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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】発光装置、および、美顔器
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20240222BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20240222BHJP
   F21S 6/00 20060101ALI20240222BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20240222BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20240222BHJP
【FI】
F21V33/00 400
A61N5/06 Z
F21S6/00 402
H05B45/10
H05B47/125
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021570062
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2021000167
(87)【国際公開番号】W WO2021141036
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2020002111
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池原 正博
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 昌臣
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸満
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081677(JP,A)
【文献】特開2008-016289(JP,A)
【文献】特開2017-208664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
A61N 5/06
F21S 6/00
H05B 45/10
H05B 47/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
ユーザの顔の位置を検出する顔検出部と、
前記発光部の光度を制御する光度制御部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記光度の初期値を取得する初期光度取得部と、
前記顔検出部から前記顔の位置を随時取得する顔状態取得部と、
前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記光度の初期値から前記顔の照度を一定にするための調整光度を算出する光度算出部と、
前記発光部の光度を、前記調整光度に調整するように前記光度制御部に指示する光度指示部と、
を備える
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記顔検出部は、さらに前記ユーザの顔の向きを検出し、
前記顔状態取得部は、前記顔検出部から、さらに前記顔の向きを随時取得し、
前記光度算出部は、前記顔の位置および向きの初期値と、前記顔の位置および向きの現在値とに応じて、前記光度の初期値から前記調整光度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光部を回動させる、互いに平行ではない2本の回転軸をさらに備え、
前記制御部は、
前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記発光部の光軸が前記ユーザの顔に向くように、前記回転軸を駆動させる駆動制御部をさらに備え、
前記光度算出部は、前記駆動制御部が前記回転軸を駆動させた後の前記現在値に応じて、前記調整光度を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光部を回動させる、1本の回転軸をさらに備え、
前記制御部は、
前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記発光部の光軸が前記ユーザの顔に近付くように、前記回転軸を駆動させる駆動制御部をさらに備え、
前記光度算出部は、前記駆動制御部が前記回転軸を駆動させた後の前記現在値に応じて、前記調整光度を算出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記発光部の回動を検出した場合、間接照明モードへの切り替え、または、当該発光装置の電源オフを行う、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項の発光装置を備えることを特徴とする美顔器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、および、美顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を顔に当てる美顔器が開発されている。美顔器を用いて、LED光照射の効果を得るためには、決して短くない時間(例えば、10分以上の間)光を浴び続ける必要がある。ただし、それだけの時間、ユーザがじっとして動かないでいることは困難であり、LED光照射中にユーザが姿勢を変えることが多かった。
【0003】
なお、特許文献1には、魅力的でない特徴を識別し、美容の改善を行うために、人体のエリアをスキャンするシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特表2009-504272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような美顔器は、光源の光度が変わらないので、LED光照射中にユーザが姿勢を変えると、ユーザの顔の照度が変化するという問題がある。
