38’は、リフトハウジング32’の内側のハウジング側面のところの側方の肩部39’を下側および背後から把持している。肩部39’を利用して、カップリング要素34’は、位置調節要素35’の軸方向に変位可能であるように、およびこの軸方向に対して横向きには変位不能であるように案内されている。
【0231】
図11には、クランプ要素19’が持ち上げられている、粉砕ジャー収容部20’の弛緩した状態が示される。位置調節要素35’の周囲に嵌め合わされたカップリング要素34’のネジガイドに基づき、位置調節要素35’がその自転軸まわりに自転する際には、スピンドルスクリューの回転方向に応じた移動方向40’への、カップリング要素34’の相応の位置調節運動を来す。リフティング要素31’は、ロール33’を介してカップリング要素34’の傾斜ランプ面41’の上を案内されているために、カップリング要素34’の位置調節運動により、それが図11において右向きまたは左向きの運動であるかに応じて、クランプ要素19’の長手方向に沿ったリフティング要素31’の上向きの運動または下向きの運動がもたらされ、その結果、クランプ要素19’は持ち上げられるかまたは下降される。これにより、クランプ要素19’が持ち上げられる際には、上記で説明したように、圧力板27’は持ち上げられることになり、それを受けて挟持ブロック26’は半径方向内側に向かって引っ張られ、粉砕ジャー収容部20’の上に底面により乗せられている粉砕ジャーが解放される。
【0232】
リフトハウジング32’と、リフトハウジング32’のところで案内されるリフティング要素31’とならび、同様にリフトハウジング32’のところで案内されるカップリング要素34’とを有するリフティングデバイス30’、およびスピンドルスクリューとして構成された位置調節要素35’は、支持装置2’から、または、ベルトプーリー8’およびベルトプーリー8’に接続された全ての構成部品の中心軸3a’まわりの回転運動から、運動学的に切り離されている。換言すると、これは、リフティングデバイス30’が、ボールミル1’の運転時に支持装置2’により中心軸3aまわりに共回りされないことを意味している。
【0233】
位置調節要素35’を駆動するために、サーボモータ42’が備えられているが、これは市販のギヤードモータであってもよい。サーボモータ42’は、位置調節要素35’にトルクを伝達し、このトルクは、カップリング要素34’を介して、リフティング要素31’の運動に変換される。サーボモータ42’は、位置調節要素35’の位置調節運動に、特に上下位置調節運動に追従することができるように装着されている。
【0234】
さらに特に図11から明らかであるように、リフトハウジング32’は上側の領域の両側部に支台区画43’を有している。遊星軸ブロック5’は、その下端部に、支台区画43’を下側と背後から把持する、周囲を取り巻くように延びる保持区画44’を形成している、直径拡幅部を有している。もっともリフトハウジング32’は、クランプ要素19’の縦軸もしくは遊星軸21’に対してまたは中心軸3a’に対して、横向きの方向に開口しているように構成されている。その結果として、遊星軸ブロック5’の下端部のためのフティング要素31’内に、支持装置2’が自転する際に移動される遊星軸ブロック5’が辿る円軌道の周方向に沿って開口している、リセスをもたらしている。
【0235】
図11には、弛緩した状態にある粉砕ジャー収容部20’が示されるが、このときにはクランプ要素19’が、リフティング要素31’により持ち上げられた状態となっている。この際保持区画44’が、遊星軸ブロック5’の下端部のところで、内側からリフトハウジング32’の支台区画43’に対して当接して、粉砕ジャーがある弛緩した状態からある緊締された状態へと移行されるときの支台を構成している。
【0236】
この支台を構成するために、リフトハウジング32’は、粉砕ジャー保持ブラケット4’に対して相対的に、または遊星軸ブロック5’に対して相対的に、鉛直方向に位置を調節可能であるか、または下降できる。リフトハウジング32’のこの下降は、リフティング要素31’の上方にクランプ要素19’が配置された状態となる特定の回転配向に支持装置2’が達することに結び付けて行われる。リフトハウジング32’を必要な場合には持ち上げたり下降させたりすることが可能であることによって、遊星軸ブロック5’は、支持装置2’が回転する際には、すなわちボールミル1’の粉砕運転中には、支持装置2’によって中心軸3’まわりに連動し、リフトハウジング32’の支台区画43’の傍らを自由に通過するように案内される。この支台は、リフティング要素31’が持ち上げられる前にまたはそれと同時に、リフトハウジング32が下降することによって構成される。
