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特許7441848ノイズの多いマルチモーダルデータから関心地点についての最適な輸送サービスの場所を自動的に決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】ノイズの多いマルチモーダルデータから関心地点についての最適な輸送サービスの場所を自動的に決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240222BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240222BHJP
【FI】
G06Q10/083
G06Q10/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021542334
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 SG2019050085
(87)【国際公開番号】W WO2020167244
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-02-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518236797
【氏名又は名称】グラブタクシー ホールディングス プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRABTAXI HOLDINGS PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Media Close, #01-03/06, Singapore 138498, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダラジャン, ジャガンナダン
(72)【発明者】
【氏名】タン, シエン イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥオング, ヌグイェン デュイ
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】佐藤 智康
【審判官】伏本 正典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/190428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを含む装置によって実行される輸送サービスの方法であって、
実在関心地点に関連付けられた複数の輸送サービス取引の情報を受信する工程と、
前記複数の輸送サービス取引の各輸送サービス取引について、前記輸送サービス取引が実行される、前記実在関心地点での輸送サービスの場所を決定する工程と、
最大近傍半径を含む複数のクラスタリングパラメータを使用して、前記複数の輸送サービス取引について決定された、前記実在関心地点での前記輸送サービスの場所をクラスタ化する工程と、
前記輸送サービスの場所を前記クラスタ化する工程の結果から推測される最も密度の高い地点に基づいて前記実在関心地点での1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定する工程と、
前記実在関心地点において実行されるべき輸送サービス取引と関連付けられたクライアントまたはサービスプロバイダに、前記実在関心地点での前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を提供する工程と、を含み、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する工程は、
前記輸送サービスの場所のそれぞれについて、前記輸送サービスの場所の点密度分布を近似する工程と、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する工程の前記結果を推測するために、前記近似された点密度分布に基づいて、前記クラスタ化する工程の前記最大近傍半径を自動的に調整する工程と、を含み、
前記輸送サービスの場所を決定する工程は、前記サービスプロバイダおよび前記クライアントのアプリケーションプログラムからの、GPSデータと、プロバイダアプリケーションソフトウェアの前記クライアントと前記サービスプロバイダとの間の対話データとに基づいていることを特徴とする輸送サービスの方法。
【請求項2】
前記輸送サービスの場所は、ピックアップの場所、ドロップオフの場所、または配達の場所のうちの1つであり、
前記輸送サービス取引は、前記クライアントの要求に応じて前記サービスプロバイダによって1人または複数の人物、または、1つまたは複数のアイテムをピックアップまたはドロップオフする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記輸送サービスの場所は、前記輸送サービスの場所の画像、前記輸送サービスの場所のビデオ、テレマティックスデータ、オーディオ信号、ダッシュボードカメラ出力、またはチャットログのうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
人間のフィードバックを求めるために解決策案を選択する工程と、
前記人間の前記フィードバックに基づいて前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を改善する工程と、をさらに含む請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する工程は、前記複数のクラスタリングパラメータを動的に調整する工程を含み、
前記複数のクラスタリングパラメータのうちの1つのパラメータは、クラスタを形成するのに必要とされる最小数の地点を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する工程は、
前記輸送サービスの場所について、前記輸送サービスの場所のk個の最近傍までの平均距離を測定する工程と、
前記k個の最近傍の距離をパーセンタイルで表すように、前記クラスタ化する工程の前記最大近傍半径を自動的に調整する工程と、を含み、
前記kは、2~10の整数であり、
前記パーセンタイルは、90~99.9%である請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記実在関心地点に関連付けられた第2の複数の輸送サービス取引の情報を受信する工程と、
前記第2の複数の輸送サービス取引に基づいて、前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を更新する工程と、をさらに含む請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、を含む輸送サービスのための装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
実在関心地点に関連付けられた複数の輸送サービス取引の情報を受信し、
前記複数の輸送サービス取引の各輸送サービス取引について、前記輸送サービス取引が実行される、前記実在関心地点での輸送サービスの場所を決定し、
最大近傍半径を含む複数のクラスタリングパラメータを使用して、前記複数の輸送サービス取引について決定された、前記実在関心地点での前記輸送サービスの場所をクラスタ化し、