【0006】
また、上述のような美顔器は、光源の光度が変わらず、かつ、光の照射方向が変わらないので、LED光照射中にユーザが姿勢を大きく変えると、当該ユーザの背後にいる別の人に同じ光度の光が当たってしまい、当該別の人の迷惑になるという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記を鑑みてなされた美顔器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発光装置は、発光部と、ユーザの顔の位置を検出する顔検出部と、前記発光部の光度を制御する光度制御部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記光度の初期値を取得する初期光度取得部と、前記顔検出部から前記顔の位置を随時取得する顔状態取得部と、前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記光度の初期値から前記顔の照度を一定にするための調整光度を算出する光度算出部と、前記発光部の光度を、前記調整光度に調整するように前記光度制御部に指示する光度指示部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザの顔の位置が変化しても、当該顔の照度を一定にするができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る美顔器1の外観を示す前方斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る美顔器1の側断面を示す図、および、美顔器1の外観を示す後方斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る回転台24の底部241を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る美顔器1の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態1に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態3に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態5に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、詳細に説明する。
【0012】
(美顔器1の外観)
図1は、本実施形態に係る美顔器1の外観を示す前方斜視図である。図2は、本実施形態に係る美顔器1の側断面を示す図、および、美顔器1の外観を示す後方斜視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、美顔器1は、全体の構造として、基部21と、アーム部22と、平板部23と、回転台24とを備えている。基部21は、美顔器1のベースになる部分であり、鉛直上方から見ると、略半円状である。アーム部22は、基部21の前部の左右両側から斜め後方に延設された2本の腕状の部分である。平板部23は、水平回転軸(回転軸)17を中心に回動可能に設けられた平板状の部分である。水平回転軸17は、アーム部22の両上端部間に軸架されている。回転台24は、基部21の下側に設けられ、回転台24の中心から鉛直上方向に垂直回転軸(回転軸)20が設けられる。回転台24は、鉛直上方から見ると、略半円状である。基部21は、回転台24の上側に、垂直回転軸20を中心に回動可能に設けられる。
【0014】
なお、水平回転軸17および垂直回転軸20は、各軸を中心に、LED(発光部)14を含む平板部23を回動させるものである。より詳しくは、水平回転軸17は、水平回転軸17を含む平板部23を回動させるものである。垂直回転軸20は、基部21と、アーム部22とを回動させるものである。基部21と、アーム部22とを回動させることにより、アーム部22に軸架されている平板部23も垂直回転軸20を中心に回動する。なお、2本の回転軸は、必ずしも互いに垂直でなくてもよく、少なくとも互いに平行でなければよい。これにより、LED14の光軸をユーザの顔の中心に向けることができる。
【0015】
図1に示すように、複数のLED14が、平板部23の一方の面である出射面231に配設されている。各LED14の発光が出射面231の法線方向に出射するように、各LED14が設置される。
【0016】
図3は、本実施形態に係る回転台24の底部241を示す図である。図3に示すように、回転台24には、回転部242が垂直回転軸20を中心に回転可能に設けられる。回転部242の上部には、基部21が固定される。これにより、基部21は、垂直回転軸20を中心に回動可能になる。
【0017】
(美顔器1の構成)
図4は、本実施形態に係る美顔器1の構成を示すブロック図である。美顔器1は、発光装置100を備えている。
【0018】
図4に示すように、美顔器1は、発光装置100として、顔検出部11、制御部12、電流制御部(光度制御部)13、LED14、水平回転検出部15、水平回転駆動部16、水平回転軸17、垂直回転検出部18、垂直回転駆動部19、垂直回転軸20、および、記憶部31を備えている。
【0019】
顔検出部11は、物体位置センサと、撮像部と、画像処理部とを備えており、ユーザの顔の位置および向きを検出し、制御部12に出力する。制御部12は、美顔器1全体を制御する部分であり、例えば、CPUなどである。電流制御部13は、LED14の光度を制御する部分であり、具体的には、LED14に流す電流の大きさ(電流値)を制御する。LED14は、上述の通りである。
【0020】
