(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20240222BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16B37/14 C
F16B43/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039363
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2019069747の分割
【原出願日】2014-09-09
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2013-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【復代理人】
【識別番号】100217467
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】マイケル スコット キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイン ナイト ラウドン
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-150676(JP,U)
【文献】特開2001-165138(JP,A)
【文献】特開2006-038051(JP,A)
【文献】特開2010-196665(JP,A)
【文献】実開昭61-032612(JP,U)
【文献】実公昭48-020834(JP,Y1)
【文献】特開2012-061873(JP,A)
【文献】特開平07-137154(JP,A)
【文献】特開平02-138488(JP,A)
【文献】特開平07-293537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/14
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面から突出する留め具の部分を覆う際に使用するキャップであって、前記部分は歯に連結される構成において、
内部と、
前記内部の少なくとも一部を規定する基部と、
前記内部に設けられており、前記歯と係合するように構成された
複数の爪部と、
高さを有し、前記基部に取り付けられており、前記面に係合するシールと、
を備え、
前記複数の爪部の各々は、前記キャップの外面、壁部、基部、およびシールのいずれにも含まれない長軸を有し、前記キャップが前記留め具の前記部分を覆う際に、前記留め具から径方向外側に弾性変形し、
前記長軸が前記留め具の延伸方向と平行な方向に延伸する大きさは、前記長軸が前記留め具の延伸方向と垂直な方向に延伸する大きさに比べて小さくなく、
前記歯と前記爪部は、前記爪部が前記歯に対して取り付けよりも取り外しの方が大きな力を要する態様で係合するよう構成され、
前記シールは、前記基部の前記面に対向する表面に形成され、深さを有する溝に収容され、前記留め具は前記面より突出し、
前記溝の前記深さは前記シールの前記高さより小さく、前記面より突出する前記留め具の前記部分を前記キャップが覆う際は、前記シールは前記溝を完全に満たし、前記シールは前記面と係合し、
前記溝の前記深さは、前記シールの部分であって前記基部の前記表面を超えて前記溝より突出する部分の高さより大きい、キャップ。
【請求項2】
前記基部によって一部が規定されており且つ工具によって操作可能な形状に構成された外面をさらに備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記外面は、少なくとも1つの平面を有する、請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記外面は、少なくとも1つの突起を有する、請求項2に記載のキャップ。
【請求項5】
前記基部は、当該キャップの他の部分よりも大きな断面を有する、請求項2に記載のキャップ。
【請求項6】
面から突出する留め具の部分を覆う方法であって、
壁部と、基部と、前記壁部及び前記基部によって少なくとも一部が規定された内部と、前記内部に設けられた
複数の爪部と、を有するキャップを提供するステップと、
前記爪部を、前記部分に連結された歯に係合させるステップと、
高さを有し、前記基部に取り付けられており、前記面に係合するシールにより、前記キ
ャップの前記基部を前記面にシールするステップと、
を含み、
前記複数の爪部の各々は、前記キャップの外面、壁部、基部、およびシールのいずれにも含まれない長軸を有し、前記キャップが前記留め具の前記部分を覆う際に、前記留め具から径方向外側に弾性変形し、
前記長軸が前記留め具の延伸方向と平行な方向に延伸する大きさは、前記長軸が前記留め具の延伸方向と垂直な方向に延伸する大きさに比べて小さくなく、
前記歯と前記爪部は、前記爪部が前記歯に対して取り付けよりも取り外しの方が大きな力を要する態様で係合するよう構成され、
前記シールは、前記基部の前記面に対向する表面に形成され、深さを有する溝に収容され、前記留め具は前記面より突出し、
前記溝の前記深さは前記シールの前記高さより小さく、前記面より突出する前記留め具の前記部分を前記キャップが覆う際は、前記シールは前記溝を完全に満たし、前記シールは前記面と係合し、
前記溝の前記深さは、前記シールの部分であって前記基部の前記表面を超えて前記溝より突出する部分の高さより大きい、方法。
【請求項7】
前記キャップは、前記壁部を貫通する少なくとも1つの開口を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開口は、単一の開口である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記面に前記基部をシールするステップと、前記内部に真空を形成するステップと、前記内部にシーラントを注入するステップと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記内部に真空を形成することは、前記単一の開口から前記内部の空気を抜くことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シーラントを注入するステップは、所定量のシーラントを前記単一の開口から前記内部に注入するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記所定量のシーラントを注入するステップは、前記内部の空き容積に基づいて、前記シーラントの前記所定量を決定するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記面に前記基部をシールするステップと、前記壁部を貫通する少なくとも1つの開口から前記内部にシーラントを注入するステップと、前記少なくとも1つの開口から前記内部の空気を逃がすステップと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの開口は、注入口及び通気口を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シーラントは前記注入口から前記内部に注入され、前記内部の空気は前記通気口から排気される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な構造物が、複数の留め具を用いて組み立てられている。突出している留め具の中には、絶縁性のキャップで覆う必要があるものもあり、このようなキャップは、電磁エネルギー及び/又は高温粒子が留め具から放出されるのを防ぐために、内側及び外側にシーラントを塗布する必要がある。このように、既存の方法で突出している留め具をキャップで覆う場合、シーラントの塗布が必要であり、手間と時間がかかる。
【発明の概要】
【0003】
従って、上記の問題に取り組むことを意図した、面から突出する留め具の一部を覆うためのシステム及び方法は、有用性があるであろう。
【0004】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するシステムに関する。当該システムは、内部と、内部の少なくとも一部を規定する基部と、内部に設けられた爪部とを有するキャップを含む。
【0005】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、留め具に協働するように構成され且つ爪部にポジティブに係合するように構成された歯をさらに含む。
【0006】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯は、留め具の頭部から離れる方向を向くテーパー面を含む。
【0007】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯は、留め具にねじ込み式に係合するように構成されている。
【0008】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、留め具にとりつけるように構成されたナットをさらに含み、当該ナットが歯を含んでいる。
【0009】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯の一方側は、ナットの外面に形成された溝によって規定されている。
【0010】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、留め具に取り付けるように構成された鍔部、及び、鍔部を留め具に取り付けるように構成された保持部材をさらに含む。この実施形態において、鍔部が歯を含んでいる。
【0011】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯は、圧嵌(interference fit)によって留め具に取り付けられるように構成されている。