前記輸送サービスの場所を前記クラスタ化する結果から推測される最も密度の高い地点に基づいて、前記実在関心地点での1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定し、
前記実在関心地点において実行されるべき輸送サービス取引と関連付けられたクライアントまたはサービスプロバイダに、前記実在関心地点での前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を提供するように構成され、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記輸送サービスの場所のそれぞれについて、前記輸送サービスの場所の点密度分布を近似し、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する前記結果を推測するために、前記近似された点密度分布に基づいて、前記クラスタ化の前記最大近傍半径を自動的に調整するように構成され、
前記輸送サービスの場所は、前記サービスプロバイダおよび前記クライアントのアプリケーションプログラムからの、GPSデータと、プロバイダアプリケーションソフトウェアの前記クライアントと前記サービスプロバイダとの間の対話データとに基づいて決定されることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記輸送サービスの場所は、ピックアップの場所、ドロップの場所、または配達の場所のうちの1つであり、
前記輸送サービス取引は、前記クライアントの要求に応じて前記サービスプロバイダによって1人または複数の人物、または、1つまたは複数のアイテムをピックアップまたはドロップオフすることを含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記輸送サービスの場所は、前記輸送サービスの場所の画像、前記輸送サービスの場所のビデオ、テレマティックスデータ、オーディオ信号、ダッシュボードカメラ出力、またはチャットログのうちの少なくとも1つに基づいて決定される請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
人間のフィードバックを求めるために解決策案を選択し、
前記人間の前記フィードバックに基づいて前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を改善するようにさらに構成されている請求項8ないし10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記輸送サービスの場所をクラスタ化するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数のクラスタリングパラメータを動的に調整するように構成され、
前記複数のクラスタリングパラメータのうちの1つのパラメータは、クラスタを形成するために必要とされる最小数の地点を含む請求項8ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記輸送サービスの場所をクラスタ化するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記輸送サービスの場所について、前記輸送サービスの場所のk個の最近傍までの平均距離を測定し、
前記k個の最近傍の距離をパーセンタイルで表すように、前記クラスタ化の前記最大近傍半径を自動的に調整するように構成され、
前記kは、2~10の整数であり、
前記パーセンタイルは、90~99.9%である請求項8ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記実在関心地点に関連付けられた第2の複数の輸送サービス取引の情報を受信し、
前記第2の複数の輸送サービス取引に基づいて、前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を更新するように構成されている請求項8ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
コンピュータ実行可能コードを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
実在関心地点に関連付けられた複数の輸送サービス取引の情報を受信し、
前記複数の輸送サービス取引の各輸送サービス取引について、前記輸送サービス取引が実行される、前記実在関心地点での輸送サービスの場所を決定し、
最大近傍半径を含む複数のクラスタリングパラメータを使用して、前記複数の輸送サービス取引について決定された、前記実在関心地点での前記輸送サービスの場所をクラスタ化し、
前記輸送サービスの場所を前記クラスタ化する結果から推測される最も密度の高い地点に基づいて前記実在関心地点での1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定し、
前記実在関心地点で実行されるべき輸送サービス取引に関連付けられたクライアントまたはサービスプロバイダに、前記実在関心地点での前記1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を提供するための命令を含み、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化するための命令は、
前記輸送サービスの場所のそれぞれについて、前記輸送サービスの場所の点密度分布を近似する命令と、
前記輸送サービスの場所をクラスタ化する前記結果を推測するために、前記近似された点密度分布に基づいて、前記クラスタ化の前記最大近傍半径を自動的に調整する命令と、を含み、
前記輸送サービスの場所は、ピックアップの場所、ドロップオフの場所、または配達の場所のうちの1つであり、
前記輸送サービス取引は、前記クライアントの要求に応じて前記サービスプロバイダによって1人または複数の人物、または1つまたは複数のアイテムをピックアップまたはドロップオフすることを含み、
前記輸送サービスの場所を決定する命令は、前記サービスプロバイダおよび前記クライアントのアプリケーションプログラムからの、GPSデータと、プロバイダアプリケーションソフトウェアの前記クライアントと前記サービスプロバイダとの間の対話データとに基づいていることを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、輸送サービスに関し、より詳細には、最適な輸送サービスの場所の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
