(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】電気活性化により高度に活性化された電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 11/86 20130101AFI20240222BHJP
H01G 11/26 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/60 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/34 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/02 20130101ALI20240222BHJP
H01M 4/1393 20100101ALI20240222BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20240222BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240222BHJP
【FI】
H01G11/86
H01G11/26
H01G11/60
H01G11/62
H01G11/34
H01G11/02
H01M4/1393
H01M4/88 C
C25B1/04
(21)【出願番号】P 2021560318
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020025648
(87)【国際公開番号】W WO2020205697
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521440437
【氏名又は名称】コントロラマティクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファベッタ,ディノ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ブーン,エリック,ピー.
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040083(US,A1)
【文献】特開平09-129515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162960(US,A1)
【文献】国際公開第2013/146464(WO,A1)
【文献】米国特許第04273839(US,A)
【文献】特開2000-100668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00 -11/86
H01M 4/1393
H01M 4/88
C25B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度に活性化された電極を製造する方法であって、
炭素質バイオチャー電極ウェーハを提供するステップであって、前記バイオチャーは、バイオマス材料を炭化することで形成され、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハは、ウェーハ表面及び細孔を備え、前記細孔は細孔表面を備え、一以上の有機部分が前記細孔の中であって前記細孔表面に存在するステップと、
前記炭素質バイオチャー電極ウェーハを電流伝導ファスナに接続するステップと、
対向電極を提供するステップと
前記炭素質バイオチャー電極ウェーハと前記対向電極を水性塩浴槽に浸すステップと、
1.65~5.5Vの電圧を前記電流伝導ファスナ及び前記対向電極を通じて印加して浸された前記炭素質バイオチャー電極ウェーハに直流電流が流れるようにし、その印加される電圧の極性を3以上のサイクルで、少なくとも1極性当たり少なくとも2分に亘って周期的に変化させて、電気分解の電気化学処理を発生せしめて前記水性塩浴槽の水分子を加水分解し、これにより(i)水素ガスを発生させ、(ii)水素イオンを発生させ、(iii)酸素ガスを発生させ、(iv)前記水性塩浴槽の塩と水分子の加水分解により生成される水酸基イオンの反応に基づき水酸基イオンを発生させ、(v)前記炭素質バイオチャー電極ウェーハの前記細孔内及び前記細孔表面における1以上の有機部分を電気分解するステップと
を備え、
これにより、電気分解の電気化学処理は、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハの前記細孔を介して前
記水素ガス及び前記酸素ガスの気泡を発生させることに少なくとも部分的に基づいて、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハから前記一以上の有機部分を取り除くのに効果的であり、
前記1以上の有機部分の電気分解により生成される炭素は、少なくとも1つの炭素質バイオチャー電極ウェーハの表面及び前記細孔表面に結合し、追加の炭素質構造をその上に形成し、これにより、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハを電気活性化させ、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハの活性且つ使用可能な全表面積を増加させ、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハの電気的及び化学的吸収性を増加させる
方法。
【請求項2】
1.7Vを越え5.5V以下の印加電位が、
前記水性塩浴槽に浸された炭素質バイオチャー電極ウェーハに直流電流が流れるように、前記電流伝導ファスナ
と前記対向電極を通じて印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気分解の電気化学処理が、
前記炭素質バイオチャー電極
ウェーハの表面上及び細孔内にフリーラジカル及びガスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生成されたガスが気泡を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
気泡がバイオチャー電極の細孔内及び前記バイオチャー電極
ウェーハの表面上で膨張し、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハから逃げ、これにより前記炭素質バイオチャー電極ウェーハのウェーハ表面及び前記細孔の中に存在する前記1以上の有機部分を押し出し、運び出し、輸送する請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気分解の処理が、細孔の電気化学反応及び気体洗浄、並びに前記バイオチャー電極からのタール、油、糖、多糖及び他の不純物の少なくとも1つを含む望ましくない材料の除去のために使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加水分解の電気化学処理と関連する溶媒及び電解質が、水性水酸化カリウム、水性硫酸、水性塩化カリウム又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、グラフェン/グラファイトの成長、ならびにグラフェン及びグラファイト材料の炭素質バイオチャー電極