【0012】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯は留め具に一体的に形成されている。
【0013】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯と上記面とは空間によって隔てられている。
【0014】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯は爪部にポジティブに係合し、爪部は歯に対して圧縮状態で装着されるように構成されている。
【0015】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、各爪部は、基部に近位の第1端部、及び、基部から遠位の第2端部を含む。
【0016】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、第2端部は第1端部よりも幅が大きい。
【0017】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、爪部は、歯に対して引張状態で装着される構成とされている。
【0018】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、各爪部は、基部から遠位の第1端部、及び、基部に向かって伸びる第2端部を含む。
【0019】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、基部に取り付けられて上記面に係合するシールをさらに含む。
【0020】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シールは、爪部を歯に対して付勢するように構成されている。
【0021】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、内部の少なくとも一部を規定する壁部と、壁部を貫通する少なくとも1つの開口とをさらに含む。
【0022】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、シーラントを入れるように構成された注入口と、内部から空気を逃がすように構成された通気口とを含む。
【0023】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、注入口は、通気口より直径が大きい。
【0024】
本開示の一実施例は、歯を有する留め具を提供することを含む方法に関する。留め具の一部は面から突出している。当該方法は、壁部と、基部と、壁部及び基部によって少なくとも一部が規定される内部と、内部に設けられた爪部とを有するキャップを提供すること、留め具の一部をキャップで覆うこと、爪部を歯にポジティブに係合させること、をさらに含む。
【0025】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、爪部を歯にポジティブに係合させることは、爪部を歯に対して圧縮状態で装着することを含む。
【0026】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、爪部を歯にポジティブに係合させることは、爪部を歯に対して引張状態で装着することを含む。
【0027】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、爪部を歯にポジティブに係合させることは、爪部を歯にポジティブに係合させる前に、爪部を歯に対して弾性変形させることを含む。
【0028】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、爪部を歯にポジティブに係合させることは、爪部を歯に対して付勢することを含む。
【0029】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を有する留め具を提供することは、歯を留め具に取り付けることを含む。
【0030】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を留め具に取り付けることは、歯を留め具にねじ込み式に係合させることを含む。
【0031】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を留め具に取り付けることは、保持部材によって歯を留め具に取り付けることを含む。
【0032】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を留め具に取り付けることは、歯を上記面の近位に配置することを含む。
【0033】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を留め具に連結することは、歯を前記面から遠位に配置することを含む。
【0034】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、歯を有する留め具を提供することは、歯を留め具と一体的に形成することを含む。
【0035】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、壁部を貫通する少なくとも1つの開口を含む。
【0036】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、単一の開口である。
【0037】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、基部を上記面に対してシールすることと、内部に真空を形成することと、内部にシーラントを注入すること、とをさらに含む。
【0038】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、一実施形態において、内部に真空を形成することは、単一の開口から内部の空気を抜くことを含む。
【0039】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントを注入することは、単一の開口から所定量のシーラントを内部に注入することを含む。
【0040】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、所定量のシーラントを注入することは、内部の空き容積に基づいて、シーラントの所定量を決定することを含む。
【0041】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することを含む。
【0042】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、基部を上記面にシールすることと、少なくとも1つの開口から内部にシーラントを注入することと、少なくとも1つの開口から内部の空気を逃がすこと、とをさらに含む。
【0043】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、注入口と通気口とを含む。
【0044】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントは注入口から内部に注入され、内部の空気は通気口から排気される。
【0045】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するキャップをパッケージングする方法に関する。キャップは、面を有する内部を含む。当該方法は、内部の面にシーラントが付着しやすいようにほぼ清潔な状態とされたキャップを提供することと、キャップの少なくとも一部を封止することとを含む。
【0046】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップの少なくとも一部を封止することは、キャップの内部を封止することを含む。
【0047】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップの内部を封止すること
は、内部の少なくとも一部を規定する基部を備えるキャップを提供することと、基部にフィルムシールを取り付けることとを含む。
【0048】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップの少なくとも一部を封止することは、キャップ全体を密閉容器内に封入することを含む。
【0049】
本開示の一実施例は、様々な向きで面から突出している留め具の中から選択された留め具の一部を覆う際に使用するシステムに関する。当該システムは、キャップの集合体を含む。各集合体は、複数の向きの1つに対応付けられている。各集合体のキャップは、少なくとも1つの特徴において、他の集合体のキャップとは異なっている。
【0050】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つの特徴は、キャップのそれぞれに形成された少なくとも1つの開口の位置を含む。
【0051】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップの集合体のそれぞれに個別の識別手段が対応付けられている。
【0052】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、個別の識別手段は色である。
【0053】
本開示の一実施例は、様々な向きで面から突出している留め具の中から選択された留め具の一部を覆う方法に関する。当該方法は、キャップの集合体を提供することを含み、各集合体は、複数の向きの1つに対応付けられている。各集合体のキャップは、少なくとも1つの特徴において、他の集合体のキャップとは異なっている。当該方法は、留め具の向きを特定することと、特定された留め具の向きに対応付けられたキャップの集合体からキャップを選択することと、当該キャップで留め具の一部を覆うこと、とをさらに含む。