オンデマンド輸送(transport)サービスプロバイダ(例えば、ドライバ)は、出発地から目的地への1人または複数の人、または、1つまたは複数のアイテムの輸送のリクエストをクライアントから受ける。典型的には、クライアントは、ドライバが1人または複数の人、または、1つまたは複数のアイテムをピックアップし、移動(trip)を開始するための場所(location)を指定する。そして、ドライバは、移動を完了するために、目的地で人またはアイテムをドロップオフするための場所を決定する。ピックアップの場所およびドロップオフの場所を手動で決定することにより、実際の道路条件に対して最適化されていないピックアップの場所およびドロップオフの場所をしばしば生成し、あるいは、不十分に選択されたピックアップの場所および/またはドロップオフの場所が原因で、ピックアップ時間または総移動時間が遅れる。あらゆる可能な関心地点(POI)について適切なピックアップの場所またはドロップオフの場所を手動で見つけることは、手間がかかり、キュレートするために測定可能ではなく(un-scalable)、クライアントおよびドライバにとって不快である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以下、開示される発明の様々な態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この発明の概要は、すべての企図された態様の広範な概観ではなく、すべての態様の重要なまたは重大な要素を識別することも、任意のまたはすべての態様の範囲を線引きすることも意図されていない。唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の態様のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
サービスプロバイダとリクエスタの両方に適したまたは最適な、関心地点または関心領域(AOI)に固有の輸送サービスの場所(例えば、ピックアップの場所、ドロップオフの場所など)を自動的に推測または発見するための解決策が提供される。これらの場所は、ノイズの多いグローバル・ポジショニング・システム(GPS)、画像、ビデオ、オーディオ、電子財布取引、テレマティックスデータ(例えば、ドアの開閉、車のセンサからのシートベルトの使用)、および、プロバイダおよびリクエスタのアプリケーションプログラムからのユーザ対話データを含む多数の信号から推測される。オーディオデータ、視覚的データ、テキストデータ、および場所のデータは、ドライバアプリケーションプログラムおよび/または乗客アプリケーションプログラムから来る。輸送サービスは解決策が適用される例として示されているが、解決策は、食品配送および物流などの他のサービスに拡張され、一般化される。
【0005】
本開示の一態様では、輸送サービスのための方法、コンピュータ可読媒体、および装置が提供される。装置は、実在関心地点(point of interest entity)に関連付けられた複数の輸送サービス取引を受信する。複数の輸送サービス取引の各輸送サービス取引について、装置は、輸送サービス取引が実行される輸送サービスの場所を決定する。装置は、複数の輸送サービス取引について決定された輸送サービスの場所をクラスタ化する。装置は、クラスタリングに基づいて、実在関心地点のための1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定する。装置は、実在関心地点において実行される輸送サービス取引に関連付けられたクライアントまたはサービスプロバイダに、1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を提供する。
【発明の効果】
【0006】
前述の目的および関連する目的を達成するために、開示される態様は、以下で十分に説明され、特に特許請求の範囲で指摘される特徴を含む。以下の説明および添付の図面は、本開示の態様の特定の特徴を詳細に示す。しかしながら、これらの特徴は、さまざまな態様の原理が採用される様々な方法のうちのほんのいくつかを示す。そして、この説明は、すべてのそのような態様およびそれらの均等物を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、輸送サービス取引の一例を示す図である。
【0008】
図2図2は、関心地点に対する最適なサービスの場所を自動的に決定する方法のフローチャートである。
【0009】
図3図3は、他のデータソースが輸送サービスの場所を推測するためにどのように使用されるかの一般的なフレームワークの一例を示す図である。
【0010】
図4図4は、ある固定クラスタリングパラメータを用いた1KサンプリングにおけるPOIのクラスタリング結果の一例を示す図である。
【0011】
図5図5は、同じ固定クラスタリングパラメータを使用して、20Kサンプリング(例えば、1ヶ月のデータセット)における、図4において上述したPOIのクラスタリング結果の一例を示す図である。
【0012】
図6図6は、POIに対する5-NN距離(km単位)の累積分布関数の例を示すチャートである。
【0013】
図7図7は、従来のクラスタリングアルゴリズムの問題に対処するために、上述した方法を使用する、図4および図5において上述したPOIのクラスタリング結果の一例を示す図である。
【0014】
図8図8は、輸送サービスの方法のフローチャートである。
【0015】
図9図9は、例示的な装置における異なる手段/コンポーネント間のデータフローを示す概念的なデータフロー図である。
【0016】
図10図10は、処理システムを採用する装置のハードウェア実装の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な可能な構成の説明として意図されており、本明細書で説明される概念が実施される唯一の構成を表すことを意図していない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供する目的で、特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念は、これらの特定の詳細なしに実施されてもよいことは当業者には明らかである。いくつかの例では、周知の構造およびコンポーネントは、そのような概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図形式で示される。
【0018】
ここで、様々な装置および方法を参照して、輸送サービスを提供するいくつかの態様を提示する。装置および方法は、以下の詳細な説明で説明され、様々なブロック、コンポーネント、回路、プロセス、アルゴリズムなど(まとめて「要素」と呼ばれる)によって添付の図面に示される。これらの要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはそれらの任意の組合せを使用して実装される。このような要素がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定のアプリケーションおよび設計上の制約に依存する。
【0019】
例として、要素、または要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1つまたは複数のプロセッサを含む「処理システム」として実装される。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、グラフィックス処理ユニット(GPU)、中央処理ユニット(CPU)、アプリケーションプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、システムオンチップ(SoC)、ベースバンドプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、ステートマシン、ゲート論理、ディスクリートハードウェア回路、および本明細書全体にわたって説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システム内の一つまたは複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行する。ソフトウェアとは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語などと称されるか否かにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアコンポーネント、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能物、実行のスレッド、プロシージャ―、ファンクション(機能)などを意味すると広く解釈される。