ウェーハの表面上及び細孔内への堆積及びめっきのうちの少なくとも1つを可能にする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
炭素質バイオチャー電極の表面、チャネル、及び細孔の上及びその内部のグラフェン及びグラファイト構造の成長のための炭素源が、フリーラジカルの炭素部分に由来する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
炭素質又は非炭素質構造の対向電極が、印加電
圧下でグラフェン/グラファイト状の材料の成長を補助するために使用され、前記材料が
、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハおよび前記
細孔表面の少なくとも1つにめっきされる、請求項1又は8に記載の方法。
【請求項10】
材料特性を改善するために、前記
水性塩浴槽の中の金属により、前記炭素質バイオチャー電極ウェーハの表面及び内部の細孔におけるナノ構造のめっき/成長のために金属対向電極が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記処理の後の前記炭素質バイオチャー電極ウェーハは
、キャパシタンス、疑似キャパシタンス及び/又はエネルギー貯蔵能力の増加を示す、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記処理
の後の前記炭素質バイオチャー電極
ウェーハが、非水性用途で使用するために洗浄され、乾燥される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記非水性用途が、有機溶媒を使用するウルトラキャパシタからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記有機溶媒がプロピレンカーボネート及びアセトニトリルから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水性塩浴槽は、溶解塩をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記溶解塩が、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、イオン性液体、ピロリジニウム化合物、イミダゾリウム化合物、BIS(トリフルオロメチルスルホン)アミド、及びその組合せ又は部分から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処理の後の前記炭素質バイオチャー電極ウェーハは、ウルトラキャパシタ、擬似キャパシタ、バッテリ又は燃料電池、又は他の吸収及び/又は脱着用途での使用に適用される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電極の電気分解処理を誘導するために、印加された電位及び電流で電極材料を処理する方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
代替エネルギー、再生可能エネルギー、及び電気自動車がますます普及することにつれて、既存のエネルギー貯蔵技術は不十分であり、新しいエネルギー貯蔵ソリューションが見つからない限り、増大する電気エネルギーの吸収、貯蔵、及び急速な伝送の需要を満たすには至らないであろう。
【0003】
主な焦点は、再充電可能な電池のためのリチウムベースの化学にあった。これらの蓄電池は、電力を貯蔵するための化学反応を伴う。反応は遅く、熱を発生し、これは固有のエネルギー損失を引き起こす。
【0004】
ほとんどの電池の実施形態では、1つの電極がかなりの炭素構成を有する。他方の電極の効力は、その表面積と、その内部に電気化学反応のための分子部位を提供し、電荷エネルギー貯蔵を生じさせる細孔の容積の関数となる。
【0005】
ウルトラキャパシタは、蓄電池に見られるような化学反応ではなく、静電機構によって電気エネルギーを蓄積する。従って、ウルトラキャパシタにおける電荷蓄積機構は化学反応によって律速されるわけではない。ウルトラキャパシタの優れた電荷蓄積能力は、細孔容積と表面積の関数である。電極上の電荷蓄積部位へのイオンの搬送及び誘引を介したウルトラキャパシタのエネルギー蓄積機構は、既存の技術では制限される。その原因は、所与の量の電極材料に対する全体的なウルトラキャパシタデバイスアセンブリ内の「パッケージングオーバーヘッド」を形成する支持部材(箔、膜、セパレータなど)に適用される電極形態にある。
【0006】
既存のウルトラキャパシタ技術におけるその電極層の限界は、電極の厚さにおいて見出されるか(電極は、電荷コレクタ尾金属箔と非導電性セパレータ膜との間に存在するため)、
あるいは、電極のチャネル、壁及び細孔内の全表面積において見出されるかのどちらかである。
【0007】
これらの電極は一般に、導電性活性炭から製造される。電極のための他の材料は、カーボンナノチューブ、フラーレン、バッキーボール(Bucky-Ball)、及び他のこのようなメッシュ状及びウェブ状分子構造のような高度に科学的でかつ高価な工学的材料を適用して、電極の細孔、壁及びチャネル内の利用可能な表面積を増加させる。
【0008】
ウルトラキャパシタは標準的なキャパシタよりもはるかに多くの電気エネルギーを蓄積するが、一般に、リチウムベースのバッテリよりも桁違いに少ない電気エネルギーを蓄積する。蓄電池に見られるようなウルトラキャパシタには化学反応がないため、ウルトラキャパシタは蓄電池に比べてエネルギーを桁違いに速く充放電する。従来の技術によれば、電池とウルトラキャパシタの間の電気蓄積性能比較はトレードオフとなる。上述のように、蓄積容量と放電速度との間の固有のトレードオフを克服するシステム/方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、水政の(水の)電解液槽の条件において、水(H2O)が電極の細孔の外面及び内面で分解されて水素(H2)ガス及び酸素(O2)ガスを形成し、これらが炭素質電極の細孔から電解質槽中に放出され、電極の細孔の内側から遊離した材料(炭素質及び他の不純物)を外側に追い出すことに従う有益な電気分解処理を提供する。このガスの外側への放出は、細孔生成及び細孔膨張処理として働き、したがって、最初に電極を活性化するか、又はさらに活性化する。
【0010】