【0237】
リフトハウジング32’の持ち上げおよび下降は、ハウジング底板12’に固定接続されたリフトレール46’を介して行われると好適であり、リフトレール46’は、斜面48’へと合流する段部47’を有している。カップリング要素34’は、下面のところに斜面49’を有しており、粉砕ジャー保持ブラケット4’は、リフトハウジング32’が持ち上げられている、緊締された状態にあるときには、この下面により段部47’の上に載置されている。これは、図3に示されている。カップリング要素44’の位置を図3の右側に向かって調節すると、すなわちリフティング要素31’が持ち上げられると、カップリング要素34は、対応する斜面48’、49’により、下向きに滑り落ち、それにより、リフトハウジング32’が支台区画43’とともに鉛直方向に下降して、図3に示される支台が構成される。結論として、リフティング要素31’が持ち上げられる際に、リフトハウジング32’は遊星軸ブロック5’だけに対して支持されることになり、その結果、特に軸受構成部品にかかる荷重は非常に僅かなものとなる。
【0238】
図10から明らかであるように、リフティングデバイス30’は対向する粉砕ジャー保持ブラケット4’のクランプ要素19の持ち上げまたは下降を同期で行うように構成されており、このために特に二つのカップリング要素34’、二つのリフトハウジング32’、二つのリフティング要素31’、および、位置調節要素35’としての左側のネジ区画と右側のネジ区画とを有するスピンドルスクリューを有している。ランプ面41’が逆方向に傾斜している上に、それに相応してネジ区画も回旋方向を異にすることによって、位置調節要素35’として備えられたスピンドルスクリューが自転する際には、両方のリフティングデバイス30’のカップリング要素34’が、互いに向かってまたは互いから遠ざかる向きに移動され、それによりリフティング要素31’の同時持ち上げまたは同時下降をもたらしている。
【0239】
保持ピン33a’は、保持ピン33a’および二本の軸受ピン37’の周囲に巻き付けられているバネ手段50’、好適にはサークリップを介して、鉛直方向に緊締されており、このため保持ピン33a’には、重力以外にも常に下向きにバネ力がかかっており、それにより保持ピン33a’は、ロール33’を介してカップリング要素34’との接触状態に可能な限り常時置かれる。これにより、保持要素31’が、今のところはカップリング要素34’によっては持ち上げられていない、というときであっても、それにもかかわらず保持ピン33a’が、どこかに極々僅かな引っ掛かりが生じるだけで、ロール33’および保持要素31’ともども、上のポジションに非意図的にとどまって動かなくなる怖れを回避している。
【0240】
図14から図19には、ここに提案される、本発明の第3の態様にしたがったボールミルの配列が示される。
【0241】
図14図19には、詳細には図示されないボールミルの、特に遊星ボールミルの、粉砕ジャー保持ブラケット1”と緊締デバイス2”とから形成される配列が示されている。緊締デバイス2”は、図14には示されない粉砕ジャーおよび/または図16図19に示される粉砕ジャーアダプターを、粉砕ジャー保持ブラケット1”のところでまたはこれに対して、軸方向に保持するか、または軸方向に緊締するように、および、粉砕ジャーまたは粉砕ジャーアダプター3”を軸方向に弛緩させるように、構成されている。ここには図示されないが、このボールミルは、中心軸まわりに回転可能に支承さたれ支持装置を有していてもよく、その場合は粉砕ジャー保持ブラケット1が、支持装置に対してオフセットされた遊星軸まわりに回転可能に支承されているとともに、これによって中心軸まわりに連動する。
【0242】
粉砕ジャーアダプター3”は、示されない粉砕ジャーが取り付けることができるように構成されている。粉砕ジャーの粉砕室の封止は、それ自体としては従来技術から公知のように、粉砕ジャーカバーを介して行われ、この粉砕ジャーカバーは、粉砕ジャーに、圧力嵌めおよび/または形状同士の係合により、着脱自在に接続されていてもよい。