【0054】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、留め具の一部をキャップで覆うことは、キャップを留め具にポジティブに係合させることを含む。
【0055】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、キャップの各集合体を個別の識別手段に対応付けることを含む。
【0056】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、個別の識別手段は色である。
【0057】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、個別の識別手段は包装である。
【0058】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の部分を覆う際に使用するキャップに関する。上記部分はねじ山を含む。当該キャップは、内部と、内部の少なくとも一部を規定する基部と、内部に設けられており、留め具の上記部分とねじ込み式に係合するように構成されたねじ山つき受け部と、基部に取り付けられており、上記面に係合するシールと、を含む。
【0059】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、基部によって一部が規定されており且つ工具によって操作可能な形状に構成された外面をさらに含む。
【0060】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、外面は、少なくとも1つの平坦面を含む。
【0061】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、外面は、少なくとも1つの突起を含む。
【0062】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、基部は、キャップの他の部分よりも大きな断面を有する。
【0063】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の部分を覆う方法に関する。上記部分はねじ山を有する。当該方法は、壁部と、基部と、壁部及び基部によって少なくとも一部が規定された内部と、内部に設けられたねじ山つき受け部とを有するキャップを提供し、ねじ山つき受け部を留め具の上記部分にねじ込み式に係合させ、キャップの基部を上記面にシールする、ことを含む。
【0064】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、壁部を貫通する少なくとも1つの開口を含む。
【0065】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、単一の開口である。
【0066】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、上記面に基部をシールし、内部に真空を形成し、内部にシーラントを注入すること、をさらに含む。
【0067】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、内部に真空を形成することは、単一の開口から内部の空気を抜くことを含む。
【0068】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントを注入することは、所定量のシーラントを単一の開口から内部に注入することを含む。
【0069】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、所定量のシーラントを注入することは、内部の空き容積に基づいて、シーラントの上記所定量を決定することを含む。
【0070】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することをさらに含む。
【0071】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、上記面に基部をシールし、少なくとも1つの開口から内部にシーラントを注入し、少なくとも1つの開口から内部の空気を逃がす、ことをさらに含む。
【0072】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、注入口及び通気口を含む。
【0073】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントは注入口から内部に注入され、内部の空気は通気口から排気される。
【0074】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するシステムに関する。当該システムは、内部と、内部の少なくとも一部を規定する基部と、内部に設けられた少なくとも1つのカムと、を含むキャップを含む。
【0075】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、留め具に取り付けられることにより少なくとも1つのカムに係合する少なくとも1つのタブをさらに含む。
【0076】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、留め具に取り付けられるように構成された鍔部をさらに含む。鍔部が、上記少なくとも1つのタブを含んでいる。
【0077】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該システムは、鍔部を留め具に取り付けるように構成された保持部材をさらに含む。
【0078】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つのタブは、上記面から所定距離離間している。
【0079】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つのタブは、上記面から離れる方向に曲がっている。
【0080】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つのカムは、複数のカムである。
【0081】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つのカムは、内部の面から延出している。
【0082】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つのカムは、内部の面に凹んでいる。
【0083】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つのカムは、テーパー面を有する。
【0084】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、テーパー面は、キャップの基部とは反対方向を向いている。
【0085】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つのカムは、上記少なくとも1つのタブにポジティブに係合するための切り欠きを含む。
【0086】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、内部の少なくとも一部を規定する壁部と、壁部を貫通する少なくとも1つの開口と、をさらに含む。
【0087】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つの開口は、シーラントを入れるように構成された注入口と、内部から空気を逃がすように構成された通気口とを含む。
【0088】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、基部に取り付けられており上記面に係合するシールをさらに含む。
【0089】
本開示の一実施例は、面から突出する留め具の部分を覆う方法に関する。当該方法は、壁部と、壁部によって少なくとも一部が規定される内部と、内部に設けられた少なくとも1つのカムとを有するキャップを提供することを含む。当該方法は、少なくとも1つのタブを留め具に取り付け、留め具の上記部分にキャップをかぶせ、キャップを回転させることによって上記少なくとも1つのカムを上記少なくとも1つのタブと係合させる、ことをさらに含む。
【0090】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップを回転させることは、上記少なくとも1つのカムを上記少なくとも1つのタブとポジティブに係合させることを含む。
【0091】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、キャップは、壁部を貫通する少なくとも1つの開口を含む。
【0092】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、上記少なくとも1つの開口は、単一の開口である。
【0093】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、基部を上記面にシールし、内部に真空を形成し、内部にシーラントを注入する、ことをさらに含む。
【0094】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、内部に真空を形成することは、単一の開口から内部の空気を抜くことを含む。
【0095】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントを注入することは、単一の開口から所定量のシーラントを内部に注入することを含む。
【0096】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、所定量のシーラントを注入することは、内部の空き容積に基づいて、シーラントの上記所定量を決定することを含む。