さらに、水素、酸素、及び関連する溶質分子種(H3O+、H+、OH-など)を生成する水電解の雰囲気も、動力学的に反応し、炭素質電極の材料と電気化学的に反応し、望ましくない化合物を除去し、それによって電極をさらに活性化する。動力学的に駆動される反応及び電気化学的に駆動される反応は、電極から望ましくない材料を除去するように選択的に制御され得、開示される処理において適用される電圧ウィンドウの制御によって、電極のベース炭素構造及び材料に影響を及ぼさないか、又は最小限に影響を及ぼす。さらに、これらの電気化学的に駆動され、動力学的に駆動される洗浄反応は、電解質溶液中に他の溶質、塩、酸及び塩基を添加することによって、制御、増強及び改変することができる。
【0011】
さらに、開示された炭素質電極の電気分解処理は、電極の表面上に、及び電極のチャネル及び細孔内に電着めっき材料である有利なナノ構造を成長させる。これは、電極が、電気二重層キャパシタ、ウルトラキャパシタ、擬似キャパシタにおいて、又は電池又は燃料電池における電極として、又は任意の他の吸着もしくは吸着/脱着機能として、又は水電気分解ベースの水素ガス/酸素ガス発生器における電極として使用される場合に、表面積を増加させ、したがってエネルギー貯蔵能力を増加させる。
【0012】
開示されたシステム及び方法のさらなる特徴、機能、及び利点は、以下の説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当業者が開示されたシステム/方法を作成し、使用するのを助けるために、添付の図面を参照する。
【
図1A】本開示による例示的な電気化学的セットアップを概略的に示す。
【
図1B】本開示による例示的な電気化学的セットアップを概略的に示す。
【
図1C】本開示による例示的な電気化学的セットアップを概略的に示す。
【
図1D】本開示による例示的な電気化学的セットアップを概略的に示す。
【
図2A】処理されていない炭素質バイオチャー電極ウェーハと、処理された炭素質バイオチャー電極ウェーハのSEM画像である。
【
図2B】処理されていない炭素質バイオチャー電極ウェーハと、処理された炭素質バイオチャー電極ウェーハのSEM画像である。
【
図3】本明細書に開示される電気分解活性化方法によって処理される電極の内部の同じ領域の漸進的拡大を示す4つのSEM画像を提供する。
【
図4】異なる倍率下での未処理のモノリシック炭素質バイオチャー電極の同じ領域の2つのSEM画像を提供し、開示される方法によって別途生成される優先的構造の不在を明らかにする。
【
図5】異なる倍率下での処理されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の同じ領域の2つのSEM画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aに概略的に示される例示的なセットアップを参照すると、以下の構成要素は、以下のように特定される。
100… 電気活性化によって処理される一対の電極のための開示された方法の実施のための全体的な装置構成である。
105… 直流電源、以下、電源という。例示的な実施形態では、直流電源がTekPower Model TP3005T 直流電源である。
106… 電源装置 (105) の電圧出力とアンペア電流出力のデジタルディスプレイである。
107…電源装置(105)の電圧出力調整である。
108…電源装置(105)のアンペア数の出力調整である。
109…電源の正電圧端子(105)である。
110…電源の負電圧端子(105)である。
111…電圧極性反転装置(112)に入力される刺激である。刺激は、電圧極性反転装置(112)内から生じ得るか、又は電圧極性反転装置(112)の外部にあり得る。
【0015】
112…装置(112)の出力極性端子「A」及び「B」を、装置の入力極性に対して観察又は測定するときに、直接出力極性及び逆出力極性の2つの別個の状態が可能であるような電圧極性反転装置である。
112の出力端子はA、Bとラベル付けされ、電圧極性反転装置(112)が(111)によって操作されていないか、又は(111)によって刺激されていないとき、「A」端子は正の電圧を提供し、「B」端子は直流電源(105)から供給される負の電圧を提供する。
さらに、電圧極性反転装置(112)がアクティブ状態((111)によって操作されるか、又は(111)によって刺激される)にあり、装置(112)がその電圧極性反転機能を実行するとき、「B」端子は正の電圧を提供する。「A」端子は、直流電源(105)によって供給される負電圧を提供する。
【0016】
115…全体装置(100)の特定の領域を描写する概略図形ゾーンである。描写された領域は、(100)の右側領域に示される拡大図における詳細及び注釈のためにさらに拡大され、ズームビュー領域は(116)として描写される。
116…拡大図及び描写のための概略図形領域であって、(115)に示される装置の更なる詳細を提供する。(116)内の詳細は更に、電圧極性反転装置(112)が休止位置にあり、(111)によって刺激されない場合の分極状態としての電極(150)及び(151)並びにファスナ・クリップ(125)及び(135)を描いている。これにより、ファスナ・クリップ(125)及び電極(150)に正の電圧を、又はファスナ(135)及び電極(151)に負の電圧を与える。
【0017】
120…電源(105)正極性端子(109)から、電圧極性切り替え装置(112)の正電圧入力への正電圧ワイヤ導体である。
125…「A」極性電極(150)を保持するアセンブリの「A」電圧導電性ファスナークリップである。導電性ワイヤ(120)も、導電性ファスナクリップ(125)も、電解質(142)と接触していないことを観察する。
130…電源(105)の負極性端子(110)から電圧極性切替装置(112)の負電圧入力への負電圧ワイヤ導線である。
135…「B」極性電極(151)を保持するアセンブリの「B」電圧導電性ファスナークリップである。導電性ワイヤ(130)も導電性ファスナークリップ(135)も、電解質(142)とは接触していないことを観察する。
140…非導電性材料で作られた電解液槽容器である。
142…電解槽容器(140)内の電解液である。
145…電解液(142)を横切って電極(150)と(151)との間で生じる水の電気分解の基本的な電気化学反応の注釈である。
146…電圧極性反転装置(112)が非刺激状態にあるという事実のために、(150)が正極性電極として示されているという理解の下で、(150)として本明細書に示される正極性電極に誘引される水の電気分解(145)の間に形成される負に帯電されたイオンである。
147…電圧極性反転装置(112)が非刺激状態にあるという事実のために、(151)が負極性電極として示されているという理解の下で、負極性電極(151)に誘引される水の電気分解(145)の間に形成される正に帯電されたイオンである。
150…開示された実施形態による電極活性化を受ける「A」極性モノリシックバイオチャー電極である。
151…開示された実施形態による電極活性化を受ける「B」極性モノリシックバイオチャー電極である。
【0018】
[
