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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】環状軸方向磁束モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2798 20220101AFI20240222BHJP
   H02K 3/26 20060101ALI20240222BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240222BHJP
   H02K 33/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H02K1/2798
H02K3/26 D
H02K1/22 A
H02K33/00 B
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2021569461
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 US2019068371
(87)【国際公開番号】W WO2020242533
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】62/852,940
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コーニングス, アルノ レオン
(72)【発明者】
【氏名】シャバッカー, チャールズ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マレノ, ジェイソン ドナルド
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105071573(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0072362(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/00-3/28
15/03
16/00-16/04
19/00-19/38
24/00-27/30
31/00-31/04
33/00-33/18
35/00-35/06
39/00
47/00-47/30
53/00
99/00
H02N1/00-1/12
3/00-99/00
H02P9/00-9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状軸方向磁束モータであって、
ロータであって、前記ロータは、回転可能構造の第1の環状小区分上に搭載される永久磁石のアレイを備え、前記永久磁石のアレイは、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記第1の環状小区分の軸方向に対して前記アレイの非アクティブな対向する側よりも前記アレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、
ステータであって、前記ステータは、前記第1の環状小区分に対応するキャリアの第2の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を備え、前記電気巻線は、前記円周方向に沿って延在し、前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿ってスタックされ、前記永久磁石のアレイのアクティブ側は、前記PCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータと
を備え、
前記ステータは、通電され、トルクを発生させ、前記回転可能構造とともに前記ロータを駆動し、前記キャリアに対して有限の進行範囲内で回転するように構成され
前記永久磁石のアレイは、ハルバッハアレイであり、前記ハルバッハアレイは、前記円周方向に沿って前記第1の環状小区分上に配列される永久磁石の周期的ユニットを備え、前記周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の4つの列を備え、隣接する列は、前記円周方向に沿った磁気空間を伴って相互から分離され、各磁石極対は、N極と、S極とを備え、
前記4つの列は、
第1の列であって、前記第1の列は、前記軸方向に沿って垂直にかつ順次にスタックされるN極とS極とを有する、第1の列と、
第2の列であって、前記第2の列は、前記円周方向に沿って水平にかつ順次にスタックされるS極とN極とを有する、第2の列と、
第3の列であって、前記第3の列は、前記軸方向に沿って垂直にかつ順次にスタックされるS極とN極とを有する、第3の列と、
第4の列であって、前記第4の列は、前記円周方向に沿って水平にかつ順次にスタックされるN極とS極とを有する、第4の列と
を備える、環状軸方向磁束モータ。
【請求項2】
前記ロータは、前記第1の環状小区分上に搭載され、前記軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのアレイを備え、
前記PCB上の前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記永久磁石の2つのアレイの間に配列され、前記2つのアレイのアクティブ側は、前記軸方向に対して前記複数の層の対向する側に面し、
前記個別のハルバッハアレイのアクティブ側と前記複数の層の対向する側との間の公称間隙は、前記軸方向に沿って同一の幅を有する、
請求項1に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項3】
前記永久磁石の2つのアレイは、前記PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、
前記軸方向に沿った前記対称磁場の軸方向成分は、前記第1の環状小区分の接線方向に沿った前記対称磁場の接線方向成分よりも大きい、
請求項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項4】
前記永久磁石の2つのアレイはそれぞれ、個別のハルバッハアレイであり、
前記個別のハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、前記印刷された電気巻線の複数の層の2つの側に対向して前記アクティブ側を有するように構成される、
請求項またはに記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項5】
前記ステータは、多相電気巻線を備え、
前記ステータの多相電気巻線はそれぞれ、前記ステータが、一定のトルクを発生させ、前記ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、
請求項のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項6】
前記電気巻線は、半径方向に沿った前記永久磁石のアレイの高さと同一である前記構造の半径方向に沿った高さを有する、請求項1-のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項7】
前記電気巻線は、前記電気巻線の巻線周期が、前記ロータの磁場の磁気周期に対応するように構成される、請求項1-のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項8】
前記ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される2相電気巻線を備える、請求項1-のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項9】
前記複数の層はそれぞれ、個別の位相の電気巻線に対応し、異なる位相を伴う前記個別の位相の電気巻線は、前記複数の層において交互する、請求項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項10】
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
請求項またはに記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項11】
前記第1のワイヤは、前記第1の層の入力ポートから開始し、前記第1の層上の第1の経路に沿って第1のビアまで延在するように印刷され、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第2の経路に沿って第2のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第1の層に戻るように進み、前記第1の層上の第3の経路に沿って第3のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第4の経路に沿って第4のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第1の層に進み、前記第1の層上の第5の経路に沿って第5のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第6の経路に沿って前記第3の層の出力ポートまで延在し、
前記第1の経路、前記第3の経路、および前記第5の経路に沿って延在する前記第1のワイヤは、前記第1の層上に第1の電気巻線を形成し、前記第2の経路、前記第4の経路、および前記第6の経路に沿って延在する前記第1のワイヤは、前記第3の層上に第2の電気巻線を形成し、前記第1の電気巻線および前記第2の電気巻線は、前記第1相電気巻線を形成し、
前記第1の電気巻線および前記第2の電気巻線は、巻線周期の4分の1だけオフセットされる同一の巻線パターンを有し、
前記第1のビア、前記第3のビア、および前記第5のビアは、相互に隣接する一方、前記第2のビアおよび前記第4のビアは、相互に隣接する、
請求項10に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項12】
前記2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有し、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、請求項11のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項13】
前記ステータは、相互に対して2π/3位相外の正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される3相電気巻線を備える、請求項1-のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項14】
前記電気巻線は、長方形巻線パターンを有する、請求項1-13のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項15】
前記電気巻線は、三角形巻線パターンを有する、請求項1-13のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項16】
前記三角形巻線パターンは、45度の巻線角度を有する、請求項15に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項17】
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記ステータは、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成される、
請求項1-16のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
【請求項18】
システムであって、
キャリアフレームと、
カムリングであって、前記カムリングは、前記キャリアフレームの内部にあり、軸方向に沿って軸の周囲で前記キャリアフレームに対して回転可能であるように構成される、カムリングと、
シェーパリングであって、前記シェーパリングは、前記カムリングの内部に位置付けられ、前記キャリアフレームに対する前記カムリングの回転運動が、前記軸方向に沿った前記カムリングに対する前記シェーパリングの軸方向運動をもたらすように、前記カムリングと接続されるように構成される、シェーパリングと、
環状軸方向磁束モータであって、
前記カムリングの第1の環状小区分上に搭載される永久磁石のアレイを備えるロータであって、前記永久磁石のアレイは、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記軸方向に対して前記アレイの非アクティブな対向する側よりも前記アレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、
ステータであって、前記ステータは、前記第1の環状小区分に対応する前記キャリアフレームの第2の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を備え、前記印刷された電気巻線は、前記円周方向に沿って延在し、前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿って相互とスタックされ、前記永久磁石のアレイのアクティブ側は、前記軸方向に沿って前記PCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータと
を備え、
前記ステータは、通電され、トルクを発生させ、前記カムリングとともに前記ロータを駆動し、前記キャリアフレームに対して有限の進行範囲内で回転するように構成される、
環状軸方向磁束モータと
を備える、システム。
【請求項19】
可撓性レンズ膜をさらに備え、前記可撓性レンズ膜は、前記シェーパリングの軸方向運動が、前記可撓性レンズ膜の曲率変化を引き起こすように、前記シェーパリングに結合されるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
液体レンズアセンブリをさらに備え、前記液体レンズアセンブリは、前記シェーパリングと、前記可撓性レンズ膜と、屈折コンポーネントと、可撓性環状膜との間にカプセル化される非圧縮性流体を含み、
前記非圧縮性流体は、前記シェーパリングが、前記屈折コンポーネントに向かって前記軸方向運動を伴って軸方向に移動されるとき、前記可撓性レンズ膜に向かって押動され、前記曲率変化を引き起こすように構成される、
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ロータは、前記第1の環状小区分上に搭載され、前記軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのハルバッハアレイを備え、
前記PCB上の前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記2つのハルバッハアレイの間に配列され、前記2つのハルバッハアレイのアクティブ側は、前記軸方向に対して前記複数の層の対向する側に面する、
請求項1820のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記2つのハルバッハアレイは、前記複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、前記軸方向に沿った前記磁場の軸方向成分は、前記第1の環状小区分の接線方向に沿った前記磁場の接線方向成分よりも大きく、
前記2つのハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、前記印刷された電気巻線の複数の層の対向する側に面する前記アクティブ側を有するように構成される、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される2相電気巻線を備える、請求項1822のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ステータの各位相の電気巻線は、前記ステータが、一定のトルクを発生させ、前記ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有し、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記巻線パターンは、長方形または三角形である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