水平回転検出部15は、水平回転軸17の回転角を検出して、制御部12に出力する部分であり、例えば、角度センサなどである。水平回転駆動部16は、制御部12の指示に従って水平回転軸17を回転させる部分であり、例えば、モータなどである。水平回転軸17は、上述の通りである。垂直回転検出部18は、垂直回転軸20の回転角を検出して、制御部12に出力する部分であり、例えば、角度センサなどである。垂直回転駆動部19は、制御部12の指示に従って垂直回転軸20を回転させる部分であり、例えば、モータなどである。垂直回転軸20は、上述の通りである。記憶部31は、制御部12の指示に従ってデータの記憶、読み出しを行う。
【0021】
図4に示すように、制御部12は、機能ブロックとして、初期光度取得部121、顔状態取得部122、光度算出部123、光度指示部124、および、駆動制御部125を備えている。
【0022】
初期光度取得部121は、ユーザが美顔器1の電源を入れて最初に顔にLED光を照射した状態(初期状態)の、LED14の光度の初期値を取得する。この光度の初期値が、ユーザの顔の位置および向きが初期状態から変化した場合に、LED14の光度を調整する際の基準値になる。顔状態取得部122は、顔検出部11からユーザの顔の位置および向きを随時取得する。光度算出部123は、ユーザの顔の位置および向きの初期値と、当該ユーザの顔の位置および向きの現在値とに応じて、初期光度取得部121が取得した光度の初期値から、当該ユーザの顔の照度を一定にするための調整光度を算出する。
【0023】
光度指示部124は、LED14の光度を、光度算出部123が算出した調整光度に調整するように電流制御部13に指示する。駆動制御部125は、ユーザの顔の位置の初期値と、当該ユーザの顔の位置の現在値とに応じて、LED14の光軸が当該ユーザの顔の中心に向くように、水平回転軸17および垂直回転軸20を駆動させる。
【0024】
(美顔器1の処理)
図5は、本実施形態に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置および向きを検出可能であり、かつ、出射面231を2軸により回転させ、LED14の光軸がユーザの顔の中心を向くことが可能な場合の処理である。
【0025】
このとき、以下のように座標軸を定義する。すなわち、原点は出射面231の中心であり、互いに直交するx軸、y軸、および、z軸を用いて、顔の中心位置の座標を特定する。出射面231の中心から光が出射される方向(出射面231の法線方向)をz軸とする。これは、LED14の光軸と同じである。
【0026】
以下、美顔器1において、制御部12の各機能ブロックが行う処理について説明する。
【0027】
(ステップS501)
まず、制御部12の初期光度取得部121は、初期状態におけるLED14の光度、すなわち、LED14の光度の初期値Lを取得し、当該初期値Lを記憶部31に記憶させる。初期光度取得部121は、例えば、電流制御部13からLED14に流す電流の大きさを取得し、その電流値から、対応するLED14の光度を算出する。
【0028】
(ステップS502)
次に、顔状態取得部122は、初期状態におけるユーザの顔の位置および向き、すなわち、ユーザの顔の位置の初期値(X、Y、Z)および向きの初期値φを取得する。顔の位置(X、Y、Z)は、LED14の光軸をz軸とする、x座標、y座標、および、z座標で示される。ここで、初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。顔の向きは、顔を平面とした場合の当該平面の法線方向と、LED14の光軸方向とがなす角度であり、顔の向きの初期値φは0とする。すなわち、初期状態において、ユーザの顔は、出射面231からのLED光を真正面から受けているものとする。
【0029】
そして、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の初期値および向きの初期値を記憶部31に記憶させる。
【0030】
(ステップS503)
所定時間が経過した後に、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の現在値(X、Y、Z)および向きの現在値φを取得する。
【0031】
(ステップS504)
制御部12は、顔の位置の初期値を記憶部31から読み出し、現在値(X、Y、Z)が初期値(X、Y、Z)と異なるか否かを判定する。顔の位置の現在値が初期値と異なる場合(ステップS504のYES)、制御部12は、ステップS505の処理を実行する。顔の位置の現在値が初期値と同じ場合(ステップS504のNO)、制御部12は、ステップS506の処理を実行する。
【0032】
なお、顔の位置の現在値が初期値と異なる場合であっても、x座標およびy座標は同じであり、z座標だけが異なるときには、現在も初期状態と同様に、顔の中心にz軸、すなわち、LED14の光軸が向いている。従って、制御部12は、ステップS506の処理を実行する。
【0033】
(ステップS505)
駆動制御部125は、ユーザの顔の位置の初期値と、当該顔の位置の現在値とに応じて、LED14の光軸がユーザの顔の中心を向くように、水平回転軸17および垂直回転軸20を駆動させる。詳細には、駆動制御部125は、ユーザの顔の位置の初期値および現在値から垂直角度および水平角度を算出し、それらの角度による水平回転軸17および垂直回転軸20の回転を、水平回転駆動部16および垂直回転駆動部19に指示する。
【0034】
その後、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の現在値(X、Y、Z)および向きの現在値φを再度取得する。
【0035】
(ステップS506)
光度算出部123は、ユーザの顔の向きの初期値φ、および、LED14の光度の初期値Lを記憶部31から読み出す。光度算出部123は、ユーザの顔の位置および向きの初期値および現在値に応じて、LED14の光度の初期値Lから、顔の照度を一定にするための調整光度Lを算出する。ステップS505の処理を実行した場合、光度算出部123は、駆動制御部125が水平回転軸17および垂直回転軸20を駆動させた後の、ユーザの顔の位置および向きの現在値に応じて、調整光度Lを算出する。そして、光度指示部124は、LED14の光度を、調整光度Lに調整するように電流制御部13に指示する。調整光度Lの算出方法は、後述する。