【0097】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することをさらに含む。
【0098】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、当該方法は、基部を上記面にシールし、少なくとも1つの開口から内部にシーラントを注入し、少なくとも1つの開口から内部の空気を逃がす、ことをさらに含む。
【0099】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、少なくとも1つの開口は、注入口と通気口とを含む。
【0100】
本開示の一形態-当該形態は、先行する及び/又は後続する実施例又は実施形態の要旨の少なくとも一部を含み得るものであるが-においては、シーラントは注入口から内部に注入され、内部の空気は通気口から排気される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】例示的な航空機の製造及びサービス方法のフローチャートである。
【
図3】本開示の一実施形態によるシステムを用いて突出部が覆われた留め具を含む航空機アセンブリの概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、
図3に示したような留め具の突出部分を使用するシステムのブロックである。
【
図5】本開示の一実施形態による、突出する留め具を使用するシステムの斜視断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、
図5に示したシステムで用いられうるキャップの斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、
図5に示したシステムで用いられうる歯の斜視図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、突出する留め具を使用するシステムのキャップの斜視断面図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、突出する留め具を使用するシステムの斜視断面図である。
【
図11】
図10に示したシステムで用いられうる歯の斜視図である。
【
図12】本開示の一実施形態による、突出する留め具を使用するシステムの斜視断面図である。
【
図13】本開示の一実施形態による、
図12に示したシステムで用いられうるキャップの斜視図である。
【
図14】本開示の一実施形態による、
図12に示したシステムで用いられうる歯の斜視図である。
【
図15】本開示の一実施形態による、
図3に示した留め具の一部を覆うために用いられうるキャップのブロック図である。
【
図16】本開示の一実施形態によるキャップの斜視断面図である。
【
図19】
図3に示した留め具の一部を覆うために用いられうるシステムのブロック図である。
【
図20】本開示の一実施形態による、
図19の例示的なシステムの斜視断面図である。
【
図21】本開示の一実施形態による、
図20に示したシステムの斜視底面図である。
【
図22】本開示の一実施形態による、
図20に示したシステムで用いられうるキャップの斜視断面図である。
【
図23】本開示の一実施形態による、
図20に示したシステムで用いられうる代替的なキャップの斜視断面図である。
【
図24】本開示の一実施形態による、
図19による代替的なシステムの斜視断面図である。
【
図27】面から突出する留め具の一部を覆う例示的な方法のフローチャートである。
【
図28】面から突出する留め具の一部を使用するキャップを包装する例示的な方法のフローチャートである。
【
図29】様々な向きで面から突出している留め具のうち、選択された留め具の一部を覆う例示的な方法のフローチャートである。
【
図30】面から突出する留め具の一部を覆う方法の代替例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0102】
ここに記載する実施形態は、面から突出する留め具の一部をキャップで覆うことを容易にするシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示の様々な実施形態によるシステムは、キャップが留め具にポジティブに係合できるようにすることによって、キャップをより簡単に留め具に取り付けられるようにする1つ又はそれ以上の特徴的構造を含む。実施形態によっては、当該キャップは、留め具の取り付け後にキャップ内にシーラントを注入可能とする特徴、及び、工具を用いたキャップの取り外し及び/又は交換を可能とする特徴を有する。従って、ここに記載したシステムによれば、留め具にキャップを自動的に取り付けることが可能となり、これによって関連するアセンブリの製造時間を短くすることができるであろう。
【0103】
図面を参照しつつ、本開示の実施形態を、航空機の製造及びサービス方法100(
図1に示す)に関連させ、且つ、航空機102(
図2に示す)を取り上げて、説明する。仕様決定及び設計104を含む生産開始前の工程では、航空機102のデータが用いられ、製造プロセスでは、航空機に関連する他の材料の調達が行われる(106)。生産中の工程としては、部品及び小組立品(subassembly)の製造108、及び、航空機102のシス
テムインテグレーション110が行われ、その後、航空機102は、認証及び納品112の工程に入る。機体の認証が無事完了すると、航空機102は就航114に入る。顧客に
よるサービス中は、航空機102は、定例のメンテナンス及びサービス116のスケジュールに組み込まれ、これは、例えば、調整、変更、及び/又は再磨き上げなどを含む。
【0104】
航空機の製造及び/又はサービス方法100に関連する各部分及び各工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実行または実施することができる。説明のために言及すると、システムインテグレーターは、航空機メーカー及び主要システム(majority-system)下請業者をいくつ含んでいてもよいが、
これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体(military entity)、サービス組織(service organization)などであってもよい。
【0105】
図2に示すように、方法100によって製造される航空機102は、例えば、複数のシステム120と内装122とを備えた機体118を含む。ハイレベルシステム120の例としては、1つ又はそれ以上の駆動系124、電気系126、油圧系128、及び/又は環境系130が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。また、航空産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの航空機産業以外の産業に適用してもよい。
【0106】
ここに例示した装置及び方法は、方法100における、1つ又はそれ以上のどの段階において採用してもよい。例えば、部品製造工程108で作製される部品又は小部品は、航空機102のサービス段階で作製される部品又は小部品と同様に作製することができる。また、1つまたはそれ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、例えば、実質的に航空機102の組み立て速度を速めたりコストを削減したりすることによって、製造工程108及び110で用いてもよい。同様に、1つまたはそれ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、航空機102のサービスまたはメンテナンス中に、例えば、メンテナンス及びサービス116に用いてもよいが、これに限定されない。
【0107】
本明細書で用いられる「航空機」は、飛行機、無人航空機(UAV)、グライダー、ヘリ
コプター、及び/又は、上空を飛行するその他の物体を含み、特に限定されない。
【0108】
図3は、航空機102と関連付けられうる例示的な航空機アセンブリ200の概略図である。航空機アセンブリ200は、外皮202と、ストリンガー204と、外皮202及びストリンガー204を貫通する留め具210とを含む。留め具210の部分212は、ストリンガー204の面206から航空機アセンブリ20の内部208に突出している。一実施形態においては、内部208は、燃料(図示せず)を貯蔵するように構成されている。従って、システム220を用いて部分212を覆うことにより、留め具210からの電磁エネルギーの放出及び/又は高温の粒子の放出をより確実に防止することができ、内部208における燃料の着火を防止することができる。
【0109】
図4~14を参照して説明すると、本開示の一実施例は、留め具210(
図3に示す)の部分212を使用するシステム220に関する。システム220は、歯230及びキャップ250を有する。キャップ250は、内部252、外面254、壁部256、基部258、基部258に連結されたシール260を有する。内部252の少なくとも一部は、壁部256及び基部258によって規定されている。内部252は、面262と、面262に設けられており、歯230にポジティブに係合する爪部264とをさらに有する。本文書において、「ポジティブに係合する」及び/又は「ポジティブな係合」とは、取り付けよりも取り外しの方が大きな力を要することを意味する。歯230は、テーパー面232を有しており、壁部256には少なくとも1つの開口270が形成されている。
【0110】
図4において、システム220の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ線は、例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的な連結及び/又はその他の組み合わせを表す。また、
