(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】蓄電を改善するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01G 15/00 20130101AFI20240222BHJP
H01G 11/14 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/52 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/62 20130101ALI20240222BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240222BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
H01G15/00
H01G11/14
H01G11/52
H01G11/62
H01G11/78
H02J15/00 D
(21)【出願番号】P 2022055885
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2020514222の分割
【原出願日】2018-08-30
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516218993
【氏名又は名称】クリアウォーター ホールディングス,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューマーク ジー ノア
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ スティーブン エム
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0365600(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0229743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0066157(US,A1)
【文献】特開平09-231962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/00-17/00
H01M 10/44
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギ貯蔵装置を充電する方法であって、
少なくとも1セットの磁石及び少なくとも1つのコイルアセンブリを含む電磁機械に隣接して、又は前記電磁機械の内部に前記電気エネルギ貯蔵装置を配置し、
前記電磁機械を回転させて、(i)前記少なくとも1つの磁石セットが前記少なくとも1つのコイルアセンブリに対して回転すること、(ii)前記少なくとも1つのコイルアセンブリが前記少なくとも1つの磁石セットに対して回転すること、又は(iii)これらの(i)及び(ii)の両方の回転を引き起こし、
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリの回転に応じて、前記電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギを生成すること、
を含む方法。
【請求項2】
電源が前記電気エネルギ貯蔵装置に電気的に結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電源は、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリ
が回転している期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与
することによって、前記電磁機械が停止しているあいだに、同じ期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合よりも多い量の電気エネルギが前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵される、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリ
が回転している期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与することによって
、前記電磁機械が停止しているあいだに、より長い期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合と同じ量の電気エネルギが前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵される、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリ
が回転している期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与することによって、前記電磁機械が停止しているあいだに、前記電気エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合よりも多い最大電気エネルギ量を前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵することを可能にする、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
回転する前
記電磁機械は前記電源である、請求項
3に記載の方法。
【請求項8】
前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵された前記電気エネルギは、
回転する前
記電磁機械によって生成された電気エネルギの全量のうちの一部である、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記電源は
回転する前
記電磁機械から独立したものである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリの回転によって前記電気エネルギ貯蔵装置に電気エネルギが貯蔵され、その際に、前記電気エネルギ貯蔵装置は電源と電気的に結合されない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリの回転によって磁界が発生する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
発生した磁界により前記電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギが生成される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの磁石セット又は前記少なくとも1つのコイルアセンブリの回転に伴って前記電気エネルギ貯蔵装置が回転し、前記電気エネルギ貯蔵装置の回転により前記電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギが生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電気エネルギ貯蔵装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、複数のイオンを含む電解質混合物と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のイオンは、(i)第1密度を有する第1タイプのイオンと、前記第1密度よりも低い第2密度を有する第2タイプのイオン、(ii)磁性イオン及び非磁性イオン、又は(iii)これらの(i)及び(ii)の両方、を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記電気エネルギ貯蔵装置は、第1電極と、第2電極と、前記ハウジング内で前記第1電極と前記第2電極の間に配設される障壁と、をさらに含み、前記障壁が、前記複数のイオンが前記ハウジングの第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを防ぐ助けとなるように構成される、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記障壁が、選択的に開閉するように構成される1つ以上のゲートを含み、前記1つ以上のゲートが開いたときに、前記障壁は、前記複数のイオンが前記ハウジングの前記第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを可能にする助けとなるように構成される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
電気エネルギ貯蔵装置を充電する方法であって、
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与し、
前記電気エネルギ貯蔵装置への磁界の付与に応じて、前記電気エネルギ貯蔵装置に所定量の電気エネルギを貯蔵すること、
を含
み、
前記電気エネルギ貯蔵装置は、電磁機械の内部、又は電磁機械に隣接して配置され、前記電磁機械の回転により、前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界が与えられる、方法。
【請求項19】
電源が前記電気エネルギ貯蔵装置に電気的に結合される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記電源は、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与するように構成される、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与えて