図1Bについて]
図1Bに概略的に示される例示的なセットアップを参照すると、以下の構成要素は、以下のように特定される。
160…電気活性化によって処理される複数対の電極(150、151)のための開示された方法の実施のための全体的な装置構成である。各ファスナークリップは、
図1に示すものよりも大きいか又は長くされ、これにより各極性の複数の電極を保持する。ここでは、各極性「A」、「B」の1つのファスナークリップのみが使用されるという制限を伴っている。
【0019】
[
図1Cについて]
図1Cに概略的に示される例示的なセットアップを参照すると、以下の構成要素は、以下のように特定される。
180…複数対の電極のための開示された方法の実行のための全体的な装置セットアップである。各ファスナークリップは、各極性の2つ以上の電極を保持するように、
図1Aに示されるよりも大きく、又は長くされている。各極性の多数のファスナークリップが使用される延長部が備えられている。平行なファスナークリップの配置では、割り当てられた極性が、配置に沿って、1つのファスナークリップレールから次のファスナークリップレールに交互となる。
【0020】
[
図1Dについて]
図1Dに概略的に示される例示的なセットアップを参照すると、以下の構成要素は、以下のように特定される。
190…電気活性化によって処理される一対の電極のための開示された方法の実施のための全体的な装置セットアップである。電極は、導電性ファスナークリップ単独では、電極を電解液槽中に浸漬して支持し保持するのに十分でなく、従って追加の支持体(191)を必要とし得るように、有意なサイズ及び重量であり得る。
191…導電性ファスナークリップから懸架される電極に機械的支持を提供する非導電性材料の付加された支持装置である。そのような支持体(191)を付加することにより、重量応力による電極の破損を防止する。支持体(191)はさらに、電極(150)、(151)を電解液槽(140)内に懸架するのを助けるために、他の外部支持装置(図示せず)に接続される。
【0021】
図2A及び
図2Bに概略的に示されるフローチャートを参照すると、これらの図は2つの類似の電極の走査型電子顕微鏡(以下、SEM)画像を示し、それぞれは、本明細書に開示される異なる方法によって活性化のために処理される。
【0022】
[
図2Aについて]
200…本明細書中に開示される処理から得られるモノリシック炭素質バイオチャー電極材料の表面及び内部本体の拡大画像を示す、SEM画像の全体的な描写である。画像200は、開示された炭素質バイオチャーモノリシックウェーハ(210)を示す。
210…任意の水蒸気活性化工程を用いて高温炉で処理された一般的な水蒸気-炭素反応によって活性化されたモノリシック炭素質バイオチャー電極材料の結果のSEM画像である。
211…SEMスクリーン画像(210)を強調するグラフィック注釈であり、10ミクロンの長さ寸法に対するスクリーン画像に関連する相対スケールを示す。
212… SEM画面画像(210)上に表示されるSEMからのデータで、1320倍の画像の倍率を示す。
【0023】
[
図2Bについて]
250…符号250は、開示された炭素質バイオチャーモノリシックウェーハ(260)のSEM画像を示す。その中のSEM画像の全体的な描写は、この実施形態において開示される処理から得られるモノリシック炭素質バイオチャー電極材料の表面及び内側本体の拡大画像を示す。
【0024】
260…開示された電気分解活性化工程によって活性化されたモノリシック炭素質バイオチャー電極材料の結果のSEM画像である。260の表面の明確な「ファジー」は明らかである。これに対し、210では、「ファジー」が示されていない。そのような観察可能な「ファジー」は、炭素の優先的なナノ構造及びマイクロ構造、特に、開示された方法による処理によるモノリシックバイオチャー細孔表面上にめっきされたグラフェン及びグラファイト構造の成長である。
261…10ミクロンの長さ寸法に対するスクリーン画像に関連する相対スケールを示す、SEMスクリーン画像(260)を強調するグラフィック注釈である。
262…SEM画面画像(260)上において、1000倍の画像の倍率を示すSEMからのデータである。
【0025】
図3に関して、電気分解された炭素質モノリシックバイオチャーウェーハ電極が提供される。これは、キャパシタンスの劇的な増加のための優れた表面積改善のための優先的なグラフェン及びグラファイト構造の成長を示す。これらのグラフェン及びグラファイト構造は、開示された方法によるバイオチャーへの処理によって引き起こされる。
【0026】
300…本明細書に開示される電解活性化方法によって処理された電極の内部の同じ領域の漸進的な拡大を示す、4つのSEM画像の全体的な集合である。
310…1000倍の倍率で見た、開示された方法によって処理された、開示されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の細孔及びチャネルの内部構造のSEM画像である。
さらに、続いて320で示される、さらなる拡大のためのズーム領域を示すグラフィック描写(ブラックボックス及び矢印)である。さらに、SEMスクリーン画像に対する10ミクロンの基準長さを示す、SEMスクリーンキャプチャ上のSEM画像の相対寸法を強調するグラフィック描写(黒丸)である。画像310において、優先的なグラフェン及びグラファイトの自己組織化した小板及び構造は、処理されたバイオチャーの画像上にファジーな表面としてのみ現れることに留意されたい。
320…開示された方法によって処理された、開示されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の孔及びチャネルの内部構造のSEM画像を、5000倍の倍率で見たものである。さらに、330で後に示される、さらなる拡大のためのズーム領域を示すグラフィック描写(黒いボックス及び矢印)である。さらに、SEMスクリーン画像に対する基準長さ1ミクロンを示す、SEMスクリーンキャプチャ上のSEM画像の相対寸法を強調するグラフィック描写(黒丸)である。画像320において、優先的なグラフェン及びグラファイトの自己組織化した小板及び構造は、処理されたバイオチャーの画像上にファジーな表面としてのみ現れることに留意されたい。
330…開示された方法によって処理された、開示されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の細孔及びチャネルの内部構造のSEM画像を、倍率20000倍で見たものである。さらに、後に340で示される、さらなる拡大のためのズーム領域を示すグラフィック描写(ブラックボックス及び矢印)である。さらに、SEMスクリーン画像に対する基準長さ1ミクロンを示す、SEMスクリーンキャプチャ上のSEM画像の相対寸法を強調するグラフィック描写(黒丸)である。画像330において、優先的なグラフェン及びグラファイトの自己組織化した小板及び構造は、SEM画像においてはっきりと見え、処理されたバイオチャーの表面上で同定することができることに留意されたい。