請求項2326のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記ステータは、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成される、
請求項1827のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記カムリングは、非強磁性材料から作製される、請求項1828のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
方法であって、
環状軸方向磁束モータのステータの異なる位相の電気巻線の中に個別の駆動電流を入力することであって、前記個別の駆動電流は、相互に対して所定の程度を伴う位相差を有し、前記異なる位相の電気巻線は、キャリアフレームの第1の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)の複数の層上に印刷され、前記印刷された電気巻線は、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記複数の層は、前記第1の環状小区分の軸方向に沿って相互とスタックされる、ことと、
カムリングの軸を中心として有限の進行範囲で回転するように、前記カムリングの第2の環状小区分上に搭載される前記モータのロータを駆動することであって、前記第2の環状小区分は、前記第1の環状小区分に対応し、前記ロータは、前記軸方向に沿って相互から離間され、前記円周方向に沿って延在する、永久磁石の2つのハルバッハアレイを備え、前記ハルバッハアレイはそれぞれ、前記軸方向に対して前記ハルバッハアレイの非アクティブ側よりも前記ハルバッハアレイのアクティブ側上により強い磁場を発生させるように構成される、ことと
前記カムリング上に搭載される前記ロータの回転に起因する前記カムリングの回転運動によって、前記軸方向に沿った軸方向運動を伴って前記カムリングに機械的に結合されるシェーパリングを移動させることと
を含み、
前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿って前記ロータの2つのハルバッハアレイの間に位置付けられ、前記ハルバッハアレイの2つのアクティブ側は、前記PCBの複数の層の対向する側に面し、
前記2つのハルバッハアレイは、前記軸方向に沿って前記PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、
前記ステータの各位相の電気巻線は、前記ステータが、前記駆動電流によって通電され、一定のトルクを発生させ、前記キャリアフレームに対して前記ロータおよび前記カムリングを駆動するように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、方法。
【請求項31】
前記シェーパリングの軸方向運動によって、前記シェーパリングに結合される可撓性レンズ膜の曲率を変化させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ステータは、2相電気巻線を備え、前記2相電気巻線に関する前記個別の駆動電流は、π/2の位相差を伴う正弦波電流である、請求項3031のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ステータは、3相電気巻線を備え、前記3相電気巻線に関する前記個別の駆動電流は、2π/3の位相差を伴う正弦波電流である、請求項3031のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記個別の駆動電流は、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流である、請求項3034のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
方法であって、
環状軸方向磁束モータのステータの異なる位相の電気巻線の中に個別の駆動電流を入力することであって、前記個別の駆動電流は、相互に対して所定の程度を伴う位相差を有し、前記異なる位相の電気巻線は、キャリアフレームの第1の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)の複数の層上に印刷され、前記印刷された電気巻線は、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記複数の層は、前記第1の環状小区分の軸方向に沿って相互とスタックされる、ことと、
カムリングの軸を中心として有限の進行範囲で回転するように、前記カムリングの第2の環状小区分上に搭載される前記モータのロータを駆動することであって、前記第2の環状小区分は、前記第1の環状小区分に対応し、前記ロータは、前記軸方向に沿って相互から離間され、前記円周方向に沿って延在する、永久磁石の2つのハルバッハアレイを備え、前記ハルバッハアレイはそれぞれ、前記軸方向に対して前記ハルバッハアレイの非アクティブ側よりも前記ハルバッハアレイのアクティブ側上により強い磁場を発生させるように構成される、ことと
を含み、
前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿って前記ロータの2つのハルバッハアレイの間に位置付けられ、前記ハルバッハアレイの2つのアクティブ側は、前記PCBの複数の層の対向する側に面し、
前記2つのハルバッハアレイは、前記軸方向に沿って前記PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、
前記ステータの各位相の電気巻線は、前記ステータが、前記駆動電流によって通電され、一定のトルクを発生させ、前記キャリアフレームに対して前記ロータおよび前記カムリングを駆動するように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成され、
前記ステータは、2相電気巻線を備え、前記2相電気巻線に関する前記個別の駆動電流は、π/2の位相差を伴う正弦波電流であり、
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2019年5月24日に出願され、「VARIABLE FOCUS ASSEMBLIES」と題された、米国仮特許出願第62/852,940号の35 U.S.C. §119(米国特許法第119条)下の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、電気モータに関し、具体的には、環状軸方向磁束モータに関する。
【背景技術】
【0003】
複合現実(MR)または拡張現実(AR)接眼ディスプレイが、軽量であり、低費用であり、小さい形状因子を有し、広い仮想画像視野を有し、可能な限り透明であることが、望ましい。加えて、輻輳・開散-遠近調節不整合に関する許容可能な許容差を超えることなく、多種多様な使用事例に関して実践的であるように、複数の焦平面において仮想画像情報を提示する構成を有することが、望ましい。
【0004】
ディスプレイのコンポーネントは、アクチュエータによって駆動されることができる。ある場合には、要求される進行範囲、形状因子、寿命、および液体レンズを駆動するために要求されるピークトルク/力を提供し得るアクチュエータを得るために、重い磁気モータが、機械的アクチュエータに統合され、これは、軽量ディスプレイのために望ましくない場合がある。ある他の場合では、マイクロモータが、ディスプレイの重量要件を満たすために、機械的アクチュエータにおいて使用される。機械的アクチュエータは、軸方向切り抜きを伴うカムリングを含むことができる。切り抜きは、ある角度に傾斜し、カムリングの内部にある別の環状体(例えば、シェーパリング)に接続されるピンを誘導する。カムリングが、回転されると、内部リングは、軸方向に移動し、カムリングの軸方向に内部にある液体レンズを作動させる。カムリングから軸方向に突き出るピンが、マイクロモータに取り付けられる連結部によって駆動されることができる。しかしながら、マイクロモータは、要求される出力トルクおよび電力仕様を満たさない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、回転可能構造の第1の環状小区分上に搭載される、永久磁石のアレイを含む、ロータであって、永久磁石のアレイは、第1の環状小区分の円周方向(または接線方向)に沿って延在し、第1の環状小区分の軸方向に対してアレイの非アクティブな対向する側よりもアレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、第1の環状小区分に対応するキャリアの第2の環状小区分上に搭載される、印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を含む、ステータであって、電気巻線は、円周方向に沿って延在し、PCBの複数の層は、軸方向に沿ってスタックされ、永久磁石のアレイのアクティブ側は、PCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータとを含む、環状軸方向磁束モータを特徴とする。ステータは、通電され、トルク、例えば、一定のトルクを発生させ、回転可能構造とともにロータを駆動し、キャリアに対して有限の進行範囲内で回転するように構成される。
【0006】
いくつかの実装では、永久磁石のアレイは、ハルバッハアレイである。ハルバッハアレイは、円周方向に沿って第1の環状小区分上に配列される、永久磁石の周期的ユニットを含み、周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の列を含むことができる。
【0007】
いくつかの実施例では、周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の4つの列を含み、隣接する列は、円周方向に沿った磁気空間を伴って相互から分離され、各磁石極対は、N極と、S極とを含む。4つの列は、軸方向に沿って垂直に、かつ順次にスタックされる、N極と、S極とを有する、第1の列と、円周方向に沿って水平に、かつ順次にスタックされる、S極と、N極とを有する、第2の列と、軸方向に沿って垂直に、かつ順次にスタックされる、S極と、N極とを有する、第3の列と、円周方向に沿って水平に、かつ順次にスタックされる、N極と、S極とを有する、第4の列とを含む。
【0008】
いくつかの実装では、ロータは、第1の環状小区分上に搭載され、軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのアレイを含み、PCB上の印刷された電気巻線の複数の層は、永久磁石の2つのアレイの間に配列され、2つのアレイのアクティブ側は、軸方向に対して複数の層の対向する側に面し、個別のハルバッハアレイのアクティブ側と複数の層の対向する側との間の公称間隙は、軸方向に沿って同一の幅を有する。
【0009】
永久磁石の2つのアレイは、PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成されることができ、軸方向に沿った対称磁場の軸方向成分は、第1の環状小区分の接線方向に沿った対称磁場の接線方向成分よりも実質的に大きくあり得る。いくつかの実施例では、永久磁石の2つのアレイはそれぞれ、個別のハルバッハアレイであり、個別のハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、印刷された電気巻線の複数の層の2つの側に対向してアクティブ側を有するように構成される。いくつかの実施例では、ステータは、多相電気巻線を含み、ステータの多相電気巻線はそれぞれ、ステータが、一定のトルクを発生させ、ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される。
【0010】
電気巻線は、半径方向に沿った永久磁石のアレイの高さと実質的に同一である構造の半径方向に沿った高さを有することができる。電気巻線は、電気巻線の巻線周期が、ロータの磁場の磁気周期に対応するように構成されることができる。
【0011】
いくつかの実装では、ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される、2相電気巻線を含む。複数の層はそれぞれ、個別の位相の電気巻線に対応することができ、異なる位相を伴う個別の位相の電気巻線は、複数の層において交互することができる。2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有することができ、巻線周期の4分の1だけオフセットされる。
【0012】
印刷された電気巻線の複数の層は、軸方向に沿ってともに順次にスタックされる、第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを含むことができ、第1の層および第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成されることができ、第2の層および第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成されることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、第1のワイヤは、第1の層の入力ポートから開始し、第1の層上の第1の経路に沿って第1のビアまで延在するように印刷され、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第2の経路に沿って第2のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第1の層に戻るように進み、第1の層上の第3の経路に沿って第3のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第4の経路に沿って第4のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第1の層に進み、第1の層上の第5の経路に沿って第5のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第6の経路に沿って第3の層の出力ポートまで延在する。第1の経路、第3の経路、および第5の経路に沿って延在する第1のワイヤは、第1の層上に第1の電気巻線を形成し、第2の経路、第4の経路、および第6の経路に沿って延在する第1のワイヤは、第3の層上に第2の電気巻線を形成し、第1の電気巻線および第2の電気巻線は、第1相電気巻線を形成する。第1の電気巻線および第2の電気巻線は、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、同一の巻線パターンを有し、第1のビア、第3のビア、および第5のビアは、相互に隣接する一方、第2のビアおよび第4のビアは、相互に隣接する。
【0014】
いくつかの実施例では、電気巻線は、長方形巻線パターンを有する。
【0015】
いくつかの実施例では、電気巻線は、三角形巻線パターンを有する。三角形巻線パターンは、45度の巻線角度を有することができる。
【0016】
ロータは、ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成されることができ、ステータは、ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成されることができる。
【0017】
いくつかの実装では、ステータは、相互に対して2π/3位相外の正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される、3相電気巻線を含む。
【0018】