いる期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を
付与することによって、同じ期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与えずに、前記電気エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合よりも多い量の電気エネルギが前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵される、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与えて
いる期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与することによって、
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与えずに、より長い期間、前記エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合と同じ量の貯蔵電気エネルギが前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵され
る、請求項
20に記載の方法。
【請求項23】
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与え
ている期間、前記電気エネルギ貯蔵装置に投入電力を付与することによって、前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を与えずに、前記エネルギ貯蔵装置に前記投入電力を付与した場合よりも多い最大電気エネルギ量を前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵することを可能にする、請求項
20に記載の方法。
【請求項24】
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与することによって電気エネルギが前記電気エネルギ貯蔵装置に貯蔵され、その際に、前記電気エネルギ貯蔵装置は電源と電気的に結合されない、請求項
18に記載の方法。
【請求項25】
前記電気エネルギ貯蔵装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、複数のイオンを含む電解質混合物とを含み、前記複数のイオンは、第1密度を有する第1タイプのイオンと、前記第1密度よりも低い第2密度を有する第2タイプのイオンと、を含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項26】
前記電気エネルギ貯蔵装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、複数のイオンを含む電解質混合物と、第1電極と、第2電極と、前記ハウジング内で前記第1電極と前記第2電極の間に配設される障壁とを含み、前記障壁が、前記複数のイオンが前記ハウジングの第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを防ぐ助けとなるように構成される、請求項
18に記載の方法。
【請求項27】
前記障壁が、選択的に開閉するように構成される1つ以上のゲートを含み、前記1つ以上のゲートが開いたときに、前記障壁は、前記複数のイオンが前記ハウジングの前記第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを可能にする助けとなるように構成される、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
電気エネルギ貯蔵装置を充電する方法であって、
前記電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与し、
前記電気エネルギ貯蔵装置への磁界の付与に応じて、前記電気エネルギ貯蔵装置に所定量の電気エネルギを貯蔵すること、
を含み、
前記電気エネルギ貯蔵装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、複数のイオンを含む電解質混合物と、第1電極と、第2電極と、前記ハウジング内で前記第1電極と前記第2電極の間に配設される障壁とを含み、前記障壁が、前記複数のイオンが前記ハウジングの第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを防ぐ助けとなるように構成され、
前記障壁が、選択的に開閉するように構成される1つ以上のゲートを含み、前記1つ以上のゲートが開いたときに、前記障壁は、前記複数のイオンが前記ハウジングの前記第1端に隣接して前記第1電極と前記第2電極の間を流動することを可能にする助けとなるように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年9月8日に出願された、米国特許仮出願第62/556,001号の優先権及び恩恵を請求するものであり、前記仮特許出願の開示内容全体が本願明細書の一部として援用される。
【0002】
本開示は、電気エネルギの貯蔵に関し、より具体的には、回転機械又は直線機械と共に電磁モータ及び発電機に組み合わせて電気エネルギ貯蔵装置を利用することに関する。
【背景技術】
【0003】
現在の電気エネルギ貯蔵装置及び電気エネルギ貯蔵方法には、各種の用途での利用を限定する動作上の制約がある。この制約は、設計工程、製造工程、及び他の物理的制約に起因すると考えられる。需要が増加している電池式電気自動車、ハイブリッド式電気自動車、ナノグリッド、マイクログリッド、及び大容量電力系統等の用途に対応して電気エネルギ貯蔵の機能的有用性を改善できる新しい装置や、そのような装置を利用する方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、前述した制約を最小化し、拡張機能を導入し、更に他の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの態様によれば、電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、ハウジング内で概して第1電極と第2電極の間に配置される電解質混合物であって、複数のイオンを包含する電解質混合物と、概して第1電極と第2電極の間に画定されるチャンネルであって、複数のイオンの少なくとも一部が、概して第1電極に隣接するチャンネルの第1部位から、概してハウジングの第1端部に隣接するチャンネルの第2部位を通って、概して第2電極に隣接するチャンネルの第3部位まで流動できるように構成されるチャンネルと、概して第1電極と第2電極の間に配設されて、複数のイオンがハウジングの第2端部の近傍を流動することを防ぐ助けとなるように構成された障壁と、を含む。
【0006】
本開示のいくつかの態様によれば、電磁機械は、アクスルと、アクスルに連結され、コア及びコアに巻き付けられたコイルを含むコイルアセンブリと、アクスルに連結されて、コイルアセンブリに隣接して位置する第1磁石セットと、コイルに隣接して配設される少なくとも1つの電気エネルギ貯蔵装置とを含み、少なくとも1つの電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、ハウジング内で概して第1電極と第2電極の間に配置される電解質混合物であって、複数のイオンを包含する電解質混合物と、概して第1電極と第2電極の間に画定されるチャンネルであって、複数のイオンの少なくとも一部が、概して第1電極に隣接するチャンネルの第1部位から、概してハウジングの第1端部に隣接するチャンネルの第2部位を通って、概して第2電極に隣接するチャンネルの第3部位まで流動できるように構成されるチャンネルと、概して第1電極と第2電極の間に配設されて、複数のイオンがハウジングの第2端部の近傍を流動することを防ぐ働きを担うように構成された障壁と、を含む。
【0007】
本開示のいくつかの態様によれば、電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、ハウジング内で概して第1電極と第2電極の間に配置される電解質混合物であって、複数の磁性イオン及び複数の非磁性イオンを包含する電解質混合物とを含む。全ての磁性イオンが概して同一の電荷を有し、全ての非磁性イオンが概して同一の電荷を有する。磁性イオンの電荷は概して非磁性イオンの電荷の逆である。
【0008】
本開示のいくつかの態様によれば、電磁機械は、アクスルと、アクスルに装着され、コア及びコアに巻き付けられたコイルを含むコイルアセンブリと、少なくとも1つのコイルアセンブリに隣接する磁石セットと、磁石セットに隣接して配設される電気エネルギ貯蔵装置とを含み、電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、ハウジング内で概して第1電極と第2電極の間に配置される電解質混合物であって、複数の磁性イオン及び複数の非磁性イオンを包含する電解質混合物とを含む。全ての磁性イオンが概して同一の電荷を有し、全ての非磁性イオンが概して同一の電荷を有する。磁性イオンの電荷は概して非磁性イオンの電荷の逆である。
【0009】
本開示のいくつかの態様によれば、電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、前記ハウジング内で第1電極と第2電極の間に配置され、複数のイオンを包含する電解質混合物とを含み、複数のイオンは、第1密度を有する第1タイプのイオンと、第1密度とは異なる第2密度を有する第2タイプのイオンとを含む。第1密度を有する第1タイプのイオンは全て概して同一の電荷を有し、第2密度を有する第2タイプのイオンは全て概して同一の電荷を有する。第1タイプのイオンの電荷は、概して第2タイプのイオンの電荷の逆である。
【0010】