【0036】
ここで、制御部12は、現在値(X、Y、Z、φ、L)を初期値(X、Y、Z、φ、L)に代入し、当該初期値を記憶部31に記憶させる。
【0037】
(ステップS507)
制御部12は、LED14を含む平板部23の回転を検出したか否かを判定する。詳細には、制御部12は、水平回転検出部15から水平回転軸17の回転角を随時取得し、垂直回転検出部18から垂直回転軸20の回転角を随時取得し、少なくともいずれかの回転角が所定値以上変化したか否かを判定する。回転を検出した場合(ステップS507のYES)、制御部12は、ステップS508の処理を実行する。回転を検出しなかった場合(ステップS507のNO)、制御部12は、ステップS503の処理に戻る。
【0038】
(ステップS508)
LED14を含む平板部23の回転を検出した場合、ユーザがLED光の照射を継続しないとの意思を表示したことが想定されるので、制御部12は、間接照明モードへの切り替え、または、美顔器1(発光装置100)の電源オフを行う。間接照明モードは、LED14の発光色を、黒体放射軌跡よりΔuvを-0.025~-0.005の範囲でマイナス側にずらした色(例えば、桜色)にするモードである。これは、ユーザが心を落ち着かせるのに資する。
【0039】
(調整光度Lの算出方法)
原点と、顔中心との間の距離に関する、初期値に対する現在値の比をRとすると、Rは、以下の式1で表すことができる。
【0040】
R=√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )・・・式1
一方、ユーザの顔の向きは、0からφにずれている。
【0041】
従って、ユーザの顔の位置および向きが変化したことによる照度変化は、次のようになる。
【0042】
(1)照度は距離比Rの2乗に反比例する。
【0043】
(2)顔の向きがφずれたので、斜めから照射されるため、照度はcosφ倍になる。
【0044】
(2)に関しては、ユーザの顔が一定幅のLED光を受ける場合、顔の向きが0のとき、当該LED光を同じ幅で受けるが、顔の向きがφずれたとき、LED光の幅より大きい、1/cosφ倍の幅で受けることになる。この場合、単位幅で受けるLED光は、cosφ倍に小さくなる。
【0045】
上記によれば、LED14の光度が初期値のままであった場合の顔の照度は、初期状態のcosφ/R倍となるので、この逆数を初期値Lに乗じた光度をLED14の調整光度Lとすることで顔面の照度を保つことができる。すなわち、調整光度Lは、以下の式2で表すことができる。
【0046】
L=L×R/cosφ ・・・式2
制御部12は、LED14の光度がLED14に供する電流値に比例する領域で使用する場合、電流値をR/cosφ倍すればよい。必ずしも比例しないのであれば、制御部12は、そのLED14の電流値と、光度とを対応させた付けたテーブルを記憶部31に予め記憶させ、当該テーブルを参照して、LED14に供する電流を決める。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0047】
なお、ユーザの顔の向きの初期値φが0でない場合、顔の向きが0で照度が同じと仮定すると、光度はL×cosφで済むので、調整光度Lは、以下の式3で表すことができる。
【0048】
L=L×cosφ×R/cosφ ・・・式3
また、初期状態において、ユーザの顔の中心がz軸上にない場合、ユーザの顔の位置および向き(X、Y、Z、φ)を取得し、ユーザの顔の中心がz軸上の位置および向き(0、0、Z、φ)にあると仮定したときに、顔の照度が同じになるように、初期状態の光度Lを光度の初期値Lに補正する。
【0049】
(実施形態1の効果)
本実施形態によれば、美顔器1は、LED光を出射しているときに、ユーザが姿勢(例えば、顔の位置、向きなど)を変化させると、顔検出部11の物体位置センサがユーザの姿勢の変化を検知する。次に、美顔器1は、照射対象であるユーザの顔の位置の変化に応じて、水平回転軸17および垂直回転軸20の角度を調整し(LED光の出射方向の変化への対応)、LED14の光度を調整し(顔と、LED14との間の距離の変化への対応)、顔の照度が一定となるように、LED光を出射し続けることが可能である。また、美顔器1は、変化量が所定値を超えた場合、意図的にユーザがLED光の照射を受け続ける意思がなくなったと判断して、間接照明モードへの切り替え、または、電源オフを行うことも可能である。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
(美顔器1の構成)
本実施形態に係る美顔器1は、図1と同様の構成を有する。ただし、顔検出部11は、顔の位置を検出するが、顔の向きを検出しないものとする。
【0052】
(美顔器1の処理)
本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置を検出可能であり、かつ、出射面231を2軸により回転させ、LED14の光軸がユーザの顔の中心を向くことが可能な場合の処理である。すなわち、本実施形態に係る美顔器1の処理は、図5のフローチャートから、「顔の向き」を削除した処理になる。
【0053】
(調整光度Lの算出方法)
初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。
【0054】
ユーザの顔の中心位置の初期値を(X、Y、Z)、現在値を(X、Y、Z)とすると、原点と、顔中心との間の距離に関する、初期値に対する現在値の比をRとすると、Rは、以下の式4で表すことができる。
【0055】
R=√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )・・・式4
原点および顔中心を結ぶ線と、LED14の光軸との成す角をθとすると、θは、以下の式5で表すことができる。
【0056】