図4に示したもの以外の連結が存在する場合もある。システム220の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ破線は、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する連結を表す場合がある。ただし、破線で表わした連結は、選択的に設けられるもの、あるいは、本開示における代替的または任意の実施形態に関するものである。同様に、システム220の破線で表わした要素及び/又は部品は、本開示における代替的または任意の実施形態を表す。
【0111】
図4~8を参照して説明すると、システム220はキャップ250を有し、当該キャップは、内部252、内部252の少なくとも一部を規定する基部258、内部252に設けられた爪部264を有する。一実施形態において、システム220は、留め具210に協働するように構成され且つ爪部264にポジティブに係合するように構成された歯230を含む。一実施形態において、歯230は、留め具210の頭部214から離れる方向を向くテーパー面232(例えば
図3)を有する。使用の際には、留め具210の部分212にキャップ250をかぶせる際に、テーパー面232があることによって、爪部264が摺動し、容易に歯230にポジティブに係合することができる。
【0112】
図8及び
図11を参照して説明すると、一実施形態において、歯230は、留め具210にねじ込み式に係合するように構成されている。
図8に示すように、システム220は、留め具210に連結されるように構成されたナット280をさらに備える。ナット280が歯230を含んでいる。一実施形態において、歯230の一方側は、ナット280の外面284に形成された溝282によって規定されている。これに代えて、歯230は、圧嵌(interference fit)によって留め部210に連結するように構成されてもよいし、あるいは、留め具210と一体的に形成してもよい。
【0113】
図5を参照して説明すると、一実施形態において、歯230は、歯230に対して圧接状態で装着されるように構成された爪部264にポジティブに係合する。一実施形態において、爪部264は、内部252で互いに周方向に間隔をあけて設けられており、各爪部264は、基部258に近位の第1端部266と、基部258から遠位の第2端部268とを有する。例えば、第1端部266は、内部252の面262に繋がっていてもよい。
図9に示すように、一実施形態において、第2端部268の幅は、第1端部266の幅よりも大きい。このように、第2端部268の幅を大きくすることによって、爪部264の数を減らしても、キャップ250の内部252の略周方向にわたって爪部が伸びる状態とすることができる。
【0114】
爪部264は、本明細書に記載したようにシステム220を機能させるものであれば、いかなる材料によって形成してもよい。より具体的には、爪部264を可撓性の材料で形成することによって、留め具210の部分212をキャップ250で覆う際に爪部264が弾性変形するようにし、これによって、歯230と爪部264とが簡単に係合するようにしてもよい。例えば、留め具210の部分212をキャップ250で覆う際に、爪部264が留め具210から径方向外側に弾性変形するようにしてもよい。このように、爪部264の材料及び寸法は、爪部の長軸を略横切る方向に弾性変形可能となり、且つ、爪部264が十分な軸方向の剛性を有することによって爪部264と歯210とのポジティブな係合が行えるように、選択される。
【0115】
図10及び
図12に示すように、一実施形態において、キャップ250は、内部252の少なくとも一部を規定する壁部256、及び、壁部256を貫通する少なくとも1つの開口270を有する。一実施形態において、上記少なくとも1つの開口270は、シーラント(図示せず)を入れるように構成された注入口272と、内部252から空気を逃が
すように構成された通気口274とを含む。通気口274を設けることによって、内部252でのエアーポケットの形成が抑制され、内部252を実質的にシーラントで満たすことができる。一実施形態において、注入口272の直径は、通気口274の直径より大きい。これによれば、シーラントを内部252に注入して内部をシーラントで満たす際に、通気口274の直径がより小さいことによって、通気口からシーラントが流出するのを抑制することができる。代替の実施形態においては、壁部256は実質的に中実であり、少なくとも1つの開口270を有しない。
【0116】
キャップ250は、留め具210から航空機アセンブリ200の内部208(
図3に示す)への電磁エネルギーの放出及び/又は高温粒子の放出を確実に防止できるように構成される。例えば、キャップ250は、非導電性材料によって形成してもよい。材料の例としては、ナイロン材料、ガラス繊維入りナイロン材料、エポキシ材料、ガラス繊維入りエポキシ材料があるが、これらに限定されない。また、キャップ250の内部252に注入されたシーラント及び壁部256の厚みによって、留め具210の電気的絶縁が促進される。代替の実施形態においては、シーラントを用いずに留め具210を電気的に絶縁することができるように、壁部256の厚みを選択及び/又は増加させる。キャップ250の外面254は凸状であってもよいし、及び/又は、直径に対する長さの比が約3対1未満であることによって、留め具210からの電磁エネルギーの放出が確実に防止されるようにしてもよい。
【0117】
上述したように、一実施形態においては、シール260は、基部258に取り付けられることにより、面206に係合する(
図3に示す)。シール260は、基部258と一体構造であってもよいし、
図5、
図10、
図12に示すように基部258とは別体であってもよい。例えば
図5に示すように、一実施形態において、シール260は、基部258に形成された溝261に収容されている。これに代えて、他の適当な連結機構及び/又は接着剤によって、シール260を基部258に取り付けてもよい。
【0118】
例えば
図3を参照して説明すると、一実施形態において、シール260は、爪部264を歯230に対して付勢するように構成されている。より具体的には、使用時に、留め具210の部分212を覆うようにキャップ250を取り付けた際、基部258と面206との間でシール260が圧縮されてもよい。例えば、キャップ250を取り付ける際には、キャップ250に力を付与して面206に対してシール260を圧接させ、爪部264の第2端部268と歯230とを係合させる。この力を取り除くと、シール260が膨張してキャップ250を面206から遠ざかる方向に付勢し、爪部264が歯230にポジティブに係合する。シール260は、少なくとも部分的に圧縮された状態を維持することにより、キャップ250が面206に対してシールされうる。
【0119】
シール264は、本明細書に記載したようにシステム220を機能させるものであれば、いかなる材料によって形成してもよい。より具体的には、シール260は、燃料リッチ環境において長期にわたる使用に耐えることができ、圧縮状態において弾性を維持可能な材料によって形成すればよい。材料の例としては、フルオロシリコーン材料があるが、これに限定されない。
【0120】
図10~
図14を参照して説明すると、一実施形態において、システム220は、留め具210に連結するように構成された鍔部286を有し、当該鍔部286が歯230を備える。
図12~
図14を参照して説明すると、一実施形態において、システム220は、鍔部286を留め具210に連結するように構成された保持部材288をさらに有する。より具体的には、保持部材288は、留め具210の部分212に圧嵌によって取り付けられることによって、鍔部286が留め具210の長軸218方向に移動するのを防止する。システム220は、さらに、鍔部286と面206(
図3に示す)との間に位置する
スペーサ290を有しており、一実施形態においては、これによって、歯230と面206との間に間隔が形成されるため、爪部264と歯230との係合が容易に行えるようになる。
【0121】
再び
図12~
図14を参照して説明すると、一実施形態において、爪部264は、歯230に対して引張状態で装着される構成とされている。より具体的には、一実施形態において、爪部264は、基部258から遠位の第1端部266、及び、基部258に向かって伸び、歯230とポジティブに係合する第2端部268を有する。例えば、第2端部268の少なくとも一部は、基部258に向かって伸びることにより歯230と面206(
図3)との間の空間に位置し、付勢されて歯230の下部と係合する。従って、スペーサ290は、爪部264が歯230にポジティブに係合することを可能にする厚みであれば、いかなる厚みのものでもよい。
【0122】
面206から突出する留め具210の部分212を覆う方法(
図27に示す)も提供される。当該方法は、歯230を有する留め具210を提供すること330、及び、壁部256と、基部258と、壁部256及び基部258によって少なくとも一部が規定された内部252と、内部252に設けられた爪部264とを有するキャップ250を提供すること332を含む。当該方法は、留め具210の部分212をキャップ250で覆うこと334と、爪部264を歯230にポジティブに係合させること336とをさらに含む。
【0123】
実施形態によっては、爪部264は、歯230に対して圧縮状態で装着される又は歯230に対して引張状態で装着されることによって、歯にポジティブに係合する。また、一実施形態において、上述したように、爪部264を歯230にポジティブに係合させることは、爪部264を歯230にポジティブに係合させる前に、歯230に対して爪部264を弾性変形させることを含む。一実施形態において、爪部264を歯230にポジティブに係合させることは、シール260を用いて爪部264を歯230に対して付勢することをさらに含む。
