(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】防カビ性ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240222BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20240222BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240222BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240222BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/08 038
C08L75/04
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2022098760
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2017251129の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 未紗
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6189516(JP,B2)
【文献】特開2006-247850(JP,A)
【文献】特開平10-219102(JP,A)
【文献】特開2010-106104(JP,A)
【文献】DAGOSTIN V.S. et al.,Bactericidal polyurethane foam mattresses,Microbiological characterization and effectiveness,Materials Science and Engineering C,vol.30, 2010,p.705-708
【文献】DAGOSTIN V.S. et al.,Bactericidal polyurethane foam mattresses,Microbiologicalcharacterization and effectiveness,Materials Science and Engineering C,30(2010) ,p.705-708
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08L
C08J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気性を有する防カビ性ポリウレタンフォーム(ただし、硬質ポリウレタンフォームを除く。)。
【請求項2】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気性を有し、25%ILD硬さ(JIS K6400-2 D法)が172~176Nである防カビ性ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気性を有し、密度(JIS K7222)が34.8~35.4kg/m
3である防カビ性ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気(JIS K6400-7 A法)が30~35L/minである防カビ性ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気性を有する防カビ性ポリウレタンフォームであって、
ポリウレタンフォームの原料
のポリオールとして、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロースから選択される多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールのみを用いた、防カビ性ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
液状のイソチアゾリン系防カビ剤が分散し、通気性を有する防カビ性ポリウレタンフォームを備える物品であって、前記物品が、衣類のパッド、家具類、寝具類、マットレスから選択される物品。
【請求項7】
2-ブチル-1,2-ベンゾチアゾル-3(2H)-オンが分散した防カビ性ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防カビ性ポリウレタンフォームとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、衣類のパッド、家具類、寝具類等に、幅広く使用されている。
寝具のマットレスに用いられるポリウレタンフォームは、使用者の睡眠時の汗及び体の熱による蒸れでカビが生える問題がある。
【0003】
従来、ガスケットや育苗マット用のポリウレタンフォームには、防カビ剤をポリウレタンフォーム原料に添加して発泡したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-16070号公報
【文献】特開昭61-5510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ガスケットや育苗マット用のポリウレタンフォームに添加されている防カビ剤は、粒状あるいは粉状のものであるため、防カビ剤をポリウレタンフォーム原料に均一に分散させるのが難しく、良好な防カビ効果を得るのが難しい問題がある。しかも、粒状あるいは粉状の防カビ剤の添加によってポリウレタンフォーム原料の粘度が上昇し、注入機からのポリウレタンフォーム原料の良好な吐出が難しくなる。したがって、発泡状態及び物性が良好なポリウレタンフォームを得るためには、粒状あるいは粉状の防カビ剤の添加量が少量に制限され、防カビ効果を高めることができなかった。
【0006】