本開示の別の側面は、キャリアフレームと、キャリアフレームの内部にあり、軸方向に沿って軸の周囲でキャリアフレームに対して回転可能であるように構成される、カムリングと、環状軸方向磁束モータとを含む、システムを特徴とする。環状軸方向磁束モータは、カムリングの第1の環状小区分上に搭載される、永久磁石のアレイを含む、ロータであって、永久磁石のアレイは、第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、軸方向に対してアレイの非アクティブな対向する側よりもアレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、第1の環状小区分に対応するキャリアフレームの第2の環状小区分上に搭載される、印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を含む、ステータであって、印刷された電気巻線は、円周方向に沿って延在し、PCBの複数の層は、軸方向に沿って相互とスタックされ、永久磁石のアレイのアクティブ側は、軸方向に沿ってPCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータとを含む。ステータは、通電され、トルク、例えば、一定のトルクを発生させ、カムリングとともにロータを駆動し、キャリアフレームに対して有限の進行範囲内で回転するように構成される。
【0019】
いくつかの実装では、本システムはさらに、カムリングの内部に位置付けられ、キャリアフレームに対するカムリングの回転運動が、軸方向に沿ったカムリングに対するシェーパリングの軸方向運動をもたらすように、カムリングと接続されるように構成される、シェーパリングを含む。本システムはさらに、シェーパリングの軸方向運動が、可撓性レンズ膜の曲率変化を引き起こすように、シェーパリングに結合されるように構成される、可撓性レンズ膜を含むことができる。いくつかの実施例では、本システムはさらに、シェーパリングと、可撓性レンズ膜と、屈折コンポーネントと、可撓性環状膜との間にカプセル化される、非圧縮性流体を含む、液体レンズアセンブリを含む。非圧縮性流体は、シェーパリングが、屈折コンポーネントに向かって軸方向運動を伴って軸方向に移動されるとき、可撓性レンズ膜に向かって押動され、曲率変化を引き起こすように構成される。
【0020】
いくつかの実装では、ロータは、第1の環状小区分上に搭載され、軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのハルバッハアレイを含み、PCB上の印刷された電気巻線の複数の層は、2つのハルバッハアレイの間に配列され、2つのハルバッハアレイのアクティブ側は、軸方向に対して複数の層の対向する側に面する。2つのハルバッハアレイは、複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、軸方向に沿った磁場の軸方向成分は、第1の環状小区分の接線方向に沿った磁場の接線方向成分よりも実質的に大きくあり得る。2つのハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、印刷された電気巻線の複数の層の対向する側に面するアクティブ側を有するように構成されることができる。
【0021】
いくつかの実装では、ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される、2相電気巻線を含む。ステータの各位相の電気巻線は、ステータが、一定のトルクを発生させ、ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成されることができる。2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有することができ、巻線周期の4分の1だけオフセットされる。巻線パターンは、長方形または三角形であり得る。
【0022】
いくつかの実施例では、印刷された電気巻線の複数の層は、軸方向に沿ってともに順次にスタックされる、第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを含み、第1の層および第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、第2の層および第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される。
【0023】
ロータは、ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成されることができ、ステータは、ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成されることができる。カムリングは、非強磁性材料から作製されることができる。
【0024】
本開示のさらなる側面は、環状軸方向磁束モータのステータの異なる位相の電気巻線の中に個別の駆動電流を入力するステップであって、個別の駆動電流は、相互に対して所定の程度を伴う位相差を有し、異なる位相の電気巻線は、キャリアフレームの第1の環状小区分上に搭載される、印刷回路基板(PCB)の複数の層上に印刷され、印刷された電気巻線は、第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、複数の層は、第1の環状小区分の軸方向に沿って相互とスタックされる、ステップと、カムリングの軸を中心として有限の進行範囲で回転するように、カムリングの第2の環状小区分上に搭載される、モータのロータを駆動するステップであって、第2の環状小区分は、第1の環状小区分に対応し、ロータは、軸方向に沿って相互から離間され、円周方向に沿って延在する、永久磁石の2つのハルバッハアレイを含み、ハルバッハアレイはそれぞれ、軸方向に対してハルバッハアレイの非アクティブ側よりもハルバッハアレイのアクティブ側上により強い磁場を発生させるように構成される、ステップとを含む、方法を特徴とする。PCBの複数の層は、軸方向に沿ってロータの2つのハルバッハアレイの間に位置付けられ、ハルバッハアレイの2つのアクティブ側は、PCBの複数の層の対向する側に面する。2つのハルバッハアレイは、軸方向に沿ってPCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成される。ステータの各位相の電気巻線は、ステータが、駆動電流によって通電され、一定のトルクを発生させ、キャリアフレームに対してロータおよびカムリングを駆動するように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される。
【0025】
本方法はさらに、カムリング上に搭載されるロータの回転に起因するカムリングの回転運動によって、軸方向に沿った軸方向運動を伴ってカムリングに機械的に結合されるシェーパリングを移動させるステップを含むことができる。本方法はさらに、シェーパリングの軸方向運動によって、シェーパリングに結合される可撓性レンズ膜の曲率を変化させるステップを含むことができる。
【0026】
いくつかの実装では、ステータは、2相電気巻線を含み、2相電気巻線に関する個別の駆動電流は、π/2の位相差を伴う正弦波電流である。いくつかの実施例では、印刷された電気巻線の複数の層は、軸方向に沿ってともに順次にスタックされる、第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを含み、第1の層および第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、第2の層および第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される。
【0027】
いくつかの実装では、ステータは、3相電気巻線を含み、3相電気巻線に関する個別の駆動電流は、2π/3の位相差を伴う正弦波電流である。
【0028】
ロータは、ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成されることができ、個別の駆動電流は、ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流であり得る。
【0029】
本明細書の主題の1つ以上の実施形態の詳細が、付随の図面および下記の説明に記載される。本主題の他の特徴、側面、および利点が、説明、図面、および請求項から明白となるであろう。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
環状軸方向磁束モータであって、
ロータであって、前記ロータは、回転可能構造の第1の環状小区分上に搭載される永久磁石のアレイを備え、前記永久磁石のアレイは、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記第1の環状小区分の軸方向に対して前記アレイの非アクティブな対向する側よりも前記アレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、
ステータであって、前記ステータは、前記第1の環状小区分に対応するキャリアの第2の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を備え、前記電気巻線は、前記円周方向に沿って延在し、前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿ってスタックされ、前記永久磁石のアレイのアクティブ側は、前記PCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータと
を備え、
前記ステータは、通電され、トルクを発生させ、前記回転可能構造とともに前記ロータを駆動し、前記キャリアに対して有限の進行範囲内で回転するように構成される、環状軸方向磁束モータ。
(項目2)
前記永久磁石のアレイは、ハルバッハアレイである、項目1に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目3)
前記ハルバッハアレイは、前記円周方向に沿って前記第1の環状小区分上に配列される永久磁石の周期的ユニットを備え、前記周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の列を備える、項目2に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目4)
前記周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の4つの列を備え、隣接する列は、前記円周方向に沿った磁気空間を伴って相互から分離され、各磁石極対は、N極と、S極とを備え、
前記4つの列は、
第1の列であって、前記第1の列は、前記軸方向に沿って垂直にかつ順次にスタックされるN極とS極とを有する、第1の列と、
第2の列であって、前記第2の列は、前記円周方向に沿って水平にかつ順次にスタックされるS極とN極とを有する、第2の列と、
第3の列であって、前記第3の列は、前記軸方向に沿って垂直にかつ順次にスタックされるS極とN極とを有する、第3の列と、
第4の列であって、前記第4の列は、前記円周方向に沿って水平にかつ順次にスタックされるN極とS極とを有する、第4の列と
を備える、項目3に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目5)
前記ロータは、前記第1の環状小区分上に搭載され、前記軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのアレイを備え、
前記PCB上の前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記永久磁石の2つのアレイの間に配列され、前記2つのアレイのアクティブ側は、前記軸方向に対して前記複数の層の対向する側に面し、
前記個別のハルバッハアレイのアクティブ側と前記複数の層の対向する側との間の公称間隙は、前記軸方向に沿って同一の幅を有する、
項目1-4のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目6)
前記永久磁石の2つのアレイは、前記PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、
前記軸方向に沿った前記対称磁場の軸方向成分は、前記第1の環状小区分の接線方向に沿った前記対称磁場の接線方向成分よりも実質的に大きい、
項目5に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目7)
前記永久磁石の2つのアレイはそれぞれ、個別のハルバッハアレイであり、
前記個別のハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、前記印刷された電気巻線の複数の層の2つの側に対向して前記アクティブ側を有するように構成される、
項目5または6に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目8)
前記ステータは、多相電気巻線を備え、
前記ステータの多相電気巻線はそれぞれ、前記ステータが、一定のトルクを発生させ、前記ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、
項目5-7のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目9)
前記電気巻線は、半径方向に沿った前記永久磁石のアレイの高さと実質的に同一である前記構造の半径方向に沿った高さを有する、項目1-8のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目10)
前記電気巻線は、前記電気巻線の巻線周期が、前記ロータの磁場の磁気周期に対応するように構成される、項目1-9のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目11)
前記ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される2相電気巻線を備える、項目1-10のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目12)
前記複数の層はそれぞれ、個別の位相の電気巻線に対応し、異なる位相を伴う前記個別の位相の電気巻線は、前記複数の層において交互する、項目11に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目13)
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
項目11または12に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目14)
前記第1のワイヤは、前記第1の層の入力ポートから開始し、前記第1の層上の第1の経路に沿って第1のビアまで延在するように印刷され、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第2の経路に沿って第2のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第1の層に戻るように進み、前記第1の層上の第3の経路に沿って第3のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第4の経路に沿って第4のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第1の層に進み、前記第1の層上の第5の経路に沿って第5のビアまで延在し、それを通して、前記第1のワイヤは、前記第3の層に進み、前記第3の層上の第6の経路に沿って前記第3の層の出力ポートまで延在し、
前記第1の経路、前記第3の経路、および前記第5の経路に沿って延在する前記第1のワイヤは、前記第1の層上に第1の電気巻線を形成し、前記第2の経路、前記第4の経路、および前記第6の経路に沿って延在する前記第1のワイヤは、前記第3の層上に第2の電気巻線を形成し、前記第1の電気巻線および前記第2の電気巻線は、前記第1相電気巻線を形成し、
前記第1の電気巻線および前記第2の電気巻線は、巻線周期の4分の1だけオフセットされる同一の巻線パターンを有し、
前記第1のビア、前記第3のビア、および前記第5のビアは、相互に隣接する一方、前記第2のビアおよび前記第4のビアは、相互に隣接する、
項目13に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目15)
前記2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有し、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、項目11-14のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目16)