【0243】
当然ながら、下記で図面に基づき説明する特徴は、粉砕ジャーアダプター3”と粉砕ポットとが一体式に構成されている、すなわち換言すると粉砕ジャーの下側領域が粉砕ジャーアダプター3”の機能を担うような粉砕ポットにおいても、それに対応して具現されていてもよい。
【0244】
図14によると、粉砕ジャー保持ブラケット1”は板状の本体4”を有しており、本体4”の外周部には三つの耳金5”がネジ付けられている。耳金5”の本体4”への締結は、それぞれ二本のスクリュー6を介して行われる。
【0245】
耳金5”は、粉砕ジャー保持ブラケット1”の外周部に、または本体4”の外周部に配置されており、そこでは耳金5”に円弧状の内側輪郭形状を持たせることによって、粉砕ジャーアダプター3”のための円形の装入領域をもたらしている。
【0246】
特に図16から明らかであるように、緊締デバイス2”は、滑り軸受9”を介して軸ブロック8”内に軸方向に上下位置を調節可能であるように支承されたピストン7”をクランプ要素として有している。ピストン7”には、皿バネパッケージ10”を介してバネ荷重がかかっており、図16においてはこの皿バネパッケージ10”が専ら図式的に描かれている。粉砕ジャーまたは粉砕ジャーアダプター3”を緊締するために必要なクランプ力は、皿バネパッケージ10”を介してのみ、加えられる。この粉砕ジャーまたはこの粉砕ジャーアダプター3”を緊締するために、ピストン7”は皿バネパッケージ10”のバネ力によって軸方向上向きに圧力板11”に対して押し付けられ、圧力板11は周縁部に環状突起12”を有している。環状突起12”を介して、ピストン7”が持ち上げられる際には緊締力が粉砕ジャーアダプター3”に伝達される。
【0247】
このクランプ機構においては、ピストン7”を介して緊締力が圧力板11”に伝達され、これが粉砕ジャーまたは粉砕ジャーアダプター3”を図16に示される位置から持ち上げることによって、粉砕ジャーアダプター3”の外筒面に互いに対して例えば60°ずつオフセットして配置されている、半径方向に突出する保持手段13”が、耳金5”に一体式に設けられたストップ部14”に対して当接状態に入る。ストップ部14”により、粉砕ジャー保持ブラケット1”のところに軸方向の支台が形成されるために、粉砕ジャーアダプター3”は、粉砕ジャーアダプター3”に取り付けられた粉砕ジャーと一緒に、皿バネパッケージ10”のバネ力に基づいて軸方向に緊締されて、粉砕ジャー保持ブラケット1のところにこれをセットできる。
【0248】
図16には、保持手段13”が、対応する耳金5”内のストップ部14”から離隔されている、粉砕ジャーアダプター3”の非緊締状態が示される。
【0249】
保持手段13”は、粉砕ジャーアダプター3”の外周部に一体式に構成されたものであってもよい。ほかにも保持手段13”は、粉砕ジャー保持アダプター3”に固定接続される別体の構成部品であってもかまわない。
【0250】
ストップ部14”を構成するために、各耳金5”はリセス15”を有している。耳金5”内の凹所15”は、同一形状に構成されているが、基本的には異なる幾何形状を持たせることも可能である。各凹所15”は、鉛直壁面区画16”と、鉛直壁面区画16”に隣接する二つの傾斜壁面区画17”、18”とにより、軸方向で上に向かって限定されている。凹所15”は、鉛直壁面区画19”により、周方向に限定されている。凹所15”は、鉛直壁面区画19”とは反対側で開口するように構成されているために、粉砕ジャーアダプター3”が粉砕ジャー保持ブラケット1”の本体4”の上に被せられているときには、粉砕ジャーアダプターのところの保持手段13”をリセス15”の中に回し入れることが可能となっている。そこでは粉砕ジャーアダプター3”が、上側から本体4”の上に被せられて、または粉砕ジャー保持ブラケット1”内に装入されて、引き続いて保持手段13”が耳金5”の鉛直壁面区画19”に対して当接状態に入るまで、回転される。それにより鉛直壁面区画19”によって、保持手段13”のためのもう一つのストップ部20”とあわせ、周方向に作用する支台とが形成される。
【0251】
図19から明らかであるように、保持手段13”の断面形状は、耳金5”の凹所の15”の領域内の壁面幾何形状に対して適合化されている。例えば図19によると、保持手段13”は断面図でその上側のところに二つのセンタリング斜面21”、22”を有していてもよい。