【0020】
したがって、1つまたは複数の例示的な実施形態では、説明されたファンクションは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実装される。ソフトウェアで実施される場合、ファンクションは、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして保存され、またはエンコードされる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることができる任意の利用可能な媒体であってもよい。特に限定されないが、一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、他の磁気記憶装置、前述の種類のコンピュータ可読媒体の組み合わせ、またはコンピュータによってアクセス可能な命令またはデータ構造の形成でコンピュータ実行可能コードを記憶するために使用することができる他の任意の媒体を含む。
【0021】
図1は、輸送サービス取引の一例を示す図100である。この例では、クライアントは、POI102で、乗客104をピックアップするかまたはドロップオフするようにサービスプロバイダ106に要求する。いくつかの実施形態では、クライアントは、乗客104である。POI102は、広い面積を占有する。したがって、輸送サービス取引を容易にするために、正確な輸送サービスの場所108を決定する必要がある。
【0022】
ピックアップ、ドロップオフ、および配達のための正確なサービスの場所を理解することは、タクシー配車サービス(ride-hailing service)および配達サービスにとって重要である。ほとんどのマッピング解決策はPOI情報を有するが、その解決策は、様々なアクセスポイント、入口および出口などについての詳細な情報を有することはめったにない。これは、サービスの最初のマイルセグメントおよび最後のマイルセグメントを成功裏に完了するために不可欠である。この目標に向かって、機械学習ベースの解決策は、過去の予約のGPSの痕跡(trail)を検索することにより、サービスの場所(例えば、地図上の緯度と経度の座標によって与えられる)を自動的に推測するために提供される。
【0023】
正確なサービスの場所を推測することは、POIのピックアップおよびドロップオフの正確な場所、したがって、POIで出発または終了する移動に対応する移動時間を理解するのに役立つ。さらに、正確なサービスの場所を推測することは、乗客によって好まれるまたは選択される新しい場所を発見するのに役立つ。したがって、正確なサービスの場所を推測することは、移動時間のより良好な推測、ならびに乗客およびドライバの両方の経験を改善するのに役立つ。
【0024】
本開示では、POIの好ましいサービスの場所を推測する自動化された方法が提供される。従来の実装はGPSプローブを広範囲に使用するが、解決策のいくつかの実施形態は、画像、ビデオ、音声、テキスト、テレマティックス、および人間のフィードバックを含む多数の信号を処理するために容易に拡張される。ほとんどの従来の方法は、POI推測のためにGPSデータのみに依存する。しかし、解決策は、オーディオ、ビデオ、テキスト(例えば、乗客-運転手間のチャット)、およびテレマティックスログから来る様々なマルチモーダルデータを使用するために提供される。これらはすべて、サービスの場所のより正確な推測を提供するために組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、サービスの場所の推測において不確実性が高いとき、人間のフィードバックを統合する方法が提供される。
【0025】
図2は、関心地点に対する最適なサービスの場所を自動的に決定する方法のフローチャート200である。いくつかの実施形態では、この方法は、装置(例えば、図9または図10に示される装置902/902’)によって実行される。
【0026】
202において、装置は、ノイズの多いGPSデータをドライバアプリケーションプログラムの対話データと組み合わせて(例えば、ドライバが車両が到着したことをシステムに通知するとき、ドライバは、可能な限り正確に、この行動を実行することを強制されない)、地点を推測する。その地点は、各ドライバがそのピックアップ/ドロップオフイベントに関連付けられた各実在POIについてピックアップ/ドロップオフイベントをトリガした地点である。
【0027】
POIの最適なサービスの場所を推測するためにドライバアプリケーションプログラムの対話からGPSプローブのみに頼ることは、ドライバがいつ、どこで乗客をピックアップしたかを示すことを決定することと(不確実な行動)、固有のノイズと、GPS信号の不確実性とのばらつきが原因で、常に信頼できるとは限らない。したがって、いくつかの実施形態では、ドライバ対話(interaction)データおよび/またはGPS信号は、追加の信号で増強される。その追加の信号は、特に限定されないが、画像、ビデオ、音声、テレマティックス、および慣性運動センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)などを含む。
【0028】
図3は、他のデータソースが輸送サービスの場所を推測するためにどのように使用されるかの一般的なフレームワークの一例を示す図300である。この例では、これらの他のデータソースは、環境302と、ドライバおよび乗客の携帯電話304と、車両306とを含む。環境302は、(308で)オーディオ、ビデオ、および画像を提供する。ドライバおよび乗客の携帯電話304は、(310において)アプリケーションプログラムの対話データ、GPSデータ、慣性測定ユニット(IMU)センサデータ、及びテキスト(例えば、乗客-運転者間のチャット)を提供する。車両306は、(312において)ドアおよびシートベルトテレマティックスデータを提供する。異なるソースからのデータは、320において結合されて、信号分解能を形成する。322において、推測された輸送サービスの場所の最終出力を取得する。
【0029】
セキュリティ上の懸念に対処し、乗車後の紛争を解決するために、対面カメラおよびマイクロフォンは、データを記録し、事後の分析を実行するために使用されている。しかしながら、このデータは、他の目的を果たすために、より積極的に使用される。いくつかの実施形態では、顔検出および/または認識システムを装備した対面ダッシュボードカメラを使用して、車内の顔を検出し、乗客が乗車し、降車したときを検出し、記録する。アルゴリズムが客室内の新しい顔を検出すると、これは新しい乗車の開始を示すことができる。同様に、以前に検出された顔がないことは、乗車の終わりを示すことができる。時間の瞬間とこれらのイベントに対応するGPS信号を組み合わせて、最適なサービスの場所と移動の継続時間を推測し、改善(refine)することができる。
【0030】