本開示のいくつかの態様によれば、電磁機械は、アクスルと、アクスルに装着され、コア及びコアに巻き付けられたコイルを含むコイルアセンブリと、少なくとも1つのコイルアセンブリに隣接する磁石セットと、磁石セットに隣接して配設される電気エネルギ貯蔵装置とを含み、電気エネルギ貯蔵装置は、第1端部、第2対向端部、第1側部、及び第2対向側部を有するハウジングと、ハウジング内で第1側部に隣接して配設される第1電極と、ハウジング内で第2対向側部に隣接して配設される第2電極と、ハウジング内で第1電極と第2電極の間に配設され、複数のイオンを包含する電解質混合物とを含み、複数のイオンは、第1密度を有する第1タイプのイオンと、第1密度とは異なる第2密度を有する第2タイプのイオンとを含む。第1タイプのイオンは全て概して同一の電荷を有し、第2タイプのイオンは全て概して同一の電荷を有する。第1タイプのイオンの電荷は概して第2タイプのイオンの電荷の逆である。
【0011】
本開示のいくつかの態様によれば、電気エネルギ貯蔵装置を充電する方法は、少なくとも1つの磁石セット及び少なくとも1つのコイルアセンブリを含む電磁機械に隣接して、又は前記電磁機械の内部に電気エネルギ貯蔵装置を配置し、電磁機械を回転させて、(i)少なくとも1つの磁石セットが少なくとも1つのコイルアセンブリに対して回転すること、(ii)少なくとも1つのコイルアセンブが少なくとも1つの磁石セットに対して回転すること、又は(iii)上記の(i)及び(ii)の両方を発生させ、少なくとも1つの磁石セット又は少なくとも1つのコイルアセンブリの回転に応じて電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギを生成することを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの磁石セット又は少なくとも1つのコイルアセンブリの回転によって磁界が生じ、その結果、電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギが生成され得る。いくつかの態様において、少なくとも1つの磁石セット又は少なくとも1つのコイルアセンブリの回転に伴って電気エネルギ貯蔵装置が回転し、電気エネルギ貯蔵装置の回転によって電気エネルギ貯蔵装置内に電気エネルギが生成される。
【0012】
本開示のいくつかの態様によれば、電気エネルギ貯蔵装置を充電する方法は、電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与し、電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与することに応じて、電気エネルギ貯蔵装置内に相応量の電気エネルギを貯蔵することを含む。いくつかの態様において、電気エネルギ貯蔵装置は、電磁機械内または電磁機械の隣に配置されてよい。いくつかの態様において、電磁機械の回転によって、電気エネルギ貯蔵装置に磁界を付与することができる。
【0013】
本開示の前述した態様、他の態様、及び実施例は、図面を参照しながら説明する各種の実施形態及び/又は実施例の詳細な記述から当業者に明らかになるであろう。図面の簡単な説明を下記に示す。
【0014】
本開示の前述した利点及び他の利点は、後述する詳細な説明を読むこと、及び図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本開示の態様に係る例示的電磁機械の分解立体図である。
【
図1B】本開示の態様に係る、
図1Aの例示的電磁機械の組立断面図である。
【
図2】本開示の態様に係る他の例示的電磁機械の断面図である。
【
図3】本開示の態様に係る電気エネルギ貯蔵装置の断面図である。
【
図4A】本開示の態様に係る、内部にチャンネルが形成された電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図4B】本開示の態様に係る、内部にチャンネルが形成された電気エネルギ貯蔵装置の他の実施例の断面図である。
【
図5A】本開示の態様に係る、電磁機械にと一体化された
図4A又は
図4Bの電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図5B】本開示の態様に係る、
図5Aの電磁機械の断面図である。
【
図6】本開示の態様に係る、電磁機械と一体化された
図4A又は
図4Bの電気エネルギ貯蔵装置の他の実施形態の断面図である。
【
図7】本開示の態様に係る、内部に磁性イオンが配置された電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図8】本開示の態様に係る、電磁機械と一体化された
図7の電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図9】本開示の態様に係る、一方のイオン種が他方のイオン種よりも高い密度で存在する、電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図10A】本開示の態様に係る、電磁機械と一体化された
図9の電気エネルギ貯蔵装置の実施例の断面図である。
【
図10B】本開示の態様に係る、電磁機械と一体化された
図9の電気エネルギ貯蔵装置の他の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は各種の変更及び代替の形態を許容し得るものであり、具体的な実施例及び実施形態は、図において例として記載されており、本明細書において詳細に説明される。ただし、本開示は、開示する特定の形態に限定されることを意図していないことを理解されたい。むしろ、本開示は、付属の請求項によって定義される本開示の精神及び範囲に入る変更物、等価物、及び代替物をすべて包含するものである。
【0017】
ここで
図1Aを参照すると、本開示の態様に係る回転電磁機械2の実施例の分解立体図が示されている。回転電磁機械2は、概して、外側磁石アセンブリ4A、内側磁石アセンブリ4B、及びステータアセンブリ6を含む。外側磁石アセンブリ4A及び内側磁石アセンブリ4Bは、軸8を中心に回転するように構成された1つ以上の磁石をそれぞれ含むことができる。ステータアセンブリ6は、コアに巻かれたコイルを含む1つ以上のコイルアセンブリを含むことができる。コアに巻かれたコイルは、単一の巻き線で構成できるが、互いに電気的に接続された複数の巻き線で構成されてもよい。磁石とコイルアセンブリの相対回転は、コイルを貫く磁束を誘導するものであり、このことは回転電磁機械2の機能の一部として利用される。
【0018】
図1Bに、
図1Aの回転電磁機械の組立断面図を示す。外側磁石アセンブリ4Aの2つの区画が図示されており、各区画は磁石10A及び10Bをそれぞれ含み、内側磁石4Bの各部位は磁石12を含む。組み立て時に、磁石10A,10B,12から成る各セットは、コイルアセンブリ13を概して取り巻く、又は取り囲む。いくつかの実施例において、外側磁石アセンブリ4A及び内側磁石アセンブリ4Bは機械のロータであり、これにより、磁石10A,10B,12は、軸8を中心にコイルアセンブリ13に対して回転するように構成され、コイルアセンブリ13は概して静止したままである。本例において、コイルアセンブリ13は、機械のステータであるとみなされる。他の実施例においては、コイルアセンブリ13がロータで、軸8を中心に、静止したままの磁石10A,10B,12に対して回転するように構成される。この実施例において、外側磁石アセンブリ4A及び内側磁石アセンブリ4Bは機械のステータであるとみなされる。回転電磁機械は、回転の軸8の周りに設けられる任意の適切な個数のコイルアセンブリと、付随する任意の適切な個数の磁石セットとを有してよい。3つの磁石10A,10B,12が図示されているが、
図1A及び
図1Bの電磁機械は任意の適切な個数の磁石を有してよい。
【0019】
次に
図2を参照すると、他の実施例の回転電磁機械16の断面が示されている。回転電磁機械16は、磁石ハウジング20に装着された磁石18A,18B,18Cと、コイルハウジング22に装着されたコイルアセンブリ(図示せず)とを含む。動作において、磁石ハウジング20及び磁石18A,18B,18Cは、軸21を中心にコイルハウジング22に対して回転するように構成でき、コイルハウジング22は、主アクスル24に固定結合される。代替の構成として、コイルハウジング22及びコイルアセンブリが軸21を中心に磁石18A,18B,18Cに対して回転でき、磁石ハウジング20は主アクスル24に固定結合される。
図2の回転電磁機械16の断面には、回転の軸21の周りに配設された2つのコイルハウジング22、及び2セットの磁石18A,18B,18Cが示されている。ただし、コイルハウジング及び付随する磁石は任意の適切な個数で回転の軸21の周りに設けられてよい。
【0020】
概して、本明細書に記載する回転電磁機械は、回転運動エネルギを電気エネルギ、磁気エネルギ、又は電気エネルギと磁気エネルギの両方に変換する回転電磁発電機であり得る。これに代えて、回転電磁機械は、電気エネルギ、磁気エネルギ、又は電気エネルギと磁気エネルギの両方を回転運動エネルギに変換する回転電磁モータであり得る。
【0021】
他の電磁機械も明細書内の本開示の態様に従って利用されてよい。例えば、
図1A及び
図1Bの回転電磁機械は、外側磁石アセンブリ4A及び内側磁石アセンブリ4Bの代わりに、機械の一部として用いられる磁石を含む単一の磁石アセンブリを含むことができる。磁石は、回転電磁機械のロータとして構成されてよく、この場合、コイルアセンブリは回転電磁機械のステータとして構成される。代替の構成として、磁石が回転電磁機械のステータとして構成されてよく、この場合、コイルアセンブリは回転電磁機械のロータとして構成される。また、回転電磁機械のロータとステータの一方又は両方は、磁石及びコイルアセンブリの組み合わせを含むことができる。本明細書で説明するように利用される任意の回転電磁機械は、磁石セット内に、1個、2個、3個、4個、又は5個以上の磁石等、任意の適切な数の磁石を備えてよく、更に、任意の適切な数の磁石セットを備えてよい。
【0022】