特にマットレス用のポリウレタンフォームは、厚みも平面サイズも大きいため、防カビ剤の分散が不均一になり易い。さらに、マットレス用のポリウレタンフォームは、フォーム状態や物性が、睡眠に大きな影響を与えるため、発泡状態及び物性が不良なポリウレタンフォームは好ましくない。
【0007】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、防カビ剤がポリレタンフォーム内に均一に分散して防カビ効果が高く、かつ良好に製造することができる防カビ性ポリウレタンフォームとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の態様は、イソチアゾリン系防カビ剤が分散した防カビ性ポリウレタンフォームに係る。
【0009】
第2の発明の態様は、第1の発明の態様において、前記イソチアゾリン系防カビ剤が、ポリウレタンフォーム中に0.2~0.6wt%分散していることを特徴とする。
【0010】
第3の発明の態様は、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、防カビ剤を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、前記防カビ剤が液状の防カビ剤からなることを特徴とする防カビ性ポリウレタンフォームの製造方法に係る。
【0011】
第4の発明の態様は、第3の発明の態様において、前記液状の防カビ剤は、イソチアゾリン系防カビ剤からなることを特徴とする。
【0012】
第5の発明の態様は、第4の発明の態様において、前記イソチアゾリン系防カビ剤の量は、前記ポリオール100重量部に対して0.2~0.8重量部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防カビ剤がポリレタンフォーム内に均一に分散して防カビ効果が高い防カビ性ポリウレタンフォームが得られる。特に本発明は、厚みも平面サイズも大きく、しかもフォーム状態や物性が、睡眠に大きな影響を与えるマットレス用のポリウレタンフォーム及びその製造方法として適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例及び比較例の配合と物性及びカビ抵抗性試験の測定結果を示す表である。
【
図2】カビ抵抗性試験用サンプルの取得位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の防カビ性ポリウレタンフォームは、ポリオール、イソシアネート、発泡剤、触媒、防カビ剤を含むポリウレタンフォーム原料を混合、反応させて製造されたものであり、ポリウレタンフォーム内に防カビ剤が分散している。
【0016】
ポリオールとしては、ポリウレタンフォーム用のポリオールを使用することができ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールの何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
【0017】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0018】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0019】
ポリオールについては、水酸基価(OHV)が20~300mgKOH/g、官能基数が2~6、重量平均分子量が500~15,000であるポリオールを単独または複数用いることが好ましい。
【0020】
イソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
【0021】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、70以上が好ましく、より好ましくは80~120である。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0022】
発泡剤としては、水が好ましい。水はポリオールとイソシアネートの反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡を行う。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して1~5.5重量部が好ましい。
【0023】
触媒としては、公知のウレタン化触媒を併用することができる。例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N-エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等のスズ触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができ、アミン触媒と金属触媒の何れか一方のみ、あるいは両者の併用でもよい。アミン触媒の量は、ポリオール100重量部に対して0.01~3重量部が好ましい。金属触媒の量は、0又は0.01~1重量部が好ましい。
【0024】
防カビ剤は、液状防カビ剤が使用される。液状防カビ剤としては、イソチアゾリン系防カビ剤が好適である。イソチアゾリン系防カビ剤としては、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BBIT)などが挙げられ、それらの1種または2種以上を併用することができる。イソチアゾリン系防カビ剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.2~0.8重量部が好ましく、より好ましくは0.3~0.7重量部である。また、ポリウレタンフォーム中の防カビ剤の添加率(重量割合)は、下記の防カビ剤添加率で算出でき、0.2~0.6wt%(重量%)が好ましく、より好ましくは0.3~0.6wt%である。