典型的には、タクシー配車旅行(journey)は、ドライバと乗客が互いに挨拶すること、ドライバが乗客の名前と目的地を確認すること、乗客が詳細を同意することで始まる。これは、固有のオーディオシグネチャを有するドア閉鎖と同時に起こる。いくつかの実施形態では、これらの信号を分析することによって、オーディオシグネチャを導出して、そのようなオーディオ信号の正規化形式(パーソナルアシスタントで使用されるウェイクワードに類似する)を作成する。これらの信号は、GPSデータと組み合わせて、正確なサービスの場所を特定するために使用される。
【0031】
長年にわたり、車内のテレマティックスセンサは、車で起こる活動の正確さと受信地域(coverage)の両方において、大幅に改善されてきた。テレマティックセンサは、オンボードGPS(典型的には、電話GPS受信機よりも正確)、リアドアに取り付けられたセンサ、加速度、ブレーキ、チャイルドセーフティロック、ワイパなどを含む。タクシー配車シナリオでは、ドライバが連続的に乗車のシーケンスを提供する。その場合、リアドアおよびトランクドアの開閉は、乗客が乗車または降車していることを示す。いくつかの実施形態では、記録されたGPS信号と関連して、(テレマティックスセンサ信号によって示されるように)これらの活動のタイムスタンプを使用して、サービスの場所をより正確に推測する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ピックアップの場所の画像およびビデオは、POI内の正確な場所を絞り込むために、街の画像の既存のデータベースと照合される。これは、主に、GPS信号にノイズが多く、不明瞭な場合、特に、屋内のピックアップエリアで役立つ。
【0033】
乗客はしばしば、ピックアップまたはドロップオフのいずれかの場所のピンを選択するために地図を使用する(interact)。これらの「マニュアルピン」は、通常、乗客がピックアップポイントを近くに見つけない場合に使用される。いくつかの実施形態では、(教師なし機械学習)クラスタリングアルゴリズムが時間集約されたマニュアルピンにわたって適用される場合、使用パターンが明らかになる。これは、次に、新しいPOIを作成するために使用されることができる。これは、より完全なマッピングによって固定することができるPOIデータベース内の潜在的なブラインドスポットをさらに識別する。
【0034】
乗客はしばしば、POIに関する追加情報を提供するために、タクシー配車アプリケーションプログラム内でテキスト会話を使用する。例えば、乗客は、「3とマークされた柱で待っている」と言うかもしれない。いくつかの実施形態では、POIおよび予約に関連してチャットログを検索することは、POIに関する追加の属性を明らかにし、新しいPOIを作成することを潜在的に助ける。
【0035】
図2に戻って参照すると、204において、装置は、過度にノイズの多いGPSおよび/または間違ったドライバ対話のために、データの異常値をフィルタする。
【0036】
206で、装置は、クラスタリングアルゴリズムを使用して、それぞれ関連する実在POIにそのようなピックアップ/ドロップオフ地点を一緒にクラスタ化する。アルゴリズムのパラメータは、各POIのポイントデータセットの構造に応じて動的に調整される。
【0037】
いくつかの実施形態では、クラスタリングアルゴリズムは、いくつかのパラメータ(例えば、地点から近傍の最大半径、および所望の最小クラスタサイズ)を含む。通常、各POIでのピックアップ信号(ドライバがボタンを押すことに対応するGPS位置)の分配は大きく異なる。人気のある場所は、密度が高く、発生の分散が大きい。一方、あまり知られていない場所(例えば、住宅用POI)は、まばらな集中発生を有する傾向がある。したがって、クラスタリングパラメータの固定値は、すべての場合に機能するわけではない。クラスタリングパラメータに対する控えめな(conservative)値は、同じPOIに対して必要以上の数のクラスタを生成する傾向がある。一方、これらのパラメータを緩和すると、必要なクラスタを統合し、さらに、異常値(outliers)を効果的に除去することができない。したがって、最終結果に悪影響を及ぼす。
【0038】
図4は、ある固定クラスタリングパラメータを用いた1KサンプルにおけるPOIのクラスタリング結果の一例を示す図400である。図示のように、クラスタリングは、2つのクラスタ402および406を生じる。
【0039】
図5は、同じ固定クラスタリングパラメータを使用した、20Kサンプル(例えば、1ヶ月のデータセット)における、図4において上述したPOIのクラスタリング結果の一例を示す図500である。図示のように、クラスタリングアルゴリズムがすべての地点を一緒に結合したので、クラスタリングは1つのクラスタ502のみを生じる。
【0040】
いくつかの実施形態では、クラスタリングアルゴリズムに関して上述した問題に対処するために、パラメータを設定および調整する2段階プロセスが提供される。第1のステップの間、クラスタリングパラメータ(例えば、地点からの近傍の最大半径)は、全ての実験において初期値に固定される。別のパラメータ(例えば、所望の最小クラスタサイズ)は、POIについて観察された地点の密度に基づいて設定される。クラスタリングアルゴリズムが失敗した場合(すなわち、有効なクラスタに戻らない場合)、クラスタリングパラメータは、観測値に調整するために、動的に調整される(例えば、徐々に緩和される)。いくつかの実施形態では、数回の連続した試みのみがこの調整のために許可される。そして、最大数の試みが使い果たされた後でさえ、クラスタリングが失敗した場合、「クラスタが見つからない」ことが報告される。
【0041】
いくつかの実施形態では、クラスタリングアルゴリズムに関して上述した問題に対処するために、クラスタリングパラメータの値を自動的に選択する。クラスタリングパラメータは、異なるデータセットサイズに再調整する必要がある。これは、クラスタリングされるPOIの人気と、使用されるデータのスナップショットの期間に依存する。いくつかの実施形態では、点密度(例えば、k最近傍アルゴリズム(k-NN)距離)を近似するためにヒューリスティック(heuristics)を使用することによって、各POIについての適切なクラスタリングパラメータを自動的に決定することができる。これは、クラスタリングパイプラインで実施される。特定のPOIについてのデータセットのサイズが増加することにつれて、ボタンを押すと、ストリートネットワークを「マッピング」し始める。この手段は、以前は別個であったクラスタがこれらの偽(spurious)データ地点によって「ブリッジ」されることを意味する。
【0042】
このために、いくつかの実施形態では、POI内の各点について、そのk個の最も近い隣接点までの平均距離を測定する。次いで、クラスタリングパラメータは、このk-NN距離分布のいくつかの百分位数(percentile)pになるように設定される。例えば、いくつかの実施形態では、k=3、4、または5など、およびp=90%、95%、または99%などである。pを高く設定すると、より多くの「包括的」(したがって、より少ない)クラスタが可能になる。いくつかの実施形態では、よりまばらなデータセット上の過度に大きなクラスタを回避するために、クラスタリングパラメータ上の極大値キャップを設定する。
【0043】
図6は、POIに対する5-NN距離(km単位)の累積分布関数(CDF)の例を示すチャート600である。図示のように、地点の約80%は、その隣接点の1m以内にある。さらに、地点の99%は、その隣接点の14m以内にある。
【0044】
図7は、従来のクラスタリングアルゴリズムの問題に対処するために、上述した方法を使用する、図4および図5において上述したPOIのクラスタリング結果の一例を示す図700である。図示のように、5つのクラスタ702、704、706、708、710が特定される。