また、本明細書に記載した電磁機械は、回転電磁機械ではなく、直線電磁機械であってもよい。直線電磁発電機は、1つ以上の磁石を利用して、直線運動エネルギを電気エネルギ、磁気エネルギ、又は電気エネルギと磁気エネルギの両方に変換することができる。直線電磁モータは、電気エネルギ、磁気エネルギ、又は電気エネルギと磁気エネルギの両方を直線運動エネルギに変換する。磁石は、直線電磁機械のロータとして構成されてよく、コイルアセンブリは直線電磁機械のステータとして構成される。これに代えて、磁石が直線電磁機械のステータとして構成されてよく、コイルアセンブリは直線電磁機械のロータとして構成される。また、直線電磁機械のロータとステータの一方又は両方は、磁石及びコイルアセンブリの組み合わせを含むことができる。本明細書で説明するように利用される直線電磁機械は、磁石セット内に、1個、2個、3個、4個、又は5個以上の磁石等、任意の適切な数の磁石を備えてよく、任意の適切な数の磁石セットを備えてよい。他のタイプの電磁機械も本開示の態様に従って利用することができる。概して本明細書に記載する各種機械の任意の構成要素は、1つ以上のベアリングを介して別の構成要素に連結でき、構成要素間の相対回転を実現できる。例えば、いずれかの電磁機械(磁石を含む磁石ハウジング、又はコイル及び対応するコアを含むコイルハウジングを含み得る)のステータが1つ以上のベアリングを介してアクスルに連結されてよく、この場合、ロータ(磁石を含む磁石ハウジング、又はコイル及び対応するコアを含むコイルハウジングを含み得る)はアクスルに固定結合される。これにより、アクスル及びロータがステータに対して回転可能になる。いくつかの実施例において、ステータをアクスルに固定結合でき、ロータが1つ以上のベアリングを介してアクスルに連結される。
【0023】
次に、
図3を参照すると、電気エネルギ貯蔵装置30が示されている。図示した電気エネルギ貯蔵装置30のタイプは、一般に、電気二重層コンデンサとして知られている。電気エネルギ貯蔵装置30は、ハウジング32、第1電極34A、及び第2電極34Bを含む。第1電極34A及び第2電極34Bは、概して互いに平行であり、ハウジング32の対向側面に配設される。電極のうちの一方はカソード又はアノードとして機能してよい。ハウジング32には、溶媒内に陽イオン36A及び陰イオン36Bを含む電解質混合物が配設される。また、電気エネルギ貯蔵装置30は、第1電極34Aと第2電極34Bの間に配置されるイオン浸透性セパレータ38も含むことができる。イオン浸透性セパレータ38は、第1電極34Aと第2電極34Bを機械的に分離するために利用できる一方で、陽イオン36A及び陰イオン36Bがハウジング32の内部全体で流動することを許容する。電力は電源40から電気エネルギ貯蔵装置30に付与できる。電源40は、電圧源、電流源、又は他の適切な供給源であってよい。電源40から電力を付与することで、電気エネルギ貯蔵装置30に電気エネルギが貯蔵される。本開示の態様に係る電気貯蔵装置内への電気エネルギの貯蔵は、概して電気エネルギ貯蔵装置の電極に電荷を蓄積して貯蔵することを意味する。また、電気エネルギ貯蔵装置を充電する活動は、概して、外部電源を適用するによって、又は他の方法によって、電荷の蓄積という形で電気エネルギ貯蔵装置にエネルギを貯蔵することを意味する。
【0024】
標準的なコンデンサにおいて、電気エネルギは、コンデンサの電極への電荷の蓄積物として貯蔵される。電極は、電流を通さない誘電体によって分離される。電源からの電力が標準的なコンデンサに投入されると、一方の電極に正電荷が蓄積し、他方の電極に負電荷が蓄積するため、誘電体を横切って電界が形成される。コンデンサのキャパシタンスは、電極に蓄積した電荷と電極に与えられた電圧との比率である。平行板コンデンサにおけるキャパシタンス、概して電極間の距離にも比例する。
【0025】
電気エネルギ貯蔵装置30等の電気二重層コンデンサでは、電源40から電力を付与することで第1電極34Aに正電荷42Aが蓄積し、第2電極34Bに負電荷42Bが蓄積する。電解質混合物内の陽イオン36A及び陰イオン36Bはハウジング32全体を自由に流動するため(及び通常のコンデンサの誘電体内としての静止状態ではないため)、第1電極34Aの正電荷42Aは、負に帯電した陰イオン36Bを引き付けることになる。同様に、第2電極34Bの負電荷42Bは正に帯電した陽イオン36Aを引き付ける。したがって、この引力によって電荷による2つの電気二重層44A及び44Bが形成される。二重層44A,44Bの電荷の各層は、概して少数の溶媒分子によって分離されている。したがって、二重層44A,44Bの電荷の層は、非常に小さい距離だけ互いから離れている。二重層44A,44Bそれぞれは、極めて短い距離だけ離隔した平行電極を備える標準的なコンデンサとして作用し、それは、電極間の所定の電圧のためのキャパシタンスを増大させる。距離の低減効果の他に、電気エネルギ貯蔵装置30の電極34A,34Bは、活性炭粉末等の多孔性物質でコーティングすることができる。これにより、電極の利用可能な表面積が効果的に増大して、より多くの正電荷42A及び負電荷42Bを電極に貯蔵できるようになるため、電気エネルギ貯蔵装置30のキャパシタンスが標準的なコンデンサよりも向上する。
【0026】
次に
図4Aを参照すると、電気エネルギ貯蔵装置50が示されている。電気エネルギ貯蔵装置50は概して電気二重層コンデンサとして構成され、第1端部58A、第2対向端部58B、第1側部55A、及び第2対向側部55Bを含むハウジング52を有する。電気エネルギ貯蔵装置50は、ハウジング内で第1側部55Aに隣接して配設される第1電極54A、ハウジング内で第2対向側部55Bに隣接して配設される第2電極54B、及びハウジング52内で概して第1電極54Aと第2電極54Bの間に配設される複数のイオンを含む電解質混合物を含む。電解質混合物は概して陽イオン56A及び陰イオン56Bを含む。電気エネルギ貯蔵装置30と同様に、第1電極54A及び第2電極54Bは概して互いに平行である。ただし、電気エネルギ貯蔵装置50は、イオン不浸透性障壁53を含み、この障壁53は、陽イオン56A及び陰イオン56Bが移動し得る、ハウジング52内の利用可能な容積を減少させる。障壁53は、ハウジング52と一体の部位であっても、又は個別の構成要素であってもよい。図示したように、障壁53は、概して、第1電極54Aと第2電極54Bとの間に設けられ、ハウジング52の第1端部58Aに隣接する。障壁53は、陽イオン56A及び陰イオン56Bが、第1端部58Aに隣接して、第1電極56Aと第2電極54Bの間を流動しないように防止する支援となるように構成される。
【0027】
ハウジング52はチャンネル60を更に含み、チャンネル60は、概して、第1電極54Aと第2電極54Bとの間で第2端部58Bに隣接して画定される。図示したように、チャンネル60は、概してハウジング52の第2対向端部58Bに隣接して形成され、第1電極54Aと第2端部58Bの間でハウジング52の全長に渡って存在する。チャンネル60は、陽イオン56A及び陰イオン56Bが、第1電極54Aに概して隣接するチャンネル60の第1部位61Aから、ハウジング52の第2端部58Bに概して隣接するチャンネル60の第2部位61Bを通り、第2電極54Bに概して隣接するチャンネル60の第3部位61Cまで流動できるように構成される。また、チャンネル60は、陽イオン56A及び陰イオン56Bが逆の順序でも同様に流動できるように構成される。チャンネル60は少なくとも部分的に障壁53によって画定されてよい。
図4Aに示すように、イオン浸透性セパレータ60をチャンネル60に設けることができる。
【0028】
図4Aに示すように、電気エネルギ貯蔵装置50に磁界62を適用して、陽イオン56A及び陰イオン56Bに力を付与することができる。磁界62の方向は、図の平面に入る又は図の平面から出て行く方向になる。このため、磁界62は、第1電極54Aと第2電極54Bを結ぶ軸線に垂直である。また、磁界62は、ハウジング52の第1端部58Aとハウジング52の第2端部58Bを結ぶ軸線にも垂直である。磁界62が付与されると、陽イオン56A及び陰イオン56Bに対して、チャンネル60内で流動するときの速度方向に垂直な力が磁界62によって加えられる。
図4Aに示すように、正電荷である陽イオン56Aは、磁界62の方向が紙面に向かう方向である場合に時計回りの力を受けることになる。負電荷である陰イオン56Bは、磁界62の方向が紙面に向かう方向である場合に、反時計回りの力を受けることになる。したがって、紙面に向かう磁界62を付与すると、チャンネル60内の陽イオン56Aが第1電極54Aに向かって流れる。同様に、チャンネル60内の陰イオン56Bは第2電極54Bに向かって流れるように仕向けられる。
【0029】
陽イオン56Aが第3部位61C及び第2部位61Bから第1電極54Aに向かって移動するときに、陽イオン56Aは、磁界62からの力によって、チャンネル60の第1部位61Aに沿ってハウジング52の第1端部58Aに向かって上方(二次元の図における上方)に流れるように仕向けられる。同様に、陰イオン56Bが第1部位61A及び第2部位61Bから第2電極54Bに向かって移動するときに、陰イオン56Bは、磁界62からの力によって、チャンネル60の第3部位61Cに沿ってハウジング52の第1端部58Aに向かって上方に流れるように仕向けられる。
【0030】
陽イオン56Aがチャンネル60の第1部位61Aに沿って第1端部58Aに向かって流れるときに、陽イオン56Aは、磁界62から陽イオン56Aに作用する力によって、第1電極54Aから離れて第2電極54Bに向かって移動する。同様に、陰イオン56Bがチャンネル60の第3部位61Cに沿って第1端部58Aに向かって流れるときに、陰イオン56Bは、磁界62から陰イオン56Bに作用する力によって、第2電極から離れて第1電極54Aに向かって移動する。このような移動が生じるため、イオン不浸透性障壁53は、陽イオン56Aがハウジング52の第1端部58Aに隣接する第2電極54Bに向かって移動することを防ぎ、陰イオン56Bがハウジング52の第1端部58Aに隣接する第1電極54Aに向かって移動することを防ぐ。したがって、障壁53は、陽イオン53A及び陰イオン56Bが完全な円を描いて逆流することを防ぎ、障壁53が存在しないと、適用された磁界62の影響でこのような逆流が生じることになる。障壁53の存在は、むしろ陽イオン56Aを電極56Aの近くに蓄積させ、陰イオン56Bを電極56Bの近くに蓄積させる。