前記ステータは、相互に対して2π/3位相外の正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される3相電気巻線を備える、項目1-10のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目17)
前記電気巻線は、長方形巻線パターンを有する、項目1-16のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目18)
前記電気巻線は、三角形巻線パターンを有する、項目1-16のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目19)
前記三角形巻線パターンは、45度の巻線角度を有する、項目18に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目20)
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記ステータは、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成される、
項目1-19のいずれか1項に記載の環状軸方向磁束モータ。
(項目21)
システムであって、
キャリアフレームと、
カムリングであって、前記カムリングは、前記キャリアフレームの内部にあり、軸方向に沿って軸の周囲で前記キャリアフレームに対して回転可能であるように構成される、カムリングと、
環状軸方向磁束モータであって、
前記カムリングの第1の環状小区分上に搭載される永久磁石のアレイを備えるロータであって、前記永久磁石のアレイは、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記軸方向に対して前記アレイの非アクティブな対向する側よりも前記アレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される、ロータと、
ステータであって、前記ステータは、前記第1の環状小区分に対応する前記キャリアフレームの第2の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)上に印刷された電気巻線の複数の層を備え、前記印刷された電気巻線は、前記円周方向に沿って延在し、前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿って相互とスタックされ、前記永久磁石のアレイのアクティブ側は、前記軸方向に沿って前記PCBの複数の層の1つの側に面し、公称間隙を伴って離間される、ステータと
を備え、
前記ステータは、通電され、トルクを発生させ、前記カムリングとともに前記ロータを駆動し、前記キャリアフレームに対して有限の進行範囲内で回転するように構成される、
環状軸方向磁束モータと
を備える、システム。
(項目22)
シェーパリングをさらに備え、前記シェーパリングは、前記カムリングの内部に位置付けられ、前記キャリアフレームに対する前記カムリングの回転運動が、前記軸方向に沿った前記カムリングに対するシェーパリングの軸方向運動をもたらすように、前記カムリングと接続されるように構成される、項目21に記載のシステム。
(項目23)
可撓性レンズ膜をさらに備え、前記可撓性レンズ膜は、前記シェーパリングの軸方向運動が、可撓性レンズ膜の曲率変化を引き起こすように、前記シェーパリングに結合されるように構成される、項目22に記載のシステム。
(項目24)
液体レンズアセンブリをさらに備え、前記液体レンズアセンブリは、前記シェーパリングと、前記可撓性レンズ膜と、屈折コンポーネントと、可撓性環状膜との間にカプセル化される非圧縮性流体を含み、
前記非圧縮性流体は、前記シェーパリングが、前記屈折コンポーネントに向かって前記軸方向運動を伴って軸方向に移動されるとき、前記可撓性レンズ膜に向かって押動され、前記曲率変化を引き起こすように構成される、
項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記ロータは、前記第1の環状小区分上に搭載され、前記軸方向に沿って相互から離間される、永久磁石の2つのハルバッハアレイを備え、
前記PCB上の前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記2つのハルバッハアレイの間に配列され、前記2つのハルバッハアレイのアクティブ側は、前記軸方向に対して前記複数の層の対向する側に面する、
項目21-24のいずれか1項に記載のシステム。
(項目26)
前記2つのハルバッハアレイは、前記複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、前記軸方向に沿った前記磁場の軸方向成分は、前記第1の環状小区分の接線方向に沿った前記磁場の接線方向成分よりも実質的に大きく、
前記2つのハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有し、前記印刷された電気巻線の複数の層の対向する側に面する前記アクティブ側を有するように構成される、
項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記ステータは、π/2の位相差を伴う正弦波駆動電流を用いて駆動されるように構成される2相電気巻線を備える、項目21-26のいずれか1項に記載のシステム。
(項目28)
前記ステータの各位相の電気巻線は、前記ステータが、一定のトルクを発生させ、前記ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、項目27に記載のシステム。
(項目29)
前記2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有し、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、項目27または28に記載のシステム。
(項目30)
前記巻線パターンは、長方形または三角形である、項目29に記載のシステム。
(項目31)
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
項目27-30のいずれか1項に記載のシステム。
(項目32)
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記ステータは、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動されるように構成される、
項目21-31のいずれか1項に記載のシステム。
(項目33)
前記カムリングは、非強磁性材料から作製される、項目21-32のいずれか1項に記載のシステム。
(項目34)
方法であって、
環状軸方向磁束モータのステータの異なる位相の電気巻線の中に個別の駆動電流を入力することであって、前記個別の駆動電流は、相互に対して所定の程度を伴う位相差を有し、前記異なる位相の電気巻線は、キャリアフレームの第1の環状小区分上に搭載される印刷回路基板(PCB)の複数の層上に印刷され、前記印刷された電気巻線は、前記第1の環状小区分の円周方向に沿って延在し、前記複数の層は、前記第1の環状小区分の軸方向に沿って相互とスタックされる、ことと、
カムリングの軸を中心として有限の進行範囲で回転するように、前記カムリングの第2の環状小区分上に搭載される前記モータのロータを駆動することであって、前記第2の環状小区分は、前記第1の環状小区分に対応し、前記ロータは、前記軸方向に沿って相互から離間され、前記円周方向に沿って延在する、永久磁石の2つのハルバッハアレイを備え、前記ハルバッハアレイはそれぞれ、前記軸方向に対して前記ハルバッハアレイの非アクティブ側よりも前記ハルバッハアレイのアクティブ側上により強い磁場を発生させるように構成される、ことと
を含み、
前記PCBの複数の層は、前記軸方向に沿って前記ロータの2つのハルバッハアレイの間に位置付けられ、前記ハルバッハアレイの2つのアクティブ側は、前記PCBの複数の層の対向する側に面し、
前記2つのハルバッハアレイは、前記軸方向に沿って前記PCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、
前記ステータの各位相の電気巻線は、前記ステータが、前記駆動電流によって通電され、一定のトルクを発生させ、前記キャリアフレームに対して前記ロータおよび前記カムリングを駆動するように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成される、方法。
(項目35)
前記カムリング上に搭載される前記ロータの回転に起因する前記カムリングの回転運動によって、前記軸方向に沿った軸方向運動を伴って前記カムリングに機械的に結合されるシェーパリングを移動させることをさらに含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記シェーパリングの軸方向運動によって、前記シェーパリングに結合される可撓性レンズ膜の曲率を変化させることをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記ステータは、2相電気巻線を備え、前記2相電気巻線に関する前記個別の駆動電流は、π/2の位相差を伴う正弦波電流である、項目34-36のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記印刷された電気巻線の複数の層は、前記軸方向に沿ってともに順次にスタックされる第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、
前記第1の層および前記第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、前記第2の層および前記第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される、
項目37に記載の方法。
(項目39)
前記ステータは、3相電気巻線を備え、前記3相電気巻線に関する前記個別の駆動電流は、2π/3の位相差を伴う正弦波電流である、項目34-36のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記ロータは、前記ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させるように構成され、
前記個別の駆動電流は、前記ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流である、項目34-39のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、拡張現実システムの実施例の概略図である。
【0031】
図2図2は、可変焦点アセンブリの対を含む、光学要素の部分的断面図である。
【0032】
図3図3Aおよび3Bは、可変焦点アセンブリにおける液体レンズアセンブリの実施例を示す。
【0033】
図4図4は、可変焦点アセンブリの実施例の分解図である。
【0034】
図5図5Aおよび5Bは、可変焦点アセンブリにおけるシェーパリングおよびカムリングに係合するための機械的特徴の実施例を示す、概略図である。
【0035】
図6図6Aは、環状軸方向磁束モータ作動システムの実施例の概略図である。図6Bおよび6Cは、動作状態(図6B)および解放状態(図6C)における図6Aの作動システムの動作を図示する。図6Bおよび6Cは、動作状態(図6B)および解放状態(図6C)における図6Aの作動システムの動作を図示する。
【0036】
図7図7は、環状軸方向磁束モータを含む、アクチュエータの実施例の概略図である。
【0037】
図8図8は、ハルバッハアレイと、多層PCBとを含む、環状軸方向磁束モータの実施例の概略図である。
【0038】
図9図9は、ハルバッハアレイの磁場の実施例を図示する。
【0039】
図10図10は、図8のハルバッハアレイのシミュレートされた磁場を図示する。
【0040】
図11図11Aおよび11Bは、図10のシミュレートされた磁場成分を示す。
【0041】
図12図12は、長方形パターンを伴う2相電気巻線の実施例の概略図である。
【0042】
図13A図13Aは、2つのハルバッハアレイの間に多層PCBを含む、環状軸方向磁束モータの別の実施例の概略図である。
【0043】
図13B図13Bは、図13Aのモータの例示的配列の概略図である。
【0044】
図14図14は、図13Aの2つのハルバッハアレイのシミュレートされた磁場を図示する。
【0045】
図15-1】図15A-Cは、2つのハルバッハアレイの間の異なる位置における図14のシミュレートされた磁場成分を示す。
図15-2】図15A-Cは、2つのハルバッハアレイの間の異なる位置における図14のシミュレートされた磁場成分を示す。
【0046】
図16A図16Aは、長方形巻線パターンを伴う例示的な印刷された電気巻線の概略図である。
【0047】
図16B図16Bは、三角形巻線パターンを伴う例示的な印刷された電気巻線の概略図である。
【0048】
図17図17Aは、長方形巻線に関する巻線周期λと極対あたりの有効長および有効比率との間の個別の関係を図示する。図17Bは、三角形巻線に関する巻線角度βと極対あたりの有効長および有効比率との間の個別の関係を図示する。
【0049】
図18図18は、2つの層上の単相電気巻線に関する例示的配策スキームの概略図である。
【0050】
図19図19は、アクチュエータとして環状軸方向磁束モータを使用して光学システムを動作させるプロセスの実施例を図示する、フロー図である。
【0051】
種々の図面における同様の参照番号および指定は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示の実装は、例えば、低トルクおよび高速レジームの代わりに、高トルクおよび低速レジームにおいて動作され得る、コンパクトなコアレス環状軸方向磁束モータを提供する。コンパクトな高トルクモータは、MRまたはARディスプレイ等の光学システムにおける限定された進行範囲を伴う液体レンズアセンブリを駆動するための機械的カムリングベースの作動システムにおいて使用されることができる。具体的には、カムリングは、永久磁石の1つ以上のアレイ、例えば、ハルバッハアレイをカムリング上に埋設することによって、モータのロータに変換されることができる。モータのステータは、液体レンズアセンブリのキャリアフレーム上に搭載される、印刷回路基板(PCB)上の印刷された電気巻線によって実装されることができる。カムリングは、キャリアフレームに対して回転可能である。ステータは、2相または3相またはさらにより多くの位相の電気巻線のいずれかを用いて実装されることができる。巻線は、PCBの複数の層において印刷されることができる。
【0053】
いくつかの実装では、カムリング内に埋設される永久磁石のアレイは、カムリングの全円周または環状小区分(または弧)に沿って設置されることができる。ある場合には、MRまたはARディスプレイの形状因子を考慮して、永久磁石は、ある度、例えば、120度未満に限定されるカムリングの弧において設置されることができる。すなわち、モータは、全円においてではなく、有限の、または限定された弧長を用いて形成され、これは、カムリングを、連続的回転においてではなく、限定された角度内で前後に回転させる。いくつかの実装では、モータの巻線は、湾曲したPCB上のトレースとして実装される。複数の巻線位相および高い巻線巻数が、PCBに層を追加することによって達成されることができる。
【0054】
永久磁石は、発生される磁場が、他方の対向する側(例えば、非アクティブ側)よりもハルバッハアレイの一方の側(例えば、アクティブ側)上でより強いように、ハルバッハアレイとして特殊な配列を用いて配列されることができる。磁場のより強い側は、PCB上の電気巻線に面するように配列されることができる。永久磁石のアレイは、カムリングの円周に沿って正弦的に変動する磁束密度を生成することができる。軸方向に沿って配向される磁場成分は、電気巻線が、軸方向に沿って出入りし、電流が、円周方向に沿って正弦的に変動するとき、円周方向に沿って一定のトルクを提供することができる。トルクは、回転するように永久磁石およびカムリングを駆動することができる。電気巻線のパターンは、永久磁石の正弦波磁束密度に従って配列されることができる。カムリングは、プラスチック等の非強磁性材料から作製されることができる。