【0124】
一実施形態において、歯230を有する留め具210を提供することは、歯230を留め具210に取り付けること、又は、歯230を留め具210に一体的に形成することを含む。一実施形態において、歯230を留め具210に取り付けることは、歯230を留め具210にねじこみ式に係合させること、又は、保持部材288を用いて歯230を留め具210に取り付けることを含む。また、一実施形態において、歯230を留め具210に取り付けることは、歯230を面206の近位に配置する、又は、歯230を面206から遠位に配置することを含む。より具体的には、歯230の位置は、爪部264を歯230に対して圧縮状態で装着するか、引張状態で装着するかによって選択される。例えば、爪部264を歯230に対して圧縮状態で装着しようとする場合は、歯230を面206から遠位に配置する。これとは異なり、爪部264を歯230に対して引張状態で装着しようとする場合は、歯230を面206の近位に配置する。
【0125】
上述したように、一実施形態において、キャップ250は、壁部256を貫通する少なくとも1つの開口270を有する。一実施形態において、少なくとも1つの開口270は、単一の開口であってもよい。一実施形態において、上記方法は、面206に対して基部258をシールすること、内部252に真空を形成すること、内部252にシーラントを注入することをさらに含む。一実施形態において、内部252に真空を形成することは、単一の開口から内部252の空気を抜くことを含む。従って、内部252から空気を抜くことによって、内部252にエアーポケットが形成されるのを抑制し、これによって、シーラントによって内部252を実質的に満たすことができる。
【0126】
一実施形態において、内部252に注入するシーラントの量を選択することによって、
過剰量のシーラントの使用を防止し、清掃しやすくすると共に、航空機102(
図2に示す)の軽量化をはかってもよい。従って、一実施形態において、シーラントを注入することは、所定量のシーラントを単一の開口から内部252に注入することを含む。より具体的には、一実施形態において、所定量のシーラントを注入することは、内部252の空き容積に基づいて、内部252を満たすことができるシーラントの量を決定することを含む。一実施形態において、単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することによって、過剰量のシーラントの使用を回避する。所定の背圧は、内部252が実質的にシーラントで満たされたことを示すのに適した背圧を選択すればよい。
【0127】
これに代えて、一実施形態において、上記方法は、面206に対して基部258をシールすること、少なくとも1つの開口270から内部252にシーラントを注入すること、少なくとも1つの開口270から内部252の空気を逃がすこと、をさらに含む。一実施形態において、上記少なくとも1つの開口は、注入口272及び通気口274を含み、シーラントは注入口272から内部252に注入され、内部252の空気が通気口274から排気される。次に、シーラントを硬化させることによって、留め具210に対するキャップ250の接合を、より確実なものとする。
【0128】
面206から突出する留め具210の部分212を覆う際に用いるキャップ250をパッケージングする方法(
図28に示す)も提供される。キャップ250は、面262を有する内部252を含む。当該方法は、内面262にシーラントが付着しやすいようにほぼ清潔な状態とされたキャップ250を提供すること338と、キャップ250の少なくとも一部を封止すること340とを含む。キャップ250のほぼ清潔な状態は、清潔な環境下で製造された場合、及び/又は、キャップ250の製造後に内面262を洗浄した場合に得られることになろう。
【0129】
一実施形態において、キャップ250の少なくとも一部を封止すること340は、キャップ250の内部252を封止すること、又は、キャップ250全体を密閉容器(図示せず)内に封入することを含む。より具体的には、一実施形態において、キャップ250の内部252を封止することは、内部252の少なくとも一部を規定する基部258を備えるキャップ250を提供することと、フィルムシール259(
図4に示す)を基部258に取り付けることとを含む。このように、キャップ250を封止すること340を行うことによって、内面262に対するシーラントの接着力を低下させるおそれのある汚染物質にキャップ250が曝露されるのを抑制することができる。また、キャップ250の封止工程340を行うことによって、使用者は、パッケージから取り出した後にキャップ250を洗浄せずにキャップ250を留め具210に取り付けることができるので、キャップの取り付けにかかる時間を減らすことができる。
【0130】
本開示の一実施例は、留め具210の部分212を使用するシステムに関し、当該留め具は、様々な向きで面から突出している留め具210の中から選択されたものである。当該システムは、キャップの集合体を含む。各集合体は、複数の向きの1つに対応付けられており、各集合体のキャップは、少なくとも1つの特徴において、他の集合体のキャップとは異なっている。一実施形態において、上記少なくとも1つの特徴は、キャップのそれぞれに形成された少なくとも1つの開口の位置であってもよい。上記少なくとも1つの開口は、覆う留め具の向きに応じてキャップ250の異なる位置に形成された注入口272及び通気口274を含んでいてもよい。より具体的には、シーラントを内部252に注入する際に、内部252にエアーポケットが形成されるのを確実に抑制することができるように、注入口272及び通気口274の位置を選択してもよい。例えば、キャップ250を取り付けた際に、小径の通気口274が、注入口272よりも高い位置となるようにしてもよい。このようにすれば、シーラントが注入口272から注入される際に、通気口274が実質的に塞がることがなく、内部252の空気を通気口から逃がすことができる。
これに代えて、少なくとも1つの開口は、キャップ250において、キャップ250の他の部分よりも低い位置に設けられた単一の注入口272であってもよい。
【0131】
一実施形態において、個別の識別手段をキャップの集合体のそれぞれに対応付けることにより、どの集合体のキャップを用いて、面から所定の向きで突出している留め具を覆えばよいかを、使用者が簡単にわかるようにする。一実施形態において、この個別の識別手段は、色、及び/又は、キャップの各集合体に対応付けられたパッケージであってもよい。より具体的には、異なる色を、キャップの集合体ごとに対応付けてもよいし、キャップの形成に用いられている材料及び/又はキャップのパッケージに対応付けしてもよい。
【0132】
図30に示すように、一実施形態において、システム350は、キャップの第1の集合体352aと、キャップの第2の集合体352bとを含む。集合体352a、352bは、複数の向きで面から突出する留め具を覆うためのものであり、各集合体は、複数の向きの1つに対応付けられている。一実施形態において、第1の集合体352aは、第1のキャップ250a及び第2のキャップ250bを含んでおり、第2の集合体352bは、第1のキャップ250c及び第2のキャップ250dを含んでいる。各集合体には、個別の識別手段が対応付けられている。より具体的には、第1の集合体352aには、第1の個別の識別手段354aが対応付けられており、第2の集合体352bには、第2の個別の識別手段354bが対応付けられている。従って、一実施形態において、第1の集合体352aのキャップ250a及び250bは、それぞれが第1の個別の識別手段354aを有しており、第2の集合体352bのキャップ250c及び250dは、それぞれが第2の個別の識別手段354bを有している。
【0133】
様々な向きで面から突出している留め具の中から選択した留め具の一部を覆う方法(
図29に示す)も提供される。当該方法は、キャップ250の集合体を提供すること342を含み、ここで各集合体は、留め具の複数の向きの1つに対応付けられている。上述したように、各集合体のキャップ250は、少なくとも1つの特徴において、他の集合体のキャップとは異なっている。当該方法は、留め具210の向きを特定すること344と、当該留め具210の向きに対応付けられたキャップ250の集合体からキャップ250を選択すること346と、留め具210の部分212を選択したキャップ250で覆うこと348とをさらに含む。
【0134】
図15~
図18を参照して説明すると、本開示の一実施例は、面206(
図3に示す)から突出する留め具210の部分212を使用するキャップ250に関する。部分212は、ねじ山216(
図3)を有する。キャップ250は、内部252と、内部252の少なくとも一部を規定する基部258と、内部252に設けられており、留め具210の部分212とねじ込み式に係合するように構成されたねじ山付き受け部292と、基部258に取り付けられており、面206と係合するシール260とを有する。
【0135】
図15において、キャップ250の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ線は、例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的な連結及び/又はその他の組み合わせを表す。また、
図15に示したもの以外の連結が存在する場合もある。キャップ250の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ破線は、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する連結を表す場合がある。ただし、破線で表わした連結は、選択的に設けられるもの、あるいは、本開示における代替的または任意の実施形態に関するものである。同様に、キャップ250の破線で表わした要素及び/又は部品は、本開示における代替的または任意の実施形態を表す。