θ=arccos((XX+YY+ZZ)/√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )) ・・・式5
ユーザが目を瞑った状態で意図せずに顔の位置がずれてしまう場合、顔が原点を向くことは稀である。
【0057】
制御部12は、顔の向きを検出できない場合、顔の向きは変わらずに中心位置がずれたとして顔面上の照度を推定するか、当該中心位置のずれが首の角度変化に起因するとして顔の向きを推定する。
【0058】
ここでは、前者(すなわち、顔の向きが変わらずに中心位置がずれた)として、計算例を示す。
【0059】
顔の位置がずれたことによる照度変化は次のようになる。
【0060】
(1)照度は距離比Rの2乗に反比例する。
【0061】
(2)顔の向きが変わらないと仮定したので、斜めから照射されるためにcosθ倍となる。
【0062】
上記によれば、LED14の光度がそのままであった場合の顔の照度は、初期状態のcosθ/R倍になるので、この逆数を乗じたLED光度とすることで顔面の照度を保つことができる。制御部12は、LED14の光度がLED14に供する電流値に比例する領域で使用する場合、電流値をR/cosθ倍すればよい。比例しないのであれば、制御部12は、当該LED14の電流値と、光度とを対応付けたテーブルを記憶部31に予め記憶させ、当該テーブルを参照してLED14に供する電流を決める。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0063】
なお、初期状態において、ユーザの顔の中心がz軸上にない場合、制御部12は、ユーザの顔の位置および向き(X、Y、Z、φ)を取得し、ユーザの顔の中心がz軸上の位置および向き(0、0、Z、φ)にあると仮定したときに、顔の照度が同じになるように、初期状態の光度Lを光度の初期値Lに補正する。
【0064】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0065】
(美顔器1の構成)
本実施形態に係る美顔器1は、図1の斜視図から回転台24を削除したものである。さらに言えば、本実施形態に係る美顔器1は、図4のブロック図から垂直回転検出部18、垂直回転駆動部19、および、垂直回転軸20を削除した構成を有する。換言すれば、美顔器1は、LED14を含む平板部23を回動させる水平回転軸(1本の回転軸)17を備えた構成である。
【0066】
なお、本実施形態に係る美顔器1は、図4のブロック図から水平回転検出部15、水平回転駆動部16、および、水平回転軸17を削除した構成を有していてもよい。換言すれば、美顔器1は、LED14を含む平板部23を回動させる垂直回転軸(1本の回転軸)20を備えた構成であってもよい。
【0067】
(美顔器1の処理)
図6は、本実施形態に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置および向きを検出可能であり、かつ、出射面231を水平回転軸17により回転させ、LED14の光軸がユーザの顔の中心を近付くことが可能な場合の処理である。
【0068】
以下では、図5のフローチャートと同じ処理については簡単に説明し、異なる処理については詳細に説明する。
【0069】
(ステップS601)
まず、制御部12の初期光度取得部121は、初期状態におけるLED14の光度、すなわち、LED14の光度の初期値Lを取得し、当該初期値Lを記憶部31に記憶させる。
【0070】
(ステップS602)
次に、顔状態取得部122は、初期状態におけるユーザの顔の位置および向き、すなわち、ユーザの顔の位置の初期値(X、Y、Z)および向きの初期値φを取得する。初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。
【0071】
そして、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の初期値および向きの初期値を記憶部31に記憶させる。
【0072】
(ステップS603)
所定時間が経過した後に、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の現在値(X、Y、Z)および向きの現在値φを取得する。
【0073】
(ステップS604)
制御部12は、顔の位置の初期値を記憶部31から読み出し、顔の位置の現在値(X、Y、Z)が初期値(X、Y、Z)と異なるか否かを判定する。顔の位置の現在値が初期値と異なる場合(ステップS604のYES)、制御部12は、ステップS605の処理を実行する。顔の位置の現在値が初期値と同じ場合(ステップS604のNO)、制御部12は、ステップS606の処理を実行する。
【0074】
なお、顔の位置の現在値が初期値と異なる場合であっても、x座標およびy座標は同じであり、z座標だけが異なるときには、現在も初期状態と同様に、顔の中心にz軸、すなわち、LED14の光軸が向いている。従って、制御部12は、ステップS606の処理を実行する。
【0075】
(ステップS605)
駆動制御部125は、ユーザの顔の位置の初期値と、当該顔の位置の現在値とに応じて、LED14の光軸がユーザの顔の中心に近付くように、水平回転軸17を駆動させる。詳細には、駆動制御部125は、ユーザの顔の位置の初期値および現在値から垂直角度を算出し、当該垂直角度による水平回転軸17の回転を、水平回転駆動部16に指示する。
【0076】
その後、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の現在値(X、Y、Z)および向きの現在値φを再度取得する。
【0077】
(ステップS606)
光度算出部123は、ユーザの顔の向きの初期値φ、および、LED14の光度の初期値Lを記憶部31から読み出す。光度算出部123は、ユーザの顔の位置および向きの初期値および現在値に応じて、LED14の光度の初期値Lから、顔の照度を一定にするための調整光度Lを算出する。ステップS605の処理を実行した場合、光度算出部123は、駆動制御部125が水平回転軸17を駆動させた後の、ユーザの顔の位置および向きの現在値に応じて、調整光度Lを算出する。