【0027】
340…開示された方法によって処理された、開示されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の細孔及びチャネルの内部構造のSEM画像を、84740倍の倍率で見たものである。さらに、SEMスクリーン画像に対する100ナノメートルの基準長さを示す、SEMスクリーンキャプチャ上のSEM画像の相対寸法を強調するグラフィック描写(黒丸)である。画像340において、優先的なグラフェン及びグラファイトの自己組織化した小板及び構造は、SEM画像においてはっきりと見ることができ、明白であり、処理されたバイオチャーの表面上で同定することができることに留意されたい。さらに、この画像は、開示された方法の実施中に溶液からめっきされた炭素質構造がSEMシステムの元素分析特徴によってさらに試験された、単層及び少数層グラフェンの薄くて平坦な又は湾曲した小板であることを実証する。
【0028】
[
図4について]
400…2つのSEM画像(410)及び(450)を、異なる倍率で、未処理のモノリシック炭素質バイオチャー電極の同じ領域について横に並べて参照する。
410…未処理の炭素質バイオチャー材料の表面、細孔、及びチャネルのSEM画像を500倍に拡大したものである。
411…10ミクロンのスクリーン画像に対する寸法長さを示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(黒丸)である。
450…10000倍の倍率での炭素質バイオチャー材料の未処理表面、細孔及びチャネルのSEM画像である。
451…1ミクロンのスクリーン画像に対する寸法長さを示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(黒丸)である。
【0029】
[
図5について]
500…2つのSEM画像(510)及び(520)について、異なる倍率下で、処理されたモノリシック炭素質バイオチャー電極の同じ領域を並べて参照する。
510…炭素質バイオチャー材料の表面、細孔及びチャネルを覆う、優先的に成長し、自己組織化した鉄フレーク及び花弁状構造のSEM画像である。
511…1ミクロンのスクリーン画像に対する寸法長さを示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(黒丸)である。
512…5000倍の倍率を示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(ブラックボックス)である。
520…(510)よりも高い倍率で炭素質バイオチャー材料の表面、細孔及びチャネルを覆う、優先的に成長し、自己組織化した鉄フレーク及び花弁状構造のSEM画像である。
521…1ミクロンのスクリーン画像に対する寸法長さを示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(黒丸)である。
522…二万倍の倍率を示すSEMスクリーン画像のグラフィック描写(ブラックボックス)である。
【0030】
[一般的な構成要素を含む、アプローチ及び技術の一般的な概要]
((A)構成要素)
開示された発明は、モノリシック構造の炭素質自立ウェーハ電極、電解液、電気分解処理槽、電源、極性反転スイッチング装置、及び関連する配線及びファスナ、及び任意の換気を具現する。
【0031】
((B)プロセス)
開示された発明は、とりわけ、自立ウェーハ電極の電気分解処理、電気化学的原理、及び物理的配置として本明細書に記載される。活性炭、部分活性炭、又は非活性炭電極は(好ましくは階層的な細孔及びチャネルを有する)は、Favettaらの米国特許第9,478,324号及び米国特許第10,121,563号、ならびに「process for Producing a Highly activated、Monolithic Net-Shaped Biomass Electrode for Use in Ultracapacitor、Pseudo-Capacitor、Battery or Fuel-Cell」と題する同時に出願された米国仮出願第62/826,005号(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる「Favettaの特許出願」と総称される)に記載されるような網状技術を使用して合成され、制御された電圧電位(V)及び直流(DC)の印加電界下で、本明細書に開示されるこのプロセスを使用してさらに活性化される。
【0032】
複数の導電性炭素質モノリシックバイオチャー電極をそれぞれ別個の電流伝導ファスナに取り付け、1.27Vを超える印加電界で水性塩電解液槽中に浸漬する。水電気分解が始まる。より具体的には、最小で約1.65V、又は最小で1.70Vを超える電圧において、水素及び酸素ガスの発生が始まり、さらに高い電圧プロファイルでガスの生成が継続される。電極材料のみを水性電気分解質溶液中に浸漬し、湿潤させたが、電流導体、金属ファスナ、クリップ、及び配線は浸漬させない。これにより、導電性電解液中への、及び導電性電解液を通る、露出した金属ファスナを介したシステム中の短絡を防止する。
【0033】
印加電位における導電性電極はカソード及びアノード炭素質電極において、それぞれ、水の分離を可能にし、ガス状の水素(H2)及び酸素(O2)を形成する。これらの生成・放出されたガス、及び電極の細孔内で起こる電気化学的及び動的反応は特に有利である。
【0034】
[電気分解液槽の説明]
4~5モル、5~6モル、又は6~7モルなどの濃度の蒸留水における高濃度の水酸化カリウム水溶液(KOH)の塩溶液電解質が準備され、電気分解活性化浴のための環境として使用される。部分的に活性化された炭素質モノリシックバイオチャー電極の対は、ワニ口クリップのような市販の導電性ファスナでクランプされる。
【0035】
このファスナは、ワニ口クリップがモノリシック炭素質電極を咬み、損傷することを避けるために、電流導体プレートとして316ステンレス鋼箔の薄い(0.004インチ厚)の層を電極に実際に接触させることを含む。このような箔は導体と各モノリシック炭素質電極ウェーハの一部との間の接触の表面積をさらに増加させる。このような導電性ファスナは、絶縁銅線によって電源(105)及び時間/サイクルリレー(112)(
図1を参照のこと)に接続される。
【0036】
電流導体クリップは、システムを通る直流電流の流れを維持することを条件とするため、チタン、アルミニウム、ステンレス鋼、又は任意の他の導電性材料とすることができる。そうでなければ、システムを通る直流電流の流れは、金属導体ファスナ、部品、クリップ、及び箔のいくらかの腐食/酸化によって阻止され得る。それは、電気分解質溶質/塩へのこれらの金属部品の近接、及び開示された実施形態の構成の電流の流れによって引き起こされる。さらに、これらの電流伝導ファスナ、箔、板及びクリップは、電気抵抗を引き起こす腐食形態として、定期的にメンテナンス、やすり磨き(sand)、研磨、及び洗浄されるべきであることが勧告される。モノリシック電極は、開示された電気分解活性化のために電解液層中に浸漬されるが、両電極上で等しくかつ一貫した電気分解活性化を可能にするように、電極対に印加される電圧電位の極性を反転することが強く推奨される。これは、