【0136】
図16~18及び
図21を参照して説明すると、一実施形態において、キャップ250は、基部258によって部分的に規定されており且つ工具(図示せず)を用いて操作でき
る形状とされた外面254を有する。より具体的には、外面254の形状は、1つ又はそれ以上の特徴を有しており、当該特徴によって、工具がキャップ250に係合し且つキャップを長軸218周りに回転させることができ、これによってねじ山つき受け部292が留め具210のねじ山216にねじ込み式に係合するようになっている。例えば、一実施形態において、
図17に示すように、上記特徴は、少なくとも1つの平面255を含む。別の実施形態においては、
図21に示すように、上記特徴は、少なくとも1つの突起257を含む。一実施形態においては、基部258をキャップ250の他の部分よりも大きな断面形状とすることによってリップ(lip)を形成し、これによって、留め具210を覆う
際に、工具によってキャップ250を面206に対して押し付けることができるようにしてもよい。
【0137】
面206から突出する留め具210の部分212を覆う方法も、提供される。部分212は、ねじ山216を有する。当該方法は、壁部256と、基部258と、壁部256及び基部258によって少なくとも一部が規定された内部252と、内部252に設けられたねじ山つき受け部292と、を有するキャップ250を提供することと、ねじ山つき受け部292を留め具210の部分212にねじ込み式に係合させることと、キャップ250の基部258を面206に対してシールすることと、を含む。
【0138】
上述したように、一実施形態において、キャップ250は、壁部256を貫通する少なくとも1つの開口270を有する。一実施形態において、少なくとも1つの開口270は、単一の開口であってもよい。一実施形態において、上記方法は、面206に対して基部258をシールすること、内部252に真空を形成すること、内部252にシーラントを注入することをさらに含む。一実施形態において、内部252に真空を形成することは、単一の開口から内部252の空気を抜くことを含む。従って、内部252から空気を抜くことによって、内部252にエアーポケットが形成されるのを抑制し、これによって、シーラントによって内部252を実質的に満たすことができる。
【0139】
一実施形態においては、内部252に注入するシーラントの量を選択することによって、過剰量のシーラントの使用を防止し、清掃しやすくすると共に、航空機102(
図2に示す)の軽量化をはかってもよい。従って、一実施形態において、シーラントを注入することは、所定量のシーラントを単一の開口から内部252に注入することを含む。より具体的には、一実施形態において、所定量のシーラントを注入することは、内部252の空き容積に基づいて、内部252を満たすことができるシーラントの量を決定することを含む。一実施形態において、単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することによって、過剰量のシーラントの使用を回避する。所定の背圧は、内部252が実質的にシーラントで満たされたことを示すのに適した背圧を選択すればよい。
【0140】
これに代えて、一実施形態において、当該方法は、面206に対して基部258をシールすること、少なくとも1つの開口270から内部252にシーラントを注入すること、少なくとも1つの開口270から内部252の空気を逃がすこと、をさらに含む。一実施形態において、上記少なくとも1つの開口は、注入口272及び通気口274を含み、シーラントは注入口272から内部252に注入され、内部252の空気は通気口274から排気される。次に、シーラントを硬化させることによって、留め具210に対するキャップ250の接合を、より確実なものとする。
【0141】
図19~
図26を参照して説明すると、本開示の一実施例は、面206(
図3に示す)から突出する留め具210の部分212を使用するシステム220に関する。当該システムは、内部252と、内部252の少なくとも一部を規定する基部258と、内部252に設けられた少なくとも1つのカム302とを有するキャップ250を含む。より具体的には、カム302は、内部252の面262に設けられている。
図22及び
図23におい
て、カム302は、切り欠き304及びテーパー面306を有する。システム220は、内部252の少なくとも一部を規定する壁部256、基部258に取り付けられており面206(
図3に示す)に係合するシール260、及び、少なくとも1つのタブ310をさらに含む。一実施形態において、
図20及び
図24に示すように、壁部256には、少なくとも1つの開口270が形成されており、タブ310は留め具210に連結されて少なくとも1つのカム302にポジティブに係合している。
【0142】
図19において、システム220の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ線は、例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的な連結及び/又はその他の組み合わせを表す。また、
図19に示したもの以外の連結が存在する場合もある。システム220の様々な要素及び/又は部品を繋ぐ破線は、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する連結を表す場合がある。ただし、破線で表わした連結は、選択的に設けられるもの、あるいは、本開示における代替的または任意の実施形態に関するものである。同様に、システム220の破線で表わした要素及び/又は部品は、本開示における代替的または任意の実施形態を表す。
【0143】
図20~
図22を参照して説明すると、タブ310は、適当な固定機構を用いて留め具210に取り付けられてもよい。例えば、一実施形態において、システム220は、留め具210に取り付けられるように構成された鍔部312を含む。鍔部312は、少なくとも1つのタブ310を含む。一実施形態において、システム220は、鍔部312を留め具210にとりつけるように構成された保持部材288をさらに含む。より具体的には、保持部材288は、留め具210の部分212に圧嵌によって取り付けられることにより、鍔部312が留め具210の長軸218に沿って動くのを防止する。
【0144】
図20を参照して説明すると、一実施形態において、少なくとも1つのタブ310は、面206(
図3に示す)から距離Dだけ離間しており、これによりタブ310がカム302に係合可能となっている。より具体的には、鍔部312の部分313は厚みTを有しており、これによってタブ310が面206から距離Dだけ離間している。これに代えて、一実施形態において、
図24~
図26に示すように、少なくとも1つのタブ310は、面206から離れる方向に傾斜しており、これによってスペーサを用いることなくカム302と係合可能になっている。カム302の面306は、タブ310と実質的に同じ角度で径方向に傾斜しており、タブ310がカムに完全に係合するとテーパー面306に噛み合うようになっている。
【0145】
実施形態によっては、少なくとも1つのカム302は、
図22に示すように内部252の面262から延びている、または、
図23に示すように内部252の面262内に凹んでいる。例えば、一実施形態において、
図20~
図22を参照すると、カム302はテーパー面306と、少なくとも1つのタブ310にポジティブに係合するための切り欠き304と、ストッパ部308とを有する。一実施形態において、テーパー面306は、キャップ250の基部258とは反対方向を向いており、これによってタブ310とカム302とのポジティブな係合が容易に行えるようになっている。少なくとも1つのカム302は、複数のカムを含んでいてもよく、タブ310は、隣接するカム302の間に形成された間隙314に収容される複数のタブを含んでいてもよい。タブ310とカム302とをポジティブに係合させるには、タブ310を間隙314に位置させた後、キャップ250を方向320に回転させる。タブ310は、切り欠き304(
図22に示す)に噛み合う大きさに形成されており、タブ310が一旦カム302と係合すると後退して外れることがないようになっている。
【0146】
図23を参照して説明すると、カム302は、内部252の面262に凹んでいる。より具体的には、カム302は、軸方向スロット316と、軸方向スロット316から内部
252のまわりを周方向に延びる横方向スロット318とを有する。横方向スロット318は、タブ310にポジティブに係合するための切り欠き304も有する。操作においては、キャップ250を留め具210にかぶせる際に、タブ310を軸方向スロット316に挿入する。次に、キャップ250を方向320に回転させることによって、一旦タブ310が切り欠き304に入ると、タブ310とカム302とがポジティブに係合するようにする。
【0147】
面206から突出する留め具210の一部を覆う方法も、提供される。当該方法は、壁部256と、壁部256によって少なくとも一部が規定された内部252と、内部252に設けられた少なくとも1つのカム302とを有するキャップ250を提供することを含む。当該方法は、少なくとも1つのタブ310を留め具210と連結することと、留め具210の部分212にキャップ250をかぶせることと、キャップ250を回転させて少なくとも1つのカム302を少なくとも1つのタブ310と係合させることと、をさらに含む。一実施形態において、キャップ250を回転させることは、少なくとも1つのカム302を少なくとも1つのタブ310とポジティブに係合させることを含む。
【0148】