【0031】
したがって、チャンネル60は、概して、陽イオン56A及び陰イオン56Bがハウジング52の第2端部58Bに隣接して第1電極54Aと第2電極54Bの間で流動できるようにする。同様に、障壁53は、概して、陽イオン56A及び陰イオン56Bがハウジング52の第1端部58Aに隣接して第1電極54Aと第2電極56Bの間で流動することを防ぐ助けとなる。このため、チャンネル60は、略U字形の断面、略V字形の断面、又は、イオンがハウジング52の第2端部58Bに隣接して第1電極54Aと第2電極54Bの間で流動し、且つ第1電極54A及び第2電極54Bに隣接して第1端部58Aと第2端部58Bの間で流動できるような任意の他の適切な断面を有する。同様に、障壁53は、イオンがハウジング52の第1端部58Aに隣接して第1電極54Aと第2電極54Bとの間で流動することを防ぐ任意の適切な形状であって、且つイオンがハウジング52の第2端部58Bに隣接して第1電極54Aと第2電極54Bの間で流動できるチャンネル60を形成する任意の適切な形状を持つことができる。
【0032】
図3の電気エネルギ貯蔵装置30と同様に、電源64から電力を与えると、正電荷66Aが第2電極54Bに蓄積し、負電荷66Bが第1電極54Aに蓄積する。正電荷66Aが電解質混合物の中の陰イオン56Bを引き寄せ、負電荷66Bが電解質混合物の中の陽イオン56Aを引き寄せる。したがって、電源64から与えられた電力と、
図4Aに示した磁界62の付与とが共に作用して、陰イオン56Bが第2電極54Bに向かって移動し、且つ陽イオン56Aが第1電極54Aに向かって移動する。したがって、電源64から電力を与えながら磁界62を適用することによって、より多くのイオンが各電極に送られる一方で、イオンはより直接的に各電極に向かって移動する。このため、電源64から電力を加えることによって形成される電気エネルギ蓄積装置50内の電気二重層は、電源64から与えられる電力しか存在しない電気エネルギ貯蔵装置30よりも大きくなると共に、より早期に形成されることになる。
【0033】
これに対応する電気エネルギ貯蔵装置50のキャパシタンスの増加及び相応の時定数の減少は、少なくとも3つの異なる方式で観察することができる。一般に、電力のみを与えて電気エネルギ蓄暖装置50を充電する場合、電源64が、電気エネルギ貯蔵装置50に所定量の投入電力を所定の期間に提供することで、対応する量の電気エネルギが電気エネルギ貯蔵装置50内に貯蔵される。前述したように磁界62を同時に付与すると、特性が向上することを観察できる。第1の方法は、電源64からの投入電力を同一の期間で与えるもので、この場合、電源64から引き出されて電気エネルギ貯蔵装置50に貯蔵される電気エネルギの量が多くなる。第2の方法は、電源64からの投入電力をより短い期間で与えるもので、この場合、電源64から引き出されて電気エネルギ貯蔵装置50に貯蔵される電気エネルギが同等の量になる。第3の方法は、電源64からの投入電力を或る期間で与えるもので、この場合、電気エネルギ貯蔵装置50に貯蔵される合計エネルギが、磁界62を同時に付与しないときに電気エネルギ貯蔵装置50に貯蔵し得る最大合計エネルギより多くなる。このように、磁界の存在が、電気エネルギ貯蔵装置50のキャパシタンスを大きくする一方で、電気エネルギ貯蔵装置50の時定数を低減するため、電気エネルギ貯蔵装置50の充電が向上する。
【0034】
次に
図4Bを参照すると、電源51に接続された電気エネルギ貯蔵装置50の代替実施例が示されている。この代替実施例において、障壁53は、選択的に開閉するように構成されたゲート59A及び59Bを含むことができる。したがって、ゲート59A及び59Bが開くことで、陽イオン56A及び陰イオン56Bの少なくとも一部は、概して第1端部58Aに隣接して障壁を通過できるようになる。これにより、陽イオン56A及び陰イオン56Bは、第1電極54A及び第2電極から離れる方向に流動できるようになるため、この状態を利用して電気エネルギ貯蔵装置50の過充電を回避できる。障壁53の他の構成として、障壁53がハウジング52に対して移動して、陽イオン56A及び陰イオン56Bをハウジング52と障壁53の間で流動できるようにするような構成が考えられる。他の構成において、障壁53は、選択的イオン浸透性材料で構成され、この場合、障壁53は、一状態においてイオンの流れを阻止し、別の状態においてイオンが障壁53を通って流れることを許容する。
【0035】
次に
図5Aを参照すると、電気エネルギ貯蔵装置を一体に備える回転電磁機械の断面が示されている。
図5Aの電磁機械は、
図1A、
図1B、若しくは
図2の回転電磁機械、又は任意の他の適切な回転電磁機械であってよい。他の実施例において、回転電磁機械は、1個、2個、4個、5個、又は任意の適切な数の磁石を有する。更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、任意の適切な数の磁石を有する直線電磁機械に組み込まれる。
図5Aの回転電磁機械は、磁石72A,72B,72Cを有する磁石ハウジング70を含むことができる。磁石ハウジング70は、
図1Aの回転電磁機械2の外側磁石アセンブリ4A及び内側磁石アセンブリ4Bを組み合わせたものであってよい。また、磁石ハウジング70は、
図2の回転電磁機械16のハウジング20であってもよい。コイル74及びコア76を含むコイルアセンブリは、磁石72A,72B,72Cがコイル74及びコア76を概して取り囲むように配設できる。コア76は、積層板の積層体で構成することができる。いくつかの実施例において、磁石72A,72B,72Cは、回転するように構成でき(これによりロータの一部になり)、コイル74及びコア76は、静止したまま(これによりステータの一部)になる。他の実施例において、コイル74及びコア76が回転し(これによりロータの一部になり)、磁石72A,72B,72Cが静止したまま(これによりステータの一部)になる。
【0036】
電気エネルギ貯蔵装置78は概して電磁機械の内部に設けられる。
図5Aの実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、概してコア76に隣接して、又はコア76の一部として配置されて、コイル74の内部に位置する。この構成において、電気エネルギ貯蔵装置78は、コイル74及び磁石72A,72B,72Cに取り囲まれる。電気エネルギ貯蔵装置78は、
図4A及び
図4Bに示された電気エネルギ貯蔵装置のうちの1つであってよく、第1電極、第2電極、第1端部、及び第2端部を備える。
図5Aの実施例において、電気エネルギ貯蔵装置78は、電源67に接続される。電源67は、電磁機械自体であっても、又は電磁機械から分離された独立の電源であってもよい。更なる実施例において、電気エネルギ貯蔵装置78は電源に接続されない。電気エネルギ貯蔵装置は、コイル74A及びコア76がロータの一部である場合、
図5Aの機械の動作中に回転又は直線移動するように構成することができる。また、電気エネルギ貯蔵装置は、コイル74及びコア76がステータの一部である場合、
図5Aの機械の動作中に停止したまま残るように構成されてもよい。
【0037】
図示したように、各磁石72A,72B,72Cは、両側にN極77AとS極77Bとを有する双極子磁石である。各磁石72A,72B,72Cはコイル74に面する側に同じ磁極を有する。
図5Aの実施例に示すように、各磁石72A,72B,72CのN極77Aはコイル74に面している。他の実施例において、各磁石72A,72B,72CのS極77Bがコイル74に面してもよい。
【0038】
図5Aの回転電磁機械の動作中に、(i)磁石72A,72B,72Cがコイルアセンブリ及び電気エネルギ貯蔵装置78に対して回転する、又は(ii)コイルアセンブリ及び電気エネルギ貯蔵装置78が磁石72A,72B,72Cに対して回転する。磁石の回転時に、磁石によって形成される磁界は、コイル74の中心を横断する。
図5Aに示されるように、電気エネルギ貯蔵装置78は、磁石72A,72B,72Cによって形成された磁界が、第1電極54Aと第2電極54Bを結ぶ軸線、及び電気エネルギ貯蔵装置78の第1端部58Aと第2端部58Bを結ぶ軸線の両方に対して垂直になるように配置される。このため、磁石72A,72B,72Cの回転により、紙面に向かう又は紙面から出る方向で電気エネルギ貯蔵装置78を通る磁界が付与される。
図5Aの回転電磁機械は、磁石によって与えられる磁界が
図5Aを参照して説明したものと同様の方式で電気エネルギ貯蔵装置78に仕向けられる限り、1個、2個、4個、又は5個の磁石を用いて駆動されてもよい。前述したように、この磁界の適用により、電気エネルギ貯蔵装置78の充電が向上する。通常、電源67が電気エネルギ貯蔵装置78に適用される場合、電源57の極性は、電気エネルギ貯蔵装置78への電源及び付与される磁界の両方が陽イオンを一方の電極に向かって移動させ、且つ陰イオンを他方の電極に向かって移動させるように選択される。
【0039】
次に
図5Bを参照すると、
図5Aの回転電磁機械の実施例の断面が示されている。この回転電磁機械は、磁石72A及び磁石72Bを含む第1磁石セット、磁石73A及び磁石73Bを含む第2磁石セット、並びに磁石75A及び磁石75Bを含む第3磁石セットを有する。断面図に示されるように、コイル74に面する極は、磁石セット毎に入れ替わる。磁石71A及び71Bはいずれもコイル74に面してS極を有する。磁石73A及び73Bはいずれもコイル74に面してN極を有する。磁石75A及び75Bはいずれもコイル74に面してS極を有する。