図1A~
図1Dに電圧極性反転装置(112)として示されるように、本明細書において具現化される。電極に印加されるこの周期的な電圧反転は、電極対を横切る両方の極性方向に関連する気体放出及び電気化学反応をより均等に促進するが、本発明の特定の実施形態の下では、電極対の各電極がそのような極性の周期的な反転なしに、1つの極性のみで処理されるように設定される場合に、電極に対する特定の他の有益な効果を導出することができる。
【0037】
サイクル時間は、実際の電圧印加、及び結果として生じる電流フロー(直流比電力)、又は全体の累積比エネルギーフローの関数でもある。活性化の所望の最終結果の変化や、電極/炭素質材料の最終使用によって変わり得る。
【0038】
成功するサイクル時間は、限定されるものではないが、一極性当たり2~4分の間であり、次いで、さらに2~4分間、電極対を横切る電圧極性及び電流の流れを反転させ、それによって、1つの電圧反転サイクルを実行しする。この正―負直流電圧反転サイクルを、3~5回、最小2.0V(DC)、5.5V(DC)以下で実行する。この完全なサイクルを、電極接続点で測定する。これにより、電気配線及び電極ファスナ、クランプ、箔、及びクリップなどの任意の支持/接続装置を横切る電位減少及び電圧降下を排除する。
【0039】
本発明の電気分解槽処理によるクリーニング作用/ガス発生について考察する。1.23V以上の電位が、電解質塩、塩基、又は酸の付加などを介して、遊離イオンの存在により導電性である水に印加されると、電流が水溶液を通過し、電流が水分子(H2O)を水素イオン(H+)及び水酸基イオン(OH-)に分解する。電極間の電位が約1.65Vから1.7Vに上昇すると、水素イオンは結合して水素気体(H2)を形成する。同時に、これらの電位条件下で、解離した水酸基イオンは再形成し、さらに解離し、再結合し、酸素ガス(O2)を形成する。これらの(H2)及び(O2)ガス分子は凝集して、それぞれ水素ガス気泡及び酸素ガス気泡を形成する。水の加水分解と、印加された電位及び結果として生じる電流による水素ガス及び酸素ガスの生成とのこのプロセスは、一般に理解されている。このような溶液を形成するために、水の導電性は、解離塩、酸又は塩基を添加することによって高められ、それによって電解質などの導電性イオンの溶液を生成する。塩は任意のそのような水溶性塩であり得るが、塩の濃度は所望の結果を達成するために適切でなければならず、塩のイオン成分は所望の電極活性化及び結果として生じる副生成物形成の選択性を提供しなければならない。
【0040】
さらに、電極のチャネル及び細孔内の炭素質電極足場上への材料めっきもまた所望される場合、イオン性化合物は、このような堆積を達成するか、又は他の化合物が電解液に添加されて、電極細孔へのこの任意の所望の材料めっきを別々に達成する場合、このような堆積を阻害しないかのいずれかでなければならない。
【0041】
本明細書の例示的な実施形態は、記載された6モル水酸化カリウム(水性)などの塩を使用する。正及び負に帯電したフリーラジカル及びイオンはそれぞれカソード及びアノード表面に引き寄せられ、そこで電子移動が起こり、再結合して、それぞれ負電位カソード電極及び正電位アノード電極上に水素(H2)及び酸素(O2)ガスを形成することができる。
【0042】
フリーラジカル、電気分解された有機化合物、及び形成された気体はまた、電極の表面上、ならびに多孔質電極の細孔及びチャネルの内側に蓄積する。臨界気泡サイズに達すると、膨張する気泡の低密度により、気泡は成長し、電極の細孔及び表面から外側に、水性浴電解質溶液の表面に向かって上方に放出される。気体蒸気のこれらの放出はそれらと共に、活性化電極の内部細孔及びチャネル内に捕捉された酸化汚染物質の遊離粒子を運び、これは、機械的及び化学的洗浄効果を提供し、第1のレベルの電気分解活性化を提供する。
【0043】
さらに、これらの膨張ガスはまた、望ましくなく、電極孔の表面に存在する、電極内に見出される多くの様々な有機部分の水性電解質溶液及び他の有機化合物の混合物(最初は供給源バイオマスの以前の及び独立した炭化の間に形成されたFavetta仮出願:62/826005を参照のこと)を追い出す。そのような部分は、電池、ウルトラキャパシタ、擬似キャパシタ、又は燃料電池において使用される場合、電極性能に有害な効果を有する。これらの部分は、必ずしも自立した粒子又は溶質でなくてもよく、単に電極の細孔中に遊離粒子として存在していなくてもよい。
【0044】
さらに、これらの部分は、電極の高純度炭素質構造に化学的に結合した化学官能基であってもよい。このようなすべての場合において、これらの部分及び化合物は、開示された処理からの電気化学的分解によって、電極細孔壁から化学的接着の結合から除去されて溶液又は懸濁液に移動し、次いで、本明細書に記載されるように、液体溶液の気体駆動輸送によって電極細孔から運び出される。そのような除去及び解離された部分が荷電イオン又はフリーラジカルである場合、印加電圧の電気化学的な電位によって電解液槽中にさらに駆動されてもよい。
【0045】
さらに、そのような部分は所望の電極材料のより純粋で構造化された炭素質足場の電圧ウィンドウよりも低い、それ自体の電気分解の電圧ウィンドウを有し、その結果、電極のチャネル及び細孔の洗浄効果が生じる。電極の細孔壁のこの電気化学的「スクラビング」は、開示された発明によって達成される電極の第2のレベルの活性化である。
【0046】
この汚染物質の洗浄及び排除は、複数回の電解の、周期的で交互に生じる、直流電位サイクル後の水性電解質溶液槽の深い暗色化着色によって証明される。電解液の典型的な着色は、茶色の酸化有機物質のものである。電解液槽のいくらかの着色は、電位印加の第1サイクルにおいて観察可能である。
【0047】
内部細孔及びチャネルの洗浄は、炭素電極の活性かつ使用可能な全表面積をさらに増加させ、それによって、電極材料最終製品の電気的及び化学的吸収性を大幅に増加させる。
【0048】
電気分解処理前及び開示された電気分解処理後の同じ電極材料の性能の改善の例は3~4倍であり、ウルトラキャパシタ用途で試験した場合、場合によっては20倍も大きい。
これは、開示された方法による電気分解処理後に、未処理電極の公称10~40ファラド/グラムから、同じ電極の150~300ファラド/グラムまでの増加をもたらす。
【0049】
さらに、電極内の細孔及びチャネル内の電解的及び動力学的に生成されたフリーラジカルはまた、細孔及びチャネルの炭素壁において、及び表面上の電極内の特定のより不安定な有機化合物と電気化学的に反応して、次いで、電極がバイオマス供給材料から作製される場合に形成され得る、タール、オリゴマー、多糖及び単純な糖などの望ましくない有機化合物を溶解及び除去する。このような反応副生成物は同様に、細孔から周囲の水溶液中に排出され、電解質浴水溶液を茶色の有機溶質及び懸濁液でさらに着色される。