【0045】
図2に戻って参照すると、208で、装置は、そのPOIの適切なピックアップ/ドロップオフ地点として、各クラスタの集合地点または代表地点を推測する。いくつかの実施形態では、クラスタの集合地点または代表地点は、クラスタについて推測された最も密度の高い地点である。いくつかの実施形態では、推測された地点は、さらなる分析、人間の検証のために、または適切な地点についてPOIの現在のデータベースを直接更新するために、記憶される。
【0046】
いくつかの実施形態は、バッチで入力データ(例えば、1週間または1ヶ月にわたって蓄積されたデータ)を取得し、それらをバッチで処理し、出力最適サービスの場所を生成または更新して、定期的に実行される。しかしながら、このように実行することは、必然的に変化の遅延につながる。プロセスは、再処理の前に、データが蓄積されるのを1週間/1月間待つことを要求する。さらに、データはバッチとして処理されるので、プロセスは、処理するために計算的で集中的なおよび/または長い継続時間を必要とする。
【0047】
いくつかの実施形態は、(「バッチ学習」の代わりに)「オンライン/漸次的学習」を実行する。したがって、これらの課題を解決する。事実上、学習アルゴリズムは、システムがこれまでに学習した全ての「古いデータ」の「既存のメモリ」と組み合わされた「新しいデータ地点」の小さなバッチのみを受信することによって、最適なサービスの場所を更新するようにリファクタリングされる。極端な場合には、更新が受信される各単一の新しいデータ地点で計算される。
【0048】
これにより、システムは、計算的で効率的な方法で、変化する条件(例えば、既存の道路における予期せぬ閉鎖または入口の再配置)に対して、より迅速かつ素早く反応することができる。他の特定の場合において、これはまた、異常のフラグを立てることができる。例えば、異常は、人気のある目的地の名前を有するが、いくつかのマニュアル(挿入/削除)エラーのために、著しく移動したサービスの場所である。例えば、クラスタリングアルゴリズムは、臨機応変に受信される漸進的変化を可能にするように修正される。
【0049】
図2に戻って参照すると、210において、装置は、そのような地点の人間の検証データをモデルに保存し、フィードバックして、クラスタリングアルゴリズムを改良するのを補助する。いくつかの実施形態は、人間の入力を有さず、純粋に「機械的に」実行される。しかしながら、人間の専門知識は、特に、非常に文脈的、時間的、または行動的な側面において、依然として明らかに価値がある。いくつかの実施形態は、サービスの場所のデータをキュレーションすることに専念する人間の専門家チームを有するが、上述の方法はプロセスの大部分を自動化するのに役立ち、人間のチームが自分の作業を実行する能力および速度を増大させることを意図している。
【0050】
通常、このような作業ダイナミックは、結果を「盲目的に」処理し、出力するために自動化されたシステムを必要とする。それによって、人間のチームは、必要に応じて、評価し、および/または修正する。いくつかの実施形態では、このワークフローに対する改善は、(人間のチームが最も「重要な修正」に優先順位を付けるように)何らかの方法で評価のための結果を「ランク付け」する工程、および/または、通常はアルゴリズム/システムを作成または維持するチームによって、システムを改善するために何らかの方法で結果をフィードバックする工程のいずれかを含む。
【0051】
この機械支援による人間のキュレーションのパラダイムに対する非自明な改善は、「能動的学習」を含む。本質的に、いくつかの実施形態のシステムは、後続のタスクについてそれ自体を改善することを目的としながら、それが解決しようと試みた特定のクラスタリングタスクを選択し、その解が「正しい」かどうかを人間の専門家に「尋ねる」際にアクティブである。
【0052】
いくつかの実施形態では、能動的学習システムは、これらの工程を実行する。
1.ベースラインモデルおよびパラメータのセットが与えられると、データのいくつかについて最適なサービスの場所を見つける。すべての既存データが利用可能である必要はなく、サブセットが実行する。簡潔さのために、これらの出力最適点は、「解決策案」と呼ばれる。
2.どの解決策案がフィードバックのために人間の専門家に示されるべきかを評価する。これは、次のようになされる。
a.まず、これらのメトリック(metric)のいずれかを測定する。
・解決策案の正確さの不確実性。例えば、アルゴリズムは、その推測が誤っている可能性があり、それを訂正するために人間の専門家を必要とすると判断する。
・潜在的な人間の専門家の答えの情報性。例えば、アルゴリズムは、解決策案に対する人間の答えが、可能な限り少ない反復でモデルの全体的な正しさを改善する最高の可能性を有すると判断する。
・このデータ地点の重要性。例えば、この場所を正しく取得することは、それが高価値POIであるために重要である。
・上記の適切なバランス。
b.次に、(2a)のメトリック上で高くランク付けされた解決策を示す。
3.(2b)における優先順位付けされた解決策は、(例えば、コンピューターダッシュボードまたは他の適切な人間-コンピューターインターフェースを介して)人間の専門家に示される。次いで、人間の専門家は、グラウンドトゥルース(例えば、最適なサービスの場所が実際に人間の専門家によって判断される)として「正解」を提供する。
4.人間の専門家の判断は、システムにフィードバックされる。そして、モデルパラメータは、自動的に微調整されて、人間が提供するグラウンドトゥルース回答に対するそれ自体のエラーを低減する。
5.新たに微調整されたモデルとパラメータで、および、データの完全に異なるサブセットまたは以前に使用したいくつかのデータのいずれかで、工程1から繰り返す。
【0053】
したがって、キュレートされたサービスの場所の品質は、実施例が人間のフィードバックのためにランダムに示された場合よりも、より速い速度で、より少ない人間の対話で改善する。なぜなら、人間の専門家は、最も必要とされるより有益な回答を提供することに努力を費やすために必要とされるだけだからである。
【0054】
本開示はタクシー配車に焦点を当てているが、当業者であれば、本開示に記載された技術は食品または商品アイテムのようなアイテムの収集および配送のような他のアプリケーションに一般化されてもよいことを認識する。これらの場合、同じ方法を使用して、サービスの場所(すなわち、ピックアップの場所、駐車の場所、およびアイテム配送の場所など)を推測する。
【0055】
いくつかの実施形態では、POIのために推測される最適な輸送サービスの場所は、自動化された車両(自動運転車とも呼ばれる)に提供される。自動運転車は、本開示に記載される様々な利点を達成するために、最適な輸送サービスの場所に基づいて、POIにおいて輸送/配送サービスを提供する。
【0056】
図8は、輸送サービスの方法のフローチャート800である。いくつかの実施形態では、この方法は、装置(例えば、図9または図10に示される装置902/902’)によって実行される。いくつかの実施形態では、方法によって実行される動作は、図2を参照して、上述した動作に対応する。
【0057】
802において、装置は、実在関心地点に関連付けられた複数の輸送サービス取引を受信する。いくつかの実施形態では、輸送サービス取引は、クライアントの要求に応じて、サービスプロバイダによって、1人または複数の人物または1つまたは複数のアイテムをピックアップまたはドロップオフすることを含む。