図5Bから判るように、追加の磁石セットは、磁石によってコイル74とコア76の中心を通って垂直に生成される磁界が適正な方向を向いて、コイル74内に配設された電気エネルギ貯蔵装置の充電が向上することを促進する。概して、本開示の態様に従って利用される回転電磁機械は、
図5Bに記載された内側の円の外周に沿って均等の間隔で配置される複数のコイルを含む。同様に、回転電磁機械は、
図5Bに記載された外側の円の内周に沿って均等の間隔で配置される複数の磁石セットを含むため、内部に電気エネルギ貯蔵装置が配設されたコイル74はいずれも、コイル74の中心を通って垂直に付与される磁界に常に晒されている。
【0040】
電気エネルギ貯蔵装置78と組み合わせて
図5A及び
図5Bの回転電磁機械を利用することで、電気エネルギ貯蔵装置の充電を改善できる。このために、磁石72A,72B,72Cに物理的に隣接して配設された電気エネルギ貯蔵装置78は、独立の電源に電気的に結合される。このとき、独立の電源は電気エネルギ貯蔵装置78に電力を供給する。磁石72A,72B,72Cによって形成される磁界が電気エネルギ貯蔵装置78を通ることで、電気エネルギ貯蔵装置78の充電が増強される。この増強は、電磁機械が回転型であるかどうかに関わらず生じ得る。
図4Aを参照しながら説明したように、この増強は、投入電力を同一期間で付与して貯蔵されるエネルギが多くなるという形式、投入電力をより短い期間で付与して貯蔵されるエネルギの量が同等になるという形式、又は、投入電力を所定の期間で付与して貯蔵されるエネルギの量が、磁石72A,72B,72Cに物理的に隣接して配設されていない電気エネルギ貯蔵装置78に貯蔵され得る最大合計エネルギよりも多くなるという形式で生じ得る。
【0041】
他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置78に電気的に結合される電源は、回転電磁機械そのものである。回転電磁機械によって生成される電気エネルギは、電気エネルギ貯蔵装置78に貯蔵することができる。回転電磁機械の回転及び/又は配置は、回転電磁機械が電源として動作する場合であっても、電気エネルギ貯蔵装置78の充電を向上させる。このエネルギを取り込むことで、回転電磁機械のダイナミックレンジが効果的に拡大する。
【0042】
更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置はいずれの電源にも電気的に結合されない。回転電磁機械が回転して電気エネルギ貯蔵装置78に磁界が付与されると、電解質混合物内の陽イオン及び陰イオンは、磁界による力を受けて、対応する電極に層を形成する。電極表面に隣接するこのイオン層によって、対応する電荷の層が電極自体に形成されるため、各電極に電気二重層が生じる。これにより、電気エネルギ貯蔵装置は、電磁機械の回転及び/又は配置によって効果的に「事前充電」される。また、磁石72A,72B,72Cが適切に配置されている場合は、電磁機械が回転する必要は無い。機械の動作時に電荷が電極に蓄積していた場合、その電荷は、電磁機械が停止した後も、磁界によってそのまま維持される。
【0043】
更に他の実施形態において、電気エネルギ貯蔵装置78は、コイル74、コイル76、及び磁石72A,72B,72Cの外部に設けることができる。この実施例において、電気エネルギ貯蔵装置78は、機械の外装ハウジング(磁石ハウジング70であってよい)の中に配設されてよく、この場合、機械の内部に配置されることになる。電気エネルギ貯蔵装置78は機械の外装ハウジングの外側に配置されてもよいが、この場合は機械に隣接して配置される。電気エネルギ貯蔵装置78が機械の外装ハウジングの外側に配置されて機械に隣接して位置する場合、機械の外装ハウジングは、磁界が電気エネルギ貯蔵装置78に到達することを阻止するものであってはならない。電気エネルギ貯蔵装置78が電磁機械の内部又は近傍のいずれに配置されるのかに関わらず、電気エネルギ貯蔵装置78は、
図4A及び
図5Aに示されるように、電気エネルギ貯蔵装置78に作用する磁界が第1電極54Aと第2電極54Bを結ぶ軸線、及び電気エネルギ貯蔵装置78の第1端部58Aと第2端部58Bを結ぶ軸線の両方と垂直になる向きで配置される。
【0044】
次に
図6を参照すると、
図4A及び
図4Bの電気エネルギ貯蔵装置と組み合わされて動作する回転又は直線電磁機械の代替実施例が断面で示されている。
図6の電磁機械は、
図1A、
図1B、若しくは
図2の回転電磁機械、又は任意の適切な回転電磁機械であってよい。他の実施例において、回転電磁機械は、1個、2個、4個、5個、又は任意の適切な数の磁石を備える。更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、任意の適切な数の磁石を有する直線電磁機械に組み込まれる。
図6の電磁機械の磁石又はコイルアセンブリのいずれか一方は、ロータ又はステータであってよい。
【0045】
この実施例において、電気エネルギ貯蔵装置79A、79B、及び79Cは電磁機械の内部に配設される。ただし、各電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、コイル74の中に配置されるのではなく、コイル74、コア76、及び磁石72A,72B,72Cの外側に配置される。この構成において、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、対応する磁石72A,72B,72Cに隣接しており、磁石72A,72B,72Cは、(i)電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cと、(ii)コイル74及びコア76と、の間に配置される。電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、概してコイル74、コア76、及び磁石72A,72B,72Cの外側ではあるが
図6の電磁機械の外装ハウジングの内部に配置されて、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cが電磁機械の内部に存在するように構成される。
【0046】
他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cが電磁機械の内部ではなく外部において電磁機械に隣接して配置されることを除き、基本的に同様の構成で配置される。電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cが電磁機械の外装ハウジングの外側で電磁機械に隣接して配設される場合、外装ハウジングは、概して、磁石72A,72B,72Cからの磁界が電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cに到達することを阻害しないものでなければならない。
【0047】
内部と外部のいずれの実施例においても、磁石72A,72B,72Cによって生成される磁界は、磁石の表面に直交する向きで生じて、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cに向かう。各電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、それぞれ対応する磁石からの磁界が電極間の軸線と、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cの第1端部と第2端部の間の軸線とに垂直になる向きで配置される。これにより、磁界は、各電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79C内で、陽イオン及び陰イオンに対して各イオンの速度方向に垂直な力を付与することは前述した通りである。
図6の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cのキャパシタンス又は充電率を上げるために、電磁機械を回転又は平行移動させる必要はない。この利点は、電磁機械が駆動され、その後で停止した場合に「残留」効果をもたらす。
図6の回転電磁機械も、磁石によって付与される磁界が
図6を参照しながら説明したものと同じ方式で電気エネルギ貯蔵装置に向かうのであれば、1個、2個、4個、又は5個の磁石を用いて駆動されてよい。
【0048】
図6の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは電源81A,81B,81Cに接続される。電源81A,81B,81Cは、電磁機械自体であっても、又は電磁機械から分離された独立の電源であってもよい。更なる実施例において、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは電源に接続されない。通常、電源81A,81B,81Cが電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cに適用される場合、電源81A,81B,81Cの極性は、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cに適用される電力と適用される磁界の両方が、一方の電極に向けて陽イオンを移動させ、他方の電極に向けて陰イオンを移動させるように選択される。
【0049】
電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、磁石72A,72B,72Cがロータの一部である場合に、
図6の機械の動作中に回転する又は直線移動するように構成できる。また、電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、磁石72A,72B,72Cがステータの一部である場合に、
図5Aの機械の動作中、停止したまま残るように構成することができる。
【0050】
次に