【0252】
粉砕ジャーアダプター3”を装入するためには、まず、スクリュー23”を介して圧力板11”に固定接続されているピストン7”が、皿バネパッケージ10”のバネ力に抗って引き下げられる。このためには、示されないモータ駆動部が備えられていてもよい。その後で初めて、粉砕ジャーアダプター3”を粉砕ジャー保持ブラケット1”内に装入して、粉砕ジャーアダプター3”を耳金5”間の領域内にある本体4”の上に被せることができる。続いて粉砕ジャーアダプター3”は、時計回り方向に回転される。保持手段13”が、耳金5”内のストップ部20”に対して周方向に当接状態に入るときには、粉砕ジャーアダプター3”が最終的な回転ポジションに到達したことになり、この位置において、粉砕ジャーアダプター3”を粉砕ジャー保持ブラケット1のところに固定できる。
【0253】
粉砕ジャーアダプター3”が、最終的な回転ポジションに到達するために、容易に回転できるようにするために、スライドプレート24”が備えられていてもよい。その代わりにまたはそれに追加して、本体24”の孔26”の中に嵌め込まれている、粉砕ジャーアダプター3”が粉砕ジャー保持ブラケット1”に対して相対的に回転するときには、粉砕ジャーアダプター3”の底面上を転動する、少なくとも一つのスラストボール25”が備えられているようにしてもよい。
【0254】
空転防止策として、二つのダウエルピン27”が備えられていてもよい。軸ブロック8”は、スクリュー28”を介して本体4”に回転を防いで接続されている。
【0255】
示されないが、軸ブロック8”は示されない支持装置に回転可能に支承されており、支持装置が中心軸まわりに回転する際にはこれによって中心軸まわりに連動しているようにしてもよい。その場合はこの軸ブロック8”が、支持装置に対して回転可能に支承されている遊星軸を形成する。支持装置の側では、中心軸ブロックまわりに回転可能に支承されており、ボールミルの運転時にはその中心軸まわりに自転する。
【0256】
駆動モータにより、ベルトプーリーにかけ渡されたVベルトを利用して、支持装置を中心軸まわりに自転させることができるようになっており、それにより粉砕ジャー保持ブラケット1”は、支持装置とともに中心軸まわりの円軌道上を周回する。それに追加して、このベルトプーリーのベルトドライブに対してカップリングされた歯付きベルトドライブを介して、中心軸に対して偏心で支承された遊星軸まわりの粉砕ジャー保持ブラケット1”の回転運動をもたらすことができる。このために軸ブロック8は、その外側の面に、ベルトドライブの図示されない歯付きベルト用の歯切り部29”を有している。したがって粉砕ステーションは、中心軸または太陽軸まわりに周回するとともに、それに追加して粉砕ステーション自体の遊星軸まわりにも同時に自転する。回転方向は、逆向きであってもよい。
【0257】
ボールミルは、模範的には二つの粉砕ジャー保持ブラケット1”を有していてもよく、その場合は各粉砕ジャー保持ブラケット1”が、ボールミルの粉砕運転のために粉砕ジャーをセットすることができるように構成されている。粉砕ジャーの容量は、例えば100mlから500mlまでの間であってもよい。
【0258】
粉砕ジャーアダプター3”を粉砕ジャー保持ブラケット1”内に装入する前に、ピストン7”がモータにより引き下げられると、クランプ機構を解放するために、モータによるピスント7”への引張力の伝達が中断され、その限りにおいてピストン7”は力がかかっていない状態に置かれる。その後ピストン7”が、皿ばねパッケージ10”のバネ力に基づいて、圧力板11”と一緒に軸方向上向きに押し付けられることによって、圧力板11”の外縁部のところの環状突起12”が、粉砕ジャーアダプター3”の底面に対して押し付けられ、粉砕ジャーアダプター3”が軸方向に持ち上げられる。それから粉砕ジャーアダプター3”が、周囲に備えられた保持手段13”により、耳金5”内の軸方向のストップ部14”に対して押し付けられて、耳金5”内の傾斜壁面区画17”、18”および保持突起13”のところのセンタリング斜面21”、22”に基づいて、同時に心出しされる。粉砕ジャーアダプター3”が緊締された状態にあるときには、ストップ部14”と保持手段13”とを介して、粉砕ジャーアダプター3と粉砕ジャー保持ブラケット1”との間に、軸方向にもまた周方向にも作用する、形状同士の係合を利用した接続部が達成される。