【0078】
そして、光度指示部124は、LED14の光度を、調整光度Lに調整するように電流制御部13に指示する。調整光度Lの算出方法は、後述する。
【0079】
ここで、制御部12は、現在値(X、Y、Z、φ、L)を初期値(X、Y、Z、φ、L)に代入し、当該初期値を記憶部31に記憶させる。
【0080】
(ステップS607)
制御部12は、LED14を含む平板部23の回転を検出したか否かを判定する。詳細には、制御部12は、水平回転検出部15から水平回転軸17の回転角を随時取得し、その回転角が所定値以上変化したか否かを判定する。回転を検出した場合(ステップS607のYES)、制御部12は、ステップS608の処理を実行する。回転を検出しなかった場合(ステップS607のNO)、制御部12は、ステップS603の処理に戻る。
【0081】
(ステップS608)
平板部23の回転を検出した場合、ユーザがLED光の照射を継続しないとの意思を表示したことが想定されるので、制御部12は、間接照明モードへの切り替え、または、美顔器1(発光装置)の電源オフを行う。間接照明モードについては、図5の説明で上述した通りである。
【0082】
(調整光度Lの算出方法)
初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。
【0083】
ユーザの顔の中心位置の初期値を(X、Y、Z)、現在値を(X、Y、Z)とすると、原点と、顔中心との間の距離に関する、初期値に対する現在値の比をRとすると、Rは、以下の式6で表すことができる。
【0084】
R=√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )・・・式6
原点および顔中心を結ぶ線と、LED14の光軸との成す角をθとすると、θは、以下の式7で表すことができる。
【0085】
θ=arccos((XX+YY+ZZ)/√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )) ・・・式7
顔の向きをφとすると、顔の位置がずれたことによる照度変化は、以下のようになる。
【0086】
(1)顔の照度は、距離比Rの2乗に反比例する。
【0087】
(2)顔の向きがφずれたので、斜めから照射されるために初期状態のcosφ倍になる。
【0088】
(3)LED14の光軸からずれた位置でLED光が照射されるので、美顔器1の配光特性に応じた照度となる(美顔器1の配光特性データが利用される)。
【0089】
ここで、(3)の配光特性をf(θ)とすると、LED14の光度が初期状態のままであった場合の顔の照度は、初期値のf(θ)・cosφ/R倍になるので、この逆数を乗じたLED14の光度とする。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0090】
制御部12は、LED14の光度がLED14に供する電流値に比例する領域で使用する場合、電流値をR/(f(θ)・cosφ)倍すればよい。比例しないのであれば、制御部12は、LED14の電流値と、光度とを対応付けたテーブルを記憶部31に予め記憶させ、当該テーブルを参照してLED14に供する電流を決める。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0091】
なお、初期状態において、ユーザの顔の中心がz軸上にない場合、制御部12は、ユーザの顔の位置および向き(X、Y、Z、φ)を取得し、ユーザの顔の中心がz軸上の位置および向き(0、0、Z、φ)にあると仮定したときに、顔の照度が同じになるように、初期状態の光度Lを光度の初期値Lに補正する。
【0092】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0093】
(美顔器1の構成)
本実施形態に係る美顔器1は、図1の斜視図から回転台24を削除したものである。さらに言えば、本実施形態に係る美顔器1は、図4のブロック図から垂直回転検出部18、垂直回転駆動部19、および、垂直回転軸20を削除した構成を有する。そして、顔検出部11は、顔の位置を検出するが、顔の向きを検出しないものとする。
【0094】
換言すれば、本実施形態に係る美顔器1は、実施形態3に係る美顔器1から、顔検出部11による顔の向きを検出する機能を削除したものである。
【0095】
(美顔器1の処理)
本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置を検出可能であり、かつ、出射面231を水平回転軸17により回転させ、LED14の光軸がユーザの顔の中心を近付くことが可能な場合の処理である。すなわち、本実施形態に係る美顔器1の処理は、図6のフローチャートから、「顔の向き」を削除した処理になる。
【0096】
(調整光度Lの算出方法)
初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。
【0097】
ユーザの顔の中心位置の初期値を(X、Y、Z)、現在値を(X、Y、Z)とすると、原点と、顔中心との間の距離に関する、初期値に対する現在値の比をRとすると、Rは、以下の式8で表すことができる。
【0098】
R=√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )・・・式8
原点および顔中心を結ぶ線と、LED14の光軸との成す角をθとすると、θは、以下の式9で表すことができる。
【0099】
θ=arccos((XX+YY+ZZ)/√(X+Y+Z)/√(X +Y +Z )) ・・・式9
ユーザが目を瞑った状態で意図せずに顔の位置がずれてしまう場合、顔が原点を向くことは稀である。
【0100】
制御部12は、顔の向きを検出できない場合、顔の向きは変わらずに中心位置がずれたとして顔面上の照度を推定するか、当該中心位置のずれが首の角度変化に起因するとして顔の向きを推定する。
【0101】