図7を参照すると、磁性イオンを用いる電源83に接続された電気エネルギ貯蔵装置80が示されている。電気エネルギ貯蔵装置80は、ハウジング82、第1電極84A、及び第2電極84Bを含む。第1電極84A及び第2電極84Bは概して互いに平行で、ハウジング82の対向する両側に配置される。ハウジング82には、溶媒内に陽イオン86A及び陰イオン86Bを含有する電解質混合物が配置される。前述したように、電気エネルギ貯蔵装置80に電源から電力を与えることによって、陽イオン86Aが第2電極84Bの負電荷88Bに引き寄せられ、陰イオン86Bが第1電極84Aの正電荷88Aに引き寄せられる。
図7の実施例において、陽イオン86A及び陰イオン86Bのいずれかが磁性材料を含む。磁性陽イオン86A又は磁性陰イオン86Bとしては、反磁性イオン、常磁性イオン、強磁性イオン、反強磁性イオン、フェリ磁性イオン、またはこれらの各種組み合わせが挙げられる。第1電極84Aと第2電極84Bを結ぶ軸線と平行な磁界90を与えることによって、磁性イオンのみに力が加えられる。電源の極性、磁界90の向き、及び磁性のイオン種は全て、磁界90から与えられる力の方向が、確実に、対応する電極に蓄積された電荷によってイオンが予め引き寄せられている方向になるように選択される。
図7に図示した実施例において、陽イオン86Aは磁性であるように選択される。陽イオン86Aは第2電極84Bに向かう電気的引力に既に晒されているため、磁界90は、磁界90からも第2電極84Bに向かう力が陽イオン86Aに与えられるように選択される。したがって、磁界90を適用することで、より多くの磁性イオンが二重層に形成されるため、電気エネルギ貯蔵装置80のキャパシタンスが上昇する。したがって、
図4A及び
図4Bの電気エネルギ貯蔵装置の実施例と同様に、電気エネルギ貯蔵装置の充電が強化される。
【0051】
次に
図8を参照すると、
図7の電気エネルギ貯蔵装置80を利用する回転又は直線電磁機械の断面が示されている。
図8の電磁機械は、
図1A、
図1B、若しくは
図2の回転電磁機械、又は任意の他の適切な回転電磁機械であってよい。他の実施例において、回転電磁機械は、1個、2個、4個、5個、又は任意の適切な数の磁石を有する。更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、任意の適切な数の磁石を有する直線電磁機械に組み込まれる。
図8の電磁機械の磁石又はコイルアセンブリのいずれかはロータ又はステータであってよい。したがって、電磁機械は、概して、磁石72A,72B,72Cを有する磁石ハウジング70を含む。
図8の電磁機械は、各磁石72A,72B,72Cにそれぞれ隣接して配置される3つの電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cを有する。これらの電気エネルギ貯蔵装置は、各電気エネルギ貯蔵装置の一方の電極が各電気エネルギ貯蔵装置の他方の電極よりも各磁石に近接する向きで配置される。このため、磁石72A,72B,72Cによって形成される磁界は、各電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cの第1電極と第2電極の間の軸線と平行になる。前述したように、この磁界を適用することで、各電気エネルギ貯蔵装置の電解質混合物内の磁性イオンに力が加えられ、その結果、各電気エネルギ貯蔵装置のキャパシタンスが増大し、且つ時定数が減少する。
【0052】
図7の電気エネルギ貯蔵装置及び
図8の電磁機械は、
図5A及び
図5Bの電磁機械について説明した方式と同様の方式で利用することができる。電気エネルギ貯蔵装置は独立した電源に電気的に結合できる。磁界が電気エネルギ貯蔵装置に適用されると、独立した電源からの電気エネルギ貯蔵装置の充電が増強される。他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、電磁機械が電気エネルギ貯蔵装置の電源として機能するように、電磁機械と電気的に結合されてよい。電磁機械の相対動作により、電気エネルギ貯蔵装置の充電が開始し、この充電は、磁石から与えられる磁界によって強化される。更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は電源と電気的に結合されない。電気エネルギ貯蔵装置には磁界が与えられるため、電解質混合物内の陽イオン及び陰イオンは、磁界によって、対応する電極に層を形成するように仕向けられる。電極表面に隣接するこのイオン層によって対応する電荷の層が電極自体に形成するように誘導され、その結果、各電極に電気二重層が形成される。これにより、電気エネルギ貯蔵装置は、磁界の適用によって効果的に「事前充電」され、機械の動作中に電荷が電極に蓄積されていた場合、その電荷は、機械の停止後にも磁界によってそのまま保持される。
図8の回転電磁機械は、1個、2個、4個、又は5個の磁石を用いて動作してもよいが、その場合、磁石によって形成される磁界は、
図8を参照して説明したものと同じ方式で電気エネルギ貯蔵装置に向かうものでなければならない。
【0053】
図8の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cは電源85A,85B,85Cに接続される。電源85A,85B,85Cは、電磁機械そのものであっても、又は電磁機械から分離された独立の電源であってもよい。更なる実施例において、電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cは電源に接続されない。通常、電源85A,85B,85Cが電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cに適用される場合、電源85A,85B,85Cの極性は、電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cに与えられる電力及び適用される磁界の両方が、陽イオンを一方の電極に向かって移動させ、且つ、陰イオンを他方の電極に向かって移動させるように選択される。
【0054】
電気エネルギ貯蔵装置80A,80B,80Cは、磁石72A,72B,72Cがロータの一部である場合、
図8の機械の動作中に回転又は直線移動するように構成できる。電気エネルギ貯蔵装置79A,79B,79Cは、磁石72A,72B,72Cがステータの一部である場合、
図5Aの機械の動作中に静止したまま残るように構成することもできる。
【0055】
次に
図9を参照すると、電解質混合物内のイオンの密度差を利用する電源101に接続された電気エネルギ貯蔵装置100が示されている。電気エネルギ貯蔵装置100は、ハウジング102、第1電極104A、及び第2電極104Bを含む。第1電極104A及び第2電極104Bは、概して互いに平行で、ハウジング102の対向する両側に配置される。ハウジング102内には、溶媒内に陽イオン106A及び陰イオン106Bを含む電解質混合物が設けられる。前述したように、電気エネルギ貯蔵装置100に電力を提供すると、陽イオン106Aが第1電極104Aの負電荷108Bに引き寄せられ、陰イオン106Bが第2電極104Bの正電荷108Aに引き寄せられる。
【0056】
図9の実施例において、イオンの一方の種は、他方の種よりも高密度である。陽イオン106Aは陰イオン106Bよりも濃密になり得る、又はその逆になり得る。電気エネルギ貯蔵装置100のキャパシタンスを増やすために、電気エネルギ貯蔵装置100は回転軸110を中心として回転される。回転軸110は、概して第1電極104Aと第2電極104Bの間の軸線と垂直であるが、電極と電極の間を通らないように電気エネルギ貯蔵装置100からオフセットされる。回転軸110が電気エネルギ貯蔵装置100の中心からオフセットされるため、陽イオン106Aと陰イオン106Bは、密度勾配遠心分離として知られるプロセスによって分離する。電気エネルギ貯蔵装置100が回転すると、高密度のイオンは、低密度のイオンよりも更に回転軸110から離れるように仕向けられる。したがって、電気エネルギ貯蔵装置の回転によって、高密度のイオンは、電気エネルギ貯蔵装置のうちの、回転軸110から最も遠い電極に蓄積する。電源の極性、回転軸の位置、及びより濃密になるイオンのイオン種は、全て、電気エネルギ貯蔵装置100の通常動作と電気エネルギ貯蔵装置100の回転の両方が、濃密なイオンに同じ方向の力を加えるように選択される。同様に、粗密なイオンは、粗密なイオンと、回転軸110に最も近い電極に蓄積された電荷との間の引力が、回転そのものに起因する力に打ち勝つように選択される。
【0057】
このように、
図9に示した実施例において、電源112の極性は、正電荷108Aが第2電極104Bに蓄積するように選択される。これらの正電荷108Aは、電解質混合物内の負に帯電した陰イオン106Bを引き寄せる。陰イオン106Bも、正に帯電した陽イオン106Aよりも高い密度を有するように選択され、回転軸110は、第2電極104Bとは反対側の電気エネルギ貯蔵装置100の端部に配置される。このため、回転軸110を中心とした電気エネルギ貯蔵装置100の回転により、高密度の陰イオン106Bは、回転軸100から離れる方向に低密度の陽イオン106Aよりも大きい力を受ける。したがって、電気エネルギ貯蔵装置100の回転は、電源112からの電力の付与と共に作用して陰イオン106Bを第2電極104Bに向かわせる。陽イオン106Aは、負電荷108Bの蓄積によって第1電極104Aに向かう方向に受ける電力が回転軸110を中心とする電気エネルギ貯蔵装置100の回転に起因する逆向きの力よりも大きくなるように選択される。例示する各実施例において、高密度イオンの密度は、密度が低い方のイオンの密度の2倍、4倍、6倍、又は8倍であってよい。高密度イオンと低密度イオンが他の密度比になる実施例も考えられる。
【0058】
次に
図10Aを参照すると、
図9の電気エネルギ貯蔵装置100を利用する回転電磁機械の断面が示されている。
図10Aの電磁機械は、
図1A、
図1B、若しくは
図2の回転電磁機械、又は任意の他の適切な回転電磁機械であってよい。他の実施例において、回転電磁機械は、1個、2個、4個、5個、又は任意の他の適切な個数の磁石を有する。
図10Aの電磁機械は直線電磁機械であってもよい。