【0055】
異なるモータアーキテクチャが、実装されることができる。例えば、第1のモータアーキテクチャは、単一の永久磁石アレイ(例えば、ハルバッハアレイ)と、多層PCBとを含むことができ、これは、合計軸方向幅を最小限にし、より少ない磁石を利用することができる。第2のモータアーキテクチャは、その間に多層PCBを伴う2つの永久磁石アレイ(例えば、2つのハルバッハアレイ)を含むことができる。多層PCBは、2つの永久磁石アレイの間に中心合わせされるため、磁場成分は、多層PCBの中心を中心として軸方向に沿って対称であり得、これは、好適な駆動スキームを用いて一定のトルク出力を生成するように、各位相の巻線が厳密に同一のロータ依存性トルク定数を有することを可能にする。また、PCBにおける合計磁束密度は、第1のモータアーキテクチャにおけるものよりも大きいため、第2のモータアーキテクチャにおけるモータのトルク定数は、より大きくあり得る。
【0056】
本開示に実装される技術は、コアレスハルバッハアレイを使用することができ、これは、永久磁石磁束経路を完成させ、渦電流に起因する損失を回避するために、低磁気抵抗(例えば、鉄)コンポーネントの使用を回避することができる。軸方向設計はまた、巻線が多層PCB上に実装されることを可能にすることができ、これは、製造することが容易である。また、2D層状モータ設計は、コンパクトなモータおよび関連付けられる作動システムを達成することができる。
【0057】
本技術は、既存の機械的作動システムにおけるブラシ、軸方向カムピン、連結部、およびマイクロモータを取り除くことができる。例えば、本技術は、ウォームギヤ連結部およびブラシを除外し、関連付けられる機械的動力の非効率または故障を避けることができる。より少ない機械的部品を伴う作動システムはまた、より長い寿命を有することができる。また、本技術は、モータが低速で動作することを可能にすることができ、これは、音響騒音を殆どまたは全く発生させず、それによって、深刻な音響騒音問題を解決することができる。
【0058】
本開示に実装されるコアレス環状軸方向磁束モータベースのデバイスまたはシステムは、コンパクトな作動システム、ウェアラブルデバイス(例えば、眼鏡)等のポータブル電子および通信デバイス、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)ディスプレイ、または軸方向モータを必要とする任意の他の用途を含む、種々の用途において広く使用されることができる。
(例示的システムおよび光学要素)
【0059】
図1は、頭部装着型視認コンポーネント102、ハンドヘルドコントローラコンポーネント104、およびユーザ上のベルトパックまたは同等物として装着されるように構成され得る、随意の相互接続される補助コンピューティングまたはコントローラコンポーネント106を特徴とする、例示的拡張現実システム100の概略図である。コンポーネント102、104、106はそれぞれ、IEEE 802.11、Bluetooth(登録商標)(RTM)、および他の接続性標準および構成によって規定されるもの等の有線または無線通信構成を介して、相互と、およびクラウドコンピューティングまたはクラウド記憶リソース等の他の接続されるリソース108と通信するために、接続110、112、114、116、117、118を介して動作的に結合されてもよい。種々の実施形態では、描写される光学要素120は、視認コンポーネント102を装着するユーザが、拡張現実体験のために、関連付けられるシステムコンポーネントによって生成され得る視覚的コンポーネントとともにユーザの周囲の世界を視認することを可能にするように動作してもよい。そのようなシステムおよび体験は、米国特許出願第14/555,585号、第14/690,401号、第14/331,218号、第15/481,255号、および第62/518,539号(そのそれぞれは、参照することによってその全体として組み込まれる)に説明されている。
【0060】
可変焦点コンポーネントが、任意の好適な数の焦平面を提供するために、光学要素120のコンポーネントとして利用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学要素120は、統合された制御システムによって選択可能または調整可能である焦平面のスペクトルを提供するために、可変焦点コンポーネントの1つ以上のアセンブリ(または可変焦点アセンブリ)を含むことができる。例えば、内側レンズアセンブリ(ILA)および外側レンズアセンブリ(OLA)等の可変焦点アセンブリの対が、ILAを使用して、仮想コンテンツに様々な焦点深度のうちの1つを付与する一方、OLAを使用して、歪んだ環境光を補正または補償するために、光学要素120において使用されることができる。
【0061】
図2は、その間に拡張現実(AR)接眼レンズを伴う可変焦点アセンブリの対を含む、光学要素200の部分的断面図である。光学要素200は、図1の光学要素120のうちの1つであり得る。光学要素200は、接眼レンズ230と、接眼レンズ230の両側上に個別に配置される、ILA210およびOLA220を含む。接眼レンズ230からの仮想画像は、ILA210に向かって投影され、それによって成形されることができる。周辺環境からの光は、1回目にOLA220によって成形され、次いで、2回目にILA210によって成形されることができ、したがって、環境光の焦点の正味の変化は、2回の成形事象の後でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、OLA220の直径は、ILA210のものよりも大きい。
【0062】
いくつかの実施形態では、図3A-3Bおよび図4にさらに詳細に議論されるように、ILA210およびOLA220はそれぞれ、カムリングと、カムリングの軸方向に内部にある、シェーパリングとを含むことができる。シェーパリングは、有限の進行範囲で軸方向に沿って移動するように作動システムを使用して作動されることができる。作動システムは、回転アクチュエータと、半径方向力ラッチとを含む、図6Aの回転作動システム600であり得る。回転アクチュエータは、図7のモータ700、図8の800、または図13Aの1300によって実装されることができる。回転アクチュエータは、シェーパリング(または荷重)を軸方向運動を伴って移動させ得る、限定された回転運動を伴ってカムリングを回転させることができる。
【0063】
特定の実装では、ILA210は、以下の仕様のうちの1つ以上のものを含むことができ、すなわち、進行範囲は、約721μmであり、進行範囲は、整合オフセットおよび本システムの実際の運動要件の組み合わせであり得、最大荷重ばね力は、約2.24±0.3Nであり、最小荷重ばね力は、約0.70±0.3Nであり、シェーパリングの質量は、約0.62グラムであり、荷重剛性は、約2.75N/mmであり、レンズ減衰は、約1.0であり、システム自然周波数は、約100Hzであり、シェーパリングに対する屈折の偏心(データ)は、約±0.05mmであり、焦点力誤差(組み合わせられたILAおよびOLA)は、0.1視度未満であり、焦点力誤差(仮想システムに関して)は、0.1視度未満であり、膜に取り付けられるシェーパリングの平坦度は、10μm未満であり、膜に取り付けられるシェーパリングの傾斜/先端は、3分角未満である。
【0064】
特定の実装では、OLA220は、以下の仕様のうちの1つ以上のものを含むことができ、すなわち、進行範囲は、約760μmであり、進行範囲は、整合オフセットおよび本システムの実際の運動要件の組み合わせであり得、最大荷重ばね力は、約3.21±0.3Nであり、最小荷重ばね力は、約1.35±0.3Nであり、シェーパリング質量は、約0.72グラムであり、荷重剛性は、約3.31N/mmであり、レンズ減衰は、約1.0であり、システム自然周波数は、約100Hzであり、シェーパリングに対する屈折の偏心(データ)は、約±0.05mmであり、焦点力誤差(組み合わせられたILAおよびOLA)は、0.1視度未満であり、焦点力誤差(仮想システムに関して)は、0.1視度未満であり、膜に取り付けられるシェーパリングの平坦度は、10μm未満であり、膜に取り付けられるシェーパリングの傾斜/先端は、3分角未満である。
(例示的可変焦点アセンブリ)
【0065】
図3Aおよび3Bは、可変焦点アセンブリ、例えば、図2のILA210またはOLA220または図1の光学要素120における可変焦点アセンブリにおいて使用され得る、液体レンズアセンブリ300の実施例を示す。可変焦点アセンブリは、液体レンズアセンブリ300内の流体体積の湾曲形状を調節するように動作可能である。ある体積においてカプセル化される流体を通して進行する光は、光が、カプセル化される流体の湾曲面に遭遇するときに改変され得る、波面を有する。光の波面の変化は、光の焦点の変化に対応する。
【0066】
いくつかの実施形態では、液体レンズアセンブリ300は、屈折コンポーネント302と、シェーパリング304とを含む。屈折コンポーネント302は、リジッドな光学的に透明な材料(プラスチックまたはガラス等)であり得、平坦面、湾曲面、または1つの平坦面および1つの湾曲面(それぞれ、表面306、308)を有することができる。シェーパリング304は、金属(アルミニウム、鋼、またはチタン)、プラスチック、または他の好適に軽量かつリジッドな材料等のリジッド材料から作製されることができる。可撓性レンズ膜310は、可撓性レンズ膜310が、シールを作成するためにシェーパリング304の全円周に沿って取り付けられるように、シェーパリング304に跨架することができる。実質的に非圧縮性の流体312の一定の体積が、可撓性レンズ膜310と、シェーパリング304と、屈折コンポーネント302と、環状膜314との間にカプセル化されることができる。環状膜314は、流体が液体レンズアセンブリ300内にシールされる状態を保ちながら、屈折コンポーネント302に対する(シェーパリング304の軸に沿った)シェーパリング304の軸方向運動を可能にするために、可撓性である。
【0067】
図3Aは、シェーパリング304および屈折コンポーネント302が、より大きい距離を有することを示す一方、図3Bは、シェーパリング304が、屈折コンポーネント302とのより小さい距離を有するように移動されることを示す。シェーパリング304が、屈折コンポーネント302に向かって軸方向に移動され、より小さい距離を引き起こすと、可撓性レンズ膜310の表面は、図3Aよりも図3Bにおいてより湾曲し、非圧縮性流体312は、可撓性レンズ膜310に向かって押動される。
【0068】
図4は、可変焦点アセンブリ400、例えば、図2のILA210またはOLA220または図1の光学要素120における可変焦点アセンブリの分解図を示す。可変焦点アセンブリ400は、液体レンズアセンブリ402、例えば、図3A-3Bの液体レンズアセンブリ300を含む。液体レンズアセンブリ402は、シェーパリング404と、レンズコア406と、液体レンズアセンブリの他の部分(個々に図示せず)とを含む。いくつかの実施形態では、シェーパリング404を含む液体レンズアセンブリ402は、カムリング416内に入れ子になる。シェーパリング404上の機械的特徴は、カムリング416の回転運動が、シェーパリング404の軸方向運動をもたらし、したがって、液体レンズアセンブリ402における可撓性レンズ膜、例えば、図3A-3Bの可撓性レンズ膜310の形状の変化をもたらすように、カムリング416の機械的特徴に係合することができる。
【0069】
カムリング416および液体レンズアセンブリ402は、キャリアフレーム418内に入れ子になることができる。カムリング416は、キャリアフレーム418およびシェーパリング404の両方に対して回転可能であり得る。シェーパリング404は、カムリング416およびキャリアフレーム418の両方に対して軸方向に移動可能であり得る。キャップ420が、キャリアフレーム418内に格納される、またはそれに搭載される、カムリング416等のコンポーネントの位置を固着させるために、キャリアフレーム418に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、可撓性レンズ膜の曲率を調節するための作動システムは、カムリング416とキャリアフレーム418およびシェーパリング404の両方との間の相対的回転運動を使用し、軸方向運動をシェーパリング404に、したがって、可撓性レンズ膜に付与する。作動の間、キャリアフレーム418は、移動を伴わずに静的であり得、カムリング416は、回転運動を有することができ、シェーパリング404は、軸方向運動を有することができる。
【0070】
図5Aおよび5Bは、シェーパリング404およびカムリング416に係合するための機械的特徴の実施例を示す。図5Aに図示されるように、特定の表面幾何学形状が、シェーパリング404とカムリング416との間の界面502において示される。突起504が、シェーパリング404上に示され、軸方向に延在し、カムリング416上の螺旋スプライン特徴に係合し、カムリング416が回転する際、シェーパリング404に軸方向運動を付与する。ランプ、段、ガイドピン、および他の機械的特徴等の他の幾何学形状、特に、シェーパリング404に対するカムリング416の相対的回転をカムリング416に対するシェーパリング404の軸方向移動に変換するように作用する好適な幾何学形状が、カムリング416に対するシェーパリング404の軸方向運動を誘導するために使用されることができる。
(例示的回転作動システム)
【0071】
図6Aは、環状軸方向磁束モータベースの作動システム600の実施例を示す。システム600は、回転カム要素610を作動させるように構成される、回転アクチュエータ602を含む。カム要素610は、図4のカムリング416であり得る。ある場合には、カム要素610は、カムリングの環状小区分、例えば、カムリングの半分であり得る。カム要素610は、有限の(または限定された)作動範囲、例えば、±4度を有することができる。図7、8、および13Aにさらに詳細に説明されるように、有限の作動範囲は、カム要素610の環状小区分に対応する回転アクチュエータ602を実現することによって達成されることができる。
【0072】
システム600は、カム要素610の位置を検出するように構成される、位置センサ604を含むことができる。例えば、位置センサ604は、カム要素が、元の位置にあるとき、ゼロに較正されることができる。回転アクチュエータが、回転するようにカム要素610を作動させると、位置センサ604は、カム要素610が回転された度数を検出し、次いで、検出の結果に基づいて、カム要素610の現在の位置を決定することができる。
【0073】
いくつかの実装では、カム要素610は、回転アクチュエータ602からのいかなる作動も存在しないとき、自己係止するために十分な摩擦を有する。いくつかの実装では、システム600は、カム要素610が移動することを防止するように構成される、半径方向力ラッチ606を含む。回転アクチュエータは、半径方向力ラッチ606が、解放されると、カム要素610を作動させる。
【0074】
図6Bおよび6Cは、動作状態(図6B)および解放状態(図6C)における半径方向力ラッチ606の実施例を示す。半径方向力ラッチ606は、ばね622を用いて、カム要素610の中に半径方向に装填される、ドライブドッグ620を含むことができる。ドライブドッグ620は、強磁性金属から作製されることができ、半径方向に配向されるソレノイド630を介して解放されることができる。ソレノイド電力は、作動の間のみ消費される。動作状態において、図6Bに図示されるように、ソレノイド電磁石は、給電されていない。ばね622は、ドライブドッグ620をカム要素610に向かって押動し、カム要素610が移動することを防止する。解放状態において、図6Cに図示されるように、ソレノイド電磁石は、通電され、ドライブドッグ620は、(矢印が示すように)ばね622に向かって後退され、カム要素610は、自由に移動する。
【0075】
いくつかの実装では、ソレノイド630の作動のための回路が、一方向性作動のための低側駆動スイッチを含むことができる。スナバが、ソレノイド630の緩慢な作動が、必要とされる場合、荷重に平行に追加されることができる。ソレノイド630を駆動する電流が、漸増される必要がある場合、開ループ電流制御が、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)をバイポーラ接合トランジスタ(BJT)またはBJTダーリントンと置換し、マイクロコントローラユニット(MCU)のデジタル-アナログ回路(DAC)を使用し、BJTのベース電流を漸増させることによって実装されることができる。