上述したように、一実施形態において、キャップ250は、壁部256を貫通する少なくとも1つの開口270を有する。一実施形態において、少なくとも1つの開口270は、単一の開口であってもよい。一実施形態において、当該方法は、面206に対して基部258をシールすること、内部252に真空を形成すること、内部252にシーラントを注入することをさらに含む。一実施形態において、内部252に真空を形成することは、単一の開口から内部252の空気を抜くことを含む。従って、内部252から空気を抜くことによって、内部252にエアーポケットが形成されるのを抑制し、これによって、シーラントによって内部252を実質的に満たすことができる。
【0149】
一実施形態においては、内部252に注入するシーラントの量を選択することによって、過剰量のシーラントの使用を防止し、清掃しやすくすると共に、航空機102(
図2に示す)の軽量化をはかってもよい。従って、一実施形態において、シーラントを注入することは、所定量のシーラントを単一の開口から内部252に注入することを含む。より具体的には、一実施形態において、所定量のシーラントを注入することは、内部252の空き容積に基づいて、内部252を満たすことができるシーラントの量を決定することを含む。一実施形態において、上記1つの開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することによって、過剰量のシーラントの使用を回避する。所定の背圧は、内部252が実質的にシーラントで満たされたことを示すのに適した背圧を選択すればよい。
【0150】
これに代えて、一実施形態において、当該方法は、面206に対して基部258をシールすること、少なくとも1つの開口270から内部252にシーラントを注入すること、少なくとも1つの開口270から内部252の空気を逃がすこと、をさらに含む。一実施形態において、上記少なくとも1つの開口は、注入口272及び通気口274を含み、シーラントは注入口272から内部252に注入され、内部252の空気は通気口274から排気される。次に、シーラントを硬化させることによって、留め具210に対するキャップ250の接合を、より確実なものとする。
【0151】
また、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0152】
付記1 面から突出する留め具の部分を覆う際に使用するキャップであって、上記部分はねじ山を有する構成において、
内部と、
内部の少なくとも一部を規定する基部と、
内部に設けられており、留め具の上記部分とねじ込み式に係合するように構成されたね
じ山つき受け部と、
基部に取り付けられており、上記面に係合するシールと、を備えるキャップ。
【0153】
付記2 基部によって一部が規定されており且つ工具によって操作可能な形状に構成された外面をさらに備える、付記1に記載のキャップ。
【0154】
付記3 外面は、少なくとも1つの平面を有する、付記2に記載のキャップ。
【0155】
付記4 外面は、少なくとも1つの突起を有する、付記2に記載のキャップ。
【0156】
付記5 基部は、キャップの他の部分よりも大きな断面を有する、付記2に記載のキャップ。
【0157】
付記6 面から突出する留め具の部分を覆う方法であって、上記部分はねじ山を有する構成において、
壁部と、基部と、壁部及び基部によって少なくとも一部が規定された内部と、内部に設けられたねじ山つき受け部とを有するキャップを提供し、
ねじ山つき受け部を留め具の上記部分にねじ込み式に係合させ、
キャップの基部を上記面にシールする、ことを含む、方法。
【0158】
付記7 キャップは、壁部を貫通する少なくとも1つの開口を有する、付記6に記載の方法。
【0159】
付記8 少なくとも1つの開口は、単一の開口である、付記7に記載の方法。
【0160】
付記9 上記面に基部をシールし、内部に真空を形成し、内部にシーラントを注入すること、をさらに含む、付記8に記載の方法。
【0161】
付記10 内部に真空を形成することは、単一の開口から内部の空気を抜くことを含む、付記9に記載の方法。
【0162】
付記11 シーラントを注入することは、所定量のシーラントを単一の開口から内部に注入することを含む、付記9に記載の方法。
【0163】
付記12 所定量のシーラントを注入することは、内部の空き容積に基づいて、シーラントの上記所定量を決定することを含む、付記11に記載の方法。
【0164】
付記13 単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することをさらに含む、付記9に記載の方法。
【0165】
付記14 上記面に基部をシールし、少なくとも1つの開口から内部にシーラントを注入し、少なくとも1つの開口から内部の空気を逃がす、ことをさらに含む、付記6に記載の方法。
【0166】
付記15 少なくとも1つの開口は、注入口及び通気口を含む、付記14に記載の方法。
【0167】
付記16 シーラントは注入口から内部に注入され、内部の空気は通気口から排気される、付記15に記載の方法。
【0168】
付記17 面から突出する留め具の一部を覆う際に使用するシステムであって、
内部と、
内部の少なくとも一部を規定する基部と、
内部に設けられた少なくとも1つのカムと、
を備えるキャップを備えるシステム。
【0169】
付記18 留め具に取り付けられることにより少なくとも1つのカムに係合する少なくとも1つのタブをさらに含む、付記17に記載のシステム。
【0170】
付記19 留め具に取り付けられるように構成された鍔部をさらに備え、上記鍔部が、上記少なくとも1つのタブを含む、付記18に記載のシステム。
【0171】
付記20 鍔部を留め具に取り付けるように構成された保持部材をさらに含む、付記19に記載のシステム。
【0172】
付記21 少なくとも1つのタブは、上記面から所定距離離間している、付記18に記載のシステム。
【0173】
付記22 少なくとも1つのタブは、上記面から離れる方向に傾斜している、付記18に記載のシステム。
【0174】
付記23 上記少なくとも1つのカムは、複数のカムである、付記17に記載のシステム。
【0175】
付記24 上記少なくとも1つのカムは、内部の面から延出している、付記17に記載のシステム。
【0176】
付記25 上記少なくとも1つのカムは、内部の面に凹んでいる、付記17に記載のシステム。
【0177】
付記26 上記少なくとも1つのカムは、テーパー面を有する、付記17に記載のシステム。
【0178】
付記27 テーパー面は、キャップの基部とは反対方向を向いている、付記26に記載のシステム。
【0179】
付記28 上記少なくとも1つのカムは、上記少なくとも1つのタブにポジティブに係合するための切り欠きを含む、付記18に記載のシステム。
【0180】
付記29 キャップは、内部の少なくとも一部を規定する壁部と、壁部を貫通する少なくとも1つの開口と、をさらに有する、付記17に記載のシステム。
【0181】
付記30 上記少なくとも1つの開口は、シーラントを入れるように構成された注入口と、内部から空気を逃がすように構成された通気口とを含む、付記29に記載のシステム。
【0182】
付記31 キャップは、基部に取り付けられており上記面に係合するシールをさらに備える、付記17に記載のシステム。
【0183】
付記32 面から突出する留め具の部分を覆う方法であって、
壁部と、壁部によって少なくとも一部が規定される内部と、内部に設けられた少なくとも1つのカムとを含むキャップを提供し、
少なくとも1つのタブを留め具に取り付け、
留め具の上記部分にキャップをかぶせ、
キャップを回転させることによって上記少なくとも1つのカムを上記少なくとも1つのタブと係合させる、ことを含む、方法。
【0184】
付記33 キャップを回転させることは、上記少なくとも1つのカムを上記少なくとも1つのタブとポジティブに係合させることを含む、付記32に記載の方法。
【0185】
付記34 キャップは、壁部を貫通する少なくとも1つの開口を含む、付記32に記載の方法。
【0186】
付記35 上記少なくとも1つの開口は、単一の開口である、付記34に記載の方法。
【0187】
付記36 基部を上記面にシールし、内部に真空を形成し、内部にシーラントを注入する、ことをさらに含む、付記35に記載の方法。
【0188】
付記37 内部に真空を形成することは、単一の開口から内部の空気を抜くことを含む、付記36に記載の方法。
【0189】
付記38 シーラントを注入することは、単一の開口から所定量のシーラントを内部に注入することを含む、付記36に記載の方法。
【0190】
付記39 所定量のシーラントを注入することは、内部の空き容積に基づいて、シーラントの上記所定量を決定することを含む、付記38に記載の方法。
【0191】
付記40 単一の開口で所定の背圧が検出されるとシーラントの注入を中止することをさらに含む、付記36に記載の方法。
【0192】
付記41 基部を上記面にシールし、少なくとも1つの開口から内部にシーラントを注入し、少なくとも1つの開口から内部の空気を逃がす、ことをさらに含む、付記34に記載の方法。
【0193】
付記42 少なくとも1つの開口は、注入口と通気口とを含む、付記41に記載の方法。
【0194】
付記43 シーラントは注入口から内部に注入され、内部の空気は通気口から排気される、付記42に記載の方法。
【0195】
この説明では、実施例を用いることによって、ベストモードを含め様々な実施形態を開示し、且つ、装置又はシステムの製造及び使用、及び、組み込まれた方法の実行を含めて、当業者が様々な実施形態を実行することができるようにしている。本開示の特許を求める範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が思い付く他の実施例を含み得る。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構成要素を有する場合、あるいは、特許請求の範囲の文言とは僅かな相違しか有しない均等の構成要素を含む場合に、特許請求の範囲に含まれる。