【0259】
説明されるクランプコンセプトでは、粉砕ジャーアダプター3”の底面および外筒面だけに緊締力が付勢されるようになっている。したがって、粉砕ジャーアダプター3”に接続される粉砕ジャーは、カバーと底面との間で上から緊締されるのではなく、この粉砕ジャーは、ピストン7”によって下からストップ部14”の中へと押し込まれる。そこでは、粉砕ジャーアダプター3”を粉砕ジャー保持ブラケット1”のところでまたはこれに対して、確実に緊締するために、ストップ部14”により軸方向にも周方向にも作用する支台が構成される。
【0260】
さらに図14図19から明らかであるように、保持手段13”は、粉砕ジャーアダプター3”の底面付近の領域内に備えられている。したがって、耳金5”内のストップ部14”により構成される支台区画は、粉砕ジャーアダプター3”の高さの下半分の領域内に、好適には下三分の一の領域内に備えられている。耳金5”の上側の領域では、粉砕ジャーアダプター3”に、またそれに伴いほかにも粉砕ジャーアダプター3”に接続された粉砕ジャーにも、外筒面で自由にアクセス可能である。特に粉砕ジャーが緊締された状態にあるときには、この緊締状態を維持したまま粉砕ジャーカバーに上から自由にアクセス可能であり、その結果、操作快適性が向上する上に、粉砕ジャーが緊締された状態においても粉砕ジャーカバーを取り外すことによって、粉砕ジャーの粉砕室へのアクセスが許容される。
【0261】
監視デバイスとして、耳金5”の内の少なくとも一つに、耳金5”の相応に縦長の凹所のところに長手方向に変位可能であるように配置されたスライダー30”が備えられていてもよく、そこでは、粉砕ジャーアダプター3”が粉砕ジャー保持ブラケット1”内に装入されていないか、または規定通りには装入されていない場合には、スライダー30”が、バネ手段31”を介してブロッキング位置に押しやられる。ブロッキング位置においては、下側のブロッキングエッジ32”が、固定式ミル部材に対して、特にミルの支持装置のところで衝突する。それにより、軸ブロック8”が、またそれに伴い粉砕ジャー保持ブラケット1”が、好適にはほかにも粉砕ジャー保持ブラケット1”用の支持装置が、自由に回転する可能性が与えられないようにしている。
【0262】
粉砕ジャー保持ブラケット3”を固定する際、または粉砕ジャー保持ブラケット3”を粉砕ジャー保持ブラケット1”のところでおよび/またはその内部で緊締する際には、スライダー30”の直角曲げ加工された操作アーム33”が、保持手段13”によって、バネ手段31”のバネ力に抗って軸方向に持ち上げられて、スライダー30”は、ブロッキング端部32”がミルの固定式部材から解放された状態となっている解放位置へと移動される。この解放位置においては、一方では粉砕ジャー保持ブラケット1”が、好適にはそれに伴い他方ではほかにも粉砕ジャー保持ブラケット1用の支持装置が自由に回転する可能性が与えられている。粉砕ジャーアダプター3”が正しく装入されて緊締された状態にあるときには、スライダー30”は持ち上げられ、スライダー30”は、試運転の際に、実験室用ミルのところの固定式ストップ部に向かって機械的に突進したりしない。
【0263】
スライダー30”を案内するために、耳金5”の上側の領域内には鉛直ガイド34”が備えられており、その内部に、スライダー30”の操作アーム33”のところの軸方向のシャフト片35が、長手方向に変位可能であるように案内されている。
【0264】
粉砕ジャーアダプター3”の緊締の前に、粉砕ジャーアダプター3”が粉砕ジャー保持ブラケット1”に対して相対的な特定の回転ポジションを取っていることを、利用者が、触覚によりおよび/またはその音を聞いて認識できるようにするために、示される実施形態においては、スラストボールとして構成された係止手段36”が備えられており、係止手段36”にはバネ荷重がかかっており、また、粉砕ジャーアダプター3”を緊締する前に、粉砕ジャーアダプター3”が特定の回転ポジションに、好適には最終的な回転ポジションに到達すると、この係止手段36”は、保持手段13”の外筒面内の相補的な凹所の中にスナップイン式に嵌まり込む。それにより、粉砕ジャーアダプター3”が、特定の回転ポジションから意図せず回し戻されるかまたは先へと回転されることがないことを請け合っている。
【0265】