【0058】
804において、複数の輸送サービス取引のうちの各輸送サービス取引について、装置は、輸送サービス取引が実行される輸送サービスの場所を決定する。いくつかの実施形態では、輸送サービスの場所は、ピックアップの場所、ドロップオフの場所、または配達の場所のうちの1つである。
【0059】
いくつかの実施形態では、輸送サービスの場所は、GPSデータおよびプロバイダアプリケーションソフトウェアの対話データに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、輸送サービスの場所は、輸送サービスの場所の画像、輸送サービスの場所のビデオ、テレマティックスデータ、オーディオ信号、ダッシュボードカメラ出力、クライアント対話、またはチャットログのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0060】
806において、装置は、複数の輸送サービス取引について決定された輸送サービスの場所をクラスタ化する。いくつかの実施形態では、輸送サービスの場所をクラスタ化するために、装置は、クラスタリングパラメータを反復的に緩和する。そのような実施形態では、クラスタリングパラメータは、最大近傍半径と、有効クラスタを形成するために必要な地点の最小数(minimum number of points)とを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、輸送サービスの場所をクラスタ化するために、複数の輸送サービスの場所の各輸送サービスの場所について、装置は、輸送サービスの場所のk個の最近傍までの平均距離を測定する。装置は、k個の最近傍距離分布の百分位数になるように、クラスタリングの最大近傍半径を自動的に調整する。いくつかの実施形態では、kは3、4、または5などであり、百分位数は90%、95%、99%などである。
【0062】
808において、装置は、クラスタリングに基づいて、実在関心地点のための1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定する。
【0063】
810において、装置は、実在関心地点において実行されるべき輸送サービス取引に関連付けられたクライアントまたはサービスプロバイダに、1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、装置は、人間のフィードバックを求めるために解決策案をさらに選択する。装置は、人間のフィードバックに基づいて、1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を改善する。
【0065】
いくつかの実施形態では、装置は、実在関心地点に関連付けられた第2の複数の輸送サービス取引を受信する。第2の複数の輸送サービス取引は、最新の取引である。装置は、第2の複数の輸送サービス取引に基づいて、1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を更新する。
【0066】
図9は、例示的な装置902における異なる手段/コンポーネント間のデータフローを示す概念的なデータフロー図900である。装置902は、コンピューティングデバイス、または複数のコンピューティングデバイスを含むシステムである。
【0067】
装置902は、マルチモーダルデータに基づいて、POIのための輸送サービスの場所を決定するロケーション決定コンポーネント904を含む。一実施形態では、ロケーション決定コンポーネント904は、図2の202または図8の804を参照して、上述した動作を実行する。
【0068】
装置902は、ロケーション決定コンポーネント904によって提供される輸送サービスの場所をクラスタ化するクラスタリングコンポーネント906を含む。一実施形態では、クラスタリングコンポーネント906は、図2の206または図8の806を参照して、上述した動作を実行する。
【0069】
装置902は、クラスタリングコンポーネント906によって取得されたクラスタに基づいて、POIについての輸送サービスの場所の候補を決定するロケーション最適化コンポーネント908を含む。一実施形態では、ロケーション最適化コンポーネント908は、図2の208または図8の808を参照して、上述した動作を実行する。
【0070】
装置902は、図2および図8の前述のフローチャートにおけるアルゴリズムの各ブロックを実行する追加のコンポーネントを含む。したがって、図2および図8の前述のフローチャートにおける各ブロックは、コンポーネントによって実行されてもよく、装置はそれらのコンポーネントのうちの1つまたは複数を含んでもよい。コンポーネントは、記載されたプロセス/アルゴリズムを実行するように具体的に構成された1つまたは複数のハードウェアコンポーネント、記載されたプロセス/アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサによって実装された1つまたは複数のハードウェアコンポーネント、プロセッサによる実装のためにコンピュータ可読媒体内に格納された1つまたは複数のハードウェアコンポーネント、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0071】
図10は、処理システム1014を使用する装置902’のためのハードウェア実装の一例を示す図1000である。いくつかの実施形態では、装置902’は、図9を参照して、上述した装置902であってもよい。装置902’は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスを含む。処理システム1014は、バス1024によって一般に表されるバスアーキテクチャによって実現される。バス1024は、処理システム1014の特定の用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含む。バス1024は、様々な回路を一緒にリンクする。その回路は、プロセッサ1004、コンポーネント904、906、908、およびコンピュータ可読媒体/メモリ1006によって表される、1つまたは複数のプロセッサおよび/またはハードウェアコンポーネントを含む。バス1024はまた、当技術分野で周知である種々の他の回路(例えば、タイミングソース、周辺装置、電圧レギュレータ、および電力管理回路など)をリンクする。したがって、これ以上の説明は省略する。
【0072】
処理システム1014は、コンピュータ可読媒体/メモリ1006に結合されたプロセッサ1004を含む。プロセッサ1004は、コンピュータ可読媒体/メモリ1006上に記憶されたソフトウェアの実行を含む、一般的な処理に責任を負う。ソフトウェアは、プロセッサ1004によって実行されると、処理システム1014に、任意の特定の装置について上述した様々な機能を実行させる。コンピュータ可読媒体/メモリ1006はまた、ソフトウェアを実行するときに、プロセッサ1004によって操作されるデータを保存するために使用されてもよい。処理システム1014は、コンポーネント904、906、908のうちの少なくとも1つをさらに含む。コンポーネントは、プロセッサ1004内で実行するソフトウェアコンポーネント、コンピュータ可読媒体/メモリ1006内に常駐/格納されるソフトウェアコンポーネント、プロセッサ1004に結合される1つまたは複数のハードウェアコンポーネント、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0073】