【0076】
特定の実装では、アクチュエータ602は、以下の仕様のうちの1つ以上のものを有することができ、質量は、7.9グラム未満であり、推力および開始推力は、±1N~±4Nであり、速度は、約50mm/秒であり、ストロークは、0.8~3.5mmの範囲内であり、可動システムの動力学(伝達関数:剛性(k)、質量減衰(m)、自然周波数(fn)、および減衰比(β)):meffは、5グラム未満であり、kは、2.0N/mm~4N/mmまたは4.0N/mm~8N/mmの範囲内の値よりも大きく、fnは30~200ヘルツであり、βは0.5~3.0であり、位置付け正確度(6自由度に関する許容可能なモータ誤差運動)は、±0.2mmであり、最小可能運動ステップは、1μm未満であり、配向(先端/傾斜)不確実性は、120分角未満であり、分散荷重特性は、約Ф40mmであり、デューティサイクルは、0.3Hzの周波数において約1,200万回切替であり、モータの形状因子:寸法<33mm×16mm×9.2mmであり、作動される要素に関する形状因子:分散荷重を伴ってФ40mmであり、機械的コンポーネントおよび搭載場所の許容可能な変形は、0.020~0.300mm未満であり、自己係止保持力は、1.2×作動力よりも大きく、電力消費:平均は、0.5ワット未満であり、最大は、1.0ワット未満であり、駆動音(許容可能な騒音)は、25mmにおいて25~32dbA未満であり、熱価は、1ワット未満であり、駆動の間の温度は、60℃未満であり、寿命は、約10,000時間であり、使用環境(使用温度、使用湿度):周囲温度は、-10℃~+55℃の範囲内であり、非結露湿度は、5~95%の範囲内であり、耐衝撃性は、3つの配向において1メートルからの落下に耐えることができ、いかなる損傷も伴わない。
(例示的環状軸方向磁束モータ)
【0077】
図7は、環状磁束永久磁石軸方向モータ700の実施例を示す。モータ700は、可変焦点アセンブリ、例えば、図2のILA210またはOLA220、図4の可変焦点アセンブリ400における、または液体レンズアセンブリ、例えば、図3A-3Bの液体レンズアセンブリ300または図4の液体レンズアセンブリ402におけるアクチュエータ、例えば、図6A-6Cのアクチュエータ602として実装されることができる。
【0078】
モータ700は、例えば、可変焦点アセンブリにおける液体レンズアセンブリのカムリング702を移動させることによって、可変焦点アセンブリを移動させるように構成される。カムリング702は、図4のカムリング416であり得る。可変焦点アセンブリは、カムリング702内に入れ子になる、シェーパリング、例えば、図4のシェーパリング404または図3A-3Bのシェーパリング304を含むことができる。カムリング702の回転運動は、シェーパリングの軸方向運動をもたらすことができる。カムリング702は、キャリアフレーム(図示せず)、例えば、図4のキャリアフレーム418内に入れ子になることができる。カムリング702は、キャリアフレームに対して回転可能であり得る。シェーパリングは、カムリング702およびキャリアフレームの両方に対して軸方向に移動可能である。シェーパリングの軸方向運動は、シェーパリングに結合される可撓性レンズ膜の曲率の変化を引き起こすことができる。
【0079】
モータ700は、カムリング702を、全円において連続的に回転させるのではなく、有限の(または限定された)進行範囲で、例えば、限定された角度範囲内で回転させることができる。カムリング702は、有限の進行範囲内で前方および/または後方に回転されることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、モータ700は、カムリング702の環状開口部の少なくとも一部の周囲に特定の配列を伴う永久磁石のアレイ(または複数のアレイ)を設置することによって形成される、ロータ710を含む。図7に図示されるように、永久磁石のアレイは、カムリング702の環状小区分、例えば、Θの角度内の弧上に配列されることができる。永久磁石は、カムリング702の円周に沿って配列される。永久磁石のアレイは、反対の磁石極(NおよびS)の交互する対を含むことができる。カムリング702は、プラスチック等の非強磁性材料から作製されることができる。
【0081】
モータ700はさらに、永久磁石および電気巻線が、別個のコンポーネントに搭載され、相互に対応するように、キャリアフレームの環状開口部の少なくとも一部の周囲に電気巻線を設置することによって形成される、ステータ720を含む。電気巻線は、印刷回路基板(PCB)上に印刷される、伝導性材料、例えば、銅を使用して作製されることができる。PCBは、次いで、サイズに合わせて切断され、湾曲され、キャリアフレームに搭載されることができる。いくつかの実施形態では、印刷された電気巻線の複数の層が、巻線の密度が、増加され得るように、PCB上で相互の上にスタックされることができる。巻線のより高い密度は、より高いトルク出力を提供することができる。ステータ720は、2相、3層、またはさらにより多くの位相の巻線のいずれかにおいて実装されることができる。
【0082】
電流が、PCB巻線を通して通過する際、時変磁場が、作成され、これは、ロータ710の永久磁石のアレイと相互作用し、カムリング702を伴うロータ710とキャリアフレームとの間の相対的回転を引き起こす。座標x、y、zの軸は、それぞれ、接線方向、軸方向、および半径方向を表す。永久磁石のアレイおよび電気巻線は、PCB巻線の様々な磁場が、ロータ710の磁場の軸方向(すなわち、y方向)に沿って軸方向成分と相互作用し、一定のトルクを提供し、接線方向(すなわち、x方向)に沿って力を発生させ、それによって、ロータ710の永久磁石およびカムリング702を回転させるように構成されることができる。
【0083】
いくつかの他の実施形態では、電気巻線および永久磁石のアレイが、別個のコンポーネント上に形成され得、相対的移動を有し得るように、ロータ710の永久磁石のアレイは、キャリアフレーム上に形成されることができる一方、ステータ720のPCB上の電気巻線は、カムリング702上に形成されることができる。
【0084】
図8は、環状磁束永久磁石軸方向モータ800の実施例を示す。モータ800は、図7のモータ700であり得る。モータ800は、ロータ810、例えば、図7のロータ710と、ステータ820、例えば、図7のステータ720とを含む。ロータ810は、回転可能カムリング、例えば、図7のカムリング702上に搭載される、永久磁石のアレイを含むことができる。ステータ820は、回転可能カムリングを担持する、キャリアフレーム、例えば、図4のキャリアフレーム418上に搭載されることができる。図8は、モータ800の展開側面(半径方向)図を示す。
【0085】
いくつかの実装では、ロータ810は、アレイの一方の側(例えば、アクティブ側)上の磁場を増強しながら、他方の対向する側(例えば、非アクティブ側)上の磁場をほぼゼロに相殺する、永久磁石の特殊な配列を有する、ハルバッハアレイを含む。ハルバッハアレイは、磁化の空間的に回転するパターンを有する。永久磁石の回転パターン(前面、左、上、右、下)は、無限に継続され、同一の効果を有することができる。配列の効果は、類似する極が触れる、相互に隣接して設置される、いくつかの馬蹄型磁石に類似し得る。
【0086】
図9は、ハルバッハアレイ900の磁場910の実施例を示す。ハルバッハアレイ900は、水平方向、すなわち、x方向に沿って延在する、永久磁石の線形アレイを含む。磁場910は、水平方向成分、例えば、x方向と、垂直方向成分(または軸方向)、例えば、y方向とを有する。矢印912は、ハルバッハアレイ900の各磁石極における磁場方向を示す。ハルバッハアレイ900の特殊な配列に起因して、磁場910は、(ハルバッハアレイ900の上部側に示されるような)ハルバッハアレイ900の他方の対向する側よりも(ハルバッハアレイ900の底部側に示されるような)ハルバッハアレイ900の一方の側上でより強い。
【0087】
より強い側(またはアクティブ側)上のハルバッハアレイ900の磁場910は、下記のように表されることができ、
B(x,y)=B+jB=Bjkx-ky=B cos(kx)e-ky+jB sin(kx)e-ky (1)
式中、Bは、磁場の大きさを表し、Bは、x方向に沿った磁場ベクトルを表し、Bは、y方向に沿った磁場ベクトルを表し、kは、波ベクトルを表す。
【0088】
電流が、電気巻線を通して流動すると、時変磁場が、発生されることができ、ハルバッハアレイ900の磁場910と相互作用し、ローレンツ力Fを発生させる。ローレンツ力Fは、下記のように表されることができ、
F=(N×i)L×B (2)
式中、Nは、電気巻線の巻数を表し、iは、電気巻線を通した電流の大きさを表し、Lは、巻線長ベクトルを表し、Bは、ハルバッハアレイ900からの磁場ベクトルを表す。
【0089】
前述で議論されるように、カムリング上に配列されるロータを回転させるために、カムリングの接線方向、すなわち、x方向に沿った力が、利用される必要がある。電気巻線が、z方向に沿って出入りする場合、ハルバッハアレイ900の磁場のy成分Bのみが、ローレンツ力Fのx成分に寄与する一方、磁場Bのx成分は、軸方向力Fに変換されるy力を作成する。したがって、磁場成分Bは、接線方向力Fを増加させるように最大限にされることができる一方、磁場成分Bは、軸方向力Fを低減させるように最小限にされることができる。
【0090】
再び図8を参照すると、ロータ810のハルバッハアレイのアクティブ側は、ステータ820の多層PCBに面するように構成される。いくつかの実施形態では、ハルバッハアレイは、接線方向(x方向)に沿って、またはカムリングの円周に沿って延在する、線形アレイである。ハルバッハアレイは、永久磁石の周期的ユニットを含む。各ユニットは、磁石極対NおよびSの列を含むことができる。図8に図示されるように、例示的磁気ユニットは、接線方向に沿った順序付けられるシーケンスにおける磁石極対の4つの列、すなわち、軸方向に沿った第1の列上の垂直なN極および垂直なS極と、軸方向に沿った第2の列上の水平なS極および水平なN極と、軸方向に沿った第3の列上の垂直なN極および垂直なN極と、軸方向に沿った第4の列上の水平なN極および水平なS極とを含む。永久磁石の他方の側よりも一方の側上により強い磁場を形成し得る他のシーケンスもまた、ロータ810において実装されることができる。隣接する列は、空気空間である、または永久磁石よりも低い剛性を有する材料を用いて充填され得る、磁気空間を有することができる。
【0091】
図10は、図8のハルバッハアレイのシミュレートされた磁場1000を示す。ハルバッハアレイの磁場は、磁場の有限要素シミュレーション、例えば、FEMM(有限要素法磁気学)を実施するためのソフトウェアツールによってシミュレートされることができる。シミュレーションでは、各磁極は、1mmの幅および1mmの高さを有するように構成され、磁石間隔は、0.1mmである。磁石等級は、N42Hである。シミュレートされた磁場1000は、図9に図示される磁場910と同様に、ハルバッハアレイが、アレイの他の非アクティブ側よりもアレイのアクティブ側上により強い磁場を発生させることを示す。
【0092】
図11Aおよび11Bは、ハルバッハアレイの水平方向、すなわち、x方向に沿ったシミュレートされた磁場1000の成分を示す。曲線1102および1112は、磁場のy成分Bを示す一方、曲線1104および1114は、磁場のx成分Bを表す。図11Aは、ハルバッハアレイのアクティブ側から0.25mmの距離における磁場を示し、図11Bは、ハルバッハアレイのアクティブ側から0.50mmの距離における磁場を示す。曲線は、磁場成分BおよびBが、90度位相外である正弦波であることを示す。磁場Bは、これがハルバッハアレイにより近接するとき、より強い。
【0093】
再び図8を参照すると、ステータ820が、単相電気巻線を有する場合、ローレンツ力Fのx成分は、下記のように表されることができ、
=iL(x)B(x)cos(kx+π/2)=iL(x)B(y)│sin(kx)│ (3)
式中、L(x)は、xに伴って変動する方形波の巻線長を表す。巻線方向は、π電気ラジアン毎に変化し、これは、LおよびBの積が、正であり、Fの極性が、電流iの極性によって決定されることを確実にする。式(3)は、力Fが非定数であり、xに伴って変動することを示す。
【0094】
ロータ810に関する一定のトルクを発生させるために、ステータ820は、少なくとも2相の電気巻線を有するように構成されることができる。例えば、π/2rad位相外である正弦波駆動電流を伴う2相(位相Aおよび位相B)電気巻線を有するステータ820に関して、力Fは、以下のように表されることができる。
=i(x)Lz-A(x)B(x)+i(x)Lz-B(x)B(x)
=2i│L│B(y)(sin(kx)+(sin(kx+π/2))=B(y)2i│L│ (4)
上記の式は、2相電気巻線を通した電流iおよびiが、例えば、磁場配向制御(FOC)によってxに伴って正弦的に変動するとき、Fが、xに伴って一定であることを示す。
【0095】
ステータ820はまた、相互に対して2π/3rad(すなわち、120度)位相外である正弦波駆動電流を伴う3層電気巻線を有するように構成されることができ、力Fは、式(4)におけるものと同一のままであり得る。例証目的のみのために、図8は、ステータ820が、2相電気巻線を有することを示す。ステータ820は、多層PCBであり、各層は、各位相の巻線を表すことができる。ステータ820は、2相巻線を通した電流の位相差が、π/2である、2相巻線を含むことができる。ステータ820は、位相Aおよび位相Bの巻線の1つ以上の対を含むことができる。例えば、図8は、ステータ820が、位相Aおよび位相Bの巻線の2つの対を伴う2相巻線を含むことを示す。
【0096】
図12は、長方形パターンを伴う位相Aおよび位相Bの電気巻線の実施例を示す。長方形巻線1200は、第1のPCB層上の位相Aの電気巻線を表し、長方形巻線1210は、第2のPCB層上の位相Bの電気巻線を表す。位相Aおよび位相Bの長方形巻線1200および1210は、π/2位相差に対応する、巻線周期の4分の1でオフセットされるように構成される。長方形巻線1200は、第1のPCB層上の巻線の間に公称間隙(例えば、空隙)1202を有し、長方形巻線1210は、第2のPCB層上の巻線の間に公称間隙(例えば、空隙)1212を有する。間隙1202および間隙1212は、同一の幅または異なる幅を有することができる。
【0097】
破線枠1204および1214は、有用な電流に寄与する領域を表す一方、半径方向(z方向)に沿った破線枠の高さは、半径方向(z方向)に沿ったロータ、例えば、図8のロータ810における永久磁石の高さに対応する。電気巻線周期に対する磁石高の比率は、巻線コイル抵抗に起因して発生される熱が、最小限にされ得るように、高くなるように構成されることができる。公称間隙1202および1212は、トルク定数Kを最大限にするように小さく保たれることができる。トルク定数(K)の2乗に対する巻線の全抵抗(Ra)の比率(Ra/K )は、コイル材料(例えば、銅)に起因するエネルギー損失を最小限にし、モータ、例えば、図8のモータ800の動作効率を最大限にするために、最小限にされることができる。
【0098】
図13Aは、環状磁束永久磁石軸方向モータ1300の別の実施例を示す。モータ1300は、図6A-6Cのアクチュエータ602として実装されることができる。図8のモータ800と比較して、モータ1300は、ロータとして永久磁石の2つのアレイ1310aおよび1310bと、ステータとして、軸方向、例えば、y方向に沿って永久磁石の2つのアレイ1310aおよび1310bの間にある、電気巻線の多層PCB1320とを含む。多層PCB1320は、2相巻線スキームとして実装されることができ、位相Bおよび位相Aの電気巻線層の交互する対を含む。層の数は、90度位相外である巻線の2つのセットに均一に分割される。ロータ位置に伴って正弦的に変動する駆動電流を実装する、磁場配向制御を実装する駆動スキームを前提として、平坦なトルク出力が、達成されることができる。多層PCB1320はまた、3相巻線スキームであるように構成されることができ、PCBにおける層の数は、3(または6)の整数倍であり、異なる巻線は、相互に120度位相外で配策される。
【0099】