防カビ剤添加率(wt%)=[防カビ剤の添加量÷配合全体量×100]
【0025】
ポリウレタンフォーム原料には、その他の助剤を加えてもよい。助剤として、例えば、整泡剤や着色剤等を上げることができる。整泡剤としては、ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、フッ素系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。着色剤としては、ポリウレタンフォームの用途に応じたものを使用できる。
【0026】
ポリウレタンフォームの製造における発泡は、スラブ発泡が好ましい。スラブ発泡は、ポリウレタンフォーム原料を混合させてベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法であり、断面が角または丸いかまぼこ状のポリウレタンフォームが得られる。
【実施例】
【0027】
以下の成分を
図1の表に示す配合で混合し、反応・発泡させて各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームを作製した。各実施例及び各比較例の配合は、防カビ剤の種類あるいは添加量を除いて同一である。
・ポリオール;ポリエーテルポリオール、分子量:3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/mg、品番:GP-3000、三洋化成工業社製
・発泡剤;水
・アミン触媒;品番:DABCO 33LV エボニック社製
・金属触媒;品番:オクチル酸第一錫、MRH110、城北化学工業株式会社製
・整泡剤;シリコーン系整泡剤、品番:B8110、エボニック社製
・防カビ剤A(イソチアゾリン系、液状);2-ブチル-1,2-ベンゾチアゾル-3(2H)-オン、ロンザジャパン社製
・防カビ剤B(トリアゾ-ル系、粉体);(RS)-1-P-クロロフェニル-4,4-ジメチル-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)ペンタン-3-オール、シナネンゼオミック社製
・防カビ剤C(ピリジン系、粉体);2-メルカプトピリジンN-オキシド亜鉛、ロンザジャパン社製
・イソシアネート;2,4-TDI/2,6-TDI=80/20、品番:コロネートT-80、日本ポリウレタン工業社製
【0028】
各実施例及び各比較例におけるポリウレタンフォームの製造時にクリームタイム、ライズタイムを測定した。クリームタイムは、ポリウレタンフォーム原料が、混合・吐出時の液状態から樹脂状態になるまでの時間でありル。一方、ライズタイムは、混合・吐出時から最大発泡高さになるまでの時間である。また、ヘルスバブルとフォーム状態を目視で観察した。ヘルスバブルは、発泡時に発生した炭酸ガス等がポリウレタンフォームの表面からブクブクとガス抜けすることであり、ヘルスバブルが有る場合「〇」、無い場合「×」とした。フォーム状態は、ポリウレタンフォームにシュリンク(収縮)などの不具合がない場合「〇」、不具合が存在する場合「×」とした。
【0029】
各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームについて、物性値として、密度(JIS K7222)、25%ILD硬さ(JIS K6400-2 D法)、通気(JIS K6400-7 A法)を測定した。
【0030】
また、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームについて、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>を、JIS Z2911:2010付属書A(規定)、プラスチック製品の試験 方法Bに従って行った。各実施例及び各比較例の試験サンプルは、
図2に示すように、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォーム(スラブフォーム)の長さ方向と直交する垂直断面における四隅の部分No.1、2、4、5と、中心の部分No.3を、50×50×10mmのサイズで切り出した。また、供試菌は、Aspergillus niger NBRC 105649、Penicillium pinophilum NBRC 33285、Paecilomyces variotii NBRC 33284、Trichoderma virens NBRC 6355、Chaetomium globosum NBRC 6347である。
【0031】
カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、以下の判断基準に従って[0]~[5]の段階に区分した。
<判断基準>
0:肉眼及び顕微鏡下でカビの発育が認められない。
1:肉眼ではカビの発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼でカビの発育が認められ、発育部分の面積が試料の全面積の25%未満。
3:肉眼でカビの発育が認められ、発育部分の面積が試料の全面積の25%以上~50%未満。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積が試料の全面積の50%以上。
5:菌糸の発育が激しく、試料全面を覆っている。
試験サンプルNo.1~No.5の測定値、それらの平均値及びバラツキ指標として標準偏差を求めた。
【0032】