以下では、本開示の様々な態様が例示される。
【0074】
実施例1は、輸送サービスのための方法、装置、またはコンピュータプログラムである。装置は、実在関心地点に関連付けられた複数の輸送サービス取引を受信し、複数の輸送サービス取引のうちの各輸送サービス取引について、輸送サービス取引が実行される輸送サービスの場所を決定し、複数の輸送サービス取引について決定された輸送サービスの場所をクラスタ化し、クラスタリングに基づいて、実在関心地点のための1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を決定し、実在関心地点で実行されるべき輸送サービス取引に関連するクライアントまたはサービスプロバイダに、1つまたは複数の輸送サービの場所の候補を提供する。
【0075】
実施例2において、実施例1の主題は、輸送サービスの場所がピックアップの場所、ドロップオフの場所、または配達の場所のうちの1つであってもよいことを任意選択で含む。輸送サービス取引は、クライアントの要求に応じてサービスプロバイダによって1人または複数の人物、または、1つまたは複数のアイテムをピックアップまたはドロップオフすることを含んでいてもよい。
【0076】
実施例3において、実施例1または2の主題は、輸送サービスの場所がGPSデータおよびプロバイダアプリケーションソフトウェアの対話データに基づいて決定されることを任意選択で含む。
【0077】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つの主題は、輸送サービスの場所が輸送サービスの場所の画像、輸送サービスの場所のビデオ、テレマティックスデータ、オーディオ信号、ダッシュボードカメラ出力、クライアント対話、またはチャットログのうちの少なくとも1つに基づいて決定されることを任意選択で含む。
【0078】
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つの主題は、装置が人間のフィードバックを求めるために提案された解決策を選択し、人間のフィードバックに基づいて1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を改善することを任意選択で含む。
【0079】
実施例6において、実施例1~5のいずれか1つの主題は、輸送サービスの場所をクラスタ化するために、装置がクラスタリングパラメータを動的に調整することを任意選択で含む。
【0080】
実施例7において、実施例6の主題は、スタリングパラメーターがクラスタを形成するのに必要な最大近傍半径および最小数の地点を含むことを任意選択で含む。
【0081】
実施例8において、実施例1~7のいずれか1つの主題は、輸送サービスの場所をクラスタ化するために、装置が輸送サービスの場所のうちの各輸送サービスの場所について、輸送サービスの場所の点密度分布を近似し、近似点密度分布に基づいてクラスタリングの最大近傍半径を自動的に調整することを任意選択で含む。
【0082】
実施例9において、実施例8の主題は、kが2~10の整数であってもよく、百分位数が90%~99.9%であってもよいことを任意に含む。
【0083】
実施例10において、実施例1~9のいずれか1つの主題は、装置が実在関心地点に関連付けられた第2の複数の輸送サービス取引を受信し、第2の複数の輸送サービス取引に基づいて1つまたは複数の輸送サービスの場所の候補を更新することを任意選択で含む。
【0084】
当業者であれば、本明細書で使用される用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していないことを理解する。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える」および/または「含む」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解される。
【0085】
開示されたプロセス/フローチャートにおけるブロックの特定の順序または階層は、例示的なアプローチの例であることが理解される。設計選好に基づいて、プロセス/フローチャートにおけるブロックの特定の順序または階層が再配置されることが理解される。また、いくつかのブロックを組み合わせてもよいし、省略してもよい。添付の方法クレームは、様々なブロックの要素をサンプル順序で提示し、特定の順序または階層に限定されることを意味しない。
【0086】
前述の説明は、当業者が本明細書で説明される様々な態様を実施することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかである。本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用される。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されるものではなく、文言上特許請求の範囲に一致する全範囲で与えられることを意図するものである。単数形における要素への言及、そのように具体的に記載されない限り、「1つおよび1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味するものである。「例示的」という語は、本明細書において、「実施例、例、または例示として機能する」ことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載される任意の態様は、必ずしも、他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。特に明記されない限り、「いくつか」という語は、1つまたは複数に言及する。「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」、「A、BまたはCのうちの1つまたは複数」、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」、「A、BおよびCのうちの1つまたは複数」、および「A、B、Cまたはその任意の組み合わせ」のような任意の組み合わせは、A、Bおよび/またはCの任意の組み合わせを含み、Aの倍数、Bの倍数、またはCの倍数を含む。具体的に、「A、BまたはCの少なくとも1つ」、「A、BまたはCの1つまたは複数」、「A、BおよびCの少なくとも1つ」、「A、BおよびCの1つまたは複数」、および「A、B、Cまたはそれらの任意の組み合わせ」などの組み合わせは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、または、AおよびBおよびCであってもよい。このような組み合わせは、A、BまたはCの1つまたは複数のメンバーまたはA、BまたはCのメンバーを含む。当業者に知られているまたは後に知られる本開示全体にわたって記載されている種々の態様の要素に対する全ての構造的および機能的な等価物は、参照によって本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、一般に専用であることを意図するものではない。「モジュール」、「機構」、「要素」、「装置」等の用語は、「ミーンズ(手段)」という語の代わりとならない。したがって、当該要素が「ミーンズ」という語句を用いて明示的に記載されない限り、特許請求の範囲の要素は、ミーンズプラスファンクションとして解釈されない。
図1
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