多層PCB1320は、永久磁石の2つのセット1310aおよび1310bの間に中心合わせされるため、2つのセット1310aおよび1310bの磁場の磁場成分は、PCB1320の中心を中心として軸方向(すなわち、y方向)に沿って対称であり得、これは、好適な駆動スキームを用いて一定のトルク出力を生成するように、各巻線位相が厳密に同一のロータ依存性トルク定数を有することを可能にする。また、より強く、より均一な磁束密度が、モータ1300において達成されることができる。故に、モータ1300のトルク定数は、増加されることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、永久磁石の第1のアレイ1310aは、ハルバッハアレイ、例えば、図8のロータ810のハルバッハアレイを含む。第1のアレイ1310aは、アレイの一方の側上の磁場を増強しながら、他方の側上の磁場をほぼゼロに相殺する、永久磁石の特殊な配列を有する。第1のアレイ1310aは、多層PCB1320の一方の側、例えば、多層PCB1320の最初の層に面するより強い側を伴って配列される。いくつかの実施形態では、第1のアレイ1310aは、接線方向に沿って延在する、周期的磁石ユニットを含む、線形ハルバッハアレイである。各磁石ユニットは、接線方向に沿った順序付けられるシーケンスを伴う磁石極対の4つの列、すなわち、第1の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なN極および垂直なS極と、第2の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なS極および水平なN極と、第3の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なS極および垂直なN極と、第4の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なN極および水平なS極とを含むことができる。隣接する列は、磁気空間を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、永久磁石の第2のアレイ1310bもまた、アレイの一方の側上の磁場を増強しながら、他方の側上の磁場をほぼゼロに相殺する、永久磁石の特殊な配列を有する、ハルバッハアレイであり得る。第2のアレイ1310bは、多層PCB1320の他方の側、例えば、多層PCB1320の最後の層に面する、磁場のより強い側を有するように構成される。いくつかの実施形態では、第2のアレイ1310bは、接線方向に沿って延在する、周期的磁石ユニットを含む、線形ハルバッハアレイである。各磁石ユニットは、接線方向に沿った順序付けられるシーケンスを伴う磁石極対の4つの列、すなわち、第1の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なN極および垂直なS極と、第2の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なN極および水平なS極と、第3の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なS極および垂直なN極と、第4の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なS極および水平なN極とを含むことができる。隣接する列は、磁気空間を有する。
【0102】
図13Aに図示されるように、第2のアレイ1310bは、第2のアレイ1310bのより強い側が、第2のアレイ1310bのハルバッハアレイの左側にあり、第1のアレイ1310aのより強い側が、第1のアレイ1310aのハルバッハアレイの右側にあるように、第2の列および第4の列が反対の磁石極を有する、第1のアレイ1310aと異なる配列を有する。
【0103】
図13Bは、図13Aのモータ1300の配列の概略図を示す。永久磁石の2つのアレイ1310aおよび1310bは、カムリング1302上に搭載されることができる。カムリング1302は、陥凹の両側上に永久磁石の2つのセット1310aおよび1310bを伴う陥凹を含むことができ、多層PCB1320は、陥凹の中に挿入され、カムリング1302の外部にあるキャリアフレーム1304上に搭載されることができる。いくつかの実施形態では、カムリング1302は、いかなる陥凹も有しておらず、カムリング1302の円周上に搭載される永久磁石の2つのセット1310aおよび1310は、その間に間隙を形成することができ、キャリアフレーム1304上に搭載される多層PCB1320は、間隙の中に挿入されることができる。多層PCB1320は、半径方向に沿って永久磁石のアレイ1310aおよび1310bと実質的に同一の高さ(半径方向に沿った)を有することができる。
【0104】
特定の実施形態では、図13Aに図示されるように、各磁極NまたはSは、x方向に沿った1.0mmの長さと、y方向に沿った0.5mmの幅とを有する。したがって、永久磁石の各アレイは、y方向に沿って1mmの幅を有する。多層PCB1320は、y方向に沿って1.6mmの合計幅を有する。PCB1320は、交互する位相Aおよび位相Bの印刷された電気巻線層の2つの対を含むことができる。多層PCB1320と永久磁石の各アレイ1310a、1310bとの間の公称間隙は、y方向に沿って約0.2mmである。カムリング1302の厚さは、4mm以上であり得る。永久磁石のアレイにおける隣接する列の間の磁気空間は、0.25mmであり得る。磁石等級は、N42Hであり得る。
【0105】
図14は、図13Aにおけるものと同一の相互から離間される永久磁石の2つのセット1310aおよび1310bのシミュレートされた磁場1400を示す。磁場1400は、磁場の有限要素シミュレーション、例えば、FEMM(有限要素法磁気学)を実施するためのソフトウェアツールによってシミュレートされることができる。シミュレーションでは、特定の実施形態に説明されるように、永久磁石の各セットは、1.0mmの長さおよび1.0mmの幅を有する。磁石間隔は、0.25mmである。磁石等級は、N42Hである。シミュレートされた磁場1400は、2つのハルバッハアレイが、ハルバッハアレイのアクティブ側(内側)においてより強い磁場を発生させ、ハルバッハアレイの他の非アクティブ側(外側)上ではるかに弱い磁場を発生させることを示す。
【0106】
図15A-Cは、垂直(軸)方向、すなわち、y方向に沿った異なる距離における、2つのハルバッハアレイの水平方向、すなわち、x方向に沿ったシミュレートされた磁場1400の成分を示す。曲線1502、1512、および1522は、磁場1400のy成分Bを示す一方、曲線1504、1514、および1524は、磁場1400のx成分Bを表す。図15Aは、永久磁石の第1のアレイ1310aから0.2mmの距離における、すなわち、PCB1320の第1の側の縁上の磁場を示す。図15Bは、軸方向に沿った第1のアレイ1310aから1.80mmの距離または第2のアレイ1310bから0.2mmの距離における、すなわち、PCB1320の第2の側の縁上の磁場を示す。図15Cは、第1のアレイ1310aから1.00mmの距離における、すなわち、PCB1320の中心における磁場を示す。曲線は、磁場成分BおよびBが、90度位相外である正弦波であることを示す。磁場1400は、PCB1320の中心を中心として対称である。磁場成分Bは、磁場が、PCB1320の中心により近接するとき、磁場成分Bよりも有意に速く減衰する。故に、合計蓄積磁場は、x成分Bよりもはるかに強いy成分Bを有する。上記のように、磁場成分Bは、カムリングを回転させ得るローレンツ力Fに寄与することができる。
【0107】
図16Aおよび16Bは、図13Aの多層PCB1320上の印刷された電気巻線の巻線パターンの実施例を示す。巻線は、長方形パターン(図16A)または三角形パターン(図16B)のいずれかを使用して設計されることができる。半径方向(z方向)に沿ったトレースコンポーネントのみが、有用なトルクを生成し得ることに留意されたい。円周方向(x方向)に沿ったトレースコンポーネントは、有用なトルクに寄与せず、巻線抵抗を増加させ、熱を放散し、モータ1300の効率を低減させ得る。数学モデルおよびシミュレーションが、磁石間隔、磁石幅(円周方向)、磁石高(半径方向)、および三角形巻線角度(β)を含む、複数の設計変数に関して2つのタイプの巻線(図16Aの長方形巻線および図16Bの三角形巻線)の巻線設計を最適化するために開発されることができる。
【0108】
例えば、図16Aでは、長方形巻線は、以下の性質を有することができ、
turn=floor[(λ/2)/(Wtrace+Strace)] (5)、
Lz=2Nturn(HPCB-λ/2) (6)、および
total=λNturn (7)、
式中、λは、巻線周期を表し、Nturnは、巻線周期における電気巻線の巻数を表し、Lは、z方向に沿った巻線長(または巻線周期あたりまたは極対あたりの有効長)を表し、Wtraceは、巻線トレースの幅を表し、Straceは、巻線トレースの間の間隔を表し、HPCBは、z方向に沿ったPCB基板の高さを表す。
【0109】
例えば、図16Bでは、三角形巻線は、以下の性質を有することができ、
turn=floor[(HPCB-λ/2×tan(β))/(Wtrace+Strace)](8)、
Lz=2Nturn(λ/2)×tan(β) (9)、および
total=2Nturn(λ/2)/cos(β)(10)、
式中、βは、三角形巻線角度を表す。
【0110】
有効比率L/Ltotalが、上記の式に基づいて決定されることができる。有効比率が、高くなるほど、巻線は、より電気的に効率的になる。図16Bにおいて構成される三角形巻線は、図16Aにおいて構成される長方形巻線よりも大きい有効比率L/Ltotalを有することができる。加えて、式(4)が示すように、ローレンツ力Fは、有効巻線長Lに比例する。有効巻線長Lが、大きくなるほど、力Fは、大きくなる。したがって、有効比率L/Ltotalおよび有効巻線長Lの両方が、電気巻線を設計するために考慮されることができる。
【0111】
図17Aは、長方形巻線1600に関する巻線周期λと極対あたりの有効長Lおよび有効比率L/Ltotalとの間の個別の関係を示す。曲線1702は、巻線周期と極対あたりの有効長との間の関係を示す。これは、巻線周期が、約5mmであるとき、極対あたりの最大有効長が、約60mmであるように達成され得ることを示す。曲線1704は、有効比率が、巻線周期に反比例することを示す。巻線周期が、約5mmであるとき、有効比率は、約0.5である。
【0112】
図17Bは、巻線周期λが5mmであるときの三角形巻線1610に関する巻線角度βと極対あたりの有効長および有効比率L/Ltotalとの間の個別の関係を示す。曲線1712は、巻線角度と極対あたりの有効長との間の関係を示す。これは、巻線角度が、45°であるとき、極対あたりの最大有効長が、約55mmであるように達成され得ることを示す。曲線1714は、有効比率が、巻線角度に伴って増加することを示す。巻線角度が、45°であるとき、有効比率は、約0.7である。したがって、長方形巻線1600と比較して、三角形巻線1610は、わずかにより少ない有効長を有するが、より高い有効比率を有することができる。PCB高HPCBは、モータの形状因子の考慮に起因して限定され得るため、三角形巻線1610は、長方形巻線1600よりも全体的に良好な性能を有することができる。
【0113】
完全に円形のステータにおいて複数の巻線を配策することは、簡単であり得る。しかしながら、有限の弧長に沿って複数の巻線を配策することは、困難であり得る。図18は、1つの位相を有する電気巻線、例えば、図13Aの位相Aの巻線層または位相Bの巻線層を形成するために、2つの層を単一の層に組み合わせることを伴う配策スキーム1800を示す。配策スキームは、PCBによって消費される過剰な円周を限定するために、ベリードビアを用いて実装されることができる。配策スキーム1800は、限定された弧長上に巻線を形成することができる。
【0114】
図18に図示されるように、例えば、銅材料から作製される、電気ワイヤ1810は、第1の層上の入力ポート1801から開始され、第1の層上の第1の経路に沿って第1のビア1802まで延在する。第1のビア1802を通して、ワイヤ1810は、第2の層に進み、第2の層上の第2の経路に沿って第2のビア1803まで延在する。第1の層および第2の層は、付加的層によって分離されることができる。第2の経路および第1の経路は、巻線周期の4分の1だけオフセットされることができる。第2のビア1803を通して、ワイヤ1810は、第1の層に戻るように進み、第1の層上の第3の経路に沿って第3のビア1804まで延在する。第3のビア1804を通して、ワイヤ1810は、第2の層に進み、第2の層上の第4の経路に沿って第4のビア1805まで延在する。第4のビア1805を通して、ワイヤ1810は、第1の層に進み、第1の層上の第5の経路に沿って第5のビア1806まで延在する。第5のビア1806を通して、ワイヤ1810は、第2の層に進み、第2の層上の第6の経路に沿って第2の層上の出力ポート1807まで延在する。第1の経路、第3の経路、および第5の経路は、類似する形状を有し、第1、第3、および第5の経路に沿って延在するワイヤ1810は、第1の層上に第1の巻線1820Aを形成する。第2の経路、第4の経路、および第6の経路は、類似する形状を有し、第2、第4、および第6の経路に沿って延在するワイヤ1810は、第2の層上に第2の巻線1820Bを形成する。第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bはそれぞれ、長方形巻線、例えば、図16Aの長方形巻線1600または三角形巻線、例えば、図16Bの三角形巻線1610であるように構成されることができる。例証目的のみのために、図18は、第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bがそれぞれ、長方形巻線であることを示す。
【0115】
駆動電流が、第1の層上の入力ポート1801からワイヤ1810の中に、そして第2の層上の出力ポート1807から外に流動することができる。第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bは、単相巻線1820、例えば、図13Aの位相Aの巻線または位相Bの巻線を形成する。例えば、多層PCB1320では、第1の巻線1820Aは、PCBの第2の層上にあり得、第2の巻線1820Bは、PCBの第3の層上にあり得、第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bは、位相Bの巻線を形成することができる。同様に、PCBの第2の層上の巻線およびPCBの第4の層上の巻線は、位相Aの巻線を形成することができる。位相Aおよび位相Bの電気巻線に関する駆動電流は、ステータが、ロータと相互作用し、x方向に沿って一定の力を発生させ得るように、π/2rad位相外である正弦波電流であり得る。
【0116】
第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bはそれぞれ、ロータ、例えば、図13Aの永久磁石の2つのアレイ1310aおよび1310bを含むロータのx方向に沿った磁場Bの分布1850に対応するように配列されることができる。分布1850は、第1の巻線1820Aおよび第2の巻線1820Bのそれぞれの巻線周期と同じ磁気周期を伴う正弦曲線である。図18に図示されるように、磁気周期は、正の磁場(N)および負の磁場(S)に対応する。
【0117】
いくつかの実施形態では、ステータ1320は、以下のパラメータを伴う2相システムステータであるように設計されることができ、すなわち、カムリング1302上で使用される合計弧角度は、180度であり、PCB層カウントは、16であり、PCB環状/半径方向高は、5mmであり、巻線トレース幅および間隔は、それぞれ、100μmおよび100μmであり、トレース厚は、2oz Cu pour(2.8mil)であり、円周方向(x方向)に沿った磁石幅は、1mmであり、磁石間隔は、0.25mmであり、磁気等級は、NdFeB N42Hであり、平均正弦波軸方向磁束密度振幅は、0.5Tであり、巻線タイプは、45度の巻線角度を伴う三角形である。
【0118】