【0050】
[炭素系ナノ構造体(グラフェン、数層グラフェン、黒鉛小板など)の成長]
炭素ベースのナノ構造の成長は、浴溶液中の解離した水分子の電気分解「オフガス」及びカソード及びアノード電極上の新しい炭素構造の「めっき成長」による、いくつかの炭素含有酸化及び電解分子又は粒子の電解液中への「放出」によって引き起こされる。この炭素質めっき及び成長効果のための炭素化合物の供給は、炭素質有機部分を含有する周囲の水溶液によって、及び、反対に分極された電極間に存在する電位におけるそれらのイオン電荷によって、電極細孔及びチャネルに輸送されて戻される炭素性化合物に由来する。
さらに、いくつかの炭素質化学種は電極細孔の炭素質壁で局所的にしか輸送されず、細孔内の不活性電解質と反応し、細孔壁上に直接析出又は結晶化してグラフェン及びグラファイト樹枝状結晶などの有利な構造を形成し、それによって表面積、導電率を増大させ、開示された方法によって処理された場合に電極の電気貯蔵能力を著しく増大させる。システムの電気化学で生成されたフリーラジカルと反応する炭素質電極中の有機化合物のこれらの他の副反応は炭素種をさらに供給し、次いで、炭素種は還元されて電極孔及びチャネルの内壁表面上に戻り、グラフェン状構造及び樹枝状結晶を形成して、電気化学的に活性化された最終電極物品の表面積及び導電率を大幅に増加させる。
【0051】
電気分解活性化の制御された条件下で、「新しい」炭素質構造の成長が走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察されたことが注目される。この新しい炭素材料のめっきは、遊離した炭素系粒子の移動度/移動、ならびに解離した炭素フリーラジカルが電極の細孔、内壁及び表面の活性炭素質部位上に還元されることに起因する。
【0052】
電気分解の間に水溶液中に導入される、対電極、又は金属含有塩の使用による、金属などの他の材料のめっき/成長を行うことができる。金属化合物及び構造体のこのような介在物は、金属の必要なガルバニック電位及び半電池電位を説明するために、電源直流電圧における調整を必要とし得る。また、開示された発明による処理された電極の孔及び表面内の有利な構造体のめっき及び形成のプロセスにおいてこの対向電極の寄与を適切に制御するため、対向電極自体の第2電位制御が必要となり得る。
【0053】
非炭素質(金属)対電極は、炭素電極の内部細孔、チャネル及び壁を電気めっきするために犠牲的に使用することができる(すなわち、金属原子を1つの金属対電極から標的炭素電極に移動させ、堆積させる)ことに本明細書で留意されたい。対電極の電流及び電圧の異なる電位は、荷電原子粒子又はイオン部分を対電極の表面から標的炭素電極の表面上に駆動し、それによって、炭素電極の細孔上及び細孔内の金属部分及び構造の薄く局所的なめっきを成長させる。これは、目的とする出願(例えば、電気化学、疑似キャパシタンス、触媒作用など)に応じて、めっきされた炭素電極に対して有利かつ現象的な効果を有し得る。
【0054】
開示された方法は、鉄、マンガン及び他の金属を電極の内部細孔表面上にめっきするために使用される。結果は、電極の電気蓄積性能の改善を実証する。この金属堆積法による電極の他の吸収及び脱着効果、及び他の応用が、この開示に従って更に企図される。他の応用は、例えば、農業、化学吸着、触媒作用、廃棄物浄化、廃棄物吸収性、水素、天然ガス(メタン)、燃料、鉱物の放射性汚染物質などのガス又は液体貯蔵、及び地質学的破砕(破砕)からの石油回収を含む。
【0055】
[アルカリ性KOH(aq)、NaOH(aq)などの他に、代替電解質溶液の使用]
水溶液中のアルカリ化合物電解質(OH-イオン種を含む)は電気を伝導して水の電気分解を促進する役割を果たすが、電極表面での電気化学においても役割を果たし、開示された効果を触媒して有機フリーラジカルを生成する。他の非アルカリ電解質イオン種の存在はさらに、これらの有機又は金属部分の還元を容易にして、電極内の細孔及びチャネル表面上に堆積及びめっきし、それによって、これらの電解処理された電極の特性及び性能を、優れた伝導率、ならびに容量性及び擬容量性性能について大幅に向上させる。
【0056】
[処理材料の容量の増加]
処理された電極(モノリシックバイオチャーウエハ)は一般に、ファラデーキャパシタンスが20%~300%、場合によっては約2000%増加した。本明細書に開示された方法によって処理される前のモノリシック未処理バイオチャー電極であって、Favettaの特許出願に開示された方法によって製造されたモノリシック未処理バイオチャー電極は、Favettaの特許出願に更に記載されているように、利用される製造プロセスの処方及び実施形態に応じて、50~90ファラド/グラム、例えば90~120ファラド/グラム、例えば120~140ファラド/グラム、及び140ファラド/グラム超などの望ましい電気容量を示す。これらは非常に望ましい結果である。本明細書に開示される方法及びシステムによる電気分解処理の後、ウルトラキャパシタで使用される場合、同じ処理された電極は、150ファラド/グラムを超え、300ファラド/グラムまでを示す。
【0057】
[正味寸法ウェハプロセスの説明]
Favettaの特許出願(以前に参照により援用された)に記載されているように、階層細孔構造を有する高多孔性活性化モノリシック炭素電極は、正味寸法プロセスと、それに続く任意の同時化学活性化又は任意の炭化後化学活性化を伴う高温炭化とを使用して合成される。
【0058】
[静電容量に対する表面積の重要性]
ウルトラキャパシタのファラデーキャパシタンスは電極の表面積に比例し、電極間の間隔に反比例するが、キャパシタンスと表面積の関係は必ずしも純粋に線形ではない。開示されたプロセスは炭素質バイオチャーモノリシック電極ウェーハの構造的完全性、機械的安定性、及び基礎となる化学的特性を損なうことなく表面積を最適化するために、本明細書に記載されたような複数の活性化ステップ(高温化学活性化など)及び/又は開示された電気分解によって、電極の内部表面積を増加させる。
【0059】
[例示的なプロセス実施]
例示的な開示された電気化学装置は、4~8モルの水酸化カリウム(KOH)、1~3モルの硫酸(H2SO4)、又は4~7モルの塩化カリウム(KCl)などの中性塩などの導電性電解質の電解液槽からなる。さらに、電解液槽中の電解質は、硝酸鉄(Fe(NO3)3)などの金属塩、又は水酸化鉄(Fe(OH)2)などの金属塩、又は塩化マンガン(MnCl2)などのマンガン塩であってもよい。その種及び濃度は、電極上及び電極内にめっきされることが望まれる特定の金属、並びに鉄又はマンガンベースの擬似キャパシタンスによるキャパシタンスの増大などの特性を向上させるために電極上及び電極内に堆積されるそのような金属の総量に依存する。
【0060】