【0059】
図示したように、回転電磁機械は、概して、磁石72A,72B,72Cを含む磁石ハウジング70を有する。
図8の回転電磁機械と同様に、
図10Aの回転電磁機械は、各磁石72A,72B,72Cにそれぞれ隣接して配設された電気エネルギ貯蔵装置103A、103B、及び103C~103Iを有する。本実施例において、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは磁石ハウジング70の外部に配置されて、不必要な磁界から遮断される。電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、各電気エネルギ貯蔵装置の第1電極と第2電極の間の軸線が回転電磁機械の回転軸110と概して垂直になる向きで配置される。このため、電気エネルギ貯蔵装置103A及び103Bは、
図8の回転電磁機械の電気エネルギ貯蔵装置80A及び80Bと概して同一の向きになる。
【0060】
ただし、
図10Aの電気エネルギ貯蔵装置103C~103Iは、
図8の電気エネルギ貯蔵装置80Cに対して90度回転されている。空間の節約という点で有利になり得るため、
図10Aの回転電磁機械は、回転された複数の短尺の電気エネルギ貯蔵装置103C~103Iを利用することができ、これらの電気エネルギ貯蔵装置103C~103Iは、並列に接続されて、電気エネルギ貯蔵装置103A及び103Bと同等であり得る効率的な電気エネルギ貯蔵装置を構成する。電気エネルギ貯蔵装置のサイズを縮小すると、電荷を収集できる表面積が小さくなり、キャパシタンスが低下する。ただし、この低下分は、複数の短尺の電気エネルギ貯蔵装置を設けて並列に接続することによって最小限に抑えられる、又は取り消される。回転電磁機械が回転軸110を中心に回転すると、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iが回転する。この際、各電気エネルギ貯蔵装置の電解質混合物内の高密度のイオンは、回転軸110から最も離れた電極に向かう方向に、密度が低い方のイオンよりも大きい力を受けるため、各電気エネルギ貯蔵装置のキャパシタンスが増加し、且つ時定数が低下する。
【0061】
図10Aの回転電磁機械も、1個、2個、4個、5個、又は任意の他の適切な個数の磁石を用いて動作してよい。また、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、任意の回転機械での利用に適し、磁石を持たない回転機械での利用にも適する。
【0062】
図10Aの実施例において、電気エネルギ貯蔵装置103Aは電源105Aに接続され、電気エネルギ貯蔵装置103Bは電源105Bに接続され、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは電源105Cに接続される。電源105A,105B,105Cは、電磁機械自体であっても、又は電磁機械から分離された独立の電源であってもよい。更なる実施例において、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは電源に接続されない。通常、電源105A,105B,105Cが電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iに適用される場合、電源105A,105B,105Cの極性は、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iに与えられる電力及び電磁機械の回転の両方が、陽イオンを一方の電極に向けて移動させ、且つ、陰イオンを他方の電極に向けて移動させるように選択される。
【0063】
図9の電気エネルギ貯蔵装置及び
図10Aの回転電磁機械は、
図5A及び
図5Bの回転電磁機械、又は
図8の回転電磁機械を参照して前述した方式と同様の方式で利用できる。電気エネルギ貯蔵装置は独立した電源に電気的に結合できる。回転電磁機械が電気エネルギ貯蔵装置を回転させると、独立した電源による電気エネルギ貯蔵装置の充電が増強される。他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は、回転電磁機械が電気エネルギ貯蔵装置の電源として機能するように、回転電磁機械に電気的に結合され得る。回転電磁機械の回転が直接電力を生成し、生成された電力の少なくとも一部を利用して、電気エネルギ貯蔵装置を直接充電することができる。この充電は、電気エネルギ貯蔵装置の回転によって増強される。
【0064】
更に他の実施例において、電気エネルギ貯蔵装置は電源と電気的に結合されない。電気エネルギ貯蔵装置は、回転電磁機械によって回転される構成であるため、電解質混合物内の陽イオン及び陰イオンは、電磁機械の回転に伴って(電力勾配遠心分離により)、対応する電極に層を形成するように仕向けられる。電極表面に隣接するこのイオン層は、電極自体に対応する電荷の層が形成するように誘導するため、各電極に電気二重層が形成される。これにより、電気エネルギ貯蔵装置は、磁界の適用によって効果的に「事前充電」される。
【0065】
電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iの機能を増強するのは回転であって磁界の付与ではないため、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、通常、電磁機械のロータに結合されなければならない。
図10Aにおいて、磁石72A,72B,72Cはロータの一部であるため、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは磁石又は磁石ハウジング70に結合される。
図10Aには、磁石ハウジング70の外部において結合又は他の方式で配設された電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iが示されているが、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、磁石ハウジング70の内部に結合又は他の方式で配設することができ、この場合も、磁石と共に回転するように構成され得る。
【0066】
図10Bに、コイル74及びコア76が回転するように設計されて電磁機械のロータの一部となることを除き、
図10Aに示したものと同様の電磁機械を示す。磁石72A,72B,72Cは動作中に静止しているように構成されて、ステータの一部を構成する。動作中に回転するのはコイル74及びコア76であるため、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、概して、コイル74及びコア76を収容するハウジング内に配設されるか、又はハウジングに連結される。
図10Bの機械は、電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iの配置を除き、
図10Aの機械と同様に動作する。電気エネルギ貯蔵装置103A~103Iは、各電気エネルギ貯蔵装置の第1電極と第2電極の間の軸線が回転電磁機械の回転軸110と概して垂直になる向きで配置される。
【0067】
電気エネルギ貯蔵装置の異なる実施例を組み合わせて電気エネルギ貯蔵装置の充電を向上させることができる。例えば、障壁及びチャンネルを備えた電気エネルギ貯蔵装置は、イオンの一方の種が磁性であるイオン、イオンの一方の種がより高密度であるイオン、又はその両方であるイオンと組み合わせて利用できる。同様に、障壁及びチャンネルを持たない電気エネルギ貯蔵装置は、イオンの一方の種が磁性であるイオン、イオンの一方の種が他方より高密度であるイオン、又はその両方であるイオンと組み合わせて利用できる。
【0068】
本明細書に記載したように、各種の異なる電磁機械は、様々なタイプの電気エネルギ貯蔵装置と共に利用することができる。電磁機械は、回転電磁機械、直線電磁機械、又は任意の他のタイプの電磁機械であり得る。いくつかの実施例において、機械は非電磁機械であってもよい。いくつかの実施例において、一部又は全ての磁石、及び一部又は全てのコイルアセンブリの両方が移動(例えば、回転移動又は直線平行移動)できる電磁機械を利用してよい。機械は、任意の適切な数の磁石セットを含むことができ、各磁石セットは、任意の適切な数の磁石を有し得る。また、機械は、任意の適切な数のコイル及びコアを含むこともできる。したがって、本明細書で説明した断面図には主に単一の磁石セットと単一のコイル/コアの組み合わせのみが示されているが、電磁機械は、概して、回転軸を中心とした周状(回転電磁機械の場合)又は平行移動軸に沿った直線状(直線電磁機械の場合)に配設される複数の磁石セット及び複数のコイル/コアの組み合わせを有する。また、各コイルがそれぞれ固有の独立したコアを備えるものであっても、又は、2つ以上のコイルが1つのコアを共有するものであってもよい。また、電磁機械が、単一のコイル/コアの組み合わせを備える単一の磁石セットだけを備えてもよい。
【0069】
したがって、本明細書及び請求項の理解を容易にするために、電磁機械は、「磁石」、「磁石セット」、「コア」、「コイル」、「電気エネルギ貯蔵装置」、「アクスル」、「コイルアセンブリ」等を有すると説明され得る。ただし、前述した構成要素又は他の構成要素のいずれかに付随する「1つ(a)」を表す冠詞は、記載した実施例又は請求項の内容を単一の構成要素のみに限定するものではなく、1つ以上の構成要素を有する実施例を包含するものであることは理解されよう。
【0070】
本開示について1つ以上の具体的な実施例を参照しながら説明したが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲から外れることなく多数の変更を行えることを理解されるであろう。各実施例及びその明らかな変形物は本開示の精神及び範囲に入ることが意図されている。また、本開示の態様に係る追加の実施例は、本明細書に記載した実施例のいずれかから採用されるいずれの特徴とも組み合わせ可能であることが想定されている。