磁束密度は、例えば、FEMMにおいてシミュレートされることができ、モータの性能は、数値シミュレーションにおいて導出されることができる。トルク定数形状は、予期される結果と合致することができ、位相あたりのモータ性能が、計算されることができる。例えば、トルク定数Kは、80mNm/Aであり得、ハルバッハアレイの極対カウントは、12であり得、電気的速度は、機械的速度の12倍であり得、位相あたりのトレース抵抗は、32.6オームであり得る。トルク負荷および作動速度を前提とするモータの平均効率は、約5.9%であり得る。効率を最大限にするために、モータのギヤ比およびモータのトルク定数は、最大限にされることができる。
【0119】
ドライバ源は、以下の特性を有することができ、
max=Tmax/K (11)
max=welectrical-max(K)+Imaxphase (12)
式中、トルク定数Kおよび速度定数Kは、永久磁石ロータに関して同一であり、Tmaxは、最大トルクを表し、welectrical-maxは、最大角速度を表し、Rphaseは、位相あたりのトレース抵抗を表す。上記のパラメータでは、Imaxは、250mAであり得、Vmaxは、9Vであり得る。また、ロータの永久磁石のアレイは、約3.6gの重量を有し、磁石極カウントは、96であり、磁石材料密度は、7.5mg/mmであり得る。
【0120】
トルク定数を導出するための3つの方法が、存在し得る。第1の方法では、ワイヤ毎のローレンツ力が、算出および合計され、次いで、0~2πのロータ角度が、変量を得るために変動される。第2の方法では、ファラデーの法則を介した巻線における誘導電圧が、ロータを固定速度で移動させることによって算出される。トルク定数Kおよび速度定数Kは、同一であり、したがって、速度定数Kは、トルク定数Kを導出するために使用されることができる。第3の方法では、各巻の磁束鎖交数(巻面積にわたる磁束密度の積分)対ロータ角度が、算出および合計され、次いで、ロータ角度に対する磁束鎖交数の導関数が、トルク定数を得るためにとられることができる。第3の方法は、第2の方法と同等であり得る。
(例示的プロセス)
【0121】
図19は、アクチュエータとして環状軸方向磁束モータを使用してシステムを動作させるプロセス1900の実施例を図示する、フロー図である。本システムは、液体レンズアセンブリ、例えば、図3A-3Bの液体レンズアセンブリ300または図4の402、可変焦点アセンブリ、例えば、図2のILA210またはOLA220、図1の光学要素120における可変焦点アセンブリ、または図4の可変焦点アセンブリ400であり得る。環状軸方向磁束モータは、図13A-13Bのモータ1300であり得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、環状軸方向磁束モータは、キャリアフレームの第1の環状小区分上に搭載される、ステータと、キャリアフレームの内部のカムリングの第2の環状小区分上に搭載される、ロータとを含む。キャリアフレームの第1の環状小区分は、ステータが、ロータと相互作用し得るように、第2の環状小区分に対応する。カムリングは、キャリアフレームに対して回転可能である。カムリングは、非強磁性材料から作製されることができる。
【0123】
ステータは、印刷回路基板(PCB)の複数の層上に印刷される、多相(2相、3相、またはより多くの位相)電気巻線を含む。印刷された電気巻線は、第1の環状小区分の円周方向に沿って延在する。複数の層は、第1の環状小区分の軸方向に沿って相互とスタックされる。ステータの各位相の電気巻線は、ステータが、一定のトルクを発生させ、ロータを駆動するように構成されるように、同一のロータ依存性トルク定数を有するように構成されることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ステータは、2相電気巻線を含む。2相電気巻線は、同一の巻線パターンを有し、巻線周期の4分の1だけオフセットされることができる。巻線パターンは、長方形パターンまたは三角形パターン(例えば、45度の三角形巻線角度を伴う)であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、複数の層はそれぞれ、個別の位相の電気巻線に対応し、異なる位相を伴う個別の位相の電気巻線は、複数の層において交互する。
【0126】
いくつかの実施形態では、印刷された電気巻線の複数の層は、軸方向に沿ってともに順次にスタックされる、第1の層と、第2の層と、第3の層と、第4の層とを備え、第1の層および第3の層上の印刷された電気巻線は、第1相電気巻線になるように第1の連続ワイヤによって形成され、第2の層および第4の層上の印刷された電気巻線は、第2相電気巻線になるように第2の連続ワイヤによって形成される。
【0127】
特定の実施形態では、第1のワイヤは、第1の層の入力ポートから開始し、第1の層上の第1の経路に沿って第1のビアまで延在するように印刷され、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第2の経路に沿って第2のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第1の層に戻るように進み、第1の層上の第3の経路に沿って第3のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第4の経路に沿って第4のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第1の層に進み、第1の層上の第5の経路に沿って第5のビアまで延在し、それを通して、第1のワイヤは、第3の層に進み、第3の層上の第6の経路に沿って第3の層の出力ポートまで延在する。第1の経路、第3の経路、および第5の経路に沿って延在する第1のワイヤは、第1の層上に第1の電気巻線を形成し、第2の経路、第4の経路、および第6の経路に沿って延在する第1のワイヤは、第3の層上に第2の電気巻線を形成し、第1の電気巻線および第2の電気巻線は、第1相電気巻線を形成する。第1の電気巻線および第2の電気巻線は、巻線周期の4分の1だけオフセットされる、同一の巻線パターンを有し、第1のビア、第3のビア、および第5のビアは、相互に隣接する一方、第2のビアおよび第4のビアは、相互に隣接する。
【0128】
ロータは、カムリングの第2の環状小区分上に搭載される、永久磁石のアレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、ロータは、第2の環状小区分上に搭載され、第2の環状小区分の軸方向に沿って相互から離間される、2つのハルバッハアレイを含む。ハルバッハアレイはそれぞれ、軸方向に対してハルバッハアレイの非アクティブな対向する側よりもハルバッハアレイのアクティブ側上により強い磁場を有するように構成される。ハルバッハアレイの非アクティブ側の磁場は、ほぼゼロと同じである。
【0129】
いくつかの実施形態では、印刷された電気巻線の複数の層は、軸方向に沿ってロータの2つのハルバッハアレイの間に挿入され、ハルバッハアレイのアクティブ側は、複数の層の対向する側に面し、公称間隙を伴って離間される。公称間隙は、軸方向に沿って同一の幅を有することができる。2つのハルバッハアレイは、軸方向に沿ってPCBの複数の層の中心に対して対称磁場を発生させるように構成され、軸方向に沿った磁場の軸方向成分は、第2の環状小区分の接線方向に沿った磁場の接線方向成分よりも実質的に大きい。
【0130】
2つのハルバッハアレイは、磁極の異なる配列を有することができ、印刷された電気巻線の複数の層の対向する側に面するアクティブ側を有するように構成される。ハルバッハアレイはそれぞれ、円周方向に沿って第2の環状小区分上に配列される、永久磁石の周期的ユニットを含むことができる。周期的ユニットはそれぞれ、磁石極対の列を含むことができる。隣接する列は、円周方向に沿った磁気空間を伴って相互から分離されることができ、各磁石極対は、N極と、S極とを含むことができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、第1のハルバッハアレイでは、周期的ユニットはそれぞれ、軸方向に沿って垂直に、かつ順次にスタックされる、N極と、S極とを有する、第1の列と、円周方向に沿って水平に、かつ順次にスタックされる、S極と、N極とを有する、第2の列と、軸方向に沿って垂直に、かつ順次にスタックされる、S極と、N極とを有する、第3の列と、円周方向に沿って水平に、かつ順次にスタックされる、N極と、S極とを有する、第4の列とを有する、磁石極対の4つの列を含む。
【0132】
第2のハルバッハアレイは、第1のハルバッハアレイと異なる配列を有する。第2のハルバッハアレイにおける周期的ユニットはそれぞれ、第1の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なN極および垂直なS極と、第2の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なN極および水平なS極と、第3の列上の軸方向に沿って順次にスタックされる、垂直なS極および垂直なN極と、第4の列上の接線方向に沿って順次にスタックされる、水平なS極および水平なN極とを有する、磁石極対の4つの列を含むことができる。
【0133】
ステータの電気巻線は、半径方向に沿った永久磁石のハルバッハアレイの高さと実質的に同一である構造の半径方向に沿った高さを有することができる。電気巻線は、電気巻線の巻線周期が、ロータの磁場の磁気周期に対応するように構成されることができる。
【0134】
1902において、個別の駆動電流が、ステータの異なる位相の電気巻線の中に入力される。個別の駆動電流は、相互に対して所定の程度を伴う位相差を有する。例えば、2相電気巻線に関して、駆動電流は、π/2の位相差を伴う正弦波電流であり、3相電気巻線に関して、駆動電流は、2π/3の位相差を伴う正弦波電流である。
【0135】
いくつかの実施形態では、ロータは、ロータの磁極対の位置に対応する正弦波形状を有する磁場を発生させ、ステータは、ロータの磁石極対の位置に対応して変動する正弦波電流によって駆動される。
【0136】
1904において、カムリングの第2の環状小区分上に搭載されるロータは、カムリングの軸を中心として有限の進行範囲で回転するように駆動される。駆動電流を入力された電気巻線は、時変磁場を発生させることができ、これは、ロータの磁場と相互作用し、ローレンツ力を発生させることができる。特に、第2の環状小区分の軸方向に沿った磁場の軸方向成分は、第2の環状小区分の接線方向に沿ったローレンツ力に寄与することができ、これは、カムリングを伴うロータの回転運動を引き起こすことができる。
【0137】
1906において、カムリングに結合されるシェーパリングが、カムリングの回転運動による軸方向に沿った軸方向運動を伴って移動される。シェーパリングは、カムリングの内部にあり得る。シェーパリングの機械的特徴は、カムリングの回転運動が、シェーパリングの軸方向運動をもたらすように、カムリングの機械的特徴と係合されることができる。
【0138】
1908において、シェーパリングに結合される可撓性レンズ膜の曲率が、シェーパリングの軸方向運動によって変化する。可撓性レンズ膜およびシェーパリングは、液体レンズアセンブリ内に含まれることができる。液体レンズアセンブリは、シェーパリングと、可撓性レンズ膜と、屈折コンポーネントと、可撓性環状膜との間にカプセル化される、非圧縮性流体を含むことができる。シェーパリングが、屈折コンポーネントに向かって軸方向運動を伴って軸方向に移動されるとき、非圧縮性流体は、可撓性レンズ膜に向かって押動され、曲率変化を引き起こす。
【0139】
本開示の種々の例示的実施形態が、本明細書に説明される。これらの実施例が、非限定的意味で参照される。それらは、本開示のより広範に適用可能な側面を例証するために提供される。種々の変更が、説明される本開示に行われてもよく、均等物が、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく代用されてもよい。加えて、多くの修正が、特定の状況、材料、物質の組成物、プロセス、プロセス行為、またはステップを本開示の目的、精神、または範囲に適合させるために行われてもよい。さらに、当業者によって理解されるであろうように、本明細書に説明および例証される個々の変形例はそれぞれ、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれと組み合わせられ得る、離散的コンポーネントおよび特徴を有する。全てのそのような修正は、本開示と関連付けられる請求項の範囲内であることを意図している。
【0140】
本開示は、本主題のデバイスを使用して実施され得る方法を含む。本方法は、そのような好適なデバイスを提供する行為を含んでもよい。そのような提供は、エンドユーザによって実施されてもよい。言い換えると、「提供する」行為は、エンドユーザが、本主題の方法において必須のデバイスを提供するために取得する、それにアクセスする、それに接近する、それを位置付ける、それを設定する、それをアクティブ化する、それを電源投入する、または別様に作用し得る1つ以上のステップを含んでもよい。本明細書に列挙される方法は、論理的に可能である列挙される事象の任意の順序で、および事象の列挙される順序で実行されてもよい。
【0141】
本開示の例示的側面が、材料選択および製造に関する詳細とともに、上記に説明された。本開示の他の詳細に関して、これらは、上記に参照される特許および刊行物に関連して理解され、加えて、概して、当業者によって把握または理解され得る。同じことが、一般的または論理的に採用されるような付加的行為の観点から、本開示の方法ベースの側面に関して当てはまり得る。
【0142】
加えて、本開示は、随意に、種々の特徴を組み込む、いくつかの実施例を参照して説明されたが、本開示は、本開示の各変形例に関して想定されるものとして説明される、または示されるものに限定されるものではない。種々の変更が、説明される本開示に行われてもよく、均等物(本明細書に列挙されるか、またはある程度の簡潔性のために含まれないかにかかわらず)が、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく代用されてもよい。加えて、値の範囲が、提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在する値およびその記載される範囲内の任意の他の記載される、または介在する値が、本開示内に包含されることを理解されたい。
【0143】
また、説明される発明的変形例の任意の随意の特徴が、独立して、または本明細書に説明される特徴のうちのいずれか1つ以上のものと組み合わせて記載および請求され得ることが想定される。単数のアイテムの言及は、複数の同一のアイテムが存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および本明細書に関連付けられる請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」、「該(said)」、および「the」は、別様に具体的に記載されない限り、複数指示物を含む。言い換えると、冠詞の使用は、上記の説明および本開示と関連付けられる請求項における本主題のアイテムの「少なくとも1つ」を可能にする。そのような請求項が、任意の随意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、本文言は、請求項要素の列挙に関連する「単に」、「のみ」、および同等物等の排他的専門用語の使用または「否定的」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことを意図している。そのような排他的専門用語の使用を伴わないと、本開示と関連付けられる請求項における用語「~を備える」は、所与の数の要素がそのような請求項に列挙されているかどうか、または特徴の追加がそのような請求項に記載される要素の性質を変換するものと見なされ得るかどうかにかかわらず、任意の付加的要素の包含を可能にするものとする。本明細書に具体的に定義される場合を除いて、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、請求項の有効性を維持しながら、可能な限り広範な一般的に理解される意味を与えられるものである。
【0144】
本開示の範疇は、提供される実施例および/または本主題の明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示と関連付けられる請求項言語の範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15-1】
図15-2】
図16A
図16B
図17
図18
図19