ここでは、前者(すなわち、顔の向きが変わらずに中心位置がずれた)として、計算例を示す。
【0102】
顔の位置がずれたことによる照度変化は次のようになる。
【0103】
(1)照度は距離比Rの2乗に反比例する。
【0104】
(2)顔の向きが変わらないと仮定したので、斜めから照射されるためにcosθ倍となる。
【0105】
(3)LED14の光軸からずれた位置でLED光が照射されるので、美顔器1の配光特性に応じた照度となる(美顔器1の配光特性データが利用される)。
【0106】
ここで、(3)の配光特性をf(θ)とすると、LED14の光度が初期状態のままであった場合の顔の照度は、初期値のf(θ)・cosφ/R倍になるので、この逆数を乗じたLED14の光度とする。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0107】
制御部12は、LED14の光度がLED14に供する電流値に比例する領域で使用する場合、電流値をR/(f(θ)・cosφ)倍すればよい。比例しないのであれば、制御部12は、LED14の電流値と、光度とを対応付けたテーブルを記憶部31に記憶させ、当該テーブルを参照してLED14に供する電流を決める。これにより、ユーザの顔面の照度を保つことができる。
【0108】
なお、初期状態において、ユーザの顔の中心がz軸上にない場合、制御部12は、ユーザの顔の位置および向き(X、Y、Z、φ)を取得し、ユーザの顔の中心がz軸上の位置および向き(0、0、Z、φ)にあると仮定したときに、顔の照度が同じになるように、初期状態の光度Lを光度の初期値Lに補正する。
【0109】
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0110】
(美顔器1の構成)
本実施形態に係る美顔器1は、図1の斜視図から回転台24を削除したものである。さらに言えば、本実施形態に係る美顔器1は、図4のブロック図から水平回転駆動部16、垂直回転検出部18、垂直回転駆動部19、垂直回転軸20、および、駆動制御部125を削除した構成を有する。
【0111】
本実施形態に係る美顔器1において、顔検出部11は、物体位置センサを備えており、ユーザの顔の位置を検出し、制御部12に出力する。制御部12において、顔状態取得部122は、顔検出部11からユーザの顔の位置を随時取得する。光度算出部123は、ユーザの顔の位置の初期値と、当該ユーザの顔の位置の現在値とに応じて、初期光度取得部121(実施形態1参照)が取得した光度の初期値から、当該ユーザの顔の照度を一定にするための調整光度を算出する。
【0112】
(美顔器1の処理)
図7は、本実施形態に係る美顔器1の処理を示すフローチャートである。本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置を検出可能であるが、出射面231を回転駆動させることができない場合の処理である。
【0113】
以下では、図5のフローチャートと同じ処理については簡単に説明し、異なる処理については詳細に説明する。
【0114】
(ステップS701)
まず、制御部12の初期光度取得部121は、初期状態におけるLED14の光度、すなわち、LED14の光度の初期値Lを取得し、当該初期値Lを記憶部31に記憶させる。
【0115】
(ステップS702)
次に、顔状態取得部122は、初期状態におけるユーザの顔の位置、すなわち、ユーザの顔の位置の初期値(X、Y、Z)を取得する。初期状態において、ユーザの顔の中心は、z軸上にあるものとする。
【0116】
そして、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の初期値を記憶部31に記憶させる。
【0117】
(ステップS703)
所定時間が経過した後に、顔状態取得部122は、ユーザの顔の位置の現在値(X、Y、Z)を取得する。
【0118】
(ステップS704)
制御部12は、顔の位置の初期値を記憶部31から読み出し、顔の位置の現在値(X、Y、Z)が初期値(X、Y、Z)と異なるか否かを判定する。顔の位置の現在値が初期値と異なる場合(ステップS704のYES)、制御部12は、ステップS705の処理を実行する。顔の位置の現在値が初期値と同じ場合(ステップS704のNO)、制御部12は、ステップS706の判定を実行する。
【0119】
(ステップS705)
光度算出部123は、LED14の光度の初期値Lを記憶部31から読み出す。光度算出部123は、ユーザの顔の位置の初期値および現在値に応じて、LED14の光度の初期値Lから、顔の照度を一定にするための調整光度Lを算出する。そして、光度指示部124は、LED14の光度を、調整光度Lに調整するように電流制御部13に指示する。調整光度Lの算出方法は、実施形態4と同様である。
【0120】
ここで、制御部12は、現在値(X、Y、Z、φ、L)を初期値(X、Y、Z、φ、L)に代入し、当該初期値を記憶部31に記憶させる。
【0121】
(ステップS706)
制御部12は、LED14を含む平板部23の回転を検出したか否かを判定する。詳細には、制御部12は、水平回転検出部15から水平回転軸17の回転角を随時取得し、その回転角が所定値以上変化したか否かを判定する。回転を検出した場合(ステップS706のYES)、制御部12は、ステップS707の処理を実行する。回転を検出しなかった場合(ステップS706のNO)、制御部12は、ステップS703の処理に戻る。
【0122】
(ステップS707)
平板部23の回転を検出した場合、ユーザがLED光の照射を継続しないとの意思を表示したことが想定されるので、制御部12は、間接照明モードへの切り替え、または、美顔器1(発光装置)の電源オフを行う。間接照明モードについては、図5の説明で上述した通りである。
【0123】
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1、3、5にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0124】
(美顔器1の構成)