係止手段36”が保持突起13”内に嵌まり込めるようにするために、保持突起13”は縦溝38”を有していてもよい。
【0266】
スライダー30”を、内部に係止手段36”が横向きに変位可能であるように案内されているガイドスリーブ38”に対して相対的に解放位置へと持ち上げることができるようにするために、スライダー30”は長穴39”を有している。
【0267】
それ以外にもスライダー30”は、耳金5”のところの保持突起41”用のもう一つの長穴40”を有しており、そこではスライダー30”がブロッキング位置にあるときには、保持突起41”に対して当接して、軸方向下向きにそれ以上は変位しないことを保証している。
【符号の説明】
【0268】
1 ボールミル
2 粉砕ステーション
3 粉砕ジャー保持ブラケット
4 粉砕ジャー
4a 粉砕ジャー底面
5 補助ディスク
6 スクリュー
7 支持装置
8 太陽歯車
9 中央軸受シャフト
9a 軸受
10 シャフト(粉砕ジャー)
10a 転がり軸受
10b 係合部
10c アンダーカット部
10d 肩部
11 シャフト
11a ベルトドライブ
11b ベルトカップリング
11c ベルト滑車
11d ベルト滑車
12 粉砕ジャー保持皿
12a 収容部
12b 滑り面
12c 環状溝
12d スクリュー
13 クランプ要素
13a ヘッド
13b 接触面
13c スクリュー
13d ストップ部
14 緊締デバイス
15 接触面(ジャー)
16 接触面(保持皿)
17 ポット
18 皿バネ
19 スリーブ
20 接続突起
21 接続区画
22 リフトデバイス
23 リフト要素
24 粉砕ジャーカバー
25 バルブ
26 空転防止要素
27 保持要素
27a 外側の面
27b ストップ部
28 外周溝
29 壁面
30 復元要素
31 シール
32a 上側の軸受要素
32b 下側の軸受要素
33 駆動部
34 アクチュエータ要素
35 保持デバイス
H 昇降運動
Y1 遊星軸
Y2 中心軸
1’ ボールミル
2’ 粉砕ステーション
3’ 粉砕ジャー保持ブラケット
4’ 粉砕ジャー
4a’ 粉砕ジャー底面
5’ 補助ディスク
6’ スクリュー
7’ 支持装置
8’ 太陽歯車
9’ 中央軸受シャフト
9a’ 軸受
10’ シャフト(粉砕ジャー)
10a’ 転がり軸受
10b’ 係合部
10c’ アンダーカット部
10d’ 肩部
11’ シャフト
11a’ ベルトドライブ
11b’ ベルトカップリング
11c’ ベルト滑車
11d’ ベルト滑車
12’ 粉砕ジャー保持皿
12a’ 収容部
12b’ 滑り面
12c’ 環状溝
12d’ スクリュー
13’ クランプ要素
13a’ ヘッド
13b’ 接触面
13c’ スクリュー
13d’ ストップ部
14’ 緊締デバイス
15’ 接触面(ジャー)
16’ 接触面(保持皿)
17’ ポット
18’ 皿バネ
19’ スリーブ
20’ 接続突起
21’ 接続区画
22’ リフトデバイス
23’ リフト要素
24’ 粉砕ジャーカバー
25’ バルブ
26’ 空転防止要素
27’ 保持要素
27a’ 外側の面
27b’ ストップ部
28’ 外周溝
29’ 壁面
30’ 復元要素
31’ シール
32a’ 上側の軸受要素
32b’ 下側の軸受要素
33’ 駆動部
34’ アクチュエータ要素
35’ 保持デバイス
H’ 昇降運動
Y1’ 遊星軸
Y2’ 中心軸
1” 粉砕ジャー保持ブラケット
2” 緊締デバイス
3” 粉砕ジャーアダプター
4” 本体
5” 耳金
6” スクリュー
7” ピストン
8” 軸ブロック
9” 滑り軸受
10” 皿バネパッケージ
11” 圧力板
12” 環状突起
13” 保持突起
14” ストップ部
15” 凹所
16” 壁面区画
17” 壁面区画
18” 壁面区画
19” 壁面区画
20” ストップ部
21” センタリング斜面
22” センタリング斜面
23” スクリュー
24” スライドプレート
25” スラストボール
26” 孔
27” ダウエルピン
28” スクリュー
29” 歯切り部
30” スライダー
31” バネ手段
32” ブロッキング端部
33” 操作アーム
34” ガイド
35” シャフト片
36” 係止手段
37” 縦溝
38” ガイド片
39” 長穴
40” 長穴
41” 保持突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19