この開示された方法を介して活性化されるバイオチャー製のモノリシック電極は、任意的に予備処理されて細孔から空気/ガスを除去することができ、超音波処理又は真空処理、及びそれに続く電解液に浸漬されている間の再加圧の補助により電解液に予備浸漬し得る。これにより、細孔から初期ガスを除去して、内部細孔構造をできるだけ完全に湿らせることができる。
【0061】
しかしながら、この予備浸漬/含浸は必要ではないが、電圧電位が印加されている間に電解質の細孔内への拡散が起こるのを待つ代わりに、電極の内部細孔を予備湿潤することで、プロセス全体が促進されることに留意すべきである。印加された電圧電位の第1の電気分解サイクルの開始時に数分かかることが観察されていることに留意されたい。
【0062】
さらに、上記のセクションに記載された対電極は犠牲金属から作製され得、これは、次いで、本明細書中に開示されるような電解処理の間に、バイオチャー電極の細孔及び表面上に、そしてその中にめっきされる。次いで、活性化される電極は、互いに接触することなく、可能な限り互いに近接して電解質溶液浴中に配置される。反対極性の電極が互いに接触しないことが必要である。これは、電極間のこの空間を最小化し、電極と電極との接触を防止するために、電気的に絶縁する多孔質セパレータの助けを借りて達成することができる。そのような多孔質非導電性セパレータの実施形態は、単純なスポンジ又は連続気泡ポリマー発泡ゴム、多孔質プラスチックフィルム、ポリマー繊維の織布又は不織布、セラミック繊維、又はガラスウール断熱材などのシリカ系繊維を含むことができる。開示された発明の例示的な実施形態では、電極間の距離は約1センチメートルであり、これらの平坦な平面電極は平面の約10~15度の角度内に、可能な限り互いに平行に維持された。
【0063】
電極は、導電性材料のタブによって、ワニ口クリップ又は任意の他の単純なクランプ及び締結方法又は手段などの導電性(好ましくは非腐食性)クランプ装置で保持される。炭素質電極自体以外の全ての導電性ファスナ及びクランプ部品は導電性電解質溶媒浴の外に保持され、電気的短絡を回避するとともに、電流の伝導が、電解液槽の中に浸漬された電極材料のみを介して行われ、導電性ファスナ、クリップ、箔及び金属ホルダを介して導電性電解液槽への短絡を介さないことが確実にされる。次いで、導電性ファスナ、クリップ、箔、及びワニ口クリップ、バネクランプ、ウェイトクランプなどのホルダホルダが、ワイヤによって直流(DC)電源に接続される(符号100(
図1A~
図1D)参照)。
【0064】
次いで、直流電源が、水を電気分解(分割)するために、最小で1.7Vを超える、所望の最終結果のために電極を活性化するのに十分な電位に調整される。この電圧はまた、モノリシック電極本体の内部のガス発生を含むモノリシックウエハ炭素質電極の全ての表面上、チャネル及び細孔内に、水素(H2)及び酸素(O2)の気泡を発生させるために十分に高い電圧である。これらの気泡が放出されるにつれて、それらは、遊離炭素、汚染物質、及び電極の細孔及びチャネルを詰まらせている灰粒子をパージし、輸送する。
【0065】
さらに、バイオチャー電極内に形成された炭素のいくつかのマイクロ構造及びナノ構造が、電極内でさらに活性化される。電気化学効果のために、緩められて液体浴中に輸送される炭素質化合物のいくつかは、それ自体、さらに、バイオチャー細孔壁との電気化学反応を受け、純粋又はほぼ純粋な炭素に化学還元され、それによって、グラファイト構造やグラフェンなどの規則正しい炭素構造の小板として成長する。より高い電圧及び電流はより積極的なバブリングを生成し、活性化、パージ、ならびにグラフェン及びグラファイト成長が起こる速度を増加させる。
【0066】
基本的にすべての材料が降伏電圧を有するので、最大印加電圧は、電極又はそのバインダ材料又は自己結合材料の崩壊を回避するために、そのような電位レベル未満のままであるべきであることに留意されたい。
【0067】
さらに、バイオチャー電極から解離されたバイオチャーの特定の炭素部分を溶液中で電気分解し、次いで、電解質溶液から、又は塩もしくは有機液体として電解質浴中に導入された炭酸イオンから、炭素質バイオチャー電極中に還元され、堆積され、又はめっきされ、るために、より高い電圧が必要であり得る。
【0068】
さらに、金属対電極から、又は塩として電解質浴中に導入される金属イオンから、炭素質バイオチャー電極中に特定の金属をめっきするために、より高い電圧が必要であり得る。
5.5Vまでのより高い電圧は、必要に応じて、配線内及び電極自体内の抵抗を克服するために必要な過電圧に応じて、この金属電気化学的方法のために利用することができる。
残念ながら、この「示唆された」電極間の5.5Vの電位は、バイオマスから形成されたものなどの典型的なバイオチャー炭素質電極における炭素構造の多くの破壊電圧に近く、したがって、電極材料自体の破壊電圧の限界に対して堆積速度及び活性化速度を最適化するときには注意が払われるべきである。
【0069】
[2枚のモノリシックバイオチャー電極ウェーハの活性化から得られる優れた特性の説明]
他の上流の方法(Favettaの特許出願に記載されているような;参照により先に組み込まれている)によって提供される炭化後活性炭電極は、本明細書に開示される本発明の方法を適用する場合、電解質水溶液との初期接触時に疎水性挙動を示し得る。これは典型的には以前の工程又は以前の適用された活性化方法(Favettaの特許出願を参照のこと)における不完全な炭化及び活性化に起因し、これは次いで、電極内の熱生成されたマイクロ及びナノ細孔の生成をより少なくするか、又は炭化の間に、電極の表面を覆い、電極の内部細孔及びチャネルの壁を覆い得る炭化の副産物から、電極内又は電極の表面上の閉塞された細孔によって引き起こされ得る(Favettaらの米国特許仮出願第62/826005号を参照のこと)。このような望ましくない炭化副生成物は、タール、オリゴマー、及び多糖のような糖を含むことができる。
【0070】
しかしながら、本明細書に開示されている電解処理では、電解液が電極の内部構造に浸透し、次いで、触媒作用、酸化、及び反応が生じ、それによって、生成されたガスを外側に追い出し、細孔を広げ、任意の炭化副生成物コーティングを除去することを可能にする。電解処理後のウェーハは、電解前電極ウェーハよりも親水性であることが証明された。
【0071】
更に、孔の開口及び拡幅は、電解質がより速くかつより接近しやすくすることを可能にし(より少ない拡散抵抗)、また、これらの組み立てられた装置のキャパシタンス、疑似キャパシタンス、バッテリの充放電率、及び全体的なエネルギー密度及びパワー密度の改善、並びに燃料電池電極の体積効率及び空間速度の著しい改善を実証した。
【0072】
本開示は例示的な実施形態及びその実装を参照して説明されてきたが、本開示はそのような例示的な実施形態/実装によって、又はそれらに限定されない。むしろ、本開示のシステム/方法は本明細書で提供される開示に基づいて当業者に明らかである修正、変形、及び改良を受けることができ、本開示は、そのような修正、変形、及び改良を包含する。