本実施形態に係る美顔器1は、図1の斜視図から回転台24を削除したものである。さらに言えば、本実施形態に係る美顔器1は、図4のブロック図から水平回転駆動部16、垂直回転検出部18、垂直回転駆動部19、垂直回転軸20、および、駆動制御部125を削除した構成を有する。
【0125】
換言すれば、本実施形態に係る美顔器1は、実施形態5に係る美顔器1の構成に対して、顔検出部11は、さらにユーザの顔の向きを検出し、制御部12に出力する。制御部12において、顔状態取得部122は、顔検出部11から、さらにユーザの顔の向きを随時取得する。光度算出部123は、ユーザの顔の位置および向きの初期値と、当該ユーザの顔の位置および向きの現在値とに応じて、初期光度取得部121(実施形態1参照)が取得した光度の初期値から、当該ユーザの顔の照度を一定にするための調整光度を算出する。
【0126】
(美顔器1の処理)
本処理は、美顔器1が、ユーザの顔の位置および向きを検出可能であるが、出射面231を回転駆動させることができない場合の処理である。すなわち、本実施形態に係る美顔器1の処理は、図7のフローチャートにおいて、「顔の位置」に「顔の向き」を追加した処理になる。
【0127】
調整光度Lの算出方法は、実施形態3と同様である。
【0128】
〔ソフトウェアによる実現例〕
美顔器1の制御ブロック(制御部12内の121~125)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0129】
後者の場合、美顔器1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0130】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る発光装置は、発光部と、ユーザの顔の位置を検出する顔検出部と、前記発光部の光度を制御する光度制御部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記光度の初期値を取得する初期光度取得部と、前記顔検出部から前記顔の位置を随時取得する顔状態取得部と、前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記光度の初期値から前記顔の照度を一定にするための調整光度を算出する光度算出部と、前記発光部の光度を、前記調整光度に調整するように前記光度制御部に指示する光度指示部と、を備える。
【0131】
前記構成によれば、ユーザの顔の位置に応じて発光部の光度を調整するので、ユーザの顔の位置が変化しても、当該顔の照度を一定にすることができる。
【0132】
本発明の態様2に係る発光装置は、前記態様1において、前記顔検出部が、さらに前記ユーザの顔の向きを検出し、前記顔状態取得部が、前記顔検出部から、さらに前記顔の向きを随時取得し、前記光度算出部が、前記顔の位置および向きの初期値と、前記顔の位置および向きの現在値とに応じて、前記光度の初期値から前記調整光度を算出することとしてもよい。
【0133】
前記構成によれば、ユーザの顔の位置および向きに応じて発光部の光度を調整するので、ユーザの顔の位置が変化しても、当該顔の照度を一定にすることができる。
【0134】
本発明の態様3に係る発光装置は、上記態様1または2において、前記発光部を回動させる、互いに平行ではない2本の回転軸をさらに備え、前記制御部は、前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記発光部の光軸が前記ユーザの顔に向くように、前記回転軸を駆動させる駆動制御部をさらに備え、前記光度算出部は、前記駆動制御部が前記回転軸を駆動させた後の前記現在値に応じて、前記調整光度を算出することとしてもよい。
【0135】
前記構成によれば、発光部の光軸をユーザの顔に向けることができるので、発光部の光度を最小限に抑えることができる。
【0136】
本発明の態様4に係る発光装置は、上記態様1または2において、前記発光部を回動させる、1本の回転軸をさらに備え、前記制御部は、前記顔の位置の初期値と、前記顔の位置の現在値とに応じて、前記発光部の光軸が前記ユーザの顔に近付くように、前記回転軸を駆動させる駆動制御部をさらに備え、前記光度算出部は、前記駆動制御部が前記回転軸を駆動させた後の前記現在値に応じて、前記調整光度を算出することとしてもよい。
【0137】
前記構成によれば、発光部の光軸をユーザの顔に近付けることができるので、発光部の光度を小さく抑えることができる。
【0138】
本発明の態様5に係る発光装置は、上記態様3または4において、前記制御部が、前記発光部の回動を検出した場合、間接照明モードへの切り替え、または、当該発光装置の電源オフを行うこととしてもよい。
【0139】
前記構成によれば、ユーザが目を瞑っていても、発光部を動かすという、大雑把な操作により、間接照明モードへの切り替え、または、発光装置の電源オフを行うことができる。
【0140】
本発明の態様6に係る美顔器は、態様1から5の何れかの発光装置を備える。
【0141】
本発明の各態様に係る発光装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記発光装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記発光装置をコンピュータにて実現させる発光装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0142】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0143】
1 美顔器
11 顔検出部
12 制御部
13 電流制御部(光度制御部)
14 LED(発光部)
17 水平回転軸
20 垂直回転軸
100 発光装置
121 初期光度取得部
122 顔状態取得部
123 光度算出部
124 光度指示部
125 駆動制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7