ヘルスバブル及びフォーム状態の何れも「〇」であって、カビ抵抗性試験(カビ発育状態)の平均値が[1]以下、かつ標準偏差が[0.4]以下の場合に総合判定「◎」とし、ヘルスバブル及びフォーム状態の何れも「〇」であって、カビ抵抗性試験(カビ発育状態)の平均値が[2]以下、かつ標準偏差が[0.8]以下であって、総合判定が「◎」以外のものの場合に総合判定「〇」とした。ヘルスバブル及びフォーム状態が何れも「〇」であって、カビ抵抗性試験(カビ発育状態)の平均値が[2]以下、標準偏差が[0.8]より大の場合に総合判定「△」とし、ヘルスバブルとフォーム状態の少なくとも何れかが「×」の場合、あるいはカビ抵抗性試験(カビ発育状態)の平均値が[2]より大の場合に総合判定「×」とした。測定結果は
図1の表に示す。
【0033】
比較例1は、防カビ剤A~Cの何れも添加しない(防カビ剤添加率0wt%)例である。比較例1は、クリームタイム18秒、ライズタイム107秒、ヘルスバブル「〇」、フォーム状態「〇」、密度35kg/m3、25%ILD硬さ175N、通気26L/minである。カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、試験サンプルNo.1、2、4、5が[2]、試験サンプルNo.3が[3]、平均値が「2.2」、標準偏差が0.45であり、総合判定が「×」であった。
【0034】
実施例1は、防カビ剤A(液状)を0.27重量部添加した(防カビ剤添加率0.2wt%)例である。実施例1は、クリームタイム18秒、ライズタイム107秒、ヘルスバブル「〇」、フォーム状態「〇」、密度34.8kg/m3、25%ILD硬さ173N、通気30L/minである。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、試験サンプルNo.1、2、4、5が[0]、試験サンプルNo.3が[1]、平均値が[0.2]、標準偏差が0.45であり、総合判定が「〇」であった。実施例1は、防カビ剤の添加率が0wt%の比較例1と比べて、カビの発育を抑えることができ、防カビ効果が高い。
【0035】
実施例2は、防カビ剤A(液状)を0.41重量部添加した(防カビ剤添加率0.3wt%)例である。実施例2は、クリームタイム18秒、ライズタイム109秒、ヘルスバブル「〇」、フォーム状態「〇」、密度35.4kg/m3、25%ILD硬さ176N、通気35L/minである。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、試験サンプルNo.1~5の何れも[0]、平均値が[0]、標準偏差が0であり、総合判定が「◎」であった。実施例2は、試験サンプルの全てにおいてカビの発育が肉眼及び顕微鏡で認められず、防カビ剤Aの添加率が0.2wt%の実施例1よりも、さらに防カビ効果が高かった。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果で標準偏差が0であることから、ポリウレタンフォーム内に、防カビ剤Aが均一に分散していると推測され、いずれのポリウレタンフォーム内においても防カビ効果が高いことが推測される。
【0036】
実施例3は、防カビ剤A(液状)を0.68重量部添加した(防カビ剤添加率0.5wt%)例である。実施例3は、クリームタイム18秒、ライズタイム108秒、ヘルスバブル「〇」、フォーム状態「〇」、密度35.2kg/m3、25%ILD硬さ172N、通気31L/minである。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、試験サンプルNo.1~5の何れも[0]、平均値が[0]、標準偏差が0であり、総合判定が「◎」であった。実施例3は、試験サンプルの全てにおいてカビの発育が肉眼及び顕微鏡で認められず、実施例2と同様に防カビ効果が高かった。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果で標準偏差が0であることから、ポリウレタンフォーム内に、防カビ剤Aが均一に分散していると推測され、いずれのポリウレタンフォーム内においても防カビ効果が高いことが推測される。
【0037】
比較例2は、防カビ剤B(粉体)を0.41重量部添加した(防カビ剤添加率0.3wt%)例である。比較例2は、クリームタイム18秒、ライズタイム110秒、ヘルスバブル「〇」、フォーム状態「〇」、密度35.2kg/m3、25%ILD硬さ175N、通気26L/minである。また、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果は、試験サンプルNo.1が[0]、No.2が[1]、No.3が「2」、No.4が「0」、No.5が[1]、平均値が[0.8]、標準偏差が0.84であり、総合判定が「△」であった。比較例2は、防カビ剤の添加率が0wt%の比較例1と比べと防カビ効果があるが、実施例1~3と比べると、防カビ効果が低くなっている。また、比較例2は、カビ抵抗性試験<カビ発育状態>の結果で標準偏差が0.84であることから、ポリウレタンフォーム内における防カビ剤Bの分散が不均一であると推測される。また、防カビ剤A(液状)の添加率が比較例2の防カビ剤B(粉体)の添加率と等しい実施例2の標準偏差が0であることから、粉体の防カビ剤Bはポリウレタンフォーム内に均一に分散させるのが難しいことがわかる。
【0038】
比較例3は、防カビ剤C(粉体)を0.27重量部添加した(防カビ剤添加率0.2wt%)例である。比較例3は、クリームタイム20秒、ライズタイム130秒、ヘルスバブル「×」、フォーム状態「×」、密度35kg/m3、25%ILD硬さ155N、通気5L/min未満である。比較例3は、フォーム状態が悪いため、カビ抵抗性試験を行わなかった。防カビ剤の添加率が0wt%である比較例1のフォーム状態が「〇」であったことから、比較例3は、防カビ剤C(粉体)を0.27重量部添加したことにより、ポリウレタンフォーム原料の混合時に粘度上昇等を生じ、良好な反応・発泡が阻害されたと推測される。
【0039】
このように、実施例1~3の防カビ性ポリウレタンフォームは、防カビ剤がポリレタンフォーム内に均一に分散して防カビ効果が高く、かつ良好に製造することができる。